端子金具付き電線
【課題】防水性に優れた端子金具付き電線を提供する。
【解決手段】先端を露出させて芯線12を絶縁層13により被覆した絶縁被覆部15を有する電線11と、芯線12を圧着するワイヤーバレル部22と、相手側に接続される接続部21と、ワイヤーバレル部22と接続部21との間を繋ぐ底板部24とを有する端子金具20と、端子金具20の底板部24に密着するように配置された止水壁体30と、チューブ状をなしてワイヤーバレル部22を包囲するように端子金具20に嵌装され、その一端部44が電線11の絶縁被覆部15の先端部を水密的に包囲し、他端部43が止水壁体30から底板部24にわたってその外周を水密的に包囲する止水被覆40と、を備え、止水被覆40は、内部を視認可能な透光性の材質からなる。
【解決手段】先端を露出させて芯線12を絶縁層13により被覆した絶縁被覆部15を有する電線11と、芯線12を圧着するワイヤーバレル部22と、相手側に接続される接続部21と、ワイヤーバレル部22と接続部21との間を繋ぐ底板部24とを有する端子金具20と、端子金具20の底板部24に密着するように配置された止水壁体30と、チューブ状をなしてワイヤーバレル部22を包囲するように端子金具20に嵌装され、その一端部44が電線11の絶縁被覆部15の先端部を水密的に包囲し、他端部43が止水壁体30から底板部24にわたってその外周を水密的に包囲する止水被覆40と、を備え、止水被覆40は、内部を視認可能な透光性の材質からなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子金具付き電線に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電線の端末に端子金具が接続されてなる端子金具付き電線において、端子金具と電線との接続部分に熱収縮チューブ等の止水被覆を被せ付けて防水する技術が知られている。例えば特許文献1に記載のものにおいては、芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線と、絶縁被覆から露出する芯線を圧着した端子金具とを備える。端子金具は、芯線が載置された平板状の基板部と、この基板部から突出されると共に芯線を圧着して電線を接続するワイヤーバレル部とを備える。そして、熱収縮チューブは、露出した芯線の全体を覆うように、端子金具の基板部から、電線の絶縁被覆の端末部にわたって被せ付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−285983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の端子金具付き電線においては、端子金具のワイヤーバレル部と基板部との外形形状が大きく異なり、具体的には、ワイヤーバレル部が芯線を抱え込んだ略円柱状をなすのに対し基板部が平板状をなしているので、筒状をなす熱収縮チューブと、基板部とが十分に密着されずに隙間が生じる虞がある。このため、端子金具と電線との接続部分において、防水が不十分となる懸念があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、防水性に優れた端子金具付き電線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、先端を露出させて芯線を絶縁層により被覆した絶縁被覆部を有する電線と、前記芯線を圧着するワイヤーバレル部と、相手側に接続される接続部と、前記ワイヤーバレル部と前記接続部との間を繋ぐ底板部とを有する端子金具と、前記端子金具の前記底板部に密着するように配置された止水壁体と、チューブ状をなして前記ワイヤーバレル部を包囲するように前記端子金具に嵌装され、その一端部が前記電線の前記絶縁被覆部の先端部を水密的に包囲し、他端部が前記止水壁体から前記底板部にわたってその外周を水密的に包囲する止水被覆と、を備え、前記止水被覆は、内部を視認可能な透光性の材質からなることに特徴を有する。
【0007】
このような構成によれば、端子金具の底板部に密着するように止水壁体が配され、止水被覆の一端部はこの止水壁体から底板部にわたってその外周を水密的に包囲するから、ワイヤーバレル部と底板部の外形形状が異なっていても、その形状の差異を止水壁体で埋めることができ、止水被覆と底板部との間に隙間が生じるのを防止することができる。また、止水被覆はその内部を視認可能な透光性の材質からなるから、ワイヤーバレル部を包囲するように端子金具を水密的に包囲した後であっても、その内部を確認することができる。
【0008】
前記止水被覆は、外周側に配される止水層と、前記止水層の内周側に積層された接着層と、を有し、前記止水層及び前記接着層は、共に透明であってもよい。このような構成によれば、止水被覆により包囲される止水壁体及び底板部から電線の絶縁被覆部にわたってその外周面に接着層が接着した状態であっても、止水被覆内を外部から視認することができる。これにより、ワイヤーバレル部の圧着状態や止水壁体の有無を止水被覆により包囲した後であっても確認することができるから、ワイヤーバレル部の圧着不良や、止水壁体の有無、あるいは止水壁体の取付不良を検出することができる。このように止水被覆周りの不具合を検出し易い構成とすることで、品質向上を図り、より防水性に優れた端子金具付き電線を提供することができる。
【0009】
前記止水被覆は、外周側に配される止水層と、前記止水層の内周側に積層され溶融することで接着する前記接着層と、を有し、前記止水層は透明をなし、前記接着層は着色されており、前記底板部又は前記止水壁体には前記止水被覆の前記他端部に対応する位置に前記止水被覆に対して凹をなす凹設部が形成され、前記止水被覆が前記ワイヤーバレル部を水密的に包囲した状態で前記凹設部に前記接着層が流れ込んでいるものであってもよい。
【0010】
このような構成によれば、止水被覆が端子金具及び電線に対して水密的に包囲した状態において、接着層が底板部又は止水壁体に形成された凹設部に流れ込んでいるから、止水被覆が少なくとも凹設部において接着しているか否かを容易に見分けることができる。詳しく説明すると、接着層は溶融すると対向する凹設部に流れ込み、接着した状態ではその流れ込んだ分だけ凹設部上の接着層が厚くなる。そして、接着層は着色されており、その外周を覆う止水層は透明であるから、止水被覆周りからは、凹設部の深さ分、凹設部上の接着層が他の接着層よりも着色が濃く視認される。これに対して、接着層が十分に溶融することなく凹設部に接着層が流れ込んでいない場合には、凹設部上の接着層と他の接着層とで外部から視認できる着色の濃さに差は表れない。この差を利用して、接着層の溶融履歴、ひいては凹設部が形成された底板部又は止水壁体に対する止水被覆の接着状態を確認することができる。
【0011】
なお、この凹設部が形成された底板部又は止水壁体に対する止水被覆の接着状態は防水性を確保する上で特に重要である。即ち、せっかく止水壁体により、止水被覆と底板部との間の隙間を埋めることが可能とされていても、止水被覆がこの底板部及び止水壁体に水密的に包囲、つまり密着していなければ、止水壁体を設けることにより期待する防水性が確保できない。よって凹設部とそれに流れ込む接着層により、底板部及び止水壁体に対する接着状態を容易に確認できるようにすることで、品質不良品を排除し、より防水性に優れた端子金具付き電線の提供が可能となる。
【0012】
また、凹設部上の接着層の着色の濃さによって、接着層全体が溶融したか否かを判断する指標ともなる。つまり、自動的に接着層を溶融させる場合などにおいては、凹設部上の接着層が一度溶融していれば、他の部位の接着層も一度は溶融したとみなすことができる。これにより、底板部及び止水壁体に対する止水被覆の接着不良だけでなく、止水被覆の接着層における全体的な溶融不足も検出することができる。これにより、端子金具付き電線の更なる品質向上を図ることができる。
【0013】
前記止水壁体は前記底板部に対して熱溶着される樹脂組成物であって、前記止水被覆は熱収縮チューブからなるものであってもよい。このような構成によれば、いずれも加熱することにより、溶着し又は収縮し、端子金具に対して密着させることができるから、その製造工程を簡素化することができる。また、熱収縮チューブは、加熱前の状態において、その内径を比較的大きく設定することができるから、熱収縮チューブで包囲する上記範囲の端子金具の外周に容易に配置することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、防水性に優れた端子金具付き電線を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1に係る端子金具付き電線の斜視図
【図2】端子金具付き電線の要部切欠側面図
【図3】止水壁体として用いられる樹脂化合物の斜視図
【図4】同断面図
【図5】熱収縮チューブの断面図
【図6】未加熱の熱収縮チューブを電線に挿通させた状態の斜視図
【図7】未加熱の熱収縮チューブを所定の嵌装位置に包囲させた状態の斜視図
【図8】実施形態2に係る端子金具付き電線の斜視図
【図9】同側断面図
【図10】止水壁体として用いられる樹脂化合物の斜視図
【図11】熱収縮チューブの断面図
【図12】未加熱の熱収縮チューブを電線に挿通させた状態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図7によって説明する。
本実施形態の端子金具付き電線10は、図1に示すように、電線11と、この電線11の端末に圧着される端子金具20と、この端子金具20に溶着される止水壁体30と、端子金具20から電線11にかけてその外周から包囲する熱収縮チューブ40(止水被覆に相当する)とから構成されている。以下、図1の左右方向を前後方向として説明する。
【0017】
端子金具20に圧着される電線11は、図1及び図2に示すように、複数本の金属細線を撚り合わせてなる芯線12を合成樹脂製の絶縁層13で被覆したものである。芯線12は、アルミニウム又はアルミニウム合金とされているが、その他にも例えば、銅、銅合金等が適宜選択可能とされている。電線11の先端部分は、絶縁層13が除去されて芯線12が露出した芯線部14とされ、絶縁層13に覆われた部分は絶縁被覆部15とされている。
【0018】
端子金具20は、図1に示すように、所謂雌型をなしており、相手側の雄型端子(図示せず)と接続されるものである。この端子金具20は導電性に優れた銅合金等の金属板を所定形状に打ち抜いて曲げ加工等を施すことにより形成されるものであって、その表面にはスズ、ニッケル等のメッキが施されている。端子金具20は、図1及び図2に示すように、全体として前後方向に細長い形状をなしており、その前側には筒状をなした接続部21、後側には電線11の芯線部14を圧着するワイヤーバレル部22、電線11の絶縁被覆部15を圧着するインシュレーションバレル部23が順に設けられている。接続部21とワイヤーバレル部22との間は、それぞれの底部21A,22Aに連続する底板部24により連結されている。
【0019】
接続部21は、断面方形の筒状をなしており、その内部には相手側の雄型端子が挿入可能とされている。ワイヤーバレル部22は、電線11の芯線部14が載置され、断面U字状をなす底部22Aと、底部22Aの両側縁から立ち上がる一対の圧着片22Bとから構成される。板片状をなした圧着片22Bは、底部22A上の芯線部14を抱きかかえるようにして、その両側から芯線部14をかしめ付けた状態にある。インシュレーションバレル部23は、ワイヤーバレル部22の底部22Aから接続部21とは逆の軸方向に延出し、電線11の絶縁被覆部15を載置する底部23Aと、底部23Aの両側縁から立ち上がる一対の圧着片23Bとから構成される。この圧着片23Bはワイヤーバレル部22の圧着片22Bよりも幅の狭い板片状をなしており、底部23A上の絶縁被覆部15を抱きかかえるようにしてその両側から絶縁被覆部15をかしめ付けた状態にある。
【0020】
接続部21の底部21A及びワイヤーバレル部22の底部22Aに連続する底板部24は、断面U字状をなし、その上方を開放した態様をなしている。この底板部24のうち、芯線部14に近接する位置には、止水壁体30がその内周面に密着した状態で配されている。
【0021】
止水壁体30は、図3に示すように、略円柱状をなす樹脂化合物からなり、外形形状は、少なくとも底板部24の内周面に沿った形状を有している。止水壁体30は、図4に示すように、断面円形をなす芯材31と、芯材31の外周面を覆う接着層32とから構成され、芯材31は、融点が170℃程度の樹脂材料からなり、接着層32は、融点が120℃程度の樹脂材料(接着性可塑性樹脂)からなる。止水壁体30は、もととなる樹脂化合物を二層押出成形等によって断面円形の棒状に成形し、これを所定長さに切り分けることにより得ることができる。この止水壁体30は、詳しくは後述するが、底板部24に嵌め込んだ(圧入した)状態で加熱処理を行うと、接着層32のみが溶融して変形し、底板部24の内周面に溶着する。これにより、止水壁体30は底板部24に対して隙間なく密着して配されることとなり、接続部21からワイヤーバレル部22に連なる底板部24を遮断する壁として機能する。
【0022】
さて、止水壁体30が溶着された底板部24から電線11の絶縁被覆部15にかけてその外周を水密的に包囲する熱収縮チューブ40は、筒状をなし、加熱処理によって収縮し、且つ水分を通さない防水性の樹脂材料からなる。より詳細には、熱収縮チューブ40は、図5に示すように、外周側の止水層41と、止水層41の内周側に積層される接着層42の二層構造をなしている。材質としては、止水層41は電子線架橋軟質ポリオレフィン樹脂、接着層42は熱溶融性接着剤が一例として挙げられる。色は、いずれも内部を視認可能な透明色であって、透光性を有する。このため、この熱収縮チューブ40が端子金具20及び電線11を水密的に包囲した状態で、その内部、つまりワイヤーバレル部22及びインシュレーションバレル部23のかしめ付け状態や、止水壁体30の溶着状態を視認することができる。
【0023】
この熱収縮チューブ40は、図1及び図2に示すように、底板部24から、電線11の絶縁被覆部15までを包囲するように被せ付けられている。詳しく説明すると、熱収縮チューブ40の前端部43(他端部に相当する)は、止水壁体30が溶着した位置よりも接続部21側に位置し、後端部44(一端部に相当する)は、インシュレーションバレル部23に対してワイヤーバレル部22とは反対側の絶縁被覆部15上に配されている。この前端部41と後端部42の間に位置する、止水壁体30及びワイヤーバレル部22はその全周を熱収縮チューブ40に覆われた状態にあり、特に、熱収縮チューブ40の前端部43及び後端部44においてその内周の接着層42が対応する底板部24及び止水壁体30、又は電線11の絶縁被覆部15に隙間なく密着することで、芯線部14の防水が図られている。
【0024】
次に、本実施形態の端子金具付き電線10の製造方法及び作用について説明する。まず、金属板から端子金具20の原板を打ち抜き(プレス成形し)、曲げ加工、切り起こし加工等を施す。次に、止水壁体30を構成する樹脂化合物を端子金具20の底板部24上の所定の位置に圧入し(嵌め込み)、第1の加熱処理工程を行う。この第1の加熱処理工程により、止水壁体30の芯材31よりも低融点材料から構成される接着層32のみが溶融し、底板部24の内周面に隙間なく熱溶着する。
【0025】
続いて、圧着工程にて電線11を圧着する。具体的には、端子金具20のワイヤーバレル部22に電線11の芯線部14が、インシュレーションバレル部23に電線11の絶縁被覆部15が位置するように、それぞれ底部22A,23A上に載置し、図示しない圧着機及び圧着治具等によりそれぞれの圧着片22B,23Bを、芯線部14及び絶縁被覆部15に対して圧着する。
【0026】
電線11を端子金具20に圧着後、熱収縮チューブ40を挿通させる。熱収縮チューブ40は、図6に示すように、電線11側から挿通させてもよいし、端子金具20の接続部21側から挿通させてもよい。電線11側から挿通させる場合には、その電線11の長さにもよるが、圧着工程前に挿通させておくことが望ましい。未加熱状態の熱収縮チューブ40は、図6に示すように、その内径が電線11と端子金具20の接続部分(ワイヤーバレル部22等)の外径よりも大きく設定されている。このため、図7に示す所定の位置にまで熱収縮チューブ40を挿通させることは容易なものとされている。
【0027】
熱収縮チューブ40はその前端部43が止水壁体30を超えて接続部21側に配されるように位置決めした状態で、第2の加熱処理工程を行う。この第2の加熱処理工程において、加熱されることにより、熱収縮チューブ40は熱収縮し、接着層42は接着性を発揮し、端子金具20及び電線11の包囲した部分の外周に隙間なく接着することで、図1及び図2に示す端子金具付き電線10を製造することができる。
【0028】
なお、出荷前の品質検査工程においては、熱収縮チューブ40が透明であるから、その内部を視認でき、目視検査により、止水壁体30の有無、溶着不良、向きが異なる等の取付不良を検出し、あるいはワイヤーバレル部22及びインシュレーションバレル部23の圧着状態を確認して、品質不良品を排除する。これにより、電線11の圧着状態が良好なもの、及び止水壁体30の溶着状態が良好なもののみを完成品として提供することができる。
【0029】
以上の製造方法によって製造された端子金具付き電線10は、止水壁体30から電線11の絶縁被覆部15にかけて、特に芯線部14(ワイヤーバレル部22)の防水が確保されている。熱収縮チューブ40はその内部を視認可能であるから、上述したように、その内部の状態を熱収縮チューブ40が収縮・接着した完成品の状態であっても、確認することができる。なお、止水壁体30は底板部24に対して隙間なく水密に密着しており、止水壁体30は接続部21からその底部21Aを伝って浸入しようとする水等の液体を遮断する壁として機能する。この止水壁体30が正規位置・向きに溶着されることを透明の熱収縮チューブ40を介して確認することで、より防水性に優れた端子金具付き電線10を提供することが可能となる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、底板部24に密着した止水壁体30と、その外周を包囲する熱収縮チューブ40によって、ワイヤーバレル部22と底板部24の外形形状が異なっていてもその形状の差異を埋めることができ、熱収縮チューブ40と底板部24との間に隙間が生じるのを防止することができる。また、熱収縮チューブ40は透光性の透明色からなるから、当該熱収縮チューブ40を電線11及び端子金具20に対して、水密に包囲した後(熱収縮・接着させた後)であっても、その内部を視認することができる。よって、止水壁体30の有無、溶着状態を確認することで、品質不良品を排除し、提供する端子金具付き電線10の防水性の向上を図ることが可能となる。
【0031】
また、止水壁体30だけでなく、電線11に対する端子金具20の圧着状態、具体的にはワイヤーバレル部22とインシュレーションバレル部23のかしめ付け状態を熱収縮チューブ40の外周から確認することが可能であるから、目視検査にて圧着不良を排除し、電線11と端子金具20間の接続信頼性を確保することも可能となる。
【0032】
また、止水壁体30も熱収縮チューブ40も、いずれも加熱処理により溶着し又は収縮し、端子金具20の所定の位置に対して密着させることができるから、製造工程を簡素化することができる。また、熱収縮チューブ40は、加熱処理前において、その内径を電線11と端子金具20の接続部分(ワイヤーバレル部22等)の外径よりも大きく設定することができる。これにより、熱収縮チューブ40を端子金具20及び電線11に挿通させる際に、その作業を容易なものとすることができる。
【0033】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図8ないし図12によって説明する。
本実施形態は、実施形態1とは、止水壁体70及び底板部53に凹設部53A,71が形成され、その外周を包囲する熱収縮チューブ80の接着層82が着色されているところが相違する。他の構成については、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0034】
端子金具付き電線50は、図8及び図9に示すように、前側から端子金具51の接続部52、底板部53、ワイヤーバレル部54、インシュレーションバレル部55、ワイヤーバレル部54に圧着される電線60の芯線部61、インシュレーションバレル部55に圧着される電線60の絶縁被覆部62とされ、底板部52には止水壁体70が溶着、固定されている。また、止水壁体70から電線60の絶縁被覆部62にかけては熱収縮チューブ80がその外周を水密に包囲している。
【0035】
底板部53のうち、止水壁体70が溶着された部位の外周面には、後述する止水壁体70の凹設部71に一致する凹設部53Aが形成されている。この凹設部53Aは、図9及び図12に示すように、周方向に延びる直線状の溝であって、両端部は溶着された止水壁体70の凹設部71に連続するように配される。止水壁体70は、実施形態1と同様に、略円柱状をなす樹脂化合物からなり、図示はしないが、芯材と芯材の外周面を覆う接着層とから構成されている。止水壁体70の周面には、図10に示すように、その周方向に沿って延びる溝状の凹設部71が形成されている。
【0036】
熱収縮チューブ80は、実施形態1と同様に、防水性の止水層81と接着性を有する接着層82の二層構造をなしている(図11参照)。材質は、止水層81としては、電子線架橋軟質ポリオレフィン樹脂、接着層82としては、熱溶融性接着剤等が用いられている。いずれも透光性を有し、止水層81は透明色、接着層82は各種染料にて着色がなされている。色としては、例えば、黒、茶、赤、橙、黄、緑、青、紫、灰、白が挙げられる。
【0037】
この端子金具付き電線50を製造するには、実施形態1と同様に、端子金具51を成形し、電線60を圧着後、熱収縮チューブ80を挿通させる(図12に参照)。熱収縮チューブ80は、底板部53に溶着した止水壁体70の全体を覆うようにして、位置決めしたのち、第2の加熱処理工程を行う。すると、熱収縮チューブ80はその全体が熱収縮すると共に、接着層82が熱溶融し、溶融した接着層82は、その接する電線60及び端子金具51周りに隙間なく密着し、底板部53の凹設部53A及び、止水壁体70の凹設部71に流れ込む。その後、接着層82は固化することで熱収縮チューブ80は、止水壁体70から電線60の絶縁被覆部62にわたるワイヤーバレル部54周囲を水密的に包囲し、図8及び図9に示す端子金具付き電線50を得ることができる。
【0038】
この端子金具付き電線50は、止水層81が透明であるから、接着層82及び接着層82が密着した熱収縮チューブ80の内部を視認することができる。ここで、凹設部53A、71には、接着層82が流れ込んだ状態にあるから、凹設部53A、71上の接着層82はその他の接着層82よりもその厚さが厚くなる。よって、図8に示すように、凹設部53A、71上の接着層82はその他の接着層82よりも着色が濃くなり、周方向に延びるライン83となって視認される。なお、接着層82が溶融していない場合には、このライン83が表れない。また、凹設部53A、71が形成された底板部53、止水壁体70に対して接着層82が十分に密着していない場合には、ライン83は断片状となる。よって、品質検査工程等において、このライン83の有無、ライン83自体の浮き出し状態により、熱収縮チューブ80の密着状態、つまりは熱収縮チューブ80による端子金具51及び電線60の防水状態を確認することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、熱収縮チューブ80が端子金具51及び電線60に対して水密的に包囲した状態において、接着層82が底板部53又は止水壁体70に形成された凹設部53A、71に流れ込んでいるから、熱収縮チューブ80が少なくとも凹設部53A、71において接着しているか否かを容易に見分けることができる。詳しく説明すると、接着層82は溶融すると対向する凹設部53A、71に流れ込み、接着した状態ではその流れ込んだ分だけ凹設部53A、71上の接着層82が厚くなる。そして、接着層82は着色されており、その外周を覆う止水層81は透明であるから、熱収縮チューブ80周りからは、凹設部53A、71の深さ分、凹設部3A、71上の接着層82が他の接着層82よりも着色が濃く、ライン83となって視認される。これに対して、接着層82が溶融せず、凹設部53A、71に接着層82が流れ込んでいない場合には、ライン83は表れず、凹設部53A、71上の接着層82と他の接着層82とで外部から視認できる着色の濃さに差は表れない。この差を利用して、凹設部53A、71が形成された底板部53又は止水壁体70に対する熱収縮チューブ80の接着状態を確認することができる。
【0040】
なお、この凹設部53A、71が形成された底板部53又は止水壁体70に対する熱収縮チューブ80の接着状態は防水性を確保する上で特に重要である。即ち、せっかく止水壁体70により、熱収縮チューブ80と底板部53との間の隙間を埋めることが可能とされていても、熱収縮チューブ80がこの底板部53及び止水壁体70に水密的に包囲、つまり密着していなければ、止水壁体70を設けることにより期待する防水性が確保できない。よって凹設部53A、71とそれに流れ込む接着層82により、底板部53及び止水壁体70に対する接着状態を容易に確認できるようにすることで、品質不良品を排除し、より防水性に優れた端子金具付き電線50の提供が可能となる。
【0041】
また、凹設部53A、71上の接着層82の着色の濃さ、つまりライン83の表れ具合によって、接着層82全体が溶融したか否かを判断する指標ともなる。つまり、自動的に接着層82を溶融させる場合などにおいては、凹設部53A、71上の接着層82が一度溶融していれば、他の部位の接着層82も一度は溶融したとみなすことができる。これにより、底板部53及び止水壁体70に対する熱収縮チューブ80の接着不良だけでなく、熱収縮チューブ80の接着層82における全体的な溶融不足も検出することができる。よって、端子金具付き電線50の更なる品質向上を図ることができる。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0043】
(1)上記した各実施形態では、熱収縮チューブ40、80は止水層41、81と接着層42、82との2層構造とされていたが、これに限られず、接着層又は粘着層が形成されていない1層構造のものであってもよい。また、熱収縮チューブ40、80に限らず、ゴムチューブ等の筒状部材であってもよい。
【0044】
(2)上記した各実施形態では、止水壁体30、70は底板部24、53に対して嵌め込んだ(圧入した)後、第1の加熱処理工程により熱溶着されていたが、これに限られず、例えば、止水壁体をインサートモールド成形により底板部に保持させるものであってもよい。
【0045】
(3)上記した各実施形態では、止水壁体30、70として芯材31と接着層32からなるものを用いていたが、これに限られず、例えば、対金属良接着性エラストマー(商品名:ペルプレン(登録商標)、東洋紡績株式会社)を用いてもよい。この樹脂化合物は、融点が異なる2種類以上の樹脂材料が混合されたものであり、一方の融点を超える(他方の融点は超えない)温度で加熱処理すると、一方の樹脂材料がその表面から溶融して滲み出し、底板部に対する接着剤として機能するものである。
【0046】
(4)上記した各実施形態では、端子金具20、51は所謂雌型のものを例示したが、これに限られず、雄型のものであってもよいし、丸型端子(所謂、LA端子)であってもよい。
【0047】
(5)上記した各実施形態では、端子金具20、51はインシュレーションバレル部23、55を備えていたが、これに限られず、インシュレーションバレル部を備えない構成であってもよい。
【0048】
(6)上記した各実施形態では、止水壁体30、70は円柱状であったが、これに限られず、底板部の形状に合わせて、適宜変更可能である。例えば、断面が楕円形状や長円状、方形状であってもよい。
【0049】
(7)上記した各実施形態では、止水壁体30、70を底板部24、53に熱溶着させるための第1の加熱処理工程と、熱収縮チューブ40、80を熱収縮させる第2の加熱処理工程と、2段階の加熱処理工程が設けられていたが、これに限られず、例えば一度の加熱処理工程により止水壁体の溶着と熱収縮チューブの収縮を行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…端子金具付き電線
11…電線
12…芯線部
15…絶縁被覆部
20…端子金具
21…接続部
22…ワイヤーバレル部
23…インシュレーションバレル部
24…底板部
30…止水壁体
40…熱収縮チューブ(止水被覆)
41…止水層
42…接着層
43…前端部(他端部)
44…後端部(一端部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子金具付き電線に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電線の端末に端子金具が接続されてなる端子金具付き電線において、端子金具と電線との接続部分に熱収縮チューブ等の止水被覆を被せ付けて防水する技術が知られている。例えば特許文献1に記載のものにおいては、芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線と、絶縁被覆から露出する芯線を圧着した端子金具とを備える。端子金具は、芯線が載置された平板状の基板部と、この基板部から突出されると共に芯線を圧着して電線を接続するワイヤーバレル部とを備える。そして、熱収縮チューブは、露出した芯線の全体を覆うように、端子金具の基板部から、電線の絶縁被覆の端末部にわたって被せ付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−285983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の端子金具付き電線においては、端子金具のワイヤーバレル部と基板部との外形形状が大きく異なり、具体的には、ワイヤーバレル部が芯線を抱え込んだ略円柱状をなすのに対し基板部が平板状をなしているので、筒状をなす熱収縮チューブと、基板部とが十分に密着されずに隙間が生じる虞がある。このため、端子金具と電線との接続部分において、防水が不十分となる懸念があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、防水性に優れた端子金具付き電線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、先端を露出させて芯線を絶縁層により被覆した絶縁被覆部を有する電線と、前記芯線を圧着するワイヤーバレル部と、相手側に接続される接続部と、前記ワイヤーバレル部と前記接続部との間を繋ぐ底板部とを有する端子金具と、前記端子金具の前記底板部に密着するように配置された止水壁体と、チューブ状をなして前記ワイヤーバレル部を包囲するように前記端子金具に嵌装され、その一端部が前記電線の前記絶縁被覆部の先端部を水密的に包囲し、他端部が前記止水壁体から前記底板部にわたってその外周を水密的に包囲する止水被覆と、を備え、前記止水被覆は、内部を視認可能な透光性の材質からなることに特徴を有する。
【0007】
このような構成によれば、端子金具の底板部に密着するように止水壁体が配され、止水被覆の一端部はこの止水壁体から底板部にわたってその外周を水密的に包囲するから、ワイヤーバレル部と底板部の外形形状が異なっていても、その形状の差異を止水壁体で埋めることができ、止水被覆と底板部との間に隙間が生じるのを防止することができる。また、止水被覆はその内部を視認可能な透光性の材質からなるから、ワイヤーバレル部を包囲するように端子金具を水密的に包囲した後であっても、その内部を確認することができる。
【0008】
前記止水被覆は、外周側に配される止水層と、前記止水層の内周側に積層された接着層と、を有し、前記止水層及び前記接着層は、共に透明であってもよい。このような構成によれば、止水被覆により包囲される止水壁体及び底板部から電線の絶縁被覆部にわたってその外周面に接着層が接着した状態であっても、止水被覆内を外部から視認することができる。これにより、ワイヤーバレル部の圧着状態や止水壁体の有無を止水被覆により包囲した後であっても確認することができるから、ワイヤーバレル部の圧着不良や、止水壁体の有無、あるいは止水壁体の取付不良を検出することができる。このように止水被覆周りの不具合を検出し易い構成とすることで、品質向上を図り、より防水性に優れた端子金具付き電線を提供することができる。
【0009】
前記止水被覆は、外周側に配される止水層と、前記止水層の内周側に積層され溶融することで接着する前記接着層と、を有し、前記止水層は透明をなし、前記接着層は着色されており、前記底板部又は前記止水壁体には前記止水被覆の前記他端部に対応する位置に前記止水被覆に対して凹をなす凹設部が形成され、前記止水被覆が前記ワイヤーバレル部を水密的に包囲した状態で前記凹設部に前記接着層が流れ込んでいるものであってもよい。
【0010】
このような構成によれば、止水被覆が端子金具及び電線に対して水密的に包囲した状態において、接着層が底板部又は止水壁体に形成された凹設部に流れ込んでいるから、止水被覆が少なくとも凹設部において接着しているか否かを容易に見分けることができる。詳しく説明すると、接着層は溶融すると対向する凹設部に流れ込み、接着した状態ではその流れ込んだ分だけ凹設部上の接着層が厚くなる。そして、接着層は着色されており、その外周を覆う止水層は透明であるから、止水被覆周りからは、凹設部の深さ分、凹設部上の接着層が他の接着層よりも着色が濃く視認される。これに対して、接着層が十分に溶融することなく凹設部に接着層が流れ込んでいない場合には、凹設部上の接着層と他の接着層とで外部から視認できる着色の濃さに差は表れない。この差を利用して、接着層の溶融履歴、ひいては凹設部が形成された底板部又は止水壁体に対する止水被覆の接着状態を確認することができる。
【0011】
なお、この凹設部が形成された底板部又は止水壁体に対する止水被覆の接着状態は防水性を確保する上で特に重要である。即ち、せっかく止水壁体により、止水被覆と底板部との間の隙間を埋めることが可能とされていても、止水被覆がこの底板部及び止水壁体に水密的に包囲、つまり密着していなければ、止水壁体を設けることにより期待する防水性が確保できない。よって凹設部とそれに流れ込む接着層により、底板部及び止水壁体に対する接着状態を容易に確認できるようにすることで、品質不良品を排除し、より防水性に優れた端子金具付き電線の提供が可能となる。
【0012】
また、凹設部上の接着層の着色の濃さによって、接着層全体が溶融したか否かを判断する指標ともなる。つまり、自動的に接着層を溶融させる場合などにおいては、凹設部上の接着層が一度溶融していれば、他の部位の接着層も一度は溶融したとみなすことができる。これにより、底板部及び止水壁体に対する止水被覆の接着不良だけでなく、止水被覆の接着層における全体的な溶融不足も検出することができる。これにより、端子金具付き電線の更なる品質向上を図ることができる。
【0013】
前記止水壁体は前記底板部に対して熱溶着される樹脂組成物であって、前記止水被覆は熱収縮チューブからなるものであってもよい。このような構成によれば、いずれも加熱することにより、溶着し又は収縮し、端子金具に対して密着させることができるから、その製造工程を簡素化することができる。また、熱収縮チューブは、加熱前の状態において、その内径を比較的大きく設定することができるから、熱収縮チューブで包囲する上記範囲の端子金具の外周に容易に配置することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、防水性に優れた端子金具付き電線を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1に係る端子金具付き電線の斜視図
【図2】端子金具付き電線の要部切欠側面図
【図3】止水壁体として用いられる樹脂化合物の斜視図
【図4】同断面図
【図5】熱収縮チューブの断面図
【図6】未加熱の熱収縮チューブを電線に挿通させた状態の斜視図
【図7】未加熱の熱収縮チューブを所定の嵌装位置に包囲させた状態の斜視図
【図8】実施形態2に係る端子金具付き電線の斜視図
【図9】同側断面図
【図10】止水壁体として用いられる樹脂化合物の斜視図
【図11】熱収縮チューブの断面図
【図12】未加熱の熱収縮チューブを電線に挿通させた状態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図7によって説明する。
本実施形態の端子金具付き電線10は、図1に示すように、電線11と、この電線11の端末に圧着される端子金具20と、この端子金具20に溶着される止水壁体30と、端子金具20から電線11にかけてその外周から包囲する熱収縮チューブ40(止水被覆に相当する)とから構成されている。以下、図1の左右方向を前後方向として説明する。
【0017】
端子金具20に圧着される電線11は、図1及び図2に示すように、複数本の金属細線を撚り合わせてなる芯線12を合成樹脂製の絶縁層13で被覆したものである。芯線12は、アルミニウム又はアルミニウム合金とされているが、その他にも例えば、銅、銅合金等が適宜選択可能とされている。電線11の先端部分は、絶縁層13が除去されて芯線12が露出した芯線部14とされ、絶縁層13に覆われた部分は絶縁被覆部15とされている。
【0018】
端子金具20は、図1に示すように、所謂雌型をなしており、相手側の雄型端子(図示せず)と接続されるものである。この端子金具20は導電性に優れた銅合金等の金属板を所定形状に打ち抜いて曲げ加工等を施すことにより形成されるものであって、その表面にはスズ、ニッケル等のメッキが施されている。端子金具20は、図1及び図2に示すように、全体として前後方向に細長い形状をなしており、その前側には筒状をなした接続部21、後側には電線11の芯線部14を圧着するワイヤーバレル部22、電線11の絶縁被覆部15を圧着するインシュレーションバレル部23が順に設けられている。接続部21とワイヤーバレル部22との間は、それぞれの底部21A,22Aに連続する底板部24により連結されている。
【0019】
接続部21は、断面方形の筒状をなしており、その内部には相手側の雄型端子が挿入可能とされている。ワイヤーバレル部22は、電線11の芯線部14が載置され、断面U字状をなす底部22Aと、底部22Aの両側縁から立ち上がる一対の圧着片22Bとから構成される。板片状をなした圧着片22Bは、底部22A上の芯線部14を抱きかかえるようにして、その両側から芯線部14をかしめ付けた状態にある。インシュレーションバレル部23は、ワイヤーバレル部22の底部22Aから接続部21とは逆の軸方向に延出し、電線11の絶縁被覆部15を載置する底部23Aと、底部23Aの両側縁から立ち上がる一対の圧着片23Bとから構成される。この圧着片23Bはワイヤーバレル部22の圧着片22Bよりも幅の狭い板片状をなしており、底部23A上の絶縁被覆部15を抱きかかえるようにしてその両側から絶縁被覆部15をかしめ付けた状態にある。
【0020】
接続部21の底部21A及びワイヤーバレル部22の底部22Aに連続する底板部24は、断面U字状をなし、その上方を開放した態様をなしている。この底板部24のうち、芯線部14に近接する位置には、止水壁体30がその内周面に密着した状態で配されている。
【0021】
止水壁体30は、図3に示すように、略円柱状をなす樹脂化合物からなり、外形形状は、少なくとも底板部24の内周面に沿った形状を有している。止水壁体30は、図4に示すように、断面円形をなす芯材31と、芯材31の外周面を覆う接着層32とから構成され、芯材31は、融点が170℃程度の樹脂材料からなり、接着層32は、融点が120℃程度の樹脂材料(接着性可塑性樹脂)からなる。止水壁体30は、もととなる樹脂化合物を二層押出成形等によって断面円形の棒状に成形し、これを所定長さに切り分けることにより得ることができる。この止水壁体30は、詳しくは後述するが、底板部24に嵌め込んだ(圧入した)状態で加熱処理を行うと、接着層32のみが溶融して変形し、底板部24の内周面に溶着する。これにより、止水壁体30は底板部24に対して隙間なく密着して配されることとなり、接続部21からワイヤーバレル部22に連なる底板部24を遮断する壁として機能する。
【0022】
さて、止水壁体30が溶着された底板部24から電線11の絶縁被覆部15にかけてその外周を水密的に包囲する熱収縮チューブ40は、筒状をなし、加熱処理によって収縮し、且つ水分を通さない防水性の樹脂材料からなる。より詳細には、熱収縮チューブ40は、図5に示すように、外周側の止水層41と、止水層41の内周側に積層される接着層42の二層構造をなしている。材質としては、止水層41は電子線架橋軟質ポリオレフィン樹脂、接着層42は熱溶融性接着剤が一例として挙げられる。色は、いずれも内部を視認可能な透明色であって、透光性を有する。このため、この熱収縮チューブ40が端子金具20及び電線11を水密的に包囲した状態で、その内部、つまりワイヤーバレル部22及びインシュレーションバレル部23のかしめ付け状態や、止水壁体30の溶着状態を視認することができる。
【0023】
この熱収縮チューブ40は、図1及び図2に示すように、底板部24から、電線11の絶縁被覆部15までを包囲するように被せ付けられている。詳しく説明すると、熱収縮チューブ40の前端部43(他端部に相当する)は、止水壁体30が溶着した位置よりも接続部21側に位置し、後端部44(一端部に相当する)は、インシュレーションバレル部23に対してワイヤーバレル部22とは反対側の絶縁被覆部15上に配されている。この前端部41と後端部42の間に位置する、止水壁体30及びワイヤーバレル部22はその全周を熱収縮チューブ40に覆われた状態にあり、特に、熱収縮チューブ40の前端部43及び後端部44においてその内周の接着層42が対応する底板部24及び止水壁体30、又は電線11の絶縁被覆部15に隙間なく密着することで、芯線部14の防水が図られている。
【0024】
次に、本実施形態の端子金具付き電線10の製造方法及び作用について説明する。まず、金属板から端子金具20の原板を打ち抜き(プレス成形し)、曲げ加工、切り起こし加工等を施す。次に、止水壁体30を構成する樹脂化合物を端子金具20の底板部24上の所定の位置に圧入し(嵌め込み)、第1の加熱処理工程を行う。この第1の加熱処理工程により、止水壁体30の芯材31よりも低融点材料から構成される接着層32のみが溶融し、底板部24の内周面に隙間なく熱溶着する。
【0025】
続いて、圧着工程にて電線11を圧着する。具体的には、端子金具20のワイヤーバレル部22に電線11の芯線部14が、インシュレーションバレル部23に電線11の絶縁被覆部15が位置するように、それぞれ底部22A,23A上に載置し、図示しない圧着機及び圧着治具等によりそれぞれの圧着片22B,23Bを、芯線部14及び絶縁被覆部15に対して圧着する。
【0026】
電線11を端子金具20に圧着後、熱収縮チューブ40を挿通させる。熱収縮チューブ40は、図6に示すように、電線11側から挿通させてもよいし、端子金具20の接続部21側から挿通させてもよい。電線11側から挿通させる場合には、その電線11の長さにもよるが、圧着工程前に挿通させておくことが望ましい。未加熱状態の熱収縮チューブ40は、図6に示すように、その内径が電線11と端子金具20の接続部分(ワイヤーバレル部22等)の外径よりも大きく設定されている。このため、図7に示す所定の位置にまで熱収縮チューブ40を挿通させることは容易なものとされている。
【0027】
熱収縮チューブ40はその前端部43が止水壁体30を超えて接続部21側に配されるように位置決めした状態で、第2の加熱処理工程を行う。この第2の加熱処理工程において、加熱されることにより、熱収縮チューブ40は熱収縮し、接着層42は接着性を発揮し、端子金具20及び電線11の包囲した部分の外周に隙間なく接着することで、図1及び図2に示す端子金具付き電線10を製造することができる。
【0028】
なお、出荷前の品質検査工程においては、熱収縮チューブ40が透明であるから、その内部を視認でき、目視検査により、止水壁体30の有無、溶着不良、向きが異なる等の取付不良を検出し、あるいはワイヤーバレル部22及びインシュレーションバレル部23の圧着状態を確認して、品質不良品を排除する。これにより、電線11の圧着状態が良好なもの、及び止水壁体30の溶着状態が良好なもののみを完成品として提供することができる。
【0029】
以上の製造方法によって製造された端子金具付き電線10は、止水壁体30から電線11の絶縁被覆部15にかけて、特に芯線部14(ワイヤーバレル部22)の防水が確保されている。熱収縮チューブ40はその内部を視認可能であるから、上述したように、その内部の状態を熱収縮チューブ40が収縮・接着した完成品の状態であっても、確認することができる。なお、止水壁体30は底板部24に対して隙間なく水密に密着しており、止水壁体30は接続部21からその底部21Aを伝って浸入しようとする水等の液体を遮断する壁として機能する。この止水壁体30が正規位置・向きに溶着されることを透明の熱収縮チューブ40を介して確認することで、より防水性に優れた端子金具付き電線10を提供することが可能となる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、底板部24に密着した止水壁体30と、その外周を包囲する熱収縮チューブ40によって、ワイヤーバレル部22と底板部24の外形形状が異なっていてもその形状の差異を埋めることができ、熱収縮チューブ40と底板部24との間に隙間が生じるのを防止することができる。また、熱収縮チューブ40は透光性の透明色からなるから、当該熱収縮チューブ40を電線11及び端子金具20に対して、水密に包囲した後(熱収縮・接着させた後)であっても、その内部を視認することができる。よって、止水壁体30の有無、溶着状態を確認することで、品質不良品を排除し、提供する端子金具付き電線10の防水性の向上を図ることが可能となる。
【0031】
また、止水壁体30だけでなく、電線11に対する端子金具20の圧着状態、具体的にはワイヤーバレル部22とインシュレーションバレル部23のかしめ付け状態を熱収縮チューブ40の外周から確認することが可能であるから、目視検査にて圧着不良を排除し、電線11と端子金具20間の接続信頼性を確保することも可能となる。
【0032】
また、止水壁体30も熱収縮チューブ40も、いずれも加熱処理により溶着し又は収縮し、端子金具20の所定の位置に対して密着させることができるから、製造工程を簡素化することができる。また、熱収縮チューブ40は、加熱処理前において、その内径を電線11と端子金具20の接続部分(ワイヤーバレル部22等)の外径よりも大きく設定することができる。これにより、熱収縮チューブ40を端子金具20及び電線11に挿通させる際に、その作業を容易なものとすることができる。
【0033】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図8ないし図12によって説明する。
本実施形態は、実施形態1とは、止水壁体70及び底板部53に凹設部53A,71が形成され、その外周を包囲する熱収縮チューブ80の接着層82が着色されているところが相違する。他の構成については、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0034】
端子金具付き電線50は、図8及び図9に示すように、前側から端子金具51の接続部52、底板部53、ワイヤーバレル部54、インシュレーションバレル部55、ワイヤーバレル部54に圧着される電線60の芯線部61、インシュレーションバレル部55に圧着される電線60の絶縁被覆部62とされ、底板部52には止水壁体70が溶着、固定されている。また、止水壁体70から電線60の絶縁被覆部62にかけては熱収縮チューブ80がその外周を水密に包囲している。
【0035】
底板部53のうち、止水壁体70が溶着された部位の外周面には、後述する止水壁体70の凹設部71に一致する凹設部53Aが形成されている。この凹設部53Aは、図9及び図12に示すように、周方向に延びる直線状の溝であって、両端部は溶着された止水壁体70の凹設部71に連続するように配される。止水壁体70は、実施形態1と同様に、略円柱状をなす樹脂化合物からなり、図示はしないが、芯材と芯材の外周面を覆う接着層とから構成されている。止水壁体70の周面には、図10に示すように、その周方向に沿って延びる溝状の凹設部71が形成されている。
【0036】
熱収縮チューブ80は、実施形態1と同様に、防水性の止水層81と接着性を有する接着層82の二層構造をなしている(図11参照)。材質は、止水層81としては、電子線架橋軟質ポリオレフィン樹脂、接着層82としては、熱溶融性接着剤等が用いられている。いずれも透光性を有し、止水層81は透明色、接着層82は各種染料にて着色がなされている。色としては、例えば、黒、茶、赤、橙、黄、緑、青、紫、灰、白が挙げられる。
【0037】
この端子金具付き電線50を製造するには、実施形態1と同様に、端子金具51を成形し、電線60を圧着後、熱収縮チューブ80を挿通させる(図12に参照)。熱収縮チューブ80は、底板部53に溶着した止水壁体70の全体を覆うようにして、位置決めしたのち、第2の加熱処理工程を行う。すると、熱収縮チューブ80はその全体が熱収縮すると共に、接着層82が熱溶融し、溶融した接着層82は、その接する電線60及び端子金具51周りに隙間なく密着し、底板部53の凹設部53A及び、止水壁体70の凹設部71に流れ込む。その後、接着層82は固化することで熱収縮チューブ80は、止水壁体70から電線60の絶縁被覆部62にわたるワイヤーバレル部54周囲を水密的に包囲し、図8及び図9に示す端子金具付き電線50を得ることができる。
【0038】
この端子金具付き電線50は、止水層81が透明であるから、接着層82及び接着層82が密着した熱収縮チューブ80の内部を視認することができる。ここで、凹設部53A、71には、接着層82が流れ込んだ状態にあるから、凹設部53A、71上の接着層82はその他の接着層82よりもその厚さが厚くなる。よって、図8に示すように、凹設部53A、71上の接着層82はその他の接着層82よりも着色が濃くなり、周方向に延びるライン83となって視認される。なお、接着層82が溶融していない場合には、このライン83が表れない。また、凹設部53A、71が形成された底板部53、止水壁体70に対して接着層82が十分に密着していない場合には、ライン83は断片状となる。よって、品質検査工程等において、このライン83の有無、ライン83自体の浮き出し状態により、熱収縮チューブ80の密着状態、つまりは熱収縮チューブ80による端子金具51及び電線60の防水状態を確認することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、熱収縮チューブ80が端子金具51及び電線60に対して水密的に包囲した状態において、接着層82が底板部53又は止水壁体70に形成された凹設部53A、71に流れ込んでいるから、熱収縮チューブ80が少なくとも凹設部53A、71において接着しているか否かを容易に見分けることができる。詳しく説明すると、接着層82は溶融すると対向する凹設部53A、71に流れ込み、接着した状態ではその流れ込んだ分だけ凹設部53A、71上の接着層82が厚くなる。そして、接着層82は着色されており、その外周を覆う止水層81は透明であるから、熱収縮チューブ80周りからは、凹設部53A、71の深さ分、凹設部3A、71上の接着層82が他の接着層82よりも着色が濃く、ライン83となって視認される。これに対して、接着層82が溶融せず、凹設部53A、71に接着層82が流れ込んでいない場合には、ライン83は表れず、凹設部53A、71上の接着層82と他の接着層82とで外部から視認できる着色の濃さに差は表れない。この差を利用して、凹設部53A、71が形成された底板部53又は止水壁体70に対する熱収縮チューブ80の接着状態を確認することができる。
【0040】
なお、この凹設部53A、71が形成された底板部53又は止水壁体70に対する熱収縮チューブ80の接着状態は防水性を確保する上で特に重要である。即ち、せっかく止水壁体70により、熱収縮チューブ80と底板部53との間の隙間を埋めることが可能とされていても、熱収縮チューブ80がこの底板部53及び止水壁体70に水密的に包囲、つまり密着していなければ、止水壁体70を設けることにより期待する防水性が確保できない。よって凹設部53A、71とそれに流れ込む接着層82により、底板部53及び止水壁体70に対する接着状態を容易に確認できるようにすることで、品質不良品を排除し、より防水性に優れた端子金具付き電線50の提供が可能となる。
【0041】
また、凹設部53A、71上の接着層82の着色の濃さ、つまりライン83の表れ具合によって、接着層82全体が溶融したか否かを判断する指標ともなる。つまり、自動的に接着層82を溶融させる場合などにおいては、凹設部53A、71上の接着層82が一度溶融していれば、他の部位の接着層82も一度は溶融したとみなすことができる。これにより、底板部53及び止水壁体70に対する熱収縮チューブ80の接着不良だけでなく、熱収縮チューブ80の接着層82における全体的な溶融不足も検出することができる。よって、端子金具付き電線50の更なる品質向上を図ることができる。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0043】
(1)上記した各実施形態では、熱収縮チューブ40、80は止水層41、81と接着層42、82との2層構造とされていたが、これに限られず、接着層又は粘着層が形成されていない1層構造のものであってもよい。また、熱収縮チューブ40、80に限らず、ゴムチューブ等の筒状部材であってもよい。
【0044】
(2)上記した各実施形態では、止水壁体30、70は底板部24、53に対して嵌め込んだ(圧入した)後、第1の加熱処理工程により熱溶着されていたが、これに限られず、例えば、止水壁体をインサートモールド成形により底板部に保持させるものであってもよい。
【0045】
(3)上記した各実施形態では、止水壁体30、70として芯材31と接着層32からなるものを用いていたが、これに限られず、例えば、対金属良接着性エラストマー(商品名:ペルプレン(登録商標)、東洋紡績株式会社)を用いてもよい。この樹脂化合物は、融点が異なる2種類以上の樹脂材料が混合されたものであり、一方の融点を超える(他方の融点は超えない)温度で加熱処理すると、一方の樹脂材料がその表面から溶融して滲み出し、底板部に対する接着剤として機能するものである。
【0046】
(4)上記した各実施形態では、端子金具20、51は所謂雌型のものを例示したが、これに限られず、雄型のものであってもよいし、丸型端子(所謂、LA端子)であってもよい。
【0047】
(5)上記した各実施形態では、端子金具20、51はインシュレーションバレル部23、55を備えていたが、これに限られず、インシュレーションバレル部を備えない構成であってもよい。
【0048】
(6)上記した各実施形態では、止水壁体30、70は円柱状であったが、これに限られず、底板部の形状に合わせて、適宜変更可能である。例えば、断面が楕円形状や長円状、方形状であってもよい。
【0049】
(7)上記した各実施形態では、止水壁体30、70を底板部24、53に熱溶着させるための第1の加熱処理工程と、熱収縮チューブ40、80を熱収縮させる第2の加熱処理工程と、2段階の加熱処理工程が設けられていたが、これに限られず、例えば一度の加熱処理工程により止水壁体の溶着と熱収縮チューブの収縮を行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…端子金具付き電線
11…電線
12…芯線部
15…絶縁被覆部
20…端子金具
21…接続部
22…ワイヤーバレル部
23…インシュレーションバレル部
24…底板部
30…止水壁体
40…熱収縮チューブ(止水被覆)
41…止水層
42…接着層
43…前端部(他端部)
44…後端部(一端部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端を露出させて芯線を絶縁層により被覆した絶縁被覆部を有する電線と、
前記芯線を圧着するワイヤーバレル部と、相手側に接続される接続部と、前記ワイヤーバレル部と前記接続部との間を繋ぐ底板部とを有する端子金具と、
前記端子金具の前記底板部に密着するように配置された止水壁体と、
チューブ状をなして前記ワイヤーバレル部を包囲するように前記端子金具に嵌装され、その一端部が前記電線の前記絶縁被覆部の先端部を水密的に包囲し、他端部が前記止水壁体から前記底板部にわたってその外周を水密的に包囲する止水被覆と、を備え、
前記止水被覆は、内部を視認可能な透光性の材質からなることを特徴とする端子金具付き電線。
【請求項2】
前記止水被覆は、外周側に配される止水層と、前記止水層の内周側に積層された接着層と、を有し、前記止水層及び前記接着層は、共に透明であることを特徴とする請求項1に記載の端子金具付き電線。
【請求項3】
前記止水被覆は、外周側に配される止水層と、前記止水層の内周側に積層され溶融することで接着する前記接着層と、を有し、前記止水層は透明をなし、前記接着層は着色されており、前記底板部又は前記止水壁体には前記止水被覆の前記他端部に対応する位置に前記止水被覆に対して凹をなす凹設部が形成され、前記止水被覆が前記ワイヤーバレル部を水密的に包囲した状態で前記凹設部に前記接着層が流れ込んでいることを特徴とする請求項1に記載の端子金具付き電線。
【請求項4】
前記止水壁体は前記底板部に対して熱溶着される樹脂組成物であって、前記止水被覆は熱収縮チューブからなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【請求項1】
先端を露出させて芯線を絶縁層により被覆した絶縁被覆部を有する電線と、
前記芯線を圧着するワイヤーバレル部と、相手側に接続される接続部と、前記ワイヤーバレル部と前記接続部との間を繋ぐ底板部とを有する端子金具と、
前記端子金具の前記底板部に密着するように配置された止水壁体と、
チューブ状をなして前記ワイヤーバレル部を包囲するように前記端子金具に嵌装され、その一端部が前記電線の前記絶縁被覆部の先端部を水密的に包囲し、他端部が前記止水壁体から前記底板部にわたってその外周を水密的に包囲する止水被覆と、を備え、
前記止水被覆は、内部を視認可能な透光性の材質からなることを特徴とする端子金具付き電線。
【請求項2】
前記止水被覆は、外周側に配される止水層と、前記止水層の内周側に積層された接着層と、を有し、前記止水層及び前記接着層は、共に透明であることを特徴とする請求項1に記載の端子金具付き電線。
【請求項3】
前記止水被覆は、外周側に配される止水層と、前記止水層の内周側に積層され溶融することで接着する前記接着層と、を有し、前記止水層は透明をなし、前記接着層は着色されており、前記底板部又は前記止水壁体には前記止水被覆の前記他端部に対応する位置に前記止水被覆に対して凹をなす凹設部が形成され、前記止水被覆が前記ワイヤーバレル部を水密的に包囲した状態で前記凹設部に前記接着層が流れ込んでいることを特徴とする請求項1に記載の端子金具付き電線。
【請求項4】
前記止水壁体は前記底板部に対して熱溶着される樹脂組成物であって、前記止水被覆は熱収縮チューブからなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−185984(P2012−185984A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47803(P2011−47803)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]