端末装置、それと無線通信を行う無線装置、およびそれらを備えた無線通信システム
【課題】ウェイクアップ信号の誤検知を抑制可能な端末装置を提供する。
【解決手段】ウェイクアップ信号送信機12は、無線LANカード13からのアクセスポイントをウェイクアップさせるための指示信号Wupに応じて、アクセスポイントの識別情報をマンチェスター符号化してウェイクアップ信号WKを生成する。そして、ウェイクアップ信号送信機12は、チャネル上でキャリアセンスを行い、チャネルがアイドル状態である場合、ウェイクアップ信号WKのオフ期間が無線通信方式においてチャネルのアイドル状態を判断するための最短時間PIFSよりも短くなる伝送レートでウェイクアップ信号WKを送信する。
【解決手段】ウェイクアップ信号送信機12は、無線LANカード13からのアクセスポイントをウェイクアップさせるための指示信号Wupに応じて、アクセスポイントの識別情報をマンチェスター符号化してウェイクアップ信号WKを生成する。そして、ウェイクアップ信号送信機12は、チャネル上でキャリアセンスを行い、チャネルがアイドル状態である場合、ウェイクアップ信号WKのオフ期間が無線通信方式においてチャネルのアイドル状態を判断するための最短時間PIFSよりも短くなる伝送レートでウェイクアップ信号WKを送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、端末装置、それと無線通信を行う無線装置、およびそれらを備えた無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)は、家庭やオフィスなどで広く使われている。無線LANが普及するとともに、多くのアクセスポイント(AP)が設置されるが、これらのAPは、たとえ、通信データが発生しなくても、通常、電源がオンされたままで使用される。
【0003】
このような、“つけっぱなし”になっているAPが過半数の時間で使用されていないため、電力は、無駄に消費される。
【0004】
センサーネットワークでは、ウェイクアップ受信機を用いて通信が必要となっているときだけ、データの送信先をウェイクアップする手法が検討されている。
【0005】
非特許文献1では、無線LANカードよりも低い電力を消費する802.15.4sensor motesを用いて同じ周波数である無線LANチャネルを観測し、送信元からの電波を検知すると、自端末の無線LANカードをウェイクアップする手法が提案されている。
【0006】
また、特許文献1,2および非特許文献2では、より低い電力を消費するウェイクアップ受信機を用いて無線LANカードをウェイクアップする手法が提案されている。
【0007】
更に、特許文献1,2および非特許文献2では、ウェイクアップ信号の周波数が無線LANの周波数と異なるので、2つのアンテナが必要である。
【0008】
更に、特許文献3では、ISM bandでのFCC規制(帯域規制)を満足するように、信号の包絡線を変更せずに周波数拡散を行なう周波数拡散手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2007−526655号公報
【特許文献2】国際公開第04/100503号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0253468号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Nilesh Mishra, Kameswari Chebrolu, Bhaskaran Raman, Abhinav Pathak, Wakeon WLAN, WWW 2006.
【非特許文献2】石田繁己、鈴木誠、森戸貴、森川博之,低受信待機電力無線通信のための多段ウェイクアップ機構,IEICE technical report, information networks 107(525), 355-360, 2008-02-28.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、無線LANによる信号とウェイクアップ信号とを1つのアンテナで送信する場合、ウェイクアップ信号の誤検知をどのように抑制するかが大きな問題となる。
【0012】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制可能な端末装置を提供することである。
【0013】
また、この発明の別の目的は、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制可能な無線装置を提供することである。
【0014】
更に、この発明の別の目的は、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制可能な端末装置および無線装置を備える無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明の実施の形態によれば、端末装置は、アンテナと、演算手段と、信号生成手段と、送信手段とを備える。アンテナは、無線通信信号を送受信するために用いられる。演算手段は、無線通信の要求に応じて、ウェイクアップさせる無線装置の識別情報をマンチェスター符号化する。信号生成手段は、マンチェスター符号化された識別情報を用いてオン/オフ制御信号を生成し、その生成したオン/オフ制御信号を無線通信に用いる周波数を有するキャリア信号に乗算してウェイクアップ信号を生成する。送信手段は、無線通信に用いる周波数からなるチャネル上でキャリアセンスを行い、チャネルがアイドル状態である場合、ウェイクアップ信号をアンテナを用いて送信する。そして、送信手段は、オン/オフ制御信号におけるオフ期間に対応するウェイクアップ信号のオフ期間がチャネルのアイドル状態を判断するための最短時間よりも短くなる伝送レートでウェイクアップ信号を送信する。
【0016】
また、この発明の実施の形態によれば、無線装置は、アンテナと、無線通信手段と、受信手段と、識別手段と、判定手段とを備える。アンテナは、無線通信信号を送受信するために用いられる。無線通信手段は、アンテナを用いて無線通信信号を端末装置と送受信するとともに、一定期間、端末装置と無線通信が行われないときスリープ状態へ移行する。受信手段は、無線通信信号の送受信に用いる周波数を有するチャネル上でアンテナを介して電波を受信する。識別手段は、受信手段によって受信された受信電波が無線通信信号および当該無線装置を識別するための第1の識別情報をマンチェスター符号化して生成されたウェイクアップ信号のいずれであるかを識別する。判定手段は、受信電波がウェイクアップ信号である場合、受信電波を復号して得られた第2の識別情報が第1の識別情報に一致するか否かを判定し、第2の識別情報が第1の識別情報に一致するとき、スリープ状態へ移行した無線通信手段を起動する。
【0017】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線通信システムは、端末装置と、無線装置とを備える。無線装置は、端末装置と無線通信を行う。端末装置は、請求項1または請求項2に記載の端末装置からなり、無線装置は、請求項3から請求項9のいずれか1項に記載の無線装置からなる。
【発明の効果】
【0018】
この発明の実施の形態による端末装置においては、無線通信の要求に応じて、ウェイクアップさせる無線装置の識別情報をマンチェスター符号化し、マンチェスター符号化された識別情報を用いて生成されたオン/オフ制御信号にキャリア信号を乗算してウェイクアップ信号が生成される。そして、ウェイクアップ信号は、チャネルがアイドル状態である場合、ウェイクアップ信号のオフ期間がチャネルのアイドル状態を判断するための最短時間よりも短くなる伝送レートで送信される。その結果、ウェイクアップ信号のオフ期間は、最長でも、オン/オフ制御信号において2個の“0”が連続する期間になり、ウェイクアップ信号の送信途中において、ウェイクアップ信号以外の信号が送信されることはなく、ウェイクアップ信号は、ウェイクアップさせる無線装置へ正確に伝送される。また、ウェイクアップされる無線装置は、ウェイクアップ信号からなる電波を正確に受信し、端末装置から送信されたウェイクアップ信号を検知する。
【0019】
従って、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制できる。
【0020】
また、この発明の実施の形態による無線装置は、受信電波に基づいてウェイクアップ信号と無線LANによる信号とを識別し、受信電波がウェイクアップ信号からなると識別した場合にウェイクアップ信号を検知する。
【0021】
従って、無線装置において、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制できる。
【0022】
更に、この発明の実施の形態による無線通信システムは、上述した端末装置と無線装置とを備える。その結果、ウェイクアップ信号は、他の無線LANによる信号と同時に送信されることはなく、ウェイクアップさせる無線装置へ正確に伝送される。また、ウェイクアップされる無線装置は、ウェイクアップ信号からなる電波を正確に受信し、端末装置から送信されたウェイクアップ信号を検知する。
【0023】
従って、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。
【図2】図1に示す端末装置の構成図である。
【図3】図2に示すウェイクアップ信号送信機の構成図である。
【図4】図1に示すアクセスポイントの構成図である。
【図5】図4に示すウェイクアップ信号受信機の構成図である。
【図6】ウェイクアップ信号を生成する方法を説明するための概念図である。
【図7】受信電波の包絡線の概念図である。
【図8】ウェイクアップ信号と無線LANによる信号との概念図である。
【図9】図1に示す無線通信システムにおける動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図4に示すウェイクアップ信号受信機の他の構成図である。
【図11】図1に示す無線通信システムの動作を説明するための他のフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態による他の無線通信システムの概略図である。
【図13】図12に示すアクセスポイントの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0026】
図1は、この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による無線通信システム100は、端末装置10と、無線装置であるアクセスポイント20とを備える。
【0027】
端末装置10は、無線LANの通信方式に従ってアクセスポイント20と無線通信を行う。そして、端末装置10は、アクセスポイント20からビーコンフレームを受信しないとき、アクセスポイント20がスリープ状態であると判定する。その後、端末装置10は、無線通信を開始する場合、後述する方法によってウェイクアップ信号をアクセスポイント20へ送信し、アクセスポイント20を起動する。
【0028】
アクセスポイント20は、有線ケーブル40によってネットワーク30に接続される。そして、アクセスポイント20は、端末装置10とネットワーク30との間で通信を中継する。より具体的には、アクセスポイント20は、端末装置10から通信データを受信し、その受信した通信データを有線ケーブル40を介してネットワーク30へ送信する。また、アクセスポイント20は、有線ケーブル40を介してネットワーク30から通信データを受信し、その受信した通信データを無線通信によって端末装置10へ送信する。
【0029】
アクセスポイント20は、一定期間、端末装置10からパケットを受信しないとき、スリープ状態へ移行する。そして、アクセスポイント20は、スリープ状態において端末装置10から電波を受信すると、後述する方法によって、その受信電波がウェイクアップ信号であるか無線LANによる信号であるかを識別し、受信電波がウェイクアップ信号であり、ウェイクアップ信号に含まれる識別情報が自己の識別情報と一致するとき、スリープ状態から起動状態へ移行する。その後、アクセスポイント20は、端末装置10とネットワーク30との間で通信を中継する。
【0030】
図2は、図1に示す端末装置10の構成図である。図2を参照して、端末装置10は、アンテナ11と、ウェイクアップ信号送信機12と、無線LANカード13と、CPU(Central Processing Unit)/表示部14と、電源15とを備える。
【0031】
ウェイクアップ信号送信機12および無線LANカード13は、アンテナ11に接続される。
【0032】
ウェイクアップ信号送信機12は、電源15から供給される電力によって駆動される。ウェイクアップ信号送信機12は、アクセスポイント20をウェイクアップさせるための指示信号Wupを無線LANカード13から受けると、後述する方法によって、無線LANによる信号の周波数(=2.4GHz帯の周波数)と同じ周波数を有するウェイクアップ信号WKを生成し、その生成したウェイクアップ信号WKをアンテナ11を介してアクセスポイント20へ送信する。
【0033】
無線LANカード13は、電源15から供給される電力によって駆動される。無線LANカード13は、アクセスポイント20からビーコンフレームを定期的に受信する。そして、無線LANカード13は、ビーコンフレームに含まれる各種の情報に基づいてアクセスポイント20との間で無線通信経路を確立し、アンテナ11を介してアクセスポイント20と無線通信を行う。より具体的には、無線LANカード13は、アクセスポイント20から端末装置10宛てのパケットを受信し、その受信したパケットをCPU/表示部14へ出力する。また、無線LANカード13は、アクセスポイント20宛てのパケットをCPU/表示部14から受け、その受けたパケットをアンテナ11を介してアクセスポイント20へ送信する。
【0034】
また、無線LANカード13は、アクセスポイント20からビーコンフレームを受信しないとき、アクセスポイント20がスリープ状態であると判定する。その後、無線LANカード13は、アクセスポイント20と無線通信を開始するとき、アクセスポイント20をウェイクアップさせるための指示信号Wupを生成してウェイクアップ信号送信機12へ出力する。
【0035】
CPU/表示部14は、電源15から供給された電力によって駆動される。CPU/表示部14は、無線LANカード13からパケットを受け、その受けたパケットの種類に応じて、パケットの内容を視覚情報として端末装置10のユーザに与える。
【0036】
また、CPU/表示部14は、アクセスポイント20宛てのパケットを生成し、その生成したパケットを無線LANカード13へ出力する。
【0037】
図3は、図2に示すウェイクアップ信号送信機12の構成図である。図3を参照して、ウェイクアップ信号送信機12は、ID生成手段121と、演算手段122と、オン/オフ制御手段123と、周波数拡散手段124と、乗算器125と、増幅手段126と、送信手段127とを備える。
【0038】
ID生成手段121は、無線LANカード13から指示信号Wupを受けると、例えば、アクセスポイント20のMAC(Media Access Control)アドレスのハッシュ値を演算し、アクセスポイント20の識別情報ID20を生成する。そして、ID生成手段121は、その生成した識別情報ID20を演算手段122へ出力する。
【0039】
演算手段122は、ID生成手段121から受けた識別情報ID20をマンチェスター符号化し、そのマンチェスター符号化した識別情報ID20をオン/オフ制御手段123へ出力する。
【0040】
オン/オフ制御手段123は、マンチェスター符号化された識別情報ID20に基づいて、オン/オフ制御信号を生成し、その生成したオン/オフ制御信号を乗算器125へ出力する。
【0041】
周波数拡散手段124は、後述する方法によって、無線LANによる信号の送受信に用いる周波数帯において周波数を拡散してキャリア信号を生成し、その生成したキャリア信号を乗算器125へ出力する。
【0042】
乗算器125は、オン/オフ制御手段123から受けたオン/オフ制御信号と周波数拡散手段124から受けたキャリア信号とを乗算してウェイクアップ信号WKを生成し、その生成したウェイクアップ信号WKを増幅手段126へ出力する。
【0043】
増幅手段126は、ウェイクアップ信号WKを増幅して送信手段127へ出力する。送信手段127は、ウェイクアップ信号WKを送信するためのチャネル上でキャリアセンスを行い、チャネルから受けたエネルギーが閾値RSSI_th以下である場合、チャネルがアイドル状態であると判定し、ウェイクアップ信号WKをアンテナ11を介してアクセスポイント20へ送信する。なお、閾値RSSI_thは、例えば、−90dBmに設定される。
【0044】
このように、端末装置10は、1つのアンテナ11を用いて、無線LANによる信号を送受信するとともに、無線LANによる信号と同じ周波数を有するウェイクアップ信号WKを送信する。
【0045】
図4は、図1に示すアクセスポイント20の構成図である。図4を参照して、アクセスポイント20は、アンテナ21と、無線LANカード22と、CPU23と、ネットワーク接続カード24と、電源25,26と、ウェイクアップ信号受信機27とを含む。
【0046】
無線LANカード22およびウェイクアップ信号受信機27は、アンテナ21に接続される。
【0047】
無線LANカード22は、電源25から電力を供給されると、起動する。そして、無線LANカード22は、ビーコンフレームを定期的に送信する。無線LANカード22は、端末装置10との間で無線通信経路が確立されると、アンテナ21を介して無線通信によって端末装置10からパケットを受信し、その受信したパケットをCPU23へ出力する。また、無線LANカード22は、CPU23からパケットを受け、その受けたパケットをアンテナ21を介して無線通信によって端末装置10へ送信する。
【0048】
更に、無線LANカード22は、一定期間、端末装置10からパケットを受信しないとき、電源25からの電力が停止されることによってスリープ状態へ移行する。そして、無線LANカード22は、スリープ状態へ移行した後、電源25から電力を供給されると、起動し、アンテナ21を介して端末装置10との間で無線通信を行う。
【0049】
CPU23は、電源25から電力を供給されると、起動する。そして、CPU23は、無線LANカード22からパケットを受け、その受けたパケットをネットワーク接続カード24へ出力する。また、CPU23は、ネットワーク接続カード24からパケットを受け、その受けたパケットを無線LANカード22へ出力する。
【0050】
更に、CPU23は、一定期間、無線LANカード22を介して端末装置10からパケットを受けないとき、電力の供給を停止するための指示信号POFFを生成して電源25へ出力する。そして、CPU23は、電源25から電力を供給されなくなると、スリープ状態へ移行する。その後、CPU23は、電源25から電力を供給されると、起動し、上述したパケットの中継を無線LANカード22と、ネットワーク接続カード24との間で行う。
【0051】
ネットワーク接続カード24は、電源25から電力を供給されると、起動する。そして、ネットワーク接続カード24は、CPU23から受けたパケットを有線ケーブル40を介してネットワーク30へ送信する。また、ネットワーク接続カード24は、有線ケーブル40を介してネットワーク30からパケットを受信し、その受信したパケットをCPU23へ出力する。
【0052】
更に、ネットワーク接続カード24は、電源25から電力を供給されなくなると、スリープ状態へ移行する。その後、ネットワーク接続カード24は、電源25から電力を供給されると、起動する。
【0053】
電源25は、無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24に電力を供給する。そして、電源25は、CPU23から指示信号POFFを受けると、無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24への電力の供給を停止する。その後、電源25は、ウェイクアップ信号受信機27からウェイクアップ指示信号Wu_comdを受けると、電力を無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24に供給する。
【0054】
電源26は、ウェイクアップ信号受信機27に電力を供給する。ウェイクアップ信号受信機27は、アンテナ21を介して電波を受信し、その受信した受信電波がウェイクアップ信号WKであるか無線LANによる信号であるかを後述する方法によって識別する。
【0055】
そして、ウェイクアップ信号受信機27は、受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別したとき、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致するか否かを判定する。
【0056】
ウェイクアップ信号受信機27は、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致すると判定したとき、ウェイクアップ指示信号Wu_comdを生成して電源25へ出力する。
【0057】
このように、アクセスポイント20は、1つのアンテナ21を用いて、無線LANによる信号を送受信するとともに、無線LANによる信号と同じ周波数を有するウェイクアップ信号WKを受信する。
【0058】
なお、この発明の実施の形態においては、「スリープ状態」とは、無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24が電源25から電力を供給されていない状態であり、ウェイクアップ信号受信機27が電源26から電力を供給されている状態である。即ち、「スリープ状態」とは、無線LANカード22が端末装置10との間で無線通信を行うことができず、ネットワーク接続カード24がネットワーク30と通信できないが、ウェイクアップ信号受信機27が端末装置10からウェイクアップ信号WKを受信できる状態を言う。
【0059】
図5は、図4に示すウェイクアップ信号受信機27の構成図である。図5を参照して、ウェイクアップ信号受信機27は、BPF(Band Pass Filter)271と、包絡線検波手段272と、タイミング設定手段273と、A/D変換器274と、識別手段275と、判定手段276とを含む。
【0060】
BPF271は、アンテナ21を介して電波を受信し、その受信した受信電波からウェイクアップ信号WKの周波数を有する信号を抽出する。そして、BPF271は、その抽出した信号を包絡線検波手段272へ出力する。
【0061】
包絡線検波手段272は、BPF271から受けた信号の包絡線を検波し、包絡線からなる信号(以下、「包絡線信号EVL」と言う)をタイミング設定手段273へ出力する。
【0062】
タイミング設定手段273は、包絡線信号EVLを包絡線検波手段272から受け、その受けた包絡線信号EVLに基づいて、包絡線信号EVLをサンプリングするサンプリングタイミングを設定し、そのサンプリングタイミングを設定した包絡線信号EVLをA/D変換器274へ出力する。
【0063】
A/D変換器274は、サンプリングタイミングが設定された包絡線信号EVLをタイミング設定手段273から受け、その受けた包絡線信号EVLに設定されたサンプリングタイミングで包絡線信号EVLをサンプリングし、サンプリング値を得る。そして、A/D変換器274は、各サンプリング値をアナログ信号からデジタル信号に変換し、その変換したデジタル信号を識別手段275および判定手段276へ出力する。
【0064】
識別手段275は、A/D変換器274から受けたデジタル信号に基づいて、後述する方法によって、受信電波がウェイクアップ信号WKであるか無線LANによる信号であるかを識別し、その識別結果を判定手段276へ出力する。
【0065】
判定手段276は、A/D変換器274から受けたデジタル信号によって表される識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致するか否かを判定する。そして、判定手段276は、識別手段275によって受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別されたことを示す信号を識別手段275から受け、かつ、A/D変換器274から受けたデジタル信号によって表される識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致すると判定したとき、ウェイクアップ指示信号Wu_comdを生成し、その生成したウェイクアップ指示信号Wu_comdを電源25へ出力する。
【0066】
図6は、ウェイクアップ信号WKを生成する方法を説明するための概念図である。図6を参照して、ウェイクアップ信号送信機12のID生成手段121は、無線LANカード13から指示信号Wupを受けると、アクセスポイント20のMACアドレスのハッシュ値を演算し、その演算したハッシュ値をウェイクアップID=11001とする((a)参照)。
【0067】
そして、演算手段122は、ウェイクアップID=11001をID生成手段121から受け、その受けたウェイクアップID=11001をマンチェスター符号化し、ビット列“0101101001”を得る。即ち、演算手段122は、“1”を“01”に変換し、“0”を“10”に変換してウェイクアップID=11001からビット列“0101101001”を得る((b)参照)。
【0068】
オン/オフ制御手段123は、演算手段122からビット列“0101101001”を受け、その受けたビット列“0101101001”に基づいてオン/オフを制御し、オン/オフ制御信号SSを生成する((c)参照)。
【0069】
一方、周波数拡散手段124は、チャープ拡散スペクトルCSS((d)参照)に従って、2.412GHzを中心周波数として、中心周波数よりも高周波側および中心周波数よりも低周波数側へ周波数を拡散してキャリア信号CYS((e)参照)を生成する。
【0070】
乗算器125は、オン/オフ制御手段123からオン/オフ制御信号SSを受け、周波数拡散手段124からキャリア信号CYSを受ける。そして、乗算器125は、キャリア信号CYSにオン/オフ制御信号SSを乗算してウェイクアップ信号WKを生成する((f)参照)。
【0071】
ウェイクアップ信号WKにおいて、期間T1は、オン/オフ制御信号SSにおける連続した2個の“0”に対応する期間である。
【0072】
送信手段127は、オン/オフ制御信号SSにおけるオフ期間(連続した2個の“0”に相当する期間)に対応するウェイクアップ信号WKのオフ期間T1がIEEE802.11による通信方式におけるPIFS(point coordination function interframe space)よりも短くなるように伝送レートを決定し、その決定した伝送レートを用いてウェイクアップ信号WKを送信する。
【0073】
このPIFSは、IEEE802.11による通信方式において、チャネルがアイドル状態であるか否かを判定する時間のうちで最短の時間である。従って、この発明の実施の形態においては、送信手段127は、オン/オフ制御信号SSにおけるオフ期間(連続した2個の“0”に相当する期間)に対応するウェイクアップ信号WKのオフ期間T1がIEEE802.11による通信方式における最短のアイドル判定時間よりも短くなるように伝送レートを決定し、その決定した伝送レートを用いてウェイクアップ信号WKを送信することを特徴とする。
【0074】
この特徴により、送信手段127がウェイクアップ信号WKを送信している途中に、他の端末装置またはアクセスポイントが無線LANによる信号を送信することはなく、ウェイクアップ信号WKをアクセスポイント20へ正確に伝送できる。
【0075】
上述したように、ウェイクアップID=11001をマンチェスター符号化することは、ウェイクアップID=11001の“1”を“01”に変換し、ウェイクアップID=11001の“0”を“10”に変換することに相当する。
【0076】
その結果、ウェイクアップID=11001をマンチェスター符号化して得られたビット列“0101101001”において、連続する“0”の個数の最大値は、“2”である。
【0077】
従って、オン/オフ制御信号SSにおけるオフ期間(連続した2個の“0”に相当する期間)に対応するウェイクアップ信号WKのオフ期間T1がIEEE802.11による通信方式における最短のアイドル判定時間よりも短くなるように伝送レートを決定すれば、ウェイクアップ信号WKの送信途中に無線LANによる信号が送信されるのを回避できる。
【0078】
また、チャープ拡散スペクトルCSSに従って周波数を拡散してキャリア信号CYSを生成するのは、送信波のスペクトル密度および帯域幅が無線通信規制を満足するように設定するためである。これによって、ウェイクアップ信号WKの他の信号への影響を抑制できる。
【0079】
図7は、受信電波の包絡線の概念図である。図7を参照して、ウェイクアップ信号受信機27の包絡線検波手段272は、BPF271からの信号を包絡線検波し、包絡線信号EVLを得る。
【0080】
そして、タイミング設定手段273は、包絡線信号EVLをサンプリングするためのサンプリングタイミングt1〜t10を包絡線信号EVLに設定する。A/D変換器274は、サンプリングタイミングt1〜t10で包絡線信号EVLをサンプリングし、そのサンプリング値を量子化して包絡線信号EVLをデジタル信号に変換する。
【0081】
図8は、ウェイクアップ信号と無線LANによる信号との概念図である。図8を参照して、ウェイクアップ信号WKの包絡線信号EVLのサンプリング値は、“0”に近い値と、“1”に近い値によって表される((a)参照)。
【0082】
一方、無線LANによる信号の包絡線信号EVLのサンプリング値は、任意の値によって表され、連続的にオフになる時間があまりない。
【0083】
そこで、識別手段275は、受信電波がウェイクアップ信号WKであるか無線LANによる信号であるかを次の方法によって識別する。
【0084】
(識別方法1)
ウェイクアップ信号WKは、プリアンブル/データの構成からなる。そして、プリアンブルの長さは、Nビットである。Nは、システムパラメータであり、例えば、5である。プリアンブルは、既知のビット列であり、データと同様にマンチェスター符号化されている。
【0085】
図7に示すサンプリングタイミングt1〜t10におけるサンプリング値をそれぞれx(1)〜x(10)とする。そして、サンプリング値x(1)〜x(10)における隣接する2つのサンプリング値x(1),x(2);x(3),x(4);x(5),x(6);x(7),x(8);x(9),x(10)をx(2n−1),x(2n)とする。nは、1以上の整数である。
【0086】
識別手段275は、サンプリング値x(2n−1),x(2n)を量子化したときの量子化値/x(2n−1),/x(2n)を次式に代入して/x(2n−1)と/x(2n)との排他的論理和y1(n)を演算する。
【0087】
【数1】
【0088】
なお、表記/xは、サンプリング値xの量子化値を表し、“/”は、式(1)においてxの上側に配置された“^”と同じである。
【0089】
受信電波がウェイクアップ信号WKからなる場合、図7から明らかであるように、2つの量子化値/x(2n−1),/x(2n)のうち、一方は、“1”であり、他方は、“0”である。
【0090】
従って、受信電波がウェイクアップ信号WKからなる場合、/x(2n−1)と/x(2n)との排他的論理和y1(n)は、熱雑音が無い限り、必ず、“1”になる。
【0091】
識別手段275は、全ての量子化値/x(2n−1)と量子化値/x(2n)について排他的論理和y1(n)を演算すると、その演算した排他的論理和y1(n)を次式に代入して平均値MCRを演算する。
【0092】
【数2】
【0093】
図7に示す場合、5個の排他的論理和y1(n)が演算され、Nは、“5”である。そして、5個の排他的論理和y1(n)の各々は、上述したように“1”である。従って、受信電波がウェイクアップ信号WKからなる場合、平均値MCRは、“1”になる。
【0094】
そこで、識別手段275は、平均値MCRが閾値c(0<c<1、例えば、0.5)以上であれば、受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別し、平均値MCRが閾値cよりも小さければ、受信電波が無線LANによる信号であると識別する。
【0095】
(識別方法2)
識別手段275は、A/D変換器274からサンプリング値x(2n−1),x(2n)を受け、その受けたサンプリング値x(2n−1),x(2n)を次式に代入してy2(n)を演算する。
【0096】
【数3】
【0097】
そして、識別手段275は、y2(n)の絶対値|y2(n)|を演算し、その演算した絶対値|y2(n)|を量子化し、量子化値/y2(n)を得る。
【0098】
そうすると、識別手段275は、量子化値/y2(n)を次式に代入して平均値SMCRを演算する。
【0099】
【数4】
【0100】
図7に示すように、2つのサンプリング値x(2n−1),x(2n)のうち、一方は、“1”に近い値からなり、他方は、“0”に近い値からなるので、y2(n)は、“1”または“−1”に近い値からなる。
【0101】
そして、量子化値/y2(n)は、y2(n)の絶対値|y2(n)|を量子化したものであるので、熱雑音が無い限り、必ず、“1”になる。その結果、受信電波がウェイクアップ信号WKである場合、平均値SMCRも“1”になる。
【0102】
従って、識別手段275は、平均値SMCRが閾値c以上であれば、受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別し、平均値SMCRが閾値cよりも小さければ、受信電波が無線LANによる信号であると識別する。
【0103】
(識別方法3)
識別手段275は、式(3)を用いてy2(n)を演算し、その演算したy2(n)を次式に代入して平均値MSMCRを演算する。
【0104】
【数5】
【0105】
上述したように、y2(n)は、“1”または“−1”に近い値からなる。そして、平均値MSMCRは、y2(n)の絶対値|y2(n)|の平均値である。その結果、受信電波がウェイクアップ信号WKである場合、平均値MSMCRは、“1”に近い値からなる。
【0106】
従って、識別手段275は、平均値MSMCRが閾値c以上であれば、受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別し、平均値MSMCRが閾値cよりも小さければ、受信電波が無線LANによる信号であると識別する。
【0107】
識別手段275は、上述した識別方法1〜識別方法3のいずれかの方法を用いて受信電波がウェイクアップ信号WKであるか無線LANによる信号であるかを識別する。そして、識別手段275は、識別方法1を用いる場合、A/D変換器274からデジタル値(=量子化値/x(2n−1),/x(2n))を受け、識別方法2または識別方法3を用いる場合、A/D変換器274からサンプリング値x(2n−1),x(2n)を受ける。
【0108】
判定手段276は、次の2つの方法のいずれかを用いて識別情報を復号する。
【0109】
(復号方法1)
判定手段276は、ハードデコーディングを行い、量子化値/x(2n−1),/x(2n)からビットを算出する。即ち、判定手段276は、量子化値/x(2n−1),/x(2n)をA/D変換器274から受ける。そして、判定手段276は、量子化値/x(2n−1)が“0”であり、かつ、量子化値/x(2n)が“1”である場合、ウェイクアップIDのn番目のビットを“1”とする。また、判定手段276は、量子化値/x(2n−1)が“1”であり、かつ、量子化値/x(2n)が“0”である場合、ウェイクアップIDのn番目のビットを“0”とする。更に、判定手段276は、それ以外の場合、受信エラーとする。
【0110】
(復号方法2)
判定手段276は、ソフトデコーディングを行い、式(3)におけるy2(n)からビットを算出する。即ち、判定手段276は、サンプリング値x(2n−1),x(2n)をA/D変換器274から受ける。そして、判定手段276は、サンプリング値x(2n−1),x(2n)を式(3)に代入してy2(n)を算出する。その後、判定手段276は、y2(n)>0であれば、ウェイクアップIDのn番目のビットを“1”とする。また、判定手段276は、y2(n)≦0であれば、ウェイクアップIDのn番目のビットを“0”とする。
【0111】
図9は、図1に示す無線通信システム100における動作を説明するためのフローチャートである。なお、図9においては、アクセスポイント20がスリープ状態であることを前提として無線通信システム100における動作を説明する。
【0112】
図9を参照して、一連の動作が開始されると、端末装置10の無線LANカード13は、ウェイクアップ信号送信機12に対してウェイクアップ信号WKの送信指示Wupを出す(ステップS1)。
【0113】
そして、端末装置10のウェイクアップ信号送信機12は、上述した方法によって、ウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDをマンチェスター符号化する(ステップS2)。
【0114】
その後、端末装置10のウェイクアップ信号送信機12は、ウェイクアップIDをマンチェスター符号化したビット列に基づいて、オン/オフ制御信号SSを生成する(ステップS3)。
【0115】
また、端末装置10のウェイクアップ信号送信機12は、チャープ拡散スペクトルCSSを用いて周波数の拡散制御を行い、キャリア信号CYSを生成する(ステップS4)。
【0116】
そうすると、端末装置10のウェイクアップ信号送信機12は、キャリア信号CYSにオン/オフ制御信号SSを乗算してウェイクアップ信号WKを生成し(ステップS5)、ウェイクアップ信号WKを増幅する(ステップS6)。
【0117】
そして、端末装置10のウェイクアップ信号送信機12は、チャネル上でキャリアセンスを行い(ステップS7)、チャネルがアイドル状態であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0118】
ステップS8において、チャネルがアイドル状態でないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS7へ戻り、ステップS7,S8が繰り返し実行される。
【0119】
そして、ステップS8において、チャネルがアイドル状態であると判定されると、端末装置10のウェイクアップ信号送信機12は、ウェイクアップ信号WKのオフ期間が無線通信方式(IEEE802.11)における最短のアイドル判定時間(例えばPIFS)よりも短くなる伝送レートで電波をアンテナ11を介して送信する(ステップS9)。
【0120】
アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、端末装置10からアンテナ21を介して電波を受信し(ステップS10)、BPFをかける(ステップS11)。
【0121】
そして、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、受信電波の包絡線検波を行い(ステップS12)、サンプリングタイミングを設定する(ステップS13)。
【0122】
そうすると、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、受信電波をサンプリングしてサンプリング値x(2n−1),x(2n)を検出するとともに、サンプリング値x(2n−1),x(2n)を量子化する。即ち、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、A/D変換を行う(ステップS14)。
【0123】
そして、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、サンプリング値x(2n−1),x(2n)、またはサンプリング値x(2n−1),x(2n)および量子化値/x(2n−1),/x(2n)を用いて、上述した方法によって、ウェイクアップ信号WKと無線LANによる信号とを識別する(ステップS15)。
【0124】
また、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、ステップS15と並行して、受信電波を復号して得られた識別情報(=ウェイクアップID)がアクセスポイント20の識別情報に一致するか否かを判定する(ステップS16)。
【0125】
そして、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、受信電波がウェイクアップ信号WKであり、かつ、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致するか否かを判定する(ステップS17)。
【0126】
ステップS17において、受信電波がウェイクアップ信号WKであり、かつ、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致すると判定されたとき、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、ウェイクアップ指示信号Wu_comdを電源25へ出力し(ステップS18)、電源25は、ウェイクアップ指示信号Wu_comdに応じて、電力を無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24に供給する。これによって、アクセスポイント20は、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0127】
そして、ステップS17において、受信電波がウェイクアップ信号WKでない、または、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致しないと判定されたとき、またはステップS18の後、一連の動作は、終了する。
【0128】
上述したように、端末装置10は、アクセスポイント20の識別情報(例えば、11001)をマンチェスター符号化したビット列“0101101001”を生成し、ビット列“0101101001”において“0”が連続するオフ期間に対応するウェイクアップ信号WKのオフ期間(=T1)が無線通信方式(IEEE802.11)における最短のアイドル判定時間(例えば、PIFS)よりも短くなる伝送レートで電波を送信する。
【0129】
その結果、ウェイクアップ信号WKの送信中に無線LANによる信号が送信されることはなく、ウェイクアップ信号WKは、アクセスポイント20へ正確に伝送される。また、アクセスポイント20は、ウェイクアップ信号WKからなる電波を正確に受信し、端末装置10から送信されたウェイクアップ信号WKを検知する。
【0130】
従って、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制できる。
【0131】
また、アクセスポイント20は、受信電波に基づいてウェイクアップ信号WKと無線LANによる信号とを識別し、受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別した場合にウェイクアップ信号WKを検知する。
【0132】
従って、アクセスポイント20において、ウェイクアップ信号WKの誤検知を抑制できる。
【0133】
更に、端末装置10は、チャープ拡散スペクトルCSSによって周波数の拡散制御を行ってキャリア信号CYSを生成し、その生成したキャリア信号CYSを用いてウェイクアップ信号WKをアクセスポイント20へ送信する。
【0134】
従って、送信波のスペクトル密度および帯域幅が無線通信規制を満たすことができる。
【0135】
図10は、図4に示すウェイクアップ信号受信機27の他の構成図である。この発明の実施の形態においては、図4に示すウェイクアップ信号受信機27は、図10に示すウェイクアップ信号受信機27Aからなっていてもよい。
【0136】
図10を参照して、ウェイクアップ信号受信機27Aは、図5に示すウェイクアップ信号受信機27の識別手段275および判定手段276をそれぞれ識別手段275Aおよび判定手段276Aに代えたものであり、その他の構成は、ウェイクアップ信号受信機27と同じである。
【0137】
ウェイクアップ信号受信機27Aにおいては、BPF271、包絡線検波手段272、タイミング設定手段273、A/D変換器274および識別手段275Aは、常時、電源26から電力を供給されており、判定手段276Aは、ウェイクアップ信号WKが検知されるまで、電源26から電力を供給されない。即ち、BPF271、包絡線検波手段272、タイミング設定手段273、A/D変換器274および識別手段275Aは、常時、起動状態であり、判定手段276Aは、ウェイクアップ信号WKが検知されるまでスリープ状態である。
【0138】
識別手段275Aは、受信電波の量子化値/x(2n−1),/x(2n)またはサンプリング値x(2n−1),x(2n)をA/D変換器274から受ける。
【0139】
そして、識別手段275Aは、上述した識別方法1〜識別方法3のいずれかの方法を用いて受信電波がウェイクアップ信号WKであるか無線LANによる信号であるかを識別する。
【0140】
識別手段275Aは、受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別したとき、判定手段276Aを起動するための起動信号PONを生成し、その生成した起動信号PONを電源26へ出力する。そして、電源26は、識別手段275Aからの起動信号PONに応じて判定手段276Aへ電力を供給する。
【0141】
これによって、判定手段276Aは、起動し、A/D変換器274から受けた受信電波のサンプリング値x(2n−1),x(2n)または受信電波の量子化値/x(2n−1),/x(2n)に基づいて、受信電波に含まれる識別情報を復号し、その復号した識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致するか否かを判定する。
【0142】
なお、判定手段276Aは、量子化値/x(2n−1),/x(2n)に基づいて識別情報を復号する場合、上述した復号方法1を用い、受信電波のサンプリング値x(2n−1),x(2n)に基づいて識別情報を復号する場合、上述した復号方法2を用いる。
【0143】
判定手段276Aは、受信電波に含まれる識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致すると判定したとき、ウェイクアップ指示信号Wu_comdを電源25へ出力する。これによって、電源25は、無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24へ電力を供給し、アクセスポイント20は、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0144】
図11は、図1に示す無線通信システム100の動作を説明するための他のフローチャートである。
【0145】
図11に示すフローチャートは、図9に示すフローチャートのステップS15〜ステップS18をステップS19〜ステップS23に代えたものであり、その他の部分は、図9に示すフローチャートと同じである。
【0146】
また、図11に示すフローチャートは、アクセスポイント20が図10に示すウェイクアップ信号受信機27Aを備える場合の無線通信システム100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0147】
図11を参照して、一連の動作が開始されると、上述したステップS1〜ステップS14が順次実行される。
【0148】
そして、ステップS14の後、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27Aにおいて、識別手段275Aは、上述した識別方法1〜識別方法3のいずれかを用いてウェイクアップ信号WKと無線LANによる信号とを識別する(ステップS19)。
【0149】
そして、識別手段275Aは、受信電波がウェイクアップ信号WKであるか否かを判定する(ステップS20)。
【0150】
ステップS20において、受信電波がウェイクアップ信号WKであると判定されたとき、識別手段275Aは、起動信号PONを生成して電源26へ出力し、電源26は、起動信号PONに応じて電力を判定手段276Aへ供給する(ステップS21)。
【0151】
そして、判定手段276Aは、電源26からの電力によって起動し、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致するか否かを判定する(ステップS22)。
【0152】
ステップS22において、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致すると判定されたとき、判定手段276Aは、ウェイクアップ指示信号Wu_comdを電源25へ出力し(ステップS23)、電源25は、ウェイクアップ指示信号Wu_comdに応じて、電力を無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24に供給する。これによって、アクセスポイント20は、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0153】
そして、ステップS20において、受信電波がウェイクアップ信号WKでないと判定されたとき、またはステップS22において、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致しないと判定されたとき、またはステップS23の後、一連の動作は、終了する。
【0154】
上述したように、ウェイクアップ信号受信機27Aにおいては、判定手段276Aは、識別手段275Aによって受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別されると、起動する。
【0155】
従って、アクセスポイント20がウェイクアップ信号受信機27を備える場合よりも更に消費電力を低減できる。
【0156】
その他、アクセスポイント20がウェイクアップ信号受信機27を備える場合と同様の効果が得られる。
【0157】
図12は、この発明の実施の形態による他の無線通信システムの概略図である。この発明の実施の形態による無線通信システムは、図12に示す無線通信システム200であってもよい。
【0158】
図12を参照して、無線通信システム200は、端末装置10と、アクセスポイント(AP)201〜210とを備える。
【0159】
アクセスポイント(AP)201〜210は、メッシュ状に配置される。そして、アクセスポイント(AP)201は、有線ケーブル230を介してゲートウェイ220に接続される。ゲートウェイ220は、有線ケーブル240を介してネットワーク30に接続される。
【0160】
アクセスポイント(AP)201は、ゲートウェイ220と、アクセスポイント(AP)202(またはアクセスポイント(AP)206)との間で通信を行うとともに、配下の端末装置(図示せず)との間で無線通信を行う。各アクセスポイント(AP)は、ルーティングのための制御パケットを交換することで、ゲートウェイまでの最短経路となる隣接のアクセスポイント(AP)を把握している。
【0161】
アクセスポイント(AP)202〜210の各々は、隣接する2つのアクセスポイントとの間で通信を行うとともに、配下の端末装置(図示せず)との間で無線通信を行う。
【0162】
端末装置10は、例えば、アクセスポイント(AP)204の配下に配置される。そして、端末装置10は、図9または図11に示すフローチャートに従ってアクセスポイント(AP)204と無線通信を行う。
【0163】
図13は、図12に示すアクセスポイント201の構成図である。図13を参照して、アクセスポイント(AP)201は、上述したアクセスポイント20にウェイクアップ信号送信機12を追加したものである。
【0164】
アクセスポイント(AP)201においては、CPU23は、アクセスポイント(AP)201に隣接するアクセスポイント(AP)202,206から、一定期間、パケットを受信しないとき、アクセスポイント(AP)202,206がスリープ状態であると判定する。
【0165】
また、アクセスポイント(AP)201のCPU23は、アクセスポイント(AP)201の配下の端末装置または隣接する一方のアクセスポイント(AP)202(またはアクセスポイント(AP)206)によってウェイクアップされる。
【0166】
アクセスポイント(AP)202は、図13に示すアクセスポイント(AP)201と同じ構成からなる。アクセスポイント(AP)202のCPU23は、アクセスポイント(AP)202の配下の端末装置または隣接する一方のアクセスポイント(AP)203によってウェイクアップされると、アクセスポイント(AP)202に隣接する他方のアクセスポイント(AP)201をウェイクアップするための指示信号をウェイクアップ信号送信機12へ出力する。
【0167】
アクセスポイント(AP)202のウェイクアップ信号送信機12は、CPU23からの指示信号に応じて、上述した方法によってウェイクアップ信号WKを生成して送信する。
【0168】
なお、図12に示すアクセスポイント(AP)203〜210の各々も、図13に示すアクセスポイント(AP)201と同じ構成からなる。
【0169】
再び、図12を参照して、端末装置10は、アクセスポイント(AP)201〜210の全てがスリープ状態である場合において、ネットワーク30を介して通信を開始するとき、上述した方法によって、ウェイクアップ信号WKを生成してアクセスポイント(AP)204へ送信する。
【0170】
アクセスポイント(AP)204は、端末装置10からのウェイクアップ信号WKを受信し、上述したアクセスポイント20と同じ方法によってスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0171】
その後、アクセスポイント(AP)204は、端末装置10と同じ方法によってウェイクアップ信号WKを生成してアクセスポイント(AP)203へ送信する。
【0172】
アクセスポイント(AP)203は、アクセスポイント(AP)204からのウェイクアップ信号WKを受信し、上述したアクセスポイント20と同じ方法によってスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0173】
引き続いて、アクセスポイント(AP)203は、端末装置10と同じ方法によってウェイクアップ信号WKを生成してアクセスポイント(AP)202へ送信する。
【0174】
アクセスポイント(AP)202は、アクセスポイント(AP)203からのウェイクアップ信号WKを受信し、上述したアクセスポイント20と同じ方法によってスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0175】
そして、アクセスポイント(AP)202は、端末装置10と同じ方法によってウェイクアップ信号WKを生成してアクセスポイント(AP)201へ送信する。
【0176】
アクセスポイント(AP)201は、アクセスポイント(AP)202からのウェイクアップ信号WKを受信し、上述したアクセスポイント20と同じ方法によってスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0177】
これによって、スリープ状態であったアクセスポイント(AP)201〜204は、起動状態へ移行する。
【0178】
従って、端末装置10は、アクセスポイント(AP)201〜204、ゲートウェイ220およびネットワーク30を介して通信を行うことができる。
【0179】
アクセスポイント(AP)204以外のアクセスポイント(AP)202,203,205〜210の配下に配置された端末装置も、上述した方法によって、自己が所属するアクセスポイントからアクセスポイント(AP)201までの経路上に存在する全てのアクセスポイントをスリープ状態から起動状態へ移行させ、その起動状態へ移行させたアクセスポイント、ゲートウェイ220およびネットワーク30を介して通信を行うことができる。
【0180】
このように、アクセスポイント(AP)201〜210がメッシュ状に配置された無線通信システム200において、アクセスポイント(AP)201〜210がスリープ状態であっても、各アクセスポイント(AP)201〜210の配下に配置された端末装置は、自己が所属するアクセスポイントをウェイクアップし、そのウェイクアップしたアクセスポイントがゲートウェイ220の方向に存在するアクセスポイントを順次ウェイクアップすることによってネットワーク30を介して通信を行うことができる。
【0181】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0182】
この発明は、端末装置、それと無線通信を行う無線装置、およびそれらを備えた無線通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0183】
10 端末装置、11,21 アンテナ、12 ウェイクアップ信号送信機、13,22 無線LANカード、14 CPU/表示部、15,25,26 電源、20,201〜210 アクセスポイント、23 CPU、24 ネットワーク接続カード、27,27A ウェイクアップ信号受信機、30 ネットワーク、40,230,240 有線ケーブル、100,200 無線通信システム、121 ID生成手段、122 演算手段、123 オン/オフ制御手段、124 周波数拡散手段、125 乗算器、126 増幅手段、127 送信手段、220 ゲートウェイ、271 BPF、272 包絡線検波手段、273 タイミング設定手段、274 A/D変換器、275,275A 識別手段、276,276A 判定手段。
【技術分野】
【0001】
この発明は、端末装置、それと無線通信を行う無線装置、およびそれらを備えた無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)は、家庭やオフィスなどで広く使われている。無線LANが普及するとともに、多くのアクセスポイント(AP)が設置されるが、これらのAPは、たとえ、通信データが発生しなくても、通常、電源がオンされたままで使用される。
【0003】
このような、“つけっぱなし”になっているAPが過半数の時間で使用されていないため、電力は、無駄に消費される。
【0004】
センサーネットワークでは、ウェイクアップ受信機を用いて通信が必要となっているときだけ、データの送信先をウェイクアップする手法が検討されている。
【0005】
非特許文献1では、無線LANカードよりも低い電力を消費する802.15.4sensor motesを用いて同じ周波数である無線LANチャネルを観測し、送信元からの電波を検知すると、自端末の無線LANカードをウェイクアップする手法が提案されている。
【0006】
また、特許文献1,2および非特許文献2では、より低い電力を消費するウェイクアップ受信機を用いて無線LANカードをウェイクアップする手法が提案されている。
【0007】
更に、特許文献1,2および非特許文献2では、ウェイクアップ信号の周波数が無線LANの周波数と異なるので、2つのアンテナが必要である。
【0008】
更に、特許文献3では、ISM bandでのFCC規制(帯域規制)を満足するように、信号の包絡線を変更せずに周波数拡散を行なう周波数拡散手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2007−526655号公報
【特許文献2】国際公開第04/100503号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0253468号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Nilesh Mishra, Kameswari Chebrolu, Bhaskaran Raman, Abhinav Pathak, Wakeon WLAN, WWW 2006.
【非特許文献2】石田繁己、鈴木誠、森戸貴、森川博之,低受信待機電力無線通信のための多段ウェイクアップ機構,IEICE technical report, information networks 107(525), 355-360, 2008-02-28.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、無線LANによる信号とウェイクアップ信号とを1つのアンテナで送信する場合、ウェイクアップ信号の誤検知をどのように抑制するかが大きな問題となる。
【0012】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制可能な端末装置を提供することである。
【0013】
また、この発明の別の目的は、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制可能な無線装置を提供することである。
【0014】
更に、この発明の別の目的は、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制可能な端末装置および無線装置を備える無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明の実施の形態によれば、端末装置は、アンテナと、演算手段と、信号生成手段と、送信手段とを備える。アンテナは、無線通信信号を送受信するために用いられる。演算手段は、無線通信の要求に応じて、ウェイクアップさせる無線装置の識別情報をマンチェスター符号化する。信号生成手段は、マンチェスター符号化された識別情報を用いてオン/オフ制御信号を生成し、その生成したオン/オフ制御信号を無線通信に用いる周波数を有するキャリア信号に乗算してウェイクアップ信号を生成する。送信手段は、無線通信に用いる周波数からなるチャネル上でキャリアセンスを行い、チャネルがアイドル状態である場合、ウェイクアップ信号をアンテナを用いて送信する。そして、送信手段は、オン/オフ制御信号におけるオフ期間に対応するウェイクアップ信号のオフ期間がチャネルのアイドル状態を判断するための最短時間よりも短くなる伝送レートでウェイクアップ信号を送信する。
【0016】
また、この発明の実施の形態によれば、無線装置は、アンテナと、無線通信手段と、受信手段と、識別手段と、判定手段とを備える。アンテナは、無線通信信号を送受信するために用いられる。無線通信手段は、アンテナを用いて無線通信信号を端末装置と送受信するとともに、一定期間、端末装置と無線通信が行われないときスリープ状態へ移行する。受信手段は、無線通信信号の送受信に用いる周波数を有するチャネル上でアンテナを介して電波を受信する。識別手段は、受信手段によって受信された受信電波が無線通信信号および当該無線装置を識別するための第1の識別情報をマンチェスター符号化して生成されたウェイクアップ信号のいずれであるかを識別する。判定手段は、受信電波がウェイクアップ信号である場合、受信電波を復号して得られた第2の識別情報が第1の識別情報に一致するか否かを判定し、第2の識別情報が第1の識別情報に一致するとき、スリープ状態へ移行した無線通信手段を起動する。
【0017】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線通信システムは、端末装置と、無線装置とを備える。無線装置は、端末装置と無線通信を行う。端末装置は、請求項1または請求項2に記載の端末装置からなり、無線装置は、請求項3から請求項9のいずれか1項に記載の無線装置からなる。
【発明の効果】
【0018】
この発明の実施の形態による端末装置においては、無線通信の要求に応じて、ウェイクアップさせる無線装置の識別情報をマンチェスター符号化し、マンチェスター符号化された識別情報を用いて生成されたオン/オフ制御信号にキャリア信号を乗算してウェイクアップ信号が生成される。そして、ウェイクアップ信号は、チャネルがアイドル状態である場合、ウェイクアップ信号のオフ期間がチャネルのアイドル状態を判断するための最短時間よりも短くなる伝送レートで送信される。その結果、ウェイクアップ信号のオフ期間は、最長でも、オン/オフ制御信号において2個の“0”が連続する期間になり、ウェイクアップ信号の送信途中において、ウェイクアップ信号以外の信号が送信されることはなく、ウェイクアップ信号は、ウェイクアップさせる無線装置へ正確に伝送される。また、ウェイクアップされる無線装置は、ウェイクアップ信号からなる電波を正確に受信し、端末装置から送信されたウェイクアップ信号を検知する。
【0019】
従って、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制できる。
【0020】
また、この発明の実施の形態による無線装置は、受信電波に基づいてウェイクアップ信号と無線LANによる信号とを識別し、受信電波がウェイクアップ信号からなると識別した場合にウェイクアップ信号を検知する。
【0021】
従って、無線装置において、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制できる。
【0022】
更に、この発明の実施の形態による無線通信システムは、上述した端末装置と無線装置とを備える。その結果、ウェイクアップ信号は、他の無線LANによる信号と同時に送信されることはなく、ウェイクアップさせる無線装置へ正確に伝送される。また、ウェイクアップされる無線装置は、ウェイクアップ信号からなる電波を正確に受信し、端末装置から送信されたウェイクアップ信号を検知する。
【0023】
従って、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。
【図2】図1に示す端末装置の構成図である。
【図3】図2に示すウェイクアップ信号送信機の構成図である。
【図4】図1に示すアクセスポイントの構成図である。
【図5】図4に示すウェイクアップ信号受信機の構成図である。
【図6】ウェイクアップ信号を生成する方法を説明するための概念図である。
【図7】受信電波の包絡線の概念図である。
【図8】ウェイクアップ信号と無線LANによる信号との概念図である。
【図9】図1に示す無線通信システムにおける動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図4に示すウェイクアップ信号受信機の他の構成図である。
【図11】図1に示す無線通信システムの動作を説明するための他のフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態による他の無線通信システムの概略図である。
【図13】図12に示すアクセスポイントの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0026】
図1は、この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による無線通信システム100は、端末装置10と、無線装置であるアクセスポイント20とを備える。
【0027】
端末装置10は、無線LANの通信方式に従ってアクセスポイント20と無線通信を行う。そして、端末装置10は、アクセスポイント20からビーコンフレームを受信しないとき、アクセスポイント20がスリープ状態であると判定する。その後、端末装置10は、無線通信を開始する場合、後述する方法によってウェイクアップ信号をアクセスポイント20へ送信し、アクセスポイント20を起動する。
【0028】
アクセスポイント20は、有線ケーブル40によってネットワーク30に接続される。そして、アクセスポイント20は、端末装置10とネットワーク30との間で通信を中継する。より具体的には、アクセスポイント20は、端末装置10から通信データを受信し、その受信した通信データを有線ケーブル40を介してネットワーク30へ送信する。また、アクセスポイント20は、有線ケーブル40を介してネットワーク30から通信データを受信し、その受信した通信データを無線通信によって端末装置10へ送信する。
【0029】
アクセスポイント20は、一定期間、端末装置10からパケットを受信しないとき、スリープ状態へ移行する。そして、アクセスポイント20は、スリープ状態において端末装置10から電波を受信すると、後述する方法によって、その受信電波がウェイクアップ信号であるか無線LANによる信号であるかを識別し、受信電波がウェイクアップ信号であり、ウェイクアップ信号に含まれる識別情報が自己の識別情報と一致するとき、スリープ状態から起動状態へ移行する。その後、アクセスポイント20は、端末装置10とネットワーク30との間で通信を中継する。
【0030】
図2は、図1に示す端末装置10の構成図である。図2を参照して、端末装置10は、アンテナ11と、ウェイクアップ信号送信機12と、無線LANカード13と、CPU(Central Processing Unit)/表示部14と、電源15とを備える。
【0031】
ウェイクアップ信号送信機12および無線LANカード13は、アンテナ11に接続される。
【0032】
ウェイクアップ信号送信機12は、電源15から供給される電力によって駆動される。ウェイクアップ信号送信機12は、アクセスポイント20をウェイクアップさせるための指示信号Wupを無線LANカード13から受けると、後述する方法によって、無線LANによる信号の周波数(=2.4GHz帯の周波数)と同じ周波数を有するウェイクアップ信号WKを生成し、その生成したウェイクアップ信号WKをアンテナ11を介してアクセスポイント20へ送信する。
【0033】
無線LANカード13は、電源15から供給される電力によって駆動される。無線LANカード13は、アクセスポイント20からビーコンフレームを定期的に受信する。そして、無線LANカード13は、ビーコンフレームに含まれる各種の情報に基づいてアクセスポイント20との間で無線通信経路を確立し、アンテナ11を介してアクセスポイント20と無線通信を行う。より具体的には、無線LANカード13は、アクセスポイント20から端末装置10宛てのパケットを受信し、その受信したパケットをCPU/表示部14へ出力する。また、無線LANカード13は、アクセスポイント20宛てのパケットをCPU/表示部14から受け、その受けたパケットをアンテナ11を介してアクセスポイント20へ送信する。
【0034】
また、無線LANカード13は、アクセスポイント20からビーコンフレームを受信しないとき、アクセスポイント20がスリープ状態であると判定する。その後、無線LANカード13は、アクセスポイント20と無線通信を開始するとき、アクセスポイント20をウェイクアップさせるための指示信号Wupを生成してウェイクアップ信号送信機12へ出力する。
【0035】
CPU/表示部14は、電源15から供給された電力によって駆動される。CPU/表示部14は、無線LANカード13からパケットを受け、その受けたパケットの種類に応じて、パケットの内容を視覚情報として端末装置10のユーザに与える。
【0036】
また、CPU/表示部14は、アクセスポイント20宛てのパケットを生成し、その生成したパケットを無線LANカード13へ出力する。
【0037】
図3は、図2に示すウェイクアップ信号送信機12の構成図である。図3を参照して、ウェイクアップ信号送信機12は、ID生成手段121と、演算手段122と、オン/オフ制御手段123と、周波数拡散手段124と、乗算器125と、増幅手段126と、送信手段127とを備える。
【0038】
ID生成手段121は、無線LANカード13から指示信号Wupを受けると、例えば、アクセスポイント20のMAC(Media Access Control)アドレスのハッシュ値を演算し、アクセスポイント20の識別情報ID20を生成する。そして、ID生成手段121は、その生成した識別情報ID20を演算手段122へ出力する。
【0039】
演算手段122は、ID生成手段121から受けた識別情報ID20をマンチェスター符号化し、そのマンチェスター符号化した識別情報ID20をオン/オフ制御手段123へ出力する。
【0040】
オン/オフ制御手段123は、マンチェスター符号化された識別情報ID20に基づいて、オン/オフ制御信号を生成し、その生成したオン/オフ制御信号を乗算器125へ出力する。
【0041】
周波数拡散手段124は、後述する方法によって、無線LANによる信号の送受信に用いる周波数帯において周波数を拡散してキャリア信号を生成し、その生成したキャリア信号を乗算器125へ出力する。
【0042】
乗算器125は、オン/オフ制御手段123から受けたオン/オフ制御信号と周波数拡散手段124から受けたキャリア信号とを乗算してウェイクアップ信号WKを生成し、その生成したウェイクアップ信号WKを増幅手段126へ出力する。
【0043】
増幅手段126は、ウェイクアップ信号WKを増幅して送信手段127へ出力する。送信手段127は、ウェイクアップ信号WKを送信するためのチャネル上でキャリアセンスを行い、チャネルから受けたエネルギーが閾値RSSI_th以下である場合、チャネルがアイドル状態であると判定し、ウェイクアップ信号WKをアンテナ11を介してアクセスポイント20へ送信する。なお、閾値RSSI_thは、例えば、−90dBmに設定される。
【0044】
このように、端末装置10は、1つのアンテナ11を用いて、無線LANによる信号を送受信するとともに、無線LANによる信号と同じ周波数を有するウェイクアップ信号WKを送信する。
【0045】
図4は、図1に示すアクセスポイント20の構成図である。図4を参照して、アクセスポイント20は、アンテナ21と、無線LANカード22と、CPU23と、ネットワーク接続カード24と、電源25,26と、ウェイクアップ信号受信機27とを含む。
【0046】
無線LANカード22およびウェイクアップ信号受信機27は、アンテナ21に接続される。
【0047】
無線LANカード22は、電源25から電力を供給されると、起動する。そして、無線LANカード22は、ビーコンフレームを定期的に送信する。無線LANカード22は、端末装置10との間で無線通信経路が確立されると、アンテナ21を介して無線通信によって端末装置10からパケットを受信し、その受信したパケットをCPU23へ出力する。また、無線LANカード22は、CPU23からパケットを受け、その受けたパケットをアンテナ21を介して無線通信によって端末装置10へ送信する。
【0048】
更に、無線LANカード22は、一定期間、端末装置10からパケットを受信しないとき、電源25からの電力が停止されることによってスリープ状態へ移行する。そして、無線LANカード22は、スリープ状態へ移行した後、電源25から電力を供給されると、起動し、アンテナ21を介して端末装置10との間で無線通信を行う。
【0049】
CPU23は、電源25から電力を供給されると、起動する。そして、CPU23は、無線LANカード22からパケットを受け、その受けたパケットをネットワーク接続カード24へ出力する。また、CPU23は、ネットワーク接続カード24からパケットを受け、その受けたパケットを無線LANカード22へ出力する。
【0050】
更に、CPU23は、一定期間、無線LANカード22を介して端末装置10からパケットを受けないとき、電力の供給を停止するための指示信号POFFを生成して電源25へ出力する。そして、CPU23は、電源25から電力を供給されなくなると、スリープ状態へ移行する。その後、CPU23は、電源25から電力を供給されると、起動し、上述したパケットの中継を無線LANカード22と、ネットワーク接続カード24との間で行う。
【0051】
ネットワーク接続カード24は、電源25から電力を供給されると、起動する。そして、ネットワーク接続カード24は、CPU23から受けたパケットを有線ケーブル40を介してネットワーク30へ送信する。また、ネットワーク接続カード24は、有線ケーブル40を介してネットワーク30からパケットを受信し、その受信したパケットをCPU23へ出力する。
【0052】
更に、ネットワーク接続カード24は、電源25から電力を供給されなくなると、スリープ状態へ移行する。その後、ネットワーク接続カード24は、電源25から電力を供給されると、起動する。
【0053】
電源25は、無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24に電力を供給する。そして、電源25は、CPU23から指示信号POFFを受けると、無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24への電力の供給を停止する。その後、電源25は、ウェイクアップ信号受信機27からウェイクアップ指示信号Wu_comdを受けると、電力を無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24に供給する。
【0054】
電源26は、ウェイクアップ信号受信機27に電力を供給する。ウェイクアップ信号受信機27は、アンテナ21を介して電波を受信し、その受信した受信電波がウェイクアップ信号WKであるか無線LANによる信号であるかを後述する方法によって識別する。
【0055】
そして、ウェイクアップ信号受信機27は、受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別したとき、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致するか否かを判定する。
【0056】
ウェイクアップ信号受信機27は、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致すると判定したとき、ウェイクアップ指示信号Wu_comdを生成して電源25へ出力する。
【0057】
このように、アクセスポイント20は、1つのアンテナ21を用いて、無線LANによる信号を送受信するとともに、無線LANによる信号と同じ周波数を有するウェイクアップ信号WKを受信する。
【0058】
なお、この発明の実施の形態においては、「スリープ状態」とは、無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24が電源25から電力を供給されていない状態であり、ウェイクアップ信号受信機27が電源26から電力を供給されている状態である。即ち、「スリープ状態」とは、無線LANカード22が端末装置10との間で無線通信を行うことができず、ネットワーク接続カード24がネットワーク30と通信できないが、ウェイクアップ信号受信機27が端末装置10からウェイクアップ信号WKを受信できる状態を言う。
【0059】
図5は、図4に示すウェイクアップ信号受信機27の構成図である。図5を参照して、ウェイクアップ信号受信機27は、BPF(Band Pass Filter)271と、包絡線検波手段272と、タイミング設定手段273と、A/D変換器274と、識別手段275と、判定手段276とを含む。
【0060】
BPF271は、アンテナ21を介して電波を受信し、その受信した受信電波からウェイクアップ信号WKの周波数を有する信号を抽出する。そして、BPF271は、その抽出した信号を包絡線検波手段272へ出力する。
【0061】
包絡線検波手段272は、BPF271から受けた信号の包絡線を検波し、包絡線からなる信号(以下、「包絡線信号EVL」と言う)をタイミング設定手段273へ出力する。
【0062】
タイミング設定手段273は、包絡線信号EVLを包絡線検波手段272から受け、その受けた包絡線信号EVLに基づいて、包絡線信号EVLをサンプリングするサンプリングタイミングを設定し、そのサンプリングタイミングを設定した包絡線信号EVLをA/D変換器274へ出力する。
【0063】
A/D変換器274は、サンプリングタイミングが設定された包絡線信号EVLをタイミング設定手段273から受け、その受けた包絡線信号EVLに設定されたサンプリングタイミングで包絡線信号EVLをサンプリングし、サンプリング値を得る。そして、A/D変換器274は、各サンプリング値をアナログ信号からデジタル信号に変換し、その変換したデジタル信号を識別手段275および判定手段276へ出力する。
【0064】
識別手段275は、A/D変換器274から受けたデジタル信号に基づいて、後述する方法によって、受信電波がウェイクアップ信号WKであるか無線LANによる信号であるかを識別し、その識別結果を判定手段276へ出力する。
【0065】
判定手段276は、A/D変換器274から受けたデジタル信号によって表される識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致するか否かを判定する。そして、判定手段276は、識別手段275によって受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別されたことを示す信号を識別手段275から受け、かつ、A/D変換器274から受けたデジタル信号によって表される識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致すると判定したとき、ウェイクアップ指示信号Wu_comdを生成し、その生成したウェイクアップ指示信号Wu_comdを電源25へ出力する。
【0066】
図6は、ウェイクアップ信号WKを生成する方法を説明するための概念図である。図6を参照して、ウェイクアップ信号送信機12のID生成手段121は、無線LANカード13から指示信号Wupを受けると、アクセスポイント20のMACアドレスのハッシュ値を演算し、その演算したハッシュ値をウェイクアップID=11001とする((a)参照)。
【0067】
そして、演算手段122は、ウェイクアップID=11001をID生成手段121から受け、その受けたウェイクアップID=11001をマンチェスター符号化し、ビット列“0101101001”を得る。即ち、演算手段122は、“1”を“01”に変換し、“0”を“10”に変換してウェイクアップID=11001からビット列“0101101001”を得る((b)参照)。
【0068】
オン/オフ制御手段123は、演算手段122からビット列“0101101001”を受け、その受けたビット列“0101101001”に基づいてオン/オフを制御し、オン/オフ制御信号SSを生成する((c)参照)。
【0069】
一方、周波数拡散手段124は、チャープ拡散スペクトルCSS((d)参照)に従って、2.412GHzを中心周波数として、中心周波数よりも高周波側および中心周波数よりも低周波数側へ周波数を拡散してキャリア信号CYS((e)参照)を生成する。
【0070】
乗算器125は、オン/オフ制御手段123からオン/オフ制御信号SSを受け、周波数拡散手段124からキャリア信号CYSを受ける。そして、乗算器125は、キャリア信号CYSにオン/オフ制御信号SSを乗算してウェイクアップ信号WKを生成する((f)参照)。
【0071】
ウェイクアップ信号WKにおいて、期間T1は、オン/オフ制御信号SSにおける連続した2個の“0”に対応する期間である。
【0072】
送信手段127は、オン/オフ制御信号SSにおけるオフ期間(連続した2個の“0”に相当する期間)に対応するウェイクアップ信号WKのオフ期間T1がIEEE802.11による通信方式におけるPIFS(point coordination function interframe space)よりも短くなるように伝送レートを決定し、その決定した伝送レートを用いてウェイクアップ信号WKを送信する。
【0073】
このPIFSは、IEEE802.11による通信方式において、チャネルがアイドル状態であるか否かを判定する時間のうちで最短の時間である。従って、この発明の実施の形態においては、送信手段127は、オン/オフ制御信号SSにおけるオフ期間(連続した2個の“0”に相当する期間)に対応するウェイクアップ信号WKのオフ期間T1がIEEE802.11による通信方式における最短のアイドル判定時間よりも短くなるように伝送レートを決定し、その決定した伝送レートを用いてウェイクアップ信号WKを送信することを特徴とする。
【0074】
この特徴により、送信手段127がウェイクアップ信号WKを送信している途中に、他の端末装置またはアクセスポイントが無線LANによる信号を送信することはなく、ウェイクアップ信号WKをアクセスポイント20へ正確に伝送できる。
【0075】
上述したように、ウェイクアップID=11001をマンチェスター符号化することは、ウェイクアップID=11001の“1”を“01”に変換し、ウェイクアップID=11001の“0”を“10”に変換することに相当する。
【0076】
その結果、ウェイクアップID=11001をマンチェスター符号化して得られたビット列“0101101001”において、連続する“0”の個数の最大値は、“2”である。
【0077】
従って、オン/オフ制御信号SSにおけるオフ期間(連続した2個の“0”に相当する期間)に対応するウェイクアップ信号WKのオフ期間T1がIEEE802.11による通信方式における最短のアイドル判定時間よりも短くなるように伝送レートを決定すれば、ウェイクアップ信号WKの送信途中に無線LANによる信号が送信されるのを回避できる。
【0078】
また、チャープ拡散スペクトルCSSに従って周波数を拡散してキャリア信号CYSを生成するのは、送信波のスペクトル密度および帯域幅が無線通信規制を満足するように設定するためである。これによって、ウェイクアップ信号WKの他の信号への影響を抑制できる。
【0079】
図7は、受信電波の包絡線の概念図である。図7を参照して、ウェイクアップ信号受信機27の包絡線検波手段272は、BPF271からの信号を包絡線検波し、包絡線信号EVLを得る。
【0080】
そして、タイミング設定手段273は、包絡線信号EVLをサンプリングするためのサンプリングタイミングt1〜t10を包絡線信号EVLに設定する。A/D変換器274は、サンプリングタイミングt1〜t10で包絡線信号EVLをサンプリングし、そのサンプリング値を量子化して包絡線信号EVLをデジタル信号に変換する。
【0081】
図8は、ウェイクアップ信号と無線LANによる信号との概念図である。図8を参照して、ウェイクアップ信号WKの包絡線信号EVLのサンプリング値は、“0”に近い値と、“1”に近い値によって表される((a)参照)。
【0082】
一方、無線LANによる信号の包絡線信号EVLのサンプリング値は、任意の値によって表され、連続的にオフになる時間があまりない。
【0083】
そこで、識別手段275は、受信電波がウェイクアップ信号WKであるか無線LANによる信号であるかを次の方法によって識別する。
【0084】
(識別方法1)
ウェイクアップ信号WKは、プリアンブル/データの構成からなる。そして、プリアンブルの長さは、Nビットである。Nは、システムパラメータであり、例えば、5である。プリアンブルは、既知のビット列であり、データと同様にマンチェスター符号化されている。
【0085】
図7に示すサンプリングタイミングt1〜t10におけるサンプリング値をそれぞれx(1)〜x(10)とする。そして、サンプリング値x(1)〜x(10)における隣接する2つのサンプリング値x(1),x(2);x(3),x(4);x(5),x(6);x(7),x(8);x(9),x(10)をx(2n−1),x(2n)とする。nは、1以上の整数である。
【0086】
識別手段275は、サンプリング値x(2n−1),x(2n)を量子化したときの量子化値/x(2n−1),/x(2n)を次式に代入して/x(2n−1)と/x(2n)との排他的論理和y1(n)を演算する。
【0087】
【数1】
【0088】
なお、表記/xは、サンプリング値xの量子化値を表し、“/”は、式(1)においてxの上側に配置された“^”と同じである。
【0089】
受信電波がウェイクアップ信号WKからなる場合、図7から明らかであるように、2つの量子化値/x(2n−1),/x(2n)のうち、一方は、“1”であり、他方は、“0”である。
【0090】
従って、受信電波がウェイクアップ信号WKからなる場合、/x(2n−1)と/x(2n)との排他的論理和y1(n)は、熱雑音が無い限り、必ず、“1”になる。
【0091】
識別手段275は、全ての量子化値/x(2n−1)と量子化値/x(2n)について排他的論理和y1(n)を演算すると、その演算した排他的論理和y1(n)を次式に代入して平均値MCRを演算する。
【0092】
【数2】
【0093】
図7に示す場合、5個の排他的論理和y1(n)が演算され、Nは、“5”である。そして、5個の排他的論理和y1(n)の各々は、上述したように“1”である。従って、受信電波がウェイクアップ信号WKからなる場合、平均値MCRは、“1”になる。
【0094】
そこで、識別手段275は、平均値MCRが閾値c(0<c<1、例えば、0.5)以上であれば、受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別し、平均値MCRが閾値cよりも小さければ、受信電波が無線LANによる信号であると識別する。
【0095】
(識別方法2)
識別手段275は、A/D変換器274からサンプリング値x(2n−1),x(2n)を受け、その受けたサンプリング値x(2n−1),x(2n)を次式に代入してy2(n)を演算する。
【0096】
【数3】
【0097】
そして、識別手段275は、y2(n)の絶対値|y2(n)|を演算し、その演算した絶対値|y2(n)|を量子化し、量子化値/y2(n)を得る。
【0098】
そうすると、識別手段275は、量子化値/y2(n)を次式に代入して平均値SMCRを演算する。
【0099】
【数4】
【0100】
図7に示すように、2つのサンプリング値x(2n−1),x(2n)のうち、一方は、“1”に近い値からなり、他方は、“0”に近い値からなるので、y2(n)は、“1”または“−1”に近い値からなる。
【0101】
そして、量子化値/y2(n)は、y2(n)の絶対値|y2(n)|を量子化したものであるので、熱雑音が無い限り、必ず、“1”になる。その結果、受信電波がウェイクアップ信号WKである場合、平均値SMCRも“1”になる。
【0102】
従って、識別手段275は、平均値SMCRが閾値c以上であれば、受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別し、平均値SMCRが閾値cよりも小さければ、受信電波が無線LANによる信号であると識別する。
【0103】
(識別方法3)
識別手段275は、式(3)を用いてy2(n)を演算し、その演算したy2(n)を次式に代入して平均値MSMCRを演算する。
【0104】
【数5】
【0105】
上述したように、y2(n)は、“1”または“−1”に近い値からなる。そして、平均値MSMCRは、y2(n)の絶対値|y2(n)|の平均値である。その結果、受信電波がウェイクアップ信号WKである場合、平均値MSMCRは、“1”に近い値からなる。
【0106】
従って、識別手段275は、平均値MSMCRが閾値c以上であれば、受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別し、平均値MSMCRが閾値cよりも小さければ、受信電波が無線LANによる信号であると識別する。
【0107】
識別手段275は、上述した識別方法1〜識別方法3のいずれかの方法を用いて受信電波がウェイクアップ信号WKであるか無線LANによる信号であるかを識別する。そして、識別手段275は、識別方法1を用いる場合、A/D変換器274からデジタル値(=量子化値/x(2n−1),/x(2n))を受け、識別方法2または識別方法3を用いる場合、A/D変換器274からサンプリング値x(2n−1),x(2n)を受ける。
【0108】
判定手段276は、次の2つの方法のいずれかを用いて識別情報を復号する。
【0109】
(復号方法1)
判定手段276は、ハードデコーディングを行い、量子化値/x(2n−1),/x(2n)からビットを算出する。即ち、判定手段276は、量子化値/x(2n−1),/x(2n)をA/D変換器274から受ける。そして、判定手段276は、量子化値/x(2n−1)が“0”であり、かつ、量子化値/x(2n)が“1”である場合、ウェイクアップIDのn番目のビットを“1”とする。また、判定手段276は、量子化値/x(2n−1)が“1”であり、かつ、量子化値/x(2n)が“0”である場合、ウェイクアップIDのn番目のビットを“0”とする。更に、判定手段276は、それ以外の場合、受信エラーとする。
【0110】
(復号方法2)
判定手段276は、ソフトデコーディングを行い、式(3)におけるy2(n)からビットを算出する。即ち、判定手段276は、サンプリング値x(2n−1),x(2n)をA/D変換器274から受ける。そして、判定手段276は、サンプリング値x(2n−1),x(2n)を式(3)に代入してy2(n)を算出する。その後、判定手段276は、y2(n)>0であれば、ウェイクアップIDのn番目のビットを“1”とする。また、判定手段276は、y2(n)≦0であれば、ウェイクアップIDのn番目のビットを“0”とする。
【0111】
図9は、図1に示す無線通信システム100における動作を説明するためのフローチャートである。なお、図9においては、アクセスポイント20がスリープ状態であることを前提として無線通信システム100における動作を説明する。
【0112】
図9を参照して、一連の動作が開始されると、端末装置10の無線LANカード13は、ウェイクアップ信号送信機12に対してウェイクアップ信号WKの送信指示Wupを出す(ステップS1)。
【0113】
そして、端末装置10のウェイクアップ信号送信機12は、上述した方法によって、ウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDをマンチェスター符号化する(ステップS2)。
【0114】
その後、端末装置10のウェイクアップ信号送信機12は、ウェイクアップIDをマンチェスター符号化したビット列に基づいて、オン/オフ制御信号SSを生成する(ステップS3)。
【0115】
また、端末装置10のウェイクアップ信号送信機12は、チャープ拡散スペクトルCSSを用いて周波数の拡散制御を行い、キャリア信号CYSを生成する(ステップS4)。
【0116】
そうすると、端末装置10のウェイクアップ信号送信機12は、キャリア信号CYSにオン/オフ制御信号SSを乗算してウェイクアップ信号WKを生成し(ステップS5)、ウェイクアップ信号WKを増幅する(ステップS6)。
【0117】
そして、端末装置10のウェイクアップ信号送信機12は、チャネル上でキャリアセンスを行い(ステップS7)、チャネルがアイドル状態であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0118】
ステップS8において、チャネルがアイドル状態でないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS7へ戻り、ステップS7,S8が繰り返し実行される。
【0119】
そして、ステップS8において、チャネルがアイドル状態であると判定されると、端末装置10のウェイクアップ信号送信機12は、ウェイクアップ信号WKのオフ期間が無線通信方式(IEEE802.11)における最短のアイドル判定時間(例えばPIFS)よりも短くなる伝送レートで電波をアンテナ11を介して送信する(ステップS9)。
【0120】
アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、端末装置10からアンテナ21を介して電波を受信し(ステップS10)、BPFをかける(ステップS11)。
【0121】
そして、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、受信電波の包絡線検波を行い(ステップS12)、サンプリングタイミングを設定する(ステップS13)。
【0122】
そうすると、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、受信電波をサンプリングしてサンプリング値x(2n−1),x(2n)を検出するとともに、サンプリング値x(2n−1),x(2n)を量子化する。即ち、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、A/D変換を行う(ステップS14)。
【0123】
そして、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、サンプリング値x(2n−1),x(2n)、またはサンプリング値x(2n−1),x(2n)および量子化値/x(2n−1),/x(2n)を用いて、上述した方法によって、ウェイクアップ信号WKと無線LANによる信号とを識別する(ステップS15)。
【0124】
また、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、ステップS15と並行して、受信電波を復号して得られた識別情報(=ウェイクアップID)がアクセスポイント20の識別情報に一致するか否かを判定する(ステップS16)。
【0125】
そして、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、受信電波がウェイクアップ信号WKであり、かつ、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致するか否かを判定する(ステップS17)。
【0126】
ステップS17において、受信電波がウェイクアップ信号WKであり、かつ、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致すると判定されたとき、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27は、ウェイクアップ指示信号Wu_comdを電源25へ出力し(ステップS18)、電源25は、ウェイクアップ指示信号Wu_comdに応じて、電力を無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24に供給する。これによって、アクセスポイント20は、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0127】
そして、ステップS17において、受信電波がウェイクアップ信号WKでない、または、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致しないと判定されたとき、またはステップS18の後、一連の動作は、終了する。
【0128】
上述したように、端末装置10は、アクセスポイント20の識別情報(例えば、11001)をマンチェスター符号化したビット列“0101101001”を生成し、ビット列“0101101001”において“0”が連続するオフ期間に対応するウェイクアップ信号WKのオフ期間(=T1)が無線通信方式(IEEE802.11)における最短のアイドル判定時間(例えば、PIFS)よりも短くなる伝送レートで電波を送信する。
【0129】
その結果、ウェイクアップ信号WKの送信中に無線LANによる信号が送信されることはなく、ウェイクアップ信号WKは、アクセスポイント20へ正確に伝送される。また、アクセスポイント20は、ウェイクアップ信号WKからなる電波を正確に受信し、端末装置10から送信されたウェイクアップ信号WKを検知する。
【0130】
従って、ウェイクアップ信号の誤検知を抑制できる。
【0131】
また、アクセスポイント20は、受信電波に基づいてウェイクアップ信号WKと無線LANによる信号とを識別し、受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別した場合にウェイクアップ信号WKを検知する。
【0132】
従って、アクセスポイント20において、ウェイクアップ信号WKの誤検知を抑制できる。
【0133】
更に、端末装置10は、チャープ拡散スペクトルCSSによって周波数の拡散制御を行ってキャリア信号CYSを生成し、その生成したキャリア信号CYSを用いてウェイクアップ信号WKをアクセスポイント20へ送信する。
【0134】
従って、送信波のスペクトル密度および帯域幅が無線通信規制を満たすことができる。
【0135】
図10は、図4に示すウェイクアップ信号受信機27の他の構成図である。この発明の実施の形態においては、図4に示すウェイクアップ信号受信機27は、図10に示すウェイクアップ信号受信機27Aからなっていてもよい。
【0136】
図10を参照して、ウェイクアップ信号受信機27Aは、図5に示すウェイクアップ信号受信機27の識別手段275および判定手段276をそれぞれ識別手段275Aおよび判定手段276Aに代えたものであり、その他の構成は、ウェイクアップ信号受信機27と同じである。
【0137】
ウェイクアップ信号受信機27Aにおいては、BPF271、包絡線検波手段272、タイミング設定手段273、A/D変換器274および識別手段275Aは、常時、電源26から電力を供給されており、判定手段276Aは、ウェイクアップ信号WKが検知されるまで、電源26から電力を供給されない。即ち、BPF271、包絡線検波手段272、タイミング設定手段273、A/D変換器274および識別手段275Aは、常時、起動状態であり、判定手段276Aは、ウェイクアップ信号WKが検知されるまでスリープ状態である。
【0138】
識別手段275Aは、受信電波の量子化値/x(2n−1),/x(2n)またはサンプリング値x(2n−1),x(2n)をA/D変換器274から受ける。
【0139】
そして、識別手段275Aは、上述した識別方法1〜識別方法3のいずれかの方法を用いて受信電波がウェイクアップ信号WKであるか無線LANによる信号であるかを識別する。
【0140】
識別手段275Aは、受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別したとき、判定手段276Aを起動するための起動信号PONを生成し、その生成した起動信号PONを電源26へ出力する。そして、電源26は、識別手段275Aからの起動信号PONに応じて判定手段276Aへ電力を供給する。
【0141】
これによって、判定手段276Aは、起動し、A/D変換器274から受けた受信電波のサンプリング値x(2n−1),x(2n)または受信電波の量子化値/x(2n−1),/x(2n)に基づいて、受信電波に含まれる識別情報を復号し、その復号した識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致するか否かを判定する。
【0142】
なお、判定手段276Aは、量子化値/x(2n−1),/x(2n)に基づいて識別情報を復号する場合、上述した復号方法1を用い、受信電波のサンプリング値x(2n−1),x(2n)に基づいて識別情報を復号する場合、上述した復号方法2を用いる。
【0143】
判定手段276Aは、受信電波に含まれる識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致すると判定したとき、ウェイクアップ指示信号Wu_comdを電源25へ出力する。これによって、電源25は、無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24へ電力を供給し、アクセスポイント20は、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0144】
図11は、図1に示す無線通信システム100の動作を説明するための他のフローチャートである。
【0145】
図11に示すフローチャートは、図9に示すフローチャートのステップS15〜ステップS18をステップS19〜ステップS23に代えたものであり、その他の部分は、図9に示すフローチャートと同じである。
【0146】
また、図11に示すフローチャートは、アクセスポイント20が図10に示すウェイクアップ信号受信機27Aを備える場合の無線通信システム100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0147】
図11を参照して、一連の動作が開始されると、上述したステップS1〜ステップS14が順次実行される。
【0148】
そして、ステップS14の後、アクセスポイント20のウェイクアップ信号受信機27Aにおいて、識別手段275Aは、上述した識別方法1〜識別方法3のいずれかを用いてウェイクアップ信号WKと無線LANによる信号とを識別する(ステップS19)。
【0149】
そして、識別手段275Aは、受信電波がウェイクアップ信号WKであるか否かを判定する(ステップS20)。
【0150】
ステップS20において、受信電波がウェイクアップ信号WKであると判定されたとき、識別手段275Aは、起動信号PONを生成して電源26へ出力し、電源26は、起動信号PONに応じて電力を判定手段276Aへ供給する(ステップS21)。
【0151】
そして、判定手段276Aは、電源26からの電力によって起動し、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致するか否かを判定する(ステップS22)。
【0152】
ステップS22において、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致すると判定されたとき、判定手段276Aは、ウェイクアップ指示信号Wu_comdを電源25へ出力し(ステップS23)、電源25は、ウェイクアップ指示信号Wu_comdに応じて、電力を無線LANカード22、CPU23およびネットワーク接続カード24に供給する。これによって、アクセスポイント20は、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0153】
そして、ステップS20において、受信電波がウェイクアップ信号WKでないと判定されたとき、またはステップS22において、受信電波を復号して得られた識別情報がアクセスポイント20の識別情報に一致しないと判定されたとき、またはステップS23の後、一連の動作は、終了する。
【0154】
上述したように、ウェイクアップ信号受信機27Aにおいては、判定手段276Aは、識別手段275Aによって受信電波がウェイクアップ信号WKであると識別されると、起動する。
【0155】
従って、アクセスポイント20がウェイクアップ信号受信機27を備える場合よりも更に消費電力を低減できる。
【0156】
その他、アクセスポイント20がウェイクアップ信号受信機27を備える場合と同様の効果が得られる。
【0157】
図12は、この発明の実施の形態による他の無線通信システムの概略図である。この発明の実施の形態による無線通信システムは、図12に示す無線通信システム200であってもよい。
【0158】
図12を参照して、無線通信システム200は、端末装置10と、アクセスポイント(AP)201〜210とを備える。
【0159】
アクセスポイント(AP)201〜210は、メッシュ状に配置される。そして、アクセスポイント(AP)201は、有線ケーブル230を介してゲートウェイ220に接続される。ゲートウェイ220は、有線ケーブル240を介してネットワーク30に接続される。
【0160】
アクセスポイント(AP)201は、ゲートウェイ220と、アクセスポイント(AP)202(またはアクセスポイント(AP)206)との間で通信を行うとともに、配下の端末装置(図示せず)との間で無線通信を行う。各アクセスポイント(AP)は、ルーティングのための制御パケットを交換することで、ゲートウェイまでの最短経路となる隣接のアクセスポイント(AP)を把握している。
【0161】
アクセスポイント(AP)202〜210の各々は、隣接する2つのアクセスポイントとの間で通信を行うとともに、配下の端末装置(図示せず)との間で無線通信を行う。
【0162】
端末装置10は、例えば、アクセスポイント(AP)204の配下に配置される。そして、端末装置10は、図9または図11に示すフローチャートに従ってアクセスポイント(AP)204と無線通信を行う。
【0163】
図13は、図12に示すアクセスポイント201の構成図である。図13を参照して、アクセスポイント(AP)201は、上述したアクセスポイント20にウェイクアップ信号送信機12を追加したものである。
【0164】
アクセスポイント(AP)201においては、CPU23は、アクセスポイント(AP)201に隣接するアクセスポイント(AP)202,206から、一定期間、パケットを受信しないとき、アクセスポイント(AP)202,206がスリープ状態であると判定する。
【0165】
また、アクセスポイント(AP)201のCPU23は、アクセスポイント(AP)201の配下の端末装置または隣接する一方のアクセスポイント(AP)202(またはアクセスポイント(AP)206)によってウェイクアップされる。
【0166】
アクセスポイント(AP)202は、図13に示すアクセスポイント(AP)201と同じ構成からなる。アクセスポイント(AP)202のCPU23は、アクセスポイント(AP)202の配下の端末装置または隣接する一方のアクセスポイント(AP)203によってウェイクアップされると、アクセスポイント(AP)202に隣接する他方のアクセスポイント(AP)201をウェイクアップするための指示信号をウェイクアップ信号送信機12へ出力する。
【0167】
アクセスポイント(AP)202のウェイクアップ信号送信機12は、CPU23からの指示信号に応じて、上述した方法によってウェイクアップ信号WKを生成して送信する。
【0168】
なお、図12に示すアクセスポイント(AP)203〜210の各々も、図13に示すアクセスポイント(AP)201と同じ構成からなる。
【0169】
再び、図12を参照して、端末装置10は、アクセスポイント(AP)201〜210の全てがスリープ状態である場合において、ネットワーク30を介して通信を開始するとき、上述した方法によって、ウェイクアップ信号WKを生成してアクセスポイント(AP)204へ送信する。
【0170】
アクセスポイント(AP)204は、端末装置10からのウェイクアップ信号WKを受信し、上述したアクセスポイント20と同じ方法によってスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0171】
その後、アクセスポイント(AP)204は、端末装置10と同じ方法によってウェイクアップ信号WKを生成してアクセスポイント(AP)203へ送信する。
【0172】
アクセスポイント(AP)203は、アクセスポイント(AP)204からのウェイクアップ信号WKを受信し、上述したアクセスポイント20と同じ方法によってスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0173】
引き続いて、アクセスポイント(AP)203は、端末装置10と同じ方法によってウェイクアップ信号WKを生成してアクセスポイント(AP)202へ送信する。
【0174】
アクセスポイント(AP)202は、アクセスポイント(AP)203からのウェイクアップ信号WKを受信し、上述したアクセスポイント20と同じ方法によってスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0175】
そして、アクセスポイント(AP)202は、端末装置10と同じ方法によってウェイクアップ信号WKを生成してアクセスポイント(AP)201へ送信する。
【0176】
アクセスポイント(AP)201は、アクセスポイント(AP)202からのウェイクアップ信号WKを受信し、上述したアクセスポイント20と同じ方法によってスリープ状態から起動状態へ移行する。
【0177】
これによって、スリープ状態であったアクセスポイント(AP)201〜204は、起動状態へ移行する。
【0178】
従って、端末装置10は、アクセスポイント(AP)201〜204、ゲートウェイ220およびネットワーク30を介して通信を行うことができる。
【0179】
アクセスポイント(AP)204以外のアクセスポイント(AP)202,203,205〜210の配下に配置された端末装置も、上述した方法によって、自己が所属するアクセスポイントからアクセスポイント(AP)201までの経路上に存在する全てのアクセスポイントをスリープ状態から起動状態へ移行させ、その起動状態へ移行させたアクセスポイント、ゲートウェイ220およびネットワーク30を介して通信を行うことができる。
【0180】
このように、アクセスポイント(AP)201〜210がメッシュ状に配置された無線通信システム200において、アクセスポイント(AP)201〜210がスリープ状態であっても、各アクセスポイント(AP)201〜210の配下に配置された端末装置は、自己が所属するアクセスポイントをウェイクアップし、そのウェイクアップしたアクセスポイントがゲートウェイ220の方向に存在するアクセスポイントを順次ウェイクアップすることによってネットワーク30を介して通信を行うことができる。
【0181】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0182】
この発明は、端末装置、それと無線通信を行う無線装置、およびそれらを備えた無線通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0183】
10 端末装置、11,21 アンテナ、12 ウェイクアップ信号送信機、13,22 無線LANカード、14 CPU/表示部、15,25,26 電源、20,201〜210 アクセスポイント、23 CPU、24 ネットワーク接続カード、27,27A ウェイクアップ信号受信機、30 ネットワーク、40,230,240 有線ケーブル、100,200 無線通信システム、121 ID生成手段、122 演算手段、123 オン/オフ制御手段、124 周波数拡散手段、125 乗算器、126 増幅手段、127 送信手段、220 ゲートウェイ、271 BPF、272 包絡線検波手段、273 タイミング設定手段、274 A/D変換器、275,275A 識別手段、276,276A 判定手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信信号を送受信するために用いられるアンテナと、
無線通信の要求に応じて、ウェイクアップさせる無線装置の識別情報をマンチェスター符号化する演算手段と、
前記マンチェスター符号化された識別情報を用いてオン/オフ制御信号を生成し、その生成したオン/オフ制御信号を前記無線通信に用いる周波数を有するキャリア信号に乗算してウェイクアップ信号を生成する信号生成手段と、
前記無線通信に用いる周波数からなるチャネル上でキャリアセンスを行い、前記チャネルがアイドル状態である場合、前記ウェイクアップ信号を前記アンテナを用いて送信する送信手段とを備え、
前記送信手段は、前記オン/オフ制御信号におけるオフ期間に対応する前記ウェイクアップ信号のオフ期間が前記チャネルのアイドル状態を判断するための最短時間よりも短くなる伝送レートで前記ウェイクアップ信号を送信する、端末装置。
【請求項2】
前記信号生成手段は、前記無線通信に用いる周波数帯における中心周波数に対して前記中心周波数よりも高周波数側および低周波数側へ周波数を拡散させて前記キャリア信号を生成し、その生成したキャリア信号に前記オン/オフ制御信号を乗算してウェイクアップ信号を生成する、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
無線通信信号を送受信するために用いられるアンテナと、
前記アンテナを用いて前記無線通信信号を端末装置と送受信するとともに、一定期間、前記端末装置と無線通信が行われないときスリープ状態へ移行する無線通信手段と、
前記無線通信信号の送受信に用いる周波数を有するチャネル上で前記アンテナを介して電波を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された受信電波が前記無線通信信号および当該無線装置を識別するための第1の識別情報をマンチェスター符号化して生成されたウェイクアップ信号のいずれであるかを識別する識別手段と、
前記受信電波が前記ウェイクアップ信号である場合、前記受信電波を復号して得られた第2の識別情報が前記第1の識別情報に一致するか否かを判定し、前記第2の識別情報が前記第1の識別情報に一致するとき、前記スリープ状態へ移行した無線通信手段を起動する判定手段とを備える無線装置。
【請求項4】
演算を行うとともに、前記無線通信手段が、一定期間、無線通信を行わないとき前記スリープ状態へ移行する演算手段と、
当該無線装置をネットワークに接続するとともに、前記無線通信手段が、一定期間、無線通信を行わないとき前記スリープ状態へ移行するネットワーク接続手段とを更に備え、
前記判定手段は、前記第2の識別情報が前記第1の識別情報に一致するとき、前記スリープ状態へ移行した演算手段およびネットワーク接続手段を更に起動する、請求項3に記載の無線装置。
【請求項5】
前記識別手段は、前記受信電波を包絡線検波し、その包絡線検波した包絡線の強度を複数のタイミングで検出し、その検出した複数の強度を量子化し、その量子化した複数の量子化値のうち、隣接する2つの量子化値の排他的論理和を演算する処理を前記複数の量子化値の全てについて実行し、前記複数の量子化値について前記排他的論理和の平均値を演算し、その演算した平均値が閾値以上であるとき、前記受信電波が前記ウェイクアップ信号であると識別する、請求項3または請求項4に記載の無線装置。
【請求項6】
前記識別手段は、前記受信電波を包絡線検波し、その包絡線検波した包絡線の強度を複数のタイミングで検出し、その検出した複数の強度のうち、隣接する2つの強度の一方に−1を乗算した乗算結果と、前記隣接する2つの強度の他方に1を乗算した乗算結果との和の絶対値を量子化する処理を前記複数の強度の全てについて実行し、その量子化した複数の量子化値の平均値を演算し、その演算した平均値が閾値以上であるとき、前記受信電波が前記ウェイクアップ信号であると識別する、請求項3または請求項4に記載の無線装置。
【請求項7】
前記識別手段は、前記受信電波を包絡線検波し、その包絡線検波した包絡線の強度を複数のタイミングで検出し、その検出した複数の強度のうち、隣接する2つの強度の一方に−1を乗算した乗算結果と、前記隣接する2つの強度の他方に1を乗算した乗算結果との和の絶対値を演算する処理を前記複数の強度の全てについて実行し、その演算した複数の絶対値の平均値を演算し、その演算した平均値が閾値以上であるとき、前記受信電波が前記ウェイクアップ信号であると識別する、請求項3または請求項4に記載の無線装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記第2の識別情報が前記第1の識別情報に一致すると判定し、前記識別手段によって前記受信電波が前記ウェイクアップ信号であると識別されると、前記スリープ状態へ移行した無線通信手段を少なくとも起動する、請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項9】
前記判定手段は、前記識別手段によって前記受信電波が前記ウェイクアップ信号であると識別されると、起動し、前記第2の識別情報が前記第1の識別情報に一致するか否かを判定し、前記第2の識別情報が前記第1の識別情報に一致するとき、前記スリープ状態へ移行した無線通信手段を少なくとも起動する、請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項10】
端末装置と、
前記端末装置と無線通信を行う無線装置とを備え、
前記端末装置は、請求項1または請求項2に記載の端末装置からなり、
前記無線装置は、請求項3から請求項9のいずれか1項に記載の無線装置からなる、無線通信システム。
【請求項11】
前記無線装置は、ネットワークに接続され、かつ、メッシュ状に配置された複数のアクセスポイントからなり、
前記複数のアクセスポイントの各々は、
請求項1または請求項2に記載の端末装置と、
請求項3から請求項9のいずれか1項に記載の無線装置とを含み、
前記端末装置は、前記無線通信を開始するとき、前記複数のアクセスポイントのうちの1つのアクセスポイントへ前記ウェイクアップ信号を送信し、
前記1つのアクセスポイントは、前記端末装置からの前記ウェイクアップ信号に応じて起動し、
前記1つのアクセスポイント以外のアクセスポイントは、前記1つのアクセスポイントまたは自己よりも前記1つのアクセスポイント側に位置するアクセスポイントからの前記ウェイクアップ信号に応じて起動する、請求項10に記載の無線通信システム。
【請求項1】
無線通信信号を送受信するために用いられるアンテナと、
無線通信の要求に応じて、ウェイクアップさせる無線装置の識別情報をマンチェスター符号化する演算手段と、
前記マンチェスター符号化された識別情報を用いてオン/オフ制御信号を生成し、その生成したオン/オフ制御信号を前記無線通信に用いる周波数を有するキャリア信号に乗算してウェイクアップ信号を生成する信号生成手段と、
前記無線通信に用いる周波数からなるチャネル上でキャリアセンスを行い、前記チャネルがアイドル状態である場合、前記ウェイクアップ信号を前記アンテナを用いて送信する送信手段とを備え、
前記送信手段は、前記オン/オフ制御信号におけるオフ期間に対応する前記ウェイクアップ信号のオフ期間が前記チャネルのアイドル状態を判断するための最短時間よりも短くなる伝送レートで前記ウェイクアップ信号を送信する、端末装置。
【請求項2】
前記信号生成手段は、前記無線通信に用いる周波数帯における中心周波数に対して前記中心周波数よりも高周波数側および低周波数側へ周波数を拡散させて前記キャリア信号を生成し、その生成したキャリア信号に前記オン/オフ制御信号を乗算してウェイクアップ信号を生成する、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
無線通信信号を送受信するために用いられるアンテナと、
前記アンテナを用いて前記無線通信信号を端末装置と送受信するとともに、一定期間、前記端末装置と無線通信が行われないときスリープ状態へ移行する無線通信手段と、
前記無線通信信号の送受信に用いる周波数を有するチャネル上で前記アンテナを介して電波を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された受信電波が前記無線通信信号および当該無線装置を識別するための第1の識別情報をマンチェスター符号化して生成されたウェイクアップ信号のいずれであるかを識別する識別手段と、
前記受信電波が前記ウェイクアップ信号である場合、前記受信電波を復号して得られた第2の識別情報が前記第1の識別情報に一致するか否かを判定し、前記第2の識別情報が前記第1の識別情報に一致するとき、前記スリープ状態へ移行した無線通信手段を起動する判定手段とを備える無線装置。
【請求項4】
演算を行うとともに、前記無線通信手段が、一定期間、無線通信を行わないとき前記スリープ状態へ移行する演算手段と、
当該無線装置をネットワークに接続するとともに、前記無線通信手段が、一定期間、無線通信を行わないとき前記スリープ状態へ移行するネットワーク接続手段とを更に備え、
前記判定手段は、前記第2の識別情報が前記第1の識別情報に一致するとき、前記スリープ状態へ移行した演算手段およびネットワーク接続手段を更に起動する、請求項3に記載の無線装置。
【請求項5】
前記識別手段は、前記受信電波を包絡線検波し、その包絡線検波した包絡線の強度を複数のタイミングで検出し、その検出した複数の強度を量子化し、その量子化した複数の量子化値のうち、隣接する2つの量子化値の排他的論理和を演算する処理を前記複数の量子化値の全てについて実行し、前記複数の量子化値について前記排他的論理和の平均値を演算し、その演算した平均値が閾値以上であるとき、前記受信電波が前記ウェイクアップ信号であると識別する、請求項3または請求項4に記載の無線装置。
【請求項6】
前記識別手段は、前記受信電波を包絡線検波し、その包絡線検波した包絡線の強度を複数のタイミングで検出し、その検出した複数の強度のうち、隣接する2つの強度の一方に−1を乗算した乗算結果と、前記隣接する2つの強度の他方に1を乗算した乗算結果との和の絶対値を量子化する処理を前記複数の強度の全てについて実行し、その量子化した複数の量子化値の平均値を演算し、その演算した平均値が閾値以上であるとき、前記受信電波が前記ウェイクアップ信号であると識別する、請求項3または請求項4に記載の無線装置。
【請求項7】
前記識別手段は、前記受信電波を包絡線検波し、その包絡線検波した包絡線の強度を複数のタイミングで検出し、その検出した複数の強度のうち、隣接する2つの強度の一方に−1を乗算した乗算結果と、前記隣接する2つの強度の他方に1を乗算した乗算結果との和の絶対値を演算する処理を前記複数の強度の全てについて実行し、その演算した複数の絶対値の平均値を演算し、その演算した平均値が閾値以上であるとき、前記受信電波が前記ウェイクアップ信号であると識別する、請求項3または請求項4に記載の無線装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記第2の識別情報が前記第1の識別情報に一致すると判定し、前記識別手段によって前記受信電波が前記ウェイクアップ信号であると識別されると、前記スリープ状態へ移行した無線通信手段を少なくとも起動する、請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項9】
前記判定手段は、前記識別手段によって前記受信電波が前記ウェイクアップ信号であると識別されると、起動し、前記第2の識別情報が前記第1の識別情報に一致するか否かを判定し、前記第2の識別情報が前記第1の識別情報に一致するとき、前記スリープ状態へ移行した無線通信手段を少なくとも起動する、請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項10】
端末装置と、
前記端末装置と無線通信を行う無線装置とを備え、
前記端末装置は、請求項1または請求項2に記載の端末装置からなり、
前記無線装置は、請求項3から請求項9のいずれか1項に記載の無線装置からなる、無線通信システム。
【請求項11】
前記無線装置は、ネットワークに接続され、かつ、メッシュ状に配置された複数のアクセスポイントからなり、
前記複数のアクセスポイントの各々は、
請求項1または請求項2に記載の端末装置と、
請求項3から請求項9のいずれか1項に記載の無線装置とを含み、
前記端末装置は、前記無線通信を開始するとき、前記複数のアクセスポイントのうちの1つのアクセスポイントへ前記ウェイクアップ信号を送信し、
前記1つのアクセスポイントは、前記端末装置からの前記ウェイクアップ信号に応じて起動し、
前記1つのアクセスポイント以外のアクセスポイントは、前記1つのアクセスポイントまたは自己よりも前記1つのアクセスポイント側に位置するアクセスポイントからの前記ウェイクアップ信号に応じて起動する、請求項10に記載の無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−175534(P2012−175534A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37248(P2011−37248)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「無駄な消費電力量を削減するRadio On Demand Networksの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「無駄な消費電力量を削減するRadio On Demand Networksの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】
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