端末装置、プログラム、記録媒体およびサーバ装置
【課題】サービスの提供の許否をサーバ装置に照会する必要があるアプリケーションについて、サービスの提供が許可されていない端末装置や利用者へのサービスの提供を抑えつつ利便性を高める。
【解決手段】端末装置には、サービスの提供の許否を示す許否情報が記憶されている。この許否情報は、サーバ装置から取得した照会結果に基づいて更新される。端末装置の制御部は、アプリケーションの使用が指示されると、アプリケーションによるサービスの提供を開始する前に許否情報(前回の照会結果)を参照する。制御部は、許否情報が許可を示す場合、サーバ装置への照会および許否情報の更新をサービスの提供中またはサービスの提供後に行う。
【解決手段】端末装置には、サービスの提供の許否を示す許否情報が記憶されている。この許否情報は、サーバ装置から取得した照会結果に基づいて更新される。端末装置の制御部は、アプリケーションの使用が指示されると、アプリケーションによるサービスの提供を開始する前に許否情報(前回の照会結果)を参照する。制御部は、許否情報が許可を示す場合、サーバ装置への照会および許否情報の更新をサービスの提供中またはサービスの提供後に行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、プログラム、記録媒体およびサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アプリケーションプログラムやアプリケーションソフトウェア(以下、これらをまとめてアプリケーションと記載する)は、端末装置の利用者に各種のサービスを提供することができる。これらのアプリケーションの中には、利用権限の有無をサーバ装置に問い合わせ、利用権限がないとサービスの提供を受けられないものがある。例えば、特許文献1には、アプリケーションによるサービスを提供する前に、会員であるか否かをサーバ装置に照会し、会員であればサービスの提供を許可する端末装置が記載されている。また、特許文献2には、認証サーバへの会員認証を、アプリケーションの利用を開始するときや、アプリケーションの利用の途中で行う端末装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/021302号
【特許文献2】特許第4313425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、認証サーバへの会員認証をアプリケーションの利用を開始する前に行う場合、アプリケーションの利用を開始する前に認証サーバとの通信を行う必要がある。このためサービスの提供が開始されるまでの待ち時間が長くなり、アプリケーションの利便性がよくない。一方、認証サーバへの会員認証をアプリケーションの利用の途中で行う場合、会員であるか否かにかかわらずサービスの提供を一旦開始し、会員でない場合にはサービスの提供を途中で止めることになる。このため会員でない場合にもサービスの提供を途中まで受けることが可能になってしまう。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、サービスの提供の許否をサーバ装置に照会する必要があるアプリケーションについて、サービスの提供が許可されていない端末装置や利用者へのサービスの提供を抑えつつ利便性を高めることを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係る端末装置は、端末装置の利用者にサービスを提供するためのアプリケーションを記憶する第1記憶部と、前記第1記憶部に記憶された前記アプリケーションによるサービスを提供する提供部と、前記端末装置または前記利用者を識別する識別情報を記憶する第2記憶部と、外部のサーバ装置と通信を行い、前記第2記憶部に記憶された前記識別情報によって識別される前記端末装置または前記利用者に対して前記サービスの提供が許可されているか否かを照会する照会部と、前記サービスの提供の許否を示す許否情報を記憶する第3記憶部と、前記照会部による照会結果に基づいて、前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を更新する更新部と、前記提供部、前記照会部および前記更新部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記アプリケーションの使用が指示されると、前記提供部による前記サービスの提供を開始する前に前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を参照し、前記許否情報が許可を示す場合は、前記提供部による前記サービスの提供を開始し、前記サービスの提供中または提供後に、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行うことを特徴とする。
【0007】
以上の構成によれば、制御部は、アプリケーションの使用が指示されると、アプリケーションによるサービスの提供を開始する前に、第3記憶部に記憶されている許否情報を参照し、許否情報が許可を示す場合は、サーバ装置への照会および許否情報の更新をサービスの提供中またはサービスの提供後に行う。
【0008】
ここで、許否情報は、照会部による照会結果に基づいて更新される。また、許否情報が参照されるのは、アプリケーションの使用が指示された後、サーバ装置への照会および許否情報の更新が行われる前である。従って、許否情報は、一度も更新されていない場合を除き、前回の照会結果に応じたものとなる。つまり、許否情報が許可を示す場合は、前回の照会結果がサービスの提供を許可していた場合になる。また、許否情報(前回の照会結果)が許可を示す場合、サーバ装置への前回の照会時以降にサービスの提供を受ける権利が“有”から“無”に変更されていない限り、現時点においてもサービスの提供は許可されていることになる。つまり、許否情報が許可を示す場合とは、サービスの提供が許可されている可能性が高い場合になる。従って、このような場合には、サーバ装置への照会および許否情報の更新をサービスの提供中またはサービスの提供後に行うことで、サーバ装置との通信や許否情報の更新に関する処理をサービスの提供前に行う必要がなくなるから、サービスの提供が開始されるまでの待ち時間を短縮し、アプリケーションの利便性を高めることができる。よって、サービスの提供が許可されていない端末装置や利用者へのサービスの提供を抑えつつ、サービスの提供が開始されるまでの待ち時間を短縮してアプリケーションの利便性を高めることができる。
【0009】
なお、「アプリケーション」は、例えば、ゲームソフト、ワープロソフト、画像編集ソフト、アンチウイルスソフト等のアプリケーションソフトウェアやアプリケーションプログラムの他に、音楽データとその再生ソフト、映像データとそのビューワ等であってもよい。アプリケーションによって提供されるサービスとして、例えば、ゲームのプレイ、文書作成、画像編集、コンピュータウイルスの検出や駆除、音楽や映像の再生等を例示することができる。また、「アプリケーション」は、ネットワークを介して端末装置に提供されるものの他に、CD−ROMやメモリカード等の記録媒体を介して端末装置に提供されるものや、端末装置にプリインストールされているものであってもよい。このように「アプリケーション」は、端末装置の利用者にサービスを提供するためのプログラムやソフトウェア等であって、利用者がサービスを利用する前に端末装置の第1記憶部に記憶されていればよい。
【0010】
「識別情報」は、例えば端末装置や利用者ごとに固有のIDである。但し、「識別情報」は、必ずしも端末装置や利用者ごとにユニークな情報である必要はなく、例えば複数の端末装置や複数の利用者ごとに固有のグループIDであってもよい。また、「識別情報」として、アプリケーションに付与されるライセンス番号や、サーバ装置によって生成されて端末装置に送られてくるクッキー(cookie)を使用することもできる。
【0011】
「許否情報」は、例えば、サービスの提供を許可する場合に“1”となり、サービスの提供を許可しない場合に“0”となるフラグである。例えば、更新部は、サーバ装置からの照会結果がサービスの提供を許可している場合に「許否情報」を“1”に更新し、サーバ装置からの照会結果がサービスの提供を許可していない場合に「許否情報」を“0”に更新する。なお、許否情報を更新するための処理(照会部による照会および更新部による更新)は、サービスを提供する都度、毎回行われてもよいし、毎回でなく所定回数ごとに1回の割合で行われてもよい。例えば、後述する実施形態では、メインモジュール11Aと、サービス本体モジュール11Bと、利用権限照会モジュール11Cによって構成されるアプリケーション11を例示しており、図8のフローチャートに示すように、アプリケーション11の起動指示に応じてメインモジュール11Aを実行した後、ステップS402にてサービス本体モジュール11Bを実行してサービスの提供を開始する都度、毎回、利用権限照会モジュール11Cを実行して制御フラグ520の値(許否情報)を更新している(ステップS403)。しかしながら、サービス本体モジュール11Bの実行回数をカウントし、カウント値が例えば3の倍数になった場合にのみ、利用権限照会モジュール11Cを実行して制御フラグ520の値を更新してもよい。このように照会部による照会および更新部による更新は、サービスの提供中やサービスの提供後に必ずしも毎回行われる必要はない。
【0012】
「第1記憶部」と「第2記憶部」と「第3記憶部」は、同じメモリ内に設けられてもよいし、2以上の異なるメモリに分散して設けられてもよい。これらの記憶部が設けられるメモリとして、例えば、端末装置に備わる内蔵メモリ、端末装置に挿入されるカード型記録媒体、端末装置に接続される外部記憶装置等を例示することができる。「端末装置」は、通信機能を有するコンピュータであり、例えば、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、ビデオゲーム機等を例示することができる。なお、「端末装置」は、無線で通信を行うものであってもよいし、有線で通信を行うものであってもよい。
【0013】
また、上述した端末装置において、前記制御部は、前記許否情報が不許可を示す場合は、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行った後、更新後の前記許否情報が前記許可を示す場合に前記提供部による前記サービスの提供を行い、更新後の前記許否情報が前記不許可を示す場合に前記提供部による前記サービスの提供を行わないようにしてもよい。
【0014】
この構成によれば、制御部は、アプリケーションの使用が指示されると、アプリケーションによるサービスの提供を開始する前に、第3記憶部に記憶されている許否情報を参照し、許否情報が不許可を示す場合は、サーバ装置への照会および許否情報の更新を行った後、更新後の許否情報が許可を示す場合にサービスの提供を行い、更新後の許否情報が不許可を示す場合にサービスの提供を行わない。
【0015】
前述したように許否情報は前回の照会結果に応じたものとなるから、許否情報が不許可を示す場合は、前回の照会結果がサービスの提供を許可していない場合になる。また、許否情報(前回の照会結果)が不許可を示す場合、サーバ装置への前回の照会時以降にサービスの提供を受ける権利が“無”から“有”に変更されていない限り、現時点においてもサービスの提供は許可されていないことになる。つまり、許否情報が不許可を示す場合とは、サービスの提供が許可されていない可能性が高い場合になる。従って、このような場合には、サーバ装置への照会および許否情報の更新をサービスの提供前に行い、更新後の最新の許否情報に基づいてサービス提供を行うか否かを決定することで、サービスの提供が許可されていない端末装置や利用者へのサービスの提供を防ぐことができる。
【0016】
なお、許否情報を更新するための処理(照会部による照会および更新部による更新)は、許否情報を参照した結果、許否情報が不許可を示していた場合に、毎回行われてもよいし、毎回でなく所定回数ごとに1回の割合で行われてもよい。例えば、後述する実施形態では、図8のフローチャートに示すように、制御フラグ520の値(許否情報)が“0”(不許可)であると判定される都度(ステップS401:NO)、毎回、利用権限照会モジュール11Cを実行して制御フラグ520の値を更新している(ステップS404)。しかしながら、ステップS401の判定結果がNOとなる回数をカウントし、カウント値が例えば3の倍数になった場合にのみ、利用権限照会モジュール11Cを実行して制御フラグ520の値を更新してもよい。このように照会部による照会および更新部による更新は、許否情報の参照結果が不許可であった場合に必ずしも毎回行われる必要はない。
【0017】
また、上述した端末装置において、前記第3記憶部には、前記許否情報の初期値として前記許可を示す情報が記憶されるようにしてもよい。
アプリケーションを提供する事業者の中には、アプリケーションによって提供されるサービスの内容を知ってもらうため、少なくとも最初の使用時は、サービスの提供が許可されているか否かにかかわらず全ての者に対してサービスを提供したいと要望する者がいる。許否情報の初期値を許可を示す情報にすることで、このような事業者の要望に応え、許否情報が最初に更新されるまでの間は、サービスの提供が許可されていなくてもサービスの提供を受けられるようにする、いわゆるアプリケーションのお試し利用を可能にすることができる。
なお、アプリケーションの使用が指示された場合に、毎回、許否情報を更新する構成であれば、アプリケーションのお試し利用は最初の1回に制限されるが、例えば、3n(n=1,2,3…)回目の使用の指示があった場合にのみ許否情報を更新する構成であれば、アプリケーションのお試し利用を最初の3回にすることができる。
【0018】
また、上述した端末装置において、前記第3記憶部には、前記許否情報の初期値として、前記照会部が照会結果を一度も取得していない不取得を示す情報が記憶され、前記制御部は、前記許否情報が前記不取得または前記許可を示す場合は、前記提供部による前記サービスの提供を開始し、前記サービスの提供中または提供後に、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行うようにしてもよい。
この場合もアプリケーションのお試し利用を可能にすることができる。
【0019】
また、上述した端末装置において、前記更新部は、前記照会部が照会結果を取得できなかった場合、前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を前記不許可を示す情報に更新するようにしてもよい。
例えば、照会結果を取得できなかった場合に許否情報を更新しない構成であると、無線通信の場合であれば電波の届かない場所に端末装置を移動させてアプリケーションを使用する、また、有線通信の場合であれば端末装置から通信ケーブルを外す等、意図的にサーバ装置との通信ができない状況下でアプリケーションを使用することで、サービスの提供が許可されていなくても、不正にサービスの提供を受けることが可能になってしまう場合がある。照会結果を取得できなかった場合に許否情報を不許可を示す情報に更新することで、このようなアプリケーションの不正利用を防ぐことができる。
【0020】
また、上述した端末装置において、前記サービスの提供量を計測する計測部をさらに備え、前記更新部は、前記計測部による計測結果が所定量未満の場合、前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を前記許可を示す情報に更新するようにしてもよい。
この構成によれば、サービスの提供量が所定量未満の場合は、照会部による照会結果にかかわらず許否情報が許可を示す情報に更新されるから、次回もお試し利用を受けることが可能になる。なお、サービスの提供量として、例えば、サービスの提供時間や、サービスの提供回数、あるいはアプリケーションがゲームソフトウェアの場合であれば、クリアしたゲームステージ数等を例示することができる。
例えば、お試し利用が最初の1回に制限されている場合、お試し利用中に利用者が誤ってアプリケーションの終了を指示してしまうと、以降、利用者は、サービスの提供を受ける権利を正式に得ない限り、アプリケーションを利用することができなくなってしまう。これに対し、上述したようにサービスの提供量に基づいてお試し利用を制御する場合、例えば、サービスの提供時間(アプリケーションの利用時間)が2時間を超えるまでは、利用回数にかかわらずお試し利用が可能になる、あるいはアプリケーションがゲームソフトウェアであれば、クリアしたゲームステージ数が3個を超えるまでは、利用回数や利用時間にかかわらずお試し利用が可能になる等、アプリケーションのお試し利用をより柔軟に制御することが可能になる。
【0021】
また、本発明は、コンピュータの利用者にサービスを提供するためのプログラムであって、コンピュータまたは前記利用者を識別する識別情報を記憶するコンピュータを、前記プログラムによるサービスを提供する提供部、外部のサーバ装置と通信を行い、前記識別情報によって識別される前記コンピュータまたは前記利用者に対して前記サービスの提供が許可されているか否かを照会する照会部、前記サービスの提供の許否を示す許否情報を記憶する記憶部、前記照会部による照会結果に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記許否情報を更新する更新部、前記提供部、前記照会部および前記更新部を制御する制御部として機能させ、前記制御部は、前記プログラムの実行が指示されると、前記提供部による前記サービスの提供を開始する前に前記記憶部に記憶されている前記許否情報を参照し、前記許否情報が許可を示す場合は、前記提供部による前記サービスの提供を開始し、前記サービスの提供中または提供後に、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行うことを特徴とする。
このプログラムによれば、コンピュータに本発明の端末装置の機能を持たせることができる。
【0022】
また、本発明に係るサーバ装置は、上記のプログラムを記憶する記憶部と、前記プログラムの送信要求を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記送信要求の送信元へ前記記憶部に記憶されている前記プログラムを送信する送信部とを備えることを特徴とする。
このサーバ装置と、通信機能を有するコンピュータとを備えた通信システムでは、上記のプログラムをサーバ装置からコンピュータへ送信することで、コンピュータを本発明の端末装置として機能させることができる。
【0023】
また、本発明は、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体としても把握される。記録媒体には、例えばCD−ROMやメモリカード等が含まれる。また、本発明は、上記のプログラムを伝送する伝送媒体(例えばネットワーク)としても把握される。つまり、本発明は、上記のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録または伝送する媒体(データキャリヤ)としても把握される。さらに本発明は、コンピュータにロードされて上記のプログラムとなるデータを保持するプログラム製品としても把握される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、サービスの提供の許否をサーバ装置に照会する必要があるアプリケーションについて、サービスの提供が許可されていない端末装置や利用者へのサービスの提供を抑えつつ利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】携帯電話機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】アプリケーションのモジュール構成を示す図である。
【図4】会員データベースのデータ構成を示す図である。
【図5】アプリケーションをダウンロードする場合のシーケンスチャートである。
【図6】会員登録を行う場合のシーケンスチャートである。
【図7】利用権限の有無を照会する場合のシーケンスチャートである。
【図8】アプリケーションの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
<1.実施形態>
図1は、通信システム1の全体構成を示すブロック図である。
通信システム1は、ダウンロードサーバ10と、認証サーバ20と、インターネット30と、移動体通信網40と、携帯電話機50を有する。また、移動体通信網40は、ゲートウェイサーバ41と基地局42を有する。なお、図1には基地局42と携帯電話機50を各々1台しか記載していないが、実際には基地局42と携帯電話機50は各々複数存在する。
【0027】
ダウンロードサーバ10は送信部と受信部と記憶部を有し、記憶部には携帯電話機50に提供するアプリケーション11が記憶されている。アプリケーション11は、携帯電話機50で実行可能なプログラムやソフトウェアであって、携帯電話機50の利用者に各種のサービスを提供する。例えば、アプリケーション11として、ゲームソフト、ワープロソフト、画像編集ソフト、アンチウイルスソフト等を例示することができる。また、アプリケーション11によって提供されるサービスとして、例えば、ゲームのプレイ、文書作成、画像編集、コンピュータウイルスの検出や駆除等を例示することができる。また、アプリケーション11は、例えば、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(NTT DoCoMo Inc., Tokyo, Japan)が提供するiアプリ(i-αppli、登録商標)や、KDDI株式会社(KDDI Corporation, Tokyo, Japan)が提供するEZアプリ、ソフトバンクモバイル株式会社(SoftBank Mobile Corporation, Tokyo, Japan)が提供するS!アプリ(S!Appli、登録商標)等であってもよい。
【0028】
なお、本実施形態におけるアプリケーション11は、アプリケーション11を提供する事業者のサービス会員にならないと、利用権限(サービスの提供を受ける権利)を得ることができない。また、サービス会員になるためには、認証サーバ20にアクセスして会員登録(ユーザ登録)を行う必要がある。また、ダウンロードサーバ10は、複数のアプリケーション11を記憶し、ダウンロードするアプリケーション11を携帯電話機50の利用者が任意に選択できる構成であってもよい。
【0029】
認証サーバ20は送信部と受信部と記憶部を有し、記憶部には会員データベース21が記憶されている。この会員データベース21には、会員登録を行った利用者の識別情報等が登録されている。ゲートウェイサーバ41は、インターネット30と移動体通信網40を相互接続するサーバであって、インターネット30における通信プロトコルと、移動体通信網40における通信プロトコルを変換する。また、基地局42は、自局の無線エリアに在圏する携帯電話機50と無線通信を行う。
【0030】
携帯電話機50は、移動体通信網40およびインターネット30を介して、ダウンロードサーバ10や認証サーバ20とパケット通信を行うことができる。例えば、携帯電話機50は、ダウンロードサーバ10からアプリケーション11をダウンロードすることができる。また、携帯電話機50は、認証サーバ20にアクセスして会員登録を行ったり、ダウンロードしたアプリケーション11について利用権限の有無を認証サーバ20に照会したりすることができる。また、携帯電話機50は、アプリケーション11を実行することで利用者に各種のサービスを提供する。
【0031】
図2は、携帯電話機50のハードウェア構成を示すブロック図である。
携帯電話機50は、CPU501と、ROM502と、RAM503と、無線通信部504と、操作部505と、通話処理部506と、表示部507と、不揮発性メモリ508を有する。CPU501は、ROM502や不揮発性メモリ508に記憶されている各種のプログラムを実行することで携帯電話機50の各部を制御する。ROM502には、携帯電話機50の各部の基本制御を司るプログラム等が記憶されている。RAM503は、CPU501のワークエリアとして用いられる。無線通信部504は、CPU501の制御の下、基地局42との無線通信を制御する。操作部505は、キーやボタン等の複数の操作子を有し、操作子の操作に応じた信号をCPU501に出力する。通話処理部506は、マイクロフォン、スピーカ、音声処理部等を有し、CPU501の制御の下、通話処理を行う。表示部507は、液晶表示パネルとその表示制御を行う駆動回路を有する。
【0032】
不揮発性メモリ508には、利用者ID510(識別情報)を記憶する記憶領域(第2記憶部)と、ダウンロードサーバ10からダウンロードしたアプリケーション11を記憶する記憶領域(第1記憶部)と、制御フラグ520(許否情報)を記憶する記憶領域(第3記憶部)が設けられている。なお、ダウンロードサーバ10からダウンロードしたアプリケーション11が不揮発性メモリ508内に複数記憶されている場合は、アプリケーション11ごとに制御フラグ520が対応付けられて記憶される。
【0033】
利用者ID510は、携帯電話機50の利用者を識別するための情報であって、例えば、電話番号(caller ID)やメールアドレス、あるいは移動体通信網40の運営事業者ごとに呼称が異なるが、例えば、IMUI(International Mobile User Identity)、端末シリアル番号(terminal serial number)、サブスクライバID(subscriber ID)、個体識別情報(individual identification information)等といった契約者固有IDである。このように利用者ID510は、利用者や携帯電話機50ごとに固有のIDである。但し、利用者ID510は、必ずしも利用者や携帯電話機50ごとにユニークな情報である必要はなく、例えば、複数の利用者や複数の携帯電話機50ごとに固有のグループIDであってもよい。また、利用者ID510として、ダウンロードサーバ10や認証サーバ20によって生成されて携帯電話機50に送られてくるクッキーや、アプリケーション11に付与されるライセンス番号を使用することもできる。なお、利用者ID510は、不揮発性メモリ508ではなくROM502に記憶されていてもよい。
【0034】
制御フラグ520は、アプリケーション11を実行する場合に参照されるフラグである。詳細については後述するが、制御フラグ520の値は、認証サーバ20から受信した照会結果に基づいて更新される。制御フラグ520の値は、例えば、“NULL”を示す値と“0”と“1”の3値をとる。“NULL”は制御フラグ520の値が何も設定されていない空の状態を示すが、実際には“NULL”を示す値として、例えば“−1”等、“0”と“1”以外の任意の値が使用される。制御フラグ520の値が“NULL”を示す値の場合は、認証サーバ20から照会結果を一度も受信していない不取得の状態を示す。また、制御フラグ520の値が“0”の場合は、認証サーバ20から最後に受信した照会結果が“利用権限なし”であったことを示す。また、制御フラグ520の値が“1”の場合は、認証サーバ20から最後に受信した照会結果が“利用権限あり”であったことを示す。
【0035】
なお、携帯電話機50において、CPU501と、操作部505と、表示部507と、メモリ(ROM502、RAM503、不揮発性メモリ508)と、図示を省略した音源部やスピーカが、サービスを提供する提供部として機能する。アプリケーション11の種類によっては無線通信部504が提供部に含まれる場合もある。また、CPU501と無線通信部504が照会部として機能し、CPU501が更新部や制御部として機能する。
【0036】
図3は、アプリケーション11のモジュール構成を示す図である。
アプリケーション11は、メインモジュール11Aと、サービス本体モジュール11Bと、利用権限照会モジュール11Cに大別される。メインモジュール11Aは、アプリケーション11の中で最初に制御が受け渡される部分であり、サブモジュールであるサービス本体モジュール11Bや利用権限照会モジュール11Cの呼び出し等を制御する。サービス本体モジュール11Bは、利用者に提供する実質的なサービスの内容を制御する。例えばアプリケーション11がゲームソフトであれば、サービス本体モジュール11Bは、ゲーム画像の表示や、効果音の出力、得点の計算等、ゲームのプレイに必要となる各種の処理を行う。また、利用権限照会モジュール11Cは、利用権限の有無を認証サーバ20に照会する処理や、認証サーバ20から受信した照会結果に基づいて制御フラグ520の値を更新する処理を行う。
【0037】
なお、本実施形態において「利用権限」とは、サービス本体モジュール11Bによるサービスの提供を受ける権利であり、利用権限がない場合でも、アプリケーション11の実行が指示されると、メインモジュール11Aや利用権限照会モジュール11Cは実行される。
【0038】
図4は、会員データベース21のデータ構成を示す図である。
会員データベース21を構成する個々のレコードは、会員登録を行った利用者の識別情報(利用者ID510)を格納する項目と、会員登録が行われた登録日の情報を格納する項目と、会員登録が解除された退会日の情報を格納する項目で構成される。なお、同図において“NULL”は、退会日の項目データが何も設定されていない空の状態を示す。つまり、退会日の項目に“NULL”を示す値が格納されている場合は、該当する利用者がまだ退会していないことを示す。例えば、図4において、利用者ID510が“00047962”の利用者は、退会日の情報が登録されており既に退会しているから、サービス会員ではなくアプリケーション11の利用権限を有していないことになる。これに対し、利用者ID510が“00053211”の利用者は、退会日の項目が“NULL”であるから、サービス会員でありアプリケーション11の利用権限を有していることになる。また、会員登録を行っていない利用者については、利用者ID510自体が会員データベース21に登録されていない。
【0039】
なお、会員データベース21には、利用者ID510と登録日と退会日の他に、利用者に関する情報として、例えば、氏名、年齢、職業、住所、メールアドレス等が登録されていてもよい。また、ダウンロードサーバ10が複数のアプリケーション11を提供しており、アプリケーション11ごとに利用権限の有無を制御したい場合は、図4に示した会員データベース21内に、アプリケーション11の識別情報(アプリケーションID)を格納する項目をさらに設ければよい。あるいは図4に示した会員データベース21をアプリケーション11ごとに設ければよい。
【0040】
図5は、アプリケーション11をダウンロードする場合のシーケンスチャートである。
ダウンロードサーバ10からアプリケーション11をダウンロードする場合、携帯電話機50は、アプリケーション11のダウンロード要求をダウンロードサーバ10へ送信する(ステップS101)。このダウンロード要求は、ダウンロードサーバ10の受信部によって受信される。ダウンロードサーバ10は、ダウンロード要求を受信すると、記憶部からアプリケーション11を読み出す(ステップS102)。また、ダウンロードサーバ10の送信部は、読み出したアプリケーション11を携帯電話機50へ送信する(ステップS103)。
【0041】
なお、ダウンロードサーバ10が複数のアプリケーション11を提供している場合、携帯電話機50は、ダウンロードしたいアプリケーション11の識別情報(アプリケーションID)をダウンロード要求と共に送信する。この場合、ダウンロードサーバ10は、受信したアプリケーションIDに対応するアプリケーション11を記憶部から読み出して携帯電話機50へ送信する。
【0042】
携帯電話機50は、アプリケーション11を受信すると、受信したアプリケーション11を不揮発性メモリ508にインストールする(ステップS104)。次に、携帯電話機50のCPU501は、制御フラグ520の記憶領域を不揮発性メモリ508内に確保する(ステップS105)。また、CPU501は、確保した記憶領域内に制御フラグ520の初期値として“NULL”(不取得)を示す値をセットする(ステップS106)。この後、CPU501は、ダウンロードしたアプリケーション11を利用するためには会員登録を行う必要があること等を示すメッセージを表示部507に表示する(ステップS107)。
【0043】
図6は、会員登録を行う場合のシーケンスチャートである。
会員登録を行う場合、携帯電話機50は、まず、不揮発性メモリ508から利用者ID510を読み出す(ステップS201)。次に、携帯電話機50は、読み出した利用者ID510を入会要求と共に認証サーバ20へ送信する(ステップS202)。認証サーバ20は、入会要求および利用者ID510を受信すると、会員データベース21に新たなレコードを追加し、追加したレコードに、受信した利用者ID510と、現在の日付(登録日)と、“NULL”を示す値(退会日)を格納する(ステップS203)。また、認証サーバ20は、会員データベース21への登録を終えると、会員登録が完了したことを示す完了通知を携帯電話機50に送信する(ステップS204)。
【0044】
なお、会員登録を解除する場合は、携帯電話機50から退会要求と利用者ID510が送信される。認証サーバ20は、退会要求と利用者ID510を受信すると、会員データベース21において、受信した利用者ID510に対応する退会日の項目に現在の日付を格納する。
【0045】
図7は、利用権限の有無を照会する場合のシーケンスチャートである。
なお、同図における携帯電話機50側の処理は、前述した利用権限照会モジュール11Cに従って行われる。携帯電話機50のCPU501は、アプリケーション11の利用権限の有無を認証サーバ20に照会する場合、まず、不揮発性メモリ508から利用者ID510を読み出す(ステップS301)。次に、CPU501は、読み出した利用者ID510を照会要求と共に無線通信部504を介して認証サーバ20へ送信する(ステップS302)。認証サーバ20は、照会要求および利用者ID510を受信すると、会員データベース21を参照し(ステップS303)、利用権限の有無を判定する(ステップS304)。
【0046】
例えば、認証サーバ20が、図4に示した会員データベース21を記憶しており、携帯電話機50から照会要求と共に利用者ID510“00047962”を受信した場合、会員データベース21(図4)には利用者ID510“00047962”が登録されているが、この利用者ID510“00047962”に対応する退会日の項目には退会日の情報が登録されている。この場合、照会の対象となる利用者(または携帯電話機50)は既に退会しておりサービス会員ではないから、認証サーバ20は利用権限がないと判定する。また、認証サーバ20は、携帯電話機50から受信した利用者ID510が会員データベース21に未登録の場合も、利用権限がないと判定する。一方、認証サーバ20が照会要求と共に利用者ID510“00053211”を受信した場合、会員データベース21(図4)には利用者ID510“00053211”が登録されており、かつ、この利用者ID510“00053211”に対応する退会日の項目は“NULL”である。この場合、照会の対象となる利用者(または携帯電話機50)はサービス会員であるから、認証サーバ20は利用権限があると判定する。
【0047】
認証サーバ20は、利用権限があると判定した場合は照会結果として“OK”を、また、利用権限がないと判定した場合は照会結果として“NG”を携帯電話機50へ返信する(ステップS305)。携帯電話機50のCPU501は、無線通信部504を介して照会結果を受信すると、受信した照会結果に基づいて、不揮発性メモリ508に記憶されている制御フラグ520の値を更新する(ステップS306)。例えば、CPU501は、照会結果が“OK”の場合は制御フラグ520の値を“1”(許可)に更新し、照会結果が“NG”の場合は制御フラグ520の値を“0”(不許可)に更新する。
【0048】
図8は、携帯電話機50において実行されるアプリケーション11の動作を示すフローチャートである。同図に示す処理は、例えば、利用者が操作部505を操作してアプリケーション11の実行を指示した場合や、携帯電話機50にインストールされている他のソフトウェア(例えばブラウザやメーラ)からアプリケーション11の実行が指示された場合に開始される。CPU501は、アプリケーション11の実行が指示されると、不揮発性メモリ508からアプリケーション11を読み出し、最初にメインモジュール11Aを実行する。
【0049】
CPU501は、図8に示す処理を開始すると、まず、不揮発性メモリ508に記憶されている制御フラグ520の値が“0”(不許可)であるか否かを判定する(ステップS401)。ステップS401の判定結果がYESの場合はステップS404に進む。また、ステップS401の判定結果がNOの場合、すなわち制御フラグ520の値が“NULL”(不取得)を示す値または“1”(許可)の場合は、ステップS402に進む。
【0050】
制御フラグ520の値は、認証サーバ20から受信した照会結果に基づいて更新される。また、図8に示すフローチャートから明らかとなるように、本実施形態において制御フラグ520の値は、アプリケーション11を実行する都度、ステップS403またはステップS404に示す利用権限照会モジュール11Cの実行によって更新される。従って、ステップS401における制御フラグ520の値は、“NULL”(不取得)を示す値の場合を除き、前回の照会結果(アプリケーション11の前回の実行中に認証サーバ20から受信した照会結果)に応じた値となる。
【0051】
例えば、制御フラグ520の値が“0”(不許可)の場合は、前回の照会結果が“NG”(利用権限なし)の場合である。従って、認証サーバ20への前回の照会時(アプリケーション11の前回の実行時)以降に会員登録が行われていない限り、現時点においても利用権限はないことになる。つまり、制御フラグ520の値が“0”の場合は、利用権限がない可能性が高いことを示す。一方、制御フラグ520の値が“1”(許可)の場合は、前回の照会結果が“OK”(利用権限あり)の場合であるから、認証サーバ20への前回の照会時以降に会員登録が解除されていない限り、現時点においても利用権限はあることになる。つまり、制御フラグ520の値が“1”の場合は、利用権限がある可能性が高いことを示す。
【0052】
また、制御フラグ520の値が“NULL”(不取得)を示す値の場合は、認証サーバ20から照会結果を一度も受信していない場合である。前述したように本実施形態においては、アプリケーション11を実行する都度、ステップS403またはステップS404にて制御フラグ520の値が更新される。従って、ステップS401において制御フラグ520の値が“NULL”を示す値となるのは、アプリケーション11を最初に実行した場合になる。本実施形態においては、制御フラグ520の値が“NULL”を示す値となる最初の実行時には、アプリケーション11によって提供されるサービスの内容を知ってもらうため、利用権限がなくてもサービスの提供を受けられるようにする、いわゆるアプリケーション11のお試し利用を可能にしている。
【0053】
つまり、ステップS401の判定結果がYESとなるのは(制御フラグ520=“0”)、利用権限がない可能性が高い場合である。また、ステップS401の判定結果がNOとなるのは(制御フラグ520=“NULL”or“1”)、お試し利用の場合(NULL)と、利用権限がある可能性が高い場合(1)である。
【0054】
CPU501は、ステップS401の判定結果がNOの場合、まず、サービス本体モジュール11Bを実行してサービスの提供を開始する(ステップS402)。例えばアプリケーション11がゲームソフトであれば、CPU501は、サービス本体モジュール11Bを実行することで、ゲーム画像の表示や効果音の出力等、ゲームのプレイに必要となる各種の処理を開始する。これにより携帯電話機50においてゲームが開始される。
【0055】
また、CPU501は、サービスの提供を開始した後、サービス本体モジュール11Bによる処理と並行し、バックグラウンド処理として利用権限照会モジュール11Cを実行する(ステップS403)。なお、利用権限照会モジュール11Cによる処理については、図7に示したシーケンスチャートを用いて説明した通りである。従って、CPU501は、サービスの提供中に、バックグラウンド処理として、利用権限の有無を認証サーバ20に照会する処理や、認証サーバ20からの照会結果に基づいて制御フラグ520の値を更新する処理を行う。例えばアプリケーション11がゲームソフトであれば、利用者がゲームをプレイしている間に、利用権限の有無を認証サーバ20に照会する処理や、認証サーバ20からの照会結果に基づいて制御フラグ520の値を更新する処理が行われる。また、CPU501は、サービス本体モジュール11Bによる処理を終了すると、図8に示す処理を終える。
【0056】
なお、利用権限照会モジュール11Cによる処理(ステップS403)において、認証サーバ20から照会結果が受信できなかった場合は、例えば5分等、所定の時間間隔で利用権限照会モジュール11Cの実行がリトライされる。例えば、移動体通信網40やインターネット30等のネットワークに障害が発生した場合や、認証サーバ20が故障した場合、携帯電話機50が電波の届かない場所(圏外)に位置している場合、通信エラーが発生して照会結果を正しく受信することができなかった場合等に、利用権限照会モジュール11Cの実行がリトライされる。また、CPU501は、例えば、“照会結果が受信できませんでした。リトライしますか?”等といったメッセージを表示部507に表示し、利用者が操作部505を操作してリトライの実行を指示した場合に、利用権限照会モジュール11Cの実行をリトライしてもよいし、リトライの確認を問うメッセージを表示せず、利用者の承認なしに利用権限照会モジュール11Cの実行をリトライしてもよい。
【0057】
また、利用権限照会モジュール11Cによる処理(ステップS403)において、制御フラグ520が“1”(許可)から“0”(不許可)に更新された場合は、サービス本体モジュール11Bの実行を終了させるようにしてもよい。なお、利用権限照会モジュール11Cによる処理(ステップS403)において、制御フラグ520が“NULL”(不取得)を示す値から“0”(不許可)に更新された場合は、お試し利用中であるのでサービス本体モジュール11Bの実行を継続させる。また、ステップS403に示す利用権限照会モジュール11Cの実行は、サービス本体モジュール11Bの実行中でなく、サービス本体モジュール11Bの実行が終了した後に、メインモジュール11Aからの呼び出しによって実行されるようにしてもよい。
【0058】
一方、CPU501は、ステップS401の判定結果がYESの場合、すなわち制御フラグ520の値が“0”(不許可)であって利用権限がない可能性が高い場合は、まず、利用権限照会モジュール11Cを実行する(ステップS404)。これにより利用権限の有無を認証サーバ20に照会する処理や、認証サーバ20からの照会結果に基づいて制御フラグ520の値を更新する処理が行われる。従って、CPU501は、利用権限の有無について最新の情報を得ることができる。なお、ステップS404に示す利用権限照会モジュール11Cの実行についても、ステップS403に示した利用権限照会モジュール11Cの場合と同様に、認証サーバ20から照会結果が受信できなかった場合は、所定の時間間隔で利用権限照会モジュール11Cの実行がリトライされる。また、リトライは利用者の承認を得た上で行われてもよいし、利用者の承認なしに行われてもよい。
【0059】
CPU501は、利用権限照会モジュール11Cの実行を終えると、更新後の最新の制御フラグ520の値が“0”(不許可)であるか否かを判定する(ステップS405)。ステップS405の判定結果がNOの場合、すなわち制御フラグ520の値が“1”(許可)の場合は、認証サーバ20への前回の照会時以降に会員登録が行われ、利用権限が“無”から“有”に変更された場合であるから、CPU501は、ステップS402に進んでサービス本体モジュール11Bを実行する。なお、ステップS405の判定結果がNOとなってステップS402に進んだ場合は、ステップS404において既に利用権限照会モジュール11Cを実行済みであるから、ステップS403に示す利用権限照会モジュール11Cを実行せずに、サービス本体モジュール11Bの実行時におけるCPU501の処理負荷を軽減するのがよい。
【0060】
一方、ステップS405の判定結果がYESの場合は、利用権限の有無について最新の情報を認証サーバ20に問い合わせたにもかかわらず、利用権限がなかった場合であるから、CPU501は、サービス本体モジュール11Bの実行を行わない。この場合、CPU501は、利用権限がないためサービスの提供ができないことや、サービスの提供を受けるためには会員登録を行う必要があること等を示すメッセージを表示部507に表示した後(ステップS406)、図8に示す処理を終える。
【0061】
以上説明したように本実施形態によれば、CPU501は、アプリケーション11の実行が指示されると、サービス本体モジュール11Bによるサービスの提供を開始する前に制御フラグ520の値を参照する。CPU501は、制御フラグ520の値が“NULL”(不取得)を示す値または“1”(許可)の場合は、サービス本体モジュール11Bを実行してサービスの提供を開始した後、サービスの提供中またはサービスの提供後に利用権限照会モジュール11Cを実行し、利用権限の有無を認証サーバ20に照会する処理や、認証サーバ20からの照会結果に基づいて制御フラグ520の値を更新する処理を行う。従って、お試し利用の場合や利用権限がある可能性が高い場合には、認証サーバ20との通信や制御フラグ520の更新に関する処理をサービスの提供前に行う必要がないから、サービスの提供が開始されるまでの待ち時間を短縮し、アプリケーション11の利便性を高めることができる。
また、CPU501は、制御フラグ520の値が“0”(不許可)の場合、すなわち利用権限がない可能性が高い場合は、利用権限照会モジュール11Cを実行し、利用権限の有無を認証サーバ20に照会する処理や、認証サーバ20からの照会結果に基づいて制御フラグ520の値を更新する処理を行った後、更新後の制御フラグ520の値に基づいて、サービス本体モジュール11Bによるサービスの提供を行うか否かを決定する。従って、利用権限がない利用者(または携帯電話機50)へのサービスの提供を抑えることができる。
よって、利用権限がない利用者(または携帯電話機50)へのサービスの提供をできるだけ抑えつつ、サービスの提供が開始されるまでの待ち時間を短縮してアプリケーション11の利便性を高めることができる。また、アプリケーション11をダウンロードした後、最初の1回は、利用権限がなくてもサービスの提供を受けることができるから、アプリケーション11のお試し利用が可能になる。
【0062】
<2.変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下の変形が可能である。また、以下に示す2以上の変形を適宜組み合わせることもできる。
【0063】
[変形例1]
携帯電話機50は、認証サーバ20から照会結果が受信できなかった場合、図7に示したシーケンスチャートのステップS306において、制御フラグ520の値を“0”(不許可)に更新する構成であってもよい。例えば、照会結果を受信できなかった場合に制御フラグ520の値を更新しない構成であると、電波の届かない場所(圏外)に携帯電話機50を移動させてアプリケーション11を実行する等、意図的に認証サーバ20との通信ができない状況下でアプリケーション11を実行することで、利用権限がないのに不正にサービスの提供を受けることが可能になってしまう場合がある。照会結果を受信できなかった場合に制御フラグ520の値を“0”(不許可)に更新することで、このようなアプリケーション11の不正利用を防ぐことができる。
【0064】
[変形例2]
上述した実施形態では、アプリケーション11を実行する都度、利用権限照会モジュール11Cを実行して制御フラグ520の値を更新するようにしたが、アプリケーション11を所定回数(例えば3回)実行するたびに1回の割合で利用権限照会モジュール11Cを実行するようにしてもよい。また、アプリケーション11が1日に複数回実行されても、利用権限照会モジュール11Cの実行については1日につき1回しか行わないようにしてもよい。例えば、アプリケーション11の3n(n=1,2,3…)回目の実行時にのみ利用権限照会モジュール11Cを実行する構成とすれば、アプリケーション11のお試し利用を最初の3回にすることができる。
【0065】
[変形例3]
図5に示したシーケンスチャートのステップS106において、制御フラグ520の初期値として“NULL”(不取得)を示す値の代わりに“1”(許可)をセットしてもよい。この場合も、初期値として“NULL”を示す値をセットした場合と同様に、アプリケーション11のお試し利用を可能にすることができる。なお、制御フラグ520の初期値を“1”にする場合は、制御フラグ520の値が“0”と“1”の2値で済むので制御構成を簡素化できる。
【0066】
[変形例4]
CPU501は、サービス本体モジュール11Bの実行時間を計測してその累積実行時間を不揮発性メモリ508に記憶し、累積実行時間が閾値(例えば2時間)未満の場合は、図7に示したシーケンスチャートのステップS306において、受信した照会結果にかかわらず制御フラグ520の値を“1”(許可)に更新する構成であってもよい。また、CPU501は、サービス本体モジュール11Bの実行回数を計数してその累積実行回数を不揮発性メモリ508に記憶し、累積実行回数が閾値(例えば5回)未満の場合は、ステップS306において、受信した照会結果にかかわらず制御フラグ520の値を“1”に更新する構成であってもよい。以上の構成によれば、サービスの提供時間が2時間未満の場合や、サービスの提供回数が5回未満の場合等、サービスの提供量が予め定められた閾値未満の場合は、認証サーバ20から受信した照会結果にかかわらず制御フラグ520の値が“1”(許可)に更新されるから、次回もお試し利用を受けることが可能になる。なお、CPU501と不揮発性メモリ508がサービスの提供量を計測する計測部として機能する。また、サービスの提供量として、サービスの提供時間やサービスの提供回数の他に、例えば、アプリケーション11がゲームソフトウェアの場合であれば、クリアしたゲームステージ数等を例示することができる。
【0067】
例えば、実施形態に記載したようにお試し利用が最初の1回に制限されている場合、お試し利用中に利用者が誤ってアプリケーション11の終了を指示してしまうと、以降、利用者は、会員登録を行なってサービスの提供を受ける権利を正式に得ない限り、アプリケーション11を利用することができなくなってしまう。これに対し、上述したようにサービスの提供量に基づいてお試し利用を制御する場合、例えば、サービスの提供時間(アプリケーションの利用時間)が2時間を超えるまでは、利用回数にかかわらずお試し利用が可能になるから、アプリケーション11のお試し利用をより柔軟に制御することが可能になる。
【0068】
[変形例5]
サービス本体モジュール11Bに相当する部分をアプリケーションとし、メインモジュール11Aと利用権限照会モジュール11Cに相当する部分については、アプリケーションの実行を制御するための制御用ソフトウェアとしてアプリケーションから切り離し、アプリケーションと制御用ソフトウェアのペアをダウンロードサーバ10から提供するようにしてもよい。また、制御用ソフトウェアについては携帯電話機50にプリインストールしておき、アプリケーションのみをダウンロードサーバ10から提供する等、アプリケーションと制御用ソフトウェアを別々に提供してもよい。
【0069】
[変形例6]
上述した実施形態では、サービス会員である場合に利用権限を与えたが、例えば、1ヶ月や1年等、所定期間ごとにアプリケーション11の利用料金が継続して支払われていることを条件に利用権限を与えてもよい。
【0070】
[変形例7]
ダウンロードサーバ10と認証サーバ20は、移動体通信網40内に設けられていてもよい。また、ダウンロードサーバ10と認証サーバ20を1台のサーバで構成してもよい。端末装置は、携帯電話機50に限らず、例えば、無線LAN端末、パーソナルコンピュータ、通信機能を有するビデオゲーム機等であってもよい。また、端末装置は、無線で通信を行うものであってもよいし、有線で通信を行うものであってもよい。なお、端末装置がパーソナルコンピュータ等の場合は、利用者IDとして、ネットワークカードに記憶されているMACアドレスを使用することができる。また、端末装置とサーバ装置の間に介在するネットワークは、移動体通信網40やインターネット30に限らず、LANやWAN等であってもよい。
【0071】
[変形例8]
アプリケーションは、ネットワークを介して端末装置に提供されるものに限定されない。例えば、CD−ROMやメモリカード等の記録媒体を介して端末装置に提供されるものや、端末装置にプリインストールされているものであってもよい。また、アプリケーションは、例えば、音楽データとその再生ソフト、映像データとそのビューワ等であってもよい。この場合、アプリケーションによって提供されるサービスは、音楽データに基づく音楽の再生や、映像データに基づく映像の再生になる。
【符号の説明】
【0072】
1…通信システム、10…ダウンロードサーバ、11…アプリケーション、11A…メインモジュール、11B…サービス本体モジュール、11C…利用権限照会モジュール、20…認証サーバ、21…会員データベース、30…インターネット、40…移動体通信網、41…ゲートウェイサーバ、42…基地局、50…携帯電話機、501…CPU、502…ROM、503…RAM、504…無線通信部、505…操作部、506…通話処理部、507…表示部、508…不揮発性メモリ、510…利用者ID、520…制御フラグ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、プログラム、記録媒体およびサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アプリケーションプログラムやアプリケーションソフトウェア(以下、これらをまとめてアプリケーションと記載する)は、端末装置の利用者に各種のサービスを提供することができる。これらのアプリケーションの中には、利用権限の有無をサーバ装置に問い合わせ、利用権限がないとサービスの提供を受けられないものがある。例えば、特許文献1には、アプリケーションによるサービスを提供する前に、会員であるか否かをサーバ装置に照会し、会員であればサービスの提供を許可する端末装置が記載されている。また、特許文献2には、認証サーバへの会員認証を、アプリケーションの利用を開始するときや、アプリケーションの利用の途中で行う端末装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/021302号
【特許文献2】特許第4313425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、認証サーバへの会員認証をアプリケーションの利用を開始する前に行う場合、アプリケーションの利用を開始する前に認証サーバとの通信を行う必要がある。このためサービスの提供が開始されるまでの待ち時間が長くなり、アプリケーションの利便性がよくない。一方、認証サーバへの会員認証をアプリケーションの利用の途中で行う場合、会員であるか否かにかかわらずサービスの提供を一旦開始し、会員でない場合にはサービスの提供を途中で止めることになる。このため会員でない場合にもサービスの提供を途中まで受けることが可能になってしまう。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、サービスの提供の許否をサーバ装置に照会する必要があるアプリケーションについて、サービスの提供が許可されていない端末装置や利用者へのサービスの提供を抑えつつ利便性を高めることを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係る端末装置は、端末装置の利用者にサービスを提供するためのアプリケーションを記憶する第1記憶部と、前記第1記憶部に記憶された前記アプリケーションによるサービスを提供する提供部と、前記端末装置または前記利用者を識別する識別情報を記憶する第2記憶部と、外部のサーバ装置と通信を行い、前記第2記憶部に記憶された前記識別情報によって識別される前記端末装置または前記利用者に対して前記サービスの提供が許可されているか否かを照会する照会部と、前記サービスの提供の許否を示す許否情報を記憶する第3記憶部と、前記照会部による照会結果に基づいて、前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を更新する更新部と、前記提供部、前記照会部および前記更新部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記アプリケーションの使用が指示されると、前記提供部による前記サービスの提供を開始する前に前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を参照し、前記許否情報が許可を示す場合は、前記提供部による前記サービスの提供を開始し、前記サービスの提供中または提供後に、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行うことを特徴とする。
【0007】
以上の構成によれば、制御部は、アプリケーションの使用が指示されると、アプリケーションによるサービスの提供を開始する前に、第3記憶部に記憶されている許否情報を参照し、許否情報が許可を示す場合は、サーバ装置への照会および許否情報の更新をサービスの提供中またはサービスの提供後に行う。
【0008】
ここで、許否情報は、照会部による照会結果に基づいて更新される。また、許否情報が参照されるのは、アプリケーションの使用が指示された後、サーバ装置への照会および許否情報の更新が行われる前である。従って、許否情報は、一度も更新されていない場合を除き、前回の照会結果に応じたものとなる。つまり、許否情報が許可を示す場合は、前回の照会結果がサービスの提供を許可していた場合になる。また、許否情報(前回の照会結果)が許可を示す場合、サーバ装置への前回の照会時以降にサービスの提供を受ける権利が“有”から“無”に変更されていない限り、現時点においてもサービスの提供は許可されていることになる。つまり、許否情報が許可を示す場合とは、サービスの提供が許可されている可能性が高い場合になる。従って、このような場合には、サーバ装置への照会および許否情報の更新をサービスの提供中またはサービスの提供後に行うことで、サーバ装置との通信や許否情報の更新に関する処理をサービスの提供前に行う必要がなくなるから、サービスの提供が開始されるまでの待ち時間を短縮し、アプリケーションの利便性を高めることができる。よって、サービスの提供が許可されていない端末装置や利用者へのサービスの提供を抑えつつ、サービスの提供が開始されるまでの待ち時間を短縮してアプリケーションの利便性を高めることができる。
【0009】
なお、「アプリケーション」は、例えば、ゲームソフト、ワープロソフト、画像編集ソフト、アンチウイルスソフト等のアプリケーションソフトウェアやアプリケーションプログラムの他に、音楽データとその再生ソフト、映像データとそのビューワ等であってもよい。アプリケーションによって提供されるサービスとして、例えば、ゲームのプレイ、文書作成、画像編集、コンピュータウイルスの検出や駆除、音楽や映像の再生等を例示することができる。また、「アプリケーション」は、ネットワークを介して端末装置に提供されるものの他に、CD−ROMやメモリカード等の記録媒体を介して端末装置に提供されるものや、端末装置にプリインストールされているものであってもよい。このように「アプリケーション」は、端末装置の利用者にサービスを提供するためのプログラムやソフトウェア等であって、利用者がサービスを利用する前に端末装置の第1記憶部に記憶されていればよい。
【0010】
「識別情報」は、例えば端末装置や利用者ごとに固有のIDである。但し、「識別情報」は、必ずしも端末装置や利用者ごとにユニークな情報である必要はなく、例えば複数の端末装置や複数の利用者ごとに固有のグループIDであってもよい。また、「識別情報」として、アプリケーションに付与されるライセンス番号や、サーバ装置によって生成されて端末装置に送られてくるクッキー(cookie)を使用することもできる。
【0011】
「許否情報」は、例えば、サービスの提供を許可する場合に“1”となり、サービスの提供を許可しない場合に“0”となるフラグである。例えば、更新部は、サーバ装置からの照会結果がサービスの提供を許可している場合に「許否情報」を“1”に更新し、サーバ装置からの照会結果がサービスの提供を許可していない場合に「許否情報」を“0”に更新する。なお、許否情報を更新するための処理(照会部による照会および更新部による更新)は、サービスを提供する都度、毎回行われてもよいし、毎回でなく所定回数ごとに1回の割合で行われてもよい。例えば、後述する実施形態では、メインモジュール11Aと、サービス本体モジュール11Bと、利用権限照会モジュール11Cによって構成されるアプリケーション11を例示しており、図8のフローチャートに示すように、アプリケーション11の起動指示に応じてメインモジュール11Aを実行した後、ステップS402にてサービス本体モジュール11Bを実行してサービスの提供を開始する都度、毎回、利用権限照会モジュール11Cを実行して制御フラグ520の値(許否情報)を更新している(ステップS403)。しかしながら、サービス本体モジュール11Bの実行回数をカウントし、カウント値が例えば3の倍数になった場合にのみ、利用権限照会モジュール11Cを実行して制御フラグ520の値を更新してもよい。このように照会部による照会および更新部による更新は、サービスの提供中やサービスの提供後に必ずしも毎回行われる必要はない。
【0012】
「第1記憶部」と「第2記憶部」と「第3記憶部」は、同じメモリ内に設けられてもよいし、2以上の異なるメモリに分散して設けられてもよい。これらの記憶部が設けられるメモリとして、例えば、端末装置に備わる内蔵メモリ、端末装置に挿入されるカード型記録媒体、端末装置に接続される外部記憶装置等を例示することができる。「端末装置」は、通信機能を有するコンピュータであり、例えば、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、ビデオゲーム機等を例示することができる。なお、「端末装置」は、無線で通信を行うものであってもよいし、有線で通信を行うものであってもよい。
【0013】
また、上述した端末装置において、前記制御部は、前記許否情報が不許可を示す場合は、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行った後、更新後の前記許否情報が前記許可を示す場合に前記提供部による前記サービスの提供を行い、更新後の前記許否情報が前記不許可を示す場合に前記提供部による前記サービスの提供を行わないようにしてもよい。
【0014】
この構成によれば、制御部は、アプリケーションの使用が指示されると、アプリケーションによるサービスの提供を開始する前に、第3記憶部に記憶されている許否情報を参照し、許否情報が不許可を示す場合は、サーバ装置への照会および許否情報の更新を行った後、更新後の許否情報が許可を示す場合にサービスの提供を行い、更新後の許否情報が不許可を示す場合にサービスの提供を行わない。
【0015】
前述したように許否情報は前回の照会結果に応じたものとなるから、許否情報が不許可を示す場合は、前回の照会結果がサービスの提供を許可していない場合になる。また、許否情報(前回の照会結果)が不許可を示す場合、サーバ装置への前回の照会時以降にサービスの提供を受ける権利が“無”から“有”に変更されていない限り、現時点においてもサービスの提供は許可されていないことになる。つまり、許否情報が不許可を示す場合とは、サービスの提供が許可されていない可能性が高い場合になる。従って、このような場合には、サーバ装置への照会および許否情報の更新をサービスの提供前に行い、更新後の最新の許否情報に基づいてサービス提供を行うか否かを決定することで、サービスの提供が許可されていない端末装置や利用者へのサービスの提供を防ぐことができる。
【0016】
なお、許否情報を更新するための処理(照会部による照会および更新部による更新)は、許否情報を参照した結果、許否情報が不許可を示していた場合に、毎回行われてもよいし、毎回でなく所定回数ごとに1回の割合で行われてもよい。例えば、後述する実施形態では、図8のフローチャートに示すように、制御フラグ520の値(許否情報)が“0”(不許可)であると判定される都度(ステップS401:NO)、毎回、利用権限照会モジュール11Cを実行して制御フラグ520の値を更新している(ステップS404)。しかしながら、ステップS401の判定結果がNOとなる回数をカウントし、カウント値が例えば3の倍数になった場合にのみ、利用権限照会モジュール11Cを実行して制御フラグ520の値を更新してもよい。このように照会部による照会および更新部による更新は、許否情報の参照結果が不許可であった場合に必ずしも毎回行われる必要はない。
【0017】
また、上述した端末装置において、前記第3記憶部には、前記許否情報の初期値として前記許可を示す情報が記憶されるようにしてもよい。
アプリケーションを提供する事業者の中には、アプリケーションによって提供されるサービスの内容を知ってもらうため、少なくとも最初の使用時は、サービスの提供が許可されているか否かにかかわらず全ての者に対してサービスを提供したいと要望する者がいる。許否情報の初期値を許可を示す情報にすることで、このような事業者の要望に応え、許否情報が最初に更新されるまでの間は、サービスの提供が許可されていなくてもサービスの提供を受けられるようにする、いわゆるアプリケーションのお試し利用を可能にすることができる。
なお、アプリケーションの使用が指示された場合に、毎回、許否情報を更新する構成であれば、アプリケーションのお試し利用は最初の1回に制限されるが、例えば、3n(n=1,2,3…)回目の使用の指示があった場合にのみ許否情報を更新する構成であれば、アプリケーションのお試し利用を最初の3回にすることができる。
【0018】
また、上述した端末装置において、前記第3記憶部には、前記許否情報の初期値として、前記照会部が照会結果を一度も取得していない不取得を示す情報が記憶され、前記制御部は、前記許否情報が前記不取得または前記許可を示す場合は、前記提供部による前記サービスの提供を開始し、前記サービスの提供中または提供後に、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行うようにしてもよい。
この場合もアプリケーションのお試し利用を可能にすることができる。
【0019】
また、上述した端末装置において、前記更新部は、前記照会部が照会結果を取得できなかった場合、前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を前記不許可を示す情報に更新するようにしてもよい。
例えば、照会結果を取得できなかった場合に許否情報を更新しない構成であると、無線通信の場合であれば電波の届かない場所に端末装置を移動させてアプリケーションを使用する、また、有線通信の場合であれば端末装置から通信ケーブルを外す等、意図的にサーバ装置との通信ができない状況下でアプリケーションを使用することで、サービスの提供が許可されていなくても、不正にサービスの提供を受けることが可能になってしまう場合がある。照会結果を取得できなかった場合に許否情報を不許可を示す情報に更新することで、このようなアプリケーションの不正利用を防ぐことができる。
【0020】
また、上述した端末装置において、前記サービスの提供量を計測する計測部をさらに備え、前記更新部は、前記計測部による計測結果が所定量未満の場合、前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を前記許可を示す情報に更新するようにしてもよい。
この構成によれば、サービスの提供量が所定量未満の場合は、照会部による照会結果にかかわらず許否情報が許可を示す情報に更新されるから、次回もお試し利用を受けることが可能になる。なお、サービスの提供量として、例えば、サービスの提供時間や、サービスの提供回数、あるいはアプリケーションがゲームソフトウェアの場合であれば、クリアしたゲームステージ数等を例示することができる。
例えば、お試し利用が最初の1回に制限されている場合、お試し利用中に利用者が誤ってアプリケーションの終了を指示してしまうと、以降、利用者は、サービスの提供を受ける権利を正式に得ない限り、アプリケーションを利用することができなくなってしまう。これに対し、上述したようにサービスの提供量に基づいてお試し利用を制御する場合、例えば、サービスの提供時間(アプリケーションの利用時間)が2時間を超えるまでは、利用回数にかかわらずお試し利用が可能になる、あるいはアプリケーションがゲームソフトウェアであれば、クリアしたゲームステージ数が3個を超えるまでは、利用回数や利用時間にかかわらずお試し利用が可能になる等、アプリケーションのお試し利用をより柔軟に制御することが可能になる。
【0021】
また、本発明は、コンピュータの利用者にサービスを提供するためのプログラムであって、コンピュータまたは前記利用者を識別する識別情報を記憶するコンピュータを、前記プログラムによるサービスを提供する提供部、外部のサーバ装置と通信を行い、前記識別情報によって識別される前記コンピュータまたは前記利用者に対して前記サービスの提供が許可されているか否かを照会する照会部、前記サービスの提供の許否を示す許否情報を記憶する記憶部、前記照会部による照会結果に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記許否情報を更新する更新部、前記提供部、前記照会部および前記更新部を制御する制御部として機能させ、前記制御部は、前記プログラムの実行が指示されると、前記提供部による前記サービスの提供を開始する前に前記記憶部に記憶されている前記許否情報を参照し、前記許否情報が許可を示す場合は、前記提供部による前記サービスの提供を開始し、前記サービスの提供中または提供後に、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行うことを特徴とする。
このプログラムによれば、コンピュータに本発明の端末装置の機能を持たせることができる。
【0022】
また、本発明に係るサーバ装置は、上記のプログラムを記憶する記憶部と、前記プログラムの送信要求を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記送信要求の送信元へ前記記憶部に記憶されている前記プログラムを送信する送信部とを備えることを特徴とする。
このサーバ装置と、通信機能を有するコンピュータとを備えた通信システムでは、上記のプログラムをサーバ装置からコンピュータへ送信することで、コンピュータを本発明の端末装置として機能させることができる。
【0023】
また、本発明は、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体としても把握される。記録媒体には、例えばCD−ROMやメモリカード等が含まれる。また、本発明は、上記のプログラムを伝送する伝送媒体(例えばネットワーク)としても把握される。つまり、本発明は、上記のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録または伝送する媒体(データキャリヤ)としても把握される。さらに本発明は、コンピュータにロードされて上記のプログラムとなるデータを保持するプログラム製品としても把握される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、サービスの提供の許否をサーバ装置に照会する必要があるアプリケーションについて、サービスの提供が許可されていない端末装置や利用者へのサービスの提供を抑えつつ利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】携帯電話機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】アプリケーションのモジュール構成を示す図である。
【図4】会員データベースのデータ構成を示す図である。
【図5】アプリケーションをダウンロードする場合のシーケンスチャートである。
【図6】会員登録を行う場合のシーケンスチャートである。
【図7】利用権限の有無を照会する場合のシーケンスチャートである。
【図8】アプリケーションの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
<1.実施形態>
図1は、通信システム1の全体構成を示すブロック図である。
通信システム1は、ダウンロードサーバ10と、認証サーバ20と、インターネット30と、移動体通信網40と、携帯電話機50を有する。また、移動体通信網40は、ゲートウェイサーバ41と基地局42を有する。なお、図1には基地局42と携帯電話機50を各々1台しか記載していないが、実際には基地局42と携帯電話機50は各々複数存在する。
【0027】
ダウンロードサーバ10は送信部と受信部と記憶部を有し、記憶部には携帯電話機50に提供するアプリケーション11が記憶されている。アプリケーション11は、携帯電話機50で実行可能なプログラムやソフトウェアであって、携帯電話機50の利用者に各種のサービスを提供する。例えば、アプリケーション11として、ゲームソフト、ワープロソフト、画像編集ソフト、アンチウイルスソフト等を例示することができる。また、アプリケーション11によって提供されるサービスとして、例えば、ゲームのプレイ、文書作成、画像編集、コンピュータウイルスの検出や駆除等を例示することができる。また、アプリケーション11は、例えば、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(NTT DoCoMo Inc., Tokyo, Japan)が提供するiアプリ(i-αppli、登録商標)や、KDDI株式会社(KDDI Corporation, Tokyo, Japan)が提供するEZアプリ、ソフトバンクモバイル株式会社(SoftBank Mobile Corporation, Tokyo, Japan)が提供するS!アプリ(S!Appli、登録商標)等であってもよい。
【0028】
なお、本実施形態におけるアプリケーション11は、アプリケーション11を提供する事業者のサービス会員にならないと、利用権限(サービスの提供を受ける権利)を得ることができない。また、サービス会員になるためには、認証サーバ20にアクセスして会員登録(ユーザ登録)を行う必要がある。また、ダウンロードサーバ10は、複数のアプリケーション11を記憶し、ダウンロードするアプリケーション11を携帯電話機50の利用者が任意に選択できる構成であってもよい。
【0029】
認証サーバ20は送信部と受信部と記憶部を有し、記憶部には会員データベース21が記憶されている。この会員データベース21には、会員登録を行った利用者の識別情報等が登録されている。ゲートウェイサーバ41は、インターネット30と移動体通信網40を相互接続するサーバであって、インターネット30における通信プロトコルと、移動体通信網40における通信プロトコルを変換する。また、基地局42は、自局の無線エリアに在圏する携帯電話機50と無線通信を行う。
【0030】
携帯電話機50は、移動体通信網40およびインターネット30を介して、ダウンロードサーバ10や認証サーバ20とパケット通信を行うことができる。例えば、携帯電話機50は、ダウンロードサーバ10からアプリケーション11をダウンロードすることができる。また、携帯電話機50は、認証サーバ20にアクセスして会員登録を行ったり、ダウンロードしたアプリケーション11について利用権限の有無を認証サーバ20に照会したりすることができる。また、携帯電話機50は、アプリケーション11を実行することで利用者に各種のサービスを提供する。
【0031】
図2は、携帯電話機50のハードウェア構成を示すブロック図である。
携帯電話機50は、CPU501と、ROM502と、RAM503と、無線通信部504と、操作部505と、通話処理部506と、表示部507と、不揮発性メモリ508を有する。CPU501は、ROM502や不揮発性メモリ508に記憶されている各種のプログラムを実行することで携帯電話機50の各部を制御する。ROM502には、携帯電話機50の各部の基本制御を司るプログラム等が記憶されている。RAM503は、CPU501のワークエリアとして用いられる。無線通信部504は、CPU501の制御の下、基地局42との無線通信を制御する。操作部505は、キーやボタン等の複数の操作子を有し、操作子の操作に応じた信号をCPU501に出力する。通話処理部506は、マイクロフォン、スピーカ、音声処理部等を有し、CPU501の制御の下、通話処理を行う。表示部507は、液晶表示パネルとその表示制御を行う駆動回路を有する。
【0032】
不揮発性メモリ508には、利用者ID510(識別情報)を記憶する記憶領域(第2記憶部)と、ダウンロードサーバ10からダウンロードしたアプリケーション11を記憶する記憶領域(第1記憶部)と、制御フラグ520(許否情報)を記憶する記憶領域(第3記憶部)が設けられている。なお、ダウンロードサーバ10からダウンロードしたアプリケーション11が不揮発性メモリ508内に複数記憶されている場合は、アプリケーション11ごとに制御フラグ520が対応付けられて記憶される。
【0033】
利用者ID510は、携帯電話機50の利用者を識別するための情報であって、例えば、電話番号(caller ID)やメールアドレス、あるいは移動体通信網40の運営事業者ごとに呼称が異なるが、例えば、IMUI(International Mobile User Identity)、端末シリアル番号(terminal serial number)、サブスクライバID(subscriber ID)、個体識別情報(individual identification information)等といった契約者固有IDである。このように利用者ID510は、利用者や携帯電話機50ごとに固有のIDである。但し、利用者ID510は、必ずしも利用者や携帯電話機50ごとにユニークな情報である必要はなく、例えば、複数の利用者や複数の携帯電話機50ごとに固有のグループIDであってもよい。また、利用者ID510として、ダウンロードサーバ10や認証サーバ20によって生成されて携帯電話機50に送られてくるクッキーや、アプリケーション11に付与されるライセンス番号を使用することもできる。なお、利用者ID510は、不揮発性メモリ508ではなくROM502に記憶されていてもよい。
【0034】
制御フラグ520は、アプリケーション11を実行する場合に参照されるフラグである。詳細については後述するが、制御フラグ520の値は、認証サーバ20から受信した照会結果に基づいて更新される。制御フラグ520の値は、例えば、“NULL”を示す値と“0”と“1”の3値をとる。“NULL”は制御フラグ520の値が何も設定されていない空の状態を示すが、実際には“NULL”を示す値として、例えば“−1”等、“0”と“1”以外の任意の値が使用される。制御フラグ520の値が“NULL”を示す値の場合は、認証サーバ20から照会結果を一度も受信していない不取得の状態を示す。また、制御フラグ520の値が“0”の場合は、認証サーバ20から最後に受信した照会結果が“利用権限なし”であったことを示す。また、制御フラグ520の値が“1”の場合は、認証サーバ20から最後に受信した照会結果が“利用権限あり”であったことを示す。
【0035】
なお、携帯電話機50において、CPU501と、操作部505と、表示部507と、メモリ(ROM502、RAM503、不揮発性メモリ508)と、図示を省略した音源部やスピーカが、サービスを提供する提供部として機能する。アプリケーション11の種類によっては無線通信部504が提供部に含まれる場合もある。また、CPU501と無線通信部504が照会部として機能し、CPU501が更新部や制御部として機能する。
【0036】
図3は、アプリケーション11のモジュール構成を示す図である。
アプリケーション11は、メインモジュール11Aと、サービス本体モジュール11Bと、利用権限照会モジュール11Cに大別される。メインモジュール11Aは、アプリケーション11の中で最初に制御が受け渡される部分であり、サブモジュールであるサービス本体モジュール11Bや利用権限照会モジュール11Cの呼び出し等を制御する。サービス本体モジュール11Bは、利用者に提供する実質的なサービスの内容を制御する。例えばアプリケーション11がゲームソフトであれば、サービス本体モジュール11Bは、ゲーム画像の表示や、効果音の出力、得点の計算等、ゲームのプレイに必要となる各種の処理を行う。また、利用権限照会モジュール11Cは、利用権限の有無を認証サーバ20に照会する処理や、認証サーバ20から受信した照会結果に基づいて制御フラグ520の値を更新する処理を行う。
【0037】
なお、本実施形態において「利用権限」とは、サービス本体モジュール11Bによるサービスの提供を受ける権利であり、利用権限がない場合でも、アプリケーション11の実行が指示されると、メインモジュール11Aや利用権限照会モジュール11Cは実行される。
【0038】
図4は、会員データベース21のデータ構成を示す図である。
会員データベース21を構成する個々のレコードは、会員登録を行った利用者の識別情報(利用者ID510)を格納する項目と、会員登録が行われた登録日の情報を格納する項目と、会員登録が解除された退会日の情報を格納する項目で構成される。なお、同図において“NULL”は、退会日の項目データが何も設定されていない空の状態を示す。つまり、退会日の項目に“NULL”を示す値が格納されている場合は、該当する利用者がまだ退会していないことを示す。例えば、図4において、利用者ID510が“00047962”の利用者は、退会日の情報が登録されており既に退会しているから、サービス会員ではなくアプリケーション11の利用権限を有していないことになる。これに対し、利用者ID510が“00053211”の利用者は、退会日の項目が“NULL”であるから、サービス会員でありアプリケーション11の利用権限を有していることになる。また、会員登録を行っていない利用者については、利用者ID510自体が会員データベース21に登録されていない。
【0039】
なお、会員データベース21には、利用者ID510と登録日と退会日の他に、利用者に関する情報として、例えば、氏名、年齢、職業、住所、メールアドレス等が登録されていてもよい。また、ダウンロードサーバ10が複数のアプリケーション11を提供しており、アプリケーション11ごとに利用権限の有無を制御したい場合は、図4に示した会員データベース21内に、アプリケーション11の識別情報(アプリケーションID)を格納する項目をさらに設ければよい。あるいは図4に示した会員データベース21をアプリケーション11ごとに設ければよい。
【0040】
図5は、アプリケーション11をダウンロードする場合のシーケンスチャートである。
ダウンロードサーバ10からアプリケーション11をダウンロードする場合、携帯電話機50は、アプリケーション11のダウンロード要求をダウンロードサーバ10へ送信する(ステップS101)。このダウンロード要求は、ダウンロードサーバ10の受信部によって受信される。ダウンロードサーバ10は、ダウンロード要求を受信すると、記憶部からアプリケーション11を読み出す(ステップS102)。また、ダウンロードサーバ10の送信部は、読み出したアプリケーション11を携帯電話機50へ送信する(ステップS103)。
【0041】
なお、ダウンロードサーバ10が複数のアプリケーション11を提供している場合、携帯電話機50は、ダウンロードしたいアプリケーション11の識別情報(アプリケーションID)をダウンロード要求と共に送信する。この場合、ダウンロードサーバ10は、受信したアプリケーションIDに対応するアプリケーション11を記憶部から読み出して携帯電話機50へ送信する。
【0042】
携帯電話機50は、アプリケーション11を受信すると、受信したアプリケーション11を不揮発性メモリ508にインストールする(ステップS104)。次に、携帯電話機50のCPU501は、制御フラグ520の記憶領域を不揮発性メモリ508内に確保する(ステップS105)。また、CPU501は、確保した記憶領域内に制御フラグ520の初期値として“NULL”(不取得)を示す値をセットする(ステップS106)。この後、CPU501は、ダウンロードしたアプリケーション11を利用するためには会員登録を行う必要があること等を示すメッセージを表示部507に表示する(ステップS107)。
【0043】
図6は、会員登録を行う場合のシーケンスチャートである。
会員登録を行う場合、携帯電話機50は、まず、不揮発性メモリ508から利用者ID510を読み出す(ステップS201)。次に、携帯電話機50は、読み出した利用者ID510を入会要求と共に認証サーバ20へ送信する(ステップS202)。認証サーバ20は、入会要求および利用者ID510を受信すると、会員データベース21に新たなレコードを追加し、追加したレコードに、受信した利用者ID510と、現在の日付(登録日)と、“NULL”を示す値(退会日)を格納する(ステップS203)。また、認証サーバ20は、会員データベース21への登録を終えると、会員登録が完了したことを示す完了通知を携帯電話機50に送信する(ステップS204)。
【0044】
なお、会員登録を解除する場合は、携帯電話機50から退会要求と利用者ID510が送信される。認証サーバ20は、退会要求と利用者ID510を受信すると、会員データベース21において、受信した利用者ID510に対応する退会日の項目に現在の日付を格納する。
【0045】
図7は、利用権限の有無を照会する場合のシーケンスチャートである。
なお、同図における携帯電話機50側の処理は、前述した利用権限照会モジュール11Cに従って行われる。携帯電話機50のCPU501は、アプリケーション11の利用権限の有無を認証サーバ20に照会する場合、まず、不揮発性メモリ508から利用者ID510を読み出す(ステップS301)。次に、CPU501は、読み出した利用者ID510を照会要求と共に無線通信部504を介して認証サーバ20へ送信する(ステップS302)。認証サーバ20は、照会要求および利用者ID510を受信すると、会員データベース21を参照し(ステップS303)、利用権限の有無を判定する(ステップS304)。
【0046】
例えば、認証サーバ20が、図4に示した会員データベース21を記憶しており、携帯電話機50から照会要求と共に利用者ID510“00047962”を受信した場合、会員データベース21(図4)には利用者ID510“00047962”が登録されているが、この利用者ID510“00047962”に対応する退会日の項目には退会日の情報が登録されている。この場合、照会の対象となる利用者(または携帯電話機50)は既に退会しておりサービス会員ではないから、認証サーバ20は利用権限がないと判定する。また、認証サーバ20は、携帯電話機50から受信した利用者ID510が会員データベース21に未登録の場合も、利用権限がないと判定する。一方、認証サーバ20が照会要求と共に利用者ID510“00053211”を受信した場合、会員データベース21(図4)には利用者ID510“00053211”が登録されており、かつ、この利用者ID510“00053211”に対応する退会日の項目は“NULL”である。この場合、照会の対象となる利用者(または携帯電話機50)はサービス会員であるから、認証サーバ20は利用権限があると判定する。
【0047】
認証サーバ20は、利用権限があると判定した場合は照会結果として“OK”を、また、利用権限がないと判定した場合は照会結果として“NG”を携帯電話機50へ返信する(ステップS305)。携帯電話機50のCPU501は、無線通信部504を介して照会結果を受信すると、受信した照会結果に基づいて、不揮発性メモリ508に記憶されている制御フラグ520の値を更新する(ステップS306)。例えば、CPU501は、照会結果が“OK”の場合は制御フラグ520の値を“1”(許可)に更新し、照会結果が“NG”の場合は制御フラグ520の値を“0”(不許可)に更新する。
【0048】
図8は、携帯電話機50において実行されるアプリケーション11の動作を示すフローチャートである。同図に示す処理は、例えば、利用者が操作部505を操作してアプリケーション11の実行を指示した場合や、携帯電話機50にインストールされている他のソフトウェア(例えばブラウザやメーラ)からアプリケーション11の実行が指示された場合に開始される。CPU501は、アプリケーション11の実行が指示されると、不揮発性メモリ508からアプリケーション11を読み出し、最初にメインモジュール11Aを実行する。
【0049】
CPU501は、図8に示す処理を開始すると、まず、不揮発性メモリ508に記憶されている制御フラグ520の値が“0”(不許可)であるか否かを判定する(ステップS401)。ステップS401の判定結果がYESの場合はステップS404に進む。また、ステップS401の判定結果がNOの場合、すなわち制御フラグ520の値が“NULL”(不取得)を示す値または“1”(許可)の場合は、ステップS402に進む。
【0050】
制御フラグ520の値は、認証サーバ20から受信した照会結果に基づいて更新される。また、図8に示すフローチャートから明らかとなるように、本実施形態において制御フラグ520の値は、アプリケーション11を実行する都度、ステップS403またはステップS404に示す利用権限照会モジュール11Cの実行によって更新される。従って、ステップS401における制御フラグ520の値は、“NULL”(不取得)を示す値の場合を除き、前回の照会結果(アプリケーション11の前回の実行中に認証サーバ20から受信した照会結果)に応じた値となる。
【0051】
例えば、制御フラグ520の値が“0”(不許可)の場合は、前回の照会結果が“NG”(利用権限なし)の場合である。従って、認証サーバ20への前回の照会時(アプリケーション11の前回の実行時)以降に会員登録が行われていない限り、現時点においても利用権限はないことになる。つまり、制御フラグ520の値が“0”の場合は、利用権限がない可能性が高いことを示す。一方、制御フラグ520の値が“1”(許可)の場合は、前回の照会結果が“OK”(利用権限あり)の場合であるから、認証サーバ20への前回の照会時以降に会員登録が解除されていない限り、現時点においても利用権限はあることになる。つまり、制御フラグ520の値が“1”の場合は、利用権限がある可能性が高いことを示す。
【0052】
また、制御フラグ520の値が“NULL”(不取得)を示す値の場合は、認証サーバ20から照会結果を一度も受信していない場合である。前述したように本実施形態においては、アプリケーション11を実行する都度、ステップS403またはステップS404にて制御フラグ520の値が更新される。従って、ステップS401において制御フラグ520の値が“NULL”を示す値となるのは、アプリケーション11を最初に実行した場合になる。本実施形態においては、制御フラグ520の値が“NULL”を示す値となる最初の実行時には、アプリケーション11によって提供されるサービスの内容を知ってもらうため、利用権限がなくてもサービスの提供を受けられるようにする、いわゆるアプリケーション11のお試し利用を可能にしている。
【0053】
つまり、ステップS401の判定結果がYESとなるのは(制御フラグ520=“0”)、利用権限がない可能性が高い場合である。また、ステップS401の判定結果がNOとなるのは(制御フラグ520=“NULL”or“1”)、お試し利用の場合(NULL)と、利用権限がある可能性が高い場合(1)である。
【0054】
CPU501は、ステップS401の判定結果がNOの場合、まず、サービス本体モジュール11Bを実行してサービスの提供を開始する(ステップS402)。例えばアプリケーション11がゲームソフトであれば、CPU501は、サービス本体モジュール11Bを実行することで、ゲーム画像の表示や効果音の出力等、ゲームのプレイに必要となる各種の処理を開始する。これにより携帯電話機50においてゲームが開始される。
【0055】
また、CPU501は、サービスの提供を開始した後、サービス本体モジュール11Bによる処理と並行し、バックグラウンド処理として利用権限照会モジュール11Cを実行する(ステップS403)。なお、利用権限照会モジュール11Cによる処理については、図7に示したシーケンスチャートを用いて説明した通りである。従って、CPU501は、サービスの提供中に、バックグラウンド処理として、利用権限の有無を認証サーバ20に照会する処理や、認証サーバ20からの照会結果に基づいて制御フラグ520の値を更新する処理を行う。例えばアプリケーション11がゲームソフトであれば、利用者がゲームをプレイしている間に、利用権限の有無を認証サーバ20に照会する処理や、認証サーバ20からの照会結果に基づいて制御フラグ520の値を更新する処理が行われる。また、CPU501は、サービス本体モジュール11Bによる処理を終了すると、図8に示す処理を終える。
【0056】
なお、利用権限照会モジュール11Cによる処理(ステップS403)において、認証サーバ20から照会結果が受信できなかった場合は、例えば5分等、所定の時間間隔で利用権限照会モジュール11Cの実行がリトライされる。例えば、移動体通信網40やインターネット30等のネットワークに障害が発生した場合や、認証サーバ20が故障した場合、携帯電話機50が電波の届かない場所(圏外)に位置している場合、通信エラーが発生して照会結果を正しく受信することができなかった場合等に、利用権限照会モジュール11Cの実行がリトライされる。また、CPU501は、例えば、“照会結果が受信できませんでした。リトライしますか?”等といったメッセージを表示部507に表示し、利用者が操作部505を操作してリトライの実行を指示した場合に、利用権限照会モジュール11Cの実行をリトライしてもよいし、リトライの確認を問うメッセージを表示せず、利用者の承認なしに利用権限照会モジュール11Cの実行をリトライしてもよい。
【0057】
また、利用権限照会モジュール11Cによる処理(ステップS403)において、制御フラグ520が“1”(許可)から“0”(不許可)に更新された場合は、サービス本体モジュール11Bの実行を終了させるようにしてもよい。なお、利用権限照会モジュール11Cによる処理(ステップS403)において、制御フラグ520が“NULL”(不取得)を示す値から“0”(不許可)に更新された場合は、お試し利用中であるのでサービス本体モジュール11Bの実行を継続させる。また、ステップS403に示す利用権限照会モジュール11Cの実行は、サービス本体モジュール11Bの実行中でなく、サービス本体モジュール11Bの実行が終了した後に、メインモジュール11Aからの呼び出しによって実行されるようにしてもよい。
【0058】
一方、CPU501は、ステップS401の判定結果がYESの場合、すなわち制御フラグ520の値が“0”(不許可)であって利用権限がない可能性が高い場合は、まず、利用権限照会モジュール11Cを実行する(ステップS404)。これにより利用権限の有無を認証サーバ20に照会する処理や、認証サーバ20からの照会結果に基づいて制御フラグ520の値を更新する処理が行われる。従って、CPU501は、利用権限の有無について最新の情報を得ることができる。なお、ステップS404に示す利用権限照会モジュール11Cの実行についても、ステップS403に示した利用権限照会モジュール11Cの場合と同様に、認証サーバ20から照会結果が受信できなかった場合は、所定の時間間隔で利用権限照会モジュール11Cの実行がリトライされる。また、リトライは利用者の承認を得た上で行われてもよいし、利用者の承認なしに行われてもよい。
【0059】
CPU501は、利用権限照会モジュール11Cの実行を終えると、更新後の最新の制御フラグ520の値が“0”(不許可)であるか否かを判定する(ステップS405)。ステップS405の判定結果がNOの場合、すなわち制御フラグ520の値が“1”(許可)の場合は、認証サーバ20への前回の照会時以降に会員登録が行われ、利用権限が“無”から“有”に変更された場合であるから、CPU501は、ステップS402に進んでサービス本体モジュール11Bを実行する。なお、ステップS405の判定結果がNOとなってステップS402に進んだ場合は、ステップS404において既に利用権限照会モジュール11Cを実行済みであるから、ステップS403に示す利用権限照会モジュール11Cを実行せずに、サービス本体モジュール11Bの実行時におけるCPU501の処理負荷を軽減するのがよい。
【0060】
一方、ステップS405の判定結果がYESの場合は、利用権限の有無について最新の情報を認証サーバ20に問い合わせたにもかかわらず、利用権限がなかった場合であるから、CPU501は、サービス本体モジュール11Bの実行を行わない。この場合、CPU501は、利用権限がないためサービスの提供ができないことや、サービスの提供を受けるためには会員登録を行う必要があること等を示すメッセージを表示部507に表示した後(ステップS406)、図8に示す処理を終える。
【0061】
以上説明したように本実施形態によれば、CPU501は、アプリケーション11の実行が指示されると、サービス本体モジュール11Bによるサービスの提供を開始する前に制御フラグ520の値を参照する。CPU501は、制御フラグ520の値が“NULL”(不取得)を示す値または“1”(許可)の場合は、サービス本体モジュール11Bを実行してサービスの提供を開始した後、サービスの提供中またはサービスの提供後に利用権限照会モジュール11Cを実行し、利用権限の有無を認証サーバ20に照会する処理や、認証サーバ20からの照会結果に基づいて制御フラグ520の値を更新する処理を行う。従って、お試し利用の場合や利用権限がある可能性が高い場合には、認証サーバ20との通信や制御フラグ520の更新に関する処理をサービスの提供前に行う必要がないから、サービスの提供が開始されるまでの待ち時間を短縮し、アプリケーション11の利便性を高めることができる。
また、CPU501は、制御フラグ520の値が“0”(不許可)の場合、すなわち利用権限がない可能性が高い場合は、利用権限照会モジュール11Cを実行し、利用権限の有無を認証サーバ20に照会する処理や、認証サーバ20からの照会結果に基づいて制御フラグ520の値を更新する処理を行った後、更新後の制御フラグ520の値に基づいて、サービス本体モジュール11Bによるサービスの提供を行うか否かを決定する。従って、利用権限がない利用者(または携帯電話機50)へのサービスの提供を抑えることができる。
よって、利用権限がない利用者(または携帯電話機50)へのサービスの提供をできるだけ抑えつつ、サービスの提供が開始されるまでの待ち時間を短縮してアプリケーション11の利便性を高めることができる。また、アプリケーション11をダウンロードした後、最初の1回は、利用権限がなくてもサービスの提供を受けることができるから、アプリケーション11のお試し利用が可能になる。
【0062】
<2.変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下の変形が可能である。また、以下に示す2以上の変形を適宜組み合わせることもできる。
【0063】
[変形例1]
携帯電話機50は、認証サーバ20から照会結果が受信できなかった場合、図7に示したシーケンスチャートのステップS306において、制御フラグ520の値を“0”(不許可)に更新する構成であってもよい。例えば、照会結果を受信できなかった場合に制御フラグ520の値を更新しない構成であると、電波の届かない場所(圏外)に携帯電話機50を移動させてアプリケーション11を実行する等、意図的に認証サーバ20との通信ができない状況下でアプリケーション11を実行することで、利用権限がないのに不正にサービスの提供を受けることが可能になってしまう場合がある。照会結果を受信できなかった場合に制御フラグ520の値を“0”(不許可)に更新することで、このようなアプリケーション11の不正利用を防ぐことができる。
【0064】
[変形例2]
上述した実施形態では、アプリケーション11を実行する都度、利用権限照会モジュール11Cを実行して制御フラグ520の値を更新するようにしたが、アプリケーション11を所定回数(例えば3回)実行するたびに1回の割合で利用権限照会モジュール11Cを実行するようにしてもよい。また、アプリケーション11が1日に複数回実行されても、利用権限照会モジュール11Cの実行については1日につき1回しか行わないようにしてもよい。例えば、アプリケーション11の3n(n=1,2,3…)回目の実行時にのみ利用権限照会モジュール11Cを実行する構成とすれば、アプリケーション11のお試し利用を最初の3回にすることができる。
【0065】
[変形例3]
図5に示したシーケンスチャートのステップS106において、制御フラグ520の初期値として“NULL”(不取得)を示す値の代わりに“1”(許可)をセットしてもよい。この場合も、初期値として“NULL”を示す値をセットした場合と同様に、アプリケーション11のお試し利用を可能にすることができる。なお、制御フラグ520の初期値を“1”にする場合は、制御フラグ520の値が“0”と“1”の2値で済むので制御構成を簡素化できる。
【0066】
[変形例4]
CPU501は、サービス本体モジュール11Bの実行時間を計測してその累積実行時間を不揮発性メモリ508に記憶し、累積実行時間が閾値(例えば2時間)未満の場合は、図7に示したシーケンスチャートのステップS306において、受信した照会結果にかかわらず制御フラグ520の値を“1”(許可)に更新する構成であってもよい。また、CPU501は、サービス本体モジュール11Bの実行回数を計数してその累積実行回数を不揮発性メモリ508に記憶し、累積実行回数が閾値(例えば5回)未満の場合は、ステップS306において、受信した照会結果にかかわらず制御フラグ520の値を“1”に更新する構成であってもよい。以上の構成によれば、サービスの提供時間が2時間未満の場合や、サービスの提供回数が5回未満の場合等、サービスの提供量が予め定められた閾値未満の場合は、認証サーバ20から受信した照会結果にかかわらず制御フラグ520の値が“1”(許可)に更新されるから、次回もお試し利用を受けることが可能になる。なお、CPU501と不揮発性メモリ508がサービスの提供量を計測する計測部として機能する。また、サービスの提供量として、サービスの提供時間やサービスの提供回数の他に、例えば、アプリケーション11がゲームソフトウェアの場合であれば、クリアしたゲームステージ数等を例示することができる。
【0067】
例えば、実施形態に記載したようにお試し利用が最初の1回に制限されている場合、お試し利用中に利用者が誤ってアプリケーション11の終了を指示してしまうと、以降、利用者は、会員登録を行なってサービスの提供を受ける権利を正式に得ない限り、アプリケーション11を利用することができなくなってしまう。これに対し、上述したようにサービスの提供量に基づいてお試し利用を制御する場合、例えば、サービスの提供時間(アプリケーションの利用時間)が2時間を超えるまでは、利用回数にかかわらずお試し利用が可能になるから、アプリケーション11のお試し利用をより柔軟に制御することが可能になる。
【0068】
[変形例5]
サービス本体モジュール11Bに相当する部分をアプリケーションとし、メインモジュール11Aと利用権限照会モジュール11Cに相当する部分については、アプリケーションの実行を制御するための制御用ソフトウェアとしてアプリケーションから切り離し、アプリケーションと制御用ソフトウェアのペアをダウンロードサーバ10から提供するようにしてもよい。また、制御用ソフトウェアについては携帯電話機50にプリインストールしておき、アプリケーションのみをダウンロードサーバ10から提供する等、アプリケーションと制御用ソフトウェアを別々に提供してもよい。
【0069】
[変形例6]
上述した実施形態では、サービス会員である場合に利用権限を与えたが、例えば、1ヶ月や1年等、所定期間ごとにアプリケーション11の利用料金が継続して支払われていることを条件に利用権限を与えてもよい。
【0070】
[変形例7]
ダウンロードサーバ10と認証サーバ20は、移動体通信網40内に設けられていてもよい。また、ダウンロードサーバ10と認証サーバ20を1台のサーバで構成してもよい。端末装置は、携帯電話機50に限らず、例えば、無線LAN端末、パーソナルコンピュータ、通信機能を有するビデオゲーム機等であってもよい。また、端末装置は、無線で通信を行うものであってもよいし、有線で通信を行うものであってもよい。なお、端末装置がパーソナルコンピュータ等の場合は、利用者IDとして、ネットワークカードに記憶されているMACアドレスを使用することができる。また、端末装置とサーバ装置の間に介在するネットワークは、移動体通信網40やインターネット30に限らず、LANやWAN等であってもよい。
【0071】
[変形例8]
アプリケーションは、ネットワークを介して端末装置に提供されるものに限定されない。例えば、CD−ROMやメモリカード等の記録媒体を介して端末装置に提供されるものや、端末装置にプリインストールされているものであってもよい。また、アプリケーションは、例えば、音楽データとその再生ソフト、映像データとそのビューワ等であってもよい。この場合、アプリケーションによって提供されるサービスは、音楽データに基づく音楽の再生や、映像データに基づく映像の再生になる。
【符号の説明】
【0072】
1…通信システム、10…ダウンロードサーバ、11…アプリケーション、11A…メインモジュール、11B…サービス本体モジュール、11C…利用権限照会モジュール、20…認証サーバ、21…会員データベース、30…インターネット、40…移動体通信網、41…ゲートウェイサーバ、42…基地局、50…携帯電話機、501…CPU、502…ROM、503…RAM、504…無線通信部、505…操作部、506…通話処理部、507…表示部、508…不揮発性メモリ、510…利用者ID、520…制御フラグ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置の利用者にサービスを提供するためのアプリケーションを記憶する第1記憶部と、
前記第1記憶部に記憶された前記アプリケーションによるサービスを提供する提供部と、
前記端末装置または前記利用者を識別する識別情報を記憶する第2記憶部と、
外部のサーバ装置と通信を行い、前記第2記憶部に記憶された前記識別情報によって識別される前記端末装置または前記利用者に対して前記サービスの提供が許可されているか否かを照会する照会部と、
前記サービスの提供の許否を示す許否情報を記憶する第3記憶部と、
前記照会部による照会結果に基づいて、前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を更新する更新部と、
前記提供部、前記照会部および前記更新部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記アプリケーションの使用が指示されると、前記提供部による前記サービスの提供を開始する前に前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を参照し、
前記許否情報が許可を示す場合は、前記提供部による前記サービスの提供を開始し、前記サービスの提供中または提供後に、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行う
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記許否情報が不許可を示す場合は、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行った後、更新後の前記許否情報が前記許可を示す場合に前記提供部による前記サービスの提供を行い、更新後の前記許否情報が前記不許可を示す場合に前記提供部による前記サービスの提供を行わない
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記第3記憶部には、前記許否情報の初期値として前記許可を示す情報が記憶される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記第3記憶部には、前記許否情報の初期値として、前記照会部が照会結果を一度も取得していない不取得を示す情報が記憶され、
前記制御部は、
前記許否情報が前記不取得または前記許可を示す場合は、前記提供部による前記サービスの提供を開始し、前記サービスの提供中または提供後に、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項5】
前記更新部は、前記照会部が照会結果を取得できなかった場合、前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を前記不許可を示す情報に更新する
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記サービスの提供量を計測する計測部をさらに備え、
前記更新部は、前記計測部による計測結果が所定量未満の場合、前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を前記許可を示す情報に更新する
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項7】
コンピュータの利用者にサービスを提供するためのプログラムであって、
コンピュータまたは前記利用者を識別する識別情報を記憶するコンピュータを、
前記プログラムによるサービスを提供する提供部、
外部のサーバ装置と通信を行い、前記識別情報によって識別される前記コンピュータまたは前記利用者に対して前記サービスの提供が許可されているか否かを照会する照会部、
前記サービスの提供の許否を示す許否情報を記憶する記憶部、
前記照会部による照会結果に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記許否情報を更新する更新部、
前記提供部、前記照会部および前記更新部を制御する制御部として機能させ、
前記制御部は、
前記プログラムの実行が指示されると、前記提供部による前記サービスの提供を開始する前に前記記憶部に記憶されている前記許否情報を参照し、
前記許否情報が許可を示す場合は、前記提供部による前記サービスの提供を開始し、前記サービスの提供中または提供後に、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行う
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項9】
請求項7に記載のプログラムを記憶する記憶部と、
前記プログラムの送信要求を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記送信要求の送信元へ前記記憶部に記憶されている前記プログラムを送信する送信部と
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項1】
端末装置の利用者にサービスを提供するためのアプリケーションを記憶する第1記憶部と、
前記第1記憶部に記憶された前記アプリケーションによるサービスを提供する提供部と、
前記端末装置または前記利用者を識別する識別情報を記憶する第2記憶部と、
外部のサーバ装置と通信を行い、前記第2記憶部に記憶された前記識別情報によって識別される前記端末装置または前記利用者に対して前記サービスの提供が許可されているか否かを照会する照会部と、
前記サービスの提供の許否を示す許否情報を記憶する第3記憶部と、
前記照会部による照会結果に基づいて、前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を更新する更新部と、
前記提供部、前記照会部および前記更新部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記アプリケーションの使用が指示されると、前記提供部による前記サービスの提供を開始する前に前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を参照し、
前記許否情報が許可を示す場合は、前記提供部による前記サービスの提供を開始し、前記サービスの提供中または提供後に、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行う
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記許否情報が不許可を示す場合は、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行った後、更新後の前記許否情報が前記許可を示す場合に前記提供部による前記サービスの提供を行い、更新後の前記許否情報が前記不許可を示す場合に前記提供部による前記サービスの提供を行わない
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記第3記憶部には、前記許否情報の初期値として前記許可を示す情報が記憶される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記第3記憶部には、前記許否情報の初期値として、前記照会部が照会結果を一度も取得していない不取得を示す情報が記憶され、
前記制御部は、
前記許否情報が前記不取得または前記許可を示す場合は、前記提供部による前記サービスの提供を開始し、前記サービスの提供中または提供後に、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項5】
前記更新部は、前記照会部が照会結果を取得できなかった場合、前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を前記不許可を示す情報に更新する
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記サービスの提供量を計測する計測部をさらに備え、
前記更新部は、前記計測部による計測結果が所定量未満の場合、前記第3記憶部に記憶されている前記許否情報を前記許可を示す情報に更新する
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項7】
コンピュータの利用者にサービスを提供するためのプログラムであって、
コンピュータまたは前記利用者を識別する識別情報を記憶するコンピュータを、
前記プログラムによるサービスを提供する提供部、
外部のサーバ装置と通信を行い、前記識別情報によって識別される前記コンピュータまたは前記利用者に対して前記サービスの提供が許可されているか否かを照会する照会部、
前記サービスの提供の許否を示す許否情報を記憶する記憶部、
前記照会部による照会結果に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記許否情報を更新する更新部、
前記提供部、前記照会部および前記更新部を制御する制御部として機能させ、
前記制御部は、
前記プログラムの実行が指示されると、前記提供部による前記サービスの提供を開始する前に前記記憶部に記憶されている前記許否情報を参照し、
前記許否情報が許可を示す場合は、前記提供部による前記サービスの提供を開始し、前記サービスの提供中または提供後に、前記照会部による照会および前記更新部による更新を行う
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項9】
請求項7に記載のプログラムを記憶する記憶部と、
前記プログラムの送信要求を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記送信要求の送信元へ前記記憶部に記憶されている前記プログラムを送信する送信部と
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−22517(P2012−22517A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159798(P2010−159798)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【特許番号】特許第4805399号(P4805399)
【特許公報発行日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(501016847)KPE株式会社 (145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【特許番号】特許第4805399号(P4805399)
【特許公報発行日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(501016847)KPE株式会社 (145)
【Fターム(参考)】
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