説明

競走馬計時システム

【課題】競走馬の走行時間の算出を失敗する虞が少なく、また、競走馬の走路幅方向における走行位置を検出することができる競走馬計時システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る競走馬計時システム1は、競走馬Hに取り付けられたバーコード2と、ゲートGに取り付けられてバーコード2を読み取るバーコードリーダ3と、競走馬Hに取り付けられ識別子データを送信するICタグ5と、ゲートGに取り付けられて識別子データを受信するタグリーダ6と、バーコードリーダ3等を制御する制御部4とを備え、制御部4は、バーコード2から検出した識別子が適正なときには、バーコード2から競走馬Hの識別子と通過時刻とを検出し、任意のゲートG間の走行時間を算出すると共に、走路幅方向における走行位置を検出し、識別子が適正でないときには、タグリーダ6が受信した識別子データの識別子を競走馬Hの識別子として通過時間ひいては走行時間を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、競走馬の調教時の走行時間を算出する競走馬計時システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、競走馬の調教時における走行時間の算出において、走行時間の算出の対象となる競走馬を他の競走馬と識別するための識別子を示すバーコードを競走馬に取り付け、走路の任意の位置に設けたバーコードリーダによってバーコードを読み取ることによって走行時間を算出する競走馬計時システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
バーコードは、該バーコードの読み取り方向が水平であって競走馬の進行方向と垂直になるように競走馬の背の後部に上向きに取り付けられる。バーコードリーダは、走路のスタート位置、ゴール位置、及びスタート位置とゴール位置との間の各ハロンにおいて、走路に沿って設けられたゲートに取り付けられ、バーコードに照射するレーザビーム光を水平であって走路の長手方向と垂直になる方向に走査し、レーザビーム光のバーコードからの反射光を検出することによりバーコードを読み取る。読み取られたバーコードから各ゲートを通過した競走馬の識別子と通過時刻とが検出され、それぞれの競走馬の任意のゲート間の走行時間が、検出された識別子と通過時刻に基づいて算出される。
【0004】
このような競走馬計時システムにおいては、レーザビーム光の走査方向が走路の長手方向と垂直であり、レーザビーム光の指向性が強く、且つレーザビーム光の幅を細く設定しているため、バーコードを読み取ることができる位置の範囲が走路の長手方向には狭くなり、通過時刻ひいては走行時間を精度良く算出することができる。
【0005】
また、レーザビーム光を走査したときに、バーコードを走査範囲のいずれの位置で検出したかによって走路幅方向における競走馬の走行位置を検出することができるので、各ゲートにおける走路幅方向の走行位置から競走馬の斜行癖を評価し、競走馬を訓練することにより斜行による接触事故を軽減することができる。
【0006】
しかしながら、バーコードの表面の疵や汚れ等によって、バーコードが正確に読み取れないことがある。また、バーコードリーダとバーコードとの間の空気中の雨粒や霧等の障害物によってレーザビーム光が減衰し、バーコードが正確に読み取れないことがある。バーコードの表面の疵や汚れ等が甚だしい場合やバーコード表面から反射されるレーザビーム光の減衰が甚だしい場合には、バーコードを読み取ったことさえ認識できないが、大半の場合は何らかのバーコードを読み取ったことは認識することができる。このように何らかのバーコードを読み取ったことを認識することができても、バーコードが正確に読み取れないと通過した競走馬の識別子を適正に検出できないので、いずれの競走馬が通過したかが認識できず、走行時間の算出に失敗することになる。
【0007】
また、他の競走馬計時システムとして、競走馬の識別子を示す識別子データを電波で送信する送信器を騎手の後頭部に取り付け、その送信器からの識別子データをスタート位置とゴール位置とで受信することにより、各競走馬のスタートからゴールまでの走行時間を算出するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、このような競走馬計時システムにおいては、電波が拡がるため走路幅方向における該競走馬の走行位置を検出することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平1−248290
【特許文献2】特開2004−213442
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、係る従来技術の問題を解決するためになされたものであり、競走馬の走行時間の算出を失敗する虞が少なく、また、競走馬の走路幅方向における走行位置を検出することができる競走馬計時システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は、競走馬に取り付けられ当該競走馬と他の競走馬とを識別するための識別子を示すバーコードと、競走馬の走路の長手方向に沿って所定の間隔で設けられたゲートに取り付けられて前記バーコードを読み取るバーコードリーダと、前記バーコードリーダの動作を制御する制御部と、を備え、前記バーコードは該バーコードの読み取り方向が水平であって前記競走馬の進行方向と垂直になるように取り付けられ、前記バーコードリーダは前記バーコードに照射するレーザビーム光を水平であって前記走路の長手方向と垂直になる方向に走査して前記レーザビーム光の反射光を検出することにより前記バーコードを読み取り、前記制御部は前記各ゲートを通過する競走馬に取り付けられた前記バーコードを前記バーコードリーダに読み取らせることにより各ゲートを通過する競走馬の識別子と通過時刻とを検出し、それぞれの競走馬の任意のゲート間の走行時間を前記識別子と通過時刻とに基づいて算出すると共に、走路幅方向における該競走馬の走行位置を前記バーコードが前記レーザビーム光の走査範囲のいずれの位置で読み取られたかに基づいて検出する競走馬計時システムにおいて、前記競走馬に取り付けられそれぞれの競走馬の識別子を示す識別子データを送信するICタグと、前記ゲートに取り付けられて前記ICタグからの識別子データを受信するタグリーダと、を備え、前記制御部は、バーコードから検出した識別子が適正な識別子であるか否かを判断し、適正な識別子でないと判断したときに前記タグリーダが受信した識別子データが示す識別子を該競走馬の識別子とすることを特徴とする競走馬計時システムを提供する。
【0012】
本発明によれば、競走馬に取り付けられたICタグから競走馬の識別子を示す識別子データが送信され、各ゲートに取り付けられたタグリーダによって識別子データを受信するので、制御部は各ゲートを通過した競走馬の識別子を認識することができる。従って、バーコードから検出した識別子が適正な識別子であるか否かを制御部が判断し、適正な識別子でないと判断したときにタグリーダが受信した識別子データが示す識別子を競走馬の識別子として走行時間を算出することができる。このように、バーコードによって競走馬の識別子を認識することができなくてもICタグによって識別子を認識することができるので、競走馬の走行時間の算出を失敗する虞が少なくなる。
【0013】
また、バーコードリーダによってレーザビーム光を走路の長手方向と垂直になる方向に走査してバーコードを読み取ることにおいて、レーザビーム光の指向性が強く、且つレーザビーム光の幅を細く設定しているため、バーコードを読み取ることができる位置の範囲が走路の長手方向には狭くなり、競走馬の通過時刻を精度良く読み取ることができ、走行時間を精度良く算出することができる。
【0014】
また、レーザビーム光を走査したときにバーコードを走査範囲のいずれの位置で検出したかによって、走路幅方向における競走馬の走行位置を検出することができる。これにより、各ゲートにおける走路幅方向の走行位置から競走馬の斜行癖を評価し、競走馬を訓練することにより斜行による接触事故を軽減することができる。
【0015】
好ましくは、本発明は、前記識別子データの送信を前記ICタグに指示する送信信号を送信する送信部を更に備え、前記ICタグは前記送信信号の受信に応じて該識別子データを送信し、前記制御部は、前記バーコードリーダによって前記バーコードを読み取ったときに前記送信信号を前記送信部から送信させる。
【0016】
係る好ましい方法によれば、ICタグからの識別子データの送信が、競走馬が各ゲートを通過した時に限られる。これにより、識別子データの送信による周囲の通信機器への混信を少なくすることができ、また、識別子データの送信にかかる電力の消費を抑えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、競走馬に取り付けられたICタグから競走馬の識別子を示す識別子データが送信され、各ゲートに取り付けられたタグリーダによって識別子データを受信するので、制御部は各ゲートを通過した競走馬の識別子を認識することができる。従って、バーコードによって競走馬の識別子を認識することができなくてもICタグによって識別子を認識することができるので、競走馬の走行時間の算出を失敗する虞が少なくなる。また、レーザビーム光を走査したときにバーコードを走査範囲のいずれの位置で検出したかによって、走路幅方向における競走馬の走行位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る競走馬計時システムの構成図である。
【図2】図2は、同競走馬計時システムの一部の外観図である。
【図3】図3は、同競走馬計時システムのバーコードの構成図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態に係る競走馬計時システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、添付図面1乃至図3を適宜参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係る競走馬計時システムついて説明する。なお、図2においては、走路におけるゲートを全て示さずに1本のみを示している。
競走馬計時システム1は、競走馬Hに取り付けられて当該競走馬と他の競走馬とを識別するための識別子を示すバーコード2と、バーコード2を読み取るバーコードリーダ3と、バーコードリーダ3の動作を制御する制御部4とを備えている。また、競走馬計時システム1は、バーコード2と同様に競走馬Hに取り付けられバーコード2と同様の識別子のデータを送信するICタグ5と、ICタグ5からの送信データを受信するタグリーダ6とを備え、タグリーダ6はバーコードリーダ3と同様に制御部4によって動作を制御されている。
【0020】
バーコード2はバーコードラベル21に付され、バーコードラベル21は、バーコード2の読み取り方向が水平であって競走馬Hの進行方向と垂直になるように競走馬の背の後部に取り付けられている。
【0021】
バーコードリーダ3は、競走馬Hが走る走路Cのスタート位置、ゴール位置、及びスタート位置とゴール位置との間の各ハロンにおいて、走路Cに沿って設けられた各ゲートGに取り付けられている。ハロンとは200mの間隔で設けられた位置を意味し、スタート位置からゴール位置まで200m間隔にゲートGが設けられている。図1に示した例では、スタート位置からゴール位置までを800mとしてゲートGの数を5本としたが、スタート位置からゴール位置までの距離とゲートGの数とに制限はない。
【0022】
ゲートGは、走路Cの幅方向両側に建てられた柱と、両側の柱の上部を繋ぐ梁とを有しており、バーコードリーダ3は梁に下向きに取り付けられている。バーコードリーダ3は、例えば特許文献1に記載のバーコードリーダと同様の構成を有している。バーコードリーダ3は、バーコード2に照射するレーザビーム光Rを水平であって走路Cの長手方向と垂直になる方向に走査し、レーザビーム光Rのバーコード2からの反射光を検出することによりバーコード2を読み取り、制御部4に伝達する。
【0023】
制御部4は、バーコードリーダ3に接続されている。制御部4は、タイマ(図示せず)を有しており、バーコードリーダ3からのデータに基づいて競走馬Hの識別子と通過時刻とを検出する。制御部4は、各ゲートGで検出した識別子や通過時刻等を記憶する記憶部(図示なし)を有しており、それぞれの競走馬Hの任意のゲートG間の走行時間を、各ゲートGで検出した競走馬Hの識別子と通過時刻とに基づいて算出する。制御部4は、算出した走行時間を出力画面やプリンタ等の出力部(図示せず)から出力する。レーザビーム光Rは、指向性が強く、バーコード2を読み取ることができる位置の範囲が走路Cの長手方向に狭いので、競走馬Hの通過時刻を精度良く検出することができる。
【0024】
バーコード2の表面の疵や汚れ等によって、バーコード2が正確に読み取れないことがある。また、バーコードリーダ3とバーコード2との間の空気中の雨粒や霧等の障害物によってレーザビーム光Rが減衰し、バーコード2が正確に読み取れないことがある。しかしながら、バーコード2の表面の疵や汚れ等やレーザビーム光Rの減衰が甚だしい場合を除き、バーコードリーダ3がバーコード2を正確に読み取れなくても、制御部4はバーコードリーダ3が何らかのバーコード2を読み取ったことは認識することができるので、競走馬Hの通過時刻を検出することができる。
【0025】
また、制御部4は、レーザビーム光Rを走査したときに、バーコード2を走査範囲のいずれの位置で検出したかによって走路C幅方向における競走馬Hの走行位置を検出する。これにより、各ゲートGにおける走路C幅方向の走行位置から競走馬Hの斜行癖を評価し、競走馬Hを訓練することにより斜行による接触事故を軽減することができる。
【0026】
走路C幅方向における競走馬Hの走行位置の検出は、例えば次のように行なわれる。特許文献1に記載のようにレーザビーム光Rを一方向に走査し反射光を検出する公知の光走査装置を用い、レーザビーム光Rの走査経路上の所定の位置に光検出素子を設ける。その光検出素子がレーザビーム光Rを受光したときのレーザビーム光Rの照射方向を走路Cの幅方向の位置の基準とし、制御部4はバーコード2を読み取ったときのレーザビーム光Rの照射方向から走路Cの幅方向における競走馬Hの走行位置を検出する。具体的には、光検出素子がレーザビーム光Rを受光した時刻から、バーコード2を読み取った時刻までの経過時間と走査速度とに基づき、走路Cの幅方向の走行位置を検出する。これにより、走行位置を精度良く検出することができ、10mm程度の位置分解能が得られる。
【0027】
ICタグ5はバーコードラベル21に取り付けられており、ICタグ本体51と、バーコード2の周囲に設けられて電波を送信するアンテナ52とを有している。このアンテナ52は、ICタグ本体51に内蔵してもよい。また、ICタグ5をバーコードラベル21に取り付けずに、例えば、騎手に取り付けてもよい。
【0028】
タグリーダ6は、バーコードリーダ3と同様に各ゲートGに取り付けられて制御部4に接続されており、ICタグ5からの送信データを受信して制御部4に伝達する。制御部4は、タグリーダ6からのデータに基づいて競走馬Hの識別子を検出する。タグリーダ6は、ゲートG付近を通過する競走馬Hからの送信データのみを受信するように、受信範囲が設定されている。タグリーダ6は、電波によってICタグ5と通信をするので、ICタグ5の汚れや空気中の雨粒や霧等に拘わらずに識別子を精度良く検出することができる。このタグリーダ6を、図2に示すように競走馬Hの上方にあるゲートGの梁に設けると、ICタグ5とタグリーダ6との間に他の競走馬H等の障害物が入らないので、更に識別子を精度良く検出することができる。
【0029】
しかしながら、タグリーダ6によって走路C幅方向における競走馬Hの走行位置をICタグ5からの電波の受信強度によって検出しようとすると、位置の検出精度が悪い。例えば、2台のタグリーダ6を走路Cの幅方向の両端に設け、2台のタグリーダ6が受信した電波の強度比に基づいて競走馬の走行位置を検出すると、位置分解能は2.5m程度になり、バーコード2とバーコードリーダ3とを用いた場合の位置分解能と比べてかなり劣る。
【0030】
ICタグ5とタグリーダ6とは、所謂RFID(Radio Frequency Identification)技術を用いてICタグ5からタグリーダ6へ識別子データを送信する構成である。ICタグ5は、電池を内蔵する所謂アクティブタグでもよいし、電池を内蔵せずにタグリーダ6からの電波をエネルギー源として動作する所謂パッシブタグでもよい。パッシブタグの場合には、電池を交換する手間が省かれメンテナンス性が向上する。
【0031】
バーコード2とICタグ5には上述したような特性があるので、バーコード2とICタグ5との両方を用いることにより、精度良く競走馬Hの走行時間の算出と走路C幅方向における走行位置の検出とを行うことができる。
【0032】
なお、図1及び図2においてバーコードリーダ3とタグリーダ6とをゲートG毎に1台ずつとしているが、バーコードリーダ3とタグリーダ6のそれぞれの台数は、バーコードリーダ3とタグリーダ6のそれぞれの検出範囲が走路Cの全幅を覆うように適宜決めればよい。
【0033】
次に、競走馬計時システム1の動作について説明する。バーコードリーダ3は、レーザビーム光Rを走査し、ゲートGを通過する競走馬Hのバーコード2を読み取り、読み取ったデータを制御部4に伝達する。タグリーダ6は、ゲートGを通過する競走馬HのICタグ5からの識別子データを受信し、識別子データを制御部4に伝達する。制御部4は、バーコードリーダ3とタグリーダ6とからのデータに基づいて、競走馬Hの識別子と通過時刻とを次のようにして検出する。
【0034】
制御部4は、それぞれのゲートGにおいて、バーコード2から検出した識別子が適正な識別子であるか否かを判断する。制御部4は、バーコード2から検出した識別子が、例えば次のようなときに適正でないと判断する。
1.検出された識別子の書式が、予め定められた書式と異なっているとき。
2.走路Cを走る競走馬Hの識別子を予め登録しておき、検出した識別子が登録されているいずれの識別子とも異なるとき。
【0035】
制御部4は、バーコード2から検出した識別子が適正であると判断すると、その識別子によって表わされる競走馬Hが、検出された通過時刻にそのゲートGを通過したと判断する。一方、制御部4が、検出した識別子が適正でないと判断すると、適正でないとした識別子のバーコード2に対応するICタグ5から送信された識別子データを記憶部から抽出し、その識別子データによって表わされる競走馬Hが、検出された通過時刻にそのゲートGを通過したと判断する。適正でないとされた識別子のバーコード2と、ICタグ5との対応は、バーコード2が読み取られた時刻とICタグ5からの識別子データが受信された時刻との時間差が予め定められた時間差の範囲に入るか否かによって決めればよい。そして、制御部4は、それぞれのゲートGの通過時刻に基づいて、任意のゲートG間の走行時間を算出する。
【0036】
競走馬計時システム1を上述したような構成にすることにより、バーコード2によって競走馬Hの識別子を認識することができなくてもICタグ5によって識別子を認識することができるので、競走馬Hの走行時間の算出を失敗する虞が少なくなる。
【0037】
また、バーコードリーダ3によってレーザビーム光Rを走路Cの長手方向と垂直になる方向に走査してバーコード2を読み取ることにおいて、レーザビーム光Rの指向性が強く、バーコード2を読み取ることができる位置範囲が走路Cの長手方向には狭いので、競走馬Hの通過時刻を精度良く読み取ることができ、ひいては走行時間を精度良く算出することができる。
【0038】
また、レーザビーム光Rを走査したときにバーコード2を走査範囲のいずれの位置で検出したかによって、走路C幅方向における競走馬Hの走行位置を検出することができる。これにより、各ゲートGにおける走路C幅方向の走行位置から競走馬Hの斜行癖を評価し、競走馬Hを訓練することにより斜行による接触事故を軽減することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る競走馬計時システムついて、図4を参照して説明する。
本実施形態においては、第1の実施形態と異なりICタグ5から識別子データが送信される時間が限定される。タグリーダ6は、ICタグ5に識別子データの送信を指示する送信信号を送信する送信部61を備えている。制御部4は、バーコードリーダ3がバーコード2を読み取ったときに、送信部61から送信信号を送信させる。ICタグ5は、送信信号を受信すると識別子データを送信する。
【0040】
これにより、ICタグ5からの識別子データの送信が、競走馬Hが各ゲートGを通過した時に限られるので、識別子データの送信による周囲の通信機器への混信を少なくすることができ、また、識別子データの送信にかかる電力の消費を抑えることができる。ICタグ5がパッシブタグの場合には、バーコードリーダ3がバーコード2を読み取ったときにタグリーダ6からエネルギー源となる電波が送信されてICタグ5が起動され、ICタグ5が識別子データを送信するようにしてもよい。また、送信部61をタグリーダ6に設けずに、他の箇所に設けてもよい。
【0041】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1・・・競走馬計時システム
2・・・バーコード
3・・・バーコードリーダ
4・・・制御部
5・・・ICタグ
6・・・タグリーダ
61・・・送信部
C・・・走路
G・・・ゲート
H・・・競走馬
R・・・レーザビーム光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
競走馬に取り付けられ当該競走馬と他の競走馬とを識別するための識別子を示すバーコードと、競走馬の走路の長手方向に沿って所定の間隔で設けられたゲートに取り付けられて前記バーコードを読み取るバーコードリーダと、前記バーコードリーダの動作を制御する制御部と、を備え、
前記バーコードは該バーコードの読み取り方向が水平であって前記競走馬の進行方向と垂直になるように取り付けられ、前記バーコードリーダは前記バーコードに照射するレーザビーム光を水平であって前記走路の長手方向と垂直になる方向に走査して前記レーザビーム光の反射光を検出することにより前記バーコードを読み取り、前記制御部は前記各ゲートを通過する競走馬に取り付けられた前記バーコードを前記バーコードリーダに読み取らせることにより各ゲートを通過する競走馬の識別子と通過時刻とを検出し、それぞれの競走馬の任意のゲート間の走行時間を前記識別子と通過時刻とに基づいて算出すると共に、走路幅方向における該競走馬の走行位置を前記バーコードが前記レーザビーム光の走査範囲のいずれの位置で読み取られたかに基づいて検出する競走馬計時システムにおいて、
前記競走馬に取り付けられそれぞれの競走馬の識別子を示す識別子データを送信するICタグと、
前記ゲートに取り付けられて前記ICタグからの識別子データを受信するタグリーダと、を備え、
前記制御部は、バーコードから検出した識別子が適正な識別子であるか否かを判断し、適正な識別子でないと判断したときに前記タグリーダが受信した識別子データが示す識別子を該競走馬の識別子とすることを特徴とする競走馬計時システム。
【請求項2】
前記識別子データの送信を前記ICタグに指示する送信信号を送信する送信部を更に備え、
前記ICタグは前記送信信号の受信に応じて該識別子データを送信し、
前記制御部は、前記バーコードリーダによって前記バーコードを読み取ったときに前記送信信号を前記送信部から送信させることを特徴とする請求項1に記載の競走馬計時システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−191172(P2011−191172A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57409(P2010−57409)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(592244376)住友金属テクノロジー株式会社 (43)
【Fターム(参考)】