説明

竹の子の包装体とその製造方法

【課題】 皮のついた天然の竹の子をそのまま包材で包装した竹の子の包装体と、そのような皮付き竹の子を包材で包装して包装体を製造する製造方法に関し、収穫直後の天然の竹の子そのままの状態で、その風味を損なうことなく保存することができ、しかもそのような状態の竹の子を、本来の収穫時期である4〜6月頃以外の時期にも商品として供し得るような竹の子の包装体を提供することを課題とする。
【解決手段】 採取後の天然の竹の子であって、身部に皮部が付着したままの状態の竹の子が真空包装され、且つ加熱殺菌されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹の子の包装体とその製造方法、さらに詳しくは、皮のついた天然の竹の子をそのまま包材で包装した竹の子の包装体と、そのような皮付き竹の子を包材で包装して包装体を製造する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、竹の子は我国では4〜6月頃に採取されるが、それ以降になると全く採取することができない。従って、採取直後の天然の竹の子は、4〜6月の収穫時期でないと青果店やスーパーマーケット等の各種の店舗で購入することができない。ところが、食材としては一年中販売されており、収穫時期以外の竹の子は、採取された後、保存されて合成樹脂製の包材等に収納されて市販されている。
【0003】
そこで、このようにして収穫時期以外に販売されている竹の子は、収穫後に保存され、製造業者で大型の缶詰や瓶詰めの状態で問屋等を介して各種小売店に販売され、その缶詰や瓶詰めのものを小売店で小分けにして上記合成樹脂製の包材等に収納されて販売されるのである。しかし、このような流通過程によれば、皮部を剥いで身部を湯がいたものを缶詰や瓶詰めの状態にするので、天然の竹の子本来の風味が損なわれることとなる。
【0004】
このような問題に鑑み、風味や食感に優れるとともに、保存用の添加物を一切使用せずに長期保存が可能で、料理用食材として簡便に使用できるようにした野菜類の保存加工方法として、下記特許文献1のような特許出願がなされている。
【0005】
この特許文献1に係る発明は、収穫した野菜類の外周部に付着している夾雑物を取り除いた後、当該野菜をドライ化させる第1ステージと、この第1ステージの終了後、ドライ化させた野菜類を水または微温水中に浸漬させ、内部が完全に柔らかくなる前に引き上げる第2ステージと、この第2ステージの終了後、含水野菜類を送風乾燥によって表層部を中心に乾燥させる第3ステージと、この第3ステージの終了後、合成樹脂製容器ないし袋内に野菜類を定量づつ封入して開口部をシールし、野菜類を封入して真空パック体を95℃以上の温度条件にて加熱処理する第4ステージと、この第4ステージの終了後、野菜類を封入した真空パック体を冷却してから再度95℃以上の温度条件にて加熱処理する第5ステージとからなり、第4ステージ及び第5ステージにおける2段階の加熱処理によってパック内の野菜類を可食状態にまで戻すようにしたものである(〔0005」)。
【0006】
しかしながら、上記のような特許文献1に係る発明は、竹の子に限らずニンジン、キノコ、ゴボウ、レンコン、アスパラガス等、野菜類全般に適用することを意図しており(〔0001〕、〔0014〕)、特に竹の子に適用することを考慮してなされた発明ではない。実際、夾雑物を取り除いてドライ化させるような工程を具備する上記特許文献1の方法を竹の子に適用すると、天然の竹の子本来の風味が損なわれるのを防止するという要請には合致しない。すなわち、上記特許文献1に係る発明を竹の子に適用する場合、一般に収穫時期以外にも販売されているパック入りの商品を意図しているにすぎず、そもそも収穫直後の天然の竹の子の商品化を意図しているものではない。
【0007】
一方、竹の子の保存方法の他の発明として、下記特許文献2のような技術がある。すなわち特許文献2に係る発明は、特許請求の範囲にも記載されているように、生筍の皮を除去して適宜の大きさに切断し、なるべく等重量の個数を先頭部、中胴部、下部と分割して組合せ、適量の酢と焼酎と共に透明性のポリエチレン製又は同効質の袋中に収納して密封してなる生筍の保存方法である。
【0008】
しかしながら、この特許文献2のように酢や焼酎とともに保存する方法では、竹の子の味に変化が起る可能性があり、少なくとも収穫直後の天然の竹の子の風味を維持するという要請には到底合致しないものである。
【0009】
【特許文献1】特開平2004−159537号公報
【特許文献2】特開平7−123913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述のような問題点を解決するためになされたもので、収穫直後の天然の竹の子そのままの状態で、その風味を損なうことなく保存することができ、しかもそのような状態の竹の子を、本来の収穫時期である4〜6月頃以外の時期にも商品として供し得るような竹の子の包装体を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような課題を解決するために、竹の子の包装体とその製造方法としてなされたもので、竹の子の包装体に係る請求項1記載の発明は、採取後の天然の竹の子であって、身部に皮部が付着したままの状態の竹の子が真空包装され、且つ加熱殺菌されていることを特徴とする。
【0012】
また竹の子の包装体の製造方法に係る請求項2記載の発明は、採取後の天然の竹の子であって、身部に皮部が付着したままの状態の竹の子を、水とともに加熱槽に収容するとともに、収容された水を沸騰させて加熱し、加熱後に放置した後、水が収容された冷却槽に前記加熱、放置後の竹の子を収容して冷却し、次に冷却後の竹の子を包材により真空状態で包装し、その後、包装された竹の子を加熱殺菌して製造することを特徴とする。
【0013】
さらに請求項3記載の発明は、請求項2記載の竹の子の包装体の製造方法において、包装された竹の子の加熱殺菌が、90〜95℃の温度でなされることを特徴とする。さらに請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の竹の子の包装体の製造方法において、包装された竹の子の加熱殺菌が、3〜5分間なされることを特徴とする。
【0014】
さらに請求項5記載の発明は、請求項2乃至4のいずれかに記載の竹の子の包装体の製造方法において、加熱槽に収容された竹の子の、沸騰による加熱工程が、30〜50分間なされることを特徴とする。さらに請求項6記載の発明は、請求項5記載の竹の子の包装体の製造方法において、沸騰による加熱工程が、強火による15〜25分間の加熱工程と、弱火による15〜25分間の加熱工程とからなることを特徴とする。
【0015】
さらに請求項7記載の発明は、請求項2乃至6のいずれかに記載の竹の子の包装体の製造方法において、加熱後に放置する工程が、50〜70分間なされることを特徴とする。
さらに請求項8記載の発明は、請求項2乃至7のいずれかに記載の竹の子の包装体の製造方法において、加熱及び放置後の竹の子が、30℃以下になるまで冷却することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上述のように、採取後の天然の竹の子であって、身部に皮部が付着したままの状態の竹の子を真空包装し、且つ加熱殺菌したものであるため、皮部が付着したままの
収穫直後の天然竹の子をそのままの状態で保存することができ、しかもそのような状態の竹の子を、本来の収穫時期である4〜6月頃以外の時期にも商品として供し得るという効果がある。
【0017】
特に、竹の子は、皮部と身部との接点部分に本来の旨味があることに本発明者等は着目し、このような旨味がある接点部分を維持すべく、皮部を身部から剥がさずに保存することができるので、収穫直後の天然竹の子本来の風味を維持したままの状態で商品として供し得るという効果がある。
【0018】
さらに、身部に皮部が付着したままの状態の竹の子を、加熱、冷却、真空包装、加熱殺菌等の工程を経て製造されるため、皮部を身部から剥ぎ、身部を缶詰や瓶詰めにする、従来のような大がかりな装置を用いる方法に比べても、製造工程上の大幅な省力化を図ることができるという効果がある。
【0019】
さらに、上記のように竹の子を真空包装した後に加熱殺菌を行なうので、保存効果が良好となる。しかも、皮部を身部から剥がさずに保存すると、皮部を身部から剥がして身部のみを保存する場合に比べて、本来はアクが出易く、変色等も生じ易いが、上記のように
真空包装した後に加熱殺菌を行なうことで、このようなアクが発生し、変色が生ずるのを好適に防止することができるという効果がある。
【0020】
特に、90〜95℃という加熱殺菌時の温度、及び3〜5分間という加熱殺菌時間は、真空包装された竹の子の加熱殺菌に最も適した温度条件、時間条件であり、このような条件下で加熱殺菌を行なうことで、上記のようなアクや変色の発生防止効果が一層良好になる。
【0021】
さらに、加熱槽に収容された竹の子の沸騰による加熱工程を、30〜50分間とした場合には、皮付き竹の子の加熱保存に適した温度となり、特に、強火による15〜20分間の加熱工程と、弱火による15〜20分間の加熱工程とを実施した場合には、竹の子身部の芯部分まで好適に加熱することができる。
【0022】
さらに、加熱工程後に、加熱を停止して一定時間放置するので、皮で覆われた竹の子の身部をある程度柔らかくすることができ、特にこの放置時間を50〜70分間とすることで、ほどよい柔らかさにすることができる。
【0023】
さらに、加熱後に放置しても、加熱された竹の子の温度が高く、冷えていない場合には、その後に真空包装する際に、包材が破裂するおそれがあるが、上記のような加熱、放置後に冷却するので、そのような包材が破裂するのを防止することができる。特に、30℃以下になるまで竹の子を冷却することで、包材の破裂防止効果が一層良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面に従って説明する。
先ず、竹の子の包装体の実施形態について説明する。本実施形態の竹の子の包装体は、図1及び図2に示すように、包材1内に竹の子が真空包装されて構成されたものである。竹の子2は、皮を剥ぎ取ることなく、天然の採取された形態のままの状態で包装されている。包材1は、図1及び図2のように表裏両片1a、1bからなる正面略長方形状の袋状のもので、両側縁3a、3bがシールされている。また包材1の上部4及び底部5もシールして形成されている。包材1としては、本実施形態ではポリアミド系合成繊維からなるものが用いられている。
【0025】
次に、このような構成からなる竹の子の包装体の製造方法の実施形態について説明する。
先ず、被包装物である竹の子を準備する。この竹の子は、皮を剥ぎ取ることなく、採取された形態のままのものが用いられる。
【0026】
この皮のついた竹の子と水とを、図3のように大型の加熱槽6内に収容する。この加熱槽6は、いわゆる釜のようなもので、図3及び図4のように槽本体7と外蓋8とからなり、該槽本体7の約80容量%程度の水9が収容される。そして、図4に示すように、中蓋10を槽本体7内に挿入し、水面に浮遊する竹の子2に接触するように、前記中蓋10を槽本体1内に設置する。これによって、収容された水9に竹の子2が浸漬するような状態となる。
【0027】
このように中蓋10は、いわゆる落とし蓋のような機能を有するもので、この中蓋10を設置することで、水9と竹の子2とが収容された槽本体7の部分においては、空気が少ない状態となり、加熱が効率的になされることとなる。尚、中蓋10の外径は、槽本体7内に挿入しうるように、該槽本体7の内径よりも小径に形成されている。一方、前記外蓋8の外径は、槽本体7の開口部の端縁に載置できるように、前記槽本体7の外径よりも大径に形成されている。
【0028】
また槽本体7内の水9には、アク抜き剤としてタカノツメを添加し、さらに必要に応じてアサリの貝殻や牡蠣の殻を粉状にしたものを添加する。アサリの貝殻や牡蠣の殻には、殺菌効果があり、これらを添加することによって、竹の子の保存効果がより良好となる。
またこれらを粉状にすることで、加熱槽6内に添加する作業や取り扱いを容易にすることができる。
【0029】
次に、このように中蓋10を設置した後、槽本体7内の水を沸騰させる。この沸騰は20分間行う。20分間沸騰させた後、弱火にしてさらに20分間加熱する。その後、加熱を停止し、1時間放置する。このように加熱後に1時間放置することで、竹の子がほどよい柔らかさとなる。
【0030】
次に、このように1時間放置した後、加熱槽6から竹の子を取り出し、図5に示すように冷却槽11内に収容する。冷却槽11内には水12が収容されており、その水12に竹の子が浸漬されることとなる。この冷却槽11内の水12は常温の水であり、あくまで加熱された竹の子を冷却するためのものである。
【0031】
次に、冷却後の竹の子を真空包装する。この場合、前記冷却工程で竹の子が完全に冷却されていないと、この真空包装工程で、包材1が破裂するおそれがあるため、前記冷却工程では竹の子を完全に冷却させておく必要がある。好ましくは30℃以下まで竹の子は冷却される。
【0032】
この真空包装工程は、図6に示すような真空装置によって実施される。この真空装置は、同図に示すように、装置ボディ14及び蓋体15からなる装置本体部13と、真空ポンプ16と、操作盤17とを具備するものである。蓋体15は前記装置ボディ14に回動自在に取り付けられており、その蓋体15の回動操作によって蓋体15が開閉自在とされている。また蓋体15の上部には圧力計18が取り付けられており、蓋体15の側面部には開閉時に把持するための把手19が取り付けられている。さらに蓋体12の内面側の長手方向には、図7に示すように、熱によって包材をシールするためのシール体20が具備されている。
【0033】
装置ボディ14はプレート状に形成されたもので、該装置ボディ14上には、図7及び図8に示すように、包材1を挟持するためのフレーム26、27が載置されている。そして、上部のフレーム26の内側には、包材1をシールするためのシール板28が取り付けられている。このシール板28は、包材1の両側縁3a、3b、上部4、底部5をシールしうるような位置に設けられている。真空ポンプ16は、吸引ホース24を介して前記装置本体部13に接続されており、また操作盤17は接続具25を介して前記装置本体部13に接続されている。さらに、前記装置本体部13は、図6に示すように、胴部21及び脚部22からなる架台23上に載置されている。
【0034】
そして、上記のような真空装置によって真空包装工程を実施する場合には、先ず図7及び図8に示すように蓋体15を上向きに回動させて開き、次に図9及び図10に示すように、上部のフレーム26を持ち上げて下部のフレーム27から離間させ、さらに図11に示すように、2枚の長尺合成樹脂シート29で複数個(本実施形態では4個)の竹の子2を被包したものを、前記下部のフレーム27上に載置する。
【0035】
この場合、真空包装時に長尺合成樹脂シート29が装置本体部13からはみ出ることのないよう、長尺合成樹脂シート29の外縁部29aが、前記下部のフレーム27の外縁部27aより内側且つフレーム27の内縁部27bより外側に位置するように、長尺合成樹脂シート29を載置する。
【0036】
次に、図12に示すように、上部のフレーム26を再び下部のフレーム27に重ね合わせる。これによって、前記長尺合成樹脂シート29の周縁部が上下のフレーム26、27で挟持されて固定されることとなる。それとともに、上部のフレーム26に取り付けられたシール板28が、前記長尺合成樹脂シート29上に載置される。
【0037】
その後、蓋体15を下向きに回動させて図13に示すように装置本体部13を閉塞する。その状態で真空ポンプ16を作動させると、閉塞された装置本体部13内の空間部、すなわち装置ボディ14と蓋体15間の空間部内が吸引され、減圧されることとなる。それとともに、上部のフレーム26に取り付けられたシール板28によって、長尺合成樹脂シート29の長手方向一側縁部29a及び短手方向の所定位置29b、29b、29bが熱シールされ、さらに蓋体15に具備されたシール体20によって長尺合成樹脂シート29の長手方向他側縁部29cが熱シールされることとなる。
【0038】
そして、装置ボディ14と蓋体15間の空間部内が減圧されて真空状態となったときに、真空ポンプ16の作動を停止する。その後、該空間部内の圧力を開放状態として大気圧にし、蓋体15を開いて竹の子2を収納した長尺合成樹脂シート29を取り出す。この場合において、蓋体15は、装置ボディ14と蓋体15間の空間部内が大気圧になったときに、自動的に開放された状態となるように構成されている。
【0039】
このように真空で吸引されることによって、長尺合成樹脂シート29が竹の子2に密着した状態となり、図14に示すように長手方向一側縁部29a、短手方向の所定位置29b、29b、29b、及び長手方向他側縁部29cが熱シールされた合成樹脂シート29による包装体が得られることとなる。
【0040】
そして、この長尺合成樹脂シート29で構成された包装体の短手方向の所定位置29b、29b、29bを、図14の一点鎖線で示すような方向に裁断することによって、図1及び図2に示すような竹の子包装体30が複数個(本実施形態では4個)得られることとなる。
【0041】
次に、このような竹の子包装体30を真空装置から取り出し、前記加熱槽6へ収容し、90〜95℃で3〜5分加熱する。これによって、得られた竹の子包装体30が殺菌されることとなる。この場合、加熱時間が3分未満では殺菌効果が得られないおそれがあり、一方、5分を超えると、水やアクが竹の子から出てきて竹の子が変色するおそれがある。従って、上記のように3〜5分間加熱することが望ましい。
【0042】
また温度に関しても、95℃を超えると、適度な硬さに調整されていた竹の子が柔らかくなりすぎるおそれがあるとともに、沸点に近い温度は包材1にとっても好ましくなく、また90未満では所望の殺菌効果が得られないおそれがある。従って、上記のように90〜95℃で加熱することが望ましい。
【0043】
このような殺菌工程を行うことで、半年〜1年間は、竹の子の保存期間が延びることとなる。これは、採取時期が4〜6月頃で出荷時期がその半年〜1年後になるという日本の竹の子の流通事情に合致するものである。
【0044】
本実施形態の竹の子の包装体の製造方法は以上のとおりであるが、さらに必要に応じて
低温での保存工程を実施することができる。すなわち上記のように真空包装され、殺菌された竹の子の包装体を、冷蔵庫等に保存し、2℃〜5℃の温度で管理することで、保存効果が一層良好となる。ここで、温度が5℃を超えると保存効果がやや低下し、2℃未満になると竹の子の包装体が凍結するおそれがあるため、上記のように2℃〜5℃の温度で保存、管理することが望ましいのである。
【0045】
尚、上記実施形態では、包装された竹の子の加熱殺菌を90〜95℃の温度で行い、またその加熱殺菌時間を3〜5分間で行なったため、上記のような好ましい効果が得られたが、この加熱殺菌の温度範囲外の温度、或いは範囲外の時間で加熱殺菌工程を実施することも本発明の範囲に含まれるものである。
【0046】
また、上記実施形態では、加熱槽6に収容された竹の子の沸騰による加熱工程が、30〜50分間なされたため上記のような好ましい効果が得られたが、この加熱時間も上記実施形態に限定されない。さらに上記実施形態では、沸騰による加熱工程が、強火による15〜20分間の加熱工程と、弱火による15〜20分間の加熱工程とで実施されたため上記のような好ましい効果が得られたが、このように強火と弱火との両方の加熱工程を実施することも本発明に必須の条件ではない。
【0047】
さらに、上記実施形態では、加熱後に放置する工程が50〜70分間なされたため、上記のような好ましい効果が得られたが、この放置時間も該実施形態に限定されない。さらに、上記実施形態では、放置後に30℃以下になるまで竹の子を冷却することとしたため、上記のような好ましい効果が得られたが、この温度も該実施形態に限定されるものではない。
【0048】
さらに、包材1の形状も該実施形態の正面略長方形状に限定されるものではなく、また
包材1の材質も該実施形態のポリアミド系合成樹脂に限らず、たとえばポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等で構成されたものであってもよい。
【0049】
さらに、上記実施形態では、真空包装工程で長尺合成樹脂シート29により4個の竹の子を包装する場合について説明したが、長尺合成樹脂シート29により包装される竹の子の個数は該実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】一実施形態としての竹の子包装体の正面図。
【図2】図1のA−A線断面図。 同平面図。
【図3】一実施形態としての竹の子包装体の製造方法における加熱槽への収容工程において、加熱槽内に竹の子と水を収容した状態の概略断面図。
【図4】容器内に外蓋及び中蓋を設置する状態を示す概略断面図。
【図5】竹の子を冷却槽へ移行して冷却する状態を示す概略断面図。
【図6】真空包装工程を実施する真空装置の概略正面図。
【図7】蓋体を開いた状態の真空装置の概略正面図。
【図8】同概略平面図。
【図9】上部フレームを持ち上げた状態を示す真空装置の概略正面図。
【図10】同概略平面図。
【図11】下部フレーム上に竹の子を被包した長尺合成樹脂シートを載置した状態の概略平面図。
【図12】上下フレームで長尺合成樹脂シートを挟持した状態を示す概略平面図。
【図13】蓋体を閉じた状態の概略平面図。
【図14】シール後の長尺合成樹脂シートを示す概略平面図。
【図15】竹の子包装体を加熱殺菌する工程を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0051】
1…包材 2…竹の子
6…加熱槽 11…冷却槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
採取後の天然の竹の子であって、身部に皮部が付着したままの状態の竹の子(2)が
真空包装され、且つ加熱殺菌されていることを特徴とする竹の子の包装体。
【請求項2】
採取後の天然の竹の子であって、身部に皮部が付着したままの状態の竹の子(2)を、水とともに加熱槽(6)に収容するとともに、収容された水を沸騰させて加熱し、加熱後に放置した後、水が収容された冷却槽(11)に前記加熱、放置後の竹の子(2)を収容して冷却し、次に冷却後の竹の子(2)を包材により真空状態で包装し、その後、包装された竹の子(2)を加熱殺菌して製造することを特徴とする竹の子の包装体の製造方法。
【請求項3】
包装された竹の子(2)の加熱殺菌が、90〜95℃の温度でなされる請求項2記載の竹の子の包装体の製造方法。
【請求項4】
包装された竹の子(2)の加熱殺菌が、3〜5分間なされる請求項2又は3記載の竹の子の包装体の製造方法。
【請求項5】
加熱槽(6)に収容された竹の子(2)の、沸騰による加熱工程が、30〜50分間なされる請求項2乃至4のいずれかに記載の竹の子の包装体の製造方法。
【請求項6】
沸騰による加熱工程が、強火による15〜25分間の加熱工程と、弱火による15〜25分間の加熱工程とからなる請求項5記載の竹の子の包装体の製造方法。
【請求項7】
加熱後に放置する工程が、50〜70分間なされる請求項2乃至6のいずれかに記載の
竹の子の包装体の製造方法。
【請求項8】
加熱及び放置後の竹の子(2)が、30℃以下になるまで冷却する請求項2乃至7のいずれかに記載の竹の子の包装体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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