説明

竹繊維を原料とする二酢酸セルロースの製造方法

【課題】原料のロスおよび汚染を低減することができ、竹繊維を十分分解・分散させることができ、アセチル化反応速度を加速化し、繊維の結晶度を低下し、繊維の反応剤に対するアクセス性を向上し、浸漬酢酸溶液を循環利用でき、酢酸の消耗と回収量を減らすことができる。
【解決手段】
本発明では、一種の竹繊維を原料として二酢酸セルロースを製造する方法を公開しているが、次のステップが含まれる。つまり、浸漬分散、超音波処理、脱酸、アセチル基置換反応、加水分解、沈殿析出、篩分け、酸押出し、洗浄、絞り出し、乾燥などのプロセスによって二酢酸セルロースが作られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は竹繊維を原料としてニ酢酸セルロースを製造するプロセス方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二酢酸セルロースの調製には、一般的に高純度の木のパルプや、綿のパルプおよび竹のパルプなどの化学パルプを原料とするが、目下、主に木のパルプを原料としている。これらの原料は大部硫酸塩などを使って化学方法によって木材や、リンター、竹などを蒸解し、漂白、乾燥などのリグニンや、ヘミセルロース、コロイドなどを除去してから、洗浄、漂白、乾燥などの一連のプロセスによって得られる。伝統的な二酢酸セルロール生産プロセスでは、これらの原料が純度が高く、白色度が良く、重合度が高いことを求めると同時に、これらの原料が適当な化学反応性能を有することを求めている。条件を満たす化学パルプ原料は事前粉砕研磨、送風分離、膨潤活性化、低温又は高温アセチル化、加水分解、沈殿析出、分離、洗浄、乾燥などの一連のプロセスを通じて二酢酸セルロースが得られる。
【0003】
木材の生産は周期が長く、育林の条件がかなり厳しく、比較的多い土地資源が必要とするので、一人当たりの土地占有面積の少ない地方又は国にとって、木材原料の使用および供給の保証は不利である。ペーパーや、ビスコースおよび酢酸セルロース生産などの原料に対するニーズを満たすために、研究者らは成長速度の速くて資源が豊富である竹材に対する研究を始めている。CN200510122933.9『竹パルプを原料として調製した酢酸セルロースおよびその製造方法と用途』では、竹のパルプ粕を利用して酢酸セルロースを生産するプロセスを発明しているが、当該発明では「竹のパルプ粕の反応性能は木のパルプ粕に比べて優れているため、温度上昇速度を好ましくは0.6〜0.9℃/min、アセチル化反応時間を好ましくは20〜40minにコントロールする」と述べている。
【0004】
目下、浸漬溶液を利用するなどの物理的方法で、竹材を処理して竹繊維を得る方法が注目されている。竹繊維は植物抽出液を溶剤として竹材を浸漬し、へミセルロースや、リグニン、コロイドなどを除去し、洗浄、漂白、乾燥などの一連のプロセスによって得られる。竹繊維は主に物理的方法を利用するので、化学的方法に比べて、数多くのメリットがある。例えば、竹材中の竹糖・竹蜜などの高付加価値産物を効果的に利用することができ、化学品の消耗と汚染を低減することができ、繊維の生分解損傷が少ないとのことである。このような清潔なパルプ製造方法によって生産される竹繊維は純度は高いけれど、繊維が長いとのパルプ粕の欠点があるので、既存の生産プロセスと生産設備を利用して酢酸セルロースを生産することはできない。これは清潔で、環境に優しいパルプ製造プロセスの開発に不利であり、竹材利用価値の全面的な向上と豊かな竹材資源の十分利用に不利であり、酢酸セルロース生産原料の供給ルートの拡張にも不利である。
【0005】
研究によると、超音波は一種の物理的エネルギーとして、水素結合を切断することができ、セルロースの結晶エリアを破壊し、繊維の形態構造と超微細構造に変化を発生させ、結晶度と規則度を効果的に低下させることによって、繊維の試料に対するアクセス性を向上することができるということである。2005年、唐愛民氏らは『超音波処理のセルロース形態構造に対する影響』の中で、超音波処理のセルロース繊維形態構造および超微細構造に対する影響を紹介した。研究の結果、超音波の作用によってセルロースの繊維形態構造と超微細構造には明らかな変化が発生し、繊維の微細化作用が著しかった。その変化程度は処理時間や、超音波のパワーと関わりがあって、超音波の処理時間が増えるにつれ、超音波のセルロースに対する作用程度が高くなるにつれ、元多くの2次壁S2層のマイクロ繊維が露出されるとともに、繊維分裂現象が発生した。また、超音波のパワーが大きくなるにつれ、超音波の強さも大きくなり、キャビテーション気泡が崩壊される際に発生するマイクロゼットのセルロース繊維に対する衝撃作用が増強され、繊維の形態構造と超微細構造に対する影響も大きくなり、セルロース繊維は超音波の作用によって、細胞壁層の脱出が発生し、反応性の優れたS2層のマイクロ繊維が露出され、セルロースのアクセス性と化学反応性能の向上に非常に有利となると述べた。2008年、彭華峰氏らは『超音波処理によるセルロース構造の変化およびNMMO中の溶解性能』中で、超音波処理後、セルロースの結晶構造に非常に大きな変化が発生したと紹介した。N-メチルモルホリン N-オキシド水溶液(NMMO−HO)を用いた溶解事前処理前後のセルロースの溶解プロセスと結果によれば、超音波事前処理はセルロースの溶解速度を加速化し、セルロースの分解を低下させるということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題に鑑み、本発明の目的は、竹繊維を原料として二酢酸セルロースを製造するプロセス方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一実施例を挙げると、竹繊維を原料として二酢酸セルロースを製造するプロセス方法の主な特徴は次のステップを有することである。
【0008】
a)浸漬分散:竹繊維の板状又は綿状固形物を酢酸や、硫酸、水と酢酸で調製した溶液の中に入れて2min〜20min攪拌し、竹繊維の濃度が2%〜30%の漿液を調製する。
【0009】
b)超音波処理:漿液に対して10〜50min間の超音波処理を行うが、超音波の周波数は20〜48KHz、パワーは200〜1500Wとする。
【0010】
c)脱酸:漿液をろ過・押出・遠心抽出することによって、酢酸溶液を排出し、竹繊維の含有量を40%〜55%にする。押し出された酢酸溶液は一部の新鮮な溶液を添加して浸漬に循環利用する。
【0011】
d)アセチル基置換反応:無水酢酸や、酢酸、硫酸と無水酢酸との混合物溶液を入れて、アセチル置換反応を行う。竹繊維の絶対乾燥重量を基準として、混合無水酸溶液の添加量は2〜5倍とする。
【0012】
e)アセチル化反応によって形成された三酢酸セルロース漿液は、加水分解、沈殿析出、篩分け、酸押出し、洗浄、絞り出し、乾燥などの伝統的な生産プロセスによって、二酢酸セルロースが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施例中、前記竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、竹繊維の長さは4mm〜20mm、白色度は65%〜90%、水分は3%〜30%である。
【0014】
実施例中、前記竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、竹繊維の長さは5mm〜12mm、白色度は75%〜90%、水分は5%〜15%である。
【0015】
実施例中、前記竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、混合溶液の配合比率として、酢酸の含有量は90〜96%、硫酸の含有量は1%〜7%、水の含有量は0.5〜3%である。
【0016】
実施例中、前記竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、竹繊維漿液に対する超音波処理時間は20〜35min、超音波の周波数は22〜32KHzである。
【0017】
実施例中、前記竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、竹繊維クランプを入れる混合無水酢酸溶液の温度は−20℃〜20℃で、混合無水酢酸溶液の配合比率は、酢酸が5%〜30%、硫酸が1%〜10%、無水酢酸が60%〜90%である。
【0018】
竹繊維を原料として生産される二酢酸セルロースは、平均重合度DPが300〜700、酢化値が48〜58%であれば、タバコ用の二酢酸セルロースのトウや、紡績用の酢酸繊維糸、薄膜、半浸透膜、感光フィルムなどの高分子材料の生産に使える。酢化値は酢酸セルロース中のセルロースブドウ糖ユニット上の水酸基がアセチル基に置換される程度を表す。竹繊維セルロース中のセルロースブドウ糖ユニット上の2、3、6位置には3つの水酸基があって、全てのブドウ糖ユニット上の3つの水酸基が全部アセチル基に置換されると、酢化値は62.5%となる。一部の水酸基がアセチル基に置換されると、酢化値は62.5%以下となる。酢化値はBS2880:1991<Methods of testing cellulose acetate flake> Method 3. Determination of acetic acid yieldの測定・計算によって得られる。(イギリス規格2880:1991『酢酸セルロースチップの測定方法3の酢化値測定』、“acetic acid yield”is preferred for describing what has previously been known as “acetyl value”.「酢酸化率」は従来良く言われている「酢化値」である)。当該方法は酢酸セルロース・アセトン漿液が消耗する水酸化ナトリウムの数量の測定によって得られる。
【0019】
酢化率(%)=3.002(A−B)/W
【0020】
W−酢酸セルロースの絶対乾燥重量(g)、A−試験漿液の消耗する0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)、B−空白アセトン溶液の消耗する0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)。
【0021】
本発明において、竹繊維は次の特性を有する。
【0022】
【表1】

【0023】
竹繊維の粘度は竹パルプに比べてやや高いが、その繊維長さは竹パルプに比べて2倍以上も長い。生分解作用を経ていない竹繊維の長さは長すぎで、パルプ製造中効果的に切断されず、長い繊維がパルプの貯蔵、輸送、パルプ研磨、成型中にお互いに絡み付いて、大量の小さな「パルプ塊」が形成される。これらのパルプ塊は乾燥後、個々の小さくて硬い「塊」になる。
【0024】
浸漬溶解の方法で竹材を処理する場合、その繊維構造に対する生分解破壊作用は化学方法より弱くて、竹繊維の初生壁が完全に破壊されず、2次壁S1層の破壊程度も大きくなく、繊維結晶度も竹パルプより高い。
【0025】
目下、セルロース原料の事前粉砕研磨は、典型的な酢酸セルロース生産プロセスの第1ステップとなっている。当該ステップを利用して、「小さな塊」を含有する竹繊維を処理すると、研磨はこれらの「塊」をさらに硬くて緊密にするため、アセチル反応中の触媒や、反応剤、溶剤の浸透が不利となり、これらの「塊」は完全にアセチル化できない。また、竹繊維の初生壁が完全に破壊されず、しかも、結晶度が高いため、竹繊維の反応活性が大きく低下される。同じ事前粉砕研磨、酢酸事前処理方法を利用して、等量の反応剤と触媒などを入れてアセチル化反応を行う。表2に示されているとおり、竹パルプのアセチル化反応は比較的速いが、竹繊維の反応速度が遅いだけでなく、反応が終わった後も、漿液の中には完全に反応されてない「白漿点」が残る。表2に示されている通りである。
【表2】

【0026】
試験サンプルを綿の塊状に研磨して、40%を酢酸(サンプルの絶対乾燥重量で計算)を入れて、30分間攪拌する。処理済みサンプルを冷却ジャケットとミッキサー付きの反応釜に移して、ミッキサーを起動し、ジャケットに−30℃の冷凍液を通す。それから、15%の硫酸や400%の酢酸、300%の無水酢酸(サンプルの絶対乾燥重量で計算)を入れて、温度を−15℃にする。反応釜の温度が10℃まで上がると時間を記録し始め、反応釜の漿液温度が最高になるまでの時間を記録して、測定結果によって反応速度を算出する。
【0027】
セルロースのアセチル化反応は、固・液の2相の間にて行われるが、セルロース繊維が比較的高い試料のアクセス性があれば、反応剤や、溶剤、触媒のセルロース繊維中での速やかな浸透・拡散に有利で、アセチル化反応が速やかに行われる。竹繊維は初生壁が完全に破壊されず、結晶度が高く、試料のアクセス性に欠けているため、反応剤や、溶剤、触媒の浸透・拡散に不利であり、官能が遅く、反応が不完全になる。これから見れば、竹繊維がアセチル化反応中、反応性能が良くない主な原因は、その試料のアクセス性が悪いからである。
【0028】
竹繊維試料のアクセス性が悪くて化学反応性能に悪影響がある特性に対するプロセスソリューション:板状又は綿状の竹繊維を直接酢酸や、酢酸と水、酢酸と硫酸などの溶液の中に入れて、攪拌分解させ、遠心押出しや、液層摩擦、液力衝撃などの作用によって、その中の小さい「塊」を膨潤させて、漿液を形成させる。超音波を利用して漿液を処理し、超音波によって生じるキャビテーション作用を利用して、竹繊維の初生壁および2次壁S1層を破壊し、繊維の分裂を促し、繊維の結晶度を低下させて、繊維の反応試料に対するアクセス性を向上した。
【0029】
当該超音波プロセスを使用することによって、竹繊維の反応性能は明らかに向上され、アセチル化の反応速度も明らかに向上された。試験サンプルを実施例1によって浸漬・分散させてから、2つ部分に分けるが、その1部分は超音波処理を行ってから、押出し脱酸を行い、処理済みサンプルをジャケットとミッキサー付きの反応釜の中に入れて、実施例1のとおり反応を行わせる。もう一部分は超音波処理を行わず、その他ステップとプロセスはいずれも実施例1と同様とする。
【表3】

【0030】
本発明のプロセスの利点は次の通りである。
【0031】
1.酸水混合液で竹繊維の板状又は綿状固形物を浸漬・分散させるプロセスで、従来の板状又は綿状竹繊維の事前粉砕・研磨プロセスを代替させることによって、事前粉砕・研磨中生じる綿毛状物の送風分離中の原料ロスと汚染を減らすだけでなく、竹繊維が十分分解・分散できる。
【0032】
2.超音波で漿液を処理して、竹繊維の初生壁と2次壁S1層を破壊し、繊維の結晶度を低下し、繊維の反応剤に対するアクセス性を向上させて、アセチル化反応速度を向上させる。
【0033】
3.押出し脱酸プロセスを通じて、浸漬酢酸溶液や、化学品を循環利用して、酢酸の消耗と回収量を減らすことができる。
【0034】
次では実施例に合わせて、本発明に対してさらに詳しく説明するものとする。以下の実施例は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものと解釈してはならない。
【実施例1】
【0035】
竹繊維の外観:綿状のものに細かい「パルプ塊」が混じっており、繊維の平均長さ7.5mm、水分9%、白色度87%である。
【0036】
竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法は次の通りである。
【0037】
a)浸漬分散:50gの綿状の竹繊維をGA92−IID超音波細胞粉砕機(パワー900W、周波数22KHz、無錫上佳生物科技有限公司)のサンプル処理槽に入れて、竹繊維の含有量が8%の溶液を調製する。ミッキサーを起動し、1000RPMの下で10分間攪拌して漿液を形成させる。酢酸溶液の配合比率:酢酸含有量は97%、硫酸含有量は2%、水の含有量は1%である。
【0038】
b)超音波処理:超音波機器を起動し、パワーを400W、超音波の周波数を25KHzに調節して、漿液を30min間処理する。
【0039】
c)脱酸:漿液を200メッシュのポリプロピレンろ過網上に注いでろ過し、ろ過網を絞り出して、なるべく酢酸溶液を徹底にろ過する。ろ過粕とろ過物を遠心分離機の中に入れて、遠心分離させ、竹繊維の含有量を40%〜55%(例えば、40%、50%、又は55%にする)にさせてから、ろ過済みおよび遠心分離によって排出される酢酸溶液を収集し、一部の新鮮な溶液を添加して、浸漬分散に循環利用する。
【0040】
d)遠心分離済みのパルプ塊を冷却ジャケットとミッキサー付きの反応釜の中に入れて、バルブを開けて、冷却液を通させて、竹繊維パルプ塊を入れた混合無水酸溶液の温度を−20℃にする。攪拌しながら、無水酢酸や、酢酸、硫酸を含有する混合無水酸溶液を入れて、繊維をアセチル化反応状態にさせるが、反応釜中の漿液温度が42℃〜49℃に達して、漿液温度が明らかに下がるまで引き続き攪拌してから、適当量の酢酸マグネシウムを入れて反応を終止させる。無水酢酸の添加量は竹繊維重量の3倍とし、酢酸は0.5倍、硫酸は2%とする。反応初期の温度は−12℃、反応の最高温度は46℃、反応時間は26minとする。
【0041】
e)アセチル化反応によって生じる三酢酸セルロース漿液は、加水分解、沈殿析出、篩分け、酸押出し、洗浄、絞り出し、乾燥などのプロセスを通じて二酢酸セルロースに作られる。
【0042】
測定結果その酢化値は55.6%である。サンプルはアセトン溶液の中で優れた溶解性能を有し、その酢化値が52.6%〜60%でさえあれば、二酢酸セルロースのトウ生産に適用する。
【実施例2】
【0043】
竹繊維の外観は、綿状のものに細かい「パルプ塊」が混じっており、繊維の平均長さ6.5mm、水分13%、白色度88%である。
【0044】
竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法は次の通りである。
【0045】
a)浸漬分散:綿状の竹繊維をGA92−IID超音波細胞粉砕機のサンプル処理槽に入れて、酢酸混合溶液を添加して、竹繊維の含有量が8%の溶液を調製する。ミキサーを起動し、1000RPMの下で10分間攪拌して漿液を形成させる。酢酸溶液の配合比率:酢酸含有量は94%、硫酸含有量は1%、水の含有量は5%である。
【0046】
b)超音波処理:超音波機器を起動し、パワーを600W、超音波の周波数を25KHzに調節して、漿液を30min間処理する。
【0047】
c)脱酸:漿液を200メッシュのポリプロピレンろ過網上に注いでろ過し、ろ過網を絞り出して、なるべく酢酸溶液を徹底にろ過する。ろ過粕とろ過物を遠心分離機の中に入れて、遠心分離させ、竹繊維の含有量を40%〜55%(例えば、40%、50%、又は55%にする)にさせてから、ろ過済みおよび遠心分離によって排出される酢酸溶液に一部の新鮮な溶液を添加して、浸漬分散に循環利用する。
【0048】
d)アセチル基置換反応:遠心分離済みのパルプ塊を冷却ジャケットとミッキサー付きの反応釜の中に入れて、バルブを開けて、冷却液を通させて、竹繊維パルプ塊を入れた混合無水酸溶液の温度を−10℃にする。攪拌しながら、無水酢酸や、酢酸、硫酸を含有する混合無水酸溶液を入れて、繊維をアセチル化反応状態にさせるが、反応釜中の漿液温度が最高温度になると、漿液温度が明らかに下がるまで引き続き攪拌してから、適当量の酢酸マグネシウムを入れて反応を終止させる。竹繊維の絶対乾燥重量を基準として、無水酢酸の添加量は竹繊維重量の3倍とし、酢酸は2倍、硫酸は3%とする。反応初期の温度は−8℃、反応の最高温度は49℃、反応時間は28minとする。
【0049】
e)アセチル化反応によって生じる三酢酸セルロース漿液は、加水分解、沈殿析出、篩分け、酸押出し、洗浄、絞り出し、乾燥などのプロセスを通じて二酢酸セルロースに作られる。
【0050】
測定結果その酢化値は55.4%である。サンプルはアセトン溶液の中で優れた溶解性能を有するので、二酢酸セルロースのトウ生産に適用する。
【実施例3】
【0051】
本実施例中、原料の竹繊維を板状の固形物にするほか、その他の条件は実施例1と同様である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)浸漬分散:竹繊維の板状又は綿状固形物を酢酸や、硫酸、水と酢酸で調製した溶液の中に入れて2min〜20min攪拌し、竹繊維の濃度が2%〜30%の漿液を調製する。
b)超音波処理:漿液に対して10〜50min間の超音波処理を行うが、超音波の周波数は20〜48KHz、パワーは200〜1500Wとする。
c)脱酸:漿液をろ過・押出・遠心抽出することによって、酢酸溶液を排出し、竹繊維の含有量を40%〜55%にする。押し出された酢酸溶液は一部の新鮮な溶液を添加して浸漬に循環利用する。
d)アセチル基置換反応:無水酢酸や、酢酸、硫酸と無水酢酸との混合物溶液を入れて、アセチル置換反応を行う。竹繊維の絶対乾燥重量を基準として、混合無水酸溶液の添加量は2〜5倍とする。
e)アセチル化反応によって形成された三酢酸セルロース漿液は、加水分解、沈殿析出、篩分け、酸押出し、洗浄、絞り出し、乾燥などの伝統的な生産プロセスによって、二酢酸セルロースが得られる。
主に上記ステップを有する、竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、竹繊維の長さは4mm〜20mmで、白色度は65%〜90%、水分は3%〜30%であることを特徴とする二酢酸セルロースチップの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、竹繊維の長さは5mm〜12mmで、白色度は75%〜90%、水分は5%〜15%であることを特徴とする二酢酸セルロースチップの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、混合溶液の配合比率は、酢酸含有量が90%〜96%、硫酸含有量が1%〜7%、水の含有量が0.5〜3%であることを特徴とする二酢酸セルロースチップの製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、竹繊維漿液に対する超音波処理時間は20〜35min、超音波の周波数は22〜32KHzであることを特徴とする二酢酸セルロースチップの製造方法。
【請求項6】
請求項3に記載の竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、竹繊維パルプ塊に加えられる混合無水酢酸溶液の温度は−20℃〜20℃で、混合無水酢酸溶液の配合比率は、酢酸が5%〜30%、硫酸が1%〜10%、無水酢酸が60%〜90%であることを特徴とする二酢酸セルロースチップの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、混合溶液の配合比率は、酢酸含有量が90%〜96%、硫酸含有量が1%〜7%、水の含有量が0.5〜3%であることを特徴とする二酢酸セルロースチップの製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、竹繊維漿液に対する超音波処理時間は20〜35min、超音波の周波数は22〜32KHzであることを特徴とする二酢酸セルロースチップの製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、竹繊維パルプ塊に加えられる混合無水酢酸溶液の温度は−20℃〜20℃で、混合無水酢酸溶液の配合比率は、酢酸が5%〜30%、硫酸が1%〜10%、無水酢酸が60%〜90%であることを特徴とする二酢酸セルロースチップの製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の竹繊維を原料として二酢酸セルロースチップを製造する方法において、平均重合度は300〜700で、酢化値は48〜58%であることを特徴とする二酢酸セルロースチップの製造方法。

【公開番号】特開2012−21152(P2012−21152A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−135817(P2011−135817)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(511148994)
【出願人】(511149005)
【出願人】(511149016)
【Fターム(参考)】