説明

竹輪成形装置

【課題】 串に確実かつ衛生的に、しかも製品重量や品質にムラがなく、安定して摺り身原料を串に付着させて竹輪を成形させることができる竹輪成形装置の提供。
【解決手段】 串1と同一軸上で対向させる成形筒2を備え、この成形筒は内部が摺り身充填室20に形成され、成形筒で串を覆うと共に、成形筒の先端口及び基端口を閉鎖させた状態で前記摺り身充填室内に摺り身原料を充填させることにより串の周りに摺り身原料を付着させ、串の周りに摺り身原料を付着させたまま成形筒を引き戻すことにより、串に竹輪Tを成形させるように形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹輪成形装置に関し、特に、内部に摺り身原料を充填させるように形成した筒体(成形筒)を用いて串に竹輪を成形させるようにした竹輪成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、串に竹輪を成形させる竹輪成形装置として、ドラム面に摺り身原料を板状に成形させ、この板状原料を串に巻き付けて竹輪に成形させるようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このように、ドラム面に成形させた板状原料を串に巻き付けて竹輪に成形させる竹輪成形装置では、板状原料を串に巻き付ける際に、串と板状原料とのタイミングがズレたり巻き端が開いたりして、巻き皺等の成形不良が生じるといったことがある。
またドラム面に板状原料を成形させる場合、摺り身原料が硬かったり、具材が入ったりしていると、成形しにくいし、製品重量にムラが生じる。
又、ドラムの外周にさらし布を巻き付けるようにしたものでは、このさらし布がずれて成形不良が生じたり、さらし布の糸くずが製品に混入したり、さらし布に雑菌が付着するなど衛生面で問題があった。
【特許文献1】特開平10−276726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、串に確実かつ衛生的に、しかも製品重量や品質にムラがなく、安定して摺り身原料を串に付着させて竹輪を成形させることができる竹輪成形装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明(請求項1)の竹輪成形装置は、
串と同一軸上で対向させる成形筒を備え、
この成形筒は内部が摺り身充填室に形成され、
前記成形筒で串を覆う状態で前記摺り身充填室内に摺り身原料を充填させることにより串の周りに摺り身原料を付着させ、
この串の周りに摺り身原料を付着させたまま成形筒を引き戻すことにより、串に竹輪を成形させるように形成した。
【0006】
又、本発明(請求項2)の竹輪成形装置は、
串と同一軸上で対向させる成形筒を備え、
この成形筒は内部が摺り身充填室に形成され、
前記摺り身充填室に摺り身原料を充填させた状態で、成形筒で串を覆うことにより串の周りに摺り身原料を付着させ、
この串の周りに摺り身原料を付着させたまま成形筒を引き戻すことにより、串に竹輪を成形させるように形成した。
【発明の効果】
【0007】
本発明(請求項1、2)の竹輪成形装置は、内部を摺り身充填室に形成した成形筒を備えている点に特徴がある。
請求項1の発明は、成形筒で串を覆う状態にして内部の摺り身充填室に摺り身原料を充填させることにより串の周りに摺り身原料を付着させ、その状態から成形筒を引き戻すことにより串に竹輪を成形させるものである。
【0008】
請求項2の発明は、摺り身充填室に摺り身原料を充填させたのち、成形筒で串を覆うことにより串の周りに摺り身原料を付着させ、その状態から成形筒を引き戻すことにより串に竹輪を成形させるものである。
【0009】
このように、内部を摺り身充填室に形成した成形筒を用いて竹輪を成形させるため、従来と異なり、ドラム面に板状原料を成形させるといった工程が不要になり、巻き端が開いたり、ずれたりすることがないし、又、串温度や摺り身温度に影響されることがないので、確実かつ衛生的に竹輪を成形させることができるし、製品重量や品質にムラがなく、安定して摺り身原料を串に付着させて竹輪を成形させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明第1実施例の竹輪成形装置を示す作動説明図、図2はその竹輪成形装置の芯合せ位置における側面図、図3はその竹輪成形装置のセット位置における側面図である。
【0011】
この実施例では、チェーン9に片持ち状態で取り付けた串1を移行させながら摺り身原料を串1に付着させて竹輪Tを成形させるようにした例で説明する。
なお、串を移行させることなく、例えば、串を固定部材に着脱可能に片持ち支持させ、その片持ち支持状態で串に竹輪を成形させ、その後、固定部材から串を取り外して次の工程(例えば、焼成工程)に持って行くようにすることもできる。
【0012】
竹輪成形装置は、前記串1と同一軸上で対向する状態を保持しながら移行する成形筒2を備えている。
この成形筒2は内部が摺り身充填室20に形成され、その先端口にシャッター21,21がシャッターアーム46及びリンク23,23を介して開閉可能に設けられ、その基端部外周に摺り身原料の供給口22が摺り身充填室20に連通して形成されている。
【0013】
前記成形筒2は内筒3とで二重筒に形成され、この内筒3の先端に串1の先端を嵌合させるための穴31が形成されている。
【0014】
前記成形筒2は先端口が串1の先端から離反した芯合せ位置(図2の位置)と、前記成形筒2の摺り身充填室20が串1を覆うセット位置(図3の位置)の間を往復移動(往き移動及び戻り移動)するように形成されている。
【0015】
その移動構造を説明する。
図2で示すように、チェーン9のスプロケット軸9aにスプロケット9bに対向した支持円板40が設けられ、この支持円板40に前記内筒3の基端部が摺動可能に嵌合され、かつ支持円板40とスプロケット9bの間に第1ガイドバー41が渡されている。
又、前記成形筒2の基端に固定した第1アーム43及び成形筒2の先端に固定した第2アーム44が前記第1ガイドバー41に摺動可能に嵌合され、この第1アーム43と第2アーム44の間に第2ガイドバー45が渡されている。
この第2ガイドバー45及び第1ガイドバー41にシャッターアーム46が摺動可能に嵌合され、このシャッターアーム46が前記支持円板40に固定したシリンダー47に連結されている。
又、前記内筒3の基端に内筒アーム42が固定され、この内筒アーム42が前記第1ガイドバー41に摺動可能に嵌合され、かつ内筒アーム42と支持円板40の間には内筒3を往き移動方向(図中右方向)に付勢させるためのスプリング48が設けられている。
【0016】
前記芯合せ位置(図2の位置)では、シリンダー47が退入してシャッターアーム46が第2ガイドバー45に設けたストッパ49に当接すると共に、前記第1アーム43が内筒アーム42に当接してスプリング48が圧縮し、成形筒2の先端口及び内筒3が串1の先端から離反している。
【0017】
前記芯合せ位置からシリンダー47が進出するに伴いスプリング48により付勢されて内筒3及び成形筒2が第1アーム43と内筒アーム42を当接させたまま往き移動し、前記内筒3の穴31が串1の先端に嵌合する。
引き続きシャッターアーム46が第2アーム44に当接するまでシリンダー47が更に進出し、このシャッターアーム46の移動により成形筒2の先端口に設けたシャッター21,21がリンク23,23を介して開状態から閉鎖する。
なお、前記シャッター21,21は、先端同士を突き合わせるように閉鎖し、串1との干渉を逃がすための切欠円弧が先端中央部に形成されている。
【0018】
更に、シリンダー47が進出して成形筒2が串1を覆うセット位置に往き移動する(図3の位置)。
このとき、シャッターアーム46が第2アーム44に当接したまま移動するため、シャッター21,21が閉鎖したまま移動する。
又、成形筒2の基端口が前記内筒3によって閉鎖されるように、成形筒2の基端に内筒3の先端部が若干の幅で嵌合している。
このセット位置において、シャッターアーム46が前記ストッパ49に当接するまでシリンダー47が退入し、これに伴い前記シャッター21,21が開放する。
【0019】
この竹輪成形装置の動作を図1により説明する。
芯合せ位置において成形筒2の軸が串1の軸と一致すると(図1−イの位置)、シリンダー47が進出し、スプリング48の付勢により成形筒2及び内筒3が往き移動し、内筒3の穴31が串1の先端に嵌合する(図1−ロの位置)。
これにより、片持ち状態に支持された串1の先端が振れ動くのを防止することができ、以後の工程を安定して行うことができるようになる。
引き続きシリンダー47が進出し、シャッターアーム46の移動によりシャッター21,21が開状態から閉鎖する。
【0020】
更に、シリンダー47が進出し、成形筒2が串1を覆うようにセット位置に往き移動する(図1−ハの位置)。
このとき、成形筒2の先端口はシャッター21,21により閉鎖され、基端口は内筒3の先端によって閉鎖され、この状態で前記摺り身充填室20内に供給口22から摺り身原料が供給されて充填される。
その後、このセット位置でシリンダー47が退入し、シャッターアーム46の移動によりシャッター21,21が閉状態から開放する(図1−ニの位置)。
【0021】
次に、シリンダー47が退入して成形筒2が戻り移動することで(図1−ホの位置)、串1の周りに摺り身原料を付着させたまま成形筒2が引き戻され、串1に竹輪Tが成形される。
【0022】
更に、シリンダー47が退入すると、シャッターアーム46がストッパ49に当接し、成形筒2が内筒3を伴いながら当初の位置(図1−ヘの位置)に移動し、成形筒2及び内筒3が竹輪Tから分離する。
【0023】
このような動作で各串1の周りに摺り身原料を付着させた竹輪Tが成形されていくもので(図1−トの位置)、この竹輪成形装置から竹輪加熱装置に移行し、ここで焼成されたのち竹輪抜き取り装置に移行し、ここで串1から竹輪Tが抜き取られる。
【0024】
次に、図4は本発明第2実施例の竹輪成形装置を示す作動説明図である。
この竹輪成形装置は、摺り身原料を予め成形筒2の摺り身充填室20に充填させ、この状態で成形筒2が串1を覆うように軸方向に往き移動させて、串1の周りに摺り身原料を付着させるようにした構成に特徴がある。
【0025】
この竹輪成形装置は、成形筒2の軸が串1の軸と一致するまでは、成形筒2及び内筒3は充填位置(図4−イの位置)で待機している。
この充填位置では成形筒2の先端口はシャッター21,21で閉鎖され、又、基端口は内筒3の先端で閉鎖され、この状態で、前記成形筒2の摺り身充填室20に供給口22から予め摺り身原料が供給されて充填されている。
なお、前記内筒3の基端に支持ロッド39が連結され、この支持ロッド39が支持円板40に摺動可能に支持されている。
【0026】
次に、成形筒2の軸と串1の軸が芯合せ位置で一致すると(図4−ロの位置)、前記成形筒2及び内筒3がセット位置に往き移動し(図4−ハの位置)、内筒3の穴31が串1の先端に嵌合すると共に、成形筒2が串1を覆うように移動する。
このように成形筒2をセット位置に移動させることで、串1の周りに摺り身原料を付着させるもので、この際、串1の体積分だけ摺り身原料が溢れることになるが、その分は供給口22から戻すようにしている。
【0027】
その後、シャッター21,21が開放し(図4−ニの位置)、次に、成形筒2が戻り移動することで(図4−ホの位置)、串1の周りに摺り身原料を付着させたまま成形筒2が引き戻され、串1に竹輪Tが成形される。
【0028】
更に、成形筒2が内筒3を伴いながら戻り移動し(図4−ヘの位置)、成形筒2及び内筒3が竹輪Tから分離する。
【0029】
次に、内筒3のみが戻り移動すると共に、シャッター21,21が閉じて当初の位置(図4−トの位置)に戻り、以後は再び成形筒2の摺り身充填室20に摺り身原料を供給させて、上述同様の動作を繰り返すものである。
【0030】
なお、この第2実施例の竹輪成形装置では、成形筒及び内筒の移動手段、シャッターの開閉手段は図示省略したが、前記第1実施例の竹輪成形装置と同様にシリンダーを用いるようにしている。
【0031】
次に、図5は本発明第3実施例の竹輪成形装置を示す作動説明図である。
この竹輪成形装置は、串1を押込ロッド5と押出ロッド6によって軸方向に往復移動させるようにした構成に特徴がある。
【0032】
この竹輪成形装置の動作を図5により説明する。
成形筒2の軸が串1の軸と一致すると(図5−イの位置)、ガイド部材71によって支えられた串1が押込ロッド5により軸方向に押し込まれ、その先端が内筒3の内部に嵌合する。
又、成形筒2が串1を覆うように往き移動する(図5−ロの位置)。
【0033】
次にシャッター21,21が開状態から閉鎖する(図5−ハの位置)。
このとき、成形筒2の先端口はシャッター21,21により閉鎖され、基端口は内筒3の先端によって閉鎖され、この状態で前記摺り身充填室20内に供給口22から摺り身原料が供給されて充填され、その後、シャッター21,21が閉状態から開放する(図5−ニの位置)。
【0034】
次に、成形筒2が戻り移動することで(図5−ホの位置)、串1の周りに摺り身原料を付着させたまま成形筒2が引き戻され、串1に竹輪Tが成形される。
【0035】
次に、前記内筒3の内部に摺動可能に挿入された押出ロッド6によって串1が軸方向に押し出され、成形筒2から離反する(図5−ヘの位置)。
【0036】
このような動作で各串1の周りに摺り身原料を付着させた竹輪Tが成形されたのち、受け部材72の上に串1を乗せ替え(図5−トの位置)、以後は適宜の搬送手段で竹輪加熱装置に移行し、ここで焼成されたのち竹輪抜き取り装置に移行し、ここで串1から竹輪Tが抜き取られる。
【0037】
なお、上記した各実施例において、成形筒の移動、内筒の移動、シャッターの開閉を共通のシリンダーによって行なう必要は必ずしもなく、成形筒の移動、内筒の移動、シャッターの開閉を別々のシリンダーによって行なうようにしてもよいし、シリンダー以外の往復移動手段やシャッター開閉手段を用いることができる。
又、竹輪成形装置は、必ずしもチェーンのスプロケット部分に設ける必要はなく、直線移行部分に設けることも可能である。
【0038】
又、本発明の竹輪成形装置によって成形される竹輪の長さは、成形筒の摺り身充填室の長さに対応するが、その長さは、通常の竹輪1本分の長さでもよいし、通常の竹輪2本分や3本分の長さに成形することができる。
なお、竹輪Tを長く成形した場合には、串1上で必要な長さに切断した後、これを焼成して抜き取るようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明第1実施例の竹輪成形装置を示す作動説明図である。
【図2】その竹輪成形装置の芯合せ位置における側面図である。
【図3】その竹輪成形装置のセット位置における側面図である。
【図4】本発明第2実施例の竹輪成形装置を示す作動説明図である。
【図5】本発明第3実施例の竹輪成形装置を示す作動説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1 串
2 成形筒
20 摺り身充填室
21 シャッター
22 供給口
23 リンク
3 内筒
31 穴
39 支持ロッド
40 支持円板
41 第1ガイドバー
42 内筒アーム
43 第1アーム
44 第2アーム
45 第2ガイドバー
46 シャッターアーム
47 シリンダー
48 スプリング
49 ストッパ
5 押込ロッド
6 押出ロッド
71 ガイド部材
72 受け部材
9 チェーン
9a スプロケット軸
9b スプロケット
T 竹輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
串と同一軸上で対向させる成形筒を備え、
この成形筒は内部が摺り身充填室に形成され、
前記成形筒で串を覆う状態で前記摺り身充填室内に摺り身原料を充填させることにより串の周りに摺り身原料を付着させ、
この串の周りに摺り身原料を付着させたまま成形筒を引き戻すことにより、串に竹輪を成形させるように形成したことを特徴とする竹輪成形装置。
【請求項2】
串と同一軸上で対向させる成形筒を備え、
この成形筒は内部が摺り身充填室に形成され、
前記摺り身充填室に摺り身原料を充填させた状態で、成形筒で串を覆うことにより串の周りに摺り身原料を付着させ、
この串の周りに摺り身原料を付着させたまま成形筒を引き戻すことにより、串に竹輪を成形させるように形成したことを特徴とする竹輪成形装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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