説明

笠コンクリートの構築

【課題】 矢板壁と笠ブロックの前板との間の隙間の下端にコンクリートが漏れ出る隙間を生じ難くする。
【解決手段】 矢板壁とこれに被せた笠ブロックの間にコンクリートを詰めて笠コンクリートを構築する方法において、笠ブロック11は、前板12の下端に取付部材15を後側に突出して設け、取付部材に可動底板21を後側に突出して取り付け、可動底板の後端面を凸凹にし、可動底板の取付位置を矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節可能にしている。この笠ブロックは、矢板壁に被せ、前板、取付部材と可動底板を矢板壁の前側に配置する。笠ブロックの可動底板は、取付位置を矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節し、後端面の凸凹を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合して、後端面を矢板壁の前面に接し、笠ブロックの前板と矢板壁との間の隙間の下端を、取付部材に取り付けた可動底板で閉鎖する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矢板壁に笠ブロックを用いて笠コンクリートを構築する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
水路、河川、湖沼や港湾などの岸辺には、多数の矢板を打ち込んで並列し、護岸用の矢板壁を構築する。矢板壁は、水側の前面と陸側の後面では、それぞれ、縦突条と縦溝が交互に並び、左右方向に凸凹になる。矢板壁の上部には、多数の笠ブロックを被せて配列する。矢板壁上の笠ブロックは、隣同士を結合する。矢板壁の上部とそれを覆う笠ブロックの間には、コンクリートを詰める。鋼製の矢板壁とコンクリート製の笠ブロック及び中詰コンクリートが一体化する。矢板壁の上部を被覆する笠コンクリートが構築される。
【0003】
水位の変動が少ない岸辺に使用される笠ブロックは、特許文献1に例示されている。
この笠ブロックは、前板、後板と天部材を備えている。天部材は、作業用孔を貫通している。施工時、笠ブロックは、矢板壁に被せる。天部材が矢板壁の上に載り、前板が矢板壁の前側、水側に配置され、後板が矢板壁の後側、陸側に配置されて地表の上に載る。笠ブロックの前板と矢板壁の間の隙間は、下端の開口が開放している。笠ブロックの前板の下側には、複数の型枠板をそれぞれ受け金具や万力で固定する。型枠板は、上面が前板の下端面に、後端面が矢板壁の前面に当たる。型枠板の後端面は、矢板壁前面の凸凹に嵌合する凸凹にしている。笠ブロックの前板と矢板壁の間の隙間は、下端の開口が複数の型枠板で閉鎖される。笠ブロックの前板と矢板壁との間には、凹部が形成される。凹部には、コンクリートを天部材の作業用孔から投入して充填する。コンクリートの硬化後、各型枠板から受け金具や万力を取り外す。各型枠板は、中詰コンクリートから剥し取る。
【0004】
他の笠ブロックは、上記の笠ブロックの前板の下端に底板を後側に突出して設け、底板の後端面にパッキングを固着している。底板のパッキング付き後端面は、矢板壁前面の凸凹に嵌合する凸凹にしている。施工時、笠ブロックは、矢板壁に被せると、底板後端のパッキングが矢板壁の前面に当たる。笠ブロックの前板と矢板壁の間の隙間は、下端の開口がパッキング付き底板で閉鎖される。
【0005】
水位の変動が多い岸辺に使用される笠ブロックは、特許文献2に例示されている。
この笠ブロックは、前板の上端と下端に天部材と底板を後側に突出して設けている。天部材は、作業用孔を貫通している。底板は、後端面にパッキングを固着している。底板のパッキング付き後端面は、矢板壁前面の凸凹に嵌合する凸凹にしている。施工時、笠ブロックは、矢板壁に被せる。天部材が矢板壁の上に載り、前板が矢板壁の前側に配置され、底板後端のパッキングが矢板壁の前面に接する。笠ブロックは、前板を矢板壁側に牽引し、底板後端のパッキングを矢板壁の前面に押し付ける。笠ブロックの前板と矢板壁の間の隙間は、下端の開口がパッキング付き底板で閉鎖される。笠ブロックの前板と矢板壁の間の隙間には、コンクリートを天部材の作業用孔から投入して充填する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2657478号公報
【特許文献2】特開2008−303601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[課 題]
矢板壁は、矢板の並列位置の誤差により、縦突条と縦溝が設計位置から前後方向や左右方向にずれる。矢板壁の前面は、左右方向の凸凹が不均等になる。護岸用の矢板壁は、矢板の傾きの許容量が大きいので、前面の左右方向凸凹のずれる量、不均等が大きくなる。
【0008】
上記の型枠板と笠ブロックを用いる施工では、型枠板を笠ブロックに取り付ける位置が矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節可能である。矢板壁と型枠板の間には、コンクリートが漏れ出る隙間が生じ難い。ところが、型枠板を受け金具や万力で取り付ける手間、受け金具や万力を取り外す手間、型枠板を中詰コンクリートから剥し取る手間が掛かる。施工には、多くの手間が掛かる。
【0009】
上記の底板のある笠ブロックを用いる施工では、底板が笠ブロックに固定されており、底板の位置を矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節することができない。矢板壁とパッキング付き底板の間には、コンクリートが漏れ出る隙間が生じ易い。
【0010】
結局、多くの手間を掛けずに、矢板壁と笠ブロックの前板との間の隙間の下端にコンクリートが漏れ出る隙間を生じ難くする技術が望まれる。
【0011】
[着 想]
上記の型枠板と笠ブロックを用いる施工では、多くの手間が掛かる課題は、型枠板が笠ブロックに予め取り付けられていないことに起因している。上記の底板のある笠ブロックを用いる施工では、コンクリートが漏れ出る隙間が生じ易い課題は、底板が笠ブロックに固定されていることに起因している。そこで、笠ブロックは、底板を位置調節可能に取り付けることにした。底板は、可動にし、取付位置を調節可能にすることにした。
【0012】
具体的には、笠ブロックは、前板の下端に取付部材を後側に突出して設け、取付部材に底板を後側に突出して取り付ける。底板は、後端面を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合する凸凹にする。その上、底板は、可動にし、取付位置を矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節可能にする。施工時、笠ブロックは、矢板壁に被せる。前板、取付部材と可動底板が矢板壁の前側に配置される。可動底板は、矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に応じて前後方向や左右方向に移動させ、後端面の凸凹を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合して、後端面を矢板壁の前面に接する。笠ブロックの前板と矢板壁との間の隙間の下端は、取付部材に取り付けた可動底板で閉鎖する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1)多数の矢板を並列した矢板壁に笠ブロックを被せ、笠ブロックと矢板壁の間にコンクリートを詰めて、笠コンクリートを構築する方法において、
笠ブロックは、前板の下端に取付部材を後側に突出して設け、取付部材に可動底板を後側に突出して取り付け、可動底板の後端面を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合する凸凹にし、可動底板の取付位置を矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節可能にしており、
この笠ブロックは、矢板壁に被せ、前板、取付部材と可動底板を矢板壁の前側に配置し、
笠ブロックの可動底板は、取付位置を矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節し、後端面の凸凹を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合して、後端面を矢板壁の前面に接し、笠ブロックの前板と矢板壁との間の隙間の下端を、取付部材に取り付けた可動底板で閉鎖し、
笠ブロックの前板、可動底板と矢板壁の間にコンクリートを投入し、笠ブロックの前板、可動底板と矢板壁及びコンクリートを一体化することを特徴とする笠コンクリート構築法。
2)上記の笠コンクリート構築法において、
笠ブロックは、前板下端の取付部材に取り付ける可動底板を複数にして左右方向に配列し、
複数の可動底板を取り付けた笠ブロックは、矢板壁に被せ、各可動底板を矢板壁の前側に配置し、
各可動底板は、それぞれ、取付位置を矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節し、後端面の凸凹を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合して、後端面を矢板壁の前面に接し、笠ブロックの前板と矢板壁との間の隙間の下端を、取付部材に取り付けた複数の可動底板で閉鎖し、
笠ブロックの前板、複数の可動底板と矢板壁の間にコンクリートを投入し、笠ブロックの前板、複数の可動底板と矢板壁及びコンクリートを一体化することを特徴とする。
3)上記2)の笠コンクリート構築法において、
笠ブロックの各可動底板は、それぞれ、矢板壁中の1本の矢板の前側に位置し、後端面の凸凹を、後側に位置する1本の矢板の前面の左右方向凸凹に嵌合することを特徴とする。
4)多数の矢板を並列した矢板壁に被せて矢板壁との間にコンクリートを詰めて笠コンクリートを構築する笠ブロックにおいて、
矢板壁の前側に配置する前板、前板の下端に後側に突出して設けた取付部材と、取付部材に後側に突出して取り付けた可動底板を備え、可動底板を前後方向や左右方向に移動可能にし、可動底板の後端面を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合する凸凹にし、
可動底板は、矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に合わせて移動させ、後端面の凸凹を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合して、後端面を矢板壁の前面に接し、前板と矢板壁との間の隙間の下端を閉鎖する構成にしたことを特徴とする笠ブロック。
5)上記の笠ブロックにおいて、
可動底板は、複数にし、左右方向に配列し、各配列位置でそれぞれ移動可能にし、
各可動底板は、それぞれ、矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に合わせて移動させ、後端面の凸凹を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合して、後端面を矢板壁の前面に接し、前板と矢板壁との間の隙間の下端を複数の可動底板で閉鎖する構成にしたことを特徴とする。
6)多数の矢板を並列した矢板壁に笠ブロックを被せ、笠ブロックと矢板壁との間にコンクリートを詰めて構築した笠コンクリート構造体において、
笠ブロックは、前板が矢板壁の前側に位置し、前板の下端に後側に突出して設けた取付部材に可動底板が後側に突出して取り付けられ、可動底板の後端面の凸凹が矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合して、可動底板の後端面が矢板壁の前面に接し、笠ブロックの前板、可動底板と矢板壁の間にコンクリートが詰まっていることを特徴とする笠コンクリート構造体。
【発明の効果】
【0014】
笠ブロックの可動底板は、矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に合わせて取付位置を調節することができる。可動底板と矢板壁の間に、コンクリートが漏れ出る隙間が生じ難い。
可動底板は、笠ブロックの前板に取り付けている。施工に多くの手間が掛からない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の第1例における矢板壁の平面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】同例における笠ブロックの平面図。
【図4】同笠ブロックの側面図。
【図5】同笠ブロックの底面図。
【図6】同笠ブロックの可動底板の平面図。
【図7】同例において笠ブロックを矢板壁に被せた状態の平面図。
【図8】図7のB−B線断面図。
【図9】同例において笠ブロックと矢板壁の間にコンクリートを詰めた状態の縦断側面図。
【図10】実施形態の第2例における笠ブロックの平面図。
【図11】同笠ブロックの側面図。
【図12】同笠ブロックの底面図。
【図13】同笠ブロックの可動底板の平面図。
【図14】同例において笠ブロックを矢板壁に被せた状態の平面図。
【図15】図14のC−C線断面図。
【図16】実施形態の第3例における笠ブロックの平面図。
【図17】同笠ブロックの側面図。
【図18】同笠ブロックの底面図。
【図19】同笠ブロックの可動底板の平面図。
【図20】引掛け部付き座板の拡大平面図。
【図21】同例において笠ブロックを矢板壁に被せた状態の縦断面図。
【図22】実施形態の第4例における笠ブロックの側面図。
【図23】同笠ブロックの底面図。
【図24】実施形態の第5例における笠ブロックの平面図。
【図25】同笠ブロックの側面図。
【図26】同笠ブロックの可動底板の平面図。
【図27】実施形態の第6例における笠ブロックの平面図。
【図28】同笠ブロックの側面図。
【図29】同笠ブロックの底面図。
【図30】同笠ブロックの可動底板の平面図。
【0016】
【図31】実施形態の第7例における矢板壁の平面図。
【図32】図31のD−D線断面図。
【図33】同例における笠ブロックの平面図。
【図34】同笠ブロックの側面図。
【図35】同笠ブロックの底面図。
【図36】同笠ブロックの可動底板の平面図。
【図37】同例において笠ブロックを矢板壁に被せた状態の平面図。
【図38】図37のE−E線断面図。
【図39】同例において笠ブロックと矢板壁の間にコンクリートを詰めた状態の縦断側面図。
【図40】実施形態の第8例における笠ブロックの底面図。
【図41】同例において笠ブロックを矢板壁に被せた状態の縦断側面図。
【図42】実施形態の第9例における笠ブロックの底面図。
【図43】同例において笠ブロックを矢板壁に被せた状態の縦断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1例(図1〜図9参照)]
矢板壁1は、水位の変動が少ない岸辺に護岸用に構築する。矢板2は、図1と図2に一部を示すように、多数本を隣接して打ち込み、並列して連結する。この矢板2は、ハット形の鋼矢板にしている。矢板壁1は、水側の前面と陸側の後面に、それぞれ、台形状断面の縦突条と縦溝が交互に並ぶ。矢板壁1の前面と後面は、矢板並列方向の左右方向に凸凹になる。
【0018】
笠ブロックは、多数個を矢板壁1に被せ、矢板並列方向に隣接して配列する。矢板壁1上の笠ブロックは、隣同士を連結する。各笠ブロックは、矢板壁1との間にコンクリートを詰める。鋼製の矢板壁1とコンクリート製の笠ブロック及び中詰コンクリートが一体化する。笠コンクリートが構築される。
各笠ブロックは、同様な構造で、矢板壁1に同様に取り付ける。1個の笠ブロック11について説明する。
【0019】
矢板壁1の上端には、図1と図2に示すように、複数の高さ調節具3と前後位置調節具4を取り付ける。両調節具3、4は、それぞれ、ボルトナットを用いている。
【0020】
笠ブロック11は、図3〜図5に示すように、プレキャストコンクリートブロックにし、前板12、後板13、天部材14と取付部材15を一体成形している。
【0021】
天部材14は、前板12と後板13の上端に掛け渡し、複数の作業用孔16を上下方向に貫通している。換言すると、前板12と後板13の上端に複数の梁を掛け渡している。取付部材15は、前板12の左右方向の全長に亘って前板12の下端から後側に突出している。この取付部材15は、片持ちの板状にし、左右方向の複数個所に突出量の多い片持ち梁状の連結部を形成している。各連結部は、上面に螺穴17を開口している。
【0022】
可動底板21は、図6に示すように、プレキャストコンクリート板にし、左右方向長さを前板12の左右方向長さの整数分の一にしている。可動底板21の中央部は、前後方向に長いばか孔22を上下方向に貫通している。可動底板21の後端面は、中央部を凸部にした凸凹にし、弾性材のパッキング23を固着している。パッキング23付き後端面の凸凹は、矢板壁1前面の左右方向凸凹に嵌合する形状にしている。
【0023】
笠ブロック11の取付部材15の上には、可動底板21を後側に突出して重ね、複数の可動底板21を左右方向に隣接して配列している。取付部材15上の複数の可動底板21は、前板12、取付部材15と左右方向長さを揃えている。各可動底板21のばか孔22貫通部分は、取付部材15の各連結部に重ねている。各可動底板21のばか孔22には、座板26に通したボルト27を上側から下側に貫通している。ボルト27の下端は、取付部材15の連結部の螺穴17に螺合している。座板26は、長孔のばか孔22を股いて可動底板21の上面に重ねている。ボルト27は、頭を座板26の上面に載せている。各可動底板21は、それぞれ、取付部材15の上に、前後方向や左右方向に移動可能に取り付けている。各可動底板21の取付位置は、それぞれ、調節可能にしている。
【0024】
この笠ブロック11は、吊り上げ、吊り下して、図7と図8に示すように、矢板壁1の上部に被せる。天部材14が矢板壁1上の高さ調節具3に載る。前板12、取付部材15と可動底板21が矢板壁1の前側、水側に配置される。後板13が矢板壁1の後側、陸側に配置されて地表に載る。各可動底板21のパッキング23付き後端面の凸部が矢板壁1の前面の縦溝に入る。
【0025】
前板12の後面には、矢板壁1上の前向きの前後位置調節具4を当てる。後板13の前面には、矢板壁1上の後向きの前後位置調節具4を当てる。各可動底板21は、それぞれ、天部材14の作業用孔16から挿入した作業者の手や棒で前後方向や左右方向に移動させ、取付位置を矢板壁1前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節する。パッキング23付き後端面は、矢板壁1の前面に接触させる。パッキング23付き後端面の凸凹は、矢板壁前面の左右方向凸凹に密に嵌合する。
【0026】
可動底板21の取付位置の調節後、各可動底板21は、それぞれ、作業用孔16から挿入した回転工具でボルト27を締め、取付部材15を経て前板12の下端に固定する。笠ブロック11の前板12と矢板壁1の間の隙間の下端を、取付部材15に取り付けた複数の可動底板21で閉鎖する。
【0027】
可動底板21の固定後、笠ブロック11の前板12、後板13と矢板壁1の間の隙間には、図9に示すように、作業用孔16からコンクリート29を投入して充填する。コンクリート29は、矢板壁1の上部、高さ調節具3と前後位置調節具4、可動底板21、ボルト27と座板26を埋没した状態で硬化する。矢板壁1の上部には、笠コンクリートが構築される。
【0028】
[第2例(図10〜図15参照)]
本例の笠ブロックにおいては、第1例のそれにおける可動底板と矢板壁中の矢板との相対位置を変更している。各可動底板は、それぞれ、矢板壁中の1本の矢板の前側に配置し、後端面の凸凹を、後側に位置する1本の矢板の前面の左右方向凸凹に嵌合する。1枚の可動底板が矢板壁中の1本の矢板の位置ずれに対処する。
第1例におけるのと異なる点を中心に説明する。第1例におけるのと同様な部分には、同一の符号を付ける。
【0029】
笠ブロック31は、図10〜図12に示すように、取付部材32を前板12の左右方向の全長に亘って前板12の下端から後側に突出している。片持ち板状の取付部材32は、左右の両端を含む複数個所に突出量の多い片持ち梁状の連結部を形成している。各連結部は、上面に螺穴33を開口している。
【0030】
可動底板36は、図13に示すように、左右の両端面に、それぞれ、切り欠き部37を形成している。切り欠き部37は、可動底板36の後端面には至らず、前端面に達している。可動底板36の後端面は、中央部を凹部にした凸凹にし、パッキング38を固着している。1枚の可動底板36のパッキング38付き後端面の凸凹は、矢板壁1中の1本の矢板2、ハット形の鋼矢板2の前面の左右方向凸凹に嵌合する形状にしている。
【0031】
笠ブロック31の取付部材32の上には、図10〜図12に示すように、複数の可動底板36を配列している。各可動底板36の切り欠き部37は、取付部材32の各連結部の上に位置している。可動底板36の左右の切り欠き部37は、それぞれ、隣の可動底板36の左右の切り欠き部37に連通している。左右に隣接して連通した両切り欠き部37は、前後方向に長いばか孔を構成している。このばか孔37には、座板39に通したボルト40を上側から下側に貫通している。ボルト40の下端は、取付部材32の連結部の螺穴33に螺合している。座板39は、左右の隣接した両可動底板36の上に載り、長孔のばか孔37を股いている。ボルト40は、頭を座板39の上に載せている。各可動底板36は、取付部材32の上に、前後方向や左右方向に移動可能に取り付けている。各可動底板36の取付位置は、調節可能にしている。
【0032】
この笠ブロック31は、図14と図15に示すように、調節具3、4付き矢板壁1の上部に被せる。各可動底板36は、矢板壁1の各矢板2の前側に位置する。各可動底板36のパッキング38付き後端面の凹部には、矢板壁1の各矢板2の前面の縦突条が入る。
【0033】
各可動底板36は、前後方向や左右方向に移動させ、取付位置を矢板壁1の各矢板2の前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節する。各可動底板36のパッキング38付き後端面は、それぞれ、後側に位置する矢板壁1中の1本の矢板2の前面に接触させる。パッキング38付き後端面の凸凹は、後側に位置する矢板壁1中の1本の矢板2の前面の左右方向凸凹に密に嵌合する。
【0034】
可動底板36の取付位置の調節後、各可動底板36は、ボルト40を締め、取付部材32を経て前板12の下端に固定する。笠ブロック31の前板12と矢板壁1の間の隙間の下端を、取付部材32に取り付けた複数の可動底板36で閉鎖する。
【0035】
可動底板36の固定後、第1例におけるのと同様に笠ブロック31内にコンクリートを投入して充填する。その他の点は、第1例におけるのと同様である。
【0036】
[第3例(図16〜図21参照)]
本例の笠ブロックにおいては、第1例のそれにおけるのとは逆に、可動底板は、前板下端の取付部材の下側に取り付けている。
第1例におけるのと異なる点を中心に説明する。第1例におけるのと同様な部分には、同一の符号を付ける。
【0037】
笠ブロック41の片持ち板状の取付部材42は、図16〜図18に示すように、左右方向の複数個所に突出量の多い片持ち梁状の連結部を形成している。各連結部は、前後方向に長いばか孔43を上下方向に貫通している。
【0038】
可動底板46は、図19に示すように、上面の中央部に螺穴47を開口している。可動底板46の後端面は、矢板壁1前面の左右方向凸凹に嵌合する凸凹にし、パッキング48を固着している。
【0039】
取付部材42の下には、図16〜図18に示すように、可動底板46を後側に突出して重ね、複数の可動底板46を左右方向に隣接して配列している。各可動底板46の螺穴47開口部分は、取付部材42の各連結部に重ねている。取付部材42の各連結部のばか孔43には、座板51に通したボルト52を上側から下側に貫通している。ボルト52の下端は、可動底板46の螺穴47に螺合している。
【0040】
座板51は、図20に示すように、U形状の引掛け部53を片側に突出して固定している。この座板51は、ばか孔43を股いて取付部材42の上面に重ねている。引掛け部53は、取付部材42の上に突出している。ボルト52は、頭を座板51に載せている。座板51は、引掛け部53に作業者の手や棒を引っ掛けて、前後方向や左右方向に移動すると、可動底板46が従動する。各可動底板46は、取付部材42の下に、前後方向や左右方向に移動可能に取り付けている。各可動底板46の取付位置は、調節可能にしている。
【0041】
この笠ブロック41は、図21に示すように、矢板壁1に被せる。各可動底板46は、作業用孔16から挿入した作業者の手や棒を引掛け部53に引っ掛けて、前後方向や左右方向に移動させ、取付位置を矢板壁1前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節する。パッキング48付き後端面の凸凹は、矢板壁1前面の左右方向凸凹に密に嵌合する。
その他の点は、第1例におけるのと同様である。
【0042】
[第4例(図22、図23参照)]
本例の笠ブロック56は、第3例のそれに、可動底板46が前側の水側から見えなくする目隠し部57を設けている。
第3例におけるのと異なる点を説明する。第3例におけるのと同様な部分には、同一の符号を付ける。
【0043】
笠ブロック56は、図22と図23に示すように、前板12の下端に、可動底板46の前側に位置する目隠し部57を設けている。
目隠し部57は、前板12の左右方向の全長に亘って前板12の下端面から下側に突出している。目隠し部57の前面は、前板12の前面と同一面に配置している。目隠し部57の前後方向の厚さは、前板12の前後方向の厚さの半分程度にしている。目隠し部57の上下方向の長さは、可動底板46の上下方向の厚さと同程度にしている。
その他の点は、第3例におけるのと同様である。
【0044】
[第5例(図24〜図26参照)]
本例の笠ブロック61は、第4例のそれにおけるコンクリート製の取付部材42を形鋼製の取付部材62に変更している。
第4例におけるのと異なる点を中心に説明する。第4例におけるのと同様な部分には、同一の符号を付ける。
【0045】
コンクリート製の笠ブロック61は、図24と図25に示すように、前板12の下端に形鋼製の取付部材62を取り付けている。取付部材のない笠ブロック61は、一体成形し易い。
【0046】
取付部材62は、みぞ形鋼の縦材とみぞ形鋼の横材を溶接で固着してL形状に構成している。取付部材62の縦材は、前板12の後面にボルトで固定している。取付部材62の横材は、前板12の下端から後側に突出している。取付部材62の下面は、前板12の下端面と同一面に配置している。取付部材62の横材は、前後方向に長いばか孔63を上下方向に貫通している。この片持ち梁状の取付部材62は、前板12の左右方向の複数個所に設けている。
【0047】
可動底板46は、図26に示すように、上面に螺穴47を開口している。可動底板46の後端面は、矢板壁1前面の左右方向凸凹に嵌合する凸凹にし、パッキング48を固着している。
【0048】
各取付部材62の下面と前板12の下端面の下には、図24と図25に示すように、可動底板46を後側に突出して重ね、複数の可動底板46を左右方向に隣接して配列している。各可動底板46の螺穴47開口部分は、各取付部材62に重ねている。各取付部材62のばか孔63には、座板51に通したボルト52を貫通している。ボルト52の下端は、可動底板46の螺穴47に螺合している。座板51は、ばか孔63を股いて取付部材62の上面に重ねている。座板51の引掛け部53は、取付部材62の上に突出している。引掛け部53に作業者の手や棒を引っ掛けて、座板51を前後方向や左右方向に移動すると、可動底板46が従動する。各可動底板46は、取付部材62と前板12の下に、前後方向や左右方向に移動可能に取り付けている。各可動底板46の取付位置は、調節可能にしている。
その他の点は、第4例におけるのと同様である。
【0049】
[第6例(図27〜図30参照)]
本例の笠ブロック66は、第1例のそれにおける平板状の可動底板21を凸凹板状の可動底板67に変更している。
第1例におけるのと異なる点を中心に説明する。第1例におけるのと同様な部分には、同一の符号を付ける。
【0050】
笠ブロック66は、図27〜図29に示すように、第1例におけるのと同様に、複数の連結部付きの取付部材15を片持ち板状に設けている。
【0051】
可動底板67は、図30と図27〜図29に示すように、下面に、取付部材15の連結部とその両側部分が入る凹部68を形成している。上面には、凹部68の上側位置に凸部を形成している。この凸部の頂面と凹部68の天井面の間には、前後方向に長いばか孔22を上下方向に貫通している。可動底板67の後端面は、第1例におけるのと同様に、凸凹にし、パッキング23を固着している。
【0052】
笠ブロック66の取付部材15の上には、可動底板67を後側に突出して載せ、複数の可動底板67を左右方向に隣接して配列している。各可動底板67は、凹部68に取付部材15の連結部とその両側部分を挿入し、凹部68の天井面を取付部材15の上面に重ねている。可動底板67の下面は、取付部材15の下面と同一面に配置している。可動底板67のパッキング23付き後端面は、取付部材15の後端面の真後ろに配置している。
【0053】
可動底板67のばか孔22には、座板26に通したボルト27を貫通している。ボルト27の下端は、取付部材15の連結部の螺穴17に螺合している。座板26は、可動底板67の上面に重ね、長孔のばか孔22を股いている。各可動底板67は、取付部材15に前後方向や左右方向に移動可能に取り付けている。各可動底板21の取付位置は、調節可能にしている。
その他の点は、第1例におけるのと同様である。
【0054】
[第7例(図31〜図39参照)]
本例の笠ブロックは、第1例のそれとは使用場所を変更している。水位の変動が多い岸辺に構築した矢板壁1に使用する。
第1例におけるのと異なる点を中心に説明する。第1例におけるのと同様な部分には、同一の符号を付ける。
【0055】
矢板壁1の上端には、図31と図32に示すように、笠ブロックを載せる一対の受け台5を取り付ける。受け台5は、矢板壁1の矢板2、ハット形鋼矢板に形鋼を溶接して固定する。
【0056】
笠ブロック71は、図33〜図35に示すように、前板72、天部材73と取付部材74を一体成形している。前板72は、上端から天部材73を後側に突出している。天部材73は、平板形状にし、作業用孔75を貫通している。前板72の後面には、螺穴76を開口している。
【0057】
取付部材74は、前板72の左右方向の全長に亘って前板72の下端から後側に突出している。この片持ち板状の取付部材74は、左右方向の複数個所に突出量の多い片持ち梁状の連結部を形成している。各連結部は、前後方向に長いばか孔77を上下方向に貫通している。
【0058】
可動底板81は、図36に示すように、中央部にボルト孔82を貫通している。可動底板81の後端面は、矢板壁1前面の左右方向凸凹に嵌合する凸凹にし、パッキング83を固着している。
【0059】
笠ブロック71の取付部材74の上には、図33〜図35に示すように、可動底板81を後側に突出して重ね、複数の可動底板81を左右方向に隣接して配列している。各可動底板81のボルト孔82貫通部分は、取付部材74の各連結部に重ねている。各可動底板81のボルト孔82には、ボルト86を上側から下側に貫通している。可動底板81の下側に突出したボルト86の下半部は、取付部材74の連結部のばか孔77に貫通している。取付部材74の下側に突出したボルト86の下端には、座板87を貫通し、ナット88を螺合している。各可動底板81は、取付部材74の上に、前後方向や左右方向に移動可能に取り付けている。各可動底板81の取付位置は、調節可能にしている。
【0060】
矢板壁1の上部には、図37と図38に示すように、螺軸の連結棒89を前後方向に貫通する。この矢板壁1の上部には、笠ブロック71を被せる。天部材73が矢板壁1上の受け台5に載る。前板72、取付部材74と可動底板81が矢板壁1の前側、水側に配置される。各可動底板81のパッキング83付き後端面の凸部が矢板壁1の前面の縦溝に入る。連結棒89は、前端を前板72の螺穴76に螺合し、後端に螺合したナット90を矢板壁1に当てる。前板72は、連結棒89で矢板壁1に連結する。
【0061】
各可動底板81は、それぞれ、前後方向や左右方向に移動させ、取付位置を矢板壁1前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節する。パッキング83付き後端面の凸凹は、矢板壁1前面の左右方向凸凹に密に嵌合する。可動底板81の取付位置の調節は、取付部材74下側のボルト86の下端を移動させて行う。又は、天部材73の作業用孔75から挿入した棒で、可動底板81上側のボルト86の頭や可動底板81を移動させて行う。
【0062】
可動底板81の取付位置の調節後、ボルト86下端のナット88を締める。座板87は、長孔のばか孔77を跨いて取付部材74の下面に重なる。各可動底板81は、取付部材74を経て前板72の下端に固定される。前板72と矢板壁1の間の隙間の下端は、取付部材74に取り付けた複数の可動底板81で閉鎖される。
【0063】
可動底板81の固定後、前板72と矢板壁1の間の隙間には、図39に示すように、作業用孔75からコンクリート29を投入して充填する。
その他の点は、第1例におけるのと同様である。
【0064】
[第8例(図40、図41参照)]
本例の笠ブロックにおいては、第7例のそれにおけるのとは逆に、可動底板は、前板下端の取付部材の下側に取り付けている。
第7例におけるのと異なる点を中心に説明する。第7例におけるのと同様な部分には、同一の符号を付ける。
【0065】
笠ブロック71の取付部材74の下には、可動底板81を後側に突出して重ね、複数の可動底板81を左右方向に隣接して配列している。取付部材74の各連結部のばか孔77には、座板87に通したボルト86を上側から下側に貫通している。座板87は、ばか孔77を股いて取付部材74の上面に重ねている。ボルト86は、頭を座板87に載せている。取付部材74の下側に突出したボルト86の下半部は、可動底板81のボルト孔82に貫通している。可動底板81の下側に突出したボルト86の下端には、ナット88を螺合している。各可動底板81は、取付部材74の下側に移動可能に取り付けている。
【0066】
各可動底板81は、前後方向や左右方向に移動させ、取付位置を矢板壁1前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節する。パッキング83付き後端面の凸凹は、矢板壁1前面の左右方向凸凹に密に嵌合する。可動底板81の取付位置の調節は、ボルト86の下端や可動底板81を移動させて行う。又は、天部材73の作業用孔75から挿入した棒で、ボルト86の頭を移動させて行う。
【0067】
可動底板81の取付位置の調節後、ボルト86下端のナット88を締める。各可動底板81は、取付部材74を経て前板72の下端に固定される。前板72と矢板壁1の間の隙間の下端は、取付部材74に取り付けた複数の可動底板81で閉鎖される。
その他の点は、第7例におけるのと同様である。
【0068】
[第9例(図42、図43参照)]
本例の笠ブロック91は、第8例のそれのコンクリート製の取付部材74を形鋼製の取付部材92に変更している。
第8例におけるのと異なる点を中心に説明する。第8例におけるのと同様な部分には、同一の符号を付ける。
【0069】
笠ブロック91は、図42と図43に示すように、前板72の下端に、第5例におけるのと同様な形鋼製の取付部材92を取り付けている。
【0070】
取付部材92は、みぞ形鋼の縦材とみぞ形鋼の横材をL形状に溶接して構成している。取付部材92の縦材は、前板72の後面にボルトで固定している。取付部材92の横材は、前板72の下端から後側に突出し、前後方向に長いばか孔93を上下方向に貫通している。取付部材92の下面は、前板72の下端面と同一面に配置している。この片持ち梁状の取付部材92は、前板72の左右方向の複数個所に設けている。
【0071】
各取付部材92の下面と前板72の下端面の下には、可動底板81を後側に突出して重ねている。複数の可動底板81は、左右方向に隣接して配列している。各取付部材92のばか孔93には、座板87に通したボルト86を上側から下側に貫通している。座板87は、ばか孔93を股いて取付部材92の上面に重ねている。ボルト86は、頭を座板87に載せている。取付部材92の下側に突出したボルト86の下半部は、可動底板81のボルト孔82に貫通している。可動底板81の下側に突出したボルト86の下端には、ナット88を螺合している。各可動底板81は、取付部材92の下側に移動可能に取り付けている。
【0072】
各可動底板81は、前後方向や左右方向に移動させ、取付位置を矢板壁1前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節する。パッキング83付き後端面の凸凹は、矢板壁1前面の左右方向凸凹に密に嵌合する。
【0073】
可動底板81の取付位置の調節後、ボルト86下端のナット88を締める。各可動底板81は、取付部材92を経て前板72の下端に固定される。前板72と矢板壁1の間の隙間の下端は、取付部材92に取り付けた複数の可動底板81で閉鎖される。
その他の点は、第8例におけるのと同様である。
【0074】
[変形例]
1)上記の実施形態において、矢板壁1の矢板2は、ハット形状断面の鋼矢板にしているが、台形状断面の鋼矢板にする。又は、鋼管矢板にする。
2)上記の実施形態において、可動底板は、コンクリート製にしているが、合成樹脂製、金属製や木製にする。
3)上記の実施形態において、可動底板の位置調節可能な取り付け機構は、長孔のばか孔、ボルトと座金、螺穴やボルト孔を用いているが、その他の機構にする。
【符号の説明】
【0075】
1 矢板壁
2 矢板、ハット形の鋼矢板
3 高さ調節具
4 前後位置調節具
実施形態の第1例
11 笠ブロック、プレキャストコンクリートブロック
12 前板
13 後板
14 天部材
15 取付部材
16 作業用孔
17 螺穴
21 可動底板、プレキャストコンクリート板
22 ばか孔、長孔
23 パッキング
26 座板
27 ボルト
29 コンクリート、中詰コンクリート
実施形態の第2例
31 笠ブロック
32 取付部材
33 螺穴
36 可動底板
37 切り欠き部、ばか孔、長孔
38 パッキング
39 座板
40 ボルト
実施形態の第3例
41 笠ブロック
42 取付部材
43 ばか孔、長孔
46 可動底板
47 螺穴
48 パッキング
51 座板
52 ボルト
53 引掛け部
実施形態の第4例
56 笠ブロック
57 目隠し部
実施形態の第5例
61 笠ブロック
62 形鋼製の取付部材
63 ばか孔、長孔
実施形態の第6例
66 笠ブロック
67 可動底板
68 可動底板の凹部
【0076】
実施形態の第7例、第8例
5 受け台
71 笠ブロック
72 前板
73 天部材
74 取付部材
75 作業用孔
76 螺穴
77 ばか孔、長孔
81 可動底板
82 ボルト孔
83 パッキング
86 ボルト
87 座板
88 ナット
89 螺軸の連結棒
90 ナット
実施形態の第9例
91 笠ブロック
92 取付部材
93 ばか孔、長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の矢板を並列した矢板壁に笠ブロックを被せ、笠ブロックと矢板壁の間にコンクリートを詰めて、笠コンクリートを構築する方法において、
笠ブロックは、前板の下端に取付部材を後側に突出して設け、取付部材に可動底板を後側に突出して取り付け、可動底板の後端面を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合する凸凹にし、可動底板の取付位置を矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節可能にしており、
この笠ブロックは、矢板壁に被せ、前板、取付部材と可動底板を矢板壁の前側に配置し、
笠ブロックの可動底板は、取付位置を矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節し、後端面の凸凹を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合して、後端面を矢板壁の前面に接し、笠ブロックの前板と矢板壁との間の隙間の下端を、取付部材に取り付けた可動底板で閉鎖し、
笠ブロックの前板、可動底板と矢板壁の間にコンクリートを投入し、笠ブロックの前板、可動底板と矢板壁及びコンクリートを一体化することを特徴とする笠コンクリート構築法。
【請求項2】
笠ブロックは、前板下端の取付部材に取り付ける可動底板を複数にして左右方向に配列し、
複数の可動底板を取り付けた笠ブロックは、矢板壁に被せ、各可動底板を矢板壁の前側に配置し、
各可動底板は、それぞれ、取付位置を矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に応じて調節し、後端面の凸凹を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合して、後端面を矢板壁の前面に接し、笠ブロックの前板と矢板壁との間の隙間の下端を、取付部材に取り付けた複数の可動底板で閉鎖し、
笠ブロックの前板、複数の可動底板と矢板壁の間にコンクリートを投入し、笠ブロックの前板、複数の可動底板と矢板壁及びコンクリートを一体化することを特徴とする請求項1に記載の笠コンクリート構築法。
【請求項3】
笠ブロックの各可動底板は、それぞれ、矢板壁中の1本の矢板の前側に位置し、後端面の凸凹を、後側に位置する1本の矢板の前面の左右方向凸凹に嵌合することを特徴とする請求項2に記載の笠コンクリート構築法。
【請求項4】
多数の矢板を並列した矢板壁に被せて矢板壁との間にコンクリートを詰めて笠コンクリートを構築する笠ブロックにおいて、
矢板壁の前側に配置する前板、前板の下端に後側に突出して設けた取付部材と、取付部材に後側に突出して取り付けた可動底板を備え、可動底板を前後方向や左右方向に移動可能にし、可動底板の後端面を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合する凸凹にし、
可動底板は、矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に合わせて移動させ、後端面の凸凹を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合して、後端面を矢板壁の前面に接し、前板と矢板壁との間の隙間の下端を閉鎖する構成にしたことを特徴とする笠ブロック。
【請求項5】
可動底板は、複数にし、左右方向に配列し、各配列位置でそれぞれ移動可能にし、
各可動底板は、それぞれ、矢板壁前面の左右方向凸凹の位置に合わせて移動させ、後端面の凸凹を矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合して、後端面を矢板壁の前面に接し、前板と矢板壁との間の隙間の下端を複数の可動底板で閉鎖する構成にしたことを特徴とする請求項4に記載の笠ブロック。
【請求項6】
多数の矢板を並列した矢板壁に笠ブロックを被せ、笠ブロックと矢板壁との間にコンクリートを詰めて構築した笠コンクリート構造体において、
笠ブロックは、前板が矢板壁の前側に位置し、前板の下端に後側に突出して設けた取付部材に可動底板が後側に突出して取り付けられ、可動底板の後端面の凸凹が矢板壁前面の左右方向凸凹に嵌合して、可動底板の後端面が矢板壁の前面に接し、笠ブロックの前板、可動底板と矢板壁の間にコンクリートが詰まっていることを特徴とする笠コンクリート構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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