説明

符号化および復号のためのマルチレベル有効性写像

【課題】マルチレベル有効性写像を用いて動画像を符号化および復号するための方法および装置を提供すること。
【解決手段】動画像データのための符号化および復号の方法が記述され、その方法において、マルチレベル有効性写像が符号化および復号プロセスにおいて使用される。有効性写像を形成する有効係数フラグは、連続するグループにグルーピングされ、有効係数グループ・フラグは、各グループに対して、そのグループが非ゼロの有効係数フラグを含まないか否かについて示す。非ゼロの有効係数フラグがグループの中に存在しない場合、有効係数グループ・フラグはゼロに設定される。有効係数グループ・フラグのセットは、ビットストリームにおいて符号化される。非ゼロである有効係数グループ・フラグを有するグループ内に入る任意の有効係数フラグは、ビットストリームにおいて符号化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(著作権に関する通知)
本文書および添付資料の開示の一部は、著作権に対する主張がなされる資料を含む。著作権者は、特許文献または特許開示のうちの任意のものによる複製に異議はない、なぜなら、特許商標庁のファイルまたは記録に記載されているからであるが、しかしながら、全ての他の著作権の権利を保有する。
【0002】
(分野)
本願は、概してデータ圧縮に関し、より具体的には、マルチレベル有効性写像を用いて動画像を符号化および復号するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
効率的に情報を記憶、送信、および複製することは、通信およびコンピュータ・ネットワークにおいて非常に一般的に使用されている。画像、オーディオおよび動画像の符号化において特有の適用が存在する。動画像は、各動画像フレームに対して必要な大量のデータ、および符号化および復号に際して必要なスピードのために、データ圧縮への重要な課題を提示する。動画像符号化のための現在の最高水準の技術は、ITU−T H.264/AVC動画像符号化標準である。それは、メインプロフィール、ベースラインプロフィール、その他を含む異なる適用に対していくつかの異なるプロフィールを規定する。次世代の動画像符号化標準は、現在、MPEG−ITUの共同イニシアティブを通して開発中である(High Efficiency Video Coding(HEVC))。
【0004】
ブロック方式の符号化プロセスを使用するH.264を含む、画像および動画像を符号化/復号するためのいくつかの標準が存在する。これらのプロセスにおいて、画像またはフレームはブロック、一般的に4x4または8x8に分割され、そして、ブロックはスペクトル的に係数に変換され、量子化され、そして、エントロピー符号化される。多くの場合、データは、実際の画素データでなくて、予測動作の後の残差データ(residual data)である。予測は、内部フレーム、すなわちフレーム/画像内のブロック毎に、または、相互フレーム、すなわちフレーム間で(また、いわゆる運動予測)あり得る。HEVC(また、いわゆるH.265と呼ばれ得る)もまた、これらの特徴を有すると予想される。
【0005】
スペクトル的に残差データを変換するときに、これらの標準の多くはそれらに離散余弦変換(DCT)または若干の変形の使用を規定する。結果として生じるDCT係数は、次に、量子化器を使用して量子化されて、量子化された変換領域係数またはインデックスを生成する。
【0006】
量子化された変換領域係数(ときには、「変換ユニット」と呼ばれる)のブロックまたはマトリックスは、次に、特定のコンテキスト・モデルを使用してエントロピー符号化される。H.264/AVCにおいて、および、HEVCのための現在の開発作業において、量子化された変換係数は、(a)ブロックにおける最後の非ゼロ係数の位置を示す最後の有効係数位置を符号化すること、(b)非ゼロ係数を含むブロック(最後の有効係数位置以外の)における位置を示す有効性写像を符号化すること、(c)非ゼロ係数の大きさを符号化すること、および(d)非ゼロ係数のサインを符号化することによって符号化される。量子化された変換係数のこの符号化は、しばしば、ビットストリームにおいて符号化されたデータの30−80%を占める。
【0007】
変換ユニットは、一般的にNxNである。一般のサイズは、4x4、8x8、16x16および32x32を含むが、他のサイズも可能である。有効性写像におけるシンボルのエントロピー符号化は、コンテキスト・モデルに基づいている。4x4の輝度もしくは彩度のブロックまたは変換ユニット(TU)の場合、個々のコンテキストは、TUにおける各係数位置と関連している。すなわち、符号化器および復号器は、合計30個(右下隅の位置を除いて)の4x4の輝度および彩度のTUに対する個々のコンテキストを追跡する。8x8のTUは、(概念的にコンテキスト関連付けの目的で)2X2のブロックに区画化されて、1つの異なるコンテキストが8x8のTUにおける各2x2のブロックと関連付けられる。したがって、符号化器および復号器は、8x8の彩度および輝度のTUに対して合計16+16=32個のコンテキストを追跡する。このことは、有効性写像の符号化および復号の間、符号化器および復号器が62個の異なるコンテキストを追跡し、検索し続けることを意味する。16x16のTUおよび32x32のTUが考慮されると、含まれる異なるコンテキストの全数は、88個である。付加的な26個のコンテキストの中で、13個は輝度のTUに対するものあり、13個は彩度のTUに対するものである。16x16または32x32のTUにおける係数位置への13個のコンテキストの割当ては、以下の通りである。(r,c)がTUにおける位置を示すとすると、ここで、TUがサイズ16x16である場合、0<=r、c<=15であり、そして、TUがサイズ32x32であるならば、0<=r、c<=31である。次に、3つの異なるコンテキストが、DC位置(0,0)を含む左上隅における3つの位置(0,0)、(0,1)、(1,0)に割り当てられ;5つの異なるコンテキストが、領域{(r,c):2<=r+c<5}における位置に割り当てられ;最後の5つの異なるコンテキストが、全ての残りの位置に割り当てられる。(0,0)、(0,10)、および(1,0)に対する最初の3つのコンテキストを除いて、領域{(r,c):2<=r+c<5}における位置に対するコンテキストの導出は、それの右下隣りに従う。s(r,c)が位置(r,c)における係数の有効性フラグを示すとすると、例えば、係数がゼロである場合、s(r,c)=1であり、そうでない場合、s(r,c)=1である。位置(r,c)に対するコンテキストは、min(s(r+1,c)+s(r,c+1)+s(r+2,c)+s(r,c+2)+s(r+1,c+1),4)に等しく、ここで、min(a,b)は、aとbとのうちのより小さい方を返す。残りの領域{(r,c):r+c>=5}における位置(r,c)のコンテキストが同様に導出される。
【0008】
4x4および8x8の有効性写像に対するコンテキストは、ビット位置によって決定される。16x16および32x32の有効性写像に対するコンテキストは、隣りのビットの値によってほとんど決定される。16x16および32x32の有効性写像に対するコンテキストの決定は、計算的にはかなり厳しいが、その理由は、ほとんどの場合、プロセッサは、コストがかかるメモリーアクセス動作を含む、隣りの有効フラグの値に目を向けることによってコンテキストを決定するからである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願は、コンテキスト適応可能符号化または復号によって有効性写像を符号化および復号する方法および符号化器/復号器を記述する。符号化器および復号器は、マルチレベル有効性写像を使用する。少なくとも1つのケースにおいて、マルチレベル写像は、16x16および32x32のTUなどの、より大きな変換ユニットによって使用される。
【0010】
一つの局面において、本願は、符号化されたデータのビットストリームから変換ユニットに対する有効係数フラグを再構成する方法を記述する。方法は、有効係数グループ・フラグを再構成することであって、各有効係数グループ・フラグは、有効係数フラグのそれぞれのグループに対応する、ことと、その有効係数フラグが、非ゼロである対応する有効係数グループ・フラグを有するグループの中にある場合に、ビットストリームから有効係数フラグを復号することによって各有効係数フラグを再構成すること、有効係数グループ・フラグが、ゼロである対応する有効係数フラグを有するグループの中にある場合に、有効係数フラグをゼロに設定することとを含む。
【0011】
別の局面において、本願は、変換ユニットに対する有効係数フラグをコード化する方法を記述する。方法は、有効係数グループ・フラグを符号化することであって、各有効係数グループ・フラグは、有効係数フラグのそれぞれのグループに対応する、ことと、有効係数グループ・フラグがゼロに設定されて、その対応するグループが非ゼロの有効係数フラグを含まないことを示すために、有効係数フラグの各々に対して、それの対応する有効係数グループ・フラグが非ゼロであるその有効係数フラグが、グループのうちの1つの中にある場合に、有効係数フラグを符号化し、それの有効係数フラグが、対応する有効係数グループ・フラグがゼロであるグループのうちの1つの中にある場合に、有効係数フラグを符号化しないこととを含む。
【0012】
一つの局面において、有効係数フラグの再構成は、順方向または逆のスキャン順序のような、規定された順序で実行される。別の局面において、有効係数グループ・フラグの再構成は、規定された順序で実行され、その順序は、順方向または逆のスキャン順序のような、有効係数フラグの再構成によって使用されるものと同一の規定された順序であり得る。
【0013】
一つの局面において、対応するグループの中の全ての有効係数フラグがゼロである場合に、有効係数グループ・フラグはゼロに設定される。別の局面において、対応するグループの中の少なくとも1つの有効係数フラグが非ゼロである場合に、有効係数グループ・フラグは非ゼロである。別の局面において、たとえ対応するグループの中の全ての有効係数フラグがゼロである場合においても、特殊ケースが非ゼロである有効係数グループ・フラグをもたらし得、そのケースにおいて、復号器は、ビットストリームからその対応するグループに対する全てのゼロ値の有効係数フラグを復号する。
【0014】
またさらなる局面において、本願は、符号化されたデータのビットストリームから変換ユニットに対する有効係数フラグを復号する方法を記述する。方法は、ビットストリームから有効係数グループ・フラグを復号することであって、各有効係数グループ・フラグは、有効係数フラグのそれぞれのグループに対応することと、その対応するグループが非ゼロの有効係数フラグを含まない場合に、各有効係数グループ・フラグはゼロであり、各有効係数グループ・フラグに対して、その有効係数グループ・フラグが非ゼロである場合に、ビットストリームから有効係数フラグのその対応するグループに対する有効係数フラグを復号すること、そして、そうでない場合に、有効係数フラグのその対応するグループにおける全ての有効係数フラグをゼロに設定することとを含む。
【0015】
さらに別の局面において、本願は、符号化されたデータのビットストリームから変換ユニットに対する有効係数フラグを再構成する方法を記述し、変換ユニットは、有効係数フラグの非重複グループに区画化される。方法は、有効係数グループ・フラグを再構成することであって、少なくとも1つの有効係数グループ・フラグの値を1に設定することによって、各有効係数グループ・フラグは、有効係数フラグのそれぞれのグループに対応する、ことと、その有効係数フラグが、非ゼロである対応する有効係数グループ・フラグを有するグループの中にある場合に、ビットストリームから有効係数フラグを復号することによって、各有効係数フラグを再構成し、それの有効係数フラグが、ゼロである対応する有効係数グループ・フラグを有するグループの中にある場合に、有効係数フラグをゼロに設定することとを含む。
【0016】
さらなる局面において、本願は、変換ユニットに対して有効係数フラグを符号化する方法を記述し、変換ユニットは、有効係数フラグの非重複グループに区画化される。方法は、有効係数グループ・フラグを符号化することを含み、各有効係数グループ・フラグは、有効係数フラグのグループのうちのそれぞれの一つに対応し、有効係数グループ・フラグは、ゼロに設定されて、その対応するグループは、非ゼロの有効係数フラグを含まないことを示し、符号化することは、それの対応するグループが非ゼロの有効係数フラグを含むか否かにかかわりなく、1であると推測される少なくとも1つの有効係数グループ・フラグを除外する。方法は、有効係数フラグの各々に対して、その有効係数フラグがそれの対応する有効係数グループ・フラグが非ゼロであるグループのうちの1つの中にある場合に、有効係数フラグをコード化することと、その有効係数フラグが対応する有効係数グループ・フラグがゼロであるグループのうちの1つの中にある場合に、有効係数フラグを符号化しないこととをさらに含む。
【0017】
さらなる局面において、本願は、符号化および復号のそのような方法を実装するように構成される符号化器および復号器を記述する。
【0018】
なおさらなる局面において、本願は、コンピュータ実行可能プログラム命令を記憶している固定コンピュータ読取り可能媒体であって、命令は、実行されると、プロセッサが符号化および/または複合の記述された方法を実行するように構成される、媒体を記述する。
【0019】
本願の他の局面および特徴は、当業者であれば、添付図面とともに実施例についての次の説明を検討することから理解するであろう。
【0020】
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
符号化されたデータのビットストリームから変換ユニットに対する有効係数フラグを復元する方法であって、該変換ユニットは、有効係数フラグの非重複グループに区画化され、該方法は、
少なくとも1つの有効係数グループ・フラグの値を1に設定することによって、有効係数グループ・フラグを復元することであって、各有効係数グループ・フラグは、有効係数フラグのそれぞれのグループに対応している、ことと、
各有効係数フラグを復元することであって、該復元することは、
その有効係数フラグが、非ゼロである対応する有効係数グループ・フラグを有するグループの中にある場合に、該ビットストリームから該有効係数フラグを復号することと、
その有効係数フラグが、ゼロである対応する有効係数グループ・フラグを有するグループの中にある場合に、該有効係数フラグをゼロに設定することと
による、ことと
を含む、方法。
(項目2)
上記有効係数グループ・フラグを復元することは、上記ビットストリームから該有効係数グループ・フラグのうちの少なくとも1つのフラグを復号することを含み、該少なくとも一つのフラグは、上記少なくとも1つの有効係数グループ・フラグ以外のものである、上記項目に記載の方法。
(項目3)
上記少なくとも一つの有効係数グループ・フラグの値を1に設定することは、最終有効係数に対する上記有効係数フラグを含むグループに対する該有効係数グループ・フラグを1に設定することを含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目4)
上記少なくとも1つの有効係数グループ・フラグの値を1に設定することは、DC係数に対する上記有効係数フラグを含む上記グループに対する上記有効係数グループ・フラグを1に設定することを含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
上記少なくとも1つの有効係数グループ・フラグの値を1に設定することは、有効係数グループ・フラグが、2つの隣りのグループを有する1つのグループに対応し、該2つの隣りのグループの両方が、1である復元された値を有する対応する有効係数グループ・フラグを有している場合に、該有効係数グループ・フラグを1に設定することを含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
上記グループは連続ブロックであり、上記2つの隣りのグループは、右方の隣りのブロックと下方の隣りのブロックとを含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
上記有効係数グループ・フラグを復元することは、順方向のスキャン順序における最終有効係数を含むグループより後の各有効係数グループ・フラグに対して、有効係数グループ・フラグの値をゼロに設定することをさらに含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
上記ビットストリームから上記有効係数グループ・フラグのうちの少なくとも1つを復号することは、未だ設定されていない上記変換ユニットに対する全ての有効係数グループ・フラグを復号することを含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
上記変換ユニットは、16x16であり、各グループは4x4のブロックである、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
上記変換ユニットは32x32であり、各グループは8x8のブロックである、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
上記有効係数グループ・フラグのうちの1つを復元することが、2つの隣りのグループに対して復元された該有効係数グループ・フラグに基づいて、その有効係数グループ・フラグに対するコンテキストを決定することを含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
上記2つの隣りのグループは、右方の隣りおよび下方の隣りを含み、該2つの隣りのグループに対する上記有効係数グループ・フラグの両方が0であるならば、上記コンテキストは0であり、そうでなければ、該コンテキストは1である、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
上記ビットストリームから復号される上記グループのうちの1つにおける全ての上記有効係数フラグの値は、そのグループに対する対応する有効係数グループ・フラグが1に設定されているが、ゼロである、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
動画像ビットストリームは、スケーラブル動画像符号化標準、マルチビュー符号化標準、再設定可能動画像符号化標準および高効率動画像符号化標準のうちの1つに準拠している、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
各グループは、その幅と異なる高さを有している、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
各グループは、16個の有効係数フラグを含み、上記その有効係数フラグが、非ゼロである対応する有効係数グループ・フラグを有するグループの中にある場合に、上記ビットストリームから該有効係数フラグを復号することは、
そのグループに対して復号される最初の15個の有効係数フラグがゼロである場合に、
該グループの中の第16番目の有効係数フラグを1に設定すること
を含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
変換ユニットに対する有効係数フラグを復元するために、符号化されたデータのビットストリームを復号する復号器であって、該復号器は、
プロセッサと、
メモリと、
該メモリに記憶された復号アプリケーションであって、該アプリケーションは、請求項1〜16のうちのいずれか一項に記載の方法を実行するように該プロセッサを構成する命令を含む、アプリケーションと
を含む、復号器。
(項目18)
変換ユニットに対する有効係数フラグを符号化する方法であって、該変換ユニットは、有効係数フラグの非重複グループに区画化され、該方法は、
有効係数グループ・フラグを符号化することであって、各有効係数グループ・フラグは、該有効係数フラグのグループのそれぞれの一つに対応し、該有効係数グループ・フラグは、ゼロに設定されることにより、該対応するグループが非ゼロ有効係数フラグを含まないことを表示し、該符号化することは、その対応するグループが非ゼロ有効係数フラグを含むか否かにかかわらず、1であると推測される少なくとも1つの有効係数グループ・フラグを除外する、ことと、
該有効係数フラグの各々に対して、
その有効係数フラグが、その対応する有効係数グループ・フラグが非ゼロである該グループのうちの1つの中にある場合に、該有効係数フラグを符号化し、
その有効係数フラグが、対応する有効係数グループ・フラグがゼロである該グループのうちの1つである場合に、該有効係数フラグを符号化しないことと
を含む、方法。
(項目19)
変換ユニットに対する有効係数フラグを符号化する符号化器であって、該符号化器は、
プロセッサと、
有効性写像を記憶するメモリと
該メモリに記憶されている符号化アプリケーションであって、該アプリケーションは、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法を実行するように該プロセッサを構成する命令を含む、アプリケーションと
を含む、符号化器。
(項目20)
プロセッサ実行可能命令を記憶している非一時的なプロセッサ可読媒体であって、該命令は、実行されると、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法を実行するように1つ以上のプロセッサを構成する、プロセッサ可読媒体。
【0021】
(摘要)
動画像データのための符号化および復号の方法が記述され、その方法において、マルチレベル有効性写像が符号化および復号プロセスにおいて使用される。有効性写像を形成する有効係数フラグは、連続するグループにグルーピングされ、有効係数グループ・フラグは、各グループに対して、そのグループが非ゼロの有効係数フラグを含まないか否かについて示す。非ゼロの有効係数フラグがグループの中に存在しない場合、有効係数グループ・フラグはゼロに設定される。有効係数グループ・フラグのセットは、ビットストリームにおいて符号化される。非ゼロである有効係数グループ・フラグを有するグループ内に入る任意の有効係数フラグは、ビットストリームにおいて符号化され、一方、ゼロである有効係数グループ・フラグを有するグループに入る有効係数フラグは、ビットストリームにおいて符号化されない。
【0022】
ここで、実施例として、添付図面を参照すると、図面は、本願の例示的な実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、ブロック線図形式で、動画像を符号化するための符号化器を示している。
【図2】図2は、ブロック線図形式で、動画像を復号するための復号器を示している。
【図3】図3は、量子化変換領域係数を含んでいる例示的な変換ユニットを示している。
【図4】図4は、図3の変換ユニットに対する有効係数フラグを含んでいる例示的な有効性写像を示している。
【図5】図5は、図4の有効性写像に対する有効係数グループ・フラグを含んでいる例示的なL1有効性写像を示している。
【図6】図6は、フローチャート形式において、有効係数フラグを符号化する例示的な方法を示している。
【図7】図7は、フローチャート形式において、符号化されたデータから有効性写像を再構成する例示的方法を示している。
【図8】図8は、フローチャート形式において、有効係数グループ・フラグを復号および再構成する例示的なプロセスを示している。
【図9】図9は、フローチャート形式において、マルチレベル有効性写像符号化のための例示的なレートひずみ最適量子化プロセスを示している。
【図10】図10は、L1RDOQの適用後における図4の例示的なL0有効性写像を示している。
【図11】図11は、L1RDOQの後における図10のL0有効性写像に対応するL1有効性写像を示している。
【図12】図12は、符号化器の例示的実施形態の簡略ブロック線図を示している。
【図13】図13は、復号器の例示的実施形態の簡略ブロック線図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
類似した参照番号は、類似した構成要素を表示するために、異なる図面において使用されている。
【0025】
後続の記述において、いくつかの例示的実施形態は、動画像符号化のためのHEVC標準および/または開発中のH.264標準を参照して記述される。いわゆる当業者は、本願がH.264/AVCまたはHEVCに限定されず、可能性のある将来の標準、マルチ表示符号化標準、スケーラブルな動画像符号化標準、再変更可能な動画像符号化標準を含む他の動画像符号化/復号標準に適用され得ることを理解するであろう。
【0026】
後続の記述において、動画像または画像に言及するとき、フレーム、ピクチャ、スライス、タイルおよび長方形スライスグループなる用語は、多少相互交換可能に使用され得る。いわゆる当業者は、H.264標準の場合、フレームが一つ以上のスライスを含み得ると認識する。また、その一定の符号化/復号動作が、適用できる画像または動画像符号化標準の特定の要件または専門用語に従って、フレーム毎、一部のものはピクチャ毎、一部のものはタイル毎、一部にものは長方形スライスグループ毎の方式で実行されることも認識されるであろう。任意の特定の実施形態において、適用できる画像または動画像符号化標準は、下記の一部の場合において、以下の記述の動作が、場合によって、フレームおよび/またはスライスおよび/またはピクチャおよび/またはタイルおよび/または長方形スライスグループと関連して実行されるか否かを決定し得る。従って、いわゆる当業者は、本開示に照らして、本明細書に記載の特定の動作または処理、およびフレーム、スライス、ピクチャ、タイル、長方形スライスグループへの特定の参照が、所与の実施形態に対して、フレーム、スライス、ピクチャ、タイル、長方形スライスグループ、またはこれらの一部またはすべてに適用可能であるか否かを認識するであろう。このことは、以下の記述に照らすと明らかになるように、伝送ユニット、符号化ユニット、符号化ユニットのグループなどにも当てはまる。
【0027】
本願は、有効性写像に関する。有効性写像は、変換ユニットに写像するか、または対応するフラグのブロック、マトリックスまたはグループである。各フラグは、変換ユニットにおける対応する位置が非ゼロ係数を含むか否かを示す。既存の標準において、これらのフラグは、有効係数フラグと呼ばれ得る。既存の標準においては、係数毎に1つのフラグが存在し、フラグは、対応する係数がゼロである場合、ゼロであり、対応する係数が非ゼロである場合、1に設定される1つのビットである。本明細書において使用されるような用語「有効性写像」は、以下の記述から理解されるように、変換ユニットに対する有効係数フラグのマトリックスまたは順序付きセットを指すことが意図されている。
【0028】
ここで、図1を参照すると、図1は、ブロック線図の形式で、動画像を符号化するためのエンコーダ10を示している。図2をも参照すると、図2は、デコーダ50が動画像を復号するためのブロック線図を示している。本明細書に記載されるエンコーダー10およびデコーダー50は、各々、一つ以上の演算処理装置およびメモリを含む特定用途向けまたは汎用コンピュータに実装され得ることが認識されるであろう。一部の場合において、エンコーダー10またはデコーダー50によって実行される動作は、例えば、特定用途向け集積回路として、またはメインプロセッサーによって実行可能な格納プログラム命令として実行され得る。デバイスは、例えば、ベースのデバイス機能を制御するためのオペレーティングシステムを含む付加的なソフトウェアを含み得る。エンコーダー10またはデコーダー50が実装され得るデバイスおよびプラットフォームの範囲は、以下の記述に対する関心を有するいわゆる当業者に認識される。
【0029】
エンコーダー10は、動画像ソース12を受信し、符号化されたビットストリーム14を生成する。デコーダー50は、符号化されたビットストリーム14を受信し、復号された動画像フレーム16を出力する。エンコーダー10およびデコーダー50は、いくつかの動画像圧縮標準に準拠して動作するように構成され得る。例えば、エンコーダー10およびデコーダー50は、H.264/AVC対応であり得る。他の実施態様において、エンコーダー10およびデコーダー50は、HEVCのような、H.264/AVC標準の進化を含む他の動画像圧縮標準に従い得る。
【0030】
エンコーダー10は、空間予測器21、符号化モードセレクター20、変換プロセッサ22、量子化器24、およびエントロピー符号化器26を含む。当業者であれば認識するように、符号化モードセレクター20は、動画像のための適切な符号化モード、例えば、対象のフレーム/スライスがI、PまたはBタイプのいずれであるか、フレーム/スライス内の特定の符号化ユニット(例えば、マクロブロック)が、相互符号化または内部符号化のいずれがされているかを決定する。変換プロセッサ22は、空間領域データにおける変換を実行する。特に、変換プロセッサ22は、空間領域データをスペクトル成分に変えるために、ブロックベースの変換を適用する。例えば、多くの実施形態において、離散余弦変換(DCT)が使用される。他の変換、例えば、離散正弦変換または他のものが、一部の例において使用され得る。ブロック方式の変換は、マクロブロックの大きさに従って、マクロブロックまたはサブブロック方式で実行される。H.264標準において、例えば、典型的な16x16マクロブロックは16個の4x4変換ブロックを含み、DCTプロセスは4x4ブロックに対して実行される。一部の場合において、変換ブロックは8x8であり得、マクロブロック毎に4つの変換ブロックがあることを意味する。さらに別のケースにおいて、変換ブロックは、他の大きさであり得る。一部の場合において、16x16のマクロブロックは、4x4の変換ブロックと8x8の変換ブロックとの非重複の組み合わせを含み得る。
【0031】
ブロック方式の変換をブロックの画素データに適用すると、1セットの変換領域係数が生じる。この場合における「セット」とは、係数が係数位置を有する順序付けられたセットである。一部の例において、変換領域係数のセットは、係数の「ブロック」またはマトリックスと考えられ得る。本明細書における記述において、「変換領域係数のセット」または「変換領域係数のブロック」が、相互交換可能に使用され、変換領域係数の順序付けられたセットを示すことを意味する。
【0032】
変換領域係数のセットは、量子化器24によって量子化される。量子化された係数と関連情報はそれからエントロピー・エンコーダー26によってコード化される。
【0033】
量子化変換領域係数のブロックまたはマトリクスは、本明細書において「変換ユニット」と呼ばれ得る。
【0034】
内部符号化されたフレーム/スライス(例えば、タイプI)は、他のフレーム/スライスに関係なく符号化される。換言すると、それらは時間予測を使用しない。しかし、空間予測器21によって図1で例示されるように、内部符号化されたフレームはフレーム/スライスの範囲内で空間予測による。すなわち、特定のブロックを符号化するとき、ブロック内のデータが、そのフレーム/スライスに対してすでに符号化されているブロック内の近傍の画素のデータと比較され得る。予測アルゴリズムを使用して、ブロックのソースデータは、残差データに変換され得る。変換プロセッサ22は、次に残差データを符号化する。H.264は、例えば、9つの空間予測モードを4x4変換ブロックに対して規定する。一部の実施形態において、9個のモードの各々は独立してブロックを処理するために用いられ得、次に、レートひずみ最適化がベストモードを選択するために使用される。
【0035】
H.264標準は、また、時間予測を利用するために運動予測/補償の使用を規定する。したがって、符号化器10は、逆量子化器28、逆変換プロセッサ30とデブロッキング・プロセッサ32を含むフィードバックループを有する。デブロッキング・プロセッサ32は、デブロッキング・プロセッサとフィルタリング・プロセッサを含み得る。これらの要素は、フレーム/スライスを再生するために復号器50によって実装される復号プロセスをミラーリングする。フレーム記憶34は、再生されたフレームを記憶するために用いられる。このように、運動予測は、元々のフレームではなく、復号器50において再構成されるフレームとなるものに基づいており、元々のフレームは、それは符号化/復号に含まれる損失性圧縮に起因して、再構成されたフレームとは異なり得る。運動予測器36は、類似のブロックを識別する目的で現在のフレームと比較するためのソース・フレーム/スライスとしてフレーム記憶装置34に記憶されるフレーム/スライスを使用する。したがって、運動予測が適用されるマクロブロックに対して、変換プロセッサ22が符号化する「ソースデータ」は、運動予測プロセスの結果として生じる残差データである。例えば、残差データは、参照フレーム、空間変位または「運動ベクトル」、および参照ブロックと現在ブロックとの間の差(もしあれば)を表わす残差画素データに関する情報を含む。参照フレームおよび/または運動ベクトルに関する情報は、変換プロセッサ22および/または量子化器24によって処理されず、その代わりに、量子化された係数とともにビットストリームの一部として符号化するために、エントロピー符号化器26に供給され得る。
【0036】
当業者は、動画像符号化器を実装するための詳細および可能な変形を認識するであろう。
【0037】
復号器50は、エントロピー復号器52、逆量子化器(dequantizer)54、逆変換プロセッサ56、空間補償器57、およびデブロッキング・プロセッサ60を含む。デブロッキング・プロセッサ60はデブロックおよびフィルタリング・プロセッサを含み得る。フレーム・バッファー58は、運動補償を適用する際に運動補償器62によって使用するための再構成フレームを供給する。空間補償器57は、以前に復号されたブロックからの特定の内部符号化されたブロックに対する動画像データを回復する動作を示す。
【0038】
ビットストリーム14は、エントロピー復号器52によって受信され、復号されることにより、量子化された係数を再生する。適用可能ならば、付随する情報が、また、エントロピー復号プロセスの際に再生され得、その一部は、運動補償における使用のために、運動補償ループに供給され得る。例えば、エントロピー復号器52は、相互符号化されたマクロブロックに対する運動ベクトルおよび/または参照フレーム情報を再生し得る。
【0039】
量子化された係数は、次に、変換領域係数を生成するために逆量子化器54によって量子化されて変換領域係数を生成し、変換領域係数は、次に、「動画像データ」を再作成するために逆変換プロセッサ56によって逆変換される。内部符号化されたマクロブロックまたは符号化ユニットに関するような一部の場合において、再作成された「動画像データ」は、フレーム内における以前に復号されたブロックに対する空間補償における使用のための残差データであると認められるであろう。空間補償器57は、以前にデコードされたブロックからの残差データと画素データからの動画像データとを生み出す。相互符号化されたマクロブロックまたは符号化ユニットのような他の場合において、逆変換プロセッサ56から再作成された「動画像データ」は、異なるフレームからの参照ブロックについての運動補償において使用するための残差データである。空間補償および運動補償の両方は、本明細書において「予測動作」と称され得る。
【0040】
運動補償器62は、特定の相互符号化されたマクロブロックまたは符号化ユニットに対して指定されたフレーム・バッファー58内に参照ブロックを特定する。運動補償器62は、相互符号化されたマクロブロックまたは符号化ユニットに対して指定された参照フレーム情報および運動ベクトルに基づいて参照ブロックを特定する。次に、運動補償器62は、その符号化ユニット/マクロブロックのために再構成された動画像データに到達するために、残差データとの組み合わせのための参照ブロック画素データを供給する。
【0041】
デブロッキング・プロセッサ60によって示されるように、デブロッキング/フィルタリング・プロセスが、次に、再構成されたフレーム/スライスに適用され得る。デブロッキング/フィルタリングの後に、例えば、ディスプレイデバイスにおける表示のために、フレーム/スライスは、復号された動画像フレーム16として出力される。例えば、コンピュータ、セットトップボックス、DVDまたはBlu−Rayプレーヤー、および/またはモバイル携帯デバイスなどの動画像再生装置が、出力装置に表示する前に、メモリの中に復号されたフレームをバッファリングし得ることが理解されるであろう。
【0042】
HEVC対応の符号化器および復号器が、これらの同一または類似の特徴の多くを有することが予想される。
【0043】
(有効性写像(Significance map)符号化)
上記のように、量子化された変換領域係数のブロックまたはセットのエントロピー符号化は、その量子化された変換領域係数のブロックまたはセットのための有効性写像を符号化することを含む。有効性写像は、非ゼロの係数がどの位置(最後の位置以外の)に現れるかについて示しているブロックについてのバイナリ写像である。ブロックは、それが関連付けられている一定の特性を有し得る。例えば、それは、内部符号化されたスライスまたは相互符号化されたスライスに由来し得る。それは、輝度ブロックまたは彩度ブロックであり得る。スライスに対するQP値は、スライス毎に変動し得る。全てのこれらの因子は、有効性写像をエントロピー符号化するための最良の方法に影響力を有し得る。
【0044】
有効性写像は、スキャン順序(それは、鉛直方向、水平方向、斜め方向、ジグザグ、または適用可能な符号化標準によって規定された任意の他のスキャン順序)に従って、ベクトルに変換される。スキャンは、一般に、逆のスキャン順序で行われ、すなわち、最終有効係数から始めて、逆のスキャン順序で有効性写像を通って、[0,0]におけるフラグに到達するまで戻る。各々の有効性ビットは、次に、適用可能なコンテキスト適合性コード体系を使用してエントロピー符号化される。例えば、多くのアプリケーションにおいて、コンテキスト適合性バイナリ演算符号化(CABAC)スキームが使用され得る。他の実装は、二値化を伴う他のコンテキスト適合性コーデックを使用し得る。例は、バイナリ演算符号化(BAC)、変数から変数への(V2V)符号化、および可変長から固定長への(V2F)符号化を含む。4X4のおよび8X8の写像によって、コンテキストが各ビット位置に対して割り当てられる。ビット(有効係数フラグ)をそのビット位置において符号化する場合、割り当てられたコンテキストおよびその時点までのコンテキストの履歴は、最小見込みのシンボル(LPS)(または、一部の実装においては、最大見込みのシンボル(MPS))推定確率を決定する。
【0045】
現在の動画像符号化器において、コンテキスト割当ては、符号化器および復号器に対して予め定められる。例えば、4x4の輝度ブロックの場合、現在のドラフトのHEVC標準は、4x4の有効性写像における各ビット位置が固有のコンテキストを有することを規定する。最後の位置を除いて、それは15個のコンテキストが4x4の輝度有効性写像の符号化のために追跡されることを意味する。各ビット位置に対して、その位置に割り当てられたコンテキストは、その位置におけるLPSと関連する推定確率を決定する。実際のビット値は、次に、その推定確率を使用して符号化される。最後に、その位置に割り当てられるコンテキストは、実際のビット値に基づいて更新される。復号器において、符号化されたデータは、同じコンテキストモデルを使用して復号される。各ビット位置に対するコンテキストが追跡され、その位置に対するビットを再生するために、符号化データに対する推定確率を決定するために使用される。
【0046】
16x16および32x32の有効性写像に関して、有効性に対するコンテキストは、隣接する有効係数フラグ値に(主に)基づいている。16x16および32x32の有効性写像に対して使用される13個のコンテキストの中で、[0,0]にあるビット位置および隣接するビット位置に専用の特定のコンテキストが存在するが、有効係数フラグの大部分は、隣接する有効係数フラグの累積値に依存する5個のコンテキストのうちの1つを採用する。これらの場合、有効係数フラグに対する適切なコンテキストの決定は、隣接する場所(一般的に5個の場所があるが、それより多いか少ない場合もあり得る)において、有効係数フラグの値を決定して、合計することに依存する。このことは、複数のメモリーアクセスを含み、それはメモリ帯域幅要件におけるコストがかかり得る。さらに、多くの場合、16x16および32x32の有効性写像は、多数のゼロを含む。したがって、ほとんど係数値を有しない大きい写像を符号化および送信することに含まれる相当なコストが存在する。
【0047】
本願の1つの局面に従って、符号化器および復号器は、特定の変換ユニットに対するマルチレベル有効性写像を使用する。以下の実施例において、マルチレベル有意性写像が16x16および32x32の大きさの変換ユニットに対して使用されるが、しかしながら、それらは、一部の実施形態において、8x8もしくは64x64または他のサイズの変換ユニットに対して使用され得ることが理解されるであろう。
【0048】
有効係数フラグはグルーピングされる。各有効係数フラグは、複数のグループのうちの1つに分類される。簡単にいえば、多くの実施形態において、グループは(概念的に)変換ユニット構造をブロックに分割または区画化することによって形成される。例えば、16x16の写像は、係数位置のうちの16個を各々が含んでいる4x4のブロックに分割され得る。32x32の写像は、係数位置のうちの64個を各々が含んでいる8x8のブロックに分割され得る。有効係数フラグは、それらがマトリックス構造の中に規定されるこれらのブロックに分類されるという方式で、このようにグルーピングされる。
【0049】
図3は、例示的な16X16の変換ユニット100(量子化変換領域係数のマトリクス)を示す。インデックス付与の目的で、変換ユニット内のビット位置は、[xC,yC]によって特定され得、この場合、xC=0、1,2,...15であり、yC=0,1,2,...15である。(例えば、)斜め方向スキャン順序を使用すると、この実施例における最終有効係数は、参照番号112によって示されるように、[12、10]にあることに留意する。
【0050】
ここで図4を参照すると、図4は、例示的な有効性写像102を示している。有効性写像102は、図4で示される例示的変換ユニットから生成される有効係数フラグを含む。有効係数フラグは、全てのビット位置において、[0,0]から、[12、10]における最終有効性係数(ただし、これは除外する)までのスキャン順序で現れる。各ビット位置における有効係数フラグであって、それに対して非ゼロ係数が変換ユニット100の中に存在する有効係数フラグは、1に設定され、一方、ゼロ係数が存在している各ビット位置における各有効係数フラグは、ゼロに設定される。
【0051】
有効性写像102(すなわち、有効係数フラグのセット)は、一実施形態において、変換ユニット構造の連続ブロックの基づいて均一な分割にグーピングされ得る。変換ユニットのサイズは、ブロックのサイズを決定し得る。16x16の変換ユニットの場合、ブロックは、一部の実施形態において、4x4であり得る。グルーピングは、4x4のブロックの境界を定めている線によって、図4に図示されている。32x32の変換ユニットのようなより大きな変換ユニットは、それの有効係数フラグが、4x4のブロック、8x8のブロックまたは他のサイズの連続ブロックにグルーピングされ得る。
【0052】
本明細書において挙げられる実施例は、簡単のために、連続する正方形ブロックとして規定されるが、本願は、正方形のグループに限定されない。グループは、一部の実施形態において、長方形のブロックとして形成され得る。さらに別の実施形態において、他の形状が使用され得る。例えば、斜めのスキャン順序の場合、変換ユニットの斜めのスライスから形成されるグループを使用することは有利であり得、この場合、グループの一部は、形状がいくぶん台形であり得る。
【0053】
グループのマトリックスに対応しているより高レベルの有効性写像が、次に、生成され得る。より高レベルの有効性写像は、有効係数グループ・フラグの順序付けセットである。少なくとも1つの有効係数フラグを含む各グループに対して1つの有効係数グループ・フラグが存在する。最終有効係数を含んでいるグループは、より高レベルの有効性写像の中に含まれる必要がなく、その理由は、それが少なくとも1つの非ゼロ係数、すなわち最終有効係数を含むことがすでに知られているからである。有効性写像は、レベル0またはL0の写像と呼ばれ得る。より高レベルの有効性写像(すなわち、有効係数グループ・フラグを含む)は、レベル1またはL1の写像と呼ばれ得る。
【0054】
図5は、図4に示された例示的有効性写像102に対応しているL1のより高レベルの有効性写像104を図示する。少なくとも1つの有効係数フラグを含む各グループに対して、L1写像104は、有効係数グループ・フラグを含むことが留意される。グループ内の有効係数フラグのうちの任意のものが非ゼロであるならば、有効係数グループ・フラグは1にセットされる。そうでなければ、フラグはゼロにセットされる。
【0055】
グループのインデックス付与は、[xCG,yCG]によって特定され得、この実施例においては、xCG=0,1,2,3およびyCG=0,1,2,3である。最終有効係数を含んでいるグループは、[3,2]にある。[3,3]にあるグループは、有効係数フラグをなんら含まず、そのため、それはL1写像に含まれない。
【0056】
有効係数グループ・フラグは、一部の実施形態において、逆のスキャン順序でベクトル形式に変換され得る。スキャン順序は、概して変換ユニットとの使用に対して特定されたスキャン順序と同一であり得る。一実施形態において、有効係数グループ・フラグは、変換ユニットに対して選択されたスキャン順序と異なり得る予め規定されたスキャン順序を使用し得る。場合によっては、L1写像は、[0,0]のグループのような特定のグループまたは最終有効係数グループを除外し得、この除外は、さらに以下において記述されるように,推定されたフラグ値を有する。
【0057】
L1写像は、直接的にL0写像から導出される必要はなく、むしろ、スキャン順序で変換ユニットの係数をスキャンすることから導出されることが可能であろうことが認識されるであろう。
【0058】
また、さらにより高レベルの写像が、一部の実施形態において使用され得ると認められる。例えば、変換ユニットが64x64の変換ユニットであるならば、L1写像は、256個の4x4のグループに変換ユニットを分割することに基づき得る。このように、L1写像は、L1グループ・フラグを含む16x16の写像である。さらなるL2写像は、L1フラグを4x4のブロック(それらの各々が、変換ユニットからの16x16の係数のグループに対応する)のさらなるセットにグルーピングすることによって生成され得る。抽象化および/または粒度の追加のレベルが、他の実施形態において使用され得る。
【0059】
ここで、図6を参照すると、図6は、フローチャート形式で、有効係数フラグを符号化するための例示的プロセス200を示している。プロセス200は、動作202で始まり、符号化器が、有効係数フラグおよび有効係数グループ・フラグおよびを決定する。一実施形態において、符号化器は、逆のスキャン順序で変換ブロックをスキャンすることにより、最終有効係数および有効係数フラグのセットを決定する。有効係数グループ・フラグは、同一スキャン中に決定され得る。(もっとも、スキャン順序は、概して複数のブロックを横断することを含むので、一定量の値のバッファリングが実用的な実装において使用され得る;場合によっては、符号化器が、それがそのグループに対する最終係数、例えば、出口係数をスキャンしたことを決定したときに、有効係数グループ・フラグの決定がなされる)。一部の実装において、符号化器は、L0有効性写像、または変換ユニットのいずれかについて第2のスキャンを実行して、有効係数グループ・フラグを決定し得る。
【0060】
動作204において、各有効係数グループ・フラグに対して、符号化器は使用すべきコンテキストを決定し、次に、決定されたコンテキストに基づいてその有効係数グループ・フラグをエントロピー符号化する。有効係数グループ・フラグは、規定された順序で処理され得る。一部の実施形態において、規定された順序は、変換ユニットに対するスキャン順序(または、逆のスキャン順序)と同一である。コンテキストの数およびそれらの決定は、任意の好適な方法において構成され得る。例示的なコンテキストのセットおよび有効係数グループ・フラグに対してコンテキストを決定する方法が以下に記述される。
【0061】
有効係数グループ・フラグのセットを符号化して、符号化器は、次に、有効係数フラグを符号化する。動作206において、符号化器(逆のスキャン順序で作動している)は、有効係数グループ・フラグがそれに対して1に設定されるグループに分類される場合、各有効係数フラグのコンテキストを決定し、各有効係数フラグを符号化する。対応する有効係数グループ・フラグがゼロに設定されているならば、エントロピー符号化プロセスの間、そのグループの中の有効係数フラグは、なんら符号化されない、すなわち、それらスキップされる。
【0062】
したがって、プロセス200の後において、符号化器は、符号化された有効係数グループ・フラグおよび符号化された有効係数フラグを含む符号化されたデータのビットストリームを生成しており、これらの符号化された有効係数グループ・フラグおよび符号化された有効係数フラグは、少なくとも1つの非ゼロ有効係数フラグを有するグループに分類される。ビットストリームは、少なくとも1つの非ゼロ有効係数フラグを有しないいかなるグループからのいかなる有効係数フラグも含まない。
【0063】
復号器において、有効係数フラグは、ビットストリームの符号化されたデータから復元される必要がある。ここで、図7を参照すると、図7は、フローチャート形式で、符号化されたデータのビットストリームから有効係数フラグを復元するための例示的プロセス300を示している。ビットストリームは、ネットワーク接続を介して受信されるか、すなわち、ストリームされるか、メモリ(例えば、フラッシュメモリーなど)、または格納ディスク(例えば、DVD、BluRayTM、CD−ROMなど)などのコンピュータ可読媒体から読み取られ得る。プロセス302は、復号器において変換ユニットを復元するプロセスに適用される。(使用中の動画像符号化標準のシンタックスに応じた)シーケンス、および各スライスまたはピクチャの両方に対する、ヘッダ情報の復号は示されていない。
【0064】
動作302において、最終有効係数の位置が、ビットストリームから復号される。この情報は、任意の適用可能なシンタックスにおいて表され得る。一部の標準は、最終有効係数がマトリックスノーテーション(例えば、変換ユニット内のxおよびy基準の場所)を使用して特定されるべきことを規定し;一部の標準は、最終有効係数が最終有効係数位置に1つの1を有する0のベクトルを使用してシグナル伝達されるべきであって、この場合、ベクトルは、スキャン順序によって変換ユニットに写像されることを規定する。最終有効係数を特定するために好適な任意のシンタックッスが、動作302において使用され得る。
【0065】
動作304において、有効係数グループ・フラグは、ビットストリームから復号される。標準によって特定されるか、またはヘッダ情報において特定される任意の適用可能な二値化スキームを使用して、有効係数グループ・フラグは、既にエントロピー符号化されていることがあり得る。例えば、コンテキスト適合型2値算術符号化は、一部の例において使用され得る。有効係数グループ・フラグは、各フラグ位置(より高レベルの有効性写像、例えば、L1有効性写像のビット位置)に対してコンテキストを決定し、次に、ビットストリームからフラグ値を復号し、およびフラグ値に基づいてコンテキストを更新することによって復号される。スキャン順序が既知であり、最終有効係数が動作302において識別されており;従って、L1有効性写像のサイズが決定されているで、有効係数グループ・フラグのセットのサイズは既知である。不均一区画化グループの場合、グループ・サイズおよび位置の好適なシグナル伝達は、シンタックスの中に提供され得る。
【0066】
上記のように、各有効係数グループ・フラグは、変換ユニットに対して規定された連続するグループのうちのそれぞれの一つに対応する。一つ以上の有効係数フラグが、有効係数グループ・フラグを有しているこれらのグループの各々に分類される。したがって、各有効係数グループ・フラグは、有効係数フラグのそれぞれのグループに対応する。
【0067】
有効係数グループ・フラグのセットを復号した後に、有効性写像、すなわち有効係数フラグのセットを復元するための残りの動作が、規定されたスキャン順序で実行される。逆のスキャン順序の場合、処理は最終有効係数から始まる(しかしながら、非ゼロ係数を含むことが既に知られているので、その最終有効係数位置を除外する)。動作305において、各有効係数フラグに対して、復号器はそれの対応する有効係数グループ・フラグがゼロであるか否かを決定する。対応する有効係数グループ・フラグが非ゼロであるならば、動作306によって示されるように、有効係数フラグはビットストリームから復号される。すなわち、関連または対応する有効係数グループ・フラグが、グループが少なくとも1つの非ゼロ係数を含み得ることを示すならば、復号器は、現在位置に対してビットストリームから有効係数フラグを復号する。
【0068】
関連または対応する有効係数グループ・フラグがゼロであるならば、すなわち、非ゼロ係数がグループに存在しないことを示すならば、動作308によって示されるように、復号器はゼロとして現在の有効係数フラグをセットまたは復元する。復号器は、ビットストリームからそれを復号しない。
【0069】
動作310において、復号器は、自身が逆スキャン順序の終わり、すなわち、変換ユニットの左上の角の係数、すなわち、[0,0]に既に到達しているか否かを決定する。もしそうであるならば、プロセス300は終了し;そうでなければ、復号器は、動作312において、逆のスキャン順序で次の位置まで移動し、その次の位置に対する有効係数フラグを復元するために動作306および308を繰り返す。
【0070】
スキャン順序は、通常、次のグループへと移動する前に、グループの全ての有効係数フラグを復元することを生じさせるわけではないことが理解されるであろう。スキャン順序(スキャン順序およびグループの幾何学形状に従う)は、通常、グループ境界を横断してスキャンし、その結果、復号器は、逆のスキャン順序で[0,0]位置まで戻りながら、1つのグループから少数のフラグを、隣りのグループから少数のフラグをなどのように復元する。
【0071】
ビットを節約するために、符号化および復号プロセスにおいて考慮される特殊ケースが存在し得る。例えば、上記のように、最終有効係数を含んでいるグループは、非ゼロ係数を示す有効係数グループ・フラグを常に有し、その結果、有効係数グループ・フラグは符号化されて復号器に送られる必要がない。符号化器は、そのグループに対する有効係数フラグを常に符号化し、復号器は、そのグループに対する有効係数フラグを常に復号するように構成される。
【0072】
一部の実施形態に含まれ得る別の特殊ケースは、第1のグループを常に符号化、および復号する場合である。このグループは、変換ユニットの中の[0,0]においてDC係数を含む。このグループが非ゼロ係数を含まない確率は、非常に低い。したがって、[0,0]のグループに対する有効係数グループ・フラグを送信する代わりに、符号化器は、そのグループの有効係数フラグを常に符号化するように構成され得、復号器は、そのグループの有効係数フラグを常に復号するように構成され得る。
【0073】
一部の実施形態に実装され得るさらに別の特殊ケースも、確率に基づいている。特定のグループの右方のグループおよび下方のグループが両方とも非ゼロ係数を含む場合、特定のグループが非ゼロ係数を含む確率は非常に高いことに留意してきた。したがって、一部の実施形態において、符号化器および復号器は、両方が非ゼロ係数を含む右方の隣接グループおよび下方の隣接グループを有する任意のグループは非ゼロ係数を有すると推定し得る。このように、特定のグループに関して、右方のグループに対する有効係数グループ・フラグが1に設定され、かつ、下方のグループに対する有効係数グループ・フラグが1に設定されるならば、符号化器は、特定のグループに対して有効係数グループ・フラグを符号化せず、常に特定のグループに対する有効係数フラグを符号化する。復号器は、右方および下方の隣りが、非ゼロ係数を示す有効係数グループ・フラグを有することを認識し、そこで、復号器は、特定のグループが非ゼロ係数を有すると自動的に仮定するであろうし、および、復号器は、有効係数フラグを復号するであろう。
【0074】
ここで、図8を参照すると、図8は、上記の特殊ケースの取扱いについての例示的実施形態を反映するための付加的な詳細を有する図7からの動作304を示している。動作304は、動作304−1を含み、動作304−1において、最終有効係数を含むグループに対する有効係数グループ・フラグが1に設定される。最終有効係数の位置は、以前の動作においてビットストリームから復号される(図示されず)。
【0075】
復号器は、次に、逆のスキャン順序でグループを通って移動する。動作304−2において示されているように、復号器は、逆のスキャン順序で、最終有効係数を含んでいるグループから次のグループまで移動する。このグループに対して、復号器は、現在のグループの右方のグループに対する有効係数グループ・フラグおよび現在のグループの下方のグループに対する有効係数グループ・フラグが、1に等しいか否かを評価する。最初、ちょうど始まったばかりなので、復号器は、右方および下方へのフラグを有しないが、スキャン順序(水平方向であるか、鉛直方向であるか、斜め方向であるかに関係なく)において後になると、復号器は、ときには現在のグループに関するこれらの位置における有効係数グループ・フラグを復元し終わっていることがあり得る(変換ユニットのボトムエッジに位置するグループに対して、復号器は下方のグループに対するフラグを決して有さない)。それらの2つの隣接したグループが1に設定されていると、現在のグループも1に設定されている確率は、符号化器および復号器の両方が、それが1に設定されていることを推定するほどに十分に高い。したがって、動作304−6において、特殊ケース条件が満たされるならば、復号器は有効係数グループ・フラグを1に設定する。そうでなければ、復号器は、動作304−4に移動する。別の実施形態において、この特殊ケースは、他の隣接したグループ、または全く他のグループの有効係数グループ・フラグに基づいて修正され得る。
【0076】
動作304−4において、復号器は、ビットストリームから現在のグループに対する有効係数グループ・フラグを復号する。復号は、コンテキストを決定すること、次に、決定されたコンテキストに従って復号することを含む。復号は、2値算術符号化(BAC)、または、他の2値化符号化/復号プロセスに基づき得る。
【0077】
動作304−5において、復号器は、これが逆のスキャン順序における最終の1つ前のグループであるか否かを決定する。そうでなければ、復号は未だ完了しておらず、そのため、復号器は、逆のスキャン順序において次のグループに進むために、動作340−2まで回帰する。それが、逆のスキャン順序における最終の1つ前のグループであるならば、復号器は、動作304−7まで移動し、動作304−7において、復号は、最終のグループ、すなわち、グループ[0,0]に対して有効係数グループ・フラグを1に設定する。このことは、復号器および符号化器によって、その特定のグループが常に、少なくとも1つの非ゼロ係数を有すると推定される特殊ケースに基づいており、そのため、有効係数グループ・フラグは、常に1にプリセットされ、その結果、そのグループに対する有効係数フラグは、常に符号化および復号される。この動作の後に、復号器は、動作306または308に移動する(図7)。
【0078】
上記の例示的プロセスは、図7および図8において、L1有効性写像(有効係数グループ・フラグ)の復号、およびL0有効性写像(有効係数フラグ)の復号を2段階プロセスとして記述され、このプロセスにおいて、L1有効性写像が完全に復号され、次に、L0有効性写像が復号される。一部の実施形態において、このことは、事実であり得る。しかしながら、一部の他の実施形態においては、復号プロセスは、部分的に絡み合っているかもしれない。すなわち、L1写像が完全に復号される前に、L0写像の復号は始まり得る。一部の実施形態においては、第1の有効係数グループ・フラグが復元されるとすぐに、L0の有効性写像の復号が開始し得ることが理解されるであろう。
【0079】
多重レベル有効性写像符号化は、例えば、ピクチャ種別に従ってオン/オフされ得る。例えば、多重レベル有効性写像符号化は、IピクチャおよびPピクチャに対して有効化され得るが、Bピクチャに対しては無効化され得る。
(コンテキスト−モデリング)
符号化効率を改善するために、BACエンジン(または、他のエントロピー符号化/復号エンジン)は、コンテキストを使用する。本願は、有効係数グループ・フラグを符号化することに対して、4つの新しいコンテキストを使用することを提案する。2つのコンテキストは、輝度の符号化/復号に対するものであり、2つは彩度の符号化/復号に対するものである。
【0080】
逆のスキャン順序が使用されると仮定する(他の規定された順序は、他の実装において使用され得る)。2つのコンテキストのうちどちらが所与の有効係数グループ・フラグに適合するかを決定することが次のように生じる。現在のグループの右方に隣接したグループに対する有効係数グループ・フラグがゼロであり、現在のグループの下方に隣接したグループに対する有効係数グループ・フラグがゼロであるならば、現在のグループの有効係数グループ・フラグを符号化することに対するコンテキストは、0である。そうでなければ、コンテキストは1である。それらの2つの隣接したグループに対するフラグが利用できない場合、利用できないフラグは、コンテキスト決定の目的のために0と推定される。
【0081】
順方向のスキャン順序が使用される場合、コンテキストを決定するために、コンテキストモデルが、現在のグループの左方に隣接したグループに対する有効係数グループ・フラグ、および現在のグループより上方に隣接したグループに対する有効係数グループ・フラグを使用するように変更されることができることに留意されたい。
【0082】
コンテキスト決定プロセスは、また、特殊ケースを含み得る。例えば、左上グループは、常にコンテキスト1を割り当てられ得る。
【0083】
使用され得るコンテキストを決定する他の可能なコンテキスト・モデルおよび方法が存在する。いくつかの実施例が以下に示される。
【0084】
記号を定義すると、L[i]は、レベルLでの係数グループiの有効性フラグを表示し、Nは、レベルLでの係数グループの数を表示する。一般に、所与のLおよび係数グループiについて、L[i]に対するコンテキストC_iを決定するために、iおよび全ての利用可能なL[j]の関数c()を使用する。従って、コンテキストは、
C_i=c(i,L[0],L[1],...L[N−1])
によって与えられ、ここで、j!=iである。
【0085】
L[i]に対するコンテキストを決定するためにL[j]を使用するには、L[j]自体が利用可能でなければならない。従って、選択されるスキャン順序は、c()において使用される任意のL[j]が以前に決定されていることを保証しなければならない。
【0086】
上記のコンテキスト決定モードと類似の実施形態において、コンテキストは、
C_i=c(i,L0[0],L0[1],...,L0[15])
=sum{bjL0[j]}
によって決定され得、ここで、j=0,1,...,N、およびj!=iであり、係数グループjが係数グループiの右方または下方の隣である場合、bj=1であり、そうでない場合、bj=0である。
【0087】
この特定の実施形態は、3個のコンテキストを有する(別の3つのコンテキストが彩度に対して使用される場合には、6個である)。
【0088】
c()の別の実施形態は、
C_i=c(i,L[0],L[1],...,L[N−1])
=sum{bjL[j]}
によって与えられ、ここで、j=0,1,...,N、およびj!=iであり、係数グループjが既に決定されているiの任意の隣接した係数グループである場合には、bjは非ゼロであり、そうでない場合は、bj=0である。
【0089】
この実施形態において、重み係数bjは、必ずしも定数ではないことがあり得る。
【0090】
c()の別の実施例は、Lにおける他の係数グループの有効係数グループ・フラグを無視し、現在の係数グループの位置iにのみ基づいてコンテキストを決定する。これは、
C_i=c(i,L[0],L[1],...,L[N−1])
=i
と表され得る。
【0091】
コンテキストを決定する他のコンテキスト・モデルおよびプロセスが、マルチレベル有効性写像によって使用される。
【0092】
(レートひずみ最適量子化)
一部の符号化プロセスは、レートひずみ最適量子化(RDOQ)、または、ときには、「ソフト量子化(soft−quantization)」と呼ばれるものを使用する。RDOQは、レートひずみ最適化表現に基づいて最適な量子化変換領域係数を決定するプロセスである。したがって、RDOQから生じる量子化変換領域係数は、通常の変換および量子化プロセスを介して到達された量子化変換領域係数と同一であり得るか、または同一ではない。一部の場合において、結果として生じるひずみが、それに伴う送信コストの節減よりもコスト的により低いことが決定されたので、係数値は、RDOQプロセスによって修正され得た。
【0093】
RDOQプロセスは、レート成分を決定する際に、通常、4つのコストを評価する。4つのレート・コストは、最終の位置レート、有効性レート(L0レート)、係数レート、およびコード化されたブロック・パラメータ(CBP)を含む。マルチレベル有効性写像を実装するために、また、RDOQ計算においてより高レベルの有効性レート(例えば、L1レート)をも含むように、RDOQを修正することが有利であり得る。
【0094】
一実施形態において、RDOQプロセスは、有効性写像に関して二段階のRDOQを実行するように修正され得る。最初に、RDOQプロセスが、最良の最終の位置および係数値、従って、L1有効係数フラグを決定するために適用される。第二段階において、最終の位置が固定され、RDOQプロセスが、次に、L1レートに関して再び適用されて、任意の係数をゼロにすることに対するレートひずみ(RD)コスト調整があるか否かを決定し得る。
【0095】
図9は、フローチャート方式で、マルチレベル有効性写像の符号化に対する例示的RDOQプロセス400を示している。プロセス400は、RDOQを使用することにより、最適な量子化変換係数を得るとともに、最終有効係数、すなわちL0RDOQの位置を決定する。プロセス400は、次に、最終の位置を固定し、現在のRDコストを調節することにより、有効性写像の追加レベルの効果を考慮に入れる。次に、貪欲な(greedy)アプローチを使用して、さらに変換係数を最適化する。
【0096】
動作402は、最適な量子化変換領域係数を得るために、最終有効係数位置を提供するRDOQの使用を表わす。動作402は、最終の位置を送信することに対するレート、最適係数に対応している有効性写像、係数値およびCBPに基づいて、特定のRDコストをもたらす。
【0097】
動作404において、最終の有効位置が固定される。すなわち、最終のグループは、非ゼロ係数を含み、すなわち、最終有効係数グループ・フラグが1に固定される。符号化器が、次に、コスト節減が他のグループにおける係数をゼロにすることによって見つかるか否かを貪欲に決定する。一部の実施形態において、プロセス400が逆のスキャン順序で実行され得るが、別の順序でも処理されることが可能である。
【0098】
動作406において、現在のグループとして最終の1つ前のグループから始めて、符号化器は、現在のグループが1に等しい有効係数グループ・フラグを有するか否かを決定する。1に等しくない場合、グループはすでにゼロだけを含んでおり、符号化器は次のグループにスキップする。有効係数グループ・フラグ=1ならば、符号化器は、現在のグループの全ての係数がゼロでる場合にもたらされるであろうRDコストを計算する。動作408において、符号化器は、新たに計算されたRDコストが現在のRDコストよりもより良好である(すなわち、より低い)か否か評価する。もしそうであれば、動作410において、現在のグループの全ての係数がゼロにされ、現在のRDコストが変化を反映するために更新される。動作412において、符号化器は、それがL1RDOQに関し、実行されたか否か、すなわち、それが[0,0]グループの直前のグループに到達したか否かを評価する(上記の特殊ケースにおいて概説されたように、少なくとも1つの非ゼロ係数がそのグループの中に存在すること推定するように符号化器および復号器が、構成される場合、[0,0]グループはゼロにされない)。評価すべきさらなるグループが存在する場合、プロセス400は、動作414において、継続し、この場合、符号化器は次のグループに移動する(一部の実施形態においては、逆のスキャン順序を使用する)。
【0099】
ここで、RDOQプロセスが実施例としてを図示される。図3、4および5に関連する上記の実施例を再び参照する。L1RDOQの前、かつL0RDOQ後の最適な量子化変換領域係数が図3に示される。対応するL0有効性写像が図4で示され、L1有効性写像が図5に示される。
【0100】
L1RDOQプロセスは、例えば、図10に示される最適化されたL0有効性写像500、図11に示される関連または対応するL1有効性写像502をもたらし得る。
【0101】
最終有効グループ、すなわち[3,2]グループにおける有効係数フラグが不変であることに留意する。しかしながら、[3,0]グループ、[0,3]グループ、および[1,3]グループは、すべてゼロにされた。その結果、図11に示すように、これらの3つのグループに対して対応する有効係数グループ・フラグは、同様にゼロに変更された。結果は、符号化器がこれらの3つのグループを符号化する必要はないであろうということである。それらのグループの中に見られた少しの係数をゼロにすることから生じるひずみより、RDOQ評価によって決定されるように、符号化されたビットの数を低減することにおけるコスト削減に重きが置かれている。
【0102】
一つの可能な実施形態において、RDOQプロセスは、現在のTUに対する最適な係数グループ・サイズを決定するために拡張されることができる。この実施形態において、プロセス400は複数回、繰り返され、各回は異なる係数グループサイズをとり、動作410は、変換係数が実際には0に設定されないように修正される。実質的に、各回において、この修正されたRDOQプロセスは、特定の係数グループ・サイズに対してRDコストを計算する。全ての回が完了した後に、RDOQは最少のRDコストを与える係数グループ・サイズを選択し、最後に、任意の変換係数を要求どおりに0に設定する。符号化器は、最適係数グループ・サイズの値をビットストリームの中に符号化することにより、その値は、復号器によって獲得され、使用されることができる。
【0103】
テストされる係数グループ・サイズは、変換ユニット・サイズに基づき得る。例えば、32x32の変換ユニットは、グループ・サイズ8x8、4x4および2x2をテストし得る。テストされるグループが選択可能であり得、符号化器は、いくらのグループ・サイズが各変換ユニット・サイズに対するテストであるかについて示し得る(例えば、配列見出しの中に)。例えば、符号化器および復号器が16x16のTUに対するテストに同意したと仮定すると、修正されたRDOQは、2つの異なる係数グループサイズ:それぞれ1および0によって表示される4x4および2x2をテストする。修正されたRDOQが2x2が最適であると決定すると、符号化器は、significant_coeffgroup_flagのビットストリームの前のビットストリームの中に、ビン(bin)1を符号化する。復号器は、significant_coeffgroup_flagの前にこのビンを復号し、現在のTUに対する係数グループ・サイズが2x2であることを知る。
(例示的シンタックス)
マルチレベル有効性写像を実装することに対する例示的シンタックスは、以下に提供される。この例示的シンタックスは、わずかに1つの可能な実装である。
【0104】
有効係数グループ・フラグは、
significant_coeffgroup_flag[xCG][yCG]
と表示および規定され得る。
【0105】
現在の16x16または32x32の変換ブロック内の係数グループ位置(xCG,yCG)に対して、このフラグは、場所(xCG,yCG)における対応する係数グループは、非ゼロ係数を有するか否かを以下のように特定する:
significant_coeffgroup_flag[xCG][yCG]が0に等しい場合、場所(xCG,yCG)における係数グループの中の非ゼロ係数の数は、0に等しく設定され;
そうでない(significant_coeffgroup_flag[xCG][yCG]が1に等しい)場合、場所(xCG,yCG)における係数グループの中の非ゼロ係数の数は、以下に規定される特殊ケースを除いて非ゼロである。
【0106】
特殊ケースは、以下のように規定される:
1.スキャン順序の第1の係数グループ位置(0,0)におけるsignificant_coeffgroup_flag[0][0]は、1に等しいと推測される。
2.スキャン順序の係数グループ位置(xCG,yCG)におけるsignificant_coeffgroup_flag[xCG][yCG]は、
significant_coeffgroup_flag[xCG][yCG+1]=1、かつ、
significant_coeffgroup_flag[xCG+1][yCG]=1
の場合、1に等しいと推測される。
【0107】
significant_coeffgroup_flag[xCG][yCG]が存在しない場合、それは0に等しいと推測される。
【0108】
一部の実施形態において、significant_coeffgroup_flag[xCG][yCG]は、4x4および8x8の変換ブロックに適応されない。
【0109】
以下の擬似コードは、復元量子化変換領域係数(残差)に対する、復号プロセス内でのマルチレベル有効性写像の1つの例示的実装を例示している。
【0110】
擬似コードの第1の部分は、最終有効係数位置を復号することを含むことに留意する。変換ユニットが16x16以上である((log2TrafoSize>3)であるか否かによって示されるように)場合、グループの数が決定されている。
【0111】
【表1−1】

【0112】
【表1−2】

【0113】
【表1−3】

前述の擬似コードは、図7と関連する上述の例示的プロセス300の1つの例示的実装を示している。
【0114】
ここで、図12を参照すると、図12は、符号化器900の例示的実施形態の簡略ブロック図を示している。符号化器900は、プロセッサ902、メモリ904および符号化アプリケーション906を含む。符号化アプリケーション906は、メモリ904に記憶され、およびプロセッサ902を構成するための命令を含むコンピュータプログラムまたはアプリケーションを含むことにより、本明細書に記述されるような動作を実行し得る。例えば、符号化アプリケーション906は、本明細書に記述されるマルチレベル有効性写像プロセスに従って、ビットストリームを符号化および出力し得る。符号化アプリケーション906は、コンピュータ可読媒体、例えば、コンパクトディスク、フラッシュメモリデバイス、ランダムアクセスメモリ、ハードディスクなどに記憶され得ることが理解されるであろう。
【0115】
ここで、図13を参照すると、図13は、復号器1000の例示的実施例の簡略ブロック図を示している。復号器1000は、プロセッサ1002、メモリ1004および復号アプリケーション1006を含む。復号アプリケーション1006は、メモリ1004に記憶され、およびプロセッサ1002を構成するための命令を含むコンピュータプログラムまたはアプリケーションを含むことにより、本明細書に記述されるそれらのような動作を実行し得る。復号アプリケーション1006は、本明細書に記述されるように、マルチレベル有効性写像に基づいて残差を復元するように構成されるエントロピー復号器を含み得る。復号アプリケーション1006は、コンピュータ可読媒体、例えば、コンパクトディスク、フラッシュメモリ・デバイス、ランダムアクセスメモリ、ハードディスクなどに記憶され得ることが理解されるであろう。
【0116】
本願に従う復号器および/または符号化器は、いくつかのコンピューティング装置、例えば、限定するものではないが、サーバー、適切にプログラムされた汎用コンピュータ、オーディオ/動画像符号化および再生装置、セットトップ・テレビ・ボックス、テレビ放送装置およびモバイル装置などに実装され得る。復号器または符号化器は、プロセッサを本明細書に記述される機能を実行するように構成するための命令を含んでいるソフトウェアとして実装され得る。ソフトウェア命令は、CD、RAM、ROM、Flashメモリなどを含む任意の好適な固定コンピュータ可読メモリに記憶され得る。
【0117】
本明細書に記述される符号化器およびモジュール、ルーチン、プロセス、スレッド、または符号化器を構成するための記述された方法/プロセスを実装する他のソフトウェア・コンポーネントが、標準的なコンピュータプログラミング技術または言語を使用して実現され得ることが理解されるであろう。本願は、特定のプロセッサ、コンピュータ言語、コンピュータプログラミング規則、データ構造、他のそのような実装詳細に限定されない。当業者であれば、記述されたプロセスは、揮発性または非揮発性記憶装置に記憶されるコンピュータ実行可能コードの一部として、特定用途向けチップ(ASIC)の一部などとして実装され得ることを認識するであろう。
【0118】
記述された実施形態の特定の適合および修正がなされることができる。したがって、上記の議論された実施形態は、例示的であって限定的ではないと考えられる。
【符号の説明】
【0119】
20 符号化モードセレクター
21 空間予測器
22 変更プロセッサ
24 量子化器
26 エントロピー符号化器
28 逆量子化器
30 逆変換プロセッサ
32 デブロッキング・プロセッサ
34 フレーム記憶
36 運動予測器
52 エントロピー符号化器
54 逆量子化器
56 逆変換プロセッサ
57 空間補償器
58 フレーム・バッファー
60 デブロッキング・プロセッサ
62 運動補償器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化されたデータのビットストリームから変換ユニットに対する有効係数フラグを復元する方法であって、該変換ユニットは、有効係数フラグの非重複グループに区画化され、該方法は、
少なくとも1つの有効係数グループ・フラグの値を1に設定することによって、有効係数グループ・フラグを復元することであって、各有効係数グループ・フラグは、有効係数フラグのそれぞれのグループに対応している、ことと、
各有効係数フラグを復元することであって、該復元することは、
その有効係数フラグが、非ゼロである対応する有効係数グループ・フラグを有するグループの中にある場合に、該ビットストリームから該有効係数フラグを復号することと、
その有効係数フラグが、ゼロである対応する有効係数グループ・フラグを有するグループの中にある場合に、該有効係数フラグをゼロに設定することと
による、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記有効係数グループ・フラグを復元することは、前記ビットストリームから該有効係数グループ・フラグのうちの少なくとも1つのフラグを復号することを含み、該少なくとも一つのフラグは、前記少なくとも1つの有効係数グループ・フラグ以外のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも一つの有効係数グループ・フラグの値を1に設定することは、最終有効係数に対する前記有効係数フラグを含むグループに対する該有効係数グループ・フラグを1に設定することを含む、請求項1または2のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの有効係数グループ・フラグの値を1に設定することは、DC係数に対する前記有効係数フラグを含む前記グループに対する前記有効係数グループ・フラグを1に設定することを含む、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの有効係数グループ・フラグの値を1に設定することは、有効係数グループ・フラグが、2つの隣りのグループを有する1つのグループに対応し、該2つの隣りのグループの両方が、1である復元された値を有する対応する有効係数グループ・フラグを有している場合に、該有効係数グループ・フラグを1に設定することを含む、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記グループは連続ブロックであり、前記2つの隣りのグループは、右方の隣りのブロックと下方の隣りのブロックとを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記有効係数グループ・フラグを復元することは、順方向のスキャン順序における最終有効係数を含むグループより後の各有効係数グループ・フラグに対して、有効係数グループ・フラグの値をゼロに設定することをさらに含む、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ビットストリームから前記有効係数グループ・フラグのうちの少なくとも1つを復号することは、未だ設定されていない前記変換ユニットに対する全ての有効係数グループ・フラグを復号することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記変換ユニットは、16x16であり、各グループは4x4のブロックである、請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記変換ユニットは32x32であり、各グループは8x8のブロックである、請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記有効係数グループ・フラグのうちの1つを復元することが、2つの隣りのグループに対して復元された該有効係数グループ・フラグに基づいて、その有効係数グループ・フラグに対するコンテキストを決定することを含む、請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記2つの隣りのグループは、右方の隣りおよび下方の隣りを含み、該2つの隣りのグループに対する前記有効係数グループ・フラグの両方が0であるならば、前記コンテキストは0であり、そうでなければ、該コンテキストは1である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ビットストリームから復号される前記グループのうちの1つにおける全ての前記有効係数フラグの値は、そのグループに対する対応する有効係数グループ・フラグが1に設定されているが、ゼロである、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
動画像ビットストリームは、スケーラブル動画像符号化標準、マルチビュー符号化標準、再設定可能動画像符号化標準および高効率動画像符号化標準のうちの1つに準拠している、請求項1〜13のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
各グループは、その幅と異なる高さを有している、請求項1〜14のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
各グループは、16個の有効係数フラグを含み、前記その有効係数フラグが、非ゼロである対応する有効係数グループ・フラグを有するグループの中にある場合に、前記ビットストリームから該有効係数フラグを復号することは、
そのグループに対して復号される最初の15個の有効係数フラグがゼロである場合に、
該グループの中の第16番目の有効係数フラグを1に設定すること
を含む、請求項1〜15のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
変換ユニットに対する有効係数フラグを復元するために、符号化されたデータのビットストリームを復号する復号器であって、該復号器は、
プロセッサと、
メモリと、
該メモリに記憶された復号アプリケーションであって、該アプリケーションは、請求項1〜16のうちのいずれか一項に記載の方法を実行するように該プロセッサを構成する命令を含む、アプリケーションと
を含む、復号器。
【請求項18】
変換ユニットに対する有効係数フラグを符号化する方法であって、該変換ユニットは、有効係数フラグの非重複グループに区画化され、該方法は、
有効係数グループ・フラグを符号化することであって、各有効係数グループ・フラグは、該有効係数フラグのグループのそれぞれの一つに対応し、該有効係数グループ・フラグは、ゼロに設定されることにより、該対応するグループが非ゼロ有効係数フラグを含まないことを表示し、該符号化することは、その対応するグループが非ゼロ有効係数フラグを含むか否かにかかわらず、1であると推測される少なくとも1つの有効係数グループ・フラグを除外する、ことと、
該有効係数フラグの各々に対して、
その有効係数フラグが、その対応する有効係数グループ・フラグが非ゼロである該グループのうちの1つの中にある場合に、該有効係数フラグを符号化し、
その有効係数フラグが、対応する有効係数グループ・フラグがゼロである該グループのうちの1つである場合に、該有効係数フラグを符号化しないことと
を含む、方法。
【請求項19】
変換ユニットに対する有効係数フラグを符号化する符号化器であって、該符号化器は、
プロセッサと、
有効性写像を記憶するメモリと
該メモリに記憶されている符号化アプリケーションであって、該アプリケーションは、請求項18に記載の方法を実行するように該プロセッサを構成する命令を含む、アプリケーションと
を含む、符号化器。
【請求項20】
プロセッサ実行可能命令を記憶している非一時的なプロセッサ可読媒体であって、該命令は、実行されると、請求項1〜16および19のうちのいずれか一項に記載の方法を実行するように1つ以上のプロセッサを構成する、プロセッサ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−98988(P2013−98988A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−239852(P2012−239852)
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【出願人】(500043574)リサーチ イン モーション リミテッド (531)
【氏名又は名称原語表記】Research In Motion Limited
【住所又は居所原語表記】295 Phillip Street, Waterloo, Ontario N2L 3W8 Canada
【Fターム(参考)】