説明

第一胃発酵を改善するためのクエン酸フラボノイドの混合物

本発明は、反すう動物の第一胃発酵を改善するため、ナリンギン、ダイダイ抽出物及び海泡石の混合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一胃発酵を改善するためのクエン酸フラボノイドの混合物の使用に関する。
【0002】
略語
VFA 揮発性脂肪酸
ΔCt 増幅サイクルの増加
ΔΔCt PCRにおける対照サンプルと比較した増幅サイクルの増加
DGGE 変性剤濃度勾配ゲル電気泳動
M.エルスデニイ メガスパエラ・エルスデニイ(Megasphaera elsdenii)
ns 有意性なし
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
S.ボウィス ウシレンサ球菌(Streptococcus bovis)
【背景技術】
【0003】
哺乳動物は、構造性炭水化物、すなわちセルロースを消化するための適切な消化酵素を有していない。したがって、このように重要な栄養源を利用するために、草食動物は、このような栄養物を消化又は発酵することができる共生菌叢を収容する、発酵区画を発達させてきた。これらの区画は、宿主(反すう動物)の酵素消化の前又は宿主(後腸発酵動物、すなわち、ウマ科の動物、ウサギ)の酵素消化の後のいずれかに配置されている。第一胃の微生物は、これらの炭水化物を一部のみしか使用せず、発酵製品として反すう動物にとって最も重要なエネルギー源である、揮発性脂肪酸(酢酸、プロピオン酸及び酪酸)を放出する。第一胃で増殖する微生物は、区画の状態に適応し、摂取した食物を使用することができるものである。様々な食物の断片、炭水化物及びタンパク質は発酵され、VFA産出物は、第一胃に生じた余剰バイオマスによって補足され、次に、十二指腸に最終的に吸収されるタンパク質の主要源となる。
【0004】
セルロース発酵性細菌(セルロース分解性)は、最適にはpH6.4〜7で成長し、デンプン発酵性種及び糖発酵性種(デンプン分解性)よりも多くの酢酸を産生する。それらの最適なpHは約5.5であり、これらのレベルが低下する場合、乳酸の相対産生量が増加する。
【0005】
反すう動物の産出システムを強化するにあたり、飼料ベースの給餌は、成長速度を上げ、作業コストを下げる穀草類で作られた濃縮食料を与えることに取って代わられた。しかし、濃縮食料又は構造性炭水化物(セルロース)の急速発酵性の溶性炭水化物(デンプン)による代替は、アシドーシス及び鼓脹(timpanism)など、いくつかの消化機能不全の出現をもたらす。
【0006】
第一胃アシドーシスは、発酵性炭水化物が豊富な食物を大量に摂取することによって生じる消化の変化として定義でき、肥育子牛の最も一般的な機能不全の一つである。それによって死に至ることもあり、細菌個体群をグラム陰性からグラム陽性に変化させ、ウシレンサ球菌又はメガスパエラ・エルスデニイなどの種の成長に有利となるようにし、VFAの割合を変化させることによって開始する。酢酸及びプロピオン酸の割合は酪酸及び乳酸が増加すると減少する。乳酸の増加は、第一胃の運動性に影響し、生じたガスを除去する能力がないせいで、鼓腸(meteorism)が生じる。急性の症状は、食欲不振、黄緑の水性便、第一胃アトニー、跛行、腹部退縮及び脱水症である。亜急性型は、頻繁な鼓腸(meteorism)、毛の異常及び食肉処理後に見られる肝膿瘍の出現を含む。
【0007】
鼓腸(timpanism)又は鼓腸(meteorism)は、第二胃−第一胃の異常膨張をもたらす、発酵(二酸化炭素及びメタン)からのガスの過剰生成及び蓄積によって生じる消化の変化として定義される。
【0008】
従来、抗生物質(モネンシンなどのイオノフォア)の添加は、潜伏状態で上記第一胃の機能不全を維持した。しかし、成長増強剤などの物質を段階的に使用中止にすると、これらの状態が出現し、再発に負の影響を及ぼす、高い死亡率又は疾病率を引き起こす。農場の生産力に及ぼす影響は、とても重要なので、これらの抗生物質の代替物質が必要とされている。
【0009】
米国特許第4443471号は、M−139603及びM−139603の反すう動物成長エンハンサーの様々な化学誘導体及び第一胃発酵によって生じるメタンの量の減少におけるその使用について述べている。
【0010】
米国特許第5196432号は、乳酸アシドーシスによって影響される反すう動物の処置における、α−2アドレナリン受容体アンタゴニストの使用について述べている。
【0011】
米国特許第5709894号は、第一胃発酵を増加するため、グルタミン酸及びトウモロコシ発酵製品を含む、反すう動物のための食品添加物について記載している。
【0012】
米国特許出願第2003165487号は、第一胃発酵効率を上げ、第一胃の乳酸濃度の有害な上昇を防ぐため、有益な第一胃の微生物の成長を促進する手順及びコウジカビ(Aspergillus oryzae)のアミラーゼ酵素に基づく組成物について記載している。
【0013】
米国特許出願第2004009209号は、低湿度の糖蜜及び緩衝剤の混合物を含む、反すう動物において第一胃を健康に保つための手順を包含する。
【0014】
PCT出願国際公開第9119489号は、高エネルギーの食料を給餌されている反すう動物にコハク酸及び他のカルボン酸の塩を投与することによって、第一胃のpHレベルを調節する手順について記載している。
【0015】
PCT出願国際公開第9325616号は、反すう動物の第一胃における微生物性発酵の効率を改善するため、溶性異種タンパク質のメイラード反応由来のマトリックスに封入されたデンプン製品及び糖の減少について述べている。
【0016】
PCT出願国際公開第2004009104号は、反すう動物の乳酸アシドーシスの予防及び処置を含む、M.エルスデニイの新しい株及びその使用について述べている。
【0017】
PCT出願国際公開第2005000035号は、新鮮なアルファルファから得られる溶性アルファルファ抽出物の投与からなる、第一胃発酵を高める、具体的には、メタン生成を減少させる手順について述べている。
【0018】
欧州特許第1323354号は、植物原料ベースの天然食品添加物について記載している。
【0019】
家畜へ農作物及び食品加工業の副産物を給餌することは知られている。例えば、かんきつ類の副産物飼料は、反すう動物の給餌システムの構成要素として使用することができる。それらの飼料は、第一胃の微生物にとって様々なエネルギー基質を含有する(Bampidisら、Animal Feed Science and Technology、Elsevier、128巻、2006年、175〜217頁)。特開昭52−028922は、とりわけ苦橙皮を含有する薬剤について記載している。薬剤は、ウマ、ウシ又は家禽に与えられる。
【0020】
本出願の発明者らは、クエン酸フラボノイド、特にナリンギン、ダイダイ抽出物及び海泡石の混合物が、反すう動物における濃食料の投与由来の微生物性発酵プロセスを調節すること、微生物性発酵プロセスの効率を高めること及び第一胃アシドーシスプロセス、特にウシレンサ球菌に直接関係する特定の種の成長を制限できることを発見した。
【0021】
したがって、本発明は、反すう動物の第一胃発酵を改善することにおいて、ナリンギン、ダイダイ抽出物及び海泡石を含む混合物の使用に関する。
【0022】
本出願において、「反すう動物」は、ウシ、ヒツジ、ヤギ及びラクダ種を含む。
【0023】
この混合物は、最新技術と比較して一連の有利性を示し、反すう動物の栄養分野において高い価値をなす。有利性は、混合物中の全ての材料が、天然由来で容易に入手可能な製品であることである。他方、混合物は、取り扱いやすく、当業者に既知の工業的形成手順によって調製され得る。また、この混合物は、第一胃アシドーシス、特にウシレンサ球菌の出現に関係する特定の種の成長を制限する更なる利点も有する。したがって、本発明は、具体的には、第一胃における天然細菌性菌叢の不均衡によって損なわれた第一胃発酵を改善するために、前記混合物を使用することに関する。また本発明は、第一胃における天然細菌性菌叢の不均衡によって生じ得る第一胃発酵の機能不全を予防するために、前記混合物を使用することに関する。本発明の混合物を使用する具体的な目的は、ラクトバキッルス属種(Lactobacillus spp)、例えばアシドピルス菌(Lactobacillus acidophilus)、そして特にウシレンサ球菌など、第一胃アシドーシスを引き起こす細菌の成長を制限することである。
【0024】
混合物は、100から300ppm(100から300g/食餌1トン)の濃度で固体形態で食餌に添加する場合、活性である。これは、100から300ppmの範囲の用量で天然混合物の効果を分析したインビトロ研究に基づく。
【0025】
第1の態様によれば、本発明の混合物中のナリンギンの量は、10重量%から25重量%であり、好ましくは15重量%から25重量%であり、より好ましくは約20重量%である。
【0026】
第2の態様によれば、本発明の混合物中のダイダイ抽出物の量は、10重量%から65重量%であり、好ましくは20重量%から60重量%であり、より好ましくは約40重量%である。ダイダイ抽出物は、ナリンギンを含み、したがって本発明の混合物中のナリンギンの総量は、上記の量よりも多いことに留意されたい。
【0027】
第3の態様によれば、ナリンギン、ダイダイ抽出物及び海泡石の量は、混合物の100重量%である。
【0028】
第1の実施形態において、本発明は、反すう動物の第一胃発酵の改善において、10重量%から25重量%のナリンギン、10重量%から65重量%のダイダイ抽出物及び100重量%までの十分量(混合物の残りの部分)の海泡石を含む混合物の使用について言及する。
【0029】
上記由来の実施形態において、混合物は、15重量%から25重量%のナリンギン、20重量%から60重量%のダイダイ抽出物及び100重量%までの十分量の海泡石、より特別には20重量%のナリンギン、40重量%のダイダイ抽出物及び40重量%の海泡石を含む。
【0030】
上記割合(重量%)は、混合物の総重量を参照する。
【0031】
別の実施形態において、上記混合物の使用は、濃飼料の投与由来の微生物性発酵プロセスを調節する。
【0032】
別の実施形態において、上記混合物の使用は、第一胃アシドーシスを引き起こす細菌、特にウシレンサ球菌の成長を制限する。したがって、本発明はまた、本明細書に記載されているように急性型及び亜急性型の両方を含む、第一胃アシドーシスを予防又は治療するための上記混合物の使用に関する。
【0033】
別の実施形態において、上記混合物の使用は、反すう動物、特に子牛の集中肥育における生産力を最適化する。
【0034】
別の実施形態において、上記混合物の使用は、10から2000ppm、特別には50から1000ppm及びさらにより特別には100から300ppmの重量濃度で、固体形態で給餌するためにそれらを添加することを含む。
【0035】
フラボノイドは、医学的関心が増大している水溶性植物色素の1種である。ナリンギンは、フラボノイドであり、特にいくつかの柑橘類果実(グレープフルーツ、グレープフルーツ(Citrus paradisi)及びダイダイ、シトラス・オーランティアム)の皮から得られる、グリコシル化フラバノンであり、それらの苦みの原因の大部分である。また、それは、果実の果肉及び植物の葉、花及び種子にも見られる。
【0036】
いくつかの研究は、他のフラボノンのような、ナリンギンの生合成は、環境因子及び遺伝的因子によって影響され、これらの化合物の濃度レベルの変化を決定し、頻繁な濃度の値として、新鮮なグレープフルーツの皮15から18g/kgとして評価されることを提示している。また、皮における量は変化し、完熟した果実よりも完熟していない果実におけるほうが量が多い。
【0037】
香水に使用され、甘い食べ物、飲料及びパン製品に風味を添加するために使用される、ナリンギンは、その抗酸化剤及び抗突然変異特性のため、及び油安定剤として使用され続ける。
【0038】
ダイダイ抽出物は、抽出、濾過、濃縮、沈殿、浄化及び最終乾燥などの当業者の通常作業によって、すりつぶした柑橘類果実(特にシトラス・オーランティアム)から得ることができる。抽出プロセスは、アルカノールが、メタノール、エタノール、プロパノールなどから選択される、2成分のアルカノール/水システムにおいて実施することができる。好ましくは、メタノールが使用される。典型的なダイダイ抽出物は、31.5から71.5重量%、例えば45から55重量%の全フラボノイド(HPLCによって測定する場合)を含む。具体的には、フラボノイドは、ナリンギン、ネオヘスペリジン及びポンシリンを含む。典型的には、全フラボノイドの内容は、(a)17.5から35.1重量%、例えば25から27重量%のナリンギン、(b)7.7から16.9重量%、例えば11から13重量%のネオヘスペリジン及び(c)2.1から6.5重量%、例えば3から5重量%のポンシリンを含む。
【0039】
次に、海泡石は、天然の含水ケイ酸マグネシウムであり、海洋化石の石灰質堆積作用にその起源を持つ。海泡石は、白色又はわずかに黄色がかった粘度鉱物である。海泡石は、古代から粉末状歯磨き粉として使用されてきた。
【0040】
本発明の混合物は、第一胃発酵の機能不全に罹っている又は罹る危険性のある反すう動物に適用する。これらの反すう動物は、具体的には以下を含む:
1)例えば、給餌効率を高めるため及びケトーシスプロセスの出現を避けるために、高濃度の(穀草類)規定食を給餌されている反すう動物、特に反すう動物が、a)集中システム下の肥育動物である場合;b)濃度供給が高い割合に達する際、乳の分泌のピークにおいて高い生産性の泌乳メスである場合;又はc)摂取能力が制限されている、複数頭の仔を有する出産間近のヒツジ又はヤギである場合、
2)突然の規定食の変化を受けやすい反すう動物、特に変化が、a)牧草(高い食物繊維)から高濃度の食料である場合;又はb)低可消化デンプン(モロコシ又はトウモロコシ)から高い消化率のもの(小麦又は大麦)である場合。
【0041】
説明目的のため、以下の例を本発明のよりよい理解のために提供する。
【0042】
(例1)
子牛における100及び300ppmの用量の混合物の効果
Theodorou M Kら、Animal Feed Science and Technology、48(3)、185〜197頁、Aug 1994年によって提案されたプロトコルに基づいて、発酵動態を分析した。使用した接種材料は、商業的な集中肥育作業からの子牛の第一胃液であった。本発明の混合物(20重量%のナリンギン、40重量%のダイダイ抽出物及び40重量%の海泡石)を接種材料及び通常の割合(濃縮物:藁が80:20)で穀草類の藁で補足された商業的子牛食餌(600mg)でインキュベートした。混合物の用量を、800mlの接種材料希釈物を有する密封したボトルに2つのバッチ(子牛2頭)で3回インキュベートした。
【0043】
検査は48時間続き、ボトル内の圧力を2、4、6、12、24、36及び48時間で記録した。ガス生成を圧力値から確立した。インキュベーションの10時間後、ボトルの1つを分離し、分子遺伝子検査に使用される、VFA及びDNA単離の測定のために、内容物を採取した。
【0044】
QIAamp(登録商標)DNAスツールミニキット(Qiagen Ltd、Carwley、West Sussex、UK)によって、DNA抽出を実施した。DNA濃度及び純度(全DNA)を分光光度計(NanoDrop(登録商標))によって260及び280nmで吸収度を測定して、決定した。
【0045】
細菌性及びウシレンサ球菌DNAを、全細菌(Maeda Hら、FEMS Immunology and Medical Microbiology、39(1)、81〜86頁、Oct 2003年)及びウシレンサ球菌(Tajima Kら、Applied and Environmental Microbiology、67(6)、2766〜2774頁、Jun 2001年)に関する特異的プライマーで、ABI PRISM(登録商標)7000配列検出システムを用いて、リアルタイムPCRによって定量化した。培地中の全細菌の濃度を計算するための基準として、第一胃液の分画遠心法によって得られた細菌サンプルのDNA濃度を使用した(500g、10分、次いで、20.000g、20分)。Livak K Jら、Methods(San Diego、Calif.)、25(4)、402〜408頁、Dec 2001年によって記載されたΔΔCt発現を用いて、多量のウシレンサ球菌が、全細菌のそれと比較して発現した。
【0046】
細菌の生物多様性研究を、特異的プライマーを用いてDGGEによって実施した(Nubel U ら、Journal of Bacteriology、178(19)、5636〜5643頁、Oct 1996年)。電気泳動は、50%〜65%の変性尿素/ホルムアミド勾配で16時間80Vで、8%のアクリルアミドゲルを使用した。ゲルをAmersham Biosciences(Sweden)のキットを用いて染色し、スキャンの後、UPGMA(非加重結合法)プログラムを用いて、縞模様を分析した。
【0047】
第一胃発酵に対する混合物の効果を、2×2(混合物×用量)要因計画によって、動物を実験的ブロックとみなして分析した。
【0048】
結果
1−ガス生成
先に記載したインビトロ条件において、培地中の混合物の含有物は、VFA産生又は全VFA産生のいずれの動態にも効果がなかった。実験的処置が、酢酸60%、プロピオン酸29%及び酪酸9%の平均割合を示した、最も重要なVFAのモル割合に影響を与えることもなかった。
【0049】
2−PCRによるリアルタイム細菌定量
表1は、分光光度法(260nm)によって得られた全DNA濃度を示し、培養培地中のDNA濃度が混合物の内容物によっていかに変化しなかったかが分かり得る。しかし、より特殊な手順であるリアルタイムPCRによって細菌性DNAの量を測定すると、混合物の内容物が、細菌性DNAの有意な増加をもたらし、細菌の成長の増加を示すことを明らかにした。混合物の存在由来の微生物の成長における有意な差異の存在は、前記差異がガス(CO+NH)生成又はより多いVFA放出において見い出されずに、混合物が、微生物の合成効率にプラス効果をもたらすことを示す。
【0050】
表1はまた、乳酸の主要産出物の1つとしてこの細菌を同定し、したがって、第一胃アシドーシス由来の状態に関係する、ウシレンサ球菌の特異的DNA配列のコピーの濃度を示す。混合物を添加すると、培地にこの種の非常に有意に制限された濃度を生成し、前記濃度は、細菌性DNAのコピーの全数に関してウシレンサ球菌(2(ΔCt)1000)に対応するDNAコピーの数として、又は対照の培地(2(ΔΔCt))に対するコピーの数の減少率として発現した。
【0051】
【表1】

【0052】
上記パラメータに対する混合物の用量の効果を分析する場合、混合物の濃度で有意な差異は見い出せない。したがって、得られた結果は、100及び300ppmの最初の濃度が、前記化合物の第一胃発酵プロセスにおける活性の閾値を超えることを提示する。他方、研究混合物がウシレンサ球菌の濃度を変化させたが、個体群の生物多様性を変化させていなかった。これは、前記物質の特定の微生物個体群に対する選択的効果を確認するものである。
【0053】
3−結論及び有利性
商業的な集中肥育状態で投与される濃飼料から接種材料で研究混合物を補足すると、第一胃発酵プロセスに有意な変化が生じる。
【0054】
混合物の存在は、ガス又はVFA産出レベルを変化させない。しかし、混合物の存在は、接種材料における様々な微生物個体群に有意な効果を有する。混合物の存在は、個体群の合成レベルに有意な増加を促進する一方、ウシレンサ球菌の成長を有意に抑制する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反すう動物の第一胃発酵の改善において、10重量%から25重量%のナリンギン、10重量%から65重量%のダイダイ抽出物及び100重量%までの十分な量の海泡石を含む混合物の使用。
【請求項2】
混合物が、15重量%から25重量%のナリンギン、20重量%から60重量%のダイダイ抽出物及び100重量%までの十分な量の海泡石を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
混合物が、20重量%のナリンギン、40重量%のダイダイ抽出物及び40重量%の海泡石を含む、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
ダイダイ抽出物が、31.5から71.5重量%の全フラボノイドを含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
ダイダイ抽出物が、44から55重量%の全フラボノイドを含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
全フラボノイドが、(a)17.5から35.1重量%のナリンギン、(b)7.7から16.9重量%のネオヘスペリジン及び(c)2.1から6.5重量%のポンシリンを含む、請求項4又は5に記載の使用。
【請求項7】
全フラボノイドが(a)25から27重量%のナリンギン、(b)11から13重量%のネオヘスペリジン及び(c)3から5重量%のポンシリンを含む、請求項4又は5に記載の使用。
【請求項8】
前記改善が、濃飼料を投与される反すう動物における微生物発酵プロセスを調節する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記改善が、第一胃アシドーシスを引き起こす細菌の成長を制限することを含む、請求項1から7までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
第一胃アシドーシスを引き起こす細菌が、ウシレンサ球菌(Streptococcus bovis)である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記改善が、反すう動物の集中肥育における生産力を最適化する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
反すう動物が子牛である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
10から2000ppmの重量濃度で固体形態で給餌するために前記混合物を添加することを含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
50から1000ppmの重量濃度で固体形態で給餌するために前記混合物を添加することを含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
100から300ppmの重量濃度で固体形態で給餌するために前記混合物を添加することを含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2011−509276(P2011−509276A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541783(P2010−541783)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050175
【国際公開番号】WO2009/087194
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510147341)エスキム ソシエダッド アノニマ (2)
【Fターム(参考)】