説明

第二アミンまたは第三アミンを得る方法

式(RNRNR(式中、RとRのそれぞれは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;Rは、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基であり;Rは、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、および式RNRを有する基からなる群から選択される)を有する第二アミンまたは第三アミンを得る方法が提供されている。該方法は、(α)RNR(OH)とアンモニアとを反応させ、これにより(RNRNRを含む混合物を得る工程;および(β)前記混合物から(RNRNRを分離する工程;を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(RNRNR
[式中、RとRのそれぞれは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;
は、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基であり;
は、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、および式RNRを有する基からなる群から選択される]
を有する第二アミン及び/又は第三アミン、および、その第二アミン及び/又は第三アミンを得る方法の提供に関する。
【0002】
本発明は、このようなアミン〔特に、ビス(N,N−2−ジアルキルアミノアルコキシアルキル)アミンのタイプのアミン〕を生成、分離、及び/又は回収する方法、ならびにアルキル化ビス(N,N−2−ジアルキルアミノアルコキシアルキル)アミンを得る方法に関する。
【0003】
本発明は特に、ビス(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミン及び/又はビス(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミンを得ることに関する。
【背景技術】
【0004】
(RNRNR[式中、RとRのそれぞれがメチル基であり、Rが−CHCHOCHCH−であり、Rがメチル基である]は、ビス(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミンとも呼ばれ、ポリウレタン触媒として、あるいはポリウレタン触媒を得るための前駆体として使用される化合物として知られている(DE2618280に説明されている)。DE2618280に従って製造される(すなわち、塩素化イオウ化合物及び/又は塩素化リン化合物から製造される)ビス(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミンは、「精製処理を施した」最終生成物においても、微量のこうした元素が残存する。さらに、DE2618280の方法において使用される基本物質の幾つかは、貯蔵、取扱い、または輸送する上で高毒性・有害であり、危険である。これらの物質は、化学プロセスにおいて経済的に実行可能な規模で使用するのに適していない。
【0005】
ビス(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンという化合物、つまり、(RNRNR[式中、RとRのそれぞれがメチル基であり、Rが−CHCHOCHCH−であり、Rが水素である]は、実験室規模の量でのみ得ることができる化学物質である。
【0006】
これら両方の化合物に対し、経済的に許容しうる量にて許容しうるコストで化合物をもたらす製造方法が求められている。さらに、経済的に許容しうる量にて化合物をもたらし、該化合物が実質的に純粋(特に、塩素、リン、及び/又はイオウを、遊離もしくは結合形態にて実質的に含有しない)であるような製造方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE2618280
【発明の概要】
【0008】
上記の目的は、本発明の方法によって達成される。
本発明の第1の態様においては、式(RNRNR
[式中、RとRのそれぞれは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;
は、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基であり;
は、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、および式RNRを有する基からなる群から選択される]
を有する第二アミン及び/又は第三アミンを得る方法が提供され、該方法は、
(α) RNR(OH)とアンモニアとを反応させて、(RNRNRを含む混合物を得る工程;および
(β)前記混合物から(RNRNRを分離する工程;
を含む。
【0009】
アンモニア/RNR(OH)のモル比は、0.5〜20の範囲(好ましくは1〜6の範囲)であってよい。特に、RとRがメチルであって、Rが−CHCHOCHCH−であるとき、アンモニア/N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエタノールのモル比は、0.5〜20の範囲(好ましくは1〜6の範囲)であってよい。
【0010】
アンモニアとRNR(OH)とを、好ましくは触媒の存在下で反応させると、成分の混合物が得られ、この混合物は、対応する(RNRNHのほかに、対応する第一アミンRNRNH、第二アミンRNRNRH、及び/又は第三アミンRNRNR(式中、RとRは、必要に応じてRまたはRと同一である)の少なくとも1つを含む、ということが見出された。さらに、一般式(RNRNRを有する他のアミンも得られる〔ここでRは、R、R、または(RNR)に等しい〕ということがわかった。
【0011】
あらゆる理論に拘束されるものではないが、これら後者のアミンは、アミン上のアルキル基のアルキル交換によって得られると考えられる。
例えば、式RNR(OH)(式中、RとRのそれぞれがメチル基であり、Rは、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基である)を有するアルカノールの場合は、式((CHNRNHを有するアミンを含み、そしてさらに式(CHNRNHの第一アミン、式(CHNRNH(CH)の第二アミン、および式(CHNRN(CHの第三アミンを含む混合物が得られる。この混合物中にはさらに、式((CHNRNや((CHNRNCHの成分も存在する。
【0012】
本発明の幾つかの実施態様によれば、触媒の存在下にてRNR(OH)とアンモニアとを反応させることができる。
いわゆる銅クロマイト触媒は、元素周期表の第IB族/第VIB族の一般的な酸化物触媒の例であり、これらの触媒は、N,N−2−ジアルキルアミノアルコキシアルカノールとアンモニアとの反応に適している。
【0013】
第IA族、第IIA族、第IVB族、第IVA族、または第VIIIB族の元素を主として含む多くの促進剤を使用することができる。アルコールのアミノ化反応用の他の適切な触媒は、第VIIIB族元素の担持触媒または非担持触媒である。第VIIIB族金属のための担体は、Al、SiO、TiO、または活性炭等である。さらに、主として第IA族、第IIA族、第IVB族、または第IVA族元素のこのような触媒に、異なる促進剤を加えることも一般的である。
【0014】
Al、SiO、またはTiO等の担体が、アルコールのアミノ化反応に対してかなりの活性を示すことがある。広範囲の成分を有効範囲に含む促進剤を加えることができる。
【0015】
N,N−ジメチルアミノエトキシエタノールの供給量を基準とするLHSV(=リットル/リットル*h−1)という表示にて0.01〜2.0(好ましくは0.1〜1)の触媒装入が用いられる。
【0016】
本発明の幾つかの実施態様によれば、RはRと同一であってよい。本発明の幾つかの実施態様によれば、R及び/又はRはメチルであってよい。本発明の幾つかの実施態様によれば、Rは−CHCHOCHCH−であってよい。本発明の幾つかの実施態様によれば、Rは水素であってよい。
【0017】
したがって本発明の幾つかの実施態様によれば、式(RNRNRを有するアミンは、第二アミンであるビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンであってよい。
【0018】
アンモニアとRNR(OH)とを、好ましくは触媒の存在下で反応させると、対応する(RNRNHのほかに、対応する第一アミンRNRNH、第二アミンRNRNRH、及び/又は、第三アミンRNRNR(式中、Rおよび必要に応じてRは、RまたはRと同一である)の少なくとも1つを含む混合物が得られることが見出された。
【0019】
本発明の幾つかの実施態様によれば、混合物からの(RNRNHの分離は、該混合物を蒸留することによって行うことができる。
蒸留により異なるフラクションが得られ、そのうちの重質フラクションは通常、(RNRNHを、この分子の異性体と共に含む。一般には、式(RNRNHを有するアミンの場合、
とRのそれぞれは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;
は、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基である。
【0020】
重質フラクションは、(RNRNHを、対応するトランスアルキル化アミンと共に含む。
さらなる他の成分が混合物中に存在することが見出され、これらは、(RNRNHに構造的に類似した種々の化合物のようである。このような化合物は、最大で20重量%まで存在するが、一般には15重量%以下である。(RNRNH〔例えばビス(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミン〕の純度は、一般には最大で80重量%であり、85重量%以上の場合もある。
【0021】
ビス−(N,N−2−ジメチルアミノ−エトキシ−エチル)アミンの場合では、N,N−2−ジメチルアミノ−エトキシ−エタノールとアンモニアとを反応させることによって得られた混合物中に以下の化合物が見出された。
【0022】
【化1】

【0023】
同定は、GC/MSおよびNMR分光法によって行った。
N,N−2−ジメチルアミノ−エトキシ−エタノールとアンモニアとを反応させることによって得られる混合物の少なくとも一部(特に、中間・重質フラクション、さらに好ましくは重質フラクションのみ)をアミノ化反応器に再循環すると、T22の濃度が減少するのに対して、[2−(2−{ビス[2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−エチル]−アミノ}−エトキシ)−エチル]−ジメチルアミンの濃度が大幅に増大する。この物質は、単蒸留により単一生成物として単離することができる。
【0024】
一般には、本発明の第2の態様によれば、式(RNR
[式中、RとRのそれぞれは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;
は、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基である]
を有する第三アミンを得る方法が提供され、該方法は、
(1) RNR(OH)とアンモニアとを反応させ、これによって(RNRNHと(RNRNを含む混合物を得る工程;
(2) 該混合物の少なくとも一部を、RNR(OH)とアンモニアとの反応に再循環する工程;および
(3) 該混合物から(RNRNを分離する工程;
を含む。
【0025】
したがって式(RNRNを有する第三アミンを得る方法が提供され、該方法は、本発明の第1の態様による方法に加えて、混合物の少なくとも一部をRNR(OH)とアンモニアとの反応に再循環してからアミンを分離する〔この方法では、該混合物から第三アミン(RNRNを分離する〕という追加工程を含む。
【0026】
したがって本発明のさらなる態様によれば、式(RNRN[式中、RとRのそれぞれはメチル基であり;Rは−CHCHOCHCH−である]を有する第三アミンが提供される。
【0027】
さらに、本発明の1つの態様によれば、本発明の方法に対して使用して得られる(RNRNが提供される。
本発明の方法が、一般式(RNRNHを有するアミン(すなわち、Rが水素である場合の本発明のアミン)を得ようとする場合、該方法は、
(RNRNHを含む混合物を、例えばカルボン酸(好ましくはギ酸)でアミド化して、対応する(RNRNHベースのアミドを含むアミド化混合物を得ること;
アミド化混合物の他の成分から(RNRNHベースのアミドを分離すること;および、
(RNRNHベースのアミドの脱アミドによって、必要に応じてアミド基転移または塩基性成分(好ましくは無機塩基性成分、最も好ましくはNaOHもしくはKOH)を使用する加水分解によって、(RNRNHをそのアミドから回収すること;
によって(RNRNHを分離・精製する工程をさらに含む。
【0028】
アミド化混合物の他の成分からの(RNRNHベースアミドの分離は、蒸留によって行うことができる。
本発明の第1の態様による方法を使用して得られる(RNRNHは、通常は98%以上の純度を有する。
【0029】
本発明の第3の態様によれば、式(RNRNH
[式中、RとRのそれぞれは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;
は、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基である]
を有するアミンが提供され、このアミンは、本発明の第1の態様による方法に従って得ることができる。本発明の第1の態様に従って得られるこのアミンは、アルキル化(例えばメチル化)(RNRNR及び/又はトランスアルキル化(RNRNHを、必要に応じて0.1〜20重量%の範囲にて(例えば、1〜18重量%の範囲にて、さらに好ましくは2〜16重量%の範囲にて)含んでよい。
【0030】
さらに好ましくは、式(RNRNH[式中、RとRのそれぞれがメチル基であって、Rが−CHCHOCHCH−である]を有する第二アミンが提供される。
【0031】
この第二アミンはさらに、ビス(N,N−2ジメチルアミノエトキシエチル)アミンとも呼ぶ。
とRのそれぞれがメチル基であって、Rが−CHCHOCHCH−である場合の(RNRNHは、アルキル化(RNRNH〔一般には(RNRNR〕を含んでよい。得られるビス(N,N−2ジメチルアミノエトキシエチル)アミンは、一般には、80重量%以上のビス(N,N−2ジメチルアミノエトキシエチル)アミンと0.1〜20重量%(例えば1〜18重量%、さらに好ましくは2〜16重量%)のビス(N,N−2ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミンを含む。
【0032】
必要に応じて、本発明の(RNRNHはビス(N,N−2ジメチルアミノエトキシエチル)アミンである。
本発明の第4の態様によれば、式(RNRNR(式中、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択される)を有する第三アミンを得る方法が提供される。この方法は、
(1)本発明の第1の態様による方法を使用して(RNRNHを得る工程;および
(2)該(RNRNHを、(RNRNHのアルキル化によって(RNRNRに転化させる工程;
を含む。
【0033】
したがって、Rが、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択から選択される場合の式(RNRNRを有する第三アミンが提供され、該方法は、本発明の第1の態様による方法の工程に加えて、(RNRNHのアルキル化によって(RNRNHを(RNRNRに転化させるという追加工程を含む。
【0034】
本発明の第5の態様によれば、Rが、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択される場合の式(RNRNRを有する第三アミンを得る方法が提供される。この方法は、
(1)RNR(OH)とアンモニアとを反応させて、(RNRNHを含む混合物を得る工程;
(2)(RNRNHを含む該混合物をアルキル化して、(RNRNRを含むアルキル化混合物にする工程;および
(3)該アルキル化混合物から(RNRNRを分離する工程;
を含む。
【0035】
これらの方法は、(RNR)NHのアルキル化に基づくアルキル化化合物も同時に得られるという利点を有する。
したがって方法は、本発明の第4の方法による方法であってよく、この方法は、該アルキル化混合物から(RNRNRを分離するという追加工程を含む。
【0036】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第4もしくは第5の態様の方法に従って得られる(RNRNRが提供され、ここで、
とRのそれぞれは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;
は、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基であり;
は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;
該(RNRNRは塩素を実質的に含有しない。
【0037】
「塩素を実質的に含有しない」とは、0.01重量%未満のClを遊離形または結合形にて含むものとすると理解すべきである。
N,N−2−ジメチルアミノエトキシエタノールとアンモニアとを反応させる場合は、ビス(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンと、N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチルアミン、N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチルメチルアミン、及び/又はN,N−2−ジメチルアミノエトキシエチルジメチルアミンの少なくとも1つとを含む混合物が得られる。この混合物をメチル化することによって、実質的にビス(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミンとN,N−2−ジメチルアミノエトキシエチルジメチルアミンからなるアルキル化(すなわちメチル化)混合物が得られる。単蒸留によって、実質的に純粋なビス(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミンとN,N−2−ジメチルアミノエトキシエチルジメチルアミンを得ることができる。どちらの生成物も、99重量%より高い純度を有することがある。
【0038】
アルキル化、例えばメチル化は、水素の存在下にてビス(N,N−2−ジアルキルアミノアルコキシアルキル)アミンとホルムアルデヒドとを触媒作用的に反応させることによって行うことができる。例えばエチル化は、水素の存在下にてビス(N,N−2−ジアルキルアミノアルコキシアルキル)アミンとアセトアルデヒドとを触媒作用的に反応させることによって行うことができる。
【0039】
本発明による式(RNRNRのアミンにおいては、Rは、RおよびRと同一であるのが好ましい。特に、出発物質もしくは中間体がビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)アミンであって、Rがメチルである場合は、ビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)メチルアミン(以後TM22と呼ぶ)が得られる。得られるビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)メチルアミンは通常、アルキル化(例えばメチル化)が不十分なビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)メチルアミンを含むことがある。
【0040】
ビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)メチルアミンに関しては、本発明の方法を使用して得られるビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)メチルアミンは、Cl、S、P、およびNaを実質的に含有しないが、DE2618280の方法を使用して製造されるビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)メチルアミンの場合はそうではない。
【0041】
本発明の方法によって得られるビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)メチルアミンの純度は、最高で99重量%であり、99重量%を超えることさえある。本発明の方法によって得られるビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)メチルアミンはさらに、不純物である[2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−エチル]−[2−(2−メチルアミノ−エトキシ)−エチル]−アミン〔またはIUPAC命名法によれば2,8,14−トリアザ−5,11−ジオキサ−2−メチル−ペンタデカン(おそらくは0.1重量%未満の量にて)〕及び/又は[2−(2−アミノ−エトキシ)−エチル]−[2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−エチル]−メチルアミン〔またはIUPAC命名法によれば2,8,14−トリアザ−5,11−ジオキサ−2,8−ジメチル−テトラデカン;分子量233(おそらくは0.1重量%未満の量にて)〕を含む。
【0042】
他の未知の高沸点成分が、0.1重量%未満の量にて存在することがある。
本発明の幾つかの実施態様によれば、本発明の第4または第5の態様の方法に従って得られる(RNRNR[式中、RとRのそれぞれが、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;Rが、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基であり;Rが、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択される]、特にビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)メチルアミンの純度は、95重量%より高い場合があり、必要に応じて99重量%より高い場合もある。
【0043】
本発明の幾つかの実施態様によれば、本発明の第4または第5の態様の方法に従って得られる(RNRNR[式中、RとRのそれぞれが、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;Rが、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基であり;Rが、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択される]が提供され、該(RNRNRは、不純物である(RNRNHを含むことがある。
【0044】
本発明の幾つかの実施態様によれば、R、R、およびRがメチルであり、Rが−CHCHOCHCH−である。
式(RNRNR[式中、RとRのそれぞれが、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;Rが、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基であり;Rが、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、および式RNRを有する基からなる群から選択される]を有する得られるアミン、特に、ビス(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンとビス(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミンは、イソシアネート反応性基を含む化合物(例えば、アルコールやアミン)とイソシアネートとの反応に対する触媒作用のための触媒として使用することができる。一般には、これらのアミンは、ポリウレタン(例えば、硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストマー、またはポリウレタン接着剤)の製造における触媒として使用することができる。
【0045】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に従って得られるビス(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンは、ポリウレタンを得るための、イソシアネート反応性化合物とイソシアネートとの反応における触媒として使用することができる。
【0046】
本発明に従って得られるビス(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミンは、ポリウレタンを得るための、イソシアネート反応性化合物とイソシアネートとの反応における触媒として使用することができる。
【0047】
独立クレームと従属クレームは、本発明の特定の好ましい特徴を示している。従属クレームからの特徴は、必要に応じて、独立クレームや他の従属クレームの特徴と組み合わせることができる。
【0048】
本発明の上記の特性、特徴および利点、ならびに、本発明の他の特性、特徴および利点は、例を挙げながら本発明の原理を示している下記の詳細な説明から明らかとなろう。この説明は、例を示すためだけになされており、この説明によって本発明の範囲が限定されることはない。
【0049】
本発明を、特定の実施態様に関して説明する。
留意すべきは、クレームにおいて使用されている「含む(comprising)」という用語は、そのあとに記載の手段に限定されると解釈すべきではなく、他の要素もしくは工程を除外しない、という点である。したがって、言及されている特徴、工程、または成分の存在を明示しているが、1つ以上の他の特徴、工程、成分、またはこれらの群の存在もしくは付加を除外しない、と解釈すべきである。したがって、「手段AとBを含む装置」という表現の範囲は、成分AとBだけからなる装置に限定すべきではない。それは、本発明に関して、装置の単なる関連した成分がAとBである、ということを意味している。
【0050】
本明細書全体を通じて、「1つの実施態様(one embodiment)」または「ある実施態様(an embodiment)」という言及がなされている。このような言及は、該実施態様に関して記載の特定の特徴が、本発明の少なくとも1つの実施態様中に含まれる、ということを示している。したがって、本明細書の全体にわたる種々の場所において「1つの実施態様では」または「ある実施態様では」というフレーズが現われても、必ずしも全てが同じ実施態様に言及しているわけではない(そういうこともありあるが)。さらに、本明細書の開示内容から当業者には明らかなように、特定の特徴または特性は、1つ以上の実施態様において任意の適切な仕方で組み合わせることができる。
【0051】
下記の用語は、単に本発明を理解する上での助けになるように与えられている。
沸点ないし沸騰温度について言及するとき、特に明記しない限り、沸点ないし沸騰温度は大気圧下での沸点ないし沸騰温度を示す。特に明記しない限り、成分のパーセント値は、個々の成分が存在する物質の総重量に対する重量%を表わす。
【0052】
N,N−ジメチルビスアミノエチルエーテル(T2MBAEE)、N,N,N’−トリメチルビスアミノエチルエーテル(T3MBAEE)、及び/又はN,N,N’,N’−テトラメチルビスアミノエチルエーテル(T4MBAEE)をさらに含む混合物からのビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンの分離に関して、ならびに、アルキル化ビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミン〔例えば特に、ビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミンと[2−(2−{ビス−[2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−エチル]−アミノ]−エトキシ)−エチル]−ジメチルアミン〕の提供に関して、本発明の種々の態様を、1つ以上の例によってさらに詳細に説明する。
【0053】
しかしながら当業者は、同じ原理が、式(RNRNH
[式中、RとRのそれぞれが、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;Rが、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基である]
を有する第二アミンと式(RNRNR
[式中、RとRのそれぞれが、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;Rが、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基であり;Rが、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、および式RNRを有する基からなる群から選択される]
を有する第三アミンに対しても当てはまることを熟知している。
【0054】
本発明のある態様によれば、N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチルアミン(N,N−ジメチルアミノエトキシエチルアミン、T2、またはT2MBAEEとも呼ぶ)を、N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエタノールとアンモニアとを銅クロマイト触媒上で反応させることによって合成した。この反応スキームは以下のようであると考えられる。
【0055】
【化2】

【0056】
上記反応式において、T3は、N,N,N’−トリメチルビスアミノエチルエーテル(またはT3MBAEE)を表わし、T4は、N,N,N’,N’−テトラメチルビスアミノエチルエーテル(T4MBAEEまたはJEFFCAT(登録商標)ZF−20としても知られている)を表わす。N,N−2−ジメチルアミノエトキシエタノールはさらに、JEFFCAT(登録商標)ZR−70としても知られている。
【0057】
反応器流出物中に、下記の物質が確認された。
【0058】
【化3】

【0059】
さらに、反応器流出物中には、T2の二量化物が主成分として検出された:
【0060】
【化4】

【0061】
さらなる他の成分が、ビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンに構造的に類似した種々の化合物として確認された。例えば、以下の構造を有するビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンのメチル化誘導体、すなわちビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミン(以後「T22」とも呼ぶ;あるいはIUPAC命名法によれば2,8,14−トリアザ−5,11−ジオキサ−2,8,14−トリメチル−ペンタデカン;分子量261)である。
【0062】
【化5】

【0063】
T22に類似した構造を有するさらなる成分は、以下である。
【0064】
【化6】

【0065】
反応器流出物を蒸留によって3つのフラクションに分けた。
・ 実質的に水とモルホリンからなる軽質フラクション
・ N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチルアミン、N,N,N’−トリメチルビスアミノエチルエーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルビスアミノエチルエーテル、およびN,N−2−ジメチルアミノエトキシエタノールを含有する中間フラクション
・ ビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンと他の副生物を主として含有する重質フラクション
中間フラクション中には、生成物T2、T3、およびT4が見出されたが、重質フラクション中には、ビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンが約85重量%(重質フラクション総量を基準とした重量%)含有されていた。重質フラクション中には、他の2種の副生物(合計して約15重量%)が見出された。GC/MS分析によれば、これらの物質はT22と極めて類似した構造を有している。
【0066】
N,N−2−ジメチルアミノエトキシエタノールとアンモニアとのアミノ化の反応条件に依存して、中間フラクションにおいては広範囲のT2/T3/T4比が得られる。実施した全ての実験において、T2、T3、およびT4が存在した。例えば、T2/T3/T4の比は3.6/1/1.3である。
【実施例】
【0067】
実施例1: ジメチルアミノエトキシエタノールとアンモニアとを反応させることによるT2/T3/T4/T22混合物の作製
1000mlのステンレス鋼製反応器に、2000gの市販の2CuOxCr触媒(CAS#99328−50−4、Aldrich社から市販)を装入した。連続反応器システムのヘッドを、別の入口ラインおよび液体アンモニアとジメチルアミノエトキシエタノールのための供給ポンプに接続した。
【0068】
アンモニアとN,N−2−ジメチルアミノエトキシエタノールを、表1に示すような異なる反応条件にて反応器中に装入した。反応器流出物を反応器の底部にて取り出し、減圧して脱気し、そして分析とさらなる使用のために捕集した。反応器流出物の全ての操作条件と組成を表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
全ての反応器流出物を合わせ(8500gの粗製物質が得られる)、バッチタイプの蒸留塔(構造化充填物を収容し、全体の充填長さが100cmである)により分留した。合わせた反応器流出物を3つのフラクションに分けるべく、主要な分割を行った。フラクション#1とフラクション#2はオーバーヘッド生成物として捕集したが、フラクション#3は残留ストリームとして採取した。
【0071】
フラクション#1は、全ての反応水と種々の低沸点成分(例えば、モルホリンやN−メチルモルホリン、および他の物質)を含有した。フラクション#2は、主として、N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチルアミン、N,N,N’−トリメチルビスアミノエチルエーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルビスアミノエチルエーテル、およびN,N−2−ジメチルアミノエトキシエタノールを含有した。主要分割蒸留(main split distillation)の操作条件と結果を表2に示す。
【0072】
【表2】

【0073】
ボトムフラクションは、残留フラクション#3として保持された。この残留フラクション#3のGC分析により、フラクション#3は、主としてビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンと他の幾つかの成分からなることがわかった。さらなる試験と分析により、これら他の成分は、ビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンに構造的に類似していることがわかった。幾つかは、以下であることが確認された。
【0074】
【化7】

【0075】
T22中に他の微量の不純物が存在する兆候が見られ、これは以下であることが確認された。
【0076】
【化8】

【0077】
さらに、[2−(2−{ビス−[2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−エチル]−アミノ}−エトキシ)−エチル]−ジメチルアミンも確認された。
この重質フラクションを、バッチタイプの蒸留塔(構造化充填物を収容し、全体の充填長さが100cmである)により、種々の減圧・温度条件にて蒸留した。わずかな移行フラクションの後、フラクション#4、2つの生成物フラクション、フラクション#5、およびフラクション#6を採取した。
【0078】
残留フラクション#3の蒸留の操作条件と結果を表3に示す。
【0079】
【表3】

【0080】
868gのフラクション#5/実施例1を、構造化充填物を収容するバッチタイプ蒸留塔(充填長=1m)の2リットル蒸留フラスコ中に装入した。慎重な分留により、87.7重量%のビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)アミン(「T2ダイマー」または「T22」)を含有する470.2gの生成物(表4におけるファインフラクション#2)が得られた。条件と結果を表4に示す。
【0081】
【表4】

【0082】
ビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)アミンの構造はGC/MS分光法によって確認した。他の成分は、ビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)アミンの構造異性体として、あるいはビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)アミンに構造的に類似した化合物として確認した。
【0083】
ビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)アミンの沸点は300℃であると推定される。7ミリバールの減圧では150〜152℃の沸点が測定される。
この混合物からT22を分離して精製するために、実施例1のフラクション#5及び/又は#6をギ酸と反応させた。
【0084】
TM22はギ酸とは反応しなかった。
【0085】
【化9】

【0086】
以下の反応が起きた:
【0087】
【化10】

【0088】
これらの反応から、TM22はホルミル化生成物を形成することは全くない、ということが容易にわかる。T22は、このようなホルミル化反応によって、そして1つのホルミル基を付加させることによってモノホルムアミド〔すなわち、N,N−ビス−[2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−エチル]−ホルムアミド〕をもたらすが(反応1)、反応2によって示されているホルミル化反応は、分子中に2つのホルミル基を有する生成物を生じる。この処置の結果、TM22と形成されたホルムアミドとの間に大きな沸点差があることがわかった。単純な真空蒸留によって(必要に応じて、分留塔を使用しない場合さえある)、T22は「軽留分成分」として出てくる。N,N−ビス−[2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−エチル]−ホルムアミドが主要フラクションを形成し、このフラクションは98%以上の純度を有する(残部は、上記の反応工程による不純物である)が、反応2に示すような他のホルムアミドが、N,N−ビス−[2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−エチル]−ホルムアミドとの沸点差により蒸留残留物中に残る。
【0089】
引き続きN,N−ビス−[2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−エチル]−ホルムアミドを脱ホルミル化することにより、T22が、良好な収率とかなり高い純度にて得られる。このような脱ホルミル化反応は、酸性の反応条件下でも、あるいはアルカリ性の反応条件下でも行うことができる。下記の反応3では、アルカリ性条件(例えば水酸化カリウムを使用)を選択した。
【0090】
【化11】

【0091】
実施例2:実施例1のファインフラクション#2とホルムアルデヒドからスタートする、メチル化によるビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル−1)メチルアミン(「TM22」とも呼ぶ)の製造
さらなる工程にて、実施例1のファインフラクション#2をさらにアルキル化(特にメチル化)した。
【0092】
低圧反応
270gの「T2−ダイマー」(実施例1のファインフラクション#2)を270gのメタノール中に溶解した。この混合物に、46gのパラホルムアルデヒドを58gのメタノール中に溶解して得た溶液を徐々に加えた。付加反応時の温度を40℃に保持した。パラホルムアルデヒドの付加が完了した後、反応混合物をさらに2時間撹拌し、次いで周囲温度に自然冷却させた。
【0093】
高圧水素化
低圧反応において作製された混合物を、Pd/C触媒(チャコール担持1%パラジウム、100mlの連続反応器中に充填)上にて、70バールの水素圧と110℃の温度で水素化した。
【0094】
精製
水素化からの反応器流出物を、蒸留フラスコ、リービッヒ冷却器、および蒸留塔なしの受け器からなる単純な実験用蒸留装置にて最終処理した。
【0095】
【表5】

【0096】
この蒸留のフラクション#4から200.1gの生成物が得られ、これはGC分析とGC−MS分析によって、99.3重量%の純度を有するビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)−メチルアミン(「TM22」)と確認された。フラクション#1と#2は、主としてメタノールを含有していたが、フラクション#3はわずかな中間フラクションであった。蒸留フラスコ中に残った残留物は5.5gであった。
【0097】
実施例2のフラクション#4のさらなる分析結果によれば、水分が0.03%(KF滴定による測定)であり、ホルムアルテヒドの含量が実質的にゼロであり、Pt/Coを使用した測定にてカラーが96であり、外観が流動性の液体であり、異物を実質的に含有せず、アミン臭がなくほとんど無臭である。
【0098】
ビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンとビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)アミンに構造的に類似した化合物の実質的に全てが、ビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミン(以後TM22と呼ぶ)にメチル化されたことが見出された。
【0099】
得られるビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミンは、S(イオウ)、P(リン)、Cl(塩素)、およびNa(ナトリウム)を実質的に含有しない。
【0100】
言うまでもないが、このメチル化はさらに、残留フラクション#3、実施例1のフラクション#6、または実施例1のフラクション#5を使用して行うこともできる。
本発明の方法によって得られるビス−(N,N−2−ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミンの純度は、最高で98重量%であり、99重量%を超えることもある。見出されたさらなる不純物は、[2−(2−アミノ−エトキシ)−エチル]−[2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−エチル]−メチル−アミン〔IUPAC命名法:2,8,14−トリアザ−5,11−ジオキサ−2,8−ジメチル−テトラデカン、分子量233〕、および[2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−エチル]−[2−(2−メチルアミノ−エトキシ)−エチル]−アミン〔IUPAC命名法:2,8,14−トリアザ−5,11−ジオキサ−2−メチル−ペンタデカン〕(またはT22)であった。これらの不純物はどちらも0.5重量%未満の量にて存在した。
【0101】
ビス−(N,N−2−ジメチルアミノ−エトキシエチル)メチルアミンの沸点は300℃であると推定される。7ミリバールの減圧では150〜152℃の沸点が測定された。
本発明の他の方法では、フラクション#5をさらに精製し、蒸留によってビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)アミンを他のビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)アミン異性体から分離した。軽質フラクションを除去するためには、反応器中の混合物の温度を173〜175℃の範囲に選定し、蒸留塔のヘッドの温度を150〜151℃の範囲に選定することができる。圧力は7ミリバールであってよい。中間フラクションを除去するためには、反応器中の混合物の温度を174〜175℃の範囲に選定し、蒸留塔のヘッドの温度を151〜152℃の範囲に選定することができる。圧力は7ミリバールであってよい。蒸留塔は15〜30トレーの構造化充填物を含んでよい。
【0102】
実質的に純粋なビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)アミン〔すなわち、87重量%の純度を有するビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル)アミン〕が得られた。残留化合物は、ビス−(N,N−2−ジメチル−アミノエトキシエチル−1)メチルアミン(「TM22」とも呼ぶ)〔あるいはIUPAC命名法によれば2,8,14−トリアザ−5,11−ジオキサ−2,8,14−トリメチル−ペンタデカン〕、分子量261(0.1〜18重量%);[2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−エチル]−[2−(2−メチルアミノ−エトキシ)−エチル]−アミン〔あるいはIUPAC命名法によれば2,8,14−トリアザ−5,11−ジオキサ−2−メチル−ペンタデカン〕(0.1〜18重量%);および[2−(2−アミノ−エトキシ)−エチル]−[2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−エチル]−メチルアミン〔あるいはIUPAC命名法によれば2,8,14−トリアザ−5,11−ジオキサ−2,8−ジメチル−テトラデカン〕、分子量233(0.1〜18重量%);である。他の不明の高沸点成分が幾つか存在することがある。
【0103】
この精製工程のあとに、前述したようにさらなるアルキル化(例えばメチル化)を行ってよいことは言うまでもない。
式(RNRNH[式中、RとRのそれぞれがメチル基であって、Rが−CHCHOCHCH−である]の第二アミンは、ビス(N,N−2−ジメチルアミノ−エトキシエチル)−アミンとも呼ばれ、イソシアネート(より具体的にはポリイソシアネート)とイソシアネート反応性化合物(例えば、ポリオール、ポリアミン、または水)とを反応させるための触媒として、類似物質であるビス(N,N−2−ジメチルアミノ−エトキシエチル)メチルアミンではうまく機能しない処方において使用することができる。
【0104】
例えば、下記のような包装用PUフォーム処方を、ビス(N,N−2−ジメチルアミノ−エトキシエチル)−アミン(処方I)またはビス(N,N−2−ジメチルアミノ−エトキシエチル)−メチルアミン(処方II)を触媒として使用して反応させた。
【0105】
【表6】

【0106】
処方IIでは、気泡の上昇時に気泡が崩壊するために、硬質PU包装用フォームが得られなかった。処方IIでは、わずか7秒のクリーム時間にて、そして102秒の上昇終了時間にて硬質PU包装用フォームが得られた。
【0107】
したがって、第二アミンであるビス(N,N−2−ジメチルアミノ−エトキシエチル)−アミンは、ビス(N,N−2−ジメチルアミノ−エトキシエチル)−メチルアミンを凌ぐ利点を有し、該メチル化体がうまく機能しない場合に、硬質フォーム用触媒として使用することができる。
【0108】
上記の方法は、当業者によって種々のニーズに対応するように適合させたり、改良したりすることができる。
理解しておかねばならないことは、本発明の実施態様を提供するために、好ましい実施態様及び/又は材料について説明してきたが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良や変更を行ってよい、という点である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(RNRNR
[式中、RとRのそれぞれは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;
は、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基であり;
は、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、および式RNRを有する基からなる群から選択される]
を得る方法であって、
(α)RNR(OH)とアンモニアとを反応させ、これにより(RNRNRを含む混合物を得る工程;および
(β)前記混合物から(RNRNRを分離する工程;
を含む上記方法。
【請求項2】
NR(OH)とアンモニアとを触媒の存在下で反応させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
とRがメチルである、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
が である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
が水素である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記混合物から(RNRNHを分離する工程が、前記混合物の蒸留によって行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物から(RNRNHを分離する工程が、
(RNRNHを含む混合物をアミド化して、対応する(RNRNHベースのアミドを含むアミド化混合物を得ること;
アミド化混合物の他の成分から(RNRNHベースのアミドを分離すること;および、
(RNRNHベースのアミドの脱アミドによって、(RNRNHをそのアミドから回収すること;
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
第三アミンが式(RNRNRを有し、Rが、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され、前記方法が、前記(RNRNHのアルキル化によって(RNRNHを(RNRNRに転化させる追加の工程を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記アルキル化混合物から(RNRNRを分離する追加の工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第三アミンが式(RNRNを有し、該方法が、前記混合物から(RNRNを分離する前に、前記混合物の少なくとも一部をRNR(OH)とアンモニアとの反応に再循環させる追加の工程を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
式(RNRNH[式中、RとRのそれぞれがメチル基であり;Rが−CHCHOCHCH−である]を有する第二アミン。
【請求項12】
前記(RNRNHが、アルキル化(RNRNH、一般には(RNRNRを含む、請求項11に記載の式(RNRNHを有する第二アミン。
【請求項13】
前記第二アミンが(RNRNRを0.1重量%〜20重量%の範囲にて含む、請求項11に記載の式(RNRNHを有する第二アミン。
【請求項14】
式(RNRN[式中、RとRのそれぞれがメチル基であり;Rが−CHCHOCHCH−である]を有する第三アミン。
【請求項15】
式(RNRNR
[式中、RとRのそれぞれが、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択され;
が、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHCHCH−、および−CHCHCHOCHCHCH−からなる群から選択されるアルコキシアルキル基であり;
が、メチル基、エチル基、イソプロピル基、およびn−プロピル基からなる群から選択される]
を有し、実質的に塩素を含有しない第三アミン。
【請求項16】
前記第三アミンが0.01重量%未満のClを遊離形または結合形にて含む、請求項15に記載の式(RNRNRを有する第三アミン。
【請求項17】
式(RNRNH[式中、RとRのそれぞれがメチル基であり;Rが−CHCHOCHCH−である]を有する第二アミンの、イソシアネートとイソシアネート反応性化合物とからポリウレタンを得る反応における触媒としての使用。

【公表番号】特表2012−528815(P2012−528815A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513527(P2012−513527)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056144
【国際公開番号】WO2010/139521
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(511291061)ハンツマン・コーポレーション・ハンガリー・ゼーエルテー (2)
【出願人】(500030150)ハンツマン・インターナショナル・エルエルシー (56)
【Fターム(参考)】