説明

第四級ホスホニウム塩及びそれを含有してなる電解質

【課題】 従来のアルコキシアルキル基を導入した第四級ホスホニウム塩と比べて低融点であって、電解質として有用な新規第四級ホスホニウム塩、及びその第四級ホスホニウム塩を用いてなる電解質を提供することを課題とする。
【解決手段】 式(1):
【化1】


[式中、R〜Rはそれぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rはメチル基又はエチル基を示す。m及びnは1〜3の整数を示す。Aはアニオン(但し、ハロゲンイオンを除く。)を示す。]で表される第四級ホスホニウム塩、及び該ホスホニウム塩を含有してなる電解質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な第四級ホスホニウム塩及びそれを含有してなる電解質に関する。
【背景技術】
【0002】
常温(常温は25℃を意味する。以下同じ。)において液体である第四級塩は、イオン液体と呼ばれており、蒸気圧が極めて低いこと、不燃または難燃であること、イオン伝導度を有すること、電気化学的に安定であること等の特性を有することから、電気化学デバイス(例えば、電池、二次電池、電気二重層コンデンサー、電気二重層キャパシタ、電解コンデンサー)用電解質としての応用が期待されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【0003】
通常、イオン液体からなる電気化学デバイス用電解質は、0℃以下の低温を含む幅広い温度範囲で液体状態を維持して使用するために、有機溶媒に溶解され電解液として使用されることが多い。しかしながら、当該電解液では、電気化学デバイスからの有機溶媒の漏洩による引火等の安全上の問題がある。このことから、有機溶媒を使用せずともイオン液体単独で前記の幅広い温度範囲で液体状態を維持できる低融点のものの開発が望まれている。
【0004】
ここで、特許文献1及び非特許文献1では、電解質としてアルコキシアルキル基を導入した第四級ホスホニウム塩が記載されており、具体的な第四級ホスホニウム塩として、特許文献1にはトリエチルメトキシエチルホスホニウム=テトラフルオロボレートが記載され、非特許文献1にはトリエチルメトキシメチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルメトキシエチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が記載されている。
【0005】
特許文献1及び非特許文献1をもとに本発明者が前記のアルコキシアルキル基を導入した第四級ホスホニウム塩を合成しその物性を測定したところ、融点はいずれも10℃以上であり、単独で電解質として使用するには、十分なものではないことがわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO02/076924号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】溶融塩および高温化学 2008 Vol.51 No.2 200−206頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来のアルコキシアルキル基を導入した第四級ホスホニウム塩と比べて低融点であって、電解質として有用な新規第四級ホスホニウム塩、及びその第四級ホスホニウム塩を用いてなる電解質を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、第四級ホスホニウム塩のカチオンを構成するリン原子に結合した置換基として、一つのアルコキシアルコキシアルキル基を有する特定の第四級ホスホニウム塩が、上述した従来の第四級ホスホニウム塩に比べて低融点であること、また十分なイオン伝導度を有しており電解質として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、式(1):
【0011】
【化1】

[式中、R〜Rはそれぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rはメチル基又はエチル基を示す。m及びnは1〜3の整数を示す。Aはアニオン(但し、ハロゲンイオンを除く。)を示す。]で表される第四級ホスホニウム塩(以下、ホスホニウム塩(1)という。)、及び該ホスホニウム塩を含有してなる電解質に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のホスホニウム塩(1)は、従来のアルコキシアルキル基が導入された第四級ホスホニウム塩と比べて低融点であって、十分なイオン伝導度を有しているため、電池、二次電池、電気二重層コンデンサー、電気二重層キャパシタ、電解コンデンサー等の電気化学デバイス用電解質として有用性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0013】
式(1)中、R〜Rで表される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数1又は2のアルキル基である。R〜Rはそれぞれ互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであるものが好ましい。m及びnは1〜3の整数を示し、好ましくは1又は2である。Rはメチル基又はエチル基を示し、好ましくはメチル基である。
【0014】
で表されるアニオンは、ハロゲンイオン以外のアニオンであり、具体的には、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドイオン、パーフルオロアルカンスルホネートイオン、パーフルオロアルカンカルボン酸イオン、無機酸イオン、アルカンスルホネートイオン、アルキルベンゼンスルホネートイオン、アルカンカルボン酸イオン、アルキルベンゼンカルボン酸イオン又は含シアノイオンであり、好ましくはビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドイオン、パーフルオロアルカンスルホネートイオン又はテトラフルオロボレートイオンである。
【0015】
ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドイオンとしては、式(2):
(RSO)(RSO)N (2)
(式中、R及びRは同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基を示す。)で表されるアニオンであり、R及びRで示される炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン[(CFSO]、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン[(CFCFSO]、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドイオン[(CFCFCFCFSO]、(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン[(CFSO)(CFCFSO)N]、(トリフルオロメタンスルホニル)(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドイオン[(CFSO)(CFCFCFSO)N]、(トリフルオロメタンスルホニル)(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドイオン[(CFSO)(CFCFCFCFSO)N]等が挙げられ、好ましくはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン[(CFSO]である。
【0016】
パーフルオロアルカンスルホネートイオン(RSO)としては、炭素数1〜8のパーフルオロアルカンスルホネートイオンが挙げられ、具体的には、トリフルオロメタンスルホネートイオン(CFSO)、ペンタフルオロエタンスルホネートイオン(CFCFSO)、ヘプタフルオロプロパンスルホネートイオン[CF(CFSO]、ノナフルオロブタンスルホネートイオン[CF(CFSO]、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネートイオン[CF(CFSO]等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメタンスルホネートイオン(CFSO)である。
【0017】
パーフルオロアルカンカルボン酸イオンとしては、炭素数1〜8のパーフルオロアルカンカルボン酸イオンが挙げられ、具体的には、トリフルオロ酢酸イオン(CFCOO)、ペンタフルオロプロピオン酸イオン(CFCFCOO)、ヘプタフルオロブタン酸イオン[CF(CFCOO]、ペンタデカフルオロオクタン酸イオン[CF(CFCOO]等が挙げられ、好ましくはトリフルオロ酢酸イオン(CFCOO)である。
【0018】
無機酸イオンとしては、例えばビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(FSO]、フルオロスルホネートイオン(FSO)、テトラフルオロボレートイオン(BF)、トリフルオロ(ペンタフルオロエチル)ボレートイオン[BF(C]、ヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)、トリフルオロ(トリペンタフルオロエチル)ホスフェートイオン[PF(C]、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF)、ヘキサフルオロタンタル酸イオン(TaF)等の含フッ素無機酸イオン、例えば過塩素酸イオン(ClO)、硝酸イオン(NO)、硫酸イオン(SO2−)、リン酸イオン(PO3−)、ホウ酸イオン(BO3−)等の酸素酸イオンが挙げられ、好ましくはビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(FSO]、テトラフルオロボレートイオン(BF)、ヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)、より好ましくはテトラフルオロボレートイオン(BF)である。
【0019】
アルカンスルホネートイオンとしては、例えばメタンスルホネートイオン(CHSO)、エタンスルホネートイオン(CHCHSO)、ブタンスルホネートイオン[CH(CHSO]、オクタンスルホネートイオン[CH(CHSO]等が挙げられる。アルキルベンゼンスルホネートイオンとしては、例えばパラトルエンスルホネートイオン(p−CHSO)、ドデシルベンゼンスルホネートイオン[p−CH(CH11SO]、又はこれらの分枝型が挙げられる。
【0020】
アルカンカルボン酸イオンとしては、例えばギ酸イオン(HCOO)、酢酸イオン(CHCOO)、プロピオン酸イオン(CHCHCOO)、ブタン酸イオン[CH(CHCOO]、オクタン酸イオン[CH(CHCOO]、デカン酸イオン[CH(CHCOO]等が挙げられる。アルキルベンゼンカルボン酸イオンとしては、例えば安息香酸イオン(CCOO)、サリチル酸イオン[o−C(OH)COO]等が挙げられる。
【0021】
含シアノイオンとしては、例えばジシアナミドイオン[N(CN)]、チオシアン酸イオン(SCN)等が挙げられる。好ましくはジシアナミドイオン[N(CN)]である。
【0022】
ホスホニウム塩(1)の具体例としては、1,1,1−トリメチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1,1−トリメチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチル−1−エチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチル−1−エチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1,1−ジエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1,1−ジエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1,1−トリオクチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1,1−トリオクチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、
【0023】
1,1,1−トリメチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=トリフルオロメタンスルホネート、1,1,1−トリメチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=トリフルオロメタンスルホネート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=トリフルオロメタンスルホネート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=トリフルオロメタンスルホネート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=トリフルオロメタンスルホネート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=トリフルオロメタンスルホネート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ペンタフルオロエタンスルホネート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ペンタフルオロエタンスルホネート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ノナフルオロブタンスルホネート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ノナフルオロブタンスルホネート、
【0024】
1,1,1−トリメチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=テトラフルオロボレート、1,1,1−トリメチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=テトラフルオロボレート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=テトラフルオロボレート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=テトラフルオロボレート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=テトラフルオロボレート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=テトラフルオロボレート、
【0025】
1,1,1−トリメチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ヘキサフルオロホスフェート、1,1,1−トリメチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ヘキサフルオロホスフェート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ヘキサフルオロホスフェート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ヘキサフルオロホスフェート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ヘキサフルオロホスフェート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ヘキサフルオロホスフェート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=トリフルオロ(トリペンタフルオロエチル)ヘキサフルオロホスフェート、
【0026】
1,1,1−トリメチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ジシアナミド、1,1,1−トリメチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ジシアナミド、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ジシアナミド、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ジシアナミド、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ジシアナミド、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ジシアナミド、
【0027】
1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=トリフルオロアセテート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=トリフルオロアセテート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=トリフルオロアセテート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=トリフルオロアセテート、
【0028】
1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=メタンスルホネート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=メタンスルホネート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=メタンスルホネート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=メタンスルホネート、
【0029】
1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=p−トルエンスルホネート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=p−トルエンスルホネート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=p−トルエンスルホネート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=p−トルエンスルホネート、
【0030】
1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ニトレート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ニトレート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ニトレート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ニトレート、
【0031】
1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=パークロレート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=パークロレート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=パークロレート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=パークロレート、
【0032】
1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=チオシアネート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=チオシアネート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=チオシアネート、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=チオシアネート等が挙げられ、好ましくは1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=トリフルオロメタンスルホネート、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=テトラフルオロボレートである。
【0033】
ホスホニウム塩(1)の融点は、好ましくは0℃以下、特に好ましくは−10℃以下である。
【0034】
次にホスホニウム塩(1)の製造方法について説明する。ホスホニウム塩(1)は、例えば式(3):
【0035】
【化2】

(式中、R〜Rは前記に同じ。Xはハロゲンイオンを示す。)で表されるホスホニウム=ハライド(以下、ホスホニウム=ハライド(3)という。)を、式(4):
MA (4)
(式中、Mは水素原子又はアルカリ金属を示す。Aは前記に同じ。)で表される化合物(以下、酸類(4)という。)と反応させて、XをAにイオン交換させることで製造することができる。
【0036】
ホスホニウム=ハライド(3)のハロゲンイオンとしては、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンが挙げられる。
【0037】
酸類(4)としては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸[(CFSONH]、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)、テトラフルオロ硼酸(HBF)並びにそれらのアルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)及び銀塩等が挙げられる。
【0038】
ホスホニウム=ハライド(3)は、例えば、式(5):
【0039】
【化3】

(式中、R〜Rは前記に同じ。)で表されるトリアルキルホスフィン類(以下、トリアルキルホスフィン類(5)という)を式(6):
O(CHO(CH−X (6)
(式中、R、m及びnは前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。)で表されるアルキルハライド類(以下、アルキルハライド類(6)という。)と反応させることで製造できる。
【0040】
トリアルキルホスフィン類(5)としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン等が挙げられる。
【0041】
アルキルハライド類(6)としては、例えば、メトキシエトキシメチルクロライド、メトキシエトキシエチルクロライド、エトキシエトキシエチルクロライド、メトキシエトキシメチルブロマイド、メトキシエトキシエチルブロマイド、エトキシエトキシエチルブロマイド、メトキシエトキシメチルシヨード、メトキシエトキシエチルヨード、エトキシエトキシエチルヨード等が挙げられる。アルキルハライド類(6)の使用量は、トリアルキルホスフィン類(5)1モルに対して0.5モル〜2.0モルであり、好ましくは0.7〜1.5モルであり、より好ましくは0.8〜1.2モルである。
【0042】
トリアルキルホスフィン類(5)とアルキルハライド類(6)の反応は、溶媒を使用してもしなくともよく、溶媒を使用するときの溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒等が挙げられる。溶媒の使用量は特に制限はないが、トリアルキルホスフィン類(5)1重量部に対して通常10.0重量部以下、好ましくは1.0〜5.0重量部である。
【0043】
トリアルキルホスフィン類(5)とアルキルハライド類(6)との反応を実施するには、例えば、トリアルキルホスフィン類(5)、アルキルハライド類(6)及び溶媒の混合物を、反応に使用する溶媒の種類にもよるが、通常20℃以上、好ましくは60℃〜120℃にて撹拌すればよい。
【0044】
トリアルキルホスフィン類(5)は極めて空気(酸素)により酸化されやすく、トリアルキルホスフィンオキサイドに変換されるため、反応は不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましく、特に窒素またはアルゴン雰囲気中で行うことが好ましい。
【0045】
上記のようにしてホスホニウム=ハライド(3)を含む反応混合物を得た後、当該反応混合物が均一な溶液であれば、そのまま濃縮してホスホニウム=ハライド(3)を主成分とする残渣を得る。この残渣はホスホニウム塩(1)を製造するための反応にそのまま用いてもかまわない。また必要で有れば、残渣を有機溶媒(例えば、ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン等)と混合し、残渣に含まれる未反応原料等の不純物を有機溶媒に溶解した後、分液操作で有機溶媒層を除いて得られる精製されたホスホニウム=ハライド(3)を用いてもよい。また反応混合物が均一とならず分液状態であれば、分液操作で有機溶媒層を除き、得られたホスホニウム=ハライド(3)を含むオイル層を前記の有機溶媒で同様の操作を行えばよい。
【0046】
ホスホニウム=ハライド(3)と酸類(4)との反応は通常溶媒中で行われる。溶媒は水溶媒または有機溶媒(例えば、メタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等)であり、単独または2種以上の溶媒を用いることができる。使用量は特に制限はないが、通常ホスホニウム=ハライド(3)1重量部に対して通常20.0重量部以下、好ましくは0.5〜10.0重量部であり、特に好ましくは1.0重量部〜5.0重量部である。
【0047】
ホスホニウム=ハライド(3)、酸類(4)及び溶媒の混合順序は特に限定されず、ホスホニウム=ハライド(3)と溶媒を混合した後に酸類(4)を添加してもよいし、酸類(4)と溶媒を混合した後にホスホニウム=ハライド(3)を添加してもよい。酸類(4)の使用量は、ホスホニウム=ハライド(3)1モルに対して、通常、0.8モル以上、好ましくは0.9〜1.5モル、より好ましくは1.0〜1.1モルである。
【0048】
反応温度は、通常10℃以上、好ましくは15℃〜60℃、特に好ましくは20℃〜40℃である。
【0049】
イオン交換で得られたホスホニウム塩(1)は、所望により水洗した後、溶媒を留出除去すれば得られる。また、必要であれば水に不溶の有機溶媒(例えば、トルエン、塩化メチレン、酢酸エチル等)を反応中又は反応終了後に添加し、ホスホニウム塩(1)を水に不溶の有機溶媒に抽出してもよい。
【0050】
本発明の電解質は、通常はホスホニウム塩(1)のみからなるが、必要に応じて、他の四級塩(第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩等)、難燃剤、有機溶剤、粘度調節剤、ゲル化剤等を含有してもよく、これらの添加剤の使用量は本発明の効果を妨げない程度であれば特に制限されない。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例中、融点は示差走査熱量分析装置DSC−220(セイコーインスツルメンツ株式会社製)、粘度はE型粘度計DV−II+PRO(ブルックフィールド社製)、イオン伝導度はコンパクト導電率計TwinCond B−173(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。なお、粘度及びイオン伝導度については、25℃で測定し、25℃において固体であるものについては、測定不可とした。
【0052】
合成例1
窒素雰囲気下で、20重量%トリエチルホスフィントルエン溶液45.02g(純分9.00g、0.076モル、関東化学試薬)と2−メトキシエトキシメチルクロライド8.63g(0.069モル)を混合し、100℃で36時間反応させた。反応終了後、20℃まで冷却し、分液しているホスホニウムハライド(3)を含むオイル層(下層)を分液操作により分離し、トルエン34.7gで2回洗浄後、n−ヘキサン34.7gで2回洗浄した。得られたオイル層を減圧下、70℃で濃縮し、25℃で液状の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=クロライド12.68g(収率75.4%)を得た。
【0053】
合成例2
窒素雰囲気下で、20重量%トリエチルホスフィントルエン溶液67.08g(純分13.42g、0.112モル、関東化学試薬)と1−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)エタン18.8g(0.102モル)を混合し、70℃で24時間反応させた。反応終了後、20℃まで冷却し、分液しているホスホニウムハライド(3)を含むオイル層(下層)を分液操作により分離し、トルエン82.6gで2回洗浄後、n−ヘキサン82.6gで2回洗浄した。得られたオイル層を減圧下、70℃で濃縮し、25℃で液状の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ブロマイド26.52g(収率89.6%)を得た。
【0054】
合成例3
窒素雰囲気下で、トルエン440.16g中にてトリブチルホスフィン122.62g(0.606モル)を2−メトキシエトキシメチルクロライド68.72g(0.552モル)と100℃で24時間反応させた。反応終了後、減圧下でトルエンを留去させ、粗1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=クロライドを183.77g得た。これにイオン交換水を44.96g添加した後、n−ヘキサン183.20gで3回洗浄した。得られたオイル層を減圧下、70℃で濃縮し、25℃で液状の1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=クロライド175.96g(収率97.6%)を得た。
【0055】
合成例4
合成例1の2−メトキシエトキシメチルクロライドにかえて、2−メトキシメチルクロライドを用いた以外は、合成例1と同様にして、25℃で固体の1,1,1−トリエチル−1−メトキシメチルホスホニウム=クロライドを得た。
【0056】
合成例5
合成例2の1−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)エタンにかえて、ブロモ−2−メトキシエトキシエタンを用いた以外は、合成例2と同様にして、25℃で固体の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエチルホスホニウム=ブロマイドを得た。
【0057】
合成例6
合成例3の2−メトキシエトキシメチルクロライドにかえて、2−メトキシメチルクロライドを用いた以外は、合成例3と同様にして、25℃で固体の1,1,1−トリブチル−1−メトキシメチルホスホニウム=クロライドを得た。
【0058】
実施例1
1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=クロライド3.15g(0.0130モル)、塩化メチレン63.0g及びイオン交換水63.0gを混合した後、70.8重量%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム水溶液5.53g(純分3.91g、0.0136モル)を添加し、室温で4時間撹拌した。反応終了後、得られた有機層を分液操作により分離し、イオン交換水63.0gで2回洗浄した。有機層を濃縮して塩化メチレンを除去後、残渣を減圧下で濃縮し、25℃で液状の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、化合物(1)と略記する。)5.78gを得た(収率91.4%)。得られた化合物(1)の融点、粘度及びイオン伝導度を測定した。以下に化合物(1)のNMRデータを示す。
【0059】
H−NMR(CDCl)δ:1.26−1.34(m,9H)、2.22−2.31(m,6H)、3.36(s,3H)、3.54−3.56(m,2H)、3.78−3.80(m,2H)、4.40(d,2H)
【0060】
実施例2
1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ブロマイド7.00g(0.0232モル)、塩化メチレン28.0g及びイオン交換水28.0gを混合した後、70.8重量%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム水溶液9.90g(純分2.01g、0.0244モル)を添加し、室温で4時間撹拌した。反応終了後、得られた有機層を分液操作により分離し、イオン交換水28.0gで2回洗浄した。有機層を濃縮して塩化メチレンを除去後、残渣を減圧下で濃縮し、25℃で液状の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、化合物(2)と略記する。)11.17gを得た(収率95.9%)。得られた化合物(2)の融点、粘度及びイオン伝導度を測定した。以下に化合物(2)のNMRデータを示す。
【0061】
H−NMR(CDCl)δ:1.23−1.31(m,9H)、2.20−2.29(m,6H)、2.47−2.50(m,2H)、3.35(s,3H)、3.49−3.51(m,2H)、3.60−3.63(m,2H)、3.79−3.86(m,2H)
【0062】
実施例3
1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=クロライド174.15g(0.533モル)、塩化メチレン351.74g及びイオン交換水228.35gを混合した後、70.8重量%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム水溶液228.35g(純分161.67g、0.563モル)を添加し、室温で4時間撹拌した。反応終了後、得られた有機層を分液操作により分離し、イオン交換水348.8gで2回洗浄した。有機層を濃縮して塩化メチレンを除去後、残渣を減圧下で濃縮し、25℃で液状の1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシメチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、化合物(3)と略記する。)298.86gを得た(収率98.2%)。得られた化合物(3)の融点、粘度及びイオン伝導度を測定した。以下に化合物(3)のNMRデータを示す。
【0063】
H−NMR(CDCl)δ:0.95−0.99(m,9H)、1.47−1.58(m,15H)、2.14−2.21(m,6H)、3.36(s,3H)、3.54−3.56(m,2H)、3.77−3.79(m,2H)、4.38(d,2H)
【0064】
実施例4
1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ブロマイド4.70g(0.0156モル)、塩化メチレン94.0g及びイオン交換水23.5gを混合した後、トリフルオロメタンスルホン酸2.46g(0.0164モル)を添加し、室温で4時間撹拌した。反応終了後、得られた有機層を分液操作により分離し、イオン交換水11.8gで2回洗浄した。有機層を濃縮して塩化メチレンを除去後、残渣を減圧下で濃縮し、25℃で液状の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=トリフルオロメタンスルホネート(以下、化合物(4)と略記する。)3.80gを得た(収率65.8%)。得られた化合物(4)の融点、粘度及びイオン伝導度を測定した。以下に化合物(4)のNMRデータを示す。
【0065】
H−NMR(CDCl)δ:1.24−1.33(m,9H)、2.27−2.36(m,6H)、2.57−2.63(m,2H)、3.35(s,3H)、3.49−3.51(m,2H)、3.60−3.63(m,2H)、3.82−3.90(m,2H)
【0066】
実施例5
1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ブロマイド5.15g(0.0171モル)、アセトニトリル103.0g及びテトラフロオロほう酸銀塩3.40g(0.0175モル)を混合し、室温で12時間撹拌した。反応終了後、副生する臭化銀をろ過でろ別し、得られたろ液を濃縮してアセトニトリルを除去後、塩化メチレン108.8gを添加し、イオン交換水10.9gで2回洗浄した。得られた塩化メチレン層を減圧下で濃縮し、25℃で液状の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=テトラフルオロボレート(以下、化合物(5)と略記する。)4.54gを得た(収率86.1%)。得られた化合物(5)の融点、粘度及びイオン伝導度を測定した。以下に化合物(5)のNMRデータを示す。
【0067】
H−NMR(CDCl)δ:1.24−1.32(m,9H)、2.24−2.33(m,6H)、2.52−2.58(m,2H)、3.35(s,3H)、3.49−3.52(m,2H)、3.60−3.63(m,2H)、3.81−3.90(m,2H)
【0068】
比較例1
実施例1の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=クロライドにかえて、1,1,1−トリエチル−1−メトキシメチルホスホニウム=クロライドを用いた以外は、実施例1と同様にして、25℃で液状の1,1,1−トリエチル−1−メトキシメチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、比較化合物(1)と略記する。)を収率81.0%で得た。得られた比較化合物(1)の融点、粘度及びイオン伝導度を測定した。
【0069】
比較例2
実施例2の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ブロマイドにかえて、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエチルホスホニウム=ブロマイドを用いた以外は、実施例2と同様にして、25℃で液状の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、比較化合物(2)と略記する。)を収率93.5%で得た。得られた比較化合物(2)の融点、粘度及びイオン伝導度を測定した。
【0070】
比較例3
実施例3の1,1,1−トリブチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=クロライドにかえて、1,1,1−トリブチル−1−メトキシメチルホスホニウム=クロライドを用いた以外は、実施例3と同様にして、25℃で固体の1,1,1−トリブチル−1−メトキシメチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、比較化合物(3)と略記する。)を収率98.6%で得た。得られた比較化合物(3)の融点、粘度及びイオン伝導度を測定した。
【0071】
比較例4
実施例4の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ブロマイドにかえて、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエチルホスホニウム=ブロマイドを用いた以外は、実施例3と同様にして、25℃で固体の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエチルホスホニウム=トリフルロメタンスルホネート(以下、比較化合物(4)と略記する。)を収率45.8%で得た。得られた比較化合物(4)の融点、粘度及びイオン伝導度を測定した。
【0072】
比較例5
実施例5の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエトキシエチルホスホニウム=ブロマイドにかえて、1,1,1−トリエチル−1−メトキシエチルホスホニウム=ブロマイドを用いた以外は、実施例5と同様にして、25℃で固体の1,1,1−トリエチル−1−メトキシエチルホスホニウム=テトラフルオロボレート(以下、比較化合物(5)と略記する。)を収率74.8%で得た。得られた比較化合物(5)の融点、粘度及びイオン伝導度を測定した。
【0073】
アニオンが、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオンである化合物の融点、粘度及びイオン伝導度の測定結果を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
アニオンが、トリフルオロメタンスルホネートイオンである化合物の融点、粘度及びイオン伝導度の測定結果を表2に示す。
【0076】
【表2】

【0077】
アニオンが、テトラフルオロボレートイオンである化合物の融点、粘度及びイオン伝導度の測定結果を表3に示す。
【0078】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

[式中、R〜Rはそれぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rはメチル基又はエチル基を示す。m及びnは1〜3の整数を示す。Aはアニオン(但し、ハロゲンイオンを除く。)を示す。]で表される第四級ホスホニウム塩。
【請求項2】
がビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドイオン、パーフルオロアルカンスルホネートイオン又はテトラフルオロボレートイオンである請求項1に記載の第四級ホスホニウム塩。
【請求項3】
がビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリフルオロメタンスルホネートイオン又はテトラフルオロボレートイオンである請求項1に記載の第四級ホスホニウム塩。
【請求項4】
融点が0℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の第四級ホスホニウム塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の第四級ホスホニウム塩を含有してなる電解質。

【公開番号】特開2010−265237(P2010−265237A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119616(P2009−119616)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000167646)広栄化学工業株式会社 (114)
【Fターム(参考)】