説明

第3級ブタノールの製造方法

【課題】高濃度の第3級ブタノールを高収率で得ると同時に、分離される1−ブテンの品位を向上し、水和触媒中の第3級ブタノールを除去して反復使用可能にする第3級ブタノールの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ヘテロポリ酸水溶液を水和触媒として使用し、これを加圧、加熱下に向流的に複数段階で、少なくともイソブチレンと1−ブテンとを含有する炭化水素混合物と接触水和反応させて得られた第3級ブタノールを含有する触媒水溶液層から第3級ブタノールを蒸留回収するに当たって、蒸留操作を直列的に連結された二以上の蒸留器を順次使用して実施するか、または一つの回分式蒸留器で逐次還流比を変更しながら実施する事によって、高濃度の第3級ブタノールを採取すると同時に事実上第3級ブタノールを含有しない反復使用可能な触媒水溶液を回収する事を特徴とする第3級ブタノールの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は第3級ブタノールの製造方法に関する。さらに詳細にはナフサの分解反応の生成物から分離された炭素数が4からなる炭化水素混合物から1,3−ブタジエンが選択的に分離除去された残渣に含有されるイソブチレンを反復使用可能な酸性触媒の存在下に効率的に水和させて、さらにその炭化水素残渣中のイソブチレン含量を最少にする事のできる第3級ブタノールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナフサの分解生成物から分離された炭素数が4である炭化水素混合物には多種類の炭化水素類が含有されている。その中で産業上、殊に化学工業上有用なものとしては1,3−ブタジエン、イソブチレンおよび1−ブテンが挙げられる。ここで、1,3−ブタジエンは合成ゴムまたはプラスチックスの原料として既に古くから利用されてきた。また、イソブチレンからはブチルゴム、プラスチックスの安定剤類、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類またはガソリンのオクタン価向上剤などが誘導され、広く利用されている。さらに、1−ブテンは2−ブテンとともに第2級ブタノールまたはメチルエチルケトンなどに誘導され利用されていたが、最近、これがポリオレフィンと称されるプラスチックスの原料として使用されるようになって、特に注目され、需要が漸次拡大されつつある状況である。しかし、この分野に使用される1−ブテンは比較的に高純度の品位が要求され、殊にイソブチレンの混在は嫌われている。従って、炭素数が4である炭化水素混合物から1−ブテンを高純度で分離回収する事は新しい課題となり、とりわけ、炭化水素混合物からイソブチレンを水和して第3級ブタノールに変換して分離する方法においては、その後で分離される1−ブテン中に混入するイソブチレンの量が特に多く、この課題が重要視されるようになっている。
【0003】
ナフサの分解生成物から分離された炭素数が4である炭化水素混合物からは順次有用な炭化水素類が分離回収される。先ず1,3−ブタジエンが分離回収される。1,3−ブタジエンが分離回収された残渣には殆ど1,3−ブタジエンは含有されていない。この残渣は当業界ではスペントBBまたはRaffinate−I(以下、本明細書においてはR−Iと称する。)と称されている。続いて、R−Iからはイソブチレンが除去される。イソブチレンはアルコール類、特にメタノールと反応させて第3級ブチルエーテルに変換してから分離除去されるか、これを水和させて第3級ブタノールにして分離除去されるかの二つの方法が取られている。イソブチレンが除去された残渣はRaffinate−II(以下、本明細書においてはR−IIと称する。)と称されていて1−ブテンが多く含有されている。既に説明した通り、高純度の1−ブテンはポリオレフィン類の原料として最近、需要を伸ばしつつあって重要である。これは通常、蒸留法によってR−IIから分離される。ただし、R−II中に含有されているイソブチレンは蒸留法では1−ブテンと分離する事が困難である。そして、R−I中のイソブチレンを第3級ブタノールに変換して除去する方法においては最終、1−ブテン中に残存するイソブチレンの量が比較的に多く、これを効率的に減少させる事はさらに困難であった。
【0004】
R−I中のイソブチレンを水和させて第3級ブタノールを製造するに際して使用される触媒としては、大別して二種類が知られている。その一つは硫酸またはスルホン酸類であり、これは特許文献1または特許文献2などの各公報に詳しい。他の一つはりんモリブデン酸またはりんタングステン酸などのヘテロポリ酸と称される強酸性物質であって、特許文献3、特許文献4または特許文献5などの各公報に詳しい。特に、特許文献6にはモリブデン、タングステンまたはバナジウムを縮合配位元素としたヘテロポリ酸のイソブチレンに対する水和触媒としての利点が詳述されていて、さらに、高価なヘテロポリ酸水溶液の反復使用についての説明もあるが、触媒の反復使用におけるR−II中のイソブチレン含量を減少させる対策に付いては認識されていない。また、特許文献7には連続蒸留法による第3級ブタノールの蒸留についての説明があるが、この方法によれば、蒸留塔頂から取り出す第3級ブタノールの濃度を充分に保ちながら、蒸留塔底から取り出す触媒水溶液中に残存する第3級ブタノール含量を0.2重量%以下にする事は困難であるとされている。そして、この方法によって回収された触媒水溶液を反復使用する時、R−II中のイソブチレン含有量を3重量%以下に保つ事の困難性は既に知られている。
【特許文献1】特開平8−40956号公報
【特許文献2】特開2005−220092号公報
【特許文献3】特公昭58−39134号公報
【特許文献4】特開2000−44497号公報
【特許文献5】特開2000−44502号公報
【特許文献6】特公昭58−39134号公報
【特許文献7】特開2000−44502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ナフサ分解反応の生成物から分離された炭素数が4である炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを選択的に回収した残渣すなわちR−I中に存在するイソブチレンを反復使用可能な水和触媒を使用して効率的に水和し高濃度の第3級ブタノールを高収率で製造すると同時に、さらにその炭化水素残渣すなわちR−II中に残存するイソブチレン量を最少にして、R−IIから引き続いて分離回収される1−ブテンをポリオレフィン類の原料としての使用に好ましい程度の品位にまで向上させる事が本発明の第一の課題であり、ここで使用された水和触媒を新規触媒と同程度の品位にまで効率的に復元して反復使用可能にする事が本発明の第二の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくともイソブチレンと1−ブテンとを含有する炭化水素混合物から反復して使用される触媒の存在下で選択的にイソブチレンを水和して第3級ブタノールを製造すると同時に残余の炭化水素混合物中に含有されるイソブチレン量を最少にする事を目的とした第3級ブタノールの製造方法において、ヘテロポリ酸水溶液を水和触媒として使用し、これを加圧、加熱下に向流的に複数段階で炭化水素混合物と接触水和反応させて得られた第3級ブタノールを含有する触媒水溶液層から第3級ブタノールを蒸留回収するに当たって、蒸留操作を直列的に連結された二以上の蒸留器を順次使用して実施するか、または一つの回分式蒸留器で逐次還流比を変更しながら実施する事によって、高濃度の第3級ブタノールを採取すると同時に事実上第3級ブタノールを含有しない反復使用可能な触媒水溶液を回収する事を特徴とする第3級ブタノールの製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
発明の実施態様、実施例、比較例および参考例から理解されるように、本発明は反復使用可能な触媒を使用して、R−Iから効率的に第3級ブタノールが製造されると同時に副生するR−II中のイソブチレンの含有量を最少にし、引き続いてこれから分離される1−ブテンの品位が向上される効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
再び繰り返すが、反復使用可能な触媒を使用してR−I中のイソブチレンを選択的且つ効率的に水和させてR−II中に残存するイソブチレンの含有量を最少にする事が本発明の第一の課題である。ここで、イソブチレンの最少の含有量とは1重量%以下、より好ましくは0.7重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。ちなみに、R−Iの代表的な組成はイソブチレン42重量%、1−ブテン30重量%、2−ブテン15重量%、n−ブタン7重量%、イソブタン2重量%その他4重量%である。
【0009】
イソブチレンの水和反応によって第3級ブタノールを生成させる反応は可逆反応であり、触媒の種類の如何に関わらず、平衡関係は一定である。その化学量論的な平衡点は反応温度に支配される。そして、この反応は発熱反応であり、反応温度の低い方が平衡点は生成系側に移動する。ただ、低過ぎる温度での反応は反応速度が小さいので工業的な採用は困難である。本発明の実施においての好ましい反応温度は30ないし80℃さらに好ましくは、40ないし70℃の範囲である。反応温度が30℃未満の時は水和反応速度が極めて緩慢であり、80℃を超える時には少量の第2級ブタノールの生成が見られ、触媒寿命が短縮される傾向があり、不利である。
【0010】
本発明の実施に好ましい水和触媒はヘテロポリ酸と称されるもののすべてが包含され得るが、実際的にはりんモリブデン酸またはりんタングステン酸の二種類が安定性が良く最も好ましく使用される。そして、この水和触媒として使用されるヘテロポリ酸水溶液の濃度は20ないし75重量%の範囲である事が好ましく、さらに触媒活性の安定性を向上させると共に、反応機器の腐食を防止する目的で少量のりん酸を触媒水溶液に加える事は好ましい。
【0011】
R−Iの向流的な接触水和反応において、イソブチレンの最終水和段階、つまり回収触媒水溶液の最初の炭化水素との接触段階での水和反応の平衡関係を考察すれば、回収触媒水溶液中の第三級ブタノール含有量とR−II中のイソブチレンとの量的な関係が簡単に割り出せるはずではあるが、反応の平衡論的な議論は反応系が均一である時にのみ正確であって、本発明の実施形態のような油層と水層との不均一系での平衡関係はさらに複雑であり、単純な計算で算出される範囲ではなく、多くの実験結果からしか正確には知り得ない事実である。本発明者等の多くの実験によれば、R−Iからのイソブチレンの最終水和段階、すなわち回収触媒水溶液のはじめの使用段階において、回収触媒水溶液中に残存する第3級ブタノールの量が0.1重量%を超える時には、複数段階の向流的な接触水和反応の段階数の多さ如何に関わらず、本発明方法が目指しているR−II中のイソブチレンの含有量を1重量%以下に保つ事は困難である。本発明が目指しているR−II中の残存イソブチレンの含有量は1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.3重量%以下であって、これを実現するには回収触媒水溶液中に残存する第3級ブタノールの量は0.1重量%以下、さらに好ましくは0.07重量%以下、最も好ましくは0.05重量%以下であるべきである。これは、多くの実験結果によって判明した量的な関係である。とは言え、触媒水溶液とR−Iとの複数段階での向流的な接触反応の段階数が小さ過ぎる場合には回収触媒水溶液中に残存する第3級ブタノールの含量とR−II中のイソブチレン含量との上記関係が成立しない事は言う迄もない。触媒水溶液とR−Iの複数段階での向流的な接触水和反応の成果は触媒水溶液の濃度、R−Iと触媒水溶液の量比または反応温度などに支配され得るが、通常、本発明が目指す成果を得るには向流的な接触水和反応が実効3段階、より好ましくは実効4段階以上である事が要求される。実効段階が3段階未満であれば、水和触媒水溶液中の第3級ブタノールの含量が如何に小さくとも、R−Iと水和触媒水溶液との量比と反応温度が好ましい範囲に設定されるならば、R−IIに残存するイソブチレンの量を目指した値にする事はできない。
【0012】
以上の理由から、本発明の第一の課題と第二の課題は不可分であり、本発明の第二の課題は如何にして、効率的且つ経済的に高濃度の第3級ブタノールを採取すると同時に、回収触媒水溶液中に残存する第3級ブタノール量を最少にするかと言う蒸留方法に関する課題に置き換える事ができる。蒸留は通常、100ないし500ヘクトパスカルの減圧下で実施される。100ヘクトパスカル未満の圧力では逆反応による第3級ブタノールのイソブチレンへの分解反応は防止され易いが、蒸留設備の精留塔およびコンデンサーなどが過大となり、有利ではない。また、500ヘクトパスカルを超えると蒸留温度が高く、第3級ブタノールの分解が加速されるので好ましくない。本発明ではこの第二の課題を解決しうる二つの違った蒸留方法を提供する事ができる。
【0013】
その一つは連続蒸留設備を使用するものである。通常行なわれているようなイソブチレンからの第3級ブタノール製造における連続的な向流接触水和反応設備に伴う連続蒸留設備では塔頂から高濃度の第3級ブタノールを採取しながら、塔底から本発明が目指している程度に第3級ブタノール含量の小さな触媒水溶液を回収する事は蒸留理論の見地からは可能である。しかしながら、これを実現するには極めて高い理論蒸留段数を持った過大な蒸留設備とこれを運転操作するに当たり、極めて大きな還流比が必要であって、大きな設備投資と運転に必要な高いエネルギーコストの二点で、経済的には得策でない。故に、従来は高濃度の第3級ブタノールを採取する事にのみ重点がおかれ、回収される触媒水溶液中の第3級ブタノール含有量については看過されていて、ひいては、この回収触媒水溶液を使用した時のR−II中のイソブチレン含有量の大きさは犠牲にされざるを得なかった。しかるに、本発明者等は二つの連続蒸留設備を図1に示したように直列に配列して、200ヘクトパスカルの条件下で触媒水溶液からの第3級ブタノールの蒸留に当てて、所期の成果を挙げる事ができた。すなわち、第一段の蒸留器の塔頂からは約82重量%濃度の第3級ブタノールを採取した。また、第一段の蒸留器塔底の触媒水溶液の第3級ブタノール含量は本発明が目指しているよりも大きく約0.32重量%であり、そのまま再使用できる範囲ではなく、第二段のインプットに送った。第二段の蒸留器の塔頂の第3級ブタノールの濃度は3ないし8重量%であり充分な濃度ではなく、第一段の蒸留器のインプットに返した。しかし、蒸留器塔底から回収する触媒水溶液の第3級ブタノール含量は本発明が目指している通り、0.04重量%であった。この二つの直列に配列された連続蒸留器を総合すれば、第一段蒸留器から採取される高濃度の第3級ブタノールと同時に、第二段蒸留器からは反復使用可能な触媒水溶液を再生回収する事ができて、本発明の第二の課題が解決された。なお、本発明者等の実験では二つの蒸留器の直列的な配列であったが、当然、本発明は三つ以上の蒸留器の直列配列による実施を妨げるものではない。
【0014】
他の一つは回分式の一つの蒸留器を使用する方法である。本発明者等は内容積20,000mlの硬質ガラス製のフラスコに実効段数が20である精留塔を装備し、塔頂にはタイマーによって還流比が変えられる設備を付着して200ヘクトパスカルの条件下で触媒水溶液からの第3級ブタノールの蒸留を行なった。最初の還流比は1対3に設定して蒸留操作を開始した。最初に留出した第3級ブタノールの濃度は約85重量%であった。ややあって、留出第3級ブタノールの濃度が78重量%に低下したので、還流比を1対6に変更した。留出第3級ブタノールの濃度は83重量%に回復した。しかし、しばらく蒸留したら、留出第3級ブタノールの濃度は再び低下した。再度還流比を変更して留出する第3級ブタノールの濃度を増すようにした。これを繰り返して、最後には還流比を1対20に迄大きくし、この状態で留出する第3級ブタノールの濃度が50重量%になる迄採取し、以後の留出第3級ブタノールの濃度が1.5重量%になる迄蒸留してこの希薄な第3級ブタノールは次回の蒸留操作に加えるために保留した。この時のフラスコ内の触媒水溶液の第3級ブタノール含有量は0.04重量%であり、再使用が充分可能であると判断された。なお、採取した第3級ブタノールの濃度は混合して81重量%であった。これは他の一つの課題の解決方法であり、このように、本発明は二種類の蒸留手段をもって完成された。
【0015】
本発明の工業的な実施においては、1.全連続的な方法(図1参照)、2.全非連続的な方法(図2参照)、3.向流接触水和反応が連続的であり、第3級ブタノールの蒸留が非連続的である方法および4.向流接触水和反応が非連続的であり、第3級ブタノールの蒸留が連続的である方法の四つの異なった組合せの方法を採用する事ができる。1.の全連続的な方法は大規模の生産において最も効率的であり、本発明の工業的な実施においては最も好ましい。2.の全非連続的な方法は比較的に小規模生産または研究的な試験生産に適している。また、3.および4.の方法も採用し得る方法であるが、本項においてはA.連続的な向流接触水和反応、B.非連続的な向流接触水和反応、C.連続的な第3級ブタノールの蒸留方法およびD.非連続的な第3級ブタノールの蒸留方法に分けて説明する。
【0016】
図1は全連続式の向流接触水和反応によるR−Iからの第3級ブタノールの製造設備の概略図であり、1は連続式の向流接触水和反応装置、2は第一段の連続蒸留器、3は第二段の連続蒸留器、aは原料R−I、bは生成するR−II、cは第3級ブタノールを含有する触媒水溶液、dは高濃度第3級ブタノール、eは回収触媒水溶液の中間品、fは希薄な濃度の第3級ブタノール、gは再生回収した触媒水溶液そしてhは回収触媒水溶液に補充される純水をそれぞれ表す。
【0017】
図2は全非連続式の向流接触水和反応によるR−Iからの第3級ブタノールの製造設備の概略図であり、4は一回目水和反応機、5は一回目水和反応混合物の分離器、6は二回目水和反応機、7は二回目水和反応混合物の分離器、8は三回目水和反応機、9は三回目水和反応混合物の分離器、10は三回使用済み触媒水溶液の貯蔵タンク、11は第3級ブタノールの蒸発器、iはR−I、jは一回水和反応混合物、kは一回水和反応混合物から分離されたR−I’、mは三回使用済みの触媒水溶液、nは二回水和反応混合物、oは二回水和反応混合物から分離されたR−I’’、pは二回使用済み触媒水溶液、qは三回水和反応混合物、rはR−II、sは一回使用済み触媒水溶液、tは蒸留器に入る第3級ブタノール含有の触媒水溶液、uは高濃度第3級ブタノール、vは希薄濃度の第3級ブタノール、wは補充される純水そしてxは再生回収された触媒水溶液をそれぞれ表す。
【0018】
A.連続的な向流接触水和反応
連続的な向流接触水和反応装置は連続的な向流抽出装置に類似している。図1に示した構造であって、向流抽出装置としては既に広く採用されているものである。装置内部は多数の段構造を持っていて、各段は共通のシャフトにつながれた攪拌羽根を持っている。ただ、向流接触水和反応装置では向流抽出装置に比べて、反応時間と反応温度の要因が無視できないゆえに、これを考慮した装置の設計を行なうべきである。即ち、向流接触する二つの液体がショートパスしないような配慮と好ましい反応温度の保持に対する配慮が必要であり、当業界では既に多く採用され、また広く知られている。本発明に採用される連続的な向流接触水和反応装置の実効段数は3以上、より好ましくは4以上である。装置の実際の段数と実効段数との関係は反応温度、二液の滞留接触時間、触媒水溶液の濃度、触媒水溶液とR−Iとの量的な関係などに関係があって、一概には言えないが、実装置の段数は6以上、より好ましくは8以上が必要である。反応温度は30ないし80℃、より好ましくは40ないし70℃の範囲である。また、反応は発熱反応であり、向流接触水和反応装置にはジャケットを装備して反応熱を除去する必要がある。この時、向流接触水和反応装置の上部の温度だけを冷却によってより低温度にできればより有利である。R−Iと触媒水溶液との水和反応装置内の接触滞留時間は0.5ないし6時間である事が好ましい。触媒水溶液の濃度は30ないし75重量%、より好ましくは40ないし70重量%の範囲である。R−Iと触媒水溶液との注入量比は1対1ないし1対5の重量比が好ましい。R−Iは向流接触水和反応装置の底部から注入されR−IIは装置の頂部から排出される。一方、触媒水溶液は装置の頂部から注入され第3級ブタノールを含有する触媒水溶液は装置の底部から排出される。この時に注入および排出される4液の量は装置内部の液体のバランスが変動しないような配慮が払われなければならない。これを使用して、事実上第3級ブタノールを含有しない触媒水溶液を頂部から注入すれば、頂部からは目的とする程度にイソブチレン含有量の小さなR−IIが排出される。なお、この装置は液−液間の接触であるゆえに、当然触媒水溶液、R−IおよびR−IIが共に液体で存在できる圧力下で操作されなければならない。
【0019】
B.非連続的な向流接触水和反応
図2には接触反応の段階数が3である非連続的な向流接触水和反応装置を示した。第一反応機にはR−Iと既に二回使用された触媒水溶液が供給され、約60℃、加圧下で反応させられる。反応の終了した反応混合物は第一分離器に移し、二液を分離して触媒水溶液層は三回使用済み触媒として第3級ブタノールを含有しているので、蒸留器に移し第3級ブタノールが採取される。炭化水素層はR−I’と仮称して、第二反応機に移される。第二反応機にはさらに一回使用された触媒水溶液が供給され、同様に、60℃、加圧下で反応させられる。反応混合物は第二分離器に移し、二液を分離して触媒水溶液層は二回使用済み触媒水溶液として第一反応機に移される。炭化水素層はR−I’’と仮称して、第三反応機に移される。この第三反応機には蒸留器で再生回収された触媒水溶液が注入される。ここでは約40℃、加圧下で水和反応が行なわれる。反応混合物は第三分離器で二液を分離して触媒水溶液層は一回使用済みの触媒として、第二反応機に移動される。炭化水素層はR−IIとして採取される。接触段階数が4である非連続的な向流接触水和反応装置に付いてもこれにならえば、考察、理解する事は容易である。また、各反応機の反応時間は0.3時間ないし4時間の範囲で選ばれる。触媒水溶液の濃度は30ないし75重量%の範囲で選択される。R−Iと触媒水溶液の反応比率は連続的な向流接触水和反応と同様に1対1ないし1対5の重量比が好ましい。
【0020】
C.連続的な第3級ブタノールの蒸留方法
図1に示された蒸留器部分から理解されるように、本発明では複数の連続蒸留器を直列に配置して蒸留操作が行なわれる。これが蒸留装置の設備費およびその運転時のエネルギーコストの点で有利である事は既に述べた。複数の連続蒸留器の蒸留塔の実効段数はそれぞれ、5ないし50である事が好ましい。また、蒸留は100ないし500ヘクトパスカルで行なわれるために、塔内での圧力損失を少なくする目的で充填塔形式が好ましい。また、蒸留時の還流比は蒸留塔の実効段数に相応しく設定される事が好ましく1対2ないし1対20の範囲である。図1は二つの蒸留器の直列配列ではあるが、勿論、三つ以上の蒸留器の直列配列も採用する事ができる。第一段の蒸留器の中腹には連続的な向流接触水和反応機から送られる第3級ブタノールを含有した触媒水溶液および次段の塔頂から留出する第3級ブタノールの希薄溶液が注入される。そして、この塔頂から留出する高濃度の第3級ブタノールは製品として採取される。また、塔底から排出される触媒水溶液には再使用するのに好ましくない量の第3級ブタノールが含有されている。これは次段の蒸留塔の中腹に注入される。第二段の塔頂から留出する第3級ブタノールは希薄であり、第一段の蒸留器の中腹に注入される。第二段の塔底から排出される触媒水溶液には再使用するのに好ましい量の第3級ブタノールしか含有されない。この事を総合すれば、接触水和反応機で得られた第3級ブタノール含有の触媒水溶液から高濃度の第3級ブタノールと同時に再使用可能な触媒水溶液が得られる事になる。ただし、ここで回収された触媒水溶液には水和反応で消費された水量と採取された第3級ブタノールに持ち去られた水量とが不足しているので、これを補償して再使用しなければならない。水の補償は触媒水溶液の比重の測定によって行なわれる。ちなみに、65重量%りんタングステン酸水溶液の比重は2.22である。
【0021】
D.非連続的な第3級ブタノールの蒸留方法
図2の蒸留器部分には回分式の蒸留器を示した。通常、回分式蒸留器を使用して多成分系の組成物を蒸留に当たる時、蒸留器の持っている精留塔の段数や還流比の如何に関わらず留出する液の組成が次第に変化する事は知られている。本発明においては、向流接触水和反応器で得られた第3級ブタノールを含有する触媒水溶液から充分な濃度の第3級ブタノールを採取すると同時に、蒸留器に残される第3級ブタノール含有量が極めて小さい触媒水溶液を回収して、触媒水溶液を再使用する事が目的である。これを一つの回分式蒸留器を使用して、一挙に達成しようとすれば、連続的な第3級ブタノールの蒸留方法での説明と同様にこれは極めて高い段数の精留塔とその運転には大きな還流比とが必要であって、経済的であるとは言えない。還流比の大きさは蒸留に消費される熱エネルギーの大きさに直接関係がある。つまり、必要以上に大きな還流比は必要以上の熱エネルギーの消費を意味している。本発明者等は比較的に簡単な回分式蒸留設備と可能な限り小さな熱エネルギーの消費のもとに本発明の目的を達成し得る蒸留方法を考案し、発明を完成するに到った。回分式の蒸留器でも同様に、第3級ブタノールの分解を抑制する目的で100ないし500ヘクトパスカルの減圧下に比較的低温度で行なわれる。また、回分式蒸留においては触媒水溶液に含有されている水が失われて触媒濃度が過度に上昇して、第3級ブタノールの脱水反応が促進される事も防止しなければならない。
【0022】
本発明に使用される回分式蒸留器には比較的に実効段数の大きな精留塔、つまり、2ないし30段、より好ましくは5ないし20段の精留塔が装備されなければならない。この第3級ブタノールの蒸留方法には二つの段階で蒸留を行なう特徴がある。その第一段階では留出する第3級ブタノールの濃度の減少に応じて逐次還流比を変化させながら操作して、熱エネルギーの節約をはかると共に、この蒸留で得られる高濃度の第3級ブタノールの収量の増大をはかる事である。次の第二段階では、還流比は最も大きな設定で操作され、希薄な第3級ブタノールを回収して、蒸留器に残される触媒水溶液中の第3級ブタノールの含量を最少にする事を目的としている。この二つの段階の蒸留操作を総合すれば、高濃度の第3級ブタノールは第一段階の蒸留で得られる。また、第3級ブタノールの含量が最少である触媒水溶液は第二段階の蒸留で得られる。ただし、第二段階の蒸留で得られる希薄濃度の第3級ブタノールは次回の蒸留のために保留される。故に、第二段階で得られる希薄濃度の第3級ブタノール量を可能な限り小さくする事は望ましく、実効段数の大きな精留塔の装備とその運転に当たって、最終大きな還流比の要求されるゆえんである。精留塔の実効段数が2以下であれば、如何に大きな還流比を設定しても、その目的の達成が充分ではない。また、逐次行なう還流比の好ましい変更は1対1から1対25の範囲であり、これは実験結果から得られた結論である。また、還流比の変更は蒸留塔頂に装備されたタイマーによって実施する事ができる。
【実施例】
【0023】
本発明をさらに明確にするために、具体的な実施例、比較例および参考例を挙げて説明する。ただし、実施例は説明の明確さと理解の容易さに資するために非連続的な方法のみについて説明するが、本実施例は本発明を限定するものではない。なお、例中の「%」は重量%を表すものとする。
【0024】
(実施例−1)
先ず、初回の水和反応と第3級ブタノールの蒸留採取について説明する。
【0025】
かきまぜ機、温度計、圧力計、液体注入口および底部に排出口の付いた内容積20,000mlのステンレススチール製のオートクレーブにその組成がイソブチレン:42%、1−ブテン:30%、2−ブテン:15%、n−ブタン:7%、イソブタン:2%およびその他:4%であるR−Iを4,338g圧入した。これをかきまぜながら、反応機内の温度を60℃にした。この中にりんタングステン酸9,100g、85%りん酸91gおよび水4,809gからなる触媒水溶液を673.9g/分の速度で温度を60℃に保ちながら圧入した。その後30分間かきまぜてから、かきまぜ機を停止して30分間静置した。分離した触媒水溶液層だけを注意深く底部から排出して、これを三回使用済みの触媒水溶液として密閉できる内容積10,000mlの容器に保存した。反応機の中にはR−Iからイソブチレンが一回水和除去されたR−I’と仮称する炭化水素が残されている。これをかきまぜながら、60℃に保ちつつ、前に調製したのと同じ触媒水溶液を673.9g/分の速度で圧入した。その後、同様に30分間かきまぜてから、かきまぜ機を停止して30分間静置した。分離した触媒水溶液層だけを注意深く排出して、これを二回使用済みの触媒水溶液として、別の内容積10,000mlの容器に保存した。さらに反応機の中にはR−1’からイソブチレンが一回水和除去されたR−I”と仮称する炭化水素が残されている。再びこれをかきまぜながら、40℃に保ちつつ、前に調製したのと同じ触媒水溶液を673.9g/分の速度で圧入した。その後、90分かきまぜてから、かきまぜ機を停止して30分間静置した。分離した触媒水溶液層だけを注意深く排出して、これを一回使用済みの触媒水溶液として、内容積10,000mlの容器に保存した。反応機内に残された炭化水素はR−IIとして、−10℃に冷却した容器に取出し残留イソブチレンの分析に供した。分析結果はイソブチレンの含量が0.28%であった。次に、保存していた三回使用済みの触媒水溶液および純水1,250gを温度計および実効段数が20である充填式蒸留塔の付いた内容積10,000ml硬質ガラス製の蒸留器に仕込んだ。蒸留塔の上部には精密温度計、冷却器および還流比がタイマーによって変更できる装置を取り付けた。また、冷却器は真空器につないで、蒸留操作を200ヘクトパスカルの減圧下で実施されるようにした。この装置で最初の還流比を1対3に設定して蒸留を開始した。しばらくして、蒸留塔頂の温度が1.0℃上昇したので、還流比を1対6に変更した。蒸留塔頂の温度は完全に回復しなかった。暫時後、蒸留塔頂の温度が最初から1.8℃上昇したので、還流比を1対12に変更した。同様に蒸留塔頂の温度は完全に回復しなかった。再び、蒸留塔頂の温度が最初から2.8℃上昇したので、還流比をさらに1対20に変更した。この設定で蒸留塔頂の温度が最初から7.5℃上昇する迄の留分を高濃度の第3級ブタノールとして採取した。その後の留分は希薄な第3級ブタノールとして回収した。そして蒸留は触媒水溶液中の第3級ブタノールの含有量が0.05%以下になるまで継続した。なお、蒸留操作中、触媒水溶液の濃度の上昇に伴って、蒸留器内の温度が上昇したので、適宜純水を加えて濃度を調節した。高濃度の第3級ブタノール濃度は82%であり、約2,620gが得られた。希薄な第3級ブタノール濃度は25%であって、約1,020gが得られた。蒸留器に残留した触媒水溶液は余分に濃縮されていたために、純水を補充して、最初に調製した触媒水溶液と同じ比重に調整した。なお、これは0.046%の第3級ブタノールを含有していて、再生触媒水溶液として容器に保存した。
【0026】
次に、第二回目の水和反応と第3級ブタノールの蒸留採取について説明する。
【0027】
反応機は初回の水和反応に使用したものを使用した。初回の水和反応と同様にR−Iを4,338g圧入した。続いて、かきまぜながら、反応機内の温度を60℃にした。ここで、初回の水和反応に使用した新規調製の触媒水溶液に代えて初回の水和反応で保存していた二回使用済みの触媒水溶液に純水86gを加えてから、673.9g/分の速度で60℃の温度を保ちながら反応機に圧入した。その後30分間かきまぜてから、かきまぜ機を停止して30分間静置した。分離した触媒水溶液層だけを注意深く排出して、これを三回使用済みの触媒水溶液として、密閉できる内容積10,000mlの容器に保存した。その後の操作は新規調製の触媒水溶液を一回使用済みの触媒水溶液に代えた以外は初回の水和反応と同様にして、排出された触媒水溶液を二回使用済の触媒水溶液として保存した。最後の水和反応では使用した新規調製の触媒水溶液を再生触媒水溶液に代えた以外は初回の水和反応と全く同様にして、R−IIおよび一回使用済みの触媒水溶液が得られた。なお、ここで得られたR−II中のイソブチレンの含有量は0.30%であった。ここの三回使用済みの触媒水溶液には初回の蒸留で得られた希薄な濃度の第3級ブタノールと純水500gとを混合して、初回の蒸留操作と全く同様にして、82%の高濃度第3級ブタノールが約2,920gと25%の希薄な第3級ブタノール約1,030gが得られた。なお、82%の高濃度の第3級ブタノール約2,920gは使用したR−Iから得られる理論値と同じであった。また、蒸留器に残された触媒水溶液の第3級ブタノール含有量は0.043%であり比重による濃度を調整して回収触媒水溶液として保存した。
【0028】
更に、第三回目の水和反応と第3級ブタノールの蒸留採取について説明する。
【0029】
第二回目の水和反応と全く同様にして第二回目の水和反応で得られた二回使用済み触媒水溶液に純水86gを加えてR−Iが仕込まれている反応機に同じ条件で圧入した。一回使用済み触媒水溶液および回収触媒水溶液を順次使用して第三回目の水和反応を行なって、イソブチレン含有量が0.31%のR−IIが得られた。第三回目の水和反応以降では向流的な接触水和反応は定常状態に入ったと考えられた。三回使用済みの触媒水溶液に第二回目の蒸留で得られた希薄な第3級ブタノールと純水500gとを混合して、初回および第二回の蒸留操作と全く同様にして、82%の高濃度の第3級ブタノールが約2,930gと25%の希薄な第3級ブタノール約1,030gが得られた。また、蒸留器に残された触媒水溶液の第3級ブタノール含有量は0.036%であり濃度を調整して回収触媒水溶液として保存した。
【0030】
(比較例−1)
実施例−1の向流的な接触水和方法で得られた第3級ブタノールを含有する三回使用済みの触媒水溶液を実施例−1で使用した蒸留器に仕込み、同じ条件で還流比を1対0、つまり、還流しないで、蒸留したところ、第3級ブタノール含量を0.05%以下にするためには大量の留出量が必要であった。なお、蒸留途中で触媒水溶液の濃度が過度に上昇したために、しばしば、純水を加えて蒸留しなければならなかった。ここで得られた第3級ブタノールの濃度は31%であり、触媒水溶液の第3級ブタノール含量は0.049%であった。31%濃度の第3級ブタノールは再蒸留して濃縮しなければならなかった。
【0031】
(参考例−1)
実施例−1中の初回の水和反応の触媒水溶液はすべてが、新規に調製した触媒水溶液であり、これを本発明の参考例とみなす事が出来る。なぜなら、本発明の一つの課題は第3級ブタノールを含有している触媒水溶液から効率的に再使用可能な、つまり、新規触媒と同等な触媒水溶液を得る事であり、初回の水和反応の結果と第二回目の水和反応および第三回目の水和反応の成果と比較した時にその成果が同等である事は本発明の方法が課題を解決する手段である事を明らかにするものでありこれを参考例とする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】向流接触水和反応が連続的であり、第3級ブタノールの蒸留が連続的である製造設備の概略図である。
【図2】向流接触水和反応が非連続的であり、第3級ブタノールの蒸留が非連続的である製造設備の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともイソブチレンと1−ブテンとを含有する炭化水素混合物から反復して使用される触媒の存在下で選択的にイソブチレンを水和して第3級ブタノールを製造すると同時に残余の炭化水素混合物中に含有されるイソブチレン量を最少にする事を目的とした第3級ブタノールの製造方法において、ヘテロポリ酸水溶液を水和触媒として使用し、これを加圧、加熱下に向流的に複数段階で炭化水素混合物と接触水和反応させて得られた第3級ブタノールを含有する触媒水溶液層から第3級ブタノールを蒸留回収するに当たって、蒸留操作を直列的に連結された二以上の蒸留器を順次使用して実施するか、または一つの回分式蒸留器で逐次還流比を変更しながら実施する事によって、高濃度の第3級ブタノールを採取すると同時に事実上第3級ブタノールを含有しない反復使用可能な触媒水溶液を回収する事を特徴とする第3級ブタノールの製造方法。
【請求項2】
少なくともイソブチレンと1−ブテンとを含有する炭化水素混合物がナフサの分解反応の生成物から分離された炭素数が4からなる炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを選択的に分離除去した残渣である請求項1に記載の第3級ブタノールの製造方法。
【請求項3】
ヘテロポリ酸がりんモリブデン酸またはりんタングステン酸である請求項1に記載の第3級ブタノールの製造方法。
【請求項4】
触媒水溶液とイソブチレンを含有する炭化水素混合物との向流接触水和反応温度が30ないし80℃である請求項1に記載の第3級ブタノールの製造方法。
【請求項5】
向流的な複数段階の接触水和反応が少なくとも実効3段階である請求項1に記載の第3級ブタノールの製造方法。
【請求項6】
蒸留操作を100ないし500ヘクトパスカルの減圧下で行なう請求項1に記載の第3級ブタノールの製造方法。
【請求項7】
使用する蒸留器の精留塔の実効段数が2以上である請求項1に記載の第3級ブタノールの製造方法。
【請求項8】
二以上の蒸留器を使用する時、後段階の蒸留器から留出する希薄な濃度の第3級ブタノールを前段階の蒸留器に注入される触媒水溶液に混合して蒸留する請求項1に記載の第3級ブタノールの製造方法。
【請求項9】
回分式蒸留器において逐次行なう還流比の変更が1対1から1対25の範囲内である請求項1に記載の第3級ブタノールの製造方法。
【請求項10】
事実上第3級ブタノールを含有しない回収触媒水溶液の第3級ブタノール含有量が0.1重量%以下である請求項1に記載の第3級ブタノールの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−326826(P2007−326826A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160729(P2006−160729)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(504233720)松原産業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】