説明

筆跡情報管理システムおよび筆跡情報生成装置

【課題】ユーザの用途や使用状況等に対応した筆跡情報生成装置を提供する。
【解決手段】電子文書に基づく文書画像と符号画像とが印刷された媒体へのユーザの筆記操作に関連した情報である筆跡情報を生成するデジタルペン60と、デジタルペン60から筆跡情報を取得し、媒体または媒体に印刷された電子文書に関連付けて管理する文書サーバ20や識別情報サーバ30、さらにデジタルペン60にて筆跡情報を生成させる機能を実現させるプログラムをデジタルペン60各々に対応付けて記憶する端末装置50とを有する筆跡情報管理システムにて、端末装置50は、通信接続されたデジタルペン60を識別し、識別されたデジタルペン60に対応付けられたプログラムをデジタルペン60に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆跡情報管理システムおよび筆跡情報生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、用紙等の媒体上に筆記された文字や図形等が電子データに変換され、それがパソコンや携帯電話等に転送されて、筆記内容が記憶等される技術が注目されている。
例えば特許文献1に記載された技術では、微細なドットによる様々なパターンの符号画像が印刷された媒体と、例えば撮像素子が内蔵されたペンデバイスとを用いて、ペンデバイスにより筆記された文字や図形等の位置の符号画像を撮像素子に読み込む。それにより、文字や図形等の位置座標を特定して、筆記された文字や図形等からなる電子文書の生成や、所定の電子文書への文字や図形等の付加等を行う。
また、例えば特許文献2に記載された技術では、ペンデバイスにより媒体上の所定の領域に印刷された符号画像を読み取ることで、例えば、コンピュータにウェブブラウザプログラムを開くように指示するコマンドを作成し、所定のウェブアドレス等にリンクさせる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−94907号公報
【特許文献2】特表2003−523572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで一般に、媒体上の符号画像を読み取って筆跡情報を生成する例えばペンデバイス等の筆跡情報生成装置では、筆跡情報生成装置を用いるユーザ個々で用途や使用状況等が異なる。その場合に、ユーザの用途や使用状況等に応じて筆跡情報生成装置を製造するとした場合に、筆跡情報生成装置の低廉化が困難となる。また、ユーザにおける用途や使用状況等の変化に対応させることも容易ではない。
本発明は、ユーザの用途や使用状況等に対応した筆跡情報生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、電子文書に基づく文書画像と符号画像とが印刷された媒体から当該符号画像に基づき所定の情報を取得し、当該媒体へのユーザの筆記操作に関連した情報である筆跡情報を生成する筆跡情報生成装置と、前記筆跡情報生成装置から前記筆跡情報を取得し、取得した当該筆跡情報を前記媒体または当該媒体に印刷された前記電子文書に関連付けて管理する筆跡情報管理装置と、前記筆跡情報生成装置にて前記筆跡情報を生成させる機能を実現させるプログラムを当該筆跡情報生成装置各々に対応付けて記憶するプログラム記憶装置とを有し、前記プログラム記憶装置は、通信接続された前記筆跡情報生成装置を識別し、識別された当該筆跡情報生成装置に対応付けられた前記プログラムを当該筆跡情報生成装置に供給することを特徴とする筆跡情報管理システムである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記プログラム記憶装置は、前記筆跡情報生成装置に備えられた所定の機能部を機能させる際に設定される設定値データを当該筆跡情報生成装置各々に対応付けてさらに記憶し、識別された前記通信接続された筆跡情報生成装置に対応付けられた当該設定値データを当該筆跡情報生成装置に供給することを特徴とする請求項1記載の筆跡情報管理システムである。
請求項3に記載の発明は、前記プログラム記憶装置は、前記筆跡情報を生成させる機能を含む前記筆跡情報生成装置の複数の機能の中の一または複数を実現させる複数のプログラムが当該筆跡情報生成装置各々に対応付けて記憶されたことを特徴とする請求項1記載の筆跡情報管理システムである。
請求項4に記載の発明は、前記筆跡情報生成装置は、当該筆跡情報生成装置を識別する識別情報を記憶し、起動時に当該識別情報を前記プログラム記憶装置に送信し、前記プログラム記憶装置は、前記筆跡情報生成装置から前記識別情報を受信し、前記通信接続された筆跡情報生成装置を当該識別情報に基づき識別することを特徴とする請求項1記載の筆跡情報管理システムである。
請求項5に記載の発明は、前記筆跡情報生成装置は、当該筆跡情報生成装置にて前記識別情報を前記プログラム記憶装置に送信する機能を実現させる起動用プログラムを格納し、当該起動用プログラムを起動させて当該識別情報を前記プログラム記憶装置に送信することを特徴とする請求項4記載の筆跡情報管理システムである。
請求項6に記載の発明は、前記筆跡情報生成装置は、前記起動用プログラムが当該筆跡情報生成装置の故障を検出する機能を含むことを特徴とする請求項5記載の筆跡情報管理システムである。
請求項7に記載の発明は、前記筆跡情報生成装置は、動作停止状態を設定した場合には、供給された前記プログラムを消去することを特徴とする請求項1記載の筆跡情報管理システムである。
【0007】
請求項8に記載の発明は、媒体に印刷された符号画像から所定の情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段にて取得された前記所定の情報に基づき前記媒体へのユーザの筆記操作に関連した情報である筆跡情報を生成する筆跡情報生成手段と、前記筆跡情報生成手段にて前記筆跡情報を生成する機能を含む当該装置の複数の機能の中の一または複数を実現させるプログラムを外部装置から取得するプログラム取得手段とを備えたことを特徴とする筆跡情報生成装置である。
請求項9に記載の発明は、前記プログラム取得手段は、前記情報取得手段と前記筆跡情報生成手段とを含む当該装置に備えられた機能部の一または複数を機能させる際に当該機能部に設定する設定値データを前記外部装置からさらに取得することを特徴とする請求項8記載の筆跡情報生成装置である。
【0008】
請求項10に記載の発明は、当該筆跡情報生成装置を識別する識別情報を記憶する識別情報記憶部をさらに備え、前記プログラム取得手段は、前記識別情報記憶部に記憶された前記識別情報に基づき前記外部装置から前記プログラムを取得することを特徴とする請求項8記載の筆跡情報生成装置である。
請求項11に記載の発明は、前記プログラム取得手段を当該装置の起動時に機能させる起動用プログラムを記憶した起動用プログラム記憶部をさらに備え、前記プログラム取得手段は、起動時に前記起動用プログラムにより機能することを特徴とする請求項8記載の筆跡情報生成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ユーザの用途や使用状況等に対応した筆跡情報生成装置を提供することができる。
本発明の請求項2によれば、筆跡情報生成装置は機能部に設定される設定値データを記憶しておくための記憶部を設ける必要がなく、本発明を採用しない場合に比べて、記憶部の小容量化、さらには装置の小型化を図ることができる。
本発明の請求項3によれば、筆跡情報生成装置にユーザの用途や使用状況等に対応した機能を提供することができる。
【0010】
本発明の請求項4によれば、筆跡情報生成装置に異なる機能を実現する複数のプログラムの中から、筆跡情報生成装置各々に対応付けられた機能を実現するプログラムを供給することができる。
本発明の請求項5によれば、筆跡情報生成装置に起動用プログラムを格納しておくだけで筆跡情報生成装置各々に対応付けられた機能を取得することができる。
本発明の請求項6によれば、起動時の段階で故障を検出でき、本発明を採用しない場合に比べて、ハングアップの発生の抑制効果を高めることができる。
本発明の請求項7によれば、筆跡情報生成装置はプログラムを記憶しておくための記憶部を設ける必要がなく、本発明を採用しない場合に比べて、記憶部の小容量化、さらには装置の小型化を図ることができる。
【0011】
本発明の請求項8によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ユーザの用途や使用状況等に対応した筆跡情報生成装置を提供することができる。
本発明の請求項9によれば、筆跡情報生成装置の機能部に設定される設定値データを記憶しておくための記憶部を設ける必要がなく、本発明を採用しない場合に比べて、記憶部の小容量化、さらには装置の小型化を図ることができる。
本発明の請求項10によれば、筆跡情報生成装置においてユーザの用途や使用状況等に対応した機能を実行できる。
本発明の請求項11によれば、筆跡情報生成装置に起動用プログラムを格納しておくだけで筆跡情報生成装置各々に対応付けられた機能を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)について詳細に説明する。
まず、本実施の形態における筆跡情報管理システムの全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態の筆跡情報管理システムの構成の一例を示した図である。図1に示したように、この筆跡情報管理システムは、端末装置10と、文書サーバ20と、識別情報サーバ30と、画像形成装置40と、端末装置50とがネットワーク80に接続されることにより構成されている。また、端末装置50には、デジタルペン60が通信可能に接続されている。
【0013】
本実施の形態の筆跡情報管理システムでは、端末装置10から電子文書の印刷要求が行われると、文書サーバ20は端末装置10からの印刷要求を受け取り、画像形成装置40に対して印刷要求の対象となった電子文書の印刷指示を行う。それにより、画像形成装置40は、この電子文書の文書画像を紙等の媒体に印刷するが、その際に、画像形成装置40は文書画像に加えて符号画像を媒体上に印刷する。
ここでの符号画像とは、識別情報および位置情報を符号化して得られる識別符号および位置符号を画像化したものである。識別情報とは、媒体を一意に特定するための情報であり、本実施の形態では識別情報サーバ30が発行する。また、位置情報は、媒体上の座標位置を特定するための情報であり、本実施の形態では文書サーバ20が生成する。
そして、文書画像と符号画像とが印刷された媒体に対し、ユーザが筆跡情報生成装置の一例であるデジタルペン60を用いて筆記(手書き)すると、デジタルペン60は符号画像に含まれる情報の一例である位置情報に基づいて手書き情報(筆跡情報)を生成する。またそれと同時に、デジタルペン60は符号画像に含まれる情報の一例である識別情報を認識する。そして、認識された識別情報と筆跡情報とは、端末装置50を介して文書サーバ20に送られる。識別情報と筆跡情報とを受け取った文書サーバ20は、識別情報に基づいて媒体に印刷された電子文書を特定し、この特定された電子文書と筆跡情報とを関連付けて記憶する。
また、デジタルペン60には、筆跡情報を生成する代わりに、符号画像に含まれる位置情報と識別情報とを所定情報にリンクするための参照情報とする機能が設定されている。例えば、端末装置50に対して所定のウェブブラウザプログラムを開いて所定のウェブアドレス等にリンクさせるコマンドを生成させるための情報として位置情報および識別情報を用いる。その場合には、端末装置50は、位置情報と識別情報とに基づき所定のウェブアドレスにリンクし、所定情報を取得する。
【0014】
なお、本明細書では、媒体に記録する画像の元となる電子データを「電子文書」と表記するが、これは、テキストを含む「文書」を電子化したデータのみを意味するものではない。例えば、絵、写真、図形等の画像データ(ラスタデータかベクターデータかによらない)、データベース管理ソフトウェアや表計算ソフトウェアで記録されるデータ、その他の印刷可能な電子データも含めて「電子文書」としている。
また、本明細書において、「媒体」は、画像を印刷可能な媒体であれば、その材質は問わない。代表例は紙であるが、OHPシート等といったプラスチックシートや金属板等であっても構わない。
さらに、本明細書では、電子文書、媒体、さらにはデジタルペン60やユーザについて、それぞれを一意に識別するための識別情報を用いて処理を行うが、単に「識別情報」という場合には、媒体に関する識別情報を意味するものとする。すなわち、本実施の形態では、媒体に固有に付与される媒体識別情報の一例として、この識別情報を用いる。
【0015】
続いて、本実施の形態の筆跡情報管理システムを構成する各構成要素について詳細に説明する。
端末装置10は、文書サーバ20に対して電子文書の印刷を要求するコンピュータ装置である。ここで、端末装置10としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。
文書サーバ20は、筆跡情報管理装置の一例であって、電子文書を記憶し管理するコンピュータ装置である。また、端末装置10から電子文書の印刷要求があると、電子文書の画像と、識別情報および位置情報を表す符号画像とを生成し、これらを合成した合成画像を媒体に印刷する印刷命令を画像形成装置40に対して出力する。ここで、文書サーバ20としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。
【0016】
識別情報サーバ30は、筆跡情報管理装置の一例であって、媒体に付与する識別情報を発行するコンピュータ装置である。そして、発行した識別情報を、その識別情報が付与される媒体に印刷される電子文書と関連付けて記憶する。ここで、識別情報サーバ30としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。
画像形成装置40は、媒体に画像を印刷し、印刷文書として出力する装置である。この画像形成装置40は、単体のプリンタや印刷機であってもよいし、他にスキャナや通信の機能を備えた所謂「複合機」であってもよい。ここで、画像形成装置40における画像形成方式としては、例えば、電子写真方式を用いるとよいが、その他の方式を用いてもよい。
【0017】
端末装置50は、印刷文書に対する筆記を電子化した情報(以下、「筆跡情報」という)を、印刷文書に記録された画像の元となる電子文書に反映させるために識別情報サーバ30に送信するコンピュータ装置である。また、筆跡情報を反映する対象の電子文書をディスプレイ(不図示)に表示し、その上に筆跡情報を重ねて表示するようにしてもよい。ここで、端末装置50としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。なお、本実施の形態では、筆記の内容を電子化した筆跡情報の一例として筆跡情報を用いている。また、筆跡情報を主に手書き情報として説明するが、これに限らず、例えば、建築や機械等の図面データを出力する装置であるプロッタ等によって機械的に描画された情報等を含むものである。
また、端末装置50は、デジタルペン60から送られた位置情報と識別情報とに基づいて特定情報にリンクするコンピュータ装置でもある。端末装置50は、例えば、位置情報および識別情報から所定のウェブブラウザプログラムを開いて特定のウェブアドレス等にリンクさせるコマンドを生成する。そして、位置情報と識別情報とに基づき所定のウェブアドレスにリンクし、特定情報を取得する。
【0018】
さらに、端末装置50は、プログラム記憶装置の一例として機能し、デジタルペン60を動作させるための動作制御プログラムや、デジタルペン60に備えられた所定の機能部を機能させる際に設定される設定値に関するデータ(設定値データ)を記憶している。そして、デジタルペン60の起動時に動作制御プログラムや設定値データをデジタルペン60にダウンロードする。
端末装置50は、デジタルペン60と例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルで接続され、デジタルペン60との間で通信を行う。そして、デジタルペン60から識別情報、および筆跡情報または位置情報を取得する。ここで、デジタルペン60と端末装置50との間の通信の方式としては、USBケーブル等の有線方式の他に、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信機能等の無線方式を用いてもよい。また、例えばUSBケーブルで接続される場合には、USBケーブルを介してデジタルペン60に電力を供給するように設定してもよい。
【0019】
デジタルペン60は、筆跡情報生成装置の一例であり、印刷文書上に文字または図形を筆記するために用いられるペンデバイスである。また、媒体に印刷された符号画像を読み取る撮像素子を備える。そして、撮像素子で読み取った符号画像から取得される情報の一例である位置情報を検出し記憶する。さらには、この位置情報に基づき、筆記した文字または図形をイメージデータ化した筆跡情報を生成し記憶する。また、撮像素子で読み取った符号画像から取得される情報の一例である識別情報を検出し記憶する。
【0020】
引き続いて、筆跡情報管理システムを構成する各構成要素の詳細を説明する。
まず、文書サーバ20の構成について説明する。
図2は、文書サーバ20の機能構成の一例を示したブロック図である。図2に示したように、文書サーバ20は、受信部21と、識別情報取得部22と、電子文書管理部23と、筆跡情報管理部24と、文書/筆跡情報記憶部25とを備える。また、識別符号生成部27aと、位置符号生成部27bと、符号配置部27cと、パターン画像記憶部27dと、符号画像生成部27eとを備える。さらに、文書画像生成部26と、画像合成部28と、送信部29とを備える。
【0021】
受信部21は、端末装置10から印刷要求を受信する。ここで、印刷要求には、電子文書に加えて、印刷対象となる電子文書の識別情報(以下、「文書ID」という)と、印刷される媒体上での電子文書のレイアウトを定めるための各種設定(以下、「印刷設定」という)とが含まれる。文書IDは、端末装置10にて電子文書毎に付与されるが、文書サーバ20にて付与してもよい。また、受信部21は、印刷文書が印刷される媒体に固有に付与される識別情報を識別情報サーバ30から受信する。さらに、印刷文書に対する筆記が行われた際には、識別情報サーバ30から、印刷文書に埋め込まれた識別情報と、印刷文書に対する筆記の内容(筆記画像)を電子化した筆跡情報とを受信する。
識別情報取得部22は、受信部21から文書IDおよび印刷設定を取得し、これを送信部29に渡して識別情報の発行要求の送信を指示し、これを文書画像生成部26に渡して文書画像の生成を指示する。また、受信部21から媒体の識別情報を取得し、これを識別符号生成部27aに渡して識別符号の生成を指示する。
【0022】
電子文書管理部23は、受信部21が受信した識別情報と電子文書とを取得し、文書IDに基づき両者を対応付けて文書/筆跡情報記憶部25に登録する。また、文書/筆跡情報記憶部25に記憶された電子文書についての、印刷設定に従って媒体上に印刷された状態を反映した新たな電子文書(第2の電子文書)を生成し、生成された第2の電子文書を文書/筆跡情報記憶部25に記憶する。さらに、電子文書の表示や印刷が指示された際には、対応する識別情報と電子文書とを、文書/筆跡情報記憶部25から取り出す。
【0023】
筆跡情報管理部24は、受信部21が受信した識別情報と筆跡情報とを取得し、識別情報に基づき筆跡情報を電子文書に対応付けて文書/筆跡情報記憶部25に登録する。また、筆跡情報の表示が指示された際には、対応する識別情報と筆跡情報とを、文書/筆跡情報記憶部25から取り出す。
文書/筆跡情報記憶部25は、電子文書管理部23によって管理される電子文書と、筆跡情報管理部24によって管理される筆跡情報とを記憶する。ここで、本実施の形態では、識別情報と電子文書と筆跡情報とを関連付けて記憶する記憶手段の一例として、文書/筆跡情報記憶部25を設けている。
【0024】
識別符号生成部27aは、媒体を特定する識別情報を符号化して識別符号を生成する。
位置符号生成部27bは、媒体上の座標位置を示す位置情報を符号化して位置符号を生成する。
符号配置部27cは、識別符号生成部27aにて生成された識別符号や、位置符号生成部27bにて生成された位置符号等を所定のレイアウト(後段の図3参照)に従って2次元平面に配置し2次元の符号配列を生成する。
パターン画像記憶部27dは、符号配列に格納される各符号の符号値に対応するパターン画像を記憶する。
符号画像生成部27eは、符号配置部27cが生成した2次元の符号配列を参照し、各符号値に対応したパターン画像を選択して符号画像を生成する。
【0025】
文書画像生成部26は、識別情報取得部22から文書IDおよび印刷設定を取得し、この文書IDで特定される電子文書を文書/筆跡情報記憶部25から読み出す。そして、印刷設定に従ってその電子文書の文書画像を生成する。
画像合成部28は、符号画像生成部27eが生成した符号画像と、文書画像生成部26が生成した文書画像とを合成し、合成画像を生成する。
送信部29は、識別情報サーバ30に対して識別情報の発行要求を送信する。また、画像形成装置40に対して媒体に対する画像の印刷命令を送信する。さらに、筆跡情報の表示が指示された際には、識別情報サーバ30に対して識別情報と筆跡情報とを送信する。
【0026】
ここで、本実施の形態の文書サーバ20で生成される符号画像について説明する。
図3は、符号画像を構成する画像等の一例を示した図である。まず、符号画像を構成する単位パターンについて説明する。図3(a)は、単位パターンの一例を示したものである。
単位パターンとは、情報埋め込みの最小単位である。図3(a)では、黒塗りの領域と斜線の領域をドット配置可能な領域とし、その間にある白色の領域をドット配置不可能な領域としている。そして、ドット配置可能な領域のうち、黒塗りの領域にドットが配置され、斜線の領域にはドットが配置されていないことを示している。すなわち、図3(a)は、ドットを配置可能な9箇所の中から選択した2箇所(黒塗りの領域)にドットを配置することで単位パターンを構成した例を示したものである。ここで、9箇所の中から2箇所を選択する組み合わせは36(=)通りなので、単位パターンは、36種類存在する。このうち、4種類の単位パターンは、同期パターンとして使用される。同期パターンとは、画像の回転を検出したり、識別符号および位置符号の相対的な位置を特定したりするためのパターンである。特に、画像の回転を検出する必要があることから、4種類の同期パターンとしては、そのうちの1つの同期パターンを90度回転するとそのうちの別の同期パターンになるようなものが選ばれる。また、この4種類の単位パターンを除く32種類の単位パターンは、識別符号および位置符号を表現する情報パターンとして使用され、5ビットの情報が表現される。
【0027】
ところで、図3(a)に示したドットは、あくまで情報表現のためのドットであり、画像を構成する最小の点を意味するドットとは必ずしも一致しない。本実施の形態において、情報表現のためのドット(図3(a)の最小の四角)は、600dpiにおける2ドット×2ドットの大きさを有している。600dpiにおける1ドットの大きさは0.0423mmなので、情報表現のためのドット(図3(a)の最小の四角)の一辺は、84.6μm(=0.0423mm×2)である。情報表現のためのドットは、大きくなればなるほど目に付きやすくなるため、できるだけ小さいほうが好ましい。ところが、あまり小さくすると、プリンタで印刷できなくなってしまう。そこで、情報表現のためのドットの大きさとして、50μmより大きく100μmより小さい上記の値を採用している。ただし、上記の値84.6μmは、あくまで計算上の数値であり、実際に印刷されたトナー像では100μm程度になる。なお、本明細書で「ドット」というときは、特に明示しない限り、画像を構成する最小の点を意味するドットではなく、情報表現のためのドットを指すものとする。
【0028】
次に、このような単位パターンから構成される符号ブロックについて説明する。図3(b)に、符号ブロックのレイアウトの一例を示す。なお、ここでは、画像ではなく、パターン画像によって置き換えられる直前の符号配列で示している。すなわち、図3(b)の最小の四角(以下、「単位ブロック」という)に、図3(a)のような単位パターン(36通りの単位パターンのいずれか)が配置され、その画像が媒体に形成されることになる。
図3(b)のレイアウトでは、符号ブロックの左上の1つの単位ブロックに、同期符号が配置されている。また、同期符号が配置された単位ブロックの右側の4つの単位ブロックにX位置符号が配置され、同期符号が配置された単位ブロックの下側の4つの単位ブロックにY位置符号が配置されている。さらに、これらの位置符号が配置された単位ブロックに囲まれた16(=4×4)個の単位ブロックに識別符号が配置されている。
【0029】
ここで、識別情報の符号化について述べる。
識別情報を符号化する場合、識別情報を構成するビット列は、RS符号化を行うために複数のブロックに分割される。符号化には、いくつかの方法があるが、本実施の形態では、RS符号化が適している。RS符号は多値の符号法であり、この場合、単位ブロックで表現される値がRS符号の多値に対応するからである。例えば、1つの単位ブロックで5ビットの情報を表現する場合、60ビットの識別情報は、ブロック長が5ビットの12個のブロックに分割される。そして、2ブロックの誤りを訂正可能なRS符号を採用したとすると、符号長は16ブロックとなり、図3(b)の符号ブロックにおける識別符号が配置される単位ブロックに収まることになる。なお、符号化方式はRS符号に限定するものでなく、その他の符号化方式、例えば、BCH符号等を使用してもよい。
【0030】
引き続いて、位置情報の符号化について述べる。
位置情報の符号化には、擬似乱数系列の一種であるM系列符号が使用される。ここで、M系列とは、ある長さのシフトレジスタとフィードバックによって生成される符号系列とのうち、その周期が最長になる系列をいう。Kをシフトレジスタの段数とすると、M系列の系列長は2−1となる。このM系列から取り出した任意の連続したKビットは、同じM系列中の他の位置に現れない性質を持つ。そこで、この性質を利用して位置情報を符号化する。
ところで、本実施の形態では、符号化すべき位置情報の長さから、必要なM系列の次数を求め、M系列を生成している。しかしながら、符号化する位置情報の長さが予め分かっている場合は、M系列を毎回生成する必要はない。すなわち、固定のM系列を予め生成しておき、それをメモリ等に格納しておけばよい。
例えば、系列長8191のM系列(K=13)を使用したとする。この場合、位置符号も5ビット単位で埋め込むため、系列長8191のM系列から5ビットずつ取り出してブロック化する。
【0031】
なお、本明細書では、説明を簡単にするために、識別情報と位置情報とは明確に区別して用いている。しかしながら、広範な位置情報を用意しておき、媒体ごとに異なる範囲から位置情報を切り出して埋め込み、位置情報の違いによって媒体を識別するという手法もある。そこで、このような手法においては、媒体を識別する機能が位置情報に備わっているものと見て、位置情報を識別情報としても考えるものとする。
【0032】
次に、識別情報サーバ30の構成について説明する。
図4は、識別情報サーバ30の機能構成の一例を示したブロック図である。図4に示したように、識別情報サーバ30は、受信部31と、識別情報管理部32と、識別情報記憶部33と、表示情報生成部34と、送信部39とを備える。
受信部31は、文書サーバ20から識別情報の発行要求を受信する。また、受信部31は、印刷文書に対する筆記が行われた際には、媒体の識別情報と筆跡情報とを端末装置50から受信する。ここで、本実施の形態では、端末装置50から媒体の識別情報と筆跡情報とを受信し、さらに筆跡情報の表示が指示された際に、文書サーバ20から媒体の識別情報と筆跡情報とを受信する受信手段の一例として、受信部31を設けている。
【0033】
識別情報管理部32は、識別情報の発行要求があると、識別情報を重複することなく発行し、その際に指定された文書IDおよび印刷設定を識別情報に関連付けて記憶する。また、識別情報の指定を受けて、その識別情報に対応する文書IDおよび印刷設定を取り出す。
識別情報記憶部33は、識別情報を、その使用/未使用の状態、それが付与された媒体に印刷された電子文書の文書ID、それが付与された媒体に電子文書が印刷された際の印刷設定を関連付けて記憶するデータベースである。
表示情報生成部34は、筆跡情報の表示が指示された際に、文書サーバ20から取得した情報に基づいて、筆跡情報を表示するための表示情報を生成する。この表示情報としては、例えば、端末装置50で表示するイメージを生成する元となるデータを生成する。
【0034】
送信部39は、文書サーバ20からの要求に応じて発行した識別情報を文書サーバ20に送信する。また、印刷文書に対する筆記が行われた際には、媒体の識別情報と筆跡情報とを文書サーバ20に送信する。さらに、筆跡情報の表示が指示された際には、端末装置50に対して表示情報を送信する。ここで、本実施の形態では、媒体の識別情報と筆跡情報とを送信する送信手段の一例として、送信部39を設けている。
【0035】
次に、端末装置50の構成について説明する。
図5は、端末装置50の機能構成の一例を示したブロック図である。図5に示したように、端末装置50は、受信部51と、プログラム記憶部52と、設定値記憶部53と、筆跡情報等記憶部54と、情報入出力管理部55と、送信部59とを備える。
受信部51は、デジタルペン60から識別情報と、筆跡情報または位置情報とを受信する。また、デジタルペン60からデジタルペン60の識別情報(ペンID)を受信する。
プログラム記憶部52は、デジタルペン60を動作させるための各種の動作制御プログラムを、端末装置50に接続されるデジタルペン60の識別情報(ペンID)に対応付けて記憶する。
デジタルペン60では、例えば、媒体上に描かれた筆記画像から筆跡情報を生成する機能や、媒体から取得した識別情報および位置情報の一方または双方を参照情報として特定の情報にリンクする機能、さらには、バーコードやQRコード等の二次元コードを読み取る機能等といった複数の異なる機能を実行できる構成を備えている。ところが、デジタルペン60を使用するユーザ個々によって専ら利用する用途や使用状況等がそれぞれ異なる。そこで、ユーザ個々の用途や使用状況等に対応させるべく、プログラム記憶部52に各種の動作制御プログラムを記憶し、デジタルペン60の起動時にデジタルペン60の用途等に応じた動作制御プログラムをプログラム記憶部52からデジタルペン60にダウンロードするように構成している。
【0036】
設定値記憶部53は、デジタルペン60に備えられた所定の機能部を動作させる際に、その所定の機能部を機能させる際に設定される設定値に関するデータ(設定値データ)を、端末装置50に接続されるデジタルペン60の識別情報(ペンID)に対応付けて記憶する。例えば、設定値データとして、デジタルペン60に備えられた所定の機能部を適正な状態で機能させるための設定値に関するデータ(適正設定値データ)が記憶される。
デジタルペン60では、例えば、符号画像を読み取る機構部(後段の赤外CMOS63)等において、媒体上の符号画像を高い精度で読み取るための撮像エリアはデジタルペン60各々において異なる。そこで、設定値記憶部53にデジタルペン60各々に設定される設定値データを記憶し、デジタルペン60の起動時にデジタルペン60に対して設定値に関するデータをダウンロードする。それにより、例えば各デジタルペン60にて符号画像を高い精度で読み取る等といった、デジタルペン60の所定の機能部を適正な状態で機能させるような設定が行われる。
【0037】
筆跡情報等記憶部54は、受信部51にてデジタルペン60から受信した識別情報と、筆跡情報または位置情報とを記憶する。
情報入出力管理部55は、プログラム記憶部52、設定値記憶部53、および筆跡情報等記憶部54との間の各種データの入出力や各種の動作制御プログラムの出力を管理する。
送信部59は、筆跡情報等記憶部54に記憶された識別情報と筆跡情報とを識別情報サーバ30へ送信する。また、筆跡情報等記憶部54に記憶された識別情報および位置情報の一方または双方を参照情報として特定の情報にリンクする端末装置50内の機能部(不図示)へ送信する。さらに、プログラム記憶部52に記憶された各種の動作制御プログラムをデジタルペン60へ送信する。また、設定値記憶部53に記憶された設定値データをデジタルペン60へ送信する。
【0038】
次に、デジタルペン60について説明する。
図6は、デジタルペン60の構成を説明する図である。図6に示したように、デジタルペン60は、本体筐体68内部に、媒体に筆記を行う筆記部材の一例としてのペンチップ64、ペン全体の動作を制御する制御部61、媒体上に赤外光を照射する赤外LED62、媒体からの反射光を検知することによって符号画像を読み取る符号画像読取手段の一例としての赤外CMOS63、識別情報や筆跡情報や位置情報、さらには起動用プログラムを記憶する記憶手段の一例としての記憶部65、外部装置と通信する通信手段の一例としての通信部66を備えている。さらには、デジタルペン60の各部を駆動するための電力を供給する充電可能なバッテリ67を備えている。
【0039】
また、デジタルペン60は、ユーザが行う各種操作に対応した信号を出力する信号出力手段の一例として、デジタルペン60にペンチップ64を保護するためのキャップ69が装着されているか否かを検知するキャップスイッチSW1、デジタルペン60による筆記動作等をペンチップ64に加わる圧力(筆圧)によって検知する筆圧検知スイッチSW2、ユーザ操作によるオン/オフの入力を受け付けるユーザスイッチSW3を備えている。キャップスイッチSW1およびユーザスイッチSW3は本体筐体68の側面部にそれぞれ設けられ、筆圧検知スイッチSW2は本体筐体68内部に設けられている。
そして、赤外LED62、赤外CMOS63、記憶部65、通信部66、さらにはキャップスイッチSW1、筆圧検知スイッチSW2、ユーザスイッチSW3は、制御部61に接続されている。
【0040】
赤外LED62は、700〜1000μmの波長の赤外光を出射する1または複数のLED(Light Emitting Diode)で構成されている。そして、後述する制御部61内の照明駆動部614から送信される駆動信号に基づいてパルス点灯する。また、他の波長の光を出射する光源をさらに備えて、媒体上に印刷された符号画像等の色に応じて選択的に光を照射するように構成してもよい。
赤外CMOS63は、赤外領域に感度があるCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)であって、撮像した画像を同時に転送できるグローバルシャッタ方式を用いている。そして、赤外CMOS63は、50fps〜100fps(frame per second)程度の周期(フレームレート)で送信される画像取込信号に同期して、媒体に印刷された符号画像等を撮像する。画像取込信号は、後述する制御部61内の画像取込信号生成部615にて生成され、赤外CMOS63に送信される。
記憶部65は、制御部61にて取得・生成された識別情報や筆跡情報や位置情報を記憶する情報記憶部65aと、制御部61を起動するための起動用プログラムが記憶された起動用プログラム記憶部65bとを備えている。ここで、起動用プログラム記憶部65bに記憶された「起動用プログラム」は、制御部61において、端末装置50と通信を行う機能と、端末装置50に対してデジタルペン60の識別情報(ペンID)を送信する機能と、端末装置50から所定の動作制御プログラムを取得する機能とを実現させるプログラムである。
通信部66は、端末装置50と通信を行い、識別情報と、筆跡情報または位置情報とを端末装置50に送信する。また、デジタルペン60の起動時に、端末装置50に対してデジタルペン60の識別情報(ペンID)を送信する。さらに、デジタルペン60の起動時に、端末装置50からデジタルペン60を動作させるために動作制御プログラムや、デジタルペン60に備えられた所定の機能部を機能させる際に設定される設定値データを受信する。
【0041】
次に、デジタルペン60に設けられた制御部61について説明する。
図7は、制御部61の機能構成の一例を示したブロック図である。図7に示したように、制御部61は、赤外CMOS63にて読み取った符号画像を処理する画像処理部611、画像処理部611での処理結果から識別情報および位置情報を取得し、さらには筆跡情報を生成するデータ処理部612、データ処理部612にて取得・生成された識別情報と筆跡情報または位置情報とを記憶部65または通信部66に出力する出力部613、赤外LED62を駆動する照明駆動部614、赤外CMOS63に送信する所定周期の画像取込信号を生成する画像取込信号生成部615、各部の動作を制御する動作制御部616、デジタルペン60の識別情報(ペンID)を記憶する識別情報記憶部の一例としてのペンIDメモリ617を備えている。
ここで、画像処理部611およびデータ処理部612は、媒体に印刷された符号画像から所定の情報を取得する情報取得手段として機能する。
【0042】
画像処理部611には、画像取得部611aと、ドット配列生成部611bとが備えられる。
画像取得部611aは、赤外CMOS63により印刷文書から読み取られた符号画像を取得する。また、必要に応じて、符号画像に含まれるノイズを除去する。
ドット配列生成部611bは、符号画像におけるドットの位置を参照して、ドット配列を生成する。すなわち、2次元の配列上で、例えば、ドットがある位置に「1」を、ドットがない位置に「0」を記憶することにより、画像として検出したドットをデジタルデータに置き換える。そして、この2次元の配列をドット配列として出力する。
【0043】
データ処理部612には、符号配列生成部612aと、識別情報取得部612bと、位置情報取得部612cと、筆跡情報生成部612dとが備えられる。
符号配列生成部612aは、ドット配列上で、符号ブロック内の単位パターンに対応するブロックを検出する。具体的には、単位パターンが配置されるブロックと同じ形状および大きさの枠をドット配列上で動かし、枠内のドット数が均等になる位置で枠を固定する。例えば、図3(a)の単位パターンを用いる場合であれば、3ドット×3ドットに対応する大きさの枠を動かし、枠内に含まれるドット数が2となる位置で枠を固定する。そして、その枠で区切られた各ブロック内のドット位置から定まる符号値を格納した符号配列を生成する。また、この符号配列が生成されると、予め定められた同期符号の符号値を検索することによって、同期符号の位置が特定される。
【0044】
識別情報取得部612bは、符号配列から同期符号の位置を基準にして識別符号を検出する。そして、画像生成時にRS符号化処理で用いたパラメータを用いて識別符号を復号し、識別情報を取得する。
位置情報取得部612cは、符号配列から同期符号の位置を基準にして位置符号を検出する。そして、位置符号からM系列の部分系列を取り出し、画像生成時に使用したM系列におけるこの部分系列の位置を参照し、この位置を同期符号によるオフセットで補正した値を位置情報として取得する。なお、オフセットで補正するのは、位置符号の間に同期符号が配置されているためである。
筆跡情報生成部612dは、筆跡情報生成手段の一例であって、位置情報取得部612cが取得した位置情報を連結した筆跡情報を生成する。ここでの筆跡情報とは、ペンチップ64による筆記(手書き)が行われた際のペンチップ64先端の軌跡を連結して電子化したデータである。
【0045】
ところで、デジタルペン60には、異なる複数の動作モードを使い分けて使用できる機能が設定されている。例えば、本実施の形態のデジタルペン60では、ペンチップ64により媒体上に描かれた筆記画像を筆跡情報として端末装置50に送信する動作モードである「筆記モード」と、媒体から得られた識別情報および位置情報の一方または双方を特定の情報にリンクするための参照情報として用いる動作モードである「参照モード」と、バーコードやQRコード等の二次元コードを読み取る動作モードである「バーコードモード」とが設定される。「参照モード」での動作例としては、端末装置50に対して例えば所定のウェブブラウザプログラムを開いて特定情報が保存・記述されたウェブアドレス等にリンクさせるコマンドを生成させるための参照情報として、位置情報取得部612cにて取得した位置情報および識別情報取得部612bにて取得された識別情報を用いる。なお、「参照モード」において、位置情報および識別情報のいずれか一方だけを用いるように構成してもよい。
【0046】
デジタルペン60における「筆記モード」や「参照モード」や「バーコードモード」等の動作モードは、ユーザの操作に対応した信号(オン/オフ信号)を出力するキャップスイッチSW1、筆圧検知スイッチSW2およびユーザスイッチSW3のオン/オフ状態に基づき、動作制御部616が設定する。そして、動作制御部616は、赤外CMOS63、画像処理部611およびデータ処理部612に対して、「筆記モード」、「参照モード」、「バーコードモード」の設定を指示する制御信号を送る。
【0047】
そして、筆跡情報生成部612dは、動作制御部616からの「筆記モード」の設定を指示する制御信号により動作する。それにより、「筆記モード」では、識別情報取得部612bにて取得された識別情報と、筆跡情報生成部612dにて生成された筆跡情報とが出力部613に送られる。
また、動作制御部616からの制御信号にて「参照モード」が設定されている場合には、筆跡情報生成部612dは機能を停止する。それにより、「参照モード」では、識別情報取得部612bにて取得された識別情報と、位置情報取得部612cが取得した位置情報とが出力部613に出力される。
なお、「筆記モード」および「参照モード」の双方において筆跡情報生成部612dを動作させ、位置情報から筆跡情報を生成してもよい。その際には、「筆記モード」が設定されている場合には筆跡情報はペンチップ64先端の軌跡を連結した筆跡情報としてそのまま使用される。また、「参照モード」が設定されている場合には筆跡情報は参照情報として使用される。
一方、動作制御部616からの制御信号により「バーコードモード」が設定された場合には、画像処理部611およびデータ処理部612は機能を停止する。その場合には、赤外CMOS63にて媒体からの反射濃度が読み取られ、読み取られた反射濃度データは動作制御部616に送られる。そして、動作制御部616が所定のプログラムにより反射濃度データをコード情報に復号し、得られたコード情報を通信部66から端末装置50に送信する。
【0048】
また、データ処理部612は、動作制御部616にて設定された「筆記モード」および「参照モード」に対応させて、データ処理部612にて生成する識別情報、位置情報、および筆跡情報の一または複数に、「筆記モード」または「参照モード」にて生成されたことを示す「動作モード情報」を付加してもよい。それにより、動作モード情報が付加された識別情報や位置情報や筆跡情報を取得した端末装置50では、動作モード情報に基づき、媒体上の本来筆記できない領域での筆記や、参照情報となる位置情報が印刷されていない領域での符号画像の読み取り等といった不都合動作が行われたことが認識される。そして、端末装置50からデジタルペン60に対して、送信された識別情報や位置情報や筆跡情報は不都合動作に基づくものであり、筆跡情報または参照情報として使用できないことを通知する。
さらに、データ処理部612は、識別情報取得部612bにて識別情報を取得する際に発生したエラー情報、位置情報取得部612cにて位置情報を取得する際に発生したエラー情報、筆跡情報生成部612dにて筆跡情報を生成する際に発生したエラー情報を識別情報や位置情報や筆跡情報に付加してもよい。それにより、エラー情報が付加された識別情報や位置情報や筆跡情報を取得した端末装置50では、これらの情報の取得処理時や生成処理時にエラーが発生したことが認識される。そして、端末装置50は、ユーザに対して、エラー通知や、個々のエラーに対する対応策を指示する。
【0049】
出力部613は、識別情報と、筆跡情報または位置情報とを記憶部65または通信部66に出力する。すなわち、通信部66と端末装置50との間の通信が確立されている場合には、出力部613は識別情報と、筆跡情報または位置情報とを通信部66に出力する。一方、通信部66と端末装置50との間の通信が確立されていない場合には、出力部613は識別情報と、筆跡情報または位置情報とを記憶部65に出力する。記憶部65では、取得した識別情報と、筆跡情報または位置情報とを記憶する。なお、出力部613は、識別情報と、筆跡情報または位置情報とのいずれか一方を記憶部65または通信部66に出力するように構成してもよい。
また出力部613は、通信部66と端末装置50との間の通信が確立された際に、記憶部65から識別情報および筆跡情報を読み出し、通信部66に出力する。
さらに出力部613は、デジタルペン60の起動時に、ペンIDメモリ617に記憶されたペンIDを通信部66に出力する。
【0050】
画像取込信号生成部615は、例えば50fps〜100fpsの周期(フレームレート)の画像取込信号を生成して、赤外CMOS63に送信する。赤外CMOS63では、送信される画像取込信号により設定されるフレームレートで媒体に印刷された符号画像を順次撮像する。さらに、画像取込信号生成部615は、生成した画像取込信号を照明駆動部614に送信する。
照明駆動部614は、赤外LED62を駆動するための駆動信号を生成し、赤外LED62をパルス点灯させる。その際には、赤外CMOS63でのフレームレートに対応させるため、画像取込信号生成部615にて生成される画像取込信号に同期させて駆動信号を出力する。それにより、赤外LED62における消費電力の低減を図っている。
【0051】
デジタルペン60では、例えばユーザによりユーザスイッチSW3が所定時間オンされると、後述する「起動処理」が開始され、端末装置50から制御部61に所定の動作制御プログラムと所定の設定値に関するデータがダウンロードされる。そして、デジタルペン60では、次の動作・処理が実行される。なお、ここでは端末装置50から「筆記モード」および「参照モード」を実行する動作制御プログラムがダウンロードされるものとする。
まず、照明駆動部614にて駆動される赤外LED62が媒体に対して赤外光を照射する。そうすると、画像取込信号生成部615からの画像取込信号に同期して赤外CMOS63がその反射光を受光し、媒体に印刷された符号画像を読み取る。そして、赤外CMOS63にて読み取られた符号画像は、制御部61内の画像処理部611に送られる。
画像処理部611では、画像取得部611aがこの読み取った符号画像を取得する。その際に、符号画像にノイズが含まれていれば、これを除去する。引き続いて、ドット配列生成部611bが、符号画像に含まれるドット位置をデジタルデータ化し、ドット配列を生成する。そして、生成されたドット配列はデータ処理部612に送られる。
【0052】
次のデータ処理部612では、符号配列生成部612aが、ドット配列からブロックを検出し、ブロックごとの符号値を格納した符号配列を生成する。そして、符号配列において、同期符号の位置を特定する。その後、識別情報取得部612bが、同期符号の位置に基づいて識別符号を検出し、これを復号して識別情報を取得する。識別情報取得部612bにて取得された識別情報は、出力部613に送られる。
また、位置情報取得部612cが、同期符号の位置に基づいて位置符号を検出し、これを復号して位置情報を取得する。そして、「筆記モード」が設定されている場合には、位置情報取得部612cにて取得された位置情報は、筆跡情報生成部612dに送られ、筆跡情報生成部612dが、位置情報を連結して筆跡情報を生成する。筆跡情報生成部612dにて生成された筆跡情報は、出力部613に送られる。一方、「参照モード」が設定されている場合には、位置情報取得部612cにて取得された位置情報は、そのまま出力部613に送られる。
【0053】
出力部613は、上記したように、通信部66と端末装置50との間の通信が確立されている場合には、出力部613は識別情報と、筆跡情報または位置情報とを通信部66に出力する。一方、通信部66と端末装置50との間の通信が確立されていない場合には、出力部613は識別情報と、筆跡情報または位置情報とを記憶部65に出力する。記憶部65は、出力部613から送られた識別情報と、筆跡情報または位置情報とを記憶する。それにより、通信が不調でも、識別情報、および筆跡情報または位置情報が失われない。
【0054】
続いて、デジタルペン60での「起動処理」について説明する。
図8は、デジタルペン60にて起動処理が実行される際のデジタルペン60および端末装置50での動作の一例を示したシーケンス図である。まず、上記したように、例えばユーザによりデジタルペン60のユーザスイッチSW3が所定時間オンされると、制御部61に起動用プログラム記憶部65bから起動用プログラムがロードされ、制御部61は起動用プログラムを起動する(ステップ601)。そして、起動用プログラムにより、制御部61は通信部66と端末装置50との間の通信を開始する(ステップ602)。なお、デジタルペン60が例えばUSBケーブルにより端末装置50と接続され、USBケーブルを介して端末装置50からの電力供給を受けることで、制御部61に起動用プログラムがロードされるように構成してもよい。
次に、通信部66と端末装置50との間の通信が確立すると(ステップ603)、制御部61はペンIDメモリ617に記憶されたデジタルペン60の識別情報(ペンID)を、通信部66から端末装置50に送信する(ステップ604)。
【0055】
端末装置50では、受信部51にてデジタルペン60のペンIDを受信する(ステップ501)。そして、デジタルペン60のペンIDは、受信部51から情報入出力管理部55に渡される(ステップ502)。情報入出力管理部55は、ペンIDに基づき、プログラム記憶部52にてペンIDに対応付けて記憶された動作制御プログラムを読み出す(ステップ503)。
ここで、図9は、プログラム記憶部52に記憶されたデータベース内のデータの一例であって、ペンIDに対応付けられた動作制御プログラムを管理するためのテーブル(プログラム管理テーブル)を示した図である。図9に示したように、このプログラム管理テーブルには、ペンIDと、動作制御プログラムの格納場所とが対応付けられて記憶されている。
【0056】
例えば、図9のプログラム管理テーブルでは、ペンID「ID00001」に対応する動作制御プログラムは、ファイル名「C:\Program Files\PenMode\bin\PenMode_A」のファイル、ペンID「ID00002」に対応する動作制御プログラムは、ファイル名「C:\Program Files\PenMode\bin\PenMode_B」のファイル、ペンID「ID00003」に対応する動作制御プログラムは、ファイル名「C:\Program Files\PenMode\bin\PenMode_C」のファイルにそれぞれ格納されていることを示している。
そして、例えば、ファイル名「C:\Program Files\PenMode\bin\PenMode_A」のファイルに格納された動作制御プログラムは、動作モードとして「筆記モード」と「参照モード」と「バーコードモード」とをすべて実行するプログラムである。また、ファイル名「C:\Program Files\PenMode\bin\PenMode_B」のファイルに格納された動作制御プログラムは、動作モードとして「筆記モード」と「参照モード」とを実行し、「バーコードモード」は実行しないプログラムである。さらには、ファイル名「C:\Program Files\PenMode\bin\PenMode_C」のファイルに格納された動作制御プログラムは、動作モードとして「バーコードモード」だけを実行するプログラムである。
【0057】
このように、端末装置50には、デジタルペン60の用途別にデジタルペン60での実行内容の異なる複数の動作制御プログラムが用意されている。そして、ステップ503において情報入出力管理部55は、例えば図9に示したようなプログラム管理テーブルを参照して、プログラム記憶部52のデータベース内のペンIDに対応付けられた動作制御プログラムの格納場所を取得する。そして、プログラム記憶部52内の取得した格納場所からデジタルペン60にダウンロードする動作制御プログラムを読み出す。ここで、ペンIDに対応付けられた動作制御プログラムは、デジタルペン60を使用するユーザの用途や使用状況等に対応させて、端末装置50のプログラム記憶部52に予め登録されたものである。
ステップ503において情報入出力管理部55がペンIDに対応付けられた動作制御プログラムを読み出すと、情報入出力管理部55は送信部59からデジタルペン60に動作制御プログラムを送信する(ステップ504)。
【0058】
デジタルペン60は端末装置50から動作制御プログラムを受信する(ステップ605)。そして、デジタルペン60は制御部61のRAM(後段の図11のRAM102)に動作制御プログラムをインストールする(ステップ606)。
その後、制御部61は動作制御プログラムを起動する(ステップ607)。
そして、例えばデジタルペン60がオフされた場合には、動作制御プログラムはRAMから消去される。また、例えばUSBケーブルを介して端末装置50からの電力供給を受けている際にUSBケーブルが外されたり、バッテリ67からの電力供給を受けている際にバッテリ67の充電量が所定値以下となった場合等といった制御部61は正常な動作ができない状態となった場合にも、動作制御プログラムはRAMから消去される。
【0059】
続いて、情報入出力管理部55は、ペンIDに基づき、設定値記憶部53にてペンIDに対応付けて記憶された設定値に関するデータ(設定値データ)を読み出す(ステップ505)。
ここで、図10は、設定値記憶部53に記憶されたデータベース内のデータの一例であって、ペンIDに対応付けられた設定値データを管理するためのテーブル(設定値管理テーブル)を示した図である。図10に示したように、この設定値管理テーブルには、ペンIDと設定値データの格納場所とが対応付けられて記憶されている。
【0060】
例えば、図10の設定値管理テーブルでは、ペンID「ID00001」に対応する設定値データは、ファイル名「C:¥Data¥Parameter_Data¥ID00001」のファイル、ペンID「ID00002」に対応する設定値データは、ファイル名「C:¥Data¥Parameter_Data¥ID00002」のファイル、ペンID「ID00003」に対応する設定値データは、ファイル名「C:¥Data¥Parameter_Data¥ID00003」のファイルにそれぞれ格納されていることを示している。
ここで、所定の機能部を適正な状態で機能させるための設定値データの例としては、赤外CMOS63にて媒体上の符号画像を読み取る際に符号画像を高い精度で読み取るCMOSセンサ内の撮像エリアを設定する設定値、赤外LED62の光量を設定する設定値や、赤外LED62における波長の異なる複数の光源のいずれかを選択して設定する設定値等が挙げられる。さらに、「参照モード」を実行する際の参照情報として使用できる媒体上の領域を設定する設定値、二次元コードが印刷された領域を設定する設定値、媒体から読み取られた位置情報とデジタルペン60にて実行させる特定の機能とを対応付けて設定する設定値等が挙げられる。
【0061】
このように、端末装置50には、デジタルペン60毎の特性に対応して所定の機能部を適正な状態で機能させるための設定値データが記憶されている。そして、ステップ504において情報入出力管理部55は、例えば図10に示したような設定値管理テーブルを参照して、設定値記憶部53のデータベース内のペンIDに対応付けられた設定値データの格納場所を取得する。そして、設定値記憶部53内の取得した格納場所からデジタルペン60にダウンロードする設定値データを読み出す。
【0062】
ところで、設定値記憶部53に記憶されたペンIDに対応付けられた設定値データは、デジタルペン60にて予め設定された設定値をデジタルペン60から取得し、記憶したものである。赤外CMOS63にてCMOSセンサ内の撮像エリアを設定する設定値を例に説明する。デジタルペン60が初めて端末装置50に接続された際には、端末装置50には、ペンIDに対応付けられた撮像エリアを設定する設定値データは記憶されていない。そのため、端末装置50では、受信部51から取得したペンIDに対応する撮像エリアを設定する設定値データが設定値記憶部53内に記憶されていない場合には、そのデジタルペン60は初めて端末装置50に接続されたと判断する。そして、情報入出力管理部55は、送信部59からそのデジタルペン60に対してCMOSセンサ内の撮像エリアを設定する設定値を計測することを指示する指示信号を送る。かかる指示信号を受けたデジタルペン60は、インストールされた動作制御プログラムが起動された後に、すなわち「起動処理」の完了後に、撮像エリアを設定する設定値を計測してペンIDとともに端末装置50に送る。端末装置50は、計測された撮像エリアを設定する設定値を取得し、同時に送られたペンIDと対応付けて、情報入出力管理部55が設定値記憶部53に記憶する。また、その際に、設定値管理テーブルに登録する。
なお、例えば赤外CMOS63での撮像エリアを設定する設定値データを工場出荷時に各デジタルペン60毎に計測しておき、例えばネットワーク80に接続されたサーバ装置(不図示)にペンIDと対応付けて記憶しておく。そして、端末装置50がサーバ装置から設定値データを取得するように構成してもよい。また、工場出荷時に計測された各デジタルペン60毎の設定値データを例えばCD−ROM等の記録媒体に記憶して、端末装置50がかかる記録媒体から設定値データを取得するように構成してもよい。
【0063】
ステップ505において情報入出力管理部55がペンIDに対応付けられた設定値データを読み出すと、情報入出力管理部55は送信部59からデジタルペン60に設定値データを送信する(ステップ506)。
【0064】
デジタルペン60は端末装置50から設定値データを受信する(ステップ608)。そして、デジタルペン60は制御部61のEEPROM(後段の図11の不揮発性メモリ104)に設定値データをインストールする(ステップ609)。
さらに、デジタルペン60の制御部61は、取得した設定値データを所定の機能部(例えば、赤外CMOS63)に設定する(ステップ610)。
上記のようにして、「起動処理」が実行される。また、「起動処理」を実行するに際して、起動用プログラムを実行する制御部61および通信部66、さらには必要に応じて他の機能部が、動作制御プログラムや設定値データを端末装置50から取得するプログラム取得手段として機能する。
【0065】
次に、図11は、デジタルペン60の制御部61のハードウェア構成を示した図である。
図11に示したように、制御部61は、機能モジュールとして、デジタルペン60の動作制御を行うに際して予め定められた動作制御プログラム(ファームウェア)に従ってデジタル演算処理を実行するCPU101、CPU101により実行される処理プログラム等が格納されるRAM102、CPU101により実行される処理プログラム等にて用いられる設定値等のデータが予め格納されるROM103、書き換え可能で電源供給が途絶えた場合にもデータを保持できるEEROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ104、制御部61に接続される各部との信号の入出力を制御するインターフェース部105を備えている。
そして、上記した画像処理部611、データ処理部612、出力部613、動作制御部616の各機能を実現する動作制御プログラムを端末装置50から制御部61内のRAM102に読み込む。そして、RAM102に読み込まれた動作制御プログラムに基づいて、CPU101が各種処理を行う。
【0066】
ここで、デジタルペン60の制御部61では、デジタルペン60での上記の「起動処理」の中で、制御部61を動作させるために必要な最小限である所定の機能モジュールについて故障診断を行ってもよい。そして、故障診断にてかかる所定の機能モジュールがすべて正常であると判定された場合に、デジタルペン60での「起動処理」を継続するように設定してもよい。一方、所定の機能モジュールのいずれかに故障を検出した場合には、「起動処理」を中止し、故障理由に応じて、例えばデジタルペン60の本体筐体68に設けた所定のLED(不図示)を点灯させる等の表示を行い、ユーザに通知するように設定してもよい。なお、この故障診断は、例えば図8のステップ601とステップ602との間で行う。
図12は、制御部61が行う故障診断処理の手順の一例を示したフローチャートである。図12に示したように、デジタルペン60の制御部61にて起動用プログラムが起動される(図8のステップ601)と、制御部61では、まず、制御部61を動作させるために必要な最小限の機能モジュールの1つであるROM103の故障診断を行う(ステップ11)。ここでのROM103の故障診断では、ROM103内のROM空間のチェックサム値を予め指定されたアドレスに記憶しておく。そして、ROM空間をByte_0から順に2バイト長で加算してその加算値を求める。そして、この加算値と指定されたアドレスに記憶されたチェックサム値とが一致すればROM103は正常であると判定し、一致しなければ故障が発生したと判定する。
【0067】
ROM103が正常であると判定された場合には(ステップ12)、制御部61を動作させるために必要な最小限の機能モジュールの1つであるRAM102の故障診断を行う(ステップ13)。ここでのRAM102の故障診断では、RAM102内のRAM空間のすべてにチェックデータを書き込む。そして、書き込んだチェックデータを読み出し、書き込んだチェックデータと一致するかを判定する。読み出したデータが書き込んだチェックデータと一致すればRAM102は正常であると判定し、一致しなければ故障が発生したと判定する。
そして、RAM102が正常であると判定された場合には(ステップ14)、制御部61は正常に動作可能であると判定する(ステップ15)。そして、制御部61による「起動処理」を継続する。
【0068】
一方、ステップ12にてROM103に故障が発生したと判定された場合、またはステップ14にてRAM102に故障が発生したと判定された場合には、例えばデジタルペン60の本体筐体68に設けた所定のLED(不図示)を点灯させる等の表示を行い、ユーザに通知する(ステップ16)。
そして、デジタルペン60の電源スイッチがオフされる(例えば、ユーザスイッチSW3での所定時間に亘るオン設定)のを待って(ステップ17)、制御部61は「起動処理」を停止させる(ステップ18)。
このような故障診断を行うことで、制御部61がハングアップせず、またユーザはデジタルペン60に故障が生じたことを認識する。
【0069】
次に、制御部61の不揮発性メモリ104に識別情報と、筆跡情報または位置情報とを記憶する場合について述べる。
不揮発性メモリ104は、例えば通信部66と端末装置50との間の通信が確立されていない場合に、識別情報と、筆跡情報または位置情報とを記憶する記憶部65として機能する。したがって、デジタルペン60が端末装置50から離れて単独の状態で媒体上の符号画像を読み取る場合にも、記憶部65を構成する不揮発性メモリ104には、識別情報と、筆跡情報または位置情報とが記憶される。
このようなデジタルペン60が端末装置50から離れて単独の状態で使用される場合には、デジタルペン60はバッテリ67からの電力供給を受けて動作する。そのため、不揮発性メモリ104(記憶部65)にデータを記憶している最中にバッテリ67の電圧が所定値以下に低下すると、制御部61のシステムがリセットされる可能性がある。制御部61がリセットされると、不揮発性メモリ104に書き込み中であったデータは、正常な状態で不揮発性メモリ104に記憶されたことが保証されない。
【0070】
そこで、不揮発性メモリ104では、データを記憶する領域(データ記憶領域)と、データ記憶領域へのデータ書き込みの状態を記憶する管理領域(データ管理領域)とを設定している。データ管理領域には、例えば、データが正常な状態で記憶されたことを示す情報、またはデータの書き込み途中で書き込み処理が中断したことを示す情報が記憶される。
そして、制御部61のシステムがリセットされた後に、不揮発性メモリ104内のデータ記憶領域に記憶されたデータを読み出す場合には、制御部61では、データ記憶領域と対をなすデータ管理領域が参照される。そしてデータ管理領域を参照した結果、データ記憶領域から読み出すデータが、書き込み途中で書き込み処理が中断したものであった場合には、そのデータを端末装置50に送信できないように設定する。また、制御部61は、ユーザにそのデータを破棄するように通知する。
それにより、不正常なデータが端末装置50に送信されるのが抑制される。また、不正常なデータが不揮発性メモリ104(記憶部65)に記憶されたままの状態が継続されるのを抑え、不揮発性メモリ104の記憶容量を効率的に使用する。
【0071】
次に、本実施の形態の筆跡情報管理システムにて電子文書に関して行われる各種処理について説明しておく。
[印刷文書の生成処理]
図13は、筆跡情報管理システムにて印刷文書が生成される際の動作の一例を示したシーケンス図である。
まず、ユーザは端末装置10から電子文書の印刷指示を文書サーバ20に送信する(ステップ101)。その際には、端末装置10は、印刷対象となる電子文書と、電子文書の識別情報(文書ID)と、ユーザが指定した印刷設定とを送信する。ここで、印刷設定は、印刷の対象とするページ、印刷部数、媒体である用紙のサイズ、拡大縮小率、Nアップ (電子文書のNページを媒体の1ページに割り付ける印刷)、余白領域の大きさ等の設定を含む。
【0072】
文書サーバ20は、端末装置10から電子文書の印刷指示を受信する(ステップ201)。印刷指示に含まれる印刷対象となる電子文書は、電子文書管理部23に送られ、電子文書管理部23が、電子文書を文書IDと関連付けて文書/筆跡情報記憶部25に登録する(ステップ202)。
また、文書サーバ20は、印刷を指示された電子文書の文書IDと印刷設定とを識別情報サーバ30に送信する(ステップ203)。ここで、文書IDとしては、例えば、URL(Uniform Resource Locator)を用いるとよいが、電子文書を一意に特定することができるものであれば他の情報を用いてもよい。
それにより、識別情報サーバ30は、文書IDと印刷設定とを受信する(ステップ301)。そして、媒体識別情報を管理する識別情報管理部32が識別情報記憶部33から未使用の媒体識別情報を取得する(ステップ302)。ここで、取り出す媒体識別情報の数は、印刷設定に応じて決められる。つまり、基本的には、印刷するページ数に印刷部数を乗じて得られる数の媒体識別情報が取り出される。ただし、印刷設定情報の中に、Nアップ印刷の指定等がある場合は、それも考慮される。例えば、10ページの電子文書を2アップ印刷で5部印刷する場合は、25(=10÷2×5)個の媒体識別情報が取り出される。
次に、識別情報サーバ30は、識別情報と文書IDと印刷設定とを関連付けて識別情報記憶部33に登録する(ステップ303)。そして、識別情報サーバ30は、文書サーバ20に対し、識別情報を送信する(ステップ304)。
【0073】
それにより、文書サーバ20は、識別情報を受信する(ステップ204)。そして、識別情報および位置情報を表す符号画像を生成する(ステップ205)。
すなわち、文書サーバ20では、受信部21が媒体識別情報を受信する。そして、受信部21は、受信した媒体識別情報を識別情報取得部22に受け渡す。すると、まず識別情報取得部22が、取得した媒体識別情報を識別符号生成部27aに渡し、識別符号生成部27aが、上記した方法を用いて媒体の識別情報を符号化し、識別符号を生成する。
また、位置符号生成部27bは、受信部21から印刷設定を受け取り、印刷設定に応じた範囲の位置情報を上記した方法を用いて符号化し、位置符号を生成する。
そして、符号配置部27cが、媒体識別符号と位置符号とを所定のレイアウトに従って配置し、これを符号画像生成部27eが、パターン画像記憶部27dに記憶されたパターン画像を用いて画像化することで符号画像を生成する。
【0074】
その後、文書サーバ20では、文書画像生成部26が、電子文書の文書画像を生成する(ステップ206)。その際に、文書画像生成部26は、ステップ201で識別情報取得部22が取得した文書IDを受け取り、文書IDに基づいて印刷対象となる電子文書を文書/筆跡情報記憶部25から読み出す。また、ステップ201で識別情報取得部22が取得した印刷設定を受け取り、これに基づいて文書画像を生成する。
そして、画像合成部28は、ステップ205で生成された符号画像と、ステップ206で生成された文書画像とを合成し、合成画像を生成する(ステップ207)。
その後、合成画像は送信部29に渡され、送信部29が、合成画像の印刷命令を画像形成装置40に送信する(ステップ208)。ここで、合成画像の印刷命令は、例えば、文書画像の印刷命令の列からなるPDL(Page Description Language)ファイルに対し、符号画像として印刷する内容をPDLコマンドとして設定したPDLの形式で送信される。
【0075】
画像形成装置40は、文書サーバ20から合成画像(電子文書の文書画像および符号画像)を受信する(ステップ401)。そして、画像形成装置40は、文書画像をY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン) により画像に展開する(ステップ402)。次に、文書画像はC、M、Yのトナーを用いて、符号画像はK(カーボンを含む黒)のトナーを用いて、それぞれ画像形成を行う(ステップ403)。
【0076】
ところで、上述した例では、識別情報サーバ30は識別情報を発行するだけで、文書サーバ20が、識別情報を含む符号画像を生成し、画像形成装置40に画像形成を指示する構成とした。しかしながら、識別情報サーバ30が、符号画像を生成し、画像形成装置40に画像形成を指示する構成としてもよい。
また、符号画像を画像形成装置40で生成する構成を採用してもよい。その場合には、文書サーバ20または識別情報サーバ30が、電子文書から生成したPDLに識別情報を付加して画像形成装置40へ送信し、画像形成装置40が識別情報を含む符号画像を生成することになる。
【0077】
また、上記の例では、識別情報と文書IDと印刷設定とが関連付けられて構成されたデータベース(識別情報記憶部33)を識別情報サーバ30に置く構成について説明した。これは、かかるデータベースを共有可能な装置(識別情報サーバ30)に置くことで、複数ユーザへの対応や、サーバのアクセス制御技術を利用した電子文書のセキュリティ確保が可能となるからである。しかしながら、必ずしもこのような構成を採用する必要はなく、端末装置10や文書サーバ20に上記のデータベースを置く構成を採用してもよい。
【0078】
また、上記した画像形成装置40では、符号画像をK(カーボンを含む黒) のトナーを用いて形成するようにした。これは、Kのトナーが、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のトナーよりも赤外光の吸収量が多く、デジタルペン60での符号画像の読み取りが容易となるからである。しかしながら、符号画像は、特殊トナーを用いて形成することも可能である。
ここで、特殊トナーとしては、可視光領域(400nm〜700nm)における最大吸収率が7%以下であり、近赤外領域(800nm〜1000nm)における吸収率が30%以上の不可視トナーが例示される。ここで、「可視」および「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。印刷文書における画像が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで「可視」と「不可視」とを区別している。また、可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性が若干あるが人間の目で認識し難いものも、「不可視」に含める。
【0079】
なお、ここでは、電子文書の画像に符号画像を合成して印刷することとしたが、白紙(ノートや付箋等)に符号画像を印刷する構成としてもよい。その場合は、ステップ201で受信する印刷要求に文書IDを含めないようにし、ステップ303で識別情報と文書IDおよび印刷設定との関連付けを行わないようにし、ステップ206における文書画像の生成は実行しないようにすればよい。
【0080】
[筆跡情報の登録処理]
次に、デジタルペン60が筆跡情報を生成して文書サーバ20に登録する際の動作について説明する。
上記したように、デジタルペン60では、識別情報取得部612bが識別情報を取得する。また、位置情報取得部612cが位置情報を取得する。さらに、筆跡情報生成部612dが位置情報を相互に連結して筆跡情報を生成する。そして、送信部619が、識別情報および筆跡情報を端末装置50を介して識別情報サーバ30へ送信する。そして、識別情報サーバ30が筆跡情報を文書サーバ20に登録する。
図14は、筆跡情報を登録する際の識別情報サーバ30および文書サーバ20の動作の一例を示したシーケンス図である。
識別情報サーバ30では、まず、筆跡情報を取得する筆跡情報取得手段の一例としての受信部31が、デジタルペン60からの識別情報および筆跡情報を受信する(ステップ311)。次に、識別情報および筆跡情報は識別情報管理部32に渡され、識別情報管理部32は、渡された識別情報に関連付けられた文書IDを識別情報記憶部33から取り出す。そして、ステップ311で受信した識別情報および筆跡情報の送信先となる文書サーバ20(文書IDで特定される電子文書が存在する文書サーバ20)を決定する(ステップ312)。なお、識別情報記憶部33において識別情報に文書IDが関連付けられていなければ、その識別情報は白紙(ノートや付箋)に割り当てられたものであると考えられる。その場合は、白紙に対する筆跡情報を管理する文書サーバ20を送信先として決定すればよい。
その後、識別情報および筆跡情報は送信部39に渡され、送信部39が、ステップ312で送信先として決定した文書サーバ20に対し、識別情報および筆跡情報を送信する(ステップ313)。
【0081】
これにより、文書サーバ20では、受信部21が、識別情報および筆跡情報を受信する(ステップ211)。そして、受信部21は、受信した識別情報を筆跡情報管理部24に渡す。すると、筆跡情報管理部24は、識別情報と筆跡情報とを対応付けて文書/筆跡情報記憶部25に記憶する(ステップ212)。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態の筆跡情報管理システムに用いるデジタルペン60では、デジタルペン60の起動時に、端末装置50からデジタルペン60を動作させるために動作制御プログラムや、デジタルペン60に備えられた所定の機能部を適正な状態で機能させるための設定値データを受信する。
それにより、デジタルペン60を使用するユーザの用途や使用状況等に対応させて、デジタルペン60の機能が設定される。またその際に、デジタルペン60各々は同一の構造で実現されるので、製造コストは低廉化される。さらに、デジタルペン60の動作制御プログラムを変更(バージョンアップ)する場合にも、端末装置50に記憶された動作制御プログラムを変更すればよいので、変更処理が容易である。また、デジタルペン60自身が所定の機能部を適正な状態で機能させるための設定値データを保持する必要がないことから、メモリが小容量化され、デジタルペン60の小型化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本実施の形態の筆跡情報管理システムの構成の一例を示した図である。
【図2】文書サーバの機能構成の一例を示したブロック図である。
【図3】符号画像を構成する画像等の一例を示した図である。
【図4】識別情報サーバの機能構成の一例を示したブロック図である。
【図5】端末装置の機能構成の一例を示したブロック図である。
【図6】デジタルペンの構成を説明する図である。
【図7】制御部の機能構成の一例を示したブロック図である。
【図8】デジタルペンにて起動処理が実行される際のデジタルペンおよび端末装置での動作の一例を示したシーケンス図である。
【図9】プログラム記憶部に記憶されたペンIDに対応付けられた動作制御プログラムを管理するためのプログラム管理テーブルを示した図である。
【図10】設定値記憶部に記憶されたペンIDに対応付けられた設定値データを管理するための設定値管理テーブルを示した図である。
【図11】デジタルペンの制御部のハードウェア構成を示した図である。
【図12】制御部が行う故障診断処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【図13】筆跡情報管理システムにて印刷文書が生成される際の動作の一例を示したシーケンス図である。
【図14】筆跡情報を登録する際の識別情報サーバおよび文書サーバの動作の一例を示したシーケンス図である。
【符号の説明】
【0084】
10…端末装置、20…文書サーバ、25…文書/筆跡情報記憶部、30…識別情報サーバ、40…画像形成装置、50…端末装置、52…プログラム記憶部、53…設定値記憶部、55…情報入出力管理部、60…デジタルペン、61…制御部、65…記憶部、65b…起動用プログラム記憶部、66…通信部、611…画像処理部、612…データ処理部、614…照明駆動部、616…動作制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子文書に基づく文書画像と符号画像とが印刷された媒体から当該符号画像に基づき所定の情報を取得し、当該媒体へのユーザの筆記操作に関連した情報である筆跡情報を生成する筆跡情報生成装置と、
前記筆跡情報生成装置から前記筆跡情報を取得し、取得した当該筆跡情報を前記媒体または当該媒体に印刷された前記電子文書に関連付けて管理する筆跡情報管理装置と、
前記筆跡情報生成装置にて前記筆跡情報を生成させる機能を実現させるプログラムを当該筆跡情報生成装置各々に対応付けて記憶するプログラム記憶装置とを有し、
前記プログラム記憶装置は、通信接続された前記筆跡情報生成装置を識別し、識別された当該筆跡情報生成装置に対応付けられた前記プログラムを当該筆跡情報生成装置に供給することを特徴とする筆跡情報管理システム。
【請求項2】
前記プログラム記憶装置は、前記筆跡情報生成装置に備えられた所定の機能部を機能させる際に設定される設定値データを当該筆跡情報生成装置各々に対応付けてさらに記憶し、識別された前記通信接続された筆跡情報生成装置に対応付けられた当該設定値データを当該筆跡情報生成装置に供給することを特徴とする請求項1記載の筆跡情報管理システム。
【請求項3】
前記プログラム記憶装置は、前記筆跡情報を生成させる機能を含む前記筆跡情報生成装置の複数の機能の中の一または複数を実現させる複数のプログラムが当該筆跡情報生成装置各々に対応付けて記憶されたことを特徴とする請求項1記載の筆跡情報管理システム。
【請求項4】
前記筆跡情報生成装置は、当該筆跡情報生成装置を識別する識別情報を記憶し、起動時に当該識別情報を前記プログラム記憶装置に送信し、
前記プログラム記憶装置は、前記筆跡情報生成装置から前記識別情報を受信し、前記通信接続された筆跡情報生成装置を当該識別情報に基づき識別することを特徴とする請求項1記載の筆跡情報管理システム。
【請求項5】
前記筆跡情報生成装置は、当該筆跡情報生成装置にて前記識別情報を前記プログラム記憶装置に送信する機能を実現させる起動用プログラムを格納し、当該起動用プログラムを起動させて当該識別情報を前記プログラム記憶装置に送信することを特徴とする請求項4記載の筆跡情報管理システム。
【請求項6】
前記筆跡情報生成装置は、前記起動用プログラムが当該筆跡情報生成装置の故障を検出する機能を含むことを特徴とする請求項5記載の筆跡情報管理システム。
【請求項7】
前記筆跡情報生成装置は、動作停止状態を設定した場合に、供給された前記プログラムを消去することを特徴とする請求項1記載の筆跡情報管理システム。
【請求項8】
媒体に印刷された符号画像から所定の情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段にて取得された前記所定の情報に基づき前記媒体へのユーザの筆記操作に関連した情報である筆跡情報を生成する筆跡情報生成手段と、
前記筆跡情報生成手段にて前記筆跡情報を生成する機能を含む当該装置の複数の機能の中の一または複数を実現させるプログラムを外部装置から取得するプログラム取得手段と
を備えたことを特徴とする筆跡情報生成装置。
【請求項9】
前記プログラム取得手段は、前記情報取得手段と前記筆跡情報生成手段とを含む当該装置に備えられた機能部の一または複数を機能させる際に当該機能部に設定する設定値データを前記外部装置からさらに取得することを特徴とする請求項8記載の筆跡情報生成装置。
【請求項10】
当該筆跡情報生成装置を識別する識別情報を記憶する識別情報記憶部をさらに備え、
前記プログラム取得手段は、前記識別情報記憶部に記憶された前記識別情報に基づき前記外部装置から前記プログラムを取得することを特徴とする請求項8記載の筆跡情報生成装置。
【請求項11】
前記プログラム取得手段を当該装置の起動時に機能させる起動用プログラムを記憶した起動用プログラム記憶部をさらに備え、
前記プログラム取得手段は、起動時に前記起動用プログラムにより機能することを特徴とする請求項8記載の筆跡情報生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−181480(P2009−181480A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21799(P2008−21799)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】