説明

等速自在継手

【課題】高温・高負荷・高速回転でも、焼き付きや潤滑不良がなく、温度変化に耐えうる等速自在継手を提供する。
【解決手段】内周面21に複数のトラック溝22が形成された外側継手部材と、外周面24に複数のトラック溝25が形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝22と内側継手部材のトラック溝25との間に介在してトルクを伝達する複数のボール27と、ボール27を収容するポケット29を有するとともに外側継手部材と内側継手部材との間に介装されるケージ28とを備えた等速自在継手である。ボール27を鋼球とするとともに、ボール鋼材を、C:0.6〜1.3重量%、Si:0.3〜3.0重量%、Ni:0.1〜3.0重量%、Mn:0.2〜1.5重量%、Cr:0.3〜5.0重量%を含有する合金鋼とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、等速自在継手に関し、特にトルク伝導部材にボールを使用する等速自在継手に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車用、産業機械用、農業機械用等におけるドライブシャフトに使用される等速自在継手に、バーフィールド型(BJ)、ダブルオフセット型(DOJ)、クロスグルーブ型(LJ)等が用いられる。これらの等速自在継手は、トルクを伝達するトルク伝達部材としてボールが使用される。
【0003】
バーフィールド型(BJ)、ダブルオフセット型(DOJ)、クロスグルーブ型(LJ)等のボールは、一般的に軸受鋼(SUJ2:高炭素クロム軸受鋼鋼材JIS G4805)が使用される(特許文献1)。
【0004】
例えば、バーフィールド型(BJ)の等速自在継手は、図4に示すように内周面1に複数のトラック溝2が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された外側継手部材としての外輪3と、外周面4に外輪3のトラック溝2と対をなす複数のトラック溝5が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された内側継手部材としての内輪6と、外輪3のトラック溝2と内輪6のトラック溝5との間に介在してトルクを伝達する複数のボール7と、外輪3の内周面1と内輪6の外周面4との間に介在してボール7を保持するケージ8とを備えている。ケージ8には、ボール7が収容されるポケット9が周方向に沿って複数配設されている。
【0005】
また、外輪3のトラック溝2の曲率中心O1と内輪のトラック溝5の曲率中心O2とは、継手中心Oに対して等距離F、Fだけ軸方向に逆向きにオフセットされている。
【0006】
ところで、このような等速自在継手は高温下で使用され、高温条件下での耐かじり性、ボール疲労性、耐表面損傷性を向上させる必要がある。これには、一般的には、外輪表面温度(雰囲気温度)が100℃以上になる場合、グリース等で対応させている。
【0007】
また、等速自在継手は、トルク伝達時の回転時に、ボール周辺に油膜形成が形成され、ボールの滑らかな回転を許容するものである。しかしながら、外輪の表面温度が100℃以上で、高速回転の場合、ボール周辺の油膜形成が悪くなり、ボールが局部的に200℃〜250℃程度に達するおそれがある。このように、200〜250℃の高温に達すると、寸法変化が生じ、滑らかなな回転が困難となるとともに、損傷するおそれがある。そのため、寸法変化を抑えるため、ボールに、200℃を越える温度で焼き戻しを行っていた。この場合、使用する鋼材を軸受鋼とした場合、予め使用温度より50〜100℃程度高い温度で焼き戻しする。これによって、200℃を越える高温でも寸法変化を抑えるようにしている。
【特許文献1】特開平5−240253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、200℃を越える温度で焼き戻しを行うと、硬度低下や機械的強度が弱くなって、「剥離」「摩耗」「割れ」等を起し易くなり、使用寿命が短くなるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みて、高温・高負荷・高速回転でも、焼き付きや潤滑不良がなく、温度変化に耐えうる等速自在継手を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の等速自在継手は、内周面にトラック溝が形成された外側継手部材と、外周面にトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達するボールと、このボールを収容するポケットを有するとともに外側継手部材と内側継手部材との間に介装されるケージとを備えた等速自在継手であって、前記ボールを、C:0.6〜1.3重量%、Si:0.3〜3.0重量%、Ni:0.1〜3.0重量%、Mn:0.2〜1.5重量%、Cr:0.3〜5.0重量%を含有する合金鋼としたものである。
【0011】
本発明の等速自在継手によれば、ボール鋼材を、C:0.6〜1.3重量%、Si:0.3〜3.0重量%、Ni:0.1〜3.0重量%、Mn:0.2〜1.5重量%、Cr:0.3〜5.0重量%を含有する合金鋼としたことによって、ボールが極めて耐熱性に優れたものとなって、耐かじり性、ボール疲労性、耐表面損傷性の向上を図ることができる。
【0012】
本発明の第2の等速自在継手は、内周面にトラック溝が形成された外側継手部材と、外周面にトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達するボールと、このボールを収容するポケットを有するとともに外側継手部材と内側継手部材との間に介装されるケージとを備えた等速自在継手であって、前記ボールを、V:0.05〜1.0重量%、Mo:0.05重量%以上0.25重量%未満を含有する合金鋼としたものである。
【0013】
本発明の第2の等速自在継手によれば、ボール鋼材を、V:0.05〜1.0重量%、Mo:0.05重量%以上0.25重量%未満を含有する合金鋼としたことによって、前記第1の等速自在継手と同様、ボールが極めて耐熱性に優れたものとなって、耐かじり性、ボール疲労性、耐表面損傷性の向上を図ることができる。
【0014】
本発明の第3の等速自在継手は、内周面にトラック溝が形成された外側継手部材と、外周面にトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する鋼材製のボールと、このボールを収容するポケットを有するとともに外側継手部材と内側継手部材との間に介装されるケージとを備えた等速自在継手であって、前記ボールを高炭素クロムモリブデン鋼(化学成分は質量%で、C:0.77〜0.85、Cr:3.75〜4.25、Mo:4.0〜4.5、V:0.5〜1.1、残部Fe)としたものである。
【0015】
本発明の第3の等速自在継手によれば、ボール鋼材を高炭素クロムモリブデン鋼(M50)としているので、ボールは、耐熱性に優れるともに、高硬度が得られ耐脆性剥離に優れ、疲労寿命の向上を図ることができる。すなわち、本発明の第3の等速自在継手であっても、前記第1の等速自在継手や第2の等速自在継手と同様、耐かじり性、ボール疲労性、耐表面損傷性の向上を図ることができる。
【0016】
本発明の第4の等速自在継手は、内周面にトラック溝が形成された外側継手部材と、外周面にトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達するボールと、このボールを収容するポケットを有するとともに外側継手部材と内側継手部材との間に介装されるケージとを備えた等速自在継手であって、外側継手部材、内側継手部材、及びケージを鋼で構成するとともに、ボールをセラミックスで構成したものである。
【0017】
本発明の第4の等速自在継手によれば、外側継手部材、内側継手部材、及びケージを鋼で構成するとともに、ボールをセラミックスで構成したことによって、ボールが極めて耐熱性に優れたものとなって、前記第1の等速自在継手や第2の等速自在継手と同様、耐かじり性、ボール疲労性、耐表面損傷性の向上を図ることができる。
【0018】
等速自在継手としては、バーフィールド型であっても、ダブルオフセット型であっても、クロスグルーブ型であってもよい。バーフィールド型の等速自在継手は、内側継手部材のトラック溝の曲率中心と外側継手部材のトラック溝の曲率中心とは、継手中心Oに対して軸方向に逆向きにオフセットされているものである。ダブルオフセット型の等速自在継手は、ケージの外周面の中心と内周面の中心とが、継手中心Oに対し、軸方向に逆方向にオフセットしているものである。クロスグルーブ型の等速自在継手は、外側継手部材の内周面に、軸線に対し周方向の一方にねじれたトラック溝と周方向の他方にねじれたトラック溝とが交互に設けられ、内側継手部材の外周面に、周方向の相反した向きにねじれたトラック溝が交互に設けられたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、耐かじり性、ボール疲労性、耐表面損傷性の向上を図ることができる。このため、高温・高負荷・高速回転でも、焼き付きや潤滑不良がなく、温度変化に耐えることができ、高効率のトルク伝達機能を安定して長期にわたって発揮することができる。
【0020】
等速自在継手としては、トルク伝達部材にボールを使用するタイプのバーフィールド型であっても、ダブルオフセット型であっても、クロスグルーブ型であってもよく、種々の用途のものに対応する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下本発明の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0022】
図1に示す第1実施形態の等速自在継手はバーフィールド型(BJ)を示し、内周面21に複数のトラック溝22が軸方向に沿って形成された外側継手部材としての外輪23と、外周面24に複数のトラック溝25が軸方向に沿って形成された内側継手部材としての内輪26とを備える。そして、外輪23のトラック溝22と内輪26のトラック溝25とが対をなし、トルクを伝達するボール37が外輪23のトラック溝22と内輪26のトラック溝25との間に介在する。外輪23の内周面21と内輪26の外周面24との間にケージ28が介在され、このケージ28の周方向に沿って所定ピッチで配設された複数のポケット(ポケット)29にボール27が保持される。
【0023】
前記外輪23のトラック溝22は、その曲率中心O1を継手中心Oから軸方向に外輪33の開口側にずらしている。また、内輪26トラック溝25の曲率中心O2を継手中心Oから軸方向に外輪23のトラック溝22の曲率中心O1と反対側の奥側に等距離Fだけ離して設けている。
【0024】
この内輪26の中心孔(内径孔)26aにシャフト(図示省略)を挿入してスプライン嵌合させ、そのスプライン嵌合により両者間でトルク伝達可能としている。
【0025】
外輪23、内輪26、及びケージ28は、鋼(例えば、SUJ2等の軸受鋼)を使用し、ボール27を鋼球とし、ボール27の鋼材には、C:0.6〜1.3重量%、Si:0.3〜3.0重量%、Ni:0.1〜3.0重量%、Mn:0.2〜1.5重量%、Cr:0.3〜5.0重量%を含有する合金鋼を用いる。
【0026】
このように、ボール鋼材を、前記のような合金鋼としたことによって、ボールが極めて耐熱性に優れたものとなって、耐かじり性、ボール疲労性、耐表面損傷性の向上を図ることができる。これによって、本等速自在継手は、高温・高負荷・高速回転でも、焼き付きや潤滑不良がなく、温度変化に耐えうるものとなって、高効率のトルク伝達機能を安定して長期にわたって発揮することができる。
【0027】
ボール27の鋼材には、V:0.05〜1.0重量%、Mo:0.05重量%以上0.25重量%未満を含有する合金鋼を用いてもよい。この場合であっても、ボール27が極めて耐熱性に優れたものとなって、耐かじり性、ボール疲労性、耐表面損傷性の向上を図ることができるものであり、前記実施形態と同様の作用効果を発揮する。
【0028】
また、ボール27の鋼材には、高炭素クロムモリブデン鋼(M50)(化学成分は質量%で、C:0.77〜0.85、Cr:3.75〜4.25、Mo:4.0〜4.5、V:0.5〜1.1、残部Fe)を用いてもよい。このため、ボール27は、耐熱性に優れるともに、高硬度が得られ耐脆性剥離に優れ、疲労寿命の向上を図ることができる。すなわち、耐かじり性、ボール疲労性、耐表面損傷性の向上を図ることができ、前記実施形態と同様の作用効果を発揮することができる。
【0029】
また、ボール27を耐熱性に優れたセラミックスにて構成してもよい。ここで、セラミックスとは、基本成分が金属酸化物で、高温での熱処理によって焼き固めた焼結体である。この場合、外輪23、内輪26、及びケージ28は、浸炭鋼を使用することができ、外輪23は、例えば、SCM420、S53C等を使用することができ、内輪26は、例えば、SCM420、SCr420等を使用することができ、ケージ28は、例えば、SCr415等を使用することができる。
【0030】
ボール27をセラミックスにて構成しても、ボール27が極めて耐熱性に優れたものとなって、耐かじり性、ボール疲労性、耐表面損傷性の向上を図ることができるものであり、前記実施形態と同様の作用効果を発揮する。
【0031】
次に図2は第2実施形態を示し、この等速自在継手はダブルオフセット型である。外側継手部材としての外輪33と、内側継手部材としての内輪36、ボール37及びケージ38を主要な構成要素としている。外輪33は、円筒状内周面31の周方向に等ピッチで配設される軸方向の複数本のトラック溝32を有している。内輪36は球面状外周面34を有し、その球面状外周面34に軸方向に延びる複数のトラック溝35が形成されている。
【0032】
外輪33のトラック溝32と内輪36のトラック溝35とが対をなしてボールトラックを形成し、各ボールトラックに1個ずつボール37が組み込んである。ケージ38は、外周面38aにて外輪33の円筒状内周面31と接し、内周面38bにて内輪36の球面状外周面34と接している。また、ケージ38にはポケット39が形成され、このポケット39にてボール37が支持される。
【0033】
なお、等速自在継手における外輪33は、車体への取り付け形態から種々のタイプがあり、図2に示すものはフランジタイプである。このタイプの外輪33は、その外径端部に複数の車体取付フランジ40が円周方向等間隔に一体的に突設され、各車体取付フランジ40に貫設されたボルト孔40aを利用してボルト締めにより車体に取り付けられる。また、内輪36の中心孔(内径孔)36aにシャフト(図示省略)を挿入してスプライン嵌合させ、そのスプライン嵌合により両者間でトルク伝達可能としている。
【0034】
ケージ38の外周面38aの中心Ooと内周面38bの中心Oiは、継手中心Oを挟んで軸方向に互いに反対側に等距離だけオフセットされている。
【0035】
この場合であっても、ボール37を鋼球とし、ボール27の鋼材には、C:0.6〜1.3重量%、Si:0.3〜3.0重量%、Ni:0.1〜3.0重量%、Mn:0.2〜1.5重量%、Cr:0.3〜5.0重量%を含有する合金鋼を用いる。または、V:0.05〜1.0重量%、Mo:0.05重量%以上0.25重量%未満を含有する合金鋼を用いる。さらには、ボール37を耐熱性に優れたセラミックスにて構成してもよい。
【0036】
次に、図3は第3実施形態を示し、この場合の等速自在継手はクロスグループ型であり、外周面に軸線に対して互いに逆方向にねじれたトラック溝86を円周方向に交互に形成した内側継手部材としての内輪87と、内周面に軸線に対して互いに逆方向にねじれたトラック溝88を円周方向に交互に形成した外側継手部材としての外輪89と、軸線に対して互いに逆方向にねじれた内輪87のトラック溝86と外輪89のトラック溝88との交差部に組み込んだ複数個のトルク伝達ボール90と、内輪87の外周面と外輪89の内周面との間に介在してトルク伝達ボール90を円周方向で所定間隔に保持するケージ91とを有する。
【0037】
内輪87の中心孔(内径孔)87aにシャフト92を挿入してスプライン嵌合させ、そのスプライン嵌合により両者間でトルク伝達可能としている。また、ケージ91にはポケット98が設けられ、このポケット98にてボール90が支持される
【0038】
外輪89の軸方向一端側(反シャフト突出側の開口部)には、エンドキャップ93が嵌着され、シャフト突出側の外輪開口部は密封装置94にて塞がれている。密封装置94は、外輪89に取り付けた金属製アダプタ95と、このアダプタ95とシャフト間に配設されるゴムブーツ96とを備える。外輪89にはボルト部材97が装着され、このボルト部材97の装着によって、密封装置94の金属製アダプタ95とエンドキャップ93とが外輪89に支持される。
【0039】
この場合であっても、ボール90を鋼球とし、ボール27の鋼材には、C:0.6〜1.3重量%、Si:0.3〜3.0重量%、Ni:0.1〜3.0重量%、Mn:0.2〜1.5重量%、Cr:0.3〜5.0重量%を含有する合金鋼を用いる。または、V:0.05〜1.0重量%、Mo:0.05重量%以上0.25重量%未満を含有する合金鋼を用いる。さらには、ボール37を耐熱性に優れたセラミックスにて構成してもよい。
【0040】
前記図2に示す等速自在継手であっても、図3に示す等速自在継手であっても、ボール37,90が極めて耐熱性に優れたものとなって、耐かじり性、ボール疲労性、耐表面損傷性の向上を図ることができるものであり、前記実施形態と同様の作用効果を発揮する。
【0041】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、ボール数の増減は任意であり、ボールが周方向に沿って不等ピッチで配設したものであってもよい。また、ボール鋼材の各成分の割合は、前記範囲内で任意に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態を示す等速自在継手の断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す等速自在継手の断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態を示す等速自在継手の断面図である。
【図4】従来の等速自在継手の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1、21、31 内周面
2、22、32、88 トラック溝
3、23、33,89 外輪
4、24、34 外周面
5、25、35、86トラック溝
6、26、36、87 内輪
7、27、37、90 ボール
8、28、38、91 ケージ
9、29、39,98 ポケット
26a、36a、87a 内輪中心孔
40aボルト穴孔
92 シャフト
93 エンドキャップ
94 密封装置
95 金属製アダプター
96 ゴムブーツ
97 ボルト部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面にトラック溝が形成された外側継手部材と、外周面にトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達するボールと、このボールを収容するポケットを有するとともに外側継手部材と内側継手部材との間に介装されるケージとを備えた等速自在継手であって、
前記ボールを、C:0.6〜1.3重量%、Si:0.3〜3.0重量%、Ni:0.1〜3.0重量%、Mn:0.2〜1.5重量%、Cr:0.3〜5.0重量%を含有する合金鋼としたことを特徴とする等速自在継手。
【請求項2】
内周面にトラック溝が形成された外側継手部材と、外周面にトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達するボールと、このボールを収容するポケットを有するとともに外側継手部材と内側継手部材との間に介装されるケージとを備えた等速自在継手であって、
前記ボールを、V:0.05〜1.0重量%、Mo:0.05重量%以上0.25重量%未満を含有する合金鋼としたことを特徴とする等速自在継手。
【請求項3】
内周面にトラック溝が形成された外側継手部材と、外周面にトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達するボールと、このボールを収容するポケットを有するとともに外側継手部材と内側継手部材との間に介装されるケージとを備えた等速自在継手であって、
前記ボールを高炭素クロムモリブデン鋼としたことを特徴とする等速自在継手。
【請求項4】
内周面にトラック溝が形成された外側継手部材と、外周面にトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達するボールと、このボールを収容するポケットを有するとともに外側継手部材と内側継手部材との間に介装されるケージとを備えた等速自在継手であって、
外側継手部材、内側継手部材、及びケージを鋼で構成するとともに、ボールをセラミックスで構成したことを特徴とする等速自在継手。
【請求項5】
内側継手部材のトラック溝の曲率中心と外側継手部材のトラック溝の曲率中心とは、継手中心Oに対して軸方向に逆向きにオフセットされているバーフィールド型であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の等速自在継手。
【請求項6】
ケージの外周面の中心と内周面の中心とが、継手中心Oに対し、軸方向に逆方向にオフセットしているダブルオフセット型であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の等速自在継手。
【請求項7】
外側継手部材の内周面に、軸線に対し周方向の一方にねじれたトラック溝と周方向の他方にねじれたトラック溝とが交互に設けられ、内側継手部材の外周面に、周方向の相反した向きにねじれたトラック溝が交互に設けられたクロスグルーブ型であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の等速自在継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−127821(P2009−127821A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306410(P2007−306410)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)