説明

管内検査カメラの照明装置

【課題】広範囲の管内照明に於いて、発光型の異なる2種類の照明をカメラの周囲に配置して、前方向の照明と横方向の照明を使い分け、前方、側方のいずれの管内撮影においても常に最適な照度で管内の各部を照明できる信頼性の高い管内検査カメラの照明装置を提供する。
【解決手段】カメラ本体20を収容した筐体10に、側周発光型のLEDとリフレクタとを備えた直視用集光照明装置部31と、ドーム状発光型のLEDと拡散板とを備えた側視用散照明装置部32とを設けて、集光照明装置部31を用いて管1の内部を直視撮影し、拡散照明装置部32を用いて管1の内部を側視撮影する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象管内の直視および側視撮影に適用される管内検査カメラの照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道管、工業用配管等に於ける管内の状態を、テレビカメラを用いて検査する管内検査カメラに於いては、管内を照明する照明装置を必要とする。この種、照明装置の光源に、近年では、管球(例えばハロゲンランプ)に代わり、固体発光素子(例えばLEDが用いられるようになってきた。LED照明は、管球照明のような微細な照度調整が難しい反面、管球照明に比べて、高寿命化、低消費電力化が図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−35933号公報
【特許文献2】特開平6−50898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
適用管径がφ200mm〜φ800mm程度の広範囲で使用する管内検査カメラの場合、照明は、前方向(進行方向)では約4m以上先を照らす必要があり、横方向(管壁面)では50mm〜350mm程度の距離を照らす必要がある。
【0005】
この種、広範囲の管内照明に於いて、前方向と横方向の照明に同一のLED照明若しくは同光量のLED照明を用いた場合、前方向、横方向のいずれかの照明に於いて光量が大きすぎるまたは小さすぎるという不都合が生じる。
【0006】
この問題を解決するため、本発明は、広範囲の管内照明に於いて、発光型の異なる2種類の照明をカメラの周囲に配置して、前方向の照明と横方向の照明を使い分け、前方、側方のいずれの管内撮影においても常に最適な照度で管内の各部を照明できる信頼性の高い管内検査カメラの照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
管内検査カメラに於いては上述したように検査対象管路の適用管径が広い場合、前方向映像を撮るときと、横方向(側方)映像を撮るときとでは必要な照明量(照度)が異なる。そこで本発明は、カメラ周囲に前方撮影用と側方撮影用の各照明を配置して、この各照明を前方撮影と側方撮影とで使い分けることにより、前方、側方のいずれの撮影に於いても最適な照明を可能にした。
【0008】
即ち、本発明の管内検査カメラの照明装置は、管内検査カメラの筐体の前方に取り付けられる照明装置であって、側周発光型のLEDと、該LEDの光源を集光し反射させるリフレクタとを有し、検査対象となる管内の前方を集光照明により照明する第1の照明装置と、ドーム状発光型のLEDと、該LEDの光源を拡散する拡散板とを有し、前記管内の側方を拡散照明により照明する第2の照明装置と、を備え、前記第1の照明装置と前記第2の照明装置とを同時に、若しくは選択的に用いて、前記検査対象となる管内を照明することを特徴とする。
【0009】
また、管内検査カメラの照明装置は、前記第1および第2の照明装置は、前記管内検査カメラの筐体に複数個設けられ、所定の個数を単位に点灯駆動制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
広範囲の管内照明が必要とされる管内検査カメラの照明装置に於いて、光源に信頼性の高い経済性に優れたLEDを用いて、前方、側方のいずれの管内撮影においても常に最適な照度で配管内の各部を照明できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る照明装置を備えた管内検査カメラを示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る直視用集光照明装置部の構成を示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る側視用拡散照明装置部の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0013】
本発明の実施形態に係る照明装置は、例えば管渠の壁面全周を正対した画像として連続的に取り込むことができる自走式の管内検査カメラ装置に適用するものとする。
【0014】
本発明の実施形態に係る照明装置を備えた管内検査カメラを図1に示し、同照明装置の要部の構成を図2および図3に示す。
【0015】
適用管径がφ200mm〜φ800mm程度の広範囲で使用する管内検査カメラに於ける照明は、上述したように、前方向(進行方向)では約4m以上先、横方向(管壁面)では50mm〜350mm程度の距離を照らす必要がある。この条件を満たす管内照明を、本発明は、管球式の光源に代え、信頼性および経済性の向上が図れるLEDを光源に用いて可能にしたもので、カメラ本体20を収容した筐体(管内検査カメラの外筐体)10に、検査対象となる管1の内部の前方を集光照明により照明する複数の第1の照明装置31,31と、管1の内部の側方を拡散照明により照明する複数の第2の照明装置32,32とを具備する。
【0016】
なお、図1では、第1の照明装置と第2の照明装置をそれぞれ2個示しているが、管内検査カメラの照明装置としてカメラ本体10の周囲に3個以上のn個の第1の照明装置と3個以上のm個の第2の照明装置とを設けた構成、さらにはこれらの各照明装置を固定して設けた構成、若しくは着脱可能にした構成のいずれであってもよい。
【0017】
第1の照明装置31,31は、それぞれ直視撮影に供されるもので、図2に示すように、側周発光型のLED311と、このLED311の光源を集光し反射させるリフレクタ312とを具備する。この直視用に用いる第1の照明装置を集光照明装置部と呼称する。
【0018】
第2の照明装置32,32は、それぞれ側視撮影に供されるもので、図3に示すように、ドーム状発光型のLED321と、このLED321の光源を拡散する拡散板322とを具備する。この側視用に用いる第2の照明装置を拡散照明装置部と呼称する。
【0019】
これらの直視用に用いる集光照明装置部31,31と側視用に用いる拡散照明装置部32,32は、カメラ本体20を収容した筐体10に1個ずつ別筐体で設けられる筐体構造、複数個単位でユニット化された別筐体で設けられる筐体構造、カメラ本体20を収容した筐体10に一体に設けた一体構造のいずれであってもよい。集光照明装置部31,31および拡散照明装置部32,32をカメラ本体20に収容した筐体10と別筐体にした筐体構造の場合は、カメラ本体20を収容した筐体10に設けられた照明具支持部に、例えば検査対象に応じて任意の個数単位で取り付ける取付構造とすることも可能である。
【0020】
または、カメラ本体20を収容した筐体10に設けた照明具支持部に、複数の集光照明装置部31,31および拡散照明装置部32,32を固定して設けた取付構造とすることも可能である。直視用に用いる複数の集光照明装置部31,31と、側視用に用いる複数の拡散照明装置部32,32は、それぞれ検査対象、検査条件、検査対象となる管径等に応じて任意の個数を単位に点灯切替して用いることができる。
【0021】
カメラ本体10には、固体撮像素子および光学系が収納されている。カメラ本体10と、管1の外に置かれたモニタ(監視装置)との間は、光学系および固体撮像素子と走行駆動を制御する制御信号線、および固体撮像素子の画像信号線を有する信号ケーブル(C)で接続される。この信号ケーブル(C)には、上記した複数の集光照明装置部31,31と、側視用に用いる複数の拡散照明装置部32,32を、それぞれ検査対象、検査条件、検査対象となる管径等に応じて任意の個数を単位に点灯切替制御する信号線が含まれる。
【0022】
カメラ本体10には、例えば前方(直視)撮影用のカメラを無構成する光学系および固体撮像素子と、側方(側視)撮影用のカメラを構成する光学系および固体撮像素子とを有し、管渠の壁面全周を正対した画像として連続的に取り込むことができる自走式の管内検査カメラ装置を実現している。このカメラ本体10の機能構成等は本発明に直接関係しないため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0023】
検査対象管1の内部の前方撮影には、集光照明装置部31,31が用いられる。集光照明装置部31は、側周発光型のLED311から放射された光がリフレクタ312で集光され、反射されて配管内を直進し管1の内部前方を照射する。この際、検査の対象となる管1の内径、撮影距離等の各種直視検査条件に応じて複数の集光照明装置部31を1個または数個単位で選択的に切り替えて点灯駆動することにより管内前方を照らす照度を調整することが可能である。
【0024】
検査対象管1の内部の側方(壁面全周)撮影には、拡散照明装置部32が用いられる。拡散照明装置部32は、ドーム状発光型のLED321から放射された光が拡散板322で拡散され管1の内部の側面(壁面)を照射する。
【0025】
この際、撮影距離、側視方向等の各種側視検査条件に応じてカメラ本体20を収容した筐体10の周部に設けた複数の側視用拡散照明装置部32,32を同時に若しくは選択的に切り替えて点灯駆動することにより、任意の撮影範囲を適正照度で壁面全周にわたり照明することができる。
【0026】
上記したように、カメラ本体20を収容した筐体10に、側周発光型のLED311とリフレクタ312とを備えた複数の直視用集光照明装置部31,31と、ドーム状発光型のLED321と拡散板322とを備えた複数の側視用散照明装置部32,32とを設けて、上記集光照明装置部31,31を用いて管1の内部を直視撮影し、上記拡散照明装置部32,32を用いて管1の内部を側視撮影することにより、広範囲の管内照明が必要とされる管内検査カメラの照明装置に於いて、LED照明による信頼性の高い経済的に有利な構成で、前方、側方のいずれの管内撮影においても常に最適な照度で配管内の各部を照明できる。
【符号の説明】
【0027】
10…筐体(管内検査カメラの外筐体)、20…カメラ本体、31…集光照明装置部、32…拡散照明装置部、311…側周発光型のLED、312…リフレクタ、321…ドーム状発光型のLED、322…拡散板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管内検査カメラの筐体の前方に取り付けられる照明装置であって、
側周発光型のLEDと、該LEDの光源を集光し反射させるリフレクタとを有し、検査対象となる管内の前方を集光照明により照明する第1の照明装置と、
ドーム状発光型のLEDと、該LEDの光源を拡散する拡散板とを有し、前記管内の側方を拡散照明により照明する第2の照明装置と、
を備え、
前記第1の照明装置と前記第2の照明装置とを同時に、若しくは選択的に用いて、前記検査対象となる管内を照明することを特徴とする管内検査カメラの照明装置。
【請求項2】
前記第1および第2の照明装置は、前記管内検査カメラの筐体に複数個設けられ、所定の個数を単位に点灯駆動制御されることを特徴とする請求項1に記載の管内検査カメラの照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−7819(P2011−7819A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232603(P2010−232603)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2006−130368(P2006−130368)の分割
【原出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000220620)東芝テリー株式会社 (116)
【Fターム(参考)】