説明

管洗浄装置

【課題】 比較的長い管でも管の全長に亘って、均一に管内の汚れを除去することが可能な管洗浄装置を提供する。
【解決手段】 洗浄管8内の汚れを落とすときには、予め作業者がレバー7Aを矢示A方向に回動することにより、水供給管9からの水を洗浄管8内に向けて矢示B方向へと流す。次に、図示しない電源を入れることにより、タイマが作動し、このタイマからの出力信号により電磁弁5が例えば1秒間おき毎に開閉し、窒素ボンベ2からの窒素ガス10が窒素供給管3を通じて洗浄管8内へと間欠的に噴射される。この結果、無数の窒素ガス10の泡が洗浄管8内で動き回りながら(暴れながら)水と共に矢示B方向へと流れ、この窒素ガス10の泡と水の流れにより、洗浄管8の内面の汚れを落とすようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば温泉施設、工場や一般家屋に設けられた給水管、給湯管等の管の内面についた汚れを洗浄するための管洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、管の内面の洗浄には、有機溶剤が主に使用されている。しかし、近年、有機溶剤による環境汚染の問題から有機溶剤を使用した洗浄はできなくなりつつある。そこで、代替の洗浄方法が要望されている。例えば、特許文献1には、炭酸ガスを管内に向けて吹きかけて管内を洗浄する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2000−140782号公報(段落0009、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記特許文献1による方法では、比較的短い管であれば、炭酸ガスを用いて管内をある程度洗浄することが可能である。しかし、炭酸ガスは水に溶けやすく、比較的長い管を洗浄しようとすると、以下のような問題が生じる。即ち、炭酸ガスが水に溶けてしまうため、長い管を洗浄する際には、管の全長に亘って均一に洗浄することが難しいという問題がある。また、炭酸ガスにより管が腐食してしまうおそれもある。
【0004】
本発明は、前記課題に鑑み、比較的長い管でも管の全長に亘って、均一に管内の汚れを除去することが可能な管洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決すべく構成されるものであり、請求項1に記載の発明は、管内を洗浄するための管洗浄装置において、管内に液体を流すための液体流通手段と、前記液体が流れる管内に向けて窒素ガスを噴射する窒素ガス噴射手段と、を備えたことを特徴とする管洗浄装置である。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、窒素ガス噴射手段により窒素ガスを、管内に向けて噴射するようにしたので、液体の流れによって管内を窒素ガスが動きまわることにより、管の内面に付着した汚れを管の全長に亘って効率よく除去することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、窒素ガス噴射手段が管内に向けて窒素ガスを間欠的に噴射することを特徴とする請求項1に記載の管洗浄装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、管内に向けて窒素ガスのかたまりが間欠的に勢いよく噴射されるため、この窒素ガスにより管の内面に付着した汚れをより一層効率的に除去することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、窒素ガスによる管内の洗浄力をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
以上、詳述した通り、本発明によれば、管の全長が長く枝分かれした配管や地中に埋設してある配管でも、窒素ガスにより管の内面に付着した汚れに対する洗浄力を高めることができる。そして、例えば特許文献1に記載のような二酸化炭素を用いた洗浄方法では落とすことのできなかった塩素を主成分とした汚れを、効率よく除去することができる。また、窒素ガスを用いて管を洗浄できるため、環境汚染の虞れもなくすことができる上に、低コストで洗浄を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る管洗浄装置を図1および図2の添付図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る管洗浄装置を示す全体図であり、図2は、洗浄管を図1中の矢示II−II方向からみた拡大断面図である。
【0012】
図1に示すように、管洗浄装置1は、窒素ガス10(図2参照)が封入された窒素ボンベ2と、窒素ボンベ2内の窒素ガス10を後記の洗浄管8に向けて供給するための窒素供給管3とを備えている。そして、窒素供給管3の途中には、窒素ボンベ2から窒素供給管3内に向けて流出される窒素ガス10の圧力を下げるための減圧弁4と、減圧弁4の下流側に配置された電磁弁5と、電磁弁5の下流側に配置された逆止弁6と、液体流通手段である水供給管9と窒素供給管3と洗浄管8とを接続するT字継手7とが設けられている。
【0013】
減圧弁4は一次圧計4Aと二次圧計4Bとを有し、一次圧は例えば約10MPa(約100kg/cm2)に設定され、二次圧は例えば約0.6MPa(約6kg/cm2)に設定されている。なお、減圧弁4による一次圧は約18MPa(約180kg/cm2)程度に設定し、二次圧は約0.3〜1MPa(約3〜10kg/cm2)の範囲内に設定することが好ましい。
【0014】
電磁弁5は、窒素供給管3内に窒素ガス10を流通させたり、窒素ガス10の流れを遮断するものである。つまり、この電磁弁5は、図示しないタイマと電気的に接続され、このタイマからの出力信号により、例えば1秒間開弁して1秒間閉弁するという動作を繰り返す。この結果、洗浄管8には1秒間おきに間欠的に窒素ガス10が噴射される。
【0015】
逆止弁6は、電磁弁5側から洗浄管8に向けた窒素ガス10の流通を許し、逆向きの流れを阻止するものである。そして、逆止弁6は、窒素ボンベ2、窒素供給管3、減圧弁4および電磁弁5と共に、窒素ガス噴射手段を構成するものである。
【0016】
T字継手7は、洗浄管8を窒素供給管3と水供給管9とに接続するものである。そして、T字継手7は、作業者がレバー7Aを図1中の矢示A方向に回動することにより、水供給管9が洗浄管8と連通するようになっている。また、レバー7Aを図1中の矢示A′方向に回動したときには、水供給管9から洗浄管8への水W(図2参照)の流れが遮断される。
【0017】
管である洗浄管8は、例えば40〜50m程度の比較的長い可撓性ホースからなり、その一端側がT字継手7を介して窒素供給管3と水供給管9とに接続されている。そして、洗浄管8内には、T字継手7を通じて窒素供給管3からの窒素ガス10と水供給管9からの水Wが流入する。この結果、図2に示すように、かたまり状の窒素ガス10の泡が洗浄管8内で動き回りながら水Wと共に図1および図2中の矢示B方向へと流れ、これにより洗浄管8の内面の汚れが落とされる。
【0018】
次に、管洗浄装置1の動作について説明する。
まず、作業者がレバー7Aを図1中の矢示A方向に回動することにより、水供給管9からの水Wを洗浄管8内に向けて図1および図2中の矢示B方向へと流す。次に、図示しない電源を入れることにより、タイマが作動し、このタイマからの出力信号により電磁弁5が例えば1秒間おき毎に開閉し、窒素ボンベ2からの窒素ガス10が窒素供給管3を通じて洗浄管8内へと間欠的に噴射される。
【0019】
この結果、図2に示すように、かたまり状の窒素ガス10の泡が洗浄管8内で動き回りながら(暴れながら)水Wと共に図1および図2中の矢示B方向へと流れ、この窒素ガス10の泡と水Wの流れにより、洗浄管8の内面の汚れを洗浄管8の全長に亘って均一に落とすことができる。そして、このような方法で洗浄管8を洗浄した結果、例えば特許文献1に記載のような二酸化炭素を用いた洗浄方法では落とすことのできなかった塩素を主成分とした汚れを、効率よく除去できることが分かった。
【0020】
従って、本実施の形態によれば、水Wに溶けにくい性質を有する窒素ガス10を用いて洗浄管8を洗浄できるため、比較的長い洗浄管8を洗浄する場合でも、洗浄管8の全長に亘って洗浄管8の内面についた汚れを綺麗に落とすことができる。また、窒素ガス10を用いて洗浄管8を洗浄できるため、環境汚染の虞れもなくすことができる上に、低コストで洗浄を行うことができる。
【0021】
なお、本実施の形態では、洗浄管8の長さを40〜50m程度に設定する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限ることなく、例えば50m以上でもよいし、40m以下でもよい。
【0022】
また、本実施の形態では、洗浄管8を可撓性ホースで形成する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限ることなく、例えば金属管を用いて形成してもよい。
【0023】
さらに、本実施の形態では、液体として水Wが流れる給水管(洗浄管8)を洗浄する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限ることなく、例えば温泉の湯水等が流れる給湯管を洗浄するようにしてもよい。
【0024】
また、管の洗浄時に流す液体としては、水Wに限らず管を流れている液体(例えば醤油等の飲料水、温泉水)に応じて適宜変更することができる。例えば、殺菌効果のある高濃度塩素水(50mg/l)等を管に流してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る管洗浄装置を示す全体図である。
【図2】洗浄管を図1中の矢示II−II方向からみた拡大断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 管洗浄装置
2 窒素ボンベ(窒素ガス噴射手段)
3 窒素供給管(窒素ガス噴射手段)
5 電磁弁(窒素ガス噴射手段)
8 洗浄管(管)
9 水供給管(液体流通手段)
W 水(液体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管内を洗浄するための管洗浄装置において、
管内に液体を流すための液体流通手段と、
前記液体が流れる管内に向けて窒素ガスを噴射する窒素ガス噴射手段と、
を備えたことを特徴とする管洗浄装置。
【請求項2】
前記窒素ガス噴射手段は前記管内に向けて窒素ガスを間欠的に噴射することを特徴とする請求項1に記載の管洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−35110(P2006−35110A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219503(P2004−219503)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(304028195)有限会社ショーリ (1)
【Fターム(参考)】