説明

管理装置及びプログラム

【課題】 複数の通信プロトコルにて動作可能な通信装置に対し、動作変更を施すことが原因で、通信に支障が生じるのを防止する。
【解決手段】 IPv4及びIPv6にて通信可能な多機能装置は、管理PCによりネットワーク経由で設定変更される。管理PCによる使用プロトコルの変更の際には、多機能装置の使用プロトコルを変更した際に、管理PCと多機能装置との間の通信が維持できるか否かを、管理PCの通信プロトコルと、変更後の多機能装置20の通信プロトコルとを比較して判断する(S330)。そして、通信プロトコルが一致しない場合には、通信が維持できないと判断し、管理PCから多機能装置を操作することができなくなる旨の警告画面を表示する(S335)。また、変更をキャンセルする指令が入力部から入力された場合には(S340でNo)、設定変更を行わないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信プロトコルにて、ネットワーク内の装置と通信を行う通信装置を管理するための管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、通信プロトコルとしては、インターネットでの通信に用いられるインターネットプロトコル(IP)が知られている(例えば、引用文献1〜3参照)。近年、情報インフラの普及に伴い、IPアドレスの枯渇化等が問題となり、既存のインターネットプロトコルであるIPv4(Internet Protocol version 4)に代わって、新しいインターネ
ットプロトコルが開発され、採用されつつある。新しいインターネットプロトコルとは、IPv6(Internet Protocol version 6)である。
【0003】
現在は、IPv6への移行期にあり、IPv4にて動作する端末と、IPv6にて動作する端末と、が混在するネットワーク環境が多く存在する。このため、現在では、IPv4及びIPv6の両プロトコルにて通信可能な通信装置を、製品として開発する手法等が採られている。また、このような複数のプロトコルにて動作可能な通信装置においては、様々なネットワーク環境に対応できるように、IPv6による通信機能と、IPv4による通信機能とを、夫々オン/オフ可能な構成を採用することが考えられている。
【特許文献1】特開2004−32699号公報
【特許文献2】特開2000−183874号公報
【特許文献3】特開2001−034434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インターネットプロトコルによる通信では、特定装置(サーバ等)と通信を行う場合、IPアドレスやドメイン名等で通信先を指定し、この情報を格納したパケットをネットワーク内に送出する。この際、IPv4による通信機能がオフにされているにも拘らず、通信先に関する設定情報に、IPv4形式のIPアドレスが登録されていると、通信装置は、通信先装置と通信を行うことができない。
【0005】
また、ドメイン名等で通信先を指定する場合には、DNS(Domain Name System)サーバにアクセスして、ドメイン名をIPアドレスに変換するが、DNSサーバの設定と、通信機能のオン/オフとの関係が適合していない場合には、DNSサーバにアクセスすることができず、通信先装置と通信できない事態が予想される。
【0006】
即ち、複数のプロトコルにて通信可能で、各プロトコルによる通信機能をオン/オフ可能な構成された通信装置では、通信に係る設定内容と、通信機能のオン/オフとの関係に不整合が生じ、通信に支障が生じる可能性がある。また、通信機能をオン/オフすることによって、IPv4又はIPv6の通信機能(単一の通信機能)しか備えない他の装置が、両通信機能を有する通信装置にアクセスすることができなくなる事態が予想される。
【0007】
その他、通信機能のオン/オフに関係なく、通信先装置の能力と、通信先装置にアクセスする際に用いるプロトコルとに不整合が生じた場合には、通信先装置と通信することができなくなる事態が予想される。
【0008】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、第一の通信プロトコルにて通信す
る装置、及び、第二の通信プロトコルにて通信する装置を含むネットワークに接続され、第一の通信プロトコルにてネットワーク内の装置と通信するための第一通信機能と、第二の通信プロトコルにてネットワーク内の装置と通信するための第二通信機能と、を備える通信装置に対して、動作変更を施すことが原因で、通信装置の動作を変更する装置との間の通信に支障が生じる場合に、支障の発生を防止したり、迅速に問題を解消可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、第一の通信プロトコルにて通信する装置、及び、第一の通信プロトコルとは異なる第二の通信プロトコルにて通信する装置を含むネットワーク、に接続され、第一の通信プロトコルにてネットワーク内の装置と通信するための第一通信機能と、第二の通信プロトコルにてネットワーク内の装置と通信するための第二通信機能と、を備える通信装置、を管理するための管理システムであって、通信手段と、入力手段と、変更手段と、を備える管理装置と、判定手段と、を備えるものである。
【0010】
通信手段は、ネットワークを介し、第一又は第二の通信プロトコルにて通信装置と通信し、変更手段は、利用者の操作によって入力手段から入力される指令に従い、通信手段を介して、通信装置の動作を変更する構成にされており、判定手段は、変更手段によって通信装置の動作が変更される際に、その変更によって、ネットワーク内の通信に支障が生じるか否かを判定する。
【0011】
ここで、判定手段は、変更手段による変更の後に、通信装置と管理装置との通信が維持できるか否かを判断する維持判断手段を有し、維持判断手段により、通信装置と管理装置との通信が維持できないと判断された場合には、ネットワーク内の通信に支障が生じると判定する。
【0012】
この発明によれば、利用者の操作に従って通信装置の動作を変更する際に、管理装置との間の通信に支障が生じるか否かを判定するため、通信に支障が生じる場合には、その旨を利用者に報知するといった処置や、支障が生じないように変更を禁止するといった処置を施すことができる。従って、この管理システムによれば、上記通信装置に対し、動作変更を施すことが原因で、通信装置の動作を変更する管理装置との間の通信に支障が生じる場合に、その発生を防止したり、迅速に問題を解消することができる。
【0013】
ここで、周知のように、IPネットワークではSNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて管理装置から通信装置の動作(設定)を、遠隔操作で変更することができる。
【0014】
このように、通信装置から利用者が離れている場合には、利用者が支障に気づくこと、支障に対処することが困難である。従って、支障の発生を防止することが可能な本発明は、非常に有用である。
【0015】
すなわち、上述したシステムでは、管理装置から遠隔操作で通信装置の動作(設定)を変更した際に、管理装置と通信装置との通信を維持することができなくなる可能性があるが、本発明では、このような問題に対処することができ、管理装置と通信装置との通信が維持できなくなるのを、防止することができる。
【0016】
尚、判定手段は、前記通信装置と、ネットワーク内の他の装置との通信が不可能になる場合に、上記支障が生じると判定する構成とすることもができる。
【0017】
また、請求項2記載の管理システムは、変更手段による通信装置の動作変更前に、判定手段が動作し、判定手段によってネットワーク内の通信に支障が生じると判定された場合には、禁止手段が、変更手段による変更動作を禁止する構成にされたものである。この管理システムによれば、利用者が誤った動作変更を指示することが原因で、通信に支障が生じるのを防止することができる。
【0018】
その他、変更手段が、入力手段から入力される指令に従って、通信装置の第一及び第二通信機能を、オン/オフする構成にされている場合には、判定手段を、請求項3記載のように構成するとよい。即ち、変更手段が第一又は第二通信機能をオンからオフに変更する際、その変更によって、ネットワーク内の通信に支障が生じるか否かを判定するように、判定手段を構成するとよい。
【0019】
通信機能がオフにされた場合には、変更前まで通信していた装置との通信が不可能になる可能性があるが、この管理システムによれば、そのような問題に対し、適切に対処することができる。例えば、通信が不可能になる場合には、禁止手段にて変更を禁止することにより、通信が不可能となるのを防止することができる。また、その旨を利用者に報知することにより、利用者に、通信不可能な状態を、迅速に解消させることができる。
【0020】
尚、上記の管理システムには、過去の所定期間に、上記通信装置と通信したネットワーク内の装置が用いた通信プロトコルを示す情報を、通信履歴情報として、管理システムが備える記憶手段に記憶させる履歴記録手段を設け、判定手段を請求項4記載のように構成するとよい。
【0021】
請求項4記載の管理システムは、上記履歴記録手段を備えると共に、判定手段に装置判断手段を備えるものである。装置判断手段は、変更手段による変更動作によって、上記通信装置との通信が不可能となる装置が、所定期間に上記通信装置と通信したネットワーク内の装置の中に存在するか否かを、通信履歴情報に基づき判断する。判定手段は、この装置判断手段により、通信装置との通信が不可能となる装置が存在すると判断されると、ネットワーク内の通信に支障が生じると判定する。
【0022】
この管理システムによれば、所定期間に上記通信装置と通信したネットワーク内の装置について、その装置との通信に支障が生じるか否かを判定するので、上記通信装置と頻繁に通信するネットワーク内の装置の通信が不可能になることが原因で生じる様々な問題を、未然又は迅速に解消することができる。
【0023】
また、上記通信装置が、第一の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報、又は、第二の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報を、特定装置との通信に係る設定情報として記憶する設定記憶手段、を備え、設定記憶手段が記憶する設定情報に従って、ネットワーク内の特定装置と通信する構成にされている場合には、判定手段を、請求項5記載のように構成するとよい。
【0024】
請求項5記載の管理システムにおける判定手段は、変更手段が第一通信機能をオンからオフに変更する際に、設定記憶手段が、上記設定情報として、第一の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報を記憶している場合、ネットワーク内の通信に支障が生じると判定する。また、変更手段が第二通信機能をオンからオフに変更する際に、設定記憶手段が、上記設定情報として、第二の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報を記憶している場合、ネットワーク内の通信に支障が生じると判定する。
【0025】
請求項5記載の通信装置を前提とした場合、その通信装置では、第一通信機能がオフに
されている場合に、第一の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報が設定記憶手段に記憶されていると、第二通信機能がオンであっても、その特定装置との通信を行うことができない。また同様に、第二通信機能がオフにされている場合に、第二の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報が設定記憶手段に記憶されていると、第一通信機能がオンであっても、特定装置との通信を行うことができない。
【0026】
従って、本発明のように、通信機能のオン/オフを切り替える際に、通信機能のオン/オフと設定情報との関係に不整合が生じるか否か判断すれば、未然又は迅速に、その問題(特定装置との通信が不可能になる問題)を解決することができる。尚、ネットワークが、IPネットワークである場合、特定装置としては、DNSサーバ、メールサーバ等が挙げられる。その他、特定装置としては、ゲートウェイ、ルータ、アクセスポイント等、通信装置が他の装置との通信に際し、データ中継器として利用する装置、あるいは、通信装置が他の装置との通信に先立って、その通信に必要な情報を取得するために利用する装置等が挙げられる。また、設定情報としては、特定装置のIPアドレスが挙げられる。
【0027】
また、上記の管理システムは、第一の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報が、特定装置のアドレス情報であって、第一の通信プロトコルに適合するアドレス情報であり、第二の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報が、特定装置のアドレス情報であって、第二の通信プロトコルに適合するアドレス情報である通信装置、を管理するためのシステムとして構成することができる(請求項6)。
【0028】
尚具体的に、第一の通信プロトコルがIPv4、第二の通信プロトコルがIPv6である場合、32ビットのアドレス情報が第一の通信プロトコルに適合するアドレス情報に相当し、128ビットのアドレス情報が第二の通信プロトコルに適合するアドレス情報に相当する。
【0029】
また、請求項7記載の管理システムは、判定手段がネットワーク内の通信に支障が生じると判定すると、その旨のメッセージを表示するメッセージ表示手段、を備えるものである。この発明によれば、メッセージ表示により、利用者に、通信の支障が生じることを報知することができ、この報知により、自身の操作に何等かの誤りがあることを利用者に気づかせることができる。
【0030】
従って、この管理システムによれば、変更手段による変更動作を実行する前に、メッセージ表示手段を動作させることで、通信に支障が生じるのを防止することができる。その他、変更手段による変更動作後に、メッセージ表示手段を動作させれば、通信に支障が生じていることを利用者に気づかせることができ、利用者に、迅速に問題を解消させることができる。
【0031】
また、請求項8記載の管理システムは、判定手段によりネットワーク内の通信に支障が生じると判定されると、その支障に対する解決策を導出する解決策導出手段と、解決策導出手段により導出された解決策を(例えば、文字情報として)表示する解決策表示手段と、を備えるものである。
【0032】
この管理システムによれば、問題(支障)を解決するための方法を表示するので、利用者に、その問題を早期に解決させることができる。尚、解決策の導出方法としては、例えば、判定手段により支障が生じると判定された原因と、それに対する解決策との対応関係を示した情報を、解決策導出手段に記憶させておき、判定手段により支障が生じると判定されると、上記対応関係を示した情報に基づき、判定原因に対応する解決策を導出する方
法が考えられる。
【0033】
また、管理システムには、上記解決策表示手段に代えて、解決策導出手段の導出結果に従い、通信装置の動作を変更する修正手段を設けても良い。このように構成された請求項9記載の管理システムによれば、自動で通信装置の動作を修正するので、ネットワークの知識に疎い利用者にとっては、大変便利である。尚、利用者の意思に関係なく修正手段を作動させると、利用者の自由度を奪うことになり、利用者に不満が及ぶ可能性がある。従って、上記の管理システムにおいては、利用者による指令が入力された場合に、修正手段を作動させるとよい。
【0034】
その他、請求項1〜13記載の管理システムは、第一の通信プロトコルにて通信する装置、及び、第一の通信プロトコルとは異なる第二の通信プロトコルにて通信する装置を含むネットワーク、に接続され、第一の通信プロトコルにてネットワーク内の装置と通信するための第一通信機能と、第二の通信プロトコルにてネットワーク内の装置と通信するための第二通信機能と、を備える通信装置、と通信可能なコンピュータに、上述した各手段としての機能を実現させるためのプログラムを実行させることによって、実現されてもよい。
【0035】
請求項10記載のプログラムは、上記コンピュータに、入力手段から入力される指令に従って、通信装置の動作を変更する手順(A)と、通信装置の動作を変更する際に、その変更によって、ネットワーク内の通信に支障が生じるか否かを判定する手順(B)と、を実行させるためのプログラムである。このプログラムによれば、請求項1記載の管理システムと同様の効果を得ることができる。
【0036】
また、請求項11記載のプログラムは、上記手順(A)が、入力手段から入力される指令に従って、通信装置の第一及び第二通信機能をオン/オフする手順であることを特徴とするプログラムである。このプログラムによれば、請求項3記載の管理システムと同様の効果を得ることができる。尚、プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納して、利用者に提供することができる。
【0037】
なお、このような管理システムにおいて、変更手段が、入力手段から入力される指令に従って、通信装置の第一及び第二通信機能をオン/オフすると共に、入力手段から設定情報が入力されると、その設定情報を通信装置の設定記憶手段に記憶させる構成にされている場合には次のように判定手段を構成するとよい。
【0038】
管理システムにおける判定手段は、変更手段が設定記憶手段に記憶させる設定情報を変更する際、その変更によって、ネットワーク内の通信に支障が生じるか否かを判定する。この管理システムによれば、通信機能のオン/オフと設定情報との関係に不整合が生じるような設定が行われる時点で、ネットワーク内の通信に支障が生じると判定するので、未然又は迅速に、その問題を解決することができる。
【0039】
ここで、上記のように変更手段が設定記憶手段に記憶させる設定情報を変更する際、その変更によって、ネットワーク内の通信に支障が生じるか否かを判定するためにコンピュータが実行するプログラムは、次のような構成となる。すなわち、上記通信装置が、第一の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報、又は、第二の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報を、特定装置との通信に係る設定情報として記憶する設定記憶手段、を備え、設定記憶手段が記憶する設定情報に従って、ネットワーク内の特定装置と通信する構成にされていることを前提としたものであって、この通信装置と通信可能なコンピュータに、入力手段から入力される指令に従って、通信装置の第一及び第二通信機能をオン/オフする手順(A)と、入力手段から設
定情報が入力されると、これを設定記憶手段に記憶させる手順(B)と、設定記憶手段に記憶させる設定情報を変更する際、その変更によって、ネットワーク内の通信に支障が生じるか否かを判定する手順(C)と、を実行させる。
【0040】
このプログラムによれば、上記の管理システムと、同様の効果を得ることができる。尚、プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納して、利用者に提供することができる。
【0041】
さらに、この管理システムにおける判定手段は、具体的に次のように構成することができる。すなわち、管理システムにおける判定手段は、変更手段が、設定記憶手段に記憶させる設定情報を、第一の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報から、第二の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報に変更する際に、第二通信機能がオフである場合、ネットワーク内の通信に支障が生じると判定する。また、変更手段が、設定記憶手段に記憶させる設定情報を、第二の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報から、第一の通信プロトコルにてネットワーク内の特定装置と通信するための情報に変更する際に、第一通信機能がオフである場合、ネットワーク内の通信に支障が生じると判定する。この管理システムによれば、上記管理システムと、同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施例について説明する。図1は、ネットワークNL内に、複数のパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする。)10a,10b,10cと、多機能装置20と、DNSサーバ31と、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サー
バ33と、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバ35と、POP(Post Office Protocol)サーバ37と、ゲートウェイ39と、を備える本発明の管理システムが
適用された通信システム1の構成を表す説明図である。また、図2(a)は、PC10(ここでは、PC10a〜cをまとめてPC10と表現する。)の構成を表すブロック図、図2(b)は、多機能装置20の構成を表すブロック図である。
【0043】
ネットワークNLは、インターネットプロトコル(IP)での通信を前提としたネットワークであり、インターネットに接続されている。ネットワークNL内の各装置は、少なくともIPv4及びIPv6のいずれか一方のプロトコルスタックを有し、そのプロトコルスタックを用いて、ネットワークNL内の他の装置(但し、同種のプロトコルスタックを実行しているものに限る。)と、通信を行う構成にされている。
【0044】
PC10は、各種演算処理を行うCPU11と、プログラム等が格納されたROM12と、一時記憶領域としてのRAM13と、オペレーティングシステム等が記憶されたハードディスク装置(HDD)14と、通信制御を行うためのプロトコルスタック15と、通信ケーブルLNが接続されるネットワークインタフェース(ネットワークI/F)16と、液晶ディスプレイ等からなる表示部17と、利用者が操作可能な入力部18(例えば、キーボードやポインティングデバイス)とを備え、これらがバス19を介して接続された構成にされている。
【0045】
プロトコルスタック15は、ネットワークインタフェース16によるデータ通信がプロトコルスタック15に従った処理を経て行われる状態を概念的に示したものであり、実際には、IPv6に従ったデータ通信を実現するためにPC10に実装(ハードディスク装置14に記憶)されたプログラムモジュール、及び/又は、IPv4に従ったデータ通信を実現するためにPC10に実装されたプログラムモジュールで構成される。PC10は
、このプログラムモジュールを、CPU11にて実行することにより、IPv6及び/又はIPv4にて通信可能な装置として機能し、多機能装置20等、ネットワークNL内の装置と通信する。
【0046】
具体的に、ネットワークNL内のPC10aは、IPv4に従ったデータ通信を実現するためのプログラムモジュールを有し、これをCPU11にて実行することにより、IPv4で通信可能な装置として機能する。また、PC10bは、IPv6に従ったデータ通信を実現するためのプログラムモジュールを有し、これをCPU11にて実行することにより、IPv6にて通信可能な装置として機能する。その他、PC10cは、両プログラムモジュールを有し、これらをCPU11にて実行することにより、IPv4及びIPv6にて通信可能な装置として機能する。
【0047】
また、ネットワークNL内のPC10a〜cのいずれか一つ(以下、これを「管理PC」と称する。)のハードディスク装置14には、多機能装置20の設定情報をSNMP(Simple Network Management Protocol)に基づいて変更するための管理ツール(プログラム)14aが記憶されており、管理PCは、これをCPU11にて実行することにより、多機能装置20に対する設定変更を、SNMPに基づいて、ネットワークNL経由で実行可能な構成にされる。
【0048】
一方、多機能装置20は、各種演算処理を行うCPU21と、プログラム等を記憶するROM22と、一時記憶領域としてのRAM23と、NVRAM(Non Volatile RAM)24と、通信制御を行うためのプロトコルスタック25と、通信ケーブルLNに接続されるネットワークインタフェース(ネットワークI/F)26と、ユーザインタフェース(ユーザI/F)27と、記録紙に画像を形成可能な印刷部28とを備え、これらがバス29を介して接続された構成にされている。
【0049】
プロトコルスタック25は、ネットワークインタフェース26によるデータ通信がプロトコルスタック25に従った処理を経て行われる状態を概念的に示したものであり、実際には、IPv6に従ったデータ通信を実現するためのプログラムモジュール、及び、IPv4に従ったデータ通信を実現するためのプログラムモジュールで構成される。
【0050】
即ち、多機能装置20は、IPv6に対応したプログラムモジュールをCPU21にて実行することにより、IPv6による通信機能(以下、「IPv6通信機能」と称する。)を実現し、IPv4に対応したプログラムモジュールをCPU21にて実行することにより、IPv4による通信機能(以下、「IPv4通信機能」と称する。)を実現し、IPv4及びIPv6にて通信可能な装置として機能する。尚、多機能装置20は、IPv6通信機能、及び、IPv4通信機能をオン/オフ可能な構成にされている。
【0051】
また、多機能装置20は、ROM22(若しくはNVRAM24)に、lpr(Line PRinter daemon protocol)に基づき、ネットワークNL内のPC10から印刷データを受信し、この印刷データに基づく画像を印刷部28に形成させるためのプログラムを有し、CPU21は、このプログラムを実行することにより、上記内容の処理を実行する印刷サーバ部21aとして機能する。その他、ROM22(若しくはNVRAM24)には、SMTPサーバ経由でメールを送信すると共に、POPサーバ(具体的にはPOP3サーバ)に保存されたメールを受信するためのプログラムが格納されており、CPU21は、このプログラムを実行することにより、メール送受信部21bとして機能する。
【0052】
また、NVRAM24には、多機能装置20に関する設定情報(図3(b)参照)が登録されたデータベース(MIB:Management Information Ba
se )と、管理PCからの指令を受けてデータベースに登録された設定情報の通知・更新などをSNMPに従って行うためのエージェントプログラムと、が記憶されており、多機能装置20は、このエージェントプログラムをCPU21にて実行することにより、SNMPエージェント21dとして機能し、管理PCからの指令に従って設定情報を提供し、又、設定情報を更新する。
【0053】
その他、多機能装置20は、ROM22(若しくはNVRAM24)に、当該多機能装置20と通信したネットワーク内の装置についての通信履歴情報を、NVRAM24内のアクセスログ(図3(a)参照)に書き込むためのプログラムを有し、CPU21は、このプログラムを実行することにより、通信履歴記録部21cとして機能する。尚、このアクセスログは、MIBに登録され、SNMPにて、多機能装置20から管理PCに提供される。
【0054】
続いて、アクセスログ及び設定情報の構成について説明する。図3(a)は、アクセスログの構成を表す説明図であり、図3(b)は、設定情報の構成を表す説明図である。
【0055】
図3(a)に示すように、アクセスログは、過去の所定期間に多機能装置20にアクセスしてきたアクセス元装置毎に、ネットワーク上の名前であるノード名と、ノード名に対応するIPアドレスと、最終アクセス日時と、からなる通信履歴情報を有する。このアクセスログには、アクセス元装置のノード名が同一であってもアドレス形式が異なる場合、形式の異なるIPアドレス毎に、最終アクセス日時が記録される。
【0056】
即ち、アクセスログには、ノード名が同一であっても、IPv4及びIPv6の夫々のIPアドレス及び最終アクセス日時が記録される。尚、周知のように、IPv4に対応するIPアドレスは、32ビットで表され、IPv6に対応するIPアドレスは、128ビットで表される。
【0057】
一方、NVRAM24が記憶する設定情報は、主に、IPモードの設定値と、IPv4自動設定についての有効/無効を表す値と、IPv4での通信に用いる自装置のIPアドレス(IPv4アドレス)を表す値と、IPv4でのサブネットマスクを表す値と、IPv4での通信に用いるデフォルトゲートウェイのIPアドレスを表す値と、IPv6での通信に用いる自装置のIPアドレス(IPv6アドレス)を表す値と、プライマリDNSサーバのIPアドレスを表す値と、プライマリDNSサーバに代替して使用されるセカンダリDNSサーバのIPアドレスを表す値と、メール送受信部21bによるメール送信の際に用いられるSMTPサーバのアドレス(IPアドレス又はドメイン名)を表す値と、メール受信の際に用いられるPOP(具体的にはPOP3)サーバのアドレス(IPアドレス又はドメイン名)を表す値と、自装置のメールアドレスを表す値と、POPサーバから受信メールを取得する際に必要な認証情報としてのユーザ名を表す値と、パスワードを表す値と、からなるものである。
【0058】
CPU21は、この設定情報に基づいて各種処理を行う。即ち、CPU21は、NVRAM24が記憶する設定情報が示す各値(各設定値)に対応する動作を行う。例えば、CPU21は、SMTPサーバのアドレスを表す値に基づいて、SMTPサーバと通信し、POPサーバのアドレスを表す値に基づいて、受信メールをPOPサーバから取得する。
【0059】
また、CPU21は、MIBに、この設定情報を保持し、管理PCからの取得要求(GetRequest)を、ネットワークインタフェース26経由で受信すると、これらの値を格納した応答信号(GetResponce)を、要求元の管理PCにSNMPに基づいて送信する。また、管理PCから値変更の要求(SetRequest)を、ネットワークインタフェース26経由で受信すると、要求に従って設定情報を構成する各設定値
を変更し、NVRAM24内の設定情報を更新する。
【0060】
尚、上述したアクセスログは、CPU21が通信履歴記録処理を実行することにより、通信履歴記録部21cにて更新される。図4は、この通信履歴記録処理を表すフローチャートである。通信履歴記録処理は、電源投入後、電源がOFFにされるまで、CPU21にて繰り返し実行される。
【0061】
通信履歴記録処理を実行すると、CPU21は、当該多機能装置20に対して外部からアクセス(接続)があるまで待機し(S110)、アクセスがあると(S110でYes)、アクセス元装置(通信相手)のIPアドレスを、受信パケットから抽出する(S120)と共に、アクセス元装置のノード名を取得する(S130)。ノード名として、ドメイン名を取得する場合には、例えば、DNSサーバ31にアクセスし、IPアドレスをもとにドメイン名を取得する方法(所謂、「逆引き」)が考えられる。
【0062】
S130での処理を終えると、CPU21は、同一のノード名(ドメイン名)についての通信履歴情報(ノード名、IPアドレス及び最終アクセス日時の情報)が、NVRAM24が記憶するアクセスログに登録されているか否か判断し(S140)、登録されていないと判断すると(S140でNo)、そのアクセス元装置についての通信履歴情報、即ち、S130で取得したノード名と、S120で抽出したIPアドレスと、現在日時と、をアクセスログに追加書込する(S150)。尚、アクセスログが一定のデータ量を超える場合には、最終アクセス日時の最も古い通信履歴情報を削除し、これに代えて、今回のアクセスについての通信履歴情報を、アクセスログに登録する(S150)。その後、CPU21は、当該通信履歴記録処理を終了する。
【0063】
これに対し、S130で取得したノード名の通信履歴情報が、既にアクセスログに登録されていると判断すると(S140でYes)、CPU21は、既に登録されている通信履歴情報のIPアドレスが、S120で抽出したIPアドレスと同一のアドレス形式であるか否か判断する(S145)。
【0064】
具体的に、ここでは、抽出したIPアドレスがIPv4形式で、既に登録されているIPアドレスがIPv6形式である、又は、抽出したIPアドレスがIPv6形式で、既に登録されているIPアドレスがIPv4形式であると、抽出したIPアドレスのアドレス形式が、既に登録されているIPアドレスとは異なると判断し(S145でNo)、S130で取得したノード名と、S120で抽出したIPアドレスと、現在日時と、をアクセスログに追記する(S150)。
【0065】
また、S145にてアドレス形式が同一であると判断すると(S145でYes)、CPU21は、既に登録されている通信履歴情報のIPアドレス及び最終アクセス日時を、S120で取得したIPアドレス及び現在日時に変更して、アクセスログを更新し(S160)、その後、当該通信履歴記録処理を終了する。
【0066】
続いて、管理PCのCPU11が管理ツール14aを実行することにより実現される処理について説明する。図5は、CPU11が管理ツール14aを実行することにより実現される設定画面表示処理を表すフローチャートである。設定画面表示処理は、利用者の操作により入力部18から実行指令が入力されると、CPU11により実行される。
【0067】
設定画面表示処理を実行すると、CPU11は、SNMPにて、図3(b)に示す設定情報の各値(設定値)の取得要求(GetRequest)を、ネットワークインタフェース16経由で多機能装置20に送信し、これにより上記各設定値(図3(b)に示す設定情報の各値)を多機能装置20から取得し、RAM13に保存する(S210)。この
処理により、管理PCのRAM13には、図3(b)に示す設定情報と同一の各設定値が記憶される。この後、CPU11は、設定値を反映させたタブ構成の設定画面を表示部17に表示する(S220)。
【0068】
図6は、上記設定画面の構成を表す説明図である。図6に示すように、設定画面は、タブと、そのタブに対応するダイアログと、からなるタブシートの複数を有する。具体的に、上記設定画面は、通信プロトコル(TCP/IP)に関する各種設定項目を有するダイアログを備えるタブシート(図6(a))と、POPサーバ及びSMTPサーバに関する各種設定項目を有するダイアログを備えるタブシート(図6(b))とを表示可能な構成にされている。尚、S220では、図6(a)に示す構成のタブシート、図6(b)に示す構成のタブシート、又は、その他のタブシートのうち、初期画面として設定されたタブシートを前面に表示する。
【0069】
S220での処理を終えると、CPU11は、入力部18を利用者が操作することにより指令が入力された否か判断し(S230)、入力されていなければ(S230でNo)そのまま待機し、入力されたと判断すると(S230でYes)、入力された指令がタブの切替指令であるか否か判断する(S240)。そして、タブの切替指令であると判断すると(S240でYes)、設定画面の前面に表示するタブシートを切り替え(S245)、その後、S230に移行する。
【0070】
これに対し、入力された指令がタブの切替指令ではないと判断すると(S240でNo)、CPU11は、入力された指令がプロトコルの切替指令であるか否か判断する(S250)。尚、本実施例では、図6(a)に示すタブシートに設けられたIPモードの設定項目が入力部18を通じて選択された場合に、入力部18からプロトコルの切替指令が入力されたと判断する。
【0071】
そして、入力された指令がプロトコルの切替指令であると判断すると(S250でYes)、S255にてプロトコル切替処理(図7及び図8参照)を実行する。尚、この処理の内容については、後に詳述することにする。S255で、このプロトコル切替処理を終えると、CPU11は、S230に移行する。
【0072】
また、入力された指令がプロトコル切替指令ではないと判断すると(S250でNo)、CPU11は、入力された指令がサーバの設定指令であるか否か判断する(S260)。尚、ここでは、図6(a)に示すタブシートに設けられた設定項目「プライマリDNSサーバアドレス」又は「セカンダリDNSサーバアドレス」の入力欄が入力部18を通じて選択されるか、図6(b)に示すタブシートに設けられた設定項目「SMTPサーバアドレス」又は「POPサーバアドレス」の入力欄が入力部18を通じて選択されると、サーバの設定指令が入力されたと判断する。
【0073】
CPU11は、入力された指令がサーバの設定指令であると判断すると(S260でYes)、S265にてサーバ設定処理(図15参照)を実行する。尚、この処理の内容については、後に詳述することにする。S265で、このサーバ設定処理を終えると、CPU11は、S230に移行する。
【0074】
その他、CPU11は、入力された指令がサーバの設定指令ではないと判断すると(S260でNo)、設定画面に設けられた「OK」ボタンが入力部18を通じて選択されたか否か判断し(S270)、「OK」ボタンが選択されたと判断すると(S270でYes)、上記設定画面に基づいて更新されたRAM13が記憶する多機能装置20についての各設定値を、値変更の要求(SetRequest)と共に、ネットワークインタフェース16経由で、多機能装置20に送信し、これによって、設定画面にて更新された各設
定値の内容を、多機能装置20の設定情報に反映させる(S275)。尚、詳細は後述するが、S210で取得しRAM13に記録された各設定値は、プロトコル切替処理やサーバ設定処理により更新され、設定画面に設けられた「OK」ボタンが入力部18を通じて選択された時点で、多機能装置20に送信・反映される。
【0075】
S275での処理が実行されると、設定画面を通じて利用者により変更された設定は、多機能装置20に施され、多機能装置20は、変更後の設定値(NVRAM24の設定情報)に対応した処理(動作)を行う。
【0076】
S275での処理を終えると、CPU11は、表示部17に表示していた設定画面を閉じ、その表示を終了する(S290)。その後、設定画面表示処理を終了する。
【0077】
一方、S270でNoと判断すると、CPU11は、設定画面に設けられた「キャンセル」ボタンが入力部18を通じて選択されたか否か判断し、「キャンセル」ボタン選択されたと判断すると(S280でYes)、S290に移行して設定画面の表示を終了し、設定画面表示処理を終了する。また、「キャンセル」ボタンが選択されていないと判断すると、CPU11は、S230で入力部18から入力された指令に対応するその他の処理を実行し(S285)、この後に、S230に移行して上述のステップを再び実行する。
【0078】
続いて、プロトコル切替処理について説明する。図7及び図8は、管理PCのCPU11がS255にて実行するプロトコル切替処理を表すフローチャートである。また、図9は、プロトコル切替処理内で実行されるサーバ判定処理を表すフローチャートであり、図10は、サーバ判定処理内で実行されるプロトコル判定処理を表すフローチャートである。また、図11は、プロトコル切替処理内で実行されるログ判定処理を表すフローチャートである。
【0079】
IPモードの設定項目は、プルダウン形式にされており、CPU11は、プロトコル切替処理を実行すると、プルダウン形式で、図6(a)において一点鎖線内に示した選択画面を表示する(S310)。
【0080】
選択画面は、IPモードとして、多機能装置20に、IPv4通信機能及びIPv6通信機能を両方とも動作させるモードである「Dualモード」、IPv4通信機能のみを動作させるモードである「IPv4モード」、IPv6通信機能のみを動作させるモードである「IPv6モード」のいずれかを選択可能な構成にされている。このIPモードの設定値の変更により、多機能装置20のIPv4通信機能及びIPv6通信機能は、管理PCから遠隔操作で、オン/オフされる。
【0081】
選択画面を表示すると、CPU11は、選択画面から上記IPモードのいずれかが選択されるまで待機し、選択されると、IPモードが切り替えられたか否か判断する(S320)。即ち、選択画面から既に設定されているIPモードとは異なるモードが選択されたか否か判断し(S320)、選択されたIPモードが既に設定されているIPモードと同一である場合にはNoと判断して、選択画面を閉じ(S325)、当該プロトコル切替処理を終了する。
【0082】
一方、既に設定されているIPモードとは異なるIPモードが選択されたと判断すると(S320でYes)、CPU11は、選択されたIPモードで多機能装置20が動作した場合に、自装置(管理PC)と多機能装置20との通信が継続可能か否か(通信が維持できるか否か)を判断する(S330)。
【0083】
ここで、CPU11は、自装置がIPv4及びIPv6にて通信可能な装置である場合
、選択されたIPモードに関わり無く、自装置と多機能装置20との通信は継続可能であると判断する(S330でYes)。一方、自装置がIPv4のみで通信可能な装置である場合、CPU11は、選択されたIPモードがIPv4又はDualモードである場合にのみYesと判断し、それ以外の場合にはNoと判断する。その他、自装置がIPv6のみで通信可能な装置である場合、CPU11は、選択されたIPモードがIPv6又はDualモードである場合にのみYesと判断し、それ以外の場合にはNoと判断する。
【0084】
S330でYesと判断すると、CPU11は、S350に移行する。一方、S330でNoと判断すると、CPU11は、通信に支障が生じるとして、S335に移行し、IPモードの変更によって管理ツールによる多機能装置20の操作が不可能になる旨の警告画面を表示部17に表示する。
【0085】
尚、図12(a)は、S335で表示されるGUI構成の警告画面の一例を示した図である。警告画面には、警告を無視して操作を有効にする旨の指令を利用者(入力部18)から取得するための「OK」ボタンと、操作を無効にする旨の指令を利用者(入力部18)から取得するための「キャンセル」ボタンとが設けられている。
【0086】
CPU11は、S335にて警告画面を表示した後、上記「OK」ボタン又は「キャンセル」ボタンが選択されるまで待機し、選択されると、選択されたボタンが「OK」ボタンか、それとも「キャンセル」ボタンかを判断し(S340)、「キャンセル」ボタンであると判断すると(S340でNo)、S485に移行して、IPモードの切替操作を無効にし、当該プロトコル切替処理を終了する。即ち、RAM13が保持するIPモードの設定値に変更を加えることなく、設定変更を禁止して、当該プロトコル切替処理を終了する。
【0087】
一方、「OK」ボタンが選択されたと判断されると(S340でYes)、CPU11は、S350に移行する。S350に移行すると、CPU11は、切替後のIPモードでIPアドレスの自動設定が行われるか否か判断する。具体的に、S310で選択されたIPモードがIPv6モードである場合には、IPv6通信機能にて、IPアドレスが自動設定されるため、S350ではYesと判断する。一方、選択されたIPモードがIPv4モードである場合には、RAM13が保持する設定項目「IPv4自動設定」の設定値が有効(enable)になっている場合にのみ、Yesと判断し、それ以外の場合にはNoと判断する。
【0088】
S350でYesと判断すると、CPU11は、S400に移行する。また、S350でNoと判断すると、S360に移行する。S360に移行すると、CPU11は、RAM13が保持するIPv4アドレスの値が未設定であるか否か判断し、未設定であると判断すると(S360でYes)、通信に支障が生じるとして、IPv4アドレスが未設定である旨の警告画面を表示部17に表示する(S365)。尚、図12(b)は、S365で表示されるGUI構成の警告画面の一例を示した図である。
【0089】
図12(b)に示すように、S365で表示される警告画面には、上段から順に、管理ツールからの設定の継続ができなくなる旨の文字列(メッセージ)、操作を続行するか否かを尋ねる文字列、管理ツールからの設定の継続ができなくなる理由を示した文字列、及び、その解決策を示す文字列が表示される。また、解決策としては、「IPv4の自動設定を有効にして、IPアドレスを自動で取得するように変更する」案が、文字列にて、警告画面に表示される。
【0090】
また、この警告画面には、警告画面に提示した解決策(変更案)に従って変更を行う旨の指令を利用者(入力部18)から取得するためのラジオボタンと、警告を無視して操作
を有効にする旨の指令を利用者(入力部18)から取得するためのラジオボタンと、操作を無効にする旨の指令を利用者(入力部18)から取得するためのラジオボタンと、が設けられている。その他、この警告画面には、ラジオボタンの選択が完了すると、利用者により選択される「OK」ボタンが設けられている。
【0091】
CPU11は、上記警告画面を表示部17に表示した後(S365)、ラジオボタンの一つが選択され、「OK」ボタンが選択されるまで待機し、「OK」ボタンが選択されると、ラジオボタンに対応する上記いずれかの指令が入力されたと判断し、S380に移行する。
【0092】
S380では、入力された指令が変更を行う旨の指令である否か判断し、変更を行う旨の指令であると判断すると(S380でYes)、解決策(変更案)に従って、対応する設定値を仮変更する(S385)。尚、ここでは、RAM13が保持する設定値を変更するのではなく、それとは別に、仮変更として、設定値の変更内容(IPv4自動設定の値を、有効に変更する旨の情報)を一時記憶する。また、S385での処理を終えると、S400に移行する。
【0093】
一方、入力された指令が変更を行う旨の指令ではない場合(S380でNo)、CPU11は、入力された指令が警告を無視して操作を有効にする旨の指令であるか否か判断し(S390)、警告を無視して操作を有効にする旨の指令であると判断すると(S390でYes)、S400に移行し、上記指令ではないと判断すると(S390でNo)、S485に移行する。そして、IPモードの切替操作を無効にし、プロトコル切替処理を終了する。
【0094】
その他、S360において、IPv4アドレスの値が未設定ではない(即ち、設定されている)と判断すると、CPU11は、S370に移行し、RAM13が保持するIPv4のサブネットマスクの値が未設定であるか否か判断する。そして、未設定であると判断すると(S370でYes)、通信に支障が生じるとして、サブネットマスクが未設定である旨の警告画面を、表示部17に表示する(S375)。尚、図13は、S375で表示されるGUI構成の警告画面の一例を示した図である。
【0095】
図13に示すように、S375で表示される警告画面には、上段から順に、管理ツールからの設定の継続ができなくなる旨の文字列、操作を続行するか否かを尋ねる文字列、管理ツールからの設定の継続ができなくなる理由を示した文字列、及び、その解決策を示す文字列が表示される。また、解決策としては、「IPv4のサブネットマスクを、管理PCのサブネットマスクと同一の値に変更する」案が、文字列にて警告画面に表示される。
【0096】
また、この警告画面には、警告画面に提示した解決策(変更案)に従って変更を行う旨の指令を利用者(入力部18)から取得するためのラジオボタンと、警告を無視して操作を有効にする旨の指令を利用者(入力部18)から取得するためのラジオボタンと、操作を無効にする旨の指令を利用者(入力部18)から取得するためのラジオボタンと、が設けられている。その他、この警告画面には、ラジオボタンの選択が完了すると、利用者により選択される「OK」ボタンが設けられている。
【0097】
CPU11は、上記警告画面を表示部17に表示した後(S375)、ラジオボタンの一つが選択され「OK」ボタンが選択されるまで待機し、「OK」ボタンが選択されると、ラジオボタンに対応する上記いずれかの指令が入力されたと判断して、S380に移行する。
【0098】
そして、入力された指令が変更を行う旨の指令である否か判断し、変更を行う旨の指令
であると判断すると(S380でYes)、解決策(変更案)に従って、対応する設定値(具体的にはサブネットマスクの値)を仮変更し(S385)、S400に移行する。
【0099】
一方、入力された指令が変更を行う旨の指令ではない場合(S380でNo)、CPU11は、入力された指令が警告を無視して操作を有効にする旨の指令であるか否か判断し(S390)、警告を無視して操作を有効にする旨の指令であると判断すると(S390でYes)、S400に移行し、上記指令ではないと判断すると(S390でNo)、S485に移行する。そして、IPモードの切替操作を無効にし、プロトコル切替処理を終了する。
【0100】
また、S400に移行すると、CPU11は、図9に示すサーバ判定処理を実行する。サーバ判定処理を実行すると、CPU11は、S310でIPモードとしてDualモードが選択されたか否か判断し(S401)、Dualモードが選択されたと判断すると(S401でYes)、そのまま当該サーバ判定処理を終了する。
【0101】
一方、選択されたIPモードがDualモードではないと判断すると(S401でNo)、CPU11は、判定対象のサーバを選択し(S403)、選択したサーバのアドレス(IPアドレス又はドメイン名)を表す設定値を、プロトコル判定対象に設定する(S405)。
【0102】
尚、本実施例における判定対象サーバは、多機能装置20がアクセスする可能性のあるSMTPサーバ、POPサーバ、プライマリDNSサーバ、セカンダリDNSサーバであり、S403では、このうちの一つを、判定対象サーバとして選択する。また、プロトコル判定対象は、S210にて多機能装置20から取得した設定値であってRAM13が保持する上記各サーバのアドレス(IPアドレス又はドメイン名)を表す値である。
【0103】
S405での処理を終えると、CPU11は、プロトコル判定対象が、名前、即ち、ドメイン名で表されているか否か判断し(S407)、ドメイン名ではなくIPアドレスで表されていると判断すると(S407でNo)、S409に移行し、プロトコル判定対象のIPアドレスが、IPv4に適合する32ビットのIPアドレスであるのか、それとも、IPv6に適合する128ビットのIPアドレスであるのかを判定する。換言すると、ここでは、判定対象サーバの通信プロトコルが、IPv4及びIPv6のいずれであるかを判定する。その後、CPU11は、S420に移行する。
【0104】
一方、プロトコル判定対象がドメイン名で表されていると判断すると(S407でYes)、CPU11は、S410に移行し、図10に示すプロトコル判定処理を実行する。
【0105】
プロトコル判定処理を実行すると、CPU11は、ネットワークNL内のDNSサーバ31にアクセスし、プロトコル判定対象のドメイン名に対応するAレコード及びAAAAレコードを問い合わせる(S411)。周知のように、Aレコードとは、ドメイン名に対応するIPv4アドレス(IPアドレス)のことであり、AAAAレコードとは、ドメイン名に対応するIPv6アドレス(IPアドレス)のことである。
【0106】
DNSサーバ31は、Aレコードの問い合わせ信号を受信すると、問い合わせ対象のドメイン名のAレコードが登録されているか否か判断し、登録されているとAレコードを返信し、そうでない場合には、Aレコードを返信しない構成にされている。また、DNSサーバ31は、AAAAレコードの問い合わせ信号を受信すると、問い合わせ対象のドメイン名のAAAAレコードが登録されているか否か判断し、登録されているとAAAAレコードを返信し、そうでない場合には、AAAAレコードを返信しない構成にされている。
【0107】
S411での処理を終えると、CPU11は、受信待機期間を経て、DNSサーバ31から、問い合わせの応答信号として、Aレコード及びAAAAレコードの両者を、ネットワークインタフェース16経由で受信したか否か判断し(S412)、受信したと判断すると(S412でYes)、S413にて、判定対象サーバの通信プロトコルがIPv4及びIPv6であると判定し(即ち、Dual判定し)、当該プロトコル判定処理を終了する。
【0108】
一方、Aレコード及びAAAAレコードの両者を受信できなかったと判断すると(412でNo)、CPU11は、Aレコードを受信したか否か判断し(S415)、Aレコードを受信したと判断すると(S415でYes)、判定対象サーバの通信プロトコルがIPv4であると判定し(S416)、当該プロトコル判定処理を終了する。
【0109】
また、Aレコードを受信していないと判断すると(S415でNo)、CPU11は、AAAAレコードを受信しているか否か判断し(S417)、AAAAレコードを受信していると判断すると(S417でYes)、判定対象サーバの通信プロトコルがIPv6であると判定し(S418)、当該プロトコル判定処理を終了する。
【0110】
一方、AAAAレコードを受信していないと判断すると(S417でNo)、CPU11は、AレコードもAAAAレコードも受信していないので、不正なドメイン名であるとして、不正判定する(S419)。その後、当該プロトコル判定処理を終了する。
【0111】
プロトコル判定処理を終了すると、CPU11は、S420に移行し、S310で選択されたIPモード(切替後のIPモード)がIPv6モードであるか否か判断し、IPv6モードであると判断すると(S420でYes)、上記の判定結果に基づいて、判定対象サーバがIPv6で通信可能か否か判断する(S421)。
【0112】
そして、判定対象サーバがIPv6で通信可能であると判断すると(S421でYes)、S430に移行する。また、判定対象サーバの通信プロトコルがIPv4である場合等、判定対象サーバがIPv6で通信不可能であると判断すると(S421でNo)、通信に支障が生じると判断し、警告画面の表示の際にリストアップするサーバとして、判定対象サーバの情報を、RAM13が記憶する警告リストに登録(S423)し、この後にS430に移行する。尚、警告リストはサーバ判定処理が実行される度に、空情報として、RAM13内に生成される。
【0113】
一方、切替後のIPモードがIPv6モードではないと判断すると(S420でNo)、CPU11は、切替後のIPモードがIPv4モードであるか否か判断し(S425)、IPv4モードではないと判断すると(S425でNo)、S430に移行し、IPv4モードであると判断すると(S425でYes)、上記の判定結果に基づいて、判定対象サーバがIPv4で通信可能か否か判断する(S427)。
【0114】
そして、判定対象サーバがIPv4で通信可能であると判断すると(S427でYes)、S430に移行し、判定対象サーバの通信プロトコルがIPv6である場合等、判定対象サーバがIPv4で通信不可能であると判断すると(S427でNo)、通信に支障が生じると判断し、警告画面の表示の際にリストアップするサーバとして、判定対象サーバの情報を、RAM13が記憶する警告リストに登録(S429)した後、S430に移行する。
【0115】
S430に移行すると、CPU11は、判定対象の全サーバに対して、S405以降の処理を実行したか否か判断し、判定対象の全サーバに対して処理を実行していないと判断すると(S430でNo)、次の判定対象サーバを選択し(S431)、S405に移行
する。一方、判定対象の全サーバに対して処理を実行したと判断すると(S430でYes)、当該サーバ判定処理を終了する。
【0116】
S400にて、サーバ判定処理を終了すると、CPU11は、上記サーバ判定処理の結果に基づいて、多機能装置20が切替後のIPモードで動作した場合に、アクセス対象とするサーバ(上記判定対象のサーバ)と通信できるか否か判断する(S435)。具体的に、ここでは、警告リストに、サーバの情報が登録されているか否か判断し、登録されている場合には、通信できないサーバが存在するのでNoと判断する。一方、警告リストに、サーバの情報が登録されていない場合には、通信できないサーバは存在しないので、Yesと判断する。
【0117】
S435でYesと判断すると、CPU11は、S450に移行し、S435でNoと判断すると、通信に支障が生じるとして、切替後のIPモードに対してサーバの設定値が適合していない旨の警告画面を表示する(S440)。図14(a)は、S440にて表示されるGUI構成の警告画面の一例を示した図である。
【0118】
図14(a)に示すように、S440で表示される警告画面には、上段から順に、使用できなくなるプロトコル(サーバ)が存在する旨の文字列、操作を続行するか否かを尋ねる文字列、使用できなくなるプロトコル(サーバ)のリストを示す文字列が、表示される。また、この警告画面には、警告を無視して操作を有効にする旨の指令を利用者(入力部18)から取得するための「OK」ボタンと、操作を無効にする旨の指令を利用者(入力部18)から取得するための「キャンセル」ボタンとが設けられている。
【0119】
CPU11は、S440にて警告画面を表示した後、上記「OK」ボタン又は「キャンセル」ボタンが選択されるまで待機し、選択されると、選択されたボタンが「OK」ボタンか、それとも「キャンセル」ボタンかを判断し(S445)、「キャンセル」ボタンであると判断すると(S445でNo)、S485に移行して、IPモードの切替操作を無効にし、当該プロトコル切替処理を終了する。これに対し「OK」ボタンが選択されたと判断すると(S445でYes)、CPU11は、S450に移行し、図11に示すログ判定処理を実行する。
【0120】
ログ判定処理を実行すると、CPU11は、S310でIPモードとしてDualモードが選択されたか否か判断し(S451)、Dualモードが選択されたと判断すると(S451でYes)、そのまま当該サーバ判定処理を終了する。
【0121】
一方、選択されたIPモードがDualモードではないと判断すると(S451でNo)、CPU11は、SNMPに基づいて、多機能装置20からネットワークインタフェース16経由で、アクセスログを取得し(S452)、その後、S310で選択されたIPモード(切替後のIPモード)がIPv6モードであるか否か判断する(S453)。
【0122】
そして、切替後のIPモードがIPv6モードであると判断すると(S453でYes)、CPU11は、アクセスログに登録されている一つのアクセス元装置(ノード)をアドレス判定対象に選択し(S455)、アドレス判定対象がIPv4のみにてアクセスしてきた装置であるか否か判断する(S456)。即ち、S456では、同一のノード(同一のノード名)の通信履歴情報を解析して、アクセスログに記録されているアドレス判定対象のIPアドレスが、IPv4のIPアドレスのみであるか否か判断し、アクセスログにアドレス判定対象のIPアドレスとして、IPv6のIPアドレスが存在する場合にはNoと判断し、IPv4のIPアドレスのみである場合にはYesと判断する。
【0123】
S456でNoと判断すると、CPU11は、S459に移行する。一方、S456で
Yesと判断すると、CPU11は、このアドレス判定対象のノード名及びIPアドレスを、警告画面に表示するために、RAM13が記憶する警告リスト(上記サーバ判定処理で用いる警告リストとは異なる)に登録し(S458)、その後、S459に移行する。尚、警告リストは、ログ判定処理が実行される度に、空情報として、RAM13内に生成される。
【0124】
S459において、CPU11は、アクセスログに登録されている全ノードに対し、S456での判断を行ったか否か判断し、行っていないと判断すると(S459でNo)、S455に移行して、次のアドレス判定対象を選択し、S456以降の処理を実行する。一方、アクセスログに登録されている全ノードに対して、S456での判断を行ったと判断すると(S459でYes)、当該ログ判定処理を終了する。
【0125】
この他、切替後のIPモードがIPv6モードではないと判断すると(S453でNo)、CPU11は、切替後のIPモードがIPv4モードであるか否か判断し(S460)、IPv4モードではないと判断すると(S460でNo)、ログ判定処理を終了し、IPv4モードであると判断すると(S460でYes)、S461に移行する。
【0126】
S461では、アクセスログに登録されているアクセス元装置(ノード)の一つをアドレス判定対象に選択し、アドレス判定対象がIPv6のみにてアクセスしてきた装置であるか否か判断する(S462)。即ち、S462では、同一のノード(同一のノード名)の通信履歴情報を解析して、アクセスログに記録されているアドレス判定対象のIPアドレスが、IPv6のIPアドレスのみであるか否か判断する。そして、アクセスログに、アドレス判定対象のIPアドレスとして、IPv4のIPアドレスが存在する場合にはNoと判断し、IPv6のIPアドレスのみである場合にはYesと判断する。
【0127】
S462でNoと判断すると、CPU11は、S465に移行する。一方、S462でYesと判断すると、CPU11は、このアドレス判定対象のノード名及びIPアドレスを、警告画面に表示するために、RAM13が記憶する警告リストに登録し(S464)、その後、S465に移行する。
【0128】
S465において、CPU11は、アクセスログに登録されている全ノードに対し、S462での判断を行ったか否か判断し、行っていないと判断すると(S465でNo)、S461に移行して、次のアドレス判定対象を選択し、S462以降の処理を実行する。一方、アクセスログに登録されている全ノードに対して、S462での判断を行ったと判断すると(S465でYes)、当該ログ判定処理を終了する。
【0129】
S450でのログ判定処理を終了すると、CPU11は、S470に移行し、ログ判定処理の結果に基づいて、IPモードを切り替えた場合に、多機能装置20と通信不能となる装置がアクセスログに登録されたノードの中に存在するか否か判断する。具体的に、ここでは、RAM13に記憶された警告リストに、切替後のIPモードに対応しない上記アドレス判定対象のノード名及びIPアドレスが登録されているか否か判断し、警告リストに、上記アドレス判定対象のノード名及びIPアドレスが登録されている場合には、通信不能となる装置が存在するため、S470でYesと判断する。また、警告リストが空であるとNoと判断する。
【0130】
S470でNoと判断すると、CPU11は、S490に移行し、S470でYesと判断すると、通信に支障が生じるとして、S475に移行する。そして、IPモードの切替により、現在通信可能なノードが多機能装置20と通信不能となる旨の警告画面を表示する(S475)。図14(b)は、S475にて表示されるGUI構成の警告画面の一例を示した図である。
【0131】
図14(b)に示すように、S475で表示される警告画面には、上段から順に、通信できなくなる装置(機器)が存在する旨の文字列、操作を続行するか否かを尋ねる文字列、通信できなくなる装置のIPアドレス及びノード名を示す文字列が、表示される。また、この警告画面には、警告を無視して操作を有効にする旨の指令を利用者(入力部18)から取得するための「OK」ボタンと、操作を無効にする旨の指令を利用者(入力部18)から取得するための「キャンセル」ボタンとが設けられている。
【0132】
CPU11は、S475にて警告画面を表示した後、上記「OK」ボタン又は「キャンセル」ボタンが選択されるまで待機し、選択されると、選択されたボタンが「OK」ボタンか、それとも「キャンセル」ボタンかを判断し(S480)、「キャンセル」ボタンであると判断すると(S480でNo)、S485に移行して、IPモードの切替操作を無効にし、当該プロトコル切替処理を終了する。
【0133】
これに対し「OK」ボタンが選択されたと判断すると(S480でYes)、CPU11は、S490に移行し、RAM13が保持するIPモードの設定値を、S310にて選択されたIPモードの値に変更すると共に、仮変更の内容がRAM13に一時記憶されている場合には、この情報に基づきRAM13が保持する設定値を更新する(S490)。
【0134】
例えば、S365で警告画面に提示した解決策(変更案)に従って変更を行う旨の指令が入力されている場合には、S490にて、RAM13が保持する「IPv4自動設定」の設定値を有効に変更し、S375で警告画面に提示した解決策(変更案)に従って変更を行う旨の指令が入力されている場合には、S490にて、RAM13が保持するサブネットマスクの設定値を、管理PCのサブネットマスクと同一の値に変更する。
【0135】
また、設定値の変更内容に、設定画面の表示内容が対応するように、設定画面の表示内容を更新する(S490)。この後、CPU11は、プロトコル切替処理を終了する。
【0136】
次に、S265にて実行されるサーバ設定処理について説明する。図15は、管理PCのCPU11で実行されるサーバ設定処理を表すフローチャートである。
【0137】
サーバ設定処理を実行すると、CPU11は、当該サーバ設定処理実行の原因となった設定項目の入力欄への文字列の入力が終了するまで待機し(S510)、入力欄への文字列の入力が終了したと判断すると(S510でYes)、S520に移行する。尚、S510では、例えば、入力欄とは別の設定項目が選択された場合に、入力欄への文字列の入力が終了したと判断する。
【0138】
S520に移行すると、CPU11は、設定項目の入力欄への文字列の入力操作が、設定値を変更する操作であるのか否か(即ち、既に設定されている値とは異なる文字列が入力されたか否か)を判断し、設定値を変更する操作ではないと判断すると(S520でNo)、当該サーバ設定処理を終了する。
【0139】
一方、設定値を変更する操作であると判断すると(S520でYes)、入力欄に新たに入力された文字列が、ドメイン名であるか否かを判断する(S530)。そして、入力欄に新たに入力された文字列がドメイン名であると判断すると(S530でYes)、上記入力欄に入力された文字列をプロトコル判定対象に設定し(S540)、その後、図10に示すプロトコル判定処理を実行する(S560)。プロトコル判定処理の内容は、上述した通りである。プロトコル判定処理の実行の後には、S570に移行する。
【0140】
この他、入力欄に新たに入力された文字列が、ドメイン名ではなくIPアドレスである
と判断すると(S530でNo)、CPU11は、S550にて、アドレス判定処理を実行する。図16は、アドレス判定処理を表すフローチャートである。このアドレス判定処理では、周知の関数inet_pton(int af,const char *src,void *dst)を用いて、入力され
たIPアドレスを判定する。
【0141】
上記関数inet_ptonは、文字列srcを、アドレスファミリafのネットワークアドレス構造体に変換し、変数dstにコピーするものである。アドレスファミリafがサポートしていな
いものが、文字列srcに設定された場合、この関数は、返値retとして、負の値を返す。また、文字列srcが正しいアドレスでない場合、返値retとして値0を返す。その他、文字列srcに正しいアドレスが設定されている場合には、返値retとして正の値を返す。
【0142】
具体的に、アドレスファミリafに値AF_INETを設定して上記関数を実行すると、文字列srcが正しいIPv4のIPアドレスでない場合、返値retとしては、0以下の値が得られ
る。逆に、文字列srcが正しいIPv4のIPアドレスである場合には、アドレスファミ
リafに値AF_INETを設定して上記関数を実行すると、返値retとして、正の値が得られる。
【0143】
尚、IPv4については、関数inet_ptonに代わって、文字列srcを構成する文字について、順に、その文字が10進数の文字であるか否か判断し、10進数である場合には、ピリオドまでの10進数の文字列を数値に変換し、数値が255を越えたらエラーとする。以上の処理を、10進数かピリオド以外の文字が出てくるまで繰り返し、返値retを出力
するという一連の処理でも代用できる。
【0144】
また、アドレスファミリafに値AF_INET6を設定して上記関数を実行すると、文字列src
が正しいIPv6のIPアドレスでない場合、返値retとしては、0以下の値が得られる
。逆に、文字列srcが正しいIPv6のIPアドレスである場合には、アドレスファミリafに値AF_INET6を設定して上記関数を実行すると、返値retとして、正の値が得られる。
【0145】
尚、IPv6については、関数inet_ptonに代わって、文字列srcを構成する文字について、順に、その文字が16進数の文字であるか否か判断し、16進数である場合には、コロンまでの16進数の文字列を数値に変換し、数値が0xffffを越えたらエラーとする。また、文字列”::”があったら、その位置を記憶し、二つ目の文字列”::”があったら、エラーとする。以上の処理を、16進数かコロン以外の文字が出てくるまで繰り返し、”::”の位置が記憶されていた場合には、その位置に値0を挿入し、その後、返値ret
を出力するという一連の処理でも代用できる。
【0146】
図16に示すアドレス判定処理では、このようにして、返値retを出力する上記関数を
用いて、入力された文字列が、IPv4のIPアドレスであるのか、IPv6のIPアドレスであるのか、それとも、いずれにも属さない不正な(入力ミスした)IPアドレスで
あるのかを判定する。
【0147】
具体的に、アドレス判定処理を実行すると、CPU11は、変数af=AF_INETに設定し、変数srcに、上記入力欄に入力された文字列を設定して、関数inet_ptonを実行し、返値retを取得する(S551)。
【0148】
その後、CPU11は、返値retが正の値であるか否か(即ち、ret>0か否か)を判断し(S553)、正の値であると判断すると(S553でYes)、入力欄に入力されたIPアドレスがIPv4アドレスであり、入力欄に対応するサーバの通信プロトコルが、IPv4であると判定する(S557)。その後、当該アドレス判定処理を終了する。
【0149】
一方、S553で、返値retが正の値ではないと判断すると(S553でNo)、CP
U11は、変数af=AF_INET6に設定し、変数srcに、上記入力欄に入力された文字列を設定して、関数inet_ptonを実行し、返値retを取得する(S555)。
【0150】
その後、CPU11は、返値retが正の値であるか否か(即ち、ret>0か否か)を判断し(S556)、正の値であると判断すると(S556でYes)、入力欄に入力されたIPアドレスがIPv6アドレスであり、入力欄に対応するサーバの通信プロトコルがIPv6であると判定する(S558)。その後、当該アドレス判定処理を終了する。
【0151】
また、CPU11は、返値retが正の値ではないと判断すると(S556でNo)、不
正なアドレスが入力されたとして、不正判定する(S559)。その後、当該アドレス判定処理を終了し、S570に移行する。
【0152】
S570に移行すると、CPU11は、プロトコル判定処理の結果、若しくは、アドレス判定処理の結果に基づいて、入力欄に対応するサーバがIPv4及びIPv6にて通信可能なサーバであるか否か判断する(S570)。尚、ここでは、プロトコル判定処理にて、Dual判定された場合にのみ、Yesと判断し、それ以外の場合にはNoと判断する。
【0153】
S570でYesと判断すると、CPU11は、RAM13が保持する上記入力欄に対応するサーバの設定値を、上記入力欄に入力された文字列に変更(更新)して(S630)、当該サーバ設定処理を終了する。
【0154】
一方、S570でNoと判断すると、CPU11は、プロトコル判定処理の結果、若しくは、アドレス判定処理の結果に基づいて、上記入力欄に対応するサーバの通信プロトコルがIPv4であるか否か判断し(S580)、IPv4であると判断すると(S580でYes)、RAM13に保持されているIPモードの設定値に基づき、多機能装置20のIPv4通信機能がオンにされているか否か判断する(S590)。具体的に、ここではIPモードが、Dualモード若しくはIPv4モードである場合のみIPv4通信機能がオンにされていると判断する。
【0155】
そして、IPv4通信機能がオンにされていると判断すると(S590でYes)、S630に移行して、当該サーバ設定処理の実行原因となった上記入力欄に対応するサーバの設定値を、上記入力欄に入力された文字列に変更(更新)し、当該サーバ設定処理を終
了する。
【0156】
また、S590で、IPv4通信機能がオフにされていると判断すると(S590でNo)、CPU11は、通信に支障が生じるとして、設定されているIPモードに適合するサーバアドレスを入力するように指示する警告画面を表示部17に表示する(S595)。尚、S590でNoと判断され、警告画面が表示部17に表示されるのは、例えば、IPモードをIPv6としている(IPv4通信機能がオフである)にも拘らず、サーバアドレスを、IPv6からIPv4のアドレスに変更した場合である。
【0157】
図17(a)は、S595にて表示部17に表示される警告画面の一例を示した説明図である。図17(a)に示すように、S595にて表示される警告画面には、IPモードに適合するサーバアドレスを入力するように指示する文字列と、「OK」ボタンとが表示される。
【0158】
S595での警告画面の表示後、CPU11は、利用者が入力部18を操作することにより「OK」ボタンが選択されるまで待機し(S620)、「OK」ボタンが選択されると(S620でYes)、S510で入力欄に入力された文字列を消去し、これに代えて、RAM13が保持する設定値(サーバアドレス)を入力欄に表示することにより、設定画面における上記入力欄の表示内容を、元に戻す(S640)。その後、当該サーバ設定処理を終了する。
【0159】
一方、S580においてサーバの通信プロトコルがIPv4ではないと判断すると(S580でNo)、CPU11は、プロトコル判定処理の結果、若しくは、アドレス判定処理の結果に基づいて、上記入力欄に対応するサーバの通信プロトコルが、IPv6であるか否か判断し(S600)、IPv6であると判断すると(S600でYes)、RAM13に保持されているIPモードの設定値に基づき、多機能装置20のIPv6通信機能がオンにされているか否か判断する(S610)。具体的に、ここではIPモードが、Dualモード若しくはIPv6モードである場合のみIPv6通信機能がオンにされていると判断する。
【0160】
そして、IPv6通信機能がオンにされていると判断すると(S610でYes)、CPU11は、S630に移行し、当該サーバ設定処理の実行原因となった上記入力欄に対応するサーバの設定値を、上記入力欄に入力された文字列に変更(更新)し、その後、サーバ設定処理を終了する。
【0161】
一方、S610でIPv6通信機能がオフにされていると判断すると(S610でNo)、CPU11は、通信に支障が生じるとして、設定されているIPモードに適合するサーバアドレスを入力するように指示する警告画面を表示部17に表示する(S615)。尚、S610でNoと判断され、警告画面が表示部17に表示されるのは、例えば、IPモードをIPv4としている(即ち、IPv6通信機能をオフにしている)にも拘らず、サーバアドレスを、IPv4からIPv6に対応したアドレスに、変更した場合である。
【0162】
図17(b)は、S615にて表示部17に表示される警告画面の一例を示した説明図である。図17(b)に示すように、S615にて表示される警告画面には、IPモードに適合するサーバアドレスを入力するように指示する文字列と、「OK」ボタンとが表示される。
【0163】
S615での警告画面の表示後、CPU11は、利用者が入力部18を操作することにより「OK」ボタンが選択されるまで待機し(S620)、「OK」ボタンが選択されると(S620でYes)、設定画面における上記入力欄の表示内容を元に戻し(S640
)、当該サーバ設定処理を終了する。
【0164】
また、S600において、サーバの通信プロトコルがIPv6でもないと判断すると(S600でNo)、CPU11は、正しいサーバアドレスを入力するように指示する文字列と、「OK」ボタンとを備えた警告画面(図示せず)を表示部17に表示し(S605)、その後、「OK」ボタンが選択されるまで待機し(S620)、「OK」ボタンが選択されると(S620でYes)、設定画面における上記入力欄の表示内容を元に戻す(S640)。そして、当該サーバ設定処理を終了する。
【0165】
以上、サーバ設定処理及びプロトコル切替処理について説明したが、これらの処理にて、更新されたRAM13内の設定値は、上述したように、設定画面の「OK」ボタンが選択された時点で、SNMPに基づき、多機能装置20の設定情報に反映される(S275)。これにより、設定画面を通じて利用者により行われたサーバアドレスの設定操作及びIPモードの切替操作は、多機能装置20に反映され、多機能装置20の動作は変更される。
【0166】
例えば、IPモードの切替操作に基づいて変更されたRAM13内のIPモードの設定値は、多機能装置20のNVRAM24に記憶された設定情報(IPモードの設定値)に反映され、これにより、多機能装置20におけるIPv4通信機能及びIPv6通信機能はオン/オフされる。
【0167】
また、サーバアドレスの設定操作に基づいて変更されたRAM13内の各サーバの設定値(サーバアドレス)は、多機能装置20のNVRAM24に記憶された設定情報に反映され、これにより、多機能装置20における設定情報のサーバアドレスは更新され、多機能装置20は、更新後のサーバアドレスに対応するサーバに、アクセスする。
【0168】
以上、本実施例の通信システム1について説明したが、本実施例において、多機能装置20を管理する管理PCは、利用者の操作によって入力部18から入力される指令に従い、SNMPにて、多機能装置20の設定値を操作し、多機能装置20の動作(設定)を変更するが、SNMPにて、多機能装置20の設定値を変更する前に、変更後の設定値に基づいて多機能装置20が動作した場合に、変更前に通信していた装置と、変更後も通信できるか否か判断し、これにより、変更後の通信に支障が生じないか否か判断する。そして、支障が生じると判断すると、必要に応じて利用者による変更操作をキャンセルし(S485)、多機能装置20に対する設定変更を実行しないようにする(即ち、禁止する)。
【0169】
従って、本実施例によれば、多機能装置20に対し、間違った設定変更を施すことが原因で、通信に支障が生じるのを防止することができる。
【0170】
特に、本実施例の場合には、管理PCからネットワークNL経由で多機能装置20に設定変更を施すため、設定変更によって管理PCと多機能装置20との通信が行えなくなると、利用者にとっては大変不便である。この点、本実施例では、SNMPにて、多機能装置20の設定値を変更する前に、変更後の設定値で、管理PCと多機能装置20との通信が維持できるか否かを判断し(S330)、通信が維持できない場合には(S330でNo)、利用者による変更操作をキャンセルし(S485)、多機能装置20に対する設定変更を実行しないようにするので、利用者による誤った設定変更により、管理PCと多機能装置20との通信が維持できなくなるのを、防止することができる。
【0171】
また、本実施例では、多機能装置20のIPv4通信機能及びIPv6通信機能が夫々オン/オフ可能な構成にされているが、IPv4通信機能又はIPv6通信機能をオフに変更する際に、その変更により、通信に支障が生じないか否かを、プロトコル切替処理に
て判断する。従って、本実施例によれば、IPv4通信機能・IPv6通信機能のオン/オフによって、通信に支障が生じるのを防止することができる。
【0172】
特に、本実施例では、多機能装置20に、アクセスログが一定のデータ量を超えない範囲で、自装置(多機能装置20)と通信したノードの通信プロトコルを示す情報(IPアドレス)をアクセスログに記録させるようにし(通信履歴記録処理)、このアクセスログに基づいて、ログ判定処理を実行し、設定変更によって、多機能装置20との通信が不可能となるネットワークNL内の装置が、過去の所定期間に多機能装置20と通信した装置の中に存在するか否かを、判断するようにした。
【0173】
そして、多機能装置20との通信が不可能となる装置が存在する場合には、ネットワークNL内の通信に支障が生じると判定し(S470でYes)、必要に応じて、IPモードの切替操作を行わないようにした。従って、この通信システム1によれば、多機能装置20と頻繁に通信するネットワークNL内の装置の通信が不能になることが原因で生じる問題を、未然に解消することができる。
【0174】
また、多機能装置20では、SMTPサーバ等のサーバアドレスを、夫々のサーバに対して一つしか設定する(設定情報として記憶する)ことができないのに対し、IPv4及びIPv6通信機能を、夫々、オン/オフすることができるため、通信機能のオン/オフの関係と、サーバアドレスとの関係について、不整合が生じる可能性がある。
【0175】
この問題に対処するため、本実施例では、IPモードを切り替える際に、切替後のIPモードがIPv6モードであるにも拘らず、設定情報として多機能装置20に記憶されるサーバアドレスがIPv4であると(S421でNo)、通信に支障が生じると判断し(S435でNo)、設定変更を禁止するようにした(S485)。また、切替後のIPモードがIPv4であるにも拘らず、設定情報として多機能装置20に記憶されるサーバアドレスがIPv6であると(S427でNo)、通信に支障が生じると判断し(S435でNo)、設定変更を実行しないようにした(S485)。
【0176】
従って、本実施例によれば、例えば、S310にてIPモードがDualモードからIPv4モードに切り替えられ、IPv6通信機能がオンからオフに変更される際に、IPモードと、サーバアドレスとに不整合が生じるのを、S427〜S429等の処理により防止することができる。また、S310にてIPモードがDualモードからIPv6モードに切り替えられ、IPv4通信機能がオンからオフに変更される際に、IPモードと、サーバアドレスとに不整合が生じるのを、S421〜S423等の処理により防止することができる。
【0177】
その他、本実施例では、IPモードの切替操作以外であっても、サーバアドレスの設定がなされる場合には、サーバ設定処理により、IPモードの設定と、入力部18から入力されたサーバアドレスとの間に不整合がないかどうか確認し、不整合がない場合には、設定値を、S630及びS275の処理にて多機能装置20に反映させるが、不整合がある場合(S590でNo及びS610でNoの場合)には、設定変更を禁止するようにした(S640)。従って、本実施例によれば、上述した不整合の問題を未然に解決することができ、利用者が誤った設定変更を行うことにより、多機能装置20がサーバにアクセスできなくなるのを防止することができる。
【0178】
また、本実施例では、IPモードの切替操作とサーバアドレスの設定値との間に不整合がある場合、サーバアドレスの変更操作とIPモードの設定値とに不整合がある場合に、操作を継続すると通信に支障が生じる旨のメッセージ、又は、正しいアドレスを入力するように指示するメッセージを表示部17に表示するようにした(S335,S365,S
375,S440,S475,S595,S615)。従って、本実施例によれば、これらのメッセージ表示により、自身の操作に何等かの誤りがあることを利用者に気づかせることができ、正しい設定操作を行わせることができる。
【0179】
また、本実施例では、通信に支障が生じると判断した原因に応じ、それに対応する解決策(変更案)を警告画面に表示するようにした(S365,S375)。また、警告画面を通じて、変更を行う旨の指令が入力された場合には、提示した解決策(変更案)に対応する設定値の変更を自動で行って、誤った設定変更を修正するようにした(S385,S490)。従って、本実施例によれば、ネットワークの知識に疎い利用者にとっても、多機能装置20の動作管理(設定)を簡単に行えるようにすることができる。
【0180】
尚、本発明の第一及び第二通信プロトコルは、IPv4及びIPv6に対応し、変更手段は、S490,S630,S275等の処理にて実現されている。また、判定手段は、S330,S360,S370,S435,S470,S590,S610等の処理にて実現され、禁止手段は、S485,S640等の処理にて実現されている。また、入力手段は、入力部18に相当し、通信手段は、プロトコルスタック15及びネットワークインタフェース16に相当する。
【0181】
また、維持判断手段は、S330の処理にて実現され、履歴記録手段は、通信履歴記録処理にて実現され、装置判断手段は、S450及びS470の処理にて実現されている。また、設定記憶手段は、設定情報を記憶するNVRAM24にて実現されており、特定装置と通信するための情報は、サーバアドレス(IPv4表記のIPアドレス、IPv6表記のIPアドレス等)に相当する。
【0182】
その他、メッセージ表示手段は、S335,S365,S375,S440,S475,S595,S615等にて実現され、解決策導出手段は、発生原因に応じて、表示する解決策(変更案)を切り替える処理(プロトコル切替処理内)にて実現されている。また、修正手段は、S385及びS490の処理にて実現され、解決策表示手段は、S365及びS375の処理にて実現されている。
【0183】
また、本発明の管理システム及びプログラムは、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。上記実施例では、設定変更により通信に支障が生じるか否かを管理PCで判断し、設定変更のキャンセルを管理PC側で実現するようにしたが、例えば、多機能装置20に、上記判断を行わせて、設定変更のキャンセルを多機能装置20側で実現するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】本発明が適用された通信システム1の構成を表す説明図である。
【図2】通信システム1を構成するPC10の構成を表すブロック図(a)及び多機能装置20の構成を表すブロック図(b)である。
【図3】NVRAM24が記憶するアクセスログの構成を表す説明図(a)及び設定情報の構成を表す説明図(b)である。
【図4】CPU21が実行する通信履歴記録処理を表すフローチャートである。
【図5】管理PCのCPU11が実行する設定画面表示処理を表すフローチャートである。
【図6】設定画面の構成を表す説明図である。
【図7】CPU11が実行するプロトコル切替処理を表すフローチャートである。
【図8】CPU11が実行するプロトコル切替処理を表すフローチャートである。
【図9】CPU11が実行するサーバ判定処理を表すフローチャートである。
【図10】CPU11が実行するプロトコル判定処理を表すフローチャートである。
【図11】CPU11が実行するログ判定処理を表すフローチャートである。
【図12】S335で表示される警告画面の例を示す図(a)及びS365で表示される警告画面の例を示す図(b)である。
【図13】S375で表示される警告画面の例を示す図である。
【図14】S440で表示される警告画面の例を示す図(a)及びS475で表示される警告画面の例を示す図(b)である。
【図15】CPU11が実行するサーバ設定処理を表すフローチャートである。
【図16】CPU11が実行するアドレス判定処理を表すフローチャートである。
【図17】S595で表示される警告画面の例を示す図(a)及びS615で表示される警告画面の例を示す図(b)である。
【符号の説明】
【0185】
1…通信システム、10,10a,10b,10c…PC、11,21…CPU、12,22…ROM、13,23…RAM、14…ハードディスク装置、14a…管理ツール、15,25…プロトコルスタック、16,26…ネットワークインタフェース、17…表示部、18…入力部、19,29…バス、20…多機能装置、21a…印刷サーバ部、21b…メール送受信部、21c…通信履歴記録部、21d…SNMPエージェント、24…NVRAM、27…ユーザインタフェース、28…印刷部、31…DNSサーバ、33…DHCPサーバ、35…SMTPサーバ、37…POPサーバ、LN…通信ケーブル、NL…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の通信プロトコルにて通信する装置、及び、前記第一の通信プロトコルとは異なる第二の通信プロトコルにて通信する装置を含むネットワーク、に接続され、前記第一の通信プロトコルにて前記ネットワーク内の装置と通信するための第一通信機能と、前記第二の通信プロトコルにて前記ネットワーク内の装置と通信するための第二通信機能と、を備える通信装置、
を管理するための管理システムであって、
前記ネットワークを介し、前記第一又は第二の通信プロトコルにて前記通信装置と通信する通信手段と、利用者が操作可能な入力手段と、前記入力手段から入力される指令に従い、前記通信手段を介して、前記通信装置の動作を変更する変更手段と、を備える管理装置と、
前記変更手段が、前記通信装置の動作を変更する際、その変更によって、前記ネットワーク内の通信に支障が生じるか否かを判定する判定手段と、を備え
前記判定手段は、
前記変更の後に、前記通信装置と前記管理装置との通信が維持できるか否かを判断する維持判断手段、
を有し、前記維持判断手段により、前記通信装置と前記管理装置との通信が維持できないと判断されると、前記ネットワーク内の通信に支障が生じると判定することを特徴とすることを特徴とする管理システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記変更手段が前記通信装置の動作を変更する前に動作し、
当該管理システムは、更に、
前記判定手段が前記ネットワーク内の通信に支障が生じると判定すると、前記変更手段による変更動作を禁止する禁止手段、を備えることを特徴とする請求項1記載の管理システム。
【請求項3】
前記変更手段は、前記入力手段から入力される指令に従って、前記通信装置の第一及び第二通信機能をオン/オフする構成にされており、
前記判定手段は、前記変更手段が前記第一又は第二通信機能をオンからオフに変更する際、その変更によって、前記ネットワーク内の通信に支障が生じるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
過去の所定期間に、前記通信装置と通信した前記ネットワーク内の装置が用いた通信プロトコルを示す情報を、通信履歴情報として、当該管理システムが備える記憶手段に記憶させる履歴記録手段、を備え、
前記判定手段は、
前記記憶手段が記憶する前記通信履歴情報に基づき、前記変更によって、前記通信装置との通信が不可能となる装置が、前記所定期間に前記通信装置と通信した前記ネットワーク内の装置の中に存在するか否かを判断する装置判断手段、
を有し、前記装置判断手段により、前記通信装置との通信が不可能となる装置が存在すると判断されると、前記ネットワーク内の通信に支障が生じると判定することを特徴とする請求項3記載の管理システム。
【請求項5】
前記通信装置は、
前記第一の通信プロトコルにて前記ネットワーク内の特定装置と通信するための情報、又は、前記第二の通信プロトコルにて前記ネットワーク内の特定装置と通信するための情報を、特定装置との通信に係る設定情報として記憶する設定記憶手段、
を備え、前記設定記憶手段が記憶する設定情報に従って、前記ネットワーク内の特定装置と通信する構成にされ、
前記判定手段は、前記変更手段が前記第一通信機能をオンからオフに変更する際に、前記設定記憶手段が、前記設定情報として、前記第一の通信プロトコルにて前記ネットワーク内の特定装置と通信するための情報を記憶している場合、及び、前記変更手段が前記第二通信機能をオンからオフに変更する際に、前記設定記憶手段が、前記設定情報として、前記第二の通信プロトコルにて前記ネットワーク内の特定装置と通信するための情報を記憶している場合、前記ネットワーク内の通信に支障が生じると判定することを特徴とする請求項3又は請求項4記載の管理システム。
【請求項6】
前記第一の通信プロトコルにて前記ネットワーク内の特定装置と通信するための情報は、前記特定装置のアドレス情報であって、前記第一の通信プロトコルに適合するアドレス情報であり、
前記第二の通信プロトコルにて前記ネットワーク内の特定装置と通信するための情報は、前記特定装置のアドレス情報であって、前記第二の通信プロトコルに適合するアドレス情報であることを特徴とする請求項5に記載の管理システム。
【請求項7】
前記判定手段が前記ネットワーク内の通信に支障が生じると判定すると、その旨のメッセージを表示するメッセージ表示手段、を備えることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の管理システム。
【請求項8】
前記判定手段が前記ネットワーク内の通信に支障が生じると判定すると、前記支障の解決策を導出する解決策導出手段と、
前記解決策導出手段により導出された前記解決策を表示する解決策表示手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の管理システム。
【請求項9】
前記判定手段が前記ネットワーク内の通信に支障が生じると判定すると、前記支障の解決策を導出する解決策導出手段と、
前記解決策導出手段の導出結果に従い、前記通信装置の動作を変更する修正手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の管理システム。
【請求項10】
第一の通信プロトコルにて通信する装置、及び、前記第一の通信プロトコルとは異なる第二の通信プロトコルにて通信する装置を含むネットワーク、に接続され、前記第一の通信プロトコルにて前記ネットワーク内の装置と通信するための第一通信機能と、前記第二の通信プロトコルにて前記ネットワーク内の装置と通信するための第二通信機能と、を備える通信装置、
を管理するためのコンピュータに、
前記ネットワークを介し、前記第一又は第二の通信プロトコルにて前記通信装置と通信する通信手順と、入力手段から入力される指令に従い、前記通信手順を介して、前記通信装置の動作を変更する変更手順と、
前記通信装置の動作を変更する際に、その変更によって、前記ネットワーク内の通信に支障が生じるか否かを判定する判定手順と、
を実行させるためのプログラムであって、
前記判定手順は、
前記変更の後に、前記通信装置と前記コンピュータとの通信が維持できるか否かを判断する維持判断手順、
を含み、前記維持判断手順により、前記通信装置と前記コンピュータとの通信が維持できないと判断されると、前記ネットワーク内の通信に支障が生じると判定するプログラム
【請求項11】
前記変更手順は、入力手段から入力される指令に従って、前記通信装置の第一及び第二通信機能をオン/オフする手順であることを特徴とする請求項10記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−253833(P2012−253833A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−215778(P2012−215778)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【分割の表示】特願2010−90377(P2010−90377)の分割
【原出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】