管継手、冷凍装置、ヒートポンプ式給湯機、及び給水配管
【課題】スリーブの紛失を防止し、配管の接続時における作業性を向上させつつ、接合部のシール性を確保することができる管継手、該管継手を用いる冷凍装置等を提供する。
【解決手段】スリーブ15は、配管の接合前にはナット14に対して一体的に形成され、ナット14の継手本体へのねじ込みによってナット14から切断されて分離する。また、スリーブ15の内周面15dには凹部15gが形成されているため、スリーブ15が配管12に食い込むときに、ナット14の内側面14cからの押圧力によって、当接面15cとガイド面13dとの当接部の接触面積A1が大きくなるように当接面15cの変形が誘引される。
【解決手段】スリーブ15は、配管の接合前にはナット14に対して一体的に形成され、ナット14の継手本体へのねじ込みによってナット14から切断されて分離する。また、スリーブ15の内周面15dには凹部15gが形成されているため、スリーブ15が配管12に食い込むときに、ナット14の内側面14cからの押圧力によって、当接面15cとガイド面13dとの当接部の接触面積A1が大きくなるように当接面15cの変形が誘引される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒配管等を接合するための管継手、該管継手を用いる冷凍装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍装置の冷媒配管等の内部に流体を流通させる配管の接合に用いられる管継手として、継手本体の接合孔に配管を挿入し、ナットをねじ込むことによって配管を継手本体の接合孔に接合するようにした管継手が知られている。こうした管継手としては、特許文献1に示されるように、継手本体にナットをねじ込むときに継手本体とナットとの間にスリーブを介在させ、ねじ込みによってスリーブを配管の外周に食い込ませて配管と継手本体とを接合して接合部のシール性を確保するようにした、いわゆる食い込み継手が多く採用されている。
【0003】
図11は特許文献1に示される食い込み継手を示したものである。この食い込み継手は、継手本体101と、ナット102と、継手本体101とナット102との間に設けられるスリーブ103とによって構成される。配管104を継手本体101に接合するときは、配管104の外周面104aにスリーブ103を装着して継手本体101の接合孔101aに配管104の先端部104bを挿入し、継手本体101のねじ部101bに対してナット102のねじ部102aをねじ込む。すると、スリーブ103は、その後端面103aがナット102の押圧面102bから押圧力を受けるとともに、その前端部103bが継手本体101のテーパ面101cから押圧力を受ける。このため、スリーブ103の前端部103bは、配管104の外周面104aに食い込み、配管104は継手本体101の接合孔101aに接合される。このようにして、食い込み継手は、スリーブ103を配管104に食い込ませることにより配管104と継手本体101とを接合して接合部のシール性を確保するように構成されている。
【特許文献1】特開2003−74768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような管継手は、継手本体とナットとスリーブとによって構成されるため、配管を接合するまでの間に比較的小物部品であるスリーブを紛失する恐れがあった。また、配管を接合するときには小物部品であるスリーブを組み付けることから、作業性が悪いという問題があった。また、スリーブは、押圧力を受ける部位や配管に食い込む部位が露出しているため、スリーブを予備部品として保有するときに、あるいはスリーブを取り扱う際に、当該部位に傷がつき易く、管継手の接合部のシール性に悪影響を与えてしまう恐れがあった。
【0005】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、スリーブの紛失を防止し、配管の接続時における作業性を向上させつつ、接合部のシール性を確保することができる管継手、該管継手を用いる冷凍装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る管継手は、配管を接合するための接合孔が形成される継手本体と、この継手本体に締結される締結部材と、この締結部材の前記継手本体への締結前においては前記締結部材に対して一体的に設けられるとともに、配管が前記接合孔に挿入された状態における前記締結部材の前記継手本体への締結により、前記締結部材から切断されて前記配管の外周に食い込むスリーブとを備え、前記スリーブは、前記配管への食い込み時に、前記継手本体と当接してその当接部を密閉する当接面を有するとともに、前記配管への食い込み時に前記当接部の接触面積が大きくなるように前記当接面を変形させる変形誘引形状を有することを特徴とする。
【0007】
同構成によれば、締結部材の継手本体への締結により配管の外周に食い込むスリーブは、締結部材の継手本体への締結前においては締結部材に対して一体的に設けられる。このため、従来のようにスリーブが締結部材に対して別体で構成される場合と比べて、配管を接合するまでの間にスリーブが紛失してしまうことを防止することができ、スリーブを予備部品として保管しておく必要がなくなる。また、配管を接合するときにスリーブを組み付けなくてもよいため、配管の接続時における作業性が向上する。また、スリーブが締結部材に対して一体的に設けられることから、スリーブの食い込み部等が表面に露出することを抑えるように構成することができ、部品を取り扱う際に、食い込み部等に傷がつき難くすることができる。そして、スリーブは締結部材の継手本体への締結によって締結部材から切断されるため、分離されたスリーブは配管の外周に食い込み、接合部のシール性を確保しながら配管を継手本体の接合孔に接合することができる。ここで、スリーブが配管の外周に食い込む態様は、スリーブの食い込み部が配管の厚み内に入り込む状態、及びスリーブの食い込み部が配管の厚み内に入り込まずに配管を内周側に変形させる状態のいずれの状態をも含むものとする。
【0008】
なお、こうした管継手にあっては、配管と継手本体との接合部のシール性を確保するために、スリーブの配管への食い込みによってスリーブと配管との間を密閉するとともに、スリーブと継手本体との当接によってスリーブと継手本体との間を密閉するように構成される。すなわち、配管と継手本体との間は、スリーブを介して密閉構造が保持されるように構成されている。ところで、スリーブが締結部材に対して一体的に設けられていると、締結部材の締結によりスリーブが切断されるときに、スリーブや継手本体に傷がついてしまうことがある。このような場合に、スリーブと継手本体との間を密閉するための当接部に傷がついてしまうと、配管と継手本体との接合部のシール性が低下してしまうおそれがある。
【0009】
この点、同構成によれば、スリーブは、スリーブの配管への食い込み時に、スリーブの当接面と継手本体との当接部の接触面積が大きくなるように当接面を変形させる変形誘引形状を有するため、スリーブや継手本体に傷がついたとしても、当接部の接触面積を大きくすることによって当接部の密閉性を確保することができる。このため、配管と継手本体との接合部のシール性を極力確保するように構成することができる。また、変形誘引形状によって当接面が容易に変形することから、締結部材の締結力を低減することができ、配管の接続時における作業性を向上させることができる。
【0010】
また、前記当接面及び前記当接面と当接する前記継手本体の被当接面は、前記配管と同一の軸心を有する円錐面に形成され、前記当接面の傾斜角が前記被当接面の傾斜角よりも小さくなるようにしてもよい。
【0011】
同構成によれば、スリーブの当接面及び当接面と当接する継手本体の被当接面は、配管と同一の軸心を有する円錐面に形成され、当接面の傾斜角が被当接面の傾斜角よりも小さいため、締結部材の締結による当接面と被当接面との当接によって、当接面を配管側に向かって変形させることができる。このため、スリーブの配管への食い込み量を大きくすることができ、スリーブと配管との間の密閉性を向上させることができる。これにより、配管と継手本体との接合部のシール性をより向上させることができる。また、継手本体の被当接面が円錐面に形成されることから、締結部材の締結方向への移動に伴いスリーブが配管に向かって徐々に変形するように構成することができる。このため、締結部材の締結力が過大となることを抑えて締結部材が確実に締結されるようにし、スリーブが配管の外周に確実に食い込むようにすることができる。
【0012】
また、前記変形誘引形状は、前記配管と対向する前記スリーブの内周面に設けられる少なくとも1つの凹形状であるようにしてもよい。同構成によれば、変形誘引形状は配管と対向するスリーブの内周面に設けられる少なくとも1つの凹形状であるため、当接面と被当接面との当接時に、凹形状によってスリーブの当接面を配管側に向かって容易に変形させることができる。このため、当接面の傾斜角が大きくなるように変形を誘引することができ、当接面の傾斜角が被当接面の傾斜角に近づくようにすることができる。これにより、当接面と被当接面との当接部における接触面積を大きくすることができるため、当接部の密閉性を向上させることができる。従って、配管と継手本体との接合部のシール性をより一層向上させることができる。
【0013】
また、前記スリーブは、前記当接面が軸心方向の一端側の外周に形成されるとともに、前記配管に食い込む部位が前記一端側の先端に設けられるようにしてもよい。同構成によれば、スリーブは、当接面が軸心方向の一端側の外周に形成されて、配管に食い込む部位がその一端側の先端に設けられるため、当接面の変形に伴って配管に食い込む部位の変形量を大きくとることができる。このため、スリーブの配管への食い込み量を大きくするように構成することができ、スリーブと配管との間の密閉性を向上させることができる。これにより、配管と継手本体との接合部のシール性をさらに向上させることができる。
【0014】
また、前記継手本体にはねじ部が形成されており、前記締結部材は前記ねじ部に螺合されることで前記継手本体に締結されるようにしてもよい。同構成によれば、締結部材は継手本体に形成されたねじ部に螺合されることで継手本体に締結されるため、締結部材のねじ込み動作によって締結部材が確実に締結されるようにすることができる。これにより、当接面を確実に変形させて当接部の接触面積を大きくするとともに、スリーブを配管の外周に確実に食い込ませることができるため、接合部のシール性を向上させることができる。
【0015】
また、管継手には超臨界状態で使用される超臨界冷媒が流通する配管を接続するようにしてもよい。同構成によれば、超臨界状態で使用される超臨界冷媒が配管内を流れて管継手と配管との接合部に高圧が加わった場合においても、上記の管継手は配管との接合部におけるシール性が確保されているため、接合部における冷媒の漏れを好適に抑えることができる。
【0016】
また、管継手には二酸化炭素冷媒が流通する配管を接続するようにしてもよい。同構成によれば、接続される配管内を流れる流体は二酸化炭素冷媒であるため、上記の管継手を用いた配管回路を地球環境に配慮した構成とすることができる。また、二酸化炭素冷媒が超臨界状態で使用されて、管継手と配管との接合部に高圧が加わった場合においても、上記の管継手は配管との接合部におけるシール性が確保されているため、接合部における冷媒の漏れを好適に抑えることができる。
【0017】
また、管継手には炭化水素冷媒が流通する配管を接続するようにしてもよい。同構成によれば、接続される配管内を流れる流体は、プロパン、イソブタン等の炭化水素冷媒であるため、上記の管継手を用いた配管回路を地球環境に配慮した構成とすることができる。また、上記の管継手は配管との接合部におけるシール性が確保されているため、引火性の強い炭化水素冷媒が接合部から漏れることを好適に抑えることができる。
【0018】
また、本発明に係る冷凍装置は、上記の管継手を冷媒配管の接続部に用いたことを特徴とする。同構成によれば、冷凍装置は冷媒配管の接続部に上記の管継手を用いたものであるため、スリーブの紛失を防止し、配管の接続時における作業性を向上させつつ、接合部のシール性を確保した冷凍装置とすることができる。
【0019】
また、本発明に係るヒートポンプ式給湯機は、上記の管継手を冷媒配管の接続部に用いたことを特徴とする。同構成によれば、ヒートポンプ式給湯機は冷媒配管の接続部に上記の管継手を用いたものであるため、スリーブの紛失を防止し、配管の接続時における作業性を向上させつつ、接合部のシール性を確保したヒートポンプ式給湯機とすることができる。
【0020】
また、本発明に係る給水配管は、上記の管継手を配管の接続部に用いたことを特徴とする。同構成によれば、給水配管は配管の接続部に上記の管継手を用いたものであるため、スリーブの紛失を防止し、配管の接続時における作業性を向上させつつ、接合部のシール性を確保した給水配管とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る管継手によれば、締結部材の継手本体への締結前においてはスリーブを締結部材に対して一体的に設けて、締結部材の締結によってスリーブを締結部材から切断するように構成するため、配管の接続前におけるスリーブの紛失を防止し、配管の接続時における作業性を向上させることができる。また、スリーブは、スリーブの配管への食い込み時に、スリーブの当接面と継手本体との当接部の接触面積が大きくなるように当接面を変形させる変形誘引形状を有するため、当接部の密閉性を向上させることができ、接合部のシール性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、図1〜6を参照して、本発明を具体化した管継手の第1実施形態について説明する。
【0023】
図1は管継手の構成を示す部分断面図である。管継手1は、配管11,12を接続するものであり、配管11,12が挿入される継手本体13と、継手本体13に螺合される締結部材としてのナット14と、配管の接合時に継手本体13とナット14との間に介在するスリーブ15とを備えている。継手本体13の一端側に設けられたソケット部13aには配管11がろう付け等により固定され、他端側に設けられた接合孔13bには継手本体13に接合される配管12の先端部12aが挿入されている。継手本体13に挿入された配管12は、ナット14の継手本体13へのねじ込みによってスリーブ15の前端部15aが配管12の外周面12bに食い込むことで継手本体13に接合されている。なお、Oは配管11,12、継手本体13、ナット14及びスリーブ15の軸心を示す。
【0024】
ここで、配管12に食い込むスリーブ15は、ナット14の継手本体13へのねじ込み前においては接続部15bを通じてナット14に対して一体的に形成されるとともに、配管12が接合孔13bに挿入された状態におけるナット14の継手本体13へのねじ込みによってナット14から切断されて分離するように構成されている。以下、このように構成された管継手1の詳細について説明する。
【0025】
図2は継手本体13の部分断面図である。継手本体13は、配管11が固定されるソケット部13aと、配管12が挿入される接合孔13bと、ナット14が螺合される雄ねじ部13cと、スリーブ15が配管12に食い込むときにスリーブ15と当接する被当接面としてのガイド面13dと、外周に形成されたナット部13eとを有している。
【0026】
ソケット部13aは、円柱状に形成されるとともに、固定される配管11の外径とほぼ等しい内径を有している。接合孔13bは、円柱状に形成されるとともに、挿入される配管12の外径とほぼ等しい内径を有している。ソケット部13aと接合孔13bとは内部空間13fを介して連通している。雄ねじ部13cは、ナット14と螺合するねじ形状が接合孔13b及び内部空間13fの外周側に形成されている。ガイド面13dは、接合孔13bの入口側に位置し、軸心Oと同一の軸心を有するとともに入口側に向かって内径が大きくなる円錐面に形成されている。この円錐面によって、ナット14がねじ込まれるときにスリーブ15を押圧しながらガイドし、スリーブ15が配管12の外周面12bに食い込むようにしている。ナット部13eは、ナット14をねじ込むときに継手本体13を保持できるように設けられている。
【0027】
図3はナット14の部分断面図である。ナット14は、継手本体13の雄ねじ部13cと螺合する雌ねじ部14aと、配管12の外周を保持する保持孔14bとを有し、スリーブ15が一体的に形成されている。雌ねじ部14aは、継手本体13に対してねじ込まれる挿入側の内周面に形成される。保持孔14bは、円柱状に形成されるとともに、保持される配管12の外径とほぼ等しい内径を有している。スリーブ15は、ナット14に対して一体的に加工されており、雌ねじ部14aに対して前記挿入側とは逆側で且つ内径側の位置に形成される。
【0028】
スリーブ15は、配管12の接続時に配管12の外周面12bに食い込む前端部15aと、ナット14のねじ込みにより切断されるナット14との接続部15bと、継手本体13のガイド面13dと当接して前端部15aを配管12に食い込ませるようにガイドする当接面15cとを有する。また、スリーブ15は、配管12と対向する内周面15dと、前端部15aが配管12に食い込むときにナット14からの押圧力を受ける後端面15eとを有している。
【0029】
前端部15aは、ナット14のねじ込み方向の先端、すなわちスリーブ15の軸心方向の一端側の先端に設けられる。前端部15aの先端15fはシャープエッジ形状に形成されており、先端15fが配管12の外周面12bに確実に食い込むようにしている。接続部15bは、スリーブ15の軸心方向の他端側の外周に設けられる。接続部15bは、図3に示すように軸心方向に薄肉となるように形成され、スリーブ15がナット14から容易に切断されるように構成されている。
【0030】
当接面15cは、スリーブ15の軸心方向の一端側の外周に位置し、軸心Oと同一の軸心を有するとともに他端側に向かって外径が大きくなるような円錐面に形成されている。当接面15cにおける円錐面の傾斜角βは、継手本体13のガイド面13dにおける円錐面の傾斜角αよりも小さくなるように形成される。これにより、ナット14がねじ込まれたときに、スリーブ15の前端部15aが内径側にガイドされて変形し、配管12の外周面12bに食い込むようにしている。ここで、継手本体13のガイド面13dの傾斜角αは、スリーブ15の前端部15aをスムーズにガイドするために、15°以上且つ30°以下に設定されるのが好ましく、20°以上且つ25°以下に設定されるのがより好ましい。
【0031】
後端面15eは、スリーブ15の軸心方向の他端側の端面であり、軸心Oに対して略垂直方向に形成されるとともに、ナット14の保持孔14bの内側面14cとほぼ平行に対峙している。後端面15eは、スリーブ15がナット14から分離した後に内側面14cから押圧力を受け、前端部15aを配管12の外周面12bに食い込ませる。
【0032】
内周面15dは、円柱状に形成されるとともに、配管12の外径とほぼ等しい内径を有している。内周面15dには、変形誘引形状としての凹形状を有する凹部15gが形成されている。この凹部15gによって、スリーブ15が配管12に食い込むときに、スリーブ15の当接面15cと継手本体13のガイド面13dとの当接部の接触面積が大きくなるようにしている。以下、凹部15gが管継手1に及ぼす影響について説明する。
【0033】
図4はスリーブ15が配管12に食い込むときの状態を示す断面図である。図4(a)に示すように、スリーブ15が配管12に食い込むときには、当接面15cとガイド面13dとが当接するとともに、後端面15eがナット14の内側面14cから押圧力を受ける。このときに、当接面15cは、内周面15dの凹部15gによって配管12側に向かって変形し易く構成されているため、その傾斜角がガイド面13dの傾斜角と近づくように変形する。これにより、当接面15cとガイド面13dとの当接部の接触面積A1が大きくなるとともに、配管12の外周面12bに対する前端部15aの先端15fの食い込み量B1が大きくなる。
【0034】
ここで、内周面に凹部15gを形成しないスリーブ16が配管12に食い込むときの状態を図4(b)に示す。スリーブ16が配管12に食い込むときには、当接面16cとガイド面13dとが当接するとともに、後端面16eがナット14の内側面14cから押圧力を受ける。このときに、当接面16cは、内周面16dに凹部が存在しないため、図4(a)の場合と比べて変形量が少なくなる。このため、内周面に凹部を形成しない場合には、当接面16cの当接部の接触面積A2が接触面積A1よりも小さくなり、前端部16aの先端16fの食い込み量B2が食い込み量B1よりも小さくなることがわかる。
【0035】
管継手1においては、配管12と継手本体13との接合部のシール性を確保するために、前端部15aの外周面12bへの食い込みによってスリーブ15と配管12との間を密閉するとともに、当接面15cとガイド面13dとの当接によってスリーブ15と継手本体13との間を密閉するように構成される。すなわち、配管12と継手本体13との間は、スリーブ15を介して密閉構造が保持されるように構成される。
【0036】
本実施形態では、図4(a)に示すように、当接部の接触面積A1を大きくすることができるため、当接面15cとガイド面13dとの間を確実に密閉することができる。また、前端部15aの先端15fの食い込み量B1を大きくすることができるため、前端部15aと外周面12bとの間を確実に密閉することができる。このように、スリーブ15が配管12に食い込むときに、凹部15gにより当接面15cの変形を誘引することによって、配管12と継手本体13との接合部のシール性を好適に向上させることができる。
【0037】
なお、スリーブ15の先端15fが配管12の外周面12bに食い込むときの態様は、図5(a)に示すように、先端15fが配管12の厚みt内に入り込むような態様であってもよく、図5(b)に示すように、先端15fが配管12の厚みt内に入り込まずに配管12を内周側に変形させるような態様であってもよい。スリーブ15がいずれの態様で食い込むかは、スリーブ15及び配管12の硬度や表面状態によっても異なってくるが、いずれの態様であっても、接触面積A1及び食い込み量B1を大きくすることによって、配管12と継手本体13との接合部のシール性を向上させることができる。
【0038】
次に、管継手1を用いて配管12を継手本体13に接合する配管の接続方法について説明する。図6は管継手1のスリーブ15周辺部の動作を示す断面図である。配管12を継手本体13に接合するときは、まず、ナット14の保持孔14bに配管12を貫通させて継手本体13の接合孔13bに配管12の先端部12aを挿入する。そして、継手本体13のナット部13eを保持しながら、図6(a)に示すように、継手本体13の雄ねじ部13cに対してナット14の雌ねじ部14aをねじ込む。
【0039】
ナット14をねじ込んでいくと、継手本体13のガイド面13dがスリーブ15の前端部15aと当接し、ナット14のねじ込みに伴ってその押圧力が大きくなる。これにより、スリーブ15の接続部15bにおいて、ナット14のねじ込み方向に加わる剪断力が大きくなり、スリーブ15の接続部15bは切断される。そして、図6(b)に示すように、ナット14とスリーブ15とは分離する。
【0040】
引き続きナット14をねじ込んでいくと、継手本体13のガイド面13dがスリーブ15の前端部15aと当接し、且つナット14の内側面14cがスリーブ15の後端面15eに当接する状態となる。そして、ナット14のねじ込みに伴ってスリーブ15の後端面15eがナット14の内側面14cから押圧力を受け、スリーブ15の当接面15cと継手本体13のガイド面13dとが当接するとともに、スリーブ15の凹部15gにより当接面15cの変形が誘引される。当接面15cは、その傾斜角がガイド面13dの傾斜角と近づくように変形するため、当接面15cとガイド面13dとの当接部の接触面積が大きくなるとともに、配管12の外周面12bに対する前端部15aの先端15fの食い込み量が大きくなる。そして、当接面15cがガイド面13dと当接しながら内周側にガイドされることにより、図6(c)に示すように、スリーブ15の前端部15aが配管12の外周面12bに食い込んでいく。
【0041】
このようにして、管継手1は、スリーブ15の前端部15aを配管12の外周面12bに食い込ませることで、配管12を継手本体13に接合する。このときに、スリーブ15の前端部15aの食い込みにより、スリーブ15の前端部15aと配管12の外周面12bとの間が密閉される。また、スリーブ15の当接面15cと継手本体13のガイド面13dとが密着することにより、スリーブ15の当接面15cと継手本体13のガイド面13dとの間が密閉される。これらの箇所を密閉することによって、配管12と継手本体13とのシール性が確保される。
【0042】
上記第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1実施形態では、配管12の外周面12bに食い込むスリーブ15は、ナット14の継手本体13へのねじ込み前においてはナット14に対して一体的に形成される。このため、スリーブ15がナット14に対して別体で構成される場合と比べて、配管12を接合するまでの間にスリーブ15が紛失してしまうことを防止することができ、スリーブ15を予備部品として保管しておく必要がなくなる。また、スリーブ15がナット14に対して一体的に形成されることから、配管12を継手本体13に接合するときにスリーブ15を組み付ける作業がなくなり、配管12の接続時における作業性が向上する。そして、スリーブ15は、ナット14の継手本体13へのねじ込みによってナット14から切断されて配管12の外周面12bに食い込むため、容易にスリーブ15を切断できるように構成するとともに、接合部のシール性を確保しながら配管12を継手本体13の接合孔13bに接合することができる。
【0043】
(2)第1実施形態では、スリーブ15の内周面15dには凹部15gが形成されており、スリーブ15が配管12に食い込むときに、凹部15gによってスリーブ15の当接面15cと継手本体13のガイド面13dとの当接部の接触面積が大きくなるように構成されている。このため、スリーブ15がナット14から切断されるときに継手本体13のガイド面13dに傷がついてしまうような場合においても、当接面15cとガイド面13dとの当接部の接触面積A1を大きくすることによって当接部の密閉性を確保することができる。これにより、配管12と継手本体13との接合部のシール性を極力確保するように構成することができる。
【0044】
(3)第1実施形態では、スリーブ15の内周面15dには凹部15gが形成されており、スリーブ15が配管12に食い込むときに、凹部15gによって当接面15cが配管12側に向かって変形し易く構成されている。このため、配管12の外周面12bに対する前端部15aの先端15fの食い込み量B1を大きくすることができるため、前端部15aと外周面12bとの間を確実に密閉することができる。これにより、配管12と継手本体13との接合部のシール性を向上させることができる。
【0045】
(4)第1実施形態では、スリーブ15の当接面15cの傾斜角が、継手本体13のガイド面13dの傾斜角よりも小さくなるように形成されているため、スリーブ15が配管12に食い込むときに、当接面15cとガイド面13dとの当接によって、当接面15cを配管12側に向かって変形させ易くすることができる。このため、前端部15aの先端15fの食い込み量B1を大きくすることができ、前端部15aと外周面12bとの間の密閉性を向上させることができる。また、継手本体13のガイド面13dが円錐面に形成されることから、ナット14のねじ込みに伴いスリーブ15が配管12に向かって徐々に変形するように構成することができる。このため、ナット14の締付トルクが過大となることを抑えてナット14が確実にねじ込まれるようにし、スリーブ15が配管12の外周に確実に食い込むようにすることができる。
【0046】
(5)第1実施形態では、スリーブ15の凹部15gによって当接面15cの変形が誘引され、当接面15cが容易に変形するように構成されているため、ナット14の締付トルクを低減することができる。このため、配管12の接続時における作業性を向上させることができる。
【0047】
(6)第1実施形態では、スリーブ15の当接面15cが軸心方向の一端側の外周に形成されて、配管12に食い込む部位である前端部15aがその一端側の先端に設けられるため、当接面15cの変形に伴って前端部15aの変形量を大きくとることができる。このため、前端部15aの先端15fの食い込み量B1を大きくするように構成することができ、スリーブ15の前端部15aと配管12の外周面12bとの間の密閉性を向上させることができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、図7を参照して、本発明に係る管継手の第2実施形態について説明する。第1実施形態では、ナットの継手本体へのねじ込みにより配管を継手本体に接合しているが、第2実施形態では、継手本体とナットとの間にねじ構造を使用せずに配管を継手本体に接合するようにしている。第2実施形態に係る管継手は、スリーブを締結部材に対して一体的に設け、締結部材を配管の軸心方向にスライド移動させることで、スリーブを締結部材から切断し、分離したスリーブを配管の外周に食い込ませるように構成される。なお、スリーブが配管の外周面に食い込む構成等、第1実施形態と同一構成についてはその重複する説明を省略又は簡略する。
【0049】
図7は配管12を継手本体23に対して接合するときの、管継手2の動作を示す断面図である。図7(a)は配管12を管継手2により接続する前の状態を示している。管継手2は、図7(a)に示すように、配管12が挿入される継手本体23と、継手本体23に締結される締結部材24と、配管12の外周面に食い込むスリーブ25とを備えている。スリーブ25は、締結部材24に対して一体的に形成されており、接続部25bを通じてスリーブ25と締結部材24とが連結されている。
【0050】
継手本体23の外周には、作動レバー26が回転自在に支持されている。作動レバー26の回転軸26aは継手本体23の軸心Oに対して略垂直方向に設けられる。作動レバー26の中間位置には、係止レバー27が回転自在に支持されている。係止レバー27の回転軸27aは作動レバー26の回転軸26aと平行に設けられる。なお、このように構成された作動レバー26及び係止レバー27は、継手本体23の外周に複数箇所設けられている。係止レバー27の先端に設けられた係止爪27bは、締結部材24の外周面に設けられたフランジ部24dと係合できるように構成される。また、継手本体23に円柱状に設けられた摺動面23gは締結部材24に設けられた摺動面24eと嵌合しており、締結部材24が継手本体23に対して軸心方向にのみ移動できるように構成されている。
【0051】
次に、管継手2を用いて配管12を継手本体23に接合する配管の接続方法について説明する。配管12を継手本体23に接合するときは、まず、締結部材24の保持孔24bに配管12を貫通させて継手本体23の接合孔23bに配管12の先端部12aを挿入する。そして、図7(a)に示すように、係止レバー27の係止爪27bを締結部材24のフランジ部24dと係合させながら、作動レバー26をR方向に回転させる。
【0052】
作動レバー26をR方向に回転させると、締結部材24は継手本体23側に移動するため、継手本体23のガイド面23dがスリーブ25の前端部25aと当接し、締結部材24の移動に伴ってその押圧力が大きくなる。これにより、スリーブ25の接続部25bにおいて、締結部材24の移動方向に加わる剪断力が大きくなり、スリーブ25の接続部25bは切断される。そして、図7(b)に示すように、締結部材24とスリーブ25とが分離する。
【0053】
引き続き作動レバー26をR方向に回転させると、締結部材24はさらに継手本体23側に移動するため、継手本体23のガイド面23dがスリーブ25の前端部25aと当接し、且つ締結部材24の内側面24cがスリーブ25の後端面25eに当接する状態となる。そして、締結部材24の移動に伴ってスリーブ25の後端面25eが締結部材24の内側面24cから押圧力を受け、スリーブ25の当接面25cと継手本体23のガイド面23dとが当接するとともに、スリーブ25の内周面25dに形成された凹部25gにより当接面25cの変形が誘引される。当接面25cは、その傾斜角がガイド面23dの傾斜角と近づくように変形するため、当接面25cとガイド面23dとの当接部の接触面積が大きくなるとともに、配管12の外周面12bに対する前端部25aの先端25fの食い込み量が大きくなる。そして、当接面25cがガイド面23dと当接しながら内周側にガイドされることにより、図7(c)に示すように、スリーブ25の前端部25aが配管12の外周面12bに食い込んでいく。
【0054】
このようにして、管継手2は、スリーブ25の前端部25aを配管12の外周面12bに食い込ませることで、配管12と継手本体23とのシール性を確保しつつ、配管12を継手本体23に接合する。
【0055】
上記第2実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(7)第2実施形態では、作動レバー26を操作することにより締結部材24を継手本体23へと締結させ、締結部材24に対して一体的に設けられたスリーブ25が、締結部材24から切断されて配管12の外周に食い込み、配管12を継手本体23に接合する。このため、継手本体23と締結部材24との間にねじ構造を使用しなくても、第1実施形態の効果(1)〜(6)と同様の効果を得ることができる。
【0056】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1及び第2実施形態では、管継手1,2は、スリーブ15,25がナット14又は締結部材24に対して一体的に加工されるように構成したが、スリーブ15,25を接着、嵌め込み等の方法でナット14又は締結部材24に対して接合するように構成してもよい。
【0057】
・第1及び第2実施形態では、スリーブ15,25の当接面15c,25cは、軸心方向の一端側から他端側に向かって外径が大きくなるような円錐面に形成されているが、円錐面以外の形状、例えば円筒面に形成されていてもよい。
【0058】
・第1及び第2実施形態では、継手本体13,23のガイド面13d,23dは、円錐面に形成されているが、当接面15c,25cと当接してガイドできる形状であれば、円錐面以外の形状、例えば球面に形成されていてもよい。
【0059】
・第1及び第2実施形態では、スリーブ15,25の内周面15d,25dに凹部15g,25gを形成しているが、当接面15c,25cとガイド面13d,23dとの当接部の接触面積が大きくなるように当接面15c,25cの変形を誘引する形態であれば、凹部15g,25gは他の形状であってもよい。図8に当接面の変形を誘引するスリーブの形状の例を示す。図8(a)は、スリーブ31の内周面31dに2つの凹部31g,31hを形成する例である。このように凹部31g,31hを形成しても、スリーブ31の前端部31aが配管に食い込むときに、ナット14からの押圧力によって当接部の接触面積が大きくなるように当接面31cの変形を誘引することができる。また、当接面31cの変形によって、配管に対する前端部31aの先端31fの食い込み量を大きくすることができる。なお、内周面31dに形成される凹部は、3つ以上であってもよい。図8(b)は、スリーブ32の内周面32dに設けられる凹部32gを後端面32eに亘って形成する例である。このように凹部32gを大きく形成しても、スリーブ32の前端部32aが配管に食い込むときに、ナット14からの押圧力によって当接部の接触面積が大きくなるように当接面32cの変形を誘引することができる。また、当接面32cの変形によって、配管に対する前端部32aの先端32fの食い込み量を大きくすることができる。
【0060】
・第1及び第2実施形態では、配管12の接合時にスリーブ15,25の軸心方向の先端に設けられた前端部15a,25aが配管12の外周面12bに食い込むようにしているが、スリーブ15,25の先端以外の部位が配管12の外周面12bに食い込むようにしてもよい。
【0061】
・第1及び第2実施形態では、スリーブ15,25の当接面15c,25cは、スリーブ15,25の軸心方向の一端側の外周に位置しているが、軸心方向の中間部又は他端側の外周に位置するように構成してもよい。また、当接面15c,25cは、スリーブ15,25の軸心方向における先端の端面に形成されるように構成してもよい。
【0062】
・第1及び第2実施形態では、配管12内を流れる流体の種類については特に限定していないが、第1及び第2実施形態の管継手1,2によって、超臨界状態で使用される超臨界冷媒が流通する配管を接続するようにしてもよい。このようにすると、超臨界状態で使用される超臨界冷媒が配管内を流れて管継手と配管との接合部に高圧が加わった場合においても、上記の管継手1,2は配管との接合部におけるシール性が確保されているため、接合部における冷媒の漏れを好適に抑えることができる。
【0063】
・また、第1及び第2実施形態の管継手1,2によって、二酸化炭素冷媒が流通する配管を接続するようにしてもよい。このようにすると、接続される配管内を流れる流体は二酸化炭素冷媒であるため、上記の管継手1,2を用いた配管回路を地球環境に配慮した構成とすることができる。また、二酸化炭素冷媒が超臨界状態で使用されて、管継手と配管との接合部に高圧が加わった場合においても、上記の管継手1,2は配管との接合部におけるシール性が確保されているため、接合部における冷媒の漏れを好適に抑えることができる。
【0064】
・また、第1及び第2実施形態の管継手1,2によって、炭化水素冷媒が流通する配管を接続するようにしてもよい。このようにすると、接続される配管内を流れる流体は、プロパン、イソブタン等の炭化水素冷媒であるため、上記の管継手1,2を用いた配管回路を地球環境に配慮した構成とすることができる。また、上記の管継手1,2は配管との接合部におけるシール性が確保されているため、引火性の強い炭化水素冷媒が接合部から漏れることを好適に抑えることができる。
【0065】
・第1及び第2実施形態では、管継手1,2は配管11と配管12とを接続しているが、これらの管継手1,2の構成を、図9に示すような空気調和機41の室内ユニット42と室外ユニット43とを連絡する冷媒配管44の接続部45,46に適用してもよい。このようにすると、空気調和機41は上記の効果を有する管継手1,2を用いるため、スリーブの紛失を防止し、冷媒配管44の接続時における作業性を向上させつつ、冷媒配管44の接合部のシール性を確保した空気調和機41とすることができる。また、管継手1,2の構成は、接続部46に配設されるような閉鎖弁の接続部に適用することもできるし、空気調和機41以外の冷凍装置における冷媒配管の接続部に適用することもできる。このような閉鎖弁、冷凍装置においても、管継手1,2を空気調和機41の接続部45,46に適用した場合と同様の効果を得ることができる。
【0066】
・また、第1及び第2実施形態の管継手1,2の構成を、ヒートポンプ式給湯機の配管の接続部に適用してもよい。図10はヒートポンプ式給湯機の配管の接続状態を示す概略図である。図10(a)に1つのタンクで構成されるヒートポンプ式給湯機51の概略図を示す。ヒートポンプ式給湯機51は、外気から熱をくみ上げるヒートポンプユニット61と、ヒートポンプユニット61によりくみ上げられた熱を利用して給湯を行う貯湯ユニット71とを備える。ヒートポンプユニット61は、膨張弁62と空気熱交換器63と圧縮機64と水熱交換器65とを有する冷凍サイクル装置からなり、各機器を接続する冷媒配管66内には冷媒が流通する。貯湯ユニット71は、給水配管72を介してタンク73に供給された水が、タンク73と水熱交換器65との間をポンプ74により循環し、水熱交換器65で熱交換された温水が、タンク73から給水配管75を介して給湯されるように構成される。図10(b)に2つのタンクで構成されるヒートポンプ式給湯機52の概略図を示す。ヒートポンプ式給湯機52は、ヒートポンプ式給湯機51と同様の構成を備えているが、貯湯ユニット81のタンクが第1タンク82と第2タンク83とを直列に接続して構成される。そして、第1タンク82及び第2タンク83に貯留されている温水が、追いだき用熱交換器84との間をポンプ85により循環し、浴槽86から給水配管87を介してポンプ88により送られる温水が、追いだき用熱交換器84で熱交換して温められ、給水配管89を介して浴槽86に戻されるような追いだき機能が付加されている。このようなヒートポンプ式給湯機51,52では、例えば冷媒配管66に設けられる接続部67や給水配管72,75に設けられる接続部76に、管継手1,2を用いることができる。また、ヒートポンプ式給湯機52では、これに加えて給水配管87,89に設けられる接続部90に、管継手1,2を用いることができる。このようにすると、ヒートポンプ式給湯機51,52は上記の効果を有する管継手1,2を用いるため、スリーブの紛失を防止し、配管の接続時における作業性を向上させつつ、配管の接合部のシール性を確保したヒートポンプ式給湯機51,52とすることができる。なお、上記の接続部67,76,90は、ヒートポンプ式給湯機を構成する機器やユニットの配置によって、他の位置に設けられるようにしてもよい。このようにして、冷媒配管の接続部に加えて、配管内を水が流れる給水配管の接続部についても管継手1,2を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1実施形態の管継手の構成を示す部分断面図。
【図2】第1実施形態の継手本体の部分断面図。
【図3】第1実施形態のナットの部分断面図。
【図4】(a)はスリーブが配管に食い込む状態を示す断面図、(b)は比較例におけるスリーブが配管に食い込む状態を示す断面図。
【図5】(a),(b)はスリーブの先端の食い込み態様を示す断面図。
【図6】(a)はスリーブが切断される前の断面図、(b)はスリーブが切断された後の断面図、(c)はスリーブが配管に食い込むときの断面図。
【図7】(a)は第2実施形態の管継手においてスリーブが切断される前の断面図、(b)はスリーブが切断された後の断面図、(c)はスリーブが配管に食い込むときの断面図。
【図8】(a),(b)は本発明の別の例におけるスリーブの形状を示す断面図。
【図9】空気調和機の室内ユニットと室外ユニットとの間の冷媒配管の接続状態を示す概略図。
【図10】(a)はヒートポンプ式給湯機の配管の接続状態を示す概略図、(b)は他の例におけるヒートポンプ式給湯機の配管の接続状態を示す概略図。
【図11】従来例に係る管継手の構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0068】
1,2…管継手、11,12…配管、13,23…継手本体、14,24…ナット、15,25,31,32…スリーブ、41…空気調和機、51,52…ヒートポンプ式給湯機。
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒配管等を接合するための管継手、該管継手を用いる冷凍装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍装置の冷媒配管等の内部に流体を流通させる配管の接合に用いられる管継手として、継手本体の接合孔に配管を挿入し、ナットをねじ込むことによって配管を継手本体の接合孔に接合するようにした管継手が知られている。こうした管継手としては、特許文献1に示されるように、継手本体にナットをねじ込むときに継手本体とナットとの間にスリーブを介在させ、ねじ込みによってスリーブを配管の外周に食い込ませて配管と継手本体とを接合して接合部のシール性を確保するようにした、いわゆる食い込み継手が多く採用されている。
【0003】
図11は特許文献1に示される食い込み継手を示したものである。この食い込み継手は、継手本体101と、ナット102と、継手本体101とナット102との間に設けられるスリーブ103とによって構成される。配管104を継手本体101に接合するときは、配管104の外周面104aにスリーブ103を装着して継手本体101の接合孔101aに配管104の先端部104bを挿入し、継手本体101のねじ部101bに対してナット102のねじ部102aをねじ込む。すると、スリーブ103は、その後端面103aがナット102の押圧面102bから押圧力を受けるとともに、その前端部103bが継手本体101のテーパ面101cから押圧力を受ける。このため、スリーブ103の前端部103bは、配管104の外周面104aに食い込み、配管104は継手本体101の接合孔101aに接合される。このようにして、食い込み継手は、スリーブ103を配管104に食い込ませることにより配管104と継手本体101とを接合して接合部のシール性を確保するように構成されている。
【特許文献1】特開2003−74768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような管継手は、継手本体とナットとスリーブとによって構成されるため、配管を接合するまでの間に比較的小物部品であるスリーブを紛失する恐れがあった。また、配管を接合するときには小物部品であるスリーブを組み付けることから、作業性が悪いという問題があった。また、スリーブは、押圧力を受ける部位や配管に食い込む部位が露出しているため、スリーブを予備部品として保有するときに、あるいはスリーブを取り扱う際に、当該部位に傷がつき易く、管継手の接合部のシール性に悪影響を与えてしまう恐れがあった。
【0005】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、スリーブの紛失を防止し、配管の接続時における作業性を向上させつつ、接合部のシール性を確保することができる管継手、該管継手を用いる冷凍装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る管継手は、配管を接合するための接合孔が形成される継手本体と、この継手本体に締結される締結部材と、この締結部材の前記継手本体への締結前においては前記締結部材に対して一体的に設けられるとともに、配管が前記接合孔に挿入された状態における前記締結部材の前記継手本体への締結により、前記締結部材から切断されて前記配管の外周に食い込むスリーブとを備え、前記スリーブは、前記配管への食い込み時に、前記継手本体と当接してその当接部を密閉する当接面を有するとともに、前記配管への食い込み時に前記当接部の接触面積が大きくなるように前記当接面を変形させる変形誘引形状を有することを特徴とする。
【0007】
同構成によれば、締結部材の継手本体への締結により配管の外周に食い込むスリーブは、締結部材の継手本体への締結前においては締結部材に対して一体的に設けられる。このため、従来のようにスリーブが締結部材に対して別体で構成される場合と比べて、配管を接合するまでの間にスリーブが紛失してしまうことを防止することができ、スリーブを予備部品として保管しておく必要がなくなる。また、配管を接合するときにスリーブを組み付けなくてもよいため、配管の接続時における作業性が向上する。また、スリーブが締結部材に対して一体的に設けられることから、スリーブの食い込み部等が表面に露出することを抑えるように構成することができ、部品を取り扱う際に、食い込み部等に傷がつき難くすることができる。そして、スリーブは締結部材の継手本体への締結によって締結部材から切断されるため、分離されたスリーブは配管の外周に食い込み、接合部のシール性を確保しながら配管を継手本体の接合孔に接合することができる。ここで、スリーブが配管の外周に食い込む態様は、スリーブの食い込み部が配管の厚み内に入り込む状態、及びスリーブの食い込み部が配管の厚み内に入り込まずに配管を内周側に変形させる状態のいずれの状態をも含むものとする。
【0008】
なお、こうした管継手にあっては、配管と継手本体との接合部のシール性を確保するために、スリーブの配管への食い込みによってスリーブと配管との間を密閉するとともに、スリーブと継手本体との当接によってスリーブと継手本体との間を密閉するように構成される。すなわち、配管と継手本体との間は、スリーブを介して密閉構造が保持されるように構成されている。ところで、スリーブが締結部材に対して一体的に設けられていると、締結部材の締結によりスリーブが切断されるときに、スリーブや継手本体に傷がついてしまうことがある。このような場合に、スリーブと継手本体との間を密閉するための当接部に傷がついてしまうと、配管と継手本体との接合部のシール性が低下してしまうおそれがある。
【0009】
この点、同構成によれば、スリーブは、スリーブの配管への食い込み時に、スリーブの当接面と継手本体との当接部の接触面積が大きくなるように当接面を変形させる変形誘引形状を有するため、スリーブや継手本体に傷がついたとしても、当接部の接触面積を大きくすることによって当接部の密閉性を確保することができる。このため、配管と継手本体との接合部のシール性を極力確保するように構成することができる。また、変形誘引形状によって当接面が容易に変形することから、締結部材の締結力を低減することができ、配管の接続時における作業性を向上させることができる。
【0010】
また、前記当接面及び前記当接面と当接する前記継手本体の被当接面は、前記配管と同一の軸心を有する円錐面に形成され、前記当接面の傾斜角が前記被当接面の傾斜角よりも小さくなるようにしてもよい。
【0011】
同構成によれば、スリーブの当接面及び当接面と当接する継手本体の被当接面は、配管と同一の軸心を有する円錐面に形成され、当接面の傾斜角が被当接面の傾斜角よりも小さいため、締結部材の締結による当接面と被当接面との当接によって、当接面を配管側に向かって変形させることができる。このため、スリーブの配管への食い込み量を大きくすることができ、スリーブと配管との間の密閉性を向上させることができる。これにより、配管と継手本体との接合部のシール性をより向上させることができる。また、継手本体の被当接面が円錐面に形成されることから、締結部材の締結方向への移動に伴いスリーブが配管に向かって徐々に変形するように構成することができる。このため、締結部材の締結力が過大となることを抑えて締結部材が確実に締結されるようにし、スリーブが配管の外周に確実に食い込むようにすることができる。
【0012】
また、前記変形誘引形状は、前記配管と対向する前記スリーブの内周面に設けられる少なくとも1つの凹形状であるようにしてもよい。同構成によれば、変形誘引形状は配管と対向するスリーブの内周面に設けられる少なくとも1つの凹形状であるため、当接面と被当接面との当接時に、凹形状によってスリーブの当接面を配管側に向かって容易に変形させることができる。このため、当接面の傾斜角が大きくなるように変形を誘引することができ、当接面の傾斜角が被当接面の傾斜角に近づくようにすることができる。これにより、当接面と被当接面との当接部における接触面積を大きくすることができるため、当接部の密閉性を向上させることができる。従って、配管と継手本体との接合部のシール性をより一層向上させることができる。
【0013】
また、前記スリーブは、前記当接面が軸心方向の一端側の外周に形成されるとともに、前記配管に食い込む部位が前記一端側の先端に設けられるようにしてもよい。同構成によれば、スリーブは、当接面が軸心方向の一端側の外周に形成されて、配管に食い込む部位がその一端側の先端に設けられるため、当接面の変形に伴って配管に食い込む部位の変形量を大きくとることができる。このため、スリーブの配管への食い込み量を大きくするように構成することができ、スリーブと配管との間の密閉性を向上させることができる。これにより、配管と継手本体との接合部のシール性をさらに向上させることができる。
【0014】
また、前記継手本体にはねじ部が形成されており、前記締結部材は前記ねじ部に螺合されることで前記継手本体に締結されるようにしてもよい。同構成によれば、締結部材は継手本体に形成されたねじ部に螺合されることで継手本体に締結されるため、締結部材のねじ込み動作によって締結部材が確実に締結されるようにすることができる。これにより、当接面を確実に変形させて当接部の接触面積を大きくするとともに、スリーブを配管の外周に確実に食い込ませることができるため、接合部のシール性を向上させることができる。
【0015】
また、管継手には超臨界状態で使用される超臨界冷媒が流通する配管を接続するようにしてもよい。同構成によれば、超臨界状態で使用される超臨界冷媒が配管内を流れて管継手と配管との接合部に高圧が加わった場合においても、上記の管継手は配管との接合部におけるシール性が確保されているため、接合部における冷媒の漏れを好適に抑えることができる。
【0016】
また、管継手には二酸化炭素冷媒が流通する配管を接続するようにしてもよい。同構成によれば、接続される配管内を流れる流体は二酸化炭素冷媒であるため、上記の管継手を用いた配管回路を地球環境に配慮した構成とすることができる。また、二酸化炭素冷媒が超臨界状態で使用されて、管継手と配管との接合部に高圧が加わった場合においても、上記の管継手は配管との接合部におけるシール性が確保されているため、接合部における冷媒の漏れを好適に抑えることができる。
【0017】
また、管継手には炭化水素冷媒が流通する配管を接続するようにしてもよい。同構成によれば、接続される配管内を流れる流体は、プロパン、イソブタン等の炭化水素冷媒であるため、上記の管継手を用いた配管回路を地球環境に配慮した構成とすることができる。また、上記の管継手は配管との接合部におけるシール性が確保されているため、引火性の強い炭化水素冷媒が接合部から漏れることを好適に抑えることができる。
【0018】
また、本発明に係る冷凍装置は、上記の管継手を冷媒配管の接続部に用いたことを特徴とする。同構成によれば、冷凍装置は冷媒配管の接続部に上記の管継手を用いたものであるため、スリーブの紛失を防止し、配管の接続時における作業性を向上させつつ、接合部のシール性を確保した冷凍装置とすることができる。
【0019】
また、本発明に係るヒートポンプ式給湯機は、上記の管継手を冷媒配管の接続部に用いたことを特徴とする。同構成によれば、ヒートポンプ式給湯機は冷媒配管の接続部に上記の管継手を用いたものであるため、スリーブの紛失を防止し、配管の接続時における作業性を向上させつつ、接合部のシール性を確保したヒートポンプ式給湯機とすることができる。
【0020】
また、本発明に係る給水配管は、上記の管継手を配管の接続部に用いたことを特徴とする。同構成によれば、給水配管は配管の接続部に上記の管継手を用いたものであるため、スリーブの紛失を防止し、配管の接続時における作業性を向上させつつ、接合部のシール性を確保した給水配管とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る管継手によれば、締結部材の継手本体への締結前においてはスリーブを締結部材に対して一体的に設けて、締結部材の締結によってスリーブを締結部材から切断するように構成するため、配管の接続前におけるスリーブの紛失を防止し、配管の接続時における作業性を向上させることができる。また、スリーブは、スリーブの配管への食い込み時に、スリーブの当接面と継手本体との当接部の接触面積が大きくなるように当接面を変形させる変形誘引形状を有するため、当接部の密閉性を向上させることができ、接合部のシール性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、図1〜6を参照して、本発明を具体化した管継手の第1実施形態について説明する。
【0023】
図1は管継手の構成を示す部分断面図である。管継手1は、配管11,12を接続するものであり、配管11,12が挿入される継手本体13と、継手本体13に螺合される締結部材としてのナット14と、配管の接合時に継手本体13とナット14との間に介在するスリーブ15とを備えている。継手本体13の一端側に設けられたソケット部13aには配管11がろう付け等により固定され、他端側に設けられた接合孔13bには継手本体13に接合される配管12の先端部12aが挿入されている。継手本体13に挿入された配管12は、ナット14の継手本体13へのねじ込みによってスリーブ15の前端部15aが配管12の外周面12bに食い込むことで継手本体13に接合されている。なお、Oは配管11,12、継手本体13、ナット14及びスリーブ15の軸心を示す。
【0024】
ここで、配管12に食い込むスリーブ15は、ナット14の継手本体13へのねじ込み前においては接続部15bを通じてナット14に対して一体的に形成されるとともに、配管12が接合孔13bに挿入された状態におけるナット14の継手本体13へのねじ込みによってナット14から切断されて分離するように構成されている。以下、このように構成された管継手1の詳細について説明する。
【0025】
図2は継手本体13の部分断面図である。継手本体13は、配管11が固定されるソケット部13aと、配管12が挿入される接合孔13bと、ナット14が螺合される雄ねじ部13cと、スリーブ15が配管12に食い込むときにスリーブ15と当接する被当接面としてのガイド面13dと、外周に形成されたナット部13eとを有している。
【0026】
ソケット部13aは、円柱状に形成されるとともに、固定される配管11の外径とほぼ等しい内径を有している。接合孔13bは、円柱状に形成されるとともに、挿入される配管12の外径とほぼ等しい内径を有している。ソケット部13aと接合孔13bとは内部空間13fを介して連通している。雄ねじ部13cは、ナット14と螺合するねじ形状が接合孔13b及び内部空間13fの外周側に形成されている。ガイド面13dは、接合孔13bの入口側に位置し、軸心Oと同一の軸心を有するとともに入口側に向かって内径が大きくなる円錐面に形成されている。この円錐面によって、ナット14がねじ込まれるときにスリーブ15を押圧しながらガイドし、スリーブ15が配管12の外周面12bに食い込むようにしている。ナット部13eは、ナット14をねじ込むときに継手本体13を保持できるように設けられている。
【0027】
図3はナット14の部分断面図である。ナット14は、継手本体13の雄ねじ部13cと螺合する雌ねじ部14aと、配管12の外周を保持する保持孔14bとを有し、スリーブ15が一体的に形成されている。雌ねじ部14aは、継手本体13に対してねじ込まれる挿入側の内周面に形成される。保持孔14bは、円柱状に形成されるとともに、保持される配管12の外径とほぼ等しい内径を有している。スリーブ15は、ナット14に対して一体的に加工されており、雌ねじ部14aに対して前記挿入側とは逆側で且つ内径側の位置に形成される。
【0028】
スリーブ15は、配管12の接続時に配管12の外周面12bに食い込む前端部15aと、ナット14のねじ込みにより切断されるナット14との接続部15bと、継手本体13のガイド面13dと当接して前端部15aを配管12に食い込ませるようにガイドする当接面15cとを有する。また、スリーブ15は、配管12と対向する内周面15dと、前端部15aが配管12に食い込むときにナット14からの押圧力を受ける後端面15eとを有している。
【0029】
前端部15aは、ナット14のねじ込み方向の先端、すなわちスリーブ15の軸心方向の一端側の先端に設けられる。前端部15aの先端15fはシャープエッジ形状に形成されており、先端15fが配管12の外周面12bに確実に食い込むようにしている。接続部15bは、スリーブ15の軸心方向の他端側の外周に設けられる。接続部15bは、図3に示すように軸心方向に薄肉となるように形成され、スリーブ15がナット14から容易に切断されるように構成されている。
【0030】
当接面15cは、スリーブ15の軸心方向の一端側の外周に位置し、軸心Oと同一の軸心を有するとともに他端側に向かって外径が大きくなるような円錐面に形成されている。当接面15cにおける円錐面の傾斜角βは、継手本体13のガイド面13dにおける円錐面の傾斜角αよりも小さくなるように形成される。これにより、ナット14がねじ込まれたときに、スリーブ15の前端部15aが内径側にガイドされて変形し、配管12の外周面12bに食い込むようにしている。ここで、継手本体13のガイド面13dの傾斜角αは、スリーブ15の前端部15aをスムーズにガイドするために、15°以上且つ30°以下に設定されるのが好ましく、20°以上且つ25°以下に設定されるのがより好ましい。
【0031】
後端面15eは、スリーブ15の軸心方向の他端側の端面であり、軸心Oに対して略垂直方向に形成されるとともに、ナット14の保持孔14bの内側面14cとほぼ平行に対峙している。後端面15eは、スリーブ15がナット14から分離した後に内側面14cから押圧力を受け、前端部15aを配管12の外周面12bに食い込ませる。
【0032】
内周面15dは、円柱状に形成されるとともに、配管12の外径とほぼ等しい内径を有している。内周面15dには、変形誘引形状としての凹形状を有する凹部15gが形成されている。この凹部15gによって、スリーブ15が配管12に食い込むときに、スリーブ15の当接面15cと継手本体13のガイド面13dとの当接部の接触面積が大きくなるようにしている。以下、凹部15gが管継手1に及ぼす影響について説明する。
【0033】
図4はスリーブ15が配管12に食い込むときの状態を示す断面図である。図4(a)に示すように、スリーブ15が配管12に食い込むときには、当接面15cとガイド面13dとが当接するとともに、後端面15eがナット14の内側面14cから押圧力を受ける。このときに、当接面15cは、内周面15dの凹部15gによって配管12側に向かって変形し易く構成されているため、その傾斜角がガイド面13dの傾斜角と近づくように変形する。これにより、当接面15cとガイド面13dとの当接部の接触面積A1が大きくなるとともに、配管12の外周面12bに対する前端部15aの先端15fの食い込み量B1が大きくなる。
【0034】
ここで、内周面に凹部15gを形成しないスリーブ16が配管12に食い込むときの状態を図4(b)に示す。スリーブ16が配管12に食い込むときには、当接面16cとガイド面13dとが当接するとともに、後端面16eがナット14の内側面14cから押圧力を受ける。このときに、当接面16cは、内周面16dに凹部が存在しないため、図4(a)の場合と比べて変形量が少なくなる。このため、内周面に凹部を形成しない場合には、当接面16cの当接部の接触面積A2が接触面積A1よりも小さくなり、前端部16aの先端16fの食い込み量B2が食い込み量B1よりも小さくなることがわかる。
【0035】
管継手1においては、配管12と継手本体13との接合部のシール性を確保するために、前端部15aの外周面12bへの食い込みによってスリーブ15と配管12との間を密閉するとともに、当接面15cとガイド面13dとの当接によってスリーブ15と継手本体13との間を密閉するように構成される。すなわち、配管12と継手本体13との間は、スリーブ15を介して密閉構造が保持されるように構成される。
【0036】
本実施形態では、図4(a)に示すように、当接部の接触面積A1を大きくすることができるため、当接面15cとガイド面13dとの間を確実に密閉することができる。また、前端部15aの先端15fの食い込み量B1を大きくすることができるため、前端部15aと外周面12bとの間を確実に密閉することができる。このように、スリーブ15が配管12に食い込むときに、凹部15gにより当接面15cの変形を誘引することによって、配管12と継手本体13との接合部のシール性を好適に向上させることができる。
【0037】
なお、スリーブ15の先端15fが配管12の外周面12bに食い込むときの態様は、図5(a)に示すように、先端15fが配管12の厚みt内に入り込むような態様であってもよく、図5(b)に示すように、先端15fが配管12の厚みt内に入り込まずに配管12を内周側に変形させるような態様であってもよい。スリーブ15がいずれの態様で食い込むかは、スリーブ15及び配管12の硬度や表面状態によっても異なってくるが、いずれの態様であっても、接触面積A1及び食い込み量B1を大きくすることによって、配管12と継手本体13との接合部のシール性を向上させることができる。
【0038】
次に、管継手1を用いて配管12を継手本体13に接合する配管の接続方法について説明する。図6は管継手1のスリーブ15周辺部の動作を示す断面図である。配管12を継手本体13に接合するときは、まず、ナット14の保持孔14bに配管12を貫通させて継手本体13の接合孔13bに配管12の先端部12aを挿入する。そして、継手本体13のナット部13eを保持しながら、図6(a)に示すように、継手本体13の雄ねじ部13cに対してナット14の雌ねじ部14aをねじ込む。
【0039】
ナット14をねじ込んでいくと、継手本体13のガイド面13dがスリーブ15の前端部15aと当接し、ナット14のねじ込みに伴ってその押圧力が大きくなる。これにより、スリーブ15の接続部15bにおいて、ナット14のねじ込み方向に加わる剪断力が大きくなり、スリーブ15の接続部15bは切断される。そして、図6(b)に示すように、ナット14とスリーブ15とは分離する。
【0040】
引き続きナット14をねじ込んでいくと、継手本体13のガイド面13dがスリーブ15の前端部15aと当接し、且つナット14の内側面14cがスリーブ15の後端面15eに当接する状態となる。そして、ナット14のねじ込みに伴ってスリーブ15の後端面15eがナット14の内側面14cから押圧力を受け、スリーブ15の当接面15cと継手本体13のガイド面13dとが当接するとともに、スリーブ15の凹部15gにより当接面15cの変形が誘引される。当接面15cは、その傾斜角がガイド面13dの傾斜角と近づくように変形するため、当接面15cとガイド面13dとの当接部の接触面積が大きくなるとともに、配管12の外周面12bに対する前端部15aの先端15fの食い込み量が大きくなる。そして、当接面15cがガイド面13dと当接しながら内周側にガイドされることにより、図6(c)に示すように、スリーブ15の前端部15aが配管12の外周面12bに食い込んでいく。
【0041】
このようにして、管継手1は、スリーブ15の前端部15aを配管12の外周面12bに食い込ませることで、配管12を継手本体13に接合する。このときに、スリーブ15の前端部15aの食い込みにより、スリーブ15の前端部15aと配管12の外周面12bとの間が密閉される。また、スリーブ15の当接面15cと継手本体13のガイド面13dとが密着することにより、スリーブ15の当接面15cと継手本体13のガイド面13dとの間が密閉される。これらの箇所を密閉することによって、配管12と継手本体13とのシール性が確保される。
【0042】
上記第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1実施形態では、配管12の外周面12bに食い込むスリーブ15は、ナット14の継手本体13へのねじ込み前においてはナット14に対して一体的に形成される。このため、スリーブ15がナット14に対して別体で構成される場合と比べて、配管12を接合するまでの間にスリーブ15が紛失してしまうことを防止することができ、スリーブ15を予備部品として保管しておく必要がなくなる。また、スリーブ15がナット14に対して一体的に形成されることから、配管12を継手本体13に接合するときにスリーブ15を組み付ける作業がなくなり、配管12の接続時における作業性が向上する。そして、スリーブ15は、ナット14の継手本体13へのねじ込みによってナット14から切断されて配管12の外周面12bに食い込むため、容易にスリーブ15を切断できるように構成するとともに、接合部のシール性を確保しながら配管12を継手本体13の接合孔13bに接合することができる。
【0043】
(2)第1実施形態では、スリーブ15の内周面15dには凹部15gが形成されており、スリーブ15が配管12に食い込むときに、凹部15gによってスリーブ15の当接面15cと継手本体13のガイド面13dとの当接部の接触面積が大きくなるように構成されている。このため、スリーブ15がナット14から切断されるときに継手本体13のガイド面13dに傷がついてしまうような場合においても、当接面15cとガイド面13dとの当接部の接触面積A1を大きくすることによって当接部の密閉性を確保することができる。これにより、配管12と継手本体13との接合部のシール性を極力確保するように構成することができる。
【0044】
(3)第1実施形態では、スリーブ15の内周面15dには凹部15gが形成されており、スリーブ15が配管12に食い込むときに、凹部15gによって当接面15cが配管12側に向かって変形し易く構成されている。このため、配管12の外周面12bに対する前端部15aの先端15fの食い込み量B1を大きくすることができるため、前端部15aと外周面12bとの間を確実に密閉することができる。これにより、配管12と継手本体13との接合部のシール性を向上させることができる。
【0045】
(4)第1実施形態では、スリーブ15の当接面15cの傾斜角が、継手本体13のガイド面13dの傾斜角よりも小さくなるように形成されているため、スリーブ15が配管12に食い込むときに、当接面15cとガイド面13dとの当接によって、当接面15cを配管12側に向かって変形させ易くすることができる。このため、前端部15aの先端15fの食い込み量B1を大きくすることができ、前端部15aと外周面12bとの間の密閉性を向上させることができる。また、継手本体13のガイド面13dが円錐面に形成されることから、ナット14のねじ込みに伴いスリーブ15が配管12に向かって徐々に変形するように構成することができる。このため、ナット14の締付トルクが過大となることを抑えてナット14が確実にねじ込まれるようにし、スリーブ15が配管12の外周に確実に食い込むようにすることができる。
【0046】
(5)第1実施形態では、スリーブ15の凹部15gによって当接面15cの変形が誘引され、当接面15cが容易に変形するように構成されているため、ナット14の締付トルクを低減することができる。このため、配管12の接続時における作業性を向上させることができる。
【0047】
(6)第1実施形態では、スリーブ15の当接面15cが軸心方向の一端側の外周に形成されて、配管12に食い込む部位である前端部15aがその一端側の先端に設けられるため、当接面15cの変形に伴って前端部15aの変形量を大きくとることができる。このため、前端部15aの先端15fの食い込み量B1を大きくするように構成することができ、スリーブ15の前端部15aと配管12の外周面12bとの間の密閉性を向上させることができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、図7を参照して、本発明に係る管継手の第2実施形態について説明する。第1実施形態では、ナットの継手本体へのねじ込みにより配管を継手本体に接合しているが、第2実施形態では、継手本体とナットとの間にねじ構造を使用せずに配管を継手本体に接合するようにしている。第2実施形態に係る管継手は、スリーブを締結部材に対して一体的に設け、締結部材を配管の軸心方向にスライド移動させることで、スリーブを締結部材から切断し、分離したスリーブを配管の外周に食い込ませるように構成される。なお、スリーブが配管の外周面に食い込む構成等、第1実施形態と同一構成についてはその重複する説明を省略又は簡略する。
【0049】
図7は配管12を継手本体23に対して接合するときの、管継手2の動作を示す断面図である。図7(a)は配管12を管継手2により接続する前の状態を示している。管継手2は、図7(a)に示すように、配管12が挿入される継手本体23と、継手本体23に締結される締結部材24と、配管12の外周面に食い込むスリーブ25とを備えている。スリーブ25は、締結部材24に対して一体的に形成されており、接続部25bを通じてスリーブ25と締結部材24とが連結されている。
【0050】
継手本体23の外周には、作動レバー26が回転自在に支持されている。作動レバー26の回転軸26aは継手本体23の軸心Oに対して略垂直方向に設けられる。作動レバー26の中間位置には、係止レバー27が回転自在に支持されている。係止レバー27の回転軸27aは作動レバー26の回転軸26aと平行に設けられる。なお、このように構成された作動レバー26及び係止レバー27は、継手本体23の外周に複数箇所設けられている。係止レバー27の先端に設けられた係止爪27bは、締結部材24の外周面に設けられたフランジ部24dと係合できるように構成される。また、継手本体23に円柱状に設けられた摺動面23gは締結部材24に設けられた摺動面24eと嵌合しており、締結部材24が継手本体23に対して軸心方向にのみ移動できるように構成されている。
【0051】
次に、管継手2を用いて配管12を継手本体23に接合する配管の接続方法について説明する。配管12を継手本体23に接合するときは、まず、締結部材24の保持孔24bに配管12を貫通させて継手本体23の接合孔23bに配管12の先端部12aを挿入する。そして、図7(a)に示すように、係止レバー27の係止爪27bを締結部材24のフランジ部24dと係合させながら、作動レバー26をR方向に回転させる。
【0052】
作動レバー26をR方向に回転させると、締結部材24は継手本体23側に移動するため、継手本体23のガイド面23dがスリーブ25の前端部25aと当接し、締結部材24の移動に伴ってその押圧力が大きくなる。これにより、スリーブ25の接続部25bにおいて、締結部材24の移動方向に加わる剪断力が大きくなり、スリーブ25の接続部25bは切断される。そして、図7(b)に示すように、締結部材24とスリーブ25とが分離する。
【0053】
引き続き作動レバー26をR方向に回転させると、締結部材24はさらに継手本体23側に移動するため、継手本体23のガイド面23dがスリーブ25の前端部25aと当接し、且つ締結部材24の内側面24cがスリーブ25の後端面25eに当接する状態となる。そして、締結部材24の移動に伴ってスリーブ25の後端面25eが締結部材24の内側面24cから押圧力を受け、スリーブ25の当接面25cと継手本体23のガイド面23dとが当接するとともに、スリーブ25の内周面25dに形成された凹部25gにより当接面25cの変形が誘引される。当接面25cは、その傾斜角がガイド面23dの傾斜角と近づくように変形するため、当接面25cとガイド面23dとの当接部の接触面積が大きくなるとともに、配管12の外周面12bに対する前端部25aの先端25fの食い込み量が大きくなる。そして、当接面25cがガイド面23dと当接しながら内周側にガイドされることにより、図7(c)に示すように、スリーブ25の前端部25aが配管12の外周面12bに食い込んでいく。
【0054】
このようにして、管継手2は、スリーブ25の前端部25aを配管12の外周面12bに食い込ませることで、配管12と継手本体23とのシール性を確保しつつ、配管12を継手本体23に接合する。
【0055】
上記第2実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(7)第2実施形態では、作動レバー26を操作することにより締結部材24を継手本体23へと締結させ、締結部材24に対して一体的に設けられたスリーブ25が、締結部材24から切断されて配管12の外周に食い込み、配管12を継手本体23に接合する。このため、継手本体23と締結部材24との間にねじ構造を使用しなくても、第1実施形態の効果(1)〜(6)と同様の効果を得ることができる。
【0056】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1及び第2実施形態では、管継手1,2は、スリーブ15,25がナット14又は締結部材24に対して一体的に加工されるように構成したが、スリーブ15,25を接着、嵌め込み等の方法でナット14又は締結部材24に対して接合するように構成してもよい。
【0057】
・第1及び第2実施形態では、スリーブ15,25の当接面15c,25cは、軸心方向の一端側から他端側に向かって外径が大きくなるような円錐面に形成されているが、円錐面以外の形状、例えば円筒面に形成されていてもよい。
【0058】
・第1及び第2実施形態では、継手本体13,23のガイド面13d,23dは、円錐面に形成されているが、当接面15c,25cと当接してガイドできる形状であれば、円錐面以外の形状、例えば球面に形成されていてもよい。
【0059】
・第1及び第2実施形態では、スリーブ15,25の内周面15d,25dに凹部15g,25gを形成しているが、当接面15c,25cとガイド面13d,23dとの当接部の接触面積が大きくなるように当接面15c,25cの変形を誘引する形態であれば、凹部15g,25gは他の形状であってもよい。図8に当接面の変形を誘引するスリーブの形状の例を示す。図8(a)は、スリーブ31の内周面31dに2つの凹部31g,31hを形成する例である。このように凹部31g,31hを形成しても、スリーブ31の前端部31aが配管に食い込むときに、ナット14からの押圧力によって当接部の接触面積が大きくなるように当接面31cの変形を誘引することができる。また、当接面31cの変形によって、配管に対する前端部31aの先端31fの食い込み量を大きくすることができる。なお、内周面31dに形成される凹部は、3つ以上であってもよい。図8(b)は、スリーブ32の内周面32dに設けられる凹部32gを後端面32eに亘って形成する例である。このように凹部32gを大きく形成しても、スリーブ32の前端部32aが配管に食い込むときに、ナット14からの押圧力によって当接部の接触面積が大きくなるように当接面32cの変形を誘引することができる。また、当接面32cの変形によって、配管に対する前端部32aの先端32fの食い込み量を大きくすることができる。
【0060】
・第1及び第2実施形態では、配管12の接合時にスリーブ15,25の軸心方向の先端に設けられた前端部15a,25aが配管12の外周面12bに食い込むようにしているが、スリーブ15,25の先端以外の部位が配管12の外周面12bに食い込むようにしてもよい。
【0061】
・第1及び第2実施形態では、スリーブ15,25の当接面15c,25cは、スリーブ15,25の軸心方向の一端側の外周に位置しているが、軸心方向の中間部又は他端側の外周に位置するように構成してもよい。また、当接面15c,25cは、スリーブ15,25の軸心方向における先端の端面に形成されるように構成してもよい。
【0062】
・第1及び第2実施形態では、配管12内を流れる流体の種類については特に限定していないが、第1及び第2実施形態の管継手1,2によって、超臨界状態で使用される超臨界冷媒が流通する配管を接続するようにしてもよい。このようにすると、超臨界状態で使用される超臨界冷媒が配管内を流れて管継手と配管との接合部に高圧が加わった場合においても、上記の管継手1,2は配管との接合部におけるシール性が確保されているため、接合部における冷媒の漏れを好適に抑えることができる。
【0063】
・また、第1及び第2実施形態の管継手1,2によって、二酸化炭素冷媒が流通する配管を接続するようにしてもよい。このようにすると、接続される配管内を流れる流体は二酸化炭素冷媒であるため、上記の管継手1,2を用いた配管回路を地球環境に配慮した構成とすることができる。また、二酸化炭素冷媒が超臨界状態で使用されて、管継手と配管との接合部に高圧が加わった場合においても、上記の管継手1,2は配管との接合部におけるシール性が確保されているため、接合部における冷媒の漏れを好適に抑えることができる。
【0064】
・また、第1及び第2実施形態の管継手1,2によって、炭化水素冷媒が流通する配管を接続するようにしてもよい。このようにすると、接続される配管内を流れる流体は、プロパン、イソブタン等の炭化水素冷媒であるため、上記の管継手1,2を用いた配管回路を地球環境に配慮した構成とすることができる。また、上記の管継手1,2は配管との接合部におけるシール性が確保されているため、引火性の強い炭化水素冷媒が接合部から漏れることを好適に抑えることができる。
【0065】
・第1及び第2実施形態では、管継手1,2は配管11と配管12とを接続しているが、これらの管継手1,2の構成を、図9に示すような空気調和機41の室内ユニット42と室外ユニット43とを連絡する冷媒配管44の接続部45,46に適用してもよい。このようにすると、空気調和機41は上記の効果を有する管継手1,2を用いるため、スリーブの紛失を防止し、冷媒配管44の接続時における作業性を向上させつつ、冷媒配管44の接合部のシール性を確保した空気調和機41とすることができる。また、管継手1,2の構成は、接続部46に配設されるような閉鎖弁の接続部に適用することもできるし、空気調和機41以外の冷凍装置における冷媒配管の接続部に適用することもできる。このような閉鎖弁、冷凍装置においても、管継手1,2を空気調和機41の接続部45,46に適用した場合と同様の効果を得ることができる。
【0066】
・また、第1及び第2実施形態の管継手1,2の構成を、ヒートポンプ式給湯機の配管の接続部に適用してもよい。図10はヒートポンプ式給湯機の配管の接続状態を示す概略図である。図10(a)に1つのタンクで構成されるヒートポンプ式給湯機51の概略図を示す。ヒートポンプ式給湯機51は、外気から熱をくみ上げるヒートポンプユニット61と、ヒートポンプユニット61によりくみ上げられた熱を利用して給湯を行う貯湯ユニット71とを備える。ヒートポンプユニット61は、膨張弁62と空気熱交換器63と圧縮機64と水熱交換器65とを有する冷凍サイクル装置からなり、各機器を接続する冷媒配管66内には冷媒が流通する。貯湯ユニット71は、給水配管72を介してタンク73に供給された水が、タンク73と水熱交換器65との間をポンプ74により循環し、水熱交換器65で熱交換された温水が、タンク73から給水配管75を介して給湯されるように構成される。図10(b)に2つのタンクで構成されるヒートポンプ式給湯機52の概略図を示す。ヒートポンプ式給湯機52は、ヒートポンプ式給湯機51と同様の構成を備えているが、貯湯ユニット81のタンクが第1タンク82と第2タンク83とを直列に接続して構成される。そして、第1タンク82及び第2タンク83に貯留されている温水が、追いだき用熱交換器84との間をポンプ85により循環し、浴槽86から給水配管87を介してポンプ88により送られる温水が、追いだき用熱交換器84で熱交換して温められ、給水配管89を介して浴槽86に戻されるような追いだき機能が付加されている。このようなヒートポンプ式給湯機51,52では、例えば冷媒配管66に設けられる接続部67や給水配管72,75に設けられる接続部76に、管継手1,2を用いることができる。また、ヒートポンプ式給湯機52では、これに加えて給水配管87,89に設けられる接続部90に、管継手1,2を用いることができる。このようにすると、ヒートポンプ式給湯機51,52は上記の効果を有する管継手1,2を用いるため、スリーブの紛失を防止し、配管の接続時における作業性を向上させつつ、配管の接合部のシール性を確保したヒートポンプ式給湯機51,52とすることができる。なお、上記の接続部67,76,90は、ヒートポンプ式給湯機を構成する機器やユニットの配置によって、他の位置に設けられるようにしてもよい。このようにして、冷媒配管の接続部に加えて、配管内を水が流れる給水配管の接続部についても管継手1,2を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1実施形態の管継手の構成を示す部分断面図。
【図2】第1実施形態の継手本体の部分断面図。
【図3】第1実施形態のナットの部分断面図。
【図4】(a)はスリーブが配管に食い込む状態を示す断面図、(b)は比較例におけるスリーブが配管に食い込む状態を示す断面図。
【図5】(a),(b)はスリーブの先端の食い込み態様を示す断面図。
【図6】(a)はスリーブが切断される前の断面図、(b)はスリーブが切断された後の断面図、(c)はスリーブが配管に食い込むときの断面図。
【図7】(a)は第2実施形態の管継手においてスリーブが切断される前の断面図、(b)はスリーブが切断された後の断面図、(c)はスリーブが配管に食い込むときの断面図。
【図8】(a),(b)は本発明の別の例におけるスリーブの形状を示す断面図。
【図9】空気調和機の室内ユニットと室外ユニットとの間の冷媒配管の接続状態を示す概略図。
【図10】(a)はヒートポンプ式給湯機の配管の接続状態を示す概略図、(b)は他の例におけるヒートポンプ式給湯機の配管の接続状態を示す概略図。
【図11】従来例に係る管継手の構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0068】
1,2…管継手、11,12…配管、13,23…継手本体、14,24…ナット、15,25,31,32…スリーブ、41…空気調和機、51,52…ヒートポンプ式給湯機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を接合するための接合孔が形成される継手本体と、
この継手本体に締結される締結部材と、
この締結部材の前記継手本体への締結前においては前記締結部材に対して一体的に設けられるとともに、配管が前記接合孔に挿入された状態における前記締結部材の前記継手本体への締結により、前記締結部材から切断されて前記配管の外周に食い込むスリーブとを備え、
前記スリーブは、前記配管への食い込み時に、前記継手本体と当接してその当接部を密閉する当接面を有するとともに、前記配管への食い込み時に前記当接部の接触面積が大きくなるように前記当接面を変形させる変形誘引形状を有する
ことを特徴とする管継手。
【請求項2】
請求項1に記載の管継手において、
前記当接面及び前記当接面と当接する前記継手本体の被当接面は、前記配管と同一の軸心を有する円錐面に形成され、前記当接面の傾斜角が前記被当接面の傾斜角よりも小さい
ことを特徴とする管継手。
【請求項3】
請求項2に記載の管継手において、
前記変形誘引形状は、前記配管と対向する前記スリーブの内周面に設けられる少なくとも1つの凹形状である
ことを特徴とする管継手。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の管継手において、
前記スリーブは、前記当接面が軸心方向の一端側の外周に形成されるとともに、前記配管に食い込む部位が前記一端側の先端に設けられる
ことを特徴とする管継手。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の管継手において、
前記継手本体にはねじ部が形成されており、前記締結部材は前記ねじ部に螺合されることで前記継手本体に締結される
ことを特徴とする管継手。
【請求項6】
超臨界状態で使用される超臨界冷媒が流通する配管を接続することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項7】
二酸化炭素冷媒が流通する配管を接続することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項8】
炭化水素冷媒が流通する配管を接続することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の管継手を冷媒配管の接続部に用いたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の管継手を冷媒配管の接続部に用いたことを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の管継手を配管の接続部に用いたことを特徴とする給水配管。
【請求項1】
配管を接合するための接合孔が形成される継手本体と、
この継手本体に締結される締結部材と、
この締結部材の前記継手本体への締結前においては前記締結部材に対して一体的に設けられるとともに、配管が前記接合孔に挿入された状態における前記締結部材の前記継手本体への締結により、前記締結部材から切断されて前記配管の外周に食い込むスリーブとを備え、
前記スリーブは、前記配管への食い込み時に、前記継手本体と当接してその当接部を密閉する当接面を有するとともに、前記配管への食い込み時に前記当接部の接触面積が大きくなるように前記当接面を変形させる変形誘引形状を有する
ことを特徴とする管継手。
【請求項2】
請求項1に記載の管継手において、
前記当接面及び前記当接面と当接する前記継手本体の被当接面は、前記配管と同一の軸心を有する円錐面に形成され、前記当接面の傾斜角が前記被当接面の傾斜角よりも小さい
ことを特徴とする管継手。
【請求項3】
請求項2に記載の管継手において、
前記変形誘引形状は、前記配管と対向する前記スリーブの内周面に設けられる少なくとも1つの凹形状である
ことを特徴とする管継手。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の管継手において、
前記スリーブは、前記当接面が軸心方向の一端側の外周に形成されるとともに、前記配管に食い込む部位が前記一端側の先端に設けられる
ことを特徴とする管継手。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の管継手において、
前記継手本体にはねじ部が形成されており、前記締結部材は前記ねじ部に螺合されることで前記継手本体に締結される
ことを特徴とする管継手。
【請求項6】
超臨界状態で使用される超臨界冷媒が流通する配管を接続することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項7】
二酸化炭素冷媒が流通する配管を接続することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項8】
炭化水素冷媒が流通する配管を接続することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の管継手を冷媒配管の接続部に用いたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の管継手を冷媒配管の接続部に用いたことを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の管継手を配管の接続部に用いたことを特徴とする給水配管。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−239947(P2007−239947A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−66173(P2006−66173)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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