説明

管路更生用ライナー

【課題】上下水道管、ガス導管などの主として地中に埋設され老朽化した既設管路の補強(ライニング)を短時間に行うことができる管路更生工法、および管路更生用ライナーを提供すること。
【解決手段】両端部のうちの少なくともいずれか一方に着脱自在な流体給排気用継手20が取り付けられた管路更生用ライナー1を下水道管路(既設管路)100に挿入して、加熱加圧工程等を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路更生工法、および管路更生用ライナーに関する。さらに詳しくは、本発明は、上下水道管、ガス導管などの既設管路の内面をライニングすることにより既設管路を補強する管路更生工法、およびこの管路更生工法で用いられる管路更生用ライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道管、ガス導管などの主として地中に埋設された老朽化した既設管路の再生ならびに延命化を目的とし、更生後に新管と同等以上の耐荷能力および耐久性を有する更生管を形成するための技術として、硬質ポリエチレンや硬質塩化ビニル樹脂などの硬質熱可塑性樹脂からなる管路更生用ライナーを既設管路内面にライニングするための工法や、この管路更生用ライナー自体に関する多くの技術が既に開示されている。例えば、以下のような特許文献1、2である。
【0003】
従来、熱可塑性樹脂製の長尺パイプライナーの既設管路への挿入方法に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の長尺パイプライナーの既設管路への挿入方法は、マンホール下部に設けられたガイド部に湾曲するように沿わせつつ長尺パイプライナーを既設管路内へ移動させ水平状態に変形させる強制変形と、マンホール内への垂下部を上記ガイド部に沿うように移動させ湾曲状態に変形させる強制変形とを、所定の応力緩和を満たすような進行方向側からの牽引により行うことを特徴とする方法である。この挿入方法により、長尺パイプライナーを破断させることなく、略直立するマンホールから略水平方向に敷設された既設管路内へ挿入させることができると、称している。
【0004】
また、2層以上の管壁構造を有し、既設管路の内面をライニングする樹脂パイプライナーに関する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の樹脂パイプライナーは、その少なくとも1層が形状記憶温度にて円筒体に形状回復する性能が付与された状態にて、全体が断面外形面積が減少するように変形されたものからなる樹脂パイプライナーである。そして、この特許文献2の中で、この樹脂パイプライナーをマンホールから既設管路内に挿入して、樹脂パイプライナーを既設管路内に敷設する既設管路の更生方法が説明されている。この樹脂パイプライナーを用いることにより、既設管路の有効流量を低下させることなく、容易にライニング層を形成することができると、称している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−230409号公報
【特許文献2】特開2000−33649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、上下水道管、ガス導管などの主として地中に埋設される管路の上方の地上部は、車道などの道路である場合が多い。よって、老朽化した既設管路を上記のようなライナー(管路更生用ライナー)で補強する場合、施工時間等の制約が多くある。特に都市部では、交通渋滞などの影響から昼間の施工が難しい場合が多々ある。また、下水道のような排水管の更生では各家庭からの排水を規制することが容易でないので、排水量が少なくなる夜間での施工(例えば、夜11時頃から朝5時頃までの6時間以内での施工など)が望まれる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された長尺パイプライナーの既設管路への挿入方法に関する技術や、特許文献2に記載された樹脂パイプライナーに関する技術では、施工時間の短時間化を大きく期待できない。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、上下水道管、ガス導管などの主として地中に埋設され老朽化した既設管路の補強(ライニング)を短時間に行うことができる管路更生工法、および管路更生用ライナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明に係る管路更生工法は、上下水道管、ガス導管などの既設管路の内面をライニングすることにより既設管路を補強する管路更生工法に関する。そして、本発明に係る管路更生工法は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の管路更生工法は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る管路更生工法における第1の特徴は、硬質熱可塑性樹脂層を備え長手方向を有する管路更生用ライナーを用いた管路更生工法であって、両端部のうちの少なくともいずれか一方に着脱自在な流体給排気用継手が取り付けられた前記管路更生用ライナーを加熱することにより、前記管路更生用ライナーに柔軟性を持たせる加熱工程と、前記長手方向に直交する断面の断面積を当該断面が円形状の場合よりも縮小させた断面形状で加熱された前記管路更生用ライナーを既設管路に挿入するライナー挿入工程と、前記既設管路に挿入された前記管路更生用ライナーと加熱加圧手段とを前記流体給排気用継手を用いて連結し、当該加熱加圧手段により前記管路更生用ライナーの内側から前記管路更生用ライナーを加熱および加圧する加熱加圧工程と、加熱および加圧した前記管路更生用ライナーの内側から、加圧状態を保ったまま前記管路更生用ライナーを冷却する冷却工程と、を備えていることである。
【0011】
ここで、例えば老朽化した下水道管渠などの既設管路内部は、地下水が継手部から浸入したり、清掃で落としきれなかった汚濁物が壁面に付着していたりして、非常に作業性が悪い場合がある。また、前記したように、下水道のような排水管の更生では各家庭からの排水を規制することが容易でないので施工時間等の制約を受ける。
【0012】
この構成によると、両端部のうちの少なくともいずれか一方にあらかじめ着脱自在な流体給排気用継手が取り付けられた管路更生用ライナーが、補強対象である既設管路に挿入される。そして、既設管路に挿入された管路更生用ライナーと管路更生用ライナーの加熱加圧手段とが、既設管路内で上記流体給排気用継手を用いて簡単に、かつ短時間に連結される。これにより、上下水道管、ガス導管などの主として地中に埋設され老朽化した既設管路の管路更生用ライナーによる補強(ライニング)を短時間に行うことが可能となる。
【0013】
また、既設管路の補強(ライニング)を短時間に行うことが可能となることにより、1日当たりの施工量を大幅に増やすことができる。また、着脱自在な流体給排気用継手を用いるので、少しの訓練で誰でも作業できる。さらに、本管路更生工法は、比較的高温高圧の流体を使用する工法であるが、上記流体給排気用継手を用いた簡単な作業で管路更生用ライナーと加熱加圧手段とを連結できるため、作業員のミスを大幅に防止できる。
【0014】
また、本発明に係る管路更生工法における第2の特徴は、前記流体給排気用継手は、少なくとも雄または雌の継手用部材、短管、および締結用部材を備え、前記管路更生用ライナーは、内面及び外面のうちの少なくともいずれかに前記硬質熱可塑性樹脂層が形成された筒状織布からなることである。
【0015】
この構成によると、特殊な部品を用いることなく一般の汎用部品を用いて簡単に雄または雌の着脱自在な流体給排気用継手を形成することができる。また、管路更生用ライナーの一部に筒状織布を用いることにより、管路更生用ライナーの強度を大幅に向上させることができ、管路更生用ライナーを既設管路に引き込む際に、管路更生用ライナーが破断したり、硬質熱可塑性樹脂層が損傷したりすることを効果的に防止することができる。
【0016】
また、本発明に係る管路更生工法における第3の特徴は、円状に巻き取った前記管路更生用ライナーを水平方向に回転自在なターンテーブルの上に載置する載置工程を備えていることである。
【0017】
この構成によると、円状に巻き取った管路更生用ライナーを、例えばリールなどを用いないで材料のみ現場に運送することができ、大幅に運送料を安くすることが可能となる。また、運送に用いる車両を小型化することができるので、比較的狭い施工場所であってもより近い場所まで車両を用いて運送できる。
【0018】
また、上記ターンテーブルは水平方向に広がっていて上部が開いており、施工現場では巻き取った管路更生用ライナーをターンテーブルの上方からターンテーブルの上に載置するので、例えば垂直方向に回転自在なリールなどに巻き取った管路更生用ライナーをセットする場合に比べて、作業が容易である。
【0019】
また、本発明に係る管路更生工法における第4の特徴は、前記加熱工程において、前記ターンテーブルの上に載置された前記管路更生用ライナーを箱状体で覆い、当該箱状体の内部を加熱することである。
【0020】
この構成によると、内部に管路更生用ライナーが配置された箱状体の内部を加熱することにより、簡易にかつ熱効率よく管路更生用ライナーを加熱することができる。
【0021】
また、本発明に係る管路更生工法における第5の特徴は、前記ライナー挿入工程において、前記管路更生用ライナーを加熱しながら前記既設管路に挿入することである。
【0022】
この構成によると、加熱されて柔軟性が付与された管路更生用ライナーを既設管路に挿入する過程で、管路更生用ライナーが冷えることにより、管路更生用ライナーの柔軟性が損なわれることを効果的に防止できる。これにより、既設管路への管路更生用ライナーの引き込みを、管路更生用ライナーを損傷させることなくより確実に行うことができる。
【0023】
また、本発明に係る管路更生工法における第6の特徴は、前記既設管路が、連続する複数のマンホール間を接続して形成されており、前記ライナー挿入工程において、複数の加熱された前記管路更生用ライナーを少なくとも1つのマンホールから前記既設管路に挿入し、前記加熱加圧工程において、前記既設管路内で前記複数の加熱された管路更生用ライナーを前記流体給排気用継手を介して連結し、前記複数の加熱された管路更生用ライナーに対して、同時に前記加熱加圧工程を実施し、かつ、その後同時に前記冷却工程を実施することにより、前記連続する複数のマンホール間の前記既設管路を同時にライニングすることである。
【0024】
この構成によると、複数の管路更生用ライナーに予め上記流体給排気用継手が取り付けられているので、作業性の悪い既設管路内でも簡単に、かつ短時間に管路更生用ライナーを連結することができる。また、本管路更生工法は、比較的高温高圧の流体を使用する工法であるが、上記流体給排気用継手を用いた簡単な作業で複数の管路更生用ライナーを連結できるため、作業員のミスを大幅に防止できる。
【0025】
また、本発明に係る管路更生用ライナーは、既設管路の内面をライニングすることにより既設管路を補強する管路更生工法で用いられる管路更生用のライナーに関する。そして、本発明に係る管路更生用ライナーは、上記目的を達成するために以下のような特徴を有している。
【0026】
上記目的を達成するための本発明に係る管路更生用ライナーにおける特徴は、前記ライナーは、硬質熱可塑性樹脂層と、両端部のうちの少なくともいずれか一方に取り付けられた着脱自在な流体給排気用継手と、を備えていることである。
【0027】
この構成によると、前記したように、既設管路に挿入された管路更生用ライナーと管路更生用ライナーの加熱加圧手段とを、ならびに、既設管路に挿入された複数の管路更生用ライナー同士を、既設管路内で上記流体給排気用継手を用いて簡単に、かつ短時間に連結することができる。これにより、上下水道管、ガス導管などの主として地中に埋設され老朽化した既設管路の管路更生用ライナーによる補強(ライニング)を短時間に行うことが可能となる。また、既設管路の補強(ライニング)を短時間に行うことが可能となることにより、1日当たりの施工量を大幅に増やすことができる。さらに、着脱自在な流体給排気用継手を用いるので、少しの訓練で誰でも作業できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る管路更生用ライナーの一実施形態を示す概略図である。
【図2】図1に示す管路更生用ライナーのライナー部を示す概略の斜視図である。
【図3】従来の継手取付工程を示す概略図である。
【図4】図1に示す管路更生用ライナーが巻き取られた状態を示す概略図である。
【図5】本発明に係る管路更生工法の一実施形態で用いられるターンテーブルを示す概略図である。
【図6】図5に示すターンテーブルの上に管路更生用ライナーを載置した状態、および、このターンテーブルの上に載置された管路更生用ライナーを箱状体で覆った状態を示す概略図である。
【図7】本発明に係る管路更生工法におけるライナー挿入工程の一実施形態を示す概略図である。
【図8】本発明に係る管路更生工法における加熱加圧工程および冷却工程の一実施形態を示す概略図である。
【図9】本発明に係る管路更生工法の第2実施形態を示す概略図である。
【図10】図9に示す第2実施形態の一変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、ここでは本発明に係る管路更生用ライナーの実施形態について最初に説明し、そのあとで、本発明に係る管路更生工法の実施形態について説明する。尚、本発明に係る管路更生工法の実施形態についての説明では、更生させる既設管路の対象として、下水道管路を選択しているが、これに限られるものではなく、上下水道管(上水道管および下水道管)、ガス導管などの主として地中に埋設される既設管路全てを対象として、本発明に係る管路更生用ライナー、および本発明に係る管路更生工法を適用できる。
【0030】
図1は、本発明に係る管路更生用ライナーの一実施形態を示す概略図である。また、図2は、図1に示す管路更生用ライナー1のライナー部(ライナー2)を示す概略の斜視図である。まず、図1(a)は、本発明に係る管路更生用ライナーの一実施形態である管路更生用ライナー1の全体を示す概略図である。
【0031】
図1(a)に示すように、本実施形態に係る管路更生用ライナー1は、ライナー2と、ライナー2の両端部に雄または雌の着脱自在な流体給排気用継手20とを備えたものである。また、この流体給排気用継手20は、雄または雌の継手用部材19と、短管18と、ライナー2と短管18との間を埋めてシールするための間詰め材17と、番線(締結用部材)16と、板材を丸めてなる断面が半円状のシール補助部材23とから構成されている。
【0032】
ここで、上記の雄または雌の継手用部材19、短管18、間詰め材17、番線16、およびシール補助部材23は、いずれも入手し易い一般の汎用部品であり、これら部材を用いて簡単に雄または雌の着脱自在な流体給排気用継手20を形成することができている。
【0033】
雄または雌の継手用部材19は、例えば雄または雌の(凸形状または凹形状の)ワンタッチカプラーであり、短管18は、SGPなどの炭素鋼鋼管、ステンレス管、亜鉛メッキ管などである。また間詰め材17は、雄または雌の継手用部材19が取り付けられた短管18とライナー2とを番線16を用いて強固に締結する際、ライナー2に注入される加圧水蒸気など(詳細には、後述する「加熱加圧工程」の説明を参照)が、短管18とライナー2との間の隙間から外部に漏れることを防止するために設けられているものである。間詰め材17の材料としては、スポンジやゴム系材料などが挙げられる。締結用部材としては、番線16の代わりに織布などからなるバンドや金属製のバンド締付具を用いてもよい。
【0034】
また、間詰め材17は、図1(a)に示すように、断面形状が、番線16で締結することによりライナー2の端部内面全体をシールしやすいようV字状、又はU字状となっており、一方に短管差込用孔22が設けられている。間詰め材17の断面視における中央部は、番線16で締め付けやすいように両側よりも薄く形成され、間詰め材17の両側は、短管差込用孔22を嵌通させることができるよう、かつシール性を十分確保できるよう中央部よりも厚く形成されている。図1(b)は、間詰め材を異にする図1(a)のA部拡大図であって、間詰め材17の変形例である間詰め材17’を示すための図である。図1(b)に示す間詰め材17’は、V字状、又はU字状に変形させたライナー2の長手方向に直交する両側端部(ライナー2耳部)に分割して設けた間詰め材である。間詰め材を間詰め材17’のような分割形状とすることで、種々の口径のライナー2であっても1種類の間詰め材17’を使用することができる。間詰め材17’は、断面視において端部が円弧状に形成され、この端部から離れるにつれて細くなる形状を有しており、ライナー2耳部を鋭角に折り曲げなくてもシールが確保できるようになっている。また、間詰め材17は、最初からV字状、又はU字状となっていなくてもよい。すなわち、直線状に形成された間詰め材をV字状、又はU字状に折り曲げて間詰め材17のような形状を形成してもよい。
【0035】
次に、板材を丸めてなる断面が半円状のシール補助部材23は、V字状、又はU字状に変形させたライナー2の端部の内側に挟みこまれる。シール補助部材23は、樹脂板や金属板などを半円状に丸めて形成してもよいし、塩ビ管などの樹脂管やSGPなどの金属管を長手方向において半分に切断することにより形成してもよい。半円状のシール補助部材23をライナー2の端部の内側に挟むことで、ライナー2外面から番線16で間詰め材17を締め付けた際、締め付け力がライナー2のU字部(または、V字部)内側まで十分に伝わり、ライナー2のU字部(または、V字部)内側のシールがさらに確実になり、加圧水蒸気の漏れる可能性はより少なくなる。また、ライナー2のU字部(またはV字部)内側のアール形状等に応じて(曲面の形状に応じて)、樹脂管や金属管、丸棒等を断面円状のままシール補助部材23として用いてもよい。
【0036】
この管路更生用ライナー1を、上下水道管、ガス導管などの主として地中に埋設された既設管路の内面をライニング補強するためのライニング材に用いることにより、既設管路に挿入された管路更生用ライナー1と、後述する管路更生用ライナー1の加熱加圧手段とを、ならびに、既設管路に挿入された複数の管路更生用ライナー1同士を、既設管路内で流体給排気用継手20を用いて簡単に、かつ短時間に連結することができる。これにより、老朽化した既設管路の補強(ライニング)を短時間に行うことが可能となる。また、既設管路の補強(ライニング)を短時間に行うことが可能となることにより、1日当たりの施工量を大幅に増やすことができる。さらに、雄または雌の着脱自在な流体給排気用継手20を用いることで、少しの訓練で誰でも作業できる。尚、本実施形態においては、管路更生用ライナー1の両端部に流体給排気用継手20を取り付けているが、いずれか一方のみに流体給排気用継手20を取り付けていてもよい。
【0037】
次に図2に示すように、図1に示す管路更生用ライナー1のライナー部(ライナー2)は、筒状織布11の内面に内面硬質熱可塑性樹脂層14、外面に外面硬質熱可塑性樹脂層15が形成されたものである。ここで、筒状織布11は、経糸12に対してスパイラル状に連続して織り込まれた緯糸13とからなる周方向に継ぎ目のない筒状の織布である。このため、筒状織布11は高い破断応力を有し、かつ長手方向にはほとんど収縮しない。よって、管路更生用ライナー1を既設管路に引き込んでも管路更生用ライナー1にクラックが生じることはない。尚、この筒状織布11は、内側から加圧されたときに、緯糸13が周方向に引っ張られて少し伸びるとともに屈曲部分が直線状に近づくので、これによって筒状織布11は径方向に拡張する。これにより、硬質熱可塑性樹脂層(14、15)を備えた管路更生用ライナー1を、既設管路に密着させることができる。
【0038】
ここで、本実施形態においては、筒状織布11の経糸12として、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の1120tex/4×604本の糸を用い、緯糸13として、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の1100tex/3×45本/10cmの嵩だか加工糸を用いた。このポリエチレンテレフタレートは、非常に熱に強い樹脂であり、約80℃に加熱しても、常温時の強度に対して80%程度の強度を有す。そして、筒状織布11の厚みは、硬質熱可塑性樹脂層に埋入された状態で約0.3mmであった。
【0039】
また、内面硬質熱可塑性樹脂層14及び外面硬質熱可塑性樹脂層15を形成する本実施形態の硬質熱可塑性樹脂は、重量比率で、硬質塩化ビニル樹脂100部、MBS3.5部、安定剤3部、可塑剤5部の硬質塩化ビニル樹脂を用いた。そして、内面硬質熱可塑性樹脂層14の厚みを約6mmとし、外面硬質熱可塑性樹脂層15の厚みを約1mmとしている。内面硬質熱可塑性樹脂層14は、管路更生用ライナー1の内面を形成する層であり、直接、加熱されたり、加圧されたりするため、外面よりも厚く設定されている。また、上記の硬質熱可塑性樹脂層(14、15)が形成された筒状織布11からなる管路更生用ライナー1の破断強度は、20℃で約1MPa、80℃で約0.5MPaである。
【0040】
また、硬質熱可塑性樹脂層(14、15)、および筒状織布11からなる管路更生用ライナー1の外径は、拡張前の外径が既設管路の内径よりも5%以上小さく、0.05〜0.1MPaの水蒸気や温水などの加熱加圧流体を用いて拡張させることで後述する拡張前の外径から10〜20%拡張することが好ましい。管路更生用ライナー1の外径を既設管路の内径よりも5%以上小さくすることで、管路更生用ライナー1を既設管路に挿入し易い。
【0041】
また、上記管路更生用ライナー1は、加熱により軟化して拡張し、既設管路の内径よりも大きく拡張可能であるため、管路更生用ライナー1と既設管路との密着性は非常に高くなる。また、既設管路が老朽化して管路接続箇所に段差部が生じていたり、不連続な管折れ部が生じていても、既設管路の内径よりも大きく拡張可能で加熱により柔軟性をもった上記管路更生用ライナー1は、この段差部や管折れ部にほぼ隙間なく沿って密着することが可能であり、この段差部や管折れ部でシワを生じにくい。尚、本発明に係る管路更生用ライナーは、加熱および加圧されることにより必ずしも径方向に拡張する必要はなく、加熱および加圧されることにより筒状体になればよい。
【0042】
(管路更生工法の第1実施形態)
次に、本発明に係る管路更生工法の実施形態(第1実施形態)について説明する。まず、図3に基づき、従来の施工方法の問題点について説明する。図3は、従来の継手取付工程を示す概略図である。
【0043】
図3に示すように、従来は、マンホール104を介して下水道管路100に挿入された管路更生用ライナー51に対して、下水道管路100内部で金具などの継手52を作業員106が取り付けていた。前記したように、老朽化した下水道管路100内部は、地下水が継手部から浸入したり、清掃で落としきれなかった汚濁物が壁面に付着していたり、さらにマンホール104内の作業空間が狭いこともあり、非常に作業性が悪い場合があると共に、施工時間等の制約を受けることが多々ある。この施工方法によると、作業性が悪い下水道管路100内部での継手52取付作業となり、通常、施工時間が長く必要となる場合が多い。
【0044】
次に、本発明に係る管路更生工法の第1実施形態について説明する。ここでは、まず、管路更生用ライナー1を現場に運送し、本発明に係る管路更生工法における加熱工程を実施するまでの工程を説明する。
【0045】
図4は、図1に示す管路更生用ライナー1が巻き取られた状態を示す概略図である。図5は、本発明に係る管路更生工法の一実施形態で用いられるターンテーブル31を示す概略図である。また、図6は、図5に示すターンテーブル31の上に管路更生用ライナー1を載置した状態、および、このターンテーブル31の上に載置された管路更生用ライナー1を箱状体3(ライニング材料加熱装置)で覆った状態を示す概略図である。
【0046】
まず、ライナー2の両端部に雄または雌の着脱自在な流体給排気用継手20を取り付ける継手取付工程が行われ、流体給排気用継手20を備えた管路更生用ライナー1が形成される(図1参照)。尚、流体給排気用継手20は、ライナー2のいずれか一方にのみ取り付けられてもよい。そして、図4に示すように、流体給排気用継手20が取り付けられた管路更生用ライナー1は、筒状のリールなどを用いないで円状にカセ巻きされ、そのままの状態で車両に積載して現場に運送される。尚、流体給排気用継手20は、施工現場でライナー2に取り付けられてもよい。
【0047】
これにより、円状に巻き取った管路更生用ライナー1を、上記リールなどを用いないで材料のみ現場に運送することができるので、大幅に運送料を安くすることができる。また、運送に用いる車両を小型化することができるので、比較的狭い施工場所であってもより近い場所まで車両を用いて運送できる。
【0048】
次に、図5に示すターンテーブル31は、円状に巻き取った管路更生用ライナー1を載置して、管路更生用ライナー1を引っ張り出しながら下水道管路100に挿入するための水平方向に回転自在なターンテーブルである。図5に示すように、ターンテーブル31は、管路更生用ライナー1を載置する水平方向に回転自在な円板状のテーブル33と、テーブル33を支持する架台34と、架台34に取り付けられた脚部35と、円状に巻き取った管路更生用ライナー1(図4参照)の内周の径に応じて半径方向にスライド調整可能なスライドバー32とから構成される。
【0049】
ターンテーブル31には上記のように半径方向にスライド調整可能なスライドバー32が設けられているので、円状に巻き取った管路更生用ライナー1の内周の径に合わせてスライドバー32の位置を調整でき、管路更生用ライナー1を下水道管路100に挿入しているときに、テーブル33が回転せずに管路更生用ライナー1が空回りして引っ張られるような現象を防止できる。つまり、テーブル33の回転を利用して、比較的小さな力で管路更生用ライナー1を引っ張り出すことができる。
【0050】
そして、円状に巻き取った管路更生用ライナー1をターンテーブル31の上に載置する載置工程により、ターンテーブル31の上に管路更生用ライナー1が載置された状態を示すのが図6(a)である。図6に示すように、ターンテーブル31の上方からターンテーブル31に向かって垂直下向きに円状に巻き取った管路更生用ライナー1を載置するので、例えば、一般的な垂直方向に回転自在なリールなどに巻き取った管路更生用ライナー1を吊り上げて、そして水平方向に横移動させて架台などにセットする場合に比べて作業が容易である。
【0051】
図6(b)は、ターンテーブル31の上に載置された管路更生用ライナー1を箱状体3(ライニング材料加熱装置)で覆った状態を示す概略図である。図6(b)に示すように、箱状体3には、例えばボイラ(不図示)等から水蒸気を箱状体3内に導入するためのホース36の接続口38が設けられ、また、管路更生用ライナー1を引っ張り出すためのライナー取出口37が設けられている。箱状体3は、例えば金属製薄板からなる箱体である。
【0052】
ターンテーブル31の上に載置された流体給排気用継手20が取り付けられた管路更生用ライナー1(図6(a))を箱状体3で覆い、箱状体3に接続されたホース36を介して、例えば水蒸気を箱状体3内に導入し、箱状体3の内部を加熱する加熱工程が行われる。この加熱工程により、管路更生用ライナー1は、約100℃で加熱され柔軟性が付与される。尚、本実施形態における管路更生用ライナー1は、約80℃〜約100℃に加熱されれば柔軟性を持つため、加熱する温度は、約100℃に限られない。また、この箱状体3は、地上部に設置される(図7参照)。
【0053】
円状に巻き取られた管路更生用ライナー1が内部に配置された箱状体3の内部を加熱することにより、簡易にかつ熱効率よく管路更生用ライナー1を加熱することができる。
【0054】
次に、図7は、本発明に係る管路更生工法におけるライナー挿入工程の一実施形態を示す概略図である。図7に示すように、管路更生用ライナー1の長手方向に直交する断面の断面積を当該断面が円形状の場合よりも縮小させた断面形状(不図示)で加熱された管路更生用ライナー1を下水道管路100に挿入するライナー挿入工程が行われる。長手方向に直交する断面の断面積を当該断面が円形状の場合よりも縮小させた断面形状とは、例えば上記長手方向に直交する断面形状が、扁平、V字状、又はU字状の形状であることであり、これにより、管路更生用ライナー1を容易に下水道管路100に挿入することができる。
【0055】
ライナー挿入工程では、まず、管路更生用ライナー1の端部付近を、他のマンホール104上に設置したウィンチ5から下水道管路100の内部を通って上部に管路更生用ライナー1を収容した箱状体3が位置するマンホール104の上方まで伸ばされたワイヤロープ6の一端に連結する。
【0056】
そして、ライニング材料予備加熱装置4を通して管路更生用ライナー1を加熱(予備加熱)しながら、マンホール104を介して下水道管路100に管路更生用ライナー1を挿入していく。ここで、ライニング材料予備加熱装置4とは、図7に示すように筒状体の加熱装置であり、例えば内部にボイラ(不図示)等から水蒸気が供給されるように形成されたり、筒状体を電気ヒータで加熱できるように形成されたりしているものである。
【0057】
管路更生用ライナー1を加熱(予備加熱)しながら下水道管路100に挿入していくことにより、加熱されて柔軟性が付与された管路更生用ライナー1は、挿入過程で大気により冷やされることで、柔軟性が損なわれることを効果的に防止される。これにより、下水道管路100への管路更生用ライナー1の引き込みを、管路更生用ライナー1を損傷させることなくより確実に行うことができる。
【0058】
マンホール104の底部まで管路更生用ライナー1が引き込まれると、次に、管路更生用ライナー1をマンホール104と下水道管路100との接続部の角部等に設置された回転自在のガイド7に沿わせながら、ウィンチ5でワイヤロープ6を巻き取っていくことにより、下水道管路100内に引き込んでいく。
【0059】
ここで、管路更生用ライナー1は、後述する加熱加圧工程前の外径(筒状として)が下水道管路100の内径よりも5%以上小さいことが好ましい。これにより、長手方向に直交する断面の断面積を筒状体の場合よりも縮小させることと合わせて、管路更生用ライナー1を下水道管路100に挿入し易く、下水道管路100に段差、管折れが生じていても管路更生用ライナー1を下水道管路100に挿入し易くなる。
【0060】
次に、図8は、本発明に係る管路更生工法における加熱加圧工程および冷却工程の一実施形態を示す概略図である。
【0061】
図8に示すように、ライニング対象のマンホール104間の下水道管路100全長にわたって管路更生用ライナー1を挿入したのち、加熱加圧工程では、まず、管路更生用ライナー1の一端とマンホール104上の加熱加圧手段(8、9、10)とをホース21を介して雄または雌の着脱自在な流体給排気用継手20を用いて連結する。また、管路更生用ライナー1の他端と他のマンホール104上の消音消煙装置11とをホース21を介して流体給排気用継手20を用いて連結する。ここで、加熱加圧手段(8、9、10)は、例えば、ボイラ8、空気圧縮機9、ならびに蒸気、空気、および水を混合できる混合装置10から構成されるものである。
【0062】
そして、下水道管路100に挿入された管路更生用ライナー1の内側から管路更生用ライナー1を上記加熱加圧手段(8、9、10)から供給される加圧水蒸気により加熱および加圧する加熱加圧工程が行われる。
【0063】
この加熱加圧工程では、空気圧縮機9とボイラ8とが接続された混合装置10から加熱加圧流体である加圧水蒸気を管路更生用ライナー1に供給することにより、長手方向に直交する断面の断面積を筒状体の場合よりも縮小させられた管路更生用ライナー1は筒状に膨らみ、下水道管路100の内面に密着する。尚、管路更生用ライナー1は、0.05〜0.1MPaの水蒸気を用いて拡張させることで拡張前の外径から10〜20%拡張可能であることが好ましい。
【0064】
次に、加圧水蒸気で加熱および加圧されることにより径膨張した管路更生用ライナー1の内側から、加圧状態を保ったまま管路更生用ライナー1を冷却する冷却工程が行われる。
【0065】
この冷却工程では、混合装置10に接続されたボイラ8の運転を停止し、混合装置10に接続された空気圧縮機9から空気を管路更生用ライナー1に供給して加圧状態を保ったまま管路更生用ライナー1を冷却する。この際、空気のみでは熱エネルギー(熱カロリー)が低いので、水を加えると管路更生用ライナー1の冷却が速くできる。尚、水を加える場合でも、空気で加圧することはやめるべきではない。いきなり水だけで加圧状態を保ったまま冷却しようとすると、ウォーターハンマーが生じる場合があるので、空気から水へ徐々に切り替えるようにする。
【0066】
以上、本発明に係る管路更生工法の第1実施形態について説明した。両端部にあらかじめ雄または雌の着脱自在な流体給排気用継手20が取り付けられた管路更生用ライナー1が、補強対象である下水道管路100に挿入され、そして、下水道管路100に挿入された管路更生用ライナー1と管路更生用ライナー1の加熱加圧手段(8、9、10)とが、下水道管路100内で上記流体給排気用継手20を用いて(流体給排気用継手20をライナーに取り付ける継手取付作業を下水道管路100内で必要とせず)、簡単に、かつ短時間に連結される。これにより、下水道管路100の管路更生用ライナー1による補強(ライニング)を短時間に行うことが可能となる。尚、管路更生用ライナー1と加熱加圧手段(8、9、10)との連結を流体給排気用継手20を用いてマンホール104上(既設管路の外)で行ったとしても、着脱自在な流体給排気用継手20を用いるので、ライナーと加熱加圧手段との連結作業を従来よりも短時間に実施できる。
【0067】
また、下水道管路100の補強(ライニング)を短時間に行うことが可能となることにより、1日当たりの施工量を大幅に増やすことができる。また、雄または雌の着脱自在な流体給排気用継手20を用いるので、少しの訓練で誰でも作業できる。さらに、本管路更生工法は、例えば加圧水蒸気という比較的高温高圧の流体を使用する工法であるが、上記流体給排気用継手20を用いた簡単な現場作業で管路更生用ライナー1と加熱加圧手段(8、9、10)とを連結できるため、継手金具の取付不良等の作業員のミスを大幅に防止できる。
【0068】
尚、老朽化した下水道管路100の更生は、通常、午前9時から午後5時までの8時間以内で施工するが、都市部では、交通渋滞などの影響から昼間の施工が難しい場合が多々ある。また、下水道のような排水管の更生では各家庭からの排水を規制することが容易でないので、排水量が少なくなる夜間での施工(例えば、夜11時頃から朝5時頃までの6時間以内での施工など)が望まれる。よって、このような厳しい制約条件のもとでは、本発明の管路更生工法が非常に有益である。また、下水道管路100のようにマンホール104などがある管路は施工距離を事前に確定できるので、下水道管路100に挿入する前にあらかじめ両端部に上記流体給排気用継手20を取り付けた管路更生用ライナー1を用いることができるのである。
【0069】
(管路更生工法の第2実施形態)
図9は、本発明に係る管路更生工法の第2実施形態を示す概略図である。尚、本実施形態の説明においては、前記の第1実施形態と同様の各形態については、その説明を省略する。
【0070】
図9に示すように、本実施形態に係る前記ライナー挿入工程においては、2つの加熱された管路更生用ライナー(1a、1b)を複数のマンホール(104a、104b、104c)のいずれかから下水道管路100に挿入する。そして、加熱加圧工程において、下水道管路100内で管路更生用ライナー(1a、1b)を着脱自在な流体給排気用継手20で連結し、2つの加熱された管路更生用ライナー(1a、1b)に対して、同時に前記加熱加圧工程を実施し、かつ、その後同時に前記冷却工程を実施することにより、連続する3つのマンホール間の下水道管路100を同時にライニングする。
【0071】
ここで、本実施形態では、管路更生用ライナー1aの一端とマンホール104a上の加熱加圧手段(8、9、10)とをホース21を介して流体給排気用継手20aを用いて連結し、管路更生用ライナー1aの他端と管路更生用ライナー1bの一端とを(管路更生用ライナー(1a、1b)同士を)流体給排気用継手(20a、20b)を用いて連結している。さらに、管路更生用ライナー1bの他端と他のマンホール104c上の消音消煙装置11とをホース21を介して流体給排気用継手20bを用いて連結している。
【0072】
これにより、作業性の悪い下水道管路100内で、複数の管路更生用ライナー1を上記流体給排気用継手20を用いて簡単に、かつ短時間に連結することができる。また、本管路更生工法は、例えば加圧水蒸気という比較的高温高圧の流体を使用する工法であるが、上記流体給排気用継手20を用いた簡単な現場作業で複数の管路更生用ライナー同士を連結できるため、継手金具の取付不良等の作業員のミスを大幅に防止できる。
【0073】
次に、第2実施形態の変形例について説明する。図10は、図9に示す第2実施形態の一変形例を示す概略図である。尚、上記の第2実施形態と同様の各形態については、その説明を省略する。
【0074】
図10に示すように、本変形例の特徴は、上記第2実施形態においては、2つの管路更生用ライナー(1a、1b)同士を流体給排気用継手(20a、20b)を用いて連結しているが、本変形例においては、2つの管路更生用ライナー(1a、1b)の一端を流体給排気用継手(20a、20b)を用いてホース21を介しそれぞれマンホール104b上の1つの加熱加圧手段(8、9、10)と連結し、2つの管路更生用ライナー(1a、1b)の他端を流体給排気用継手(20a、20b)を用いてホース21を介しそれぞれ他のマンホール(104a、104c)上の消音消煙装置11と連結している。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
【0076】
例えば、上記第2実施形態においては、2つの加熱された管路更生用ライナー(1a、1b)を用いて3つのマンホール(104a、104b、104c)間の下水道管路100を同時にライニングしているが、3つ以上の管路更生用ライナーを用いて、4つ以上のマンホール104間の下水道管路100を同時にライニングしてもよい。
【0077】
また、一般に、下水道管路100には、一般に、住宅や道路の側溝などに接続されている汚水桝や雨水桝から延びる管である取付管、水道管においては配水管から分岐する給水管など、メインとなる管(本管)から分岐する分岐管が存在する。このような既設の分岐管に対しても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 管路更生用ライナー
3 箱状体(ライニング材料加熱装置)
4 ライニング材料予備加熱装置
11 筒状織布
12 経糸
13 緯糸
14 内面硬質熱可塑性樹脂層
15 外面硬質熱可塑性樹脂層
16 番線(締結用線状体)
17 間詰め材
18 短管
19 雄または雌の継手用部材
20 流体給排気用継手
31 ターンテーブル
100 下水道管路(既設管路)
104 マンホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管路の内面をライニングすることにより既設管路を補強する管路更生工法で用いられる管路更生用のライナーであって、
硬質熱可塑性樹脂層が形成された筒状織布からなるライナー部と、
前記ライナー部の両端部のうちの少なくともいずれか一方に取り付けられる着脱自在な流体給排気用継手と、
を備え、
前記流体給排気用継手は、
前記ライナー部の長手方向端部に挿入される短管と、
前記ライナー部の長手方向端部と前記短管との間を埋めてシールするための間詰め材と、
前記ライナー部の長手方向端部に挿入された前記短管および前記間詰め材と前記ライナー部とを締結する締結部材と、
を有し、
前記間詰め材は、断面視において、端部が円弧状に、且つ当該端部から離れるにつれて細くなる形状に形成されており、
V字状、またはU字状に変形させた前記ライナー部の長手方向端部のライナー耳部に、前記間詰め材の円弧状に形成された端部が位置するように、前記間詰め材が前記ライナー部に挿入されることを特徴とする、管路更生用ライナー。
【請求項2】
既設管路の内面をライニングすることにより既設管路を補強する管路更生工法で用いられる管路更生用のライナーであって、
硬質熱可塑性樹脂層が形成された筒状織布からなるライナー部と、
前記ライナー部の両端部のうちの少なくともいずれか一方に取り付けられる着脱自在な流体給排気用継手と、
を備え、
前記流体給排気用継手は、
前記ライナー部の長手方向端部に挿入される短管と、
前記ライナー部の長手方向端部と前記短管との間を埋めてシールするための間詰め材と、
前記ライナー部の長手方向端部に挿入された前記短管および前記間詰め材と前記ライナー部とを締結する締結部材と、
を有し、
前記間詰め材は、断面視において、両端部が円弧状に、且つ中央部が両端部よりも薄い形状に形成されており、
V字状、またはU字状に変形させた前記ライナー部の長手方向両端部のライナー耳部に、前記間詰め材の円弧状に形成された両端部が位置するように、前記間詰め材が前記ライナー部に挿入されることを特徴とする、管路更生用ライナー。
【請求項3】
前記流体給排気用継手は、断面が半円状または円状のシール補助部材をさらに有し、
V字状、またはU字状に変形させた前記ライナー部の長手方向端部の内側に、前記シール補助部材が挟み込まれることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の管路更生用ライナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−61865(P2012−61865A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−274195(P2011−274195)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【分割の表示】特願2007−111174(P2007−111174)の分割
【原出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【出願人】(392008884)芦森エンジニアリング株式会社 (36)
【Fターム(参考)】