説明

箸ホルダー

【課題】 箸の上部に箸ホルダーを取り付ける先願の箸ホルダー(特開2009−254806号公報参照)において、極度に手に障害のある方や箸を握るように使う幼児や外国人が使った時に、箸を押え付ける弾性体以上の捩じり力を箸に加えた場合には、箸先が揃わなくなり、食物が摘めない等の課題があった。
【解決手段】 箸ホルダー1の2本の箸10の上部を弾性体や輪ゴム6の力で平板状の2枚の板2、3の間に挟み、しかも、箸10と2枚の板2、3の間に発生する隙間の増大を制限する隙間制限機構を具備する構成とすることにより、箸10を装着した状態では箸の補助具となり、従来より精度良く箸先が揃い合わさる箸ホルダーとすることで解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の箸を使うことが困難な人用に、箸が使えるようにする目的の箸をセットして使う箸ホルダーに関するもので、特に手や指に障害のある方にも有効な自助具で、指先の動きが悪くなった方や利き手の骨折などで箸が急に使えなくなった方が利き手でない方の手でも普通に箸で食事ができ、また、箸を上手に使えない幼児や外国人などでも箸が使いやすくなる箸の補助用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、通常の箸では使うことが困難な人用に専用箸として箸の上部で連結して可動するヒンジ部と摺動部を有する特殊箸では自助具として市販されているものがある(例えば、特許文献1を参照)が、先願の特開2009−254806号公報に開示された箸ホルダーは、箸の太さの大きく異なる割り箸でも関係なく使用でき、また、一般の市販の箸でも使用できる補助具として開示し、実用上では充分に機能するが、指先の障害で箸を握る力加減の調整が難しくなった障害者や箸の使い方が分からない人には、箸の上部で連結した一部の特殊箸や、先願の該箸ホルダーに箸を装着した状態においては、箸を2枚の平らな板の間に弾性体の挟む力で常時は押し付けているが、手の握り方で次のような握り方をした場合、人差し指から小指の4本の指の付け根近傍で該箸ホルダーにセットされた片方の箸を握り下向きの捩じり力が働き、他方の箸を親指の付け根の内側で握る使い方で他方の箸には上向きの捩じり力が働き、例えば図13に示す如く、先願の箸ホルダーに装着した箸には上下に捻り力が加わり、該箸ホルダーでは弾性体が伸び、箸と2枚の板との間に隙間が発生し、箸が平行に回動せず箸先が揃わなくなることが発生する恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−254806号公報(特許請求の範囲の欄、発明の詳細な説明の欄、及び図1〜図26を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、先願の特開2009−254806号公報に開示された箸ホルダーにおいても箸先が揃わないことが発生し、箸を人差し指から小指の4本の指と親指の付け根の間接の手のひらで捩る握り方をした場合には、2本の各箸には下向きと上向きの捩じり力が働き、箸と箸ホルダーの2枚の板の平らな面の間では弾性体が引き伸ばされて隙間が発生し、該2枚の板の平らな面と箸との間に隙間が増大し、箸が平行を保てず箸先が揃わなくなって箸先に摘んだ食物を落とすことがあった。そのために、重度の障害者や幼児や外国人などで箸の握り方を知らない人には、その対策として箸と2枚の板の平らな面との間の隙間の発生量を制限する隙間制限機構付の箸ホルダーで箸が常に平行面内で滑動する箸ホルダーが必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、先願の箸ホルダーにセットする箸は支点ストッパーの箸当り面に当り回動する箸ホルダーにおいて、上記課題を解決するための本発明の第1の発明は、請求項1に記載された通り一般に市販されていて通常の割り箸などでもセットして使用できる箸ホルダーであり、次のようなものである。
2本の箸の上部近傍を少なくとも片面が平らな面を有する板の平らな面で挟む2枚の板と、該板に別体または一体に形成し該板の箸先側の端部近傍の中央部付近で該箸の上部の近傍が2本の箸の内側で当たり所要幅を保つ間隔保持部材で該箸が支点となって回動する支点ストッパーと、該2枚の板を介して2本の箸を2枚の板の平らな面で挟み、同時に2本の箸を支点ストッパーに2本の箸の上部において内向きに押し付ける1個または複数の弾性体で構成した箸ホルダーにおける2枚の板の平らな面で該箸を挟む2枚の板と箸の摺動面の隙間は、通常時にはゼロであるが、弾性体が2枚の板を介して箸を締め付け押し付ける力以上に手の捩り力が大きい時に該2枚の板と箸の間に隙間が発生し増大することを防止する目的で該隙間を箸が滑動できる程度の僅かな隙間に制限する隙間制限機構を2枚の板の何れか一方または双方の板に1個または複数個を具備し、他方の板の外側から2枚の板と挟まれた箸との間の隙間の発生量を箸の太さに合わせて調整し制限できるねじ等の調整部を具備し、一例として隙間制限機構が1個の場合には、片方の板の中央部近傍に雌ねじ孔を形成し、他方の板の中央部近傍の雌ねじ孔に対応する位置において、雄ねじを貫通できる孔を形成し、該孔を通して雌ねじ孔に雄ねじを挿入し、雄ねじの頭と他方の板の表面で箸と2枚の板の平らな面の間に発生する隙間を該ねじで締め付ける方法で箸の太さに合わせて隙間を調整し、該箸が滑動できる程度の僅かな隙間に制限できる該隙間制限機構を具備する構成とした箸ホルダーとするものである。
【0006】
なお、該2枚の板の隙間を制限する隙間制限機構については、箸の太さが変わってもねじやテーパーなどの機構を使用することで隙間を任意に調整できる利点があるが、箸の太さが常に一定の専用箸を使用する場合には、ねじによる調整機構を持たない一定隙間制限機構、例えば、C型の挟み金具等を具備する箸ホルダーとすることも可能であり、本発明の請求の範囲内であることは言うまでもない。ねじに代わるテーパー状の隙間制限機構でも太さの異なる箸に同様に使えることは、言うまでもない。また、該C型の挟み金具等は、より強い弾性体で構成しても良いことは言うまでもない。
また、一方の板に雌ねじ孔の代わりに雄ねじの貫通する孔を形成し、他方の板にも相対する位置において雄ねじの貫通する孔を形成し、それらの貫通する孔にねじ頭付の雄ねじを通し雄ねじに装着したナット等によって該2枚の板の隙間を制限する隙間制限機構としても同様の隙間制限機構とすることができることは、本発明の請求の範囲内であることは言うまでもない。
また、本願の図面では弾性体は輪ゴム状の弾性体を用いて説明しているが、隙間制限機構が付帯した箸ホルダーであれば、輪ゴム状の弾性体を使わずに先願の特開2009−254806号公報の図1〜図3に図示した弾性体のC型バネの如く、箸を直接に挟み込む弾性体を使用することにより本願の図示と同様に箸ホルダーが出来ることは言うまでもない。(隙間制限機構とC型バネの組み合わせで箸ホルダーが機能する事)
更に、本願において図示したものは、従来の特開2009−254806号公報の箸ホルダーの一部の実施例を活用して説明したが、従来の他の形式の箸ホルダーにおいても同様に隙間制限機構を具備することができることは、言うまでもない。
ねじやナットやC型の挟み金具等の材質は、金属や合成樹脂などを使うことが出来ることは言うまでもなく材質や形状を問わない。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る箸ホルダーは、上記説明のような構成を有するので、以下に記載する効果を奏する。
(1)本発明の箸ホルダーの構成によって弾性体の伸縮力と隙間制限機構によって、不自由な手で箸を握っても箸先は一定の方向に挟み込まれて動き、箸先も揃うため小さな物でも摘み易くなる効果がある。
(2)本発明の箸ホルダーは、先願の箸ホルダー(特開2009−254806号公報参照)と同様に箸の装着方向によって箸の中間部を摘むと箸先が閉じる通常の使い方と箸の上部を摘むと箸先が開き緩めると箸先が閉じる逆方向の働きの使い方ができ、リバーシブルに使える特徴がある。
(3)摺動部は常に隙間がゼロで一定の力で箸の上部を挟む構造であり箸ホルダー内で挟まれた箸の上部の間に塵や食物などが入っても箸に擦られて平板部の塵を取り除く働きがあり、動きが悪くなることは無い。
(4)先願の箸ホルダーでは、手の動きの障害が重い方には、弾性体の例えば輪ゴムなどでは、巻き付け回数を減らし箸の広がり方向の力を弱めて握りやすくし、また、手の握り方で捩るように箸を握られても箸への捩じり力が弾性体の力をより上回って箸と2枚の板の平らな面の間に隙間ができ箸先が揃わなくなることがあるが、本発明の隙間制限機構を具備する箸ホルダーには、2枚の板の両側から箸と平らな面との間の隙間の増大が発生するのを防止する隙間制限機構によって高度に障害を持った方用に弾性体の強さの調整が更に弱められ、障害者自らが箸で食事ができる効果がある。
(5)一般に市販されている細い割り箸や日頃使い慣れている太い箸などにも本発明の箸ホルダーを使って組み合わせて使うことができる。しかし、箸先を合わせたり曲がりを調整する動作は必要である。また、健常者と一緒に外出した場合、本発明の箸ホルダーのみを携帯しての外食も一般の割り箸でも食事ができ、旅行時にも嵩張らないで持参できる効果がある。
(6)本発明の箸ホルダーは、分解した時の部品の数は最小が4個であり、構造が簡単な形状で、板を合成樹脂などの射出成形などで安価に製作でき、弾性体については、一般市販された輪ゴムなどでも良く、それを何回か巻きつければよく、安価にホルダーを作れる。また、部品点数では、上板からネジが外れないようにするCワッシャーを加えることが出来、その場合、最小5個の構成部品数である。
(7)本発明の箸ホルダーは、分解が容易で、清潔に洗いやすいものである。また、弾性体は、一般に市販されている輪ゴムなどで良く、汚れれば容易に交換できる。また、劣化しても交換しやすく、メンテナンス費用も殆んど要しない。
(8)手の機能障害が進む人には、弾性体の輪ゴムなどの巻きつける回数を少なくして箸を握る時の力を調整できるため、必要握力を弱くも強くも調整できるので本発明の箸ホルダーは、1個だけで幅広く対応できる。また、本発明の箸ホルダーでは、隙間制限機構を働かせて重度の機能障害者等にも箸をピンセットのように使うことができる。
(9)箸を使ったことの無い外国人や箸を上手に使えない子供達にも本発明の箸ホルダーでは、上手に箸を使うことができ、箸の使い方の訓練用にも使える。また、上板や下板の表面にキャラクターやラベルなどを貼り付けることや一体に形成して可愛くもできる。
(10)箸ホルダーの平板部に手を怪我した人達がかかる病院名を表示したラベルなどを貼って宣伝することも可能で、安価に出来るのでこれらの人が容易に病院からも購入し活用できるなど効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施例の箸と(隙間制限機構付の)箸ホルダーのセットを示す正面図である。(隙間制限機構付の箸ホルダーに箸をセットした状態の正面図である。)
【図2】図1の右側面図である。
【図3】図1における下板の正面図で拡大図である。
【図4】図3の右側面図で拡大図である。
【図5】図1における上板の正面図で拡大図である。
【図6】図5の縦方向の中心線上の断面図で拡大図である。
【図7】本発明の第1の実施例の(隙間制限機構付の)箸ホルダーに使用するネジの正面図で拡大図である。
【図8】図7の底面図である。
【図9】本発明の第1の実施例の箸ホルダーに使用する弾性体(輪ゴム)の正面図で拡大図である。
【図10】図9の底面図である。
【図11】図7のネジ首部に挿着するCワッシャーの正面図で拡大図である。
【図12】図11の底面図である。
【図13】先願の箸ホルダーに箸をセットし、手前の箸には上向きの捩じり力を加え、他方の箸には、下向きの捩じり力が加わった時の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
2本の箸の上部近傍を少なくとも片面が平らな面を有する板の平らな面で挟む2枚の板と、該板に別体または一体に形成し該板の箸先側の端部近傍の中央部付近で該箸の上部の近傍が2本の箸の内側で当たり所要幅を保つ支点ストッパーと、該2枚の板を介して2本の箸を2枚の板の平らな面で挟み、更に2本の箸を支点ストッパーに2本の箸の上部を内向きに押し付ける弾性体で構成した先願の箸ホルダー(特開2009−254806号公報参照)において2枚の板の平らな面で該箸を挟む2枚の板と箸の摺動面の隙間が、弾性体の抗力以上に手による捩り力が大きい時に発生する該2枚の板の平らな面と箸との間の隙間の増大を箸が滑動できる程度の僅かな隙間に制限する隙間制限機構を片方の板の中央部近傍にねじ孔を形成し、他方の板の中央部近傍のねじ孔に対応する位置において、ねじを貫通でできる孔を形成し、該孔を通してねじ孔にねじを挿入し、ねじ頭と他方の板の表面で箸と2枚の板の平らな面の間の隙間を箸の太さに合わせて箸が滑動できる程度の隙間に調整し制限できる隙間制限機構を構成した箸ホルダーとするのが良い。
【0010】
なお、箸や箸ホルダーに使用する材料は、合成樹脂や、アルミニューム等の金属材料の外、材木や竹材や陶器などで作ることも可能で、また、それらを組み合わせて作ることが可能であることは、言うまでもない。
また、1個または複数個の隙間制限機構の構造についてもネジとナットやワッシャーなどの組み合わせや、2枚の板の下側の板の両端面部において一体にC型やコの字状のフレームを取付け、上のフレームからネジ等によって上側の板を押さえる方法の隙間制限機構を付けることも可能で、夫々の専用の箸の太さに合わせた固定型の隙間制限機構や装着する箸の異なる太さに応じ僅かな隙間に調整できるテーパー式やネジ式のものなどでもできることについては本発明の範囲内であることは、言うまでもない。
弾性体については、一般に市販されている輪ゴムや合成ゴム製品の他に金属バネの組み合わせで作ることも可能であることは、先願の箸ホルダー(特開2009−254806号公報参照)と同様に言うまでもない。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の一実施例を添付の図面で詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施例の箸ホルダー1において箸10(仮想線)を装着した状態の正面図である。正面図に示す箸の方向の中心線上において略対称に、上板2に2ヶ所の溝7を形成し、また、下板3に支点ストッパー8を端部近傍において点線部に示す位置で一体に形成し、同様に下板3にも2ヶ所の溝7を形成し、溝7の深さは、箸10の上部が弾性体(輪ゴム)6の収縮で押されて下板3の支点ストッパー8とストッパー12に押し付けられる深さに形成し、箸10を上板2と下板3の間に挟み、上板2と下板3に形成した該溝7に弾性体(輪ゴム)6を引き伸ばして嵌め、上板2と下板3の略中央部の1箇所に隙間制限機構を具備し、実際に装着した箸10(仮想線)の太さに合わせて箸と上板2の平らな面4及び下板3の平らな面5の間の隙間33(図13参照)を箸が滑動できる程度の隙間33に調整した状態を示す使用状態の一例の箸ホルダー1の組立正面図である。仮想線で表示した箸10については、本発明に特定する物ではない。
なお、下板3に一体に形成したストッパー12は、箸10の開き角度を制限するもので、円筒形で図示したが形状については、断面が4角形や楕円形など形状に拘らない。
なお、支点ストッパー8の両端、すなわち箸10に接する部分を支点部9として両箸10の先端、すなわち箸先15を近づけたり、離したりできるようになっている。
また、下板3のストッパー12の中心部に孔14を形成し、その孔14に対応する上板2の位置に孔13を形成し、箸ホルダー1を吊り下げるための孔を形成した図面を例示したが、孔は、無くても有っても良いことは言うまでもない。孔を明けたほうが下板3を合成樹脂の射出成形で作る際に表面に発生する退けが生じ難く、孔を利用して箸と箸ホルダーをセットした状態で吊るしておくのに利用できる効果がある。
【0012】
図2は、図1の右側面図である。下板3にも弾性体(輪ゴム)6の嵌まり込む溝7は、対を成すように形成し、下板3の平らな面5に沿って箸10の上部が弾性体6の収縮力で上板2を介して挟まれた状態を示す箸10と箸ホルダー1を組み合わせた状態の組立図で、右側面図である。一定平面をなす上板2の平らな面4と下板3の平らな面5に挟まって箸10の箸先15が一定面内で動き合わさることを示す。1箇所の隙間制限機構は、上板2の略中央部にネジ22によって箸の太さに合わせて平らな面4及び5と箸10との間の隙間調整を行って箸が滑動できる程度に調整された状態を示す。
また、本図に示す箸10は、曲りや反りのない箸を図示したが2本の箸10の曲りや反りの方向が上板2側や下板3側に同じ方向に発生している場合にも同様に本発明の箸と箸ホルダー1を組み合わせて使えることは言うまでもない。
背面図は、図1と線対称で略同じ図面となるので省略する。
左側面図は、図2と線対称で略同じ図面となるので省略する。
上面図と正面図は、図1〜図2により判断できるので省略する。
【0013】
図3は、図1及び図2に示した箸ホルダー1の下板3の正面図で、その拡大図である。下板3の一方の端部近傍において支点ストッパー8を一体に形成し、支点ストッパー8の高さは、箸10の上部の太さ寸法より若干大きい寸法で形成した一例を表示した。支点ストッパー8の高さは、一般に市販されている割箸の上部の太さ寸法が4ミリ程度あるために、上板2に相対する位置において支点ストッパー用穴16の凹みを開けて対応する高さとなり、その高さは(4ミリ+支点ストッパー用穴16の深さ)より若干少ない寸法で設計するのが好ましい。また、支点ストッパー8は、下板3の他の端部近傍に中心線上に一体に形成した一例を図示した。弾性体(輪ゴム)6が嵌る溝7を左右対称に形成し、溝7の深さは、箸10の上部が平らな面の内側で支点ストッパー8とストッパー12に弾性体(輪ゴム)6の押し付け力で引き寄せられる程度の深さ寸法に設計するのが良い。押し当てられるストッパー12の高さも支点ストッパー8と同様にして決めるのが良い。下板3の平らな面5の略中央部において1箇所の隙間制限機構用のネジ受け23を形成し、その中心部に雌ネジ24を箸の太さ寸法より若干低い立ち上がり寸法で形成した状態を示す正面図である。また、箸10を挟む上板2と下板3の外側の表面は平面状でなく凹凸を持ったデザインを付けてもよく、更に、ラベルや印刷などで装飾することも出来ることは言うまでもない。
【0014】
図4は、図3に示した下板3の右側面図で平らな面5より垂直方向に支点ストッパー8とストッパー12を前記の設計寸法で高さを決めて形成する。
また、支点ストッパー8の支点部9は平らな面5に対して垂直面であるのが好ましいが、若干の抜き勾配が発生することもあることは言うまでもない。
上板2に形成した夫々の穴に夫々のストッパーの上部を組み合わせると弾性体の輪ゴムを嵌め込み易くなる効果がある。
しかし、ストッパー12の高さは、上板2の平らな面4と下板3の平らな面5の間の最小寸法を一般的な割り箸より若干少ない寸法として設計した場合には、上板2に形成するストッパー用穴16を省略して形成しないことも可能である。この場合のストッパー12は、箸10の上部が当り、箸10の開き角度を一定化するための働きと箸10の装着時に上板2の平らな面4と下板3の平らな面5の間の隙間を広げやすくする働きがあり、箸ホルダー1の機能には問題なく使用できることは、言うまでもない。
図3の底面図と上面図は上記の説明により省略する。
【0015】
図5は、図1及び図2に示した箸ホルダー1の上板2の正面図で、その拡大図である。下板3の弾性体(輪ゴム)6が嵌る左右の溝7に対応する位置において上板2に溝7を形成し、また、下板3の支点ストッパー8とストッパー12に対応する位置において、夫々が嵌まり込み滑動する支点ストッパー用穴17とストッパー用穴16を形成し、穴の深さは、上板2と下板3を組み合わせた際に、内側になる上板2の平らな面4と下板3の平らな面5との間の隙間が箸の太さより若干少ない寸法になるように設計された穴を鎖線で表示した。また、溝7の幅で弾性体(輪ゴム)6が嵌まり込むゴム溝18を上板2の外側の面に形成した一例を示す。ゴム溝18と穴13は、必要構成要素ではなく無くても良いことは言うまでもない。
下板3の雌ネジ24に対応する位置においてネジ22の雄ネジ部27が貫通できる孔20とネジ頭部25の下面が当るネジ頭当り部21を形成した状態を示す。
【0016】
図6は、図5に示す上板2の中心線上の断面図で拡大図である。
上板2の平らな面4に垂直にストッパー用穴16と支点ストッパー用穴17を形成するが下板3に形成したストッパー12と支点ストッパー8とが夫々の穴に嵌まり込んで滑動できる若干の隙間を持たせた穴寸法で設計し形成する。
隙間制限機構用のネジが貫通する孔20とネジ頭当り部21の一例として蒲鉾型の形状で図示をした。但し、ネジ頭当り部21は、蒲鉾状の形状に拘ることなく直線状の形状の物や部分球面形のもので有っても良いことは言うまでもない。また、孔13は、ストッパー12の中心部に空けられた孔14と同じ径にするのが良いが、異なっていても問題はない。
ゴム溝18は、溝7の間に上板2の表面側に凹まして形成した例を示したが、ゴム溝無しでも箸ホルダーの機能上では、問題ないことは、言うまでもない。
ゴム溝があれば、弾性体(輪ゴム)6の一部が上板2の表面より出なくなりネジ頭部25と上板2の間に弾性体(輪ゴム)6が挟まって隙間制限機構の働きを悪くすることがなく、また、外観上良くなることが期待できる。
図5の上板2の底面図と上面図は、省略する。
【0017】
図1と図2に示した隙間制限機構については、箸ホルダー1の部品図を図3に下板3の正面図、図4に図3の下板3の側面図、図5に上板2の正面図、図6に図5の上板2の右側面図、図7にネジ22の正面図、図8に図7のネジ22の底面図、図9に弾性体(輪ゴム)6の正面図、及び、図10に図9の弾性体(輪ゴム)6の底面図を用いて説明する。
隙間制限機構の一例は、箸10を上板2と下板3の平らな面の間4、5に弾性体(輪ゴム)6によって挟んだ状態で、図3及び図4に示した下板3に一体に形成したネジ受け23の中央部に雌ネジ24を形成し、図5及び図6に示した上板2の孔20を貫通したネジ22によって上板2に形成したネジ頭当り部21にネジ22のネジ頭部25の下側が軽く接触する程度に雄ネジ部27を該下板3に形成した雌ネジ24に螺合させ、上板2の平らな面4及び下板3の平らな面5と箸10との間に発生する隙間を制限した状態の一例を示す。
なお、該上板2に形成するネジ頭当り部21やネジ22の形状材質については、特に規定するものではなく、また、他の形状材質に変更してよいことは、言うまでもない。
また、図1及び図2に示した隙間制限機構は、箸ホルダーの略中央部に形成したものを図示したが、上板2と下板3の上下の端部近傍に2個の隙間制限機構を形成することも可能であることは言うまでもない。これらの図示は、省略する。
隙間制限機構の詳細は、ネジ22のネジ頭部25を右方向に強くねじ込むと上板2が箸10を上板2の平らな面4と下板3の平らな面5の間に挟み箸10が滑動できなくなるため、箸10が滑動できる程度にねじ22を緩めて箸10と平らな面4、5と箸との間に出来る隙間を制限する機構で、箸10の太さが箸先に向かって細くなっている物に対応できるように図5及び図6に示す上板2に形成するネジ頭当り部21は、箸10の装着方向に垂直方向にネジ22が通る孔20を中心に蒲鉾型の例えば円弧状の形状で形成し、ネジ頭部25の下面に接するように一体に形成するのが良い。なお、ネジ頭当り部21の形状や形成方法を規定するものでなく、また、その形状は、円弧状に拘らず直線状のリブなどでも上板2の箸先の細くなった箸による少しの傾斜角度を吸収できる形状であれば如何を問わず、隙間制限機構を構成できる形状のものなら良いことは、言うまでもない。
また、弾性体のゴム溝18については、図5の説明に無くても良いことは記したが、無い場合には、ネジ22のネジ頭部25の下側で弾性体の輪ゴムが上板2との間に挟まれて隙間制限機構の働きを悪くする可能性があり、ネジ頭当り部21の高さが低い場合には必要であるが、図6に示すネジ当り部21の高さを充分に高くして、図9及び図10に図示した弾性体の輪ゴム6に図7及び図8に示すネジ頭部25の下側が接触せず隙間制限機構が働けば、ゴム溝18を形成しない構成も可能であることは、言うまでもない。
また、隙間制限機構の一実施例であるネジによる場合、図7に示すネジ22が小さいネジなどで幼児や認知証を患った人などには、誤って飲み込む危険性もあり、これを対処する一例として図11に図示したようにネジ22にネジ首部26と雄ネジ部27を形成し、上板2の孔20に該ネジ22を挿入した後に、図11及び図12に示すCワッシャー28を用いて図7に示すネジ22のネジ首部26に挿着してネジ22が上板2から容易に外せなくするなどの工夫が必要なことは、言うまでもない。また、ネジ22を上板2の射出成形機で成形直後の熱い内に孔20にねじ込み通して冷えた後は、容易に抜き取れないようにするなども有効であり、その他の方法については、種々あることは言うまでもない。
なお、図示した隙間制限機構は、ネジ方式の実施例であるが、一定太さの箸を使って箸ホルダーに該箸をセットした後に、上板と下板の外側からC型フレームの如き押さえ金具等を使う隙間制限機構とすることも可能である。その場合には、箸は、専用の太さの箸を製作する必要がある。図示は、省略する。
なお、図13に示したものは、先願の箸ホルダー30に箸10をセットし、手前の箸10には上向きの捩じり力34を加え、他方の箸10には、下向きの捩じり力35が加わった時の状態を示す側面図である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
箸だけでなく、物品を挟み付けてA地点からB地点に移動することのできる各種器具にも利用することができる。
【符号の説明】
【0019】
1・・・・箸ホルダー
2・・・・上板
3・・・・下板
4・・・・平らな面
5・・・・平らな面
6・・・・弾性体(輪ゴム)
7・・・・溝
8・・・・支点ストッパー
9・・・・支点部
10・・・・箸
12・・・・ストッパー
13・・・・孔
14・・・・孔
15・・・・箸先
16・・・・ストッパー用穴
17・・・・支点ストッパー用穴
18・・・・ゴム溝
20・・・・孔
21・・・・ネジ頭当り部
22・・・・ネジ
23・・・・ネジ受け
24・・・・雌ネジ
25・・・・ネジ頭部
26・・・・ネジ首部
27・・・・雄ネジ
28・・・・Cワッシャー
30・・・・先願の箸ホルダー
31・・・・下板
32・・・・上板
33・・・・隙間
34・・・・捩り力
35・・・・捩り力


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の箸の上部近傍を少なくとも片面が平らな面を有する板の平らな面で挟む2枚の板と、該板に別体または一体に形成し該板の箸先側の端部近傍の中央部付近で該箸の上部の近傍が2本の箸の内側で当たり所要幅を保つ間隔保持部材で該箸が支点となって回動する支点ストッパーと、該2枚の板を介して2本の箸を2枚の板の平らな面で挟み、同時に2本の箸を支点ストッパーに2本の箸の上部において内向きに押し付ける1個または複数の弾性体で構成した箸ホルダーにおける2枚の板の平らな面で該箸を挟む2枚の板と箸の摺動面の隙間は、通常時にはゼロであるが、弾性体が2枚の板を介して箸を締め付け押し付ける力以上に手の捩り力が大きい時に該2枚の板と箸の間に隙間が発生し増大することを防止する目的で該隙間を箸が滑動できる程度の僅かな隙間に制限する隙間制限機構を2枚の板の何れか一方または双方の板に1個または複数個を具備し、他方の板の外側から2枚の板と挟まれた箸との間の隙間の発生量を箸の太さに合わせて調整し制限できるねじ等の調整部を具備したことを特徴とする箸ホルダー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−40068(P2012−40068A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181634(P2010−181634)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(510124065)ひこね自助具企画株式会社 (3)
【Fターム(参考)】