説明

節足動物を死滅させるための発泡性組成物及びその使用

本発明は、シラミ又はマダニ及びシラミ卵等の節足動物及びそれらの卵を死滅させるための発泡性組成物に関する。より詳細には、本発明は、有効成分として、50重量%を超える1つ又は複数の飽和直鎖又は分岐炭化水素と、安定化剤として、1つ又は複数の直鎖又は分岐シロキサンとを含む、節足動物を死滅させるための組成物を提供する。本発明の組成物は好ましくは、50重量%を超える1つ又は複数の飽和直鎖炭化水素、好ましくは飽和直鎖C10〜C22炭化水素と、安定化剤又は発泡剤として、0.01重量%〜20重量%の直鎖アリールシロキサン又はアルキルシロキサンとを含む非水性発泡性組成物である。本発明はさらに、かかる節足動物を死滅させるための組成物の使用に関し、本発明の組成物を塗布することを含む、節足動物を死滅させる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、節足動物及びそれらの卵を死滅させるための組成物に関する。より詳細には、本発明は、吸血シラミ及び/若しくは咀嚼シラミ(sucking and/or biting lice)、又はマダニ並びにシラミ卵を死滅させるための炭化水素を本質的に含む発泡性組成物を提供する。本発明はさらに、本発明による組成物を含むヘア製品、及び本発明による発泡性組成物を備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シラミ又はマダニ等の寄生性節足動物は単に不愉快なものであるだけでなく、或る種のシラミ及びマダニは、重大な病原媒介物である。例えば、イヌにおいて、イヌハジラミ(Trichodectes canis)(シラミ種)は、条虫である瓜実条虫(Dipylidium canis)を運ぶおそれがある。ヒトジラミ(ペジクルス・フマヌス・フマヌス(Pediculus humanus humanus))は、チフスの唯一の媒介体であると確認されている。マダニ(マダニ科(Ixodidae spp.))は、例えばライム病を含む数ある疾患の重大な媒介物である。
【0003】
シラミは、宿主動物種に高度に適応する移動性の生物である。シラミの多くは、それらの宿主の或る特定領域においてのみ採餌する、例えば、ケジラミ(フチルス・プビス(Phtirus pubis))は陰毛部に存在し、アタマジラミ(ペジクルス・フマヌス・キャピティス(Pediculus humanus capitis))は頭皮上に存在し、ヒトジラミは身体の残りの部分に存在する。アタマジラミは往々にしてヒトの毛髪に寄生し、接触時にシラミの成虫が移動することによって容易に蔓延する。このような寄生は、関連する制度的環境において容易に蔓延する可能性があるため、特に若い通学児童らの間で流行する。1匹の雌のシラミは、孵化後12日目から始まり死ぬまでに数百の卵を産むことができる。「シラミ卵」と称されるこれらの卵の毛髪への産み付けにより、シラミの保有が確実となり、寄生が維持される。シラミは、何らかの解剖学的/生化学的な違いを有する2つの系統:シラミ目(Anoplura)(吸血シラミ)及びハジラミ目(Mallophaga)(咀嚼シラミ)に分類される。ヒトジラミは最初の系統に属するのに対し、イヌジラミはハジラミ目のものである。
【0004】
アタマジラミを死滅させることは、各宿主におけるシラミの成虫と卵との両方の完全な除去又は破壊を伴う。従来技術ではこのような破壊を成し遂げるために多種多様な試みが提案されてきた。例えば、多くの商業用の毛髪用シラミ除去組成物が、生化学的作用により寄生生物を死滅させることが知られている。これらの組成物は大方、一般に、ペルメトリン、デカメトリン、ピレトリン、ピペロニルブトキシド、マラチオン、DDT、ガメキサン(gamexane)、リンダン等から成る群に属する潜在的に毒性の殺虫剤を含有している。
【0005】
このような既知の殺虫剤組成物は、シラミに対して有効であるが、幾つかの欠点を示す。上記化学薬品の幾つかは、自然界において極めて残留性であるため(例えばDDT)、広範な使用が許可されていない。他のものは重度の副作用(例えばリンダン)又は軽度の副作用(例えば、マラチオン、ピレトリン)をもたらす可能性がある。マラチオン及びピレトリン及びペルメトリンは、アタマジラミの処置に最もよく使用される殺虫剤である。しかしながら、それらの広汎性及び継続性から、何種類かの寄生生物は、この処置に耐性を持つようになってきており、これが、これらの殺虫剤の使用が処置の失敗及び低い治癒率に結び付く理由である。シラミの成虫に対する効力が失われているのに加えて、これらの殺虫剤はシラミ卵には効力がなく、少なくとも2つの逐次的な処置が必要となり、即ち第2の処置を用いて孵化するシラミ卵を死滅させることが意図される。また、これらの殺虫剤の活性は、2つのシラミの系統間で異なる。
【0006】
従来技術では、殺虫剤の使用に関する上記の課題を克服する組成物を提供するための試みが行われている。例えば、特許文献1は、揮発性シロキサン(シリコーン)と不揮発性シロキサン(シリコーン)とを含む組成物の使用を主張している。特にこの特許は、ジメチコン等の直鎖状シリコーンと、シクロメチコン等の環状シリコーンとの混合物を含む組成物の使用について言及している。シクロメチコンは例えば一般的に、シクロテトラシロキサン又はオクタメチルシクロテトラシロキサン(4個のケイ素原子)と、シクロペンタシロキサン又はデカメチルシクロペンタシロキサン(5個のケイ素原子)との混合物を含む。
【0007】
しかしながら、環状シリコーンは、毒性を有することが当該技術分野において知られており、このため、皮膚又は毛髪にいる節足動物を処置するための組成物におけるそれらの使用は有害な副作用を引き起こすおそれがあった。例えば、シクロテトラシロキサン又はシクロペンタシロキサンの例えば皮膚に対する毒性を指摘する報告が知られている。
【0008】
既存の対シラミ組成物の別の重大な欠点は、大抵約70%を超えることのないそれらの低い治癒率である。これは、2回の処置後に10人のうち3人以上がシラミを有していることを意味する。殊にたった1人寄生している人がいるだけで他の複数の人に繰り返し寄生するため、このような治癒率は十分に高いとは言えない。また、シラミ卵を死滅させる上での既存の対シラミ組成物の効力が極めて低く、処置を少なくとも1回は繰り返す必要がある。しかしながら、シラミ卵が全て同時に孵化するわけではないことがさらに、低い治癒率の一因となっている。さらに、組成物が第1の処置でシラミを全て死滅させなければ、何匹かのシラミが2回の処置の間に卵を産む可能性がある。これらの新しい卵が、第2の処置において対シラミ組成物により死滅しなければ、それらは第2の処置後に孵化し、処置は失敗となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第1,215,965号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記を鑑みて、現在知られている組成物、主にシラミに対して用いられる組成物、及び詳細には殺虫剤を使用する組成物、並びに環状シリコーンを使用する組成物を改良する需要が当該技術分野において存在することが明らかである。
【0011】
既存の対シラミ組成物のさらに別のより一般的な課題は、それらの製剤が必ずしも容易に適用可能でないということである。既存の製剤は必ずしも適用し易いものでなく、多くの場合、毛髪及び頭皮の広範囲な洗髪又は湿潤を要する。これを考慮して、好ましくは乾いている毛髪に塗布することがより容易であり、且つ死滅させようとする節足動物とより効果的に接触する改良された組成物に対する需要も当該技術分野において存在することが明らかである。マダニ及びシラミ等の寄生性節足動物(arthropod parasites)を死滅させる安全で有効な方法を提供することが、当該技術分野においてさらに必要とされる。さらにまた、節足動物の卵を死滅させる安全で有効な方法を提供するようなさらなる需要も当該技術分野において存在する。
【0012】
したがって、本発明は、上記の課題又は欠点の少なくとも幾つかを克服する改良された組成物を提供することを目的とする。
【0013】
特に、本発明は、例えば、吸血シラミ及び咀嚼シラミ並びに/又はマダニを含む節足動物、並びにそれらの卵を死滅させるための、無毒性及び非刺激性である組成物及び方法を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、塗布することが容易であり且つ寄生生物に対して迅速で確実な効果を示す、節足動物並びにそれらの卵を死滅させるための組成物及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、節足動物を死滅させるための組成物を対象とし、炭化水素とシロキサンとの組み合わせを含む組成物が、シラミ及びシラミ卵を含む節足動物及びそれらの卵を死滅させる上で高い効果を示すという本出願人の知見に基づくものである。詳細には、本出願人によって、低分子量炭化水素と、高分子量シロキサンとの組み合わせを含む組成物が、節足動物及びそれらの卵を死滅させる上で効果的であることが示された。
【0016】
本明細書中で使用される用語「低分子量」炭化水素とは、10個〜22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐炭化水素を指す。本明細書中で使用される用語「高分子量」シロキサンとは、900個〜5000個のケイ素原子、言い換えれば、50000〜300000の分子量又は10000CS〜1000000CSの粘度を有する直鎖又は分岐シロキサンを指す。したがって、第1の態様において、本発明は、有効成分として、50重量%を超える1つ又は複数の飽和炭化水素、好ましくは飽和直鎖又は分岐炭化水素と、安定化剤として、1つ又は複数のシロキサン、好ましくは直鎖又は分岐シロキサンとを含む、節足動物を死滅させるための組成物に関する。
【0017】
好ましい実施の形態において、本発明は、発泡性組成物として提供される組成物を含む。好ましくは、本発明の組成物は、ローションで洗髪又は湿潤させることなく、乾いている毛髪に直接塗布することができる。別の好ましい実施の形態では、本発明は、非水性組成物である組成物を提供する。本発明の組成物は、置換シロキサンポリマー、例えば、陰イオン性シリコーンである、シリコーンサルフェート、シリコーンホスフェートエステル、シリコーンカルボキシレート及びシリコーンスルホスクシネート;陽イオン性シリコーンである、シリコーンアルキルクワット(例えば、ステアラルコニウムジメチコン、セトリモニウムジメチコン...)、シリコーンアミドクアット及びシリコーンアミダゾリンクアット;両性シリコーンである、シリコーン両性物質(amphoterics)及びシリコーンベタイン;並びに非イオン性シリコーンである、フルオロシリコーン、シリコーンコポリオール(又はPEG化シリコーン)、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル(例えば、ジメチコンコポリオールアバコドエート(avacodoate)、ジメチコンコポリオールアルモンドエート(almondoate)、ジメチコンコポリオールオリベート...)、シリコーンタウリン、シリコーンイセチオネート、アルキルシリコーン及びシリコーングリコシドをさらに含んでいていてもよい。
【0018】
本出願人によって、驚くべきことに、炭化水素及び好ましくは直鎖炭化水素が、節足動物及びそれらの卵に対する死滅効果を有することが示された。このため、これらの化合物が本発明の組成物中の有効成分を成す。
【0019】
また、本発明の組成物に適用される直鎖シロキサンが組成物に相乗効果をもたらすことが示された。組成物へのシロキサンの添加は、炭化水素の作用を高め、直鎖炭化水素とシロキサンとを含む組成物の死滅効果がシロキサンを含まない組成物の死滅効果よりも良好となる。さらに加えて、シロキサンは、組成物を安定化させることができる、即ち、組成物を分解させることなく好適な適用形態に組成物を維持することができる作用物質としても機能することが示された。本出願によりさらに驚くべきことに、本発明の組成物が、直鎖炭化水素を有効成分として適用し且つシロキサンを発泡剤として適用する安定した発泡組成物として有益に処方され得ることが示された。驚くべきことに、比較的短鎖の炭化水素分子と大きいシロキサン分子との組み合わせが安定した泡を形成することができる。泡形態の本発明の組成物を提供することの重大な利点としては、組成物の塗布し易さが挙げられる。泡は乾いている毛髪及び頭皮上で容易且つ均質にマッサージすることができるのに対し、油状液体物質では不可能である。後者のものは、手に注ぐと指の間から漏れ出て、塗布している間に、物質が頭皮から目及び首へと流れ落ち、衣服を汚し、また場合によっては目に刺激を与えるおそれがある。また、泡は、くずれるまで表面に擦り込まなければならないため、泡の塗布によって、毛髪及び頭皮全体への良好な散布が確証され、これによりまた、塗布の良好な観察が可能となり、塗り残し領域がなくなる。
【0020】
また上述のように、従来技術の組成物は、低い治癒率を有し、組成物の繰り返しの塗布を要する。本発明は、従来技術の組成物とは異なり、節足動物に対して、及びそれらの卵に対して非常に効果的である組成物を提供することによって、この問題に対する解決策を提示する。
【0021】
それゆえ、本出願人によって、本明細書中で規定される炭化水素を、本発明による組成物中で本明細書中で規定される直鎖シロキサンと組み合わせる場合に、相乗効果が得られることが示された。詳細には、このような併用が、節足動物の成体に対する、且つそれらの卵に対する高い死滅効果をもたらす。また、本明細書中で規定される組成物は、安定した泡を形成する能力を有する。これらの態様は、本発明の組成物に、従来技術の組成物に比べて重大な利点を提供する。
【0022】
本発明の組成物の別の利点は、所与の適用時間の場合に、実質的に皮膚に刺激を与えないことである。事実上、本発明の組成物は、シラミに対する商業的に作製された製剤及び手作りされた製剤、又は殺虫剤に一般的に見られる酢酸、ギ酸又は酢等の他の酸性物質の使用を実質的に必要としない。
【0023】
本発明の組成物のさらに別の利点は、シラミ駆除剤等のこの種の商業製品において知られているか又は使用されている潜在的に毒性の成分をほとんど又は全く含有していないにもかかわらず、その効力が高いことである。本発明の組成物は実質的に非毒性であり、事実上、商業用製剤に一般的に見られる既知の潜在的に毒性の作用物質の使用を必要としない。
【0024】
本出願人によって、本発明の組成物が、迅速な節足動物死滅効果を示すことも示された。本発明の組成物との直接接触によって又は本発明の組成物中への浸水によって、節足動物を死滅させることができる。本発明による組成物は、節足動物に呼吸をさせ、窒息させる組成物としてみなすことができる。例えば、シラミに関して、本発明の組成物は、気門を閉塞させることができる。気門とは、気管へとつながり且つ環境との酸素及び水分の交換を可能にする寄生生物の表面上にある小さい開口である。好ましくは、本発明に従って死滅させることができる節足動物としては、昆虫又はクモ形網動物、及び好ましくは吸血シラミ又は咀嚼シラミが挙げられる。
【0025】
別の態様において、本発明は、節足動物を死滅させるための本明細書中で規定される組成物の使用、及び上記節足動物に本明細書中で規定される組成物を塗布することを含む節足動物を死滅させる方法を提供する。
【0026】
詳細には、本発明は、有効成分として、70重量%を超える10個〜22個の炭素原子を有する1つ又は複数の飽和直鎖又は分岐炭化水素と、安定化剤として、0.01重量%〜10重量%の25℃で少なくとも20000センチストークスの粘度を有するジメチコンとを含む、節足動物及びそれらの卵を死滅させるための発泡性組成物の使用に関する。
【0027】
好ましい実施の形態において、本発明は、1重量%〜4重量%のジメチコンを含む、本明細書中で規定される組成物の使用に関する。別の好ましい実施の形態では、本発明は、上記ジメチコンが、25℃で少なくとも40000センチストークス、及び好ましくは25℃で約60000センチストークスの粘度を有する、本明細書中で規定される組成物の使用に関する。
【0028】
別の好ましい実施の形態では、本発明は、約75重量%〜99重量%、及び好ましくは約90重量%〜97.5重量%の1つ又は複数の飽和直鎖又は分岐炭化水素を含む、本明細書中で規定される組成物の使用に関する。好ましくは、上記炭化水素は、飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素、飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素、飽和直鎖又は分岐C18〜C21炭化水素、又はそれらの任意の混合物である。さらに好ましい実施の形態では、本発明は、上記炭化水素が、飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素との混合物を含み、飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素と飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素との比率が、2:1〜1:2であり、且つ好ましくは、飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素と飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素との比率が1:1である、本明細書中で規定される組成物の使用に関する。さらに別の好ましい実施の形態において、本発明は、上記炭化水素が、直鎖又は分岐C12、C13、C14若しくはC15炭化水素、又はそれらの任意の混合物である、本明細書中で規定される組成物の使用に関する。本発明はさらに、上記炭化水素が直鎖炭化水素から成る、本明細書中で規定される組成物の使用に関する。
【0029】
特に好ましい実施の形態において、本発明は、有効成分として、48重量%の飽和直鎖C13〜C15炭化水素及び48重量%の飽和直鎖C15〜C19炭化水素と、安定化剤として、25℃で約60000センチストークスの粘度を有する4重量%のジメチコンとを含む、本明細書中で規定される組成物の使用に関する。
【0030】
本発明はさらに、節足動物が、昆虫又はクモ形網動物、及び好ましくは吸血シラミ又は咀嚼シラミである、本発明による発泡性組成物を含む、節足動物及び節足動物の卵を死滅させるためのヘア製品を提供する。
【0031】
さらに別の態様において、本発明は、本発明による発泡性組成物又はヘア製品を備える装置、及び当該組成物又はヘア製品の散布手段を提供する。
【0032】
本発明はまた、節足動物が、昆虫又はクモ形網動物、及び好ましくは吸血シラミ又は咀嚼シラミである、上記節足動物及び上記節足動物の卵に、本明細書中で規定される組成物又は本明細書中で規定されるヘア製品を塗布することを含む、節足動物及び節足動物の卵を死滅させる方法を提供する。
【0033】
本発明の特徴をより良く示すために、添付の図面を参照して幾つかの好ましい実施形態及び実施例を以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】シラミ(イヌハジラミ)に対する本発明による種々の組成物の死滅効果を示す図である。
【図2】本発明による種々の組成物の効力を、対照及び当該技術分野で既知の組成物と比較する図である。詳細には、図2は、シラミ(イヌハジラミ)に対する本発明による種々の組成物の死滅効果を示す。
【図3】本発明による種々の組成物の効力を、対照及び当該技術分野で既知の組成物と比較する図である。
【図4】本発明による組成物を分配(dispense:定量供給)するのに使用することができる泡分配装置の一実施形態の断面図である。
【図5】本発明による組成物を分配するのに使用することができるエーロゾル分配装置の一実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、節足動物及びそれらの卵を死滅させるための組成物、並びに節足動物及びそれらの卵を死滅させる方法におけるかかる組成物の使用を対象とする。本発明の組成物は、炭化水素とシロキサンとを含む非水性組成物である。これらの構成成分は各々以下で詳細に説明する。
【0036】
本発明の組成物は、本明細書中に記載される本発明の必須要素及び限定、並びに本明細書中に記載の付加的な若しくは任意選択的な成分、構成成分又は限定のいずれかを含むか、それから成るか、又は本質的にそれから成り得る。
【0037】
全てのパーセンテージ、部及び比率は、特に指定がない限り、本発明の組成物の総重量に基づくものである。挙げられる成分に関する全てのかかる重量は、有効濃度に基づくものであるため、特に指定がない限り、市販材料に含まれる可能性のあるキャリア又は副生成物は含まない。
【0038】
冠詞「一(a)」及び「1つの(an)」は、冠詞の文法的な対象の1つ又は複数、即ち、少なくとも1つを表すのに本明細書中では使用される。一例として、「一サンプル」とは、1つ又は複数のサンプルを意味する。
【0039】
本出願を通じて、用語「約」は、値が、値を求めるのに使用される装置又は方法に関する誤差の標準偏差を含むことを示すのに本明細書中では使用される。
【0040】
両端の点による数字範囲の列挙は、全ての整数を含み、適切であれば、少数も範囲内に含める(例えば、1〜5は、例えばサンプル数について言及する際には1、2、3、4を含むことができ、例えば濃度について言及する際には1.5、2、2.75及び3.80も含むことができる)。両端の点の列挙は端点の値自体も含む(例えば、1.0〜5.0は1.0と5.0とを両方とも含む)。
【0041】
両端の点として特定数の炭素原子を有する炭化水素を示す範囲を用いた炭化水素の列挙は、範囲に特定される整数個の炭素原子を有する全ての炭化水素を含む。例えば、「約C10〜約C12炭素原子」又は「C10〜C12炭化水素」は、等しい用語であり、C10、C11、C12炭素原子を有する炭化水素を含むことを意図する。両端の点の列挙はまた、端点の値自体も含む(例えば、「約C10〜約C12」又は「C10〜C12」はC10とC12とを両方とも含む)。
【0042】
パーセンテージが量に関して列挙される場合、それは重量比(w/w)を表す。
【0043】
炭化水素
好ましい実施形態において、節足動物を死滅させる本発明の組成物は、有効成分として、50重量%を超える1つ又は複数の飽和、好ましくは直鎖又は分岐炭化水素、及び好ましくは55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98又は99重量%を超える1つ又は複数の飽和直鎖又は分岐炭化水素を含む。例えば、本発明の組成物中の炭化水素の濃度は、75重量%〜99重量%、好ましくは85重量%〜99重量%、及びさらにより好ましくは90重量%〜99重量%又は95重量%〜99重量%、並びに例えば、90、91、92、93、94、95、96、97、98若しくは99重量%の1つ又は複数の飽和直鎖又は分岐炭化水素と様々な値をとり得る。
【0044】
本発明の組成物に好ましく使用される炭化水素は、飽和直鎖又は分岐炭化水素である。好ましい実施形態において、本発明の組成物に使用される炭化水素は、約10個〜約22個の炭素原子、より好ましくは約10個〜約21個の炭素原子、若しくは約12個〜約21個の炭素原子、及び最も好ましくは約10個〜約12個の炭素原子、12個〜約16個の炭素原子、約12個〜15個の炭素原子、約13個〜約15個の炭素原子、約15個〜17個の炭素原子、若しくは約15個〜19個の炭素原子、若しくは約8個〜21個の炭素原子を有する飽和直鎖又は分岐炭化水素、並びに/又はそれらの任意の混合物である。
【0045】
好適な炭化水素の具体例としては、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン及び/又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
特に好ましい実施形態において、本発明は、上記炭化水素が、飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素、飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素、飽和直鎖又は分岐C18〜C21炭化水素、又はそれらの任意の混合物である組成物に関する。一実施形態において、組成物は、飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素との混合物を含む。別の実施形態では、組成物が、飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C18〜C21炭化水素との混合物を含む。さらに別の実施形態において、組成物は、飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C18〜C21炭化水素との混合物を含む。さらに別の実施形態では、本発明は、飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C18〜C21炭化水素との混合物を含む組成物に関し得る。
【0047】
好ましくは、C13〜C15/C15〜C19混合物中の飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素との比率は、2:1〜1:2、及び例えば1:1とされる。別の好ましい実施形態において、C13〜C15/C18〜C21混合物中の飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C18〜C21炭化水素との比率は、2:1〜1:2、及び例えば1:1とされる。さらに別の実施形態において、C15〜C19/C18〜C21混合物中の飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C18〜C21炭化水素との比率は、2:1〜1:2、及び例えば1:1とされる。さらに別の好ましい実施形態において、C13〜C15/C15〜C19/C18〜C21炭化水素混合物中の飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C18〜C21炭化水素との比率は、1:1:2又は1:2:1又は2:1:1又は1:2:2又は2:1:2又は2:2:1又は1:1:1であってもよい。
【0048】
特に好ましい実施形態において、本発明は、上記炭化水素が、飽和直鎖炭化水素、好ましくは飽和直鎖C13〜C15炭化水素、飽和直鎖C15〜C19炭化水素、飽和直鎖C18〜C21炭化水素、又は前述した比率で適用され得るそれらの任意の混合物である組成物に関する。
【0049】
別の特に好ましい実施形態において、本発明は、上記炭化水素が、飽和直鎖又は分岐、及び好ましくは直鎖C10〜C12炭化水素、飽和直鎖又は分岐、及び好ましくは直鎖C15〜C17炭化水素、並びに/又はそれらの任意の混合物である組成物に関する。好ましくは、C10〜C12/C15〜C17混合物中の飽和直鎖又は分岐、及び好ましくは直鎖C10〜C12炭化水素と、飽和直鎖又は分岐、及び好ましくは直鎖C15〜C17炭化水素との比率は、2:1〜1:2、及び例えば1:1とされる。
【0050】
別の好ましい実施形態において、本発明は、上記炭化水素が、飽和直鎖又は分岐、及び好ましくは直鎖C10、C11若しくはC12炭化水素、又はそれらの任意の混合物である組成物に関する。一例において、C10/C11炭化水素混合物中の飽和直鎖又は分岐C10炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C11炭化水素との比率は、3:1〜1:3、及び例えば2:1、1:2又は1:1とされる。別の例において、C10/C12炭化水素混合物中の飽和直鎖又は分岐C10炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C12炭化水素との比率は、3:1〜1:3、及び例えば2:1、1:2又は1:1とされる。さらに別の例において、C11/C12炭化水素混合物中の飽和直鎖又は分岐C11炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C12炭化水素との比率は、3:1〜1:3、及び例えば2:1、1:2又は1:1とされる。別の例において、C10/C11/C12炭化水素混合物中の飽和直鎖又は分岐C10炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C11炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C12炭化水素との比率は、1:1:2又は1:2:1又は2:1:1又は1:2:2又は2:1:2又は2:2:1又は1:1:1であってもよい。
【0051】
好ましい実施形態において、本発明は、上記炭化水素が、飽和直鎖又は分岐、及び好ましくは直鎖C15、C16又はC17炭化水素、又はそれらの任意の混合物である組成物に関する。一例において、C15/C16炭化水素混合物中の飽和直鎖又は分岐C15炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C16炭化水素との比率は、3:1〜1:3、及び例えば2:1、1:2又は1:1とされる。別の例において、C15/C17炭化水素混合物中の飽和直鎖又は分岐C15炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C17炭化水素との比率は、3:1〜1:3、及び例えば2:1、1:2又は1:1とされる。さらに別の例において、C16/C17炭化水素混合物中の飽和直鎖又は分岐C16炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C17炭化水素との比率は、3:1〜1:3、及び例えば2:1、1:2又は1:1とされる。別の例において、C15/C16/C17炭化水素混合物中の飽和直鎖又は分岐C15炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C16炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C17炭化水素との比率は、1:1:2又は1:2:1又は2:1:1又は1:2:2又は2:1:2又は2:2:1又は1:1:1であってもよい。
【0052】
別の及びより好ましい実施形態において、本発明は、上記炭化水素が、飽和直鎖C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19及び/又はC20炭化水素の混合物である組成物に関する。このような混合物は例えば、
0重量%〜30重量%のC10、C11、C12、C13、C14及び/又はC15炭化水素、好ましくは1重量%〜20重量%のC10、C11、C12、C13、C14及び/又はC15炭化水素、並びにより好ましくは5重量%〜15重量%のC10、C11、C12、C13、C14及び/又はC15炭化水素、並びに
任意に、0重量%〜30重量%のC16炭化水素、好ましくは1重量%〜20重量%のC16炭化水素、及びより好ましくは5重量%〜15重量%のC16炭化水素、
任意に、0重量%〜30重量%のC17炭化水素、好ましくは1重量%〜20重量%のC17炭化水素、及びより好ましくは5重量%〜15重量%のC17炭化水素、
任意に、0重量%〜30重量%のC18炭化水素、好ましくは1重量%〜20重量%のC18炭化水素、及びより好ましくは5重量%〜15重量%のC18炭化水素、
任意に、0重量%〜30重量%のC19炭化水素、好ましくは1重量%〜20重量%のC19炭化水素、及びより好ましくは5重量%〜15重量%のC19炭化水素、並びに/又は
任意に、0重量%〜30重量%のC20炭化水素、好ましくは1重量%〜20重量%のC20炭化水素、及びより好ましくは5重量%〜15重量%のC20炭化水素を含む。
【0053】
シロキサン
別の好ましい実施形態では、節足動物を死滅させるための本発明の組成物が、安定化剤として、1つ又は複数の(ポリ)シロキサン、好ましくは直鎖又は分岐ポリシロキサンを含む。本発明では、誤解を避けるために、同義語として使用され且つ本明細書中で使用される用語「シロキサン」又は「ポリシロキサン」が、シリコーンを包括的に含むように意図されていることに留意されたい。
【0054】
好ましい実施形態において、本発明の組成物に適用される直鎖シロキサンとしては不揮発性シロキサンが挙げられる。本出願の目的で、用語「不揮発性」とは、シロキサンが、環境条件において極めて低い蒸気圧又は有意なものでない蒸気圧、例えば20℃で0.60mmHgを示すという意味をとる。不揮発性シロキサンは好ましくは、約170℃を超える、好ましくは約200℃を超える、及びより好ましくは約250℃を超える大気圧における沸点を有する。
【0055】
粘度は、ポアズ(gsec−1 cm−1)又はセンチポアズ単位で測定される絶対粘度として、又は動粘度として示され得ることが理解されるであろう。動粘度は、粘度と密度との比率であり、ストークス又はセンチストークス単位で測定される。便宜上、本明細書中で粘度は特に明記しない限りセンチストークス単位で示される。好ましい実施形態において、本明細書中で使用される不揮発性直鎖シロキサンは好ましくは、25℃で少なくとも10000センチストークス、好ましくは少なくとも20000センチストークス、及びより好ましくは少なくとも30000、40000、50000、60000、100000、200000、300000、400000、500000、600000又はさらに1000000センチストークスの粘度を有する。粘度は、ガラス毛細管粘度計を用いて測定することができる。動粘度を測定する技法は、当該技術分野において既知であるため、本明細書中には記載しないものとする。
【0056】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、0.01重量%〜50重量%、及び好ましくは0.01重量%〜20重量%、より好ましくは0.1重量%〜10重量%、及び最も好ましくは1重量%〜4重量%、及び例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5又は4重量%の上記シロキサンを含む。
【0057】
好適なシロキサンとしては好ましくは、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、又はそれらの任意の混合物が挙げられる。このため本明細書中のシロキサンとしては、式Iで示されるような下記構造を有するポリアルキルシロキサン又はポリアリールシロキサンが挙げられ得る。
【0058】
【化1】

【0059】
(式中、
R置換基は独立して、アルキル又はアリールから成る群から選択され、
nは、約1〜15000、及び好ましくは10〜約10000、及び最も好ましくは1000〜5000の整数であり、
「A」は、シロキサン鎖の末端を封止する基を表し、好ましくは、ヒドロキシ、メチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びアリールオキシから成る群から選択される)
【0060】
用語「アルキル」とは、単独で又は別の置換基の一部として、炭素−炭素単結合によって連結される、1個〜20個の炭素原子、例えば1個〜10個の炭素原子、例えば1個〜8個の炭素原子、好ましくは1個〜6個の炭素原子、より好ましくは1個、2個、3個又は4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和炭化水素基を指す。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−メチルブチル、ペンチルイソアミル及びその異性体、ヘキシル及びその異性体、ヘプチル及びその異性体、並びにオクチル及びその異性体である。
【0061】
本明細書中で使用される用語「アリール」とは、単独で又は別の基の一部として、5個〜24個の炭素原子の同素環(即ち、炭化水素)単環、二環若しくは三環芳香族環、又は互いに縮合するか又は共有結合する、典型的には5個〜8個の原子を含有する1つ〜4つの環(この少なくとも1つは芳香族環である)を含有する環系を指すが、これらに限定されない。芳香族環は、任意に、これに縮合する1つ〜3つの付加的な環(シクロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロアリールのいずれか)を含んでいてもよい。
【0062】
シロキサン鎖上で置換されるアルキル基又はアリール基(R)、又はシロキサン鎖の末端で置換されるアルキル基又はアリール基(A)は、得られるシロキサンが室温で流動性のままであり、適用される際に刺激を与えることなく、毒性でなく又はそうでなければ有害でなく、組成物の他の構成成分と相溶性であり、且つ通常の使用及び貯蔵条件下で化学的に安定である限り、任意の構造を有し得る。ケイ素原子上の2つのR基、及び2つのA基は、同じ基又は異なる基を表していてもよい。好ましくは、2つのR基及び2つのA基は同じ基を表す。
【0063】
特に好適なR基としては、メチル、エチル、プロピル、フェニル、メチルフェニル及びフェニルメチルが挙げられる。好ましいシロキサンは、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、及びポリメチルフェニルシロキサンが挙げられる。ジメチコンとしても知られているポリジメチルシロキサンが特に好ましい。使用され得るポリアルキルシロキサンとしては、例えば、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。ポリアルキルアリールシロキサンも使用することができ、例えば、ポリメチルフェニルシロキサンが挙げられる。これらのシロキサンは例えばDow Corningから市販されている。
【0064】
特に好ましい実施形態において、本発明は、0.01重量%〜50重量%、及び好ましくは0.01重量%〜20重量%、より好ましくは0.1重量%〜10重量%、及び最も好ましくは1重量%〜4重量%、及び例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、又は4重量%のジメチコン、好ましくは25℃で少なくとも20000センチストークス、及びより好ましくは25℃で少なくとも40000センチストークス又はさらに約60000センチストークスの粘度を有するジメチコンを含む組成物を提供する。用語「約」とは、粘度値における15%の標準偏差を意味する。
【0065】
置換シリコーンコポリマー
別の実施形態において、本発明は、置換シロキサンポリマーをさらに含む節足動物を死滅させるための組成物に関する。
【0066】
本明細書中で使用される用語「置換シロキサンポリマー」とは、1つ又は複数のR基が炭素原子に結合するさらなる官能基を有する、上記式Iを有するシロキサンポリマーを指す。これらの官能基としては、1つ又は複数のアルケニル、アルキニル、カルボキシル、ヒドロキシ、アクリレート、エステル、エーテル、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、メルカプト、アミノ及びカルボヒドレート基が含まれ得るが、これらに限定されない。Rに含まれる置換基は電気的に中性であってもよく、又は、第四級アンモニウム等の陽イオン核、又はスルホン酸基若しくはチオ硫酸基等の陰イオン核を含有していてもよい。
【0067】
好ましい実施形態において、本発明は、0.1重量%〜2重量%、及び例えば0.5、0.75、1、1.25、1.5、又は1.75重量%の上記置換シロキサンポリマーを含む組成物を提供する。
【0068】
好ましい実施形態において、置換シロキサンポリマーは第四級シリコーンコポリマーである。第四級シリコーンポリマーとしては、第四級窒素ペンダント基を含有するシリコーンポリマーが挙げられる。好ましくは、本発明の組成物に適用される第四級シリコーンコポリマーは式IIで表される。
【0069】
【化2】

【0070】
(式中、Rは、式Iに挙げられるRと同じ意味を有し、且つ好ましくはRは好ましくはメチルであり、
A及びnは、式Iに挙げられるものと同じ意味を有し、且つ好ましくはAはメチルであり、
mは、mとnとの合計が2〜15000となるように選択され、
は上記に規定されるようなアルキル、及び好ましくはメチルである)
【0071】
第四級シリコーンコポリマーは、商品名SILQUATの名でSiltech Inc.から市販されている。
【0072】
別の好ましい実施形態では、置換シロキサンポリマーがペルフルオロシリコーンコポリマーである。ペルフルオロシリコーンコポリマーとは、その置換が存在する特性基の性質に影響を及ぼす水素原子を除く全ての水素原子が、シリコーン化合物中においてフッ素原子で置換されたフッ素含有シリコーン化合物を指す。好ましくは、本発明の組成物に適用されるペルフルオロシリコーンコポリマーは式IIIで表される。
【0073】
【化3】

【0074】
(式中、Rは、式Iに挙げられるRと同じ意味を有し、且つ好ましくはRは好ましくはメチルであり、
A及びnは、式Iに挙げられるものと同じ意味を有し、且つ好ましくはAはメチルであり、
mは、m+nが約15000以下となるように選択され、
pは約2〜5の整数であり、且つ
Fはフッ素である)
【0075】
ペルフルオロシリコーンコポリマーは例えばペルフルオロノニルジメチコンであり、例えば、商品名FLUOROSILの名でSiltech Inc.から市販されている。
【0076】
任意選択的な構成成分
以上に記載した必須構成成分に加えて、本発明の組成物は、既知であるか、又はそうでなければヒト/動物の毛髪又は皮膚に対する使用に適切である1つ又は複数の任意選択的な構成成分をさらに含んでいてもよい。かかる任意選択的な構成成分の非限定的な例としては、例えば、発泡剤、可塑剤及び湿潤剤(グリセロール、プロパン−1,2−ジオール、ポリプロピレングリコール及び他の多価アルコール等)、フリーラジカル捕捉剤、粘度調節剤、染料及び着色剤、香料等が挙げられる。好ましい実施形態において、本発明の組成物は発泡剤をさらに含む。発泡剤は、泡の形成を促す作用物質である。界面活性を有する任意の作用物質を使用してもよい。界面活性剤は、陽イオン性、非イオン性又は陰イオン性であってもよい。好適な発泡剤の例としては、セトリミド、レシチン、石鹸等、及び例えば(硫酸陰イオン、スルホン酸陰イオン又はカルボン酸陰イオンに基づく)陰イオン性物質であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、及び他のアルキル硫酸塩、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)としても知られているラウレス硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸石鹸、又は脂肪酸塩(酸性塩を参照)、
(第四級アンモニウムカチオンに基づく)陽イオン性物質であるセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、別名ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、及び他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ポリエトキシル化牛脂アミン(POEA)、塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム(BZT)、
両性イオン(両性)物質であるドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、ココアンホグリシネート、
非イオン性物質であるアルキルポリ(エチレンオキシド)、オクチルグルコシド、デシルマルトシドを含むアルキルポリグリコシド、脂肪族アルコールであるセチルアルコール、オレイルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。Tween(商標)等の市販の界面活性剤も好適である。
【0077】
製剤
本出願人によって、直鎖炭化水素と1つ又は複数の直鎖シロキサンとを含む本発明の組成物を、安定した発泡性組成物として配合することができることが示された。
【0078】
本明細書中で使用される用語「発泡性」とは、発泡プロセスの結果として泡を形成することができる組成物を指す。このような発泡プロセスは、気体を組成物に又は組成物内部に強制通気させ、小さな気泡を組成物中に取り込むことによって、泡を形成することを伴い得る。本発明の或る特定の実施形態において、用語「泡」及び「発泡性」は交換可能に使用される。
【0079】
泡は、気体及び液体へと徐々に崩壊する、液体中における気泡の体積が大きな混合物である。泡の安定性は、泡が体積の大きな形状を維持している、即ち、液体及び気体に崩壊するまでの時間によって規定することができる。本発明によれば、用語「安定した」泡とは、存在する泡がその元々の体積の少なくとも90%を維持している時間が、1秒より長く、且つ好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60秒よりも長いことを意味する。
【0080】
発泡プロセス前に、本発明の組成物は好ましくは、液体組成物、例えば溶液の形態である。しかしながら、本発明による組成物が、水等の水性キャリアを含まない非水性組成物であることに留意する必要がある。
【0081】
本発明の組成物は、従来の混合技法及び配合技法を用いて調製することができる。
【0082】
本発明の発泡性組成物又は泡組成物では、直鎖炭化水素を有効成分として適用し、且つシロキサンを発泡剤として適用している。これを鑑みて別の実施形態において、本発明は発泡剤としての、本明細書中で規定される直鎖シロキサンの使用にも関する。知る限りでは、従来技術において、直鎖シロキサン自体が何らかの発泡効果を有するという指摘はない。それどころか、従来技術では、脱泡効果のためにシロキサンを使用することが知られている。
【0083】
本発明の組成物は、泡形態で対象とされる身体部位に塗布されるため、身体への塗布前に組成物を発泡プロセスにかけることが必須である。発泡プロセスでは、気体を製剤に強制通気させるか、又は製剤内で気体を生成して、製剤中に小さな気泡を取り込むことによって、泡を形成する。任意の好適な気体又は気体生成システムは、泡を作製するのに使用することができる。ブタン及び亜酸化窒素について言及し得るが、空気、窒素、ハイドロフルオロカーボン、炭化水素(プロパン、イソプロパン等)のような他の気体、又はそれらの混合物も好適である。好ましくは、空気を用いて泡を作製する。
【0084】
投与に泡を使用することにより、本発明による組成物は、より容易に且つより効果的な方法で処置領域に塗布することができる。溶液形態の従来技術の組成物が通常、小さな領域への不均質な塗布をもたらすのに対して、本明細書中で規定される発泡組成物の粘性及び付着性から、より大きな表面領域への均質な散布が可能となる。このため、本明細書中で規定される組成物の運搬システムとして泡を用いることにより、処置がより効果的なものとなる。シャンプーに比べて、泡は、処置をより長時間持続させることができるという利点を有する。洗浄後に、シャンプーは洗い流されるのに対し、泡は、処置される領域に約5分間〜8時間残存することができる。さらに、泡と比べてシャンプーを使用する場合には目への刺激が生じる機会が増える。
【0085】
本出願人は、炭化水素を、本発明による組成物中において本明細書中で規定される直鎖シロキサンと組み合わせる場合に、相乗効果が得られることを示した。
【0086】
本出願人は、特に発泡性組成物を用いて局所的に塗布した場合に、1つ又は複数の炭化水素と、本明細書中で規定される直鎖シロキサンとの組み合わせが節足動物に対して相乗的に作用することを見出した。この組み合わせの効果は、シラミ等の生きている節足動物及びそれらの卵に対する有意な死滅効果である。それゆえ、本明細書中で規定される1つ又は複数の炭化水素と、本明細書中で規定される直鎖シロキサンとの組み合わせの投与は、例えば、シラミ卵を含むシラミ等の節足動物及びそれらの卵に対して効果的な処置をもたらす。相乗効果とは、2つの構成成分を組み合わせることによって得られ、且つ他には、いずれかの構成成分を単独で投与することによりもたらされる効果を超える加算的な効果を上回る効果のことを指す。本明細書中で規定される直鎖シロキサンと組み合わされた、本明細書中で規定される1つ又は複数の炭化水素の投与は予想に反して、これらの作用物質のいずれかを単独で使用することによりもたらされる効力よりも大きな効力をもたらすことによる、特により多くの節足動物及びそれらのシラミ卵をより迅速に死滅させることによる、並びにより高い治癒率をもたらすことによる相乗効果をもたらす。本明細書中で規定される直鎖シロキサンは炭化水素の作用を高める。
【0087】
本出願人は、本発明による組成物を塗布することが、より速い死滅をもたらし、且つより多数のシラミ等の節足動物の死滅を可能にすることを示した。特に、本明細書中で規定される組成物は典型的に、従来技術で既知の組成物よりも2倍以上速く、好ましくは3倍以上速く、及びより好ましくは4倍以上速く生存するシラミを死滅させることができる。この組成物の発泡性能は、塗布方法を改良し、且つ組成物の効力の改善に有益に寄与する。
【0088】
本発明の組成物に比べて、炭化水素を含むがシロキサンを含まない従来技術の組成物は、特に死滅に要する時間及び死滅させるシラミの数に関して死滅効果を低下させた。他方、シロキサンを含むが炭化水素を含まない従来技術の組成物は、特に、塗布を実現不可能なものとする高い粘性といった性質を有するため、使用することができない。
【0089】
さらに、本出願人は、本明細書中で規定される1つ又は複数の炭化水素が、本明細書中で規定される直鎖シロキサンと組み合わされる本発明による組成物が泡をもたらすのに対し、シロキサンを含まない組成物又は炭化水素を含まない組成物は、有用又は塗布可能な発泡性組成物をもたらさないことを示した(上記も参照)。
【0090】
別の実施形態において、本発明は、節足動物が、昆虫又はクモ形網動物、及び好ましくは吸血シラミ又は咀嚼シラミであり、本明細書中で規定される発泡性組成物を含む、上記節足動物及びそれらの卵を死滅させるためのヘア製品に関する。本明細書中で使用される用語「ヘア製品」とは、毛髪の衛生を維持するために適用される製品を指す。本発明のヘア製品は、ヒト又は動物の使用に適切であり得る。
【0091】
上述の炭化水素、シロキサン及び任意の置換シロキサンポリマーに加えて、ヘア製品は好ましくは、これらに限定されるものではないが、保湿剤、pH調節剤、染料、着色剤、UV吸収剤、香料、軟化剤、防腐剤、抗細菌剤(antibacterials)及び抗菌剤を含む数ある添加剤をさらに含み得る。かかる添加剤は、当該技術分野において既知であり、本明細書中には詳細に記載しないものとする。
【0092】
本発明は、節足動物に対して、及びそれらの卵に対して非常に効果的である組成物及びヘア製品を提供する。本発明の組成物及び製品は、高い治癒率及び高い死滅効率をもたらす。
【0093】
本明細書中で使用される用語「治癒率」とは、上記組成物で処置された群における、処置後に生きている節足動物を有していない人の総数(%)を指す。70%の治癒率とは、10人の処置を受けた人のうち7人が、処置後に生きている節足動物を有していないことを意味する。本発明の組成物は、わずか一回の処置後に70%を超えるin vivo治癒率をもたらすのに対し、他の対シラミ処置薬は、約70%の治癒率を得るのに少なくとも2回の処置を必要とする。本発明の組成物は、70%を超える、及び好ましくは少なくとも75、80、85、90、95又はさらに100%の治癒率をもたらすことを特徴とする。
【0094】
本明細書中で使用される用語「節足動物に対する死滅効率」とは、本明細書中で規定される組成物又は製品による1回の処置後に死滅する節足動物の総数(%)を指す。70%の死滅効率とは、10匹の節足動物のうち7匹が、1回の処置後に死滅することを意味する。本発明の組成物は、70%を超える、及び好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80、85、90、95又はさらに100%の節足動物に対する死滅効率をもたらす。
【0095】
本明細書中で使用される用語「節足動物の卵に対する死滅効率」とは、本明細書中で規定される組成物又は製品による1回の処置後に死滅する節足動物の卵の総数(%)を指す。70%の節足動物の卵に対する死滅効率とは、10個の節足動物の卵のうち7個が、1回の処置後に死滅し、それゆえ孵化しないことを意味する。本発明の組成物は、70%を超える、及び好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80、85、90、95又はさらに100%の節足動物の卵に対する死滅効率をもたらす。本発明の組成物に比べて、従来技術の組成物は、シラミ卵に対して極わずかな効果しか有しないのに対し、本発明の組成物は、100%殺卵効力、即ち卵(ova)とも称されるシラミ卵に対する100%の死滅効率をさらに有し得る。
【0096】
言い換えると、本発明は、少なくとも70%、及び好ましくは少なくとも75、80、85、90、95又はさらに100%の上記節足動物に対する死滅効率が得られる、本明細書中で規定される組成物の使用に関する。本発明はまた、少なくとも70%、及び好ましくは少なくとも75、80、85、90、95又はさらに100%の治癒率が得られる、本明細書中で規定される組成物の使用を意図する。本発明はまた、特に、少なくとも70%、及び好ましくは少なくとも75、80、85、90、95又はさらに100%の上記節足動物の卵に対する死滅効率が得られる、節足動物の卵を死滅させるための本明細書中で規定される組成物の使用に関する。
【0097】
本発明はさらに、上記節足動物が、昆虫又はクモ形網動物、及び好ましくは吸血シラミ又は咀嚼シラミであり、上記節足動物及び/又は上記節足動物の卵に、本明細書中で規定される組成物又は本明細書中で規定されるヘア製品を塗布することを含む、節足動物及び節足動物の卵を死滅させる方法を提供する。特に、上記節足動物及び節足動物の卵を、上記節足動物及び上記節足動物の卵に、本明細書中で規定される組成物又はヘア製品を塗布することによる単回処置工程において、少なくとも70%、及び好ましくは少なくとも75、80、85、90、95又はさらに100%の上記節足動物に対する死滅効率で、並びに少なくとも70%、及び好ましくは少なくとも75、80、85、90、95又はさらに100%の上記節足動物に対する死滅効率で死滅させる、節足動物及び節足動物の卵を死滅させる方法が提供される。
【0098】
装置
本発明はさらに、本発明による発泡性組成物を備える装置に関する。好ましくは、当該装置は、組成物を含有する容器と、泡を形成する手段と、任意にカバーと、任意に透明なカバー等のカバーとを備える。組成物は、非圧縮状態又は圧縮状態で容器内に存在し得る。
【0099】
本発明の組成物は、必要になるまで任意の簡便な容器内に貯蔵され得る。この容器に、必要に応じて組成物を発泡させる手段を設けるのが便利であろう。好ましくは、泡製剤の組成物を分配するのに本発明によって使用される容器は、(液体)組成物と空気とを混合して泡を形成する、網目スクリーンを備える例えば泡ポンプ分配器等の、泡を形成する手段、又は等価な手段を備える。
【0100】
第1の実施形態において、上記装置は、例えば図4に示されるような泡分配ポンプ装置から成る。好ましくは、かかる装置は、例えば溶液等の圧縮液体状態又は非圧縮液体状態の本発明による組成物を含有する。示される分配装置1は、本発明による発泡性組成物を保持する容器2を備える。本明細書中で泡ポンプとも称するポンプアセンブリ3は、容器2の開口部に嵌合されている。ポンプアセンブリは、カバー7で被覆されていてもよい。プラスチックチューブ12は、容器2の底部から、容器の上部にあるポンプアセンブリ3まで延びる。ポンプアセンブリは、ポンプアセンブリ3を容器2、液体ポンプ4、エアポンプ5、及び液体ポンプ及びエアポンプの作動要素として機能する共通の操作ボタン6に嵌合させるような嵌合カラーを備える。代替的な実施形態において、作動要素はまた、いわゆるトリガーポンプのレバー、又は壁取り付け型容器のボタンとして設計されていてもよい。共通の操作ボタン6は、ポンプアセンブリ3の固定部に対して動かすことができる。操作ボタン6がユーザーによって押されると、容器内に入っている液体組成物、及び空気が、それぞれ液体ポンプ4及びエアポンプ5によって混合チャンバ8へと分取される(by dispensed)。この混合チャンバ8では、実質的に操作ボタン6内を延びる分配経路9によって分配開口部10において分配される泡が形成される。分配経路9において、泡を滑らかにし且つ均質化するために、泡を好ましくは篩要素11の1つ又は複数の篩を介して流す。
【0101】
泡分配装置及びそれらの作用機構自体は一般的に既知である。泡を形成するかかる装置及びそれらの作用のさらなる詳細の記載に関しては、例えば、国際公開第2007/091882号パンフレット、米国特許第5,271,530号明細書及び米国特許第5,443,569号明細書に言及されており、これらは参照により本明細書中に援用され、これらの文献は参照によりここで本出願に援用される。当業者は、どのタイプの泡分配ポンプ装置を本発明により使用することができるのかを容易に理解するであろう。このため、泡分配ポンプ装置は本明細書中により詳細に記載しないものとする。
【0102】
第2の実施形態において、上記装置は、例えば図5に示されるようなエーロゾル分配装置から成る。かかるエーロゾル分配装置は、液体粒子のエーロゾルミストを作り出す分配システムの一タイプである。示されるエーロゾル分配装置101は、本発明による組成物を保持する容器102を備える。組成物は噴射剤と混合され、この混合物は圧縮液体状態又は加圧液体状態で容器内に入っている。バルブアセンブリ103は、容器102の開口部に嵌合されている。バルブアセンブリは、カバー(図示せず)で被覆されていてもよい。装置は、噴射剤と称される室温未満で沸騰する流体と、かなりの高温で沸騰する本発明による液体組成物とを含有する。本発明により使用され得る噴射剤は、プロパン、n−ブタン及びイソブテン又はジメチルエーテル及びメチルエチルエーテル等の揮発性炭化水素の混合物を含むが、これらに限定されない。噴射剤及び組成物は両方とも密閉容器又は密閉缶102に貯蔵される。プラスチックチューブ112は、容器の底部から、容器102の上部にあるバルブアセンブリ103まで延びる。
【0103】
バルブアセンブリ103は、バルブ本体104、内部に細い分配経路109が延びる小さい押し下げ可能な操作ヘッド106を備える。操作ヘッド106は、射出経路(exit path)109及び分配開口部110を規定する。バルブアセンブリ103全体は、取り付けガスケットによって容器102に封止され得る。伸縮バネ118が操作ヘッド106を押し上げて、分配経路の入口がタイトシール部(tight seal)113によって塞がれる。操作の際に、分配装置101の操作ヘッド106が押し下げられると、シール部が開き、それにより容器の内容物から外部環境への流路が形成される。高圧噴射剤ガスは、液体組成物を、バルブ本体104内へとチューブ112の上の方に追いやる。バルブ本体104内で、液体製品が、バルブ本体へ供給されるさらなる噴射剤と混合されてもよい。バルブ本体104から、液体製品を、操作ヘッド106内に延びるように形成される分配経路109を介して分配開口部110から噴射させる。狭い分配開口部は、流れる液体を微粒子状にし、それを微細な噴霧を形成する小滴へと破壊するのに役立つ。
【0104】
エーロゾル分配装置及びそれらの作用機構自体は一般的に既知である。エーロゾルを形成するかかる装置及びそれらの作用のさらなる詳細の記載に関しては、例えば、米国特許第2007/0194040号明細書及び米国特許第6,290,104号明細書に言及されており、これらは参照により本明細書中に援用され、これらの文献は参照によりここで本出願に援用される。当業者は、どのタイプのエーロゾル分配装置を本発明により使用することができるのかを容易に理解するであろう。このため、エーロゾル分配装置は本明細書中により詳細に記載しないものとする。
【0105】
組成物の使用
本発明によれば、本明細書中で規定される組成物を、節足動物及びそれらの卵を死滅させるのに使用する。本明細書中で使用される用語「死滅させる」には、上記節足動物、例えば外寄生生物及び/又はそれらの卵を忌避すること、減数させること、及び根絶させることが含まれる。節足動物及び/又はそれらの卵を死滅させる本発明の組成物の使用は、予防を目的とした使用も含む。
【0106】
本発明による組成物は、節足動物、特に陸生節足動物、特に昆虫及びクモ形網動物、並びにそれらの卵を死滅させる上で有用である。昆虫としては外寄生生物が挙げられる。特に、上記組成物は、シラミ死滅活性を有するため、特にヒトを含む動物におけるシラミの寄生を処置するのに有用である。
【0107】
外寄生生物としては、吸血シラミ及び咀嚼シラミ、ノミ、ヒツジシラミバエ(keds)、ダニ並びにマダニが挙げられる。
【0108】
吸血シラミ(シラミ目)及び咀嚼シラミ(ハジラミ目)は、哺乳類の略全ての群に見られる寄生生物であり、ヘマトピナス属(Haematopinus spp.)、ケモノホソジラミ属(Linognathusspp.)、ソレノポテス属(Solenopotes spp.)、シラミ属(Pediculus spp.)、及びケジラミ属(Pthirus spp.)が挙げられる。シラミ属としては、ペジクルス・フマヌス(Pediculus humanus)、例えば、アタマジラミであるペジクルス・フマヌス・キャピティス(Pediculus humanus capitis)、及び人体又は衣服に付くシラミであるペジクルス・フマヌス・フマヌス(Pediculus humanus humanus)が挙げられる。ケジラミ属としては、ケジラミ(crab louse)であるフチルス・プビス(Pthirus pubis)が挙げられる。
【0109】
マダニは、ダニ(Acari)亜網最大の群であり、陸脊椎動物の絶対吸血型外寄生生物である。或る種のものは家畜の有害生物であるのに対し、別の群はヒト疾患へと変異する。マダニは3つの科に分類され、1つを除き他はマダニ科(カタダニ)に属すか又はヒメダニ科(軟ダニ)に属するものである。本発明の組成物は、軟ダニ及びカタダニを死滅させるのに使用することができる。
【0110】
本発明の組成物はまた例えば、公衆衛生上有害な生物、例えばゴキブリ及びトコジラミ;有害節足動物、例えばカリノバチ、アリ、シミ及びワラジムシ;並びに構造物にとって有害な生物、例えば家具につく害虫、シバンムシ及び他のキクイムシを含む他の陸生節足動物の駆除に有用である。
【0111】
節足動物の卵としては、本明細書中で規定される外寄生生物の卵が挙げられ、シラミ卵又は卵とも称される、吸血シラミ及び咀嚼シラミの卵、ノミ、ヒツジシラミバエ、ダニ及びマダニの卵が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
好ましくは、毛髪の処置、要するにヘアケアのために組成物を使用する。本発明によるヘアケア製品は、従来方法で使用することができ、包括的に有効量のヘア製品を毛髪、好ましくは乾いている毛髪に塗布することを伴う。この組成物を、毛髪内/上に約5分間〜8時間放置し、引き続き広範にわたって毛髪を水洗及び洗浄することによって除去する。典型的に自分の手で又は他人の手によって毛髪及び頭皮を擦るか又はマッサージすることによって、この組成物を毛髪全体に散布させる。典型的に約1グラム〜約100グラム、好ましくは約10グラム〜約30グラムの有効量の組成物を塗布する。
【0113】
使用方法
本発明の組成物は従来方法で使用してもよい。概して、本発明の泡製剤は、塗布の直前に任意の好適な装置から作られる泡形態で対象とされる身体部位に直接塗布される。しかしながら、一定量の発泡製剤を作った後で、好適な手段によって、例えば手又はスパチュラによって身体部位に塗布することも可能である。
【0114】
典型的に約1グラム〜約200グラム、例えば約30グラム〜約150グラム、又は約1グラム〜約100グラム、又は約10グラム〜約30グラムの有効量の組成物を塗布する。
【0115】
例えば毛髪を処置する方法は、(a)有効量の組成物を毛髪に塗布する工程と、(b)毛髪と接触するよう組成物を行き渡らせる工程と、(c)死滅を起こさせるように、組成物を好適な時間毛髪上に放置する工程と、(d)水を用いて毛髪から組成物を洗い流す工程とを含む。毛髪への組成物の塗布は典型的に、通常は手及び指を用いて組成物を毛髪全体に行き渡らせることを含む。組成物は、例えば約5分間又は10分間〜8時間、毛髪と接触したままにする。その後、組成物を、水及び任意に石鹸(例えばシャンプー)を用いて毛髪から洗い流す。
【0116】
例えば皮膚を処置する方法は、(a)有効量の組成物を皮膚に塗布する工程と、(b)死滅を起こさせるように、組成物を好適な時間皮膚上に放置する工程と、(c)水を用いて皮膚から組成物を洗い流す工程とを含む。組成物は、例えば約5分間又は10分間〜8時間、皮膚と接触したままにすることができる。その後、組成物を、水及び任意に石鹸を用いて皮膚から洗い流す。
【0117】
追求される効果を達成するために、所望に応じて方法工程を何回でも繰り返すことができる。しかしながら、第1の処置で死滅しなかった孵化したシラミを全滅させるためには、7日後に処置を繰り返すことが好ましい。
【実施例】
【0118】
実施例1
シラミに対する効力に関する、本発明による組成物のin vitro検査
本発明では、シラミ(イヌハジラミ)に対するin vitro活性に関する、本発明の製剤による組成物の検査を報告する。
【0119】
本実験において、検査した組成物が、シラミの呼吸に影響を及ぼすことが分かった。これらの組成物は、ヒトジラミの寄生に対して迅速な影響を及ぼすことが分かった。ヒトジラミを用いる作業が難しいこと(安全性)を考慮して、本実験ではイヌジラミを用いた。シラミの系統(シラミ目(吸血シラミ)及びハジラミ目(咀嚼シラミ))は両方とも、同一の呼吸機構を有する。このため、窒息させる組成物(即ち、寄生生物の気門を閉塞させる組成物)の影響は両系統とも同じであることが認められる。
【0120】
不活性対照(水)、活性対照、及び種々の組成物(各実験毎に4つ、2回繰り返す)を用いて4つの試行を行った。使用した組成物を表1に示す。活性対照は、96wt%のシクロメチコンと4wt%のジメチコンとを含むが、炭化水素を含まない組成物から成るものとした。
【0121】
【表1】

【0122】
試行1及び試行2は浸水試験から成るものとした。試行1では、シラミを対照/組成物中に浸水させることによって効力を求めた。この試行の第1の処理(run)においてシラミをおよそ30秒間曝すと共に、第2の処理ではおよそ10秒間曝した。試行2では、シラミをおよそ10秒間浸水させた後、水で洗い流し、残留する製剤を除去した。試行2は二度実行した。
【0123】
試行3及び試行4は接触試験から成るものとした。試行3及び試行4では、対照/組成物を染み込ませた濾紙に接触させることによって効力を求めた。
【0124】
全ての試行において、水対照を二度処理し、二次汚染が起きないことを確実にするため、水対照を、試験を行う最初の物質及び最後の物質とした。
【0125】
材料及び方法
シラミ
全ての試行において、試行を実行する24時間以内に、寄生されたイヌからシラミ(イヌハジラミ)を採取した。試験用のシラミを用意するために、10匹±1匹のシラミを2ml容の微小遠心管に入れた。イヌの毛髪も幾らか各管に入れた(およそ10本〜15本の毛髪)。管に入れる前に各シラミの生存能力を確認した。シラミが動いていたら生存可能であると判断した。
【0126】
生存能力の判定
全ての試行において、シラミが生存可能であるか(生死)を確認することによって効力を判定した。シラミが動いているか、又は脚が動いていたら生存していると区分した。静止しているシラミは運動を促すように鉗子で突付いた。
【0127】
試行1
シラミを微小遠心管内に入れた後、ピペットを用いて2mlの試験組成物、水又は対照を管に入れた。およそ30秒(処理1)又は10秒(処理2)後に、管を逆さまにして、内容物を、濾紙を並べたペトリ皿に流した。シラミを直ちに取り出し、濾紙を備えた清潔なペトリ皿に入れ、生存能力を判定した。この判定後、シラミを濾紙上に最大1時間放置し、生存能力を再度確認した。両処理とも、被験品目は、水、活性対照、並びに組成物1、2、3及び4とした。
【0128】
試行2
試行2は、以下の点で異なる以外は試行1の処理2と同じとした。管を逆さにして内容物を、濾紙を並べたペトリ皿に流した後、シラミを新しい濾紙に移し、およそ2mlの水で洗浄した。その後、シラミを、濾紙を備えた清潔なペトリ皿に移し、生存能力について判定した。この判定後、シラミを濾紙上におよそ1時間放置し、生存能力を再度確認した。この試行における被験品目は、水、活性対照、並びに組成物5、6a、6b及び6cとした。
【0129】
試行3
試行3では、1mlの試験組成物、水又は対照を濾紙上に置いた。紙には染み込ませるが液体の貯留がないように、過剰な液体を紙から振り落とした。次に、紙をペトリ皿に入れた。微小遠心管内のシラミを濾紙上に流し、2分〜10分間毎分、生存能力について判定した。少なくともせいぜい1匹のシラミが生存している時間を記録し、また全てのシラミが死滅したときの時間を記録した。10分後にシラミが全て死滅しなかった場合には、生存しているシラミの数を1時間後に記録した。試行3における被験品目は、水、活性対照、並びに組成物1、2、3、4、5、6a、6b及び6cとした。
【0130】
試行4
試行4は試行3と同じとした。しかしながら、全てのサンプルを二度処理した。また、死滅したシラミの数を1分〜10分間毎分記録した。試行4における被験品目は、水、活性対照、並びに組成物2、5、9及び11とした。
【0131】
結果
試行1の実行では、10匹のシラミを使用した。全試験組成物及び活性対照に関して、シラミは全て、曝された直後に死滅したと判断された。水対照中のシラミは生存していた。1時間後、試験群及び活性対照の処置におけるシラミは回復することなく、水対照中のシラミは全て依然として生存していた。
【0132】
試行2において、次に述べる数のシラミを使用した(表2)。
【0133】
【表2】

【0134】
試行1と同様に、試験組成物及び活性対照に曝したシラミは全て、曝された直後に死滅したと判断された。水対照中のシラミは全て生存していた。1時間後、試験群及び活性対照の処理におけるシラミは回復することなく、水対照中のシラミは全て依然として生存していた。
【0135】
試行3に関する結果を表3に提示する。
【0136】
【表3】

1 時間1は、せいぜい1匹のシラミが依然として生存している時点である。
時間2は、10分までの確認においてシラミが死滅した時間とした。
2 NA=該当なし
3 水の2つのサンプルを試験した。両結果とも同じであった。
4 10分で、5匹が依然として生存していた。
5 これらのサンプルは二度処理した。
【0137】
場合によっては、2回の確認時の間でシラミが全て死滅しており、1匹でもシラミが依然生存していた時点がないこともあった(例えば、サンプル2、6a及び6c)。試行4に関する結果を表4に提示する。
【0138】
【表4】

【0139】
サンプルを処理する順序は、水、対照、組成物9、11、2、5、9、11、2、5、対照、水とした。図1及び図2はそれぞれ、試行4に関して対照(水及び活性対照)と比較した、被験組成物の絶対効果及び相対効果を示す。
【0140】
考察
試験組成物及び活性対照は全て、浸水試験(試行1及び試行2)においてシラミに対して効果的であった。水中への浸水は、シラミの生存能力に影響を与えないため、水に曝して沈めても死滅しなかった。被験組成物は、試行1及び試行2における活性対照と同様の効力を示した。
【0141】
全ての試験組成物及び活性対照は、接触試験(試行3及び試行4)においてシラミに対する効力を実証した。接触試験では、組成物の粘度によって幾らか相違を説明することができる。例えば、組成物5及び組成物9では、シラミが濾紙上を一定時間歩行することができたのに対し、他の組成物(例えば、組成物2及び組成物11)では、シラミの歩行が直ちに止まった。また、実際の接触時間は、シラミが毛髪にくっついていれば示される時間よりも短かかったとされる。具体的には、シラミが毛髪にくっついて、且つ液体が毛髪を伝わなければ、シラミは一定時間接触を回避することができた。これを低減するために、全ての毛髪を鉗子で濾紙に押し付けた。しかしながら、これにより、最大1分の接触の遅れが生じた。
【0142】
試行3では、組成物5を除く全ての組成物が、シラミに対する高い効力を示した。活性の速さに幾らかの相違を見ることができた。組成物1、2及び6cが最も速い活性を実証し、組成物6b及び対照が最も遅い活性を実証した。
【0143】
試行4(図1及び図2も参照)から、炭化水素と直鎖シロキサンとの組み合わせから成る、活性対照、組成物2及び組成物11が、炭化水素を含むがシロキサンを含まない組成物に比べて、シラミに対するより迅速な効果を示したことを観測することができる。
【0144】
本実験から、本明細書中で使用されるような直鎖炭化水素を含む組成物がシラミに対する効果を示し、且つシラミを死滅させることができると結論づけることができる。また、本明細書中で使用されるような直鎖炭化水素と直鎖シロキサンとの組み合わせを含む組成物が、炭化水素のみを含む組成物に比べて、より良好な結果、例えばシラミに対するより迅速な死滅効果、及びより多くの数のシラミの死滅をもたらした。さらに、直鎖炭化水素と直鎖シロキサンとを含む本発明による組成物は、当該技術分野で既知の活性対照に匹敵する寄生生物の死滅効果を示した。
【0145】
実施例2
接触試験を用いたシラミに対する効力に関する、本発明による組成物のin vitro検査
本実験は、不活性対照(水)、活性対照、本発明による組成物、British Pharmacopeiaに従って生成されたオリーブオイル、及び2つの従来技術の組成物、1つは有効成分としてニーム油を有するもの(Bioforce Neemcare Riddance)及びもう1つは有効成分としてペルメトリンを有するもの(1%ペルメトリンを含むLyclearクリームリンス)を用いた、実施例1の試行3及び試行4と同様である。検査した組成物は全てシラミの呼吸機構に対する影響を有していた。本発明による組成物は、4wt%のジメチコン(25℃で60000センチストークス)、48wt%のC13〜C15炭化水素と、48wt%のC15〜C19炭化水素とを含む。活性対照は、96wt%のシクロメチコンと、4wt%のジメチコン(25℃で60000センチストークス)とを含むが、炭化水素を含まない組成物から成る。この試行に関する結果を表5に提示する。
【0146】
【表5】

【0147】
本発明による組成物、活性対照(2つの実験)及び第1の従来技術の組成物は、接触試験においてシラミに対して全て有効であり、生きているシラミの迅速な死滅を示した。この試行結果(図3も参照)は明確に、第2の従来技術の組成物及びオリーブオイルに比べて、活性対照(両実験)、第1の従来技術の組成物及び本発明による組成物が迅速に生きているシラミを死滅させたことを示している。図3は、対照(水及び活性対照)と比較したこの試行における被験組成物の絶対効果を示す。
【0148】
本実験から、直鎖炭化水素と直鎖シロキサンとの組み合わせを含む本発明による組成物が、従来技術の組成物に比べて、より良好な結果、特にシラミに対するより迅速な死滅効果、及びより多くの数のシラミの死滅をもたらすと結論づけることができる。さらに、本発明による組成物は、従来技術の組成物と比べて2倍速い死滅効果を示した。
【0149】
実施例3
本発明による一連の組成物の発泡能力の評価
本実験では、本発明による一連の組成物を発泡能力に関して検査した。使用した組成物を表6に示す。組成物の発泡能力を判定するために、容器を組成物で充填した。泡ポンプを容器に取り付け、装置を振とうさせた。この後、0.04リットルの泡の体積を得るのに必要とされた分配器のストローク回数を測定した。泡の最大体積を最小回数のストロークで得る必要があるため、発泡能力はこのようにして判定することができる。所定体積を得るのに必要なストローク回数が多いことによって、より低い泡特性が示される。
【0150】
【表6】

【0151】
組成物6、7、8、9、10、12、13、14及び15は、本明細書中で規定される安定した泡を形成した。組成物2、3、4、5、11及び16では不安定な泡が得られた。組成物1では、発泡が起こらなかった。組成物1が発泡しなかったことから、泡を得るのに炭化水素が必要であることが実験から示された。0.04リットルの体積を得るのに必要な最も少ないストローク回数は、C11、C12、C13、C14又はC15炭化水素のいずれかを含有する組成物に関して観測されたのに対し、C、C、C10又はC16炭化水素を含有する組成物では、多くのストローク回数が0.04リットルの体積を得るのに必要であり、不十分な泡しか得られなかった。さらに、C、C、C10、C16炭化水素を含有する組成物に関して発生した泡は不安定であるため、塗布に適しなかった。
【0152】
さらに、結果から、本発明による組成物中の分岐炭化水素の使用(例えば、組成物2)は少量の泡しか発生させないことが示される。C11、C12、C13、C14又はC15炭化水素とジメチコンとを含有する組成物から発生した泡はまた、処置対象領域に泡を十分に塗布するのに十分に長い本明細書中で規定される所定時間の間、安定なままであった。
【0153】
実施例4
組成物の治癒率を判定するin vivo実験
本実験では、ヒトによる試行を行い、本発明による組成物の効力を判定した。4wt%のジメチコン(25℃で60000センチストークス)、48wt%のC13〜C15炭化水素と、48wt%のC15〜C19炭化水素とを含む本発明による組成物、及び有効成分としてペルメトリン(NIX、1%ペルメトリン)を含む従来技術の組成物を検査した。
【0154】
試行中、アタマジラミを有する合計30人の患者を処置し、15人の患者を本発明による組成物で処置し、15人の患者を従来技術の組成物で処置した。試行は、組成物による2つの連続した処置から成り、第2の処置は第1の処置の7日後に行った。処置の効力を判断するために、生存するシラミ及び幼虫の数を、処置の1日前(時点1)、第1の処置の1日後(時点2)、第2の処置の7日前(時点3)、及び第2の処置の7日後(時点4)で4度計数した。次に、各群において生きているシラミを有していない人のパーセンテージとして治癒率を算出した。生きているシラミ又は幼虫が患者において見つからなかった場合には完全な根絶と考えた。この試行に関する結果を表7に提示する。
【0155】
【表7】

【0156】
本実験から、本発明による組成物の効力が従来技術の組成物による処置よりもかなり良好であることが示された。第1の処置後、本発明による組成物で処置された患者において生存するシラミは得られなかったのに対し、従来技術の組成物で処置された患者では、27%しか生存するシラミの非存在を示さなかった。時点2において、本発明による組成物で処置した場合、73%が生きているシラミの非存在を示したのに対し、従来技術の組成物で処置した場合には、33%しか生きているシラミの非生存を示さなかった。これらの結果から、73%の治癒率を得ることができるため、本発明による組成物の第1の処置後の効力は、従来技術の組成物のものよりもかなり高いことが明らかである。
【0157】
第2の処置後、本発明による組成物で処置された患者において生きているシラミは得られなかったのに対し、従来技術の組成物で処置された患者では、73%が生存するシラミの非存在を示した。
【0158】
なお、本発明による組成物で処置された群における第2の時点での73%の治癒率はさらに本質的に、本発明の組成物が殺卵活性を有し、且つシラミ卵を効果的に死滅させることができることを示す。
【0159】
従来技術の組成物に比べて、本発明による組成物はより良好な効率を示し、例えば、より高く且つより速い死滅速度及びより高い死滅効率が本発明による組成物を用いて得られる。本実施例において、処置直後の短期に、本発明による組成物は、従来技術の組成物に比べて、生存するシラミの4倍効果的な死滅を示す一方、処置の数日後の長期には、本発明による組成物を用いて2倍〜3倍効果的な処置が得られた。
【0160】
実施例5
本発明による組成物の好ましい実施例
以下の実施例は本発明による組成物の幾つかの実施形態を示す。
【0161】
第1の組成物は、
A)4wt%のジメチコン(例えば、25℃で20000、40000、60000又は80000センチストークス、及び好ましくは25℃で60000センチストークス又は80000センチストークス)と、
B)C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19及び/又はC20炭化水素から成る群から選択される10wt%〜96wt%の1つ又は複数の飽和直鎖炭化水素、及び好ましくは、
0重量%〜30重量%のC10、C11、C12、C13、C14及び/又はC15炭化水素、好ましくは1重量%〜20重量%のC10、C11、C12、C13、C14及び/又はC15炭化水素、及びより好ましくは5重量%〜15重量%のC10、C11、C12、C13、C14及び/又はC15炭化水素、並びに、
任意に、0重量%〜30重量%のC16炭化水素、好ましくは1重量%〜20重量%のC16炭化水素、及びより好ましくは5重量%〜15重量%のC16炭化水素、
任意に、0重量%〜30重量%のC17炭化水素、好ましくは1重量%〜20重量%のC17炭化水素、及びより好ましくは5重量%〜15重量%のC17炭化水素、
任意に、0重量%〜30重量%のC18炭化水素、好ましくは1重量%〜20重量%のC18炭化水素、及びより好ましくは5重量%〜15重量%のC18炭化水素、
任意に、0重量%〜30重量%のC19炭化水素、好ましくは1重量%〜20重量%のC19炭化水素、及びより好ましくは5重量%〜15重量%のC19炭化水素、並びに/又は、
任意に、0重量%〜30重量%のC20炭化水素、好ましくは1重量%〜20重量%のC20炭化水素、及びより好ましくは5重量%〜15重量%のC20炭化水素と、
C)任意に、0.1wt%〜2wt%の第四級シリコーンコポリマーとを含む。
【0162】
別の好ましい本発明による組成物は、25℃で60000センチストークスの4wt%のジメチコンから成り、その残りの部分は、飽和直鎖炭化水素、特に0.1wt%未満のC10、0.1wt%未満のC11、1.4wt%のC12、9.4wt%のC13、22.5wt%のC14、20.8wt%のC15、13.6wt%のC16、14.0wt%のC17、9.8wt%のC18、4.7wt%のC19、2.0wt%のC20飽和直鎖炭化水素(当該重量%は組成物に基づくものである)を含む。
【0163】
さらに別の好ましい本発明による組成物は、25℃で60000センチストークスの4wt%のジメチコンから成り、その残りの部分は、
飽和直鎖炭化水素、特に0.1wt%未満のC10、0.1wt%未満のC11、1.4wt%のC12、9.4wt%のC13、22.5wt%のC14、20.8wt%のC15、13.6wt%のC16、14.0wt%のC17、9.8wt%のC18、4.7wt%のC19、2.0wt%のC20飽和直鎖炭化水素(当該重量%は組成物に基づくものである)と、
0.4wt%未満の芳香族化合物、及び好ましくは0.1wt%未満の一芳香族、0.1wt%未満の二芳香族、0.1wt%未満の三芳香族、0.1wt%未満の四芳香族(当該重量%は組成物に基づくものであり、上記一芳香族、二芳香族、三芳香族及び四芳香族はそれぞれ1つ、2つ、3つ又は4つの芳香族基を有する化合物として定義される)と、
0.01wt%未満のメタノール、0.01wt%未満のエタノール及び0.1wt%未満のモノエチレングリコール(当該重量%は組成物に基づくものである)とを含む。
【0164】
実施例6
浸漬試験を用いたシラミ属のシラミ卵に対する効力に関する、本発明による組成物のin vitro評価
本実験では、10個のシラミ卵を15分間本発明による組成物中に浸漬させ、シラミ卵を孵化させるのに適する恒温器に入れた。孵化を15日間毎日モニタリングした。10個の浸漬させたシラミ卵のうち、組成物に曝した後、シラミ卵が1匹も孵化しなかったため、約100%の殺卵効力が実証された。
【符号の説明】
【0165】
1 分配装置
2 容器
3 ポンプアセンブリ
4 液体ポンプ
5 エアポンプ
6 操作ボタン
7 カバー
8 混合チャンバ
9 分配経路
10 分配開口部
11 篩要素
12 プラスチックチューブ
101 分配装置
102 容器
103 バルブアセンブリ
104 バルブ本体
106 操作ヘッド
109 分配経路
110 分配開口部
112 プラスチックチューブ
113 タイトシール部
118 伸縮バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
節足動物を死滅させるための発泡性組成物の使用であって、該発泡性組成物が、有効成分として、70重量%を超える10個〜22個の炭素原子を有する1つ又は複数の飽和直鎖又は分岐炭化水素と、安定化剤として、0.01重量%〜10重量%の25℃で少なくとも20000センチストークスの粘度を有するジメチコンとを含む、節足動物を死滅させるための発泡性組成物の使用。
【請求項2】
前記組成物が、1重量%〜4重量%のジメチコンを含む、請求項1に記載の組成物の使用。
【請求項3】
前記ジメチコンが、25℃で少なくとも40000センチストークスの粘度を有する、請求項1又は2に記載の組成物の使用。
【請求項4】
前記ジメチコンが、25℃で約60000センチストークスの粘度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項5】
前記組成物が、約75重量%〜99重量%、及び好ましくは約90重量%〜97.5重量%の1つ又は複数の飽和直鎖又は分岐炭化水素を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項6】
前記炭化水素が、飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素、飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素、飽和直鎖又は分岐C18〜C21炭化水素、又はそれらの任意の混合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項7】
前記炭化水素が、飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素と、飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素との混合物を含み、飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素と飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素との比率が、2:1〜1:2とされる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項8】
飽和直鎖又は分岐C13〜C15炭化水素と飽和直鎖又は分岐C15〜C19炭化水素との前記比率が1:1である、請求項7に記載の組成物の使用。
【請求項9】
前記炭化水素が、直鎖又は分岐C12、C13、C14若しくはC15炭化水素、又はそれらの任意の混合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項10】
前記炭化水素が直鎖炭化水素から成る、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項11】
前記組成物が、有効成分として、48重量%の飽和直鎖C13〜C15炭化水素及び48重量%の飽和直鎖C15〜C19炭化水素と、安定化剤として、4重量%の25℃で約60000センチストークスの粘度を有するジメチコンとを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項12】
前記節足動物が、昆虫又はクモ形網動物、及び好ましくは吸血シラミ又は咀嚼シラミである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
少なくとも70%、及び好ましくは少なくとも75%の前記節足動物に対する死滅効率が得られる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
少なくとも70%、及び好ましくは少なくとも75%の治癒率が得られる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
節足動物の卵を死滅させるための請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項16】
少なくとも70%、及び好ましくは少なくとも75%の前記節足動物の卵に対する死滅効率が得られる、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
節足動物及び節足動物の卵を死滅させるためのヘア製品であって、該節足動物が、昆虫又はクモ形網動物、及び好ましくは吸血シラミ又は咀嚼シラミであり、該ヘア製品が、請求項1〜11のいずれか一項に規定される発泡性組成物を含む、節足動物及び節足動物の卵を死滅させるためのヘア製品。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物又は請求項17に記載のヘア製品を備える装置、及び該組成物又は該ヘア製品の散布手段。
【請求項19】
節足動物及び節足動物の卵を死滅させる方法であって、該節足動物が、昆虫又はクモ形網動物、及び好ましくは吸血シラミ又は咀嚼シラミであり、該方法が、該節足動物及び該節足動物の卵に、請求項1〜16のいずれか一項に規定される組成物又は請求項17に規定されるヘア製品を塗布することを含む、節足動物及び節足動物の卵を死滅させる方法。
【請求項20】
前記節足動物及び前記節足動物の卵を、少なくとも70%、及び好ましくは少なくとも75%の該節足動物に対する死滅効率で、並びに少なくとも70%、及び好ましくは少なくとも75%の該節足動物に対する死滅効率で死滅させる、請求項19に記載の節足動物及び節足動物の卵を死滅させる方法。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−515766(P2010−515766A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545913(P2009−545913)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050417
【国際公開番号】WO2008/087148
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509200211)オイスターシェル エヌ.ブイ. (1)
【Fターム(参考)】