説明

簾及びフェンス

【課題】 本発明は、巻き取りがコンパクトに行えるとともに、遮視性が確保される簾と、簾を備えるフェンスを提供することにある。
【解決手段】 並列に配置する複数の細長いスラット1と、各スラット1の間に挟まれる球状部材2と、スラット1と球状部材2にそれぞれ通して互いを連結するワイヤ3とを備え、各スラット1が対向する側の端部には、球状部材2の一部を受け入れて嵌合する凹部4がそれぞれ設けてあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採光や採風、あるいは遮視による躯体内のプライバシー保護を目的とした簾と、その簾を有するフェンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
躯体開口部やフェンスの支柱間に取り付ける簾としては、特開2004−305646号公報がある。この簾は、並列に複数配置する細長い中空金属管棒の間に中空金属間接材を挟み、各々にワイヤを挿通して一列に連結したものであり、支柱間や躯体開口部の両側枠間で吊り下げることで、中空金属管棒間の隙間から採光、採風をしながら、外からの遮視効果を付与するものであった。また、簾状であることから開放したいときには上枠側に巻き取ることも可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−305646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に開示されるものでは、中空金属管棒と中空金属管間接材に厚みがあることから、簾のコンパクトな巻き取りができなかった。また、各中空金属管棒の間に中空金属管間接材の大きさ以上の隙間が形成されることから、中空金属管棒間の隙間が大きくなって遮視性が確保できない問題点があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、巻き取りがコンパクトに行えるとともに、遮視性が確保される簾と、簾を備えるフェンスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうち請求項1記載の発明は、並列に配置する複数の細長いスラットと、各スラットの間に挟まれる球状部材と、スラットと球状部材にそれぞれ通して互いを連結するワイヤとを備え、各スラットが対向する側の端部には、球状部材の一部を受け入れて嵌合する凹部がそれぞれ設けてあることを特徴とする。
【0006】
本発明のうち請求項2記載の発明では、スラットは、上下端にそれぞれ凹部を有するとともに、中間部に垂直面を有し且つ垂直面と凹部との間に傾斜面を有することを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項3記載の発明は、簾と支柱とを備えており、簾は、その両側端部を支柱間に固定してあることを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項4記載の発明では、簾は、支柱間を上下動すると共に巻き取りが自在であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1記載の発明によれば、スラットに球状部材を受け入れる凹部を有しており、並列に配置するスラット間に球状部材を挟んで各々にワイヤを通して連結することにより、凹部に球状部材の一部が受け入れられた分、スラット間の隙間が狭くなって遮視性が確保される。
【0010】
本発明の請求項2記載の発明によれば、スラットの中間部に垂直面を有し、また、垂直面と凹部との間に傾斜面を有することにより、スラットと球状部材との段差が小さくなることから、簾をコンパクトに巻き取ることができる。さらに、スラットの凹部と垂直面との間に傾斜面を有することにより、日差しや灯りの光が傾斜面で乱反射し、この反射光でスラット間の隙間が見えにくくなって遮視性が向上する。
【0011】
本発明の請求項3記載の発明によれば、各スラットの両側端部を支柱間に固定することにより、間仕切りなどのフェンスとして使用することができる。
【0012】
本発明の請求項4記載の発明によれば、支柱間で簾が上下動するとともに、巻き取り自在であることから、フェンスの内外の開放と閉塞が容易に行えるので、使い勝手のよいフェンスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施による簾の側面図であり、(a)は、図1(b)中Aを拡大して簾の一部を示す縦断面図であり、(b)は、図2(a)中B−B線縦断面図である。
【図2】(a)は、簾を取り付けたフェンスの外側から見た正面図であり、(b)は、(a)中C−C線横断面図である。
【図3】(a)は、図2(a)中Dを拡大して外側から見た正面図であり、(b)は、簾の使用状態を説明する一部を拡大した縦断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態のフェンスを示すものであり、(a)は、外側から見た正面図であり、(b)は、図4(a)中のF−F線横断面図である。
【図5】(a)は、図4中のE−E線縦断面図であり、(b)は、巻き取られた状態の簾を示す横断面図であり、(c)は、図5中Gを拡大して示す縦断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態のフェンスを示すものであり、(a)は、外側から見た正面図であり、(b)は、図6(a)中のH−H線横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面に基づいて本実施による簾の実施の形態を説明する。
本実施による簾11は、図1(a)のように、並列に複数配置する細長く且つ中空のスラット1と、各スラット1の間に配置する球状部材2と、各スラット1と球状部材2に挿通して線状に連結するワイヤ3とからなり、図1(b)のように、躯体窓10の外側に間隔をあけて立設してある支柱6の上枠7に吊り下げてある。スラット1は、彎曲した傾斜面1aを有しており、さらに、傾斜面1aと連続する中間部に垂直面1bを有する縦長の角丸矩形状をなし、上下両端部に略半円状をなす凹部4がスラット1長手方向に連続して設けてある。また、スラット1の上下の各凹部4間を貫くかたちでワイヤ3を通す挿通孔5aが設けてあり、この挿通孔5aは、スラット1の長手方向に間隔をあけた複数箇所に設けてあり、ワイヤ3を通したときにスラット1を略水平に維持して吊り下げられるように形成してある。また、球状部材2は、中空で且つ球状をなしており、その上端と下端の二箇所を切欠いてワイヤ3を通す挿通孔5bが設けてある。そして、ワイヤ3にスラット1と球状部材2を交互に挿通して各々を連結させることで簾11を形成する。また、前述のように形成した簾11は、本実施のものでは図2(a)(b)のように、両側の各支柱6と各支柱6の上部間に取り付ける上枠7とから下向きコ字状に組まれたフェンスにおける上枠7に取り付けてあり、上枠7から簾11が吊り下がって外側と躯体窓10側を遮っている。また、各スラット1長手方向の両側端部は、支柱6内周側に設けてある縦溝8内に係止してあり、これにより、簾11が両支柱6と上枠7の間で固定される。
【0015】
上記のように形成したフェンスは、図3(a)のように、簾11を室外側正面から見たときに、球状部材2の上端の一部と下端の一部が上下に隣接するスラット1の凹部4に嵌ることにより、球状部材2が嵌り込んだ分、各スラット1間の隙間9が狭くなり、簾11による遮視性が確保される。また、図3(b)のように、簾11に陽が差したときは、スラット1の傾斜面1aで光が乱反射し、各スラット1間の隙間9にも反射光があたることにより、隙間9から躯体側が覗きにくくなる。
【0016】
図4(a)(b)は、本発明の他の実施形態を示すものであり、簾11については、上記した簾11固定型の実施形態のものと同一のため説明を省略するが、上枠27の躯体側にシャッターボックス29が設けてあり、そのシャッターボックス29内には、図5(a)を参照すれば、巻き取り軸30で巻き取られた簾11が格納してある。そして、簾11の各スラット1の両側端部は、フェンスの両支柱26内周側にそれぞれ設けてある縦溝28に上下動自在に係止してあり、シャッターボックス29から簾11を引き出したときに、縦溝28に沿って摺動する。簾11は、任意の引き下げ位置で位置決めでき、フェンスにおける簾11の開閉を自由に調節できる。また、図5(b)(c)のように、シャッターボックス29内に簾11が巻き取られたとき、スラット1の中間部に垂直面1bを有することにより、単に断面円形状のものと比べて肉厚が薄くなることに加え、垂直面1bと凹部4との間に傾斜面1aを有することで球状部材2との段差が小さくなる。さらに、球状部材2の一部が隣接するスラット1の凹部4に嵌り込む構造であり、これが簾11の上下方向に多数配されるものであることから、図5(c)のように、スラット1と球状部材2との連結部において各々が関節のように動き、巻き取りがスムーズに行えると共に、球状部材2との段差が小さく、簾11の厚みが薄くなることにより、シャッターボックス29内に簾11をコンパクトに巻き取ることができてフェンス全体の厚みを抑えることができる。
【0017】
また、本発明は、上記の実施形態に限定されない。図6(a)のように、上枠を設けずに支柱36間で簾11を支持して取り付けるものであってもよい。具体的に、本実施によるフェンスは、図6(b)のように、支柱36の内周側に設けてある縦溝38にスラット1の両側端部を差し込んで簾11を支持している。さらに、簾11を支柱6,26,36間の内周側に取り付けるもの以外に屋根の軒先に吊り下げてもよく、簾11の取付場所については限定しない。また、凹部4についても、上記実施形態では略半円状に形成してあるが、球状部材2と嵌合したときに略一致する形状であればよい。スラット1については本実施ではアルミを素材とするが、樹脂やその他を素材とするものでもよい。また、傾斜面1aは、上記実施形態では彎曲しているが、フラットに形成してもよい。また、簾11は、可動型であれば、巻き取りと引き出しが電動でなされるものであってもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 スラット
2 球状部材
3 ワイヤ
4 凹部
6,26,36 支柱
1a 傾斜面
1b 垂直面
11 簾

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に配置する複数の細長いスラットと、各スラットの間に挟まれる球状部材と、スラットと球状部材にそれぞれ通して互いを連結するワイヤとを備え、各スラットが対向する側の端部には、球状部材の一部を受け入れて嵌合する凹部がそれぞれ設けてあることを特徴とする簾。
【請求項2】
スラットは、上下端にそれぞれ凹部を有するとともに、上下端の中間部に垂直面を有し且つ垂直面と凹部の間に傾斜面を有することを特徴とする請求項1記載の簾。
【請求項3】
簾と支柱とを備えており、簾は、両側端部を支柱間に固定してあることを特徴とする請求項1又は2記載のフェンス。
【請求項4】
簾は、支柱間を上下動すると共に巻き取りが自在であることを特徴とする請求項3記載のフェンス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−105714(P2012−105714A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255037(P2010−255037)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【Fターム(参考)】