米用保存容器セット、米櫃用容器、米詰替用容器
【課題】米を容易に、かつ無駄なく詰め替えられるようにした、米詰替用容器と米櫃用容器とからなる米用保存容器セットを提供する。
【解決手段】米40の収納部となる容器本体11aと、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ他端が米供給口13aとして開口する中空筒状の首部12aとを備えるとともに、米を収納した状態で自立可能な米詰替用容器10aと、米の収納部となる容器本体21aと、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ他端が米導入口23aとして開口する管部22aとを備えて米詰替用容器内の米の詰め替え先となる米櫃用容器20aとからなり、米詰替用容器と米櫃用容器は、首部と管部のいずれか一方が、他方の開口に挿入可能に形成され、当該挿入状態において、首部と管部とを密着させるための弾性体30が介在している米用保存容器セット1aとしている。
【解決手段】米40の収納部となる容器本体11aと、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ他端が米供給口13aとして開口する中空筒状の首部12aとを備えるとともに、米を収納した状態で自立可能な米詰替用容器10aと、米の収納部となる容器本体21aと、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ他端が米導入口23aとして開口する管部22aとを備えて米詰替用容器内の米の詰め替え先となる米櫃用容器20aとからなり、米詰替用容器と米櫃用容器は、首部と管部のいずれか一方が、他方の開口に挿入可能に形成され、当該挿入状態において、首部と管部とを密着させるための弾性体30が介在している米用保存容器セット1aとしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米の保存容器に関する。具体的には、詰替用の米が入った容器と、米の詰め替え先となる容器とからなる米用保存容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、米は、米袋と呼ばれるビニール、紙、あるいは布でできた扁平な袋に詰められた状態で販売されている。また、販売単位は、5kgや10Kgであることが多い。そのため、例えば、スーパーマーケットなどにおいて、米穀類の販売区画にある商品棚に商品である米袋に入った米を陳列する場合、商品のサイズや重量が大きいため、棚の上段に置いたり、その棚から取り出したりすることが難しい。また、安全上も問題が多い。さらに、商品棚の奥行きも限られているため、扁平で幅がある米袋は、自ずと、棚の下段に積み重ねて陳列されることになる。そして、米穀類の販売区画にある商品棚の中段や上段には、レトルトパックの米など、ごく限られた商品が陳列されることになり、商品の販売スペースが無駄になっている。また、扁平な米袋を平たく置いた状態で陳列するため、米袋の表面に印刷されている商品に関する内容(商品名、産地、生産年、精米年月日など)を確認し難い。
【0003】
さらに、精米済みの米は、長期間の保存により品質(味など)が劣化するため、単身者の世帯などにとっては、5〜10Kg入りの米は、一度に購入する量としては多すぎる。もちろん、冷蔵庫などで米を冷蔵保存すれば、室温で保管するより、品質を長期間に亘って維持することも可能である。しかし、米袋のサイズが大きく、冷蔵庫内の他の食品の保存スペースを圧迫する。確かに、1〜2kg程度の少量の米が入った米袋もあるが、その米袋は、柔軟な素材と扁平な形状とにより、冷蔵庫の庫内で形状が一定に維持されず、他の食品を庫内に収納したり、収納済みの他の食品を冷蔵庫から取り出したりする際に邪魔になる。
【0004】
そこで、近年では、2kg程度の少量の米がペットボトルに詰められて販売されている。それによって、奥行きが少ない商品棚の中段や上段であっても立てた状態で陳列できるので、商品が取り出し易く、ペットボトルの表面に被装されたラベルに印刷された商品内容を容易に確認することができる。また、ペットボトル入りの飲料と同様に、冷蔵庫内にも整然と収納することができる。なお、ペットボトルに詰めた米、あるいは米を収納するためのペットボトルに関しては、以下の特許文献1や2などに記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3647137号公報
【特許文献2】特開平10−114351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、冷蔵庫で米を保管することで、長期間に亘って米の鮮度を維持することができる。したがって、ペットボトル入りの米は、備蓄という観点からも有用である。しかも、米袋には、普通、袋の内外を通気させるための孔が穿設されており、水害時には、その孔から水が侵入し、米が使用不可能となるが、ペットボトルでは、ボトルをキャップなどで密封しておけば、水分の侵入を憂慮する必要がなく、備蓄場所の被災にも高い耐性がある。
【0007】
また、米の保存形態という観点からもペットボトル入りの米は優れている。例えば、玄米の状態で米を保存すれば、長期間の常温保存が可能であるが、玄米を食料とするためには、普通、精米が必要となる。しかし、精米機は、電気などの動力を必要とし、その数や設置場所も限られており、災害時などにおいては精米すること自体が難しい。もちろん、圧力を加えるなど、普通とは異なる特殊な調理(炊飯)方法によって、玄米自体を食料にすることもできるが、災害時では、調理設備や器具が限られる。すなわち、玄米は、長期保存が可能であっても、非常時にすぐに食料として利用することが難しく、特に、一般家庭での備蓄用途としては問題が多い。一方、ペットボトルに精米を入れて冷蔵保存することで、水と加熱手段があれば、すぐに食用に供することができる米を長期間、鮮度を維持したまま保存することができる。
【0008】
このように、自立可能な密閉容器に収納された米は、冷蔵庫での保存に適しているが、その一方で、米は主食であり、ほぼ毎日調理する必要がある。そのため、冷蔵保存されている米を使う際の利便性が悪ければ、従来どおり、米櫃などに入った米を日常的に使用することになり、備蓄などの長期保存用途の米と日常用途の米とを個別に保管することになる。このように、備蓄米と日常用との米とを区別してしまえば、冷蔵保存であっても鮮度や風味を維持できる期間には限りがあり、いずれは備蓄米の全てを新しいものに交換することになり、一度に多額の費用がかかることになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述したような、ペットボトルなどの自立可能で冷蔵庫内での長期保存に適した容器に保存された米と、日常の食用米とに関わる各種課題に鑑み、ペットボトルなどの容器に収納された米を一般家庭における日常的な食事用途に対する保管と、非常時の備蓄とを並行して行うことを考えた。具体例を挙げると、日頃から米の詰まったペットボトルを多めに用意しつつ、日常的に使用する分を計量しながら取り出すことが容易な、あるいは耐久性が高く長期間に亘って常用できる米櫃などの容器(以下、米櫃用容器)に随時詰め替えていく。そして、ペットボトルに入った米を詰め替え用として購入し、随時補給する、という備蓄方法を考えた。それによって、米の備蓄量と鮮度を一定に維持しつつ、日常の食事用途については、米櫃用容器から米を取り出して、米を炊くことができる。
【0010】
しかしながら、上述した米の備蓄方法では、ペットボトルから米櫃用容器に詰め替える頻度が多くなる。そのため、移し替えの作業に際し、米がこぼれることなく、確実に詰め替えられるように、ペットボトルなどの詰め替え用途の容器(以下、米詰替用容器)や米櫃用容器の構造を工夫する必要がある。
【0011】
そして、本発明の主要な目的は、米を容易に、かつ無駄なく詰め替えられるようにした、米詰替用容器と米櫃用容器とからなる米用保存容器セットを提供することにある。そして、本発明は、米を収納した状態で自立可能な米詰替用容器と、当該米詰替用容器内の米の詰め替え先となる米櫃用容器とからなる米用保存容器セットであって、
前記米詰替用容器は、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備え、
前記米櫃用容器は、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米導入口として開口する管部を備え、
前記米詰替用容器と前記米櫃用容器は、前記首部と前記管部のいずれか一方が、他方の開口に挿入可能に形成され、当該挿入状態において、前記首部と前記管部とを密着させるための弾性体が介在している、
ことを特徴としている。
【0012】
また、前記米詰替用容器と前記米櫃用容器は、前記首部が前記管部の前記米導入口に挿入可能に形成され、前記首部の外周、あるいは前記管部の内周に前記弾性体が装着されている米用保存容器セットとすることもできる。
【0013】
あるいは、前記米詰替用容器と前記米櫃用容器は、前記管部が前記首部の前記米供給口に挿入可能に形成され、前記首部の内周、あるいは前記管部の外周に前記弾性体が装着されている米用保存容器セットとしてもよい。この場合、前記米供給口は、前記管部が挿入される際、前記米導入口の縁端によって押圧されることで開口する板状、あるいは膜状の部材によって封止されていることとしてもよい。
【0014】
上記いずれかに記載の米用保存容器セットにおいて、前記米詰替用容器は、ペットボトル容器や、フィルム状素材の縁辺を接着して袋状に形成した容器本体を備えたパウチパック型容器であってもよい。
【0015】
また、本発明は、上記米用保存容器セットを構成する米櫃用容器や米詰替用容器にも及んでおり、前記米櫃用容器に係る発明は、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡し、他端が米導入口として開口する管部を備えるとともに、当該管部の外周、あるいは内周に弾性体が装着されていることを特徴としている。
【0016】
そして、米詰替用容器に係る発明は、ペットボトル容器あるいはパウチパック型容器で構成された米詰替用容器であって、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備えるともに、当該首部の外周、あるいは内周に弾性体が装着されていることを特徴としている。
【0017】
あるいは、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備え、前記容器本体には、米粒より小さな通気孔が穿設されているとともに、当該通気孔が開口可能に封止されていることを特徴としてもよい。この場合、前記通気孔を、微細な複数の孔によって構成することが可能である。
【0018】
また、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備え、前記容器本体の底部近傍に、当該容器本体の一部を破断して容器本体の内外を通気させるための構造を備えている米詰替用容器とすることもできる。
【0019】
パウチパック型容器で構成された米詰替用容器では、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部と、前記容器本体の内外を連絡しつつ、外方側の先端が封止され、内方側の先端が開口する細管とを備え、当該細管は、延長途上で破断可能に形成されて、破断された際に、容器本体の内外が通気状態となることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、米を容易に、かつ無駄なく詰め替えられるようにした、米詰替用容器と米櫃用容器とからなる米用保存容器セットを提供することが可能となる。なお、その他の効果については、以下の記載で明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施例に係る米用保存容器セットを示す斜視図である。
【図2】上記米用保存容器セットの正面図である。
【図3】上記米用保存容器セットにおける米の詰め替え時の状態を示す図である。
【図4】上記米の詰め替え時における上記米用保存容器セットの要部断面図である。
【図5】上記米用保存容器セットを構成する米櫃用容器のその他の例を示す図である。
【図6】上記米用保存容器セットを構成する米詰替用容器をパウチパック型の容器で構成した例を示す図である。
【図7】上記レトルトパックで構成した米詰替用容器のその他の例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施例に係る米用保存容器セットを示す斜視図である。
【図9】上記第2の実施例に係る容器保存容器セットにおける米の詰め替え手順を示す図である。
【図10】米の詰め替え速度の向上構造を備えたペットボトル型の米詰替用容器の例を示す図である。
【図11】上記替え速度の向上構造を備えたペットボトル型の米詰替用容器の要部拡大図である。
【図12】米の詰め替え速度の向上構造を備えたペットボトル型の米詰替用容器のその他の例を示す図である。
【図13】米の詰め替え速度の向上構造を備えたパウチパック型の米詰替用容器の例を示す図である。
【図14】上記詰め替え速度の向上構造を備えたパウチパック型の米詰替用容器のその他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
===第1の実施例===
<基本的な構成と構造>
本発明の基本的な実施形態に係る米用保存容器セットを第1の実施例として挙げる。図1と図2に、当該第1の実施例に係る米用保存容器セット1aの概略を示した。図1は、当該容器セット1aを構成する二つの容器(10a,20a)を正立させたときに、これら二つの容器(10a,20a)を上方から見た斜視図であり、一方の容器10aについては一部破断斜視図にして示した。図2は、米用保存容器セット1aを図1における矢印100方向から見たときの正面図である。本実施例の米用保管容器セット1は、詰め替え用の米40が入ったペットボトル(米詰替用容器)10aと、当該米詰替用容器10aから米40を詰め替えて米櫃として使用可能な米櫃用容器20aとから構成されている。
【0023】
米詰替用容器10aは、一般的な角形ペットボトルと同様の形状や構造を有し、底部14を下方として、米40の収納部となる容器本体11aの上方に円筒状の首部12aが形成され、その首部12aの上端は、容器本体11内の米40を外部に取り出すための開口部(以下、米供給口)13aとなっている。
【0024】
また、第1の実施例の米用保管容器セット1aでは、米櫃用容器20aも、一般的な角形ペットボトルと同様の形状や構造を有し、米詰替用容器10aと同様に、底部24を下方として、容器本体21の上方に円筒状の首部22aが形成され、その首部22aの上端は、米詰替用容器10aからの米40を詰め替える際に米40を容器本体21内に導入するための開口部(以下、米導入口)23aとなっている。なお、米櫃用容器20aの首部22aについては、米詰替用容器10aの首部12aとの混同を避けるために、以後、管部22aと称することとする。
【0025】
<米の詰め替えについて>
第1の実施例の米用保存容器セット1aでは、米40が密閉された状態で収納されている米詰替用容器10aを購入し、米櫃用容器20aが空になった時点で、米詰替用容器10aの一つを開封し、米40を米櫃用容器20aへ詰め替える。そして、日常の食事用途に供される米40については、米櫃用容器20aから取り出して調理する、という使用方法を想定している。なお、米詰替用容器10aにおける密閉構造、すなわち、米供給口13aの閉栓構造としては、弾性体30に嵌着する内周に雌ねじが形成されていないキャップであってもよいし、米供給口13aを周知のプルタブを備えた樹脂製の膜で閉栓する構造であってもよい。いずれにしても、米詰替用容器10aを冷蔵庫などの冷暗所で保管し、米40を詰め替えた時点で、米40の詰まった米詰替用容器10aを新たに補給することとすれば、日常的に米40を食しながら、米40の備蓄量と鮮度を一定に維持することが可能となることから、米詰替用容器10aの密閉構造については、開封後に再び密閉することを考慮する必要がない。
【0026】
そして、第1の実施例に係る米用保存容器セット1aでは、米40の詰め替えに際し、米40がこぼれることなく、確実に、かつ素早く詰め替えられる構造を有している。以下にその構造について説明する。
【0027】
第1の実施例の米用保存容器セット1aでは、米詰替用容器10aと米櫃用容器20aを、ほぼ同様の形状と構造とを有したペットボトルで構成しつつ、米40の詰め替え作業を容易にするために、首部12aと管部22aの太さや米供給口13aと米導入口23aの開口径を異ならせている。この例では、図2に示したように、米櫃用容器20aの米導入口23aの内径Φyが、米詰替用容器10aの首部12aの外径Φxよりも大きくなっており、米40の詰め替えに際しては、米詰替用容器10aの首部13を米櫃用容器の米導入口23に挿入して首部13と管部23とによって双方の容器(10a,20a)を連結し、米詰替用容器10a内の米40を米櫃用容器20に詰め替えるようにしている。
【0028】
さらに、上述した米用保存容器セット1aの使用方法では、自ずと米40の詰め替え頻度が多くなることから、第1の実施例の米用保存容器セット1では、首部12aを管部22aに挿入した状態では、首部12aと管部22aが密着し、米40を確実、かつ素早く詰め替えられるような構造を備えている。具体的には、米櫃用容器20aは、一般的なペットボトルと同様に、管部22aを雄ねじとして、スクリューキャップ(図示せず)によって米導入口23aが閉栓されるようになっているが、米詰替用容器10aの首部12aの外周には、雄ねじが形成されておらず、その代わりに弾性体30が環装されている。そして、この米詰替用容器10aの首部13に環装された弾性体30により、米40がこぼれず、確実、かつ、素早く米40を詰め替えることができるようになっている。
【0029】
図3に、米40の詰め替え時における、米詰替用容器10aと米櫃用容器20aとの連結状態を示した。また、図4に、図3におけるa−a矢視断面、すなわち、首部12aと管部22aとの連結部分の断面を示した。米詰替用容器10aの首部が米櫃用容器20aの米導入口から管部内部に挿入された状態では、米詰替用容器10aの円筒状の首部12aの外周側面と、米櫃用容器20aの円筒状の管部22aの内周側面との間に弾性体30が介在することになり、首部12aと管部22aが密着する。それによって、米詰替用容器10a内の米40がこぼれることなく確実に米櫃用容器20a内に詰め替えられる。
【0030】
上述した構造の米用保存容器セット1によれば、米40の詰め替え時に、米詰替用容器10aを正立させるとともに、空の米櫃用容器20aを倒立させ、米詰替用容器10aの首部を米櫃用容器20aの米導入口23aに差し込み、次いで、米詰替用容器10aの天地を逆さにするだけでよいので、容易に、かつ素早く移し替え作業に移行できる。さらに、弾性体30を介して首部12aと管部22aとが密着しているので、双方の連結状態が容易に外れず、詰め替え作業の途中で、その連結が外れる心配が少ない。すなわち、確実に米40を詰め替えることができる。
【0031】
また、第1の実施例では、米櫃用容器20aの米導入口23aは、米詰替用容器10aからの米40を容器本体21内に流入させるための開口部であると同時に、米40を取り出すための開口部でもあるが、米導入口23aの開口径が一般的なペットボトルの開口径(例えば、27mm)よりも大きな、所謂広口ボトルとなっているため、米40を円滑に取り出すことが可能で、米40の取り出し量を加減して計量が容易になるなど、米櫃として十分な機能を備えている。
【0032】
<弾性体について>
弾性体30は、軟質ウレタン(スポンジ)、ゴム、シリコン樹脂など、柔軟性のある素材であれば、どのようなものであってもよい。また、弾性体30は、米詰替用容器10aの首部12aの外周面に代えて、米櫃用容器30aの管部22aの内周面に取り付けてあってもよい。弾性体30を米詰替用容器10a側に設けた場合では、当該容器10aは、詰め替え後に不要となり、弾性体30が使い捨てとなることから、米詰替用容器10aには、弾性体30を含めた製造コストを低減させることが求められる。一方、弾性体30が米櫃用容器20aにある場合は、詰め替え作業が繰り返し行われるため、耐久性が求められる。いずれにしても、コストや耐久性を勘案して、適宜な容器(10a,20a)側に弾性体30を設ければよい。
【0033】
<米櫃用容器について>
第1の実施例では、米櫃用容器20aは、ペットボトルであったが、もちろん、これに限らない。米櫃用容器は、米詰替用容器10aの首部12aと弾性体30を介して連結可能な管部を備えていればよい。図5に米櫃用容器(20b,20c)の変形例を示した。図5(A)は、米40の取り出し口27と管部22bとが個別に設けられた米櫃用容器20bであり、この例では、箱状の容器本体21bの上面25に、管部22bが突設されているとともに、スライド式の蓋26を備えた米40の取り出し口27が形成されている。(B)は、管部22cが容器本体21cから突設されていない構造の米櫃用容器20cの例であり、一部破断斜視図によって示している。この例では、(A)に示した管部22bが突設されている米櫃用容器20bに対し、容器本体21c内に筒状の管部22cが埋没し、容器本体21cの表面と米導入口23cの開口面とが面一となっている。
【0034】
<米詰替用容器について>
一方、米詰替用容器についても、ペットボトルに限らない。図6に米詰替用容器10bの変形例を示した。図6(A)に、当該変形例に係る米詰替用容器10bを上方から見たときの一部破断斜視図を示し、(B)に下方から見たときの斜視図を示した。図示した米詰替用容器10bは、一般に「パウチパック」、あるいは俗に「パウチ」と呼ばれる袋状の容器本体11bに首部12bを設けた構造である。この種の容器(以下、パウチパック型容器)は、周知のごとく、レトルト食品などの容器として使用されており、厚地で形状維持性に優れた剛性のある複数のフィルム状素材の縁辺同士を熱溶着などの方法により接着させて袋状に形成したものである。そして、ここに示した米詰替用容器10bは、フィルム状素材を使用するとともに、底部14bを下方として、容器本体11bの側面を形成する2枚のフィルム状素材と、底部14bを構成する1枚のフィルム状素材のそれぞれの縁辺を接着させている。それによって、図示した米詰替用容器10bは、幅広の底部14bによって自立可能となっている。そして、パウチパック型の米詰替用容器10bは、フィルム状素材からなる袋の一辺を開口させた状態で米40を収納するとともに、その状態で脱気しながらその一辺を熱溶着等の方法で接着させることで、容易に米40を真空状態で収納することができる。そのため、冷蔵保存はもちろん、常温でも米40を長期間に亘って保存することが可能となる。なお、米詰替用容器は米40が自重によって落下しながら容器本体外へ導出されるように首部が形成されていればよく、例えば、図7に示したように、首部12cが容器本体11cの側方に突出するように形成された米詰替用容器10cも考えられる。
【0035】
===第2の実施例===
ところで、上記第1の実施例では、米を詰め替える際、正立させた状態にある米詰替用容器(10a,10b)に米櫃用容器(20a〜20c)を連結し、次いで、連結状態を維持したまま、双方の容器(10a,10b、20a〜20c)の天地を逆転させていた。そのため、力の弱い人にとっては、面倒な作業となる。そこで、連結後に天地を逆転させずに済む構造を備えた米用保存容器セットを本発明の第2の実施例として示す。
【0036】
図8に第2の実施例に係る米用保存容器セット1dを示した。当該米用保存容器1dは、第1の実施例に係る米用保存容器1aと同様に、米詰替用容器10dと米櫃用容器20dがともにペットボトルで構成されている。しかし、米40の詰め替え時に、米詰替用容器10dの首部12dと、米櫃用容器20dの管部22dを連結する際の内外の関係が逆で、管部22dが米供給口13dを介して首部12d内に挿入されるようになっている。さらに、米供給口13dが、管部22dが挿入された際に開口する板状、あるいは膜状の封止部材31によって封止されている。この例では、封止部材31は、外部から押圧されることで破断する紙で構成されている。
【0037】
図9(A)〜(C)に、第2の実施例の米用保存容器セット1dにおいて、米40を詰め替えるときの状態を遷移図にして示した。まず、米櫃用容器20dを正立させるとともに、米詰替用容器10dを倒立させて、米供給口13dと米導入口23dとを対面させる(A)。次いで、管部22dを米供給口13d内に挿入すると、米導入口23dの縁端が封止部材31に当接し、さらに挿入すると、この封止部材31が破断する(B)。そして、米詰替用容器10d内の米40が自重により破断した封止部材を開口させ、米櫃用容器20d内へ落下していく(C)。
【0038】
なお、封止部材31を、米導入口23dの縁端に押圧されることで破断する構成とせず、例えば、首部22dの内部に周回する溝を形成しておき、その溝に円板状の封止部材31を嵌着しておいてもよい。そして、封止部材31が米導入口23dの縁端により押圧されると、その封止部材31が溝から脱落して米供給口22dが開口するようにしてもよい。
【0039】
===第3の実施例===
図1に示した米用保存容器セットでは、首部12aと管部22aが中空筒状であり、一方12aを他方22aに挿入することで米詰替用容器10aと米櫃用容器20aとを連結し、米詰替用容器10a内の米40を自重によって米櫃用容器20a内に落下させて米40を詰め替えるようにしている。このとき、首部12aと管部22aは、弾性体30により密着しているため、一体化した二つの容器(10a,20a)の内外で空気が流通しない。しかし、米40は、液体ではなく粒体であるので、双方の容器(10a,20a)内の空気は、個々の米粒同士の間隙を通して連結状態にある二つの容器(10a,20a)内を自在に移動することができる。そのため、米詰替用容器10a側が負圧となって、米詰替用容器20a内に米40が落下しなくなる、ということは現実には起こり難い。
【0040】
とは言っても、連結状態にある二つの容器(10a、20a)の内外で空気を流通させれば、より円滑に詰め替え作業が行えることが明白である。しかし、米詰替用容器10aに単純に空気孔を設けただけでは、容器本体11a内に外部の水分(水蒸気など)がその空気孔を介して入り、米40がその水分を吸収する。そのため、米40の鮮度を長期間に亘って維持することが難しくなる。水害などによって大量の水が容器本体11a内に流入すれば、米40を食用に供することもできなくなる。そこで、第3の実施例として、保存時には、容器本体内が密閉されて鮮度が維持されつつ、詰め替え時には、容器本体の内外で空気を流通させて、より円滑に詰め替え作業が行えるようにした米詰替用容器を挙げる。
【0041】
図10〜図14に、第3の実施例に係る米詰替用容器(10f〜10k)を示した。まず、図10に示した例は、ペットボトルからなる米詰替用容器10fであり、容器本体11fの底部14fの近傍には通気孔50が形成されている。そして、保存時には、その通気孔50が粘着フィルム51によって塞がれている。
【0042】
図11(A)〜(C)に、図10に示した米詰替用容器10fにおいて、米40の詰め替え時に通気孔50を開口させる手順を示した。なお、当該図11は、図10における円内を拡大した図に相当する。まず、保存時、すなわち販売時には、図11(A)に示したように、通気孔50を粘着フィルム51で塞いだ状態にしておき、詰替時には、その粘着テープ51を剥離し(B)、通気孔50を開口させる(C)。それによって、米詰替用容器の内外での空気の流通が可能となる。なお、通気孔50の形状は、米粒が通りにくい大きさや形状とすればよい。形状であれば、例えば、スリット状としたり、米粒よりも小さな孔を複数設けたメッシュ状としたりすれば、より好ましい。もちろん、この構成は、図6や図7に示したようなパウチパック型容器からなる米詰替用容器(10b,10c)にも適用可能である。
【0043】
図12は、容器本体11gの一部を破断することで、通気孔54を開口させる構造の米詰替用容器(10g,10h)を示した。この構造としては、図12(A)に示したように、ペットボトルによる米詰替用容器10gとし、その容器本体11gの側面などに小さな突起52を形成することが考えられる。そして、図12(B)(C)に、図12(A)の円内を拡大して示したように、この突起52を基部53の部分から折れば(B)、その基部53の部分でペットボトルが破断して開口する(C)。なお、ペットボトルの底部14gは、普通、内圧によって外方に膨らまないように凹みが形成されている。そこで、図12(D)に示した米詰替用容器10hのように、ペットボトルの底部14hの凹んだ部分に当該突起52を形成すれば、突起52が邪魔になることが無い。もちろん、先に図10、図11に示した粘着フィルム51で塞ぐ通気孔50をペットボトルのこの底部14hに設けてもよい。いずれにしても、米40の詰め替え時には米40が自重で下方に落下していくため、底部近傍を開口するようにすれば、米40の粒によってその開口(50,54)が塞がれることがなく、より円滑に空気が流通する。
【0044】
米詰替用容器をパウチパック型容器とする場合でも、容器本体の一部を破断させて通気孔を開口させることができる。しかも、パウチパック型容器は、ペットボトルと異なり切り込みなどがあれば、容易に切り裂くことができるため、容器本体の一部を破断することで通気孔を開口させるための構造を設けることが容易である。図13に、パウチパック型容器からなる容器本体(11i,11j)の一部を切り裂いて開口させる構造の米詰替用容器(10i,10j)を示した。図13(A)は、容器本体11iにおけるフィルム状素材の縁辺の接着領域に切欠部55を形成し、例えば、詰め替え作業の途上で、米40の落下速度が鈍った時点で、この切欠部55から容器本体11iを劈開し、米詰替用容器10i内に空気を導入する形態としている。図13(B)に示した米詰替用容器10jも同様に、容器本体11jの一部を破断可能とする構造であるが、この例では、容器本体11jにおいて、フィルム状素材が接着されていない米40の収納空間から細管状の通路56が案内されているとともに、その通路56の周囲が接着されて突片57が形成されている。そして、この突片57の接着部分に切欠部58などを設けておき、その切欠部58から突片57を切断すれば、突片57の先端が開口し、上記の通路56を介して容器本体11jの内外が通気状態となる。
【0045】
また、パウチパック型容器は、複数枚のフィルム状素材の縁辺を貼り合わせて袋状に形成したものであるので、チューブを挟持した状態でフィルム状素材を貼り合わせれば、容器本体の内外を連絡するチューブを容易に取り付けることができる。図14に、そのチューブ58を備えたパウチパック型容器からなる米詰替用容器10kを例示した。樹脂製のチューブ58が容器本体11kの内側から外側に向けて突出しており、当初は、チューブ58の外側に突出した部分の先端59が封止されている。そして、チューブ58において、容器本体11kの外部に露出する部分にチューブ58を切断可能とするための切り込みや、チューブを周回する薄肉部分かなる切断部60を形成しておく、そして、米40の詰め替え時に、必要に応じて、チューブ58を折り曲げれば、チューブ58が切断部60にて切り離され、その切断面が開口61となって容器本体11kの内外が通気状態となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、例えば、一般家庭における米の備蓄用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1a,1b 米用保存容器セット、10a〜10k 米詰替用容器、
11a〜11k 米詰替用容器の容器本体、12a〜12k 首部
13a〜13k 米供給口、20a〜20c 米櫃用容器、
21a〜21c 米櫃用容器の容器本体、22a〜22c 管部、
23a〜23c 米導入口、30 弾性体、31 封止部材、40 米、
50,54,61 通気孔、51 粘着フィルム、52 突起、
55,58 切欠部、57 突片、58 チューブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、米の保存容器に関する。具体的には、詰替用の米が入った容器と、米の詰め替え先となる容器とからなる米用保存容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、米は、米袋と呼ばれるビニール、紙、あるいは布でできた扁平な袋に詰められた状態で販売されている。また、販売単位は、5kgや10Kgであることが多い。そのため、例えば、スーパーマーケットなどにおいて、米穀類の販売区画にある商品棚に商品である米袋に入った米を陳列する場合、商品のサイズや重量が大きいため、棚の上段に置いたり、その棚から取り出したりすることが難しい。また、安全上も問題が多い。さらに、商品棚の奥行きも限られているため、扁平で幅がある米袋は、自ずと、棚の下段に積み重ねて陳列されることになる。そして、米穀類の販売区画にある商品棚の中段や上段には、レトルトパックの米など、ごく限られた商品が陳列されることになり、商品の販売スペースが無駄になっている。また、扁平な米袋を平たく置いた状態で陳列するため、米袋の表面に印刷されている商品に関する内容(商品名、産地、生産年、精米年月日など)を確認し難い。
【0003】
さらに、精米済みの米は、長期間の保存により品質(味など)が劣化するため、単身者の世帯などにとっては、5〜10Kg入りの米は、一度に購入する量としては多すぎる。もちろん、冷蔵庫などで米を冷蔵保存すれば、室温で保管するより、品質を長期間に亘って維持することも可能である。しかし、米袋のサイズが大きく、冷蔵庫内の他の食品の保存スペースを圧迫する。確かに、1〜2kg程度の少量の米が入った米袋もあるが、その米袋は、柔軟な素材と扁平な形状とにより、冷蔵庫の庫内で形状が一定に維持されず、他の食品を庫内に収納したり、収納済みの他の食品を冷蔵庫から取り出したりする際に邪魔になる。
【0004】
そこで、近年では、2kg程度の少量の米がペットボトルに詰められて販売されている。それによって、奥行きが少ない商品棚の中段や上段であっても立てた状態で陳列できるので、商品が取り出し易く、ペットボトルの表面に被装されたラベルに印刷された商品内容を容易に確認することができる。また、ペットボトル入りの飲料と同様に、冷蔵庫内にも整然と収納することができる。なお、ペットボトルに詰めた米、あるいは米を収納するためのペットボトルに関しては、以下の特許文献1や2などに記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3647137号公報
【特許文献2】特開平10−114351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、冷蔵庫で米を保管することで、長期間に亘って米の鮮度を維持することができる。したがって、ペットボトル入りの米は、備蓄という観点からも有用である。しかも、米袋には、普通、袋の内外を通気させるための孔が穿設されており、水害時には、その孔から水が侵入し、米が使用不可能となるが、ペットボトルでは、ボトルをキャップなどで密封しておけば、水分の侵入を憂慮する必要がなく、備蓄場所の被災にも高い耐性がある。
【0007】
また、米の保存形態という観点からもペットボトル入りの米は優れている。例えば、玄米の状態で米を保存すれば、長期間の常温保存が可能であるが、玄米を食料とするためには、普通、精米が必要となる。しかし、精米機は、電気などの動力を必要とし、その数や設置場所も限られており、災害時などにおいては精米すること自体が難しい。もちろん、圧力を加えるなど、普通とは異なる特殊な調理(炊飯)方法によって、玄米自体を食料にすることもできるが、災害時では、調理設備や器具が限られる。すなわち、玄米は、長期保存が可能であっても、非常時にすぐに食料として利用することが難しく、特に、一般家庭での備蓄用途としては問題が多い。一方、ペットボトルに精米を入れて冷蔵保存することで、水と加熱手段があれば、すぐに食用に供することができる米を長期間、鮮度を維持したまま保存することができる。
【0008】
このように、自立可能な密閉容器に収納された米は、冷蔵庫での保存に適しているが、その一方で、米は主食であり、ほぼ毎日調理する必要がある。そのため、冷蔵保存されている米を使う際の利便性が悪ければ、従来どおり、米櫃などに入った米を日常的に使用することになり、備蓄などの長期保存用途の米と日常用途の米とを個別に保管することになる。このように、備蓄米と日常用との米とを区別してしまえば、冷蔵保存であっても鮮度や風味を維持できる期間には限りがあり、いずれは備蓄米の全てを新しいものに交換することになり、一度に多額の費用がかかることになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述したような、ペットボトルなどの自立可能で冷蔵庫内での長期保存に適した容器に保存された米と、日常の食用米とに関わる各種課題に鑑み、ペットボトルなどの容器に収納された米を一般家庭における日常的な食事用途に対する保管と、非常時の備蓄とを並行して行うことを考えた。具体例を挙げると、日頃から米の詰まったペットボトルを多めに用意しつつ、日常的に使用する分を計量しながら取り出すことが容易な、あるいは耐久性が高く長期間に亘って常用できる米櫃などの容器(以下、米櫃用容器)に随時詰め替えていく。そして、ペットボトルに入った米を詰め替え用として購入し、随時補給する、という備蓄方法を考えた。それによって、米の備蓄量と鮮度を一定に維持しつつ、日常の食事用途については、米櫃用容器から米を取り出して、米を炊くことができる。
【0010】
しかしながら、上述した米の備蓄方法では、ペットボトルから米櫃用容器に詰め替える頻度が多くなる。そのため、移し替えの作業に際し、米がこぼれることなく、確実に詰め替えられるように、ペットボトルなどの詰め替え用途の容器(以下、米詰替用容器)や米櫃用容器の構造を工夫する必要がある。
【0011】
そして、本発明の主要な目的は、米を容易に、かつ無駄なく詰め替えられるようにした、米詰替用容器と米櫃用容器とからなる米用保存容器セットを提供することにある。そして、本発明は、米を収納した状態で自立可能な米詰替用容器と、当該米詰替用容器内の米の詰め替え先となる米櫃用容器とからなる米用保存容器セットであって、
前記米詰替用容器は、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備え、
前記米櫃用容器は、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米導入口として開口する管部を備え、
前記米詰替用容器と前記米櫃用容器は、前記首部と前記管部のいずれか一方が、他方の開口に挿入可能に形成され、当該挿入状態において、前記首部と前記管部とを密着させるための弾性体が介在している、
ことを特徴としている。
【0012】
また、前記米詰替用容器と前記米櫃用容器は、前記首部が前記管部の前記米導入口に挿入可能に形成され、前記首部の外周、あるいは前記管部の内周に前記弾性体が装着されている米用保存容器セットとすることもできる。
【0013】
あるいは、前記米詰替用容器と前記米櫃用容器は、前記管部が前記首部の前記米供給口に挿入可能に形成され、前記首部の内周、あるいは前記管部の外周に前記弾性体が装着されている米用保存容器セットとしてもよい。この場合、前記米供給口は、前記管部が挿入される際、前記米導入口の縁端によって押圧されることで開口する板状、あるいは膜状の部材によって封止されていることとしてもよい。
【0014】
上記いずれかに記載の米用保存容器セットにおいて、前記米詰替用容器は、ペットボトル容器や、フィルム状素材の縁辺を接着して袋状に形成した容器本体を備えたパウチパック型容器であってもよい。
【0015】
また、本発明は、上記米用保存容器セットを構成する米櫃用容器や米詰替用容器にも及んでおり、前記米櫃用容器に係る発明は、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡し、他端が米導入口として開口する管部を備えるとともに、当該管部の外周、あるいは内周に弾性体が装着されていることを特徴としている。
【0016】
そして、米詰替用容器に係る発明は、ペットボトル容器あるいはパウチパック型容器で構成された米詰替用容器であって、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備えるともに、当該首部の外周、あるいは内周に弾性体が装着されていることを特徴としている。
【0017】
あるいは、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備え、前記容器本体には、米粒より小さな通気孔が穿設されているとともに、当該通気孔が開口可能に封止されていることを特徴としてもよい。この場合、前記通気孔を、微細な複数の孔によって構成することが可能である。
【0018】
また、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備え、前記容器本体の底部近傍に、当該容器本体の一部を破断して容器本体の内外を通気させるための構造を備えている米詰替用容器とすることもできる。
【0019】
パウチパック型容器で構成された米詰替用容器では、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部と、前記容器本体の内外を連絡しつつ、外方側の先端が封止され、内方側の先端が開口する細管とを備え、当該細管は、延長途上で破断可能に形成されて、破断された際に、容器本体の内外が通気状態となることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、米を容易に、かつ無駄なく詰め替えられるようにした、米詰替用容器と米櫃用容器とからなる米用保存容器セットを提供することが可能となる。なお、その他の効果については、以下の記載で明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施例に係る米用保存容器セットを示す斜視図である。
【図2】上記米用保存容器セットの正面図である。
【図3】上記米用保存容器セットにおける米の詰め替え時の状態を示す図である。
【図4】上記米の詰め替え時における上記米用保存容器セットの要部断面図である。
【図5】上記米用保存容器セットを構成する米櫃用容器のその他の例を示す図である。
【図6】上記米用保存容器セットを構成する米詰替用容器をパウチパック型の容器で構成した例を示す図である。
【図7】上記レトルトパックで構成した米詰替用容器のその他の例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施例に係る米用保存容器セットを示す斜視図である。
【図9】上記第2の実施例に係る容器保存容器セットにおける米の詰め替え手順を示す図である。
【図10】米の詰め替え速度の向上構造を備えたペットボトル型の米詰替用容器の例を示す図である。
【図11】上記替え速度の向上構造を備えたペットボトル型の米詰替用容器の要部拡大図である。
【図12】米の詰め替え速度の向上構造を備えたペットボトル型の米詰替用容器のその他の例を示す図である。
【図13】米の詰め替え速度の向上構造を備えたパウチパック型の米詰替用容器の例を示す図である。
【図14】上記詰め替え速度の向上構造を備えたパウチパック型の米詰替用容器のその他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
===第1の実施例===
<基本的な構成と構造>
本発明の基本的な実施形態に係る米用保存容器セットを第1の実施例として挙げる。図1と図2に、当該第1の実施例に係る米用保存容器セット1aの概略を示した。図1は、当該容器セット1aを構成する二つの容器(10a,20a)を正立させたときに、これら二つの容器(10a,20a)を上方から見た斜視図であり、一方の容器10aについては一部破断斜視図にして示した。図2は、米用保存容器セット1aを図1における矢印100方向から見たときの正面図である。本実施例の米用保管容器セット1は、詰め替え用の米40が入ったペットボトル(米詰替用容器)10aと、当該米詰替用容器10aから米40を詰め替えて米櫃として使用可能な米櫃用容器20aとから構成されている。
【0023】
米詰替用容器10aは、一般的な角形ペットボトルと同様の形状や構造を有し、底部14を下方として、米40の収納部となる容器本体11aの上方に円筒状の首部12aが形成され、その首部12aの上端は、容器本体11内の米40を外部に取り出すための開口部(以下、米供給口)13aとなっている。
【0024】
また、第1の実施例の米用保管容器セット1aでは、米櫃用容器20aも、一般的な角形ペットボトルと同様の形状や構造を有し、米詰替用容器10aと同様に、底部24を下方として、容器本体21の上方に円筒状の首部22aが形成され、その首部22aの上端は、米詰替用容器10aからの米40を詰め替える際に米40を容器本体21内に導入するための開口部(以下、米導入口)23aとなっている。なお、米櫃用容器20aの首部22aについては、米詰替用容器10aの首部12aとの混同を避けるために、以後、管部22aと称することとする。
【0025】
<米の詰め替えについて>
第1の実施例の米用保存容器セット1aでは、米40が密閉された状態で収納されている米詰替用容器10aを購入し、米櫃用容器20aが空になった時点で、米詰替用容器10aの一つを開封し、米40を米櫃用容器20aへ詰め替える。そして、日常の食事用途に供される米40については、米櫃用容器20aから取り出して調理する、という使用方法を想定している。なお、米詰替用容器10aにおける密閉構造、すなわち、米供給口13aの閉栓構造としては、弾性体30に嵌着する内周に雌ねじが形成されていないキャップであってもよいし、米供給口13aを周知のプルタブを備えた樹脂製の膜で閉栓する構造であってもよい。いずれにしても、米詰替用容器10aを冷蔵庫などの冷暗所で保管し、米40を詰め替えた時点で、米40の詰まった米詰替用容器10aを新たに補給することとすれば、日常的に米40を食しながら、米40の備蓄量と鮮度を一定に維持することが可能となることから、米詰替用容器10aの密閉構造については、開封後に再び密閉することを考慮する必要がない。
【0026】
そして、第1の実施例に係る米用保存容器セット1aでは、米40の詰め替えに際し、米40がこぼれることなく、確実に、かつ素早く詰め替えられる構造を有している。以下にその構造について説明する。
【0027】
第1の実施例の米用保存容器セット1aでは、米詰替用容器10aと米櫃用容器20aを、ほぼ同様の形状と構造とを有したペットボトルで構成しつつ、米40の詰め替え作業を容易にするために、首部12aと管部22aの太さや米供給口13aと米導入口23aの開口径を異ならせている。この例では、図2に示したように、米櫃用容器20aの米導入口23aの内径Φyが、米詰替用容器10aの首部12aの外径Φxよりも大きくなっており、米40の詰め替えに際しては、米詰替用容器10aの首部13を米櫃用容器の米導入口23に挿入して首部13と管部23とによって双方の容器(10a,20a)を連結し、米詰替用容器10a内の米40を米櫃用容器20に詰め替えるようにしている。
【0028】
さらに、上述した米用保存容器セット1aの使用方法では、自ずと米40の詰め替え頻度が多くなることから、第1の実施例の米用保存容器セット1では、首部12aを管部22aに挿入した状態では、首部12aと管部22aが密着し、米40を確実、かつ素早く詰め替えられるような構造を備えている。具体的には、米櫃用容器20aは、一般的なペットボトルと同様に、管部22aを雄ねじとして、スクリューキャップ(図示せず)によって米導入口23aが閉栓されるようになっているが、米詰替用容器10aの首部12aの外周には、雄ねじが形成されておらず、その代わりに弾性体30が環装されている。そして、この米詰替用容器10aの首部13に環装された弾性体30により、米40がこぼれず、確実、かつ、素早く米40を詰め替えることができるようになっている。
【0029】
図3に、米40の詰め替え時における、米詰替用容器10aと米櫃用容器20aとの連結状態を示した。また、図4に、図3におけるa−a矢視断面、すなわち、首部12aと管部22aとの連結部分の断面を示した。米詰替用容器10aの首部が米櫃用容器20aの米導入口から管部内部に挿入された状態では、米詰替用容器10aの円筒状の首部12aの外周側面と、米櫃用容器20aの円筒状の管部22aの内周側面との間に弾性体30が介在することになり、首部12aと管部22aが密着する。それによって、米詰替用容器10a内の米40がこぼれることなく確実に米櫃用容器20a内に詰め替えられる。
【0030】
上述した構造の米用保存容器セット1によれば、米40の詰め替え時に、米詰替用容器10aを正立させるとともに、空の米櫃用容器20aを倒立させ、米詰替用容器10aの首部を米櫃用容器20aの米導入口23aに差し込み、次いで、米詰替用容器10aの天地を逆さにするだけでよいので、容易に、かつ素早く移し替え作業に移行できる。さらに、弾性体30を介して首部12aと管部22aとが密着しているので、双方の連結状態が容易に外れず、詰め替え作業の途中で、その連結が外れる心配が少ない。すなわち、確実に米40を詰め替えることができる。
【0031】
また、第1の実施例では、米櫃用容器20aの米導入口23aは、米詰替用容器10aからの米40を容器本体21内に流入させるための開口部であると同時に、米40を取り出すための開口部でもあるが、米導入口23aの開口径が一般的なペットボトルの開口径(例えば、27mm)よりも大きな、所謂広口ボトルとなっているため、米40を円滑に取り出すことが可能で、米40の取り出し量を加減して計量が容易になるなど、米櫃として十分な機能を備えている。
【0032】
<弾性体について>
弾性体30は、軟質ウレタン(スポンジ)、ゴム、シリコン樹脂など、柔軟性のある素材であれば、どのようなものであってもよい。また、弾性体30は、米詰替用容器10aの首部12aの外周面に代えて、米櫃用容器30aの管部22aの内周面に取り付けてあってもよい。弾性体30を米詰替用容器10a側に設けた場合では、当該容器10aは、詰め替え後に不要となり、弾性体30が使い捨てとなることから、米詰替用容器10aには、弾性体30を含めた製造コストを低減させることが求められる。一方、弾性体30が米櫃用容器20aにある場合は、詰め替え作業が繰り返し行われるため、耐久性が求められる。いずれにしても、コストや耐久性を勘案して、適宜な容器(10a,20a)側に弾性体30を設ければよい。
【0033】
<米櫃用容器について>
第1の実施例では、米櫃用容器20aは、ペットボトルであったが、もちろん、これに限らない。米櫃用容器は、米詰替用容器10aの首部12aと弾性体30を介して連結可能な管部を備えていればよい。図5に米櫃用容器(20b,20c)の変形例を示した。図5(A)は、米40の取り出し口27と管部22bとが個別に設けられた米櫃用容器20bであり、この例では、箱状の容器本体21bの上面25に、管部22bが突設されているとともに、スライド式の蓋26を備えた米40の取り出し口27が形成されている。(B)は、管部22cが容器本体21cから突設されていない構造の米櫃用容器20cの例であり、一部破断斜視図によって示している。この例では、(A)に示した管部22bが突設されている米櫃用容器20bに対し、容器本体21c内に筒状の管部22cが埋没し、容器本体21cの表面と米導入口23cの開口面とが面一となっている。
【0034】
<米詰替用容器について>
一方、米詰替用容器についても、ペットボトルに限らない。図6に米詰替用容器10bの変形例を示した。図6(A)に、当該変形例に係る米詰替用容器10bを上方から見たときの一部破断斜視図を示し、(B)に下方から見たときの斜視図を示した。図示した米詰替用容器10bは、一般に「パウチパック」、あるいは俗に「パウチ」と呼ばれる袋状の容器本体11bに首部12bを設けた構造である。この種の容器(以下、パウチパック型容器)は、周知のごとく、レトルト食品などの容器として使用されており、厚地で形状維持性に優れた剛性のある複数のフィルム状素材の縁辺同士を熱溶着などの方法により接着させて袋状に形成したものである。そして、ここに示した米詰替用容器10bは、フィルム状素材を使用するとともに、底部14bを下方として、容器本体11bの側面を形成する2枚のフィルム状素材と、底部14bを構成する1枚のフィルム状素材のそれぞれの縁辺を接着させている。それによって、図示した米詰替用容器10bは、幅広の底部14bによって自立可能となっている。そして、パウチパック型の米詰替用容器10bは、フィルム状素材からなる袋の一辺を開口させた状態で米40を収納するとともに、その状態で脱気しながらその一辺を熱溶着等の方法で接着させることで、容易に米40を真空状態で収納することができる。そのため、冷蔵保存はもちろん、常温でも米40を長期間に亘って保存することが可能となる。なお、米詰替用容器は米40が自重によって落下しながら容器本体外へ導出されるように首部が形成されていればよく、例えば、図7に示したように、首部12cが容器本体11cの側方に突出するように形成された米詰替用容器10cも考えられる。
【0035】
===第2の実施例===
ところで、上記第1の実施例では、米を詰め替える際、正立させた状態にある米詰替用容器(10a,10b)に米櫃用容器(20a〜20c)を連結し、次いで、連結状態を維持したまま、双方の容器(10a,10b、20a〜20c)の天地を逆転させていた。そのため、力の弱い人にとっては、面倒な作業となる。そこで、連結後に天地を逆転させずに済む構造を備えた米用保存容器セットを本発明の第2の実施例として示す。
【0036】
図8に第2の実施例に係る米用保存容器セット1dを示した。当該米用保存容器1dは、第1の実施例に係る米用保存容器1aと同様に、米詰替用容器10dと米櫃用容器20dがともにペットボトルで構成されている。しかし、米40の詰め替え時に、米詰替用容器10dの首部12dと、米櫃用容器20dの管部22dを連結する際の内外の関係が逆で、管部22dが米供給口13dを介して首部12d内に挿入されるようになっている。さらに、米供給口13dが、管部22dが挿入された際に開口する板状、あるいは膜状の封止部材31によって封止されている。この例では、封止部材31は、外部から押圧されることで破断する紙で構成されている。
【0037】
図9(A)〜(C)に、第2の実施例の米用保存容器セット1dにおいて、米40を詰め替えるときの状態を遷移図にして示した。まず、米櫃用容器20dを正立させるとともに、米詰替用容器10dを倒立させて、米供給口13dと米導入口23dとを対面させる(A)。次いで、管部22dを米供給口13d内に挿入すると、米導入口23dの縁端が封止部材31に当接し、さらに挿入すると、この封止部材31が破断する(B)。そして、米詰替用容器10d内の米40が自重により破断した封止部材を開口させ、米櫃用容器20d内へ落下していく(C)。
【0038】
なお、封止部材31を、米導入口23dの縁端に押圧されることで破断する構成とせず、例えば、首部22dの内部に周回する溝を形成しておき、その溝に円板状の封止部材31を嵌着しておいてもよい。そして、封止部材31が米導入口23dの縁端により押圧されると、その封止部材31が溝から脱落して米供給口22dが開口するようにしてもよい。
【0039】
===第3の実施例===
図1に示した米用保存容器セットでは、首部12aと管部22aが中空筒状であり、一方12aを他方22aに挿入することで米詰替用容器10aと米櫃用容器20aとを連結し、米詰替用容器10a内の米40を自重によって米櫃用容器20a内に落下させて米40を詰め替えるようにしている。このとき、首部12aと管部22aは、弾性体30により密着しているため、一体化した二つの容器(10a,20a)の内外で空気が流通しない。しかし、米40は、液体ではなく粒体であるので、双方の容器(10a,20a)内の空気は、個々の米粒同士の間隙を通して連結状態にある二つの容器(10a,20a)内を自在に移動することができる。そのため、米詰替用容器10a側が負圧となって、米詰替用容器20a内に米40が落下しなくなる、ということは現実には起こり難い。
【0040】
とは言っても、連結状態にある二つの容器(10a、20a)の内外で空気を流通させれば、より円滑に詰め替え作業が行えることが明白である。しかし、米詰替用容器10aに単純に空気孔を設けただけでは、容器本体11a内に外部の水分(水蒸気など)がその空気孔を介して入り、米40がその水分を吸収する。そのため、米40の鮮度を長期間に亘って維持することが難しくなる。水害などによって大量の水が容器本体11a内に流入すれば、米40を食用に供することもできなくなる。そこで、第3の実施例として、保存時には、容器本体内が密閉されて鮮度が維持されつつ、詰め替え時には、容器本体の内外で空気を流通させて、より円滑に詰め替え作業が行えるようにした米詰替用容器を挙げる。
【0041】
図10〜図14に、第3の実施例に係る米詰替用容器(10f〜10k)を示した。まず、図10に示した例は、ペットボトルからなる米詰替用容器10fであり、容器本体11fの底部14fの近傍には通気孔50が形成されている。そして、保存時には、その通気孔50が粘着フィルム51によって塞がれている。
【0042】
図11(A)〜(C)に、図10に示した米詰替用容器10fにおいて、米40の詰め替え時に通気孔50を開口させる手順を示した。なお、当該図11は、図10における円内を拡大した図に相当する。まず、保存時、すなわち販売時には、図11(A)に示したように、通気孔50を粘着フィルム51で塞いだ状態にしておき、詰替時には、その粘着テープ51を剥離し(B)、通気孔50を開口させる(C)。それによって、米詰替用容器の内外での空気の流通が可能となる。なお、通気孔50の形状は、米粒が通りにくい大きさや形状とすればよい。形状であれば、例えば、スリット状としたり、米粒よりも小さな孔を複数設けたメッシュ状としたりすれば、より好ましい。もちろん、この構成は、図6や図7に示したようなパウチパック型容器からなる米詰替用容器(10b,10c)にも適用可能である。
【0043】
図12は、容器本体11gの一部を破断することで、通気孔54を開口させる構造の米詰替用容器(10g,10h)を示した。この構造としては、図12(A)に示したように、ペットボトルによる米詰替用容器10gとし、その容器本体11gの側面などに小さな突起52を形成することが考えられる。そして、図12(B)(C)に、図12(A)の円内を拡大して示したように、この突起52を基部53の部分から折れば(B)、その基部53の部分でペットボトルが破断して開口する(C)。なお、ペットボトルの底部14gは、普通、内圧によって外方に膨らまないように凹みが形成されている。そこで、図12(D)に示した米詰替用容器10hのように、ペットボトルの底部14hの凹んだ部分に当該突起52を形成すれば、突起52が邪魔になることが無い。もちろん、先に図10、図11に示した粘着フィルム51で塞ぐ通気孔50をペットボトルのこの底部14hに設けてもよい。いずれにしても、米40の詰め替え時には米40が自重で下方に落下していくため、底部近傍を開口するようにすれば、米40の粒によってその開口(50,54)が塞がれることがなく、より円滑に空気が流通する。
【0044】
米詰替用容器をパウチパック型容器とする場合でも、容器本体の一部を破断させて通気孔を開口させることができる。しかも、パウチパック型容器は、ペットボトルと異なり切り込みなどがあれば、容易に切り裂くことができるため、容器本体の一部を破断することで通気孔を開口させるための構造を設けることが容易である。図13に、パウチパック型容器からなる容器本体(11i,11j)の一部を切り裂いて開口させる構造の米詰替用容器(10i,10j)を示した。図13(A)は、容器本体11iにおけるフィルム状素材の縁辺の接着領域に切欠部55を形成し、例えば、詰め替え作業の途上で、米40の落下速度が鈍った時点で、この切欠部55から容器本体11iを劈開し、米詰替用容器10i内に空気を導入する形態としている。図13(B)に示した米詰替用容器10jも同様に、容器本体11jの一部を破断可能とする構造であるが、この例では、容器本体11jにおいて、フィルム状素材が接着されていない米40の収納空間から細管状の通路56が案内されているとともに、その通路56の周囲が接着されて突片57が形成されている。そして、この突片57の接着部分に切欠部58などを設けておき、その切欠部58から突片57を切断すれば、突片57の先端が開口し、上記の通路56を介して容器本体11jの内外が通気状態となる。
【0045】
また、パウチパック型容器は、複数枚のフィルム状素材の縁辺を貼り合わせて袋状に形成したものであるので、チューブを挟持した状態でフィルム状素材を貼り合わせれば、容器本体の内外を連絡するチューブを容易に取り付けることができる。図14に、そのチューブ58を備えたパウチパック型容器からなる米詰替用容器10kを例示した。樹脂製のチューブ58が容器本体11kの内側から外側に向けて突出しており、当初は、チューブ58の外側に突出した部分の先端59が封止されている。そして、チューブ58において、容器本体11kの外部に露出する部分にチューブ58を切断可能とするための切り込みや、チューブを周回する薄肉部分かなる切断部60を形成しておく、そして、米40の詰め替え時に、必要に応じて、チューブ58を折り曲げれば、チューブ58が切断部60にて切り離され、その切断面が開口61となって容器本体11kの内外が通気状態となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、例えば、一般家庭における米の備蓄用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1a,1b 米用保存容器セット、10a〜10k 米詰替用容器、
11a〜11k 米詰替用容器の容器本体、12a〜12k 首部
13a〜13k 米供給口、20a〜20c 米櫃用容器、
21a〜21c 米櫃用容器の容器本体、22a〜22c 管部、
23a〜23c 米導入口、30 弾性体、31 封止部材、40 米、
50,54,61 通気孔、51 粘着フィルム、52 突起、
55,58 切欠部、57 突片、58 チューブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米を収納した状態で自立可能な米詰替用容器と、当該米詰替用容器内の米の詰め替え先となる米櫃用容器とからなる米用保存容器セットであって、
前記米詰替用容器は、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備え、
前記米櫃用容器は、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米導入口として開口する管部を備え、
前記米詰替用容器と前記米櫃用容器は、前記首部と前記管部のいずれか一方が、他方の開口に挿入可能に形成され、当該挿入状態において、前記首部と前記管部とを密着させるための弾性体が介在している、
ことを特徴とする米用保存容器セット。
【請求項2】
請求項1において、前記米詰替用容器と前記米櫃用容器は、前記首部が前記管部の前記米導入口に挿入可能に形成され、前記首部の外周、あるいは前記管部の内周に前記弾性体が装着されていることを特徴とする米用保存容器セット。
【請求項3】
請求項1において、前記米詰替用容器と前記米櫃用容器は、前記管部が前記首部の前記米供給口に挿入可能に形成され、前記首部の内周、あるいは前記管部の外周に前記弾性体が装着されていることを特徴とする米用保存容器セット。
【請求項4】
請求項3に記載の米用保存容器セットおいて、前記米供給口は、前記管部が挿入される際、前記米導入口の縁端によって押圧されることで開口する板状、あるいは膜状の部材によって封止されていることを特徴とする米用保存容器セット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、前記米詰替用容器は、ペットボトル容器であることを特徴とする米保存容器セット。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかにおいて、前記米詰替用容器は、フィルム素材の縁辺を接着して袋状に形成した容器本体を備えたパウチパック型容器であることを特徴とする米用保存容器セット。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の前記米保存容器セットを構成する前記米櫃用容器であって、
米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡し、他端が米導入口として開口する管部を備えるとともに、当該管部の外周、あるいは内周に弾性体が装着されていることを特徴とする米櫃用容器。
【請求項8】
請求項5または6に記載の前記米保存容器セットを構成する前記米詰替用容器であって、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備えるともに、当該首部の外周、あるいは内周に弾性体が装着されていることを特徴とする米詰替用容器。
【請求項9】
請求項5または6に記載の前記米保存容器セットを構成する前記米詰替用容器であって、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備え、前記容器本体には、米粒より小さな通気孔が穿設されているとともに、当該通気孔が開口可能に封止されていることを特徴とする米詰替用容器。
【請求項10】
請求項9において、前記通気孔は、微細な複数の孔によって構成されていることを特徴とする米詰替用容器。
【請求項11】
請求項5または6に記載の前記米保存容器セットを構成する前記米詰替用容器であって、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備え、前記容器本体の底部近傍に、当該容器本体の一部を破断して容器本体の内外を通気させるための構造を備えていることを特徴とする米詰替用容器。
【請求項12】
請求項6に記載の前記米保存容器セットを構成する前記米詰替用容器であって、
米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部と、前記容器本体の内外を連絡しつつ、外方側の先端が封止され、内方側の先端が開口する細管とを備え、
当該細管は、延長途上で破断可能に形成されて、破断された際に、容器本体の内外が通気状態となる、
ことを特徴とする米詰替用容器。
【請求項1】
米を収納した状態で自立可能な米詰替用容器と、当該米詰替用容器内の米の詰め替え先となる米櫃用容器とからなる米用保存容器セットであって、
前記米詰替用容器は、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備え、
前記米櫃用容器は、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米導入口として開口する管部を備え、
前記米詰替用容器と前記米櫃用容器は、前記首部と前記管部のいずれか一方が、他方の開口に挿入可能に形成され、当該挿入状態において、前記首部と前記管部とを密着させるための弾性体が介在している、
ことを特徴とする米用保存容器セット。
【請求項2】
請求項1において、前記米詰替用容器と前記米櫃用容器は、前記首部が前記管部の前記米導入口に挿入可能に形成され、前記首部の外周、あるいは前記管部の内周に前記弾性体が装着されていることを特徴とする米用保存容器セット。
【請求項3】
請求項1において、前記米詰替用容器と前記米櫃用容器は、前記管部が前記首部の前記米供給口に挿入可能に形成され、前記首部の内周、あるいは前記管部の外周に前記弾性体が装着されていることを特徴とする米用保存容器セット。
【請求項4】
請求項3に記載の米用保存容器セットおいて、前記米供給口は、前記管部が挿入される際、前記米導入口の縁端によって押圧されることで開口する板状、あるいは膜状の部材によって封止されていることを特徴とする米用保存容器セット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、前記米詰替用容器は、ペットボトル容器であることを特徴とする米保存容器セット。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかにおいて、前記米詰替用容器は、フィルム素材の縁辺を接着して袋状に形成した容器本体を備えたパウチパック型容器であることを特徴とする米用保存容器セット。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の前記米保存容器セットを構成する前記米櫃用容器であって、
米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡し、他端が米導入口として開口する管部を備えるとともに、当該管部の外周、あるいは内周に弾性体が装着されていることを特徴とする米櫃用容器。
【請求項8】
請求項5または6に記載の前記米保存容器セットを構成する前記米詰替用容器であって、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備えるともに、当該首部の外周、あるいは内周に弾性体が装着されていることを特徴とする米詰替用容器。
【請求項9】
請求項5または6に記載の前記米保存容器セットを構成する前記米詰替用容器であって、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備え、前記容器本体には、米粒より小さな通気孔が穿設されているとともに、当該通気孔が開口可能に封止されていることを特徴とする米詰替用容器。
【請求項10】
請求項9において、前記通気孔は、微細な複数の孔によって構成されていることを特徴とする米詰替用容器。
【請求項11】
請求項5または6に記載の前記米保存容器セットを構成する前記米詰替用容器であって、米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部とを備え、前記容器本体の底部近傍に、当該容器本体の一部を破断して容器本体の内外を通気させるための構造を備えていることを特徴とする米詰替用容器。
【請求項12】
請求項6に記載の前記米保存容器セットを構成する前記米詰替用容器であって、
米の収納部となる容器本体と、一端が当該容器本体の内部と連絡しつつ、他端が米供給口として開口する中空筒状の首部と、前記容器本体の内外を連絡しつつ、外方側の先端が封止され、内方側の先端が開口する細管とを備え、
当該細管は、延長途上で破断可能に形成されて、破断された際に、容器本体の内外が通気状態となる、
ことを特徴とする米詰替用容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−254255(P2012−254255A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130355(P2011−130355)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(511113981)株式会社ネクストステージ (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(511113981)株式会社ネクストステージ (3)
【Fターム(参考)】
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