米飯成型機におけるシャッター装置
【課題】 飯粒を切断等することなく、帯状飯から飯塊を分離し得る米飯成型機におけるシャッター装置を提供すること。
【解決手段】 帯状飯通路の左右両側に所定間隔を以って一対の主シャッター板を配設し、両主シャッター板の対向縁を近接離間方向に移動し得るように構成し、上記両主シャッター板の下面側に補助シャッター板を配設し、上記補助シャッター板の対向縁を上記主シャッター板と共に移動し得るように構成し、上記各補助シャッター板はそれらの一端の支持部を中心として各対向縁を互いに回動し得るように構成し、上記主シャッター板の近接移動に伴って主シャッター板の対向縁を帯状飯に所定量進入させた状態において、上記両補助シャッター板の対向縁を互いに下向きに回動させる回動機構を設け、上記回動機構による上記両補助シャッター板の上記下向き回動により、上記主シャッター板の下側に位置する飯を下方に分離供給し得るように構成する。
【解決手段】 帯状飯通路の左右両側に所定間隔を以って一対の主シャッター板を配設し、両主シャッター板の対向縁を近接離間方向に移動し得るように構成し、上記両主シャッター板の下面側に補助シャッター板を配設し、上記補助シャッター板の対向縁を上記主シャッター板と共に移動し得るように構成し、上記各補助シャッター板はそれらの一端の支持部を中心として各対向縁を互いに回動し得るように構成し、上記主シャッター板の近接移動に伴って主シャッター板の対向縁を帯状飯に所定量進入させた状態において、上記両補助シャッター板の対向縁を互いに下向きに回動させる回動機構を設け、上記回動機構による上記両補助シャッター板の上記下向き回動により、上記主シャッター板の下側に位置する飯を下方に分離供給し得るように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば寿司飯等を成型する米飯成型機におけるシャッター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、すし飯等の米飯成型機は、互いに側面を対向させた一対のローラ間に上方から米飯を供給し、上記ローラの対向方向への回転により、米飯をローラ間で圧縮しながら下方に移行し、上記ローラの下方に対向方向に開閉駆動されるシャッターを設け、上記ローラの間歇駆動により開状態にあるシャッター間に米飯を供給した状態で、上記シャッターを対向方向に水平移動させて閉鎖することで、上記米飯をカットし、カット後の米飯をシャッター下方のコンベア等に落下供給し、次いで飯成型押具を下降することで、寿司飯等の米飯を成型する装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
この種の装置に用いられているシャッターは、2枚の板を近接、離間駆動することにより米飯をカットするものが一般的であるが、上部から送られてくる米飯を確実に切り離すために、閉鎖時に、一方のシャッターの下側に他方のシャッターを潜り込ませ、2枚のシャッターの対向縁(エッジ)を交差するように構成されているものが提案されている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−185112号
【特許文献2】特開2007−282564号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のものでは、閉鎖時において、対向方向に移動してくるシャッターの対向縁が交差するものであるから、対向縁の交差部において、飯粒に対向方向の力が加わり、結果として、飯粒の切断、飯粒の潰れ、捩れが生じ、或いは飯粒に擦れた跡が残ることもあり、依然として成型後の寿司飯等の見栄えが悪いという課題がある。
【0006】
また、シャッターの対向縁を円錐形のロッド状に形成したものも提案されているが(特許文献2)、この文献2記載の装置においても、左右のシャッターが交差するものであるから、同様の課題があった。
【0007】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、シャッター機構を主シャッター板と補助シャッター板により構成することにより、シャッターを交差することなく、米飯を分離できるように構成し、飯粒を切断した跡を残すことなく飯塊を分離することが可能な米飯成型機におけるシャッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため本発明は、
帯状飯通路の左右両側に所定間隔を以って一対の主シャッター板を配設し、駆動手段を設けて両主シャッター板の対向縁を近接離間方向に移動し得るように構成し、上記両主シャッター板の下面側に補助シャッター板を各々配設し、上記補助シャッター板の対向縁を上記主シャッター板と共に近接離間方向に移動し得るように構成し、上記各補助シャッター板はそれらの一端の支持部を中心として各対向縁を互いに回動し得るように構成し、かつ、上記主シャッター板の近接移動に伴って主シャッター板の対向縁を帯状飯に所定量進入させた状態において、上記両補助シャッター板の対向縁を互いに下向きに回動させる回動機構を設け、上記回動機構による上記両補助シャッター板の上記下向き回動により、上記主シャッター板の下側に位置する飯を下方に分離供給し得るように構成したものであることを特徴とする米飯供給機におけるシャッター装置により構成される。
【0009】
上記駆動手段は駆動モータ(M3)、シャッター駆動カム盤(28)、駆動腕(25,25’)等により構成することができる。主シャッター板の対向縁は例えば凹凸部(22,22’)により構成することができる。各補助シャッター板の一端の支持部とは、例えば補助シャッター板の回動支持部(23b,23b’)により構成することができ、例えば回動支持部(23b,23b’)の支軸(24,24’)を中心として各対向縁(23a,23a’)を互いに回動し得るように構成することができる。上記主シャッター板の近接移動に伴って主シャッター板の対向縁を帯状飯に所定量進入させた状態とは、例えば主シャッター板の対向縁が帯状飯の両側面から内部方向にある程度進入しているが、対向縁が噛合していない状態をいう。上記回動機構は、例えば上記補助シャッター板(23,23’)の回動支持部(23b,23b’)に設けられたガイドピン(27,27’)、及びこれらガイドピン(27,27’)の一端が係合するガイド溝(26,26’)により構成し、例えばガイド溝(26,26’)を水平溝部(26a,26a’)と下向き対向傾斜溝部(26b,26b’)により構成することにより実現することができる。このように構成すると、主シャッター板により帯状飯を上半部と下半部に分離しながら補助シャッター板の回動により下半部の飯を下方に分離供給することができ、飯粒を切断等することなく、所定量の飯塊を供給することができる。
【0010】
第2に、上記両補助シャッター板は、各々対応する主シャッター板に回動支持部を以って回動可能に軸支されているものであることを特徴とする上記第1記載の米飯供給機におけるシャッター装置により構成される。
よって、シャッター機構を薄くコンパクトに構成することができる。
【0011】
第3に、上記回動機構は、上記各補助シャッター板にガイドピンを取り付けると共に、筐体にこれらガイドピンの端部が係合するガイド溝を両ガイドピンに対応して各々設け、かつ上記ガイド溝は各々水平溝部と、該水平溝部に連続した下向き対向傾斜溝部を有する左右対称形状をなしており、上記主シャッター板の近接方向の移動に基づいて、上記ガイドピンが上記水平溝部から上記対向傾斜溝部に移行することにより、上記補助シャッター板が上記回動動作を行うものであることを特徴とする上記第1又は2記載の米飯供給機におけるシャッター装置により構成される。
【0012】
上記筐体は例えば前面基板(F)により構成することができる。このように構成すると、主シャッター板の近接移動に基づいて補助シャッター板の対向縁を下向きに回動させて飯塊を分離することができる。
【0013】
第4に、上記補助シャッター板は、上記主シャッター板の対向縁が帯状飯に入り込み両対向縁が噛合する前の状態において、上記回動動作を開始するように構成したものであることを特徴とする上記第1〜3の何れかに記載の米飯供給機におけるシャッター装置により構成される。
【0014】
このように構成すると、主シャッター板の対向縁が噛合する前に、補助シャッター板により下半部の飯を分離することができるので、主シャッター板の対向縁が噛合することによる飯粒の切断等を極力防止することができる。
【0015】
第5に、上記主シャッター板の両対向縁は互いに噛合し得る凹凸形状であることを特徴とする上記第1〜4の何れかに記載の米飯供給機におけるシャッター装置により構成される。
【0016】
このように構成すると、主シャッター板の対向縁による飯粒の切断等を極力防止することができる。
【0017】
また、上記補助シャッター板の対向縁は直線状とすることができるが、補助シャッター板の対向縁も凹凸状に構成することもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述のように、2枚のシャッター板を交差させることなく、所定量の飯を分離して供給することができるので、飯粒に切断跡が残らず、飯粒を潰すことがないため、見栄えの良い寿司飯等のシャリ玉を形成することができるものである。
【0019】
また、主シャッター板の対向縁が噛合する前に補助シャッター板により下半部の飯を下方に分離し得るので、飯粒を切断することなく、飯塊を供給し得ると共に、分離時の飯の落下を防止して、正確な分量の飯塊を供給し得るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面に従って、本発明に係る米飯成型機におけるシャッター装置について詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明に係る米飯成型機におけるシャッター装置が適用される米飯成型機の全体斜視図、図2(a)は、成型機の前面カバーNを取り外した状態の飯通路3近傍の正面図、同図(b)はシャッター装置近傍の平面図である。
【0022】
1は当該成型機の機枠であり、当該機枠1の最上部に飯送り出しホッパー2が設けられている。このホッパー2内には飯が供給されており、公知の飯送り羽根(図示せず)の回転により飯が前方に送り出され、当該ホッパー2の前方側下開口部2aから下方の前面基板Fの前面側に設けられた飯通路3に飯が送り出されるものである(図2、図3参照)。
【0023】
上記米飯成型機の上記ホッパー2下方の飯通路3には、前向き同一高さの水平回転軸4a,4aを有する一対の大径ローラ4,4、及び同じく前向きの同一高さの水平回転軸5a,5aを有する一対の小径ローラ5,5が設けられており、これらのローラ4,4間及び上記ローラ5,5間の上記前面基板Fに帯状飯成型部6が形成されている。さらに、上記小径ローラ5,5の下方には、成型された帯状飯Rが通過する帯状飯通路6’が形成され、当該帯状飯通路6’の両側に、対向方向に開閉移動する一対のシャッター機構20,20’が設けられている。尚、上記シャッター機構20,20’の部分を飯分離部9という。
【0024】
この飯分離部9の下方には、当該分離された飯塊R’を受け止め収納する成型孔10aが複数(例えば16個)形成された間歇回転成型円盤10が設けられている(図4参照)。この間歇回転成型円盤10は上記飯分離部9からの飯塊R’の落下供給を受けると、一定角度水平方向(矢印E方向)に回転し、当該回転位置において上部から飯成型押具14が上記成型孔10a内に下降し(図4参照)、上記成型孔10a内において下型12上の飯塊R’を押圧することにより寿司飯R”を成型し(図3参照)、上記回転円盤10のさらなる回転により、下型12が円形カム13に沿って上記成型孔10a内を上昇し、これにより上記寿司飯R”は取り卸し位置Xにて上記円盤10上に臨出し取り卸されるように構成されている(図4参照)。このような間歇回転成型円盤10による寿司飯の成型は公知の技術である(例えば特開2000−125788号)。
【0025】
上記飯成型用の大径ローラ4,4は、図3に示すように中央の円筒部4bの前後に前後方向に拡径するテーパ部4c,4cを有する鼓形を有しており、前後の最大径の円盤4d,4dを近接させた状態で、上記前面基板F前方に突出する互いに平行な水平回転軸4a,4aに挿通支持され、かかる状態で両ローラ4,4間に、上記円筒部4b,4b及び上記テーパ部4c,4cから構成される上記帯状飯成型部6が形成されている。
【0026】
これらの大径ローラ4,4は、駆動モータM1により駆動ギアG1を介して互いに対向方向(矢印B,B’方向)に間歇的に駆動され(図11参照)、上記ホッパー2から上記飯通路3に供給された飯を上記帯状飯成型部6にて圧縮して帯状飯Rとし、下方に送り出すものである。
【0027】
上記小径ローラ5,5は、その外周面に細かい軸方向突条5’が形成されており、駆動モータM2により駆動ギアG2を介して互いに対向方向(矢印B,B’方向)に間歇的に駆動され(図12参照)、上記前面基板F前方において、上記帯状飯Rをさらに下方に送り出すものである。尚、上記小径ローラ5,5の間歇駆動タイミングは上記大径ローラ4,4と同一であり、両者が同じタイミングで回転、停止を繰り返すものである。
【0028】
次に、上記飯分離部9の詳細な構成について説明する。
図2(a)(b)に示すように上記飯分離機構9は、左側のシャッター機構20と、右側のシャッター機構20’とから構成されており、これらのシャッター機構20,20’は、上記帯状飯通路6’の中心線Pを中心として左右対称の構造となっているので、右側のシャッター機構20’の対応部分については、左側のシャッター機構の符号に「’」を附して説明する。
【0029】
上記シャッター機構20,20’において、21,21’は水平方向に同一高さに配置された主シャッター板であり、平面からみると全体として略方形の板状をなし(図2(b)参照)、互いに対向する先端縁には複数の凹凸部22,22’が設けられ、これらの凹凸部22,22’を水平に対向した状態で、上記帯状飯通路6’を挟んで対向して水平に配置されている。
【0030】
これらの主シャッター板21、21’は、それらの後方側係合孔部21c,21c’に駆動腕25,25’の前端部25a,25a’が各々挿入係合されており、後述の駆動機構により、対向方向(矢印A,A’方向)及び離間方向(矢印C,C’方向)に水平に往復スライドし得るものであり、図2(図9(a))に示す開状態において帯状飯Rが上記帯状飯通路6’に供給され、図9(b)に示す状態において、帯状飯Rを上半部R1と下半部R2に分離して、図5(図9(c))の閉状態において下半部R2の飯塊を下方の飯成型孔10aに落下供給し得るものである。
【0031】
上記主シャッター板21,21’の対向縁を構成する各凹凸部22,22’は、その各凹部が略U字形状をなしていると共に、両シャッター板21,21’において互い違いに設けられており、これにより両シャッター板21,21’が対向方向に移動して図5(図9(c))に示す最も近接した状態(閉状態)において、シャッター板21,21’自体は交差せず、上記両凹凸部(対向縁)22,22’が噛合するように構成されている(図5(b)、図9(c)参照)。
【0032】
また、上記シャッター板21,21’の対向縁部は、側面からみると、先端にいくにつれて次第にその厚みを減少させる先薄状のテーパ面T,T’が形成されており、これにより帯状飯R内に円滑に進入し得るように構成されている。
【0033】
また、この主シャッター板21、21’の上面中央位置には、後述の補助シャッター板23,23’を軸支するための一対の軸受21a,21a、21a’,21a’が所定間隔を以って立設固定されており、さらに上記軸受21a,21a、21a’,21a’間における板面に左右方向の長方形状の貫通孔21b,21b’が形成されている。
【0034】
そして、上記主シャッター板21,21’は、上記貫通孔21b,21b’を介して下側からシャッター板21,21’上に臨出する補助シャッター板23,23’の回動支持部23b,23b’を、上記軸受21a,21a間、21a’,21a’間に前後方向に貫通する支軸24,24’によって回動可能に軸支している。
【0035】
上記主シャッター板21,21’の下側には、各々上記補助シャッター板23、23’がその支軸24,24’を中心に互いに下方に回動する方向(互いに下方に開く矢印D,D’方向)に回動可能に設けられている。この補助シャッター板23,23’は、それ自体は平面からみて方形を成し、先端縁は下方から先端縁方向にテーパ面K,K’が形成された先薄状の直線状のエッジ(対向縁)23a,23a’が形成されている。即ち、上記各補助シャッター板23,23’はそれらの一端の支持部(回動支持部23b,23b’)を中心として各エッジ(対向縁)23a,23a’を互いに回動し得るように構成している。
【0036】
この補助シャッター板23,23’は、各々その上面の左端部より、右端部よりの位置に回動支持部23b,23b’が立設固定されており、これら回動支持部23b,23b’を各々の主シャッター板21,21’下側から上記貫通孔21b,21b’内に挿通し、上記補助シャッター板23,23’の上面を上記主シャッター板21,21’の下面に接触した状態で、上記軸受21a,21a間、21a’,21a’間に位置する上記回動支持部23b,23b’を支軸24,24’によって軸支し、これにより補助シャッター板23,23’は、上記支軸24,24’を回動支点としてエッジ(対向縁)23a,23a’を互いに下向き(矢印D,D’方向)に回動可能に支持されている。
【0037】
上記補助シャッター板23,23’の上記回動支持部23b,23b’の上記支軸24,24’によって支持された部分から中央寄りの位置には、前後方向のガイドピン27,27’が各々軸挿固定されている。
【0038】
このガイドピン27,27’は上記主シャッター板21,21’の上面に沿って水平に位置しており、その後端部27a,27a’は、上記前面基板(筐体)Fの下端前面側に設けた一対のガイド溝26,26’内に位置するように構成されている。
【0039】
このガイド溝26、26’は上記主シャッター板21,21’の左右方向のストローク期間中、上記ガイドピン27,27’をガイドするものであり、水平溝部26a,26a’と該水平溝部26a,26a’に連続する下向き対向傾斜溝部26b,26b’から構成されており、互いの下向き対向傾斜溝部26b,26b’が対向する方向となるように、上記前面基板F下端に、上記中心線Pに左右対称形状となるように設けられている。
【0040】
上記ガイド溝26,26’の水平溝部26a,26a’の高さは、上記ガイドピン27,27’を支持することにより、上記補助シャッター板23,23’を水平に支持する高さであり、上記下向き対向傾斜溝部26b,26b’は、上記ガイドピン27,27’が当該溝部26b,26b’に沿って下向きに移動することにより、上記補助シャッター板23、23’が上記主シャッター板21,21’に対して上記支軸24,24’を中心に矢印D方向に回動し得るような位置に設けられている(図5参照)。また、上記補助シャッター板23,23’の左右端部の上面には、回動時に主シャッター板21,21’下面に平行に接触するテーパ面Y,Y’が設けられている。
【0041】
尚、上記前面基板Fに対向する前面基板F’が上記シャッター機構20,20’の前面側にも配置固定され、当該前面基板F’の内側の上記ガイド溝26,26’と対応する位置に、上記ガイド溝26,26’と同一のガイド溝26,26’が各々形成され、上記各ガイドピン27,27’の前端部27a,27a’が上記ガイド溝26,26’に係合するように構成されている。即ち、上記ガイドピン27,27’はその両端部27a,27a’を上記ガイド溝26,26’によりガイドされる構成となっている。
【0042】
従って、上記主シャッター板21,21’が対向方向(矢印A、A’方向)に近接駆動されると、上記補助シャッター板23,23’はそのガイドピン27,27’が上記直線溝部26a,26a’にある間は、上記主シャッター板21,21’と平行な非回動状態を維持し、上記ガイドピン27,27’の両端部27a,27a’がガイド溝26,26’の水平溝部26a,26a’に位置している間は、主シャッター板21,21’の互いの接近と共に、補助シャッター板23,23’もその対向縁23a,23a’を互いに接近していく(図9(a)から図9(b))。このとき、主シャッター板21,21’は帯状飯Rを上半部R1と下半部R2に分離していくと共に、補助シャッター板23,23’のエッジ23a,23a’も接近により、帯状飯Rに対してその両側より多少帯状飯R内部に入り込んだ状態となる(図9(b))。
【0043】
そして、さらに主シャッター板21,21’が近接すると、上記ガイドピン27,27’の端部27a,27a’が上記傾斜溝部26b,26b’に移行を開始し、当該ガイドピン27,27’が傾斜溝部26b,26b’に沿って下降するため、補助シャッター板23,23’は、互いにそのエッジ23a,23a’を接触したり、交差することなく、上記回動支軸24,24’を中心として矢印D,D’方向に回動開始する。この回動開始する主シャッター板の位置を図2(a),(b)に二点鎖線で示す(図9(b)の位置)。
【0044】
そして、当該位置よりさらに主シャッター板21,21’が近接すると、上記ガイドピン27,27’の端部27a,27a’が上記ガイド溝26,26’の下向き対向傾斜溝部26b、26b’に沿って下降するため、補助シャッター板23,23’が互いに矢印D,D’方向に回動開始し、そのエッジ23a,23a’が次第に下方に回動して行き、図5(図9(c))の主シャッター板21,21’の閉鎖位置においては、水平位置から略10度下方に回動した状態となるように構成されている。
このとき、上記補助シャッター板23,23’は、上記主シャッター板21,21’の凹凸部(対向縁)22,22’が帯状飯Rに入り込み両凹凸部(対向縁)が噛合する前の状態(図9(b)の状態)において、矢印D,D’方向の上記回動動作を開始するように構成している。これにより、上記主シャッター板21,21’の凹凸部22,22’が噛合う前に、補助シャッター板23,23’のエッジ23a,23a’を下半部R2の帯状飯の側面に入り込ませ、これらのエッジ23a,23a’の下方向への回動(矢印D,D’方向)動作により、上記下半部R2の飯塊を上半部R1の帯状飯から分離して、分離した飯塊R’を下方に移動させることができるように構成している。
【0045】
このようなシャッター機構20,20’の動作により、主シャッター板21,21’を交差することなく、主シャッター板21,21’により帯状飯Rを上半部R1と下半部R2に分離しながら、同時に補助シャッター板23,23’をも交差することなく、補助シャッター板23,23’を回動させることにより、下半部R2の飯塊R’を下方の成型孔10a内に落下させるように構成している。このように構成すると、主シャッター板21,21’だけでなく、補助シャッター板23,23’も交差させる必要がないため、飯粒を直線的に切断したり、潰したりすることなく、帯状飯R’の下半部R2の飯を分離することができる。
【0046】
このように構成されるシャッター機構20,20’は、次のような駆動機構により駆動される。
【0047】
図6、図7に示すように、上記一対の駆動腕25,25’は上記前面基板Fの下端における左右一対のスリット30,30’から水平前方に臨出しており、当該駆動腕25,25’の先端部25a,25a’に上記主シャッター板21,21’が取付孔部21c,21c’を以って接続固定される。
【0048】
上記駆動腕25,25’は、その後端部においてスライダー29,29’に各々固定されており、これらのスライダー29,29’は左右方向の案内レール31,31に沿って左右方向に摺動し得るように構成されている。
【0049】
28はシャッター駆動カム盤であり、駆動モータM3の駆動軸回転軸28aにその中心を接続されており、当該回転軸28aを中心に、回転駆動し得るように構成されている。この駆動カム盤28の盤面には略楕円形のカム溝28bが形成されており、当該カム溝28b内に上記スライダー29,29’に設けられた回動ピン29a,29a’が係合しており、当該駆動カム盤28が回転すると、上記カム溝28bに沿って上記回動ピン29a,29a’が移動し得るように構成されている。
【0050】
従って、図7のシャッター開位置からシャッター駆動カム盤28が90度回転すると、上記回動ピン29a,29a’がカム溝28bに案内されることによりスライダー29,29’が上記案内レール31に沿って互いに近接方向に移動していき、上記カム盤28が90度回転した図6の位置において、上記駆動腕25,25’が同図に示す閉鎖位置に移動し得るように構成している。さらに、上記駆動モータM3が同一方向にさらに90度回転すると、上記駆動腕25,25’が図6に示す閉鎖位置から図7に示す開放位置に駆動し得るように構成している。よって、駆動モータM3は90度回転する毎に、図7に示すシャッター開位置と、図6に示すシャッター閉鎖位置を交互に繰り返すように構成されている。
【0051】
上記シャッター機構20,20’は、図2に示すように、上記小径ローラ5,5の下方位置に上記帯状飯成型部6下方の帯状飯通路6’を挟んで左右方向に所定間隔を以って互いに平行に設けられている。そして、上記帯状飯通路6’内に帯状飯Rが供給されている状態において、上記駆動モータM3を駆動して主シャッター板21,21’を矢印A,A’方向に駆動すると、図5に示すように、主シャッター板21,21’が対向方向に近接移行して帯状飯Rに対して進入して行き、帯状飯Rの上半部R1と下半部R2の間を分離しつつ、補助シャッター板23,23’の矢印D方向の回動により、下半部R2の飯を下方の飯成型孔10aに落下供給することができるように構成している。
【0052】
上記間歇回転成型円盤10は、その板面に16個の成型孔10aが貫通形成されており(図3、図4参照)、当該円盤10は機枠1に中心回転軸11を以って水平に支持され、かかる状態で、上記分離部9の下側に1つの飯成型孔10aが位置するように構成されている。また、上記各成型孔10a内には下型12が上記成型孔10a内に昇降自在に設けられており(図3参照)、上記分離部9で分離された飯塊R’は上記成型孔10a内の上記下型12上に供給される。
【0053】
上記間歇回転成型円盤10が間歇回転すると、上記成型孔10a内に飯押圧具14が下降して成型孔10a内の飯塊R’を圧縮し、寿司飯R”を成型し、上記回転円盤10がさらに矢印E方向に回転して行くと、上記下型12が円形カム13に沿って上昇してゆき、所定の取り卸位置Xにて寿司飯R”が上記回転円盤10上に臨出するように構成している。
【0054】
図10は帯状飯成用のローラ4,5及びシャッターの駆動に係る制御系のブロック図であり、制御部15(例えばプログラマブルコントローラ)には、操作部16が接続されると共に、上記各駆動モータM1乃至M3が接続されている。さらに、上記制御部15には、上記間歇回転成型円盤10の駆動モータM4、及び上記飯押圧具14の上下駆動シリンダー14’が接続されている。上記制御部15は図13に示す動作手順に従って上記各駆動モータM1乃至M4及び上記シリンダー14’を制御するものである。
【0055】
本発明は上述のように構成されるものであるから、次に、本発明の動作を説明する。
【0056】
まず、制御部15は、ホッパー2から飯を飯供給通路3内に飯を供給し、該飯通路3内に図2に示すように飯が供給されているものとする(図13P1)。この状態で、制御部15は駆動モータM1と駆動モータM2を一定時間駆動する(図13P2)。すると、大径ローラ4,4、及び小径ローラ5,5が矢印B,B’方向に一定時間回転する。そうすると上記飯供給通路3内の飯が上記大径ローラ4,4間に進入し、そのローラ4,4間において圧縮されながら下方に移行してゆき、上記小径ローラ5,5間を通過することにより帯状飯Rとなって、シャッター間に至る。このとき、帯状飯Rの下端は、飯成型孔10aの直上近傍に位置し、その時点で、上記大径ローラ4,4及び小径ローラ5,5が回転を停止する(図2参照)。
【0057】
次に、上記制御部15は、駆動モータM3を90度回転駆動してシャッター機構20,20’を閉鎖する(図13P3)。すると、駆動腕25,25’が近接方向に駆動され、主シャッター板21,21’が補助シャッター板23,23’と共に、近接方向(矢印A,A’方向)に移動開始する。これにより、上記主シャッター板21,21’の凹凸部22,22’が帯状飯Rに対して左右側面方向から近接し、上記帯状飯Rの両側面に入り込んで行く(図9(a)から図9(b)参照)。
【0058】
また、同時に補助シャッター板23,23’もそのガイドピン27,27’がガイド溝26,26’の水平溝部26a,26a’にガイドされながら水平状態を保ったまま主シャッター板21,21’と共に矢印A,A’方向に近接して行き、上記ガイドピン27,27’の端部27a,27a’が上記水平溝部26a,26a’の終端近傍に位置したときに、上記補助シャッター板23,23’のエッジ23a,23a’が帯状飯Rの両側面に若干入り込んだ状態となる(図2の二点鎖線、図9(b)参照)。
【0059】
さらに、上記主シャッター板21,21’が矢印A,A’方向に移動し、上記駆動カム盤28が90度回転した図6の位置に至る過程において、主シャッター板21,21’はその凹凸部22,22’が互いに噛み合った閉鎖状態に移行していく(図9(c)参照)。但し、主シャッター板21,21’自体は交差しないし、一方のシャッター板が他方のシャッター板下側に入り込むこともない。
【0060】
上記主シャッター板21,21’が図2の二点鎖線位置よりさらに近接方向に移動すると、上記補助シャッター板23,23’のガイドピン27,27’の端部27a,27a’がガイド溝26,26’の下向き対向傾斜溝部26b,26b’に移行していくため、その支軸24,24’を中心に矢印D,D’方向に回動を開始する。このとき、上記補助シャッター板23,23’のエッジ23a,23a’は、既に帯状飯Rの両側面に入り込んでいるので(図9(b))、上記補助シャッター板23,23’はその矢印D,D’方向への回動によりそのエッジ(対向縁)23a,23a’によって、下半部R2の飯を上半部R1の飯から切り離しながら下方に移行させてゆく。従って、上記下半部R2の飯は、主シャッター板21,21’の凹凸部22,22’が互いに噛み合う前(直前)の段階で、エッジ23a,23a’により上半部R1の飯から切り離される(図9(b)から図9(c)の状態)。
【0061】
そして、さらに主シャッター板21,21’が近接してゆくと、カム盤28が90度回転した状態において、最終的にその凹凸部23a,23a’が互いに噛み合った図5(図9(c))の閉鎖位置に至り、この状態において補助シャッター板23,23’がそのガイドピン27,27’の端部27a,27a’が傾斜溝部26b,26b’の終端部に至り、水平から約10度回動した状態となり、これにより下半部R2の飯塊R’は下方の回転盤10の成型孔10a内に落下供給される(図5、図9(c)参照)。
また、主シャッター板21,21’は、かかる状態において両凹凸部22,22’が噛合するので、上半部R1側の飯の落下を確実に防止し得て、正確な分量の飯塊を分離供給し得るものである。
【0062】
このように、主シャッター板21,21’の凹凸部22,22’が噛み合って閉鎖される前の状態において、既に下半部R2の飯は補助シャッター板23,23’の矢印D,D’方向の回動によりそのエッジ23a,23a’によって上半部R1から切り離されているため、上記主シャッター板21,21’により、飯粒が直線的に切断されたり、捩れたりすることを極力防止することができる。
【0063】
その後は、制御部15は、さらに駆動モータを90度回転駆動すると(図13P4)、上記主シャッター板21,21’と補助シャッター板23,23’は離間方向(矢印C,C’方向)に移動し、補助シャッター板23,23’は矢印D,D’とは反対方向に回動復帰し、図2に示す開状態に復帰する。
【0064】
その後上記制御部15は、間歇回転成型円盤10を矢印E方向に1ピッチ駆動して、次の成型孔10aを上記シャッター機能20,20’の直下に位置させる(図13P5)。尚、上記飯が供給された成型孔10aには、シリンダー14’の駆動により飯押圧具14が進入して飯を押圧成型し、寿司飯が成型される(図13P6)。
【0065】
上記制御部15は、再び駆動モータM1,M2を一定時間駆動する。すると、上記大径ローラ4,4及び小径ローラ5,5が一定時間回転駆動される。すると、上記帯状飯Rが再び上記シャッター機構20,20’間の帯状飯通路6’に供給され、当該帯状飯Rの下端が上記成型孔10aの直上に位置した時点で上記各ローラ4,5の回転が停止する(図13P2)。
【0066】
これ以降は、上記と同様に、上記シャッター機構20,20’の開閉動作により上記飯の分離動作が行われ、以後同様の動作が繰り返し行われる。尚、制御部15は、上記飯通路3内の飯が減少した場合は、それを光センサー(図示せず)等からの信号で検知し、ステップP1に戻って飯の供給を行う。
【0067】
本発明は上述のように、2枚のシャッター板(主シャッター板21,21’、又は補助シャッター板23,23’)を互いに交差させることなく、所定量の飯を分離して成型孔10aに供給することができるので、飯粒に切断跡が残らず、飯粒を潰すこともないため、見栄えの良い寿司飯等のシャリ玉を形成することができるものである。
【0068】
また、主シャッター板21,21’の対向縁(凹凸部22,22’)が噛合する前に、補助シャッター板23,23’により下半部R2の飯を下方に分離し得るので、飯粒を切断することなく、飯塊を供給し得ると共に、主シャッター板21,21’を噛合することで分離時の飯の落下を防止して、正確な分量の飯塊を供給し得るものである。
【0069】
また、主シャッター板21,21’に補助シャッター板23,23を回動可能に支持しており、補助シャッター板23,23’の回動は、ガイドピン27,27’とガイド溝26,26’等により構成された回動機構により構成しているため、シャッター機構20,20’を極めてシンプルで小型(薄型)に構成することができ、これによりシャッター機構20,20’を帯状飯通路6’の左右の上下幅の小さい空間に配置することを可能としたものである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る米飯成型機におけるシャッター装置によると、米粒に切断跡を残さずに寿司飯等のシャリ玉を形成することができるので、寿司用のシャリ玉、おにぎり等の成型に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る米飯成型機におけるシャッター装置を適用した米飯成型機の外観斜視図である。
【図2】(a)は同上装置の正面カバーを外した状態の正面図、(b)はシャッター機構周辺の平面図である。
【図3】同上装置の一部断面側面図である。
【図4】同上装置の間歇回転円盤近傍の平面図である。
【図5】(a)は同上装置の正面カバーを外した状態の正面図、(b)はシャッター機構周辺の平面図である。
【図6】同上装置のシャッターの駆動手段の平面図である。
【図7】同上装置のシャッターの駆動手段の平面図である。
【図8】同上装置のシャッター機構の縦断面図である。
【図9】同上装置のシャッター機構の動きの説明図であり、(a)はシャッターの開状態、(b)は補助シャッター板の回動の直前の状態、(c)はシャッターの閉状態を示す。
【図10】同上装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】同上装置の大径ローラの駆動系を示す同ローラ近傍の平面図である。
【図12】同上装置の小径ローラの駆動系を示す同ローラ近傍の平面図である。
【図13】同上装置の制御部の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
6’ 帯状飯通路
21,21’ 主シャッター板
22,22’ 凹凸部(対向縁)
23,23’ 補助シャッター板
23a,23a’ エッジ(対向縁)
23b,23b’ 回動支持部
24,24’ 支軸
26,26’ ガイド溝
26a,26a’ 水平溝部
26b,26b’ 下向き対向傾斜溝部
27,27’ ガイドピン
R 帯状飯
R’ 飯塊
R1 上半部
R2 下半部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば寿司飯等を成型する米飯成型機におけるシャッター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、すし飯等の米飯成型機は、互いに側面を対向させた一対のローラ間に上方から米飯を供給し、上記ローラの対向方向への回転により、米飯をローラ間で圧縮しながら下方に移行し、上記ローラの下方に対向方向に開閉駆動されるシャッターを設け、上記ローラの間歇駆動により開状態にあるシャッター間に米飯を供給した状態で、上記シャッターを対向方向に水平移動させて閉鎖することで、上記米飯をカットし、カット後の米飯をシャッター下方のコンベア等に落下供給し、次いで飯成型押具を下降することで、寿司飯等の米飯を成型する装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
この種の装置に用いられているシャッターは、2枚の板を近接、離間駆動することにより米飯をカットするものが一般的であるが、上部から送られてくる米飯を確実に切り離すために、閉鎖時に、一方のシャッターの下側に他方のシャッターを潜り込ませ、2枚のシャッターの対向縁(エッジ)を交差するように構成されているものが提案されている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−185112号
【特許文献2】特開2007−282564号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のものでは、閉鎖時において、対向方向に移動してくるシャッターの対向縁が交差するものであるから、対向縁の交差部において、飯粒に対向方向の力が加わり、結果として、飯粒の切断、飯粒の潰れ、捩れが生じ、或いは飯粒に擦れた跡が残ることもあり、依然として成型後の寿司飯等の見栄えが悪いという課題がある。
【0006】
また、シャッターの対向縁を円錐形のロッド状に形成したものも提案されているが(特許文献2)、この文献2記載の装置においても、左右のシャッターが交差するものであるから、同様の課題があった。
【0007】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、シャッター機構を主シャッター板と補助シャッター板により構成することにより、シャッターを交差することなく、米飯を分離できるように構成し、飯粒を切断した跡を残すことなく飯塊を分離することが可能な米飯成型機におけるシャッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため本発明は、
帯状飯通路の左右両側に所定間隔を以って一対の主シャッター板を配設し、駆動手段を設けて両主シャッター板の対向縁を近接離間方向に移動し得るように構成し、上記両主シャッター板の下面側に補助シャッター板を各々配設し、上記補助シャッター板の対向縁を上記主シャッター板と共に近接離間方向に移動し得るように構成し、上記各補助シャッター板はそれらの一端の支持部を中心として各対向縁を互いに回動し得るように構成し、かつ、上記主シャッター板の近接移動に伴って主シャッター板の対向縁を帯状飯に所定量進入させた状態において、上記両補助シャッター板の対向縁を互いに下向きに回動させる回動機構を設け、上記回動機構による上記両補助シャッター板の上記下向き回動により、上記主シャッター板の下側に位置する飯を下方に分離供給し得るように構成したものであることを特徴とする米飯供給機におけるシャッター装置により構成される。
【0009】
上記駆動手段は駆動モータ(M3)、シャッター駆動カム盤(28)、駆動腕(25,25’)等により構成することができる。主シャッター板の対向縁は例えば凹凸部(22,22’)により構成することができる。各補助シャッター板の一端の支持部とは、例えば補助シャッター板の回動支持部(23b,23b’)により構成することができ、例えば回動支持部(23b,23b’)の支軸(24,24’)を中心として各対向縁(23a,23a’)を互いに回動し得るように構成することができる。上記主シャッター板の近接移動に伴って主シャッター板の対向縁を帯状飯に所定量進入させた状態とは、例えば主シャッター板の対向縁が帯状飯の両側面から内部方向にある程度進入しているが、対向縁が噛合していない状態をいう。上記回動機構は、例えば上記補助シャッター板(23,23’)の回動支持部(23b,23b’)に設けられたガイドピン(27,27’)、及びこれらガイドピン(27,27’)の一端が係合するガイド溝(26,26’)により構成し、例えばガイド溝(26,26’)を水平溝部(26a,26a’)と下向き対向傾斜溝部(26b,26b’)により構成することにより実現することができる。このように構成すると、主シャッター板により帯状飯を上半部と下半部に分離しながら補助シャッター板の回動により下半部の飯を下方に分離供給することができ、飯粒を切断等することなく、所定量の飯塊を供給することができる。
【0010】
第2に、上記両補助シャッター板は、各々対応する主シャッター板に回動支持部を以って回動可能に軸支されているものであることを特徴とする上記第1記載の米飯供給機におけるシャッター装置により構成される。
よって、シャッター機構を薄くコンパクトに構成することができる。
【0011】
第3に、上記回動機構は、上記各補助シャッター板にガイドピンを取り付けると共に、筐体にこれらガイドピンの端部が係合するガイド溝を両ガイドピンに対応して各々設け、かつ上記ガイド溝は各々水平溝部と、該水平溝部に連続した下向き対向傾斜溝部を有する左右対称形状をなしており、上記主シャッター板の近接方向の移動に基づいて、上記ガイドピンが上記水平溝部から上記対向傾斜溝部に移行することにより、上記補助シャッター板が上記回動動作を行うものであることを特徴とする上記第1又は2記載の米飯供給機におけるシャッター装置により構成される。
【0012】
上記筐体は例えば前面基板(F)により構成することができる。このように構成すると、主シャッター板の近接移動に基づいて補助シャッター板の対向縁を下向きに回動させて飯塊を分離することができる。
【0013】
第4に、上記補助シャッター板は、上記主シャッター板の対向縁が帯状飯に入り込み両対向縁が噛合する前の状態において、上記回動動作を開始するように構成したものであることを特徴とする上記第1〜3の何れかに記載の米飯供給機におけるシャッター装置により構成される。
【0014】
このように構成すると、主シャッター板の対向縁が噛合する前に、補助シャッター板により下半部の飯を分離することができるので、主シャッター板の対向縁が噛合することによる飯粒の切断等を極力防止することができる。
【0015】
第5に、上記主シャッター板の両対向縁は互いに噛合し得る凹凸形状であることを特徴とする上記第1〜4の何れかに記載の米飯供給機におけるシャッター装置により構成される。
【0016】
このように構成すると、主シャッター板の対向縁による飯粒の切断等を極力防止することができる。
【0017】
また、上記補助シャッター板の対向縁は直線状とすることができるが、補助シャッター板の対向縁も凹凸状に構成することもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述のように、2枚のシャッター板を交差させることなく、所定量の飯を分離して供給することができるので、飯粒に切断跡が残らず、飯粒を潰すことがないため、見栄えの良い寿司飯等のシャリ玉を形成することができるものである。
【0019】
また、主シャッター板の対向縁が噛合する前に補助シャッター板により下半部の飯を下方に分離し得るので、飯粒を切断することなく、飯塊を供給し得ると共に、分離時の飯の落下を防止して、正確な分量の飯塊を供給し得るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面に従って、本発明に係る米飯成型機におけるシャッター装置について詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明に係る米飯成型機におけるシャッター装置が適用される米飯成型機の全体斜視図、図2(a)は、成型機の前面カバーNを取り外した状態の飯通路3近傍の正面図、同図(b)はシャッター装置近傍の平面図である。
【0022】
1は当該成型機の機枠であり、当該機枠1の最上部に飯送り出しホッパー2が設けられている。このホッパー2内には飯が供給されており、公知の飯送り羽根(図示せず)の回転により飯が前方に送り出され、当該ホッパー2の前方側下開口部2aから下方の前面基板Fの前面側に設けられた飯通路3に飯が送り出されるものである(図2、図3参照)。
【0023】
上記米飯成型機の上記ホッパー2下方の飯通路3には、前向き同一高さの水平回転軸4a,4aを有する一対の大径ローラ4,4、及び同じく前向きの同一高さの水平回転軸5a,5aを有する一対の小径ローラ5,5が設けられており、これらのローラ4,4間及び上記ローラ5,5間の上記前面基板Fに帯状飯成型部6が形成されている。さらに、上記小径ローラ5,5の下方には、成型された帯状飯Rが通過する帯状飯通路6’が形成され、当該帯状飯通路6’の両側に、対向方向に開閉移動する一対のシャッター機構20,20’が設けられている。尚、上記シャッター機構20,20’の部分を飯分離部9という。
【0024】
この飯分離部9の下方には、当該分離された飯塊R’を受け止め収納する成型孔10aが複数(例えば16個)形成された間歇回転成型円盤10が設けられている(図4参照)。この間歇回転成型円盤10は上記飯分離部9からの飯塊R’の落下供給を受けると、一定角度水平方向(矢印E方向)に回転し、当該回転位置において上部から飯成型押具14が上記成型孔10a内に下降し(図4参照)、上記成型孔10a内において下型12上の飯塊R’を押圧することにより寿司飯R”を成型し(図3参照)、上記回転円盤10のさらなる回転により、下型12が円形カム13に沿って上記成型孔10a内を上昇し、これにより上記寿司飯R”は取り卸し位置Xにて上記円盤10上に臨出し取り卸されるように構成されている(図4参照)。このような間歇回転成型円盤10による寿司飯の成型は公知の技術である(例えば特開2000−125788号)。
【0025】
上記飯成型用の大径ローラ4,4は、図3に示すように中央の円筒部4bの前後に前後方向に拡径するテーパ部4c,4cを有する鼓形を有しており、前後の最大径の円盤4d,4dを近接させた状態で、上記前面基板F前方に突出する互いに平行な水平回転軸4a,4aに挿通支持され、かかる状態で両ローラ4,4間に、上記円筒部4b,4b及び上記テーパ部4c,4cから構成される上記帯状飯成型部6が形成されている。
【0026】
これらの大径ローラ4,4は、駆動モータM1により駆動ギアG1を介して互いに対向方向(矢印B,B’方向)に間歇的に駆動され(図11参照)、上記ホッパー2から上記飯通路3に供給された飯を上記帯状飯成型部6にて圧縮して帯状飯Rとし、下方に送り出すものである。
【0027】
上記小径ローラ5,5は、その外周面に細かい軸方向突条5’が形成されており、駆動モータM2により駆動ギアG2を介して互いに対向方向(矢印B,B’方向)に間歇的に駆動され(図12参照)、上記前面基板F前方において、上記帯状飯Rをさらに下方に送り出すものである。尚、上記小径ローラ5,5の間歇駆動タイミングは上記大径ローラ4,4と同一であり、両者が同じタイミングで回転、停止を繰り返すものである。
【0028】
次に、上記飯分離部9の詳細な構成について説明する。
図2(a)(b)に示すように上記飯分離機構9は、左側のシャッター機構20と、右側のシャッター機構20’とから構成されており、これらのシャッター機構20,20’は、上記帯状飯通路6’の中心線Pを中心として左右対称の構造となっているので、右側のシャッター機構20’の対応部分については、左側のシャッター機構の符号に「’」を附して説明する。
【0029】
上記シャッター機構20,20’において、21,21’は水平方向に同一高さに配置された主シャッター板であり、平面からみると全体として略方形の板状をなし(図2(b)参照)、互いに対向する先端縁には複数の凹凸部22,22’が設けられ、これらの凹凸部22,22’を水平に対向した状態で、上記帯状飯通路6’を挟んで対向して水平に配置されている。
【0030】
これらの主シャッター板21、21’は、それらの後方側係合孔部21c,21c’に駆動腕25,25’の前端部25a,25a’が各々挿入係合されており、後述の駆動機構により、対向方向(矢印A,A’方向)及び離間方向(矢印C,C’方向)に水平に往復スライドし得るものであり、図2(図9(a))に示す開状態において帯状飯Rが上記帯状飯通路6’に供給され、図9(b)に示す状態において、帯状飯Rを上半部R1と下半部R2に分離して、図5(図9(c))の閉状態において下半部R2の飯塊を下方の飯成型孔10aに落下供給し得るものである。
【0031】
上記主シャッター板21,21’の対向縁を構成する各凹凸部22,22’は、その各凹部が略U字形状をなしていると共に、両シャッター板21,21’において互い違いに設けられており、これにより両シャッター板21,21’が対向方向に移動して図5(図9(c))に示す最も近接した状態(閉状態)において、シャッター板21,21’自体は交差せず、上記両凹凸部(対向縁)22,22’が噛合するように構成されている(図5(b)、図9(c)参照)。
【0032】
また、上記シャッター板21,21’の対向縁部は、側面からみると、先端にいくにつれて次第にその厚みを減少させる先薄状のテーパ面T,T’が形成されており、これにより帯状飯R内に円滑に進入し得るように構成されている。
【0033】
また、この主シャッター板21、21’の上面中央位置には、後述の補助シャッター板23,23’を軸支するための一対の軸受21a,21a、21a’,21a’が所定間隔を以って立設固定されており、さらに上記軸受21a,21a、21a’,21a’間における板面に左右方向の長方形状の貫通孔21b,21b’が形成されている。
【0034】
そして、上記主シャッター板21,21’は、上記貫通孔21b,21b’を介して下側からシャッター板21,21’上に臨出する補助シャッター板23,23’の回動支持部23b,23b’を、上記軸受21a,21a間、21a’,21a’間に前後方向に貫通する支軸24,24’によって回動可能に軸支している。
【0035】
上記主シャッター板21,21’の下側には、各々上記補助シャッター板23、23’がその支軸24,24’を中心に互いに下方に回動する方向(互いに下方に開く矢印D,D’方向)に回動可能に設けられている。この補助シャッター板23,23’は、それ自体は平面からみて方形を成し、先端縁は下方から先端縁方向にテーパ面K,K’が形成された先薄状の直線状のエッジ(対向縁)23a,23a’が形成されている。即ち、上記各補助シャッター板23,23’はそれらの一端の支持部(回動支持部23b,23b’)を中心として各エッジ(対向縁)23a,23a’を互いに回動し得るように構成している。
【0036】
この補助シャッター板23,23’は、各々その上面の左端部より、右端部よりの位置に回動支持部23b,23b’が立設固定されており、これら回動支持部23b,23b’を各々の主シャッター板21,21’下側から上記貫通孔21b,21b’内に挿通し、上記補助シャッター板23,23’の上面を上記主シャッター板21,21’の下面に接触した状態で、上記軸受21a,21a間、21a’,21a’間に位置する上記回動支持部23b,23b’を支軸24,24’によって軸支し、これにより補助シャッター板23,23’は、上記支軸24,24’を回動支点としてエッジ(対向縁)23a,23a’を互いに下向き(矢印D,D’方向)に回動可能に支持されている。
【0037】
上記補助シャッター板23,23’の上記回動支持部23b,23b’の上記支軸24,24’によって支持された部分から中央寄りの位置には、前後方向のガイドピン27,27’が各々軸挿固定されている。
【0038】
このガイドピン27,27’は上記主シャッター板21,21’の上面に沿って水平に位置しており、その後端部27a,27a’は、上記前面基板(筐体)Fの下端前面側に設けた一対のガイド溝26,26’内に位置するように構成されている。
【0039】
このガイド溝26、26’は上記主シャッター板21,21’の左右方向のストローク期間中、上記ガイドピン27,27’をガイドするものであり、水平溝部26a,26a’と該水平溝部26a,26a’に連続する下向き対向傾斜溝部26b,26b’から構成されており、互いの下向き対向傾斜溝部26b,26b’が対向する方向となるように、上記前面基板F下端に、上記中心線Pに左右対称形状となるように設けられている。
【0040】
上記ガイド溝26,26’の水平溝部26a,26a’の高さは、上記ガイドピン27,27’を支持することにより、上記補助シャッター板23,23’を水平に支持する高さであり、上記下向き対向傾斜溝部26b,26b’は、上記ガイドピン27,27’が当該溝部26b,26b’に沿って下向きに移動することにより、上記補助シャッター板23、23’が上記主シャッター板21,21’に対して上記支軸24,24’を中心に矢印D方向に回動し得るような位置に設けられている(図5参照)。また、上記補助シャッター板23,23’の左右端部の上面には、回動時に主シャッター板21,21’下面に平行に接触するテーパ面Y,Y’が設けられている。
【0041】
尚、上記前面基板Fに対向する前面基板F’が上記シャッター機構20,20’の前面側にも配置固定され、当該前面基板F’の内側の上記ガイド溝26,26’と対応する位置に、上記ガイド溝26,26’と同一のガイド溝26,26’が各々形成され、上記各ガイドピン27,27’の前端部27a,27a’が上記ガイド溝26,26’に係合するように構成されている。即ち、上記ガイドピン27,27’はその両端部27a,27a’を上記ガイド溝26,26’によりガイドされる構成となっている。
【0042】
従って、上記主シャッター板21,21’が対向方向(矢印A、A’方向)に近接駆動されると、上記補助シャッター板23,23’はそのガイドピン27,27’が上記直線溝部26a,26a’にある間は、上記主シャッター板21,21’と平行な非回動状態を維持し、上記ガイドピン27,27’の両端部27a,27a’がガイド溝26,26’の水平溝部26a,26a’に位置している間は、主シャッター板21,21’の互いの接近と共に、補助シャッター板23,23’もその対向縁23a,23a’を互いに接近していく(図9(a)から図9(b))。このとき、主シャッター板21,21’は帯状飯Rを上半部R1と下半部R2に分離していくと共に、補助シャッター板23,23’のエッジ23a,23a’も接近により、帯状飯Rに対してその両側より多少帯状飯R内部に入り込んだ状態となる(図9(b))。
【0043】
そして、さらに主シャッター板21,21’が近接すると、上記ガイドピン27,27’の端部27a,27a’が上記傾斜溝部26b,26b’に移行を開始し、当該ガイドピン27,27’が傾斜溝部26b,26b’に沿って下降するため、補助シャッター板23,23’は、互いにそのエッジ23a,23a’を接触したり、交差することなく、上記回動支軸24,24’を中心として矢印D,D’方向に回動開始する。この回動開始する主シャッター板の位置を図2(a),(b)に二点鎖線で示す(図9(b)の位置)。
【0044】
そして、当該位置よりさらに主シャッター板21,21’が近接すると、上記ガイドピン27,27’の端部27a,27a’が上記ガイド溝26,26’の下向き対向傾斜溝部26b、26b’に沿って下降するため、補助シャッター板23,23’が互いに矢印D,D’方向に回動開始し、そのエッジ23a,23a’が次第に下方に回動して行き、図5(図9(c))の主シャッター板21,21’の閉鎖位置においては、水平位置から略10度下方に回動した状態となるように構成されている。
このとき、上記補助シャッター板23,23’は、上記主シャッター板21,21’の凹凸部(対向縁)22,22’が帯状飯Rに入り込み両凹凸部(対向縁)が噛合する前の状態(図9(b)の状態)において、矢印D,D’方向の上記回動動作を開始するように構成している。これにより、上記主シャッター板21,21’の凹凸部22,22’が噛合う前に、補助シャッター板23,23’のエッジ23a,23a’を下半部R2の帯状飯の側面に入り込ませ、これらのエッジ23a,23a’の下方向への回動(矢印D,D’方向)動作により、上記下半部R2の飯塊を上半部R1の帯状飯から分離して、分離した飯塊R’を下方に移動させることができるように構成している。
【0045】
このようなシャッター機構20,20’の動作により、主シャッター板21,21’を交差することなく、主シャッター板21,21’により帯状飯Rを上半部R1と下半部R2に分離しながら、同時に補助シャッター板23,23’をも交差することなく、補助シャッター板23,23’を回動させることにより、下半部R2の飯塊R’を下方の成型孔10a内に落下させるように構成している。このように構成すると、主シャッター板21,21’だけでなく、補助シャッター板23,23’も交差させる必要がないため、飯粒を直線的に切断したり、潰したりすることなく、帯状飯R’の下半部R2の飯を分離することができる。
【0046】
このように構成されるシャッター機構20,20’は、次のような駆動機構により駆動される。
【0047】
図6、図7に示すように、上記一対の駆動腕25,25’は上記前面基板Fの下端における左右一対のスリット30,30’から水平前方に臨出しており、当該駆動腕25,25’の先端部25a,25a’に上記主シャッター板21,21’が取付孔部21c,21c’を以って接続固定される。
【0048】
上記駆動腕25,25’は、その後端部においてスライダー29,29’に各々固定されており、これらのスライダー29,29’は左右方向の案内レール31,31に沿って左右方向に摺動し得るように構成されている。
【0049】
28はシャッター駆動カム盤であり、駆動モータM3の駆動軸回転軸28aにその中心を接続されており、当該回転軸28aを中心に、回転駆動し得るように構成されている。この駆動カム盤28の盤面には略楕円形のカム溝28bが形成されており、当該カム溝28b内に上記スライダー29,29’に設けられた回動ピン29a,29a’が係合しており、当該駆動カム盤28が回転すると、上記カム溝28bに沿って上記回動ピン29a,29a’が移動し得るように構成されている。
【0050】
従って、図7のシャッター開位置からシャッター駆動カム盤28が90度回転すると、上記回動ピン29a,29a’がカム溝28bに案内されることによりスライダー29,29’が上記案内レール31に沿って互いに近接方向に移動していき、上記カム盤28が90度回転した図6の位置において、上記駆動腕25,25’が同図に示す閉鎖位置に移動し得るように構成している。さらに、上記駆動モータM3が同一方向にさらに90度回転すると、上記駆動腕25,25’が図6に示す閉鎖位置から図7に示す開放位置に駆動し得るように構成している。よって、駆動モータM3は90度回転する毎に、図7に示すシャッター開位置と、図6に示すシャッター閉鎖位置を交互に繰り返すように構成されている。
【0051】
上記シャッター機構20,20’は、図2に示すように、上記小径ローラ5,5の下方位置に上記帯状飯成型部6下方の帯状飯通路6’を挟んで左右方向に所定間隔を以って互いに平行に設けられている。そして、上記帯状飯通路6’内に帯状飯Rが供給されている状態において、上記駆動モータM3を駆動して主シャッター板21,21’を矢印A,A’方向に駆動すると、図5に示すように、主シャッター板21,21’が対向方向に近接移行して帯状飯Rに対して進入して行き、帯状飯Rの上半部R1と下半部R2の間を分離しつつ、補助シャッター板23,23’の矢印D方向の回動により、下半部R2の飯を下方の飯成型孔10aに落下供給することができるように構成している。
【0052】
上記間歇回転成型円盤10は、その板面に16個の成型孔10aが貫通形成されており(図3、図4参照)、当該円盤10は機枠1に中心回転軸11を以って水平に支持され、かかる状態で、上記分離部9の下側に1つの飯成型孔10aが位置するように構成されている。また、上記各成型孔10a内には下型12が上記成型孔10a内に昇降自在に設けられており(図3参照)、上記分離部9で分離された飯塊R’は上記成型孔10a内の上記下型12上に供給される。
【0053】
上記間歇回転成型円盤10が間歇回転すると、上記成型孔10a内に飯押圧具14が下降して成型孔10a内の飯塊R’を圧縮し、寿司飯R”を成型し、上記回転円盤10がさらに矢印E方向に回転して行くと、上記下型12が円形カム13に沿って上昇してゆき、所定の取り卸位置Xにて寿司飯R”が上記回転円盤10上に臨出するように構成している。
【0054】
図10は帯状飯成用のローラ4,5及びシャッターの駆動に係る制御系のブロック図であり、制御部15(例えばプログラマブルコントローラ)には、操作部16が接続されると共に、上記各駆動モータM1乃至M3が接続されている。さらに、上記制御部15には、上記間歇回転成型円盤10の駆動モータM4、及び上記飯押圧具14の上下駆動シリンダー14’が接続されている。上記制御部15は図13に示す動作手順に従って上記各駆動モータM1乃至M4及び上記シリンダー14’を制御するものである。
【0055】
本発明は上述のように構成されるものであるから、次に、本発明の動作を説明する。
【0056】
まず、制御部15は、ホッパー2から飯を飯供給通路3内に飯を供給し、該飯通路3内に図2に示すように飯が供給されているものとする(図13P1)。この状態で、制御部15は駆動モータM1と駆動モータM2を一定時間駆動する(図13P2)。すると、大径ローラ4,4、及び小径ローラ5,5が矢印B,B’方向に一定時間回転する。そうすると上記飯供給通路3内の飯が上記大径ローラ4,4間に進入し、そのローラ4,4間において圧縮されながら下方に移行してゆき、上記小径ローラ5,5間を通過することにより帯状飯Rとなって、シャッター間に至る。このとき、帯状飯Rの下端は、飯成型孔10aの直上近傍に位置し、その時点で、上記大径ローラ4,4及び小径ローラ5,5が回転を停止する(図2参照)。
【0057】
次に、上記制御部15は、駆動モータM3を90度回転駆動してシャッター機構20,20’を閉鎖する(図13P3)。すると、駆動腕25,25’が近接方向に駆動され、主シャッター板21,21’が補助シャッター板23,23’と共に、近接方向(矢印A,A’方向)に移動開始する。これにより、上記主シャッター板21,21’の凹凸部22,22’が帯状飯Rに対して左右側面方向から近接し、上記帯状飯Rの両側面に入り込んで行く(図9(a)から図9(b)参照)。
【0058】
また、同時に補助シャッター板23,23’もそのガイドピン27,27’がガイド溝26,26’の水平溝部26a,26a’にガイドされながら水平状態を保ったまま主シャッター板21,21’と共に矢印A,A’方向に近接して行き、上記ガイドピン27,27’の端部27a,27a’が上記水平溝部26a,26a’の終端近傍に位置したときに、上記補助シャッター板23,23’のエッジ23a,23a’が帯状飯Rの両側面に若干入り込んだ状態となる(図2の二点鎖線、図9(b)参照)。
【0059】
さらに、上記主シャッター板21,21’が矢印A,A’方向に移動し、上記駆動カム盤28が90度回転した図6の位置に至る過程において、主シャッター板21,21’はその凹凸部22,22’が互いに噛み合った閉鎖状態に移行していく(図9(c)参照)。但し、主シャッター板21,21’自体は交差しないし、一方のシャッター板が他方のシャッター板下側に入り込むこともない。
【0060】
上記主シャッター板21,21’が図2の二点鎖線位置よりさらに近接方向に移動すると、上記補助シャッター板23,23’のガイドピン27,27’の端部27a,27a’がガイド溝26,26’の下向き対向傾斜溝部26b,26b’に移行していくため、その支軸24,24’を中心に矢印D,D’方向に回動を開始する。このとき、上記補助シャッター板23,23’のエッジ23a,23a’は、既に帯状飯Rの両側面に入り込んでいるので(図9(b))、上記補助シャッター板23,23’はその矢印D,D’方向への回動によりそのエッジ(対向縁)23a,23a’によって、下半部R2の飯を上半部R1の飯から切り離しながら下方に移行させてゆく。従って、上記下半部R2の飯は、主シャッター板21,21’の凹凸部22,22’が互いに噛み合う前(直前)の段階で、エッジ23a,23a’により上半部R1の飯から切り離される(図9(b)から図9(c)の状態)。
【0061】
そして、さらに主シャッター板21,21’が近接してゆくと、カム盤28が90度回転した状態において、最終的にその凹凸部23a,23a’が互いに噛み合った図5(図9(c))の閉鎖位置に至り、この状態において補助シャッター板23,23’がそのガイドピン27,27’の端部27a,27a’が傾斜溝部26b,26b’の終端部に至り、水平から約10度回動した状態となり、これにより下半部R2の飯塊R’は下方の回転盤10の成型孔10a内に落下供給される(図5、図9(c)参照)。
また、主シャッター板21,21’は、かかる状態において両凹凸部22,22’が噛合するので、上半部R1側の飯の落下を確実に防止し得て、正確な分量の飯塊を分離供給し得るものである。
【0062】
このように、主シャッター板21,21’の凹凸部22,22’が噛み合って閉鎖される前の状態において、既に下半部R2の飯は補助シャッター板23,23’の矢印D,D’方向の回動によりそのエッジ23a,23a’によって上半部R1から切り離されているため、上記主シャッター板21,21’により、飯粒が直線的に切断されたり、捩れたりすることを極力防止することができる。
【0063】
その後は、制御部15は、さらに駆動モータを90度回転駆動すると(図13P4)、上記主シャッター板21,21’と補助シャッター板23,23’は離間方向(矢印C,C’方向)に移動し、補助シャッター板23,23’は矢印D,D’とは反対方向に回動復帰し、図2に示す開状態に復帰する。
【0064】
その後上記制御部15は、間歇回転成型円盤10を矢印E方向に1ピッチ駆動して、次の成型孔10aを上記シャッター機能20,20’の直下に位置させる(図13P5)。尚、上記飯が供給された成型孔10aには、シリンダー14’の駆動により飯押圧具14が進入して飯を押圧成型し、寿司飯が成型される(図13P6)。
【0065】
上記制御部15は、再び駆動モータM1,M2を一定時間駆動する。すると、上記大径ローラ4,4及び小径ローラ5,5が一定時間回転駆動される。すると、上記帯状飯Rが再び上記シャッター機構20,20’間の帯状飯通路6’に供給され、当該帯状飯Rの下端が上記成型孔10aの直上に位置した時点で上記各ローラ4,5の回転が停止する(図13P2)。
【0066】
これ以降は、上記と同様に、上記シャッター機構20,20’の開閉動作により上記飯の分離動作が行われ、以後同様の動作が繰り返し行われる。尚、制御部15は、上記飯通路3内の飯が減少した場合は、それを光センサー(図示せず)等からの信号で検知し、ステップP1に戻って飯の供給を行う。
【0067】
本発明は上述のように、2枚のシャッター板(主シャッター板21,21’、又は補助シャッター板23,23’)を互いに交差させることなく、所定量の飯を分離して成型孔10aに供給することができるので、飯粒に切断跡が残らず、飯粒を潰すこともないため、見栄えの良い寿司飯等のシャリ玉を形成することができるものである。
【0068】
また、主シャッター板21,21’の対向縁(凹凸部22,22’)が噛合する前に、補助シャッター板23,23’により下半部R2の飯を下方に分離し得るので、飯粒を切断することなく、飯塊を供給し得ると共に、主シャッター板21,21’を噛合することで分離時の飯の落下を防止して、正確な分量の飯塊を供給し得るものである。
【0069】
また、主シャッター板21,21’に補助シャッター板23,23を回動可能に支持しており、補助シャッター板23,23’の回動は、ガイドピン27,27’とガイド溝26,26’等により構成された回動機構により構成しているため、シャッター機構20,20’を極めてシンプルで小型(薄型)に構成することができ、これによりシャッター機構20,20’を帯状飯通路6’の左右の上下幅の小さい空間に配置することを可能としたものである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る米飯成型機におけるシャッター装置によると、米粒に切断跡を残さずに寿司飯等のシャリ玉を形成することができるので、寿司用のシャリ玉、おにぎり等の成型に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る米飯成型機におけるシャッター装置を適用した米飯成型機の外観斜視図である。
【図2】(a)は同上装置の正面カバーを外した状態の正面図、(b)はシャッター機構周辺の平面図である。
【図3】同上装置の一部断面側面図である。
【図4】同上装置の間歇回転円盤近傍の平面図である。
【図5】(a)は同上装置の正面カバーを外した状態の正面図、(b)はシャッター機構周辺の平面図である。
【図6】同上装置のシャッターの駆動手段の平面図である。
【図7】同上装置のシャッターの駆動手段の平面図である。
【図8】同上装置のシャッター機構の縦断面図である。
【図9】同上装置のシャッター機構の動きの説明図であり、(a)はシャッターの開状態、(b)は補助シャッター板の回動の直前の状態、(c)はシャッターの閉状態を示す。
【図10】同上装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】同上装置の大径ローラの駆動系を示す同ローラ近傍の平面図である。
【図12】同上装置の小径ローラの駆動系を示す同ローラ近傍の平面図である。
【図13】同上装置の制御部の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
6’ 帯状飯通路
21,21’ 主シャッター板
22,22’ 凹凸部(対向縁)
23,23’ 補助シャッター板
23a,23a’ エッジ(対向縁)
23b,23b’ 回動支持部
24,24’ 支軸
26,26’ ガイド溝
26a,26a’ 水平溝部
26b,26b’ 下向き対向傾斜溝部
27,27’ ガイドピン
R 帯状飯
R’ 飯塊
R1 上半部
R2 下半部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状飯通路の左右両側に所定間隔を以って一対の主シャッター板を配設し、駆動手段を設けて両主シャッター板の対向縁を近接離間方向に移動し得るように構成し、
上記両主シャッター板の下面側に補助シャッター板を各々配設し、上記補助シャッター板の対向縁を上記主シャッター板と共に近接離間方向に移動し得るように構成し、
上記各補助シャッター板はそれらの一端の支持部を中心として各対向縁を互いに回動し得るように構成し、
かつ、上記主シャッター板の近接移動に伴って主シャッター板の対向縁を帯状飯に所定量進入させた状態において、上記両補助シャッター板の対向縁を互いに下向きに回動させる回動機構を設け、
上記回動機構による上記両補助シャッター板の上記下向き回動により、上記主シャッター板の下側に位置する飯を下方に分離供給し得るように構成したものであることを特徴とする米飯供給機におけるシャッター装置。
【請求項2】
上記両補助シャッター板は、各々対応する主シャッター板に回動支持部を以って回動可能に軸支されているものであることを特徴とする請求項1記載の米飯供給機におけるシャッター装置。
【請求項3】
上記回動機構は、上記各補助シャッター板にガイドピンを取り付けると共に、筐体にこれらガイドピンの端部が係合するガイド溝を両ガイドピンに対応して各々設け、
かつ上記ガイド溝は各々水平溝部と、該水平溝部に連続した下向き対向傾斜溝部を有する左右対称形状をなしており、
上記主シャッター板の近接方向の移動に基づいて、上記ガイドピンが上記水平溝部から上記対向傾斜溝部に移行することにより、上記補助シャッター板が上記回動動作を行うものであることを特徴とする請求項1又は2記載の米飯供給機におけるシャッター装置。
【請求項4】
上記補助シャッター板は、上記主シャッター板の対向縁が帯状飯に入り込み両対向縁が噛合する前の状態において、上記回動動作を開始するように構成したものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の米飯供給機におけるシャッター装置。
【請求項5】
上記主シャッター板の両対向縁は互いに噛合し得る凹凸形状であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の米飯供給機におけるシャッター装置。
【請求項1】
帯状飯通路の左右両側に所定間隔を以って一対の主シャッター板を配設し、駆動手段を設けて両主シャッター板の対向縁を近接離間方向に移動し得るように構成し、
上記両主シャッター板の下面側に補助シャッター板を各々配設し、上記補助シャッター板の対向縁を上記主シャッター板と共に近接離間方向に移動し得るように構成し、
上記各補助シャッター板はそれらの一端の支持部を中心として各対向縁を互いに回動し得るように構成し、
かつ、上記主シャッター板の近接移動に伴って主シャッター板の対向縁を帯状飯に所定量進入させた状態において、上記両補助シャッター板の対向縁を互いに下向きに回動させる回動機構を設け、
上記回動機構による上記両補助シャッター板の上記下向き回動により、上記主シャッター板の下側に位置する飯を下方に分離供給し得るように構成したものであることを特徴とする米飯供給機におけるシャッター装置。
【請求項2】
上記両補助シャッター板は、各々対応する主シャッター板に回動支持部を以って回動可能に軸支されているものであることを特徴とする請求項1記載の米飯供給機におけるシャッター装置。
【請求項3】
上記回動機構は、上記各補助シャッター板にガイドピンを取り付けると共に、筐体にこれらガイドピンの端部が係合するガイド溝を両ガイドピンに対応して各々設け、
かつ上記ガイド溝は各々水平溝部と、該水平溝部に連続した下向き対向傾斜溝部を有する左右対称形状をなしており、
上記主シャッター板の近接方向の移動に基づいて、上記ガイドピンが上記水平溝部から上記対向傾斜溝部に移行することにより、上記補助シャッター板が上記回動動作を行うものであることを特徴とする請求項1又は2記載の米飯供給機におけるシャッター装置。
【請求項4】
上記補助シャッター板は、上記主シャッター板の対向縁が帯状飯に入り込み両対向縁が噛合する前の状態において、上記回動動作を開始するように構成したものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の米飯供給機におけるシャッター装置。
【請求項5】
上記主シャッター板の両対向縁は互いに噛合し得る凹凸形状であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の米飯供給機におけるシャッター装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−284817(P2009−284817A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140463(P2008−140463)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000236746)不二精機株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000236746)不二精機株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
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