説明

米飯食品成形方法及び装置

【課題】本発明は、大きな具材の場合でも少ない米飯で包み込んで成形することができ具材の一部が露出した状態で安定して成形することが可能な米飯食品成形方法を提供することを目的とする。
【解決手段】食品成形装置Aは、複数の機構により形成されており、米飯Bのほぐし及び供給を行う供給機構1、供給機構1から供給された米飯Bを所定の繰出し量で連続して搬出する繰出し機構2、連続搬出された米飯Bを展延して米飯シートに連続成形し成形された米飯シートを分割して分割シート体を成形するシート分割機構3、分割シート体に具材を載置する具材供給機構4、具材が載置された分割シート体の両側の折り返し部を折り返して封着し予備成形体を成形する予備成形機構5、予備成形体を個別に型打して仕上げ整形する整形機構6から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯を成形するための米飯食品成形方法に関し、特に大きい具材を米飯により包み込んだ米飯食品を様々な形状に成形可能な米飯食品成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、米飯を型に直接供給して、押圧により所定の形状に成形することがなされてきたが、この場合、米飯粒同士を確実に接合する為に、予め冷却された米飯を用いており、型で過大に押圧されるために、得られる成型品は手作りに比べて締め固められた硬いものであった。また、離型しやすくする為に形状が限られて、角も角ばったものとなり、変化及び見栄えに乏しいものであった。
【0003】
そこで、本発明者らは、特許文献1に記載されているように、米飯が締め固められることなくふっくらした状態で成形でき、内材の漏出が抑止できる米飯食品成形装置を提案している。この米飯食品成形装置では、供給機構においてほぐされた米飯をシート成形機構において所定の厚さの米飯シートに整形し、封着機構において封着コンベヤで搬送されながら封着部材により米飯シートの両側部を封着して米飯棒状体に形成し、米飯棒状体を分割機構において所定の長さに分割し、整形機構において型により所定の形状に整形するようにしている。
【0004】
また、特許文献2では、所定量に計量された米飯をシート状にして中央成形型枠に載置し、左側押圧型枠及び右側押圧型枠を回転させて米飯の上に載置した具材を包み込むようにおにぎりを押圧成形した食品成形装置が記載されている。
【特許文献1】特開2006−075114号公報
【特許文献2】特開2007−049937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
和食に対する関心の高まりとともにおにぎり等の米飯食品に対する需要が大きくなっており、梅干や昆布といった従来の具材を包み込んだおにぎりの他に様々な食材を具材として包み込んだものが提供されている。その中でエビフライやしゃけといった固形の大きな具材を包み込んだおにぎりはボリューム感があり、豪華な印象を与えることから人気商品となっている。
【0006】
こうした固形の大きな具材を包み込む場合従来と同様に全体を米飯で包み込むと米飯の量が多くなって食べきれない大きさとなるため、具材が大きくなった分米飯の量を少なくして具材が一部露出した状態で成形することが行われており、エビフライを包み込んだ「天むす」や焼鮭の切り身等を包み込んだ「姫むすび」といったものが提供されている。
【0007】
しかしながら、こうした大きい具材を少ない米飯で包み込むことは、米飯を全体に薄く均等な厚さで被覆する必要があり、さらに具材の一部が露出するように米飯を成形しなければならず、従来の米飯成形装置ではそうした米飯の成形を安定して行うことは困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、大きな具材の場合でも少ない米飯で包み込んで成形することができ具材の一部が露出した状態で安定して成形することが可能な米飯食品成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る米飯食品成形方法は、米飯を薄い帯状に連続して成形するシート成形工程と、成形された米飯シートを分割して具材載置部の両側に延設された折り返し部を備えるとともに当該折り返し部から搬送方向に突出する具材被覆部が形成された分割シート体を成形する分割成形工程と、成形された分割シート体の前記折り返し部を上方に折り返し具材載置部に載置された具材の一方の端部を露出した状態で包み込んで予備成形体を成形する予備成形工程と、前記具材被覆部を折り曲げて具材の他方の端部を被覆するように予備成形体を整形する整形工程とを備えていることを特徴とする。さらに、前記分割成形工程では、具材載置部が折り返し部よりも搬送方向に突出するように切断することを特徴とする。さらに、前記予備成形工程では、複数の短冊コンベヤ片の中央部を無端ベルトに取り付けた封着コンベヤを用いて分割シート体を搬送しながら複数の短冊コンベヤ片を上方に湾曲させて両側の折り返し部を上方に湾曲させるとともに複数対の封着部材を往復揺動させて折り返し部を封着することを特徴とする。さらに、前記整形工程では、予備成形体に対して搬送方向上流側及び下流側から1対の横型を押し当てるとともに上方から上型を押し当てることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る米飯食品成形装置は、米飯を薄い帯状に連続して成形するシート成形手段と、成形された米飯シートを分割して具材載置部の両側に延設された折り返し部を備えるとともに当該折り返し部から搬送方向に突出する具材被覆部が形成された分割シート体を成形する分割成形手段と、成形された分割シート体の前記折り返し部を上方に折り返し具材載置部に載置された具材の一方の端部を露出した状態で包み込んで予備成形体を成形する予備成形手段と、前記具材被覆部を折り曲げて具材の他方の端部を被覆するように予備成形体を整形する整形手段とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記のような構成を有することで、薄く成形された米飯シートを分割し折り返し部及び具材被覆部により具材を包み込むので、具材を薄い米飯で被覆することができ、少ない米飯で成形を行うことが可能となる。そして、具材の上面及び側面は折り返し部で被覆し、折り返し部で被覆されない具材の端部を具材被覆部で被覆するようにしているので、各部分の米飯の重なり合いが少なくなり、米飯の厚さについてもほぼ均一に成形することができる。
【0012】
また、折り返し部により具材の両側から折り返して包むので、具材の先端部を露出させた状態で包み込む動作を安定して行なうことができる。すなわち、着物の着衣動作のように包み込むので、具材の先端部が頭部のように確実に露出するようになる。こうした包み込み動作によれば、固形の大きな具材以外の様々な具材を具材載置部に載置すれば具材を一部露出した状態で簡単に成形することができる。そして、折り返し部及び具材被覆部で具材が確実に包み込まれて成形されるので、具材の先端部以外が露出することがなく安定して成形動作が行なわれる。
【0013】
また、分割成形工程において、具材載置部が折り返し部よりも搬送方向下流側に突出するように切断すれば、具材載置部の突出部分に載置された具材を確実に露出させて成形することができ、また具材の形状に合せて突出部分の形状を変更すれば、具材の露出部分の大きさや形状をきめ細かく設定することができる。
【0014】
また、予備成形工程において、複数の短冊コンベヤ片の中央部を無端ベルトに取り付けた封着コンベヤを用いて分割シート体を搬送しながら複数の短冊コンベヤ片を上方に湾曲させて両側の折り返し部を上方に湾曲させるとともに複数対の封着部材を往復揺動させて折り返し部を封着するようにすれば、米飯を押圧することなく折り返し部を折り返して封着することができ、ふっくらとした米飯食品に仕上げることが可能となる。
【0015】
また、整形工程において、予備成形体に対して搬送方向上流側及び下流側から1対の横型を押し当てるとともに上方から上型を押し当てるようにすれば、予備成形体の搬送方向下流側の具材被覆部を確実に折り曲げて具材を被覆するように成形できる。また、横型及び上型を用いて整形しているので、整形する様々な形状の米飯食品に合せて型を変更して対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明に係る実施形態に関する全体概略正面図である。食品成形装置Aは、複数の機構により形成されており、米飯Bが成形される順に図面左の方から、米飯Bのほぐし及び供給を行う供給機構1、供給機構1から供給された米飯Bを所定の繰出し量で連続して搬出する繰出し機構2、連続搬出された米飯Bを展延して米飯シートに連続成形し成形された米飯シートを分割して分割シート体を成形するシート分割機構3、分割シート体に具材を載置する具材供給機構4、具材が載置された分割シート体の両側の折り返し部を折り返して封着し予備成形体を成形する予備成形機構5、予備成形体を個別に型打して仕上げ整形する整形機構6から構成されている。
【0018】
食品成形装置Aによる米飯食品の成形工程を説明すると、まず、米飯Bを作業者が供給機構1に投入すると、米飯Bの粘性により互いに適度に粘着した米飯Bの飯塊は搬送コンベヤ11上を図面右方に搬送される。そして、米飯Bの飯塊は回転するほぐし部材12に巻き込まれることにより適度にほぐされて、搬送コンベヤ11から落下するようにシート成形機構2の上部から供給される。供給された米飯Bは一対の繰出ローラ21により繰り出し量が調節されて連続的に下部に繰り出されて、搬送コンベヤ22により右方のシート分割機構3に搬送される。
【0019】
シート分割機構3では、連続搬出された米飯Bを展延して米飯シートに連続成形する展延ローラ30、連続成形された米飯シートを分割成形する切断装置32を備えている。図2及び3は、それぞれシート分割機構3に関する平面図及び側面図を示している。
【0020】
搬送コンベヤ22により搬出される米飯はガイド33により所定幅に形成されて展延ローラ30に到達すると、所定の厚さに薄く展延された連続した帯状の米飯シートに成形される。展延ローラ30の周面の中央部には帯状に突起部30aが形成されており、突起部30aにより米飯シートの中心に搬送方向に沿って直線状の溝が形成されるようになる。
【0021】
突起部30aにより形成される溝は、後述するように具材を安定して載置するためのものであるが、具材の種類や形状によって溝を形成しなくてもよい場合には突起部のない展延ローラを用いてもよい。
【0022】
成形された米飯シートは搬送コンベヤ31に移送されて搬送され、切断装置32により所定長さずつ切断されて分割される。切断装置32は、上下動する駆動バー35に取り付けられた切断刃33により米飯シートを切断するようになっている。切断刃33は、金属製の帯状板材からなり、搬送コンベヤ31の搬送面を横切るように設置される。図4に示すように、切断刃33の中央部33aが折れ曲って搬送方向下流側に突出するように形成され、両端部33bが搬送コンベヤ31の側端まで延設されている。
【0023】
そして、中央部33aと両端部33bとの間に1対の取付板33cが搬送方向上流側に向かって突設されており、取付板33cの先端部には溝形成用の1対の押圧棒34が垂設されている。押圧棒34は、断面円形で搬送方向に沿って取り付けられている。
【0024】
切断装置32を動作させて切断刃33を下方に移動させ、コンベヤ面に圧接した状態にすることで、米飯シートは切断される。切断刃33とともに1対の押圧棒34が米飯シートに圧接されて搬送方向に沿った直線状の溝が形成されるようになる。
【0025】
図5は、切断されて成形された分割シート体Cに関する平面図(図5(a))、側面図(図5(b))及び斜視図(図5(c))である。分割シート体Cは、中央部分の具材載置部C1の両側に折り返し部C2が形成されている。そして、1対の折り返し部C2の上流側にはそれぞれ具材被覆部C3が形成されている。具材載置部C1の中心部には展延ローラ30の突起部30aによる幅広の載置溝C11が形成されており、折り返し部C2及び具材被覆部C3には押圧棒34による細幅の折溝C12が形成されている。
【0026】
分割シート体Cの搬送方向上流側及び下流側の端部が切断刃33によりそれぞれ切断されているため、切断刃33の中央部33aに対応する具材載置部C1の下流側端部は折り返し部C2の端部よりも下流側に突出しており、具材載置部C1の上流側端部は具材被覆部C3よりも下流側に凹んだ形状に形成されている。そのため、具材被覆部C3は具材載置部C1の上流側端部よりもさらに上流側に突出するようになっている。
【0027】
図6は分割シート体Cの変形例を示す斜視図である。この例では、載置溝C11の中心部に円形の挿入溝C13がさらに形成されている。挿入溝C13は、例えば、上下動するスタンプ部材を用いて載置溝C11の所定位置に押圧することで形成することができる。こうした載置溝C11の形状は、載置する具材の種類や形状に応じて適宜変更すればよく、場合によっては載置溝を形成せずに挿入溝C13のみ形成するようにしてもよい。
【0028】
上述した例では、載置溝C11に焼鮭の切り身を載置するように幅広の溝形状としている。また、挿入溝C13には、例えば粒状のイクラを投入して焼鮭の切り身をその上から載置するようにすればよい。このように複数種類の具材を載置することも可能で、そのための載置溝の形状を適宜変更することができる。
【0029】
図7は、具材供給機構4に関する平面図である。この例では、具材供給機構4では、搬送コンベヤ40が設けられており、切断分割された分割シート体Cが搬送コンベヤ31から搬出されて搬送コンベヤ40に移送される。搬送コンベヤ40の搬送速度を搬送コンベヤ31よりもわずかに速く設定することで、分割シート体Cが搬送コンベヤ40に移送する際に所定の間隔を空けて移送されるようになる。
【0030】
搬送コンベヤ40により搬送される分割シート体Cの具材載置部C1には作業者Mが手作業により焼鮭の切り身を順次載置していく。具材の供給方法としては、固形の大きな具材の場合にはこうした手作業が好ましいが、粒状、粉状又は餡状の具材の場合には、粉振り器、ベーンポンプ等の機械により所定量ずつ供給するようにしてもよい。
【0031】
図8は、予備成形機構5の斜視図、図9及び図10は、封着コンベヤ51を省略した状態の予備成形機構5の正面図及び平面図をそれぞれ示している。
【0032】
本体フレーム50から水平方向に駆動軸56及び駆動軸57が突設されている。駆動軸56は、駆動プーリ53に接続されており、駆動軸57は、クランク機構55に接続されている。本体フレームに固定された搬送基台511の右側端部には、搬送基台511を狭持するように、一対の板材からなる従動プーリ支持部材512が搬送基台511にボルト等で固着されており、従動プーリ54は、従動プーリ支持部材512により、両端部を軸支されることで、回動自在に保持されている。
【0033】
駆動プーリ53及び従動プーリ54の間には、封着コンベヤ51が張設されている。封着コンベヤ51は、無端状Vベルト513の外周面に可撓性材料からなる複数の短冊コンベヤ片514が接着剤や熱融着等で接続されて構成されている。各短冊コンベヤ片514は、その中心部分がVベルト513の中央部分に接続されており、隣接する短冊コンベヤ片514と所定長さずつ重複するように配列されている。したがって、各短冊コンベヤ片514は、接続された中心部分から両側を自由に湾曲させることができる。
【0034】
駆動プーリ53及び従動プーリ54の外周面には、封着コンベヤ51のVベルト513の突起が噛合する溝が形成されており、Vベルト513の突起が駆動プーリ53及び従動プーリ54の溝に噛合した状態で張設されることで、駆動プーリ53の回転により封着コンベヤ51が滑ることなく、確実な搬送動作を行う。
【0035】
搬送基台511の両側には、一対の間隔調整部材515が配置されており、ノブ516を操作することでその間の間隔を調整できるようになっている。各間隔調整部材515の両端部には、軸支部材517が取り付けられており、軸支部材517の上部には、互い向き合う方向にガイド支持棒材518が水平に突設されている。ガイド支持棒材518の先端部には、垂直方向にガイド板材519が取り付けられている。各ガイド板材519の下部は、互いの方向に向かって湾曲した形状とされて自由端となっており、封着コンベヤ51の短冊コンベヤ片514を上方に湾曲した状態に支持する。ガイド板材519は、封着部材52の3つの当接部に対応する部分が切り欠かれている。
【0036】
各ガイド板材519の上部には、封着コンベヤ51の搬送方向上流側にガイド棒部材520の一方の端部が固着されており、他方の端部にいくに従い搬送方向上流側に向って斜め下方になるように設けられている。そして、2つのガイド棒材520の間の間隔は他方の端部にいくに従い駆動プーリ53の幅に沿わせるように徐々に広げられており、他方の端部は自由端とされている。
【0037】
軸支部材517の下部には、揺動棒部材521が軸支されており、揺動棒部材521の一端部がクランク機構55に連結されている。搬送基台511の両側にはそれぞれ封着部材52が搬送方向に沿って配設されており、封着部材52の下部が揺動棒部材521に固定されている。各封着部材52の互いに対向する面側には、それぞれ3つの当接部が突出するように形成されている。クランク機構55が駆動されて揺動棒部材が回転すると、封着部材52は互いに接近及び離間するように同期して往復揺動動作を行なうようになり、この往復揺動動作に合せて各封着部材52の3つの当接部がそれぞれ接近及び離間して、封着コンベヤ51の短冊コンベヤ片514を上方に湾曲させた状態で開閉動作を行なうようになる。
【0038】
封着部材52の下流側には、上部に規制ローラ530及び531が配設されており、規制ローラ530及び531は、支持基体534から垂設された軸支部材にそれぞれ回動自在に軸支されている。そして、規制ローラ530及び531の回転軸は搬送方向と直交する方向に設定されており、封着部材52により上方に湾曲された短冊コンベヤ片514の先端部が規制ローラ530に当接して互いに重なり合うように湾曲変形され、規制ローラ531により短冊コンベヤ片514が上方より押さえ付けられて重なり合った状態が維持されるようになる。
【0039】
規制ローラ531の搬送方向下流側には、規制ローラ531よりも大径の上整形ローラ533が支持基体534から垂設された軸支部材に回転自在に軸支されている。上整形ローラ533の回転軸は、規制ローラ531と同様に搬送方向と直交する方向に設定されている。上整形ローラ533の両端部には、上下方向に回転軸が設定された1対の横整形ローラ532が支持基体534から回転自在に垂設されている。
【0040】
駆動プーリ53が回転駆動されると、封着コンベヤ51が搬送動作を開始する。封着コンベヤ51が移動すると、駆動プーリ53側から移動してきた短冊コンベヤ片514が両側の下面に一対のガイド棒部材520が接触して移動するに従い押し上げられるようになる。さらに、ガイド棒部材520の間隔が徐々に狭められているため、短冊コンベヤ片514の両側はほぼ垂直に立ち上げられて一対のガイド板材519の間に案内されていく。ガイド板材519の下部が湾曲しているため、短冊コンベヤ片514は断面U字状に湾曲した状態となる。
【0041】
そして、駆動軸57が所定角度だけを往復揺動することによりクランク機構55が揺動棒部材521を所定角度往復回転させ、それに取り付けた封着部材52を往復揺動させるようになる。互いに対向して配列された一対の封着部材52は、それぞれのクランク機構55が封着コンベヤ51を挟んで対称となるように設置されているため、互いに逆方向に往復揺動する。したがって、各封着部材52の3つの当接部は、往復揺動に合せて互いに接近及び離間繰り返し、ガイド板材519の切欠き部分を通過して短冊コンベヤ片514の垂直に立ち上がった両側部分を所定のタイミングで押動するようになる。
【0042】
封着コンベヤ51の搬送により、規制ローラ530に到達した短冊コンベヤ片514は先端部が湾曲して両側から重なった状態に変形され、そうした短冊コンベヤ片514の重なり合った状態が規制ローラ531で維持されて、その状態のまま上整形ローラ533及び横整形ローラ532に囲まれた空間に導入されていく。そして、上整形ローラ533及び横整形ローラ532を通過すると、両側の短冊コンベヤ片514は重なリ合った湾曲形状から元の平板状に戻り、両側が多少浮き上がった状態であってもガイドレールによりスムーズに従動プーリに導入されて下方に搬送されていく。
【0043】
図11〜図16は、具材Gが載置された分割シート体Cを予備成形体に整形する工程を示す搬送方向と直交する断面での概略断面図であり、図11は、図10のA位置における断面図で、図12及び図13は、図10のB位置における断面図であり、図14は、図10のC位置における断面図であり、図15は、図10のD位置における断面図を示している。
【0044】
具材Gが載置された分割シート体Cが、搬送コンベヤ40により予備成形機構5まで搬送されてくると、封着コンベヤ51に搬入されて、ガイド棒部材520により短冊コンベヤ片514の両側が徐々に間隔が狭められて立上げられ、図11に示すように、分割シート体Cの折り返し部C2が上方に持ち上げられる。
【0045】
分割シート体Cがさらに搬送されて、B位置まで来ると、ガイド板材519により短冊コンベヤ片514が断面U字状に湾曲されて、分割シート体Cの両側の折り返し部C2が折溝C12により上方に折り返されて短冊コンベヤ片514に沿って断面U字状に湾曲する。この時、ガイド板材519の間隔は、載置される具材Gが潰されないような間隔に調整されている(図12)。
【0046】
B位置では、封着部材52がクランク機構55により往復揺動されており、ガイド板材519の切欠き部分から封着部材52の当接部が突出して短冊コンベヤ片514の上部を押動し、短冊コンベヤ片514の両側を互いに接近させていく(図13)。封着部材52の3つの当接部は、搬送方向下流側に行くに従い当接部の押え付ける高さが次第に低くなるように設定されており、3つの当接部の間を通過していくと分割シート体Cの両側の折り返し部C2の側端が徐々に接近して封着されるようになる。そのため、飯粒が潰れない程度の押圧力で封着され、ふっくらした状態のまま封着が行われる。また、具材として柔かいものや崩れやすいものを用いた場合でも具材にダメージを与えることなく米飯で封着することができる。
【0047】
両側の折り返し部C2が封着されることで具材Gの上面及び側面が折り返し部C2で被覆されるように包み込まれるようになる。そして、図14に示すように、規制ローラ530が上方から短冊コンベヤ片514の先端部に押し当てられて先端部が湾曲して重なるように規制される。そのため、封着された折返し部C2が具材Gの上面に密着した状態で被覆されるようになる。
【0048】
封着された分割シート体Cの周囲に短冊コンベヤ片514が巻き付いたまま規制ローラ531を通過し、図15に示すように、上整形ローラ533及び横整形ローラ532によって囲まれた空間にそのまま搬入される。上整形ローラ533の両端部は次第に大径となるように曲面形状に形成されており、横整形ローラ532の下端部についても同様に次第に大径となるように曲面形状に形成されている。そのため、横整形ローラ532及び上整形ローラ533で囲まれた空間形状はほぼ楕円形状に形成されており、封着された分割シート体Cが通過することで断面がほぼ楕円形状に巻き締め整形されるようになる(図16)。この例では、具材Gの断面形状が焼鮭の切り身のように断面楕円形状となっているため、それに対応して整形することで具材Gの周囲にほぼ均一な厚さの米飯で薄く包み込むように予備成形することが可能となり、また米飯が具材Gに密着した状態に成形されるため、例えばおにぎりとして食べる際に米飯が剥がれ落ちるのを防止することができる。
【0049】
図17は、成形された予備成形体Dに関する斜視図(図17(a))及び断面図(図17(b))である。具材Gの下面は具材載置部C1で被覆され、具材Gの上面及び側面は折返し部C2により包み込まれている。そして、図5に示すように、具材載置部C1が折返し部C2よりも搬送方向下流側に突出して形成されているため、具材Gの搬送方向下流側の先端部が露出した状態となっている。また、具材載置部C1及び折返し部C2は、横整形ローラ532及び上整形ローラ533により具材Gの周囲にしっかりと巻き締められて密着した状態となる。
【0050】
具材被覆部C3は、折り返し部C2とともに上方に折り返されて搬送方向下流側に突出するように延設された状態となる。図5に示すように、具材被覆部C3は、具材載置部C1よりも搬送方向上流側に突出して形成されているため、具材被覆部C3は具材G及び具材載置部C1の後端部よりも突出した状態になっている。したがって、具材被覆部C3については整形ローラにより巻き締められることはない。
【0051】
図18は、予備成形体Dを整形する整形機構6の概略正面図(図18(a))及び平面図(図18(b))を示している。整形機構6には、本体フレーム60の上部に搬送方向上流側から下流側にかけて3つの搬送コンベヤ63、64及び65が配列されており、左右両側の搬送コンベヤ63及び65は連続して搬送動作を行っている。また、中央部の搬送コンベヤ64は、図示しないセンサにより予備成形体Dを検知した場合に予備成形体Dが搬送コンベヤ64のほぼ中央位置で到達したところでいったん停止されるように制御される。また、搬送コンベヤ63の上部には前整形機構61が設置され、搬送コンベヤ64の上部には、一対の横型70及び上型71を有する型動作機構62が設置されている。
【0052】
前整形機構61は、突き当て板611及び1対の当接板612を備えており、突き当て板611は、搬送方向に横切るように配置されて図示せぬ駆動手段により上下動するように設けられている。そして、下降した位置では予備成形体Dの搬送路を遮断するように設定され、上昇した位置では予備成形体Dが通過可能となるように退避するように設定される。1対の当接板612は、当接面を搬送方向に対して先端が内側となるようにわずかに傾斜して設定されており、図示せぬ駆動手段により互いに接近及び離間するように移動制御される。
【0053】
図19は、前整形機構61の動作に関する説明図である。封着コンベヤ51から搬送コンベヤ63に予備成形体Dが移送されて所定位置に到達すると図示せぬ検知センサからの検知信号により突き当て板611が下降して遮断位置にセットされる。そして、予備成形体Dの先端が突き当て板611に突き当たったタイミングで1対の当接板612が駆動されて互いに接近するように移動し、予備成形体Dに対して両側から挟むように当接する。そのため、予備成形体Dの先端部が尖った形状となるように具材Gの周囲に米飯が押し当てられて密着した状態となる。
【0054】
この例では、後述するように平面視三角形状のおにぎりに整形するため、こうした前整形工程を行っているが、具材Gの形状に応じて尖った形状以外の形状に前整形するようにしてもよい。その場合には突き当て板及び当接板の形状を変更すればよい。また、前整形が必要でない場合には、前整形機構を設けなくてもよい。
【0055】
型動作機構62は、エアシリンダ等の駆動手段により上下動される取付基台620の両側から搬送方向に沿って1対の支持部材621が突出するように設けられている。1対の支持部材621は、エアチャック等の駆動手段により搬送方向に沿って互いに接近又は離間するように移動制御される。1対の支持部材621から搬送コンベヤ64の上方にそれぞれアーム部材622が突設されており、各アーム部材622の先端部に横型70がそれぞれ取り付けられている。また、取付基台620の上部にはアーム部材623が搬送コンベヤ64の上方に突出するように設けられており、アーム部材623の先端部には上型71が垂設されている。そして、アーム部材623が取付基台620に設けられたエアシリンダ等の駆動手段624により上下動することで上型71が上下動するようになっている。
【0056】
図20は、横型70及び上型71により整形を行う過程を示す説明図であり、図21は、各過程における搬送方向の断面図である。搬送コンベヤ63から搬送コンベヤ64に移送されてきた前整形された予備成形体Dが所定の位置に到達したことが検知されると、搬送コンベヤ64が一時停止される。そして、型動作機構62の取付基台620が下降して予備成形体Dの搬送方向上流側及び下流側に横型70がそれぞれコンベヤ面に当接するように設定される(図20(a))。次に、横型70を互いに接近して密着するように移動制御して予備成形体Dの両側から横型70を押し当てる(図20(b))。この状態では、図21(b)に示すように、予備成形体Dの後端部から突出する具材被覆部C3が横型70に押圧されて下方に折れ曲るようになって具材Gの後端部全体を被覆するように変形する。そして、横型70同士が密着した状態で上方から上型71が下降するように移動制御されて横型70の上部に嵌合して蓋をするように密着した状態となる(図20(c))。この状態では、図21(c))に示すように、折り返し部C2及び具材被覆部C3が上型71により圧接される。特に、具材被覆部C3は予備成形機構5において巻き締められていないため、整形機構6において上型及び横型により圧接されて具材被覆部C3が具材Gの後端部を密着した状態で包み込むようになる。
【0057】
図22は、成形品Eに関する斜視図である。成形品Eは型により三角おにぎりの形状に整形されており、具材Gの一部が露出した状態になっている。米飯部分である具材載置部C1、折返し部C2及び具材被覆部C3が具材Gに対して密着した状態でふっくらした状態のまま包み込むように成形されているので、手作り感のあるおにぎりに仕上げることができる。成形品Eに対しては、図23に示すように、全体に焼き海苔Fを巻き付けて仕上げることもできる。
【0058】
図24は、別の成形品E’に関する斜視図である。この成形品E’はいわゆる「天むす」と称されているエビ天等の天ぷらを具材G’として用いたもので、こうした具材でも成形加工することができる。この場合には、エビ天の尻尾の部分が突出するので、整形機構において型の形状を尻尾の部分だけ切欠いて尻尾がダメージを受けないようにする必要がある。この成形品のばあいにでもエビ天の周囲に米飯が密着した状態でふっくらした状態のままに仕上げることができる。
【0059】
成形品Eの形状は、整形機構6において用いる型を交換することで容易に変更が可能であり、例えば、図25に示す円形状や図26に示す小判状に成形することができ、こうした形状以外にも、球形、栗形、六角形、菱形、ロール形等さまざまな外形状の成形品を得ることができる。また、上型71の降下位置を調整することで、成形品の硬さを硬めにしたり柔らかめにしたり調整することも可能である。
【0060】
上述した例では、図11から図16に示すように、折り返し部C2の先端部を突き合わせるように封着しているが、図27に示すように、一方の折り返し部C2を先に折り返すようにしてもよい。図27では、ガイド棒部材520の一方を他方に比べて内側に配置されるように設定し(ガイド棒部材520’)、一方の折り返し部C2の方が先に折り返されるようにする。なお、ガイド棒部材520を内側に配置する代わりにエアシリンダ等の駆動ロッドにより一方の短冊コンベヤ片514を押圧して一方の折り返し部C2を先に折り返すようにしてもよい。そして、図28に示すように、一方の折り返し部C2が他方の折り返し部C2と互い違いに重なるように封着されるようになり、図29に示すように、着物を重ね合わせたように折返し部C2を互い違いに整形することができる。
【0061】
以上のように、本発明の成形加工方法を用いることで、大きな具材を包み込んで成形することができるとともに様々なデザインの米飯食品を安定して成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る成形方法を実施形態に関する全体概略正面図である。
【図2】シート分割機構に関する平面図である。
【図3】シート分割機構に関する側面図である。
【図4】切断刃に関する斜視図である。
【図5】分割シート体に関する平面図、側面図及び斜視図である。
【図6】分割シート体の変形例に関する斜視図である。
【図7】具材供給機構に関する平面図である。
【図8】予備成形機構に関する斜視図である。
【図9】封着コンベヤを省略した状態の予備成形機構に関する正面図である。
【図10】封着コンベヤを省略した状態の予備成形機構に関する平面図である。
【図11】図10のA−A位置における概略断面図である。
【図12】図10のB−B位置における概略断面図である。
【図13】図10のB−B位置における概略断面図である。
【図14】図10のC−C位置における概略断面図である。
【図15】図10のD−D位置における概略断面図である。
【図16】図10のE−E位置における概略断面図である。
【図17】予備成形体に関する斜視図及び断面図である。
【図18】予備成形体を整形する整形機構に関する概略正面図及び平面図である。
【図19】前整形機構の動作に関する説明図である。
【図20】横型及び上型により整形を行う過程を示す説明図である。
【図21】図20の各過程における搬送方向の断面図である。
【図22】成形品に関する斜視図である。
【図23】成形品に関する斜視図である。
【図24】別の成形品に関する斜視図である。
【図25】別の成形品に関する斜視図である。
【図26】別の成形品に関する斜視図である。
【図27】別の成形品の製造工程を示す概略断面図である。
【図28】別の成形品の製造工程を示す概略断面図である。
【図29】別の成形品に関する斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
A 食品成形装置
B 米飯
C 分割シート体
D 予備成形体
E 成形品
F 焼き海苔
G 具材
1 供給機構
2 繰出し機構
3 シート分割機構
4 具材供給機構
5 予備成形機構
6 整形機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯を薄い帯状に連続して成形するシート成形工程と、成形された米飯シートを分割して具材載置部の両側に延設された折り返し部を備えるとともに当該折り返し部から搬送方向に突出する具材被覆部が形成された分割シート体を成形する分割成形工程と、成形された分割シート体の前記折り返し部を上方に折り返し具材載置部に載置された具材の一方の端部を露出した状態で包み込んで予備成形体を成形する予備成形工程と、前記具材被覆部を折り曲げて具材の他方の端部を被覆するように予備成形体を整形する整形工程とを備えていることを特徴とする米飯食品成形方法。
【請求項2】
前記分割成形工程では、具材載置部が折り返し部よりも搬送方向に突出するように切断することを特徴とする請求項1に記載の米飯食品成形方法。
【請求項3】
前記予備成形工程では、複数の短冊コンベヤ片の中央部を無端ベルトに取り付けた封着コンベヤを用いて分割シート体を搬送しながら複数の短冊コンベヤ片を上方に湾曲させて両側の折り返し部を上方に湾曲させるとともに複数対の封着部材を往復揺動させて折り返し部を封着することを特徴とする請求項1又は2に記載の米飯食品成形方法。
【請求項4】
前記整形工程では、予備成形体に対して搬送方向上流側及び下流側から1対の横型を押し当てるとともに上方から上型を押し当てることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の米飯食品成形方法。
【請求項5】
米飯を薄い帯状に連続して成形するシート成形手段と、成形された米飯シートを分割して具材載置部の両側に延設された折り返し部を備えるとともに当該折り返し部から搬送方向に突出する具材被覆部が形成された分割シート体を成形する分割成形手段と、成形された分割シート体の前記折り返し部を上方に折り返し具材載置部に載置された具材の一方の端部を露出した状態で包み込んで予備成形体を成形する予備成形手段と、前記具材被覆部を折り曲げて具材の他方の端部を被覆するように予備成形体を整形する整形手段とを備えていることを特徴とする米飯食品成形装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate