説明

米飯食品成形装置及び方法

【課題】本発明は、米飯を効率よく冷却することができるとともに手作りと同様の温かみのある米飯食品を成形することができる米飯食品成形装置を提供することを目的とする。
【解決手段】供給機構1においてほぐされた米飯は、シート成形機構2において所定の厚さの米飯シートに整形される。シート冷却機構3では下方から空気を吸引するとともに上方から空気を米飯シートに吹き付けて冷却し、さらに米飯シートの上方に向けて上昇気流を発生させるとともに両側にエアカーテンを形成して外気の進入を阻止するようにしている。封着機構4では封着コンベヤ41で搬送されながら封着部材42により米飯シートの両側部が封着されて米飯棒状体に形成される。米飯棒状体は分割機構5においてシャッタにより所定の長さに分割されて、整形機構6において型により所定の形状に整形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯を成形するための米飯食品成形装置及び方法に関し、特にふっくらした食感を得られる米飯食品を様々な形状に成形可能な米飯食品成形装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、米飯を型に直接供給して、押圧により所定の形状に成形することがなされてきたが、この場合、米飯粒同士を確実に接合する為に、予め冷却された米飯を用いており、型で過大に押圧されるために、得られる成型品は手作りに比べて締め固められた硬いものであった。また、離型しやすくする為に形状が限られて、角も角ばったものとなり、変化及び見栄えに乏しいものであった。
【0003】
そこで、本発明者らは、特許文献1に記載されているように、米飯が締め固められることなくふっくらした状態で成形でき、内材の漏出が抑止できる米飯食品成形装置を提案している。この米飯食品成形装置では、供給機構においてほぐされた米飯をシート成形機構において所定の厚さの米飯シートに整形し、封着機構において封着コンベヤで搬送されながら封着部材により米飯シートの両側部を封着して米飯棒状体に形成し、米飯棒状体を分割機構において所定の長さに分割し、整形機構において型により所定の形状に整形するようにしている。
【0004】
こうして成形された米飯食品を冷却するために、例えば、特許文献2に記載されているような真空冷却機が用いられている。こうした真空冷却機以外にも、特許文献3及び4に記載されているように、成形された米飯に冷却空気を供給して冷却することが行われている。また、炊飯した米飯を冷却する場合には、特許文献5及び6に記載されているように、炊飯された米飯を搬送して解しながら空気により冷却することが行われている。
【特許文献1】特開2006−075114号公報
【特許文献2】特開2006−129822号公報
【特許文献3】特開2003−23984号公報
【特許文献4】特開2003−250472号公報
【特許文献5】特許第3447271号公報
【特許文献6】特許第3557427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
米飯食品を真空冷却機により冷却する場合短時間で冷却することが可能で、米飯食品の内部までほぼ均一に冷却できるが、米飯から水分が蒸発するため米飯が乾燥して食味が落ちる欠点がある。また、真空吸引装置等の装置が必要になって装置が大型化し、設備負担が大きくなる。
【0006】
また、成形された米飯食品に冷却空気を供給して冷却する場合には、食品の内部まで十分冷却するために長時間を要し、米飯の冷えすぎや乾燥により食味が落ちることになる。また、冷却が不十分な場合、表面が冷却されても食品の内部に熱がこもった状態となるため、内部で雑菌の増殖が生じて衛生面で問題が生じるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、シート状に成形された米飯を効率よく冷却することができるとともにふっくらとした食感のある米飯食品を成形することができる米飯食品成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る米飯食品成形装置は、炊飯されて解した米飯を圧縮して帯状の米飯シートに連続成形するシート成形手段と、成形された米飯シート内に外気を流通させて冷却する冷却手段と、冷却された米飯シートを封着して成形する成形手段とを備えていることを特徴とする。さらに、成形された米飯シートの一方の面側のみを掻き起こして他方の面側に比べて米飯の間の空隙を増加させた空隙層を形成する空隙形成手段を備え、前記冷却手段は、前記空隙層が形成された米飯シートを冷却し、前記成形手段は、前記空隙層が内側になるように米飯シートを封着することを特徴とする。さらに、前記冷却手段は、前記米飯シートのいずれか一方の面側から空気を吸引して前記米飯シート内に外気を流通させることを特徴とする。さらに、前記成形手段は、前記米飯シートを所定の長さ毎に分割した分割シートを封着して成形することを特徴とする。さらに、前記成形手段は、前記米飯シートを封着した後所定の長さに分割して成形することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る米飯食品成形方法は、炊飯されて解した米飯を圧縮して帯状の米飯シートに連続成形し、成形された米飯シートの一方の面側のみを掻き起こして他方の面側に比べて米飯の間の空隙を増加させた空隙層を形成し、前記空隙層が形成された米飯シート内に外気を流通させて冷却し、冷却された米飯シートを前記空隙層が内側となるように封着して成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記のような構成を有することで、炊飯されて解した米飯を圧縮して帯状に連続成形された米飯シート内に外気を流通させて冷却し、米飯シートを封着して成形するので、米飯シート全体をほぼ均一に効率よく常温レベルに冷却して手で丸めるように成形することができる。そのため、手作りと同様のふっくらとした温かみのある米飯食品を得ることができる。ここで、外気とは、米飯シートの外部の空気を意味し、例えば、冷却した空気が挙げられるが、冷却可能であれば常温の空気でもよい。
【0011】
すなわち、米飯シートが薄く帯状に形成されているので、シートの内部にまで十分冷却することができ、また、空気の流れにより冷却しているので、手作りの際に米飯をほぐしながら団扇で扇ぐのと同じように冷却することが可能となる。こうした空気の流れによる冷却は、米飯シートを構成する飯粒の表面から熱を奪いながら冷却するため飯粒の芯部に温かみが残った状態となり、このように温かみの残った状態の米飯シートの両側部を封着すれば手作りと同様の温かみのある米飯食品に成形することが可能となる。
【0012】
そして、成形された米飯シートの一方の面側のみを掻き起こして他方の面側に比べて米飯の間の空隙を増加させた空隙層を形成する空隙形成手段を備え、空隙層が形成された米飯シートを冷却して空隙層が内側になるように米飯シートを封着すれば、米飯シート内への空気の流通が容易に行えるようになり、冷却効率を向上させることができる。また、米飯シートの他方の面側は圧縮されたままの状態であるので、成形する際に米飯シートが型崩れすることなく安定した状態で成形することができる。そして、空隙層を内側にして米飯シートの両側部を封着すれば、内部の空隙率が大きく外皮部分が圧縮された状態に成形でき、ふっくらとした食感で型崩れのない米飯食品に仕上げることが可能となる。
【0013】
また、米飯シートのいずれか一方の面側から空気を吸引して米飯シート内に外気を流通させて冷却すれば、外気を効率よく米飯シート内に流通させることができる。
【0014】
また、米飯シートを所定の長さ毎に分割した分割シートを封着して成形すれば、様々な大きさや形状の米飯食品を容易に成形することができ、1台で多品種少量生産に対応することが可能となる。また、米飯シートを封着した後所定の長さに分割して成形すれば、同種の食品を連続して成形することができ、生産効率を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明に係る実施形態に関する全体概略正面図である。食品成形装置Aは、複数の機構により形成されており、米飯Bが成形される順に図面左の方から、米飯Bのほぐし及び供給を行う供給機構1、供給機構1から供給された米飯Bをシート状に展延するシート成形機構2、展延された米飯シートを冷却するシート冷却機構3、シート冷却機構3で冷却された米飯シート上に内材を供給するとともに米飯シートの両側部を封着する封着機構4、封着機構4で封着された米飯棒状体を切断して分割する分割機構5、分割された米飯分割体を個別に型打して仕上げ整形する整形機構6から形成されている。なお、本実施形態では、シート成形機構2がシート成形手段に相当し、シート冷却機構3が冷却手段に相当し、封着機構4、分割機構5及び整形機構6が成形手段に相当する。
【0017】
食品成形装置Aによる米飯食品の成形工程を説明すると、まず、米飯Bを作業者が供給機構1に投入すると、米飯Bの粘性により互いに適度に粘着した米飯Bの飯塊は搬送コンベヤ11上を図面右方に搬送される。そして、米飯Bの飯塊は回転するほぐし部材12に巻き込まれることにより適度にほぐされて、搬送コンベヤ11から落下するようにシート成形機構2の上部から供給される。供給された米飯Bは一対の繰出ローラ21により繰り出し量が調節されて連続的に下部に繰り出されて、搬送コンベヤ22によりさらに右方に搬送されて、展延ローラ23に到達すると、所定の厚さに薄く展延された連続した帯状の米飯シートに成形される。米飯シートは、搬送コンベヤ24によりシート冷却機構3に搬送される。
【0018】
図2は、シート冷却機構3の平面図であり、図3は、シート冷却機構3の正面図である。また、図4は、シート冷却機構3のA−A断面図を示している。シート搬送機構3は、米飯シートが搬入される搬送コンベヤ30が上面に取り付けられている。搬送コンベヤ30の搬送ベルト30aには、中央部分の所定幅の領域に多数の穴部30bが形成されている。穴部30bを形成する範囲は、米飯シートが載置される範囲かそれよりもわずかに幅を狭く設定するとよく、吸引効果がより高められる。
【0019】
搬送コンベヤ30の下方には吸引用のブロア31が配設されており、搬送ベルト30aの間には吸引タンク32が取り付けられている。吸引タンク32は、搬送ベルト30aの米飯シートの載置面の全面に対向するように設けられており、その上面32aは、平面状に形成されて搬送ベルト30aの下面に当接するように対向配置されている。吸引タンク32の上面32aには多数の吸引口32bが形成されており、吸引口32bが形成された範囲が搬送ベルト30aの穴部30bの形成された範囲とほぼ一致するように設定されている。吸引タンク32の両側部には、ブロア31と接続されるダクト31aに連通する開口部が形成されている。
【0020】
搬送コンベヤ30の下方には噴射用のブロア33が配設されており、ブロア33には、噴射空気を清浄化するフィルタ34を介してダクト33aが接続されている。搬送コンベヤ30の上方においてその両側に沿って一対の噴射パイプ35が取り付けられており、噴射パイプ35の一端部がブロア33に連通するダクト33aに接続され、他端部は密閉されている。噴射パイプ35は、搬送コンベヤ30の両側に沿って配列された直管であり、搬送コンベヤ30側多数の噴射口が2列上下に軸方向に沿って直線状に形成されている。
【0021】
搬送コンベヤ30の下方には、空気清浄機付コンプレッサ36が配設されており、コンプレッサ36は、エアホース36aを介してエアカーテン用の直管状の吹出しパイプ37が接続されている。吹出しパイプ37は、搬送コンベヤ30の上方において噴射パイプ35に沿ってその外側に一対取り付けられている。吹出しパイプ37の上部には、エアカーテン用の隙間が軸方向に沿って直線状に形成されている。
【0022】
図5は、米飯シート部分の拡大断面図である。搬送コンベヤ30の搬送ベルト30aには、多数の穴部30bが形成されている。搬送ベルト30aに対向して配設された吸引タンク32の上部32aには、多数の吸引口32bが形成されている。一対の噴射パイプ35の搬送ベルト30a側には、上部に上噴射口35aが軸方向に多数配列されており、下部に下噴射口35bが軸方向に多数配列されている。
【0023】
そして、ブロア31が空気を吸引すると、吸引タンク32の吸引口32bから空気が吸引される。それに対応して噴射パイプ35の下噴射口35bから空気が噴射されて米飯シートの上面に空気が吹き付けられる。そのため、吸引タンク32内に吸引による下降気流f1が発生して搬送ベルト30aの下方から空気が吸引され、搬送ベルト30aの穴部30bから米飯シート内の空気が吸引される。したがって、噴射された空気は下降気流f2となって米飯シートの飯粒の間を通り、搬送ベルト30aの穴部30bから吸引口32bを通って吸引タンク32内に流れていき、米飯シートの飯粒の表面を冷却するようになる。
【0024】
また、噴射パイプ35の上噴射口35aから米飯シートの上方に空気が噴射されて上昇気流f3が発生し、吹出しパイプ37の直線状の隙間37aからは上方に向かってエアカーテンの気流faが常時形成されているため、外気の進入が阻止されて衛生面でも埃等が含まれる外気の影響が及ばないようにされている。なお、上噴射口35aから噴射される空気による上昇気流は、米飯シートから上昇する熱気を効率よく外気に排出する上でも好ましい。
【0025】
シート冷却機構3の冷却に必要な搬送経路の長さは、吸引ブロア31の吸引能力や搬送コンベヤ30の搬送速度などに基づいて温度低下に必要な長さに設定すればよい。
【0026】
図6は、封着機構4及び分割機構5を接続した状態の拡大正面図を示している。内材の供給動作には、内部にスクリューポンプを有する内材貯留部48から内材をベーンポンプ等により圧送してノズル49から吐出する公知の機構を用いている。また、封着機構4は、左端に配設された駆動プーリ43と右端に配設された従動プーリ44の間に張設された封着コンベヤ41と、クランク機構45により往復揺動される複数対の封着部材42を備えている。また、分割機構5は、枠フレーム55の右側に搬送コンベヤ51、左側に搬送コンベヤ53が固定されており、搬送コンベヤ51、53の間に複数のシャッタ片52aを備えたシャッタ機構52が固定されている、シャッタ片52aは垂直面内で往復揺動するように取り付けられており、その切断領域54は垂直面に沿って画定されている。
【0027】
図7は、封着機構4の拡大斜視図、図8は、封着コンベヤ41の斜視図、図9は、封着コンベヤ41を省略した状態の封着機構4の拡大正面図、図10はその平面図、図11は、封着コンベヤ41及び封着部材42を省略した状態の封着機構4の拡大平面図を示している。
【0028】
まず、図7〜図11を用いて封着機構4の各部材の配置を説明する。本体フレームから水平方向に駆動軸46及び駆動軸47が突設されている。駆動軸46は、駆動プーリ43に接続されており、駆動軸47は、クランク機構45に接続されている。本体フレームに固定された搬送基台411の右側端部には、搬送基台411を狭持するように、一対の板材からなる従動プーリ支持部材412が搬送基台411にボルト等で固着されており、従動プーリ44は、従動プーリ支持部材412により、両端部を軸支されることで、回動自在に保持されている。
【0029】
駆動プーリ43及び従動プーリ44の間には、封着コンベヤ41が張設されている。封着コンベヤ41は、図8に示すように、無端状Vベルト413の外周面に可撓性材料からなる複数の短冊ベルト片415が接着剤や熱融着等で接続されて構成されている。各短冊ベルト片415は、その中心部分がVベルト413の中央部分の接続部414に接続されており、隣接する短冊ベルト片415と所定長さずつ重複するように配列されている。したがって、各短冊ベルト片415が接続された中心部分の両側が湾曲自在となっている。
【0030】
駆動プーリ43及び従動プーリ44の外周面には、封着コンベヤ41のVベルト413の突起が噛合する溝が形成されており、Vベルト413の突起が駆動プーリ43及び従動プーリ44の溝に噛合した状態で張設されることで、駆動プーリ43の回転により封着コンベヤ41が滑ることなく、確実な搬送動作を行う。
【0031】
図11に示すように、搬送基台411の両側には、一対の間隔調整部材416が搬送基台411と所定の間隔で配置されており、搬送基台411には、貫通孔417・418が穿設されており、間隔調整部材416には、貫通孔417に対応してそれぞれ貫通孔419が穿設されている。また、間隔調整部材416の中央部に、内面に互いに逆のネジきりがなされたネジ孔420・421がそれぞれ穿設されている。
【0032】
間隔調整棒材422は、搬送基台411の貫通孔418及び間隔調整部材416のネジ孔420・421に挿通されており、間隔調整棒材422のネジ孔420・421に挿通された部分にはそれぞれネジ切りされて各ネジ孔に螺合されている。そして、間隔調整棒材422の一方の端部には、間隔調整棒材422が手で容易に回転できるようにノブ部材423が固着されている。間隔調整棒材422の両側には、搬送基台411の貫通孔417及び間隔調整部材416の貫通孔419を挿通するようにスライド棒材424・425が配設されている。スライド棒材424の一方の端部をナット等で間隔調整部材416に固着されて、スライド棒材425は、スライド棒材424と逆の他方の端部をナット等で間隔調整部材416に固着されている。
【0033】
ノブ部材423を回転させると、間隔調整棒材422が回転してネジ孔420・421に螺合する間隔調整部材416が移動するようになり、ネジ孔420・421は互いに逆にネジ切られているため、一対の間隔調整部材416の間隔が狭くなったり広くなったりすることで、間隔が調整できるようになる。
【0034】
間隔調整部材416の両端部には、支持柱426の下部がボルト等により固着されており、支持柱426の上部には、互い向き合う方向にガイド支持棒材427がボルト等により水平に突設されている。各間隔調整部材416の両端に突設されたガイド支持棒材427の先端部には、垂直方向にガイド板材428が取り付けられている。一対のガイド板材428は、封着コンベヤ41の搬送方向に沿って配設されるとともに封着コンベヤ41の接続部414が一対のガイド板材428の間の中心線とほぼ一致するようにされている。また、各ガイド板材428の下部は、図7に一部示されているように、互いの方向に湾曲した形状とされて自由端となっている。図9において一点鎖線で示されているように、ガイド板材428は、封着部材42に対応する部分が切り欠かれて開口部分432が形成されている。
【0035】
各ガイド板材428の上部には、封着コンベヤ41の搬送方向上流側にガイド棒部材429の一方の端部が固着されており、他方の端部にいくに従い搬送方向上流側に向って斜め下方になるように設けられている。そして、2つのガイド棒材429の間の間隔は他方の端部にいくに従い駆動プーリ43の幅に沿わせるように徐々に広げられており、他方の端部は自由端とされている。
【0036】
間隔調整部材416の両端に固定された一対の支持柱426には、その長手方向の中央部において、封着コンベヤ41の搬送方向に沿った貫通孔がそれぞれ穿設されている。そして、両方の貫通孔に揺動棒部材430の両端部が嵌挿されている。揺動棒部材430の貫通孔から突出した端部の一方には留部材431が取り付けられており、他方の端部にはクランク機構45が取付けられている。
【0037】
搬送基台411の両側には、互いに対向するように3対の封着部材42が配置されている。各封着部材42は、貫通孔が形成されて揺動棒部材430に嵌挿される取付基部433と米飯シートを押動する封着部437とを備えている。封着部材42の取付基部433はボルト等で固着されて揺動棒部材430に位置決めされており、取付基部433から立設した取付部の摺動溝に封着部437を固定するボルトが嵌装されている。したがって、封着部437を固定するボルトを緩めて封着部437を上下動させて位置調整してボルトを締め直せば簡単に封着部437の高さを調整することができる。この例では、図9に示すように、封着コンベヤ41の搬送方向上流側から下流側にいくに従い封着部437の高さが徐々に低くなるように高さ調整されている。
【0038】
また、上述したように、ノブ部材423を回転させることで一対の間隔調整部材416が搬送基台411を挟んで間隔が調整されるようになっているため、間隔調整部材416に取り付けた3対の封着部材42の間隔もそれに合せて容易に調整することができる。
【0039】
搬送基台411の下方には、図9に示すように、本体フレームにボルト等で固着されたガイドレール支持基台434が配設されている。ガイドレール支持基台434には、封着コンベヤ41の搬送方向に沿って一対のガイドレール板部材435が駆動プーリ43に向かって延設されるとともに、一対のガイドレール棒部材436が従動プーリ44に向かって延設されている。ガイドレール板部材435は、駆動プーリ43の外周面に沿って上方に湾曲して形成されており、封着コンベヤ41に取り付けた短冊ベルト片415の両側が搬送動作中に自重により下方に折れ曲がるのを防止する。同様に、ガイドレール棒部材436も従動プーリ44の外周面に沿って上方に湾曲形成されており、短冊ベルト片415が下方に折れ曲がるのを防止している。
【0040】
駆動プーリ43が回転駆動されると、封着コンベヤ41が搬送動作を開始する。封着コンベヤ41が移動すると、駆動プーリ43側から移動してきた短冊ベルト片415が両側の下面に一対のガイド棒部材429が接触して移動するに従い押し上げられるようになる。さらに、ガイド棒部材429の間隔が徐々に狭められているため、短冊ベルト片415の両側はほぼ垂直に立ち上げられて一対のガイド板材428の間に案内されていく。ガイド板材428の下部が湾曲しているため、短冊ベルト片415は断面U字状に湾曲した状態となる。
【0041】
そして、駆動軸47が所定角度だけを往復揺動することによりクランク機構45が揺動棒部材430を所定角度往復回転させ、それに取り付けた封着部材子42を往復揺動させるようになる。互いに対向して配列された一対の封着部材42は、それぞれのクランク機構45が封着コンベヤ41を挟んで対称となるように設置されているため、互いに逆方向に往復揺動する。したがって、各対の封着部材42は、往復揺動に合せて互いに接近及び離間繰り返し、ガイド板材428の開口部分432を通過して短冊ベルト片415の垂直に立ち上がった両側部分を所定のタイミングで押動するようになる。
【0042】
封着コンベヤ41の搬送により、短冊コンベヤ片415がガイド板材428の規制から脱すると、短冊コンベヤ片415の両側は断面U字状から元の平板状に戻り、両側が多少浮き上がった状態であってもガイドレール棒部材436によりスムーズに従動プーリに導入されて下方に搬送されていく。
【0043】
図12〜図18は、内材供給機構3により内材が供給された米飯シートの封着工程を示す概略断面図であり、図12は図10のA−A位置、図13〜図15はB−B位置、図16はC−C位置、図17はD−D位置、図18はE−E位置における概略断面図をそれぞれ示している。
【0044】
展延ローラ23により展延された米飯シートが、搬送コンベヤ24により封着機構4まで搬送されてくると、まず、内材供給機構3のノズル33から棒状に内材Cが連続吐出されて、米飯シートの上面に供給される。内材Cの供給後封着コンベヤ41に搬入されて、ガイド棒部材429により短冊ベルト片415の両側が徐々に間隔が狭められて立上げられ、図12に示すように、内材Cが米飯シートにより包囲され始める。
【0045】
米飯シートがさらに搬送されて、B−B位置まで来ると、ガイド板材428により短冊ベルト片415が断面U字状に湾曲されて、米飯シートも短冊ベルト片415に沿って断面U字状に湾曲する。この時、ガイド板材428の間隔は、載置される内材Cが潰されないような間隔に調整されている(図13)。
【0046】
B−B位置では、封着部材42がクランク機構45により往復揺動されており、ガイド板材428の開口部432から封着部437が突出して短冊ベルト片415の上部を押動し、短冊コンベヤ片415の両側を互いに接近させていく(図14)。
【0047】
そして、一対の封着部437が最接近した状態では、米飯シートの両側部が封着して内材Cが米飯シートに包囲された状態となる(図15)。この時、封着部437の高さは米飯シートの両側部が潰れない程度に押し当てられて粘着力により封着するように調整されている。
【0048】
内材Cが封着されて米飯棒状体に形成された状態でC−C位置まで来ると、封着部材42の封着部437の高さが、B−B位置の封着部材42よりも低く設定されているため、米飯棒状体の封着部分の下部がさらに押し当てられて封着するようになる(図16)。そして、D−D位置では、封着部材42の封着部437の高さが、C−C位置の封着部材42よりもさらに低く設定されているため、米飯棒状体の封着部分の下部がさらに押し当てられて確実に封着するようになる(図17)。米飯棒状体がE−E位置まで搬送されると、短冊コンベヤ片415が開いて、内部に内材Cが封着された米飯棒状体が分割機構5に搬送されていく(図18)。
【0049】
3対の封着部材42により米飯棒状体の封着部分を高さを変化させながら封着動作を行っているので、徐々に米飯同士が粘着し合い米飯が潰れてしまったり崩れてしまうことを防止しながら確実に封着されるようになる。そのため、米飯をふっくらした状態のままで封着させることができる。そして、内材Cに圧力がかかることなく封着されるので、内材Cが外部に漏出することを防止できる。したがって、流動性の高い内材Cを用いることも可能となる。
【0050】
封着コンベヤ41から搬送コンベヤ51に搬送された米飯棒状体は、複数のシャッタ片52aを備えたシャッタ機構52の切断領域54内へ導入されて、所定の長さごとに切断分割される。こうした分割機構5としては、特許第2897006号公報に記載された分割機構を用いるとよい。
【0051】
シャッタ機構52は、図19に示すように、4枚のシャッタ片52aを備えており、各シャッタ片52aにより囲まれた領域が切断領域54となる。切断領域54に搬送された米飯棒状体は、各シャッタ片52aが閉じるに従い内材の周囲の米飯が絞り込まれていき、内材を包むようにして切断分割される。こうしたシャッタ動作は、例えば特開平7−111884号公報に記載されているように公知のものである。そして、このようなシャッタ機構をもちいることで、米飯がシャッタ片により押し潰されることなく分割され、ふっくらした状態を維持することができる。
【0052】
米飯棒状体が搬送コンベヤ51により搬送されていき、シャッタ片52aが開いた状態で、搬送コンベヤ51の従動プーリとテンションローラを適宜移動させて搬送コンベヤ51の下流端を切断領域54内に移動させる。そのため、米飯棒状体の先端部が下流側の搬送コンベヤ53に移送されるようになる。その際にシャッタ機構52は、搬送コンベヤ51の上流側に移動した後元の位置に戻りながらシャッタ片52aの閉じ動作を行う。シャッタ片52aの閉じ動作により下流側の搬送コンベヤ53に移送された米飯棒状体の先端部分が所定長さだけ切断されて分割される。
【0053】
図20は、米飯分割体を整形する整形機構6の概略正面図を示している。整形機構6には、搬送方向上流側から下流側にかけて3つの搬送コンベヤ61、64及び65が配列されており、左右両側の搬送コンベヤ61及び65は連続して搬送動作を行っている。また、中央部の搬送コンベヤ64は、図示しないセンサにより米飯分割体を検知した場合に米飯分割体が搬送コンベヤ64のほぼ中央位置で到達したところでいったん停止されるように制御される。また、搬送コンベヤ64の上部には、一対の横型62及び上型63を有する型動作機構66が配設されている。
【0054】
図21は、型動作機構66の拡大正面図であり、内部の構造がわかるように支持フレーム67を一点鎖線で示している。紙面手前側と奥側に配設された一対の支持フレーム67の下端部は整形機構6の取付基台にボルト等により固着されており、一対の支持フレーム67の間には、その上部に取付基部68が固着されている。
【0055】
そして、取付基部68の下面にはエアシリンダ69が固定されており、エアシリンダ69からは下向きに進退ロッド610が突出されている。進退ロッド610の下端部に支持板611が固定され、この支持板611の下面には、一対の腕部材613・613を水平方向に互いに接近離反動作させるエアチャック612が取り付けられている。エアチャック612の腕部材613・613がそれぞれ下方に延設されてその下端部に一対の横型62が固定されている。
【0056】
また、エアチャック612の下面には、支持板614が固定され、この支持板614の下面には、エアシリンダ615が固定されている。エアシリンダ615からは下向きに進退ロッド616が突出されており、進退ロッド616の下端部に支持板617が固定されている。支持板617の下面には、上型63が固定されている。
【0057】
したがって、エアシリンダ69の動作によって、上型63及び一対の横型62が一体として上下動され、エアチャック612の動作によって一対の横型62が接近離反動作される。また、エアシリンダ615の進退動作によって、上型63が上下動されるようになる。
【0058】
図22は、横型62の平面図を示しており、図23は、図22のF−F位置での断面図を示している。横型62は、内面が平面視半円形状に形成されており、一対の横型62同士が当接した状態では内周面同士がつながって平面視円形状に形成される。横型62の内周面の下端は内方に湾曲して曲面状に形成されている。
【0059】
図24は、上型63を下側から見た底面図を示しており、図25は、図24のG−G位置での断面図を示している。上型63は、平面視円形状で全体が椀状に窪んだ形状に形成されており、整形動作の際に横型62同士が密着した状態でその上部の開口に嵌合するように挿入されるようになっている。
【0060】
搬送コンベヤ61により整形機構6に米飯分割体が搬入されてくると、そのまま搬送されて搬送コンベヤ64に移送される。移送される際に図示しないセンサにより米飯分割体が移送されたことが検知されて、米飯分割体が搬送コンベヤ64のほぼ中央位置に到達したタイミングで搬送コンベヤ64が停止する。そして、一対の横型62がエアチャック612により離間され上型63がエアシリンダ615により退避位置に上げられた状態で、エアシリンダ69によって、上型63及び一対の横型62が下降して一対の横型62が搬送コンベヤ64の搬送面に当接した状態で停止する。
【0061】
次に、エアチャック612により一対の横型62を接近するように動作させ横型62同士を密着させる。その後エアシリンダ615により上型63を下降させて所定の高さで停止させる。図26は 一対の横型62同士が密着して上型63が所定の高さまで降下さして停止した状態を示している。このとき、横型62及び上型63により形成される内部空間は、米飯分割体の外形に基づく体積をほぼ同じ内容積とされている。すなわち、仕上げの成形品の形状等が決まってくると、それに合せて米飯の厚さや内材の量が決められて米飯分割体の長さが決まってくる。そのため、米飯分割体の外形に基づく体積(成形品の体積)が設定されてそれに合せて型による内容積をほぼ同じように設定する。このように型内の内容積を米飯分割体と関連付けることで、型により締め固めることなく米飯分割体を成形品に整形することができる。したがって、米飯のふっくらした状態を維持したまま成形品をしあげることができ、また、締め固めることがないので、内材が圧力により外部に漏れ出すといったことも防止できる。
【0062】
横型62及び上型63により整形された後、上型63がエアシリンダ615により退避位置に上昇し、一対の横型62がエアチャック612により離間された状態とされ、上型63及び一対の横型62がエアシリンダ69により元の待機位置にまで上昇される。そして、搬送コンベヤ64が搬送動作を開始して成形品Dは、搬送コンベヤ65に移送されて次の工程に搬送されていく。
【0063】
ここで、横型62及び上型63の駆動にエアシリンダやエアチャックを用いるようにしているが、同様の動作が可能であれば、駆動源としてモータを用いるようにしてもよい。
【0064】
図27は、以上の工程により成形される成形品Dの斜視図(図27(a))及び断面図(図27(b))を示している。以上説明したように、成形品Dは、最初の米飯のふっくらした状態から締固められることがないため、それを維持した状態で内材Cを包み込んで成形されている。そして、従来の方法では困難であった流動性の高い内材を使用しても外部に漏れることなく成形することが可能となる。また、内材Cの供給量を増やすことも簡単にでき、様々な種類の内材を用いることも可能である。
【0065】
成形品Dの形状は、整形機構6において用いる型を交換することで容易に変更が可能であり、分割米飯Bの体積と、横型及び上型の内面により形成される内部領域の容積が上記と同様になるように設定されていれば、図26に示される形状に限らず、例えば、球形や三角形はもちろん、栗形、六角形、菱形、ロール形等、さまざまな外観の成形品Dを得ることができる。また、上型63の降下位置を調整することで、成形品Dの硬さを、硬めにしたり柔らかめにしたり調整することも可能である。
【0066】
以上説明した米飯食品成形装置によりおにぎりを成形した場合の温度変化を測定したところ、シート成形機構2において成形された米飯シートの段階では表面温度約46℃及び芯温度約51℃であったが、シート冷却機構3の通過後の段階では表面温度が18℃〜20℃及び芯温度が22℃〜28℃に短時間で大幅に低下させることができた。そして、成形品の段階でもほぼ同じ温度が保持されていた。
【0067】
一般に食品を冷却する場合、大腸菌等の雑菌が繁殖しやすい40℃前後の温度帯をできるだけ短時間で冷却することが衛生上望ましいが、シート冷却機構3ではそうした温度帯が短時間となるように急速に冷却することができるとともに常温状態で温かみがある程度残る温度状態に保持できる。
【0068】
また、成形品の段階で表面温度に対して芯温度が4℃〜8℃高くなっているため、内部に温かみの残る手作りと同様のおにぎりを得ることができる。こうした温かみは、薄く成形された米飯シート全体の飯粒の表面を空気によりほぼ均一に冷却し、飯粒の芯に熱をある程度残した状態で成形することで、成形後におにぎりの内部にある程度熱がこもるようになるためで、団扇等で風を送りながら米飯をほぐして手作りする場合と同じように成形することができる。
【0069】
以上説明したように、噴射パイプにより米飯シートの上方に向けて上昇気流を発生させることで外部からの空気の進入を抑止し、さらに米飯シートに上方から空気を吹き付けながら下方で空気を吸引するので、外部からの空気が米飯シートに触れることがなくなり、衛生面において安全な状態で米飯シートの冷却を行うことができる。また、米飯シートが薄く形成されているので、短時間で所定温度に冷却することが可能となり、飯粒の乾燥が抑えられるとともに衛生面でも好ましい。
【0070】
また、搬送コンベヤにより米飯シートを搬送しながら冷却するため、装置をコンパクト化することが可能となり、真空冷却機に比べて設備負担を格段に軽減することができる。
【0071】
そして、搬送コンベヤにより搬送される米飯シートの両側にエアカーテンを形成する気流発生手段を備えることで、外気をできるだけ遮断した状態で米飯シートの冷却を行うことができ、衛生面でより安全なものとなる。
【0072】
以上説明した例では、水平方向に搬送される米飯シートに対して上から下に空気を流通させて冷却しているが、米飯シートの上方に空気の吸引口を配置して米飯シート内を下から上に空気を流通させるようにしてもよい。その場合には、噴射パイプを米飯シートの下方に配置すればよい。
【0073】
次に、本発明に係る別の実施形態について説明する。図28は、本発明に係る別の実施形態に関する全体概略正面図である。食品成形装置A’は、上述した供給機構1及びシート成形機構2を備えており、帯状に連続成形された米飯シートの上面側を掻き起こす空隙形成機構7、上面側に空隙層が形成された米飯シートを冷却するシート冷却機構8、冷却された米飯シートを所定長さ毎に切断する切断機構9を備えている。そして、切断された分割シートは、上述の封着機構4により両側部を封着され、上述の整形機構6により型打ちされて米飯食品に仕上げられる。なお、本実施形態では、シート成形機構2がシート成形手段に相当し、シート冷却機構3が冷却手段に相当し、封着機構4及び整形機構6が成形手段に相当する。また、空隙形成機構7が空隙形成手段に相当する。
【0074】
供給機構1、シート成形機構2、封着機構4及び整形機構6の詳細については、上述の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0075】
図29は、供給機構1、シート成形機構2及び空隙形成機構7に関する概略正面図である。供給機構1では炊飯された米飯Bはほぐし部材12が回転することで適度に解されて一対の繰出ローラ21の回転動作により米飯の繰出し量が調節されて連続して繰り出されるようになる。そして、連続して繰り出された米飯は展延ローラ23により所定の厚さに展延されて連続した帯状の米飯シートに成形される。展延ローラ23により展延される際に米飯は圧縮されて型崩れしないように飯粒同士がしっかり付着した状態となる。
【0076】
このように米飯が圧縮された状態では飯粒同士の間の空隙が少なくなるため、冷却の際の空気の流通が少なくなる。そのため、この実施形態では空隙形成機構7を備えている。空隙形成機構7は、多数の掻き起しピン71が植設されたピンローラ70を備えており、図示しない駆動モータによりピンローラ70を回転させて米飯シートの上面側の米飯を掻き起すようになっている。
【0077】
図30は、ピンローラ70に関する軸方向からみた側面図(図30(a))及び軸方向と直交する方向からみた正面図(図30(b))である。また、図31は、図30のA−A断面図(図31(a))及びB−B断面図(図31(b))である。ピンローラ70は、回転軸体73を設けたローラ本体72の周面に多数の掻き起しピン71を植設している。掻き起しピン71は、周方向に等間隔に複数の掻き起しピン71を配列して1つのピン配列を構成し、軸方向に多数のピン配列を配設している。そして、隣接するピン配列の配列位置がずらして設定されている。
【0078】
図32及び図33は、ピンローラ70の動作状態を示す説明図である。ピンローラ70は、図示しない一対の軸支部材に回転軸体73の両端部が軸支されており、軸支部材を上下動することでピンローラ70の上下位置が調整される。ピンローラ70の上下位置は、掻き起しピン71が最下端位置に設定された場合の先端が米飯シートの上面側に所定の深さまで食い込むように調整する。掻き起しピン71の先端が食い込む深さは、米飯シートが成形の際に型崩れしない程度に設定すればよい。
【0079】
ピンローラ70は、米飯シートに食い込む掻き起しピン71が米飯シートの搬送方向に回動するように回転駆動される。そして、ピンローラ70の回転速度は、米飯シートの搬送速度よりも速い速度で掻き起しピン71が移動するように設定する。掻き起しピン71が米飯シートよりも速い速度で移動するため、米飯シートの上面側に食い込んだ掻き起しピン71が上面側の飯粒を掻き起すように作用する。そして、隣接するピン配列の配列位置がずれているため、交互に掻き起しピン71が掻き起すようになり、上面側の米飯がばらついて飯粒の間の空隙が増加するようになる。こうして、米飯シートの上面側に下面側の圧縮層B1よりも空隙の増加した空隙層B2が形成されるようになる。
【0080】
空隙形成機構7により空隙層が形成された米飯シートはシート冷却機構8に搬入される。図34及び図35は、それぞれシート冷却機構8の上面図及び正面図を示している。
【0081】
シート冷却機構8は、機体80の上部に枠状の支持フレームが設けられており、その支持フレームの両端部に無端状の搬送ベルト82を支持する一対の従動ローラ81が配設されている。搬送ベルト82は、空気の通過をスムーズに行うためにメッシュ状の生地が用いられている。なお、図34では、理解を容易にするため搬送ベルト82の一部を省略して描画している。
【0082】
機体80の上部の支持フレームには、搬送ベルト82の搬送方向に直方体状の2つの吸引タンク83及び84が配列されて嵌め込まれており、各吸引タンクの上面には多数の吸引孔83a及び84aが形成されている。そして、吸引タンク83の下面には、四隅に4つの分岐管83b〜83eが接続され下方に向かって取付固定されており、吸引タンク84の下面の四隅にも4つの分岐管84b〜84eが接続され下方に向かって取付固定されている。
【0083】
分岐管83b〜83eの下端は連通管85に接続され、分岐管84b〜84eの下端は連通管86に接続されている。そして、連通管85及び86は排水タンク87に接続され、排水タンク87には吸引ブロア88が接続されている。排水タンク87の下面には、吸引した空気に含まれる水蒸気が結露して内部に溜まった水を集める貯留部87aが設けられている。
【0084】
図36は、シート冷却機構8の動作状態を示す搬送方向に沿った断面図であり、図37は、搬送方向と直交する方向に沿った断面図である。吸引ブロア88が吸引動作を開始すると排水タンク87を介して連通管85及び86内部の空気が吸引されていき、排気口89から排出されるようになる。そのため、分岐管83b〜83eを介して吸引タンク83内の空気が吸引されるようになり、吸引孔83aから空気が吸引されるようになる。したがって、吸引タンク83の上面全体に空気の吸引による上から下へ流れる気流が発生し、メッシュ状の搬送ベルト82を介して米飯シート内に上から下へ空気が流通するようになる。
【0085】
米飯シートには上面に空隙が増加した空隙層B2が形成されて圧縮されたままの状態の圧縮層B1が薄くなっているため、常温の外気がスムーズに米飯シート全体に導入されるようになり、米飯シート全体を均一に常温レベルまで冷却することができる。また、導入される空気量が多くなって短時間で冷却することができるため、冷却する搬送路の長さを短く設定してもよく、その分機構全体をコンパクト化でき、また短時間で処理することで衛生面でも好ましいものとなる。
【0086】
以上説明した例では、搬送ベルトの下面に吸引タンクを搬送方向に2つ配列しているが、3つ以上に分割して配列するようにしてもよい。また、各吸引タンクに接続される分岐管は1つにしてもよく、各分岐管に調整弁を内蔵させて吸引される空気の量を調整すれば米飯シート内を流通する空気量を調整することができる。そして、米飯シートで上部が覆われた吸引タンクのみ開閉弁により吸引させるようにすれば、米飯シートで覆われていない状態の吸引タンクから空気が吸引されないので、米飯シートに対して十分な量の空気を流通させるようにすることができる。
【0087】
また、上述した例では、水平方向に搬送される米飯シートに対して上から下に空気を流通させて冷却しているが、米飯シートの上方に空気の吸引口を配置して米飯シート内を下から上に空気を流通させるようにしてもよい。
【0088】
シート冷却機構8において冷却された米飯シートは切断機構9で所定の長さ毎に切断される。切断機構9は、図28に示すように、エアシリンダ等の駆動装置により上下動する切断刃90及び切断刃90とともに上下動するスタンプ部材91を備えている。そして、搬送される米飯シートの搬送速度に応じて所定のタイミングで切断刃90を下降させて米飯シートの切断動作を行なう。また、スタンプ部材91が下降することで米飯シートの上面に内材を配置する窪みを形成する。スタンプ部材91は、配置する内材の形状に合せて形状を設定すればよく、場合によっては設けなくてもよい。
【0089】
切断機構9において切断されて形成された分割シートに内材を配置して封着機構4に搬入し、上述した実施形態と同様に分割シートの両側部を上方に移動させて封着動作を行なう。図38に示すように、分割シートの上面側には空隙層B2が形成されているので、空隙層B2を内側にして分割シート体の両側部が上方に持ち上げられて(図38(a))上部において両側部が封着される(図38(b))。この場合、分割シートの下面側が圧縮層B1となっているため、型崩れすることなく封着動作が行なわれる。そのため、封着された分割シート内に空隙層B2が包み込まれるようになる。
【0090】
そして、上述した実施形態と同様に整形機構6において型打ち動作を行なうことで、成形品D’は内材Cの周囲に空隙の多い部分が形成され外皮部分が圧縮されたままの部分が形成されるようになる。そのため成形品D’は、ふっくらとした食感で型崩れのない米飯食品に仕上げられる。
【0091】
図39は、図28に示す実施形態の変形例である。この例では、切断機構9は、空隙形成機構7とシート冷却機構8との間に設置している。空隙形成機構7により上面側に空隙層が形成された米飯シートを所定長さ毎に切断して分割シートを形成する。そして、分割シートは、シート冷却機構8においてベルトコンベヤの搬送速度を切断機構9よりも遅くすることで互いの間の隙間がないようにして冷却効果の低下を抑える。
【0092】
また、シート冷却機構8と封着機構4との間には、移行コンベヤ100が設置されている。そして、移行コンベヤ100の搬送速度をシート冷却機構8よりも速くすることで分割シートの間の間隔を空けるように調整して、分割シートを封着機構4に搬入するようにしている。
【0093】
この例においても図28に示す実施形態と同様にふっくらとした食感で型崩れのない成形品に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係る実施形態に関する全体概略正面図である。
【図2】シート冷却機構に関する概略平面図である。
【図3】シート冷却機構に関する概略正面図である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】米飯シート部分の拡大断面図である。
【図6】封着機構と分割機構を接続した状態の概略正面図である。
【図7】封着機構の拡大斜視図である。
【図8】封着コンベヤの概略斜視図である。
【図9】封着コンベヤを省略した状態の封着機構の拡大正面図である。
【図10】封着コンベヤを省略した状態の封着機構の拡大上面図である。
【図11】封着コンベヤ及び封着部材を省略した状態の封着機構の拡大上面図である。
【図12】図10のA−A位置における概略断面図である。
【図13】図10のB−B位置における概略断面図である。
【図14】図10のB−B位置における概略断面図である。
【図15】図10のB−B位置における概略断面図である。
【図16】図10のC−C位置における概略断面図である。
【図17】図10のD−D位置における概略断面図である。
【図18】図10のE−E位置における概略断面図である。
【図19】シャッタ機構の概略図である。
【図20】整形機構の概略正面図である。
【図21】型動作機構の拡大正面図である。
【図22】横型の平面図である。
【図23】図22のF−F位置での断面図である。
【図24】上型を下側から見た平面図である。
【図25】図24のG−G位置での断面図である。
【図26】型が組み合わされた状態の概略断面図である。
【図27】成形品の概略斜視図及び概略断面図である。
【図28】本発明に係る別の実施形態に関する全体概略正面図である。
【図29】供給機構、シート成形機構及び空隙形成機構に関する概略正面図である。
【図30】ピンローラに関する側面図及び正面図である。
【図31】図30のA−A断面図及びB−B断面図である。
【図32】ピンローラの動作状態を示す説明図である。
【図33】ピンローラの動作状態を示す説明図である。
【図34】シート冷却機構に関する上面図である。
【図35】シート冷却機構に関する正面図である。
【図36】シート冷却機構の動作状態を示す断面図である。
【図37】シート冷却機構の動作状態を示す断面図である。
【図38】封着した分割シート及び成形品の概略断面図である。
【図39】図28に示す実施形態の変形例に関する全体概略正面図である。
【符号の説明】
【0095】
A 食品成形装置
B 米飯
C 内材
D 成形品
1 供給機構
2 シート成形機構
3 シート冷却機構
4 封着機構
5 分割機構
6 整形機構
7 空隙形成機構
8 シート冷却機構
9 切断機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯されて解した米飯を圧縮して帯状の米飯シートに連続成形するシート成形手段と、成形された米飯シート内に外気を流通させて冷却する冷却手段と、冷却された米飯シートを封着して成形する成形手段とを備えていることを特徴とする米飯食品成形装置。
【請求項2】
成形された米飯シートの一方の面側のみを掻き起こして他方の面側に比べて米飯の間の空隙を増加させた空隙層を形成する空隙形成手段を備え、前記冷却手段は、前記空隙層が形成された米飯シートを冷却し、前記成形手段は、前記空隙層が内側になるように米飯シートを封着することを特徴とする請求項1に記載の米飯食品成形装置。
【請求項3】
前記冷却手段は、前記米飯シートのいずれか一方の面側から空気を吸引して前記米飯シート内に外気を流通させることを特徴とする請求項1又は2に記載の米飯食品成形装置。
【請求項4】
前記成形手段は、前記米飯シートを所定の長さ毎に分割した分割シートを封着して成形することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の米飯食品成形装置。
【請求項5】
前記成形手段は、前記米飯シートを封着した後所定の長さに分割して成形することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の米飯食品成形装置。
【請求項6】
炊飯されて解した米飯を圧縮して帯状の米飯シートに連続成形し、成形された米飯シートの一方の面側のみを掻き起こして他方の面側に比べて米飯の間の空隙を増加させた空隙層を形成し、前記空隙層が形成された米飯シート内に外気を流通させて冷却し、冷却された米飯シートを前記空隙層が内側となるように封着して成形することを特徴とする米飯食品成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2008−188009(P2008−188009A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331607(P2007−331607)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(390013941)株式会社コバード (30)
【Fターム(参考)】