説明

籾摺選別装置

【課題】容易かつ迅速に弾性ロール体を交換可能とする、作業性を向上させた籾摺選別装置を提供する。
【解決手段】シャッタsを有するホッパ2に投入した原料穀粒を脱ぷ処理する、弾性ロール体11ab,11bbを外周に装着し、固定ロール11bおよびこの固定ロール11b側に移動調節自在とした移動ロール11aからなるベルト駆動式の脱ぷロール11cと、この脱ぷロール11cからの混合穀粒を風選して得た選別穀粒を、さらに選別する揺動選別板18bとを備え、移動ロール11aの駆動軸11aa近傍に、弾性ロール体11ab,11bbの所定の磨耗度を検出する、制御部Cに接続した検出手段Sを設け、この検出手段Sが、弾性ロール体11ab,11bbの磨耗を検出すると、制御部Cは、弾性ロール体交換モードAとして、揺動選別板18bを停止させた後、ホッパ2のシャッタsを閉鎖するとともに、シャッタsのシャッタレバーlを閉位置に回動させ、さらに脱ぷロール11cの駆動を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定ロールおよび、この固定ロール側に移動調節自在とした移動ロールからなるベルト駆動式の脱ぷロールを備える籾摺選別装置に関し、より詳細には、検出手段により弾性ロール体の磨耗を検出すると、制御部が各工程を弾性ロール体交換モードに切替えて、弾性ロール体を効率的に交換可能とした籾摺選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の籾摺選別装置には、例えば、原料穀粒を脱ぷ処理する脱ぷロールにおける、副ロールの周面に、タッチ式周速計を接触させ、ゴムロール(弾性ロール体)の磨耗によりタッチ式周速計の回動位置から、弾性ロール体の交換時期を知らせるとともに、ロールの駆動を停止させるもの(特許文献1)や、脱ぷロールの駆動モータに設けた電流計から、駆動モータの回転数を積算して、弾性ロール体の交換時期を知らせるもの(特許文献2)、さらには、弾性ロール体の擦り減りを、脱ぷロール近傍に設けた検出器による検出光量の変化で検出し、弾性ロール体の交換時期を知らせるもの(特許文献3)などがある。
【0003】
【特許文献1】実開昭58−43943号公報
【特許文献2】実開昭58−14948号公報
【特許文献3】特開昭55−67345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の籾摺選別装置では、脱ぷロールにおける弾性ロール体の磨耗を検出器により検出することで、警報装置や表示手段により、弾性ロール体の交換時期を作業者に知らせることはできるが、作業者が籾摺選別装置の周辺に居合わせない場合などは、籾摺選別装置が駆動を続けることにより、磨り減った脱ぷロールによる脱ぷ処理で穀粒を破砕させたり、あるいは作業者が上記警報装置や表示手段により、すぐに弾性ロール体を交換しようとしても、装置の駆動停止や、弾性ロール体交換位置への脱ぷロールの移動操作など操作手順が多く、迅速に弾性ロール体を交換することができず、作業効率が悪いという問題もあった。
そこで、この発明の目的は、容易かつ迅速に弾性ロール体を交換可能とする、作業性を向上させた籾摺選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1に記載の発明は、シャッタを有するホッパに投入した原料穀粒を脱ぷ処理する、弾性ロール体を外周に装着し、固定ロールおよび該固定ロール側に移動調節自在とした移動ロールからなるベルト駆動式の脱ぷロールと、該脱ぷロールからの混合穀粒を風選して得た選別穀粒を、さらに選別する揺動選別板と、を備える籾摺選別装置において、前記移動ロールの駆動軸近傍に、前記弾性ロール体の所定の磨耗度を検出する、制御部に接続した検出手段を設け、該検出手段が、前記弾性ロール体の磨耗を検出すると、前記制御部は、弾性ロール体交換モードとして、前記揺動選別板を停止させた後、前記ホッパのシャッタを閉鎖するとともに、前記シャッタのシャッタレバーを閉位置に回動させ、さらに前記脱ぷロールの駆動を停止させることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の籾摺選別装置において、前記移動ロールは、前記シャッタの閉鎖後に、前記弾性ロール体の交換位置まで前記固定ロールに対して拡開することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の籾摺選別装置において、前記制御部は、前記シャッタレバーの開位置への回動に伴い、前記弾性ロール体交換モードを解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、シャッタを有するホッパに投入した原料穀粒を脱ぷ処理する、弾性ロール体を外周に装着し、固定ロールおよびこの固定ロール側に移動調節自在とした移動ロールからなるベルト駆動式の脱ぷロールと、この脱ぷロールからの混合穀粒を風選して得た選別穀粒を、さらに選別する揺動選別板とを備える籾摺選別装置において、移動ロールの駆動軸近傍に、弾性ロール体の所定の磨耗度を検出する、制御部に接続した検出手段を設け、この検出手段が、弾性ロール体の磨耗を検出すると、制御部は、弾性ロール体交換モードとして、揺動選別板を停止させた後、ホッパのシャッタを閉鎖するとともに、シャッタのシャッタレバーを閉位置に回動させ、さらに脱ぷロールの駆動を停止させるので、検出手段による弾性ロール体交換時期の検出に伴い、制御部による揺動選別板の停止に連動して、籾摺選別装置前後の処理工程も停止し、例えば、籾摺選別装置に対して、乾燥機など前処理工程からの原料穀粒の供給が中断したところで、ホッパのシャッタを閉鎖するため、原料穀粒がホッパに溢れて詰まるなどして生じる装置の故障を防ぐことができる。また、シャッタの閉鎖に伴い、シャッタレバーも自動的に閉位置に回動させるため、装置再稼動の際、操作が分かり易く、誤操作を防止することができる。そして、脱ぷロールの駆動が自動的に停止するため、作業者は容易に弾性ロール体を交換することができる。従って、生産性および操作性を向上させた籾摺選別装置を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、移動ロールは、シャッタの閉鎖後に、弾性ロール体の交換位置まで固定ロールに対して拡開するので、弾性ロール体交換モードにおいて、脱ぷロールが自動的に離隔するため、弾性ロール体の交換を容易かつ迅速に行なうことができる。従って、生産性およびメンテナンス性を向上させた籾摺選別装置を提供することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、制御部は、シャッタレバーの開位置への回動に伴い、弾性ロール体交換モードを解除するので、シャッタレバーが閉位置による弾性ロール体交換モードで停止していた装置各処理工程の駆動を、作業者がシャッタレバーを開位置にすることで、弾性ロール体交換モードがリセットされ、各処理工程の駆動が可能となり、操作性が分かり易いとともに、誤操作を防止することができる。従って、生産性およびメンテナンス性を向上させた籾摺選別装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、この発明の一例としての籾摺選別装置の左側面図、図2は籾摺選別装置を左前方からみた斜視図、図3は籾摺選別装置の平面図、図4は籾摺選別装置内部の左側面模式図である。
【0012】
この例の籾摺選別装置1は、図1〜図3に示すように、機体上部中央にホッパ2と、このホッパ2の側面視背面には、混合米揚穀機3と混合米タンク4が連設される。さらに機体前端には、籾殻排出筒5および機体後端に揚穀機6が備えられ、揚穀機6の上部後端に仕上粒出口9が設けられている。また、機体中央の左側部には、搬送体としての還元昇降機7aが設けられる。
【0013】
そして、図4に示すように、主軸ロール11aと副軸ロール11bとからなる脱ぷロール11cを有する脱ぷ部11の下方には、脱ぷロール11cで籾摺され、得られた粃や玄米などの混合米(混合穀粒)が通過する風選路12aを有する風選部12が配設される。
【0014】
この脱ぷロール11c下方であって、風選路12a終端下部の機体前部(側面視左端)には、混合米に吸引作用する吸引ファン13、この吸引ファン13の後部(側面視右隣)であって、脱ぷロール11cの下方には、風選路12aから混合米中の小米を含む粃などの中間穀粒が落下する粃排出樋14、さらに粃排出樋14の後方には、混合米中の籾や玄米などの選別穀粒が落下する混合米受樋15などが列設される。
【0015】
混合米受樋15に落下した籾や玄米を搬送する図示しない螺旋の搬送終端側は、側面視機体背面側に立設され、複数のバケット3aを備える混合米揚穀機3に連通し、この混合米揚穀機3の揚穀終端側は混合米タンク4に連通されている。
【0016】
さらに、混合米タンク4の下方には、混合米を搬送する均分樋17を有し、この均分樋17の下方には揺動選別部18が備えられる。なお、図1〜2では、機体内部に備える揺動選別板18bが見えるように、機体左側部のカバー24が開蓋されている。この揺動選別部18は、均分樋17の搬送終端側に複数の流路からなる分配ケース18aと、分配ケース18aの側方に有し、多段構造の揺動選別板18bと、揺動選別板18bの前部および中央部にそれぞれ配設される籾仕切板18c、玄米仕切板18dなどから構成される。
【0017】
揺動選別部18の下方には、選別部18の前部から順に籾用流路19、混合米用流路20、玄米(仕上穀粒)用流路21がそれぞれ配設される。そして、籾用流路19の終端に有する返り籾入口部16aが、返り籾出口部16bを介して側面視手前に備えられる図4に示す複数のバケット7bを備える、還元部7の還元昇降機7aに連通され、この還元昇降機7aの上部は、ホッパ2に連通される。また、混合米用流路20と玄米用流路21との間には、玄米の機内循環と機外排出とを切り替える切替弁22が設けられる。
【0018】
そして、機体後端部には、詳細を後述する玄米用流路21が切替弁22下方に設けられ、この玄米用流路21に連通して、複数のバケット6aを備える玄米用の揚穀機6が立設される。なお、各ベルトに取付けられたバケット3a,6aなどは、脱ぷ部11などと兼用した、後述の駆動モータM1により回転する不図示のプーリで上下方向に循環される。さらに、揺動選別板18bは、後述する駆動モータM4により、脱ぷ部11などとは別に単独で駆動させることができる。また、揚穀機6はスロワーであってもよい。
【0019】
また、符号23は、籾摺選別装置1を運転操作する操作盤で、装置各部を駆動制御する、図示しないコントローラを備える制御部Cを内臓することができる。
【0020】
ここで、籾摺選別装置1を使用して籾摺作業を行うときは、ホッパ2に原料穀粒として籾を供給し、操作盤23の図示しない電源を投入することにより機体各部を駆動させ、操作盤23に有するシャッタレバーlの回動操作により、ホッパ2底部に有するシャッタsを開いて、脱ぷロール11cに供給された籾が籾摺された後、落下した混合米は風選路12aで風選され、最も軽い籾殻は吸引ファン13により吸引され、籾殻排出筒5を介して機外に排出される。
【0021】
なお、シャッタsは、図9で後述する回転軸rやリンク部材aなどを介してシャッタレバーlに連係されており、シャッタレバーlの回動による手動操作で開閉可能とされる。なお、このシャッタレバーlによるシャッタsの開閉は、例えば、特開2004−216248号に示されるような周知技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0022】
そして、風選路12aで風選された比較的軽い小米を含む粃は、粃排出樋14から排出される。一方、重量の重い玄米と籾摺を損ねた籾との混合米は受樋15に落下し、混合米昇降機3のバケット3aで揚穀されて混合米タンク4に供給された後、均分樋17および分配ケース18aを介して揺動選別板18bに供給される。なお、粃排出樋14から排出された粃を、図示しないベルトコンベア式などの粃還元装置を介して還元昇降機7a内に移送し、バケット7bによりホッパ2に還元することができる。
【0023】
次いで、混合米は、揺動選別板18bでの揺動により、小さく比重の重い玄米は揺上側に、また玄米よりも大きく比重の軽い籾は揺下側に、さらに中間部分には分離されない籾と玄米とがそれぞれ偏流分布しながら選別される。
【0024】
揺動選別板18bで選別された玄米などの穀粒は、籾仕切板18cと玄米仕切板18dで仕切られ、揺動選別板18bより排出される。このとき、切替弁22は揺動選別板18b上での穀粒の偏流分布が不安定な際、混合米用流路20と玄米用流路21との間を連通させて、混合米と玄米を再度受樋15に流入させるようにするが、揺動選別板18b上での穀粒の偏流分布が安定すると、混合米用流路20と玄米用流路21との間を遮断させるように切り替えられる。
【0025】
その結果、混合米が混合米用流路20に落下し、受樋15を介して再度選別部18に搬送され、玄米は玄米用流路21から玄米揚穀機6を介して仕上米出口9から機外に取り出される。また、返り穀粒である返り籾は、籾用流路19から流入した返り籾入口部16aを介して返り籾出口部16bから還元昇降機7aによりホッパ2に還元され、再度籾摺される。
【0026】
次に、本願発明の特徴である、制御部が行う弾性ロール体交換モードについて、その具体的構成を説明する。図5は脱ぷ部の内部構造を示した左側面模式図、図6は脱ぷ部の正面模式図、図7は上方から見た脱ぷ部内部の斜視図、図8は検出器の取付位置を示す脱ぷ部内部の拡大斜視図、図9は回転軸近傍に取付けた駆動モータを示すシャッタ近傍の左側面図、図10は制御部による弾性ロール体交換モードの制御ブロック図、図11は弾性ロール体の交換を説明する脱ぷロールの左側面模式図、図12は籾供給量調節装置の側面模式図、図13は弾性ロール体交換モードの制御フロー図である。
【0027】
上述した脱ぷ部11の脱ぷロール11cは、図5〜6に示すように、ゴムロール11ab(弾性ロール体11ab)を軸装し、固定側の主軸11aaからなる主軸ロール11aと,ゴムロール11bb(弾性ロール体11bb)を軸装し、移動側の副軸11baからなる副軸ロール11bとから構成され、主軸11aaは、駆動プーリ11acに巻回された駆動モータM1の駆動ベルトB1によって高速回転(副軸11baの回転に比べて)される。
【0028】
一方、主軸11aaの駆動プーリ11acに巻回され、プーリP1,P2を介して、副軸11baの駆動プーリ11bcに主軸11aaとは反対向きに巻回されてなる一連の六角ベルトB2により、副軸11baは、駆動モータM1の駆動力を主軸11aaの回転駆動力で、主軸11aaの回転に比べて低下させた低速回転にするとともに、主軸11aaとは対向回転にし、籾などの原料穀粒を脱ぷロール11のゴムロール11ab,11bb上に落下させて、これらゴムロール11ab,11bbの周面速度の差による摺動作用で籾が脱ぷされる。
【0029】
この際、図7に示すように、一方のロール(例えば主軸ロール11a)の主軸11aaに連結した不図示の間隔調節リンクの上端部が、間隔調節シャフト31の一側部に、軸受部材32などを介して連結されるとともに、この間隔調節シャフト31の他側部が、脱ぷ部ケースcの前端部に取付けられた間隔調節モータM2に、不図示のギアなどを介して連結される。
【0030】
従って、間隔調節モータM2の正逆回転により、間隔調節シャフト31および前記間隔調節リンクなどを介して主軸ロール11a(移動ロール11a)の主軸11aaを機体前後方向に回動させ、相対する主軸11aaのゴムロール11abと、副軸ロール11b(固定ロール11b)における副軸11baのゴムロール11bbとの間隔を遠近させることで、ロール圧を変化させ、所望する調製条件による籾摺作業を可能とするとともに、後述するゴムロール11ab,11bbの交換時に両ロール11a,11bを拡開する構成とされる。
【0031】
この間隔調節モータM2は、図10に示すように、制御部Cに接続される。なお、移動ロールは上述したように主軸ロール11aに限定されず、副軸ロール11bを移動させてもよい。
【0032】
また、脱ぷ部11における脱ぷロール11cを駆動させる図示しない電気回路内などの適宜位置には、制御部Cに接続した、脱ぷロール11cの負荷電流を検出する変流器など電流検出器Dが設けられており、この電流検出器Dにより検出された負荷電流値から判明するゴムロール11ab,11bbの接触圧によって、制御部Cが間隔調節モータM2を駆動させ、上記の方法で移動ロール11aの主軸11aaを、間隔調節シャフト31に沿って固定ロール11b側へ適宜設定した電流値になるように移動させ、主軸ロール11aと副軸ロール11bとの間隔が設定値になるように維持される。
【0033】
なお、上述した主軸11aaのゴムロール11abと、副軸11baのゴムロール11bbとの間隔調節は、例えば、特開昭63−59357号や特願2008−130748号などに示される周知技術であるため、その詳細な説明は省略する。
【0034】
次に、移動ロール11aの主軸11aa(駆動軸11aa)近傍であって、例えば、図7〜8に示すように、間隔調節シャフト31および軸受部材32には、制御部Cに接続した検出手段Sが取付けられる。この検出手段Sは、例えば、リミットスイッチS(限定されない)にすることができる。
【0035】
この場合、上述したようにゴムロール11ab,11bbの磨耗状態によって、移動ロール11aの主軸11aaが移動されるが、ゴムロール11ab,11bbの磨耗状態が限界に達した移動ロール11aの主軸11aaの移動位置における間隔調節シャフト31上にリミットスイッチS1が取付けられるとともに、軸受部材32にリミットスイッチS2が取付けられ、上述したゴムロール11ab,11bbの磨耗状態が限界に達したゴムロール11ab,11bbの交換位置でリミットスイッチS1,S2が接触してリミットスイッチSがオンになる構成とされる。
【0036】
また、シャッタsの回転軸r近傍には、図9に示すように、この回転軸rを回転させて、シャッタsおよびシャッタレバーlを回動させるための、制御部Cに接続した駆動モータM3が設けられる。
【0037】
さらには、この制御部Cには、揺動選別板18bを脱ぷ部11などとは別に単独で駆動させるための駆動モータM4が接続される。なお、揺動選別板18bは、例えば、籾摺選別装置1の前処理装置である、図示しない乾燥機などと、制御部Cを介して連動する構成とされる。
【0038】
従って、図10に示すように、制御部Cには、電流検出器Dや検出手段Sおよび、脱ぷロール11cを駆動する駆動モータM1、移動ロール11aを移動させる間隔調節モータM2、シャッタsを回動させる駆動モータM3、揺動選別板18bを駆動させる駆動モータM4を接続した構成とされる。
【0039】
なお、混合米タンク4内には、図12に示すように、混合米の量を検出する、制御部Cに接続した感知弁37が設けられており、混合米の量が増加すると、籾供給量調節装置として、感知弁37の回動により、連動ロッド38などを介してシャッタsの下方に設けられている籾供給調節弁39を回動させて、脱ぷロール11cへの籾供給を停止させる構成とされる。この場合、籾供給調節弁39に連動させてシャッタsを開閉する構成にしてもよい。なお、籾供給量調節装置の構成は、特願2006−24721号に示した周知技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0040】
ここで、制御部Cによる弾性ロール体交換の制御方法を、図13を用いて説明する。 まず、上述したように、ゴムロール11ab,11bbの磨耗を電流検出器Dにより検出すると、制御部Cが間隔調節モータM2を駆動させ、移動ロール11aの主軸11aaを、間隔調節シャフト31に沿って固定ロール11b側へ適宜設定した電流値になるように順次移動させ、主軸ロール11aと副軸ロール11bとの間隔が設定値になるように維持させる。
【0041】
このとき、ゴムロール11ab,11bbの厚みが、図11(a)に示すように、例えば3mm程度(弾性ロール体交換時期)になるまでゴムロール11ab,11bbが磨耗すると、移動ロール11aの移動に伴い、移動ロール11aに取付けたリミットスイッチS2が、間隔調節シャフト31上のリミットスイッチS1に接触して、リミットスイッチSがオンになる。
【0042】
これにより、制御部Cは、リミットスイッチSがオンになったことを受け、籾摺選別装置1を弾性ロール体交換モードAとして、まず、駆動モータM4の駆動を停止し、揺動選別板18bの駆動を停止させる。そして、揺動選別板18bの駆動停止により、混合米タンク4内の混合米量の増加に伴い、感知弁37(およびシャッタs)が所定位置に回動することで、制御部Cは、籾摺選別装置1の前処理装置である乾燥機などの駆動も停止させる。
【0043】
次いで、制御部Cは、駆動モータM3を駆動させ、シャッタsの前記回転軸を回転させることで、シャッタsおよびシャッタレバーlが閉位置に回動し、ホッパ2内から脱ぷロール11cへの原料穀粒の供給(落下)が遮断される。
【0044】
続いて、制御部Cは、間隔調節モータM2を駆動させ、図11(b)に示すように、移動ロール11aの主軸11aaを、間隔調節シャフト31に沿って固定ロール11bとは反対側の、両ロール11a,11bが最も離れた位置である、ゴムロール交換位置まで移動させることで、両ロール11a,11bが拡開する。
【0045】
そして、制御部Cは、駆動モータM1の駆動を停止させることで、脱ぷロール11cの駆動が停止し、作業者は磨り減ったゴムロール11ab,11bbを容易に交換することができる。
【0046】
なお、ゴムロール11ab,11bbの交換後、籾摺選別装置1を再起動する際、作業者がシャッタレバーlを手動で開位置に回動させることにより、制御部Cは、上述してきた弾性ロール体交換モードAの維持を解除し、各処理工程を駆動可能とすることができる。
【0047】
以上のような構成にすることで、検出手段Sによる弾性ロール体交換時期の検出に伴い、制御部Cによる揺動選別板18bの停止に連動して籾摺選別装置1前後の処理工程も停止し、例えば、籾摺選別装置1に対して、図示しない乾燥機など前処理工程からの原料穀粒の供給が中断したところで、ホッパ2のシャッタsを閉鎖するため、原料穀粒がホッパ2に溢れて詰まるなどして生じる装置の故障を防ぐことができる。
【0048】
また、シャッタsの閉鎖に伴い、シャッタレバーlも自動的に閉位置に回動させるため、装置再稼動の際、操作が分かり易く、誤操作を防止することができる。そして、脱ぷロール11a,11bの駆動が自動的に停止するため、作業者は容易に弾性ロール体11ab,11bbを交換することができる。
【0049】
また、移動ロール11aは、シャッタsの閉鎖後に、弾性ロール体交換位置まで固定ロール11bに対して拡開するので、弾性ロール体交換モードCにおいて、脱ぷロール11a,11bが自動的に離隔するため、弾性ロール体11ab,11bbの交換を容易かつ迅速に行なうことができる。
【0050】
そして、制御部Cは、シャッタレバーlの開位置への回動に伴い、弾性ロール体交換モードAを解除するので、シャッタレバーlが閉位置による弾性ロール体交換モードAで停止していた装置各処理工程の駆動を、作業者がシャッタレバーlを開位置にすることで、弾性ロール体交換モードAがリセットされ、各処理工程の駆動が可能となり、操作性が分かり易いとともに、誤操作を防止することができる。
【0051】
以上詳述したように、この例の籾摺選別装置1は、シャッタsを有するホッパ2に投入した原料穀粒を脱ぷ処理する、弾性ロール体11ab,11bbを外周に装着し、固定ロール11bおよびこの固定ロール11b側に移動調節自在とした移動ロール11aからなるベルト駆動式の脱ぷロール11cと、この脱ぷロール11cからの混合穀粒を風選して得た選別穀粒を、さらに選別する揺動選別板18bとを備え、移動ロール11aの駆動軸11aa近傍に、弾性ロール体11ab,11bbの所定の磨耗度を検出する、制御部Cに接続した検出手段Sを設け、この検出手段Sが、弾性ロール体11ab,11bbの磨耗を検出すると、制御部Cは、弾性ロール体交換モードAとして、揺動選別板18bを停止させた後、ホッパ2のシャッタsを閉鎖するとともに、シャッタsのシャッタレバーlを閉位置に回動させ、さらに脱ぷロール11cの駆動を停止させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の籾摺選別装置の一例を示す左側面図である。
【図2】籾摺選別装置を左前方からみた斜視図である。
【図3】籾摺選別装置の平面図である。
【図4】籾摺選別装置内部の左側面模式図である。
【図5】脱ぷ部の内部構造を示した左側面模式図である。
【図6】脱ぷ部の正面模式図である。
【図7】上方から見た脱ぷ部内部の斜視図である。
【図8】検出器の取付位置を示す脱ぷ部内部の拡大斜視図である。
【図9】回転軸近傍に取付けた駆動モータを示すシャッタ近傍の左側面図である。
【図10】制御部による弾性ロール体交換モードの制御ブロック図である。
【図11】弾性ロール体の交換を説明する脱ぷロールの左側面模式図である。
【図12】籾供給量調節装置の側面模式図である。
【図13】弾性ロール体交換モードの制御フロー図である。
【符号の説明】
【0053】
2 ホッパ
11a 移動ロール(主軸ロール)
11b 固定ロール(副軸ロール)
11c 脱ぷロール
11ab,11bb 弾性ロール体(ゴムロール)
18b 揺動選別板
A 弾性ロール体交換モード
C 制御部
M1,M3,M4 駆動モータ
M2 間隔調節モータ
S 検出手段
S1,S2 リミットスイッチ
l シャッタレバー
s シャッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッタを有するホッパに投入した原料穀粒を脱ぷ処理する、弾性ロール体を外周に装着し、固定ロールおよび該固定ロール側に移動調節自在とした移動ロールからなるベルト駆動式の脱ぷロールと、
該脱ぷロールからの混合穀粒を風選して得た選別穀粒を、さらに選別する揺動選別板と、を備える籾摺選別装置において、
前記移動ロールの駆動軸近傍に、前記弾性ロール体の所定の磨耗度を検出する、制御部に接続した検出手段を設け、
該検出手段が、前記弾性ロール体の磨耗を検出すると、前記制御部は、弾性ロール体交換モードとして、前記揺動選別板を停止させた後、前記ホッパのシャッタを閉鎖するとともに、前記シャッタのシャッタレバーを閉位置に回動させ、さらに前記脱ぷロールの駆動を停止させることを特徴とする籾摺選別装置。
【請求項2】
前記移動ロールは、前記シャッタの閉鎖後に、前記弾性ロール体の交換位置まで前記固定ロールに対して拡開することを特徴とする、請求項1に記載の籾摺選別装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記シャッタレバーの開位置への回動に伴い、前記弾性ロール体交換モードを解除することを特徴とする、請求項1に記載の籾摺選別装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−158639(P2010−158639A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3429(P2009−3429)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】