説明

籾殻粉砕機

【課題】籾殻の粉砕は、籾殻の縦繊維を切断する形で行なうのが一番好ましいが、そのためには、籾殻切断個所に向けて、籾殻を縦列にして供給しながら切断して行く必要がある。ランダムに落下してくる籾殻を、どのようにして籾殻切断個所に向けてどのようにして誘導していったら良いのかを研究の課題とした。
【解決手段】本体に設けた受刃物に近接して、ローター3に設けた切刃物を高速回転させる粉砕機において、受刃物の上面刃先に近くに、多数の縦溝を有する籾殻縦列供給板を設け、籾殻粉砕装置の上部の本体カバーの内部上方に、複数の風圧調整仕切り板を、外部より角度調節可能に取り付け、ローター3に設けた切刃物のやや後方に、撹拌プレート6を直立して設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾摺り機により脱殻した籾殻を、自動もしくは手動によって投入して切削加工してオガ粉状にする粉砕装置である。
【背景技術】
【0002】
今まで籾殻はそのまま畑や田んぼにまかれていたが、腐り難く処理に困っていた。しかし、現在では、籾殻を粉砕することにより水分を含み易くなり、好気性環境下での発酵分解も可能となり、また、家畜の敷き藁の代わりに使用される利用分野も開けてきた。また、粉砕することにより、籾殻の容量も減らすことが出来るので、保管する場所も少なくて済み、運搬も容易になってきた。
【0003】
これを受けて、各種の籾殻の粉砕機が開発されてきたが、例えば、籾摺り機械と連携して直接粉砕できる大型の籾殻粉砕機では、磨り潰し処理する必要がある為、モーター動力などにランニングコストが大きく掛かり機械本体もきわめて高価である。また、小型化をねらって開発された高速回転する粉砕刃による籾殻粉砕機では、刃物の消耗が激しく傷み易い恐れがあった。
【0004】
従来の籾殻粉砕機には、スクリュー式粉砕装置によって加圧しつつ磨り潰しながら粉砕するものがある(例えば、特許文献1)。また、粉砕室内で高速回転する粉砕刃によって籾殻粉砕を行なうものがある(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2001−89275号公報
【特許文献2】特開2002−35627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
籾殻の切断による粉砕は、理想的には、籾殻の縦繊維を切断するのが望ましく、そのためには、籾殻を縦に並べて供給しながら切断して行く必要がある。とは言うものの、無数に重なり合っている籾殻を、100%全て縦に並べ直して切断していくことは不可能なことであるが、本発明者は、その理想に一歩でも二歩でも近づけるよう開発を行なうことにした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するために、第一に、籾殻粉砕機本体に設けた受刃物に近接して、ローター3に設けた切刃物を高速回転させるとともに、受刃物の上面刃先に近くに、多数の縦溝を有する籾殻縦列供給板を設けたことを要旨とするものである。
【0007】
第二に、籾殻粉砕装置の上部をやや広くとった本体カバーを設け、その内部上方に、複数の風圧調整仕切り板を、外部より角度調節可能に取り付け、そのカバー上部に、籾殻を供給する分離機17を設けたことを要旨とするものである。
【0008】
第三に、本体に設けた受刃物に近接して、高速回転するローター3に設けた切刃物において、そのやや後方に、撹拌プレート6を直立して設けたことを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0009】
分離機17より供給される籾殻は、複数の風圧調整仕切り板の角度調整によって、好ましい供給速度を調整することが可能となる。それを受けて、籾殻は、順次切刃物と受刃物の近接する籾殻切断個所に送られる。そして、最終局面で、多数の縦溝によって構成される籾殻縦列供給板と接することになる。この籾殻縦列供給板に設けている縦列の溝は、籾殻の縦径よりも短く、横径よりも長く構成されているため、溝を通る籾殻は縦列に並んだ状態で、受刃物の先端となる籾殻切断個所へと誘導される。
【0010】
縦列に並んだ状態で切断された籾殻は、真半分の切断にはならなくても、少なくとも籾殻を横断して切断するから、ランダムに籾殻切断個所に飛び込んでいくよりは、当然、繊維が短く切断されることになる。
【0011】
従って、粉砕された籾殻は微細に粉砕出来るため粉砕する前と比べると1/2〜1/3に嵩が減る。尚、粉砕は厚刃物で切削する方式なので、刃物の消耗も少なく傷みにくく、また、その再研磨も簡単で経済的である。
【0012】
ローター3に取り付けてある撹拌プレート6は、ローター3の急速回転によって、渦気流を巻き起こし、細かくなった籾殻をスクリーン金網13からの排出力を高めるとともに、未切断の籾殻を撹拌しながら、繰り返し籾殻切断個所へと循環させる機能を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の最良の実施の形態を説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の籾殻粉砕機の実施の形態を示す説明図で、図2と図3は、主として発明の要部の説明図である。台座1に設置した籾殻粉砕装置は、本体支持台2の中央に、ローター3を回転自在できる空隙を設けて取り付け、モーター4によって急速回転させる。ローター3には、複数個の切刃物5と、その切刃物5のやや後方に撹拌プレート6をほぼ直立して設け、本体支持台2には、回転する切刃物5に近接して受刃物7を2箇所設ける。
【0015】
受刃物7の上面刃先に近くに、多数の縦溝を有する籾殻縦列供給板8をやや傾斜させて設ける。この籾殻縦列供給板8は、図3に示すように、薄い仕切り板9を多数平行して突出させて籾殻誘導溝10を構成し、その間隔は、細長い形状の籾殻の縦径よりも短く横径より長くとり、籾殻が縦には楽に通れるが横には通れないという溝幅にする。尚、この籾殻縦列供給板8は、滑走性の良い硬質樹脂製によって構成し、形状的にはやや丸みのある溝にすると理想的である。
【0016】
籾殻縦列供給板8の先端11位置は、その先端の一部をカバーする形で取り付け、回転する刃物に接触しない範囲に湾曲させた籾殻誘導板12を設ける。この籾殻誘導板12と籾殻縦列供給板8の両者は、あたかも細粒をロートによって誘導するように働き、1度入った籾殻は、必ず、籾殻縦列供給板8に設けてある籾殻誘導溝10によって、ほぼ縦列となって受刃物7と切刃物5の近接する籾殻切断個所へと誘導される。
【0017】
尚、本体支持台2の内部には、ローター3に設けた切刃物5の刃先の回転面より数センチ離れた湾曲面に沿ってスクリーン金網13を設け、切断粉砕された籾殻の粉砕が篩い落とせるようにする。
【0018】
本体支持台2には、籾殻粉砕装置の上部をやや広くとった本体カバー14を設け、その内部上方に、複数の風圧調整仕切板15を、外部より角度調節可能に取り付ける。本体カバー14の上方には、籾殻投入口16を設けたうえ、籾殻を供給する分離機17を設ける。
【産業上の利用可能性】
【0019】
籾殻を粉砕する事によって水分を含むようになり、オガ屑の替わりに使用でき畜産の敷き藁や堆肥の水分調整にも利用することが出来ます。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】は、本発明の実施の形態を示す説明図である。
【図2】は、発明の要部の説明図である。
【図3】は、発明の要部の説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1・・・台座
2・・・本体支持台
3・・・ローター
4・・・モーター
5・・・切刃物
6・・・撹拌プレート
7・・・受刃物
8・・・籾殻縦列供給板
9・・・仕切板
10・・・籾殻誘導溝
11・・・先端
12・・・籾殻誘導板
13・・・スクリーン金網
14・・・本体カバー
15・・・風圧調整仕切板
16・・・籾殻投入口
17・・・分離機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に設けられたローター3の軸に並行して設けられた長方形の受刃物7と、その受刃物に近接対抗する刃先を有しローター3に設けられた切刃物5と、ローター3を高速回転させるモーター4と受刃物7の上方に配置され多数の縦溝を有することで籾殻を受刃刃先近傍にほぼ縦方向に供給する籾殻縦列供給板8とを具備した事を特徴とする籾殻粉砕機。
【請求項2】
籾殻粉砕装置の上部をやや広くとった本体カバーを設け、その内部上方に、複数の風圧調整仕切り板15を、外部より角度調節可能に取り付け、そのカバー上部に、籾殻を供給する分離機17を設けたことを特徴とする請求項1記載の籾殻粉砕装置。
【請求項3】
本体に設けた受刃物に近接して、ローター3に設けた切刃物を高速回転させる粉砕機において、切刃物5のやや後方に、撹拌プレート6を直立して設けたことを特徴とする請求項1記載の籾殻粉砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−36084(P2010−36084A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200589(P2008−200589)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(594039826)株式会社ワイエスエンジニアリング (3)
【Fターム(参考)】