説明

粉体センサ

【課題】従来と比較して振動や衝撃が印加された際の誤判定を減らす又は無くすことの可能な粉体センサを提供する。
【解決手段】D型フリップフロップ21〜23は、発振回路の出力信号Vdrvの立ち上がり時の圧電素子の端子電圧Vp(2値変換後)のレベルを発振回路10の出力信号Vdrvの立ち上がり3回分だけ順次記憶し、Q出力端子から出力する。粉体有無判定回路30は、D型フリップフロップ21〜23のQ出力端子の電圧が全てハイレベルであるときに判定結果信号Voutをハイレベルとし、D型フリップフロップ21〜23のQ出力端子の電圧が1つでもローレベルであるときは判定結果信号Voutをローレベルとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機のトナー等の粉体を検出する粉体センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複写機に用いられているトナーは、複写枚数が増加するほどその量が消費されるので、常にその残量を検知して適当量に減った場合は新たに補給してやらねばならない。このような目的で粉体の有無を検知する粉体センサが知られている。
【0003】
下記特許文献1の粉体センサは、粉体センサ素子(2端子の圧電素子)の入力側に抵抗を介して掃引発振回路を接続し、粉体センサ素子の端子電圧と掃引発振回路の駆動パルス信号との位相比較を位相比較部で行い、この比較結果を位相弁別部で弁別して粉体の有無を検知する。具体的には、検知した位相差を、予め設定した45゜のしきい値を基に例えば80゜乃至90゜の場合はレベル0に、また0゜乃至10゜の場合はレベル1にレジスタにラッチし、粉体の有無に応じて検知信号をデジタル信号として出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−37592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常の環境下では、従来の検出方法で問題は発生しない。しかし、特殊な環境下、例えば複写機の組み立て若しくは調整その他の要因で大きな振動や衝撃が印加されたとき、従来の検出方法では粉体センサ素子の端子電圧の位相に一時的なずれが生じ、ずれ具合次第では粉体が有るにも関わらず粉体無しと誤判定することがある。また、複写機などのOA機器の小型化に伴い、紙送りの際にモーターより発せられる振動の影響を粉体センサ素子が受けやすくなっており、上記の誤判定の原因となっている。
【0006】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、従来と比較して振動や衝撃が印加された際の誤判定を減らす又は無くすことの可能な粉体センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、粉体センサである。この粉体センサは、
圧電素子と、
少なくとも前記圧電素子の共振周波数又はその近傍の周波数の出力信号を前記圧電素子に印加する発振回路と、
前記発振回路の出力信号の位相に対する前記圧電素子の端子電圧の位相を判定する位相判定回路と、
前記位相判定回路での判定結果に基づいて粉体の有無を判定する粉体有無判定回路とを備え、
前記粉体有無判定回路は、前記位相判定回路での、前記発振回路の出力信号に対する前記圧電素子の端子電圧の位相が所定の条件を満たすことの検出回数が、連続してn回(但し「n」はn≧2を満たす任意の整数)以上であることを条件として粉体無しと判定する。
【0008】
前記粉体有無判定回路は、前記位相判定回路での、前記発振回路の出力信号に対する前記圧電素子の端子電圧の位相遅れが所定角度以下であることの検出回数が、連続してn回以上であることを条件として粉体無しと判定してもよい。
【0009】
前記粉体有無判定回路は、前記位相判定回路での、前記発振回路の出力信号に対する前記圧電素子の端子電圧の位相進みの検出回数が、連続してn回以上であることを条件として粉体無しと判定してもよい。
【0010】
前記発振回路は、前記圧電素子の共振周波数を含む周波数範囲で出力信号の周波数を掃引する掃引発振回路であってもよい。
【0011】
前記位相判定回路はn段のシフトレジスタを含み、前記粉体有無判定回路は各段の出力信号を入力とする論理ゲートを含んでもよい。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、位相比較回路での発振回路の出力信号に対する圧電素子の端子電圧の位相進みの検出回数が連続してn回以上であることを条件として粉体無しと判定する構成のため、従来と比較して振動や衝撃が印加された際の誤判定を減らす又は無くすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るトナーセンサのブロック図。
【図2】図1に示す圧電素子5の入力信号の周波数に対する位相遅れ特性図。
【図3】n=3の場合における、図1の位相判定回路20及び粉体有無判定回路30の例示的な回路図。
【図4】図1に示すトナーセンサのタイムチャート。
【図5】n=8の場合における、図1の位相判定回路20及び粉体有無判定回路30の例示的な回路図。
【図6】図1の実施の形態の変形例に係るトナーセンサのブロック図。
【図7】図6における発振回路10の出力信号Vdrvと位相判定用信号Vjdgの例示的な波形図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る粉体センサとしてのトナーセンサのブロック図である。このトナーセンサは、圧電素子5と、発振回路10と、位相判定回路20と、粉体有無判定回路30とを備える。
【0017】
トナーボックスに取り付けられた圧電素子5は、入力信号の周波数とトナー残量によって当該入力信号に対する位相の遅れが変化するものであり、入力信号の周波数に対する位相遅れ特性は図2に示すとおりである。
【0018】
すなわち、圧電素子5は、共振周波数Frの入力信号に対しては、共振周波数Fr付近ではL分とC分のエネルギーのやり取りが効率よく行われ共振状態になる為位相ずれが発生しない一方、入力信号の周波数が共振周波数Frから離れるにつれて静電容量としての性質が大きくなって位相遅れが大きくなる。また、圧電素子5は、トナーボックス内のトナー残量が多いほど振動が阻害され、共振周波数Fr又はその近傍の周波数の入力信号に対しても静電容量としての性質が大きくなる。一方、圧電素子5は、トナーボックス内のトナー残量が無くなってくると、共振周波数Fr又はその近傍の周波数の入力信号に対して位相遅れが著しく減じてくる。
【0019】
発振回路10は、少なくとも圧電素子5の共振周波数Fr又はその近傍の周波数の出力信号Vdrv(電圧信号)を抵抗R1(制限抵抗)を介して圧電素子5に印加する。発振回路10は、好ましくは、出力信号Vdrvの周波数を、圧電素子5の共振周波数Frを含む周波数範囲で掃引する。掃引は、トナーボックスに取り付けた状態での圧電素子5の共振周波数が正確に特定できない場合に有効である。
【0020】
位相判定回路20は、発振回路10の出力信号Vdrvの位相と、圧電素子5の端子電圧Vpの位相とを比較し、発振回路10の出力信号Vdrvの位相に対して圧電素子5の端子電圧Vpの位相が遅れているか進んでいるか(位相が所定の条件を満たすか否か)を判定する。比較は、発振回路10の出力信号Vdrvの周期ごとに(例えば出力信号Vdrvの立ち上がりを契機として)行われる。直近の連続するn回(但し「n」はn≧2を満たす任意の整数)の比較結果が位相比較結果信号Vd1〜Vdnとして位相判定回路20に保持され、位相比較結果信号Vd1〜Vdnが位相判定回路20から粉体有無判定回路30に入力される。位相比較結果信号Vd1〜Vdnは、圧電素子5の端子電圧Vpが発振回路10の出力信号Vdrvに対して位相遅れであるか位相進みであるかによって異なるレベルとなる2値信号であり、比較が行われると順次更新される。
【0021】
粉体有無判定回路30は、入力された位相比較結果信号Vd1〜Vdnに基づいてトナーボックス内のトナーの有無を判定する。具体的には、位相比較結果信号Vd1〜Vdnの全てが圧電素子5の端子電圧Vpの位相進みを示したことを条件としてトナー無しと判定する(条件が満たされないときと異なるレベルの判定結果信号Voutを出力する)。換言すれば、粉体有無判定回路30は、位相判定回路20での発振回路10の出力信号Vdrvに対する圧電素子5の端子電圧Vpの位相進みの検出回数が連続してn回以上であることを条件としてトナー無しと判定する。
【0022】
図3は、n=3の場合における、図1の位相判定回路20及び粉体有無判定回路30の例示的な回路図である。位相判定回路20は、コンパレータ29と、3段シフトレジスタを成すD型フリップフロップ21〜23とを有する。粉体有無判定回路30は、3入力のANDゲートである。コンパレータ29は、電源電圧Vccを抵抗RH,RLにより例えば分圧比1:1で分圧した基準電圧を反転入力端子への入力とし、圧電素子5の端子電圧Vpを非反転入力端子への入力とする。圧電素子5の端子電圧Vpは、コンパレータ29で2値信号に変換され、コンパレータ29の出力端子から1段目のD型フリップフロップ21のD入力端子に入力される。1,2段目のD型フリップフロップ21,22のQ出力端子(すなわち1〜(n−1)段目のD型フリップフロップのQ出力端子)は、2,3段目のD型フリップフロップ22,23のD入力端子(すなわち2〜n段目のD型フリップフロップのD入力端子)に接続される。D型フリップフロップ21〜23のCLK端子には発振回路10の出力信号Vdrvがそれぞれ入力され、Q出力端子は粉体有無判定回路30(3入力ANDゲート)の入力端子にそれぞれ接続される。
【0023】
上記の回路構成によれば、D型フリップフロップ21〜23は、発振回路10の出力信号Vdrvの立ち上がり(ローレベルからハイレベルへのレベル遷移)時の圧電素子5の端子電圧Vp(2値変換後)のレベルを発振回路10の出力信号Vdrvの立ち上がり3回分だけ順次記憶し、Q出力端子から出力する。すなわち、シフトレジスタの最上段のD型フリップフロップ21が位相比較回路として機能し、発振回路10の出力信号Vdrvの立ち上がりごとにD型フリップフロップ21での比較結果を後段のD型フリップフロップ22,23に順次シフトして記憶、出力する。粉体有無判定回路30は、D型フリップフロップ21〜23のQ出力端子の電圧が全てハイレベルであるときに判定結果信号Voutをハイレベルとし、D型フリップフロップ21〜23のQ出力端子の電圧が1つでもローレベルであるときは判定結果信号Voutをローレベルとする。
【0024】
図4(A)〜(L)は、図1に示すトナーセンサのタイムチャートである。図4(A)は、掃引数11ビット(発振周波数が211通り)の場合の発振回路10の発振周波数の変化を示す。図4(B)は、発振回路10の出力信号Vdrvの波形図である。図4(C)〜(L)では、図4(A),(B)の時間軸の一部を抽出し拡大して示している。
【0025】
図4(C)は、トナーボックス内にトナーが有り、かつ外部からの振動や衝撃に起因する変動(以下「衝撃波」とも表記)が無い場合における、圧電素子5の端子電圧Vpの波形図である。図4(D)は、発振回路10の出力信号Vdrvの波形図である。図4(C),(D)の比較から明らかなように、トナーが有る場合は、衝撃波が無ければ、共振周波数付近においても発振回路10の出力信号Vdrvに対して圧電素子5の端子電圧Vpの位相遅れが発生する。
【0026】
図4(E)は、発振回路10の出力信号Vdrvを印加せずに外部からの振動や衝撃を加えた場合の圧電素子5の端子電圧Vpの波形図(衝撃波のみを抽出した波形図)である。このように、外部からの振動や衝撃があると圧電素子5はノイズ(衝撃波)を発生する。但し、ノイズは一時的であることが多く、長続きはしない。図4(F)は、トナーボックス内にトナーが有り、かつ衝撃波も存在する場合における圧電素子5の端子電圧Vpの波形図(図4(C),(E)の合成に相当)である。本図に示すように、衝撃波の影響次第では、圧電素子5の端子電圧Vpが発振回路10の出力信号Vdrvよりも先に立ち上がる。
【0027】
図4(G)は、従来構成での判定結果信号Vout(センサ出力)の波形図である(但し圧電素子5の端子電圧Vpが図4(F)の場合)。なお、従来構成とは、発振回路10の出力信号Vdrvに対する圧電素子5の端子電圧Vpの位相進みが1回でも検出されればトナー無しと判定する構成である。図4(H)は、本実施の形態での判定結果信号Vout(センサ出力)の波形図である(但し圧電素子5の端子電圧Vpが図4(F)の場合)。図4(G)に示すように、従来構成では、衝撃波による圧電素子5の端子電圧Vpの位相進み1回だけで、トナーが有るにも関わらずトナー無しと誤判定している(出力信号が立ち上がる)。これに対し、図4(H)に示すように、本実施の形態では、図3等で説明したとおりn回未満の位相進みではトナー無しと判定しないため、衝撃波による一時的な位相進みによる誤判定が生じていない。
【0028】
図4(I)は、トナーボックス内にトナーが無く、かつ衝撃波も存在しない場合における圧電素子5の端子電圧Vpの波形図である。図4(J)は、発振回路10の出力信号Vdrvの波形図である(図4(D)の再掲)。図4(I)に示すように、トナーが無い場合、共振周波数付近では圧電素子5の端子電圧Vpがサイン波に近くなり、発振回路10の出力信号Vdrvに対して位相進みが発生する。
【0029】
図4(K)は、従来構成での判定結果信号Vout(センサ出力)の波形図である(但し圧電素子5の端子電圧Vpが図4(I)の場合)。図4(L)は、本実施の形態での判定結果信号Vout(センサ出力)の波形図である(但し圧電素子5の端子電圧Vpが図4(I)の場合)。図4(K)に示すように、従来構成では、発振回路10の出力信号Vdrvに対する圧電素子5の端子電圧Vpの位相進み1回目でトナー無しと判定する(出力信号が立ち上がる)。他方、本実施の形態では、発振回路10の出力信号Vdrvに対する圧電素子5の端子電圧Vpの位相進み3回目でトナー無しと判定する(出力信号が立ち上がる)。これは、3回未満の位相進みではトナー無しと判定しない上記構成によるものである。
【0030】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0031】
(1) 発振回路10の出力信号Vdrvに対する圧電素子5の端子電圧Vpの位相進みが連続してn回であることを条件としてトナー無しと判定する構成のため、トナー有りの場合に、振動や衝撃に起因する圧電素子5の端子電圧Vpの位相進みがn回未満であれば、トナー無しと誤判定することを防止できる。したがって、圧電素子5の端子電圧Vpの位相進み1回だけでトナー無しと判定する場合と比較して、振動や衝撃が印加された際の誤判定を減らす又は無くすことが可能となる。また、振動や衝撃による誤判定防止機能を付したことで、振動の影響を受けやすくなる小型化にも有利である。
【0032】
(2) 位相判定回路20及び粉体有無判定回路30において位相比較とトナー有無判定をデジタル的に処理するので、ノイズ(衝撃波)の周波数成分について考察をする必要がなく、圧電素子5の形状の要因で外来ノイズの周波数成分と圧電素子5の共振周波数とが重なって分別が付かない条件下でも誤判定の防止が可能である。
【0033】
(3) 大部分がデジタル回路で構成され、キャパシタや抵抗等の個別部品が少ないため、IC化に向いており低コスト化に有利である。
【0034】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0035】
「n」の値は、要求される仕様に応じて適宜設定すればよい。図5は、n=8の場合における、図1の位相判定回路20及び粉体有無判定回路30の例示的な回路図である。本図に示す位相判定回路20及び粉体有無判定回路30は、図3に示したものと比較して、シフトレジスタの段数が3段から8段(D型フリップフロップ21〜28)に増え、粉体有無判定回路30への入力信号が3本から8本(Vd1〜Vd8)に増え、かつ粉体有無判定回路30が8入力NANDゲート31とインバータ32(両者で8入力ANDゲートと同等)で構成されている点で相違し、その他の点で一致する。本図に示す位相判定回路20及び粉体有無判定回路30では、発振回路10の出力信号Vdrvに対する圧電素子5の端子電圧Vpの位相進みが連続して8回であることを条件としてトナー無しと判定し、8回未満の位相進みではトナー無しと判定しない。
【0036】
図6は、図1の実施の形態の変形例に係るトナーセンサのブロック図である。本変形例では、位相判定回路20は、発振回路10の出力信号Vdrvの位相に対する圧電素子5の端子電圧Vpの位相遅れが所定角度(例えば11.25°)以下であるか否かを判定する。以下、図1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0037】
発振回路10は、可変定電圧源11と、電圧制御発振器12(VCO:Voltage-Controlled Oscillator)と、分周器13とを有する。電圧制御発振器12は、可変定電圧源11からの制御電圧で動作する。分周器13は、電圧制御発振器12の出力信号を所定の分周比で分周する。分周比は例えば2k(kは任意の自然数)で表され、ここではkを4以上(分周比を16以上)とする。なお、分周比は、2kであると回路が簡素化できて効率がよいが、整数であれば任意の数値で構わない。分周器13での分周後の出力信号Vdrvは、抵抗R1を介して圧電素子5に印加される。可変定電圧源11の電圧を変化させることで、出力信号Vdrvの周波数を圧電素子5の共振周波数Frを含む周波数範囲で掃引する。
【0038】
位相判定回路20には、発振回路10の出力信号Vdrvに替えて、当該出力信号Vdrvと同周期で当該出力信号Vdrvよりも位相が所定角度(例えば11.25°)だけ遅れた位相判定用信号Vjdgを入力する。発振回路10の出力信号Vdrvと位相判定用信号Vjdgの例示的な波形図を図7に示す。周辺回路による遅延の影響を受けることが予想される場合には位相判定用信号Vjdgの位相を適宜前後させることができる。位相判定用信号Vjdgは、周波数が発振回路10の出力信号Vdrvの例えば2倍、4倍、8倍、16倍の発振信号(例えば発振回路10の有する分周器13の上段からの出力信号)を用いた論理演算により位相判定用信号発生回路17が生成してもよい。位相比較結果信号Vd1〜Vdnは、圧電素子5の端子電圧Vpが位相判定用信号Vjdgに対して位相遅れであるか位相進みであるかによって(すなわち発振回路10の出力信号Vdrvに対する位相遅れが前記所定角度以下であるか否かによって)異なるレベルとなる2値信号となる。そして、粉体有無判定回路30は、位相判定回路20での、発振回路10の出力信号Vdrvに対する圧電素子5の端子電圧Vpの位相遅れが前記所定角度以下であることの検出回数が、連続してn回以上であることを条件としてトナー無しと判定する。
【0039】
検出対象の粉体は、実施の形態で例示のトナーに限定されず任意である。
【符号の説明】
【0040】
5 圧電素子
10 発振回路
20 位相判定回路
21〜28 D型フリップフロップ
29 コンパレータ
30 粉体有無判定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
少なくとも前記圧電素子の共振周波数又はその近傍の周波数の出力信号を前記圧電素子に印加する発振回路と、
前記発振回路の出力信号の位相に対する前記圧電素子の端子電圧の位相を判定する位相判定回路と、
前記位相判定回路での判定結果に基づいて粉体の有無を判定する粉体有無判定回路とを備え、
前記粉体有無判定回路は、前記位相判定回路での、前記発振回路の出力信号に対する前記圧電素子の端子電圧の位相が所定の条件を満たすことの検出回数が、連続してn回(但し「n」はn≧2を満たす任意の整数)以上であることを条件として粉体無しと判定する、粉体センサ。
【請求項2】
前記粉体有無判定回路は、前記位相判定回路での、前記発振回路の出力信号に対する前記圧電素子の端子電圧の位相遅れが所定角度以下であることの検出回数が、連続してn回以上であることを条件として粉体無しと判定する、請求項1に記載の粉体センサ。
【請求項3】
前記粉体有無判定回路は、前記位相判定回路での、前記発振回路の出力信号に対する前記圧電素子の端子電圧の位相進みの検出回数が、連続してn回以上であることを条件として粉体無しと判定する、請求項1に記載の粉体センサ。
【請求項4】
前記発振回路は、前記圧電素子の共振周波数を含む周波数範囲で出力信号の周波数を掃引する掃引発振回路である、請求項1から3のいずれか一項に記載の粉体センサ。
【請求項5】
前記位相判定回路はn段のシフトレジスタを含み、前記粉体有無判定回路は各段の出力信号を入力とする論理ゲートを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の粉体センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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