説明

粉体化粧料

【課題】
皮膚の乾燥感がでずに、化粧料ののりや化粧持ちの向上した、粉おしろいを得ることを課題とした。
【解決手段】
粉体化粧料において、疎水性粉体としてリン脂質被覆粉体などの極性部分を有する炭化水素基を有する化合物によって疎水化被覆された粉体を60〜90質量%含有し、疎水性粉体を総量で化粧量全体の80〜99.7%質量含有し、バインダーなどを含有しない形態の化粧料とすることにより、粉ダマができず、化粧料ののりが良く、化粧持ちの向上した粉おしろいを提供することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メークアップ化粧料、更に詳しくは粉体化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
粉おしろいは、タルクなどの粉体を主成分として、主として乳化ファンデーションや油性ファンデーションの上に塗布して、“あぶらびかり”やベタツキを押さえて、マットで透明感のある肌色を演出したり、汗や皮脂を押さえて化粧持ちを良くする目的で使用されている。このような化粧料において疎水化表面処理をしていない粉体を多量に使用すると、汗や皮脂により、化粧持ちが悪く、何度も化粧直しをする必要があった。そこで、化粧持ちを優先して、シリコーン系化合物やフッ素系の化合物で被覆した疎水性粉体を多量に用いた化粧料も開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4と参照)。しかし、逆に油性成分とのなじみが弱くなったり、皮膚の乾燥感が強くなってしまったりしていた。また、化粧持ちを良くしたり、化粧パフへの着きを良くするために、油剤やステアリン酸マグネシウムなどのバインダーを5%程度含有させたり、水となじみの良い疎水性粉体を使用したりしているが(例えば、特許文献5を参照)、乾燥感の改善効果が不十分であったり、使用時に化粧パフで押されて粉ダマ(粉体が互いに密着して、継粉状になったもの)になったり、つきやのびなどの使用性が悪くなる場合があった。
【0003】
【特許文献1】特開平5−339127号公報
【特許文献2】特開平6−65028号公報
【特許文献3】特開平10−226625号公報
【特許文献4】特開平11−222411号公報
【特許文献5】特開平11−49634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
皮膚の乾燥感がでずに、粉ダマなどもできにくく、化粧料ののりや化粧持ちの向上した、粉おしろいを得ることを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
粉体化粧料において、疎水性の粉体としてリン脂質被覆粉体などの極性部分を有する炭化水素基を有する化合物によって処理された疎水性粉体を60〜90質量%含有し、さらに、シリコーン被覆粉体やその他の疎水性粉体を含めて疎水性粉体を総量として化粧量全体の80〜99.7%含有し、バインダーなどを含有しない形態とすることにより、粉ダマができにくく、化粧料ののりが良く、化粧持ちの向上した粉おしろいを提供することができた。すなわち、本願発明は、以下に示すようである。
【0006】
(1) アシル化アミノ酸被覆粉体、リン脂質被覆粉体、メタクリル酸オキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸アルキル共重合体被覆粉体から選択される1種乃至は2種以上の極性部分を有する炭化水素基を有する化合物によって処理された疎水性粉体を化粧料全体に対して、60〜90質量%含有することを特徴とする粉体化粧料。
(2) リン脂質被覆粉体を化粧料全体に対して50〜70質量%含有することを特徴とする(1)に記載の粉体化粧料。
(3) さらに、シリコーン被覆処理によって疎水化された疎水性粉体を化粧料全体の10〜30質量%含有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の粉体化粧料。
(4) アシル化アミノ酸被覆粉体、リン脂質被覆粉体、メタクリル酸オキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸アルキル共重合体被覆粉体から選択される1種乃至は2種以上の疎水性粉体、及びシリコーン被覆粉体に加えて、さらに疎水性粉体を含有し、疎水性粉体の総量として、化粧料全量に対して、80〜99.7質量%含有することを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の粉体化粧料。
(5) バインダーの含有量が1%未満であることを特徴とする、請求項1〜4何(6) バインダーが、油剤又は高級カルボン酸の不溶性塩、粒径1μm以下の微粒子粉体から選択されるものであることを特徴とする(5)に記載の粉体化粧料。
(7) 疎水性粉体として、フッ素化物被覆粉体の含有量が10質量%未満であることを特徴とする、(1)〜(6)何れか1項に記載の粉体化粧料。
(8) 疎水性粉体として、フッ素化物被覆粉体を含有しないことを特徴とする、(1)〜(7)何れか1項に記載の粉体化粧料。
(9) 疎水化されていてもよい酸化チタンを含有しないことを特徴とする、(1)〜(8)何れか1項に記載の粉体化粧料。
(10) 粉体化粧料が粉おしろいであることを特徴とする、(1)〜(9)何れか1項に記載の粉体化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、皮膚の乾燥感がでずに、粉ダマができにくく、化粧持ちが良く、つきやのびが等の使用性の良い粉体化粧料を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1)本発明の必須構成成分である極性部分を有する炭化水素基を有する化合物によって処理された疎水性粉体
本発明の粉体化粧料は、極性部分を有する炭化水素基を有する化合物によって処理された疎水性粉体を含有することを特徴としている。このような極性部分を有する炭化水素基を有する化合物による処理としては、脂肪酸の不溶性塩被覆処理、アシル化アミノ酸被覆処理、リン脂質被覆処理、メタクリル酸オキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸アルキル共重合体被覆処理などが挙げられる。これらの疎水化処理の内では、アシル化アミノ酸被覆処理、リン脂質被覆処理、メタクリル酸オキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸アルキル共重合体被覆処理が好ましい。これらの処理によって、粉体は表面を疎水化処理されていながら、その基幹部において、極性を有しており、保水性をも有しているからである。更に言えば、これらの処理の中ではリン脂質被覆処理が好ましい。これは、リン脂質被覆処理が、皮膚への乾燥感を与えない疎水化処理としての効果が、特に優れているためである。
【0009】
上記の疎水化処理される粉体としては、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、シリカ、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、チタンマイカ、チタンセリサイト、紺青、群青などが例示できる。これらの中では、透明性が高い粉体の方が好ましく、タルク、セリサイト、マイカ、シリカゲルなどが好ましい。
【0010】
このような疎水化処理された粉体としては、市販品があり、それらを購入して使用することができ、好ましい。アシル化アミノ酸被覆粉体としては、N−ステアロイル−L−グルタミン酸被覆マイカ;「NAI−マイカY−3000」(三好化成(株)製)、N−ステアロイル−L−グルタミン酸被覆セリサイト「NAIセリサイト」(三好化成(株)製)等が挙げられ、リン脂質被覆粉体としては、水素添加大豆リン脂質被覆タルク(リン脂質被覆タルク);「VLI−タルクS」(三好化成(株)製)等が挙げられ、メタクリル酸オキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸アルキル共重合体としては、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体被覆タルク;、「リピジュア−タルク」(日本油脂(株)製)等が挙げられる。これらの中では、リン脂質被覆タルクが特に好ましい。
【0011】
このような極性部分を有する炭化水素基を有する化合物での疎水性粉体の化粧料全体に対する含有量は、60〜90質量%が好ましく、62〜85質量%がより好ましく、65〜80質量%が更に好ましい。これらの極性部分を有する炭化水素基を有する化合物で処理された粉体は、疎水化処理として一般的なシリコーン被覆粉体やフッ素化物被覆粉体よりも、水となじみが良く、撥水性を有しながら肌の乾燥感を低減できる粉体である。このような極性部分を有する炭化水素基を有する化合物での疎水化処理粉体のうち、リン脂質被覆粉体の含有量が粉体化粧料全体の50〜70質量%であることが好ましく、55〜65質量%であることがより好ましい。
【0012】
2)本発明の構成成分であるシリコーン被覆粉体
本発明の粉体化粧料は、さらにシリコーン被覆粉体からなる疎水性粉体を含有することが好ましい。このようなシリコーン被覆粉体に用いられるシリコーン被覆処理としては、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付け処理、ジメチルポリシロキサン焼付け処理、シランカップリング剤処理などが挙げられる。粉体化粧料に用いられる顔料系の粉体は、皮脂などの油分や汗などの水分で色味が変化することがあるので、疎水性の高いシリコーン被覆処理粉体を用いるのが好ましい。このようなシリコーン被覆処理としては、ジメチルポリシロキサン焼き付け処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼き付け処理などが例示できる。このような粉体としては、市販品があり、それらを購入して使用することができ、好ましい。例えば、ジメチルポリシロキサン焼き付け処理黄酸化鉄被覆タルク(三好化成(株)製)、ジメチルポリシロキサン焼き付け処理ベンガラ被覆タルク(三好化成(株)製)、ジメチルポリシロキサン焼き付け処理マイカ(三好化成(株))、ジメチルポリシロキサン焼き付け処理黒酸化鉄被覆タルク(三好化成(株)製)、ジメチルポリシロキサン焼き付け処理群青被覆タルク(三好化成(株)製)、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆セリサイト「GSIセリサイトFSE」(大東化成工業(株)製)、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆合成金雲母「PDM−9WAT」(トピー工業(株)製)などが挙げられる。
【0013】
本発明の粉体化粧料において、シリコーン被覆粉体の化粧料全体に対する含有量は、10〜30質量%であることが好ましく、12〜25質量%であることがより好ましく、15〜20質量%であることが更に好ましい。シリコーン被覆粉体の含有量を上記範囲とすることにより、本発明の粉体化粧料における皮膚への乾燥感を与えないという特徴を生かしたまま、皮膚上でののびやサラサラ感を与え、使用性が向上できるからである。これより含有量が少ないと、本発明の粉体化粧料におけるサラサラ感が低下するし、これより多いと皮膚の乾燥感が強調され過ぎてしまうからである。
【0014】
3)本発明の粉体化粧料
本発明の粉体化粧料は、化粧料全体に対して、疎水性の粉体としてリン脂質被覆粉体などの極性部分を有する炭化水素基を有する化合物によって処理された疎水性粉体を60〜90質量%含有することを特徴とし、さらにシリコーン被覆粉体を10〜30質量%含有し、さらに任意成分としてその他の疎水性粉体を含有し、疎水性粉体を総量として粉体化粧量全体の80〜99.7%含有することが好ましい。その他の疎水性粉体としては、疎水性である有機粉体等が挙げられ、このような有機粉体としては、ポリエチレンビーズ、ナイロンビーズ、球状ポリアクリル酸アルキル、メチルシロキサン網状重合体、架橋型メチルポリシロキサン等が例示できる。本発明の粉体化粧料においては、このような疎水性粉体を総量として化粧料全体に対して、80〜99.7質量%含有するが好ましく、82〜95質量%含有することがより好ましく、85〜95質量%含有することが更に好ましい。
【0015】
本発明の粉体化粧料は、疎水化されていてもよい酸化チタンや酸化亜鉛などの隠蔽性の強い粉体を含有しないことも好ましい形態である。これは、酸化チタンや酸化亜鉛を含有すると化粧仕上がりの透明感が損なわれるためである。
【0016】
本発明の粉体化粧料は、フッ素化物被覆粉体の含有量が10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましく、含有していないことがさらに好ましい。これは、フッ素化物被覆粉体が、撥水撥油性ともに強く、本発明の粉体化粧料に適用した場合に、下地料とのなじみが悪くなる場合があるからである。
【0017】
本発明の粉体化粧料は、バインダーを含有しない形態が好ましい。バインダー類は、化粧料のつきや化粧パフでの取れ性を改善し、さらに化粧料を安定化させるために用いられているが、バインダー類を使用することにより、化粧パフで粉体が押されて粉ダマができてしまい、これを再分散するのに化粧料容器に“ふるい”状のメッシュを使用したりしている。本発明の粉体化粧料においては、バインダー類を含有しなくても、化粧料のつきや取れ性が良いために、シリコーン油や炭化水素油、トリグリセライド等の油剤或いはステアリン酸マグネシウムやステアリン酸カルシウム等の金属セッケン等、微粒子粉体(粒径1μm以下)などのバインダー類の含有量は、1質量%未満であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、含有しないことが更に好ましい。バインダー類を含有しないことにより、粉ダマができにくく、さらに化粧パフへの厚付きもしにくく、肌へののびも良くなる。
【0018】
本発明の粉体化粧料は、本発明の効果を妨げない範囲で、上記疎水性粉体以外に、通常化粧料で使用される成分を含有することができる。このような成分としては、例えば、セタノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリンや1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、エタノール、カーボポール等の増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、カオリン、酸化鉄等の無機粉体が例示できる。
【0019】
本発明の粉体化粧料は、上記必須成分とこれら任意成分とを常法に従い処理することにより得ることが出来る。かくして得られた粉体化粧料は、化粧持ちが良く、つきやのびが良く、仕上がりの透明感が良いという特性を有する。
【0020】
本発明の粉体化粧料は、上記成分を均一に混合することによって得ることができる。この混合粉体をそのまま容器に充填し、ルースパウダーとして使用することも可能であり、さらに混合粉体を容器に充填した後プレスして、固形パウダーとすることも可能である。
以下に、実施例を示し、本発明を詳しく説明するが、本発明が係る実施例に限定を受けないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0021】
以下に示す処方に従い、各粉体等を混合し、本発明の粉おしろい1を製造した。粉おしろい1の処方において、大豆リン脂質結合−タルクをジメチルポリシロキサン結合タルクに置換したものを比較例1として製造した。
ジメチルポリシロキサン被覆ベンガラ・タルク 0.2 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆黄色酸化鉄・タルク 0.5 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆マイカ 13.0 質量%
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆合成金雲母 5.0 質量%
ステアロイルグルタミン酸被覆マイカ 10.0 質量%
大豆リン脂質被覆タルク 56.0 質量%
トリメトキシシラン被覆球状無水珪酸 5.0 質量%
ポリアクリル酸アルキル球状粉体 5.0 質量%
無水球状珪酸 5.0 質量%
メチルパラベン 0.3 質量%
【実施例2】
【0022】
以下に示す処方に従い、各粉体等を混合し、本発明の粉おしろい2を製造した。
ジメチルポリシロキサン被覆ベンガラ・タルク 0.2 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆黄色酸化鉄・タルク 0.5 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆マイカ 13.0 質量%
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆合成金雲母 5.0 質量%
ステアロイルグルタミン酸被覆マイカ 10.0 質量%
大豆リン脂質被覆タルク 56.0 質量%
トリメトキシシラン被覆球状無水珪酸 10.0 質量%
ポリアクリル酸アルキル球状粉体 5.0 質量%
メチルパラベン 0.3 質量%
【実施例3】
【0023】
以下に示す処方に従い、各粉体等を混合し、本発明の粉おしろい3を製造した。
ジメチルポリシロキサン被覆ベンガラ・タルク 0.2 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆黄色酸化鉄・タルク 0.5 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆マイカ 7.0 質量%
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆合成金雲母 1.0 質量%
ステアロイルグルタミン酸被覆マイカ 16.0 質量%
大豆リン脂質被覆タルク 56.0 質量%
トリメトキシシラン被覆球状無水珪酸 4.0 質量%
ポリアクリル酸アルキル球状粉体 10.0 質量%
球状無水珪酸 5.0 質量%
メチルパラベン 0.3 質量%
【実施例4】
【0024】
以下に示す処方に従い、各粉体等を混合し、本発明の粉おしろい4を製造した。
ジメチルポリシロキサン被覆ベンガラ・タルク 0.2 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆黄色酸化鉄・タルク 0.5 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆マイカ 13.0 質量%
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆合成金雲母 5.0 質量%
ステアロイルグルタミン酸被覆マイカ 5.0 質量%
大豆リン脂質被覆タルク 68.0 質量%
トリメトキシシラン被覆球状無水珪酸 5.0 質量%
ポリアクリル酸アルキル球状粉体 3.0 質量%
メチルパラベン 0.3 質量%
【実施例5】
【0025】
以下に示す処方に従い、各粉体等を混合し、本発明の粉おしろい5を製造した。
ジメチルポリシロキサン被覆ベンガラ・タルク 0.2 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆黄色酸化鉄・タルク 0.5 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆マイカ 13.0 質量%
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆合成金雲母 5.0 質量%
ステアロイルグルタミン酸被覆マイカ 12.0 質量%
大豆リン脂質被覆タルク 50.0 質量%
トリメトキシシラン被覆球状無水珪酸 5.0 質量%
ポリアクリル酸アルキル球状粉体 9.0 質量%
無水球状珪酸 5.0 質量%
メチルパラベン 0.3 質量%
【0026】
<比較例2>
以下に示す処方に従い、各粉体等を混合し、比較例2を製造した。
ジメチルポリシロキサン被覆ベンガラ・タルク 0.2 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆黄色酸化鉄・タルク 0.5 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆マイカ 13.0 質量%
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆合成金雲母 5.0 質量%
ステアロイルグルタミン酸被覆マイカ 8.0 質量%
大豆リン脂質被覆タルク 50.0 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆タルク 18.0 質量%
トリメトキシシラン処理球状無水珪酸 5.0 質量%
メチルパラベン 0.3 質量%
【0027】
<比較例3>
以下に示す処方に従い、各粉体等を混合し、比較例3を製造した。
ジメチルポリシロキサン被覆ベンガラ・タルク 0.2 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆黄色酸化鉄・タルク 0.5 質量%
マイカ 13.0 質量%
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆合成金雲母 5.0 質量%
ステアロイルグルタミン酸被覆マイカ 10.0 質量%
タルク 14.0 質量%
大豆リン脂質被覆タルク 47.0 質量%
ポリアクリル酸アルキル球状粉体 5.0 質量%
無水球状珪酸 5.0 質量%
メチルパラベン 0.3 質量%
【0028】
<比較例4>
以下に示す処方に従い、各粉体等を混合し、比較例4を製造した。
ジメチルポリシロキサン被覆ベンガラ・タルク 0.2 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆黄色酸化鉄・タルク 0.5 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆マイカ 11.0 質量%
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆合成金雲母 4.0 質量%
ステアロイルグルタミン酸被覆マイカ 7.0 質量%
大豆リン脂質被覆タルク 54.0 質量%
トリメトキシシラン被覆球状無水珪酸 5.0 質量%
ポリアクリル酸アルキル球状粉体 4.0 質量%
無水球状珪酸 4.0 質量%
ステアリン酸カルシウム 10.0 質量%
メチルパラベン 0.3 質量%
【0029】
<比較例5>
以下に示す処方に従い、各粉体等を混合し、比較例5を製造した。
ジメチルポリシロキサン被覆ベンガラ・タルク 0.2 質量%
ジメチルポリシロキサン被覆黄色酸化鉄・タルク 0.5 質量%
パーフルオロアルキル被覆マイカ 13.0 質量%
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆合成金雲母 5.0 質量%
ステアロイルグルタミン酸被覆マイカ 10.0 質量%
大豆リン脂質被覆タルク 56.0 質量%
パーフルオロアルキル被覆球状無水珪酸 5.0 質量%
ポリアクリル酸アルキル球状粉体 5.0 質量%
無水球状珪酸 5.0 質量%
メチルパラベン 0.3 質量%
【0030】
<比較例6>
実施例1の粉おしろい1の処方において、各粉体等の割合を10%減量し、その分スクワランを添加したものを、比較例6として製造した。
ジメチルポリシロキサン被覆ベンガラ・タルク 0.18質量%
ジメチルポリシロキサン被覆黄色酸化鉄・タルク 0.45質量%
ジメチルポリシロキサン被覆マイカ 11.7 質量%
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆合成金雲母 4.5 質量%
ステアロイルグルタミン酸被覆マイカ 9.0 質量%
大豆リン脂質被覆タルク 50.4 質量%
トリメトキシシラン被覆球状無水珪酸 4.5 質量%
ポリアクリル酸アルキル球状粉体 4.5 質量%
無水球状珪酸 4.5 質量%
メチルパラベン 0.27質量%
スクワラン 10.0 質量%
【0031】
<製造例> ファンデーションの製造
下記の処方に示す、イ)の成分を混合後、80℃に加熱し、撹拌下、80℃に加熱したロ)を添加して乳化した、これを冷却して、ファンデーションを製造した。
イ)
メチルフェニルポリシロキサン 10.0 質量%
シクロペンタンシロキサン 4.0 質量%
メチルポリシロキサン 10.0 質量%
ベンガラ 1.0 質量%
黄色酸化鉄 5.0 質量%
酸化チタン 40.0 質量%
有機変性ヘクトライト 4.0 質量%
ポリエーテル変性シリコーン 0.3 質量%
ロ)
メチルパラベン 0.3 質量%
1,3−ブタンジオール 7.0 質量%
水 18.4 質量%
【0032】
<試験例1>
専門パネラー10名に、上記の製造例に示すファンデーションを使用した後に、実施例1〜5、比較例1〜5の粉おしろいを化粧パフを用いて使用してもらい、皮膚の乾燥感、化粧料の密着性、化粧料の持続性、化粧料ののり・のびに関して評価してもらった。結果を表1〜表3に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
実施例1〜5は、乾燥感もなく、持続性も良く、のびなども良い化粧料であった。シリコーン被覆粉体が多く、リン脂質被覆粉体の少ない比較例1,2の化粧料においては、皮膚の乾燥感が目立った。疎水性粉体の含有量の少ない比較例3は、化粧持ちの持続性や化粧のつきが良くなかった。ステアリン酸カルシウムを含有する比較例4の化粧料においてはのびが若干悪くなった。フッ素化処理粉体を含有する比較例5の化粧料においては、化粧持ちが若干悪くなった。
【0037】
<試験例2>
実施例1、比較例4、比較例6の粉おしろいを5名のパネラーに、2週間使用してもらった。2週間後に各粉おしろいに関して、化粧パフで押されて生じた1mm以上の粉ダマの数を算出した。結果を表4に示す。
【0038】
【表4】

【0039】
実施例1に比べて、バインダー類を含有する比較例4、比較例6は化粧パフで押されて多数の粉ダマが生じているが、実施例1では粉ダマの生成が認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明により、皮膚の乾燥感を感じにくく、化粧ののり、つきが良くて、使用性の良い粉おしろいを提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アシル化アミノ酸被覆粉体、リン脂質被覆粉体、メタクリル酸オキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸アルキル共重合体被覆粉体から選択される1種乃至は2種以上の極性部分を有する炭化水素基を有する化合物によって処理された疎水性粉体を化粧料全体に対して、60〜90質量%含有することを特徴とする粉体化粧料。
【請求項2】
リン脂質被覆粉体を化粧料全体に対して50〜70質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の粉体化粧料。
【請求項3】
さらに、シリコーン被覆処理によって疎水化された疎水性粉体を化粧料全体の10〜30質量%含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の粉体化粧料。
【請求項4】
アシル化アミノ酸被覆粉体、リン脂質被覆粉体、メタクリル酸オキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸アルキル共重合体被覆粉体から選択される1種乃至は2種以上の疎水性粉体、及びシリコーン被覆粉体に加えて、さらに疎水性粉体を含有し、疎水性粉体の総量として、化粧料全量に対して、80〜99.7質量%含有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の粉体化粧料。
【請求項5】
バインダーの含有量が1%未満であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の粉体化粧料。
【請求項6】
バインダーが、油剤又は高級カルボン酸の不溶性塩、粒径1μm以下の微粒子粉体から選択されるものであることを特徴とする請求項5に記載の粉体化粧料。
【請求項7】
疎水性粉体として、フッ素化物被覆粉体の含有量が10質量%未満であることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項に記載の粉体化粧料。
【請求項8】
疎水性粉体として、フッ素化物被覆粉体を含有しないことを特徴とする、請求項1〜7何れか1項に記載の粉体化粧料。
【請求項9】
疎水化されていてもよい酸化チタンを含有しないことを特徴とする、請求項1〜8何れか1項に記載の粉体化粧料。
【請求項10】
粉体化粧料が粉おしろいであることを特徴とする、請求項1〜9何れか1項に記載の粉体化粧料。

【公開番号】特開2009−107950(P2009−107950A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279818(P2007−279818)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】