粉体成形装置及び粉体成形シートの製造方法
【課題】外観が良好であり膜厚精度を向上させた粉体成形シートを製造する。
【解決手段】回転軸が平行で互いに逆向きに回転する一対のロール4A,4Bと、前記一対のロール間に供給される粉体が貯留された粉体貯留部と、前記一対のロールの内の一方のロール4Aを抱かせるように前記一対のロール間を通し基材16を搬送する基材搬送部とを備え、前記一対のロールからの圧力が前記基材の幅方向の両端部にかかり難くした状態で前記粉体貯留部から供給された粉体を前記基材上に圧延成形する。
【解決手段】回転軸が平行で互いに逆向きに回転する一対のロール4A,4Bと、前記一対のロール間に供給される粉体が貯留された粉体貯留部と、前記一対のロールの内の一方のロール4Aを抱かせるように前記一対のロール間を通し基材16を搬送する基材搬送部とを備え、前記一対のロールからの圧力が前記基材の幅方向の両端部にかかり難くした状態で前記粉体貯留部から供給された粉体を前記基材上に圧延成形する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール間で粉体を圧延成形する粉体成形装置及びこの装置を用いた粉体成形シートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、繰り返し充放電が可能なリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学素子は、環境対応からも今後の需要の拡大が見込まれている。リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が大きく携帯電話やノート型パソコン等の分野で利用されており、電気二重層キャパシタは、急激な充放電が可能でパソコン等のメモリバックアップ小型電源として利用されている。また、金属酸化物や導電性高分子の表面の酸化還元反応(疑似電気二重層容量)を利用するリチウムイオンキャパシタもその容量の大きさから注目を集めている。これら電気化学素子は、用途の拡大や発展に伴い、低抵抗化、大容量化、機械的特性の向上等でより一層の性能向上が求められている。電気化学素子の性能を向上させるために、電気化学素子の作製方法、電解質、電解液についても様々な改善が行われている。
【0003】
電極化学素子の作製方法である粉末圧延技術の一つとして、ロール加熱式直接粉末圧延方法が従来より知られている。かかる粉末圧延方法を実施するための粉末圧延装置は、水平且つ平行に一対の圧延ロールを配置すると共に、該圧延ロール間に基材を設け、且つ圧延ロール間の上部に設けられた仕切板内に投入された粉体を、圧延ロールの回転で圧延ロール間の間隙に引き込んで連続的に粉体が成形されたシートを製造する(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−303395号公報
【特許文献2】特開2006−339184号公報
【特許文献3】特開2007−5747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、粉体を圧延して基材と粉体層とからなる積層シートを製造するにあたっては、ロール間を通した後の基材端部に圧力がかかったような痕が残り、特定箇所の基材が変色したり、皺が入ったりして不良品となる場合があった。また仕切板近傍の積層シート端部の厚みが仕切板の影響で積層シート中央部に比べて厚くなり、積層シートの膜厚にバラツキが生じる場合があった。更に仕切板内に貯留された粉体がロール間に供給されるときにロール端部から粉漏れが生じて粉体の歩留まりが悪化する場合があった。
【0006】
本発明の目的は、外観が良好であり膜厚精度を向上させた粉体成形シートを成形する粉体成形装置及びこの装置を用いた粉体成形シートの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために検討した結果、基材の端部に圧力がかかり難くすることによって、外観が良好であって、膜厚精度を向上させた粉体成形シートが得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0008】
本発明によれば、
(1) 回転軸が平行で互いに逆向きに回転する一対のロールと、前記一対のロール間に供給される粉体が貯留された粉体貯留部と、前記一対のロールの内の一方のロールを抱かせるように前記一対のロール間を通し基材を搬送する基材搬送部とを備え、前記一対のロールからの圧力が前記基材の幅方向の両端部にかかり難くした状態で前記粉体貯留部から供給された粉体を前記基材上に圧延成形することを特徴とする粉体成形装置、
(2) 前記基材の両端部の表面に這わせたフィルムを更に備えることを特徴とする(1)記載の粉体成形装置、
(3) 前記フィルムの厚さが10μm〜500μmであることを特徴とする(2)記載の粉体成形装置、
(4) 前記一対のロールの上方に形成される凹部の両端に設置された一対の仕切板を更に備え、前記フィルムは、前記基材または前記ロールに接触し、前記仕切板に接触しないように配置されていることを特徴とする(2)または(3)記載の粉体成形装置、
(5) 前記フィルムは、前記ロールと前記仕切板との間隙を経るように配置されていることを特徴とする(2)〜(4)の何れかに記載の粉体成形装置、
(6) 前記フィルムは、前記基材の幅に合わせて前記基材の幅方向の位置が変更可能であることを特徴とする(2)〜(5)の何れかに記載の粉体成形装置、
(7) 前記一対のロールの内の他方のロールの軸方向の長さを前記一方のロールの軸方向の長さに比較して短くし、前記基材の両端部に対向しないようにしたことを特徴とする(1)記載の粉体成形装置、
(8) 前記一対のロールの内の他方のロールの両端部に溝が設けられていることを特徴とする(1)記載の粉体成形装置、
(9) 前記一対のロールの軸方向の長さを前記基材上に圧延成形する粉体の幅と略等しくしたことを特徴とする(1)記載の粉体成形装置、
(10) 前記一対のロールの内の他方のロールの両端部に無回転のスリーブが設けられていることを特徴とする(1)記載の粉体成形装置、
(11) 前記一対のロールの内の他方のロールの軸方向の長さを前記一方のロールの軸方向の長さに比較して短くし、前記他方のロールの両端部に停止または前記他方のロールとは逆方向に回転させる端部ロールを設けたことを特徴とする(1)記載の粉体成形装置、
(12) (1)〜(11)の何れかに記載の粉体成形装置を用いて、前記粉体貯留部から供給された粉体を前記一対のロールで圧延成形し前記基材上に粉体層を積層する粉体成形シートの製造方法、
が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外観が良好であり膜厚精度を向上させた粉体成形シートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態の係る粉体成形装置を側面から見た概要図である。
【図2】第1の実施の形態の係る粉体成形装置を上部から見た概要図である。
【図3】第2の実施の形態の係る粉体成形装置を側面から見た概要図である。
【図4】第2の実施の形態の係る粉体成形装置を上部から見た概要図である。
【図5】第3の実施の形態の係る粉体成形装置を側面から見た概要図である。
【図6】第3の実施の形態の係る粉体成形装置を上部から見た概要図である。
【図7】第4の実施の形態の係る粉体成形装置を側面から見た概要図である。
【図8】第4の実施の形態の係る粉体成形装置を上部から見た概要図である。
【図9】第5の実施の形態の係る粉体成形装置を側面から見た概要図である。
【図10】第5の実施の形態の係る粉体成形装置を上部から見た概要図である。
【図11】第6の実施の形態の係る粉体成形装置を側面から見た概要図である。
【図12】第6の実施の形態の係る粉体成形装置を上部から見た概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態に係る粉体成形装置及び粉体成形シートの製造方法について説明する。図1は第1の実施の形態に係る粉体成形装置を側面から見た概略図、図2は第1の実施の形態に係る粉体成形装置を上部から見た概略図である。なお、図1に示すように仕切板8A,8Bは、ロール4Aの最上部からロール4Bの最上部までの幅を有しているが、粉体成形装置2の構成を理解しやすくするために、図2においてはロールニップ点(ロール4A,4Bのロール間隙が最も狭くなる部分)についてのみ仕切板8A,8Bを記載している。
【0012】
粉体成形装置2は、回転軸が水平かつ平行に配列され近接部ではそれぞれ下向きに回転する一対のロール4A,4Bにより構成される圧縮ロール4を備えている。一対のロール4A,4B間の上部に形成されている凹みの両端部には一対の仕切板8A,8Bが配置され、一対のロール4A,4Bと一対の仕切板8A,8Bにより形成された空間に粉体6が貯留されている。
【0013】
またロール4A,4Bの間隙を経て圧縮ロール4の上方から下方に至るように、圧縮ロール4の上方及び下方にそれぞれ配置されたフィルム止め10間に取り付けられた一対のリボン状フィルム12を備えている。ここで一対のリボン状フィルム12はそれぞれ一対のロール4A,4Bの両端部に配置されており、基材16またはロール4Aに触れるが、仕切板8A,8Bに触れないように取り付けられている。さらに、リボン状フィルム12は、ロール4Aと仕切板8A,8Bとの間隙を経るように取り付けられている。また、リボン状フィルム12は、製造する粉体成形シートの厚さに基づいて10μm〜500μmの厚さのものが適宜選択される。これにより圧延の際にリボン状フィルム12が圧縮ロール4に巻き込まれること、リボン状フィルム12が切れるのを防止することができる。
【0014】
またリボン状フィルム12のロール4A,4Bに対する位置は、基材16の幅に合わせて基材16の幅方向に変更可能に構成されている。ここで基材巻出しロール14から巻き出された基材16は、ガイドロール18を経て、ロール4Aを抱かせ、ロール4Aとロール4Bとの間を抜けて、別のガイドロール20を経て、基材巻取りロール22に巻き取られるようにセットされる。即ち、基材16はロール4A,4Bの両端部においてロール4A,4Bとリボン状フィルム12の間にセットされる。
【0015】
圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれ図1に示す矢印方向へ回転することにより粉体6を咬み込み、粉体6をロール4A,4Bにより基材16の一方の面に圧延成形する。なお、図2は、基材16の一方の面に粉体6が圧延成形され、粉体層7が形成された後に再度他方の面に粉体6を圧延成形する場合を示している。ここで圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれモータ等により駆動されることにより回転するが、ロール4A,4Bの回転速度はそれぞれ自在に変更することができる。また圧縮ロール4は粉体の種類、性質に応じて冷却、加温等の温度調節を行うことができる温度調節機構を備えている。温度調節機構としては、ロール4A,4Bの内部に配置された熱媒を使用する方法、直接伝熱線等で加温する方法等が挙げられる。
【0016】
この実施の形態に係る粉体成形装置においては、基材16の両端部の上面にリボン状フィルム12が這わせてあるため、この部分はロール4A,4Bが回転する場合においてもリボン状フィルム12は停止しており、更にこの部分はロール4A,4Bの隙間(ロール間隔)が小さくなっていることから、ロール4A,4Bが回転してもリボン状フィルム12が這わせてある部分では、粉体6を咬み込まず、基材16に圧力がかかり難い。従って、基材16の両端部における皺の発生や基材16の変色を防止することができる。また圧延成形された粉体の両端部と仕切板8A,8Bが近接しておらず、仕切板8A,8Bの影響を直接受けないため粉体成形シート(粉体層7)の厚さを均一にすることができる。このため圧延後に粉体成形シートの不良部分をカットする工程を別途設ける必要がなく、歩留まりの悪化防止および生産効率の向上に寄与する。更に、リボン状フィルム12上に粉体6が滞留することにより粉漏れが減少すると共に、粉体6が漏れた場合においても粉体6を回収しそのまま再利用することができるため、製造コストの低下を図ることができる。
【0017】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る粉体成形装置及び粉体成形シートの製造方法について説明する。図3は第2の実施の形態に係る粉体成形装置を側面から見た概略図、図4は第2の実施の形態に係る粉体成形装置を上部から見た概略図である。なお、図3に示すように仕切板8A,8Bは、ロール4Aの最上部からロール4Bの最上部までの幅を有しているが、粉体成形装置200の構成を理解しやすくするために、図4においてはロールニップ点についてのみ仕切板8A,8Bを記載している。また、第2の実施の形態に係る粉体成形装置200の構成は、図1に示す第1の実施の形態に係る粉体成形装置2の一対のリボン状フィルム12を取り除き、一対のロール4A,4Bの内のロール4Bの軸方向の長さをロール4Aの軸方向の長さに比較して短くし、基材16の両端部に対向しないようにしたものである。従って第1の実施の形態と同様の構成についての詳細な説明は省略し、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0018】
粉体成形装置200の圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれ図3に示す矢印方向へ回転することにより粉体6を咬み込み、粉体6をロール4A,4Bにより基材16の一方の面に圧延成形する。なお、図4は、基材16の一方の面に粉体6が圧延成形され、粉体層7が形成された後に再度他方の面に粉体6を圧延成形する場合を示している。
【0019】
この実施の形態に係る粉体成形装置200においては、一対のロール4A,4Bの内のロール4Bの軸方向の長さをロール4Aの軸方向の長さに比較して短くし、基材16の両端部に対向しないようにしているため、この部分にはロール4A,4Bからの圧力がかからない。従って、基材16の両端部における皺の発生や基材16の変色を防止することができ、粉体成形シートの厚さを均一にすることができる。このため圧延後に粉体成形シートの不良部分をカットする工程を別途設ける必要がなく、歩留まりの悪化防止および生産効率の向上に寄与する。
【0020】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る粉体成形装置及び粉体成形シートの製造方法について説明する。図5は第3の実施の形態に係る粉体成形装置を側面から見た概略図、図6は第3の実施の形態に係る粉体成形装置を上部から見た概略図である。なお、図5に示すように仕切板8A,8Bは、ロール4Aの最上部からロール4Bの最上部までの幅を有しているが、粉体成形装置202の構成を理解しやすくするために、図6においてはロールニップ点についてのみ仕切板8A,8Bを記載している。また、第3の実施の形態に係る粉体成形装置202の構成は、図1に示す第1の実施の形態に係る粉体成形装置2の一対のリボン状フィルム12を取り除き、一対のロール4A,4Bの内のロール4Bの軸方向の端部に溝5を形成したものである。従って第1の実施の形態と同様の構成についての詳細な説明は省略し、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0021】
粉体成形装置202の圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれ図5に示す矢印方向へ回転することにより粉体6を咬み込み、粉体6をロール4A,4Bにより基材16の一方の面に圧延成形する。なお、図6は、基材16の一方の面に粉体6が圧延成形され、粉体層7が形成された後に再度他方の面に粉体6を圧延成形する場合を示している。
【0022】
この実施の形態に係る粉体成形装置202においては、ロール4Bの軸方向の端部に溝5が形成されているため、この部分においてはロール4A,4Bが回転する場合においても基材16に圧力がかからず粉体6の圧延成形が行なわれない。従って、基材16の両端部における皺の発生や基材16の変色を防止することができ、粉体成形シートの厚さを均一にすることができる。このため圧延後に粉体成形シートの不良部分をカットする工程を別途設ける必要がなく、歩留まりの悪化防止および生産効率の向上に寄与する。
【0023】
次に、本発明の第4の実施の形態に係る粉体成形装置及び粉体成形シートの製造方法について説明する。図7は第4の実施の形態に係る粉体成形装置を側面から見た概略図、図8は第4の実施の形態に係る粉体成形装置を上部から見た概略図である。なお、図7に示すように仕切板8A,8Bは、ロール4Aの最上部からロール4Bの最上部までの幅を有しているが、粉体成形装置204の構成を理解しやすくするために、図8においてはロールニップ点についてのみ仕切板8A,8Bを記載している。また、第4の実施の形態に係る粉体成形装置204の構成は、図1に示す第1の実施の形態に係る粉体成形装置2の一対のロール4A,4Bの軸方向の長さを基材16に圧延成形する粉体6の幅と略等しくし、基材16の両端部をロール4A,4Bの外側に出したものである。従って第1の実施の形態と同様の構成についての詳細な説明は省略し、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0024】
粉体成形装置204の圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれ図7に示す矢印方向へ回転することにより粉体6を咬み込み、粉体6をロール4A,4Bにより基材16の一方の面に圧延成形する。なお、図8は、基材16の一方の面に粉体6が圧延成形され、粉体層7が形成された後に再度他方の面に粉体6を圧延成形する場合を示している。
【0025】
この実施の形態に係る粉体成形装置204においては、一対のロール4A,4Bの軸方向の長さを基材16に圧延成形する粉体6の幅と略等しくし、基材16の両端部をロール4A,4Bの外側に出しているため、基材16の両端部にはロール4A,4Bからの圧力がかからない。従って、基材16の両端部における皺の発生や基材16の変色を防止することができ、粉体成形シートの厚さを均一にすることができる。このため圧延後に粉体成形シートの不良部分をカットする工程を別途設ける必要がなく、歩留まりの悪化防止および生産効率の向上に寄与する。
【0026】
次に、本発明の第5の実施の形態に係る粉体成形装置及び粉体成形シートの製造方法について説明する。図9は第5の実施の形態に係る粉体成形装置を側面から見た概略図、図10は第5の実施の形態に係る粉体成形装置を上部から見た概略図である。なお、図9に示すように仕切板8A,8Bは、ロール4Aの最上部からロール4Bの最上部までの幅を有しているが、粉体成形装置206の構成を理解しやすくするために、図10においてはロールニップ点についてのみ仕切板8A,8Bを記載している。また、第5の実施の形態に係る粉体成形装置206の構成は、図1に示す第1の実施の形態に係る粉体成形装置2の一対のロール4A,4Bの内のロール4Bの両端部に直径が小さい段部を設け、段部に回転しないスリーブ9を装着したものである。従って第1の実施の形態と同様の構成についての詳細な説明は省略し、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0027】
粉体成形装置206の圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれ図9に示す矢印方向へ回転することにより粉体6を咬み込み、粉体6をロール4A,4Bにより基材16の一方の面に圧延成形する。なお、図10は、基材16の一方の面に粉体6が圧延成形され、粉体層7が形成された後に再度他方の面に粉体6を圧延成形する場合を示している。
【0028】
この実施の形態に係る粉体成形装置206においては、一対の回転ロール4A,4Bの内のロール4Bの両端部に直径が小さい段部を設け、段部に回転しないスリーブ9を装着しているため、この部分においては粉体6を咬み込まないことから基材16にロール4A,4Bからの圧力がかからない。従って、基材16の両端部における皺の発生や基材16の変色を防止することができ、粉体成形シートの厚さを均一にすることができる。このため圧延後に粉体成形シートの不良部分をカットする工程を別途設ける必要がなく、歩留まりの悪化防止および生産効率の向上に寄与する。また、ロール4Bのスリーブ9の部分に入った粉体6はそのまま回収して再使用することができる。
【0029】
次に、本発明の第6の実施の形態に係る粉体成形装置及び粉体成形シートの製造方法について説明する。図11は第6の実施の形態に係る粉体成形装置を側面から見た概略図、図12は第6の実施の形態に係る粉体成形装置を上部から見た概略図である。なお、図11に示すように仕切板8A,8Bは、ロール4Aの最上部からロール4Bの最上部までの幅を有しているが、粉体成形装置208の構成を理解しやすくするために、図12においてはロールニップ点についてのみ仕切板8A,8Bを記載している。また、第6の実施の形態に係る粉体成形装置208の構成は、図2に示す一対のロール4A,4Bの内のロール4Bの軸方向の長さをロール4Aの軸方向の長さに比較して短くし、両端部に別駆動による端部ロール11を備えることで、基材16の両端部に圧力がかからないようにしたものである。従って第1の実施の形態と同様の構成についての詳細な説明は省略し、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0030】
粉体成形装置208の圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれ図11に示す矢印方向へ回転することにより粉体6を咬み込み、粉体6をロール4A,4Bにより基材16の一方の面に圧延成形する。なお、図12は、基材16の一方の面に粉体6が圧延成形され、粉体層7が形成された後に再度他方の面に粉体6を圧延成形する場合を示している。
【0031】
この実施の形態に係る粉体成形装置208においては、一対のロール4A,4Bの内のロール4Bの軸方向の長さをロール4Aの軸方向の長さに比較して短くし、両端部に別駆動による端部ロール11を備え、端部ロール11を停止させ、または端部ロール11をロール4Bと逆方向に回転させることにより、基材16のロール11が対向している部分においては粉体6を咬み込まないことから基材16にロール4A及びロール11からの圧力がかからない。従って、基材16の両端部における皺の発生や基材16の変色を防止することができ、粉体成形シートの厚さを均一にすることができる。このため圧延後に粉体成形シートの不良部分をカットする工程を別途設ける必要がなく、歩留まりの悪化防止および生産効率の向上に寄与する。また、端部ロール11の部分は粉体6が入りにくい構造を有しているが、端部ロール11の部分に入った場合においても粉体6はそのまま回収して再使用することができる。
【0032】
本発明で使用される基材16としては、薄いフィルム状の基材であればよく、通常、厚さ1μm〜1000μm、好ましくは5μm〜800μmである。基材16としては、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄等の金属箔または紙、天然繊維、高分子繊維、布帛、高分子樹脂フィルム等が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。高分子樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂フィルム、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、アラミドフィルム、PEN、PEEK等を含んで構成されるプラスチックフィルム、シート等が挙げられる。
【0033】
また、基材16の表面には塗膜処理、穴あけ加工、バフ加工、サンドブラスト加工及び/又はエッチング加工等の処理が施されていても良い。バックアップ基材表面に接着剤等を塗布した基材は、シート状粉体を強固に保持することができるため、特に好ましい。
【0034】
本発明で使用されるリボン状フィルム12の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の樹脂フィルムやアルミ・銅等の金属箔が挙げられる。
【0035】
ロール4A,4Bと仕切板8A,8Bとにより形成される空間に貯留される粉体6としては、例えば電極活物質を含む複合粒子が挙げられる。
【0036】
複合粒子は、電極活物質及び結着材を含み、必要に応じてその他の分散剤、導電材および添加剤を含んでもよい。
【0037】
複合粒子をリチウムイオン二次電池の電極材料として用いる場合、正極用活物質としては、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な金属酸化物が挙げられる。かかる金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、燐酸鉄リチウム、燐酸マンガンリチウム、燐酸バナジウムリチウム、バナジン酸鉄リチウム、ニッケル− マンガン− コバルト酸リチウム、ニッケル− コバルト酸リチウム、ニッケル− マンガン酸リチウム、鉄− マンガン酸リチウム、鉄−マンガン− コバルト酸リチウム、珪酸鉄リチウム、珪酸鉄− マンガンリチウム、酸化バナジウム、バナジン酸銅、酸化ニオブ、硫化チタン、酸化モリブデン、硫化モリブデン、等を挙げることができる。なお、上記にて例示した正極活物質は適宜用途に応じて単独で使用してもよく、複数種混合して使用してもよい。
【0038】
さらに、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリキノンなどのポリマーが挙げられる。これらのうち、リチウム含有金属酸化物を用いることが好ましい。
【0039】
なお、リチウムイオン二次電池用正極の対極としての負極の活物質としては、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、活性炭、熱分解炭素などの低結晶性炭素(非晶質炭素)、グラファイト(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノウォール、カーボンナノチューブ、あるいはこれら物理的性質の異なる炭素の複合化炭素材料、錫やケイ素等の合金系材料、ケイ素酸化物、錫酸化物、バナジウム酸化物、チタン酸リチウム等の酸化物、ポリアセン等が挙げられる。なお、上記に例示した電極活物質は適宜用途に応じて単独で使用してもよく、複数種混合して使用してもよく。
【0040】
リチウムイオン二次電池電極用の電極活物質の形状は、粒状に整粒されたものが好ましい。粒子の形状が球形であると、電極成形時により高密度な電極が形成できる。
【0041】
リチウムイオン二次電池電極用の電極活物質の体積平均粒子径は、正極、負極ともに通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.8〜20μmである。
【0042】
リチウムイオン二次電池用電極活物質のタップ密度は、特に制限されないが、正極では2g/cm3以上、負極では0.6g/cm3以上のものが好適に用いられる。
【0043】
複合粒子をリチウムイオンキャパシタの電極材料として用いる場合、正極用活物質としては、アニオンおよび/またはカチオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な活性炭、ポリアセン系有機半導体(PAS)、カーボンナノチューブ、カーボンウィスカー、グラファイト等が挙げられる。好ましい電極活物質は活性炭、カーボンナノチューブである。
【0044】
なお、リチウムイオンキャパシタ用正極の対極としての負極の活物質としては、リチウムイオン二次電池用負極活物質として例示した材料をいずれも使用することができる。リチウムイオンキャパシタ用電極に用いる電極活物質の体積平均粒子径は、通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、更に好ましくは0.8〜20μmである。
【0045】
リチウムイオンキャパシタ電極活物質として活性炭を用いる場合、活性炭の比表面積は、30m2/g以上、好ましくは500〜3,000m2/g、より好ましくは1,500〜2,600m2/gである。比表面積が約2,000m2/gまでは比表面積が大きくなるほど活性炭の単位重量あたりの静電容量は増加する傾向にあるが、それ以降は静電容量は然程増加せず、かえって電極合材層の密度が低下し、静電容量密度が低下する傾向にある。また、活性炭が有する細孔のサイズは電解質イオンのサイズに適合していることがリチウムイオンキャパシタとしての特徴である急速充放電特性の面で好ましい。従って、電極活物質を適宜選択することで、所望の容量密度、入出力特性を有する電極合材層を得ることができる。
【0046】
複合粒子を電気二重層キャパシタの電極材料として用いる場合、正極活物質および負極活物質としては、リチウムイオンキャパシタ用正極活物質として例示された材料をいずれも使用することができる。
【0047】
複合粒子に用いられる結着材としては、前記電極活物質を相互に結着させることができる化合物であれば特に制限はない。好適な結着材は、溶媒に分散する性質のある分散型結着材である。分散型結着材として、例えば、シリコン系重合体、フッ素含有重合体、共役ジエン系重合体、アクリレート系重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン等の高分子化合物が挙げられ、好ましくはフッ素系含有重合体、共役系ジエン重合体およびアクリレート系重合体、より好ましくは共役ジエン系重合体およびアクリレート系重合体が挙げられる。
【0048】
ジエン系重合体は、共役ジエンの単独重合体もしくは共役ジエンを含む単量体混合物を重合して得られる共重合体、またはそれらの水素添加物である。前記単量体混合物における共役ジエンの割合は通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上である。ジエン重合体の具体例としては、ポリブタジエンやポリイソプレンなどの共役ジエン単独重合体;カルボキシ変性されていてもよいスチレン・ブタジエン共重合体(SBR)などの芳香族ビニル・共役ジエン共重合体;アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)などのシアン化ビニル・共役ジエン共重合体;水素化SBR、水素化NBR等が挙げられる。
【0049】
アクリレート重合体は、一般式(1):CH2=CR1−COOR2(式中、R1は水素原子またはメチル基を、R2はアルキル基またはシクロアルキル基を表す。)で表される化合物由来の単量体単位を含む重合体、具体的には、一般式(1)で表される化合物の単独重合体、または前記一般式(1)で表される化合物を含む単量体混合物を重合して得られる共重合体である。一般式(1)で表される化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、および(メタ)アクリル酸トリデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等のエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸等のカルボン酸含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル等のフッ素基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸リン酸エチル等のリン酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル;等が挙げられる。
【0050】
これら(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、および(メタ)アクリル酸n―ブチルやアルキル基の炭素数が6〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。これらを選択することにより、電解液に対する膨潤性の低くすることが可能となり、サイクル特性を向上させることができる。
【0051】
分散型結着材中における(メタ)アクリル酸エステル単位の含有割合は、好ましくは50〜95重量%であり、より好ましくは60〜90重量%である。(メタ)アクリル酸エステル単位の含有割合を上記範囲とすることにより、電極とした際における柔軟性を向上させることができ、割れに対する耐性を高いものとすることができる。
【0052】
また、アクリレート系重合体としては、上述した(メタ)アクリル酸エステルと、これと共重合可能な単量体との共重合体であってもよく、このような共重合可能な単量体としては、たとえば、α,β−不飽和ニトリルモノマー、酸成分を有するビニルモノマーなどが挙げられる。
【0053】
α,β−不飽和ニトリルモノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。
【0054】
分散型結着材中におけるα,β−不飽和ニトリルモノマー単位の含有割合は、通常0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜20重量部の範囲である。α,β−不飽和ニトリルモノマー単位の含有割合を上記範囲とすることにより、結着材としての結着力をより高めることができる。
【0055】
酸成分を有するビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましく、メタクリル酸、イタコン酸がより好ましく、特に、メタクリル酸とイタコン酸とを併用して用いることが好ましい。
【0056】
分散型結着材中における酸成分を有するビニルモノマー単位の含有割合は、好ましくは10〜1.0重量%であり、より好ましくは1.5〜5.0重量%である。酸成分を有するビニルモノマー単位の含有割合を上記範囲とすることにより、スラリーとした際における安定性を向上させることができる。
【0057】
さらに、アクリレート系重合体としては、上述した各単量体と共重合可能な他の単量体を共重合したものであってもよく、このような他の単量体としては、たとえば、2つ以上の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル類、芳香族ビニル系単量体、アミド系単量体、オレフィン類、ジエン系単量体、ビニルケトン類、複素環含有ビニル化合物などが挙げられる。
【0058】
分散型結着材の形状は、特に制限はないが、粒子状であることが好ましい。粒子状であることにより、結着性が良く、また、作製した電極の容量の低下や充放電の繰り返しによる劣化を抑えることができる。粒子状の結着材としては、例えば、ラテックスのごとき結着材の粒子が水に分散した状態のものや、このような分散液を乾燥して得られる粉末状のものが挙げられる。
【0059】
分散型結着材の体積平均粒子径は、好ましくは0.001〜100μm、より好ましくは10〜1000nm、さらに好ましくは50〜500nmである。分散型結着材粒子の平均粒子径を上記範囲とすることにより、スラリーとした際における安定性を良好なものとしながら、得られる電極としての強度及び柔軟性が良好となる。
【0060】
結着材の量は、電極活物質100重量部に対して、乾燥重量基準で通常は0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部である。結着材の量がこの範囲にあると、得られる電極合材層と集電体との密着性が充分に確保でき、かつ、内部抵抗を低くすることができる。
【0061】
複合粒子には、前述のように必要に応じて分散剤を用いてもよい。分散剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸エステル、ならびにアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、ポリアクリル酸、およびポリアクリル酸(またはメタクリル酸)ナトリウムなどのポリアクリル酸(またはメタクリル酸)塩、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、キチン、キトサン誘導体などが挙げられる。これらの分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、セルロース系ポリマーが好ましく、カルボキシメチルセルロースまたはそのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩が特に好ましい。これらの分散剤の使用量は、本発明の効果を損ねない範囲であれば格別な限定はないが、電極活物質100重量部に対して、通常は0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは0.8〜2重量部の範囲である。
【0062】
複合粒子は、電極活物質、結着材および必要に応じ添加される前記導電材等他の成分を用いて造粒することにより得られ、少なくとも電極活物質、結着材を含んでなるが、前記のそれぞれが個別に独立した粒子として存在するのではなく、構成成分である電極活物質、結着材を含む2成分以上によって一粒子を形成するものである。具体的には、前記2成分以上の個々の粒子の複数個が結合して二次粒子を形成しており、複数個(好ましくは数個〜数十個)の電極活物質が、結合材によって結着されて粒子を形成しているものが好ましい。
【0063】
導電材を複合粒子に添加する場合、導電材の含有割合は、電極活物質100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部である。導電材の含有割合を上記範囲とすることにより、得られる蓄電デバイスの容量を高く保ちながら、内部抵抗を十分に低減することが可能となる。
【0064】
複合粒子の形状は、流動性の観点から実質的に球形であることが好ましい。すなわち、複合粒子の短軸径をLs、長軸径をLl、La=(Ls+Ll)/2とし、(1−(Ll−Ls)/La)×100の値を球形度(%)としたとき、球形度が80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。
【0065】
ここで、短軸径Lsおよび長軸径Llは、走査型電子顕微鏡写真像より測定される値である。
【0066】
複合粒子の体積平均粒子径は、通常0.1〜1000μm、好ましくは1〜200μm、より好ましくは30〜150μmの範囲である。複合粒子の体積平均粒子径をこの範囲にすることにより、所望の厚みの電極合材層を容易に得ることができるため好ましい。
【0067】
なお、複合粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(たとえば、SALD−3100;島津製作所製)にて測定し、算出される体積平均粒子径である。
【0068】
また、複合粒子としての構造は特に限定されないが、結着材が複合粒子の表面に偏在することなく、複合粒子内に均一に分散する構造が好ましい。
【0069】
複合粒子の製造方法は特に限定されないが、次に述べる二つの製造方法によって複合粒子を容易に得ることができる。
【0070】
複合粒子の第一の製造方法は、流動層造粒法である。流動層造粒法は、結着剤、および必要に応じて導電材、分散剤やその他の添加剤を含有するスラリーを得る工程、加熱された気流中に電極活物質を流動させ、そこに前記スラリーを噴霧し、電極活物質同士を結着させると共に乾燥する工程を有するものである。以下、流動層粒粒法について説明する。
【0071】
(流動層造粒法)
先ず結着剤、および必要に応じて導電材、分散剤やその他の添加剤を含有するスラリーを得る。スラリーを得るために用いる溶媒として、最も好適には水が用いられるが、有機溶媒を用いることもできる。有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどのアルキルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのアルキルケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム等のエーテル類;ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)、ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類などが挙げられるが、アルキルアルコール類が好ましい。水よりも沸点の低い有機溶媒を併用すると、流動造粒時に、乾燥速度を速くすることができる。また、水よりも沸点の低い有機溶媒を併用すると、結着剤の分散性又は溶解型樹脂の溶解性が変わると共に、スラリーの粘度や流動性を溶媒の量又は種類によって調製できるので、生産効率を向上させることができる。
【0072】
スラリーを調製するときに使用する溶媒の量は、スラリーの固形分濃度が、通常は1〜50重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%の範囲となるような量である。溶媒の量がこの範囲にあるときに、結着剤が均一に分散するため好適である。
【0073】
結着剤、必要に応じて導電材、分散剤やその他の添加剤を溶媒に分散又は溶解する方法又は手順は特に限定されず、例えば、溶媒に結着剤、導電材、分散剤やその他の添加剤を添加し混合する方法、溶媒に分散剤を溶解した後、溶媒に分散させた結着剤(例えば、ラテックス)を添加して混合し、最後に導電材やその他の添加剤を添加して混合する方法、溶媒に溶解させた分散剤に導電材を添加して混合し、それに溶媒に分散させた結着剤を添加して混合する方法などが挙げられる。混合の手段としては、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーなどの混合機器が挙げられる。混合は、通常、室温〜80℃の範囲で、10分〜数時間行う。
【0074】
次に電極活物質を流動化させ、そこに前記スラリーを噴霧して、流動造粒する。流動造粒としては、流動層によるもの、変形流動層によるもの、噴流層によるものなどが挙げられる。流動層によるものは、熱風で電極活物質を流動化させ、これにスプレー等から前記スラリーを噴霧して凝集造粒を行う方法である。変形流動層によるものは、前記流動層と同様であるが、層内の粉体に循環流を与え、かつ分級効果を利用して比較的大きく成長した造粒物を排出させる方法である。また、噴流層によるものは、噴流層の特徴を利用して粗い粒子にスプレー等からのスラリーを付着させ、同時に乾燥させながら造粒する方法である。本発明における複合粒子の製造方法としては、この3つ方式のうち流動層又は変形流動層によるものが好ましい。
【0075】
噴霧されるスラリーの温度は、通常は室温であるが、加温して室温以上にしたものであってもよい。流動化に用いる熱風の温度は、通常70〜300℃、好ましくは80〜200℃である。
【0076】
以上の製造方法によって、電極活物質、結着剤および必要に応じて導電材、分散剤やその他の添加剤を含む複合粒子が得られる。
【0077】
複合粒子の第二の製造方法は、噴霧乾燥造粒法である。以下に説明する噴霧乾燥造粒法によれば、本発明の複合粒子を比較的容易に得ることができるため、好ましい。以下、噴霧乾燥造粒法について説明する。
【0078】
(噴霧乾燥造粒法)
まず、電極活物質、結着材を含有する複合粒子用スラリーを調製する。複合粒子用スラリーは、電極活物質、結着材、ならびに必要に応じて添加される導電材を、溶媒に分散又は溶解させることにより調製することができる。なお、この場合において、結着材が分散媒としての水に分散されたものである場合には、水に分散させた状態で添加することができる。
【0079】
複合粒子用スラリーを得るために用いる溶媒としては、通常、水が用いられるが、水と有機溶媒との混合溶媒を用いてもよい。この場合に用いることができる有機溶媒としては、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルキルアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のアルキルケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム等のエーテル類、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類等が挙げられる。これらのなかでも、アルコール類が好ましい。水と、水よりも沸点の低い有機溶媒とを併用することにより、噴霧乾燥時に、乾燥速度を速くすることができる。また、これにより、複合粒子用スラリーの粘度や流動性を調整することができ、生産効率を向上させることができる。
【0080】
また、複合粒子用スラリーの粘度は、室温において、好ましくは10〜3,000mPa・s、より好ましくは30〜1,500mPa・s、さらに好ましくは50〜1,000mPa・sの範囲である。複合粒子用スラリーの粘度がこの範囲にあると、噴霧乾燥造粒工程の生産性を上げることができる。
【0081】
また、本発明においては、複合粒子用スラリーを調製する際に、必要に応じて、分散剤や界面活性剤を添加してもよい。
【0082】
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、ノニオニックアニオン等の両性の界面活性剤が挙げられるが、アニオン性又はノニオン性界面活性剤で熱分解しやすいものが好ましい。界面活性剤の配合量は、正極活物質100重量部に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。
【0083】
電極活物質、結着材、ならびに必要に応じて添加される導電材を溶媒に分散又は溶解する方法又は順番は、特に限定されない。また、混合装置としては、たとえば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等を用いることができる。混合は、通常、室温〜80℃の範囲で、10分〜数時間行う。
【0084】
次いで、得られた複合粒子用スラリーを噴霧乾燥して造粒する。噴霧乾燥は、熱風中にスラリーを噴霧して乾燥する方法である。スラリーの噴霧に用いる装置としてアトマイザーが挙げられる。アトマイザーとしては、回転円盤方式と加圧方式との二種類の装置が挙げられ、回転円盤方式は、高速回転する円盤のほぼ中央にスラリーを導入し、円盤の遠心力によってスラリーが円盤の外に放たれ、その際にスラリーを霧状にする方式である。回転円盤方式において、円盤の回転速度は円盤の大きさに依存するが、通常は5,000〜30,000rpm、好ましくは15,000〜30,000rpmである。円盤の回転速度が低いほど、噴霧液滴が大きくなり、得られる複合粒子の平均粒子径が大きくなる。回転円盤方式のアトマイザーとしては、ピン型とベーン型が挙げられるが、好ましくはピン型アトマイザーである。ピン型アトマイザーは、噴霧盤を用いた遠心式の噴霧装置の一種であり、該噴霧盤が上下取付円板の間にその周縁に沿ったほぼ同心円上に着脱自在に複数の噴霧用コロを取り付けたもので構成されている。複合粒子用スラリーは噴霧盤中央から導入され、遠心力によって噴霧用コロに付着し、コロ表面を外側へと移動し、最後にコロ表面から離れ噴霧される。一方、加圧方式は、複合粒子用スラリーを加圧してノズルから霧状にして乾燥する方式である。
【0085】
噴霧される複合粒子用スラリーの温度は、通常は室温であるが、加温して室温より高い温度としてもよい。また、噴霧乾燥時の熱風温度は、通常80〜250℃、好ましくは100〜200℃である。噴霧乾燥法において、熱風の吹き込み方法は特に制限されず、たとえば、熱風と噴霧方向が横方向に並流する方式、乾燥塔頂部で噴霧され熱風と共に下降する方式、噴霧した滴と熱風が向流接触する方式、噴霧した滴が最初熱風と並流し次いで重力落下して向流接触する方式等が挙げられる。
【0086】
なお、噴霧方法としては、電極活物質、結着材を有する複合粒子用スラリーを、一括して噴霧する方法以外にも、結着材および必要に応じてその他添加剤を含有するスラリーを、流動している電極活物質に噴霧する方法も用いることができる。粒子径制御の容易性、生産性、粒子径分布が小さくできる、などの観点から、複合粒子の成分等に応じて最適な方法を適宜選択すればよい。
【0087】
乾式成形法により製造される電極合材層は、上述した複合粒子を含んでなる。複合粒子は、単独で又は必要に応じて他の結着材やその他の添加剤を含有させることで、目的の物性を有する電極合材層を得ることができる。電極合材層中に含有される複合粒子の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。
【0088】
必要に応じて用いられる他の結着材としては、たとえば、上述した複合粒子に含有される結着材を用いることができる。複合粒子は、すでに結着材を含有しているため、電極合材層を製造する際に、他の結着材を別途添加する必要はないが、複合粒子同士の結着力をより高めるために他の結着材を添加してもよい。また、他の結着材を添加する場合における該他の結着材の添加量は、複合粒子中の結着材との合計で、電極活物質100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。また、その他の添加剤としては、水やアルコールなどの成形助剤等が挙げられ、これらは、本発明の効果を損なわない量を適宜選択して加えることができる。
【実施例】
【0089】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。また、部および%は、特に記載のない限り重量基準である。
【実施例1】
【0090】
電極活物質(比表面積2000m2/g及び重量平均粒径5μmの活性炭)100部、導電材(アセチレンブラック「デンカブラック粉状」:電気化学工業(株)製)5部、分散型結着剤(数平均粒径0.15μm、ガラス転移温度−40℃の架橋型アクリレート系重合体の40%水分散体:「AD211」;日本ゼオン(株)製)7.5部、溶解型樹脂(カルボキシメチルセルロースの1.5%水溶液「DN−800H」:ダイセル化学工業(株)製)93.3部、及びイオン交換水231.8部をT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)で攪拌混合して、固形分25%のスラリーを得た。次いで、スラリーをスプレー乾燥機(大川原化工機(株)製ピン型アトマイザー付)を用いて150℃の熱風で噴霧乾燥し、重量平均粒径50μmの球状の複合粒子を得た。この複合粒子の重量平均粒径は、粉体測定装置(パウダテスタPT-S:ホソカワミクロン(株)製)を用いて測定した。以上の工程を工程Iとする。
【0091】
ロールプレス機は、図1に示すように回転軸が平行で近接部では下向きにそれぞれ回転する一対のロール4A,4Bと、一対のロールの上方の間に在る凹みの両端に設置された一対の仕切板8A,8Bと、一対のロールの間隙を経てロールの上方から下方に至るように取り付けられた一対のリボン状フィルム12とを備えている。リボン状フィルム12は、基材(基材フィルム)16またはロール4Aに触れるが、仕切板8A,8Bに触れないように取り付けられている。さらに、リボン状フィルム12は、ロール4Aと仕切板8A,8Bとの間隙を経るように取り付けられている。ロール間隙は400μmである。
【0092】
このロールプレス機に、基材フィルム(PET、厚さ50μm)16を、基材巻出しロール14から巻き出してガイドロール18を経て、一方のロール4Aを抱かせ、一対のロール4A,4Bの間を抜けて、別のガイドロール20を経て、基材巻取りロール22に巻き取るようにセットした。
【0093】
基材フィルム16の両端は、図2に示すようにリボン状フィルム12とロール4Aと隙間を通過するようにした。上記で得られた複合粒子(粉体6)を1時間100℃に加熱しておき、速度10m/minで運転されるロールプレス機(押し切り粗面熱ロール;ヒラノ技研工業(株)製)のプレス用ロール(ロール温度100℃ 、プレス線圧10kN/cm)の上方の間にある凹みに供給した。これにより基材フィルム16と粉体層とが積層された2層シートが得られた。この2層シートは平均膜厚450.2μm、標準偏差3.5%、変動係数0.7%であり、平均密度が0.452mg/cm3、標準偏差0.5%、変動係数1.0%であった。尚、ここで示す変動係数は標準偏差を平均値で割ったものであり、バラツキを示す指標として記した。
【実施例2】
【0094】
実施例1の工程Iにおいて得られた複合粒子(粉体6)を用いて、実施例1と同様の手順で得られた、基材フィルム16と粉体層とが積層された2層シートを用いて、実施例1と同様にして基材フィルム16の裏面側に粉体層を形成して3層シートを得た。裏面側に形成した粉体層は、平均膜厚455.3μm、標準偏差19.7%、変動係数4.3%であり、平均密度が0.427mg/cm3、標準偏差1.8%、変動係数4.2%であった。
【比較例1】
【0095】
実施例1の工程Iと同様の方法で得られた複合粒子を用いて、リボン状フィルムを用いない点以外は実施例1と同様にして2層シートを得た。この2層シートは、平均膜厚456.3μm、標準偏差6.4%、変動係数1.4%であり、平均密度0.453mg/cm3、標準偏差0.7%、変動係数1.5%であった。しかしながら、このシート状成形体には基材フィルムと粉体層の境界線付近に白いスジが入っていた。
【比較例2】
【0096】
実施例1の工程Iと同様にして得られた複合粒子を用いて、実施例1と同様の手順で得られた、基材フィルム16と粉体層とが積層された2層シートを用いて、比較例1と同様にして基材フィルムを用いず裏面側に粉体層を形成して3層シートを得た。裏面側に形成した粉体層は、膜厚478.3μm、標準偏差26.4%、変動係数5.5%であり、平均密度0.434mg/cm3、標準偏差2.3%、変動係数5.3%であった。得られたシートは膜厚精度も良好とは言えず、また成形圧力によるシートへの定期的な斜めに入る皺が生じていた。
【0097】
実施例1と比較例1からリボン状フィルムを用いることによって、膜厚精度の向上と基材に生じた白いスジを無くす効果による外観の向上が見出せた。実施例2と比較例2によってリボン状フィルムによる膜厚精度向上とリボン状フィルムによる皺の発生の抑制が示唆された。尚、この実験はN=3で行い、いずれも同様な傾向を得て、繰り返し行った実験でも膜厚精度の向上と外観向上に同様な結果を得ることが出来た。
【0098】
(粉体層厚さ及びばらつきの測定法)
粉体層の厚さ測定は接触式デジタル測厚器(東洋精機製JIS-K6250)を用い、2cm間隔で10点測定し平均値とばらつきを求めた。以上の実施例および比較例より、本発明の製造方法によって製造した実施例1〜3のシート状成形体は、厚さばらつきが小さく、標準偏差が小さいことがわかる。これに対して、従来の方法によって製造した比較例1〜3のシート状成形体は、厚さばらつきが大きく、標準偏差も大きいことがわかる。
【0099】
(粉体層密度の測定法)
シート状成形体をΦ16mmの大きさに打ち抜き重量と体積を測定し、基材部分を除いた粉体層の密度を計算した。また、実施例3及び比較例3に示した粉体層の密度は両面の膜厚を測定し、片面を剥がす事によって基材膜厚を差し引いて算出した。
【符号の説明】
【0100】
2,200,202,204…粉体成形装置、4…圧縮ロール、4A,4B…ロール、5…溝、6…粉体、8A,8B…仕切板、12…リボン状フィルム、14…基材巻出しロール、16…基材、22…基材巻取りロール
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール間で粉体を圧延成形する粉体成形装置及びこの装置を用いた粉体成形シートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、繰り返し充放電が可能なリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学素子は、環境対応からも今後の需要の拡大が見込まれている。リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が大きく携帯電話やノート型パソコン等の分野で利用されており、電気二重層キャパシタは、急激な充放電が可能でパソコン等のメモリバックアップ小型電源として利用されている。また、金属酸化物や導電性高分子の表面の酸化還元反応(疑似電気二重層容量)を利用するリチウムイオンキャパシタもその容量の大きさから注目を集めている。これら電気化学素子は、用途の拡大や発展に伴い、低抵抗化、大容量化、機械的特性の向上等でより一層の性能向上が求められている。電気化学素子の性能を向上させるために、電気化学素子の作製方法、電解質、電解液についても様々な改善が行われている。
【0003】
電極化学素子の作製方法である粉末圧延技術の一つとして、ロール加熱式直接粉末圧延方法が従来より知られている。かかる粉末圧延方法を実施するための粉末圧延装置は、水平且つ平行に一対の圧延ロールを配置すると共に、該圧延ロール間に基材を設け、且つ圧延ロール間の上部に設けられた仕切板内に投入された粉体を、圧延ロールの回転で圧延ロール間の間隙に引き込んで連続的に粉体が成形されたシートを製造する(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−303395号公報
【特許文献2】特開2006−339184号公報
【特許文献3】特開2007−5747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、粉体を圧延して基材と粉体層とからなる積層シートを製造するにあたっては、ロール間を通した後の基材端部に圧力がかかったような痕が残り、特定箇所の基材が変色したり、皺が入ったりして不良品となる場合があった。また仕切板近傍の積層シート端部の厚みが仕切板の影響で積層シート中央部に比べて厚くなり、積層シートの膜厚にバラツキが生じる場合があった。更に仕切板内に貯留された粉体がロール間に供給されるときにロール端部から粉漏れが生じて粉体の歩留まりが悪化する場合があった。
【0006】
本発明の目的は、外観が良好であり膜厚精度を向上させた粉体成形シートを成形する粉体成形装置及びこの装置を用いた粉体成形シートの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために検討した結果、基材の端部に圧力がかかり難くすることによって、外観が良好であって、膜厚精度を向上させた粉体成形シートが得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0008】
本発明によれば、
(1) 回転軸が平行で互いに逆向きに回転する一対のロールと、前記一対のロール間に供給される粉体が貯留された粉体貯留部と、前記一対のロールの内の一方のロールを抱かせるように前記一対のロール間を通し基材を搬送する基材搬送部とを備え、前記一対のロールからの圧力が前記基材の幅方向の両端部にかかり難くした状態で前記粉体貯留部から供給された粉体を前記基材上に圧延成形することを特徴とする粉体成形装置、
(2) 前記基材の両端部の表面に這わせたフィルムを更に備えることを特徴とする(1)記載の粉体成形装置、
(3) 前記フィルムの厚さが10μm〜500μmであることを特徴とする(2)記載の粉体成形装置、
(4) 前記一対のロールの上方に形成される凹部の両端に設置された一対の仕切板を更に備え、前記フィルムは、前記基材または前記ロールに接触し、前記仕切板に接触しないように配置されていることを特徴とする(2)または(3)記載の粉体成形装置、
(5) 前記フィルムは、前記ロールと前記仕切板との間隙を経るように配置されていることを特徴とする(2)〜(4)の何れかに記載の粉体成形装置、
(6) 前記フィルムは、前記基材の幅に合わせて前記基材の幅方向の位置が変更可能であることを特徴とする(2)〜(5)の何れかに記載の粉体成形装置、
(7) 前記一対のロールの内の他方のロールの軸方向の長さを前記一方のロールの軸方向の長さに比較して短くし、前記基材の両端部に対向しないようにしたことを特徴とする(1)記載の粉体成形装置、
(8) 前記一対のロールの内の他方のロールの両端部に溝が設けられていることを特徴とする(1)記載の粉体成形装置、
(9) 前記一対のロールの軸方向の長さを前記基材上に圧延成形する粉体の幅と略等しくしたことを特徴とする(1)記載の粉体成形装置、
(10) 前記一対のロールの内の他方のロールの両端部に無回転のスリーブが設けられていることを特徴とする(1)記載の粉体成形装置、
(11) 前記一対のロールの内の他方のロールの軸方向の長さを前記一方のロールの軸方向の長さに比較して短くし、前記他方のロールの両端部に停止または前記他方のロールとは逆方向に回転させる端部ロールを設けたことを特徴とする(1)記載の粉体成形装置、
(12) (1)〜(11)の何れかに記載の粉体成形装置を用いて、前記粉体貯留部から供給された粉体を前記一対のロールで圧延成形し前記基材上に粉体層を積層する粉体成形シートの製造方法、
が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外観が良好であり膜厚精度を向上させた粉体成形シートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態の係る粉体成形装置を側面から見た概要図である。
【図2】第1の実施の形態の係る粉体成形装置を上部から見た概要図である。
【図3】第2の実施の形態の係る粉体成形装置を側面から見た概要図である。
【図4】第2の実施の形態の係る粉体成形装置を上部から見た概要図である。
【図5】第3の実施の形態の係る粉体成形装置を側面から見た概要図である。
【図6】第3の実施の形態の係る粉体成形装置を上部から見た概要図である。
【図7】第4の実施の形態の係る粉体成形装置を側面から見た概要図である。
【図8】第4の実施の形態の係る粉体成形装置を上部から見た概要図である。
【図9】第5の実施の形態の係る粉体成形装置を側面から見た概要図である。
【図10】第5の実施の形態の係る粉体成形装置を上部から見た概要図である。
【図11】第6の実施の形態の係る粉体成形装置を側面から見た概要図である。
【図12】第6の実施の形態の係る粉体成形装置を上部から見た概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態に係る粉体成形装置及び粉体成形シートの製造方法について説明する。図1は第1の実施の形態に係る粉体成形装置を側面から見た概略図、図2は第1の実施の形態に係る粉体成形装置を上部から見た概略図である。なお、図1に示すように仕切板8A,8Bは、ロール4Aの最上部からロール4Bの最上部までの幅を有しているが、粉体成形装置2の構成を理解しやすくするために、図2においてはロールニップ点(ロール4A,4Bのロール間隙が最も狭くなる部分)についてのみ仕切板8A,8Bを記載している。
【0012】
粉体成形装置2は、回転軸が水平かつ平行に配列され近接部ではそれぞれ下向きに回転する一対のロール4A,4Bにより構成される圧縮ロール4を備えている。一対のロール4A,4B間の上部に形成されている凹みの両端部には一対の仕切板8A,8Bが配置され、一対のロール4A,4Bと一対の仕切板8A,8Bにより形成された空間に粉体6が貯留されている。
【0013】
またロール4A,4Bの間隙を経て圧縮ロール4の上方から下方に至るように、圧縮ロール4の上方及び下方にそれぞれ配置されたフィルム止め10間に取り付けられた一対のリボン状フィルム12を備えている。ここで一対のリボン状フィルム12はそれぞれ一対のロール4A,4Bの両端部に配置されており、基材16またはロール4Aに触れるが、仕切板8A,8Bに触れないように取り付けられている。さらに、リボン状フィルム12は、ロール4Aと仕切板8A,8Bとの間隙を経るように取り付けられている。また、リボン状フィルム12は、製造する粉体成形シートの厚さに基づいて10μm〜500μmの厚さのものが適宜選択される。これにより圧延の際にリボン状フィルム12が圧縮ロール4に巻き込まれること、リボン状フィルム12が切れるのを防止することができる。
【0014】
またリボン状フィルム12のロール4A,4Bに対する位置は、基材16の幅に合わせて基材16の幅方向に変更可能に構成されている。ここで基材巻出しロール14から巻き出された基材16は、ガイドロール18を経て、ロール4Aを抱かせ、ロール4Aとロール4Bとの間を抜けて、別のガイドロール20を経て、基材巻取りロール22に巻き取られるようにセットされる。即ち、基材16はロール4A,4Bの両端部においてロール4A,4Bとリボン状フィルム12の間にセットされる。
【0015】
圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれ図1に示す矢印方向へ回転することにより粉体6を咬み込み、粉体6をロール4A,4Bにより基材16の一方の面に圧延成形する。なお、図2は、基材16の一方の面に粉体6が圧延成形され、粉体層7が形成された後に再度他方の面に粉体6を圧延成形する場合を示している。ここで圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれモータ等により駆動されることにより回転するが、ロール4A,4Bの回転速度はそれぞれ自在に変更することができる。また圧縮ロール4は粉体の種類、性質に応じて冷却、加温等の温度調節を行うことができる温度調節機構を備えている。温度調節機構としては、ロール4A,4Bの内部に配置された熱媒を使用する方法、直接伝熱線等で加温する方法等が挙げられる。
【0016】
この実施の形態に係る粉体成形装置においては、基材16の両端部の上面にリボン状フィルム12が這わせてあるため、この部分はロール4A,4Bが回転する場合においてもリボン状フィルム12は停止しており、更にこの部分はロール4A,4Bの隙間(ロール間隔)が小さくなっていることから、ロール4A,4Bが回転してもリボン状フィルム12が這わせてある部分では、粉体6を咬み込まず、基材16に圧力がかかり難い。従って、基材16の両端部における皺の発生や基材16の変色を防止することができる。また圧延成形された粉体の両端部と仕切板8A,8Bが近接しておらず、仕切板8A,8Bの影響を直接受けないため粉体成形シート(粉体層7)の厚さを均一にすることができる。このため圧延後に粉体成形シートの不良部分をカットする工程を別途設ける必要がなく、歩留まりの悪化防止および生産効率の向上に寄与する。更に、リボン状フィルム12上に粉体6が滞留することにより粉漏れが減少すると共に、粉体6が漏れた場合においても粉体6を回収しそのまま再利用することができるため、製造コストの低下を図ることができる。
【0017】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る粉体成形装置及び粉体成形シートの製造方法について説明する。図3は第2の実施の形態に係る粉体成形装置を側面から見た概略図、図4は第2の実施の形態に係る粉体成形装置を上部から見た概略図である。なお、図3に示すように仕切板8A,8Bは、ロール4Aの最上部からロール4Bの最上部までの幅を有しているが、粉体成形装置200の構成を理解しやすくするために、図4においてはロールニップ点についてのみ仕切板8A,8Bを記載している。また、第2の実施の形態に係る粉体成形装置200の構成は、図1に示す第1の実施の形態に係る粉体成形装置2の一対のリボン状フィルム12を取り除き、一対のロール4A,4Bの内のロール4Bの軸方向の長さをロール4Aの軸方向の長さに比較して短くし、基材16の両端部に対向しないようにしたものである。従って第1の実施の形態と同様の構成についての詳細な説明は省略し、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0018】
粉体成形装置200の圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれ図3に示す矢印方向へ回転することにより粉体6を咬み込み、粉体6をロール4A,4Bにより基材16の一方の面に圧延成形する。なお、図4は、基材16の一方の面に粉体6が圧延成形され、粉体層7が形成された後に再度他方の面に粉体6を圧延成形する場合を示している。
【0019】
この実施の形態に係る粉体成形装置200においては、一対のロール4A,4Bの内のロール4Bの軸方向の長さをロール4Aの軸方向の長さに比較して短くし、基材16の両端部に対向しないようにしているため、この部分にはロール4A,4Bからの圧力がかからない。従って、基材16の両端部における皺の発生や基材16の変色を防止することができ、粉体成形シートの厚さを均一にすることができる。このため圧延後に粉体成形シートの不良部分をカットする工程を別途設ける必要がなく、歩留まりの悪化防止および生産効率の向上に寄与する。
【0020】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る粉体成形装置及び粉体成形シートの製造方法について説明する。図5は第3の実施の形態に係る粉体成形装置を側面から見た概略図、図6は第3の実施の形態に係る粉体成形装置を上部から見た概略図である。なお、図5に示すように仕切板8A,8Bは、ロール4Aの最上部からロール4Bの最上部までの幅を有しているが、粉体成形装置202の構成を理解しやすくするために、図6においてはロールニップ点についてのみ仕切板8A,8Bを記載している。また、第3の実施の形態に係る粉体成形装置202の構成は、図1に示す第1の実施の形態に係る粉体成形装置2の一対のリボン状フィルム12を取り除き、一対のロール4A,4Bの内のロール4Bの軸方向の端部に溝5を形成したものである。従って第1の実施の形態と同様の構成についての詳細な説明は省略し、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0021】
粉体成形装置202の圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれ図5に示す矢印方向へ回転することにより粉体6を咬み込み、粉体6をロール4A,4Bにより基材16の一方の面に圧延成形する。なお、図6は、基材16の一方の面に粉体6が圧延成形され、粉体層7が形成された後に再度他方の面に粉体6を圧延成形する場合を示している。
【0022】
この実施の形態に係る粉体成形装置202においては、ロール4Bの軸方向の端部に溝5が形成されているため、この部分においてはロール4A,4Bが回転する場合においても基材16に圧力がかからず粉体6の圧延成形が行なわれない。従って、基材16の両端部における皺の発生や基材16の変色を防止することができ、粉体成形シートの厚さを均一にすることができる。このため圧延後に粉体成形シートの不良部分をカットする工程を別途設ける必要がなく、歩留まりの悪化防止および生産効率の向上に寄与する。
【0023】
次に、本発明の第4の実施の形態に係る粉体成形装置及び粉体成形シートの製造方法について説明する。図7は第4の実施の形態に係る粉体成形装置を側面から見た概略図、図8は第4の実施の形態に係る粉体成形装置を上部から見た概略図である。なお、図7に示すように仕切板8A,8Bは、ロール4Aの最上部からロール4Bの最上部までの幅を有しているが、粉体成形装置204の構成を理解しやすくするために、図8においてはロールニップ点についてのみ仕切板8A,8Bを記載している。また、第4の実施の形態に係る粉体成形装置204の構成は、図1に示す第1の実施の形態に係る粉体成形装置2の一対のロール4A,4Bの軸方向の長さを基材16に圧延成形する粉体6の幅と略等しくし、基材16の両端部をロール4A,4Bの外側に出したものである。従って第1の実施の形態と同様の構成についての詳細な説明は省略し、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0024】
粉体成形装置204の圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれ図7に示す矢印方向へ回転することにより粉体6を咬み込み、粉体6をロール4A,4Bにより基材16の一方の面に圧延成形する。なお、図8は、基材16の一方の面に粉体6が圧延成形され、粉体層7が形成された後に再度他方の面に粉体6を圧延成形する場合を示している。
【0025】
この実施の形態に係る粉体成形装置204においては、一対のロール4A,4Bの軸方向の長さを基材16に圧延成形する粉体6の幅と略等しくし、基材16の両端部をロール4A,4Bの外側に出しているため、基材16の両端部にはロール4A,4Bからの圧力がかからない。従って、基材16の両端部における皺の発生や基材16の変色を防止することができ、粉体成形シートの厚さを均一にすることができる。このため圧延後に粉体成形シートの不良部分をカットする工程を別途設ける必要がなく、歩留まりの悪化防止および生産効率の向上に寄与する。
【0026】
次に、本発明の第5の実施の形態に係る粉体成形装置及び粉体成形シートの製造方法について説明する。図9は第5の実施の形態に係る粉体成形装置を側面から見た概略図、図10は第5の実施の形態に係る粉体成形装置を上部から見た概略図である。なお、図9に示すように仕切板8A,8Bは、ロール4Aの最上部からロール4Bの最上部までの幅を有しているが、粉体成形装置206の構成を理解しやすくするために、図10においてはロールニップ点についてのみ仕切板8A,8Bを記載している。また、第5の実施の形態に係る粉体成形装置206の構成は、図1に示す第1の実施の形態に係る粉体成形装置2の一対のロール4A,4Bの内のロール4Bの両端部に直径が小さい段部を設け、段部に回転しないスリーブ9を装着したものである。従って第1の実施の形態と同様の構成についての詳細な説明は省略し、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0027】
粉体成形装置206の圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれ図9に示す矢印方向へ回転することにより粉体6を咬み込み、粉体6をロール4A,4Bにより基材16の一方の面に圧延成形する。なお、図10は、基材16の一方の面に粉体6が圧延成形され、粉体層7が形成された後に再度他方の面に粉体6を圧延成形する場合を示している。
【0028】
この実施の形態に係る粉体成形装置206においては、一対の回転ロール4A,4Bの内のロール4Bの両端部に直径が小さい段部を設け、段部に回転しないスリーブ9を装着しているため、この部分においては粉体6を咬み込まないことから基材16にロール4A,4Bからの圧力がかからない。従って、基材16の両端部における皺の発生や基材16の変色を防止することができ、粉体成形シートの厚さを均一にすることができる。このため圧延後に粉体成形シートの不良部分をカットする工程を別途設ける必要がなく、歩留まりの悪化防止および生産効率の向上に寄与する。また、ロール4Bのスリーブ9の部分に入った粉体6はそのまま回収して再使用することができる。
【0029】
次に、本発明の第6の実施の形態に係る粉体成形装置及び粉体成形シートの製造方法について説明する。図11は第6の実施の形態に係る粉体成形装置を側面から見た概略図、図12は第6の実施の形態に係る粉体成形装置を上部から見た概略図である。なお、図11に示すように仕切板8A,8Bは、ロール4Aの最上部からロール4Bの最上部までの幅を有しているが、粉体成形装置208の構成を理解しやすくするために、図12においてはロールニップ点についてのみ仕切板8A,8Bを記載している。また、第6の実施の形態に係る粉体成形装置208の構成は、図2に示す一対のロール4A,4Bの内のロール4Bの軸方向の長さをロール4Aの軸方向の長さに比較して短くし、両端部に別駆動による端部ロール11を備えることで、基材16の両端部に圧力がかからないようにしたものである。従って第1の実施の形態と同様の構成についての詳細な説明は省略し、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0030】
粉体成形装置208の圧縮ロール4のロール4A,4Bはそれぞれ図11に示す矢印方向へ回転することにより粉体6を咬み込み、粉体6をロール4A,4Bにより基材16の一方の面に圧延成形する。なお、図12は、基材16の一方の面に粉体6が圧延成形され、粉体層7が形成された後に再度他方の面に粉体6を圧延成形する場合を示している。
【0031】
この実施の形態に係る粉体成形装置208においては、一対のロール4A,4Bの内のロール4Bの軸方向の長さをロール4Aの軸方向の長さに比較して短くし、両端部に別駆動による端部ロール11を備え、端部ロール11を停止させ、または端部ロール11をロール4Bと逆方向に回転させることにより、基材16のロール11が対向している部分においては粉体6を咬み込まないことから基材16にロール4A及びロール11からの圧力がかからない。従って、基材16の両端部における皺の発生や基材16の変色を防止することができ、粉体成形シートの厚さを均一にすることができる。このため圧延後に粉体成形シートの不良部分をカットする工程を別途設ける必要がなく、歩留まりの悪化防止および生産効率の向上に寄与する。また、端部ロール11の部分は粉体6が入りにくい構造を有しているが、端部ロール11の部分に入った場合においても粉体6はそのまま回収して再使用することができる。
【0032】
本発明で使用される基材16としては、薄いフィルム状の基材であればよく、通常、厚さ1μm〜1000μm、好ましくは5μm〜800μmである。基材16としては、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄等の金属箔または紙、天然繊維、高分子繊維、布帛、高分子樹脂フィルム等が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。高分子樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂フィルム、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、アラミドフィルム、PEN、PEEK等を含んで構成されるプラスチックフィルム、シート等が挙げられる。
【0033】
また、基材16の表面には塗膜処理、穴あけ加工、バフ加工、サンドブラスト加工及び/又はエッチング加工等の処理が施されていても良い。バックアップ基材表面に接着剤等を塗布した基材は、シート状粉体を強固に保持することができるため、特に好ましい。
【0034】
本発明で使用されるリボン状フィルム12の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の樹脂フィルムやアルミ・銅等の金属箔が挙げられる。
【0035】
ロール4A,4Bと仕切板8A,8Bとにより形成される空間に貯留される粉体6としては、例えば電極活物質を含む複合粒子が挙げられる。
【0036】
複合粒子は、電極活物質及び結着材を含み、必要に応じてその他の分散剤、導電材および添加剤を含んでもよい。
【0037】
複合粒子をリチウムイオン二次電池の電極材料として用いる場合、正極用活物質としては、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な金属酸化物が挙げられる。かかる金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、燐酸鉄リチウム、燐酸マンガンリチウム、燐酸バナジウムリチウム、バナジン酸鉄リチウム、ニッケル− マンガン− コバルト酸リチウム、ニッケル− コバルト酸リチウム、ニッケル− マンガン酸リチウム、鉄− マンガン酸リチウム、鉄−マンガン− コバルト酸リチウム、珪酸鉄リチウム、珪酸鉄− マンガンリチウム、酸化バナジウム、バナジン酸銅、酸化ニオブ、硫化チタン、酸化モリブデン、硫化モリブデン、等を挙げることができる。なお、上記にて例示した正極活物質は適宜用途に応じて単独で使用してもよく、複数種混合して使用してもよい。
【0038】
さらに、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリキノンなどのポリマーが挙げられる。これらのうち、リチウム含有金属酸化物を用いることが好ましい。
【0039】
なお、リチウムイオン二次電池用正極の対極としての負極の活物質としては、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、活性炭、熱分解炭素などの低結晶性炭素(非晶質炭素)、グラファイト(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノウォール、カーボンナノチューブ、あるいはこれら物理的性質の異なる炭素の複合化炭素材料、錫やケイ素等の合金系材料、ケイ素酸化物、錫酸化物、バナジウム酸化物、チタン酸リチウム等の酸化物、ポリアセン等が挙げられる。なお、上記に例示した電極活物質は適宜用途に応じて単独で使用してもよく、複数種混合して使用してもよく。
【0040】
リチウムイオン二次電池電極用の電極活物質の形状は、粒状に整粒されたものが好ましい。粒子の形状が球形であると、電極成形時により高密度な電極が形成できる。
【0041】
リチウムイオン二次電池電極用の電極活物質の体積平均粒子径は、正極、負極ともに通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.8〜20μmである。
【0042】
リチウムイオン二次電池用電極活物質のタップ密度は、特に制限されないが、正極では2g/cm3以上、負極では0.6g/cm3以上のものが好適に用いられる。
【0043】
複合粒子をリチウムイオンキャパシタの電極材料として用いる場合、正極用活物質としては、アニオンおよび/またはカチオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な活性炭、ポリアセン系有機半導体(PAS)、カーボンナノチューブ、カーボンウィスカー、グラファイト等が挙げられる。好ましい電極活物質は活性炭、カーボンナノチューブである。
【0044】
なお、リチウムイオンキャパシタ用正極の対極としての負極の活物質としては、リチウムイオン二次電池用負極活物質として例示した材料をいずれも使用することができる。リチウムイオンキャパシタ用電極に用いる電極活物質の体積平均粒子径は、通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、更に好ましくは0.8〜20μmである。
【0045】
リチウムイオンキャパシタ電極活物質として活性炭を用いる場合、活性炭の比表面積は、30m2/g以上、好ましくは500〜3,000m2/g、より好ましくは1,500〜2,600m2/gである。比表面積が約2,000m2/gまでは比表面積が大きくなるほど活性炭の単位重量あたりの静電容量は増加する傾向にあるが、それ以降は静電容量は然程増加せず、かえって電極合材層の密度が低下し、静電容量密度が低下する傾向にある。また、活性炭が有する細孔のサイズは電解質イオンのサイズに適合していることがリチウムイオンキャパシタとしての特徴である急速充放電特性の面で好ましい。従って、電極活物質を適宜選択することで、所望の容量密度、入出力特性を有する電極合材層を得ることができる。
【0046】
複合粒子を電気二重層キャパシタの電極材料として用いる場合、正極活物質および負極活物質としては、リチウムイオンキャパシタ用正極活物質として例示された材料をいずれも使用することができる。
【0047】
複合粒子に用いられる結着材としては、前記電極活物質を相互に結着させることができる化合物であれば特に制限はない。好適な結着材は、溶媒に分散する性質のある分散型結着材である。分散型結着材として、例えば、シリコン系重合体、フッ素含有重合体、共役ジエン系重合体、アクリレート系重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン等の高分子化合物が挙げられ、好ましくはフッ素系含有重合体、共役系ジエン重合体およびアクリレート系重合体、より好ましくは共役ジエン系重合体およびアクリレート系重合体が挙げられる。
【0048】
ジエン系重合体は、共役ジエンの単独重合体もしくは共役ジエンを含む単量体混合物を重合して得られる共重合体、またはそれらの水素添加物である。前記単量体混合物における共役ジエンの割合は通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上である。ジエン重合体の具体例としては、ポリブタジエンやポリイソプレンなどの共役ジエン単独重合体;カルボキシ変性されていてもよいスチレン・ブタジエン共重合体(SBR)などの芳香族ビニル・共役ジエン共重合体;アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)などのシアン化ビニル・共役ジエン共重合体;水素化SBR、水素化NBR等が挙げられる。
【0049】
アクリレート重合体は、一般式(1):CH2=CR1−COOR2(式中、R1は水素原子またはメチル基を、R2はアルキル基またはシクロアルキル基を表す。)で表される化合物由来の単量体単位を含む重合体、具体的には、一般式(1)で表される化合物の単独重合体、または前記一般式(1)で表される化合物を含む単量体混合物を重合して得られる共重合体である。一般式(1)で表される化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、および(メタ)アクリル酸トリデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等のエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸等のカルボン酸含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル等のフッ素基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸リン酸エチル等のリン酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル;等が挙げられる。
【0050】
これら(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、および(メタ)アクリル酸n―ブチルやアルキル基の炭素数が6〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。これらを選択することにより、電解液に対する膨潤性の低くすることが可能となり、サイクル特性を向上させることができる。
【0051】
分散型結着材中における(メタ)アクリル酸エステル単位の含有割合は、好ましくは50〜95重量%であり、より好ましくは60〜90重量%である。(メタ)アクリル酸エステル単位の含有割合を上記範囲とすることにより、電極とした際における柔軟性を向上させることができ、割れに対する耐性を高いものとすることができる。
【0052】
また、アクリレート系重合体としては、上述した(メタ)アクリル酸エステルと、これと共重合可能な単量体との共重合体であってもよく、このような共重合可能な単量体としては、たとえば、α,β−不飽和ニトリルモノマー、酸成分を有するビニルモノマーなどが挙げられる。
【0053】
α,β−不飽和ニトリルモノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。
【0054】
分散型結着材中におけるα,β−不飽和ニトリルモノマー単位の含有割合は、通常0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜20重量部の範囲である。α,β−不飽和ニトリルモノマー単位の含有割合を上記範囲とすることにより、結着材としての結着力をより高めることができる。
【0055】
酸成分を有するビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましく、メタクリル酸、イタコン酸がより好ましく、特に、メタクリル酸とイタコン酸とを併用して用いることが好ましい。
【0056】
分散型結着材中における酸成分を有するビニルモノマー単位の含有割合は、好ましくは10〜1.0重量%であり、より好ましくは1.5〜5.0重量%である。酸成分を有するビニルモノマー単位の含有割合を上記範囲とすることにより、スラリーとした際における安定性を向上させることができる。
【0057】
さらに、アクリレート系重合体としては、上述した各単量体と共重合可能な他の単量体を共重合したものであってもよく、このような他の単量体としては、たとえば、2つ以上の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル類、芳香族ビニル系単量体、アミド系単量体、オレフィン類、ジエン系単量体、ビニルケトン類、複素環含有ビニル化合物などが挙げられる。
【0058】
分散型結着材の形状は、特に制限はないが、粒子状であることが好ましい。粒子状であることにより、結着性が良く、また、作製した電極の容量の低下や充放電の繰り返しによる劣化を抑えることができる。粒子状の結着材としては、例えば、ラテックスのごとき結着材の粒子が水に分散した状態のものや、このような分散液を乾燥して得られる粉末状のものが挙げられる。
【0059】
分散型結着材の体積平均粒子径は、好ましくは0.001〜100μm、より好ましくは10〜1000nm、さらに好ましくは50〜500nmである。分散型結着材粒子の平均粒子径を上記範囲とすることにより、スラリーとした際における安定性を良好なものとしながら、得られる電極としての強度及び柔軟性が良好となる。
【0060】
結着材の量は、電極活物質100重量部に対して、乾燥重量基準で通常は0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部である。結着材の量がこの範囲にあると、得られる電極合材層と集電体との密着性が充分に確保でき、かつ、内部抵抗を低くすることができる。
【0061】
複合粒子には、前述のように必要に応じて分散剤を用いてもよい。分散剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸エステル、ならびにアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、ポリアクリル酸、およびポリアクリル酸(またはメタクリル酸)ナトリウムなどのポリアクリル酸(またはメタクリル酸)塩、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、キチン、キトサン誘導体などが挙げられる。これらの分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、セルロース系ポリマーが好ましく、カルボキシメチルセルロースまたはそのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩が特に好ましい。これらの分散剤の使用量は、本発明の効果を損ねない範囲であれば格別な限定はないが、電極活物質100重量部に対して、通常は0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは0.8〜2重量部の範囲である。
【0062】
複合粒子は、電極活物質、結着材および必要に応じ添加される前記導電材等他の成分を用いて造粒することにより得られ、少なくとも電極活物質、結着材を含んでなるが、前記のそれぞれが個別に独立した粒子として存在するのではなく、構成成分である電極活物質、結着材を含む2成分以上によって一粒子を形成するものである。具体的には、前記2成分以上の個々の粒子の複数個が結合して二次粒子を形成しており、複数個(好ましくは数個〜数十個)の電極活物質が、結合材によって結着されて粒子を形成しているものが好ましい。
【0063】
導電材を複合粒子に添加する場合、導電材の含有割合は、電極活物質100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部である。導電材の含有割合を上記範囲とすることにより、得られる蓄電デバイスの容量を高く保ちながら、内部抵抗を十分に低減することが可能となる。
【0064】
複合粒子の形状は、流動性の観点から実質的に球形であることが好ましい。すなわち、複合粒子の短軸径をLs、長軸径をLl、La=(Ls+Ll)/2とし、(1−(Ll−Ls)/La)×100の値を球形度(%)としたとき、球形度が80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。
【0065】
ここで、短軸径Lsおよび長軸径Llは、走査型電子顕微鏡写真像より測定される値である。
【0066】
複合粒子の体積平均粒子径は、通常0.1〜1000μm、好ましくは1〜200μm、より好ましくは30〜150μmの範囲である。複合粒子の体積平均粒子径をこの範囲にすることにより、所望の厚みの電極合材層を容易に得ることができるため好ましい。
【0067】
なお、複合粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(たとえば、SALD−3100;島津製作所製)にて測定し、算出される体積平均粒子径である。
【0068】
また、複合粒子としての構造は特に限定されないが、結着材が複合粒子の表面に偏在することなく、複合粒子内に均一に分散する構造が好ましい。
【0069】
複合粒子の製造方法は特に限定されないが、次に述べる二つの製造方法によって複合粒子を容易に得ることができる。
【0070】
複合粒子の第一の製造方法は、流動層造粒法である。流動層造粒法は、結着剤、および必要に応じて導電材、分散剤やその他の添加剤を含有するスラリーを得る工程、加熱された気流中に電極活物質を流動させ、そこに前記スラリーを噴霧し、電極活物質同士を結着させると共に乾燥する工程を有するものである。以下、流動層粒粒法について説明する。
【0071】
(流動層造粒法)
先ず結着剤、および必要に応じて導電材、分散剤やその他の添加剤を含有するスラリーを得る。スラリーを得るために用いる溶媒として、最も好適には水が用いられるが、有機溶媒を用いることもできる。有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどのアルキルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのアルキルケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム等のエーテル類;ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)、ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類などが挙げられるが、アルキルアルコール類が好ましい。水よりも沸点の低い有機溶媒を併用すると、流動造粒時に、乾燥速度を速くすることができる。また、水よりも沸点の低い有機溶媒を併用すると、結着剤の分散性又は溶解型樹脂の溶解性が変わると共に、スラリーの粘度や流動性を溶媒の量又は種類によって調製できるので、生産効率を向上させることができる。
【0072】
スラリーを調製するときに使用する溶媒の量は、スラリーの固形分濃度が、通常は1〜50重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%の範囲となるような量である。溶媒の量がこの範囲にあるときに、結着剤が均一に分散するため好適である。
【0073】
結着剤、必要に応じて導電材、分散剤やその他の添加剤を溶媒に分散又は溶解する方法又は手順は特に限定されず、例えば、溶媒に結着剤、導電材、分散剤やその他の添加剤を添加し混合する方法、溶媒に分散剤を溶解した後、溶媒に分散させた結着剤(例えば、ラテックス)を添加して混合し、最後に導電材やその他の添加剤を添加して混合する方法、溶媒に溶解させた分散剤に導電材を添加して混合し、それに溶媒に分散させた結着剤を添加して混合する方法などが挙げられる。混合の手段としては、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーなどの混合機器が挙げられる。混合は、通常、室温〜80℃の範囲で、10分〜数時間行う。
【0074】
次に電極活物質を流動化させ、そこに前記スラリーを噴霧して、流動造粒する。流動造粒としては、流動層によるもの、変形流動層によるもの、噴流層によるものなどが挙げられる。流動層によるものは、熱風で電極活物質を流動化させ、これにスプレー等から前記スラリーを噴霧して凝集造粒を行う方法である。変形流動層によるものは、前記流動層と同様であるが、層内の粉体に循環流を与え、かつ分級効果を利用して比較的大きく成長した造粒物を排出させる方法である。また、噴流層によるものは、噴流層の特徴を利用して粗い粒子にスプレー等からのスラリーを付着させ、同時に乾燥させながら造粒する方法である。本発明における複合粒子の製造方法としては、この3つ方式のうち流動層又は変形流動層によるものが好ましい。
【0075】
噴霧されるスラリーの温度は、通常は室温であるが、加温して室温以上にしたものであってもよい。流動化に用いる熱風の温度は、通常70〜300℃、好ましくは80〜200℃である。
【0076】
以上の製造方法によって、電極活物質、結着剤および必要に応じて導電材、分散剤やその他の添加剤を含む複合粒子が得られる。
【0077】
複合粒子の第二の製造方法は、噴霧乾燥造粒法である。以下に説明する噴霧乾燥造粒法によれば、本発明の複合粒子を比較的容易に得ることができるため、好ましい。以下、噴霧乾燥造粒法について説明する。
【0078】
(噴霧乾燥造粒法)
まず、電極活物質、結着材を含有する複合粒子用スラリーを調製する。複合粒子用スラリーは、電極活物質、結着材、ならびに必要に応じて添加される導電材を、溶媒に分散又は溶解させることにより調製することができる。なお、この場合において、結着材が分散媒としての水に分散されたものである場合には、水に分散させた状態で添加することができる。
【0079】
複合粒子用スラリーを得るために用いる溶媒としては、通常、水が用いられるが、水と有機溶媒との混合溶媒を用いてもよい。この場合に用いることができる有機溶媒としては、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルキルアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のアルキルケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム等のエーテル類、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類等が挙げられる。これらのなかでも、アルコール類が好ましい。水と、水よりも沸点の低い有機溶媒とを併用することにより、噴霧乾燥時に、乾燥速度を速くすることができる。また、これにより、複合粒子用スラリーの粘度や流動性を調整することができ、生産効率を向上させることができる。
【0080】
また、複合粒子用スラリーの粘度は、室温において、好ましくは10〜3,000mPa・s、より好ましくは30〜1,500mPa・s、さらに好ましくは50〜1,000mPa・sの範囲である。複合粒子用スラリーの粘度がこの範囲にあると、噴霧乾燥造粒工程の生産性を上げることができる。
【0081】
また、本発明においては、複合粒子用スラリーを調製する際に、必要に応じて、分散剤や界面活性剤を添加してもよい。
【0082】
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、ノニオニックアニオン等の両性の界面活性剤が挙げられるが、アニオン性又はノニオン性界面活性剤で熱分解しやすいものが好ましい。界面活性剤の配合量は、正極活物質100重量部に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。
【0083】
電極活物質、結着材、ならびに必要に応じて添加される導電材を溶媒に分散又は溶解する方法又は順番は、特に限定されない。また、混合装置としては、たとえば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等を用いることができる。混合は、通常、室温〜80℃の範囲で、10分〜数時間行う。
【0084】
次いで、得られた複合粒子用スラリーを噴霧乾燥して造粒する。噴霧乾燥は、熱風中にスラリーを噴霧して乾燥する方法である。スラリーの噴霧に用いる装置としてアトマイザーが挙げられる。アトマイザーとしては、回転円盤方式と加圧方式との二種類の装置が挙げられ、回転円盤方式は、高速回転する円盤のほぼ中央にスラリーを導入し、円盤の遠心力によってスラリーが円盤の外に放たれ、その際にスラリーを霧状にする方式である。回転円盤方式において、円盤の回転速度は円盤の大きさに依存するが、通常は5,000〜30,000rpm、好ましくは15,000〜30,000rpmである。円盤の回転速度が低いほど、噴霧液滴が大きくなり、得られる複合粒子の平均粒子径が大きくなる。回転円盤方式のアトマイザーとしては、ピン型とベーン型が挙げられるが、好ましくはピン型アトマイザーである。ピン型アトマイザーは、噴霧盤を用いた遠心式の噴霧装置の一種であり、該噴霧盤が上下取付円板の間にその周縁に沿ったほぼ同心円上に着脱自在に複数の噴霧用コロを取り付けたもので構成されている。複合粒子用スラリーは噴霧盤中央から導入され、遠心力によって噴霧用コロに付着し、コロ表面を外側へと移動し、最後にコロ表面から離れ噴霧される。一方、加圧方式は、複合粒子用スラリーを加圧してノズルから霧状にして乾燥する方式である。
【0085】
噴霧される複合粒子用スラリーの温度は、通常は室温であるが、加温して室温より高い温度としてもよい。また、噴霧乾燥時の熱風温度は、通常80〜250℃、好ましくは100〜200℃である。噴霧乾燥法において、熱風の吹き込み方法は特に制限されず、たとえば、熱風と噴霧方向が横方向に並流する方式、乾燥塔頂部で噴霧され熱風と共に下降する方式、噴霧した滴と熱風が向流接触する方式、噴霧した滴が最初熱風と並流し次いで重力落下して向流接触する方式等が挙げられる。
【0086】
なお、噴霧方法としては、電極活物質、結着材を有する複合粒子用スラリーを、一括して噴霧する方法以外にも、結着材および必要に応じてその他添加剤を含有するスラリーを、流動している電極活物質に噴霧する方法も用いることができる。粒子径制御の容易性、生産性、粒子径分布が小さくできる、などの観点から、複合粒子の成分等に応じて最適な方法を適宜選択すればよい。
【0087】
乾式成形法により製造される電極合材層は、上述した複合粒子を含んでなる。複合粒子は、単独で又は必要に応じて他の結着材やその他の添加剤を含有させることで、目的の物性を有する電極合材層を得ることができる。電極合材層中に含有される複合粒子の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。
【0088】
必要に応じて用いられる他の結着材としては、たとえば、上述した複合粒子に含有される結着材を用いることができる。複合粒子は、すでに結着材を含有しているため、電極合材層を製造する際に、他の結着材を別途添加する必要はないが、複合粒子同士の結着力をより高めるために他の結着材を添加してもよい。また、他の結着材を添加する場合における該他の結着材の添加量は、複合粒子中の結着材との合計で、電極活物質100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。また、その他の添加剤としては、水やアルコールなどの成形助剤等が挙げられ、これらは、本発明の効果を損なわない量を適宜選択して加えることができる。
【実施例】
【0089】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。また、部および%は、特に記載のない限り重量基準である。
【実施例1】
【0090】
電極活物質(比表面積2000m2/g及び重量平均粒径5μmの活性炭)100部、導電材(アセチレンブラック「デンカブラック粉状」:電気化学工業(株)製)5部、分散型結着剤(数平均粒径0.15μm、ガラス転移温度−40℃の架橋型アクリレート系重合体の40%水分散体:「AD211」;日本ゼオン(株)製)7.5部、溶解型樹脂(カルボキシメチルセルロースの1.5%水溶液「DN−800H」:ダイセル化学工業(株)製)93.3部、及びイオン交換水231.8部をT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)で攪拌混合して、固形分25%のスラリーを得た。次いで、スラリーをスプレー乾燥機(大川原化工機(株)製ピン型アトマイザー付)を用いて150℃の熱風で噴霧乾燥し、重量平均粒径50μmの球状の複合粒子を得た。この複合粒子の重量平均粒径は、粉体測定装置(パウダテスタPT-S:ホソカワミクロン(株)製)を用いて測定した。以上の工程を工程Iとする。
【0091】
ロールプレス機は、図1に示すように回転軸が平行で近接部では下向きにそれぞれ回転する一対のロール4A,4Bと、一対のロールの上方の間に在る凹みの両端に設置された一対の仕切板8A,8Bと、一対のロールの間隙を経てロールの上方から下方に至るように取り付けられた一対のリボン状フィルム12とを備えている。リボン状フィルム12は、基材(基材フィルム)16またはロール4Aに触れるが、仕切板8A,8Bに触れないように取り付けられている。さらに、リボン状フィルム12は、ロール4Aと仕切板8A,8Bとの間隙を経るように取り付けられている。ロール間隙は400μmである。
【0092】
このロールプレス機に、基材フィルム(PET、厚さ50μm)16を、基材巻出しロール14から巻き出してガイドロール18を経て、一方のロール4Aを抱かせ、一対のロール4A,4Bの間を抜けて、別のガイドロール20を経て、基材巻取りロール22に巻き取るようにセットした。
【0093】
基材フィルム16の両端は、図2に示すようにリボン状フィルム12とロール4Aと隙間を通過するようにした。上記で得られた複合粒子(粉体6)を1時間100℃に加熱しておき、速度10m/minで運転されるロールプレス機(押し切り粗面熱ロール;ヒラノ技研工業(株)製)のプレス用ロール(ロール温度100℃ 、プレス線圧10kN/cm)の上方の間にある凹みに供給した。これにより基材フィルム16と粉体層とが積層された2層シートが得られた。この2層シートは平均膜厚450.2μm、標準偏差3.5%、変動係数0.7%であり、平均密度が0.452mg/cm3、標準偏差0.5%、変動係数1.0%であった。尚、ここで示す変動係数は標準偏差を平均値で割ったものであり、バラツキを示す指標として記した。
【実施例2】
【0094】
実施例1の工程Iにおいて得られた複合粒子(粉体6)を用いて、実施例1と同様の手順で得られた、基材フィルム16と粉体層とが積層された2層シートを用いて、実施例1と同様にして基材フィルム16の裏面側に粉体層を形成して3層シートを得た。裏面側に形成した粉体層は、平均膜厚455.3μm、標準偏差19.7%、変動係数4.3%であり、平均密度が0.427mg/cm3、標準偏差1.8%、変動係数4.2%であった。
【比較例1】
【0095】
実施例1の工程Iと同様の方法で得られた複合粒子を用いて、リボン状フィルムを用いない点以外は実施例1と同様にして2層シートを得た。この2層シートは、平均膜厚456.3μm、標準偏差6.4%、変動係数1.4%であり、平均密度0.453mg/cm3、標準偏差0.7%、変動係数1.5%であった。しかしながら、このシート状成形体には基材フィルムと粉体層の境界線付近に白いスジが入っていた。
【比較例2】
【0096】
実施例1の工程Iと同様にして得られた複合粒子を用いて、実施例1と同様の手順で得られた、基材フィルム16と粉体層とが積層された2層シートを用いて、比較例1と同様にして基材フィルムを用いず裏面側に粉体層を形成して3層シートを得た。裏面側に形成した粉体層は、膜厚478.3μm、標準偏差26.4%、変動係数5.5%であり、平均密度0.434mg/cm3、標準偏差2.3%、変動係数5.3%であった。得られたシートは膜厚精度も良好とは言えず、また成形圧力によるシートへの定期的な斜めに入る皺が生じていた。
【0097】
実施例1と比較例1からリボン状フィルムを用いることによって、膜厚精度の向上と基材に生じた白いスジを無くす効果による外観の向上が見出せた。実施例2と比較例2によってリボン状フィルムによる膜厚精度向上とリボン状フィルムによる皺の発生の抑制が示唆された。尚、この実験はN=3で行い、いずれも同様な傾向を得て、繰り返し行った実験でも膜厚精度の向上と外観向上に同様な結果を得ることが出来た。
【0098】
(粉体層厚さ及びばらつきの測定法)
粉体層の厚さ測定は接触式デジタル測厚器(東洋精機製JIS-K6250)を用い、2cm間隔で10点測定し平均値とばらつきを求めた。以上の実施例および比較例より、本発明の製造方法によって製造した実施例1〜3のシート状成形体は、厚さばらつきが小さく、標準偏差が小さいことがわかる。これに対して、従来の方法によって製造した比較例1〜3のシート状成形体は、厚さばらつきが大きく、標準偏差も大きいことがわかる。
【0099】
(粉体層密度の測定法)
シート状成形体をΦ16mmの大きさに打ち抜き重量と体積を測定し、基材部分を除いた粉体層の密度を計算した。また、実施例3及び比較例3に示した粉体層の密度は両面の膜厚を測定し、片面を剥がす事によって基材膜厚を差し引いて算出した。
【符号の説明】
【0100】
2,200,202,204…粉体成形装置、4…圧縮ロール、4A,4B…ロール、5…溝、6…粉体、8A,8B…仕切板、12…リボン状フィルム、14…基材巻出しロール、16…基材、22…基材巻取りロール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸が平行で互いに逆向きに回転する一対のロールと、
前記一対のロール間に供給される粉体が貯留された粉体貯留部と、
前記一対のロールの内の一方のロールを抱かせるように前記一対のロール間を通し基材を搬送する基材搬送部と
を備え、
前記一対のロールからの圧力が前記基材の幅方向の両端部にかかり難くした状態で前記粉体貯留部から供給された粉体を前記基材上に圧延成形することを特徴とする粉体成形装置。
【請求項2】
前記基材の両端部の表面に這わせたフィルムを更に備えることを特徴とする請求項1記載の粉体成形装置。
【請求項3】
前記フィルムの厚さが10μm〜500μmであることを特徴とする請求項2記載の粉体成形装置。
【請求項4】
前記一対のロールの上方に形成される凹部の両端に設置された一対の仕切板を更に備え、
前記フィルムは、前記基材または前記ロールに接触し、前記仕切板に接触しないように配置されていることを特徴とする請求項2または3記載の粉体成形装置。
【請求項5】
前記フィルムは、前記ロールと前記仕切板との間隙を経るように配置されていることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の粉体成形装置。
【請求項6】
前記フィルムは、前記基材の幅に合わせて前記基材の幅方向の位置が変更可能であることを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載の粉体成形装置。
【請求項7】
前記一対のロールの内の他方のロールの軸方向の長さを前記一方のロールの軸方向の長さに比較して短くし、前記基材の両端部に対向しないようにしたことを特徴とする請求項1記載の粉体成形装置。
【請求項8】
前記一対のロールの内の他方のロールの両端部に溝が設けられていることを特徴とする請求項1記載の粉体成形装置。
【請求項9】
前記一対のロールの軸方向の長さを前記基材上に圧延成形する粉体の幅と略等しくしたことを特徴とする請求項1記載の粉体成形装置。
【請求項10】
前記一対のロールの内の他方のロールの両端部に無回転のスリーブが設けられていることを特徴とする請求項1記載の粉体成形装置。
【請求項11】
前記一対のロールの内の他方のロールの軸方向の長さを前記一方のロールの軸方向の長さに比較して短くし、前記他方のロールの両端部に停止または前記他方のロールとは逆方向に回転させる端部ロールを設けたことを特徴とする請求項1記載の粉体成形装置。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の粉体成形装置を用いて、前記粉体貯留部から供給された粉体を前記一対のロールで圧延成形し前記基材上に粉体層を積層する粉体成形シートの製造方法。
【請求項1】
回転軸が平行で互いに逆向きに回転する一対のロールと、
前記一対のロール間に供給される粉体が貯留された粉体貯留部と、
前記一対のロールの内の一方のロールを抱かせるように前記一対のロール間を通し基材を搬送する基材搬送部と
を備え、
前記一対のロールからの圧力が前記基材の幅方向の両端部にかかり難くした状態で前記粉体貯留部から供給された粉体を前記基材上に圧延成形することを特徴とする粉体成形装置。
【請求項2】
前記基材の両端部の表面に這わせたフィルムを更に備えることを特徴とする請求項1記載の粉体成形装置。
【請求項3】
前記フィルムの厚さが10μm〜500μmであることを特徴とする請求項2記載の粉体成形装置。
【請求項4】
前記一対のロールの上方に形成される凹部の両端に設置された一対の仕切板を更に備え、
前記フィルムは、前記基材または前記ロールに接触し、前記仕切板に接触しないように配置されていることを特徴とする請求項2または3記載の粉体成形装置。
【請求項5】
前記フィルムは、前記ロールと前記仕切板との間隙を経るように配置されていることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の粉体成形装置。
【請求項6】
前記フィルムは、前記基材の幅に合わせて前記基材の幅方向の位置が変更可能であることを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載の粉体成形装置。
【請求項7】
前記一対のロールの内の他方のロールの軸方向の長さを前記一方のロールの軸方向の長さに比較して短くし、前記基材の両端部に対向しないようにしたことを特徴とする請求項1記載の粉体成形装置。
【請求項8】
前記一対のロールの内の他方のロールの両端部に溝が設けられていることを特徴とする請求項1記載の粉体成形装置。
【請求項9】
前記一対のロールの軸方向の長さを前記基材上に圧延成形する粉体の幅と略等しくしたことを特徴とする請求項1記載の粉体成形装置。
【請求項10】
前記一対のロールの内の他方のロールの両端部に無回転のスリーブが設けられていることを特徴とする請求項1記載の粉体成形装置。
【請求項11】
前記一対のロールの内の他方のロールの軸方向の長さを前記一方のロールの軸方向の長さに比較して短くし、前記他方のロールの両端部に停止または前記他方のロールとは逆方向に回転させる端部ロールを設けたことを特徴とする請求項1記載の粉体成形装置。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の粉体成形装置を用いて、前記粉体貯留部から供給された粉体を前記一対のロールで圧延成形し前記基材上に粉体層を積層する粉体成形シートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−51323(P2013−51323A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188830(P2011−188830)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】
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