説明

粉体接着剤塗布装置

【課題】トナー状の粉体接着剤を感光体ドラムや光書き込みヘッドを用いずに確実に用紙に塗布する粉体接着剤塗布装置を提供する。
【解決手段】プリンタ等で予め可変情報が印刷されているZ折り圧着はがき用の用紙Pは搬送ローラ対48により図外の給紙装置から搬入され用紙搬送装置39の搬送ベルト47により搬送されながら転写補助部41の粘着剤塗布ローラ52で粘着剤49を紙面に塗布され、その粘着剤塗布面に接着剤塗布部42において粉体接着剤塗布ローラ54により粉体接着剤35を塗布され、その粉体接着剤35を仮定着部43で紙面に仮定着され、両面塗布反転装置44で反転され、矢印h、i、jで示す最初の給紙方向に搬送され、再び転写補助部41、接着剤塗布部42、仮定着部43に給送されて裏面に粉体接着剤35を塗布され、折り装置37及び圧着装置38に送られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、秘匿すべき秘密情報を印刷したはがき、封筒、その他の書類の秘密情報印刷面に対して粉体接着剤を塗布して圧着はがき等の作成を容易にする粉体接着剤塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定の個人のみへ文字情報を伝達するために、一般に、文字記載物を封書の形態にし、開封後に始めて当該個人が文字情報を確認できるようにしていた。
近年、個人情報保護が厳しく問われるようにもなり、各種事業所等では、例えば、個人の各種データ、成績表、給与明細書等の個人情報は、これを文字記載物の内部の印字箇所に記録して、印字箇所の周縁部もしくは文字記載物の全面を接着や圧着により封筒状やカード状にして配布したりしている。
【0003】
このうち、はがきサイズのカード状のものは圧着はがきと呼ばれており、通常の郵便はがきと同じ料金で利用できることから、情報提供者側の利便性が高い印字(印刷)情報秘匿システムとして、広告宣伝のダイレクトメール等にも汎用されている。
【0004】
このような圧着はがき等による印字情報秘匿システムを利用するには、従来、専門の製造業者に委託するか、高価な圧着はがき等製造・印刷装置を導入するかして秘匿情報を作成していた。
【0005】
これらの圧着はがき等製造・印刷装置を用いて秘匿情報を作成するには、接着剤を情報印字の後に塗布する方法や、情報印字の前に塗布する方法等があるが、いずれにしても秘匿情報を大量に作成するという前提が必須であり高価であった。
【0006】
また、そのような製造業者への委託は、個人情報の流出の問題も潜在的に存在しており好ましい秘匿情報の作成方法とはいえない。
ところで、近年、パソコンやプリンタの発達と相侯って、小規模事業所や個人でも利用できるように、少量単位でも簡易に圧着はがきを作成できるようにしたものも提案されている。
【0007】
例えば、感圧接着剤を予め塗布した剥離紙付きはがき用紙が販売されている。これは、2つ折り内部の印字面に所定の文字情報等を印字後に、感圧接着剤部分を圧着して投函用の圧着はがきを完成させるものである。
【0008】
また、例えば、粘着フイルムとはがき用紙を一組にしたものが販売されている。これは、2つ折り内部の印字面に所定の文字情報等を印字後に、2つ折り内部に粘着フイルムを挟むようにして圧着して、投函用の圧着はがきを作成できるようにしたものである。
【0009】
しかしながら、これでもコスト高は避けられず、取り扱いが煩雑であり、個人的に数枚の圧着はがきを作成するのなら良いが、ある程度の枚数単位で、安価で、迅速に、且つ対需要即応体制で作成できるものではない。
【0010】
そこで、粘着剤を内包したマイクロカプセルから成るトナー状粘着剤を静電印刷法により基材の表面に転写してフラッシュ定着させ、接着時には圧力によりマイクロカプセルを破壊しカプセル内の粘着剤を浸出させるようにして、圧着はがきを容易に作成できるとする提案がなされている。また、この提案では、粘着剤を溶融、混練、粉砕した粉砕トナーも示唆されている。(例えば、特許文献1参照。)
また、事務用プリンタや複写機の交換用の印字用カートリッジに圧着用物質を入れて、それら事務用プリンタ又は複写機による印字作業と同様の操作で圧着用物質を官製はがきや封筒に塗布し、その後、圧着専用機にかけるようにし、圧着専用機にかけるところまでを1台のプリンタ又は複写機で出来るとする提案がなされている。また、この提案では、二つ折りの片面、三つ折の中央両面に圧着用物質を塗布することが示唆されている。(例えば、特許文献2参照。)
また、感熱接着剤を含むトナーを用い、電子写真方式により画像を対需要即応式で作成する方法が提案されている。この提案では、感熱接着剤の軟化温度は電子写真方式用のトナーの結着樹脂の軟化温度よりも高くなるように構成し、また、感熱接着剤の電子写真方式用トナーに占める割合を5〜60重量%とし、また、感熱接着剤の組成は熱接着性樹脂、ホットメルト及びワックス類からなる群より選ばれる1種類以上を含むようにすることが提案されている。(例えば、特許文献3参照。)
【特許文献1】特開平09−104849号公報(段落0005、0014、図1、図3、図6)
【特許文献2】特開2000−006553号公報(要約、図なし)
【特許文献3】特開2004−126231号公報(段落0085〜0087、図なし)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1の技術は、マイクロカプセル式のトナーについては構成及び組成について記載されてはいるが、粉砕トナーについては単なる思い付き程度に示唆されているのみであり、具体的な組成、製法、及び用法についての記載がなく、これでは、この分野の当業者といえども有用な粉砕トナーを作成することは勿論、試作することさえ出来ない。
【0012】
また、特許文献2の技術は、圧着専用機にかける前までの官製はがきや封筒による印字情報秘匿書類を作成するものであり、投函用に完成するには圧着専用機にかけなければならない点で利便性と経済性に欠けるものであり、また対需要即応性には程遠いものと言わざるを得ない。
【0013】
また、特許文献3の技術では、単に感熱接着剤の軟化温度が電子写真方式用のトナーの結着樹脂の軟化温度よりも高く設定されているというのみで、思い付き程度に示唆されてはいるものの感熱接着剤を含むトナーの具体的な材料処方も具体的な用法も開示されていない。
【0014】
また、電子写真方式は静電現像を利用するものであり、感光体ドラムや光書込みヘッドなどを必要とするが、その現実的かつ具体的な構成については開示されてもいない。
また、トナー状の圧着はがき用粉体接着剤は今日まで市場に流通もしていない。流通している圧着はがき用粉体接着剤は液状または粘着シート状のものだけである。
【0015】
一般的な粉体の塗布方法としては、自動車や金属などの表面塗布に使用されている粉体塗料の塗布方法があるものの、この方法をトナー状の粉体接着剤に適用しようとしても、この自動車や金属などの表面塗布方法は塗布する面が導電性物質である必要があり、圧着はがきのような用紙に対しては使用できない。
【0016】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、実用性のあるトナー状の粉体接着剤の製造方法を確立したうえで、例えば秘匿すべき秘密情報を印刷したはがき、封筒、その他の書類の秘密情報印刷面に粉体接着剤を感光体ドラムや光書き込みヘッドを用いずに確実に用紙に塗布する粉体接着剤塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の粉体接着剤塗布方法は、熱溶融性のトナー状の粉体接着剤を用紙に転写して塗布する粉体接着剤塗布方法であって、搬送経路を搬送される上記用紙に対し、転写補助部により上記粉体接着剤の転写促進機能を付与した後に、接着剤塗布部により上記粉体接着剤を上記用紙に転写して塗布するように構成される。
【0018】
この粉体接着剤塗布方法において、上記接着剤塗布部は、例えば、上記粉体接着剤を接着剤収容器に収容し、該接着剤収容器に収容された上記粉体接着剤を上記用紙に塗布する接着剤塗布部材を備えて構成される。
【0019】
また、上記接着剤塗布部材は、例えば、帯電性の接着剤塗布ローラであり、該接着剤塗布ローラに対し上記搬送経路を介して対向配置された転写部材により、上記搬送経路を搬送されてくる上記用紙を介して上記粉体接着剤を上記接着剤塗布ローラから上記用紙側に転移させる方向へ転写バイアスを印加されるように構成される。
【0020】
また、上記接着剤塗布手段は、例えば、周表面に凹部と凸部を有するローラ状部材からなり、上記凹部に上記粉体接着剤を担持して回転するように構成される。
また、この粉体接着剤塗布方法において、上記転写補助部は、上記接着剤塗布部よりも上記用紙を搬送する搬送経路の用紙搬送方向上流側に在って、例えば、粘着剤を粘着剤収容器に収容し該粘着剤収容器に収容された上記粘着剤を上記用紙に塗布する粘着剤塗布手段を備えて構成され、また、例えば、高圧電源を備え該高圧電源から供給される高電圧を上記用紙に印加して該用紙を帯電させるように構成され、また、例えば、コロナ放電により上記用紙を帯電させるコロナイオン発生機からなるように構成される。
【0021】
また、上記転写補助部は、例えば、高圧電源を備え、上記搬送経路に沿って上記用紙を搬送する搬送ベルトの用紙搬送方向上流側の駆動又は従動ローラに上記搬送ベルトを介して圧接し、上記搬送ベルト上に搬入されてくる上記用紙に高電圧を印加して上記用紙を帯電させ該用紙を上記搬送ベルトに静電的に吸着させると共に上記用紙に上記粉体接着剤の転写促進機能を付与するように構成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、トナーと類似の特性を有する粉体接着剤を用いるにも拘わらず露光ヘッドも感光体ドラムも使用せずに粉体接着剤を用紙に塗布することができるので、圧着はがき用の安価な接着剤塗布装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
最初にトナー状の粉体接着剤の材料処方及び具体的な作製方法について説明する。
【0024】
尚、この粉体接着剤は、秘匿情報印刷面を圧着後の剥離開封時に、反対面への文字移りが発生しない粉体接着剤として開発されたものである。
先ず、結着樹脂として軟化温度110±4℃の炭化水素系樹脂(シクロオレフィンとエチレンの共重合体)90質量%以上、帯電制御剤0.3〜3質量%、ワックス1〜9質量%を用意する。
【0025】
これらを、ミキサーにて混合し、その混合物を二軸スクリュー混練機にて温度をかけながら混練し、この混練物を冷却し、機械式粉砕機にて2mm程度にまで粉砕し、気流式粉砕機にてさらに微粒子にまで粉砕し、適切な粒子径に分級を行う。
【0026】
その後、この混練粉砕物を、シリコンオイル又はアルキルジシラザンにて表面処理済みのシリカ微粒子0.1〜5質量%(対混練粉砕品)及びアルミナを外添し、軟化温度106℃で、平均粒径(体積D50)9.0μmのトナー状の透明な粉体接着剤を得る。
【0027】
このようにして作成された接着剤は、接着剤塗布装置で用紙に塗布される。この接着剤は粉体接着剤であり、常温では固体である。そして、加熱されることにより溶融され、加圧されることにより接着効果が発揮される。
【0028】
次に、上記の粉体接着剤を塗布する装置について説明する。
図1は、粉体接着剤塗布装置としての電子写真式画像形成装置(以下、塗布兼用プリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0029】
同図に示すように、塗布兼用プリンタ1は、画像形成部2、両面印刷用搬送ユニット3、及び給紙部4で構成されている。上記の画像形成部2は、4個の画像形成ユニット5(5−1、5−2、5−3、5−4)を多段式に並設した構成からなる。
【0030】
上記4個の画像形成ユニット5のうち用紙搬送方向上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット5−1、5−2及び5−3は、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、これら3色を用紙(圧着はがき用紙)に塗り重ねてフルカラーの画像(可変情報)を形成する。
【0031】
用紙搬送方向最下流の画像形成ユニット5−4は、本来は、文字やカラー画像の暗黒部分等のクロ(K)トナーによるのモノクロ画像を形成する。但し、黒の画像はMCYの3色をベタ塗りで塗り重ねても得られるので、本例では、クロ(K)トナーを用いずに、画像形成ユニット5−4を、粉体接着剤の塗布専用に改装している。これについて詳しくは後述する。
【0032】
上記の各画像形成ユニット5−1、5−2、及び5−3は、現像ユニットに収容された現像剤(の色)を除き同じ構成である。したがって、以下、画像形成ユニット5−3を例にしてその構成を説明する。
【0033】
画像形成ユニット5は、感光体ドラム6と、この感光体ドラム6の周面に沿って配設されたクリーナ7、帯電ローラ8、現像ユニット9、この現像ユニット9の下部側面の開口部に組み付けられている現像ローラ11を備えている。
【0034】
感光体ドラム6の帯電ローラ8と現像ユニット9の間に位置する上面に近接して、本体装置側の光書き込みヘッド12が配置され、感光体ドラム6の下面に近接して転写シートとしての搬送ベルト13が配設されている。そして、この搬送ベルト13を間に挟んで転写器14が感光体ドラム6の下面に向けて押圧されている。
【0035】
搬送ベルト13は、導電性カーボン又はイオン伝導物質を含有した樹脂製の導電性のシート状部材からなり、駆動ローラ15と従動ローラ16に掛け渡されて、駆動ローラ15により駆動され、図の反時計回り方向に循環移動する。
【0036】
この搬送ベルト13の下循環移動部にはベルトクリーナ20のクリーニングブレード20aが当接している。
尚、本例の塗布兼用プリンタ1は、フルカラー印字モードのときには、搬送ベルト13の上循環移動部が3つの画像形成ユニット5−1、5−2及び5−3の感光体ドラム6に当接し、画像形成ユニット5−4は上方の退避位置に退避している。
【0037】
そして、モノクロ印字モードのときには、搬送ベルト13の上循環移動部が上流側の3つの画像形成ユニット5−1、5−2及び5−3の感光体ドラム6から離れるように下方に移動し、通常では黒トナーの画像形成を受け持つ(本例では粉体接着剤の直接塗布を受け持つ)構成の画像形成ユニット5−4の現像ローラ11のみに当接するように構成されている。
【0038】
上記の感光体ドラム6は、図の時計回り方向に回転する。そして先ず帯電ローラ8からの電荷付与により、感光体ドラム6の周面が一様に帯電して初期化される。次に、印字情報に基づく光書き込みヘッド12からの光書き込みにより、感光体ドラム6の周面に静電潜像が形成される。
【0039】
そして、この静電潜像は、現像ローラ11による現像処理によって、現像ユニット9に収納したトナーによりトナー像化(現像)される。
このようにして感光体ドラム6の周面に現像されるトナー像は、感光体ドラム6の回転に伴われて、感光体ドラム6と転写器14とが対向する転写部に到達する。
【0040】
他方、給紙部4の給紙カセット17には多枚数のカット状の用紙18が収容されている。用紙18は、給紙コロ19の一回転によって給紙カセット17から搬出され、搬送案内路21を通って待機ローラ対22に給送される。あるいは、開成された装着部23に装着されたMPFトレイ24上から給紙コロ25によって待機ローラ対22に給送される。
【0041】
待機ローラ対22は、用紙18の印字開始位置が紙搬送方向最上流の画像形成ユニット5−1の感光体ドラム6のトナー像の先端に一致するタイミングで搬送ベルト13上に給送する。
【0042】
用紙18は、この循環移動する搬送ベルト13の上面に静電的に吸着されて搬送され、感光体ドラム6の直下を用紙搬送方向上流側から下流側へ搬送ベルト13と共に移動する。
【0043】
そして、用紙18は、画像形成ユニット5−1の転写部で最初の色のトナー像を転写され、画像形成ユニット5−2の転写部で次の色のトナー像を転写され、画像形成ユニット5−3の転写部で3番目のトナー像を転写される。
【0044】
尚、本例における上記のフルカラー印字モードにおける印字処理では、画像形成ユニット5−1、5−2、及び5−3が印字状態に設定され、画像形成ユニット5−4は、搬送ベルト13への当接位置から上に離れるように移動する。
【0045】
上記のように3色のトナー像を重ねて転写された用紙18は、定着ユニット26に搬入される。定着ユニット26は、熱ローラ26a、押圧ローラ26b、及びクリーナ26cで構成され、用紙18を上述の熱ローラ26aと押圧ローラ26b間に挟持して搬送しながら、トナー像を溶融し紙面に圧着して定着する。また、クリーナ26cは熱ローラ26aに残留するトナーを除去する。
【0046】
このように、定着ユニット26によってトナー像を定着された用紙18は、切換板27が上に回動しているときは、搬出ローラ28によって画像形成面を上にして機外に排出され、切換板27が下に回動しているときは、搬送ローラ29により上に案内され排紙ローラ31によって画像形成面を下にして排紙部32に排出される。
【0047】
また、両面印刷用搬送ユニット3は、装置本体に対して着脱自在に構成され、本例の塗布兼用プリンタ1によって両面印刷を行う際に装着されるユニットである。この両面印刷用搬送ユニット3は、内部に複数の搬送ローラ33a〜33eが配設されている。
【0048】
両面印刷の場合には、上記切換板27によって一旦上方に用紙18が送られ、例えば用紙18の後端が搬送ローラ29に達した時、用紙18の搬送を停止し、更に用紙18を逆方向に搬送する。
【0049】
この制御によって、用紙18は点線で示す位置に設定された切換板27の左側を下方に搬送され、両面印刷用搬送ユニット3の用紙搬送路に搬入され、搬送ローラ33a〜33eによって用紙が返送される。
【0050】
返送された用紙18は、再び搬送案内路21を通って待機ローラ対22に達し、前述と同様トナー像と一致するタイミングで転写部に送られ、トナー像が用紙の裏面に転写される。
【0051】
そして、粉体接着剤の塗布では、モノクロ印字モードが設定されて、搬送ベルト13が画像形成ユニット5−1、5−2及び5−3から下方に離隔する。そして、粉体接着剤の塗布を受け持つ画像形成ユニット5−4が上方の退避位置から降下して、その現像ローラ11が搬送ベルト13に当接する。
【0052】
この後における画像形成済みの用紙18への粉体接着剤の塗布は、上述した色トナーによる画像形成とほぼ同様であり、色トナーによる画像形成とやや異なるのは、形成画像がベタ印字であることと、粉体接着剤による単一粉体の転写が行われることだけである。
【0053】
このようにして可変情報を印字され、その可変情報の秘匿情報印字面に上記のようにして粉体接着剤を塗布された圧着はがき用紙は、特には図示しないが、紙折り装置により二つ折り又は三つ折りにされ、圧着装置により圧着されて、投函可能な圧着はがきとして完成する。
【0054】
上記のような塗布兼用プリンタ1の各構成部の動作を制御するための制御装置を搭載した回路基板が、両面印刷用搬送ユニット3と給紙部4との間の電装部34に装着されている。
【0055】
制御装置は、特には図示しないが、プリンタコントローラとエンジンコントローラから成る。プリンタコントローラは、マイクロプロセッサ等からなるCPU(中央演算処理装置)と、そのCPUに接続するプログラムROM(Read Only Memory)、ページバッファ、画像メモリ、ビデオ転送回路、I/F(インターフェース)コントローラ等で構成される。
【0056】
上記のビデオ転送回路は外部回路であるプリンタエンジンに接続され、I/Fコントローラはホストコンピユータ等に接続される。
プログラムROMは、制御装置をホストコンピユータと連係して動作させるためのプログラムを格納し、CPUは、そのプログラムに基づいて、ホストコンピユータから送信される印字情報に基づく印字処理の制御を実行する。
【0057】
I/Fコントローラは、ホストコンピユータから送信される印字情報を入力する。ページバッファは、ホストコンピユータから入力する複数ページ分の印字情報をページ単位で一時的に記憶し、画像メモリは、用紙一枚分(1ページ分)のビットイメージを展開する。
【0058】
ビデオ転送回路は、画像メモリに展開されたビットイメージデータを線順次にエンジンコントローラに転送し、1ライン転送毎に、インタラプト信号をCPUに出力する。これにより、CPUは、画像メモリの転送済み領域を認識して、後続ページのイメージデータを展開する。
【0059】
また、CPUは、粉体接着剤の塗布処理のときは、前述したように印字モードをモノクロ印字モードに変更し、画像形成ユニット5−4を待機位置から下に降下させてベタ印字パターンで粉体接着剤を用紙に塗布する。
【0060】
他方、エンジンコントローラも、特には図示しないが、CPUとプログラムROMを備えている。このエンジンコントローラのCPUには、上記プリンタコントローラのCPUから画像形成実行命令が入力される。
【0061】
エンジンコントローラのCPUは、画像形成実行命令を受け取ると、図1には図示を省略したモータのエンジン(駆動ドライバ)を制御してモータを回転駆動する。
モータの動力は、不図示のギア系を介して給紙コロ19又は25、感光体ドラム6又は誘電体ローラ34、現像ユニット9の各部(現像ローラ11、供給ローラ、撹拌部材等)、定着ユニット26の熱ローラ26aと押圧ローラ26b、搬出ローラ28、搬送ローラ29等に伝達される。これにより、上述した画像形成工程の駆動が開始される。
【0062】
ここで、圧着はがきにおける粉体接着剤の塗布の態様について説明する。
図2(a) は、二つ折り(V折り)の圧着はがき用紙Pvの可変情報印刷終了時の態様を示す図であり、同図(b) は粉体接着剤塗布終了時の態様を示す図、同図(c) はその紙折り時の態様を示す図である。
【0063】
同図(a) において、圧着はがき用紙Pvには、両面印刷処理により、画像形成部2の画像形成ユニット5−1〜5−3によって、図の手前側面には「請求書、12月分、2万円、1月31日まで」の秘匿可変情報が印刷され、図には見えない向う側面には差出人名や宛先名等の公開可変情報が印刷されている。
【0064】
上記手前側面の秘匿可変情報の印刷面には、片面印刷処理により画像形成部2の画像形成ユニット5−4によって、同図(b) に示すように、粉体接着剤35が塗布されている。
尚、同図(b) では、粉体接着剤35の塗布部分をハッチングで示しているが、実際には粉体接着剤35は透明であり、粉体接着剤35を塗布した下地の紙面に予め印刷されている秘匿可変情報は粉体接着剤35の塗布層を通して透けて見えているものである。
【0065】
この後、この二つ折り(V折り)の圧着はがき用紙Pvは、紙折り装置により、同図(c) に示すように、その粉体接着剤35の塗布面が互いに向き合うようにV型に折り込まれ、圧着装置によって圧着されて、圧着はがきとして完成する。
【0066】
図3(a) 〜(d) は、三つ折り(Z折り)の圧着はがき用紙Pzの可変情報の印字、粉体接着剤の塗布、及び三つ折りの態様を示す図である。
同図(a) において、Z折り圧着はがき用紙Pzには、両面印刷処理により、画像形成部2の画像形成ユニット5−1〜5−3によって、図の手前側面(面P1、面P2、面P3)の面P1に宛先名や宛先住所の公開可変情報が印刷され、面P2と面P3には秘匿可変情報が印刷されている。
【0067】
また、図には見えない向う側面(面P4、面P5、面P6)の面P4と面P5に秘匿可変情報が印刷され、面P6に差出人名や公開可変情報が印刷されている。
そして、このZ折り圧着はがき用紙Pzへの粉体接着剤の塗布では、同図(b) 及びこの図を下端部方向から見た同図(c) に示すように、両面印刷処理により、画像形成部2の画像形成ユニット5−4によって、手前側面の秘匿可変情報が印刷されている面P2と面P3に粉体接着剤35が塗布され、更に、向う側面の秘匿可変情報が印刷されている面P4と面P5に粉体接着剤35が塗布されている。
【0068】
この後、この三つ折り(Z折り)の圧着はがき用紙Pzは、紙折り装置により、同図(d) に示すように、その粉体接着剤35の塗布面が互いに向き合うようにZ型に折り込まれ、圧着装置によって圧着されて、圧着はがきとして完成する。
【0069】
ところで、圧着はがきに塗布する接着剤は、例えば一面の網地、梨地、縞、あるいはベタ、というように一定の画像であればよく、色々な文字や写真対応の画像を印刷できる電子写真式印刷とは違うから、必ずしも感光体ドラム6や光書き込みヘッド12を必要とするものではないと考えられる。
【0070】
すなわち、特にベタ印刷の場合は、感光体ドラムや光書き込みヘッド無しで、画像形成ユニット5−4の現像ローラ11から直接用紙に粉体接着剤を転写することが出来るのではないかと考えられる。以下、実施形態2〜4に述べる粉体接着剤塗布装置及び実施形態5に述べる現像ローラ(粉体接着剤塗布ローラ)は、上記の点に鑑みて完成するに至ったものである。
【0071】
(実施形態2)
図4は、実施形態2における粉体接着剤塗布装置の構成を示す断面図である。同図は、可変情報を例えば図1に示したような適宜の型式のプリンタで印字した後の三つ折り(Z折り)圧着はがき用紙Pzの上記可変情報の秘匿可変情報の印字面に重ねて、粉体接着剤35を塗布するために使用される粉体接着剤塗布装置の主要部の構成を模式的に示す側断面図である。
【0072】
尚、二つ折り(V折り)圧着はがき用紙Pvについても、両面塗布が片面塗布に変わるだけで原理は同じであるので、以下の説明では三つ折り(Z折り)圧着はがき用紙Pz(以下、単に用紙Pという)に粉体接着剤35を塗布する場合についてのみ説明する。
【0073】
図4において、粉体接着剤塗布装置36はケーブルによって不図示のパーソナルコンピュータ等のホスト機器に接続されている。同図に示すように粉体接着剤塗布装置36は、図の左方に示す折り装置37及び圧着装置38と共に、圧着はがき作成システムを構成している。尚、同図には、右方にあるべき給紙装置及び左方にあるべき完成圧着はがき収納装置の図示は省略している。
【0074】
上記の粉体接着剤塗布装置36は、用紙搬送装置39、転写補助部41、接着剤塗布部42、仮定着部43、及び両面塗布反転装置44を備えている。
用紙搬送装置39は、駆動ローラ45と従動ローラ46、及びこれら駆動ローラ45と従動ローラ46の間に掛け渡されて張設された搬送ベルト47を備えている。搬送ベルト47は矢印d及びiで示すように反時計回り方向に循環移動しながら、搬送ローラ対48によって図外の給紙装置から搬入される用紙Pを、矢印c、d及びeで示すように搬送する。
【0075】
転写補助部41は、接着剤塗布部42よりも搬送ベルト47の上面が形成する搬送経路の用紙搬送方向上流側に配置されている。転写補助部41は、粘着剤49を粘着剤収容器51に収容し、粘着剤収容器51の下端開口部に回転可能に配設された粘着剤塗布ローラ52を備えている。
【0076】
粘着剤塗布ローラ52は、搬送ベルト47により矢印c及びdのように搬送される用紙Pの秘匿情報印刷面に粘着剤を塗布する。
接着剤塗布部42は、転写補助部41の用紙搬送方向下流側に配置され、粉体接着剤35が収容されている粉体接着剤容器53と、その粉体接着剤容器53の下端開口部に回転可能に配設された粉体接着剤塗布ローラ54を備えている。
【0077】
そして、粉体接着剤容器53の粉体接着剤35に埋没して供給ローラ55とドクターブレード56がそれぞれ塗布ローラ54に当接している。
上記の供給ローラ55は、塗布ローラ54と同一方向(矢印a及びbで示す反時計回り方向)に回転しながら、塗布ローラ54に粉体接着剤35を擦り付けるようにして供給する。これにより、粉体接着剤35は摩擦電荷を帯びて帯電する(本例ではマイナスに帯電する)。この塗布ローラ54に供給された粉体接着剤35は、ドクターブレード56によって一定の層厚に規制され、その規制摩擦によって更に帯電を強化される。
【0078】
塗布ローラ54の下部周面には、用紙搬送装置39の搬送ベルト47を間に挟んで対向する転写ローラ57が配置されている。この塗布ローラ54と転写ローラ57との対向部(厳密には塗布ローラ54と搬送ベルト47との対向部)に転写部Tが形成されている。
【0079】
転写ローラ57には不図示の高圧電源からプラスの高電圧が印加され、このプラス高電圧は、転写ローラ57の表面の導電層及び搬送ベルト47を介して用紙Pの裏側に印加される。
【0080】
上記塗布ローラ54の表面で一定の層厚に規制され、マイナスに帯電している粉体接着剤35は、その帯電の静電気力により、転写部Tにおいて転写ローラ57から用紙Pの裏側に印加されるプラス高電圧で形成される電界に引かれて用紙Pの表面に転写される。
【0081】
上記の高圧電源からは、用紙Pが塗布ローラ45の下にあるときは、転写ローラ49にプラス高電圧が印加される。そして、塗布ローラ45の下に用紙Pが無いときは、電圧印加が停止される。
【0082】
仮定着部43は、熱ローラ58と押圧ローラ59を備えている。仮定着部43は、圧着はがき用紙に転写された粉体接着剤35を、より確実に紙面に定着させる目的の加熱圧着装置であり、通常のプリンタの定着装置などに相当する。
【0083】
仮定着部43は、接着剤塗布部42で粉体接着剤35を塗布されて矢印eのように仮定着部43に搬送されてくる用紙Pを、熱ローラ58と押圧ローラ59とで挟持して搬送しながら熱と圧力を用紙Pに加えて、粉体接着剤35を紙面に溶融定着させる。この溶融定着は、圧着装置38で本定着(圧着)されるまでの間の仮の定着状態であるので、ここでは仮定着と呼んでいる。
【0084】
仮定着部43において、片面(図3(b),(c) に示した面P2及び面P3)に塗布された粉体接着剤35を仮定着された用紙Pは、矢印f及びgで示すように、両面塗布反転装置44に向けて搬送される。
【0085】
両面塗布反転装置44は、図1の塗布兼用プリンタ1の両面印刷用搬送ユニット3とほぼ同様な装置である。この両面塗布反転装置44により表裏を反転され且つ前後が入れ替わった状態となった用紙Pは、矢印h、i、jで示すように最初の給紙方向に搬送され、反転により裏面(第2面)を上に向けて再び矢印cで示すように、転写補助部41及び接着剤塗布部42に給送される。
【0086】
転写補助部41で裏面に粘着剤49を塗布され、その裏面に接着剤塗布部42で粉体接着剤35を転写された用紙Pは、転写された粉体接着剤35を仮定着部43により紙面に仮定着された後、矢印kで示すように折り装置37に向けて搬送される。
【0087】
このように、一般に普通紙よりも厚紙となる圧着はがき用紙への粉体接着剤の転写において、接着剤塗布部42において粉体接着剤35を圧着はがき用紙に転写する前に、転写補助部41において予め粘着剤を圧着はがき用紙の粉体接着剤塗布面に塗布しておくので、この粘着剤の粘着作用によって、電子写真方式と同等の転写電圧でも十分な粉体接着剤の塗布量を確保することができる。
【0088】
尚、圧着はがき用紙で予め粘着剤が塗布されているものがあれば、そのような圧着はがき用紙を用いても良い。勿論その場合は搬送ベルト47上には接着剤塗布部42だけあれば良く、転写補助部41を配置する必要なない。
【0089】
(実施形態3)
図5は、実施形態3における粉体接着剤塗布装置の構成を示す断面図である。尚、同図は、転写補助部41の構成が図4の場合と異なるのみであるので、構成各部に図4と同一の番号を付与して示し、各部の細部構成には説明に必要な部分以外は番号の図示を省略している。
【0090】
図5に示すように、本例の粉体接着剤塗布装置60において、転写補助部41は、転写電圧補助ローラ61と、この転写電圧補助ローラ61に転写補助電圧を供給する高圧電源62から成る。
【0091】
上記の転写電圧補助ローラ61は、10^7〜10^11 Ωcmの体積抵抗を有する材料を使用する。また、この転写電圧補助ローラ61へ印加する電圧は、500V〜1500Vである。
【0092】
また、粉体接着剤塗布ローラ54にも不図示の高圧電源からマイナス転写バイアスが印加されるが、このバイアス電圧は−500Vである。また、粉体接着剤塗布ローラ54は、10^6〜10^11 Ωcmの体積抵抗値を有するゴム材料、例えばウレタンゴムやシリコンゴムなどから成る。
【0093】
更に、転写ローラ57にも不図示の高圧電源からプラス転写バイアスが印加されるが、このバイアス電圧は、900V〜1500Vである。
本例において、用紙Pは、その表面に、転写補助部41において転写ローラ57と同極性の高圧電圧によるバイアス電圧を印加されて帯電する。そして、転写部Tにおいて、更に転写ローラ57から転写電圧を印加されて、粉体接着剤35を表面に転写される。
【0094】
このように本例においては、接着剤塗布部42において粉体接着剤35を圧着はがき用紙に転写する前に、転写補助部41において転写電圧と同一極性となる補助転写電圧を用紙表面に直接印加して用紙表面を帯電させるので、転写部における帯電のように用紙の厚みによる帯電性のバラツキが無くなり、この転写補助電圧による帯電作用によって、転写部Tにおける電子写真方式と同等の転写電圧でも十分な粉体接着剤の塗布量を確保することができる。
【0095】
一般に、単位面積当たりの質量が小さい普通紙のような薄紙よりも、単位面積当たりの質量が大きい圧着はがき用紙のような厚紙は、厚みが厚い分、転写部における電界強度を大きくしなければならないため、転写部で用紙に印加する転写バイアス電圧は高くなる。
【0096】
また温度湿度の環境も、用紙の電気抵抗値が温度湿度により変化するため、転写効率に大きく影響する。例えば用紙の電気抵抗が高くなって転写部において転写に必要な電流が不足する場合がある。
【0097】
しかし、本例では、転写補助部41において補助転写電圧を用紙に直接印加するので、用紙の帯電状態が強化され、これにより、普通紙よりも厚い用紙が用いられる場合であっても、温度湿度の環境に多少の変化があっても、転写電圧の作用が不十分となって粉体接着剤の転写かすれが生じるというような虞は無くなる。
【0098】
(実施形態4)
図6は、実施形態4における粉体接着剤塗布装置の構成を示す断面図である。尚、同図も、転写補助部41の構成が図4の場合と異なるのみであるので、構成各部に図4と同一の番号を付与して示し、各部の細部構成には説明に必要な部分以外は番号の図示を省略している。
【0099】
図6に示すように、本例の粉体接着剤塗布装置63において、転写補助部41はコロナイオン発生機64から成る。コロナイオン発生機64は、外枠電極65と、この外枠電極65の内部中央の長手方向に張り渡された内部電極66との間に高電圧によるコロナ放電を発生させて、開口部下を通過する用紙Pの表面を帯電させる。
【0100】
転写補助部41で補助帯電した用紙Pは、転写部Tにおいて、更に転写ローラ57から転写電圧を印加されて、粉体接着剤35を表面に転写される。
このように本例においては、接着剤塗布部42において粉体接着剤35を圧着はがき用紙に転写する前に、転写補助部41において予めコロナ放電により圧着はがき用紙を帯電させるので、この補助的に予め行われる帯電の作用によって、転写部Tにおける電子写真方式と同等の転写電圧でも十分な粉体接着剤の塗布量を確保することができる。
【0101】
(実施形態5)
図7は、実施形態5における粉体接着剤塗布装置の構成を示す断面図である。尚、同図も、転写補助部41の構成が図4の場合と異なるのみであるので、構成各部に図4と同一の番号を付与して示し、各部の細部構成には説明に必要な部分以外は番号の図示を省略している。
【0102】
図7に示すように、本例の粉体接着剤塗布装置67においては、転写補助部41は図5の場合と同様に、転写電圧補助ローラ61と、この転写電圧補助ローラ61に転写補助電圧を供給する高圧電源62から成る。
【0103】
ただし、本例と図5の場合で異なるのは、図5においては転写補助部41は従動ローラ46と接着剤塗布部42の中間に在ったが、本例では転写補助部41は従動ローラ46のほぼ真上に在って、転写電圧補助ローラ61が搬送ベルト47を介して従動ローラ46に圧接している。
【0104】
通常、搬送ベルトを用いる用紙搬送装置には搬送べルトを挟んで上下に送りローラが設置される。本例では、図4乃至図6では図示を省略していた上側送りローラを転写電圧補助ローラ61に代行(兼用)させているものである。
【0105】
一般に、電子写真式では搬送ベルトは転写装置の一部を担うため、用紙に印加された電荷を逃がさないように、半導電性の抵抗値又は絶縁性を持つ材質から成るが、このような搬送ベルトの特性は温度湿度による影響を受けやすい。
【0106】
しかし、用紙搬送の送りローラを兼ねた転写電圧補助ローラ61が搬送ベルトに転写補助電圧を印加することにより、搬送ベルトの転写効率の底上げをすることができる。
また、転写電圧補助ローラ61は、搬送ベルト47上に搬入されてくる用紙Pに高電圧を印加して用紙Pを帯電させ、用紙Pを搬送ベルト47に静電的に吸着させると共に、用紙Pに図5の場合と同様に帯電によって、転写部Tにおける転写促進機能を付与している。
【0107】
尚、厚紙による坪量などの違いに応じて転写電圧補助ローラ61の印加電圧を、例えば厚い紙ほど印加電圧を高くするなど調整するようにすると一層効果的である。
また、上記実施形態2乃至5では、粉体接着剤を非磁性一成分としたが、非磁性二成分であっても良い。
【0108】
(実施形態6)
ところで、上記実施形態2乃至5では、粉体接着剤を帯電させ、転写補助部や転写ローラで圧着はがき用紙に転写バイアスを印加することによって粉体接着剤を圧着はがきに塗布するようにしている。
【0109】
しかし、そのような粉体接着剤の塗布方法とは関係なく、粉体接着剤を塗布する塗布ローラの周表面の構造を種々変えることによっても、効果的な粉体接着剤の塗布の態様を作り出すことができる。以下、これについて説明する。
【0110】
図8(a) は、実施形態6としての粉体接着剤塗布ローラの構成を示す図であり、同図(b) は、その粉体接着剤塗布ローラによる紙面への塗布状態を示す図、同図(c) は粉体接着剤塗布ローラの表面粗さの加工例を示す図である。
【0111】
同図(a) に示すように、本例の粉体接着剤塗布ローラ68は、金属またはゴム質からなるローラ形状をなし、その周表面には長手方向に条形の凹部69及び凸部71が交互に形成された凹凸を有している。ゴム質の場合は、ウレタン、シリコン、SBRなどの高分子エラストマー材を用いる。
【0112】
また、条形の凹部69の幅(凸部71の配置間隔)は、粉体接着剤35の粒径に対して±(粉体接着剤の粒径)×0.3を満たす幅とするのが好ましい。
これよりも条形の凹部69の幅が小さいと粉体接着剤の搬送が出来なくなり、また、大きいとローラ表面に均一に粉体接着剤が乗らなくなって、塗布ムラが生じやすくなる。
【0113】
同図(b) は、条形の凹部69の幅が上記の条件を満たしている場合の、粉体接着剤塗布ローラ68による粉体接着剤35の用紙Pへのベタ塗布を行った場合の塗布状態を示している。
【0114】
同図(b) に示すように、用紙Pの紙面には、条形の凹部69の幅に応じた極めて細かな線状の粉体接着剤塗布部が並行に隣接して形成され、結果としてほぼベタ塗布の状態となっている。
【0115】
尚、粉体接着剤塗布ローラ68の周表面の形状は、条形の凹凸と限ることなく、例えばゴムローラなどの表面を、やすりなどで加工し、適宜な形状の表面粗さを持たせたローラであってもよい。同図(c) は、そのような表面粗さの加工例を4例を示している。
【0116】
ところで、一般に接着剤塗布面の接着力は、圧着時に粉体接着剤が溶融した量に比例して強くなる。つまり用紙に転写されて仮定着されている粉体接着剤の総量で塗布面の接着強度が決まってくる。
【0117】
したがって、必要な接着力及び剥離力が得られる量の粉体接着剤を紙面に塗布できるのであれば、ベタ塗布でなくとも良い。また、粉体接着剤35の塗布量を調整する意味では、ベタ塗布でないほうが良い。
【0118】
したがって、粉体接着剤塗布ローラの周表面を加工して、凹部分によって粉体接着剤を貯蔵装置から搬出できる一定の幾何学的な形状にするとよい。例えば、ドット状に形成するようにしてもよく、又は網目状、又は千鳥線状に形成することが考えられる。
【0119】
すなわち、粉体接着剤が載っている部位(凹部分)と何も載っていない部位(凸部分)が混在するように周表面加工された粉体接着剤塗布ローラを使用する。
図9は、種々の幾何学的形状に加工された粉体接着剤塗布ローラの周表面上に粉体接着剤が載って(担持されて)いる状態を観察した例を示す図である。同図には、粉体接着剤の担持される量の異なるものを、形状及び濃淡の違いで4例示している。
【0120】
このように、周表面に凹凸を持つ粉体接着剤塗布ローラを使用することにより、粉体接着剤を貯蔵装置から取り出して紙面に塗布することが可能となる。
また、このように周表面に凹凸を持つ塗布ローラは、従来にはなかった粉体を担持して塗布する装置としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】実施形態1における粉体接着剤塗布装置としての電子写真式画像形成装置(塗布兼用プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【図2】(a) は二つ折り圧着はがき用紙の可変情報印刷終了時の態様を示す図、(b) は粉体接着剤塗布終了時の態様を示す図、(c) はその紙折り時の態様を示す図である。
【図3】(a) 〜(d) は三つ折り圧着はがき用紙の可変情報の印字、粉体接着剤の塗布、及び三つ折りの態様を示す図である。
【図4】実施形態2おける粉体接着剤塗布装置の構成を示す断面図である。
【図5】実施形態3おける粉体接着剤塗布装置の構成を示す断面図である。
【図6】実施形態4おける粉体接着剤塗布装置の構成を示す断面図である。
【図7】実施形態5おける粉体接着剤塗布装置の構成を示す断面図である。
【図8】(a) は実施形態6としての粉体接着剤塗布ローラの構成を示す図、(b) はその粉体接着剤塗布ローラによる紙面への塗布状態を示す図、(c) は粉体接着剤塗布ローラの表面粗さの加工例を示す図である。
【図9】実施形態6において種々の幾何学的形状に加工された粉体接着剤塗布ローラの周表面上に粉体接着剤が載って(担持されて)いる状態を観察した例を示す図である。
【符号の説明】
【0122】
1 塗布兼用プリンタ
2 画像形成部
3 両面印刷用搬送ユニット
4 給紙部
5(5−1、5−2、5−3、5−4) 画像形成ユニット
6 感光体ドラム
7 クリーナ
8、8a、8b 帯電ローラ
9 現像ユニット
11 現像ローラ
12 光書き込みヘッド
13 搬送ベルト
14 転写器
14´ 転写ローラ
15 駆動ローラ
16 従動ローラ
17 給紙カセット
18 用紙
19 給紙コロ
20 ベルトクリーナ
20a クリーニングブレード
21 搬送案内路
22 待機ローラ対
23 装着部
24 MPFトレイ
25 給紙コロ
26 定着ユニット
26a 熱ローラ
26b 押圧ローラ
26c クリーナ
27 切換板
28 搬出ローラ
29 搬送ローラ
31 排紙ローラ
32 排紙部
33a〜33e 搬送ローラ
34 電装部
35 粉体接着剤
Pv 二つ折り(V折り)圧着はがき用紙
Pz 三つ折り(Z折り)圧着はがき用紙
P 用紙(Z折り圧着はがき用紙)
36 粉体接着剤塗布装置
37 折り装置
38 圧着装置
39 用紙搬送装置
41 転写補助部
42 接着剤塗布部
43 仮定着部
44 両面塗布反転装置
45 駆動ローラ
46 従動ローラ
47 搬送ベルト
48 搬送ローラ対
49 粘着剤
51 粘着剤収容器
52 粘着剤塗布ローラ
53 粉体接着剤容器
54 粉体接着剤塗布ローラ
55 供給ローラ
56 ドクターブレード
57 転写ローラ
T 転写部
58 熱ローラ
59 押圧ローラ
60 粉体接着剤塗布装置
61 転写電圧補助ローラ
62 高圧電源
63 粉体接着剤塗布装置
64 コロナイオン発生機
65 外枠電極
66 内部電極
67 粉体接着剤塗布装置
68 粉体接着剤塗布ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱溶融性のトナー状の粉体接着剤を用紙に転写して塗布する粉体接着剤塗布方法であって、
搬送経路を搬送される前記用紙に対し、転写補助部により前記粉体接着剤の転写促進機能を付与した後に、接着剤塗布部により前記粉体接着剤を前記用紙に転写して塗布する、ことを特徴とする粉体接着剤塗布方法。
【請求項2】
前記接着剤塗布部は、前記粉体接着剤を接着剤収容器に収容し、該接着剤収容器に収容された前記粉体接着剤を前記用紙に塗布する接着剤塗布部材を備えている、ことを特徴とする請求項1記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項3】
前記接着剤塗布部材は、帯電性の接着剤塗布ローラであり、該接着剤塗布ローラに対し前記搬送経路を介して対向配置された転写部材により、前記搬送経路を搬送されてくる前記用紙を介して前記粉体接着剤を前記接着剤塗布ローラから前記用紙側に転移させる方向へ転写バイアスを印加される、ことを特徴とする請求項1記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項4】
前記接着剤塗布手段は、周表面に凹部と凸部を有するローラ状部材からなり、前記凹部に前記粉体接着剤を担持して回転する、ことを特徴とする請求項1記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項5】
前記転写補助部は、前記接着剤塗布部よりも前記用紙を搬送する搬送経路の用紙搬送方向上流側に在って、粘着剤を粘着剤収容器に収容し該粘着剤収容器に収容された前記粘着剤を前記用紙に塗布する粘着剤塗布手段を備えている、ことを特徴とする請求項1記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項6】
前記転写補助部は、前記接着剤塗布部よりも前記用紙を搬送する搬送経路の用紙搬送方向上流側に在って、高圧電源を備え該高圧電源から供給される高電圧を前記用紙に印加して該用紙を帯電させる、ことを特徴とする請求項1記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項7】
前記転写補助部は、前記接着剤塗布部よりも前記用紙を搬送する搬送経路の用紙搬送方向上流側に在って、コロナ放電により前記用紙を帯電させるコロナイオン発生機からなる、ことを特徴とする請求項1記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項8】
前記転写補助部は、高圧電源を備え、前記搬送経路に沿って前記用紙を搬送する搬送ベルトの用紙搬送方向上流側の駆動又は従動ローラに前記搬送ベルトを介して圧接し、前記搬送ベルト上に搬入されてくる前記用紙に高電圧を印加して前記用紙を帯電させ該用紙を前記搬送ベルトに静電的に吸着させると共に前記用紙に前記粉体接着剤の転写促進機能を付与する、ことを特徴とする請求項1記載の粉体接着剤塗布方法。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−209951(P2007−209951A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35233(P2006−35233)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】