説明

粉体散布装置

【課題】基材に粉体を散布して被覆層を形成するにあたり、ラインを停止することなく散布する粉体を容易に且つ速やかに切り換えることができ、多種類の製品を製造するにあたっての処理効率の低下を防止することができる粉体散布装置を提供する。
【解決手段】長尺な基材1がその長手方向に搬送される搬送経路2と、搬送経路2上の基材1に粉体3を散布する複数の散布手段4と、各散布手段4と搬送経路2との間の粉体3の落下を許容する状態とこの落下を阻止する状態とに切り換える切換手段5と、粉体3が散布された基材1を搬送経路2上で切断して短尺の部材6を切り出す切断手段7と、前記搬送経路2の終端から分岐した複数の分岐経路8と、前記部材6を搬送経路2から前記複数の分岐経路8のいずれかに振り分ける振分手段9とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に粉体を散布して積層する粉体散布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、セメント系成形材料等から形成される無機質成形板は、建築物の外装材や化粧板等に広く用いられており、このような場合、耐候性や外観の向上等のために表面に着色した塗膜を形成することが多い。このような塗膜は、長年の使用により剥離が生じることがあり、この場合には表面に再度塗装を施す必要がある。
【0003】
しかし、このように無機質成形板の塗膜が剥離した後、再度塗装を施すまでの間は、塗膜が剥離した部分は下地である無機質成形板の表面が露出するために外観が悪くなってしまう。このとき無機質成形板自体を前記塗膜と同一の色に着色していれば塗膜の剥離が生じてもその部分が目立つことがなくなるが、無機質成形板の表面のみを着色するために無機質成形板全体を着色するためにはセメント系成形材料中に多量の顔料を含有させることが必要となり、この場合は無機質成形板の内奥に存在する顔料は何ら外観の向上に寄与せず、コスト面や省資源化の面などから問題がある。
【0004】
そこで、無機質成形板を製造するにあたり、この無機質成形板の表面に着色された被覆層を積層成形することが考えられる。例えばセメント系成形材料を抄造等によりシート状に成形したグリーンシートを得た後に、このグリーンシートの上面に粉体として顔料を含有する成形材料を散布し、この状態で養生硬化等により一体に成形することで、表層に着色された被覆層を一体に有する無機質成形板を得ることができる。このようにすれば顔料の使用量を極力低減しつつ無機質成形板に着色を施すことができるものである。
【0005】
このようにグリーンシートに着色された被覆層を形成するための粉体を散布するにあたっては、従来から種々の目的でグリーンシート等に粉体を散布する手法を採用することが考えられる。例えば特許文献1に記載のものでは、外周面に複数の凹部を設けた回転ドラム体の凹部に粉体を供給し、この回転ドラム体を回転させることで凹部内の粉体を下方に落下させ、更にこの粉体がすのこ状遮蔽体を通過するようにしてから基材1の上面に到達するようにしている。
【0006】
また、本出願人は、基材に対して粉体を均一に且つ薄膜に積層させることができる粉体散布装置を、特願2005−291783にて提案している。
【特許文献1】特開2005−34815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようにして基材に粉体を散布して基材に被覆層を積層するにあたっては、散布する粉体の種類を変更する場合、一旦粉体散布装置を停止して、散布する粉体を取り替え、再度粉体散布装置を稼働させる必要がある。このため、一つのラインで他種類の製品を製造する場合にはラインの稼働効率が低くなり、製品の生産効率の低下につながるものであった。このため、基材に散布する粉体を短時間で容易に切り換えることができる粉体散布装置が求められている。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、基材に粉体を散布して被覆層を形成するにあたり、ラインを停止することなく散布する粉体を容易に且つ速やかに切り換えることができ、多種類の製品を製造するにあたっての処理効率の低下を防止することができる粉体散布装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る粉体散布装置は、長尺な基材1がその長手方向に搬送される搬送経路2と、搬送経路2上の基材1に粉体3を散布する複数の散布手段4と、各散布手段4と搬送経路2との間の粉体3の落下を許容する状態とこの落下を阻止する状態とに切り換える切換手段5と、粉体3が散布された基材1を搬送経路2上で切断して短尺の部材6を切り出す切断手段7とを具備することを特徴とするものである。
【0010】
これにより、長尺な基材1を搬送しながらこの基材1に複数の散布手段4にて複数種類の粉体3を散布することができると共に、切換手段5にて各散布手段4ごとに粉体3を散布している状態と散布してない状態とに速やかに切り換えることができて、基材1上の異種の粉体3が散布されている領域の境界においてこの異種の粉体3間をこの異種の粉体3の混在が生じることなく明確に区切ることができ、この基材1を前記境界で切断手段7にて切断することで、特定の粉体3のみが他の種類の粉体3が混在することなく散布された部材6を切り出すことができる。
【0011】
この粉体散布装置における上記切換手段5は、散布手段4から搬送経路2へ散布される粉体3の落下経路上に配置されている状態と前記落下経路上に配置されていない状態との間で移動可能な受体10と、前記受体10を駆動する駆動手段11とを具備することが好ましい。
【0012】
これにより、駆動手段11にて受体10を駆動することで、受体10を散布手段4から搬送経路2へ散布される粉体3の落下経路上に配置して散布手段4から基材1への粉体3の散布を阻止する状態と、前記落下経路上に配置されないようにして散布手段4から基材1への粉体3の散布を許容する状態とに切り換えることができ、かかる切換動作を迅速かつ確実に行うことができて、得られる部材6に散布された粉体3への他の種類の粉体3の混在を更に確実に防止することができる。
【0013】
また、上記粉体散布装置は、上記搬送経路2の終端から分岐した複数の分岐経路8と、上記部材6を搬送経路2から前記複数の分岐経路8のいずれかに振り分ける振分手段9とを具備することも好ましい。
【0014】
この場合、基材1から切り出された部材6を振分手段9により、散布されている粉体3の種類ごとに異なる分岐経路8に振り分けることができ、得られた部材6を散布されている粉体の種類ごとに別個の分岐経路8に振り分けて、それぞれ別個の後処理工程に送ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一つのラインにて異なる種類の粉体がそれぞれ散布された多種の部材を、所望の割合で得ることができると共に、各部材に散布されている粉体に他の種類の粉体が混在することを防止することができて、かかる多種の部材をラインを停止することなく同時且つ効率よく得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0017】
図1〜5は、本発明に係る粉体散布装置の一例である。
【0018】
この粉体散布装置は、長尺な基材1が搬送される搬送経路2がベルトコンベア等の適宜の搬送手段にて形成されており、この搬送経路2の終端には、振分手段9を介して、ベルトコンベア等の適宜の搬送手段にて形成される複数(図示では二つ)の分岐経路8が形成されている。
【0019】
上記搬送経路2には、始端側から基材1の搬送方向に沿って順に複数(図示では二つ)の散布手段4及び切断手段7が設けられている。
【0020】
本実施形態では、上流側の搬送経路2(2a)の始端にはスラリー状のセメント系成形材料が貯留されるフローボックス30が設けられており、このフローボックス30から少なくとも粉体散布装置の形成位置までの間においては、搬送経路2aは駆動ロール及び従動ロール32に懸架されて周回移動する無端状の抄造ベルト31にて形成されている。この抄造ベルト31は例えばフェルト製等の透水性を有するものであり、その下方には、サクションボックス33a等の吸引手段33が設けられている。フローボックス30は、この抄造ベルト31上にセメント系成形材料を供給するようになっている。
【0021】
セメント系成形材料としては、適宜のものを用いることができ、例えばセメントを主成分とし、必要に応じて、パルプ、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維等の補強繊維や、シリカ(珪石粉、シリカヒューム、フライアッシュ等)、シラスバルーン等の骨材等を添加し、所要量の水と混合して所定の固形分濃度となるように調整したものを用いることができる。具体的には例えば普通ポルトランドセメント50重量%、パルプ5重量%、珪石粉40重量%、シリカヒューム5重量%を配合したもの100重量部に対して、水を100重量部混合してスラリー状とした固形分濃度50重量のものを用いることができる。
【0022】
また、上記抄造ベルト31の上方のフローボックス30側寄りには、透水性シート35が配設されている。透水性シート35は無端状に形成され駆動ロール及び従動ロール36に懸架されており、周回軌道を抄造ベルト31とは反対方向に周回移動するようになっている。また抄造ベルト31の上流側の位置には透水性シート35を介して抄造ベルト31上の基材1に振動を加えるためのスラリー振動手段として機能する加振機37が配置されている。
【0023】
散布手段4は、抄造ベルト31の上方にこの抄造ベルト31にて搬送される基材1へ粉体3を散布するように設けることができる。粉体3としては、適宜のものを用いることができるが、例えば上記セメント系成形材料と同様のセメント、パルプ、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維等の補強繊維、シリカ(珪石粉、シリカヒューム、フライアッシュ等)、シラスバルーン等を含有するものを用いることができ、更に適宜の顔料を含有させた着色粉体3を用いることができる。具体的には例えば普通ポルトランドセメント50重量%、セルロースパウダー2重量%、珪石粉40重量%、シリカサンド8重量%の割合で各成分を混合し、更にこれらの混合物100重量部に対して黒色顔料等を3重量部配合したものを用いることができる。
【0024】
散布手段4は、搬送経路2aに沿って複数設けられる。散布手段4の構成は搬送経路2a上の基材1に対して粉体3を散布する機能を有するものであれば特に制限されないが、例えば図1に示すように、粉体3が供給されるホッパー50と、このホッパー50内に配設され回転駆動することにより前記ホッパー50内の粉体3を下方へ落下させるロータリフィーダ51と、前記ホッパー50から落下する粉体3を受け止めてこれを搬送するベルトフィーダ52と、このベルトフィーダ52上を搬送される粉体3に摺接することで粉体3の搬送量を調整する搬送量調整器53と、このベルトフィーダ52の下流側端部まで搬送された粉体3と接触しながら回転駆動することによりこの粉体3を下方に掻き落として散布する掻き落としロータ54とで構成されるものを採用することができる。
【0025】
図示の例ではホッパー50の上面の略中央部にはこのホッパー50内に粉体3を供給するための供給口39が設けられている。またホッパー50の下端開口40の上方にはロータリフィーダ51が設けられている。このロータリフィーダ51はホッパー50内の下部に設けた配置空間41内に軸回転駆動可能なローラ42を配設して形成されている。前記配置空間41は水平方向に横倒しされると共にその両端が閉じた円筒状の空間に形成され、その上方がホッパー50内の上部に連通し、下方がホッパー50の下端開口40に連通するように形成されている。また前記ローラ42はその中心軸(回転軸)が前記配置空間41の中心軸と略一致するように水平方向に配置され、前記配置空間41の内面と若干の隙間をあけて設けられている。このローラ42の回転軸は、ベルトフィーダ52上での粉体3の搬送方向と直交することとなる。これにより、ホッパー50内に粉体3が貯留された状態でロータリフィーダ51のローラ42を回転駆動させると、一定量の粉体3がベルトフィーダ52の一端部の上方に供給されることとなる。またこのとき粉体3はローラ42の軸方向に沿ってカーテン状に下方に落下することとなる。
【0026】
また、ホッパー50には、このホッパー50に振動を付与する振動付与手段9が設けられる。振動付与手段9としては、適宜の振動モータ3aを例えばホッパー50の外面に設けることができる。このような振動付与手段9を作動させることにより、ホッパー50内の粉体3を均すことができ、ホッパー50の内部での粉体3の粗密の発生を防止して、ホッパー50からベルトフィーダ52に供給される粉体3を更に均一に分散させることができる。
【0027】
ベルトフィーダ52は、その上面が上記ホッパー50の下端開口40の下方に配置されており、上記の通りホッパー50から供給された粉体3をこのベルトフィーダ52にて受け止めることができるようになっている。このときベルトフィーダ52の搬送方向と、上記ホッパー50におけるロータリフィーダ51のローラ42の回転軸とは直交するように配置され、これによりホッパー50からカーテン状に落下する粉体3が、ベルトフィーダ52における搬送方向と直交する方向に均一に広がるようにして供給されるようになっている。
【0028】
このベルトフィーダ52は、無端状の搬送ベルト15と、この搬送ベルト15が掛架されるローラ16にて構成されている。ローラ16は間隔をあけて平行並列に少なくとも二本配設され、このうち少なくとも一本が、モータ等からの駆動力の伝達を受けて回転駆動する駆動ローラ16として形成されている。
【0029】
これらのホッパー50及びベルトフィーダ52は、図示はしていないが、適宜のフレーム材等の支持躯体に支持されるように設けることができる。
【0030】
搬送量調整器53は、ベルトフィーダ52の上方に、このベルトフィーダ52への粉体3の供給位置よりも下流側に配設されている。搬送量調整器53は例えば平板状の板材をその下端面5aがベルトフィーダ52の上面と間隔をあけて対向する状態で、このベルトフィーダ52の上方に立設するように形成することができる。このとき、搬送量調整器53を通過する粉体3の搬送量は、搬送量調整器53の下端面5aとベルトフィーダ52の間の隙間の寸法に規制され、これによりベルトフィーダ52にて搬送される粉体3の搬送量が調整される。
【0031】
また、この搬送量調整器53には、振動モータ等の振動付与手段44を設けることもできる。この場合、搬送量調整器53の下端面5aとベルトフィーダ52の上面との間の間隔が狭くても、振動付与手段44にて搬送量調整器53に振動を付与することで粉体3が停滞することを防ぎ、粉体3の均一な供給を確保することができる。
【0032】
また、搬送量調整器53に対してベルトフィーダ52による粉体3の搬送方向の上流側には、この搬送量調整器53と、ベルトフィーダ52における粉体3の供給位置との間に、搬送量調整補助器56を設けても良い。搬送量調整補助器56は、搬送量調整器53と同様に、例えば平板状の板材をその下端面がベルトフィーダ52の上面と間隔をあけて対向する状態で、このベルトフィーダ52の上方に立設するように形成することができ、搬送量調整器53と同様の手法により粉体3の搬送量の調整をなすことができる。これにより搬送量調整補助器56と搬送量調整器53にて粉体3の搬送量を二段階で調整することができて、より正確に搬送量の調整をなすことができる。
【0033】
また、搬送量調整器53に対してベルトフィーダ52による粉体3の搬送方向の上流側には、この搬送量調整器53と、ベルトフィーダ52における粉体3の供給位置との間に均し器55を設けても良い。図示の例では搬送量調整器53と搬送量調整補助器56との間に均し器55を設けている。均し器55は下面が平坦な部材6にて構成することができ、ベルトフィーダ52の上方に間隔をあけて配置され、このベルトフィーダ52上の粉体3の搬送方向と直交する水平方向に往復駆動可能に形成される。また、均し器55の駆動機構は適宜のものを採用でき、例えばロッドレスシリンダ等の適宜のアクチュエータ43を設けることができる。このような均し器55を設けると、搬送量調整器53にて粉体3の搬送量を調整する際に、その上流側にこの搬送量調整器53を通過しなかった粉体3が山盛り状に溜まってその部分に粉体3の粗密が発生しても、均し器55を往復駆動することで前記山盛り状になった粉体3を均すと共に粗密を解消することができ、搬送量調整器53を通過させる際の粉体3の分布の粗密発生を抑制することができるようになる。
【0034】
また、ベルトフィーダ52の下流側端部の上方には、軸回転駆動可能な掻き落としロータ54が配設されている。掻き落としロータ54の周面は、好ましくは複数の溝や複数のスパイク状の突起を設けるなどした凹凸状に形成されており、その回転軸がベルトフィーダ3上の粉体3の搬送方向と直交する水平方向となっている。このとき図示の例では掻き落としロータ54の下端がベルトフィーダ52の下流側端縁の上方に配置されている。この掻き落としロータ54とベルトフィーダ52との間は、ベルトフィーダ52上における粉体3の堆積厚みよりも小さくなるような、すなわち搬送量調整器53の下端面5aとベルトフィーダ52の上面との間の間隔よりも小さくなるような隙間をあけ、或いは掻き落としロータ54とベルトフィーダ52とが接触するように配置することが好ましい。また掻き落としロータ54の回転駆動方向は、その下側に配置される周面の移動方向がベルトフィーダ52上の粉体3の搬送方向と一致する方向となるようにする。この掻き落としロータ54は、ベルトフィーダ52の下流側端部まで搬送された粉体3と接触しながら回転駆動することで、この接触した粉体3を掻き取ってこれをベルトフィーダ52における粉体3の搬送方向に向けて付勢するものであり、このためベルトフィーダ52の下流側端縁から下方へ散布される粉体3を分散させながら、粉体3を確実且つ安定してベルトフィーダ52の下流側端縁から散布することができる。一方、かかる掻き落としロータ54を設けないと粉体3が塊になって散布されたり、ベルトフィーダ52に付着したまま散布されなかったりするおそれがあり、散布される粉体3の分散性が悪かったり、不均一な分散になるおそれがある。
【0035】
また、ベルトフィーダ52の下端部の下方には篩いを設けることが好ましく、これによりベルトフィーダ52から散布される粉体3を更に均一に分散して散布することができる。このような篩いとして特に振動駆動するものを設ければ、粉体3をより均一に分散して散布することができる。図示の例では水平一軸方向に振動駆動する第一の篩い13と、前記第一の篩い13の下方において前記一軸方向と直交する水平方向に振動駆動する第二の篩い14が設けられている。各篩い13,14の振動駆動は、例えばこれら各篩い13,14に振動を付加する振動モータ等を設けることでなすことができる。このように互いに直交する方向にそれぞれ振動駆動する篩いを設ければ、第一の篩い13を通過する際に粉体3を一軸方向に均一に分散させ、更に第二の篩い14を通過する際に前記一軸方向と直交する軸方向に均一に分散させることができ、粉体3の分散性がより高くなる。
【0036】
上記のような篩い13,14は金属メッシュ等で形成することができ、その目開きは適宜設定されるが、例えば0.5〜5mmの範囲とすることができる。
【0037】
また、この各篩い13,14は、それぞれ目開きがより大きい篩い(支持篩い)の上面に支持された状態で配設することができる。この支持篩いは、前記各篩い13,14が弛んだり変形したりしないように支持する機能を有する。すなわち、目開きの小さい篩い13,14はこれを形成するためのワイヤの線径も小さくなって、特に上記のように各篩い13,14を振動駆動させる場合にはその形状を維持することが困難であるが、より目開きが大きく線径の大きなワイヤで構成される支持篩いにて支持することにより、各篩い13,14の形状を維持し、弛みや変形が生じないようにすることができる。これにより、各篩い13,14を通過する粉体3の均一分散性が更に向上する。
【0038】
ここで、搬送経路2aにおける基材1の搬送速度を検出し、この検出結果に基づいて、ロータリフィーダ51の回転速度及び上記ベルトフィーダ52による粉体3の搬送速度を制御すれば、基材1に対して、予め設定された所定量の粉体3を散布することができる。すなわち、ロータリフィーダ51の回転速度を調整することで、ホッパー50からベルトフィーダ52へ供給される粉体3の供給量を調整し、更にベルトフィーダ52による粉体3の搬送速度を調整することでベルトフィーダ52の下流側端部から散布される粉体3の散布量を調整し、このときこの散布量を基材1の搬送速度と連動して設定することができて、基材1の面積あたりの散布量が所定量となるように制御することができるものである。
【0039】
ここで、搬送経路2aにおける基材1の搬送速度の検出には適宜の手法を採用することができるが、例えば抄造ベルト31の駆動ロールに回転駆動力を伝達するモータに供給されている駆動電流量に基づいて搬送速度を検出し、その結果に基づいて基材1の搬送速度を検出することができる。また、この検出結果に基づくロータリフィーダ51及びベルトフィーダ52の制御は、例えば適宜の検出器によって検出された前記搬送速度の検出結果の信号が入力され、これに基づいてロータリフィーダ51及びベルトフィーダ52の駆動機構へ制御信号を出力するCPU等の制御部22を設けることで行うことができる。
【0040】
また、ベルトフィーダ52上の粉体3の重量を測定する重量測定器19を設けることもできる。重量測定器19としてはロードセル(荷重センサ)等の適宜のものを設けることができ、またこのとき例えば重量測定器19としてベルトフィーダ52全体の重量を測定するものを設けることで、その測定される重量変化に基づきベルトフィーダ52上の粉体3の重量を測定するようにすることができる。この場合、重量測定器19による測定結果に基づいて、ベルトフィーダ52上に存在する粉体3の量が適正な範囲となるように、ベルトフィーダ52への粉体3の供給量を調整することが可能となる。
【0041】
重量測定器19による測定結果に基づくベルトフィーダ52への粉体3の供給量の調整は種々の手法で行うことができるが、例えば重量測定器19からの検出信号が入力され、それに基づいてロータリフィーダ51の駆動機構へ制御信号を出力するCPU等の制御部22を設けることで行うことができる。この制御部22は上記の基材1の搬送速度に基づきロータリフィーダ51及びベルトフィーダ52を制御する制御部22と同一のものとすることができる。このとき制御部22としては、例えば重量測定器19にて検出されるベルトフィーダ52上の粉体3の重量が所定範囲を超えた場合にロータリフィーダ51の駆動機構に制御信号を出力してこのロータリフィーダ51による粉体3のベルトフィーダ52への粉体3の供給を一定時間停止し、或いはこの供給量を一定時間低減するようにし、またベルトフィーダ52上の粉体3の重量が所定範囲未満となった場合にロータリフィーダ51の駆動機構に制御信号を出力してこのロータリフィーダ51による粉体3のベルトフィーダ52への粉体3の供給量を一定時間増大させるような制御を行うものを設けることができる。
【0042】
このように形成される散布手段4は、図2に示すように、上記ベルトフィーダ52の下流側端縁が、上記セメント系成形板の製造工程における搬送経路2aの、透水性シート35の配設位置よりも下流側における上方に位置するように配置され、これにより搬送経路2aを搬送される基材1がベルトフィーダ52の下流側端縁の下方を通過するようになっている。このとき、篩い13,14を設ける場合には、ベルトフィーダ52の下流側端縁と搬送経路2aとの間に設けるようにする。
【0043】
このような散布手段4は、基材1であるグリーンシートの含水率が35〜47重量%の範囲の状態でグリーンシートに粉体3を散布する位置に設けることが好ましい。すなわち、グリーンシートは搬送経路2aにおいて搬送される間に吸引手段33であるサクションボックス33aにて吸引されることによりその含水率が養生硬化のために好適な範囲となるまで水分が吸引されるものであるが、この過程において、搬送経路2a上における、グリーンシートの含水率が35〜47重量%の範囲となる位置に粉体3が散布されるように、散布手段4を設けるものである。このようにすると表面形状が平坦で且つワレや切れ等の不良のない被覆層を一体に形成することができるものであり、これに対してグリーンシートの含水率が高く変形が生じやすい状態で粉体3を散布すると粉体3の散布によりグリーンシートが変形して被覆層に不陸が生じやすくなり、またグリーンシートの含水率が低い状態で粉体3を散布するとグリーンシートと粉体3との間のなじみが悪くなり形成される被覆層にワレや切れ等の不良が発生するおそれがある。
【0044】
上記のように構成される散布手段4は、搬送経路2aに沿って複数設けられる。散布手段4の設置個数は、粉体散布装置にて同時期に使用する粉体3の種類に応じて適宜設定される。図示の例では二つの散布手段4a,4bを設けている。図示の例では、基材1の搬送方向の上流側に配置された第一の散布手段4aと下流側に配置された第二の散布手段4bとは、各ベルトフィーダ52の下流側端部が対向するように向かい合わせに配設されている。かかる配置により、二つの散布手段4a,4bにおける粉体3の散布位置が大きく離れないようにし、各散布手段4a,4bから基材1に粉体3が散布される際の基材1の含水率が共に適正な範囲内になるようにしている。このとき二種の粉体3a,3bの各散布位置の間隔は、1000〜1200mmの範囲となるようにすることが好ましい。
【0045】
切換手段5は、上記のような複数の各散布手段4ごとに設けられる。この切換手段5は、散布手段4と搬送経路2aとの間の粉体3の落下を許容する状態(許容状態)とこの落下を阻止する状態(阻止状態)とに切り換えるものであり、阻止状態にあるときには散布手段4から粉体3が散布されていてもこの粉体3が基材1に到達することを阻止するものである。
【0046】
切換手段5としては、上記のような切換動作が可能なものを適宜設けることができる。図示の例では、散布手段4の篩い13,14の下方において横方向にスライド移動可能な受体10と、この受体10を駆動するエアシリンダ等の駆動手段11とによって切換手段5が構成されている。この受体10は、切換手段5が阻止状態にあるときは散布手段4から搬送経路2aへ散布される粉体3の落下経路上に配置された状態となり、阻止状態では前記落下経路上に配置されていない状態となるように、移動可能に形成される。受体10は、上方に開口する容器等にて形成することができ、阻止状態において散布手段4から散布される粉体3を受け止めて貯留することができるようになっている。
【0047】
図示の例では、受体10は阻止状態においてベルトフィーダ52の下端部の下方において、篩い13,14の更に下方に配置され、許容状態では阻止状態の位置よりもベルトフィーダ52の搬送方向側に変位した位置に配置されるようになっている。
【0048】
切断手段7は、記述のように搬送経路2上における、上記散布手段4よりも下流側に設けられ、この搬送経路2上の基材1をその搬送方向と直交する方向に切断して短尺の部材6を切り出す。切断手段7としては、基材1に噴射水圧をかけることで切断するウォータージェット等の適宜のものを設けることができる。図示の例では搬送経路2上に下方に水流を噴射すると共にその噴射位置を基材1の搬送方向と傾斜する方向に移動するウォータージェットを設け、基材1の搬送速度と同期させて水流の噴射位置を移動させることにより、基材1をその搬送方向と直交する方向に切断するものである。
【0049】
ここで、図5に示すように、切断手段7の形成位置から、それよりも下流側の位置における搬送経路2(2b)は、ローラコンベアにて形成されており、且つ、この搬送経路2bは搬送方向に向けてやや下り傾斜するように形成されている。また、この搬送経路2bのさらに下流側の搬送経路2cは、それよりも上流側の搬送経路2a,2bよりも搬送速度が速いベルトコンベアにて形成されている。
【0050】
また切断手段7の更に下流側の、搬送経路2の終端には、記述のように複数の分岐経路8が接続されている。分岐経路8の個数は上記散布手段4の個数と同数が設けられる。分岐経路8はコンベアベルト等の適宜の搬送手段にて構成することができる。図示の例では、搬送経路2の終端に二つの分岐経路8が接続されており、各分岐経路8の始端は、搬送経路2の終端の両側方に、それぞれ配置されている。
【0051】
上記分岐経路8と搬送経路2との接続位置に設けられる振分手段9は、記述のように搬送経路2の終端まで搬送された部材6をいずれかの分岐経路8に振り分けて移送するものである。振分手段9は適宜のものが設けられるが、例えば搬送経路2の終端に配置されている部材6を、搬送経路2と直交する両方向にそれぞれ搬送可能な吸着搬送装置を設けておき、この吸着搬送装置にて振分手段9を構成することができる。吸着搬送装置としては、図示の例では下面に部材6を支持する上下駆動自在な吸着支持体9aを、ガイドレール9bに沿って搬送経路2の搬送方向と直行する方向に駆動可能に形成したものを設けており、搬送経路2の終端に配置されている部材6を吸着支持体9aにて吸引して吸着支持し、この状態で吸着支持体9aをガイドレール9bに沿って搬送経路2と直交する両方向のうちいずれかの方向に移動し、いずれかの分岐経路8の始端の上で部材6の吸着支持を解除することによりこの部材6を分岐経路8上に配置するものを設けている。この場合、部材6が搬送経路2の終端に到達した際に、この部材6を前記吸着搬送装置にていずれか一方の分岐経路8側に搬送することで、この部材6を前記一方の分岐経路8に移送することができる。
【0052】
このようにして構成される散布手段4を設けたセメント系成形板の製造工程によりセメント系成形板を成形するにあたっては、まずフローボックス30からセメント系成形材料が搬送経路2を構成する抄造ベルト31上に供給され、このセメント系成形材料は周回駆動する抄造ベルト31と透水性シート35との間で挟持されながら搬送経路2を搬送されることでシート状に成形されて基材1であるグリーンシートが形成され、この基材1は搬送経路2を搬送されながら吸引手段33であるサクションボックス33aにて水分が吸引される。このとき基材1には加振機37によって振動が加えられるため、基材1からはその内部に含まれていた水分が効率的に放出される。
【0053】
この搬送経路2を搬送される基材1は透水性シート35を通過した後、上記散布手段4におけるベルトフィーダ52の下流側端縁の下方を通過し、その上面に粉体3が散布される。
【0054】
このときの散布手段4の動作は既に述べた通りであり、この散布手段4が作動することにより、まずホッパー50内の粉体3がロータリフィーダ51によりベルトフィーダ52上に供給される。粉体3はベルトフィーダ52上を搬送されながら、まず搬送量調整補助器56を通過して搬送量が予備的に調整された後、均し器55を通過することにより均され、次いで搬送量調整器53を通過することにより最終的に搬送量が調整される。
【0055】
次いで、この粉体3はベルトフィーダ52の下流側端縁から下方に散布され、更にこの粉体3が第一の篩い13及び第二の篩い14を順次通過した後、搬送経路2上を搬送される基材1等の基材1の表面に均一に散布されるものである。このため基材1上には粉体3が薄く均一に積層した層が形成される。
【0056】
このように基材1に粉体3を散布するにあたり、基材1には予め長手方向に分割された複数の領域1a,1bを設定しておき、各領域1a,1bには、それぞれ一つの散布手段4からのみ粉体3が散布されるようにする。前記領域1a,1bは切断手段7にて切り出される部材6に対応するものである。この基材1上の領域1a,1bは、別個の粉体3が散布された複数種類の部材6を得るにあたり、各部材6の所望の生産比率に応じて設定されるものであり、例えば第一の粉体3aが散布された部材6aの生産数に対して第二の粉体3bが散布された部材6bの生産数が2倍になるようにする場合に、基材1上には第一の粉体3aが散布されるべき一つの領域1aと、第二の粉体3bが散布されるべき二つの領域1bとが、長手方向に沿って交互に設定される。
【0057】
このように特定の領域1a,1bに各散布手段4a,4bから粉体3を散布するために、各散布手段4a,4bに設けられた切換手段5a,5bをそれぞれ別個に作動させ、各散布手段4a,4bからそれぞれ基材1上の所定の領域1a,1bにのみ粉体3を散布するようにする。すなわち、基材1を搬送することにより、特定の粉体3が散布されるべき領域1a,1bの始端と他の粉体3が散布されるべき領域1a,1bの終端との境界12が、前記特定の粉体3を散布する散布手段4による散布位置に達したら、この散布手段4による粉体3の散布を許容状態とし、次いで特定の粉体3が散布されるべき領域1a,1bの終端と他の粉体3が散布されるべき領域1a,1bの始端との境界12が、前記特定の粉体3を散布する散布手段4による散布位置に達したら、この散布手段4による粉体3の散布を阻止状態とするように、切換手段5を切り換えるものである。
【0058】
図4(a)〜(e)はこのような切換手段5の制御の一例を示すものである。
【0059】
図4(a)は、第一の散布手段4aによる粉体3aの散布を許容状態とし、基材1上の第一の粉体3aが散布されるべき領域1aに粉体3aを散布している様子を示す。第二の散布手段4bからの粉体3bの散布は阻止状態となり、基材1上に散布されない状態となっている。
【0060】
この状態で第一の粉体3aが散布され、基材1上の第一の粉体3aが散布されるべき領域の終端と第二の粉体3bが散布されるべき領域の始端との境界12aが、第一の粉体3aの散布位置に達したら、図4(b)に示すように切換手段5aにて第一の粉体3aの散布を阻止状態とし、第二の粉体3bが散布されるべき領域1bに第一の粉体3aが散布されないようにする。
【0061】
次いで、前記境界12aが第二の散布手段4bによる第二の粉体3bの散布位置に達したら、図4(c)に示すように切換手段5bを作動させて第二の粉体3bの散布を許容状態とし、第二の粉体3bが散布されるべき領域1bに第二の粉体3bを散布する。
【0062】
次に、基材1の第二の粉体3bが散布されるべき領域1bの終端と第一の粉体3aが散布されるべき領域1aの始端との境界12bが、第一の散布手段4aによる散布位置に達したら、図4(d)に示すように切換手段5にて第一の粉体3aの散布を許容状態とし、第一の粉体3aが散布されるべき領域1aに第一の粉体3aを散布する。
【0063】
次に、前記境界12が第二の散布手段4bによる散布位置に達したら、図4(e)に示すように切換手段5bにより第二の粉体3bの散布を阻止状態とし、第一の粉体3aが散布されるべき領域1aに第二の粉体3bが散布されないようにする。
【0064】
以後は、図4(a)〜(e)に示す動作を繰り返すこととなる。
【0065】
上記のように散布手段4及び切換手段5を動作させる際には、粉体3の散布が許容状態、阻止状態のいずれの場合も連続的に散布手段4を稼働させていても、阻止状態では受体10にて粉体3を貯留することができ、この貯留された粉体3を再利用することができる。また、阻止状態の間は散布手段4の稼働を停止していても良い。
【0066】
このような切換手段5の切換制御は、基材1に設定される各領域の長手方向の寸法、基材1の搬送速度、及び各散布手段4による搬送経路2上における粉体3の散布位置に基づいたタイミング制御にて行うことができる。
【0067】
このようにして基材1に粉体3を散布すると、基材1上の特定の領域1a,1bに特定の粉体3a,3bを散布することができる。
【0068】
また、基材1上への特定の粉体3の散布開始や散布の停止をベルトフィーダ52の駆動及び停止の動作で行うなどのように散布手段4の動作のみで行う場合には、基材1への粉体3の散布を開始する際や粉体3の散布を停止する際には散布される粉体3が疎らになるなどして、基材1上での異種の粉体3a,3bが散布されている領域1a,1b間の境界12a,12b付近では粉体3の散布量が少なくなったり異種の粉体3a,3bの混在が生じたりしやすいが、上記のように基材1への粉体3の散布の許容状態と阻止状態との切換を散布手段4とは別個の切換手段5にて行うようにすれば、散布手段4の性能に依存することなく、粉体3の散布を許容状態と阻止状態との間で速やかに切り換えることができる。このため、基材1上での異種の粉体3a,3bが散布されている領域1a,1b間の境界12a,12bにおいて、異種の粉体3a,3b間が明確に区切られることとなる。
【0069】
このように粉体3が散布された基材1は更に搬送経路2上を搬送されてサクションボックス33aにて水分が吸引される。
【0070】
次いで、基材1が切断手段7にて搬送方向と直交する方向に切断され、短尺の部材6が切り出される。基材1の切断は、基材1に設定された複数の領域間の境界12の位置にてなされるものであり、基材1に設定される各領域の長手方向の寸法、基材1の搬送速度及び搬送経路2上における切断手段7による基材1の切断位置に基づいたタイミング制御にて行うことができる。
【0071】
このとき、基材1は、同一の粉体3が散布されている領域の境界12にて切断される場合と、異種の粉体3a,3bが散布されている領域の境界12(12a,12b)にて切断される場合とがあるが、後者の場合、上記のようにこの境界12a,12bにおいて異種の粉体3a,3b間が明確に区切られているため、切り出された部材6の表面では異種の粉体3a,3bの混在が抑制される。
【0072】
このように切り出された部材6は更に搬送経路2上を下流側に搬送される。このとき、搬送経路2における切断手段7の下流側における搬送経路2cでの部材2の搬送速度を、上記のように上流側の搬送経路2a,2bでの基材1の搬送速度よりも速くすることにより、基材1から順次切り出された部材6が搬送経路2上を互いに間隔をあけて搬送されるようにすることが好ましい。
【0073】
この部材6は、搬送経路2の終端まで搬送され、振分手段9にて分岐経路8に移送される。振分手段9による部材6の分岐経路8への振り分けは、同一の粉体3が散布されている部材6ごとに特定の分岐経路8へ移送されるように行われる。すなわち、図示の例では第一の粉体3aが散布された部材6aが移送される第一の分岐経路8aと、第二の粉体3bが散布された部材6bが移送される第二の分岐経路8bとが設けられており、搬送経路2の終端に第一の粉体3aが散布された部材6aが到達したら振分手段9はこの部材6aを第一の分岐経路8aに移送し、この終端に第二の粉体3bが散布された部材6bが到達したら振分手段9はこの部材6bを第二の分岐経路8bに移送するものである。このときの振分制御は、基材1に予め設定されている特定の粉体3が散布されるべき複数の領域1a,1bの配列に基づいて行われる。すなわち、搬送経路2上では基材1における前記領域1a,1bの配列に応じて、散布手段4により基材1に各領域1a,1bごとに特定の粉体3が散布され、この基材1から切り出された、特定の一の粉体3が散布された部材6が搬送経路2の終端に順次搬送されてくるため、基材1における領域1a,1bの配列の設定や、この設定によって制御された切換手段5による各領域1a,1bに散布する粉体3の種類の切換の履歴等に基づき、搬送経路2の終端に到達する順番によってその部材6に散布されている粉体3の種類が特定されることとなり、その特定される粉体3の種類に応じて、振分手段9にて部材6を特定の分岐経路8に振り分けて移送することができる。
【0074】
各分岐経路8に移送された部材6は、次工程へと送られる。このとき、各分岐経路8にはそれぞれ一種類の部材6(同一の粉体3が散布されている部材6)のみが移送されるので、各部材6をその種類に応じた工程にそれぞれ送ることができる。
【0075】
分岐経路8にて送られる工程としては養生工程等を挙げることができ、また養生工程に先立ってプレス工程等へ送ることもできる。この場合、部材6は必要に応じてプレス工程等で成形された後、養生工程にて養生硬化される。養生工程では、各部材6は蒸気養生等により硬化成形され、セメント系の無機質成形板が形成される。このようにして得られた無機質成形板には、その表層に粉体3が成形硬化した薄く均一な被覆層が一体に形成されることとなる。このように形成される無機質成形板は厚み6.2〜7.2mmの範囲とすることが好ましく、また被覆層の厚みは0.14〜0.2mmの範囲とすることが好ましい。これらの厚みは上記工程におけるラインスピードやフローボックス30からのセメント系無機質成形材料の供給量、散布手段4からの粉体3の散布量等を調整することで適宜調整される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略の平面図である。
【図2】図1に示す実施形態の一部を示す概略の側面図である。
【図3】図2に示す実施形態の更に一部を示す概略の側面図である。
【図4】(a)乃至(e)は同上の動作を示す概略の側面図である。
【図5】図1に示す実施形態の他の一部を示す概略の側面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 基材
2 搬送経路
3 粉体
4 散布手段
5 切換手段
6 部材
7 切断手段
8 分岐経路
9 振分手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な基材がその長手方向に搬送される搬送経路と、搬送経路上の基材に粉体を散布する複数の散布手段と、各散布手段と搬送経路との間の粉体の落下を許容する状態とこの落下を阻止する状態とに切り換える切換手段と、粉体が散布された基材を搬送経路上で切断して短尺の部材を切り出す切断手段とを具備することを特徴とする粉体散布装置。
【請求項2】
上記切換手段が、散布手段から搬送経路へ散布される粉体の落下経路上に配置されている状態と前記落下経路上に配置されていない状態との間で移動可能な受体と、前記受体を駆動する駆動手段とを具備することを特徴とする請求項1に記載の粉体散布装置。
【請求項3】
上記搬送経路の終端から分岐した複数の分岐経路と、上記部材を搬送経路から前記複数の分岐経路のいずれかに振り分ける振分手段とを具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体散布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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