説明

粉体物乾燥装置

【課題】フレキシブルコンテナパックに充填された金属シリコン粉末等の粉体物を簡単な操作で取り出して、粉体物を確実に装置本体内へと供給することが可能な粉体物乾燥装置を提供する。
【解決手段】装置本体31の内部に供給された粉体物を乾燥させる粉体物乾燥装置30において、装置本体31の上部に粉体物供給口を有する接続部32が形成され、この接続部32には、粉体物が充填されたフレキシブルコンテナパックCを開袋して前記粉体物を取り出すフレキシブルコンテナパック用開袋機10が接続されており、フレキシブルコンテナパック用開袋機10は、上下方向に沿う筒状のケーシング11と、前記フレキシブルコンテナパックをケーシング11の上方開口部からケーシング11内に装入する吊下手段12と、を備え、ケーシング11内部には、刃先を上方に向けた固定刃16が配設されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体物が充填されたフレキシブルコンテナパックを開袋して粉体物を取り出すフレキシブルコンテナパック用開袋機を備え、前記粉体物を乾燥する粉体物乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体物を充填して搬送・保管するための容器として、織布などで構成されたフレキシブルコンテナパックが広く利用されている。従来のフレキシブルコンテナパックでは、その底部に設けられた取出口を紐等によって閉じており、紐等を操作して取出口を開封することにより充填された粉体物を取り出している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、近年、半導体用材料として、イレブンナイン以上の極めて高純度のシリコンの需要が高まっている。このような極めて高純度のシリコンは、内部にシリコンのシード材が配置された反応炉内にトリクロロシラン(SiHCl)ガスと水素ガスとを供給し、前記シード材に金属シリコンを析出させることで製造されている。
【0004】
前述のトリクロロシラン(SiHCl)は、純度98%程度の金属シリコン粉末(Si)と塩化水素ガス(HCl)とを反応させることで製造される。このトリクロロシランの原料として使用される金属シリコン粉末は、粒径が1000μm以下と比較的小さく、前述のフレキシブルコンテナパックに充填されて、搬送・保管されている。
【0005】
また、金属シリコン粉末は、トリクロロシラン製造用反応装置(例えば、特許文献2参照)内に供給され、底部から噴き出す塩化水素ガスによって装置内を流動しながら塩化水素ガスと反応し、トリクロロシランを生成する。ここで、金属シリコン粉末が水分を含んでいると、装置内での流動が不十分となってトリクロロシランを効率良く生成することができなくなってしまう。
そこで、フレキシブルコンテナパックに充填されて搬送・保管されていた金属シリコン粉末は、粉体物乾燥装置によって水分を除去した後にトリクロロシラン製造用反応装置に供給されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−110088号公報
【特許文献2】特開2002−220219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のようにフレキシブルコンテナパックを開袋して粉体物を取出口から落下させた場合、粉体物が落下の衝撃によって飛散してしまうおそれがあった。このような粉体物の飛散を防止するために、フレキシブルコンテナパックを筒状のケーシング内に入れて開袋するとともに、取り出した粉体物が粉体物乾燥装置の装置本体内に直接供給されるように構成することが考えられるが、フレキシブルコンテナパックの取出口がケーシング内に収容されるため、フレキシブルコンテナパックの紐等の操作がしにくくなってしまうといった問題があった。
そこで、簡単な操作で粉体物を取り出すことができ、かつ、粉体物を確実に装置本体内へと供給することが可能な粉体物乾燥装置が望まれていた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、フレキシブルコンテナパックに充填された金属シリコン粉末等の粉体物を簡単な操作で取り出して、粉体物を確実に装置本体内へと供給することが可能な粉体物乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、本発明に係る粉体物乾燥装置は、装置本体の内部に供給された粉体物を乾燥させる粉体物乾燥装置において、前記装置本体の上部に粉体物供給口を有する接続部が形成され、この接続部には、粉体物が充填されたフレキシブルコンテナパックを開袋して前記粉体物を取り出すフレキシブルコンテナパック用開袋機が接続されており、前記フレキシブルコンテナパック用開袋機は、上下方向に沿う筒状のケーシングと、前記フレキシブルコンテナパックを前記ケーシングの上方開口部から前記ケーシング内に装入する吊下手段と、を備え、前記ケーシング内部には、刃先を上方に向けた固定刃が配設されていることを特徴としている。
【0010】
この構成の粉体物乾燥装置においては、接続部には、粉体物が充填されたフレキシブルコンテナパックを開袋して前記粉体物を取り出すフレキシブルコンテナパック用開袋機が接続されているので、フレキシブルコンテナパック用開袋機によって取り出された粉体物が、粉体物供給口から装置本体内部に落下することになり、フレキシブルコンテナパックに充填された粉体物を簡単な操作で確実に装置本体内部に供給することができる。また、フレキシブルコンテナパック用開袋機においては、ケーシング内部に刃先を上方に向けた固定刃が配設されているので、フレキシブルコンテナパックを吊下手段によってケーシングの上方開口部から装入すると、粉体物が充填されたフレキシブルコンテナパックの自重によってフレキシブルコンテナパックの底部が固定刃の刃先に押し当てられ、フレキシブルコンテナパックの底部が切断されて開袋される。このようにフレキシブルコンテナパックを直接操作することなく開袋して粉体物を取り出すことが可能となる。さらに、ケーシング内で開袋作業が行われるので、粉体物が落下した際の衝撃による飛散を防止できる。
【0011】
本発明の粉体物乾燥装置は、前記装置本体の内部に、熱交換用パイプが概略円筒状をなすように設けられており、前記粉体物供給口が前記熱交換用パイプがなす円筒の内周孔の中心上に配設されるとともに、前記内周孔の内径が前記粉体物供給口よりも大径とされていることを特徴としている。
この構成の粉体物乾燥装置においては、粉体物が粉体物供給口を介して円筒状をなす熱交換用パイプの内周側に落下することになり、粉体物との衝突を防止して熱交換パイプの破損を防止できる。また、装置本体内部に熱交換パイプが設けられているので、粉体物を効率良く乾燥させることができる。
【0012】
本発明の粉体物乾燥装置は、前記ケーシングの下方に、前記ケーシングの下方開口部から排出された粉体物を集合させる集合ホッパーが設けられるとともに、この集合ホッパーに接続され、前記集合ホッパー内に浮遊する微粉末を回収するバグフィルターを備えていることを特徴としている。
この構成の粉体物乾燥装置においては、排出された粉体物が集合ホッパーを通過する際に、バグフィルターによって集合ホッパー内を浮遊する微粉末を回収できるので、装置本体等に微粉末が混入することを防止できる。
【0013】
本発明の粉体物乾燥装置は、前記固定刃は、平面視して前記ケーシングの中心から放射状に延びる複数の切刃を有していることを特徴としている。
この構成の粉体物乾燥装置においては、フレキシブルコンテナパックの底部がケーシングの中心から放射状に延びる複数の切刃によって切断されることになり、底部が大きく開口して粉体物を確実に取り出すことができ、粉体物を簡単な操作で装置本体内部に供給することができる。
【0014】
本発明の粉体物乾燥装置は、前記固定刃の刃先は、前記ケーシングの中心部から周縁部に向かうにしたがい漸次低くなるように配置されていることを特徴としている。
この構成の粉体物乾燥装置においては、ケーシング内に装入されたフレキシブルコンテナパックの底部が、まず、固定刃の中心部に接触することになる。ここで、前記底部と固定刃との接触面積が小さいので、フレキシブルコンテナパックの底部が固定刃の刃先に強く押し当てられ、フレキシブルコンテナパックの底部を確実に切断して粉体物を確実に取り出すことができる。
【0015】
本発明の粉体物乾燥装置は、前記ケーシングには、前記ケーシング内に装入された前記フレキシブルコンテナパックを叩く叩打手段が設けられていることを特徴としている。
この構成の粉体物乾燥装置においては、叩打手段によってフレキシブルコンテナパックを叩くことにより、フレキシブルコンテナパックの内面に残存した粉体物を取り出すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フレキシブルコンテナパックに充填された金属シリコン粉末等の粉体物を簡単な操作で取り出して、粉体物を確実に装置本体内へと供給することが可能な粉体物乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態である粉体物乾燥装置を示す概略図である。
【図2】図1に示すフレキシブルコンテナパック用開袋機の側面図である。
【図3】図2に示すフレキシブルコンテナパック用開袋機の平面図である。
【図4】図1に示す装置本体の側面部分断面図である。
【図5】図4におけるX−X断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態である粉体物乾燥装置について、添付した図面を参照して説明する。
本実施形態である粉体物乾燥装置30は、トリクロロシラン(SiHCl)の原料として用いられる金属シリコン粉末(粒径1000μm以下)をトリクロロシラン製造用反応装置に供給する前に乾燥させるものである。
【0019】
この粉体物乾燥装置30は、金属シリコン粉末が供給される装置本体31と、金属シリコン粉末が充填されたフレキシブルコンテナパックCを開袋するフレキシブルコンテナパック用開袋機10とを備えている。
【0020】
フレキシブルコンテナパック用開袋機10は、上下方向に沿う筒状のケーシング11と、フレキシブルコンテナパックCをケーシング11の上方開口部から装入する吊下手段12と、ケーシング11の下方に設けられた集合ホッパー13と、を備えている。
吊下手段12は、フレキシブルコンテナパックCを吊り下げて上下動及び水平移動可能なホイスト式クレーンとされている。
【0021】
ケーシング11は、図2及び図3に示すように概略円筒状をなしており、上方開口部及び下方開口部を備えている。上方開口部の周縁部にはフランジ部が設けられており、このフランジ部を用いてケーシング11の上部にガイド壁14が接続されている。このガイド壁14は、図3に示すように、一方側(図3において上側)に向けて大きく開口した概略U字状をなしており、吊下手段12によって吊り下げられたフレキシブルコンテナパックCの水平方向の位置を案内するものである。
【0022】
ケーシング11の下端部分は、図2に示すように下方に向かうに従い漸次縮径するように構成されており、下方開口部の内周縁には、内周側に向けて突出した台座部15が設けられている。
そして、この台座部15を用いてケーシング11内部に固定刃16がその刃先17を上方に向けた状態で配設されている。
【0023】
固定刃16は、平面視してケーシング11の中心から放射状に延びる複数の切刃を備えており、本実施形態では、平面視して図3に示すように、一対の直線刃が互いに直交するように配置されて十字状をなしている。また、本実施形態では、固定刃16を構成する一対の直線刃の交点が、ケーシング11がなす円筒の内周孔の中心に位置しており、一対の直線刃がそれぞれ前記内周孔の直径方向に亘って配設されている。
固定刃16の刃先17は、図2に示すように、ケーシング11の中心部から周縁部に向かうにしたがい漸次低くなるように配置されている。本実施形態では、一対の直線刃の交点部分の刃先17が最も高くなるように設定されている。
【0024】
また、ケーシング11の上方(上方開口部近傍)には、ケーシング11内に装入されたフレキシブルコンテナパックCを叩くための叩打手段20が設けられている。本実施形態においては、図3に示すように、ケーシング11の内側面に沿って延びる一対の叩打部材21が設けられており、これら叩打部材21の両端が軸支され、それぞれ駆動部22によって回動可能とされている。
さらに、ケーシング11の上方には、中央に孔部23Aが形成された布またはゴム製のカバー部材23が設けられている。このカバー部材23は伸縮可能とされ、孔部23Aの大きさが変形するように構成されている。
【0025】
ケーシング11の下方に設けられた集合ホッパー13は、ケーシング11の下方開口部に連設されており、上下方向に直交する断面の面積が、下方に向かうにしたがい漸次小さくなるように構成されている。集合ホッパー13の下方端には、ナイフゲート弁25によって開閉可能とされた落下口26が設けられている。なお、集合ホッパー13の内部には、フレキシブルコンテナパックCの切断片等の混入を防止するために金網24が配設されている。
また、このフレキシブルコンテナパック用開袋機10には、集合ホッパー13に接続され、集合ホッパー13内を浮遊する微粉末を回収するバグフィルター27が備えられている。
【0026】
次に、装置本体31について説明する。装置本体31は、概略円筒状をなす胴部31Aと、胴部31Aの上端に連設された蓋部31Bと、胴部31Aの下端に接続された円錐状をなす底部31Cとを有している。
蓋部31Bは、側面視して図4に示すように、上方に向けて凸となる凸曲面状に形成されており、その中心部分に上方に向けて突出した接続筒部32が設けられている。この接続筒部32の上端開口部が金属シリコン供給口33とされている。接続筒部32の上端にはフランジが形成されており、前述のフレキシブルコンテナパック用開袋機10の落下口26に接続されるように構成されている。
【0027】
胴部31Aの下方部分には、乾燥した金属シリコン粉末を取り出すための排出口34が設けられている。
また、胴部31Aの外側には、装置本体31内に収容された金属シリコン粉末を加熱するための熱媒体(本実施形態では蒸気)が流通する外部熱交換パイプ35が、その外周面に沿って巻き付くように配設されている。
【0028】
そして胴部31Aの内側には、図5に示すように、熱媒体(本実施形態では蒸気)が流通する第1、第2内部熱交換パイプ36A、36Bが配設されている。これら第1、第2内部熱交換パイプ36A、36Bは、それぞれ概略円筒状をなし、第1内部熱交換パイプ36Aが、第2内部熱交換パイ36Bの内周側に位置させられている。
ここで、第1内部熱交換パイプ36Aがなす円筒の内径が、フレキシブルコンテナパック用開袋機10の落下口26に接続された接続筒部32の金属シリコン供給口33よりも大きくされている。なお、金属シリコン供給口33は、第1内部熱交換パイプ36Aがなす円筒の中心上に位置させられている。
【0029】
このような構成とされた本実施形態である粉体物乾燥装置30は、以下のようにして使用される。金属シリコン粉末が充填されたフレキシブルコンテナパックCを吊下手段12であるホイスト式クレーンによって吊下げ、ガイド壁14の開口部側からフレキシブルコンテナパック用開袋機10の上部へと移動させる。ここで、ガイド壁14によってフレキシブルコンテナパックCは、その底部の中心がケーシング11の中心に略一致するように案内される。
【0030】
このように配置されたフレキシブルコンテナパックCを降下させて、ケーシング11の上方開口部からケーシング11内部へと装入し、カバー部材23の孔部23Aを通じてフレキシブルコンテナパックCをカバー部材23の下方側へとさらに下降させる。
すると、フレキシブルコンテナパックCの底部が固定刃16に接触し、金属シリコン粉末が充填されたフレキシブルコンテナパックCの自重によって固定刃16の刃先17に強く押し当てられる。
【0031】
ここで、固定刃16の中央部の刃先17が最も高くされているので、フレキシブルコンテナパックCの底部の中央部に切り込みが入り、十字状をなす固定刃16の形状に沿って十字状に切断され、フレキシブルコンテナパックCが開袋される。開袋された部分から金属シリコン粉末が下方へと落下していき、フレキシブルコンテナパックCから金属シリコン粉末が取り出される。
【0032】
このように底部が開袋されたフレキシブルコンテナパックCを上方に引き上げるとともに、叩打部材21を駆動部22によって可動させ、フレキシブルコンテナパックCを叩き、内部に残留した金属シリコン粉末を取り出す。金属シリコン粉末を取り出したフレキシブルコンテナパックCをケーシング11の上方開口部からフレキシブルコンテナパック用開袋機10の外部へと排出する。
【0033】
開袋された部分から取り出された金属シリコン粉末は、ケーシング11の下方開口部から集合ホッパー13へと落下していく。ここで、金属シリコン粉末が落下することで、非常に細かな微粉末が集合ホッパー13内に浮遊することがある。このような微粉末は、集合ホッパー13に接続されたバグフィルター27によって回収される。
【0034】
集合ホッパー13に落下した金属シリコン粉末は、開口状態のナイフゲート弁25、及び、落下口26に接続された金属シリコン供給口33を通じて装置本体31内に落下していく。ここで、金属シリコン供給口33は、装置本体31の内部に設けられた第1内部熱交換パイプ36Aがなす円筒の中心上に位置させられるとともに、前記円筒の内径が金属シリコン供給口33よりも大径とされているので、金属シリコン粉末は、第1内部熱交換パイプ36Aがなす円筒の内周孔を通じて落下していき、装置本体31内部に堆積していく。
そして、第1、第2内部熱交換パイプ36A、36B、外部熱交換パイプ35に蒸気が流通されることにより、装置本体31内に供給された金属シリコン粉末が加熱され、水分が除去される。
【0035】
本実施形態である粉体物乾燥装置30によれば、装置本体31の上部に前述のフレキシブルコンテナパック用開袋機10が配設され、フレキシブルコンテナパック用開袋機10の落下口26と装置本体31の金属シリコン供給口33が接続されているので、フレキシブルコンテナパック用開袋機10によって開袋されて取り出された金属シリコン粉末が、金属シリコン供給口33から装置本体31内部に落下することになり、フレキシブルコンテナパックCに充填された金属シリコン粉末を簡単な操作で確実に装置本体31内部に供給することができる。
【0036】
また、装置本体31の内部に第1、第2内部熱交換パイプ36A、36Bがそれぞれ概略円筒状をなすように設けられており、内周側に位置する第1内部熱交換パイプ36Aがなす円筒の内径が金属シリコン供給口33よりも大径とされるとともに、金属シリコン供給口33が第1内部熱交換パイプ36Aがなす円筒の中心上に位置させられているので、金属シリコン粉末は、金属シリコン供給口33から第1内部熱交換パイプ36Aがなす円筒の内周孔を通じて落下していき、装置本体31内部に堆積することになり、金属シリコン粉末の衝突による第1内部熱交換パイプ36Aの破損を防止できる。
さらに、装置本体31の内部に第1、第2内部熱交換パイプ36A、36Bが配設されているので、これら第1、第2内部熱交換パイプ36A、36Bを金属シリコン粉末に直接接触させ、金属シリコン粉末を効率良く乾燥させることができる。
【0037】
さらに、本実施形態である粉体物乾燥装置30によれば、ケーシング11の下方に、ケーシング11の下方開口部から落下した金属シリコン粉末を集合させる集合ホッパー13が設けられるとともに、この集合ホッパー13に接続されて集合ホッパー13内に浮遊する微粉末を回収するバグフィルター27を備えているので、金属シリコン粉末がケーシング11から落下した衝撃で集合ホッパー13内に浮遊した微粉末をバグフィルター27によって回収でき、装置本体31及びトリクロロシラン製造用反応装置に微粉末が入り込むことを防止できる。
また、集合ホッパー13に金網24が配設されているので、フレキシブルコンテナパックCの切断片等の異物が金属シリコン粉末内に混入することを防止できる。
【0038】
さらに、フレキシブルコンテナパック用開袋機10のケーシング11内に刃先17を上方に向けた固定刃16が配置されているので、フレキシブルコンテナパックCを吊下手段12であるホイスト式クレーンによってケーシング11の上方開口部から装入することで、金属シリコン粉末が充填されたフレキシブルコンテナパックCの自重によってフレキシブルコンテナパックCの底部が固定刃16の刃先17に強く押し当てられ、フレキシブルコンテナパックCの底部が切断されて開袋される。よって、フレキシブルコンテナパックCに充填された金属シリコン粉末を簡単な操作で取り出すことができる。また、フレキシブルコンテナパックCをケーシング11内に装入した状態で開袋されるので、ケーシング11の側壁によって金属シリコン粉末が落下した際の飛散を防止できる。
【0039】
また、固定刃16が平面視して十字状をなしているので、フレキシブルコンテナパックCの底部に十字状に切り込みが入って大きく開口することになり、充填された金属シリコン粉末を確実に取り出すことが可能となる。
さらに、固定刃16うちケーシング11の中央部に位置して一対の直線刃が交差する交差部分の刃先17が最も高くされているので、まず、フレキシブルコンテナパックCの底部が固定刃16の中央部に強く押し付けられることになり、底部を確実に切断して開袋することができる。
【0040】
また、ケーシング11の上方に、ケーシング11内に装入されたフレキシブルコンテナパックCを叩く叩打手段20が設けられているので、棒状の叩打部材21を揺動させてフレキシブルコンテナパックCを叩くことにより、フレキシブルコンテナパックCの内面に残存した金属シリコン粉末を取り出すことができる。
【0041】
また、本実施形態では、ケーシング11の上方にガイド壁14が設けられているので、吊下手段12であるホイスト式クレーンによって吊り下げたフレキシブルコンテナパックCを、ガイド壁14により、ケーシング11の中心とフレキシブルコンテナパックCの底部の中心とが略一致するように案内でき、固定刃16による開袋を確実に行うことができる。
【0042】
さらに、本実施形態では、ケーシング11の上方に、中央に孔部23Aが形成された布またはゴム製のカバー部材23が設けられており、このカバー部材23の下方側でフレキシブルコンテナパックCを開袋されるので、カバー部材23によって金属シリコン粉末が落下した際の飛散を確実に防止することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態である粉体物乾燥装置について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、フレキシブルコンテナパック用開袋機10の固定刃の形状は本実施形態に限定されることはなく、刃先を上方に向けて配置されていればよい。
【0044】
また、ケーシングの下方に集合ホッパーを設け、この集合ホッパーに接続し、集合ホッパー内に浮遊する微粉末を回収するバグフィルターを備えたものとして説明したが、バグフィルターを備えていなくてもよい。
さらに、フレキシブルコンテナパックの位置を案内するガイド壁を備えたものとして説明したが、ガイド壁を備えていなくてもよい。
【0045】
また、装置本体の内部に第1、第2内部熱交換パイプを配設したものとして説明したが、これら第1、第2内部熱交換パイプを必ずしも備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 フレキシブルコンテナパック用開袋機
11 ケーシング
12 吊下手段
13 集合ホッパー
14 ガイド壁
16 固定刃
17 刃先
20 叩打手段
27 バグフィルター
30 粉体物乾燥装置
31 装置本体
32 接続筒部(接続部)
33 金属シリコン供給口(粉体物供給口)
36A 第1内部熱交換パイプ(熱交換用パイプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の内部に供給された粉体物を乾燥させる粉体物乾燥装置において、
前記装置本体の上部に粉体物供給口を有する接続部が形成され、この接続部には、粉体物が充填されたフレキシブルコンテナパックを開袋して前記粉体物を取り出すフレキシブルコンテナパック用開袋機が接続されており、
前記フレキシブルコンテナパック用開袋機は、上下方向に沿う筒状のケーシングと、前記フレキシブルコンテナパックを前記ケーシングの上方開口部から前記ケーシング内に装入する吊下手段と、を備え、前記ケーシング内部には、刃先を上方に向けた固定刃が配設されていることを特徴とする粉体物乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉体物乾燥装置において、
前記装置本体の内部に、熱交換用パイプが概略円筒状をなすように設けられており、
前記粉体物供給口が前記熱交換用パイプがなす円筒の内周孔の中心上に配設されるとともに、前記内周孔の内径が前記粉体物供給口よりも大径とされていることを特徴とする粉体物乾燥装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の粉体物乾燥装置において、
前記ケーシングの下方に、前記ケーシングの下方開口部から排出された粉体物を集合させる集合ホッパーが設けられるとともに、
この集合ホッパーに接続され、前記集合ホッパー内に浮遊する微粉末を回収するバグフィルターを備えていることを特徴とする粉体物乾燥装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粉体物乾燥装置において、
前記固定刃は、平面視して前記ケーシングの中心から放射状に延びる複数の切刃を有していることを特徴とする粉体物乾燥装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の粉体物乾燥装置において、
前記固定刃の刃先は、前記ケーシングの中心部から周縁部に向かうにしたがい漸次低くなるように配置されていることを特徴とする粉体物乾燥装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の粉体物乾燥装置において、
前記ケーシングには、前記ケーシング内に装入された前記フレキシブルコンテナパックを叩く叩打手段が設けられていることを特徴とする粉体物乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−188171(P2012−188171A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141896(P2012−141896)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【分割の表示】特願2007−280550(P2007−280550)の分割
【原出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】