説明

粉末を担体上に予め定めたパターンで分布させる装置

粉末を担体上に予め定めたパターンで分布させる装置は、担体3を移送するベルトコンベヤ2と、このコンベヤ2の上方に位置決めされた、粉末を当てるヘッド1とを備え、ヘッド1は、粉末を予め定めた分量だけ通過させ得る寸法を有する複数の孔を予め定めたパターンに従って配設された、リング状に巻かれたクローズドベルト4と、連続ベルト4の孔を通した粉末の供給及び/又は送出を制御する手段と、前記ベルトを清浄に保つ手段とを備えている。このヘッドは、コンベヤ2の移動と同期で連続ベルト4の移動を制御する手段をさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末を担体上に予め定めたパターンで分布させる装置に関する。
【0002】
本発明は、セラミックのタイル又はスラブの生産において、排他的にではないが、特に有効に適用される。
【0003】
特に、本発明は、乾式装飾仕上げライン、すなわち、すでにプレス加工により成形された担体(タイル又はスラブ)、又は、プレス加工にかけられる前のまだ軟らかい状態にある担体上に粉末を施す乾式装飾仕上げラインにおいて有効に適用される。
【背景技術】
【0004】
粉末を使用する乾式装飾仕上げは、液体釉薬を使って平面シルクスクリーンに当てるような平面機械、又は、同じく液体釉薬を使って円筒シルクスクリーンに当てるような回転機械において知られている。
【0005】
これらの用途には幾つかの制約がある。特に、円筒シルクスクリーンを使用する回転機械は、スクリーンの直径がある一定の限度を超えて増大しえない限り、(円筒スクリーンのサイズに対応する)ある一定のサイズ限度を超えて運転できないので、構造上制限されている。
【0006】
この問題は、例えば、粉末を担体上に予め定めたパターンで分布させる装置について記載している欧州特許第1162047号公報に記載の発明によって解決される。上記分布装置は、担体を移送するベルトコンベヤと、このベルトコンベヤの上方に位置決めされた、粉末当てヘッドを備え、このヘッドは、粉末を予め定めた分量だけ通過させうる大きさの複数の孔が予め定めた形状で配設された、連続的なリング状に巻かれたベルトを備えている。このリング状に巻かれた有孔ベルトは、全体に引張力をかけられており、このベルトを引張りながら巻き付けたドラムに配置された吸引口を使用する空気圧手段の連続的作用により清浄に保たれる。特殊な分布機構が、ベルトに設けられた孔を通して粉末を担体上に分布させるため、粉末を有孔ベルトの内側に搬送する。
【0007】
この種の装置は、ベルトが過大かつ危険な力を受けるという欠点がある。分布機構は、すべて、弛みなく張ったベルトにおいて動作する。また、ベルトは、引張力をかけられている間、空気吸引によりクリーニング動作が行われるドラム表面に沿って強制的に引張られる。これがことごとく、粉末の高い摩耗性と相俟って、ベルトに関わる深刻な欠点をもたらし、装置の正常な操作性を損なってしまう。また、分布機構が動作する臨界ゾーンをベルトが通過する間、システムの動作精度が低いことにより、更なる制約が生じる。
【発明の開示】
【0008】
よって、本発明は、従来技術における欠点及び制約を取り除くことを目的とする。
【0009】
本発明の利点は、装置が有孔ベルトの長さに理論上の少しの制約も加えないように設計されていることである。
【0010】
本発明の更なる利点は、孔を通過する粉末の量及び下にある担体上に到着する量が極めて簡単な仕方でバッチ量として決定できることである。
【0011】
本発明のもうひとつ更なる利点は、粉末を広幅のセラミック担体上に難なく分布させるのに十分な広幅の有孔ベルトを使用できることである。
【0012】
これらの利点は、添付の請求項に記載の本発明の特徴によって達成される。
【0013】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の図面の付図に純然たる例として示された好ましいが限定的でない実施例に則した詳細な説明からより明瞭となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面の各図に、粉末を担体上にパターンで分布させる装置が概略的に示されている。この装置は、担体3を移送するベルトコンベヤ2と、このコンベヤ2の上方に位置決めされた粉末当てヘッド1とを備えている。ヘッド1は、担体3がヘッド1の下を通過する時にこの担体上に粉末を当てる。ヘッド1は、複数の孔を予め定めたパターンに従って配設された、リング状に巻かれたクローズドベルト4を備えている。これらの孔は、粉末を予め定めた分量だけ通過させうる寸法を有する。
【0015】
ヘッド1は、ベルト4の孔を通した粉末の供給及び/又は送出を制御する手段と、ベルトを清浄に保つ手段とを備えている。また、担体3を乗せて移送するコンベヤ2の動作と同期でリング状に巻かれたベルト4の移動を制御する手段も備えている。担体3は、大寸法のタイル又はスラブであってよく、又は、プレス加工にかけられる前のまだ軟らかい状態の粉末層であってもよい。リング状に巻かれたベルト4は、非布材で材厚一定である。好ましくは、ベルト4は所望の長さのマイラー又はポリカーボネートのフィルムで作られる。このベルトは、ベルト厚の均一性が損なわれないように加圧熱接合によってリング状に閉じられている。
【0016】
ベルトはまったく薄肉であってよく、そのパターン化された孔はレーザ穿孔によって容易に作ることができる。
【0017】
更に、ベルト4は、その側面に、ベルト4を移動させるのに使用されるスロット40を有し、このスロット4は、ベルト4自体の長手軸線に平行な長手軸線方向列で配置されている。
【0018】
動作中、リング状に巻かれたベルト4は、ベルト4とコンベヤ2の前進移動の方向に対して横断方向に配置された複数の平行軸線を有するローラ(10、11、12、13)に(部分的に)巻き付けられる。
【0019】
複数の平行軸線方向ローラの中のローラ10は、ベルト4を移動させる駆動ローラである。この目的のため、このローラ10は、スロット40に嵌入する突出ラジアルピン14を備えている。
【0020】
駆動ローラ10は、ベルト4とコンベヤ2の前進方向を基準として、ベルト4の孔を通した粉末の供給及び/又は送出を制御する手段と、このベルト4を清浄に保つ手段の下流に位置する。
【0021】
ベルト4の孔を通した粉末の供給及び/又は送出を制御する手段と、このベルト4を清浄に保つ手段は、ベルト4の上方に少しの間隔をあけて位置するホッパ5を備えている。分布させるべき粉末は、このホッパ5の中に収容されている。
【0022】
ホッパ5は、ベルト4とコンベヤ2の前進方向を基準として横断方向に配置された吐出口を有する。この吐出口は、前エッジ50と後エッジ51によって、ベルト4とコンベヤ2の前進方向に対して垂直に境界付けられている。
【0023】
固定された上ドクタ6が、前エッジ50上で作用するように予め配置されており、弾性エレメント(支承部)9により連続コンベヤベルト4の上面に押圧される。
【0024】
また、上固定ドクタ6による作用に対する反作用を生じさせるために、下固定ドクタ8が設けられており、下固定ドクタ8は、ベルト4の下面に押し付けられる。
【0025】
調節可能なドクタ7が、後エッジ51上で作用するように予め配置されており、上固定ドクタ6に対するものとして反対の方向に配置されていて、ベルト4の上面に押圧される。
【0026】
調節可能なドクタ7は、幾分トラップのようにホッパ5の吐出口を調整するように、後エッジ51と前エッジ50とに対して垂直な方向に並進移動できるので、調節可能なドクタ7の位置を調整することができる。
【0027】
少なくとも上固定ドクタ6と下固定ドクタ8は弾性変形可能である。これらドクタ6、8は、好ましくはプラスチックの薄板で作られており、これらドクタ6、8のたわみ変形性によって、両ドクタの関連の自由エッジの間でベルト4を締め付け、それにより、ベルト4の両面をこすり、清浄することが可能となる。
【0028】
ベルト4は、スロット40と嵌合するピンを介して駆動ローラ10により引張られる。
【0029】
こうして、ベルト4において、ホッパ5の吐出口と駆動ローラ10の間の領域だけが引張力をかけられる。これにより、ベルト4を、本体のコンベヤ2とこれに乗せられる担体3に関して正確に位置決めすることができ、さらに、ベルト4にかかる力を最小限に抑えることができる。
【0030】
さらに、下固定ドクタ8は、ベルト4において引張力をかけられた部分(2つの固定ドクタ6及び8の自由端の間でベルト4が引張られる地点と駆動ローラ10の間に残存する粉末分が、予め定めたパターン(ベルト4の孔)に従って下の担体3上に正確に分布させられたばかりの粉末の上に落ちるのを防ぐという重要な機能を有する。
【0031】
ホッパ5の吐出口の後エッジ51と前エッジ50に対して垂直な方向の並進移動によって位置を調整できる調節可能なドクタ7があることは、ホッパ5の吐出口の開度が極めて容易に調整できることを意味する。これは、自由落下によって下にある担体上に到着する粉末の量が適正なバッチ量として決定されるということを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】略図的な正面立面図である。
【図2】図1の細部拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体(3)を移送するベルトコンベヤ(2)と、前記コンベヤ(2)の上方に位置決めされた、粉末を当てるヘッド(1)とを備え、
前記ヘッド(1)が、
粉末を予め定めた分量だけ通過させ得る寸法を有する複数の孔を予め定めたパターンに従って配設された、リング状に巻かれたクローズドベルト(4)と、
連続ベルト(4)の孔に通した粉末の供給及び/又は送出を制御する手段と、
前記ベルトを清浄に保つ手段と、
前記コンベヤ(2)の移動と同期で連続ベルト(4)の移動を制御する手段とを備えている、粉末を担体上に予め定めたパターンで分布させる装置。
【請求項2】
前記連続ベルト(4)が織布材料で作られておらず、かつその厚さが均一でないことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記連続ベルト(4)が、その側面に、前記ベルトを引張るためのスロット(40)を有し、前記スロット(40)が、前記連続ベルト(4)の長手軸線に平行な長手軸線方向列で配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記連続ベルト(4)が、前記連続ベルト(4)と前記コンベヤ(2)の前進方向に対して横断方向に配置された平行軸線を有する複数のローラ(10、11、12、13)に部分的に巻き付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のローラ(10、11、12、13)の中のローラ(10)が、前記連続ベルト(4)を移動させる駆動ローラであり、前記スロット(40)に嵌入する突出したラジアルピン(14)を備えており、前記駆動ローラが、前記連続ベルト(4)と前記コンベヤ(2)の前進方向を基準として、前記連続ベルト(4)の孔に通した粉末の供給及び送出を制御する手段と、前記ベルトを清浄に保つ手段の下流に位置することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記連続ベルト(4)の孔を通した粉末の供給及び送出を制御する手段と、前記ベルトを清浄に保つ手段は、
前記連続ベルト(4)の上方に少しの間隔をあけたホッパ(5)を備え、前記ホッパ(5)が、前記連続ベルト(4)と前記コンベヤ(2)の前進方向を基準として横断方向に配置された吐出口を有し、前記吐出口が、前エッジ(50)と後エッジ(51)により、前記連続ベルト(4)と前記コンベヤ(2)の前進方向に対して垂直に境界付けられており、
前記前エッジ(50)上で作用し、かつ弾性エレメント(9)により連続ベルト(4)の上面に押し付けられる固定された上ドクタ(6)と、
前記上固定ドクタ(6)による作用に対する反作用を生じさせるために設けられ、かつ前記連続ベルト(4)の下面に押し付けられる、下固定ドクタ(8)と、
前記前エッジ(51)上で作用し、かつ前記上固定ドクタ(6)に相対するものとして反対方向に配置され、かつ前記連続ベルト(4)の上面に押し付けられる調節可能なドクタ(7)を備え、
前記調節可能なドクタ(7)が前記後エッジ(51)と前記前エッジ(50)に対して垂直方向に摺動することにより、前記ホッパ(5)の吐出口の開度を調整するように位置調整できることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも前記上固定ドクタ(7)と前記下固定ドクタ(8)が弾性変形可能であることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体(3)を移送するベルトコンベヤ(2)と、前記コンベヤ(2)の上方に位置決めされた、粉末を当てるヘッド(1)とを備え、
前記ヘッド(1)が、
粉末を予め定めた分量だけ通過させ得る寸法を有する複数の孔を予め定めたパターンに従って配設された、リング状に巻かれたクローズドベルト(4)と、
連続ベルト(4)の孔に通した粉末の供給及び/又は送出を制御する手段と、
前記ベルトを清浄に保つ手段と、
前記コンベヤ(2)の移動と同期で連続ベルト(4)の移動を制御する手段とを備えている、粉末を担体上に予め定めたパターンで分布させる装置において、
前記連続ベルト(4)の孔を通した粉末の供給及び送出を制御する手段と、前記ベルトを清浄に保つ手段は、
前記連続ベルト(4)の上方に少しの間隔をあけたホッパ(5)を備え、前記ホッパ(5)が、前記連続ベルト(4)と前記コンベヤ(2)の前進方向を基準として横断方向に配置された吐出口を有し、前記吐出口が、前エッジ(50)と後エッジ(51)により、前記連続ベルト(4)と前記コンベヤ(2)の前進方向に対して垂直に境界付けられており、
前記前エッジ(50)上で作用し、かつ弾性エレメント(9)により連続ベルト(4)の上面に押し付けられる固定された上ドクタ(6)と、
前記上固定ドクタ(6)による作用に対する反作用を生じさせるために設けられ、かつ前記連続ベルト(4)の下面に押し付けられる、下固定ドクタ(8)と、
前記前エッジ(51)上で作用し、かつ前記上固定ドクタ(6)に相対するものとして反対方向に配置され、かつ前記連続ベルト(4)の上面に押し付けられる調節可能なドクタ(7)を備え、
前記調節可能なドクタ(7)が前記後エッジ(51)と前記前エッジ(50)に対して垂直方向に摺動することにより、前記ホッパ(5)の吐出口の開度を調整するように位置調整できることを特徴とする粉末を担体上に予め定めたパターンで分布させる装置。
【請求項2】
前記連続ベルト(4)が織布材料で作られておらず、かつその厚さが均一でないことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記連続ベルト(4)が、その側面に、前記ベルトを引張るためのスロット(40)を有し、前記スロット(40)が、前記連続ベルト(4)の長手軸線に平行な長手軸線方向列で配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記連続ベルト(4)が、前記連続ベルト(4)と前記コンベヤ(2)の前進方向に対して横断方向に配置された平行軸線を有する複数のローラ(10、11、12、13)に部分的に巻き付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のローラ(10、11、12、13)の中のローラ(10)が、前記連続ベルト(4)を移動させる駆動ローラであり、前記スロット(40)に嵌入する突出したラジアルピン(14)を備えており、前記駆動ローラが、前記連続ベルト(4)と前記コンベヤ(2)の前進方向を基準として、前記連続ベルト(4)の孔に通した粉末の供給及び送出を制御する手段と、前記ベルトを清浄に保つ手段の下流に位置することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも前記上固定ドクタ(7)と前記下固定ドクタ(8)が弾性変形可能であることを特徴とする請求項5に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−501054(P2006−501054A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539420(P2004−539420)
【出願日】平成14年9月30日(2002.9.30)
【国際出願番号】PCT/IT2002/000621
【国際公開番号】WO2004/028767
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(504154377)システム ソチエタ ペル アツィオニ (4)
【Fターム(参考)】