説明

粉末状組成物およびこれを含有する皮膚外用剤

少なくとも、(a)リン脂質および(b)アスコルビン酸のアルカリ土類金属塩を含有する粉末状組成物、(a)、(b)の他、(b)以外のアスコルビン酸誘導体を含有する粉末状組成物および(a)、(b)の他、(d)ステロール類を含有し、リポソームの形態の粉末状組成物並びに上記粉末状組成物を含有する化粧料等の皮膚外用剤である。本発明によれば、アスコルビン酸を含みながら、経時的に変臭や変色が生じることなく保存安定性に優れ、かつ使用時に水への分散性が良好な粉末状組成物および化粧料等の皮膚外用剤を提供することができる。また、粉末状組成物を粉末状リポソーム組成物としても、上記優れた効果を奏することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、使用時に水や水を含む化粧料等に分散させて用いる粉末状組成物に関するものであり、より詳細には、経時的に変臭や変色を生じることなく保存安定性に優れ、使用時に水への分散性が良好な粉末状組成物およびこれを含有する化粧料等の皮膚外用剤に関するものである。
【背景技術】
従来より、化粧料には、コラーゲン成長促進、外部刺激に対する皮膚組織の防御、色素沈着の抑制、コメドの防止、毛穴の引き締め等の肌効果を期待して、アスコルビン酸が用いられている。しかし、アスコルビン酸は水の存在によって分解し易い不安定な物質であるため、この分解にともない、化粧料の色が褐色に変化したり、臭いが発生してくるという問題点があった。
そこでアスコルビン酸の分解を防ぎ、化粧料を経時安定化させるために、アスコルビン酸をリン酸エステル化して使用する方法や抗酸化剤を併用する方法等が用いられてきた。
また、アスコルビン酸は水分の存在で分解し易いので、これを水分を含有しない粉末化粧料とし、使用する際に水に分散する方法も用いられてきた。そして更に、使用する際に前記粉末化粧料が水に分散し易いように、アスコルビン酸誘導体に水溶性高分子を加えた水溶液を凍結乾燥し、美白パウダーを得る方法も検討されていた(例えば、特開平3−68507号公報参照)。
しかしながら、アスコルビン酸やその誘導体を含有する化粧料は、粉末化粧料の形態としても、経時的に褐色に変化したり、臭いが発生する等の現象が起こり、保存安定性については満足できる水準にはなかった。
また、アスコルビン酸リン酸エステルは水への分散性や溶解性が良好ではなく、これを含有する粉末化粧料は使用性に問題があった。さらに、アスコルビン酸リン酸エステルは、肌効果に関しても充分に満足できる水準にはなかった。そして、この問題は、特開平3−68507号公報に記載されているように水溶性高分子と共に凍結乾燥する方法を用いても、完全には解決できなかった。
一方、アスコルビン酸は、皮膚への経皮吸収性を向上させて薬効果を高めるために、リン脂質の多重膜小胞体であるリポソーム中に内包させて用いられることも知られていた(例えば、特開平8−183726号公報参照)。
しかし、上記したようにアスコルビン酸自体は不安定な物質であるため、上記したような問題点が、リポソームの形態にして使用する場合にも存在した。そこで、アスコルビン酸を内包したリポソームを凍結乾燥し、これを粉末化して、保存安定性を向上させる技術も知られている(例えば、特開平8−81361号公報および特開平10−203964号公報参照)。
しかしながら、従来のアスコルビン酸やその誘導体を内包したリポソームを凍結乾燥し粉末化したものは、経時的に色が褐色に変化したり、臭いが発生する等の点で保存安定性については満足できる水準にはなかった。
従って、経時安定性に優れ、使用時には水に良好に分散、溶解するアスコルビン酸またはその誘導体を含有する粉末組成物やこれを含む化粧料等の皮膚外用剤の提供が求められていた。
【発明の開示】
本発明者らは、上記実状において鋭意検討を重ねた結果、アスコルビン酸をアルカリ土類金属塩として用い、かつリン脂質と併用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
また、リン脂質とステロール類により形成されるリポソーム中に、アスコルビン酸のアルカリ土類金属塩を内包させ、それを粉末化させることによっても、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第一の目的は、少なくとも、次の成分(a)および成分(b)
(a)リン脂質
(b)アスコルビン酸のアルカリ土類金属塩
を含有することを特徴とする粉末状組成物を提供することである。
また本発明の第二の目的は、更に成分(c)として、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムまたはアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウムを含有する上記粉末状組成物を提供することである。
更に本発明の第三の目的は、更に成分(d)としてステロール類を含有し、水や水を含む化粧料等に分散させたときにリポソームの形態を呈する粉末状組成物を提供することである。
更にまた本発明の第四の目的は、上記粉末状組成物を含有する化粧料等の皮膚外用剤を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明において用いられる成分(a)のリン脂質としては、通常、化粧料に使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、大豆由来リン脂質、大豆由来水素添加リン脂質、大豆由来リゾリン脂質、大豆由来水素添加リゾリン脂質、卵黄由来リン脂質、卵黄由来水素添加リン脂質、卵黄由来リゾリン脂質、卵黄由来水素添加リゾリン脂質等を使用することができ、必要に応じてその一種または二種以上を用いることができる。これらリン脂質の中でも大豆由来水素添加リン脂質または卵黄由来水素添加リン脂質を用いると、特に保存安定性に優れる粉末状組成物を得ることができるので好ましい。
この成分(a)の本発明の粉末状組成物全体に対する含有量は、特に限定はないが、5〜90質量%(以下、単に「%」と略記する)が好ましく、特に、20〜80%が好ましい。成分(a)をこれらの含有量で用いると、粉末状組成物の水への分散性が特に良好で、べたつきのない使用感を得ることができる。
一方、本発明において用いられる成分(b)のアスコルビン酸のアルカリ土類金属塩としては、例えば、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸カルシウム等を利用することができる。これらは必要に応じて一種または二種以上を用いることができる。
この成分(b)としては、市販のアスコルビン酸アルカリ土類金属塩を用いてもよいが、粉末状組成物の製造工程においてアスコルビン酸アルカリ土類金属塩を形成させて用いることもできる。すなわち、アスコルビン酸またはアルカリ土類金属塩以外のその塩を水に溶解、分散させ、そこに水中でアルカリ土類金属陽イオンを生成する化合物(以下、「アルカリ土類金属化合物」と略記する)を加えることにより、粉末状組成物の製造工程の中でアスコルビン酸アルカリ土類金属塩を形成させることもできる。また、後記するようなリポソームの形態をとるときには、粉末状リポソーム組成物の製造工程の中で、アスコルビン酸アルカリ土類金属塩を形成させることもできる。
前記アルカリ土類金属化合物としては、特に限定されないが、アルカリ土類金属の水酸化物、塩化物、リン酸水素塩または硫酸塩が好ましく、その具体例としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。特に好ましくは、水酸化マグネシウムまたは水酸化カルシウムである。これらは必要に応じて一種または二種以上を用いることができる。なお、後記するように本発明の粉末状組成物は、10%濃度で水に溶解、分散させたときのpHが3〜6の範囲となることが望ましいので、これを考慮してアルカリ土類金属化合物を配合することが好ましい。
上記成分(b)の本発明の粉末状組成物全体に対する含有量は、特に限定はないが、10〜70%が好ましく、特に20〜50%が好ましい。成分(b)をこの含有量で用いると、粉末状組成物の水への分散性が特に良好で、べたつきのない使用感を得ることができる。また、後記するように粉末状組成物が粉末状リポソーム組成物である場合にも、同様に粉末状リポソーム組成物の水への分散性が特に良好で、べたつきのない使用感を得ることができる。
本発明において、「粉末状リポソーム組成物」とは、水や水を含む化粧料等に分散させたときに、リポソームの形態を呈する粉末状組成物をいう。
本発明の粉末状組成物には、上記成分の他、更に成分(c)として、成分(b)以外のアスコルビン酸誘導体を含有させることができ、これにより粉末状組成物の使用時の水への分散性を更に良好にすることができる。
この成分(c)のアスコルビン酸誘導体としては、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム等のアスコルビン酸リン酸エステル塩、アスコルビン酸硫酸エステルナトリウム等のアスコルビン酸硫酸エステル塩等が挙げられる。特に好ましくは、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウムまたはアスコルビン酸リン酸エステルナトリウムである。これらは必要に応じて一種又は二種以上を用いることができる。
本発明の粉末状組成物に、前記成分(c)を含有させる場合の含有量は、特には限定されないが、含有質量比で、成分(b)と成分(c)の比が、1:0.05〜3が好ましく、1:0.1〜1がより好ましい。
更に本発明では、成分(d)としてステロール類を加え、リポソームの形態を呈するようにしたものも好ましい。すなわち、粉末状組成物が粉末状リポソーム組成物であることも好ましい。
本発明に用いられる成分(d)のステロール類は、水中で成分(a)と共に脂質二分子膜を形成するものであれば特に限定なく用いることができ、例えば、コレステロールや、フィトステロールが挙げられる。これらは必要に応じて一種または二種を用いることができる。
成分(d)の粉末状組成物全体における含有量は特に限定はないが、成分(a)に対して10〜40%が好ましく、特に15〜30%が好ましい。成分(d)をこの含有量で用いると、保存安定性に特に優れた粉末状リポソーム組成物を調製することができる。
本発明の粉末状組成物には、上記各成分の他に、必要により、デキストリン、サイクロデキストリン、ブドウ糖、ソルビトール、澱粉、セルロースパウダー等の粉末賦形化剤を含有させることもできる。
また本発明の粉末状組成物には、上記各成分の他に、必要により、10%の濃度で水に分散した時のpHを3〜6に調整するために、pH調整剤を含有させることができる。このようなpH調整剤は特に限定はないが、好ましい例としては、クエン酸、クエン酸塩、コハク酸、コハク酸塩、リンゴ酸、リンゴ酸塩、乳酸、乳酸塩、酒石酸、酒石酸塩、リン酸、リン酸二水素塩、リン酸一水素塩、リン酸塩等が挙げられる。上記塩としては、特に限定はないがナトリウム塩が好ましい。これらは、必要に応じて一種または二種以上を用いることができる。なお、本発明の粉末状組成物にpH調整剤を含有させる場合の含有量は、粉末状組成物全体に対して、0.01〜5%が好ましい。
さらに、本発明の粉末状組成物には、上記各成分の他に、必要により油剤、多価アルコール、水溶性高分子、粉体、界面活性剤、紫外線吸収剤、被膜形成剤、パラオキシ安息香酸誘導体若しくはフェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、保湿剤、香料、殺菌剤、色素、酸化防止剤等を含有させることができる。
上記各成分を使用する本発明の粉末状組成物の製造方法としては、特に制約はないが、各成分が水に溶解または分散している状態の液を凍結乾燥する方法が好適である。具体的には、成分(a)および成分(b)の他、必要に応じて成分(c)や成分(d)を用い、さらに必要に応じて粉末賦形化剤等の任意成分を水に溶解または分散させ、これを約50℃程度に加温した後、高圧ホモジナイザー等の高速攪拌機で均一に分散し、これを例えば、−20℃、0.05〜0.5torr(6〜70Pa)で、24時間かけて凍結乾燥させることにより本発明の粉末状組成物が製造される。
また特に、粉末状組成物が粉末状リポソーム組成物の場合の製造方法としては、各成分を水に溶解または分散させ、一旦水中でリポソームを調製し、その液を凍結乾燥する方法が好適である。具体的には、成分(a)、成分(b)、成分(d)および必要に応じて成分(c)を、水に溶解または分散させ、上記した方法と同様の方法で製造されるが、上記工程中、高速攪拌機で均一に分散したときにリポソームが形成される。
上記のようにして製造される本発明の粉末状組成物は、20℃において、10%濃度で水に分散させたときのpHが3〜6の範囲となるようにすると、保存安定性が特に良好となるため好ましい。
以上のようにして得られる本発明の粉末状組成物は、これを単独で化粧料や医薬部外品等の皮膚外用剤として使用することもできるが、これに他の成分を加えて化粧料や医薬部外品等の皮膚外用剤として使用することもできる。
皮膚外用剤とする際に用いられる上記他の成分の例としては、油剤、紫外線吸収剤、パラオキシ安息香酸誘導体若しくはフェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、保湿剤、香料、殺菌剤、色素、酸化防止剤等が挙げられる。これらは一種または二種以上を含有させることができる。また、これらの他の成分は、皮膚外用剤全体に対して50%以下とすることが好ましい。
本発明の粉末状組成物やこれを含有する皮膚外用剤は粉末であり、これらは水または水を含有する化粧料等(以下、「水等」と略記する)に分散させて使用されるものである。この分散液は、不織布等に含浸させて皮膚に塗布して使用することもできるし、直接手で塗布して使用することもできる。使用時における当該皮膚外用剤と水等との混合割合は特に限定されるものではないが、質量比で1:1〜49が好ましく、1:4〜19がより好ましい。水等との混合割合がこの範囲内だと水等への分散性が良く、べたつき感のない使用性を確保することができる。
以上説明した本発明の粉末状組成物は、アスコルビン酸を含有するにもかかわらず、経時的に変臭や変色を生じることなく保存安定性に優れ、使用時に水への溶解性が良好なものである。従って、これを直接水等に分散して使用した場合、良好な使用感を有すると共に、アスコルビン酸の有するコラーゲン成長促進、外部刺激に対する皮膚組織の防御、色素沈着の抑制等の肌効果を期待することができる。
また、この粉末状組成物を水または水を含有する化粧料等に分散して、医薬部外品または美白化粧料、美容液、化粧水、乳液若しくはパック等の基礎化粧料等の皮膚外用剤としたときも、上記したような肌効果が期待される。
【実施例】
以下に製造例、実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではない。
[実施例1]
表1に示す成分を原料とし、下記製造方法によって粉末化粧料(発明品1〜7および比較品1〜2)を調製した。この粉末化粧料について、10%濃度の水溶液または分散液のpH、保存安定性、水への分散性、使用感の各項目について、以下に示す方法で測定、評価した。この結果を表2に示す。

(製造方法)
A:成分2〜5、成分8および成分9を精製水1000質量部に溶解させた。
B:Aに成分1、成分6および成分7を添加し、70℃に加温した。
C:Bを高圧ホモジナイザーで均一に分散させた。
D:Cを凍結乾燥し、粉末状組成物を製造した。
E:Dを密閉容器に充填し、粉末化粧料を得た。
(評価方法)
(1)pHの測定方法
20℃の水に発明品1〜7および比較品1〜2の各粉末化粧料をそれぞれ10%濃度となるように加え、20℃を保ちつつマグネチックスターラーを用い、通常の速度で10分撹拌し、その液のpHをガラス電極pHメーターで測定した。
(2)保存安定性の評価方法
発明品1〜7および比較品1〜2の各粉末化粧料をそれぞれ40℃の密閉容器内で3ヶ月保管し、その間の変化を以下の基準Aに従い判定した。
(基準A)
〔変化状態〕 〔判定〕
3ヶ月でも変色、変臭無し : ◎
3ヶ月後ほんの僅かな変色、変臭が認められる : ○
1ヶ月で変色、変臭が認められる : △
1週間で変色、変臭が認められる : ×
(3)水への分散性および使用感の評価方法
発明品1〜7および比較品1〜2の各粉末化粧料を化粧歴10年以上の女性20名をパネルとして、掌の上で粉末化粧料20質量部に対し80質量部の精製水を添加し、指でよく混合して顔に塗布してもらい、各パネルが各化粧料毎に、以下に示す基準Bに従い評点を付し、全パネルの評点の平均点を算出し基準Cに従い判定した。
(基準B)
〔水との混合状態〕または〔使用感〕 〔評 点〕
非常に良好 : 5
良好 : 4
普通 : 3
やや不良 : 2
不良 : 1
(基準C)
〔全パネルの評点の平均点〕 〔判 定〕
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
2.0以上〜3.5未満 : △
2.0未満 : ×

表2の結果から明らかなように、発明品1〜7の粉末化粧料は、比較品1〜2の粉末化粧料に比較して、保存安定性に優れ、水への分散性が良好で、かつ良好な使用感を有していた。
[実施例2]
下記の成分を原料とし、下記製造方法によって粉末化粧料を製造した。
(成分) (質量%)
1.水素添加大豆リン脂質 50
2.スクワラン 5
3.ビタミンE 5
4.アスコルビン酸カルシウム 20
5.ブドウ糖 残量
6.香料 0.1
7.ヨクイニン抽出物 0.2
8.コハク酸 1.8
(製造方法)
A:成分4〜8を精製水500質量部に混合した。
B:Aに成分1〜3を添加し、70℃に加温した。
C:Bを高圧ホモジナイザーで均一に分散した。
D:Cを凍結乾燥し、粉末状組成物を製造した。
E:Dを密閉容器に充填し、粉末化粧料を得た。
得られた粉末化粧料を10%濃度で水に分散させた液のpHは、4.5であった。
この粉末化粧料は、該化粧料1質量部に対し、精製水19質量部を添加し、充分に混合することによって化粧水として使用できた。また、実施例1と同様の方法で、保存安定性、水への分散性、使用感、の各項目について評価したところ、得られた粉末化粧料は保存安定性に優れ、水への分散性は良好で、かつ良好な使用感を有していた。
[実施例3]
下記の成分を原料とし、下記製造方法によって粉末化粧料を製造した。
(成分) (質量%)
1.水素添加卵黄リン脂質 30
2.マカデミアナッツ油 10
3.アスコルビン酸 20
4.アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム 10
5.水酸化カルシウム 3.5
6.マルトース 10
7.サイクロデキストリン 残量
8.香料 0.1
9.ユキノシタ抽出物 0.2
10.防腐剤 0.1
(製造方法)
A:成分3〜10を精製水300質量部に混合した。
B:Aに成分1〜2を添加し、70℃に加温した。
C:Bを高圧ホモジナイザーで均一に分散した。
D:Cを凍結乾燥し、粉末状組成物を製造した。
E:Dを密閉容器に充填し、粉末化粧料を得た。
得られた粉末化粧料を10%濃度で水に分散させた液のpHは、5.0であった。
この粉末化粧料は、該化粧料10質量部に対し下記組成からなる化粧水40質量部を添加し、充分に混合することによって美容液として使用できた。また、実施例1と同様の方法で、保存安定性、水への分散性、使用感、の各項目について評価したところ、得られた粉末化粧料は保存安定性に優れ、水への分散性は良好で、かつ良好な使用感を有していた。
化粧水の組成;
(成分) (質量%)
1.グリセリン 10.0
3.エタノール 10.0
4.クエン酸 0.1
5.クエン酸ナトリウム 0.1
6.ヒアルロン酸ナトリウム 0.5
7.精製水 残量
[実施例4]
下記の成分を原料とし、下記製造方法によって粉末化粧料を製造した。
(成分) (質量%)
1.水素添加大豆リン脂質 20
2.大豆リゾリン脂質 10
3.セスキオレイン酸ソルビタン 5
4.アスコルビン酸 40
5.水酸化カルシウム 6
6.ソルビトール 残量
7.香料 0.2
8.ハマメリス抽出物 3
(製造方法)
A:成分4〜8を精製水300質量部に混合した。
B:Aに成分1〜3を添加し、70℃に加温した。
C:Bを高圧ホモジナイザーで均一に分散した。
D:Cを凍結乾燥し、粉末状組成物を製造した。
E:Dを密閉容器に充填し、粉末化粧料を得た。
得られた粉末化粧料を10%濃度で水に分散させた液のpHは、4.3であった。
この粉末化粧料は、該化粧料1質量部に対し精製水19質量部を添加し、充分に混合し不織布に含浸させることによってパックとして使用できた。また、実施例1と同様の方法で、保存安定性、水への分散性、使用感、の各項目について評価したところ、得られた粉末化粧料は保存安定性に優れ、水への分散性は良好で、かつ良好な使用感を有していた。
[実施例5]
表3に示す成分を原料とし、下記製造方法によって粉末化粧料(発明品8〜19および比較品3〜5)を調製した。この粉末化粧料について、10%濃度の水溶液または水分散液のpH、保存安定性、水への分散性、使用感の各項目について、実施例1と同様の方法で測定、評価した。この結果を表4に示す。
(製造方法)
A:成分4〜7、成分11および成分12を精製水100質量部に溶解させた。
B:Aに成分1〜3および成分8〜10を添加し70℃に加温した。
C:Bを高圧ホモジナイザーで均一に分散した。
D:Cを凍結乾燥し粉末状リポソーム組成物を調製した。
E:Dを密閉容器に充填し粉末化粧料を得た。


表4の結果から明らかなように、発明品8〜19の粉末化粧料は、比較品3〜5の粉末化粧料に比較して、保存安定性に優れ、水への分散性が良好で、かつ良好な使用感を有していた。
[実施例6]
下記の成分を原料とし、下記製造方法によって粉末化粧料を得た。
(成分) (質量%)
1.水素添加大豆リン脂質 50
2.コレステロール 10
3.ビタミンE 5
4.アスコルビン酸カルシウム 20
5.ブドウ糖 残量
6.香料 0.1
7.ヨクイニン抽出物 0.2
8.コハク酸 1.8
(製造方法)
A:成分4〜8を精製水500質量部に混合した。
B:Aに成分1〜3を添加し70℃に加温した。
C:Bを高圧ホモジナイザーで均一に分散した。
D:Cを凍結乾燥し粉末状リポソーム組成物を調製した。
E:Dを密閉容器に充填し粉末化粧料を得た。
得られた粉末化粧料について実施例1と同様にしてpHを測定したところ、4.5であった。
この粉末化粧料は、該化粧料10質量部に対し、精製水190質量部を添加し充分に混合することによって、化粧水として使用できた。また、実施例1と同様の方法で、保存安定性、水への分散性、使用感、の各項目について評価したところ、得られた粉末化粧料は保存安定性に優れ、水への分散性は良好で、かつ良好な使用感を有していた。
[実施例7]
下記の成分を原料とし、下記製造方法により粉末化粧料を得た。
(成分) (質量%)
1.水素添加卵黄リン脂質 30
2.フィトステロール 10
3.アスコルビン酸 20
4.アスコルビン酸リン酸ナトリウム 10
5.水酸化カルシウム 3.5
6.マルトース 10
7.サイクロデキストリン 残量
8.香料 0.1
9.ユキノシタ抽出物 0.2
10.防腐剤 0.1
(製造方法)
A:成分3〜10を精製水300質量部に混合した。
B:Aに成分1〜2を添加し70℃に加温した。
C:Bを高圧ホモジナイザーで均一に分散した。
D:Cを凍結乾燥し粉末状リポソーム組成物を調製した。
E:Dを密閉容器に充填し粉末化粧料を得た。
得られた粉末化粧料について実施例1と同様にしてpHを測定したところ、5.0であった。
この粉末化粧料は、該化粧料10質量部に対し、以下の組成の化粧水40質量部を添加し充分に混合することによって美容液として使用できた。
化粧水の組成
(成分) (質量%)
1.グリセリン 10.0
3.エタノール 10.0
4.クエン酸 0.1
5.クエン酸ナトリウム 0.1
6.ヒアルロン酸ナトリウム 0.5
7.精製水 残量
次いで、実施例1と同様の方法で、保存安定性、水への分散性、使用感、の各項目について評価したところ、得られた粉末化粧料は保存安定性に優れ、水への分散性は良好で、かつ良好な使用感を有していた。
[実施例8]
下記の成分を原料とし、下記製造方法によって粉末化粧料を得た。
(成分) (質量%)
1.水素添加大豆リン脂質 20
2.大豆リゾリン脂質 10
3.コレステロール 5
4.アスコルビン酸 40
5.水酸化カルシウム 6
6.ソルビトール 残量
7.香料 0.2
8.ハマメリス抽出物 3
(製造方法)
A:成分4〜8を精製水300質量部に混合した。
B:Aに成分1〜3を添加し70℃に加温した。
C:Bを高圧ホモジナイザーで均一に分散した。
D:Cを凍結乾燥し粉末状リポソーム組成物を調製した。
E:Dを密閉容器に充填し粉末化粧料を得た。
得られた粉末化粧料について実施例1と同様にしてpHを測定したところ、4.3であった。
この粉末化粧料は、該化粧料10質量部に対し、精製水190質量部を添加し充分に混合し、不織布に含浸させてパックのように使用できた。実施例1と同様の方法で評価したところ、得られた粉末化粧料は保存安定性に優れ、水への分散性が良好で、かつ良好な使用感を有していた。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、アスコルビン酸を含みながら、経時的に変臭や変色が生じることなく保存安定性に優れ、かつ使用時に水への分散性が良好な粉末状組成物および化粧料等の皮膚外用剤を提供することができる。また、粉末状組成物を粉末状リポソーム組成物としても、上記優れた効果を奏することができる。
従って本発明は、化粧料等の皮膚外用剤の分野で広く利用できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、次の成分(a)および成分(b)
(a)リン脂質
(b)アスコルビン酸のアルカリ土類金属塩
を含有することを特徴とする粉末状組成物。
【請求項2】
前記粉末状組成物を10質量%の濃度で水に分散させた液のpHが3〜6の範囲であることを特徴とする請求項1記載の粉末状組成物。
【請求項3】
更に、成分(c)として、成分(b)以外のアスコルビン酸誘導体を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の粉末状組成物。
【請求項4】
成分(c)が、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムまたはアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウムであることを特徴とする請求項3記載の粉末状組成物。
【請求項5】
成分(a)、成分(b)および必要により成分(c)が水に溶解または分散している状態の液を凍結乾燥することにより得られるものである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載の粉末状組成物。
【請求項6】
更に、成分(d)としてステロール類を含有し、粉末状組成物が粉末状リポソーム組成物である請求項1ないし請求項5の何れかの請求項記載の粉末状組成物。
【請求項7】
成分(a)、成分(b)、成分(d)および必要により成分(c)を水に溶解または分散させリポソームを調製し、これを凍結乾燥することにより得られるものである請求項6記載の粉末状組成物。
【請求項8】
使用に当たり、水に分散させ、これを皮膚に塗布するものである請求項1ないし請求項7の何れかの請求項記載の粉末状組成物。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8の何れかの請求項記載の粉末状組成物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。

【国際公開番号】WO2005/004829
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【発行日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511594(P2005−511594)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010165
【国際出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【出願人】(000231497)日本精化株式会社 (60)
【Fターム(参考)】