説明

粉砕機

【課題】
回転軸を縦方向にしても滞留を防止することができ、メンテナンス作業が容易で分級性能に優れた粉砕機を提供する。
【解決手段】
軸受11a,11bにより縦方向に支持された回転軸6と、軸受よりも上方に突出した回転軸に取り付けられた回転翼12a,12bと、回転翼を囲繞するケーシング13と、を備え、回転翼の翼の先端とケーシングの内面との間の空間に分級ゾーン43が形成された粉砕機1であって、上記分級ゾーンは、翼先端とケーシング内面とを、回転軸の軸方向に対して傾斜させて形成され、上記分級ゾーンと排出口との間に整流部材20を設け、該整流部材は、分級ゾーンに向けて通過口50を形成し、該通過口から回転軸側に遮蔽部51を備え、この遮蔽部により、ケーシングの中心部分の気流が排出口に向けて流れることを防止するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農産物や鉱物等の粉末状あるいは粒状の原料をより細かく粉砕して所望の粒径に加工する粉砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末状あるいは粒状原料を気流で運び、回転翼で旋回運動させて原料粒子同士、原料粒子と翼やケーシングの内壁との衝撃により粉砕する粉砕機としては、上下に設けた軸受により回転軸を縦方向に設け、両軸受の間の回転軸に円板を複数(多段)固定し、各円板の外周に翼を取り付けて回転体を構成し、この回転体をケーシング内に設けたものが、例えば特公昭35−5940号公報により提案されている。この粉砕機は、ドラム式粉砕機とも呼ばれ、ケーシングの内部下方に供給した原料がケーシングと翼の間隙を通過するときにケーシング内面と摩擦したり、衝撃を受けることにより、また、原料同士の衝突、摩擦により粉砕し、粉砕した微粉物はケーシングの上端に開設した排出口から排出するものである。しかし、このドラム式粉砕機では、上下の軸受から回転軸を外さないと清掃などの作業を行うことができないのでメンテナンス作業が面倒である。このため、穀物などの食料品の場合には実用に供し得なかった。
【0003】
このため、前記したドラム式に代えて回転体を水平方向にした粉砕機が、例えば、特開平11−300224号公報により提案されている。この粉砕機は、ケーシング内に水平方向に設けた回動軸に第1、第2回転翼を同軸上に間隔を配して固定し、ケーシングの構成壁と両回転翼とで粉砕室を構成し、第1回転翼側のケーシングに原料投入口を連通し、第2回転翼側のケーシングの中心部分に排出口を開設し、この排出口に吸引装置を連通した構成であり、回転翼の取り外しをドラム式に比較して容易にしてある。この粉砕機では、原料投入口から粉砕室に運び込まれた原料粒子同士、原料粒子とケーシング、翼との摩擦、衝撃により粉砕され、吸引機による吸気により粒子が粉砕室内で循環する。そして、排出口側の第2回転翼の先端とケーシング内面との間に約45度の傾斜を持たせた分級ゾーンを形成し、この分級ゾーンにおいて原料粒子を分級する。即ち、粒子の遠心力と吸引装置による吸引力により分級し、細かく粉砕された粒子は軽くて遠心力が弱いので吸気に乗って排出され、粉砕が不十分な原料粒子は重くて遠心力が強いので吸気に乗り難く、したがってケーシング内面側に移動してから再度循環することになって更に粉砕される構成である。このため、この様な原料の循環により粉砕を行う粉砕機は、内部循環式とも呼ばれている。
この内部循環式粉砕機は、清掃作業が容易であるという特性からして、従来は、ドラム式粉砕機よりも実用に適しているとされていた。
【特許文献1】特公昭35−5940号公報
【特許文献2】特開平11−300224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内部循環式粉砕機は、回転軸が水平方向に設けられているので、回転翼を取り外す際に回転軸を軸受から外す必要がない点においてはドラム式に比較して容易ではあるが、回転翼を取り外したり、取り付ける際には重い回転軸を横方向に移動することとなり、回転軸と回転翼との位置合わせが容易ではない。また、分級ゾーンにおける粒子への重力の方向が遠心力と相違するため分級性能が不充分であった。このため、この内部循環式粉砕機を竪型にすることも考えられるが、単に竪型としたのでは分級ゾーンにおける滞留が問題となる。
即ち、従来の内部循環式粉砕機の回転軸を垂直方向にした場合、分級ゾーンにおいて、重力が原料粉砕物に均等な方向に加わるので分級点が微粉方向に変化し、粉砕物が粉砕機内に滞留する現象が発生する。この現象が発生すると、吸引機の吸引力を高めたとしても、吸引による気流が回転軸の中心部分を通過することになるので有効な解決策にならない。このため、従来の内部循環式粉砕機を単に竪型にしただけでは実用に供し得ない。
【0005】
本発明は前記した事情に鑑み提案されたものであり、その目的は、内部循環式を竪型にしても滞留を防止することができ、メンテナンス作業が容易で分級性能に優れた粉砕機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のものは、軸受により縦方向に支持され、駆動源の回転駆動により回転する回転軸と、
上記軸受よりも上方に突出した回転軸に取り付けられた回転翼と、
下部に原料供給口を、上端に、吸気系を接続する排出口を有し、回転翼を囲繞するケーシングと、
を備え、回転翼の翼の先端とケーシングの内面との間の空間に分級ゾーンが形成された粉砕機であって、
上記分級ゾーンは、翼先端とケーシング内面とを、回転軸の軸方向に対して傾斜させて形成され、
上記分級ゾーンと排出口との間に整流部材を設け、
該整流部材は、分級ゾーンに向けて通過口を形成し、該通過口から回転軸側に遮蔽部を備え、
該遮蔽部により、ケーシングの中心部分の気流が排出口に向けて流れることを防止するようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のものは、前記回転翼が、回転軸の途中に取り付けられる第1回転翼と、該第1回転翼よりも上方の回転軸に取り付けられる第2回転翼とから構成され、
上記第1回転翼の翼の先端には、上になるほど回転軸からの距離が大きくなる方向に傾斜した第1翼傾斜部を形成し、
第2回転翼の翼の先端には、上になるほど回転軸からの距離が小さくなる方向に傾斜した第2翼傾斜部を形成し、
第1翼傾斜部に対向するケーシングの内面には、上になるほど拡径した第1傾斜面を形成し、
第2翼傾斜部に対向するケーシングの内面には、上になるほど縮径した第2傾斜面をそれぞれ形成し、
第2傾斜面と第2翼傾斜部との間を分級ゾーンとしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載のものは、前記整流部材が、外周部分に、分級ゾーンに臨む通過口を開設し、該通過口よりも内側を遮蔽部として閉塞した板材から構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載のものは、前記整流部材が、上部から下部に向けて直径が次第に拡大する略円錐形に成形された金属板製であって、下端縁とケーシングの内面との間隙を通過口とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回転軸が軸受により縦方向に支持され、軸受よりも上方に突出した回転軸に回転翼を取り付けたので、回転翼を取り外したり取り付けたりする作業、特に回転軸と回転翼との位置合わせ作業を容易に行うことができる。そして、分級ゾーンと排出口との間に整流部材を設け、該整流部材は、分級ゾーンに向けて通過口を形成し、該通過口から回転軸側に設けた遮蔽部により、ケーシングの中心部分の気流が排出口に向けて流れることを防止するので、原料がケーシング内で循環する現象を防止でき、排出口側からの吸気力を高めた場合に、この吸気力を分級ゾーンに確実に作用させることができ、分級の精度と効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は粉砕機の一部を欠截した正面図、図2はケーシングと回転翼の周辺を示す断面図である。
粉砕機1は、フレーム2の上に、駆動源としてのモータ3を、出力軸4を下向きにした状態で取り付けると共に、粉砕機本体5を、回転軸6を縦方向にした状態で取り付け、出力軸4と回転軸6の下端にそれぞれ取り付けたプーリー7,8の間にVベルト9を張設し、モータ3の駆動により回転軸6を回転するように構成されている。
【0012】
粉砕機本体5は、縦方向の中空部を有する軸ハウジング10をフレーム2上に固定し、この軸ハウジング10の上部と下部に設けた軸受11a,11bにより回転軸6の下半部分を支持し、上側の軸受11bよりも上方に突出した回転軸6の上半部分に第1回転翼12aを、その上に第2回転翼12bを着脱可能な状態で取り付け、これら第1,第2回転翼12a,12bを囲繞するケーシング13を上記軸ハウジング10上に設け、該ケーシング13の上端に開口した排出口14に吸引装置(図示せず)の吸気管15を接続し、上記回転翼12の翼の先端とケーシング13の内面との間に分級ゾーンを形成し、この分級ゾーンとケーシング13の排出口14との間に整流部材20を設け、ケーシング13の下部に設けたホッパー状の原料供給口21から投入した原料を粉砕して排出口14から排出できるように構成されている。
【0013】
軸ハウジング10は、取付ベース22上に二重の円筒体23を立設するとともに、円筒体23の周囲にリブ状の補強板24aを固定したものであり、円筒体23の下部に下側軸受11aを、上部に上側軸受11bをそれぞれ設け、また、上側軸受11bの近傍にフランジ部24bを有し、このフランジ部24bの上面にケーシング13をボルトで接続することができる。なお、上側軸受11bの周囲には、略円錐台形の軸受カバー25を設け、原料粉体などが軸受11bに付着することを防止している。
【0014】
この軸ハウジング10上に設けるケーシング13は、内面にライナー26を添設して全体が略円筒体の部材であり、側部に原料供給口21からの通路27を備えた下部ケーシング13aと、この下部ケーシング13a上に取り付けられ第1,第2回転翼12a,12bを収納する中間ケーシング13bと、中間ケーシング13b上に取り付けられて頂部に排出口14を有する上部ケーシング13cとから概略構成されており、中間ケーシング13bと上部ケーシング13cとの間に整流部材20を介在させてある。
【0015】
下部ケーシング13aは、下端を軸ハウジング10の上面にボルト止めされており、この下端から側壁を略円筒形状に立設し、側壁の一部に原料供給口21からの通路27を横向きに一体成形し、側壁の上端には、中心に開口部を開設した上面部28を一体成形し、開口部内に軸受カバー25を貫通させ、軸受カバー25と開口部の内縁との間に原料が過不足なく通過し得る所定空間が形成されるようにしてある。
【0016】
中間ケーシング13bは、下部ケーシング13aの上面部28にボルト止めされ、内面には、下方から上方に次第に拡径する方向に約45度の傾斜でテーパー面(第1傾斜面に相当)を形成した第1中間ケーシング13b´と、該第1中間ケーシング13b´上に重ねられて第1中間ケーシング13b´の上端開口部と同じ内径の短円筒形の第2中間ケーシング13b”と、該第2中間ケーシング13b”上に重ねられて下端開口の内面が第2中間ケーシング13b”の内径と同じ内径であって、この内径が下方から上方に次第に縮径する方向に約45度の傾斜でテーパー面(第2傾斜面に相当)を形成した第3中間ケーシング13b°とから構成されている。そして、第1中間ケーシング13b´の上端に外側に突設した第1組付片30と、第2中間ケーシング13b”の上端及び下端に外側に突設した第2組付片31と、第3中間ケーシング13b°の下端に外側に突設した第3組付片32の各組付片に開口した孔内にボルト33を下方から挿通して該ボルト33の上端雄ネジ部に蝶ナット34を螺合して締め付けることにより分解可能な状態で組み付けられている。したがって、蝶ナット34を緩めると、第1、第2,第3中間ケーシング13b´,13b”,13b°を簡単に分解することができ、また、逆の操作で組み付け作業も簡単にできる。
【0017】
上部ケーシング13cは、上下面が開口した略円錐台形を呈しており、下端部には、整流部材20を挟持する凹部を有すると共に中間ケーシング13b上に固定するフランジ部35を有し、上端部には、吸気管15を排出口14に連通した状態で止めるフランジ部36を形成してある。なお、吸気管15は、吸気系の一部を構成する管であり、ダクト等の管を介して吸気装置(図示せず)の吸気口に連通している。
【0018】
次に、この様なケーシング13の内部に収納される回転翼12について説明する。
まず、第1中間ケーシング13b´と同じ高さで回転軸6に取り付けられる第1回転翼12aは、ボスの周囲に板状の翼40を複数放射状に設けたものであり、各翼40の先端には、上になるほど回転軸6からの距離が大きくなる方向に傾斜した第1翼傾斜部41を形成してある。本実施形態では、傾斜角度を垂直方向に対して45度に設定してある。そして、この第1翼傾斜部41に対向する第1中間ケーシング13b´の内面には、上になるほど拡径した第1傾斜面42を45度の傾斜で形成し、この第1翼傾斜部41と第1中間ケーシング13b´の第1傾斜面42との間に空間を形成してある。
【0019】
また、第3中間ケーシング13b°と同じ高さで回転軸6に取り付けられる第2回転翼12bは、ボスの周囲に板状の翼40を複数放射状に設けたものであり、各翼40の先端には、上になるほど回転軸6からの距離が小さくなる方向に傾斜した第2翼傾斜部45を形成してある。本実施形態では、この第2翼傾斜部45の傾斜角度を垂直方向に対して45度に設定してある。そして、この第2翼傾斜部45に対向する第3中間ケーシング13b°の内面には、上になるほど縮径した第2傾斜面46を45度の傾斜で形成し、この第2翼傾斜部45と第3中間ケーシング13b°の第2傾斜面46との間の空間を分級ゾーン43としてある。
【0020】
次に、整流部材20について説明する。
整流部材20は、図3に示すような円板状であり、外周近傍であって前記分級ゾーン43に近い部分に複数の通過口50を外周縁に沿って開設し、これら通過口50が形成する環状通過口列の内側を閉塞して遮蔽部51としてあり、遮蔽部51の中心部分には回転軸6の上端との干渉を防止するために上方に向けて膨出した膨出部52を形成してある。なお、遮蔽部51は、ケーシング13の中心部分の気流が排出口14に流れることを防止すると共に、粉砕原料がケーシング13内に滞留する現象を防止する部分である。また、本実施形態における通過口50は、円形であるが、これに限らず適宜な形状に開設することができる。例えば、要を中心に向けた扇形や三角形に開設して、流路抵抗の低減を図っても良い。
【0021】
次に、上記した構成からなる粉砕機1の作用について説明する。
モータ3の駆動により回転翼12a,12bを回転すると共に、吸気装置を作動して排出口14から吸気した状態で、原料供給口21に原料粉体を投入すると、この原料粉体は気流に乗って通路27から軸受カバー25の周りの空間を上昇して中間ケーシング13b内に流入する。この中間ケーシング13b内では第1,第2回転翼12a,12bが高速回転しているので、原料粉体は、第1回転翼12aの翼40により、中間ケーシング13bと翼40との間を回転(周回)すると共に翼40の間隙内を通過し、その一部の原料粉体は翼40の回転により生成される気流に乗って第1回転翼12aの周りを循環し、また、一部の原料粉体は第2回転翼12bの周りを循環する。この様にして回転翼12の周りを原料粉体が回転しながら循環すると、その途中で翼40やケーシング13の内面に衝突したり、或いは粉体同士が衝突するなどして次第に細かく粉砕され(気流粉砕)、この粉砕が繰り返されて更に微細な粒子になる。
【0022】
具体的に説明すると、原料粉体(粒子)は、回転翼12の翼40に衝突して粉砕されると共に、回転翼12と同じ方向に回転運動するので遠心力を受け、ケーシング13の内面に衝突して再度粉砕され、さらに撥ね返って翼40に再衝突する。これら衝突による粉砕と粒子間の速度差による粒子同士の衝突により微細化される。そして、分級ゾーン43において、微細な粒子にまで粉砕されたものは質量が小さいので遠心力も小さく、このために上方に開口している整流部材20の通過口50からの吸気に乗って上昇し、排出口14から排出されて粉砕加工物として回収される。一方、粉砕が不十分な粉体は質量が大きいので遠心力も大きく、このため吸気に乗れずに回転翼側に戻される。したがって、排出口14からは十分に粉砕された微細な粒子だけが排出されることになる。
【0023】
そして、本実施形態によれば、吸気装置の吸気力を増すと、整流部材20の通過口50を通る気流が強くなり、この強い気流が分級ゾーン43にそのまま作用することとなる。したがって、吸気力を高めた場合に、その吸気力の殆どが排出口14の中心部分に作用する従来の粉砕機に比較して、分級効率を向上させることができる。なお、回転翼12の中心部分には整流部材20の遮蔽部51が存在し、吸気力は、回転翼12の中心部分に循環流に乗って集まる粉砕物に作用するので、粉砕物がケーシング13内で滞留してしまう現象の発生を防止することができる。
【0024】
さらには、回転軸6を垂直方向にすると、粉砕した粉体に作用する重力の影響を吸気により均一に打ち消すことができるので、分級ゾーン43における分級の精度を高めることができ、不十分な粉砕の粉体が混入することを抑制して安定した微細粉砕製品を提供できる。具体的には、乾燥おからの粉砕例(図4(a))に示すように、回転軸を水平方向に設けた従来の粉砕機では粒径が100〜200μmのものが多く混入して2つ目のピークが存在するが、回転軸を縦方向に設けた本発明に係る粉砕機1では、図4(b)に示すように、100〜200μmのものが減少して粒径26.8のピークが1つとなり、不十分な粉砕のものの頻度が低下する。
【0025】
また、前記した粉砕機1の内部を清掃したり、リング状のスペーサー55を交換することにより第1回転翼12aと第2回転翼12bの間隔を調整したり、或いはケーシング13の内面のライナー26を交換するなどの作業を行う場合には、蝶ナット34を外すことによりケーシング13を上方に簡単に取り外すことができる。さらに、回転翼12を取り外す場合にも、回転軸6に取り付けられている回転翼12をクレーンで吊り上げて外すことができるので、回転軸6が水平方向に設けられた従来の循環式粉砕機1に比較して、一連の作業を容易に行うことができる。そして、回転軸6に回転翼12を取り付ける場合にも、回転翼12をクレーンで吊った状態で位置合わせができるので、作業性に優れるばかりでなく、安全性の向上も期待できる。
【0026】
前記した粉砕機1における整流部材20は、外周縁近傍に円形の通過口50を複数開設した円板状であるが、本発明における整流部材20はこれに限定されるものではなく、分級ゾーン43に向けて通過口50を形成し、該通過口50から回転軸6側に、即ち、通過口50が開口している部分からその内側の部分に、ケーシング13の中心部分の気流が排出口14に流れることを防止する遮蔽部51を備えたものであればどのような構成でもよい。
例えば、図5に示す整流部材20´の第2の実施形態は、上部ケーシング13cの内側に、上面が閉塞した金属板製円錐台形の成形板を吊り下げた状態で設けたものであり、上部から下部に向けて直径が次第に拡大する略円錐形に成形され、下端縁とケーシング13の内面との間隙が通過口50として分級ゾーン43に向かって開口し、円錐台形の斜面と上面が閉塞して遮蔽部51´として機能するものである。この整流部材20´においても、吸気装置の吸気による気流が分級ゾーン43に作用して、回転翼12の中心部分に作用しないので、前記した円板状整流部材20と同様の効果を奏することができ、また、上部ケーシング13cの内面と整流部材20の外面との間の傘形の空間を吸気流が流れるので整流効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】粉砕装置の一部を欠截した正面図である。
【図2】回転翼とケーシングの部分の拡大断面図である。
【図3】整流部材の平面図である。
【図4】(a)は回転軸を水平方向に設けた従来の粉砕機による粉砕物の粒径分布を示す説明図、(b)は回転軸を垂直方向に設けた本発明に係る粉砕機による粉砕物の粒径分布を示す説明図である。
【図5】整流部材の第2の実施形態を説明する回転翼とケーシングの部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 粉砕機
2 フレーム
3 モータ
4 出力軸
5 粉砕機本体
10 軸ハウジング
11 軸受
12 回転翼
13 ケーシング
14 排出口
15 吸気管
20 整流部材
21 原料供給口
25 軸受カバー
27 原料粉体の通路
41 第1翼傾斜部
42 第1傾斜面
43 分級ゾーン
45 第2翼傾斜部
46 第2傾斜面
50 通過口
51 遮蔽部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受により縦方向に支持され、駆動源の回転駆動により回転する回転軸と、
上記軸受よりも上方に突出した回転軸に取り付けられた回転翼と、
下部に原料供給口を、上端に、吸気系を接続する排出口を有し、回転翼を囲繞するケーシングと、
を備え、回転翼の翼の先端とケーシングの内面との間の空間に分級ゾーンが形成された粉砕機であって、
上記分級ゾーンは、翼先端とケーシング内面とを、回転軸の軸方向に対して傾斜させて形成され、
上記分級ゾーンと排出口との間に整流部材を設け、
該整流部材は、分級ゾーンに向けて通過口を形成し、該通過口から回転軸側に遮蔽部を備え、
該遮蔽部により、ケーシングの中心部分の気流が排出口に向けて流れることを防止するようにしたことを特徴とする粉砕機。
【請求項2】
前記回転翼は、回転軸の途中に取り付けられる第1回転翼と、該第1回転翼よりも上方の回転軸に取り付けられる第2回転翼とから構成され、
上記第1回転翼の翼の先端には、上になるほど回転軸からの距離が大きくなる方向に傾斜した第1翼傾斜部を形成し、
第2回転翼の翼の先端には、上になるほど回転軸からの距離が小さくなる方向に傾斜した第2翼傾斜部を形成し、
第1翼傾斜部に対向するケーシングの内面には、上になるほど拡径した第1傾斜面を形成し、
第2翼傾斜部に対向するケーシングの内面には、上になるほど縮径した第2傾斜面をそれぞれ形成し、
第2傾斜面と第2翼傾斜部との間を分級ゾーンとしたことを特徴とする請求項1に記載の粉砕機。
【請求項3】
前記整流部材は、外周部分に、分級ゾーンに臨む通過口を開設し、該通過口よりも内側を遮蔽部として閉塞した板材から構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の粉砕機。
【請求項4】
前記整流部材は、上部から下部に向けて直径が次第に拡大する略円錐形に成形された金属板製であって、下端縁とケーシングの内面との間隙を通過口とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の粉砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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