説明

粉砕装置

【課題】 塊になった刈草や枝葉等の被粉砕物を粉砕して供給する粉砕装置を提供する。
【解決手段】 塊状になった被粉砕物2を搬送手段4で粉砕手段5に移動させて、粉砕手段5で粉砕物2aとし、この粉砕物2aをさらに搬送手段4で移動させて送出手段6で投入させて供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈草や剪定枝葉等の被粉砕物を粉砕する粉砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路脇法面や公園などの雑草や樹木は、年間2〜3回の頻度で刈払機や剪定鋏等を用いて刈り取られている。従来であれば、刈り取りの請負業者が、刈った草や、剪定で切り落とした枝葉を持ち帰り、野焼きや野積み、埋め立てといった方法で処理をしていた。しかし、近時の法改正により、業者が刈り取った草等は産業廃棄物と見なされ、野焼き、野積み、埋め立て等が禁止されたため、地域内のごみ焼却設備で焼却せざる得なくなってきた。
【0003】
また、街路樹や公園などの植栽の剪定枝葉、里山の下刈りした低木や、笹、枝打ちした細い枝なども同様に焼却施設に持ち込まれることが増えてきた。
【0004】
焼却施設では、塵芥収集車やトラックから投入された刈草等を一般ごみと同じごみピットに投入し、安定的に燃焼させるために他のごみと攪拌・混合して発熱量を均一にしながら焼却炉へ投入している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−156106号の図1(イ)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、刈払機で刈った長い草や枝葉等は、圧縮式塵芥収集車に積んで持ち込まれるため、あるいは、荷台のあおりを高くしたダンプトラックに人力で長い草や枝葉等をふみしめて、圧縮しながら積み込んだ状態で持ち込まれるため、絡まり合った塊となっており、ごみピットへ投入しただけではバラバラにほぐすことができなかった。
【0006】
そのため、刈草や枝葉が他のごみと十分まざり合わず、塊となった刈草などは給塵装置を通って焼却炉に落とし込まれても、すぐに着火せず周囲の熱を吸収する一方、一旦温度が発火点になると急激に燃焼することになり、燃焼に必要な空気の欠乏状況下で不完全燃焼が進むという問題があった。また、刈草等の塊から発生した火の粉が収塵装置に至り、バグフィルタに穴を開けてしまうこともあった。
【0007】
刈草等の塊が急激に燃焼すると炉内温度が急上昇して焼却炉にダメージを与るおそれがあるが、このようなことが起きないようにするために、一日の刈草の受入量を制限するごみ焼却施設も出始めている。
【0008】
本発明は、絡み合って塊となった刈草や枝葉を粉砕して焼却施設などに供給可能な粉砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
粉砕装置に係る請求項1の発明は、刈草や剪定枝葉等の被粉砕物を粉砕してシュートから吐き出す粉砕装置であって、被粉砕物を受入れる受入部と、上流端側から被粉砕物を受入れ下流端側から粉砕物を前記シュートに導く搬送手段と、搬送手段の下流端近傍に配置された被粉砕物の粉砕手段とを具備する。
【0010】
まとまって受入部に投入された被粉砕物を、搬送手段で下流側へ移動させ、下流側で粉砕手段により粉砕物にして、シュートへ粉砕物を送出するので、焼却施設の塵芥収集車等が停止するプラットフォームに設置しておくことにより、塵芥収集車等で搬入された塊となった被粉砕物を受入部に全て受入れ、粉砕してごみピットに投入することができ、一般ごみとの混合が簡単にできる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記搬送手段の下流端下方に配置され粉砕された粉砕物を前記シュートへ送出する送出手段を備えたもので、粉砕物を送出手段によりシュートに導いて確実にごみピットに投入することができ、一般ごみとの混合が簡単にできる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記搬送手段の上方にあって搬送手段の下流端に向って下降傾斜し、被粉砕物の上層を前方または後方に移動させるコンベアベルトを備えたものである。
【0013】
まとまって受入部に投入された被粉砕物が、搬送手段の下流側へ移動されるとき、搬送手段とコンベアベルトにより均一な厚みにされて粉砕手段へ移動されるので、効率的かつ確実な粉砕ができる。
【0014】
コンベアベルトで被粉砕物の上層部を前方に移動させる場合は、搬送手段と共に被粉砕物を所定の厚みにした後に粉砕することができるので、粉砕の効率が向上する。逆に、コンベアベルトが被粉砕物の上層側を後方に移動させる場合は、被粉砕物を解きほぐしつつ粉砕手段側へ移動させることができるので、スムーズな粉砕が可能となる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記粉砕手段が上下動可能なハンマークラッシャーであることを特徴とする。この場合、絡んで塊となった被粉砕物をハンマーで叩きながら粉砕するので、粉砕が容易である。また、ハンマーを上下に移動させながら粉砕することにより、搬送手段の表面近くの被粉砕物まで細かく粉砕できる。ハンマーの上下移動には、垂直移動だけでなく揺動移動も含むものである。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記送出手段が、前記シュートに設けられた回転羽根を有することを特徴とする。このことにより、搬送手段の下流端から落下した粉砕物が送出される。回転羽根のブレードで粉砕物を掻出すこともできるし、回転羽根をプレートファンとした場合には、風圧で粉砕物を投入または吸引させることができる。
【0017】
受入部の大きさは、通常焼却施設に刈草等を搬入してくる塵芥収集車が2トンから4トン車、トラックが軽四から4トン車であるため、4トンの塵芥収集車やトラックの1台分の被粉砕物が貯留できる大きさがあればよい。受入部の大きさは、焼却施設の敷地面積により事情が異なるので、適宜あわせればよい。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1の発明において、搬送手段の両側の一対の側壁であって、受入部の両側を画成する立設位置と、内側に倒伏した倒伏位置との間を起伏可能な側壁を備えたものである。このことにより、粉砕装置を使用しない時に、側壁を倒伏位置とすることにより、粉砕装置の設置場所における受入部の空間を有効に利用することができる。
【0019】
本発明の請求項7のごみ焼却施設は、塵芥収集車が停車するプラットフォームと、プラットフォームと隣接するごみピットと、プラットフォームとごみピットとの間に設けられ、プラットフォームとごみピットとの間を開閉可能なシャッタと、プラットフォーム上に設けられて、ごみピット側にシュートを臨ませた請求項1から6に記載の粉砕装置と、粉砕装置を、そのシュートがシャッタの開閉軌跡よりごみピット内に臨む前進位置と、シャッタの開閉軌跡よりごみピット外に退避した後退位置との間で移動させる移動手段とを備えたものである。このことにより、ごみ焼却施設で粉砕装置を使用しない時は、粉砕装置を移動手段によりごみピットから遠ざけてシャッタを締めることができる。また、粉砕装置を使用するときは、シャッタを開けて、粉砕装置を移動手段によりごみピット側へ移動させて、シュートをごみピット内へ臨ませて、粉砕物をごみピット内へ投入することができる。
【0020】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、ごみピットに連通してプラットフォームに形成された窪みと、この窪みに配設された粉砕装置とを備えたものである。このことにより、塵芥収集車の被粉砕物を収容した底面と、粉砕装置の受入部の底面との間に段差を形成して、塵芥収集車から被粉砕物をまとめて受入部に受入れる時の作業性を向上させることができる。
【0021】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、粉砕装置が請求項6に記載の粉砕装置であって、立設位置にある側壁上端がプラットフォーム上に突出するとともに、倒伏位置にある側壁がプラットフォーム下に隠れて窪みの開口を覆板で覆えるように窪みの深さを設定したものである。このことにより、粉砕装置を使用する時は、側壁の上端がプラットフォーム上に突出するので、側壁で被粉砕物がプラットフォーム上に散乱するのを防止できる。また、粉砕装置を使用しない時は、粉砕装置の搬送手段の上部空間を覆板で覆うことができるので、プラットフォームを有効に活用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の粉砕装置は、束状で塊になった被粉砕物を搬送手段で下流側へ移動させながら粉砕手段で粉砕して前方へ投入させることができる。被粉砕物の受入部を、例えば塵芥収集車で搬送してきた被粉砕物の塊をそのまま受入れ可能な大きさにしておくことにより、塵芥収集車の搬入と連動させて、一連の流れで処理することができ、ごみ焼却場に新たな保管場所を設ける必要がない。
【0023】
また、粉砕物の刈草や枝葉が粉砕されてごみピットに集積されるが、他のごみと容易に混合することができるので焼却炉へのダメージを少なくでき、一日の刈草や枝葉の受入量を制限する必要がなくなり、環境対応を図ることができる。
【0024】
従来のように被粉砕物を積み上げて保管した場合に比べ、本発明の装置では被粉砕物をまとめて受入部へ投入できるので、被粉砕物を細かく仕分けしてから粉砕する必要がない。
【0025】
また、本発明のごみ焼却施設は、粉砕装置を使用しないときは、プラットフォームとごみピットの間をシャッタで閉じることができる。ごみ焼却施設は、ごみピット内を負圧にして、悪臭や埃がプラットフォームを通じて焼却施設外へ漏らさないようにしており、そのため、粉砕装置を使用しないときにシャッタを閉じることができるので、ごみピット内の負圧維持に役立つ。さらに、粉砕装置を使用する時は、粉砕装置のシュートがごみピット内に臨むので、粉砕物をごみピット内へ確実に投入することができ、ごみピットとプラットフォームの境のプラットフォーム側に粉砕物を散乱させることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、粉砕装置の実施の形態を図に基づいて説明する。なお、同一の作用を奏する部材、部位には同じ番号を符して説明する。
【0027】
粉砕装置1は、図1、図4,図5に示すように、刈草や、剪定で切り落とされた枝葉等の被粉砕物2を粉砕して供給するもので、フレームFの上に、被粉砕物2を塵芥収集車8等から受入れる受入部3と、受入部3の下方に上流側を位置させた搬送手段4と、搬送手段4の下流側で移動されてきた被粉砕物2を搬送手段4の直上で粉砕する粉砕手段5と、粉砕された粉砕物2aを投入させる送出手段6とを設けて構成されている。説明の都合上、図1,図4,図5の左側を入口側、右側を出口側として説明する。
【0028】
刈草や枝葉等の被粉砕物は、圧縮式塵芥収集車や、ダンプカー,平ボディトラック等でごみ焼却施設に持ち込むことが多いので、総称して塵芥収集車と呼ぶ。
【0029】
この粉砕装置1は、図6に示すように、ごみ焼却施設7の塵芥収集車8が停車してごみピット9へごみを投入するプラットフォーム10に設置されるものである。
【0030】
被粉砕物2は、刈り取られた草や、剪定等で切り落とされた枝葉がまとめられた束または塊であって、塵芥収集車8に積み込んで、ごみ焼却施設7へ搬入される。塵芥収集車8は、軽四から4トン車の大きさの車体を利用することが多い。
【0031】
前記受入部3は、手前側(図1の左端)の幅方向と上面(図1の上側)が開口し、両側面に被粉砕物2が落下するのを防止する壁11が形成されている。受入部3の大きさは、塵芥収集車8のほぼ1台分の被粉砕物2を一度に貯留できる大きさにしている。受入部3の前面および上面の開口は、塵芥収集車8からまとめて被粉砕物2を受入れるための投入口となるので、軽四のダンプカーでも投入できるように、少なくとも前端部分を低床仕様にしている。受入部3の投入口には安全のために遮蔽板(扉を含む)を設けることができる。この遮蔽板を設けることにより、受入部3に人が安易に入り込むのを阻止することができ、受入部の前端部を低床仕様にしても、安全性を確保することができる。この遮蔽板の材質は、幕のように柔らかいものであってもよい。
【0032】
前記搬送手段4は、図1の入口側から出口側へ延びたコンベアベルト12で構成されており、このコンベアベルト12は、入口側と出口側に設けられた回転軸13,14間に掛渡されている。回転軸13はモータMに連結されて図4,図5の矢印方向へ回転する。このコンベアベルト12は幅方向に平行二列で設けられており、被粉砕物2を強制的に出口側へ移動させるために、被粉砕物2の底面と係合する爪15が多数形成されている。コンベアベルト12の上流側が受入部3の底となっている。この搬送手段4は複数のコンベアベルトを連結して構成してもよい。
【0033】
搬送手段4の下流側上方には、搬送手段4の下流端に向かって下降傾斜するコンベアベルト16が設けられている。コンベアベルト16は上下の回転軸17,18間に掛渡されている。一方の回転軸17または18はモータMに連結されて回転される。このコンベアベルト16の回転方向は、正逆両方向に切替回転するようにしてもよいし、図4または図5で矢印で示すように一方向へのみ回転させるようにしてもよい。
【0034】
コンベアベルト16の下端は、粉砕手段5の処理能力、被粉砕物の特性によって搬送手段4からの高さを変える必要があり、被粉砕物2が堆積化しかけた草などの場合には高く設定するとよい。したがって、コンベアベルト16の下流側端の高さが調整できるようにすることが好ましい。
【0035】
このコンベアベルト16は、粉砕手段5を効率的かつ確実に行なうために設けたものであり、搬送手段4のみで被粉砕物2を粉砕手段5に移動させることも可能である。
【0036】
前記粉砕手段5は、モータM1と、モータM1にチェーン21bで連結され回転する粉砕部21とを一体にしたユニットで構成されている。モータM1と粉砕部21のユニット体が、フレームFに垂直に立設された支柱19に沿って摺動自在に取付けられ、シリンダ20によって昇降駆動されるようになっている。このシリンダ20は、油圧により伸縮するもので、圧力供給用のポンプPsに接続されている。
【0037】
粉砕部21は、搬送手段4とコンベアベルト16によって形成される先細三角形状の空間の下流側で、搬送手段4の終端部の真上に位置している。粉砕部21の回転軸22の回転中心22pは、搬送手段4のコンベアベルト12の回転軸14の回転中心14pより若干コンベアベルト12の上流側に寸法Lだけずらせて設けている。
【0038】
粉砕部21の軸22の回転方向は、図4,図5で時計方向に回転させた場合は、絡みあった密度の低い被粉砕物2の場合に有効である。また、反時計方向に回転させた場合は、層状になった密度の高い被粉砕物2の場合に、粉砕物2aを掻出すようになり、粉砕能率が向上する。
【0039】
粉砕部21は、幅方向に延びた回転軸22をモータM1により回転させる。回転軸22の外周には、図2(a),(b)で示すように、ハンマー22aが多数設けられていて、ハンマー22aが被粉砕物2を叩いて粉砕するもので、一般にハンマークラッシャーと謂われる構造である。
【0040】
粉砕部21は上下に移動できるが、コンベアベルト12の表面に接近する箇所まで下降できればよい。粉砕部21は上下移動だけでなく揺動させても良い。粉砕部21を移動させることにより、被粉砕物2へのハンマー22aの噛み込み代を一定にして過負荷を防止する。コンベアベルト16の下端を高くした場合は、粉砕部21の上下移動寸法を大きくする必要がある。
【0041】
この粉砕部21で粉砕される粉砕物2aの大きさは、150〜300mmの長さに粉砕すれば、他の燃焼ごみと良好に混合することができる。
【0042】
前記送出手段6は、幅方向の両端に粉砕物2aの飛散防止壁23aを取付けた揺動板23と、この揺動板23上に幅方向へ並設して取付けた一対の回転羽根24,25とから構成され、出口側の端(図4,5の右端)をシュート23bとしている。
【0043】
揺動板23は、回転軸14の下方でヒンジ機構26により軸支されており、粉砕物2aをシュート23bから前方(図4,図5の右側)へ投入させる方向を決めるためにヒンジ機構26で傾斜角度の調整ができる。
【0044】
揺動板23は、コンベアベルト12から落下する粉砕された粉砕物2aを受けるようにコンベアベルト12の終端よりもコンベアベルト12のやや上流側に一部を延在させている。
【0045】
前記一対の回転羽根24,25は、それぞれ周方向120°間隔で半径方向に延びたブレード24a・・,25a・・を有している。回転羽根24のブレード24a相互間に、隣接する回転羽根25のブレード25aが入り込む構成になっている。回転羽根24,25は、それぞれ逆方向に回転しており、粉砕物2aを回転羽根24,25の中央に集まるように移動させてシュート23bから外側へ送出する。このような回転羽根24,25は、プレートファンと謂われる構成のものを用いて、粉砕物2aをごみピットに空気搬送することもできる。つまり、焼却施設のプラットフォームが狭い場合や、ごみピットへの投入口の少ない場合などは、プレートファンを用いて風圧で粉砕物2aを導くことができる。プレートファンのように風圧で粉砕物2aを投入させる場合、プレートファンの数は2つである必要はなく、1つでもよいし、3つ以上あってもよい。また、風圧で粉砕物2aをごみピットに導く以外に、粉砕物2aを吸引してごみピットへ導くことができる。この場合、粉砕装置1がごみピット9の投入口から離れた位置にあっても、ごみピットに粉砕物2aを投入することができる。
【0046】
搬送手段4,コンベアベルト16の移動スピードや、粉砕部21の回転ならびに上下動のスピードは被粉砕物2の状態により適宜調整してもよい。
【0047】
粉砕装置1の後端側の底面には、粉砕装置1を移動させやすいように車輪27が取付けられるとともに、前端側には粉砕装置1を牽引する車両と連結するための連結手段28を設けている。この車輪27や連結手段28は必要に応じて設ければよく、移動させることが少ないならば省略することもできる。
【0048】
次に、被粉砕物2を受入れて粉砕して供給する流れを説明する。
【0049】
粉砕装置1をごみ焼却施設7のプラットフォーム10に移動設置しておくことにより、被粉砕物2を収集した塵芥収集車8が、図6に示すように荷台を上げて、被粉砕物2を粉砕装置1の受入部2へ投入することができる。
【0050】
粉砕装置1のシュート23bの下面に車輪27が設けられているので、搬送手段4は、上流側よりも下流側が高い傾斜した状態になっている。下流側の送出手段6でごみピット9へ粉砕物2aを投入させるために、送出手段6の揺動板23はごみピット9側へ傾斜させている。なお、車輪27は、粉砕装置1が移動しないように固定しておく。
【0051】
受入部2に投入された被粉砕物2は、下方を搬送手段4によって、図4中左側から右側へ移動させられる。このとき被粉砕物2は塊状態になっているので、高さ方向にも絡まっているが、コンベアベルト16によって、被粉砕物2の上層側が押圧されて搬送手段4の下流側へ移動し、搬送手段4とコンベアベルト16の空間の高さ分に圧縮された被粉砕物2を粉砕手段5に送ることになる。
【0052】
この圧縮されて送り出される被粉砕物2は厚さがほぼ均一となっているので、粉砕部21のハンマー22aで叩き砕かれて粉砕物2aとされる。
【0053】
この粉砕物2aは、搬送手段4により下流側へ移動させられて、揺動板23上に落とされ、揺動板23に取付けた回転羽根24,25でごみピット9内へ投入される。
【0054】
このように、一台分の塵芥収集車8の被粉砕物2をまとめて受入れて粉砕処理ができるので、搬入されてくる塵芥収集車8の到着時間を調整して待ち時間を少なくすれば、塵芥収集車8の効率的な運用を可能にすることができる。
【0055】
粉砕部21として、所謂ハンマークラッシャーを採用しているので、搬送手段4の移動範囲内で粉砕作業を完了でき、被粉砕物2の塊をほぐす手間が省ける。また、搬送手段4とコンベアベルト16とで被粉砕物2を圧縮して一定の厚みのものを粉砕するので、粉砕部21での粉砕作業を確実に行える。
【0056】
塊となった被粉砕物2を一度に受入れて連続的に粉砕していけるので、焼却施設内に別途保管場所を設ける必要が無く、焼却施設を有効に使用することができる。
【0057】
ごみピット9で、粉砕物2aを他のごみと混合することができるので、他のごみと同時に焼却でき焼却施設へのダメージを少なくでき、一日の被粉砕物の受入量を制限する必要性が無くなるので、刈草や枝葉の、野焼きや野積み放棄、埋め立てといった不法行為を減らすことができる。
【0058】
粉砕装置1は移動式にすることにより、ごみ焼却施設7に専用のプラットフォーム10を設ける必要がなく、既存のごみ焼却施設への展開が図れる。
【0059】
また、コンベアベルト16の回転方向を図4とは逆にして図5の矢印に示す方向に回転させると、上層側の被粉砕物2を搬送手段4の上流側へ移動させて、搬送手段4とコンベアベルト16の空間から送り出される被粉砕物2の圧縮量を少なくすることができる。これにより、被粉砕物2の厚み自体を変えないで密度を小さくすることができ、粉砕部21に加わる破壊力を調整することができる。
【0060】
実施の形態では、コンベアベルト16の回転方向を図4と図5に分けて説明したが、粉砕作業中にコンベアベルト16の回転方向を交互に変更することも可能である。その場合、コンベアベルト16の下端より上層側に位置する被粉砕物2を揺さぶり、被粉砕物2をより圧縮させた状態で粉砕手段5側へ移動させることもできる。また、搬送手段4のコンベアベルト12の下流端に設けた揺動板23の出口端をシュート23bとして説明したが、焼却設部によっては直接ごみピット9へ粉砕物2aを投入できる場合がある。この場合は、送出手段6を省略することができ、揺動板23も廃止できるので、コンベアベルト12の下流端がシュートとなる。
【0061】
以上、本発明の一実施形態に係る粉砕装置を説明したが、本発明に係る粉砕装置は、上記した実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0062】
例えば、上記の図1の実施の形態の粉砕装置に、種々の安全装置を組合わせることができる。図7に示すように、粉砕手段5の粉砕部21の入口側にシャッタ61を設けてもよい。シャッタ61は、支柱19に対して上下方向に移動可能に幅方向へ取付け、搬送手段4とコンベアベルト16によって形成される先細三角形状の空間の下流側の空間62と粉砕部21との間を開閉するものである。
【0063】
このことにより、受入部3や搬送手段4の上部に被粉砕物2を受入れていないときに、搬送手段4上に猫等の動物が侵入した状態で粉砕手段5の粉砕部21を動作させても、搬送手段4の下流側の空間62と粉砕部21の間をシャッタ61で閉じて、被粉砕物2の受入部3,搬送手段4の上流側と粉砕部21側とを分離できるので、粉砕部21のハンマー22aが動物に当たることがない。なお、猫などの動物だけでなく、人であってもシャッタ61を開けていない限り、ハンマー22aが当たることがない。
【0064】
また、図7に示すように、受入部3に受入れた被粉砕物2へ散水する散水装置63を設けてもよい。散水装置63は、散水ノズル64と、貯水タンク65と、散水ノズル64と貯水タンク65を連通する水配管66と、貯水タンク65の水を散水ノズル64に供給するポンプ67並びに弁68とから構成されている。散水ノズル64は、コンベアベルト16の回転軸17,18を支持する傾斜した柱69の上端に幅方向に延びて取付けている。散水ノズル64の噴出口70は、下方の搬送手段4に向かって開口している。また、貯水タンク65は、柱69に設置されている。なお、散水装置63の散水ノズル64は。水道水と直結してもよい。
【0065】
このことにより、粉砕時に被粉砕物2の中に混入した金属や石と、粉砕部21のハンマー22aとの衝突で火花が発生しても、被粉砕物2が多量に水分を含んでいるので、発火するのを抑えることができる。さらに、被粉砕物2が水分を含むことにより、被粉砕物2を粉砕手段5の粉砕部21で粉砕しても、粉砕時に発生する粉砕粉が粉塵として周囲に飛散しにくく、周囲環境を保全することができる。また、このような粉砕装置1をごみ焼却施設に使用した場合、粉砕装置1で発生する粉塵がごみピット9内に入り込むが、粉塵が水分を含んで重いため、ごみピット9内の空気をバグフィルタを通して燃焼用空気とする循環システムに吸引されにくく、同システムのバグフィルタの目詰まりを抑制することができる。また、散水装置63を、粉砕部21で粉砕した粉砕物2aに散水するように設置してもよい。この場合、粉砕された粉砕物2aが発火しても散水により消火できる。また、粉砕物2aに散水することにより、粉砕物2aが水分を含んで重くなるので、周囲へ粉塵として飛散しにくくなる。また、被粉砕物2と粉砕物2aの両方に散水をするために、粉砕部21の上流側と下流側に散水装置を設けてもよい。
【0066】
図7に示す粉砕装置は、図8,図9に示す、制御装置81により、運転制御を行なうことができる。制御装置81に対する入力情報のため、動物検出センサ82、被粉砕物2の高さ検出センサ83、粉砕手段5の粉砕部位置検出センサ84、粉砕手段5の負荷検出センサ85を接続している。また、制御装置81により、シャッタ61を開閉するモータMs、粉砕手段のモータM1、搬送手段4とコンベアベルト16用のモータM、回転羽根24,25、シリンダ20に作動圧を与えるポンプPs、散水装置63のポンプ67と弁68の動作を制御する。
【0067】
動物検出センサ82は、粉砕手段5の近傍、粉砕手段5の上流側の搬送手段4上、または、受入部3内に動物がいるか否かを赤外線センサで検出する。動物検出センサ82は勿論人も検出することができる。
【0068】
動物検出センサ82の情報により、制御装置81は、動物を検出しているときは、モータM,M1,Ms、回転羽根24,25、ポンプ67,Ps、弁68の動作を停止して、粉砕装置1を動作させないようにし、動物を検出していないときは、モータM,M1,Ms、回転羽根24,25、ポンプ67,Ps、弁68の動作をさせるように制御する。モータMの回転で、搬送手段4は、上流側から下流側へ断続的に移動すると共に、その移動スピードや移動方向を制御装置81で制御する。
【0069】
また、被粉砕物2の高さ検出センサ83は、塵芥収集車から受入部3の底となる搬送手段4上に投入された被粉砕物2の高さを検出する。具体的には、図7に示すように、搬送手段4とコンベアベルト16によって形成される先細三角形状の空間の下流側の空間62の高さに対して、被粉砕物2の高さを検出する。被粉砕物2の高さは、無段階に検出してもよいが、複数のセンサを上下方向に配置して、段階的に検出してもよい。
【0070】
被粉砕物2の高さ検出センサ83の情報により、制御装置81は、粉砕手段5の粉砕部21の上昇位置を決定する。この上昇位置とは、被粉砕物2の高さよりも少し高い位置となる。このことにより、粉砕部21の上方への無駄な移動をなくす。
【0071】
また、粉砕手段5の粉砕部位置検出センサ84は、粉砕手段5の粉砕部21が搬送手段4よりも高さ方向で、どの高さに位置するかを検出する。具体的には、図7に示すように、搬送手段4とコンベアベルト16によって形成される先細三角形状の空間の下流側の空間62に対する上下方向の高さ位置を検出する。粉砕部21の高さ位置は、無段階に検出してもよいが、複数のセンサを上下方向に配置して、段階的に検出してもよい。
【0072】
粉砕手段5の粉砕部位置検出センサ84の情報により、制御装置81は、粉砕手段5の粉砕部位置検出センサ84の情報と被粉砕物2の高さ検出センサ83の情報とにより、粉砕手段5の粉砕部21の上昇距離を決定して、ポンプPsを動作させてシリンダ20により、粉砕部21を移動させる制御をする。
【0073】
粉砕手段の負荷検出センサ85は、粉砕手段5の粉砕部21のハンマー22aによる被粉砕物2の粉砕時の負荷を検出する。具体的には、図7に示すように、モータM1に流れる電流の増減を検出する。
【0074】
粉砕手段の負荷検出センサ85の情報により、制御装置81は、モータM,M1やポンプPsの運転を制御する。粉砕手段の負荷検出センサ85で電流が増大(粉砕時の負荷が増大)して所定値を越えたことを検出すると、シリンダ20による粉砕部21の下降動作を停止、または停止後に一定距離上昇させる。そして、粉砕手段5の負荷検出センサ85で電流が所定値以下(負荷が軽減)まで減じたことを検出すると、シリンダ20の下降を再開させる。
【0075】
このような制御装置81による粉砕装置1の動作フローを図9により説明するが、粉砕手段5の粉砕部21が上昇位置から下降位置へ移動したときを一サイクルとし、この一サイクルの中で種々の動作をさせる時をステップとして説明する。なお、粉砕部21の下降位置とは、搬送手段4の真上で、粉砕部21が下降し、搬送手段4と粉砕部21が当接しない位置まで移動した位置をいう。
【0076】
制御装置81はステップ1として、搬送手段4のコンベアベルト12と、コンベアベルト16の移動距離または移動時間や、搬送手段4とコンベアベルト16によって形成される先細三角形上の空間の下流側の空間62の高さ、モータM1の電流値より過負荷とする値、ならびに、動作手順をメモリ86から読込む。そして、動作手順にしたがって以下のステップを進める。
【0077】
ステップ2として、動物検出センサ82の情報を読込んで、動物「有」を検出したときは、動物「無」の検出をするまで、繰り返し、動物検出センサ82の読込を繰返す。
【0078】
次に、ステップ3として、被粉砕物2の高さ検出センサ83の情報を読込み、被粉砕物2が「0」の情報を入力されているときは、ステップ2に戻る。被粉砕物2が塵芥収集車から受入部3の搬送手段4上に投入された時は、被粉砕物2の高さ情報として「0」以外を読込めるので、次のステップへ進む。被粉砕物2が「0」の情報は、被粉砕物2が投入されていない状態である。
【0079】
ステップ4として、モータMs、ポンプ67、弁68、回転羽根24,25を動作させて、シャッタ61を開いて、散水装置63から散水を開始するとともに、回転羽根24,25を運転して粉砕物2aを飛散させる準備をし、次のステップへ進む。
【0080】
ステップ5として、粉砕部位置検出センサ84の情報を読込み、予め読込んでいる空間62の高さ情報と、被粉砕物2の高さ情報と、粉砕部21の高さ情報とにより、被粉砕物2の高さが空間62の高さより高い場合は、空間62の高さより少し高い位置に、また被粉砕物2の高さが空間62の高さより低い場合は、被粉砕物2の高さより少し高い位置に、それぞれ粉砕部21の上昇位置を決定して、粉砕部21の移動距離を算出して粉砕部21を移動させ、次のステップへ進む。
【0081】
ステップ6として、予め読込んでいる搬送手段4とコンベアベルト16の移動距離または移動時間情報にしたがって、モータMにより搬送手段4とコンベアベルト16を一定距離または一定時間移動させて停止し、次のステップへ進む。
【0082】
ステップ7として、ポンプPs,モータM1を運転して、シリンダ20により粉砕部21を下降させるとともに、モータM1によりハンマー22aを回転させて、次のステップへ進む。
【0083】
ステップ8として、粉砕手段の負荷検出センサ85の情報を読込み、予め読込んでいる電流値と比較して、モータM1の負荷電流が所定値以下ならば、ステップ9へ進む。
【0084】
ステップ9として、粉砕部位置検出センサ84の情報を読込んで、粉砕部21が下降位置まで達していない場合は、ステップ7に戻って粉砕作業を継続する。粉砕部21が下降位置まで下降すると、ステップ10として、メモリ86から読み込んでいる搬送手段4とコンベアベルト16の情報を書き換え、ステップ1へ戻り、このサイクルを繰り返し行なって、被粉砕物2を粉砕する。この書き換える内容は、次サイクル時に、搬送手段とコンベアベルト16の移動距離を長くまたは移動時間を早くするように変更する。
【0085】
ステップ8で、モータM1の負荷電流が所定値を超える過負荷の場合は、ステップ11に進み、粉砕部21の下降を停止、または、停止後に一定距離上昇させ、ステップ12へ進む。
【0086】
ステップ12として、メモリ86から読み込んでいる情報のうち搬送手段4とコンベアベルト16の情報を書き換え、ステップ8へ戻る。この書き換える内容は、次サイクル時に、搬送手段4とコンベアベルト16の移動距離を短くまたは移動時間を遅くするように変更する。なお、メモリ86から読み込んでいる内容は、一サイクルに一度しか書き換えることができないようにしている。なお、粉砕装置1を停止または終了するときは、停止スイッチ(図示せず)や終了スイッチ(図示せず)が準備されている。
【0087】
このように制御することで、粉砕装置1に被粉砕物2を投入する前に、安全を確認した後に、散水を開始し、被粉砕物2を受入れた時点で被粉砕物2に確実に散水がかかるようにすることができる。そして、粉砕時に粉砕手段5過負荷になった場合は、一時的に粉砕部の下降を停止し、過負荷を解除した後に、粉砕作業を再開させるので、粉砕部21の破損等を防止できる。さらに、粉砕作業の状況により次サイクルの被粉砕物2の粉砕量を決定しているので、被粉砕物2による負荷量に応じて最適な粉砕作業を行うことが出来る。
【0088】
また、他の変形例として、上記の図1の実施の形態の粉砕装置1は、搬送手段4とコンベアベルト16によって形成される先細三角形状の空間の下流側の空間62に向かって、被粉砕物2を強制的に移動させて、被粉砕物2を圧縮して一定の厚みにしていたが、搬送手段4のみで被粉砕物2を粉砕手段5側に移動させることも出来る。図10に示すように、搬送手段4のコンベアベルト12に上方へ立設した壁91を設け、この壁91を搬送手段4の上流端から下流端側(粉砕手段5の手前)までコンベアベルト12とともに移動させるようにすることができる。
【0089】
このことにより、被粉砕物2は、壁91に押されて粉砕手段5側へ移動する。粉砕手段5の粉砕部21は、被粉砕物2の高さよりも少し高い位置を上昇位置として、下降位置まで下方に移動しながら被粉砕物2を粉砕させればよい。この場合、粉砕手段5の上流側にシャッタ61を設けることにより、粉砕部21での安全性を高めることが出来る。また、下降傾斜するコンベアベルト16を設ける必要がないので、粉砕装置1全体としての長さを短くしてコンパクトにできるとともに、受入部3における被粉砕物2の受入量を多くすることができる。
【0090】
また、他の変形例として、例えば、図1や図7の実施の形態の粉砕装置の受入部の壁を、図11、図12に示すように起伏可能な側壁とすることが出来る。図11における、粉砕装置1は、搬送手段4の両側の一対の側壁101であって、図12の実線で示す受入部3の両側を画成する立設位置と、図12の一点鎖線で示す受入部3の内側に倒伏した倒伏位置とに起伏可能に設けられている。図12に示すように、側壁101は、フレームFの長手方向にヒンジ機構102で軸支されている。一対の側壁101は、ヒンジ機構102部においては搬送手段4の幅方向とほぼ同じ側壁101間とし、上方においては搬送手段4より側壁101間の幅が広くなるように屈曲させている。また、側壁101は搬送手段4の上流側からコンベアベルト16が位置する箇所まで長手方向に延びており、傾斜したコンベアベルト16の側面から被粉砕物2が落下するのを防止する立壁103と係合部材104で係合している。立壁103と側壁101が係合したときは、側壁101を立設位置としている。立壁103は、コンベアベルト16の上流側から下流側に向かって絞られた形状をしており、側壁101側を、側壁101と平行になるように広く形成している。また、立壁103と側壁101との係合部材104を解除することにより、側壁101を受入部3の底となる搬送手段4の上面へ倒伏させることができる。また、一方の側壁101の外側に、搬送手段4を制御する制御装置のコントロールボックス105を取付けておけば、コントロールボックス105も倒伏させることができる。
【0091】
このことにより、粉砕装置1を使用しない時に、側壁101を倒伏位置とし、粉砕装置1の設置場所における受入部3に相当する空間を有効に利用することができる。また、粉砕装置1の搬送手段4の幅を、粉砕装置1の運搬用トラックの幅よりも短くしておけば、側壁101を倒伏位置にしたときに、トラックの幅内に収まるようにすることができる。そして、粉砕装置1を運搬後に、側壁101を立設位置とすることにより、塵芥収集車から投入される被粉砕物2を、側壁101間の幅方向を広くして受入れることができるので、被粉砕物2の受入時に、被粉砕物2を周囲に散乱することがなくなる。また、側壁101が立設位置にないときは、粉砕装置1が動作しないようにすることができる。
【0092】
このような粉砕装置1は、図6で示すように、ゴミ焼却施設で使用することができる。ごみ焼却施設7への設置の変形例として、図13に示すように、ゴミ焼却施設7は、塵芥収集車8が停車するプラットフォーム10と、前記プラットフォーム10と隣接するごみピット9と、前記プラットフォーム10とごみピット9との間に設けられ、プラットフォーム10とごみピット9との間を開閉可能なシャッタ106とを備えている。そして、プラットフォーム10に設置される粉砕装置1を、そのシュート23bがシャッタ106の開閉軌跡よりごみピット9内に臨む前進位置(図13参照)と、シャッタ106の開閉軌跡よりごみピット9外に退避した後退位置(図14参照)との間で移動させる移動手段107を設けている。具体的には、図15に示すように、ごみピット9に連通するプラットフォーム10に、ごみピット9と連通する二段の窪み108,109設け、この窪み108の底面に、粉砕装置1のフレームFの底面に取付けた上流側の車輪110と下流側の車輪27を転動可能に載せることにより移動手段107を構成している(図17参照)。なお、粉砕装置1を移動させるために、窪み108の底面108aにレールを形成して、このレール上を車輪27,110が移動するようにすることもできる。この移動手段107は、車輪27,110だけでは粉砕装置1の重量等で移動させにくいとともに、停止位置を一定にしにくいので、窪み108のなかの窪み109にシリンダ111を取付けて、フレームFの下面に形成した連結部112とシリンダ111を連結し、シリンダ111の伸縮で粉砕装置1を移動させてもよい。粉砕装置1のシュート23bを移動手段107によりごみピット9側に移動させた場合、塵芥収集車8と粉砕装置1の受入部3とが離れるので、ガイドG(図13参照)を橋渡して設け、被粉砕物2を受入部3に移動しやすくすることもできる。また、窪み108の幅を粉砕装置1の幅よりも広く形成しておくことにより、窪み108内における粉砕装置1の両側および底面(窪み109を含む)側に人が入れる作業空間113(点で示す範囲)を設けることが出来る。
【0093】
また、粉砕装置1として、図11で示す、倒伏可能な側壁101を備えた粉砕装置1を採用することにより、図15に示すように、搬送手段4は、側壁101が立設位置にあるとき、側壁101の上端をプラットフォーム10より上に突出させ、図16に示すように、搬送手段4は、側壁101が倒伏位置にあるとき、プラットフォーム10の下に隠れるように窪み108の深さを設定し、側壁101が倒伏位置にあるときプラットフォーム10上に覆板114を設置できる。
【0094】
以上説明したように、ゴミ焼却施設7で粉砕装置1を使用しないときは、プラットフォーム10とごみピット9の間をシャッタ106で閉じることができるので、ごみピット9の負圧維持に役立つものである。さらに、粉砕装置1を使用する時は、粉砕装置1のシュート23bがごみピット9内に臨むので、粉砕物2aをごみピット9内へ確実に投入することができ、ごみピット9とプラットフォーム10の境のプラットフォーム側に粉砕物2aを散乱させることがない。さらに、ごみピット9に連通してプラットフォーム10に形成された窪み108に粉砕装置1を配設することにより、塵芥収集車8の被粉砕物2を収容した底面と、粉砕装置1の受入部3の底面との間に段差を形成して、塵芥収集車8から被粉砕物2をまとめて受入部3に受入れる時の作業性を向上させることができる。また、倒伏可能な側壁を備えた粉砕装置1を使用する時は、側壁101の上端で被粉砕物2がプラットフォーム10上に散乱するのを防止できる。また、粉砕装置1を使用しない時は、粉砕装置1の搬送手段4の上部空間を覆板112で覆うことができるので、プラットフォーム10を有効に活用することができる。特に、コントロールボックス105を側壁101に取付けて、側壁101と一緒に倒伏出来るようにすると、コントロールボックス105も窪み108内へ収納できるので、空間を有効に活用できる。また、側壁101を屈曲して形成することにより、倒伏位置では窪み108と粉砕装置1との側壁側空間をなくして(図16参照)使用することもできる。また、作業空間113により、粉砕装置1の機器の調整や修理、また、塵芥収集車8より被粉砕物2を受入部3に移すときに散乱して窪みに落下した被粉砕物の回収、清掃を行なうことができる。
【0095】
また、塵芥収集車の荷台がダンプ傾斜しない場合、被粉砕物2を落下させることができないので、粉砕装置1にトラッククレーンのブームを設けて、このブームに被粉砕物2を掻き出す掻出部材を設けてもよい。
【0096】
また、ごみ焼却施設7のプラットフォーム10に窪みを設けたが、塵芥収集車8の被粉砕物2を収集している床面を、粉砕装置1の受入部3の床面よりも高い位置になるように、プラットフォーム10にリフタやスロープ等の昇降機構を設けてもよい。
【0097】
以上、粉砕装置1をごみ焼却施設で使用した場合を説明したが、粉砕装置1は粉砕した刈草などを堆肥として利用する堆肥化施設で使用することもできる。また、バイオマスのための粉砕ステップとしても用いることができる。そして、受入部3の大きさも必要であれば処理する被粉砕物の量に応じて容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】粉砕装置の側面図である。
【図2】(a)粉砕手段の粉砕部を示す断面図である。 (b)図2(a)のA−A線の断面図である。
【図3】送出手段を示す斜視図である。
【図4】粉砕装置の作動状態を示す概略構成図である。
【図5】粉砕装置の別の作動状態を示す他の概略構成図である。
【図6】ごみ焼却施設のプラットフォームとごみピットを示す構成図である。
【図7】粉砕装置の変形例を示す概略構成図である。
【図8】図7の粉砕装置の制御ブロック図である。
【図9】図8の動作フロー図である。
【図10】粉砕装置の他の変形例を示す概略構成図である。
【図11】粉砕装置の変形例を示す側面図である。
【図12】図11の粉砕装置の側壁の倒伏状態を示す概念図である。
【図13】ごみ焼却施設の変形例を示す構成図である。
【図14】図13相当の粉砕装置の後退状態を示す構成図である。
【図15】図13のB−B線における概念図である。
【図16】図15の側壁を倒伏した状態を示す概念図である。
【図17】図13相当の粉砕装置の断面図である。
【符号の説明】
【0099】
1 粉砕装置
2 受入部
2a 粉砕物
2 被粉砕物
3 受入部
4 搬送手段
5 粉砕手段
6 送出手段
7 ゴミ焼却施設
8 塵芥収集車
9 ごみピット
10 プラットフォーム
11 壁
12 コンベアベルト
13,14 回転軸
14p 回転中心
15 爪
16 コンベアベルト
17,18 回転軸
19 支柱
20 シリンダ
21b チェーン
21 粉砕部
22a ハンマー
22p 回転中心
22 回転軸
23b シュート
23 揺動板
23a 飛散防止壁
24,25 回転羽根
26 ヒンジ機構
27 車輪
28 連結手段
61 シャッタ
62 空間
63 散水装置
64 散水ノズル
65 貯水タンク
66 水配管
67 ポンプ
67 ポンプ
68 弁
69 柱
70 噴出口
81 制御装置
82 動物検出センサ
83 検出センサ
84 粉砕部位置検出センサ
85 負荷検出センサ
86 メモリ
91 壁
101 側壁
102 ヒンジ機構
103 立壁
104 係合部材
105 コントロールボックス
106 シャッタ
107 移動手段
108a 底面
110 車輪
111 シリンダ
112 連結部
113 作業空間
114 覆板
F フレーム
G ガイド
M モータ
M,M1,Ms モータ
Ps ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈草や剪定枝葉等の被粉砕物を粉砕してシュートから吐き出す粉砕装置であって、被粉砕物を受入れる受入部と、上流端側から被粉砕物を受入れ下流端側から粉砕物を前記シュートに導く搬送手段と、搬送手段の下流端近傍に配置された被粉砕物の粉砕手段とを備えた粉砕装置。
【請求項2】
前記搬送手段の下流端下方に配置され粉砕された粉砕物を前記シュートへ送出する送出手段を備えた請求項1の粉砕装置。
【請求項3】
前記搬送手段の上方にあって搬送手段の下流端に向って下降傾斜し、被粉砕物の上層を前方または後方に移動させるコンベアベルトを備えた請求項1または請求項2の粉砕装置。
【請求項4】
前記粉砕手段が上下動可能なハンマークラッシャーであることを特徴とする請求項1または請求項2の粉砕装置。
【請求項5】
前記送出手段が、前記シュートに設けられた回転羽根を有することを特徴とする請求項2の粉砕装置。
【請求項6】
前記搬送手段の両側の一対の側壁であって、前記受入部の両側を画成する立設位置と、内側に倒伏した倒伏位置との間を起伏可能な側壁を備えた請求項1の粉砕装置。
【請求項7】
塵芥収集車が停車するプラットフォームと、
前記プラットフォームと隣接するごみピットと、
前記プラットフォームとごみピットとの間に設けられ、プラットフォームとごみピットとの間を開閉可能なシャッタと、
前記プラットフォーム上に設けられて、ごみピット側にシュートを臨ませた請求項1から6に記載の粉砕装置と、
前記粉砕装置を、そのシュートがシャッタの開閉軌跡よりごみピット内に臨む前進位置と、シャッタの開閉軌跡よりごみピット外に退避した後退位置との間で移動させる移動手段と
を備えたごみ焼却施設。
【請求項8】
ごみピットに連通してプラットフォームに形成された窪みと、この窪みに配置した粉砕装置とからなる請求項7のごみ焼却施設。
【請求項9】
粉砕装置が請求項6に記載の粉砕装置であって、
立設位置にある側壁上端がプラットフォーム上に突出するとともに、
倒伏位置にある側壁がプラットフォーム下に隠れて窪みの開口を覆板で覆えるように
窪みの深さを設定したことを特徴とする請求項8のごみ焼却施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−14942(P2007−14942A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−285152(P2005−285152)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000177184)三陽機器株式会社 (26)
【Fターム(参考)】