説明

粉粒体充填装置

【課題】 粉粒体の破砕を防止するとともに、粉粒体の充填量や充填時間を容易に変更できる粉粒体充填装置の提供。
【解決手段】 粉粒体充填装置は、粉粒体を排出する充填筒2と、充填筒2の吐出口2aの下方に回転自在に配置され、粉粒体を遠心力によって周囲に飛散させるディスク4と、ディスク4を自在に回転させる回転モータ10と、回転モータ10の回転駆動を制御する制御装置20を含む構成である。この制御装置20は、ディスク4から飛散する粉粒体の単位時間あたりの飛散量が充填筒2からディスク4に排出される量より少なく、且つ粉粒体の単位時間あたりの飛散量を目的の充填量に応じて調節するように、回転モータ10の回転駆動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、破砕しやすい粉粒体を容器等に充填するための粉粒体充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体を充填する粉粒体充填装置としては、例えば、本出願人が先に出願した特許文献1乃至3に記載の装置がある。
特許文献1の粉粒体充填装置は、筒状部の内部にあるオーガスクリューの回転によって所定量の粉粒体を供給する装置である。この装置は、オーガスクリューの回転時にかかるスラスト荷重を充填圧力として検出する充填圧力測定手段と、充填圧力の異常を判別する充填圧力判別手段とを備え、測定した充填圧力が過大な充填圧力パターンに対応する場合に、異常信号を出力して緊急停止する構成である。
【0003】
特許文献2の粉体充填装置は、オーガ筒内にあるオーガスクリュー軸の下端部に飛散ディスクを取り付けている。粉体は、オーガスクリュー軸の回転によって下方に搬送され、飛散ディスクによって一時的に受け止められるともに、オーガスクリュー軸の回転にともなって開放部分から周囲に飛散される。この装置もオーガスクリュー軸の回転によって所定量の粉粒体を供給する装置であり、飛散ディスクはオーガスクリュー軸下端から粉粒体が落下するのを防止している。
【0004】
特許文献3の粉粒体充填装置は、ノズルの内部で上下方向に延在する棒状のシャフトが設けられ、このシャフトの下端にノズルの下端開口部を開閉するシャッターを備えている。粉粒体は、シャッターがノズルを閉塞した状態で堰き止められ、シャッターの下降を調節することによってノズルの下端開口部との隙間から落下し、容器等に所定量充填される。
【特許文献1】特開2004−155452号公報
【特許文献2】特開2007−91241号公報
【特許文献3】特開2005−88895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、オーガスクリューを適用した特許文献1、2の充填装置は、該オーガスクリューの回転により、粉粒体を押し込むようにして充填筒内を下方へ搬送している。このため搬送される粉粒体には大きな充填圧力がかかることになる。特に粉粒体の詰まり等が起こると、オーガスクリューのスラスト方向に多大な荷重がかかっていた。したがって、例えば粉粒体として発泡顆粒を充填する場合、搬送時の充填圧力によってこの顆粒を破砕させてしまうことがあった。
【0006】
このような粉粒体の充填には、自重による落下で粉粒体を搬送する特許文献3のような充填装置を用い、粉粒体の破砕を防止することが好ましい。しかしながら、特許文献3の充填装置は、粉粒体の充填量をオーガスクリューの回転で調節できないため、粉粒体の単位時間あたりの充填量を粉粒体の排出面積によって調節していた。この排出面積はシャッターの位置とノズルの円周の積によって設定されるため、シャッターを多少移動しただけでも円周分が積算されて排出面積が大きく変わる。その結果、粉粒体の単位時間あたりの充填量が調節しにくくなり、充填時間が短く、充填量が多い場合には粉粒体の充填精度が低下するおそれがあり、充填量や充填時間の変更が困難だった。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、粉粒体の破砕を防止するとともに、充填量や充填時間を容易に変更できる粉粒体充填装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の粉粒体充填装置は、
粉粒体を吐出口から排出する充填筒と、
充填筒の吐出口の下方に回転自在に配置され、吐出口から排出されてきた粉粒体を上面に受けるとともに、回転に伴う遠心力をもって周囲に飛散させるディスクと、
ディスクを自在に回転させるディスク回転手段と、
ディスク回転手段を制御して、ディスクの遠心力による粉粒体の飛散量を目的とする充填量に応じて調節する制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、オーガスクリューを用いずに粉粒体を落下させているため、この粉粒体に大きな圧力をかけることがなく、粉粒体の破砕を防止することができる。その結果、例えば発泡顆粒などの破砕しやすい粉粒体の品質を保全することが容易になる。また粉粒体は、ディスクの回転による遠心力によって周囲に飛散する。このため、制御手段がディスク回転手段を制御することで粉粒体に対する遠心力が変わり、すなわち粉粒体の飛散量を自在に変更することができる。したがって粉粒体の充填量や充填時間を容易に変更できるようになり、またその変更範囲も広いものとなる。
【0010】
また、本発明は、ディスクの上面と充填筒の吐出口との間の間隔を調節するディスク位置調節手段を備えた構成とすることもできる。
このディスク位置調節手段によって、充填筒の吐出口に対するディスクの上下位置を、例えば粉粒体の安息角に応じて調節することができ、ディスクからの粉粒体の零れ落ちを低減できる。このように粉粒体充填装置は、ディスク位置調節手段により、粉粒体の特性に応じてディスクの上下位置を適宜調節できる装置となる。
【0011】
またディスク位置調節手段は、制御手段に接続されるとともに、ディスクの回転停止時に、充填筒の吐出口を閉塞するようにディスクを上昇させ、ディスクの回転開始時に、充填筒の吐出口を開放するようにディスクを下降させる構成とすることができる。このように回転停止時に、ディスクによって充填筒の吐出口を閉塞することで、粉粒体がディスクから零れ落ちることをより確実に防止できる。またディスク上に埃等をためることがないので、より衛生的な管理が可能となる。
【0012】
ディスクは、円盤状に形成され、且つ外周縁が中心部よりも高い位置にあることが好ましい。ディスクの外周縁を中心部より高くすることで、ディスクが小さい径であっても、落下してくる粉粒体を零れ落とさずに堆積することができる。また小さい径のディスクを適用することで、粉粒体充填装置の他の部材も小さくすることができる。
【0013】
ディスク回転手段は、例えば、回転シャフトを回転させる回転モータをもって構成することができる。すなわち、回転シャフトは、上端部が回転モータに連結されて、充填筒の中空部内を軸方向に延在し、下端部が吐出口から突き出すとともにディスクが取り付けられる。このディスクは、回転シャフトとの接合部分が円弧状に形成され、外周縁の角部が湾曲して形成されることが好ましい。このようにディスクを形成することで、ディスクの回転時において、充填筒からディスクに排出した粉粒体をディスク上に留めることなく、スムーズに押し流し、周囲に飛散させることができる。よって、粉粒体がディスク上に滞留し続けることがなく、粉粒体が劣化することがない。
【0014】
制御手段は、ディスクから飛散する粉粒体の単位時間あたりの飛散量が充填筒からディスクに排出される量より少なく、且つ粉粒体の単位時間あたりの飛散量を目的の充填量に応じて調節するように、ディスク回転手段の回転駆動を制御することが好ましい。
【0015】
かかる制御により、ディスクから飛散する粉粒体の単位時間あたりの飛散量が充填筒から排出される量より少なくなることで、ディスクの回転に応じて定量的に粉粒体を飛散させることができ、充填量のバラツキを低減させることができる。またディスクの回転速度を変更することによって、粉粒体の単位時間あたりの飛散量を調節することができ、より精度の高い充填が可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の粉粒体充填装置によれば、粉粒体の破砕を防止するとともに、ディスクの回転を制御することで、粉粒体の充填量や充填時間を容易に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図4は、本発明の実施形態に係る粉粒体充填装置を示す図であり、図1は、粉粒体充填装置の概略構造を示す側面断面図である。
同図に示すように、本実施形態の粉粒体充填装置は、粉粒体供給用漏斗1と、充填筒2と、回転シャフト3と、ディスク4と、ホッパー5と、を備えた構成である。
【0018】
粉粒体供給用漏斗1は、逆円錐形状に形成され、上部に粉粒体を供給する供給口6が設けられている。この粉粒体供給用漏斗1の下端部には、粉粒体を下方に落下させる円筒状の充填筒2が連通されている。充填筒2は、上下方向に延在して配置してあり、下端部が粉粒体の吐出口2aとなっている。
【0019】
回転シャフト3は、充填筒2の中空部内に同軸上に配置される棒状の部材である。この回転シャフト3は、上端部が回転モータ(ディスク回転手段)10に連結され、充填筒2の中空部内を軸方向に延在し、下端部が充填筒2の吐出口2aから突き出している。この回転シャフト3の下端部には、皿型のディスク4が取り付けられる。
【0020】
ディスク回転手段となる回転モータ10は、外部に制御装置(制御手段)20が接続されており、回転シャフト3の下端部にあるディスク4を自在に回転させる構成である。この制御装置20は、作業者があらかじめ設定した速度にディスク4の回転速度を適宜調節する信号を出力し、回転モータ10の回転駆動を制御する。
【0021】
ディスク4は、充填筒2の内径よりも大きな直径に形成されており、充填筒2の吐出口2aから落下してくる粉粒体を受ける構成である。これによりディスク4は、回転モータ10の回転停止時に充填筒2から排出される粉粒体を堆積し、回転時に堆積してある粉粒体及び充填筒2から排出される粉粒体を遠心力によって周囲に飛散させる。またディスク4の外周縁4aは、回転シャフト3が連結している中心部よりも高い位置に形成してある。よってディスク4は、小さい径でも落下してくる粉粒体を外周縁4aから零れ落とすことを防止し、回転時、回転停止時とも所定の堆積状態にすることができる。
【0022】
ホッパー5は、逆円錐形状に形成され、ディスク4を中空部上に配置させ、その周囲を取り囲むように設置されている。これによりホッパー5は、ディスク4から飛散した粉粒体を内周面で受けることが可能となる。またホッパー5は、下端部に粉粒体を排出する注出筒7が設けられており、この注出筒7の下方位置に搬送装置(図示せず)から搬送されてきた容器が自動配置される。この容器には注出筒7から粉粒体が充填される。
なお、本実施形態では粉粒体充填装置にホッパー5を用いる構成としたが、このホッパー5を介さずに、ディスク4の下方に容器を配置して、ディスク4から飛散する粉粒体を直接容器で受けて充填する構成としてもよい。
【0023】
また、回転モータ10は、ブラケット11を介してディスク位置調節装置(ディスク位置調節手段)12のスライド部13に取り付けられており、このスライド部13によって上下移動可能な構成となっている。ディスク位置調節装置12は、回転モータ10を上下移動させることで、回転シャフト3の下端部にあるディスク4の上下位置を調節する。これにより、充填筒2の吐出口2aとディスク4との隙間の間隔Dを変更することとなり、したがって、ディスク4の回転時に粉粒体を周囲に飛散する排出面積を変更することが可能となる。
【0024】
ここで、充填筒2の吐出口2aに対するディスク4の上下位置は、回転モータ10の停止時に堆積する粉粒体の安息角、ディスク4の面積や形状等に応じて、零れ落ちをなくすように設定することが好ましい。一般に、粉粒体は、自然落下させて山形に堆積した状態において、崩落が始まる限界の稜線が底面に対してなす安息角を特性として有している。この安息角が小さい粉粒体に対しては、充填筒2の吐出口2aとディスク4との間隔Dを狭めに調節することで、ディスク3の回転停止時における粉粒体の零れ落ちを防止することができる。一方、安息角が大きい粉粒体に対しては、充填筒2の吐出口2aとディスク4との間隔Dを広めに調節し、ディスク3の回転時において粉粒体の飛散量を多くし、充填速度を早めることが可能となる。
このような構成からなる粉粒体充填装置は、回転モータ10の回転駆動を制御してディスク4を間欠的に回転させることより、粉粒体を容器に定量充填することが可能となる。
【0025】
次に、本実施形態の粉粒体充填装置の動作について説明する。図2は、本実施形態に係る粉粒体充填装置の充填筒の下部を拡大して示す側面断面図である。
粉粒体は、供給口6から粉粒体供給用漏斗1内に供給されると、粉粒体供給用漏斗1内に一時的に溜められ、さらに漏斗の傾斜にしたがって移動していき充填筒2内に流れ込む。図2に示すように、充填筒2内では粉粒体がそのまま落下し、吐出口2aからディスク4に排出される。ここで、オーガスクリューを用いていた従来の粉粒体充填装置(例えば特許文献1、2)は、充填筒2内でのオーガスクリューの搬送により粉粒体に大きな充填圧力をかけ、粉粒体を破砕するおそれがあった。しかし本実施形態の粉粒体充填装置は、オーガスクリューを用いずに粉粒体を自重による落下に委ねているため、粉粒体に大きな圧力をかけることがない。これにより充填筒2内での粉粒体の破砕を防止することができ、例えば発泡顆粒などの破砕しやすい粉粒体の品質を保全することが容易になる。
【0026】
ディスク4の回転停止時には、吐出口2aから落下した粉粒体がディスク4の上面に堆積していき、吐出口2aを閉塞した状態とする。このとき、ディスク4上に堆積した粉粒体は、充填筒2上方の粉粒体によって押圧されるため、安息角内領域Aをこえてディスク上に広がるが、ディスク4の外周縁4aが高くなっていることで粉粒体の零れ落ちを防止し、粉粒体の滞留領域Bを形成する。
【0027】
制御装置20が回転モータ10を回転駆動させると、この回転シャフト3を介してディスク4も回転する。よって回転停止時に滞留領域Bにあった粉粒体は、この回転時の遠心力によって横側の開放部分から周囲に飛散する。またディスク4上に堆積していた安息角内領域Aの粉粒体も、回転の遠心力により外周縁4a側に押し出されて滞留領域Bから周囲に飛散する。さらに充填筒2内に溜まっていた粉粒体が、ディスク4から飛散した分だけ吐出口2aからディスク4上に排出される。すなわち、ディスク4の回転時には、粉粒体が充填筒2の吐出口2aから滞留領域Bに移動して、ディスク4の外周縁4aから飛散するスムーズな流れがつくられることになる。
【0028】
また、本実施形態のディスク4は、回転シャフト3に取り付けられる中心部の接合部分4bが円弧状に形成され、ディスク4の外周縁4aは角部を湾曲して形成してある。これにより、ディスク4の上面付近の粉粒体が留まることなく、スムーズに遠心力により飛散する位置まで押し出すことができる。したがって、粉粒体がディスク4上に滞留し続けることがなく、粉粒体が劣化することがない。
【0029】
ディスク4の回転による粉粒体の飛散量は、粉粒体の単位時間あたりの飛散量、及びディスク4の回転時間等によって変化する。本実施形態の制御装置20では、特に回転モータ10の回転駆動を制御し、ディスク4上の粉粒体に働く遠心力を変えることによって、粉粒体の単位時間あたりの飛散量を目的の充填量に応じて調節している。制御装置20は、作業者が設定した粉粒体の充填量から、ディスク4の回転速度を算出し、この回転速度を回転モータ10に適宜指示して、ディスク4からの粉粒体の飛散量を調節する。なおディスク4の回転速度は、粉粒体の充填量の他に、ディスク4の回転時間、充填筒2の吐出口2aとディスク4の間隔Dから求められる排出面積、粉粒体の特性等が考慮されて算出される。また実施上では、粉粒体の飛散量を実測して、ディスク4の回転速度にフィードバックしてもよい。
【0030】
さらに、制御装置20は、ディスク4から飛散する粉粒体の単位時間あたりの飛散量が、充填筒2から排出される量よりも少なくなるようにディスク4の回転速度を制御している。これにより、粉粒体は、飛散量が粉粒体の充填筒2からの排出速度に影響されずにホッパー5に飛散される。その結果、粉粒体充填装置は精度の高い充填を実現することができる。
ディスク4によって飛散した粉粒体は、ホッパー5の内周面に衝突し、自重によって下方に落下していく。そしてホッパー5の注出筒7から容器に充填されることになる。
【0031】
以上のように、本実施形態の粉粒体充填装置によれば、オーガスクリューを用いないため、粉粒体の搬送において充填圧力をかけることがなく粉粒体を破砕することがない。またディスク4の回転速度を調節することによって、ディスク4上の粉粒体にかかる遠心力を変え、粉粒体の単位時間あたり飛散量を調節することができる。したがって粉粒体充填装置は、粉粒体の充填量や充填時間の変更が容易に行える装置となる。
【0032】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の応用実施または変形実施が可能であることは勿論である。例えば、本発明のディスク回転手段はディスク4を回転させるための構成であればよく、ディスク4の底面に回転シャフトを設けてディスク4を支持して回転させる構成であってもよい。
【0033】
〔変形例1〕
図3は、本実施形態に係る粉粒体充填装置の変形例1を示す側面断面図である。
同図に示すように、ディスク4の外周縁4aは、上方に向かって突出する凸部14が形成されていてもよい。この凸部14は、ディスク4から粉粒体が零れ落ちることをより確実に防止することができる。したがって粉粒体を狭い範囲で滞留させることができ、ディスク4の径を小さくすることができる。その結果、ホッパー5等の粉粒体充填装置の他の部材も小さくすることができ、これにより粉粒体の収集時間が早まり、装置全体の充填時間を短くすることが可能となる。
【0034】
〔変形例2〕
図4は、本実施形態に係る粉粒体充填装置の変形例2を示す側面断面図であり、(a)はディスクの回転時、(b)はディスクの回転停止時である。
変形例2の粉粒体充填装置は、ディスク位置調節装置12が制御装置20に接続されている。粉粒体充填装置の制御装置20は、図4に示すように、ディスク4の回転停止時に、充填筒2の吐出口2aを閉塞するようにディスク4を上昇させ、ディスク4の回転開始時に、充填筒2の吐出口2aを開放するようにディスク4を下降させるように制御することができる。
【0035】
ディスク位置調節装置12は、制御装置20によって、回転モータ10を支持するスライド部13を所定のタイミングでスライド動作させ、ディスク4の上下位置を移動させる。これによりディスク4は充填筒2の吐出口2aを開閉する。またこの開閉動作において、ディスク4は回転により粉粒体を飛散しつつ徐々に上昇することで、閉塞時に充填筒2外に粉粒体をほとんど残存させず、充填筒2内に粉粒体を収容することができる。このように回転停止時に充填筒2の吐出口2aをディスク4で閉塞することにより、粉粒体がディスク4から零れ落ちることをより確実に防止できる。またディスク上に埃等をためることがないので、より衛生的な管理が可能となる。
【実施例】
【0036】
本実施形態の粉粒体充填装置を用いて、実際に粉粒体を充填するテストを実施した。図5は、ディスクの回転速度を変速したテスト結果に基づき、回転速度と充填量の関係を示したグラフである。
なお、このテストでは、充填する粉粒体として発泡顆粒を用い、またディスク4の回転時間を15秒とするなど他の条件を全て同一にして、ディスク4の回転速度のみを変えて、容器に充填される充填量を計測している。図5に示すように、粉粒体は、ディスク4の回転速度が上昇することによって、充填量が増加していくことがわかる。このようにディスク4の回転速度を制御することで、粉粒体の充填量を容易に制御することができ、充填精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態の粉粒体充填装置の概略構造を示す側面断面図である。
【図2】本実施形態に係る粉粒体充填装置の充填筒の下部を拡大して示す側面断面図である。
【図3】本実施形態に係る粉粒体充填装置の変形例1を示す側面断面図である。
【図4】本実施形態に係る粉粒体充填装置の変形例2を示す側面断面図であり、(a)はディスクの回転時、(b)はディスクの回転停止時である。
【図5】本実施形態に係る粉粒体充填装置において、ディスクの回転速度を変速したテスト結果に基づき、回転速度と充填量の関係を示したグラフである。
【符号の説明】
【0038】
1:粉粒体供給用漏斗、2:充填筒、2a:吐出口、3:回転シャフト、4:ディスク、4a:外周縁、4b:接合部分、5:ホッパー、6:供給口、7:注出筒、
10:回転モータ、11:ブラケット、12:ディスク位置調節装置、13:スライド部、14:凸部、
20:制御装置、
A:安息角内領域、B:滞留領域、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を吐出口から排出する充填筒と、
前記充填筒の吐出口の下方に回転自在に配置され、前記吐出口から排出されてきた粉粒体を上面に受けるとともに、回転に伴う遠心力をもって周囲に飛散させるディスクと、
前記ディスクを自在に回転させるディスク回転手段と、
前記ディスク回転手段を制御して、前記ディスクの遠心力による粉粒体の飛散量を目的とする充填量に応じて調節する制御手段と、を含むことを特徴とする粉粒体充填装置。
【請求項2】
前記ディスクの上面と前記充填筒の吐出口との間の間隔を調節するディスク位置調節手段を備えたことを特徴とする請求項1の粉粒体充填装置。
【請求項3】
前記ディスク位置調節手段は、前記制御手段に接続されるとともに、
前記ディスクの回転停止時に、前記充填筒の吐出口を閉塞するように前記ディスクを上昇させ、前記ディスクの回転開始時に、前記充填筒の吐出口を開放するように前記ディスクを下降させることを特徴とする請求項2の粉粒体充填装置。
【請求項4】
前記ディスクは、円盤状に形成され、且つ外周縁が中心部よりも高い位置にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項の粉粒体充填装置。
【請求項5】
前記ディスク回転手段は、回転シャフトを回転させる回転モータであり、
当該回転シャフトは、上端部が前記回転モータに連結されて、前記充填筒の中空部内を軸方向に延在し、下端部が前記吐出口から突き出すとともに前記ディスクが取り付けられ、
さらに、当該ディスクは、前記回転シャフトとの接合部分が円弧状に形成され、外周縁の角部が湾曲して形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項の粉粒体充填装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記ディスクから飛散する粉粒体の単位時間あたりの飛散量が前記充填筒からディスクに排出される量より少なく、且つ粉粒体の単位時間あたりの飛散量を目的の充填量に応じて調節するように、前記ディスク回転手段の回転駆動を制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項の粉粒体充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−126567(P2009−126567A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306015(P2007−306015)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】