説明

粉粒体施用作業車

【課題】粉粒体の散布に際して、経験による散布量の増減調節を要することなく、散布時の環境条件に応じて面積当たり散布量を高精度で確保することができる粉粒体施用作業車を提供する。
【解決手段】粉粒体施用作業車は、粉粒体を貯留する粉粒体タンク(11)と、この粉粒体タンク(11)から受けた粉粒体の繰出量を回転制御可能な繰出ロール(15,15)とを備え、設定された粉粒体の比重および面積当たり散布量に沿って、走行車速に応じて粉粒体を散布する粉粒体散布装置(2)を備えて構成され、上記粉粒体散布装置(2)は、粉粒体タンク(11)から繰出ロール(15,15)によって繰出される粉粒体について、環境湿度と対応して予め取得した繰出量の実測値に基づき、散布時の湿度による繰出量の変動を補正して繰出ロール(15,15)を回転制御するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車速に応じて繰出ロールの繰出量を制御可能な粉粒体散布装置を備えた粉粒体施用作業車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、粉粒体タンクと繰出ロールとを備えるとともに走行車速に応じて繰出量を制御可能な粉粒体散布装置を備えた粉粒体施用作業車が知られている。この粉粒体施用作業車は、粉粒状の肥料、薬剤等の施用物を収容する粉粒体タンクと、その粉粒体を受けて定量繰出しする繰出ロールにより走行車速に応じて施用物の可変繰出しをする繰出機構と、この繰出機構から施用物を受けて送風搬送する搬送管と、その搬送端に折畳み可能に接続する噴管とを備えて構成される粉粒体散布装置を圃場走行可能な作業車両に搭載し、施用するべき粉粒体の比重、単位面積当たりの散布量等の散布条件を設定することにより、圃場に粉粒体を散布することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−51913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成の粉粒体散布装置は、散布時の環境条件によって繰出ロールによる繰出量が変化することがあり、特に、散布量精度の適正範囲が狭い薬剤等の散布においては、作業者自身の経験に基づき、単位面積当たりの散布量を散布時の環境条件に応じて増減調節をせざるをえないという問題を内包するものであった。
【0005】
本発明の目的は、粉粒体の散布に際して、経験による散布量の増減調節を要することなく、散布時の環境条件に応じて面積当たり散布量を高精度で確保することができる粉粒体施用作業車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、粉粒体を貯留する粉粒体タンクと、この粉粒体タンクから受けた粉粒体の繰出量を回転制御可能な繰出ロールとを備え、設定された粉粒体の比重および面積当たり散布量に沿って、走行車速に応じて粉粒体を散布する粉粒体散布装置を備えた粉粒体施用作業車において、上記粉粒体散布装置は、粉粒体タンクから繰出ロールによって繰出される粉粒体について、環境湿度と対応して予め取得した繰出量の実測値に基づき、散布時の湿度による繰出量の変動を補正して繰出ロールを回転制御することを特徴とする。
【0007】
上記構成の粉粒体施用作業車は、予め湿度別に実測した繰出ロールの繰出量に基づいて湿度による繰出量の変動を補うための回転数補正により、粉粒体タンクから繰出ロールによって繰出される粉粒体の散布に際し、散布時の湿度と対応して変化する粉粒体の流動抵抗の影響を補って正確な繰出量が確保される。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記粉粒体タンクには湿度センサを設け、この湿度センサによって検出される大気湿度を散布時の湿度とすることを特徴とする。
上記粉粒体タンク内に設けた湿度センサにより、散布時の大気湿度が反映される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明に係る粉粒体施用作業車は、予め湿度別に実測した繰出ロールの繰出量に基づいて湿度による繰出量の変動を補うための回転数補正により、粉粒体タンクから繰出ロールによって繰出される粉粒体の散布に際し、散布時の湿度と対応して変化する粉粒体の流動抵抗の影響を補って正確な繰出量が確保されることから、粉粒体の散布に際して、湿度変動を織り込んだ高精度の面積当たり散布量を確保することができ、特に、面積当たり散布量の精度が重要な薬剤等の散布において、経験によらざるを得なかった散布時の環境湿度による散布量の増減調節を要することなく、適正な散布量を確保することができる。
【0010】
請求項2の発明に係る粉粒体施用作業車は、請求項1の効果に加え、粉粒体タンク内に設けた湿度センサにより、散布時の大気湿度が自動的に反映されることから、湿度による補正によって高精度の粉粒体散布が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】粉粒体施用作業車の平面図(a)および側面図(b)
【図2】粉粒体散布制御システムの入出力構成ブロック図
【図3】散布操作パネル画面の見取図
【図4】繰出散布制御のフローチャート
【図5】補正係数特性線図
【図6】設定ダイヤル(a)と補正量区分(b)
【図7】粉粒体性状対応制御のフローチャート
【図8】非常運転対応制御のフローチャート
【図9】除草剤用の噴管先端部の縦断面図(a)と肥料用の先端部の縦断面図(b)
【図10】ロール繰出量測定制御の第1例のフローチャート
【図11】ロール繰出量測定制御の第2例のフローチャート
【図12】ロール繰出量測定制御の第3例のフローチャート
【図13】ロール回転数補正制御のフローチャート
【図14】設定施肥量変更対応制御のフローチャート
【図15】散布実績データ処理制御のフローチャート
【図16】旋回対応処理制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
粉粒体施用作業車は、その一構成例を表す平面図(a)および側面図(b)を図1に示すように、圃場走行可能な乗用管理機1に粉粒体散布装置2を装着して構成される。即ち、乗用管理機1は、前部にエンジン3を搭載し、中央部にステアリングハンドル6や操縦座席7、散布操作部8等を備え、エンジン3の回転を適宜に変速して前後車輪4,5を駆動して圃場走行可能に構成され、機体後部に粉粒体散布装置2を装着する。
【0013】
粉粒体散布装置2は、薬剤や肥料などの粉粒体を収容する粉粒体タンク11と、その底部から粉粒体を下方に定量繰出しする繰出部12と、この繰出部12から受けた粉粒体を機体幅について固定散布する固定噴管13と、この固定噴管13の両側端で折り畳み可能に連通して粉粒体を機体の外側方位置にそれぞれ散布する左右のブーム噴管14,14とから構成される。繰出部12は、クラッチによって個別伝動可能な左右の繰出ロール15,15を粉粒体タンク11の底部から固定噴管13に連通し、この固定噴管13に左右の繰出ロール15,15から粉粒体を搬送するべく送風する送風機16を粉粒体タンク11の後部に設ける。
【0014】
(散布制御)
粉粒体散布装置2の散布制御システムは、図2の入出力構成ブロック図に示すように、左右の繰出ロール15,15の駆動モータ15mを制御部Cによって条件に応じて回転制御可能に構成し、制御要素として、走行軸に設けた車速センサ21、散布条件を設定するための散布操作部8に設けた後述の設定スイッチ35、粉粒体タンク11に設けた湿度センサ23の信号をそれぞれ制御部Cに入力する。
【0015】
散布操作部8には、図3の見取図に示すように、散布条件を表示するLCD表示部31、施肥量スイッチ32、比重スイッチ33、増減スイッチ34、設定スイッチ35等を配置した操作パネルを備える。散布作業の際は、施肥量スイッチ32、比重スイッチ33によって項目を選択し、増減スイッチ34にて反当たり散布量、比重の条件を入力し、設定スイッチ35によって散布条件を設定する。
【0016】
上記構成の粉粒体施用作業車1による粉粒体の散布の際は、湿度による繰出ロール15,15の繰出量の変動を補うために、予め湿度別に実測した繰出量に基づき、散布時の湿度の変動の影響を補うための繰出量の補正係数を求め、この補正係数による回転数補正によって繰出ロール15,15の回転を駆動制御することにより、散布時の湿度と対応して変化する粉粒体の流動抵抗の影響を補って正確な繰出量を確保することができる。
【0017】
回転数の補正計算については、例えば、図4の補正係数の特性線図に示すように、予め湿度別に実測した繰出ロール15,15の繰出量に基づき、常湿範囲とその上下の範囲の3つの湿度区分と対応して繰出量の変動を補うように補正係数を定め、この補正係数によって散布時の湿度と対応する補正係数hmを決定した上で、基準湿度における繰出ロール15,15の繰出量によって定まる基本回転数Rbを環境湿度に対応する補正回転数Rcを次の計算式(以下において、積算記号を「*」により表記する。)、すなわち、
Rc=Rb*(1+hm)にて算出し、この補正回転数Rcによる繰出ロール15,15の回転制御によって散布走行を行う。
【0018】
なお、基本回転数Rbは、次の計算式、すなわち、
Rb=(A*60*W*S)/(2*C*D)にて算出される。ただし、Aは反当施肥量(kg/10a)、Wはデフォルトを15とする散布幅(m)、Sは作業速度すなわち散布時の走行車速(m/sec)、Cは各ロールの容積(立方cm/rev)、Dは粉粒体の比重(g/立方cm)である。
【0019】
上記散布制御のための制御部Cによる具体的な制御処理は、図5のフローチャートに示すように、先ず、設定条件の読込処理のステップ1(以下において「S1」の如く略記する。)と基本回転数計算処理(S2)により前述の基本回転数Rbを算出し、次いで、湿度センサ23の信号による湿度の読込、、湿度判定、補正係数決定の各処理(S3〜S5)により、予め実測によって定めた湿度別の補正係数に照らして回転数の補正係数hmを決定した上で、補正回転数計算(S6)における前述の補正回転数Rcによる繰出ロール15,15の回転制御を行う。
【0020】
このように、上記粉粒体散布装置2は、粉粒体の散布に際して湿度による繰出量の変動を織り込むことによって散布量の主たる変動要因としての湿度の取扱の明確化を図り、高精度の面積当たり散布量を確保することができるので、特に、面積当たり散布量の精度が重要な薬剤等の散布において、経験によらざるを得なかった散布時の環境条件による散布量の増減調節を要することなく、適正な散布量を確保することができる。なお、湿度センサ23の代わりに、別途計測した湿度を操作パネルから湿度設定することによっても、散布作業時の湿度を反映することが可能である。
【0021】
(形状補正制御)
次に、粉粒体の性状に起因する繰出ロール15,15の繰出量変動の補正処理について説明する。
繰出ロール15,15の繰出量は、散布粉粒体の性状、特に、粉粒体の素粒体の大きさによって定まる繰出部の充填容量によって変化することから、形状設定入力を設けることによってロール基準容積を補正する。
【0022】
この場合における薬剤又は肥料形状入力は段階変化でも連続変化でも良く、粒径が小さくて流れやすい(表面の摩擦が小さい)ものは、補正によりロール容積を大きく、粒径が大きくて流れにくいものは、補正によりロール容積を小さくする。
【0023】
例えば、図6の設定ダイヤル(a)の設定位置と対応する補正量区分(b)により、粉状から特大粒径までの5段階の補正量β1〜β5によって定められた設定補正量βmによりロール容積C0を補正してロール補正容積C1を次の計算式、すなわち、
C1=C0*(1+βm)にて算出し、これを散布粉粒体についてのロールの容積として繰出ロール15,15を回転数制御する。
【0024】
上記散布制御のための制御部Cによる具体的な制御処理は、図7の性状対応制御のフローチャートに示すように、ロール容積C0と形状設定ダイヤルの読込みによってロール補正容積C1を算出(S11〜S16)し、このロール補正容積C1により繰出ロールの回転数を算出して散布作業を行う(S17〜S19)。このようにして、幅広い性状を有する粉粒体について、設定値と実繰出量の誤差を小さくすることができる。
【0025】
(非常対応制御)
次に、非常運転モードにおける散布制御について説明する。
車速検出等に異常が発生した場合は、車速データの欠落によって繰出ロールの回転制御ができなくなることから、そのような状況であっても散布作業を継続できるように、通常の散布中の車速データにより非常運転モードにおいて繰出ロールの回転制御をするように散布制御を構成する。
【0026】
制御部Cによる具体的な制御処理は、図8の非常運転対応制御のフローチャート(a)に示すように、通常の散布走行に際して、検出した走行車速に基づいて平均車速を算出し(S21〜S23)、この平均車速を不揮発メモリに書込む(S24)。車速信号異常等の際は、同図(b)のフローチャートに示すように、非常運転モードに切換えることを条件に、不揮発メモリから車速データを読出し(S25)、この車速データでロール回転数計算を行う(S26〜S28)ことによって粉粒体の散布を行う。このようにして、車速検出等に異常が発生し、非常運転で散布する場合においても、それまで作業していた車速で走行すれば、異常発生前とほぼ同等の散布を継続して行うことができる。
【0027】
(噴管先端部)
次に、噴管先端部の構成について説明する。
一般に、噴管の先端部には、粉粒体を均一に拡散させるために上部調節板と中段調節板とを備え、上部調節板は開口上端部から緩い傾斜で下降案内して粉粒体を比較的遠くに拡散させ、また、中段調節板は開口の中段位置でより急傾斜で下降案内して粉粒体を比較的近くに拡散させる。また、肥料と除草剤は、粒状性が相違して噴管内部の流れが異なることから、中段調節板の高さ位置と傾斜角の調節を可能に構成することによって、各種の粉粒体に適用可能に構成する例がある。
【0028】
一方、除草剤を散布する場合は、主として噴管断面内の上部を通って中段調節板の上から飛び出すことから、噴管先端からやや先の付近の散布量が多くなる傾向があるので、除草剤用の噴管先端部の縦断面図を図9(a)に示すように、上部調節板41と中段調節板42を備える噴管の先端部Aを嵌合部43によって着脱交換可能に構成するとともに、上部調節板41に向かう流れを抑制して噴管内の上部から一部の粉粒体を中段調節板42に案内するために、中段調節板42の始端部まで下降案内する案内板44を奥側に延ばして構成し、また、別の先端部Bの縦断面図を同図(b)に示すように、案内板44のない一般用の先端部Bを別途構成することにより、除草剤を散布する場合は、除草剤用の先端部Aに交換することにより、均一散布が可能となるので、簡易な着脱交換操作により、除草剤と肥料のそれぞれに対応して最適な散布作業が可能となる。
【0029】
(繰出量測定制御)
次に、繰出量測定制御について説明する。
ロール回転数計算において、比重による補正だけでは対応できない肥料があり、その散布の際の設定値と実散布量の誤差が大きくなるという問題を解決するために、繰出量測定モードが設けられている。すなわち、一定の回転回数の繰出ロール回転を行い、その重量入力を促す繰出量測定モードを設けるとき、片側の繰出ロール15だけを駆動するように制御部Cを構成することにより、ロール繰出量を測定することができる。モニタ31には、ロールの左右の区別等の関係する情報を表示する。
【0030】
制御部Cによる具体的な制御処理は、図10のロール繰出量測定制御の第1例のフローチャートに示すように、測定モード入力がオンのときに、左右のロール15,15の一方の選択設定(S31)を行った後、繰出モータ15mの回転出力をオン(S32)する制御処理を設ける。このように、片側だけのロール駆動を選択して肥料繰出しを行うことから、測定時の肥料採取が楽になるとともに、左右の繰出し量の比較が可能となる。
【0031】
また、測定モードにおいては、噴管を外して繰出量を測定する必要があり、一人で測定を行うときは、操作パネル8の測定開始スイッチを押してから繰出される肥料を採取しなければならないので、測定開始スイッチを押してから一定時間の経過後にロール15の回転を行うように制御部Cを構成する。
【0032】
その具体的な制御処理は、図11のロール繰出量測定制御の第2例のフローチャートに示すように、測定開始スイッチから一定時間の経過後にブザー24をオン(S41,S42)してから繰出モータ15mの回転出力をオン(S43)する制御処理を設ける。この制御処理により、測定を始めるまでの時間を確保して、安心して作業をすることができる。
【0033】
また、測定結果については、入力された値によりロール15の1回転当たりの繰出量を記憶することにより、次の作業時に読出してデータを使用することができる。詳細には、図12のロール繰出量測定制御の第3例のフローチャートに示すように、測定モードがオンのとき、一定回転数(10〜20/min)で一定回転ロールを回転させ(S51〜S53)、その後入力された重量により基準繰出量を計算(S54〜S56)し、不揮発メモリに書き込んで保存(S59)するように制御処理を構成する。さらに、肥料名を同時に入力できる構成として入力選択された肥料名と基準繰出量の両方を関連付け(S57,S58)て不揮発メモリに書き込むことにより、次回作業時に必要なデータを確実に呼び出すことが可能となる。
【0034】
(測重補正)
次に、測重によるロール回転数の補正について説明する。
測重によるロール回転数補正により、散布精度を向上することができる。詳細には、タンク11の底部に重量計11aを設けて散布開始時の初期重量と散布中の残重量により散布重量を測定可能に構成し、図13のロール回転数補正制御のフローチャートに示すように、散布開始から散布終了まで一定距離の走行毎(S61〜S63)に散布重量を算出(S64〜S66)し、その重量と同じ面積当たりに換算した設定施肥量とを比較し、差が一定値以上ある場合は、設定施肥量が大きいときに回転数を高く、小さいときに低く、その重量差によりロール回転数を補正(S67,S68)する制御処理を設ける。このようにして、実際の散布量をフィードバックして散布精度の向上を図ることができる。また、必要により、全散布行程について散布実績データを記録することができる。
【0035】
上記の場合において、設定施肥量が変更されたときは、ロール回転数が安定していない状態での誤ったロール回転数変更を防止するために、図14の設定施肥量変更対応制御のフローチャートに示すように、一定距離の走行範囲における補正処理の中断(S71〜S75)を経た後に補正処理を再開(S76)する制御処理を構成する。
【0036】
(散布実績データ処理)
散布実績データの取扱いについて、圃場面積を基準にすることにより、圃場別に区分して記録することができる。詳細には、図15の散布実績データ処理制御のフローチャートに示すように、散布開始時に圃場番号設定入力を読込んで圃場の判定を行い、予め設定してあるその圃場面積をセットし(S81〜S83)、散布中に一定距離を走行するごとに散布重量を記録(S84〜S86)するとともに走行累計距離と散布幅より面積計算を行い(S87〜S90)、初期に設定した面積の差が一定範囲内になって散布スイッチがオフになったときにデータ測定を終了する(S91〜S93)ように制御処理を構成することにより、その圃場分の散布状況データとして自動的に区分して記録することができる。
【0037】
上記の場合において、圃場における往復散布行程の間の機体旋回走行については、図16の旋回対応処理制御のフローチャートに示すように、一定距離ごとに算出した散布重量を時刻とともにメモリに書込むときに、旋回時に散布スイッチがオフになったときにその残重量をメモリに書込み(S101〜S104)、データ測定中断の後に旋回が終了して散布スイッチがオンになったときに、一定距離ごとの測定を再開する(S105〜S107)ように制御処理を構成することにより、旋回時の散布量変化を確実に記録することができるので、圃場管理に役立てることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 乗用管理機(粉粒体施用作業車)
2 粉粒体散布装置
8 散布操作部
11 粉粒体タンク
12 繰出部
13 固定噴管
14 ブーム噴管
15 繰出ロール
15m 駆動モータ
16 送風機
21 車速センサ
23 湿度センサ
35 設定スイッチ
C 制御部
hm 補正係数
Rb 基本回転数
Rc 補正回転数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を貯留する粉粒体タンク(11)と、この粉粒体タンク(11)から受けた粉粒体の繰出量を回転制御可能な繰出ロール(15,15)とを備え、設定された粉粒体の比重および面積当たり散布量に沿って、走行車速に応じて粉粒体を散布する粉粒体散布装置(2)を備えた粉粒体施用作業車において、
上記粉粒体散布装置(2)は、粉粒体タンク(11)から繰出ロール(15,15)によって繰出される粉粒体について、環境湿度と対応して予め取得した繰出量の実測値に基づき、散布時の湿度による繰出量の変動を補正して繰出ロール(15,15)を回転制御することを特徴とする粉粒体施用作業車。
【請求項2】
前記粉粒体タンク(11)には湿度センサ(23)を設け、この湿度センサ(23)によって検出される大気湿度を散布時の湿度とすることを特徴とする請求項1記載の粉粒体施用作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−109968(P2011−109968A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269939(P2009−269939)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】