説明

粒子を有する排気ガスを処理するための装置および方法

本発明は、粒子(2)を有する排気ガスを処理するための方法および装置(1)に関し、その装置(1)は、少なくとも1つの粒子凝集システム(3)と、粒子分離器(4)とを備え、粒子凝集システム(3)は、電場(6)を発生させるための少なくとも1つの機器(5)と、排気ガスが流れることができ、粒子分離器(4)の上流の排気ガスの流れ方向(8)に配置される粒子中間物保存装置(7)とを備える。粒子(2)は、粒子中間物保存装置(7)において重なって保存されることにより、凝集粒子(15)が形成され、短時間の後、その粒子(2)は粒子中間物保存装置(7)から再び除去され、変換のために粒子分離器(4)に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子凝集装置および粒子分離器を有する、粒子を有する排気ガスを処理するための装置および方法に関する。本発明は特に、例えばディーゼルエンジンなどの自動車の内燃エンジンのための排気ガス処理の分野において使用され得る。
【背景技術】
【0002】
ガソリンまたはディーゼルの燃焼の間、例えば、一酸化炭素、炭化水素および窒素酸化物だけでなく、いわゆる煤粒子も形成される。そのような煤粒子によって引き起こされる健康被害および様々な既存の法的規制のために、自動車の粒子の排出をさらに減少させることが試みられている。
【0003】
この目的のために、過去において多くの場合、通常、押出セラミック構造として設計される、いわゆる壁流フィルタが使用されており、そのフィルタにおいて、複数のチャネルの入口および出口が交互に閉じられている。このように、排気ガスはチャネルの一部に侵入でき、次いで閉鎖部のために多孔性のチャネル壁を完全に通過せざるを得ない。チャネル壁の多孔率の対応する構造により、粒子の分離の間、非常に高レベルの効果を達成することが可能となった。ここで、非常に多くの粒子が蓄積され、再生が期限までに誘発されない場合、そのような壁流フィルタは遮断され得るという問題が存在する。さらに、そのような壁流フィルタは、排気システムにおいてかなりの背圧を生じ、例えば内燃エンジンの動力損失に関連する。
【0004】
背圧の問題に対抗し、同様に法的規制の範囲内の粒子分離を可能にするために、いわゆる部分流フィルタが開発されている。このフィルタにおいて、チャネルは完全に閉じられないので、部分流をチャネルを通して前方へ流れさせることが常に可能となる。例えば、分流部、案内羽根、開口部などは、フィルタ材料を通る(部分)流を引き起こすために隣接するチャネル内の圧力差によって順にチャネル内に設けられる。ここで、複数のそのような分流部は、通常、周囲フィルタ材料の好適な条件下で粒子または排気ガスの偏向を達成するため、および例えば、フィルタ材料が既にここで満たされている場合、部分流を実現するためにチャネルの長さにわたって設けられる。
【0005】
このような壁流フィルタまたは粒子流フィルタの再生のために、不連続および/または連続再生を使用することが知られている。不連続再生の場合、粒子分離器への目標とする熱の導入の結果として煤が燃焼されると想定される。この目的のために、例えば、未燃焼の燃料の量を、排気システムにおける触媒活性コーティング上に分配することが可能であり、ここで発熱反応が起こり、それにより、排気ガスまたは粒子分離器が、煤の酸化に適した温度まで加熱する。CRT(連続再生トラップ)プロセスとも呼ばれる連続プロセスは、煤を変換するために二酸化窒素(NO)を使用する。この目的のために、排気ガス中の一酸化窒素は、酸化効果を有する触媒、空気または酸素を使用して酸化されて、後で煤に供給される二酸化窒素を形成する。ここで、煤の変換は、例えば既に250℃以上の非常に低い温度でさえも生じる。
【0006】
さらに、排気ガス流中の粒子を、電極対によって生成される電場を使用して帯電させ、別の電極に輸送させることもまた既に提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、公知のシステムは、一部において、それらの分離作用、再生および/または内燃エンジンの動作に対するそれらの影響に関して常に満たされているわけではない。さらに、前記概念は、一部において、非常に複雑であり、従って、高価である。
【0008】
これらのことを出発点として考慮して、本発明の目的は、従来技術に関して記載された問題を少なくとも部分的に解決することである。特に、粒子を処理するための装置および方法を特定することを目的とし、それにより、排気システムの高分離作用が、低い圧力損失でさえも可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は、請求項1の特徴による装置およびまた請求項7の特徴による方法によって達成される。さらに、好ましい設計の変形および使用範囲は従属請求項から明らかになる。請求項において個々に特定される特徴は、任意の所望の技術的に適切な方法において互いに組み合わされ、本発明のさらなる実施形態を形成してもよいことは留意されるべきである。特に図面と併せた詳細は本発明を説明し、さらなる例示的な実施形態を特定する。
【0010】
粒子を有する排気ガスを処理するための本発明による装置は、粒子凝集装置と、粒子分離器とを少なくとも備え、粒子凝集装置は、電場を発生させるための少なくとも1つの機器と、排気ガスが流れることができ、排気ガスの流れ方向において粒子分離器の上流に配置される粒子バッファ保存装置と、を有する。
【0011】
この装置は、特に、例えばディーゼルエンジンなどの自動車の内燃エンジンの排気ガスを処理する。粒子は、特に、主に煤粒子であるが、他の粒子も同様にここで言及される。
【0012】
粒子凝集装置および粒子分離器は、排気ガスの流れ方向において直列に(好ましくは直接)提供される。ここでまた、例えば、複数の排気管が提供される場合、対応する装置を前記排気管の各々に提供することも可能である。さらにまた、排気ガスの一部のみを対応する装置によって処理してもよい。
【0013】
粒子凝集装置は、内燃エンジンによって生成され、排気ガス中に含まれる粒子のサイズを増加させるのに役立つ。この目的のために、電場によって、粒子は、目的とする方法で粒子バッファ保存装置上に堆積され、その粒子は、重なって留まり、互いに付着するそれらの傾向のためにサイズが増加する。粒子バッファ保存装置上の粒子が所望のサイズに到達した場合、それらは再び、排気ガスに同伴され、下流の粒子分離器に供給される。複数の粒子の目的とする凝集の結果として、粒子分離器は、ここで、より大きな凝集粒子についての対応する分離効果を有するように設計され得る。これは特にまた、下流の粒子分離器が十分に「開口した」設計であり得、フィルタが次第に遮蔽する場合の増加した圧力損失に関する問題をかなり低減させ得るという結果を有する。
【0014】
電場を発生させるための機器に関して、ここで、凝集される粒子は、静電場で帯電され、それらの帯電のために、粒子バッファ保存装置および/または互いに対して、より強力に移動することも留意されるべきである。
【0015】
ここで、粒子バッファ保存装置を電極に接続することが非常に特に好ましい。このように、それは、特に、力がイオン化した粒子に与えられ、それらの粒子が、粒子バッファ保存装置上でより強力に、かつ集結した形態で蓄積する場合である。前記粒子の表面は、他の粒子に対して非常に十分な付着特性を有するので、凝集粒子は、脱イオン化の後でさえ、互いに堅く付着する。この目的のために、粒子バッファ保存装置は、粒子と反対の電荷を有する電極に接続される。さらなる効果として、粒子バッファ保存装置上の凝集粒子の保持力もまた、このように減少するので、凝集粒子は、再び排気ガス流によって迅速に引き離されることが保証されることは留意されるべきである。ここで、比較的大きく、電気的に中性の凝集粒子が粒子分離器に供給され、ここで、静電効果はもはや十分に生じず、粒子分離器の均一な利用が保証される。
【0016】
この装置の一実施形態において、粒子バッファ保存装置は、複数の経路を有する少なくとも1つの開口構造を有することが提案される。既に上で述べたように、排気ガスは粒子バッファ保存装置を通って流れることができる。これは、単純なパイプ部分ではなく、排気ガスの流れに対抗し、壁を通して排気ガス自体を流すことを意味すると意図する。特に、ここで提案されるのは、複数の経路を有する開口構造である。これは特に、排気ガス流が、粒子バッファ保存装置または開口構造によって、複数の小さな排気ガス流部分に分裂し、次いで、開口構造の複数の経路を通して誘導されることを表すことを意図する。この目的のために、粒子バッファ保存装置は、特に、排気ガスの流れ方向に対して横方向または垂直方向に配置され、従って、特に広い面積にわたって流れによる影響を受ける。この趣旨で、経路は、通常、流れ方向において非常に狭い範囲のみを有する。従って、開口構造は、特に、ディスク形状、プレート形状の設計である。経路の数は、特に、20より多く、特に100より多い。「開口」構造は、特に、(直線および/または(複数の)偏向を有する)経路を通して流れることができるというよりむしろ、流れの終端がないことを意味する。ここで、特に、流れ方向に対して垂直な構造を通る断面または全ての断面において、構造部分より、流れが自由に通過できる多くの部分が存在する場合、「開口」構造が設けられる。ここで、領域を互いに比較して、特に、断面または全ての断面において、流れが自由に通過できる領域に含まれる領域の割合が50%より多く、特に80%より多い場合、「開口」構造が設けられる。
【0017】
従って、少なくとも1つの開口構造を、ディスク形状の設計にして、以下の要素:グリッド、織物、不織部、発泡体、ハニカム構造のうちの少なくとも1つを含むことが非常に特に好ましい。開口構造の「ディスク形状」の設計は、特に、排気ガスの流れ方向の方向における開口構造の範囲が、排気ガスの流れ方向に対するその垂直の範囲より(かなり、特に数倍)小さいことを意味することを意図する。従って、開口構造は、例えばグリッドとして設計され得る。この目的のために、複数のロッドが互いに接続され得る。ここで、グリッドは、例えば、ふるいの形態で、互いに溶接されたワイヤにより形成され得る。このようなワイヤを用いて織物を形成してもよく、ワイヤは互いに固定されるだけでなく、互いの周りで部分的にループ状になる。例えば不織部を用いる場合など、ワイヤフィラメント(複数も含む)の多かれ少なかれ無秩序の配置を設けてもよいことは自明である。一方、例えば個々のワイヤが互いに溶接される不織部を有する場合、対応する開口構造はまた、同様に無秩序のチャネルシステムを形成する、発泡体によって形成されてもよい。通常のチャネルシステムはまた、例えば少なくとも1つの平滑な金属箔および少なくとも1つの波形の金属箔を有するハニカム構造によって形成されてもよい。同様に、ディスク状の開口構造を、導電性材料、特に金属を用いて形成することも好ましい。一般に、複数の(同一または異なる)構造を組み合わせてもよい。
【0018】
この装置の一実施形態において、電場を発生させるための機器が放電電極を備えることが提案される。複数の放電電極を設けることができることも自明である。放電電極は、対応する形状で個々の電極を有して形成されるが、ここで、例えば放電電極の環状、ディスク形状または類似の変形を設けてもよい。
【0019】
さらに、粒子分離器を、電気的に中性にし、壁流フィルタまたは部分流フィルタを備えるようにすることは利点があるとみなされる。壁流フィルタおよび/または部分流フィルタの可能な構成に関して、導入部分およびさらに以下の図面の詳細な説明に参照が記載されている。粒子分離器が電気的に中性であるという事実は、粒子分離器の入口領域に凝集粒子が増加して存在しないという効果を有する。結果として、粒子分離器または粒子分離器内のフィルタ材料のより均一な負荷が達成される。壁流フィルタおよび/または部分流フィルタの提供により、非常に大きなフィルタ表面積を、小さな構造容積に適合することが可能となり、それにより、特にここで、遠心分離器以上の利点が得られる。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、粒子を有する排気ガスを処理するための方法が提案され、その方法は、少なくとも以下の工程:
a)電場内で粒子を帯電させる工程と、
b)帯電された粒子を、電気引力を使用して、排気ガスが流れることができる粒子バッファ保存装置に供給する工程と、
c)粒子バッファ保存装置上で、重なって粒子を堆積させることにより、凝集粒子を形成させる工程と、
d)凝集粒子を粒子バッファ保存装置から除去する工程と、
e)凝集粒子を粒子分離器に供給する工程と、
f)粒子分離器内の凝集粒子を変換する工程と、
を含む。
【0021】
この方法は特に、本発明による装置を用いて実現され得る。従って、本発明による装置に関する説明はまた、本発明による方法に関するものを参照されなければならない。
【0022】
従って、粒子、特に煤のイオン化は工程a)において行われる。基本的に、正電荷または負電荷のいずれかを粒子に提供することができ、対応する電場が各場合において発生されなければならない。適切な場合、ここで、異なる電荷を、例えば、所定の時間間隔の後で帯電される電場によって交互の形態で粒子に提供することも可能である。
【0023】
このようにイオン化した粒子は、工程b)により、粒子バッファ保存装置に供給され、粒子および粒子バッファ保存装置の異なる電荷のために、排気ガスからの粒子は主に、粒子保存装置(静電気力)に蓄積される。
【0024】
結果として、粒子は、粒子バッファ保存装置に重なって堆積され、互いに付着される。ここで、接着力に加えてファンデルワールス力が作用し得る。
【0025】
粒子または凝集粒子が、そこでのみ非常に簡単に付着するように粒子バッファ保存装置が設計または構築される。すなわち、特に、粒子の(完全な)変換はそこで行われない。実際に、粒子バッファ保存装置上の流れの正面衝突のために、排気ガスは再び、凝集粒子を同伴し、それらを下流の粒子分離器に誘導し、粒子分離器の再生まで凝集粒子が蓄積し、それらは最終的に変換される。ここで、変換は、連続および/または不連続に行われてもよい。
【0026】
前記方法において、凝集粒子を電気的に中性な状態で粒子分離器に供給することが特に好ましい。すなわち、これは、例えば、粒子バッファ保存装置が、電極(電位)に接続され、それにより、前記粒子が前記粒子バッファ保存装置と接触すると、粒子の電荷が中性になることを意味する。従って、その後、粒子分離器に流れる凝集粒子は、「通常の」排気ガスの流路に続き、それにより特に、静電効果は、粒子分離器内の凝集粒子の蓄積にもはや(有意な)役割を果たさない。従って、粒子分離器の構築または設計に関して、従来の概念を用いてもよい。
【0027】
さらに、工程d)が排気ガス流のみによって行われる場合、有益であり得る。すなわち、粒子バッファ保存装置または他の外部手段のアクティブな作動が、凝集粒子を排気ガス流に戻すのに必要とされない。すなわちまた、凝集粒子は排気ガス流のみによって再び除去される。所望のサイズの凝集粒子を考慮して、基本的に、粒子バッファ保存装置を、例えば、大きな流れ衝突面、適切な(平滑な)面などを提供することにより、対応して設計することも可能である。
【0028】
粒子バッファ保存装置の上流および下流の排気ガスにおいて、排気ガス中の粒子の平均質量は同じであるが、粒子バッファ保存装置の下流の平均粒子数は少ない、この方法の一実施形態が非常に特に好ましい。これは特に、実際に、粒子バッファ保存装置が、凝集粒子を形成することのみに役立つことを意味する。すなわち、粒子バッファ保存装置に供給される粒子の質量(時間と共に平均化した)は、最終的に粒子バッファ保存装置から出ていくものとほぼ同じである。大きな凝集粒子を形成するための重なった粒子の目的とする蓄積の結果として、粒子数は減少するが、粒径は増加する。従って、実際に、粒子凝集装置に関して、粒子をイオン化し、次いで混合することによってのみ、粒子を凝集させることが好ましい。
【0029】
本発明は特に、排気システムを有する内燃エンジンを有する自動車において使用され、その排気システムにおいて、本発明による装置が提供され、その装置は、本発明による方法が実施され得るように設定される。自動車は、特に、乗用自動車または特にディーゼルエンジンを有する重量物運搬車である。
【0030】
本発明および技術分野を図面に基づいて以下により詳細に説明する。図面は特に、本発明の好ましい実施形態の変形例を示すが、本発明はそれらに限定されないことに留意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明による装置の設計の変形例を示す。
【図2】図2は、粒子凝集装置内の入口の上流の粒子分布を示す。
【図3】図3は、粒子凝集装置からの出口の下流の粒子分布を示す。
【図4】図4は、排気システムを有する自動車を示す。
【図5】図5は、本発明による装置のさらなる設計の変形例を示す。
【図6】図6は、粒子バッファ保存装置の設計の変形例の詳細を示す。
【図7】図7は、粒子バッファ保存装置のさらなる設計の変形例を示す。
【図8】図8は、粒子バッファ保存装置のなおさらなる設計の変形例を示す。
【図9】図9は、部分流フィルタの形態における粒子分離器の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明による装置および本発明による方法の好ましい設計の変形例を示す。ここで、排気ガスは、流れ方向8において本発明による装置1内に流れる。そこで、排気ガスは最初に、粒子凝集装置3内に流れる。ここで、その粒子凝集装置3は、電場6を発生させるための機器5を備え、その機器は、ここで、電極(陰極)9に接続される放電電極12の形態で示されている。前記電場6において、粒子2はイオン化される。すなわち、電荷が提供され、流れ方向8において、排気ガスが流れることができる粒子バッファ保存装置7まで前方へ流れる。粒子バッファ保存装置7は、同様に、電極(陽極)9に接続される。ここで、この電極(陽極)9は放電電極12の電極9と反対である。イオン化した粒子2は、ここで、粒子バッファ保存装置7の表面に堆積され、ここで、複数の粒子2は互いに衝突し、互いに付着する。粒子バッファ保存装置7は、ここで、複数の経路11を有する開口構造10として設計され、排気ガスは開口構造10を通して流れるので、排気ガスは、大きなサイズになる凝集粒子15を同伴する。従って、排気ガス流は、ここで、かなり大きな凝集粒子15を粒子分離器まで導く。その粒子分離器は、排気ガスの流れ方向8で見た場合、粒子バッファ保存装置7の下流に配置される。粒子分離器4において、凝集粒子15は、蓄積され、例えば、二酸化窒素(NO)によって連続して変換される。
【0033】
図2および3は、粒子凝集装置の上流および下流の排気ガス流に存在する粒子分布を概略的に示すことを意図する。ここで、平均粒径20を横座標にプロットし、粒子数19を縦座標にプロットする。平均粒子分布は、横座標のさらに左側に位置することが図2から見られ得る。すなわち、ここで、多数の小さな粒子2が排気ガス流に同伴する。粒子凝集装置から出た後、粒子分布は、横座標のさらに右側に位置することが見られ得る。すなわち、より大きな粒径20がここで存在する。粒子の数もまた、かなり減少する。なぜなら、凝集粒子15は、複数の粒子2の混合から形成されているからである。ここで、粒子凝集装置の上流および下流の粒子の全質量は実質的に同じであることが基本的、一般的に理解される。
【0034】
図4は、内燃エンジン17、例えばディーゼルエンジンを有する自動車16を概略的に示し、排気ガス中の望ましくない汚染物質および粒子を除去するための対応する排気システム18が提供される。排気ガスの流れ方向8において排気システム18に示すのは、触媒コンバータ21、粒子凝集装置3および粒子分離器4である。ここで、さらなる排気ガス処理ユニットを設けるか、または加えてもよいことは自明である。粒子凝集装置3は、再び、電場6および下流の粒子バッファ保存装置7と共に形成されることが概略的に示される。ここで、特に、触媒コンバータ21が、排気ガス中に含まれる窒素酸化物を二酸化窒素に変換でき、それにより、対応する煤の変換が粒子分離器4において実現できる場合、粒子分離器4の連続再生が提供されてもよい。
【0035】
図5は、特に、斜視図において、壁流フィルタ13の形態における粒子分離器4と併せた粒子バッファ保存装置7の設計の変形例を示す。ここで、イオン化した粒子を有する排気ガスは、流れ方向8において粒子バッファ保存装置7まで流れる。ここで、粒子バッファ保存装置7はグリッド32の形態で設計され、複数の経路11を形成するように複数のワイヤ25は互いに接続される。ここで、経路11は、煤粒子が除去され得ないように大きい。すなわち、経路11は粒子2および凝集粒子15より数倍大きい。ここで、複数の粒子2は前記粒子バッファ保存装置7上で互いに付着し、最終的に排気ガス流によって同伴され、壁流フィルタ13の形態で粒子分離器4に沿って運ばれる。壁流フィルタ13は複数のチャネル22により特徴付けられ、前記チャネルは、交互の形態で2つの両側においてそれぞれ閉鎖部23を有する。従って、1つの側に侵入する排気ガスは、隣接するチャネル内の多孔質の壁24を強制的に通り、全体の排気ガスの流れは多孔質の壁を強制的に通る。ここで、比較的大きな凝集粒子のみが除去される必要があるので、壁流フィルタ13の壁24は、装置の高いフィルタ効率を減少させずに、比較的大きな穴または高い多孔率を有してもよい。しかしながら、これはまた、前記粒子分離器4にわたる圧力損失がかなり減少され得るという結果を有する。
【0036】
粒子バッファ保存装置7についての他の設計の変形例を図6〜8に示す。粒子バッファ保存装置7を、織物30の形態で図6に、(金属)発泡体31の形態で図7に、および少なくとも部分的に構造化された金属箔を有するディスク形状のハニカム構造33の形態で図8に示す。前記設計の変形例の全ては開口構造10を形成する。
【0037】
図9は、ここで、部分流フィルタ14の動作様式を例示する詳細を示す。ここで、部分流フィルタ14は、波形の金属箔26および平滑な金属製の不織部27を有して形成され、それらは交互の様式で配置されるので、各場合において共通のチャネルを規定する。分流部28が金属箔26に設けられるので、排気ガス流の少なくとも一部は、不織部27の方へ移動する。ここで、しかしながら、分流部28は、チャネル断面全体を遮断するほど大きくない。それは実際には、チャネル内の排気ガスの一部が分流部28を流れることができる、いわゆる部分流29である。複数のこのような分流部28は、チャネルの長さにわたって設けられることが好ましく、それにより、排気ガス流は複数回、分流されるので、不織部27を通って流れる可能性が高くなる。
【符号の説明】
【0038】
1 装置
2 粒子
3 粒子凝集装置
4 粒子分離器
5 機器
6 電場
7 粒子バッファ保存装置
8 流れ方向
9 電極
10 開口構造
11 経路
12 放電電極
13 壁流フィルタ
14 部分流フィルタ
15 凝集粒子
16 自動車
17 内燃エンジン
18 排気システム
19 粒子数
20 粒径
21 触媒コンバータ
22 チャネル
23 閉鎖部
24 壁
25 ワイヤ
26 金属箔
27 不織部
28 分流部
29 部分流
30 織物
31 発泡体
32 グリッド
33 ハニカム構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子(2)を有する排気ガスを処理するための装置(1)であって、粒子凝集装置(3)と、粒子分離器(4)とを少なくとも備え、前記粒子凝集装置(3)は、電場(6)を発生させるための少なくとも1つの機器(5)と、排気ガスが流れることができ、排気ガスの流れ方向(8)において前記粒子分離器(4)の上流に配置される、粒子バッファ保存装置(7)とを有する、装置(1)。
【請求項2】
前記粒子バッファ保存装置(7)は電極(9)に接続される、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記粒子バッファ保存装置(7)は、複数の経路(11)を有する少なくとも1つの開口構造(10)を有する、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの開口構造(10)は、ディスク形状の設計であり、以下の要素:グリッド(32)、織物(30)、不織部(27)、発泡体(31)、ハニカム構造(33)のうちの少なくとも1つを備える、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
電場(6)を発生させるための前記機器(5)は、放電電極(12)を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記粒子分離器(4)は、電気的に中性であり、壁流フィルタ(13)または部分流フィルタ(14)を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
粒子(2)を有する排気ガスを処理するための方法であって、少なくとも以下の工程:
a)電場(6)内で前記粒子(2)を帯電させる工程と、
b)帯電された前記粒子(2)を、電気引力を使用して、排気ガスが流れることができる粒子バッファ保存装置(7)に供給する工程と、
c)前記粒子バッファ保存装置(7)上で、重なって前記粒子(2)を堆積させることにより、凝集粒子(15)を形成させる工程と、
d)前記凝集粒子(15)を前記粒子バッファ保存装置(7)から除去する工程と、
e)前記凝集粒子(15)を粒子分離器(4)に供給する工程と、
f)前記粒子分離器(4)内の前記凝集粒子(15)を変換する工程と、
を含む、方法。
【請求項8】
前記凝集粒子(15)は、電気的に中性の状態で前記粒子分離器(4)に供給される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程d)は、排気ガス流によってのみ行われる、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記粒子バッファ保存装置(7)の上流および下流の排気ガスにおいて、前記排気ガス中の粒子の平均質量は同じであるが、前記粒子バッファ保存装置(7)の下流の粒子の平均数は少ない、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置(1)が設けられる排気システム(18)を有する内燃エンジン(17)を有する自動車(16)であって、前記装置は、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法が実施され得るように設定される、自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−530206(P2012−530206A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515415(P2012−515415)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057494
【国際公開番号】WO2010/145931
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(500038927)エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンス テクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング (156)
【Fターム(参考)】