説明

粒子加速器

【課題】波形ひずみの影響を考慮して効率良く荷電粒子を加速できる粒子加速器を得ることを目的とする。
【解決手段】荷電粒子ビームを加速する加速空洞4に高周波加速電圧を印加する制御装置20は、低電力信号Vo(t)を出力する低電力信号発生器9と、低電力信号Vo(t)を増幅する高周波電力増幅器10を有し、低電力信号Vo(t)は、正弦波信号である基本波信号の周波数及び基本波信号に起因して加速空洞4に発生する高調波信号の周波数毎に、低電力信号発生器9から出力される正弦波信号の発生器信号振幅Voaと加速空洞4に発生した空洞電圧V(t)の空洞電圧振幅Vaとの比である伝達倍率g(f)、及び正弦波信号と正弦波信号により加速空洞4に発生する正弦波空洞電圧との位相差である位相遅延φ(f)があらかじめ測定され、測定された伝達倍率g(f)及び位相遅延φ(f)に基づいて生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高周波電圧を加速空洞に印加し、加速空洞に発生した電界にて荷電粒子を加速する粒子加速器に関し、特に環状の加速管内にて粒子を周回させて加速させる環状粒子加速器に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子を所望のエネルギーまで加速する装置としてシンクロトロン加速器等の環状加速器が用いられる。シンクロトロン加速器は、荷電粒子ビームが周回する環状の加速管や、荷電粒子ビームの周回軌道を制御するための偏向電磁石や収束電磁石、高周波加速電圧によって発生する電界にて荷電粒子ビームを加速する加速空洞、荷電粒子ビームを加速管内に導入する入射装置、および、加速した荷電粒子ビームを外部に取り出す出射装置等で構成される。
【0003】
前段加速器により所定のエネルギーまで加速され、シンクロトロン加速器に入射された一様連続な荷電粒子ビームは、加速空洞に印加された周波数一定の高周波電圧で周回ビームが安定に加速する領域(高周波バケット)に集群化(バンチ)する。この高周波電圧で荷電粒子ビームを集群化させることを高周波捕獲と呼ぶ。高周波捕獲後、加速空洞に印加する加速電圧の周波数を増加させ、荷電粒子ビームを加速していく。このとき、荷電粒子ビームの周回半径が一定となるよう、加速電圧の周波数は偏向電磁石によって発生される偏向磁場強度の変化に同調して増加させられる。また、加速電圧の振幅も効率的な加速ができるよう変化させられる。所望のエネルギーまで加速された荷電粒子ビームは、出射装置により周回軌道から後段のビーム軌道へと出射される。
【0004】
上述のシンクロトロン加速器においては、高周波バケット内に集群化した荷電粒子ビームの電荷のピーク密度が高くなると荷電粒子の空間電荷力によって荷電粒子ビームが発散し、加速できない荷電粒子が生じてしまうという問題があった。
【0005】
これを解決する方法は先行文献1に記載されている。先行文献1の高周波加速装置は、加速空洞に発生した高周波電圧を基本波信号とその整数倍周波数の高調波信号に分離して検出する分波手段を設け、分離して検出された基本波信号とその整数倍周波数の高調波信号に基づき、加速空洞に加える高周波電圧波形をフィードバック制御によってリアルタイムで制御することにより、進行方向における荷電粒子分布の平坦化制御を効率よく行い、ビーム発散を低減させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−367800号公報(図1、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、我々はシンクロトロン加速器において、低電力信号発生器の出力を高周波電力増幅器によって増幅し、インピーダンス変換器にて加速空洞のインピーダンスに整合させて、加速電圧を加速空洞に印加する際、低電力信号発生器と加速空洞間の信号の増幅において、非線形な増幅効果により高調波が発生し、図4に示すように加速電圧にひずみが生じ、このため、加速電圧は設計上の理想的な波形から乖離して、効率的に粒子を加速出来無くなることを発見した。図4はこの発明の課題を説明する図である。Vooは加速空洞に発生した空洞信号であり、Vb1、Vb2、Vb3は、それぞれ空洞信号Voo
の基本波、第2次高調波、第3次高調波である。
【0008】
発生する高調波Vb2、Vb3は、低電力信号発生器により出力される発生器信号Voの発生器信号振幅Voaと、加速空洞に発生した空洞電圧の空洞電圧振幅Vaとの比(以
下、伝達倍率)g(f)=Va/Voaが大きい場合には、大きくなる。上述したように
、加速電圧は設計上の理想的な波形から乖離して、効率的に粒子を加速出来無くなる問題があった。特に高調波を用いて空間電荷力によるビーム発散を低減する技術においては、加速空洞に必要な電力の高調波を印加できるように、低電力信号発生器から出力する高調波の周波数領域のg(f)を大きくする必要があるため、波形ひずみの影響が大きくなるという問題があった。
【0009】
この発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、波形ひずみの影響を考慮して効率良く荷電粒子を加速できる粒子加速器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
荷電粒子ビームを加速する加速空洞と加速空洞に高周波加速電圧を印加する制御装置を備える。制御装置は、所定の低電力信号を出力する低電力信号発生器と、低電力信号を高周波加速電圧に増幅する高周波電力増幅器を有し、低電力信号は、正弦波信号である基本波信号の周波数及び基本波信号に起因して加速空洞に発生する高調波信号の周波数毎に、低電力信号発生器から出力される正弦波信号の発生器信号振幅と加速空洞に発生した空洞電圧の空洞電圧振幅との比である伝達倍率、及び正弦波信号と正弦波信号により加速空洞に発生する正弦波空洞電圧との位相差である位相遅延があらかじめ測定され、測定された伝達倍率及び位相遅延に基づいて生成される。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る粒子加速器は、効率良く荷電粒子を加速できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1における粒子加速器の構成図である。
【図2】出力信号テーブルTsの作成手順を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2における低電力信号発生器の出力波形を示す図である。
【図4】この発明の課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における粒子加速器の構成図である。図1に示した粒子加速器はシンクロトロン加速器であり、加速管1と、4つの偏向電磁石2a、2b、2c、2dと、5つの収束電磁石3a、3b、3c、3d、3eと、加速空洞4と、入射装置5と、出射装置6と、磁場モニタ7と、前段加速器12と、制御装置20と、偏向磁石制御装置21で構成されている。制御装置20は加速空洞4に荷電粒子ビームを加速する高周波加速電圧を印加する。制御装置20は、同期信号生成器8と、低電力信号発生器9と、高周波電力増幅器10と、インピーダンス変換器11を有する。偏向電磁石2aの磁場は磁場モニタ7によってモニタされ、同期信号生成器8は磁場強度の変化量を基準として、パルス信号を出力する。加速空洞4には低電力信号発生器9から出力された低電力信号を高周波電力増幅器10にて増幅し、インピーダンス変換器11によりインピーダンス整合して高周波加速電圧を印加する。低電力信号発生器9は、同期信号発生器8の出力パルス信号と同期してメモリ15に格納された出力信号テーブルTsに基づき制御された波形の低電力信号である発生器信号Vo(t)を発生する。偏向磁石制御装置21は、加速された荷電粒子ビームの周回半径が一定となるように、偏向電磁石2によって発生される偏向磁場強度を制御する。
【0014】
低電力信号発生器9の出力信号テーブルTsは同期信号発生器8のパルス出力からの時刻tと、低電力信号発生器9により出力される発生器信号Vo(t)の指示値により構成される。図2に出力信号テーブルTsの作成手順を示す。まず、ステップS001として、低電力信号発生器9により発生させた正弦波である発生器信号Vo(t)を加速空洞4に入力し、加速空洞4に発生する電圧である空洞電圧V(t)を測定する。測定された空洞電圧V(t)から伝達倍率g1(f)および、発生器信号Vo(t)の発生器信号位相φinと空洞電圧V(t)の空洞位相φcabとの差である位相遅延φ(f)=φcab−φinを求める。
【0015】
また、入力正弦波に対して発生する高調波の振幅Vai(iは1からnの整数)を測定する。nは高調波の次数であり、考慮する次数までの数である。i=1の場合は基本波であり、基本波の伝達倍率g1(f)はVa1/Voaとして求める。考慮する次数までの非線形な増幅効果による伝達倍率g2(f)、g3(f)、・・・gn(f)を求める。g2(f)、g3(f)、gn(f)は、それぞれ、基本波周波数fの2次高調波の伝達倍率、3次高調波の伝達倍率、n次高調波の伝達倍率であり、式で表わすとg2(f)=Va2/Voa、g3(f)=Va3/Voa、gn(f)=Van/Voaである。発生器信号振幅Voa及び空洞電圧振幅Vai(iは1からn)は、伝達倍率gi(f)(iは1からnの整数)が振幅によって変化しない範囲で使用する。
【0016】
次にステップS002として、これらの求めた値を用いて、加速空洞4に発生する空洞電圧V(t)を以下の(1)式のように定義し、決定する。
V(t)=ΣVoa(t)gi(f)sin(θi(t)−φi(f)) ・・(1)
θi(t)=2πi∫f(t)dt ・・・(2)
ここで、Σはi=1からnまでの和であり、Voa(t)は発生器信号Vo(t)の発生器信号振幅Voaの関数であり、θi(t)は次数iの位相であり、φi(f)は次数iの位相差である。f(t)は発生器信号の周波数であり、∫は0からtまでの積分である。
【0017】
ステップS003として、(1)式の空洞電圧V(t)によるビーム電流が最大となるVoa(t)を、ビームシミュレーション等を用いて求める。ステップS004として、ステップS003で求めたVoa(t)を出力する低電力信号発生器9の指令値を求め、出力信号テーブルTsが決定される。
【0018】
出力信号テーブルTsの時間分割幅は、最も高い周波数の波形を十分な精度で実現できる分割幅に設定する。最も高い周波数は、f(t)が最大となる時の、考慮する最高次の高調波成分である。
【0019】
粒子加速器の動作を説明する。前段加速器12により所定のエネルギーまで加速された荷電粒子ビームは、入射装置5から加速管1に入射される。入射された荷電粒子ビームは偏向電磁石2により加速管1内を周回する。低電力信号発生器9は、周波数一定の発生器信号Vo(t)を発生させる。発生器信号Vo(t)は高周波電力増幅器10にて増幅され、インピーダンス変換器11によりインピーダンス整合されて加速空洞4に高周波加速電圧が印加される。荷電粒子ビームは、周波数一定の高周波加速電圧により高周波捕獲される。
【0020】
高周波捕獲後に、低電力信号発生器9は、同期信号発生器8の出力パルス信号を受け、この出力パルス信号に同期してメモリ15に格納された出力信号テーブルTsに基づき制御された波形の発生器信号Vo(t)を発生する。このとき発生器信号Vo(t)の周波
数は、加速された荷電粒子ビームの周回半径が一定となるように、偏向電磁石によって発生し、偏向磁石制御装置21により制御される、偏向磁場強度の変化と同調するように設定されている。出射装置6は、所望のエネルギーまで加速された荷電粒子ビームを、周回軌道から後段のビーム軌道に出射する。
【0021】
実施の形態1の粒子加速器は、低電力信号発生器9の出力部から加速空洞4までの間の
非線形な増幅効果によって発生する高調波があらかじめ含まれた形で、加速電圧を最適化することができる。したがって非線形な増幅効果によって生じる高調波の影響を含めて、最適な加速電圧を加速空洞4に印加することができ、効率的に粒子を加速することができる。
【0022】
また、高周波電力増幅器10の非線形な増幅効果に起因して発生する高調波を考慮して加速電圧を最適化することができるので、高周波電力増幅器10を線形性の低い範囲においても使用することができる。したがって高周波電力増幅器10として線形性の低いものを適用することができる。これにより高周波電力増幅器10の大型化や高性能化を抑制することができ、制御装置20を小型化することができる。
【0023】
以上のように、実施の形態1の粒子加速器によれば、荷電粒子ビームを加速する加速空洞4と加速空洞4に高周波加速電圧を印加する制御装置20を備え、制御装置20は、所定の低電力信号Vo(t)を出力する低電力信号発生器9と、低電力信号Vo(t)を高周波加速電圧に増幅する高周波電力増幅器10を有し、低電力信号Vo(t)は、正弦波信号である基本波信号の周波数及び基本波信号に起因して加速空洞4に発生する高調波信号の周波数毎に、低電力信号発生器9から出力される正弦波信号の発生器信号振幅Voaと加速空洞4に発生した空洞電圧V(t)の空洞電圧振幅Vaとの比である伝達倍率g(f)、及び正弦波信号と正弦波信号により加速空洞4に発生する正弦波空洞電圧との位相差である位相遅延φ(f)があらかじめ測定され、測定された伝達倍率g(f)及び位相遅延φ(f)に基づいて生成されるので、効率良く荷電粒子を加速できる。
【0024】
実施の形態2.
実施の形態2の粒子加速器は、基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、低電力信号発生器9の出力信号Vo(t)を、荷電粒子の空間電荷力による荷電粒子ビームの発散が抑制されるように、基本波に対し、高調波を重畳させた点で異なる。図3はこの発明の実施の形態2における低電力信号発生器の出力波形を示す図である。Vb1は基本波であり、Voは基本波に高調波を重畳させた発生器信号である。
【0025】
低電力信号発生器9が発生する発生器信号Vo(t)は(3)式のように表わす。
Vo(t)=ΣVoi(t) ・・・(3)
ここで、Σはi=1からnまでの和であり、Voi(t)は低電力信号発生器9の出力信号の周波数成分であり、iは1からnまでの整数である。i=1の場合は基本波成分であり、i=nの場合は第n次高調波成分である。低電力信号発生器9は発生器信号Vo(t)をメモリ15に格納された出力信号テーブルTsに基づき発生する。
【0026】
出力信号テーブルTsの作成手順を図2のフローチャートを用いて説明する。ステップS001として、低電力信号発生器9により発生させた正弦波である発生器信号Vo(t)を加速空洞4に入力し、加速空洞4に発生する電圧である空洞電圧V(t)を測定する。測定する空洞電圧V(t)の周波数は、低電力信号発生器9の出力信号の周波数成分、すなわち重畳する第n次高調波に相当する周波数を含む範囲で測定する。測定された空洞電圧V(t)から伝達倍率gi(f)および位相遅延φ(if)(iは1からnの整数)を求める。
【0027】
ステップS002として、加速空洞4に発生する空洞電圧V(t)を以下の(4)式のように定義する。
V(t)=ΣVai(t) ・・・(4)
ここで、Σはi=1からnまでの和であり、Vai(t)は空洞電圧V(t)の振幅の周波数成分であり、iは1からnまでの整数である。i=1の場合は基本波成分であり、i=nの場合は第n次高調波成分である。
【0028】
加速空洞4における伝達倍率は(5)式に示す行列として定義する。このとき低電力信号発生器9の出力電圧Vo(t)の周波数成分は(6)式のように表わすことができる。
【0029】
【数1】

【0030】
【数2】

【0031】
(5)式の伝達倍率gi(f)は基本波周波数fに対するi次高調波の伝達倍率である。伝達倍率g1(if)はi次高調波の1次伝達倍率であり、すなわちi次高調波の発生器信号に対する加速空洞4に発生した空洞電圧V(t)のi次高調波の伝達倍率である。伝達倍率行列式Γ(f)における左側の第1列には、各行に伝達倍率g1(if)が配置される。伝達倍率行列式Γ(f)の左対角成分は伝達倍率g1(if)が配置される。また、伝達倍率行列式Γ(f)のi行目におけるj列目の成分について、jがiの約数となる場合についてはgk(jf)が配置され、その他は0が配置される。ここでk=i/jである。
【0032】
(6)式は実施の形態1の式(1)とは異なり、位相成分であるsinの部分は空洞電圧
V(t)の周波数成分側に付けている。θi(t)は(2)式で表わされ、φ(f)、φ(if)は位相遅延である。φ(f)は基本波成分における発生器信号位相φinと空洞電圧V(t)の空洞位相φcabとの差である。φ(if)はi次高調波の位相遅延である。ψiは初期位相である。Γ(f)−1は伝達倍率行列式Γ(f)の逆行列である。
【0033】
ステップS003として、(4)式の空洞電圧V(t)によるビーム電流が最大となるi次成分の振幅Vai(t)及び初期位相ψiを、ビームシミュレーション等を用いて求める。ビーム電流が最大となるのは、基本波と高調波の組み合わせによる空間電荷効果ビームの発散の抑制効果が最大となる場合である。ステップS004として、ステップS003で求めた発生器信号Vo(t)を出力する低電力信号発生器9の指令値を求め、出力信号テーブルTsが決定される。
【0034】
高調波の重畳により、ビーム発散の抑制効果が得られる高調波として第3次高調波までを考慮する場合の式について説明する。基本波に起因する高調波についても、第3次高調波以上の高次の高調波に対しては伝達倍率が十分小さく無視できる。加速空洞4における伝達倍率は、(5)式を3行3列行列にした(7)式で表わすことができる。低電力信号発生器9の出力電圧Vo(t)の周波数成分は、(6)式を3次までの成分にした(8)式のように表わすことができる。
【0035】
【数3】

【0036】
【数4】

【0037】
実施の形態2の粒子加速器は、低電力信号発生器9の発生器信号Vo(t)は、基本波に高調波を重畳させると共に、高周波電力増幅器10の非線形な増幅効果に起因して発生する高調波を考慮して、低電力信号発生器9の発生器信号Vo(t)の各周波数成分の振幅は決定される。この発生器信号Vo(t)が各周波数成分に対する伝達倍率に従って増幅され、各周波数成分に対する位相遅れが発生し、精度良く各高調波成分の振幅及び位相が制御された加速電圧を発生することができる。したがって、空間電荷力によるビーム発散の低減に効果的な加速電圧を加速空洞4に発生することができ、効率的に粒子を加速することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明に係る粒子加速器は、高周波電圧を加速空洞に印加し、加速空洞に発生した電界にて荷電粒子を加速する粒子加速器に好適に適用できる。
【符号の説明】
【0039】
4 加速空洞 9 低電力信号発生器
10 高周波電力増幅器 15 メモリ
20 制御装置 Voa 発生器信号振幅
Va 空洞電圧振幅 g(f) 伝達倍率
g1(f) 基本波の伝達倍率 g2(f) 第2次高調波の伝達倍率
g3(f) 第3次高調波の伝達倍率 gi(f) 第i次高調波の伝達倍率
gn(f) 第n次高調波の伝達倍率 Vo(t) 発生器信号
Voi(t) 発生器信号の第i次高調波 Vo1(t) 発生器信号の基本波
Vo2(t) 発生器信号の第2次高調波 Vo3(t) 発生器信号の第3次高調波
φ(f) 位相遅延 φi(f) 位相遅延
Ts 出力信号テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームを加速する加速空洞と前記加速空洞に高周波加速電圧を印加する制御装置を備えた粒子加速器であって、
前記制御装置は、所定の低電力信号を出力する低電力信号発生器と、前記低電力信号を前記高周波加速電圧に増幅する高周波電力増幅器を有し、
前記低電力信号は、正弦波信号である基本波信号の周波数及び前記基本波信号に起因して前記加速空洞に発生する高調波信号の周波数毎に、前記低電力信号発生器から出力される正弦波信号の発生器信号振幅と前記加速空洞に発生した空洞電圧の空洞電圧振幅との比である伝達倍率、及び前記正弦波信号と前記正弦波信号により前記加速空洞に発生する正弦波空洞電圧との位相差である位相遅延があらかじめ測定され、測定された前記伝達倍率及び前記位相遅延に基づいて生成されることを特徴とする粒子加速器。
【請求項2】
前記低電力信号は、所定の周波数の基本波信号と前記基本波信号の周波数の整数倍の周波数の高調波信号を含むことを特徴とする請求項1記載の粒子加速器。
【請求項3】
前記低電力信号発生器は出力信号テーブルが記憶されたメモリを有し、前記所定の低電力信号は前記出力信号テーブルに基づいて出力されることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子加速器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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