説明

粒子及び粒子の製造方法、トナー及びその製造方法、並びに現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置

【課題】圧可塑性材料を従来より低い温度で可塑化することができる圧可塑性材料の可塑化方法を用いた粒子及び粒子の製造方法、帯電、経時変化などのトナー基本特性が良好であり、製造時に廃液を発生せずに環境負荷を低減することができ、かつ製造時における乾燥を不要として低コストで製造することができるトナー及びトナーの製造方法等の提供。
【解決手段】圧可塑性材料に圧縮性流体を接触させて前記圧可塑性材料を可塑化させ、前記圧縮性流体と前記可塑化材料とが界面を有する状態で、界面活性剤存在下にて、剪断力を加えて、前記圧縮性流体中で粒子を造粒する粒子の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮性流体を用いて圧可塑性材料を可塑化する圧可塑性材料の可塑化方法を用いた粒子及び粒子の製造方法、前記圧可塑性材料を含むトナー及びトナーの製造方法、並びに、該トナーを含む現像剤、該トナーを用いたプロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とに大別される。前記熱可塑性樹脂は、固体状の鎖状ポリマーからなり、加熱による軟化(可塑化)、及び、冷却による硬化を可逆的に繰り返すものであり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、などが挙げられる。一方、前記熱硬化性樹脂は、三次元に架橋した立体網目構造を有し、液状二成分の加熱により硬化反応を生じて固化するものであり、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、などが挙げられる。前記熱可塑性樹脂及び前記熱硬化性樹脂は、それぞれ、各樹脂の物性に基づいて加工される。
前記熱可塑性樹脂においては、低粘度化させて、流動状態として乳化するために、ガラス転移温度(Tg)以上に加熱処理して可塑化させたり、融点以上に加熱処理して溶融させたりすることによって加工されていたが、該加熱処理によりコスト高となったり、前記熱可塑性樹脂が劣化して耐久性が低下したり、前記熱可塑性樹脂の分子鎖切断により分子量が低下したり、前記熱可塑性樹脂の酸化により着色したり、前記熱可塑性樹脂の酸化により透明性が低下したりするという問題があった(例えば、特許文献1〜5参照)。
特に、開環性モノマーを重合させて得られる重合物は、溶融状態ではバックバイティングによる分子鎖切断が容易に起こりやすく、分解物は、成形時に異物発生の因子となる他、樹脂の物性(ガラス転移温度及び溶融粘度)を低下させ、成形加工性、熱安定性を著しく劣下させる(非特許文献1参照)。開環重合性モノマーの重合物としての一例として、ラクチドを出発原料とするポリ乳酸や、ε−カプロラクトンを出発原料とするポリカプロラクトン等が挙げられ、これらはポリエステルに分類される。これらの中でも、ポリ乳酸は、原料であるラクチド(環状ジエステル)が、天然物から製造可能である上に、色相、機械強度のバランスが取れたプラスチックであるため、トナー用途を含め、樹脂粒子としての利用が望まれていた。
【0003】
前記熱可塑性樹脂を用いた製品としては、例えば、トナーが挙げられる。該トナーを製造するためには、通常、トナーを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度又は融点よりも高い温度にトナーを加熱する必要がある(特許文献6及び7参照)。該トナーの製造時における加熱処理により、コスト高となるのみならず、トナー中に含まれる熱可塑性樹脂が劣化し、耐久性が低下し、分子量分布にばらつきが生じて、帯電性能、定着特性、耐熱保存性(経時変化)などのトナー基本特性が悪化するという問題があった。
【0004】
したがって、従来の方法により製造されたトナーに対し、帯電、経時変化などのトナー基本特性が良好であり、製造時に廃液を発生せずに環境負荷を低減することができ、かつ、製造時における乾燥を不要として低コストで製造することができるトナーは、未だ提供されていないことが現状であり、新たに樹脂を可塑化する方法、及び該方法を用いたトナーの製造方法の開発が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、圧可塑性材料を従来より低い温度で可塑化することができる圧可塑性材料の可塑化方法を用いた粒子及び粒子の製造方法、帯電、経時変化等のトナーの基本特性が良好であり、製造時に廃液を発生せずに環境負荷を低減することができ、かつ製造時における乾燥を不要として低コストで製造することができるトナー及びトナーの製造方法、並びに該トナーを用いた現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を行った結果、既存のポリマー(本発明では、「圧可塑性材料」とする)を、圧力が付与された特定の圧縮性流体に接触させることにより、加熱することなく可塑化させることができることを知見した(図7参照)。
図7は、縦軸がポリスチレン(圧可塑性材料)のガラス転移温度を示し、横軸が二酸化炭素(圧縮性流体)に付与された圧力を示すグラフである。
図7に示すように、各圧可塑性材料のガラス転移温度(熱分解温度)と、二酸化炭素(圧縮性流体)に付与された圧力とは、相関関係があり、その傾きは負である。前記傾きは、圧可塑性材料の種類、組成、分子量などによっていろいろと異なる。例えば、圧可塑性材料がポリスチレン樹脂の場合、その傾きは−9℃/MPaであり、スチレン−アクリル樹脂の場合は−9℃/MPa、非晶質性ポリエステル樹脂の場合は−8℃/MPa、非晶性ポリエステルの内ラセミ化を行ったポリ乳酸は−25℃/MPaで特に効果が大きい。また結晶性ポリエステル樹脂の場合は−2℃/MPa、ポリオール樹脂の場合は−8℃/MPa、ポリウレタン樹脂の場合は−7℃/MPa、ポリアリレート樹脂の場合は−11℃/MPa、ポリカーボネート樹脂の場合は−10℃/MPaである。
【0007】
また、トナーの製造において、従来の水系、有機溶媒の代わりに、圧縮性流体を使用することで、廃水、廃液を発生させず、残留溶媒も含有せず、乾燥エネルギーもほとんど必要としないことを知見した。
【0008】
更に、圧縮性流体の中でも、特に、二酸化炭素(超臨界二酸化炭素、液化二酸化炭素を含む)は、不燃性で安全性が高く、非水系溶媒として働くことから、トナーの製造において、二酸化炭素(超臨界二酸化炭素、液化二酸化炭素を含む)を使用することで、トナー表面も疎水性となり、また、常温、常圧で気体であるためトナーから容易に気散し、分離回収により再利用できることを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 圧可塑性材料に圧縮性流体を接触させて前記圧可塑性材料を可塑化させ、前記圧縮性流体と前記可塑化材料とが界面を有する状態で、界面活性剤存在下にて、剪断力を加えて、前記圧縮性流体中で粒子を造粒することを特徴とする粒子の製造方法である。
<2> 主鎖及び側鎖のいずれかに、パーフルオロアルキル基、ポリジメチルシロキサン基、及びポリエチレングリコール基から選択される少なくともいずれかを含有する界面活性剤を用いて造粒する前記<1>に記載の粒子の製造方法である。
<3> 可塑化させた圧可塑性材料の25℃での粘度が500mPa・s以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の粒子の製造方法である。
<4> 圧可塑性材料の可塑化される温度が、前記圧可塑性材料の熱分解温度以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の粒子の製造方法である。
<5> 圧可塑性材料が、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂及びポリカーボネート樹脂から選択される少なくとも1種である前記<1>から<4>のいずれかに記載の粒子の製造方法である。
<6> ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂が、いずれも開環性モノマーを重合させて得られる樹脂から選択される少なくとも1種である前記<5>に記載の粒子の製造方法である。
<7> 圧縮性流体が、超臨界二酸化炭素及び液化二酸化炭素のいずれかを含む前記<1>から<6>のいずれかに記載の粒子の製造方法である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする粒子である。
<9> 圧可塑性材料及び着色剤を含むトナー組成物に圧縮性流体を接触させて前記圧可塑性材料を可塑化させ、前記圧縮性流体と前記可塑化材料とが界面を有する状態で、界面活性剤存在下にて、剪断力を加えてトナーを造粒することを特徴とするトナーの製造方法である。
<10> 主鎖及び側鎖のいずれかに、パーフルオロアルキル基、ポリジメチルシロキサン基、及びポリエチレングリコール基から選択される少なくともいずれかを含有する界面活性剤を用いて造粒する前記<9>に記載のトナーの製造方法である。
<11> 可塑化させた圧可塑性材料の25℃での粘度が500mPa・s以下である前記<9>から<10>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<12> 圧可塑性材料の可塑化される温度が、前記圧可塑性材料の熱分解温度以下である前記<9>から<11>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<13> 圧可塑性材料が、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂及びポリカーボネート樹脂から選択される少なくとも1種である前記<9>から<12>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<14> ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂が、いずれも開環性モノマーを重合させて得られる樹脂から選択される少なくとも1種である前記<13>に記載のトナーの製造方法である。
<15> 圧縮性流体が、超臨界二酸化炭素及び液化二酸化炭素のいずれかを含む前記<9>から<14>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<16> 前記<9>から<15>のいずれかに記載のトナーの製造方法により製造されたことを特徴とするトナーである。
<17> 前記<16>に記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤である。
<18> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に前記<16>に記載のトナーで静電潜像を現像して可視像を形成する現像手段を少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
<19> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を前記<16>に記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程とを少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法である。
<20> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を前記<16>に記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、圧可塑性材料を従来より低い温度で可塑化することができる圧可塑性材料の可塑化方法、該圧可塑性材料の可塑化方法を用いた粒子及び粒子の製造方法、帯電、経時変化などのトナー基本特性が良好であり、製造時に廃液を発生せずに環境負荷を低減することができ、かつ、製造時における乾燥を不要として低コストで製造することができるトナー及びトナーの製造方法、並びに該トナーを用いた現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明のトナーの製造方法において使用する造粒装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略説明図である。
【図3】図3は、本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の一例を示す概略説明図である。
【図4】図4は、本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の他の一例を示す概略説明図である。
【図5】図5は、本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)の一例を示す概略説明図である。
【図6】図6は、図5に示す画像形成装置における一部拡大概略説明図である。
【図7】図7は、圧縮性流体の圧力が及ぼす圧可塑性樹脂のガラス転移温度の関係(モデル図)である。
【図8】図8は、振動式粘度計(Hydramotion社製、粘度計XL/7)を設置した高圧セルの一例を示す概略説明図である。
【図9】図9は、温度と圧力に対する物質の状態を示す一般的な相図である。
【図10】図10は、本発明に係る圧縮性流体の範囲を定義する相図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(粒子の製造方法及び粒子)
本発明の粒子の製造方法は、少なくとも、可塑化工程と、造粒工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含んでなる。
本発明の粒子は、本発明の粒子の製造方法により製造される。
以下、本発明の粒子の製造方法の説明を通じて、本発明の粒子の詳細についても明らかにする。
【0013】
<可塑化工程>
前記可塑化工程は、圧可塑性材料に圧縮性流体を接触させて前記圧可塑性材料を可塑化させる工程である。
前記圧可塑性材料の可塑化される温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、大気圧下での前記圧可塑性材料の熱分解温度以下であることが好ましく、融点温度以下がより好ましい。
ここで、前記熱分解温度は、熱分析装置(TGA)の測定において試料の熱分解に伴う重量減少が開始する温度を意味する。
前記圧可塑性材料の可塑化される温度が圧可塑性材料の大気圧での熱分解温度を超えると、前記圧可塑性材料が劣化して耐久性が低下したり、前記圧可塑性材料の分子鎖切断により分子量が低下したり、前記圧可塑性材料の酸化により着色したり、前記圧可塑性材料の酸化により透明性が低下したり、前記圧可塑性材料を含むトナーの定着特性が低下したり、前記圧可塑性材料を含むトナーの耐熱保存性が低下したり、前記圧可塑性材料を含むトナーの帯電性能が低下したり、加熱処理によりコスト高となったりすることがある。
【0014】
<<圧可塑性材料>>
前記圧可塑性材料としては、接触する圧縮性流体に付与された圧力の増加に応じてガラス転移を引き起こす温度が低下する材料、即ち、縦軸を圧可塑性材料のガラス転移温度(熱分解温度)とし、横軸を圧縮性流体に付与された圧力としたグラフにおいて、負の傾きを示す材料である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオール樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ロジン、変性ロジン、テルベン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ビニル樹脂が特に好ましい。
【0015】
前記ポリオール樹脂としては、エポキシ骨格を有するポリエーテルポリオール樹脂を意味し、(i)エポキシ樹脂、(ii)2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物又はそのグリシジルエーテル、(iii)エポキシ基と反応する活性水素を有する化合物を反応させ得られるポリオール樹脂、などが好適に用いられる。
前記圧可塑性材料は、圧力が付与された圧縮性流体と接触すると、圧可塑性材料のガラス転移温度Tg(熱分解温度)以下の温度で可塑化される。
前記ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、変性ポリエステル、未変性ポリエステル、非晶質性ポリエステル、結晶性ポリエステル、などが挙げられる。
【0016】
特に、溶融状態でバックバイティングによる分子鎖切断が容易に起こりやすい開環性モノマーを重合させたポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂において、より低い温度で溶融状態にできる本発明は大きな効果を奏する。
好ましいモノマーとしては、下記一般式Aで表される化合物のL体又はD体を脱水縮合して得られる環状2量体が挙げられる。
〔一般式A〕:R−C*−H(−OH)(COOH)
ただし、前記一般式A中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基を表す。
前記一般式Aで表される化合物の具体例としては、乳酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシブタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシペンタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘキサン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘプタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシオクタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシノナン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシウンデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシドデカン酸の鏡像異性体などが挙げられる。これらの中でも、乳酸の鏡像異性体が反応性及び入手性の観点から特に好ましい。これら環状2量体は単独で、あるいは数種を混合して使用することも可能である。
前記一般式A以外の環状エステルとしては、公知の環状エステル化合物を特に制限なく用いることができ、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、グリコリッド、ラクタイドなどの脂肪族のラクトンを挙げることができる。これらの中でも、ε−カプロラクトンが反応性、入手性の観点から特に好ましい。
前記エステル以外でも、環状エーテル、環状カーボネート、環状アミド(ラクタム)等が該当する。前記環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、前記環状カーボネートとしてはプロピレンカーボネート、前記環状アミドとしては、ε−カプロラクタム等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0017】
前記ビニル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン又はその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリアミド、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルメチルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、ブタジエン等の単量体の重合体、又はこれらの単量体の2種類以上からなる共重合体、或いはそれらの混合物などが挙げられる。
前記ウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0018】
<<圧縮性流体>>
前記圧縮性流体とは、物質が、図9で表される相図の中で、図10に示す(1)、(2)、(3)の何れかの領域に存在するときの状態を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。前記超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上かつ臨界圧力以上の状態にある流体のことである。また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、本発明においては、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、本発明においては、圧力が1/2Pc以上の高圧ガスを表す。
【0019】
前記圧縮性流体としては、圧力を付与した状態で流体となるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、超臨界流体、亜臨界流体、液化流体、などが挙げられる。これらの中でも、二酸化炭素を含むもの、例えば、超臨界二酸化炭素、亜臨界二酸化炭素、液化二酸化炭素、などが特に好ましい。
前記圧縮性流体に付与される圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1MPa以上が好ましく、2MPa〜200MPaがより好ましく、5MPa〜100MPaが特に好ましい。前記圧縮性流体に付与される圧力が、1MPa未満であると、樹脂が流動化しても造粒できる程の可塑化効果が得られないことがある。圧力はいくら高くても問題はないが、高圧になるほど装置が重厚になり設備コストは高くなる。
前記圧縮性流体が二酸化炭素の場合には、3.7MPa以上が好ましく、5MPa以上がより好ましく、臨界圧力の7.4MPa以上が更に好ましい。
【0020】
<<<超臨界流体及び亜臨界流体>>>
前記超臨界流体とは、気体と液体の中間的な性質を持ち、物質移動や熱移動が早く、粘度が低いなどの性質を有すると共に、温度、圧力を変化させことによって、その密度、誘電率、溶解度パラメータ、自由体積などを連続的に大きく変化させることができる流体を意味する。更に、前記超臨界流体は、有機溶媒と比べて極めて小さな界面張力のため、微少な起伏(表面)であっても追随し、超臨界流体で濡らすことができる。
前記超臨界流体としては、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度及び圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上、かつ、臨界圧力以上の状態にある流体である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度、臨界圧力が低いものが好ましく、また、前記亜臨界流体としては、前記臨界点近傍の温度及び圧力領域において高圧液体や高圧ガスとして存在する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
前記超臨界流体又は亜臨界流体としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、アンモニア、窒素、メタン、エタン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソブタン、クロロトリフロロメタン、などが挙げられる。これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力7.3MPa、臨界温度31℃と容易に超臨界状態をつくり出せると共に、不燃性で安全性が高く、後述するトナーの製造方法において、非水系溶媒なので疎水性表面のトナーが得られ、また常圧に戻すだけでガス化するため回収再利用も容易であり、得られたトナーについて乾燥が不要であり、廃液も発生せず、残留モノマーも含有しない点から好ましい。
前記超臨界流体又は前記亜臨界流体は、1種単独で単体として使用してもよいし、2種以上を併用して混合物として使用してもよい。また、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等の有機溶媒をエントレーナーとして添加して用いてもよい。
【0022】
<<<液化流体>>>
前記液化流体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液化二酸化炭素、液化メタン、液化エタン、液化プロパン、液化ブタンなどが挙げられる。これらの中でも、液化二酸化炭素が、不燃性で安全性が高い点から好ましい。
前記液化流体は、1種単独で単体として使用してもよいし、2種以上を併用して混合物として使用してもよい。
【0023】
<造粒工程>
前記造粒工程は、前記圧縮性流体と前記可塑化材料とが界面を有する状態で、界面活性剤存在下にて、剪断力を加えて、前記圧縮性流体中で粒子を造粒する工程である。
【0024】
<<界面活性剤>>
前記界面活性剤としては、前記圧縮性流体に対する親和性部分と前記トナー組成物に対する親和性部分を同一分子内に有している限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超臨界COの場合であれば、フッ素基、ケイ素基、カルボニル基、短い炭化水素基、プロピレンオキサイドなどの嵩高い基を有する化合物が、親CO基として作用するので好ましく、これらの中でも、フッ素含有化合物、ケイ素含有化合物、カルボニル基含有化合物、ポリエチレングリコール(PEG)基含有化合物が特に好ましい。
【0025】
前記フッ素含有化合物は、炭素数1〜30のパーフルオロアルキル基を有する化合物であれば特に制限はなく、低分子化合物であっても、高分子化合物であっても構わない。これらの中でも、高分子化合物は、界面活性能と、トナーにした場合の帯電性能、耐久性能の観点から好適である。
【0026】
前記フッ素含有高分子化合物としては、例えば、下記構造式(A)及び構造式(B)で表される化合物が挙げられる。なお、これらは、前記トナー組成物との親和性も考慮して、ホモポリマー、ブロック共重合体、ランダム共重合体などの化合物であってもよい。
【化1】

ただし、前記構造式(A)中、Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の低級アルキル基を表し、aは0〜4の整数を表し、Rfは、炭素数が1〜30のパーフルオロアルキル基、又はパーフルオロアルケニル基を表す。
【化2】

ただし、前記構造式(B)中、Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の低級アルキル基を表し、Rfは、炭素数1〜30のパーフルオロアルキル基、又はパーフルオロアルケニル基を表す。
【0027】
また、前記パーフルオロアルキル基を有する化合物に類似の化合物原料も多数市販されており(例えば、アヅマックス社カタログ)、それらを使用しても、各種フッ素含有化合物を得ることができる。
【0028】
前記ケイ素含有化合物としては、シロキサン結合を有する化合物であれば、特に制限はなく、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。これらの中でも、下記構造式(C)で表されるポリジメチルシロキサン(PDMS)を含有する化合物が好適である。なお、これらは、前記トナー組成物との親和性も考慮して、ホモポリマー、ブロック共重合体、ランダム共重合体などの化合物であってもよい。
【化3】

ただし、前記構造式(C)中、Rは、水素原子、又は炭素数1〜4の低級アルキル基を表し、nは繰りかえし数を表し、Rは、水素原子、水酸基、又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
また、これらポジメチルシロキサンに類似の化合物原料も多数市販されており(例えば、アヅマックス社カタログ)、それらを使用しても、いろいろな界面活性剤を得ることができる。特に、ケイ素含有化合物(商品名:MONASIL−PCA、クローダ社製)は良好な造粒性を示す。
【0029】
これらフッ素含有化合物、及びケイ素含有化合物の製造方法は、その原料となるビニル重合性モノマーを重合することで得ることができ、従来の溶媒以外に超臨界流体中(特に超臨界二酸化炭素が好適)でも重合できる。
【0030】
前記カルボニル基含有化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族系ポリエステル、ポリアクリレート、アクリル酸樹脂などが挙げられる。
【0031】
前記PEG基含有化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PEG基含有ポリアクリレート、ポリエチレングリコール樹脂などが挙げられる。
【0032】
前記界面活性剤の前記圧縮性流体中における含有量は、0.01質量%〜30質量%が好ましく、0.1質量%〜20質量%がより好ましい。
【0033】
<<剪断力>>
前記剪断力の付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PRIMIX社製TKホモミキサー、PRIMIX社製TKホモディスパー、TKロボミックス、キャビトロン社製キャビトロン、荏原製作所製エバラマイルダー等の機械式ミキサーや各種スタティックミキサー、各種マイクロミキサー(中心衝突型乱流ミキサー、スワール型ミキサー)などが挙げられる。
前記剪断力(剪断速度)の大きさとしては、乳化可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0034】
本発明の粒子の製造方法により製造された本発明の粒子としては、その形状、大きさ、材質、などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナー、化粧品原料、医薬品原料、食品原料、化学薬品原料などが挙げられる。これらの中でも、トナーが特に好ましい。
本発明の粒子は、有機溶剤を実質的に含まないものである。
【0035】
(トナー及びトナーの製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも、可塑化工程と、トナー造粒工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含んでなる。
本発明のトナーは、本発明のトナーの製造方法により製造される。
以下、本発明のトナー製造方法の説明を通じて、本発明のトナーの詳細についても明らかにする。
【0036】
<可塑化工程>
前記可塑化工程は、トナー組成物に圧縮性流体を接触させて前記トナー組成物における圧可塑性材料を可塑化させる工程である。
前記圧可塑性材料の可塑化される温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、大気圧下での前記圧可塑性材料の熱分解温度以下であることが好ましく、融点温度以下がより好ましい。
ここで、前記熱分解温度は、熱分析装置(TGA)の測定において試料の熱分解に伴う重量減少が開始する温度を意味する。
前記圧可塑性材料の可塑化される温度が圧可塑性材料の大気圧での熱分解温度を超えると、前記圧可塑性材料が劣化して耐久性が低下したり、前記圧可塑性材料の分子鎖切断により分子量が低下したり、前記圧可塑性材料の酸化により着色したり、前記圧可塑性材料の酸化により透明性が低下したり、前記圧可塑性材料を含むトナーの定着特性が低下したり、前記圧可塑性材料を含むトナーの耐熱保存性が低下したり、前記圧可塑性材料を含むトナーの帯電性能が低下したり、加熱処理によりコスト高となったりすることがある。
【0037】
<<トナー組成物>>
前記トナー組成物は、少なくとも、圧可塑性材料と、着色剤とを含み、圧縮性流体中で機能する界面活性剤、分散剤、離型剤、帯電制御剤、結晶性ポリエステル樹脂、更に、必要に応じて適宜選択した、その他の成分を含む。
【0038】
<<<圧可塑性材料>>>
前記圧可塑性材料は、上述した通りである。
【0039】
<<<着色剤>>>
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C.I.SOLVENT YELLOW(6,9,17,31,35,100,102,103,105)、C.I.SOLVENT ORANGE(2,7,13,14,66)、C.I.SOLVENT RED(5,16,17,18,19,22,23,143.145,146,149,150,151,157,158)、C.I.SOLVENT VIOLET(31,32,33,37)、C.I.SOLVENT BLUE(22,63,78,83〜86,191,194,195,104)、C.I.SOLVENT GREEN(24,25)、C.I.SOLVENT BROWN(3,9)などが挙げられる。
また、市販染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保土ケ谷化学社製の愛染SOT染料Yellow−1,3,4、Orange−1,2,3、Scarlet−1、Red−1,2,3、Brown−2、Blue−1,2、Violet−1、Green−1,2,3、Black−1,4,6,8;BASF社製のSudan染料Yellow−146,150、Orange−220、Red−290,380,460、Blue−670;三菱化成社製のダイアレジンYellow−3G,F,H2G,HG,HC,HL、Orange−HS,G、Red−GG,S,HS,A,K,H5B、Violet−D、Blue−J,G,N,K,P,H3G,4G、Green−C、Brown−A;オリエント化学工業社製のオイルカラーYEllow−3G,GG−S,#105、Orange−PS,PR,#201、Scarlet−#308,Red−5B,Brown−GR,#416、Green−BG、#502、Blue−BOS、IIN、Black−HBB,#803,EB,EX;住友化学工業社製のスミプラストブルーGP,OR、レッドFB,3B、イエローFL7G,GC;日本化薬社製のカヤロンポリエステルブラックEX−SF300、カヤセットRed−B、ブルーA−2R、等を使用することができる。
【0041】
前記着色剤の添加量は、特に制限はなく、着色度に応じて適宜選択することができるが、前記圧可塑性材料100質量部に対し1質量部〜50質量部が好ましい。
【0042】
<<<界面活性剤>>>
界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、PEG系界面活性剤、などが挙げられる。これらはパーフルオロアルキル基(Rf基)やポリジメチルシロキサン基(PDMS基)、ポリエチレングリコール基(PEG基)などを主鎖あるいは側鎖に少なくとも含有する化合物であり、オリゴマーや高分子の形態をとることもある。
具体的には、Rf基含有ビニルモノマーやPDMS基含有ビニルモノマー、PEG基含有ビニルモノマー等を重合したホモポリマー、あるいは前記ビニルモノマーと他のビニルモノマーとの共重合体などを挙げることができる。ビニルモノマーとしては、スチレンモノマーやアクリレートモノマー、メタクリレートモノマーなどが挙げられる。
また、Rf基やPDMS基、PEG基がオリゴマーもしくはポリマーの主鎖となり、側鎖にCOOH基やOH基、アミノ基、ピロリドン骨格などが導入されたものなどが例としてあげられるが、これらだけに限られるものではない。
前記のビニルモノマーに関しては多数市販されているので、目的に応じて適宜使用することができる。
下記一般式(1)にフッ素系界面活性剤の例を示す。
ここで、Rについては、水素原子、メチル基の他にも炭素数が2〜4の低級アルキル基(例えばエチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基など)が、Rについては、メチレン基、エチレン基の他にもアルキレン基(例えば、プロピレン基、イソプロレン基、2−ヒドロキシプロピル基、ブチレン基、2−ヒドロキシブチレン基など)が、Rfについては、炭素数が7〜10以外にも、炭素数1〜6や炭素数11〜20であるパーフルオロアルキル基なども挙げることができる。なかでも、Rが水素原子もしくはメチル基、Rがメチレン基もしくはエチレン基、Rfの炭素数が7〜10であるパーフルオロアルキル基が好適である。
また、これら一般的なフッ素基含有界面活性剤の製造方法としては、HCFC225などのフッ素系溶媒中でフッ素系ビニルモノマーを重合することによって合成されるが、HCFC225の代わりに、超臨界二酸化炭素を反応溶媒として使用して合成したものを使用する方が環境負荷を低減できる点で更に望ましい。更に詳しくは、「ふっ素樹脂ハンドブック」(里川孝臣編集 日刊工業新聞社発行)のP.730〜P.732にかけて記載がされている方法が挙げられる。
【化4】

【0043】
<<<分散剤>>>
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機微粒子、無機微粒子などを挙げることができる。これらの中でも、アクリル変性された無機微粒子、シリコーン変性された無機微粒子、フッ素変性された無機微粒子、含フッ素系有機微粒子、シリコーン系有機微粒子、などが好ましく、アクリル変性された無機微粒子がより好ましい。また、前記分散剤は、前記圧縮性流体に溶解することが好ましい。
【0044】
前記有機微粒子としては、例えば、超臨界流体中で不溶なアクリル系微粒子のシリコーン変性体、フッ素変性体を挙げることができる。
前記無機微粒子としては、例えば、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化チタン、ベントナイト、アルミナ、などの無機酸化物が挙げられる。これらの中でも、シリカが好ましい。
【0045】
前記アクリル変性された無機微粒子としては、例えば、無機微粒子表面に存在する残OH基を、フッ素原子を含有するシランカップリング剤などで、表面改質したものを挙げることができる。
ここで、下記反応式では、3−(Trimethoxysil)propyl methacrylateを用いて、シリカの表面改質した例を記載したが、目的が同じであれば、これ以外の方法であっても構わない。
【化5】

【化6】

【0046】
前記処理法で得られるアクリル変性された無機微粒子は、シリカ(Si)側で超臨界CO2側への親和性が高く、アクリレート側でトナー組成物に対する親和性が高くなっている。前記フッ素原子を含有するシランカップリング剤の具体例を以下に示す。
(1)CF(CHSiCl
(2)CF(CFSiCl
(3)CF(CF(CHSiCl
(4)CF(CF(CHSiCl
(5)CF(CFCHCHSi(OCH
(6)CF(CF(CHSi(CH)C1
(7)CF(CHSi(OCH
(8)CF(CHSi(CH)(OCH
(9)CF(CF(CHSi(OCH
(10)CF(CFCONH(CHSi(OC
(11)CF(CFCOO(CHSi(OCH
(12)CF(CF(CHSi(OCH
(13)CF(CF(CHSi(CH)(OCH
(14)CF(CFSONH(CHSi(OC
(15)CF(CF(CHSi(OCH
【0047】
前記分散剤の前記トナー組成物中における含有量は、0.1質量%〜30質量%が好ましく、0.2質量%〜20質量%がより好ましい。また、分散剤は、単独で使用するのが好ましいが、トナー粒径の制御やトナー帯電性能を考えると界面活性剤を併用してもよい。
【0048】
<<<離型剤>>>
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、などが好適に挙げられる。
前記ワックス類としては、例えば、低分子量ポリオレフィンワックス、合成炭化水素系ワックス、天然ワックス類、石油ワックス類、高級脂肪酸又はその金属塩、高級脂肪酸アミド、これらの各種変性ワックスなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記低分子量ポリオレフィンワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、などが挙げられる。
前記合成炭化水素ワックスとしては、例えば、フィッシャートロプシュワックス、などが挙げられる。
前記天然ワックス類としては、例えば、蜜ろう、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス、などが挙げられる。
前記石油ワックス類としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、などが挙げられる。
前記高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、などが挙げられる。
【0049】
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜160℃が好ましく、50℃〜120℃がより好ましく、60℃〜90℃が更に好ましい。
前記融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある他、定着機への紙の巻き付きなどが発生することがある。
【0050】
前記離型剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記圧可塑性材料100質量部に対し1質量部〜20質量部が好ましく、3質量部〜15質量部がより好ましい。
【0051】
<<<帯電制御剤>>>
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、などが挙げられる。これらの中でも、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン、ストロンチウム、ホウ素、ケイ素、ニッケル、鉄、クロム、ジルコニウム、などが挙げられる。
【0052】
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415、サリチル酸金属錯体のTN−105(以上、保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、などが挙げられる。
【0053】
前記帯電制御剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記圧可塑性材料100質量部に対し0.5質量部〜5質量部が好ましく、1質量部〜3質量部がより好ましい。前記添加量が、0.5質量部未満であると、トナーの帯電特性の悪化が見られることがあり、5質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
【0054】
<<<結晶性ポリエステル樹脂>>>
前記結晶性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、低温定着性に優れるという点で、分子量分布がシャープであり、且つ、低分子量のものが好ましく、o−ジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布で、横軸をlog(M)、縦軸を質量%で表した分子量分布図のピーク位置が3.5〜4.0の範囲にあり、ピークの半値幅が1.5以下であり、重量平均分子量(Mw)で1,000〜30,000、数平均分子量(Mn)で500〜6,000、Mw/Mnが2〜8であるものがより好ましい。
前記融解温度及びF1/2温度としては、耐熱保存性が悪化しない範囲で低いことが好ましく、DSC吸熱ピーク温度が50℃〜150℃であることがより好ましい。融解温度及びF1/2温度が、50℃未満であると、耐熱保存性が悪化し、現像装置内部の温度でブロッキングが発生しやすくなり、150℃を超えると、定着下限温度が高くなるため低温定着性が得られなくなる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価としては、紙と樹脂との親和性及び低温定着性の点で、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましい。また、前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価としては、ホットオフセット性の点で、45mgKOH/g以下が好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、低温定着性及び帯電特性の点で、0mgKOH/g〜50mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g〜50mgKOH/gがより好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記圧可塑性材料100質量部に対し、900質量部以下が好ましく、0.5質量部〜500質量部がより好ましく、1質量部〜100質量部が特に好ましい。該添加量が、1質量部未満であると、低温定着性が発揮できないことがあり、900質量部を超えると、ホットオフセット性が悪化することがある。
【0055】
<<<その他の成分>>>
前記その他の成分である流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
前記その他の成分であるクリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナー組成物に添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。前記ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好適である。
【0056】
<<圧縮性流体>>
前記圧縮性流体としては、上述した通りである。
【0057】
また、前記圧縮性流体は、目的生成物との分離も容易であり、回収再利用ができることから、前記圧縮性流体を用いることにより、従来の水や有機溶媒を使用しない低環境負荷の画期的なトナーの製造方法が実現できる。
【0058】
前記圧縮性流体中には、界面活性剤を含むことが好ましい。
前記界面活性剤としては、上述したものを用いることができる。
前記圧縮性流体に加え、他の流体を併用することもできる。該他の流体としては、前記トナー構成材料の溶解度をコントロールしやすいものが好ましい。具体的には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、などが好適に挙げられる。
【0059】
<トナー造粒工程>
前記トナー造粒工程は、前記圧縮性流体と前記可塑化材料とが界面を有する状態で、界面活性剤存在下にて、剪断力を加えて、前記圧縮性流体中でトナーを造粒する工程である。
【0060】
<<剪断力>>
前記剪断力の付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PRIMIX社製TKホモミキサー、PRIMIX社製TKホモディスパー、TKロボミックス、キャビトロン社製キャビトロン、荏原製作所製エバラマイルダー等の機械式ミキサーやスタティックミキサー、高圧ホモジナイザー、各種スタティックミキサー、各種マイクロミキサー(中心衝突型乱流ミキサー、スワール型ミキサー)などが挙げられる。
前記剪断力(剪断速度)の大きさとしては、乳化可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0061】
ここで、図1の造粒装置を用いたトナーの造粒方法について説明する。
図1において、のぞき窓のついた耐圧容器(VE1)に、トナー組成物と界面活性剤などを投入し蓋を閉め、すべてのバルブ(V1〜V3)を閉じ、恒温槽(H1)を用いて所定の温度まで昇温する。
次に、ミキサー(M2)で耐圧容器内をゆっくり攪拌しながら、バルブ(V1)を開け、COポンプ(PU1)を作動させ、所定の圧力になるまで、COボンベ(C1)からCOを導入した後、バルブ(V1)を閉じ、COポンプ(PU1)を止め、トナー組成物が充分に可塑化流動するのを目視で確認する。(このときトナー組成物は液状化するがCOには溶解せず、COとトナー組成物には界面が存在する。)
バルブ(V2)を開け、循環ポンプ(PU2)を作動させ、可塑化溶融(液状化)したトナー組成物をスタティックミキサー(M1)とミキサー(M2)により造粒を行う。粒子径の制御は、耐圧容器(VE1)ののぞき窓の外部に粒径測定装置のプローブを取りつけ、リアルタイムに観測を行いながら所定の粒子径になるように循環ポンプ(PU2)の流速とミキサー(M2)の回転数を制御することで行う。
造粒後は、バルブ(V2)を閉じ、循環ポンプ(PU2)を止め、ミキサー(M2)をゆっくりした攪拌に戻し、恒温槽を室温付近まで降温した後、バルブ(V3)を開け、COを排出した後、蓋を開け、造粒されたトナーを回収する。
排出されたCOは図示していない回収機構により回収され再利用される。
【0062】
本発明のトナーの製造方法により製造された本発明のトナーは、有機溶剤を実質的に含まないものである。
本発明のトナーは、その形状、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下のような、画像濃度、平均円形度、体積平均粒径、体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)などを有していることが好ましい。
【0063】
前記画像濃度は、分光計(X−ライト社製、938 スペクトロデンシトメータ)を用いて測定した濃度値が、1.9以上が好ましく、2以上がより好ましく、2.1以上が特に好ましい。
前記画像濃度が、1.9未満であると、画像濃度が低く、高画質が得られないことがある。
前記画像濃度は、例えば、imagio Neo 450(株式会社リコー製)を用いて、複写紙(TYPE6000<70W>、株式会社リコー製)に現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cmのベタ画像を定着ローラの表面温度が160℃±2℃で形成し、得られたベタ画像における任意の6箇所の画像濃度を、分光計(X−ライト社製、938 スペクトロデンシトメータ)を用いて測定し、その平均値を算出することにより、測定することができる。
【0064】
前記平均円形度は、前記トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値であり、例えば、0.9〜0.98が好ましく、0.95〜0.975がより好ましい。なお、前記平均円形度が0.94未満の粒子が15%以下であるものが好ましい。
前記平均円形度が、0.9未満であると、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがあり、0.98を超えると、ブレードクリーニングなどを採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがあり、あるいは、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。
【0065】
ここで、前記平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)を使用して測定することができる。例えば東亜医用電子社(株)製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000を用いて測定することができる。
測定は、フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として10−3cmの水中に測定範囲(例えば、円相当径0.6μm以上、159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10ml中にノニオン系界面活性剤(好ましくは和光純薬工業株式会社製コンタミノンN)を数滴加え、更に、測定試料を5mg加え、超音波分散器(SMT社製、UH−50)で20kHz,50W/10cmの条件で1分間分散処理を行い、更に、合計5分間の分散処理を行い測定試料の粒子濃度が4,000個/10−3cm〜8,000個/10−3cm(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.6μm以上、159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定する。
試料分散液は、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。
約1分間で、1,200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、0.06μm〜400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.6μm以上、159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行う。
【0066】
前記トナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm〜10μmが好ましく、3μm〜8μmがより好ましい。
前記体積平均粒径が、3μm未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、10μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
【0067】
前記トナーにおける体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)としては、1〜1.25が好ましく、1〜1.1がより好ましい。
前記体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)が、1.25を超えると、二成分現像剤では、現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーが薄層化し、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、また、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
【0068】
前記体積平均粒径、及び、前記体積平均粒径と個数平均粒子径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)は、例えば、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」などを用いて測定することができる。
【0069】
(現像剤)
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを少なくとも含有してなり、キャリアなどの適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
本発明の前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、本発明の前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
【0070】
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
【0071】
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50emu/g〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75emu/g〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30emu/g〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
【0072】
前記芯材の粒径としては、体積平均粒径で、10μm〜150μmが好ましく、40μm〜100μmがより好ましい。
前記平均粒径(体積平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
【0073】
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0074】
前記アミノ系樹脂としては、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる前記ポリビニル系樹脂としては、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。前記ポリスチレン系樹脂としては、例えばポリスチレン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂などが挙げられる。前記ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル等が挙げられる。前記ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0075】
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
【0076】
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
【0077】
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01質量%〜5質量%が好ましい。前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0078】
前記現像剤が前記二成分現像剤である場合、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90質量%〜98質量%が好ましく、93質量%〜97質量%がより好ましい。
【0079】
前記現像剤は、本発明の前記トナーを含有しているので、画像形成時において、帯電性能に優れ、高画質な画像を安定に形成することができる。
前記現像剤は、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができ、以下の本発明の前記トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に特に好適に用いることができる。
【0080】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、本発明の前記トナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
前記プロセスカートリッジは、画像形成装置本体に着脱可能であり、利便性に優れたものである。
前記現像手段としては、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
【0081】
ここで、前記プロセスカートリッジは、例えば、図2に示すように、静電潜像担持体101を内蔵し、帯電手段102、現像手段104、転写手段108、クリーニング手段107を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。図2中、103は露光手段による露光、105は記録媒体をそれぞれ示す。
次に、図2に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、静電潜像担持体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(不図示)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104で現像され、得られた可視像は転写手段108により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の静電潜像担持体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
【0082】
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
【0083】
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(以下、「電子写真感光体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
【0084】
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
【0085】
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
【0086】
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0087】
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、前記トナー入り容器を備えた現像器などがより好ましい。
【0088】
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
【0089】
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0090】
前記現像器に収容させる現像剤は、本発明の前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。該現像剤に含まれるトナーは、本発明の前記トナーである。
【0091】
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0092】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
【0093】
<定着工程及び定着手段>
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0094】
<除電工程及び除電手段>
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0095】
<クリーニング工程及びクリーニング手段>
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0096】
<リサイクル工程及びリサイクル手段>
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0097】
<制御工程及び制御手段>
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0098】
前記画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図3を参照しながら説明する。図3に示す画像形成装置100は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10(感光体10)と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
【0099】
中間転写体50は無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、図中矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍に中間転写体用クリーニングブレード90が配置されており、また、記録媒体95に可視像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、この中間転写体50上の可視像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、静電潜像担持体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と記録媒体95との接触部との間に配置されている。
【0100】
現像装置40は、現像剤担持体としての現像ベルト41と、この現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M、及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えている。イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えている。マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えている。シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラにより回転可能に張架され、一部が静電潜像担持体10と接触している。
【0101】
図3に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。該可視像(トナー像)が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
【0102】
前記画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図4を参照しながら説明する。図4に示す画像形成装置100は、図3に示す画像形成装置100において、現像ベルト41を備えてなく、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図3に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図4においては、図3におけるものと同じものは同符号で示した。
【0103】
前記画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図5を参照しながら説明する。図5に示すタンデム画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。タンデム画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図5中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、タンデム画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0104】
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
【0105】
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
【0106】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段、及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図6に示すように、それぞれ、静電潜像担持体10(ブラック用静電潜像担持体10K、イエロー用静電潜像担持体10Y、マゼンタ用静電潜像担持体10M、及びシアン用静電潜像担持体10C)と、該静電潜像担持体10を一様に帯電させる帯電装置160と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記静電潜像担持体を露光(図6中、L)し、該静電潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像装置61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用静電潜像担持体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用静電潜像担持体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用静電潜像担持体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用静電潜像担持体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0107】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
【0108】
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0109】
本発明の画像形成方法及び前記画像形成装置では、シャープな粒度分布を有し、帯電性、環境性、経時安定性などのトナー特性が良好である本発明の前記トナーを用いているので、高画質画像を形成することができる。
【実施例】
【0110】
以下、実施例により本発明について詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。
なお、この実施例は、本発明の「粒子の製造方法」を「トナーの製造方法」として使用する例であり、該「トナーの製造方法」により得られたトナーが、本発明の「トナー」に該当する。
【0111】
下記実施例では、以下のようにして、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)、ガラス転移温度(Tg)、酸価、並びにDSCの吸熱ピーク温度を測定した。
【0112】
<重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定>
GPC(gel permeation hromatography)法により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー株式会社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー株式会社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%の試料を1mL注入し、上記の条件で測定したポリマーの分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してトナーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出した。
【0113】
<ガラス転移温度(Tg)及びDSCの吸熱ピーク温度の測定>
装置:DSC(TAインスツルメンツ社製、Q2000)
試料5〜10mgをアルミニウム製の簡易密閉パンに充填したものを以下の測定フローに供した。
1st Heating: 30℃〜220℃、5℃/min.、220℃到達後1分保持
冷却: 温度制御なしで−20℃までクエンチ、−20℃到達後1分保持
2nd Heating: −20℃〜180℃、5℃/min.
ガラス転移点は、2nd Heatingのサーモグラムにおいてミッドポイント法を採用して値を読み取り、ガラス転移点として評価を行った。
DSCの吸熱ピーク温度は、同様の2nd Heatingのサーモグラムにおいて吸熱ピーク温度の値を読み取った。
【0114】
<酸価の測定>
酸価は、JIS K0070(化学製品の酸価)に従って測定を行った。
【0115】
(製造例1)
−低分子ポリエステルの合成−
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物230質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物530質量部、テレフタル酸220質量部、アジピン酸40質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応し、更に10mmHg〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸40質量部を入れ、常圧下、180℃で2時間反応し、[低分子ポリエステルNo.1]を得た。得られた[低分子ポリエステルNo.1]は、数平均分子量(Mn)2,700、重量平均分子量(Mw)6,500、ガラス転移温度(Tg)48℃、酸価23mgKOH/gであった。
【0116】
(製造例2)
製造例1において、低分子ポリエステルの原材料の配合量を変更した以外は、製造例1と同様にして、低分子ポリエステルNo.2〜4を作製した。得られた低分子ポリエステルNo.2〜4の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg)、及び酸価は、表1に示す。
【0117】
(製造例3)
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、L−乳酸のラクチド900質量部、D−乳酸のラクチド100質量部、開始剤のラウリルアルコール6質量部、及び2-エチルヘキシル酸スズ2質量部を仕込み、常圧下、200℃で3時間反応し、更に10mmHg〜15mmHgの減圧で1時聞反応し、[低分子ポリエステルNo.5]を合成した。
得られた[低分子ポリエステルNo.5]は、数平均分子量(Mn)10,000、重量平均分子量(Mw)17,000、ガラス転移温度(Tg)48℃、酸価3mgKOH/gであった。
【0118】
(製造例4)
耐圧容器に、L−乳酸のラクチド900質量部、D−乳酸のラクチド100質量部、開始剤のラウリルアルコール33質量部、及び4−ピロリジノピリジン(PPY)33質量部を仕込み、60℃まで暖めた。
次いで、超臨界二酸化炭素(60℃、10MPa)を充填し、60℃で12時間反応させた。
反応終了後、加圧ポンプと背圧弁を用い、背圧弁の出口側流量を5.0L/分に調整し、30分間、超臨界二酸化炭素をフローしてPPYと残留モノマー(ラクチド)を除去した。
次いで、徐々に常温、常圧まで戻し、3時間後に、容器内部のポリマー(ポリ乳酸)を取り出し、[低分子ポリエステルNo.6]を合成した。
得られた[低分子ポリエステルNo.6]は、数平均分子量(Mn)20,000、重量平均分子量(Mw)27,000、ガラス転移温度(Tg)52℃、酸価3mgKOH/gであった。
【0119】
【表1】

【0120】
(製造例5)
−マスターバッチ(MB)の作製−
水1,200質量部、カーボンブラック(Reagal400R、キャボット社製)540質量部〔DBP吸油量=71ml/100g〕、及びポリエステル樹脂(低分子ポリエステルNo.1)1,200質量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕して、[マスターバッチ1]を得た。
【0121】
(製造例6)
製造例5において、使用した顔料、樹脂の代わりに下記の顔料、樹脂を用いた以外は、製造例5と同様にして、下記表2に示すマスターバッチNo.2〜6を作製した。
【表2】

表2中、ポリエステル樹脂としては、低分子ポリエステルNo.1を用い、スチレン−アクリル樹脂としては、以下のようにして合成した樹脂を使用した。
【0122】
冷却管、窒素導入管、及び攪拌機のついた反応容器中に、スチレン330質量部、n−ブチルアクリレート110質量部、アクリル酸10質量部、及び2−ブタノン(溶媒)50質量を投入し、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部を上記原料に溶解し、重合性単量体組成物を調製した。該重合性単量体組成物を60℃で8時間重合反応を行った後、150℃まで昇温し、減圧下で脱溶剤し、反応容器から取り出した。室温まで冷却した後、粉砕し、粒子化して、ガラス転移温度(Tg)65℃のスチレン−アクリル樹脂を得た。
【0123】
(製造例7)
−結晶性ポリエステル樹脂の合成−
窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,4−ブタンジオール2,070質量部、フマル酸2,535質量部、無水トリメリット酸291質量部、及びハイドロキノン4.9質量部を入れ、160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、更に8.3kPaにて1時間反応させて、結晶性ポリエステル樹脂No.1を合成した。
得られた結晶性ポリエステル樹脂No.1のDSCの吸熱ピーク温度123℃、数平均分子量(Mn)710、重量平均分子量(Mw)2,100であった。
【0124】
(製造例8)
製造例7において、アルコール成分と酸成分の種類と量を変更した以外は、製造例7と同様にして、下記表3に示す結晶性ポリエステル樹脂No.2〜7を合成した。
【表3】

【0125】
(製造例9)
−トナー組成物No.1の調製−
低分子ポリエステルNo.1を750質量部、マスターバッチ1を190質量部、ワックス(日本精蝋株式会社製、HNP9)60質量部、帯電制御剤(オリエント化学工業株式会社製、E−84)50質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕し、[トナー組成物No.1]を得た。
【0126】
(製造例10)
製造例9において、低分子ポリエステル、マスターバッチ、ワックス、及び帯電制御剤の種類と量を変更した以外は、製造例9と同様にして、下記表4に示すトナー組成物No.2〜13を作製した。
【表4】

【0127】
(製造例14)
−トナー組成物No.14の調製−
低分子ポリエステルNo.3を700質量部、マスターバッチ3を160質量部、ワックス(日本精蝋株式会社製、HNP9)を60質量部、帯電制御剤(保土谷化学株式会社製、TN−105)を25質量部、結晶性ポリエステル樹脂No.1を50質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕し、[トナー組成物No.14]を得た。
【0128】
(製造例15)
製造例14において、下記表5に示すように結晶性ポリエステル樹脂を変更した以外は、製造例14と同様にして、下記表5に示すトナー組成物No.15〜20を作製した。
【表5】

【0129】
前記調製したトナー組成物No.1〜20の高圧力下でのトナー組成物の溶融粘度を高圧セルに設置した振動式粘度計(Hydramotion社製、粘度計XL/7)を用いて測定した(図8参照)。
【0130】
<測定方法>
1.温調器付き高圧セルに試料を入れた後、密閉する。
2.試料を攪拌しながらバルブ(V1)を開け、ポンプ(P1)でCOを高圧セルに送る。この時、所定の温度、圧力になるように背圧弁をセットする。
3.温度、圧力が一定となった後、粘度測定を開始し、粘度が低下し充分一定となったところを、その時の粘度として記録する。
粘度測定結果を下記に示す。
(1)トナー組成物No.1 :380mPa・s(50℃、30MPa)
(2)トナー組成物No.2 :370mPa・s(70℃、25MPa)
(3)トナー組成物No.3 :280mPa・s(60℃、60MPa)
(4)トナー組成物No.4 :1,230mPa・s(100℃、10MPa)
(5)トナー組成物No.5 :330mPa・s(50℃、50MPa)
(6)トナー組成物No.6 :400mPa・s(40℃、100MPa)
(7)トナー組成物No.7 :360mPa・s(50℃、50MPa)
(8)トナー組成物No.8 :190mPa・s(100℃、30MPa)
(9)トナー組成物No.9 :250mPa・s(60℃、100MPa)
(10)トナー組成物No.10:470mPa・s(50℃、30MPa)
(11)トナー組成物No.11:200mPa・s(100℃、20MPa)
(12)トナー組成物No.12:500mPa・s(100℃、30MPa)
(13)トナー組成物No.13:800mPa・s(100℃、20MPa)
(14)トナー組成物No.14:90mPa・s(100℃、100MPa)
(15)トナー組成物No.15:300mPa・s(80℃、20MPa)
(16)トナー組成物No.16:210mPa・s(80℃、50MPa)
(17)トナー組成物No.17:440mPa・s(90℃、10MPa)
(18)トナー組成物No.18:310mPa・s(70℃、50MPa)
(19)トナー組成物No.19:340mPa・s(70℃、30MPa)
(20)トナー組成物No.20:180mPa・s(50℃、60MPa)
【0131】
(製造例16)
<界面活性剤S1の合成>
(1H,1H−パーフルオロオクチル)エチルアクリレート(アヅマックス社製)1250質量部とAIBN(和光純薬工業株式会社製、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)6.25質量部とを、耐圧容器に入れ(耐圧容器の50体積%)、超臨界流体として二酸化炭素を選択し、該二酸化炭素を供給ボンベにより、前記耐圧容器内に供給し、加圧ポンプと温度調整器で30MPa、85℃に調節しながら、24時間反応を行った。次いで、0℃まで温度を下げ、背圧弁を使用して常圧まで圧力を下げ、界面活性剤S1を得た。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定による数平均分子量(Mn)は、30,000であった。
【0132】
(実施例1)
前記トナー組成物No.1を95質量部、界面活性剤(クローダ社製、モナシルPCA)5質量部を計量し、図1の装置に投入し、全てのバルブ(V1〜V3)を閉じ、恒温槽(H1)を50℃にした。
次に、ミキサー(M2)で耐圧容器内をゆっくり攪拌しながら、バルブ(V1)を開け、COポンプ(PU1)を作動させ、圧力30MPaになるまでCOを導入した後、バルブ(V1)を閉じ、COポンプを止め、トナー組成物が充分に可塑化流動するのを目視で確認した。トナー組成物は液状化していたがCOには溶解せず、COとトナー組成物には界面が存在していた。
バルブ(V2)を開け、循環ポンプ(PU2)を作動させた。
スタティックミキサー(M1)には、フジキン株式会社製スタティックミキサー(商品名:分散君)を用いた。この時、ミキサー(M2)の攪拌速度は、攪拌羽根の周速で8m/sであった。造粒後、バルブ(V2)を閉じ、循環ポンプ(PU2)を止め、ミキサー(M2)をゆっくりとした攪拌に戻し、恒温槽を室温付近まで降温した後、バルブ(V3)を開け、COを排出した後、蓋を開け、造粒されたトナー母体1(体積平均粒径5μm)を得た。
【0133】
(実施例2〜20)
実施例1において、トナー組成物No.1を前記トナー組成物No.2〜20に変更し、トナー造粒を行う際の温度、圧力条件を、それぞれ前記粘度測定を行った時の条件と一致させた以外は、実施例1と同様に操作し、トナー母体2〜20を得た。得られたトナー母体2〜20は、それぞれトナー組成物No.2〜20に対応する。
【0134】
(実施例21)
実施例1において、界面活性剤をクローダ社製モナシルPCAから製造例16で得た界面活性剤S1を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナー母体21(体積平均粒径4.7μm)を得た。
【0135】
得られたそれぞれのトナー母体100質量部に疎水性シリカ0.7質量部と、疎水化酸化チタン0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて周速8m/sの条件にて5分間混合した。混合後の粉体を目開き100μmのメッシュに通過させ、粗大粉を取り除いた。次に、この外添剤処理を施したトナー5質量%とシリコーン樹脂を被覆した平均粒子径が40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95質量%とを容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、現像剤No.1〜21(二成分現像剤)を調製した。現像剤No.1〜21は、それぞれトナー母体1〜21に対応する。
【0136】
次に、実施例1と同様にして得られたトナー母体100質量部に、疎水性シリカ0.7質量部と、疎水化酸化チタン0.3質量部とを添加し、ヘンシェルミキサーにて周速8m/sの条件にて5分間混合した現像剤No.22〜41(一成分現像剤)を調製した。現像剤No.22〜41は、それぞれトナー母体1〜20に対応する。
【0137】
(比較例1)
実施例1のトナー組成物No.1をヘンシェルミキサー中で十分撹拌混合した後、2軸押出し機にて混練し、冷却後粉砕し、分級して体積平均粒径7.5μmのブラック色の母体トナー(比較トナー1)を得た。
混錬条件については、混練物を低温(混練物が溶融状態になる範囲での最低温度)の状態で混錬を行うべく、混錬機の温度設定を行った結果、混練機出口での混錬品の温度が120℃となるよう混錬機の温度設定を行った。
得られた比較トナー1を100質量部に疎水性シリカ0.7質量部と、疎水化酸化チタン0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにて周速8m/sの条件にて5分間混合した。次に、この外添剤処理を施したトナー5質量%と、シリコーン樹脂を被覆した平均粒子径が40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95質量%とを容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用い、均一混合し帯電させて、二成分現像剤である比較現像剤1を調製した。
【0138】
(比較例2)
比較例1において、実施例12のトナー組成物No.12を使用した以外は、比較例1と同様にして、比較トナー2及び比較現像剤2を調製した。
【0139】
(比較例3)
比較例1における比較トナー1を100質量部に疎水性シリカ0.7質量部と、疎水化酸化チタン0.3質量部とを添加し、ヘンシェルミキサーにて周速8m/sの条件にて5分間混合して、一成分現像剤である比較現像剤3を調製した。
【0140】
(比較例4)
比較例2における比較トナー2を100質量部に疎水性シリカ0.7質量部と、疎水化酸化チタン0.3質量部とを添加し、ヘンシェルミキサーにて周速8m/sの条件にて5分間混合して、一成分現像剤である比較現像剤4を調製した。
【0141】
得られた各トナーについて、以下のようにして、トナーの粒径分布を測定した。結果を表6及び表7に示す。
【0142】
<トナーの体積平均粒径(Dv)、及び粒径分布(Dv/Dn)の測定>
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100mL〜150mL中に分散剤として界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、商品名ドライウェル)を0.1mL〜5mL加えた。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて1質量%NaCl水溶液を調製したもので、例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2mg〜20mg加えた。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1分間〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出した。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0143】
次に、得られた現像剤No.1〜41及び比較現像剤No.1〜4について、画像形成装置(二成分現像剤の評価には、株式会社リコー製、IPSio Color 8100を使用、一成分現像剤の評価には、株式会社リコー製、imagio Neo C200を使用)に装填し、画像を出力して、以下のようにして評価した。結果を表7及び表8に示す。
【0144】
<画像濃度>
普通紙の転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)に低付着量となる0.3±0.1mg/cmの付着量におけるベタ画像出力後、画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定し、画像濃度1.4以上を◎、1.35以上1.4未満を○、1.3以上1.35未満を△、1.3未満を×とした。
【0145】
<クリーニング性>
画像面積率95%チャートを1,000枚出力後のクリーニング工程を通過した感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム株式会社製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:ブランクとの差が0.005未満である
○:ブランクとの差が0.005〜0.010である
△:ブランクとの差が0.011〜0.02である
×:ブランクとの差が0.02を超える
【0146】
<転写性>
画像面積率20%チャートを感光体から紙に転写後、クリーニングの直前における感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム株式会社製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:ブランクとの差が0.005未満である
○:ブランクとの差が0.005〜0.010である
△:ブランクとの差が0.011〜0.02である
×:ブランクとの差が0.02を超える
【0147】
<トナー飛散>
温度40℃、湿度90%RHの環境下、画像形成装置(株式会社リコー製、IPSiO Color8100)をオイルレス定着方式に改造してチューニングした評価機を用いて、各トナーを用いて画像面積率5%チャート連続100,000枚出力耐久試験を実施後の画像形成装置内のトナー汚染状態を目視にて、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:トナー汚れがまったく観察されず良好な状態である
○:わずかに汚れが観察される程度であり問題とならない
△:少し汚れが観察される程度である
×:許容範囲外で非常に汚れがあり問題となる
【0148】
<帯電安定性>
各トナーを用いて、画像面積率12%の文字画像パターンを用いて、連続10万枚出力耐久試験を実施し、そのときの帯電量の変化を評価した。スリーブ上から現像剤を少量採取し、ブローオフ法により帯電量変化を求め、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:帯電量の変化が5μc/g未満である
△:帯電量の変化が5μc/g以上10μc/g以下である
×:帯電量の変化が10μc/gを超える
【0149】
<フィルミング>
画像面積率100%、75%、及び50%の帯チャートを1,000枚出力後の現像ローラ、及び感光体上のフィルミングを観察し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:まったくフィルミングが発生していない。
○:うっすらとフィルミングの発生を確認できる。
△:スジ状にフィルミングが発生している。
×:全面にフィルミングが発生している。
【0150】
【表6−1】

【表6−2】

【0151】
【表7−1】

【表7−2】

【0152】
表6及び表7の結果から、超臨界流体中で得られた重合法トナーを用いた実施例1〜41の現像剤No.1〜41は、比較例1〜4の比較現像剤No.1〜4に比べ、画像濃度、クリーニング性、転写性、トナー飛散、帯電安定性、フィルミングに対して優れ、高画像濃度が得られることが確認された。
また、本発明のトナーの製造方法では、廃液が発生せず、常圧に戻すだけで、いきなり乾燥した重合法トナーが得られることから、低コスト、低環境負荷、省エネルギー、省資源の面で従来工法にない画期的なトナー製造方法を提供できることも判った。
【0153】
実施例1で作製されたトナー母体及び比較例1の比較トナー1の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の結果を表8に示す。
【0154】
【表8】

【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明の粒子の製造方法は、トナーの製造方法などに幅広く使用できる。更に、本発明のトナーの製造方法により製造されたトナーは、例えば、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機、直接又は間接の電子写真多色画像現像方式を用いたフルカラー複写機、フルカラーレーザープリンター、及びフルカラー普通紙ファックスなどに幅広く使用できる。
【符号の説明】
【0156】
C1 COボンベ
H1 恒温槽
M1 スタティックミキサー
M2 ミキサー
V1 バルブ
V2 バルブ
V3 バルブ
VE1 バルブ
PU1 COポンプ
PU2 循環ポンプ
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ベルト
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100 画像形成装置
101 静電潜像担持体(感光体)
102 帯電手段
103 露光
104 現像手段
105 記録媒体
107 クリーニング手段
108 転写手段
112 噴出容器
113 噴出ノズル
114 圧力センサ
117 ヒーター
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
160 帯電装置
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0157】
【特許文献1】特開2003−82216号公報
【特許文献2】特開2006−208934号公報
【特許文献3】特公昭62−61235号公報
【特許文献4】特開2009−157236号公報
【特許文献5】特開2009−151222号公報
【特許文献6】特開2004−323727号公報
【特許文献7】特許第4113452号公報
【非特許文献】
【0158】
【非特許文献1】ポリ乳酸、第107頁、2008年4月11日、株式会社米田出版社発行

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧可塑性材料に圧縮性流体を接触させて前記圧可塑性材料を可塑化させ、前記圧縮性流体と前記可塑化材料とが界面を有する状態で、界面活性剤存在下にて、剪断力を加えて、前記圧縮性流体中で粒子を造粒することを特徴とする粒子の製造方法。
【請求項2】
主鎖及び側鎖のいずれかに、パーフルオロアルキル基、ポリジメチルシロキサン基、及びポリエチレングリコール基から選択される少なくともいずれかを含有する界面活性剤を用いて造粒する請求項1に記載の粒子の製造方法。
【請求項3】
可塑化させた圧可塑性材料の25℃での粘度が500mPa・s以下である請求項1から2のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【請求項4】
圧可塑性材料の可塑化される温度が、前記圧可塑性材料の熱分解温度以下である請求項1から3のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【請求項5】
圧可塑性材料が、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂及びポリカーボネート樹脂から選択される少なくとも1種である請求項1から4のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【請求項6】
ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂が、いずれも開環性モノマーを重合させて得られる樹脂から選択される少なくとも1種である請求項5に記載の粒子の製造方法。
【請求項7】
圧縮性流体が、超臨界二酸化炭素及び液化二酸化炭素のいずれかを含む請求項1から6のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする粒子。
【請求項9】
圧可塑性材料及び着色剤を含むトナー組成物に圧縮性流体を接触させて前記圧可塑性材料を可塑化させ、前記圧縮性流体と前記可塑化材料とが界面を有する状態で、界面活性剤存在下にて、剪断力を加えてトナーを造粒することを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載のトナーの製造方法により製造されたことを特徴とするトナー。
【請求項11】
請求項10に記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
【請求項12】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に請求項10に記載のトナーで静電潜像を現像して可視像を形成する現像手段を少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項13】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を請求項10に記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程とを少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項14】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項10に記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。

【図2】
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【図6】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−206759(P2011−206759A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225436(P2010−225436)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】