説明

粒子状物質センサにおける汚染の識別特性を検出診断するための方法及びシステム

【課題】電気伝導性粒子状物質センサの動作状態を診断するための診断方法及びシステムを提供する。
【解決手段】センサは、温度とともに変化する電気抵抗を有する基板と、電極間の粒子状物質を捕集するように構成される基板上の2つの電極とを含み、それにより電極間で捕集された粒子状物質を介して電気伝導経路を構築し、電気伝導経路は電極間の電気抵抗であるRelectを測定することにより検出される。診断は、基板の電極間の領域を加熱して、電極間の抵抗を用いてセンサ表面上に汚染が存在するかを決定することにより実行される。検出された汚染物質の燃焼除去を試みるために熱はセンサ上で維持され、次に読み取られる抵抗値が、汚染物質が首尾よく燃焼除去されたかを決定するために用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、一般に煤等の電気伝導性粒子状物質を検出するためのセンサに関し、より詳細にはそのようなセンサの故障の可能性を診断するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 重油、ディーゼル燃料等の重質の炭化水素化合物の不完全燃焼は、粒子状物質の形成(例えば、煤)につながる。内燃機関の動作において、過剰な粒子状物質の形成は、エンジンの「排煙(smoking)」に至ることがあり、気相状態の排気ガスの一炭化炭素、炭化水素、及び他の汚染物質成分は比較的少ないとしても、大気汚染を生じさせる。排ガス規制により、多くのエンジンには粒子状物質排出レベルの抑制が求められ、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)等のさまざまな制御技術がこの目的で採用されている。
【0003】
[0003] 例えば、DPFの効率を評価するために、所定のタイプの内燃機関の排気流において粒子状物質の排出をモニタして、排気ガスから排出される粒子濃度のレベルを検出する粒子状物質センサシステムを設けることが知られている。さまざまな粒子状物質センサが提案されており、ユキヒサ(Yukihisa)らによる米国特許番号第4656,832号、ボッシュ(Bosch)らによる米国特許番号第6,634,210号、米国特許公開番号第2008/0283398号明細書、米国特許公開番号第2008/0282769号明細書、及び米国特許公開番号第2009/0139081号明細書に示されるものを含み、これらすべての出願の内容全体を参照によってここに援用する。
【0004】
[0004] 上述したような粒子状物質センサは、基板上に距離をあけて配置される一対の検出電極を有するのが通常である。検出電極は、導電リード線により測定回路に接続される。粒子状物質センサの動作原理は、検出電極上に(又は電極を覆うように)堆積した粒子状物質(例えば、煤)の導電度に基づく。センサが清浄である時には検出電極間の電気抵抗は比較的高いが、この抵抗は煤粒子状物質が堆積するにつれて低下する。これらのセンサは、煤粒子状物質を燃焼除去(バーンオフ)してセンサを既知の基準となる「清浄」状態に「リセット」するために、選択的に作動可能なヒータも有する。
【0005】
[0005] しかし、診断の目的で、さまざまなエンジン運転状況時に発生し得るさまざまな状態を区別することは難しい。例えば、(i)センサが、電極に堆積した非導電性又は半導電性の汚染物質により「汚染」されて、煤が電極に接触するのを妨げる場合等の故障状態は、検出電極間における非常に高い抵抗として現れ、(ii)センサが清浄されたばかりの場合等の正常状態も、非常に高い抵抗として現れる。
【0006】
[0006] したがって、さまざまなエンジン運転状況において、センサの状態を正確に区別することができる粒子状物質センサの診断法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 本発明は、電気伝導性粒子状物質センサの動作状態を診断する方法に関し、センサは、温度とともに変化する電気抵抗を有する基板と、電極間の粒子状物質を捕集するように構成される基板上の2つの電極とを含み、それにより電極間で捕集された粒子状物質を介して電気伝導経路を構築し、電気伝導経路は電極間の電気抵抗であるRelectを測定することにより検出される。本発明に従う方法は、
(a)基板の電気抵抗を修正するのに十分な量の、センサへの熱の供給を命令し、かつRelectが基板上の汚染物質の加熱と整合する形で変化するかを検出するステップと
(b)ステップ(a)においてRelectが基板上の汚染物質の加熱と整合する形で変化する場合は、センサの汚染状態を診断するステップと
を含む。
【0008】
[0008] 本発明の例示的な実施形態はさらに、上記した電気伝導性粒子状物質センサの故障状態を診断するためのマシン可読コンピュータプログラムコードでコード化された記憶媒体に関し、記憶媒体は、コンピュータに上述の方法を実施させる命令を含む。
【0009】
[0009] 本発明の別の例示的な実施形態は、上記の電気伝導性粒子状物質センサのための診断システムに関し、システムは、センサと通信しているマイクロプロセッサと、マイクロプロセッサに上記の方法を実行させるための命令を含む記憶媒体とを含む。
【0010】
[0010] これら及び他の利点及び特徴は以下の記載及び図面からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[0011] 本発明とされる主題は、明細書の終わりに請求項において、詳細に指摘されて明確に主張される。上述した特徴及び他の特徴、並びに発明の効果は、以下に記載する発明の詳細な説明及び添付図面から明らかにされる。
【図1】図1は、本発明の診断が実行される対象である粒子状物質検出システムの電気回路図である。
【図2】図2は、本発明の診断が実行される対象である別の粒子状物質検出システムの電気回路図であり、バイアス抵抗器が組み込まれている。
【図3】図3は、図2の粒子状物質検出システムに見られるような検出素子の分解斜視図である。
【図4】図4は図2の粒子状物質検出システムに見られるような検出素子の平面図である。
【図5】図5は、本発明の態様を含む電気回路図である。
【図6】図6は、本発明の態様を取り入れた粒子状物質検出システムで観測されるパラメータの値を示す図である。
【図7】図7は、エンジン制御モジュール及び粒子状物質センサを示す概略図である。
【図8】図8は、本発明の例示的な実施形態において用いるために考えられた制御アルゴリズムの一部を示すフロー概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0020] 図を参照して本発明を特定の実施形態に関連して説明するが、これに限定するものではない。
[0021] 本発明によるアルゴリズムを説明し特許請求するに当たり、文字及び命名規則は数値(例えば、ROBD_hot,KR_OBD_cont_pct)を示すために任意に使用される。これらの命名規則は、ただ本発明の記載を読み易くするために使用されるものであり、機能的重要性を持たせる意図は全くない。これらの数値の表現は、例えば、完全に任意の記載(例えば、R,R,K,K)が用いられるのと全く同じようなものとする。さらに、本発明の実施において、電極間の抵抗の測定は、当該分野で周知のように、既知の電流を電極間に印加し、電極間の電圧差を測定し、かつオームの法則を用いて抵抗を計算することにより行われる。当然ながら、本発明のアルゴリズムにおいて、さまざまな定抵抗値及び式を電圧へ変換することにより、抵抗値の代わりに単に電圧値を用いることも可能であり、このような代替的な実施形態は本発明の範囲内にあると考えられる。
【0013】
[0022] 本発明の実施に用いられる例示的な粒子状物質センサは、検出素子及び加熱素子を備えるのが通常であり、検出素子は、基板上で互いに近接し、その間に粒子状物質が蓄積されるように構成された少なくとも2つの検出電極を含むがそれに限定されるものではなく、加熱素子は、温度センサ及びヒータを含むがそれに限定されるものではない。センサは、検出素子、温度センサ、ヒータ、及び上記の少なくとも1つを含む組み合わせを含む多層構造から成り、例えば多層技術により形成されて一つの構造に含められる。
【0014】
[0023] 検出電極は、金、プラチナ、オスミウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等の金属、並びに酸化物、サーメット、合金、及び上記金属の少なくとも1つを含む組み合わせを含む。例示的な実施形態では、検出電極は、プラチナ/アルミナのサーメットから成り、プラチナは検出電極の約70wt%(重量パーセント)から約98wt%である。別の例示的な実施形態では、検出電極はプラチナを約93wt%から約95wt%含み、ここで重量パーセントは、サーメットの全乾燥重量に基づく。各検出電極は、他方の検出電極と同一又は相違の材質から構成される。
【0015】
[0024] 検出電極は、任意の方法で形成できる。例示的な一実施形態では、検出電極の形成において、初めに、電極形成用金属粉(例えば、プラチナ、金、オスミウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、等、又は上記のものの少なくとも1つの組み合わせ)と酸化物とを十分な量の溶媒の中で印刷に適する粘度に達するよう混合することにより、インクペーストが調合される。検出電極を形成するために用いられる酸化物は、粒子状物質の酸化を促進しない酸化物並びに粒子状物質が燃焼除去される温度を低下させない酸化物を含み得る。不適当な酸化物は、例えば銅酸化物、セリウム酸化物、及び鉄酸化物である。次に、検出電極形成用のインクペーストが、スパッタリング、化学蒸着、スクリーン印刷、フレーム溶射、ラミネーション、刷り込み、等により電極基板に塗布される。
【0016】
[0025] 検出電極は、各検出電極間に一定の距離の分離が得られるように電極基板上に配置される。検出電極を分離する距離の幅は、所望の設計パラメータによって大きく異なる。例示的な一実施形態では、この距離は、約0.01から約0.12ミリメータ(mm)の分離の幅を含む。
【0017】
[0026] 加熱素子の全体又は一部を形成するヒータ及び温度センサはともに、さまざまな材質から成り得る。候補となる材質は、プラチナ、金、パラジウム、等、並びに、合金、酸化物、及び上記の材質の少なくとも1つとプラチナ/アルミナ、プラチナ/パラジウム、プラチナ、及びパラジウムとの組み合わせを含む。ヒータ及び温度センサは、任意の方法、とりわけスパッタリング、化学蒸着、スクリーン印刷、フレーム溶射、ラミネーション、刷り込み、等によりセンサに塗布される。一実施形態では、ヒータは約3から約50マイクロメータの厚みから成る。別の実施形態では、ヒータの厚みは約5から約30マイクロメータである。さらに別の実施形態では、ヒータの厚みは約10から約20マイクロメータである。
【0018】
[0027] センサはさらに、自己再生成サイクル時に検出素子及び加熱素子をセンサ周辺の温度及び/又は凝縮された粒子状物質の熱低減から、電気的に隔離及び保護するのに有用なさまざまな基板を備える。基板は、電極保護層、電極基板、絶縁層、断熱基板(insulating temperature substrate)、ヒータ基板、絶縁基板、及び上記のものの少なくとも1つを含む組み合わせを含むがこれに限定するものではなく、絶縁基板の数は加熱素子と検出電極との間の破壊的なイオン又は電気の伝達を回避するのに十分な数(例えば、約2から約3枚の絶縁基板)である。
【0019】
[0028] 基板は、非イオン伝導性の電気的絶縁材質から成り得る。候補となる電気的絶縁材質は、アルミナ、ジルコニア、イットリア、ランタン酸化物、シリカ、及び前記のものの少なくとも1つを含む組み合わせ等の酸化物、又は電気伝達を抑制し物理的保護を与えることができる任意の同様の材質を含む。センサの構成要素間の電気伝達を妨げるために、基板は、例えば不純物が約10.0wt%未満の高純度酸化物から構成される。別の実施形態では、基板に含まれる不純物は約8.0wt%未満である。さらに別の実施形態では、基板に含まれる不純物は約5.0wt%未満であり、不純物の重量パーセントは基板の全重量に基づくものである。個々の基板の構成は異なっていてもよいが、いくつかの実施形態では、層間剥離及び他の処理の問題を排除できないまでも最小化するために、実質的に類似の熱膨張の係数、収縮特性、及び科学的適合性を有する材質から成る。アルカリ性(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、等)酸化物は、ヒータ、温度センサ、及び検出電極において不純物を形成して容易に低減してしまう可能性があるので、避けるべきである。
【0020】
[0029] 一般に、基板のそれぞれは、検出電極、温度センサ、及び/又はヒータの全長を支持するに充分な大きさのものである。各基板の厚みは、自己再生成サイクルの所望の熱応答時間に基づいて決定され、熱応答時間が短ければ必要となる厚みも少ない。各基板の厚みは、最大で約200マイクロメータまでにできる。例示的な実施形態では、基板の厚みは約50から約180マイクロメータである。別の例示的な実施形態では、基板の厚みは約140から約160マイクロメータである。基板は、セラミックテープ成形方法等を用いて形成される。
【0021】
[0030] センサは、センサをセンサ回路と電気的に通信させる役割を担うさまざまなリード線をさらに備える。各検出電極の一端、温度センサの一端、及びヒータの一端は、少なくとも1つのリード線の一端が取り付けられている接続点を有する。各検出電極は、各検出電極の一端から伸長する少なくとも1つのリード線と電気的に接続され、ヒータは、ヒータの一端から伸長する少なくとも1つのリード線と電気的に接続される。
【0022】
[0031] センサの構成要素が得られたら、センサは、センサの厚みがセンサ再生成の熱サイクルに対する良好な熱応答時間を可能にするように、厚膜多層技術に従って構築される。例示的な一実施形態では、センサ素子の厚みは約0.1から約3.0ミリメータ(mm)である。
【0023】
[0032] 図1は粒子状物質検出システム10の電気回路図を示す。システムは、示されるように、コントローラ部20、ワイヤリングハーネス部30、及び素子検出部40に分割されると考えられるのが一般的である。コントローラ部20は、そこに接続される回路のインピーダンスを測定する手段を備えている。図1の例示的なコントローラ部20では、インピーダンス測定手段は、電圧値Vsupplyをもたらす電圧源22、抵抗値Rpullupを有するプルアップ抵抗器24、及び電圧測定手段26を含む。電圧源22は、図1では所与の極性を有する直流源として示されているが、電圧源22は、交流源、図示されたものとは反対の極性を有する直流源、又は交流及び直流電圧成分の両方をもたらす電源であっても、本明細書に記載の発明概念から逸脱することはない。コントローラ部20は、接続手段27及び28によりワイヤリングハーネス部30に電気的に接合する。ワイヤリングハーネス部30は、導線32及び34を含む。ワイヤリングハーネス部30は、接続手段37及び38により、素子検出部40に電気的に接合する。素子検出部40は、導線46により接続手段37へ電気的に接続される第1の電極42、及び導線48により接続手段38へ電気的に接続される第2の電極44を含む。
【0024】
[0033] 検出素子上に形成されるので、第1の電極42は電極44から電気的に絶縁されており、そのため検出素子40は、粒子状物質が存在しない場合には、接続手段37及び接続手段38間で測定されると開回路のように電気的には見える。粒子状物質が存在しない場合、測定手段26により測定される電圧は、電圧源22により供給される電圧であるVsupplyと本質的に等しくなる。
【0025】
[0034] 第1の電極42及び第2の電極44は、嵌合フィンガの形で相互間にわずかなギャップがあるように形成され得る。動作において、電極42、44の間のギャップを埋めるようにして検出素子上に堆積された粒子状物質を検出することができる。なぜなら、粒子状物質は、通常は開いている電極42、44間の回路をブリッジする導電性経路を形成するからである。電極をブリッジする粒子状物質の抵抗に値Rparticulateが与えられるならば、測定手段26により測定される電圧は次式のようになる。
【0026】
【数1】

【0027】
[0035] 粒子状物質が第1の電極42及び第2の電極44の間に蓄積するにつれて、抵抗Rparticulateは低下し、測定手段26における電圧Vmeasuredは最大値であるVsupplyから低下する。これによりコントローラ部は、接続手段27及び28間に接続されたインピーダンスを、ポイント27及び28間で測定される電圧の関数として決定することができる。
【0028】
[0036] 図2は、バイアス抵抗器を組み入れた別の粒子状物質検出システム100の電気回路図であり、これは2010年11月17日に出願された“SELF DIAGNOSTICS OF A PARTICULATE MATTER SENSOR”と題される米国特許出願シリアル番号12/947,867に開示されており、その出願の内容全体を参照により援用する。コントローラ部20及びワイヤリングハーネス部30は、図1のシステム10と本質的には同じである。素子検出部140は、導線146により接続手段37へ電気的に接続される第1の電極142、及び導線148により接続手段38へ電気的に接続される第2の電極144を含む。図2の素子検出部140は、導線146及び148間に電気的に接続されRbiasの抵抗値を有する追加的なバイアス抵抗器150を備える。接続手段37及び接続手段38間で測定される検出素子Rsensorの抵抗は、Rbiasと第1の電極142及び第2の電極144の隙間を埋める粒子状物質から生じる抵抗との並列の組み合わせである。Rsensorは、数学的に次式のように表すことができる。
【0029】
【数2】

【0030】
[0037] 検出素子140上に粒子状物質が存在しない場合は、項RparticulateはRbiasと比べて非常に大きくなり、実効センサ抵抗Rsensorは、Rbiasと本質的に等しくなる。この条件でRsensorの最大抵抗値が生じる。粒子状物質が第1の電極142及び第2の電極144間のギャップを埋めるように蓄積するにつれて、実効センサ抵抗Rsensorはその最大値であるRbiasから低下する。
【0031】
[0038] 図2に示される粒子状物質検出システム100では、測定手段26により測定される電圧は、次式のようになる。
【0032】
【数3】

【0033】
[0039] 粒子状物質が存在しない場合、Rsensorの値は最大になり、かつRbiasと本質的に同等になる。この条件下では、測定手段26により測定される電圧は、次式のようになる。
【0034】
【数4】

【0035】
[0040] 図3は、図2の検出素子140の分解斜視図である。検出素子140は、電気的に絶縁している基板154を含む。基板154は単一の層として示されているが、複数の層を重ね合わせることにより形成されてもよいことが理解されるであろう。基板154の片面上に堆積される導電材料は、パターン処理により導線146及び148、並びに電極142及び144を形成する。バイアス抵抗器150を形成する抵抗材料は、導線146及び148間に抵抗経路を形成するように堆積される。測定されているガス流内の研磨粒子にさらされる、電極142及び144並びに導線146、148の一部を形成する導電材料を保護するために、保護層164も含まれ得る。保護層164は、電極142及び144間のギャップを露出して、粒子状物質が電極142と144とをブリッジできるようにする開口部166を含む。保護層164は、バイアス抵抗器150も覆うように広がっていてもよい。
【0036】
[0041] 粒子状物質センサは、検出素子上の電極142、144付近の温度を上昇させるよう制御可能な加熱手段も含み得る。温度を充分に上昇させる結果、粒子状物質が検出素子の表面から除去され、それにより、検出電極142、144間の領域の抵抗を高抵抗又は本質的には開いている回路の状態に回復させる。この開回路状態は、バイアス抵抗器150と並列して電気的に現れるので、接続手段37及び接続手段38間で測定される全抵抗は、Rbiasに回復される。図4に示される検出素子140は、電極142、144とは反対側の基板表面上にあるヒータ160及びヒータリード162を含む。ヒータ160は、ヒータ160がヒータリード162を介する電流の供給により電気的に電力供給されるとき、ヒータ160が電極142、144付近から粒子状物質を取り除くことができるように位置される。
【0037】
[0042] 図4は、図2及び図3に示された検出素子140の導線及び抵抗器パターンの平面図である。バイアス抵抗器150は、ヒータ(図示なし)が電極142、144付近から粒子状物質を取り除くように作動されるときに、バイアス抵抗器150の加熱を最小化するために、第1の電極142及び第2の電極144から離れたところに配設される。
【0038】
[0043] 上述の記載では、電極が堆積された基板154は無限大の抵抗率を有するものとする。実際、基板材料候補は、さらに温度に依存する高抵抗ではあるが測定可能な抵抗率を有するものである。例えば、CRC Materials Science and Enginering Handbook, Third Edition(CRC Press,2001)の959頁には、下記表1に示されるアルミナ(アルミニウム酸化物,Al)の抵抗率データが掲載されている。基板材料の抵抗率の温度感度の影響は、米国特許出願番号12/614,654に開示されており、その出願の内容全体を参照によってここに援用する。
【0039】
【表1】

【0040】
[0044] ここで図5を参照すると、粒子状物質センサシステム500の非限定的な例が示されている。システムは、比較基準電圧源22、プルアップ抵抗器24、バイアスレジスタ150、及び、図2に関連してすでに開示された、検出電極142及び144間に堆積した物質の抵抗542を測定するための装置を含む。図5はさらに、抵抗150及び542と並列にされた抵抗554を含み、抵抗554は、電極142及び144と接触する基板(図3の154)を形成する材料の抵抗率から生じる抵抗を表す。実際のセンサには、基板(図3の154)を形成する材料の抵抗率により、ヒータ160と電極142及び144との間にも抵抗が存在することが理解されるであろう。ヒータ160と電極142、144との間の抵抗の影響は、基板154の厚みが電極142及び144間の距離よりはるかに大きいために無視できる。図5は、ヒータスイッチ504がオンにされるとヒータ160に電圧を送るよう構成された電圧源502も含む。
【0041】
[0045] ヒータ160に電圧が加えられると、熱が抵抗542及び554に結合され、これらの抵抗の温度を上昇させる。バイアスレジスタ150は、ヒータ160から離れた検出素子140の端に配置されるので、バイアスレジスタ150は抵抗542及び554よりも受ける加熱が少ない。抵抗素子542及び554それぞれを形成する材料は異なる抵抗温度係数(TCR)を有するので、ヒータに電圧を加えた状態でのセンサの振る舞いを、センサのさまざまな状態を診断するために用いることができる。
【0042】
[0046] 図6は、さまざまな条件下で粒子状物質センサシステムにおいて観測されるパラメータの、非限定的な例を示すグラフである。図6では、トレース602は、グラフ右側のY軸目盛についてプロットされた基板温度を表す。図6において、610により示される時点でヒータに電圧が加えられると、トレース602で示される温度は平衡値に到達するまで上昇する。時点612でヒータはオフにされて、その結果基板温度は下降する。
【0043】
[0047] 図6の残りのトレースは、センサの両端間で測定される抵抗を表し、グラフ左側のY軸に示された対数目盛についてプロットされている。100,000kΩより高い抵抗値は、最大値である100,000kΩまでクランプされたかのように扱われるが、それは例示的な実施形態では、100,000kΩより大きな抵抗について正確な値を知る必要がないからである。図6では、トレース604は正常な粒子状物質センサの振る舞いを表す。トレース604により表される抵抗は高い値から始まっており、これは検出電極(例えば図2から4の電極142及び144)間に粒子状物質が堆積されていないことを示す。ヒータが時点610でオンにされた後にヒータの影響から基板温度が上昇するにつれて、電極間で測定される抵抗は上記表1に示されるような基板材料のTCRにより変化する。この基板抵抗の変化は、基板材料及びセンサの素子の形状等の要因に依存するが、所与のセンサについては正常なヒータ識別特性(signature)を事前に決定することができる。
【0044】
[0048] トレース604に示されるように、ヒータに電圧が加えられる前において読み取られる高抵抗値は、正常なセンサ状態を示す。しかし、通常の排気温度(例えば150°Cから450°C)では電気伝導性のない汚染物質が、センサ表面上に堆積されている可能性がある。このような汚染物質は、センサがさらされているガス流に入る燃料又は潤滑油内の添加物からの物質を含む。このような汚染物質が粒子状物質センサの表面上に存在することで、センサが検出しようとする導電性粒子状物質を検出電極が受け取れなくなり、したがってセンサが排気流内の煤を確認できなくなることがある。
【0045】
[0049] ある種の汚染物質は、低温では電気的に非導電性であり高温で導電性を帯びる。このタイプの汚染物質に汚染されたセンサの振る舞いを図6のトレース606に示す。汚染物質の抵抗は基板による抵抗と電気的に並列に現れるので、時点610でヒータに電圧が加えられて汚染物質の抵抗が低下すると、トレース606に示される電極の両端間で測定される全抵抗は、トレース604に示される正常なヒータ識別特性よりも急速に低下する。さらに、ヒータに電圧が加えられている状態で得られるトレース606における最低の抵抗レベルは、正常なヒータ識別特性604において到達される最低の抵抗レベルよりも低い。抵抗の時間応答の減少、抵抗の大きさの減少、及び応答時間及び大きさの組み合わせ、のいずれか1つが汚染されたセンサを正常なセンサから区別するために使用される。例えば、図6のレベル614として示される抵抗レベルは検出閾値を示し、ヒータ作動状態におけるセンサ抵抗が閾値614を下回ればセンサが汚染されていると診断される。閾値614に対応する抵抗値は、センサ素子の実際の温度に依存する。素子が熱いほど汚染及び煤は導電性になり、汚染されたセンサを識別するためにはより低い閾値614が必要になる。
【0046】
[0050] 検出素子上に存在する汚染物質は、センサの温度が上昇するにつれて燃焼除去されるが、これは汚染物質の酸化温度に依存する。この振る舞いもトレース606に示されており、最初の最低値の後、検出される抵抗は継続的な加熱による汚染物質の除去により上昇する。汚染物質の燃焼除去は、トレース606が正常なヒータ識別特性トレース604の振る舞いに近づくことにより証明される。
【0047】
[0051] また、汚染物質は、ヒータエネルギにより達成された基板温度では燃焼除去されない性質を持つ場合がある。このような汚染物質であれば、トレース608により示される抵抗識別特性を有し、抵抗は時点612でヒータがオフにされるまで低いままである。燃焼除去されない汚染物質を検出するために、センサの抵抗が図6のレベル616等の第2の検出閾値と比較される。センサ抵抗が第1の検出閾値614を下回り、ヒータに電圧が加えられている間に第2の検出閾値616より上に一度も上昇しない場合、センサは燃焼除去されなかった汚染物質微粒子すなわち汚染物質の被膜を有すると診断される。この汚染物質は、より高温及び/又はより長い時間の再生成により燃焼除去することができる。
【0048】
[0052] 本発明の方法及びシステムは、任意の種類の導電性粒子状物質のためのセンサとともに、多様な環境で使用することができる。例示的な一実施形態では、センサはディーゼルエンジン等の内燃機関の排気流における煤センサである。次に図7を参照すると、粒子状物質センサ診断システム200の非限定的な例が示されており、粒子状物質センサ210が含まれている。診断システムは、コントローラすなわちエンジン制御モジュール(ECM)202を備える。ECMから排気温度、エンジン運転状態等の情報を取得するためにECMと通信できるのであれば、ECMの代わりに独立型の診断又は複合センサ及び診断制御モジュールが使用されてもよい。ECM202が備える素子の中でも、とりわけマイクロプロセッサは、車両性能を示す信号を受信し、かつ、さまざまなシステム構成要素、プログラム又はアルゴリズム、及びキャリブレーション値又は定数を実行するための電子記憶媒体の形の読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、並びに既知の技術に従いECMとの必要な通信(例えば、入力、出力、及びECM内のもの)を可能にするデータバスを制御するための信号を与える。
【0049】
[0053] 例示的な実施形態によると、コントローラは、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又は、制御アルゴリズムを実行するためのコンピュータ可読データ又はプログラムのコマンドを実行できる他の同等の処理装置を備える。規定の関数及び所望の処理及びそのための計算(例えば、本明細書で規定される制御処理等)を実行するために、コントローラは、プロセッサ、コンピュータ、メモリ、記憶装置、レジスタ、タイミング、インタラプト、通信インターフェース、及び入力/出力信号インターフェース、並びに上記のものの少なくとも1つを含む組み合わせ、を含むがこれに限定するものではない。例えば、コントローラは、通信インターフェースからの信号の正確なサンプリング及び変換又は取得を可能にする入力信号フィルタリングを含んでもよい。上述のように、本発明の例示的な実施形態は、コンピュータにより実施される処理及びそれらの処理を実行する装置を介して実施される。
【0050】
[0054] ECMは、エンジンの状態を決定し、かつ動作状態を変更して診断を実行するために、さまざまなセンサからさまざまな信号を受信する。例えば、ECMは、他のセンサ205並びに論理及び制御アルゴリズムからの入力に基づいて、エンジンが「冷間始動」状態で始動されているかを決定し、かつ車両の他の動作を実行及び/又は制御することができる。ECM202に入力を与えるセンサ205に含まれるセンサのいくつかは、エンジンクーラント温度センサ、エンジン速度センサ、排気酸素センサ、エンジン温度センサ、エンジン質量空気流量センサ等を含むがこれに限定するものではない。使用されるセンサは、使用されているエンジンのタイプ(例えば、水冷式、空冷式、ディーゼル、ガス、ハイブリッド、等)にも一部関係する。ECM202はさらに排気温度センサ215からの入力を受信し、排気温度センサ215は、粒子状物質センサ付近の排気流内に配設される温度プローブ又は排気温度を測定する他の同等の手段又は方法である。
【0051】
[0055] ECMのマイクロコンピュータ上にある動作プログラム、アルゴリズム、ルックアップテーブル及び定数に従い、ヒータ素子160の制御及び診断信号220を含むさまざまな出力信号がECMにより与えられる。本発明の実行に関係するのはヒータ素子160の制御信号及び診断信号220であるが、ECMはエンジンを制御する(例えば、燃料流量の制限又は遮断、並びにエンジンの吸気弁及び排気弁の開閉)ための他の制御信号も与えることができ、さらに他の車両動作を実行することができ、これは必要なトルク出力、スパークタイミング、エンジン出力を提供するために必要とされる最適、リーン、又はリッチな化学量論を維持するための燃料/空気流量の制御、及び車載式故障診断(OBD)手段の車両運転者への提供を含むがこれに限定しない。
【0052】
[0056] 次に図8に進むと、本発明の非限定的な例示的実施形態に従う、センサ基板の加熱に対する応答に基づいて粒子状物質センサの診断を実行するための制御アルゴリズム400の一部を示すフロー図が示されている。この例示的な実施形態では、制御アルゴリズム400は、ECMにより開始された診断の結果を受けて実施される。診断ルーチンは、ステップ402においてセンサ電極間の初期抵抗を測定し、その値をROBD_initとしてECMに記憶する。
【0053】
[0057] アルゴリズムの論理パスは次にノード404に進み、そこでアルゴリズムは、状態がヒータによる粒子状物質の再生成が生じる限度内にあるかを評価する。この評価の目的は、基板の測定可能な電気導電度の変化を生じさせるために用いられる厳しい加熱が充分可能な状態にあるかを確認することである。このような加熱プロフィールは、センサ再生成時に蓄積された粒子状物質を燃焼除去するために使用される加熱プロフィールと類似又は同一であってもよい。充分な状態かを評価するために使用される判定基準は、上流ディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)自体が再生成モードではないこと(なぜなら、ヒータ識別特性を検出する粒子状物質センサの診断においてヒータが作動している状態での再生成は、センサの過剰加熱を生じさせ、さらにDPFの再生成は、粒子状物質センサの診断を妨害するDPFからの汚染物質の放出を生じ得るため)、及び/又は空気排気流量が高すぎてヒータが満足に再生成できない(例えば、75m/sec)、又は低すぎてヒータ回路に損傷を与えるリスクがある(例えば、5m/sec)ことを含むがこれに限定するものではない。決定ノード404において判定基準が満たされない場合、アルゴリズムはそれらが満たされるまで待つ。決定ノード404において判定基準が満たされると、アルゴリズムはボックス406へ進み診断アルゴリズムを続ける。試験中の任意時点に車両の状態が範囲外だと決定されると、ヒータがオフにされ診断アルゴリズムが再開される。
【0054】
[0058] ボックス406において、アルゴリズムはセンサヒータをオンにし、ECMの内部クロックを用いてタイマを開始する。ボックス406において、ヒータはまずプロフィールに従って給電され、ここで生成される熱は、電極間に存在してしまうことがある水蒸気凝縮液等の任意の液体水を蒸発させるには充分であるが、凝縮液が蒸発する前に高熱が加えられると発生し得るクラッキング又はセンサ基板に対する他の損傷を生じさせるほどは大きくないものである。任意の凝縮液を一掃できる時間にわたり徐々に加熱した後、より大量の熱、すなわち基板の電気導電度の変化を生じさせるに充分な量の熱が加えられる。基板がおよそ4%のSiOガラス添加物を含むアルミナ基板である例示的な一実施形態では、熱は約500°Cから800°Cの間の温度を生じさせるのに充分な熱であり、これは、このような物質の抵抗における測定可能な低減は、温度が500°Cに接近して超過するにつれて観測され、800°Cは例示的なヒータにより達成される最大温度に近いためである。
【0055】
[0059] ステップ406の後、アルゴリズムは決定分岐を開始するボックス408に進み、ここでは電極間の抵抗が観測されて、それがセンサ素子の加熱と整合する形で変化するかが確かめられる。ボックス408ではセンサ電極間の抵抗が測定され、その結果の値がROBD_hotとして保存されると、アルゴリズムは決定ノード410に進む。
【0056】
[0060] 決定ノード410において、アルゴリズムは、測定された抵抗値ROBD_hot及びROBD_initに基づく所定の閾値間の差の大きさを評価する。ROBD_hotが所定のレベル未満である場合、すなわちヒータにより加熱された結果生じる抵抗の変化が、センサ基板の電気抵抗率の変化から予期される変化に満たない場合は、アルゴリズムはステップ416でヒータをオフにし、ステップ418でセンサの故障を診断する。このようなセンサ故障は、例えば、ヒータ又は回路内で回路が開いていること又はヒータを駆動する配線により発生し得る。この診断についてのさらなる記載は、米国特許出願公開第2011/0109331号として公開された米国特許出願シリアル番号第12/614,654号に開示されており、その出願の内容全体を参照によってここに援用する。
[0061] ステップ410における決定が、測定された抵抗値ROBD_hotが正しく動作するヒータと整合するROBD_initからの変化を示すものであれば、アルゴリズムはステップ412でヒータをオフにする。アルゴリズムはステップ414に進み、ここでアルゴリズムはセンサが正常動作状態にあるという確認を診断し、それをECMシステム診断関数に伝える。
【0057】
[0062] ステップ410の決定が、測定された抵抗値ROBD_hotが、正しく動作するヒータと整合することになる値(例えば図6の閾値614)を超えるROBD_initからの変化を示すものであれば、これはセンサ上の汚染を示している。この場合、アルゴリズムはステップ420に進み、そこでヒータは、汚染物質の燃焼除去を試みるのに充分な所定の時間期間はオンに維持される。ステップ420の時間期間が終了すると、抵抗がステップ422で再び測定される。アルゴリズムは次に決定ノード424に進み、抵抗が、汚染物質の除去に整合してステップ420の加熱の間に所定量(例えば図6の閾値616)増大したかを決定する。決定ノード424の結果が、抵抗が充分に増大したというものであれば、アルゴリズムはステップ426に進み、そこでアルゴリズムは、センサに上に汚染が存在したが効果的に除去されたことをECMに表示する。決定ノード424の結果が、抵抗が充分には増大しなかったというものであれば、アルゴリズムはステップ428に進み、そこでアルゴリズムは、センサ上に汚染があり、ステップ420の加熱処理により除去されなかったことをECMに表示する。汚染の判定が完了すると、ヒータはオフにされる。
【0058】
[0063] 本発明をわずかな限定された数の実施形態に関連して説明してきたが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではないことが容易に理解されるであろう。むしろ、本発明は任意数の変更、代替、置換又は同等構成を含むために修正可能であり、ここに記載されていなくとも本発明の精神及び範囲に含まれる。さらに、本発明のさまざまな実施形態が記載されたが、本発明の態様は、記載された実施形態のいくつかのみを含むものでもよい。したがって、本発明は前述の記載により限定されると見なされるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気伝導性粒子状物質センサの動作状態を診断する方法であって、該センサは、温度とともに変化する電気抵抗を有する基板と、前記基板上の2つの電極であって電極間の粒子状物質を捕集するように構成される電極とを含み、それにより、前記電極間で捕集された粒子状物質を介して導電性経路を構築し、導電性経路は前記電極間の電気抵抗であるRelectを測定することにより検出されるものであり、前記方法は、
(a)前記基板の電気抵抗を変更するのに十分な量の、前記センサへの熱の供給を命令し、かつRelectが前記基板上の汚染物質の加熱と整合する形で変化するかを検出するステップと、
(b)ステップ(a)においてRelectが前記基板上の汚染物質の加熱と整合する形で変化する場合は、前記センサの汚染状態を診断するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記センサは、前記電極間の領域を加熱するよう構成されるヒータ素子を含み、かつ、ステップ(a)は、
(1)前記ヒータ素子を作動させる前にRelectを測定し、その値をROBD_initとして記憶するステップと、
(2)前記ヒータ素子を第1の時間期間の間作動させ、その間にRelectを周期的に測定し、その値をROBD_hotとして記憶するステップと、
(3)ROBD_hotをROBD_initの所定パーセンテージKR_OBD_cont_pctと比較するステップと、
(4)ROBD_hotがROBD_initの前記所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct以上である場合は、Relectが汚染された基板の加熱と整合する形で変化しなかったことを決定するステップと、
(5)ステップ(3)における前記第1の時間期間中の決定により、ROBD_hotがROBD_initの前記所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct未満である場合は、Relectが汚染された基板の加熱と整合する形で変化したことを決定するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、
(c)ステップ(a)において基板上の汚染物質の加熱と整合する形でRelectが変化する場合、(i)熱の前記供給を所定時間維持し、(ii)前記所定時間の経過後、前記汚染物質が前記センサから除去されていることと整合する形でRelectが変化するかを決定する、(iii)前記汚染物質が前記センサから除去されていることと整合する形でRelectが変化する場合、前記汚染物質が前記センサから除去されたと診断し、または、前記汚染物質が前記センサから除去されていることと整合する形でRelectが変化しない場合は、前記汚染物質が前記センサから除去されなかったと診断するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、前記センサは、前記電極間の領域を加熱するよう構成されるヒータ素子を含み、ここでステップ(a)は、
(1)前記ヒータ素子を作動させる前にRelectを測定し、その値をROBD_initとして記憶するステップと、
(2)前記ヒータ素子を第1の時間期間の間作動させ、その間にRelectを周期的に測定し、その値をROBD_hotとして記憶するステップと、
(3)ROBD_hotをROBD_initの所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct1と比較するステップと、
(4)ROBD_hotがROBD_initの前記所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct1以上である場合は、汚染された基板の加熱と整合する形でRelectが変化しなかったことを決定するステップと、
(5)ステップ(3)における前記第1の時間期間中の決定により、ROBD_hotがROBD_initの前記所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct1未満である場合は、汚染された基板の加熱と整合する形でRelectが変化したことを決定するステップと
を含み、ステップ(c)は、
(1)前記ヒータ素子の作動を第2の時間期間維持し、その間にRelectを周期的に測定し、その値をROBD_hotとして記憶するステップと
(2)ROBD_hotをROBD_initの所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct2と比較するステップと、
(3)ROBD_hotがROBD_initの前記所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct2未満である場合は、汚染物質が前記基板から除去されていることと整合する形でRelectが変化しなかったことを決定するステップと、
(4)ステップ(3)における前記第1の時間期間中の決定により、ROBD_hotがROBD_initの前記所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct2以上である場合は、汚染物質が前記基板から除去されていることと整合する形でRelectが変化したことを決定するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
導電性粒子状物質センサのための診断システムであって、該センサは、基板と、前記基板上の2つの電極であって電極間の粒子状物質を捕集するように構成される電極とを含み、それにより、前記電極間で捕集された粒子状物質を介して導電性経路を構築し、導電性経路は前記電極間の電気抵抗であるRelectを測定することにより検出されるものであり、前記システムは、前記センサと通信しているマイクロプロセッサと、マイクロプロセッサに方法を実施させる命令を含む記憶媒体とを備え、該方法は、
(a)前記基板の電気抵抗を変更するのに十分な量の、前記センサへの熱の供給を命令し、かつRelectが前記基板上の汚染物質の加熱と整合する形で変化するかを検出するステップと、
(b)ステップ(a)においてRelectが前記基板上の汚染物質の加熱と整合する形で変化する場合は、前記センサの汚染状態を診断するステップと
を含むことを特徴とする診断システム。
【請求項6】
請求項5記載の診断システムにおいて、前記センサは、前記電極間の領域を加熱するよう構成されるヒータ素子を含み、かつ、ステップ(a)は、
(1)前記ヒータ素子を作動させる前にRelectを測定し、その値をROBD_initとして記憶するステップと、
(2)前記ヒータ素子を第1の時間期間の間作動させ、その間にRelectを周期的に測定し、その値をROBD_hotとして記憶するステップと、
(3)ROBD_hotをROBD_initの所定パーセンテージKR_OBD_cont_pctと比較するステップと、
(4)ROBD_hotがROBD_initの前記所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct以上である場合は、Relectが汚染された基板の加熱と整合する形で変化しなかったことを決定するステップと、
(5)ステップ(3)における前記第1の時間期間中の決定により、ROBD_hotがROBD_initの前記所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct未満である場合は、Relectが汚染された基板の加熱と整合する形で変化したことを決定するステップと
を含むことを特徴とする診断システム。
【請求項7】
請求項5記載の診断システムにおいて、該方法はさらに、
(c)ステップ(a)において基板上の汚染物質の加熱と整合する形でRelectが変化する場合、(i)熱の前記供給を所定時間維持し、(ii)前記所定時間の経過後、前記汚染物質が前記センサから除去されていることと整合する形でRelectが変化するかを決定し、(iii)前記汚染物質が前記センサから除去されていることと整合する形でRelectが変化する場合、前記汚染物質が前記センサから除去されたと診断し、または、前記汚染物質が前記センサから除去されていることと整合する形でRelectが変化しない場合は、前記汚染物質が前記センサから除去されなかったと診断するステップを含むことを特徴とする診断システム。
【請求項8】
請求項7記載の診断システムにおいて、前記センサは、前記電極間の領域を加熱するよう構成されるヒータ素子を含み、ここでステップ(a)は、
(1)前記ヒータ素子を作動させる前にRelectを測定し、その値をROBD_initとして記憶するステップと、
(2)前記ヒータ素子を第1の時間期間の間作動させ、その間にRelectを周期的に測定し、その値をROBD_hotとして記憶するステップと、
(3)ROBD_hotをROBD_initの所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct1と比較するステップと、
(4)ROBD_hotがROBD_initの前記所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct1以上である場合は、汚染された基板の加熱と整合する形でRelectが変化しなかったことを決定するステップと、
(5)ステップ(3)における前記第1の時間期間中の決定により、ROBD_hotがROBD_initの前記所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct1未満である場合は、汚染された基板の加熱と整合する形でRelectが変化したことを決定するステップと
を含み、ステップ(c)は、
(1)前記ヒータ素子の作動を第2の時間期間維持し、その間にRelectを周期的に測定し、その値をROBD_hotとして記憶するステップと
(2)ROBD_hotをROBD_initの所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct2と比較するステップと、
(3)ROBD_hotがROBD_initの前記所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct2未満である場合は、汚染物質が前記基板から除去されていることと整合する形でRelectが変化しなかったことを決定するステップと、
(4)ステップ(3)における前記第1の時間期間中の決定により、ROBD_hotがROBD_initの前記所定パーセンテージKR_OBD_cont_pct2以上である場合は、汚染物質が前記基板から除去されていることと整合する形でRelectが変化したことを決定するステップと
を含むことを特徴とする診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−11605(P2013−11605A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−145260(P2012−145260)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(599023978)デルファイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (281)
【Fターム(参考)】