説明

粒子

本発明は、低い自己蛍光性を示す磁性ポリマー粒子、その製造方法および利用を提供する。すなわち、多孔性でもよい被覆磁性ポリマー粒子が基材ポリマーを含み、その表面上および/またはその孔内には超常磁性結晶が配置されており、該基材ポリマーは、好まし
くは非局在電子共役系を実質的に含まないとともに、スルホン酸基、カルボン酸基、アミン基およびエポキシ基から選択される基でもって表面機能化がなされていてもよく、その粒子は実質的に自己蛍光性ではない被覆磁性ポリマー粒子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性ポリマー粒子、その製造方法および利用に関する。より詳しくは、本発明は、低自己蛍光性を示す磁性ポリマー粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性ポリマー粒子は、様々な医学および生化学の分野において一般的な有用性がある。例えば医薬製剤を送達する輸送担体として、診断目的のため、分離および合成目的のためである。そのような粒子は、機能を遂行するためにその磁気的性質に依拠する。診断的なアッセイへの応用では、例えば磁性ポリマー粒子に結合したアナライト(analyte)を含
むサンプルに磁場をかけると、遠心分離またはろ過を使用しなくてもアナライトを単離することが可能となる;および治療上の応用では、例えば患者に磁場を適用すると薬剤を担
持する磁性ポリマー粒子を身体の所望する部位へ送り込むように有益に働くであろう。
【発明の開示】
【0003】
本明細書では、「磁性」とは、ポリマー粒子が、超常磁性の結晶(superparamagnetic crystals)を含有することを意味する。したがって、磁性ポリマー粒子は、磁気的に置換できるが、恒久的に磁化できるとの意味ではない。
【0004】
磁性ポリマー粒子の製造方法は多数知られており、その大多数は、予め形成された磁性酸化鉄、例えば磁鉄鉱(magnetite)から磁赤鉄鉱(maghemite)または磁鉄鉱を含有するポリマー粒子を調製することを含む。含まれるプロセスのいくつかは、US-A-4,654,267号
(Ugelstad)に記載されており、その内容は参照により本明細書に取り込まれる。
【0005】
このためUS-A-4,654,267は、それに先行するプロセスに関して多くの制限を概説している;同じサイズの磁性粒子および/または均一または一様な磁気的性質の磁性粒子を得る
ことの困難さとともに、多孔性ポリマー粒子の孔内に磁性物質を内包させることの困難さに関係したより一般的課題も含まれる。
【0006】
主として表面でまたは大きい開口の孔に沈積が起こると、磁性粒子の溶脱(leaching)は、磁性ポリマー粒子が置かれるその応用における有用性の寿命を短縮することから、結果として問題となる。
【0007】
これらの不利な点を克服するために、ポリマー孔内に磁性材料を配置させた多孔性の磁性ポリマー粒子を製造するべく、US-A-4,654,267は、ポリマー粒子内に鉄イオンを引き込むように作用する機能性基を表面に有する多孔性ポリマー粒子の利用を提唱する。
【0008】
これらの機能性基は、ポリマー生産における機能性化されたコモノマーの使用によるか、あるいは機能性基を導入するためのポリマーに重合化後の処理、例えばポリマー表面に存在する基に結合させるか、または変換のいずれかから生起する。
【0009】
多孔性ポリマー粒子からの超常磁性結晶の溶脱は、超常磁性結晶を担持するポリマー粒子を覆うポリマー被覆を更に形成することにより阻害することができる。より具体的には、少なくとも粒子の孔を部分的にポリマーで充填することによる。そのようなコーティングポリマーは、典型的には下にある粒子のポリマー表面からぶら下がる機能性基と反応するモノマーから形成してもよい。
【0010】
しかしながら被覆磁性ポリマー粒子がこのように調製される場合には、そうした粒子が
自己蛍光(autofluorescence)として知られる特性を示す。すなわち固有の蛍光を発するのである。
【0011】
被覆磁性ポリマー粒子の利用の多くは、具体的には合成または分離に使用される場合には自己蛍光は問題にならない。発光(light emissions)が検出されるアッセイにおいて
そうした粒子が使用されるならば、該粒子による自己蛍光が望まないバックグラウンドの信号を生成する。自己蛍光は、対象の発光体からの信号を遮蔽するかも知れない。このことはアッセイの感度を減じるだろう。
【0012】
驚くべきことに、我々は磁性ポリマー粒子が示す自己蛍光は、基材となるポリマー、粒子のコーティングおよび表面のすべての機能性基において、非局在化電子共役系(ベンゼン環に見られるものとは別のもの)を回避することにより最少化できることを見出した。
【0013】
そうした非局在化する電子共役系は、以前は磁気化するための工程において、以前は酸化鉄を引きつけるとともにおよびポリマー被覆がうまく行われるためにも、必須と考えられていた。
【0014】
結果として自己蛍光が低減したか、その気配がない基材ポリマーは、被覆磁性ポリマー粒子の製造に使用することができ、そうした粒子はそれゆえに著しく低い自己蛍光を示す。そうした粒子は、多様なアッセイ、とりわけ蛍光が検出されるアッセイにおいて有用性を持つかもしれない。
【0015】
非磁性ポリマービーズにおいて、標識として蛍光物質の使用が知られているが、磁性ビーズにそうした蛍光標識の使用は、磁気的なサンプルの調製と検出とを結合させ得る利点を有する。すなわち、自動化されたサンプル調製の装置構築および/またはフローサイト
メーター、蛍光顕微鏡、高分解能アレイ・スキャナーまたはレーザースキャン・サイトメーターといった検出プラットホームの集中とを結びつけることである。これらの検出装置は、サンプル調製および/または濃縮のために磁気性質を利用する可能性が重要になりそ
うなマイクロ流体デバイスの中に一切を含め得る。
【0016】
よって本発明の一態様として、多孔性であってもよい磁性ポリマー粒子が提供され、これは基材ポリマーを含み、その表面上および/またはその孔内には超常磁性結晶が配置さ
れており、該基材ポリマーは、好ましくは非局在化電子の共役系を実質的に含まないとともに、必要に応じて次の官能基でもって表面機能化がなされている;スルホン酸基、カルボン酸基、アミン基およびエポキシ基である。その粒子は実質的に自己蛍光性ではなく、例えば600未満の、500 msまたは600 msの露光時間で励起波長450±25 nmでの平均グレイ
値の差(ΔMGV)に対応した自己蛍光レベルを有している。
【0017】
本発明の別の態様として、必要に応じて多孔性であってもよい基材ポリマーの磁性ポリマー粒子を含む被覆磁性粒子が提供される。該ポリマー粒子は、表面上および/またはそ
の孔内には超常磁性結晶を有しており、該被覆粒子は、コーティングポリマーからなる被膜を持ち、該被覆磁性粒子は、実質的に自己蛍光性ではなく、600未満の、500 msまたは600 msの露光時間で励起波長450±25 nmでの平均グレイ値の差(ΔMGV)に対応した自己蛍光レベルを有している。該被覆粒子は、好ましくは非局在化電子共役系を実質的に含まない。
【0018】
基材ポリマー(または1以上の基材ポリマー)とは、ポリマー(または1以上のポリマー)を意味し、さらに必要ならば架橋剤が非コーティングポリマー粒子を形成するために使用される。このことはさらに下記に詳細に記載される。
【0019】
「非局在電子共役系を実質的に含まない」とは、基材ポリマーおよび、もしあれば、該コーティングポリマー(つまり被覆粒子それ自体)が電子の非局在化(ベンゼン環内とは異なる)が起こる電子の系を含まないことを意味する。
【0020】
被覆されていない磁性ポリマー粒子は、多孔性基材ポリマーの孔の中に超常磁性結晶を形成させることにより製造される。必要に応じて、スルホン酸基、カルボン酸基、アミン基およびエポキシ基(ニトロ基ではない)を用いる表面機能化は、有効に非自己蛍光性でなければならない。
【0021】
そうした非被覆粒子(およびこれより被覆粒子)は、好ましくは300未満、特に好ましく
は200未満、とりわけ100未満のΔMGV値を持つ。このような非被覆粒子は、本発明の被覆
粒子を製造する際の中間体として使用でき、あるいは超常磁性結晶の溶脱が問題とならない最終用途では用いることができる。
【0022】
非被覆および被覆粒子のΔMGVは、より好ましくは400未満、特に350未満、より特別に
は300未満である。
粒子のΔMGVは、粒子を担持する基質(例えばガラス)表面を、100 W水銀または75 Wキセノンランプからの光を、480 nmでのビームスプリッタとともに450±25 nmの励起バンドパスフィルター(excitation band pass filter)を通して濾過した光を用いて照射し、放
射された光は520 nmロングパスフィルター(long pass filter)を通して蛍光顕微鏡を用いて決定することができる。
【0023】
ΔMGVは、最小限30粒子について測定した平均グレイ値と、同様にバックグラウンド位
置(すなわち基質上の位置)の最小値、例えば25位置について測定した平均グレイ値との差を表す。
【0024】
ΔMGVは、簡便には100W水銀または75WキセノンランプとともにChroma Technology社の
励起および発光フィルター、Uplan-Apo 20x対物レンズを備えたオリンパス社の蛍光顕微
鏡、BX-61を用いて測定することができる。発光の検出は、F-View デジタル・モノクロームCCDカメラ(4096 グレイ・レベル)を使用して、500 ms (キセノンランプ)または600 ms(水銀ランプ)の露光時間で行うことができ、ならびにMGV値を決定するためのイメージ分析は、ソフトイメージングシステム社の分析ソフトを用いて実施することができる。
【0025】
粒子の自己蛍光を定量するには、粒子は平行なガラス基体(例えば顕微鏡スライド)間の液体媒体、例えば1:1の容積比でグリセリンと1.5 g/Lドデシル硫酸ナトリウム水溶液との混合物(実施例12)、あるいはpH 7.4に緩衝化したリン酸緩衝化生理食塩水(実施例18)のいずれかに分散させられる。自己蛍光の測定は、実施例12および18で詳細に説明される。
【0026】
本発明の粒子に使用されるポリマー粒子中の超常磁性結晶は、ポリマー粒子の表面、またはより好ましくは多孔性ポリマー粒子の孔内に超常磁性結晶の形態で沈積し得るならばいずれの材料であってもよい。したがって本発明の粒子における超常磁性結晶は、超常磁性を示すことができる任意の元素、合金、または化合物である。磁性酸化鉄、例えば磁鉄鉱または磁赤鉄鉱が好ましい。しかし上記結晶は、所望により金属酸化物もしくは他の磁性材料の混合形であってもよい。結晶性磁性材料の総存在量は、一般には1%よりも多いが、好ましくは3%よりも多く、望ましいのは5%であるか、またはそれよりも多い(重量%
であり、具体的には40重量%まで)。そのパーセンテージは、鉄(または酸化鉄とは異なる
磁性材料の場合には、等価な金属)について、被覆粒子の乾燥総重量に基づき、重量ベー
スで計算される。常磁性結晶は、基材ポリマーの表面、すなわち粒子の外部表面上、またはより好ましくは多孔性基材粒子の孔の表面に存在する。
【0027】
多孔性であってもよい磁性ポリマー粒子は、モノマーを用いる通常の手段によって製造できる。一般的には、多孔性の自己蛍光がないポリマー粒子が使用される。しかし基材ポリマー(およびコーティングポリマー)を形成するモノマーは、好ましくは結果的に生成するポリマーが、実質的に(ベンゼン環とは異なる)非局在化した電子共役系を含まないようなものである。このため例えば架橋材としてジビニルベンゼンを使用することは避けることが好ましい。
【0028】
ポリマー粒子の表面にニトロ基が存在することも避けるべきであろう。なぜなら、その基は本来的に非局在化した電子系を含むものであり、ポリマー粒子の自己蛍光性に寄与するからである。
【0029】
基材ポリマーは、ビニル系、スチレン系、なかでもアクリル系のポリマーが特に好ましい。
基材ポリマー調製用の好ましいモノマーとして、以下が挙げられる:メチルメタクリレート、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アクリル酸、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート(trimethylolpropane trimethacrylate)、トリメチロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(pentaerythritol tetraacrylate)、および他のアクリルまたはメタクリルモノマー。
【0030】
基材ポリマーは、好ましくは水膨潤性ではない。
本発明の好ましい態様において、基材ポリマーは、「シード重合反応(seeded polymerization)」、すなわち1つの段階における微細粒ポリマーが、後続の重合反応の「種」
として用いられる多段階重合によって製造される。この場合、より大きい次元の粒子が生成する。この態様において、使用されるモノマーは、一の段階で使用されるモノマーは、他の段階で用いられるモノマーとは必ずしも同一である必要はない。最終段階で生成するポリマーは、好ましくはアクリル系のポリマーであり、最初の重合段階において生成するポリマーは、好ましくはスチレン系のポリマーである。とりわけ好ましい態様において、最初のポリマー(種)は、スチレン系であり、中間体のポリマーは、スチレン/アクリル系
のコポリマー、ならびに最終のポリマーはアクリル系である。
【0031】
粒子を含有する基材ポリマーは、細粒子のポリマー粒子を生成するのに好適な任意の技術によって製造してもよい。例えば懸濁重合、エマルジョン重合、分散重合などである。しかしながら該粒子は、特に好ましくはUS 4,654,267またはWO00/61647に記載されたように、よく知られたUgelstad法を用いて製造することができる。帯磁化方法において、好ましくはエチレンジアミンの代わりにアンモニアが使用される。驚くべきことにアンモニアを使用すると自己蛍光が低いレベルの粒子を生成することが見出された。
【0032】
したがって、磁性粒子を取り込む前に、アンモニアを使用して粒子表面にアミノ基を導入することが可能である。
粒子は、Ugelstad方法を用いて製造することができ、実質的に単分散であり、換言すると粒子直径の変動係数(CV)は、極めて小さく、例えば2〜5%である。CVは、標準偏差を平
均で除したものの100倍として定義される。ここで平均は、粒子の直径の平均であり、お
よび標準偏差は、粒子サイズの標準偏差である。CVは、好ましくは主となる最頻値(モード)で、つまり見出された粒径分布に単モード分布曲線に適合させることにより計算される。したがって、最頻値の粒径より下の粒子または上の粒子のなかには、計算上、無視されるものもあるかも知れない。その計算は、例えば全粒子数(すなわち検出できる粒子の)の約90%に基づいている。このようなCVの決定は、Coulter LS 130 粒径アナライザーによって実施できる。
【0033】
コーティングポリマーは、好ましくは少なくとも1種のエポキシド化合物、好ましくは少なくとも2種のエポキシド化合物から形成される。
多孔性磁性ポリマー粒子とコーティング・モノマーとの反応は、基材ポリマー粒子の孔内にコーティングポリマーを生成する。該コーティングポリマーは、基本的にこれらの孔をブロックするように作用し、超常磁性結晶を物理的にポリマー粒子内に内包させる。その結果として生じる"被覆された"粒子は、多孔性の出発材料と比較すると多孔度が減少する。驚くべきことに超常磁性結晶は、重合反応を触媒するようであり、被覆がそれらの周辺に優先して形成されることと信じられている。超常磁性結晶の大多数が当初の多孔性粒子の孔内にあることから、被覆は粒子の外表面上に相当の程度に形成しないかも知れない。
【0034】
ある好ましい態様では、多孔性ポリマー粒子はエポキシド類の混合物と反応する。好ましくは、該エポキシドは、少なくとも1個のエーテル結合を有しており、さらに必要に応じて疎水性成分、例えばアルキレン鎖を含有する。一般的にエポキシドは、3〜50個、好
ましくは3〜25個の炭素原子を含有する。使用される典型的なエポキシドとして、以下が
挙げられる:
エピクロロヒドリン(epichlorohydrin)、エピブロモヒドリン(epibromohydrin)、イ
ソプロピルグリシジルエーテル(isopropylglycidyl ether)、ブチルグリシジルエーテ
ル(butyl glycidyl ether)、アリルグリシジルエーテル(allylglycidyl ether)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,4-butanediol diglycidyl ether)、(1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ブタンネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
((1,4-bis (2,3-epoxypropoxy) butane)neopentylglycol diglycidyl ether)、エチレ
ングリコールジグリシジルエーテル(ethylene glycol diglycidyl ether)、グリセロールジグリシジルエーテル(glycerol diglycidyl ether)、グリシドール(glycidol)、
およびグリシジルメタクリレート(glycidyl methacrylate)、エチルヘキシルグリシジ
ルエーテル(ethyl hexyl glycidylether)、メチルグリシジルエーテル(methyl glycidylether)、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル(glycerol propoxylate triglycidylether)、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル(poly (propylene glycol) diclycidylether)、1,3−ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,3 butanediol diglycidylether)、t-ブチルグリシジルエーテル(tert-butyl glycidylether)、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(1,4 cyclohexanedimethanol diglycidyl ether)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(diethylene glycol diglycidyl ether)、ドデシルグリシジルエーテル(dodecyl glycidylether)、O−(2,3−エポキシプロピル)−O'−メチルポリエチレングリコールグリシジルエーテル(O-(2,3 epoxypropyl)- O'-methylpolyethylene glycol glydidylether)、グリシジ
ルテトラフルオロエチルエーテル(glycidyl tetrafluoroethyl ether)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(1,6 hexanediol diglycidylether)、オクチルグリシジルエーテル(octyl glycidylether)、デシルグリシジルエーテル(decyl glycidylether)、ポリ(エピクロロヒドリン−co−エチレンオキシド−co−アリルグリシジルエーテル)(poly (epichlorohydrin-co-ethylene oxide-co-allyl glycidylether))、ポリエチ
レングリコールジグリシジルエーテル(polyethylene glycol diglycidyl ether)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル(trimethylolethane triglycidylether)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(trimethylolpropan triglycidylether)、t−ブチルジメチルシリルグリシジルエーテル(tert-butyldimehytlsilyl glycidylether)、1,2−エポキシブタン(1,2-epoxybutane)、 1,2−エポキシペンタン(1,2-epoxypentane)、1,2−エポキシ−5−ヘキサン(1、2-epoxy-5-hexene)、1,2−エポキシヘキ
サン(1、2-epoxy-hexane)、 1,2−エポキシ−7−オクテン(1,2-epoxy-7-octene)、1,2−エポキシオクタン(1,2-epoxyoctane)、1,2,7,8−ジエポキシオクタン(1,2,7,8-Diepoxyoctane)、1,2−エポキシ−9−デセン(1,2-Epoxy-9-decene)、1,2−エポキシデカ
ン(1,2-Epoxydecane)、1,2−エポキシドデカン(1、2-Epoxydodecane)、1,2−エポキ
シテトラデカン(1、2-Epoxytetradecane)等。
【0035】
典型的にはコーティング反応は、多孔性磁性ポリマー粒子をコーティング・モノマー、例えばそれらの溶液 (例えば、メタノール、トルエン、キシレン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテルまたはジグリム(diglyme)などの有機溶媒中)を使用して含浸させるにより、あるいは有機溶媒に分散させた多孔性粒子の分散物を液体エポキシド混合物とを混合することにより行なうことができる。含浸を促進するために超音波照射を使用してもよく、ならびに該反応は、温度、例えば50〜100℃まで上昇させることにより加速させら
れるであろう。使用したいずれの溶媒も、減圧にすることにより抜き出すことができる。
【0036】
本発明の別の面として、本明細書で先に述べた非局在化した電子共役系を含まない被覆磁性粒子の製造方法を提供する。該方法は、表面にニトロ基を持たないが、表面および/
またはその孔内に超常磁性結晶を有する多孔性磁性ポリマー粒子を、1以上のエポキシドから選択されたポリマー形成性モノマーと反応させることを含む。
【0037】
本発明の別の面として、そうした粒子の、合成、抽出またはアッセイにおける利用を提供する。
所望によりさらに物質を上記粒子に含浸させるか、または化学的にさらに結合させてもよい。これは、コーティングの重合反応の前であるか、または該重合反応の後のいずれかで行なわれる。代表的なそうした材料には、放射線の放出体または吸収体、例えばフルオロフォア(fluorophore)、燐光を与える材料、時間遅延性の蛍光を与える材料、発色物
質または放射性の放射活性に標識された材料がある。
【0038】
本発明に係る粒子は、通常、マイクロメーターの範囲、例えば0.3〜100μm、特に0.5〜50μm、さらに特別には0.8 〜10μm、具体的には、2〜10μm、例えば5μmおよび8μmである大きさ(すなわち直径)を一般に有するであろう。
【0039】
典型的には使用される多孔性粒子は、平均粒子直径を2.7μm(つまり表面積に2.7/MDを
乗じる。ここでMDとはマイクロメーターの平均直径である。)に補正すると、少なくとも15 m2/g(BET窒素吸収法によって測定した)の表面積を持ち、より好ましくは少なくとも 30
m2/g、具体的には700 m2/gまでである。同様にスケールを揃えて、粒子の孔ボリューム
(volume)は、 好ましくは少なくとも0.1 mL/gである。
【0040】
ポリマー粒子は、典型的には球形であり、コーティングする前は、実質的に単分散であり、粒子が被覆されても依然として球形であり、実質的に単分散であることが特に望ましい。
【0041】
「実質的に単分散」とは、複数の粒子(例えば少なくとも100個、より好ましくは少なくとも1000個)について、それらの粒子が20%未満の変動係数(CV)を有することを言い、例えば15%未満、好ましくは12%未満、より好ましくは11%未満、さらにより好ましくは10%未満、および最も好ましくは約8%を超えない、具体的には2〜5%である。
【0042】
一般的に磁性ポリマー粒子に考えられる用途は、例えば診断上のツールであり、生物的な媒体として優勢である水性の系において、結合および他の反応に充分に参加するためには、適度な親電子性(electrophilicity)であることが要求される。
【0043】
コーティングの極性は、一般的には望ましいほどの親電子性ではあるけれども、疎水性部分を含むようなコーティングのあるものを、親電子性の程度が望ましい程度になるように仕立てるために取り込んでもよい。このようにして本発明は、広範囲の極性を有する、有用な診断用または他の用途のツールを提供することを可能とするものである。
【0044】
所望により被覆磁性ポリマー粒子の表面を、薬剤分子、レポーター標識(例として、発色物質、酵素または放射性標識)または親和性リガンド(例えば抗体または抗体フラグメ
ント、特異的な結合をするパートナー対の片割れ(具体的にはビオチンまたはストレプト
アビジン)、オリゴペプチド、オリゴヌクレオチドまたはオリゴ糖)をカップリングさせることにより機能化させてもよい。
【0045】
そのようなカップリングは、直接的または間接的であってもよく(粒子およびそれに結
合される物質との間の結合を形成するために、カップリング剤を使用してもよく、あるいはしなくてもよい)、ならびに生分解性であってもよく、なくてもよい。磁性ポリマー粒
子が活性化合物の標的への放出のために使用されるなら、生分解性のカップリングが望まれるかも知れない。したがって、コーティングが実施された後に、そのコーティングのペンダント基は、そのような物質の結合に関して、適当な機能性(例えばエポキシ、ヒドロ
キシ、アミノ、ケトン、メルカプト、イソチオシアネート、イソシアネート、トシル、カルボン酸などの機能性)を与えるように操作してもよい。
【0046】
本発明に係る低い自己蛍光の粒子は、粒子の蛍光が検出される用途、例えばレポーター担体がフルオロフォアを担持しているアッセイにおいてとりわけ有用である。「フルオロフォア(蛍光プローブ)」とは、固有の蛍光を発する化合物をいう。あるアッセイでは、着色した粒子またはビーズを使用することが望ましい。この点に関して、着色した粒子/
ビーズを、そのようなアッセイにおいて使用する場合には、粒子に「カラー(色)コード」を付すフルオロフォアの存在が必要となる。異なるフルオロフォアが多数知られており、様々の「カラーコード」化されたビーズ(すなわち、ビーズの種類各々は、低い波長の
光で励起されたとき、異なる波長、異なる強度等の発光をする。励起する光源は、レーザー光あるいは1またはいくつかの波長のフィルターを通した光である)を調製することが
できる。このようなコード化は、異なる蛍光強度、異なる蛍光スペクトル、2以上のフルオロフォアの間で異なる強度比を有するビーズ群を提供することにより、あるいは様々なフルオロフォアを持ち、異なる直径のビーズ群を使用することにより構築される。他のコード化方法として、磁気性タグ、屈折率、吸収スペクトル、吸収比が有用である。
【0047】
フルオロフォアを、本発明に係る低い自己蛍光の粒子に付着させることができる。例えば、表面機能性基(具体的にはアミノ基)を有する粒子を、粒子にフルオロフォアとの共有結合を形成させる反応性の基を含むフルオロフォアに接触させる。そのような機能性基として、スクシンイミドエステル、イソチオシアネート、カルボン酸、マレイミド、塩化スルホニルなどが挙げられる。
【0048】
フルオロフォアをビーズ上(もしくは中)に取り込む他の可能な方法には、疎水性または静電的な相互作用、フルオロフォアの被覆への膨張取り込み(swelling)またはフルオロフォアの被覆への内包(または捕捉、内包は、使用する溶媒の極性変化により誘導され
る。)、フルオロフォアの孔内への沈積、ポリマー基材へのフルオロフォアの膨張取り込
みなどが考えられる。
【0049】
粒子へのフルオロフォアの付加は、粒子を合成する際のいずれかの適当な段階で行なうことができる。したがって磁気化処理の後で、引き続きコーティングが行なわれる前に、粒子にフルオロフォアを結合させてもよい。あるいは、フルオロフォアの添加に先行して薄膜を粒子に結合させてもよく、その後さらにコーティングが行なわれる。しかしながら最も簡便には、フルオロフォアは、最後のコーティングが行なわれた後に粒子に結合させることである。
【0050】
フルオロフォアを覆うような被覆を適用することはその蛍光強度を著しく減じるために
、最後の方法が最も好ましい。もっともクマリン色素、AMCA (Molecular Probes Inc社製)については、強度の減少は、その上に被覆がなされたとしても観察されない。
【0051】
粒子およびフルオロフォアの間の反応は、以下の有機溶媒中で都合よく起こるであろう:ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、1,4-ジオキサン、クロロホルム
、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸ブチル、酢酸エチルなどの単独またはそれらの混合溶媒である。一番に要求されるものは、粒子全体に色素が均一に分布することを可能とし、また色素を高収率で取り込むことを可能とする溶媒系である。当業者であれば、このことは容易に実施できるであろう。
【0052】
フルオロフォアを機能化させた被覆磁性粒子は、さらに親和性リガンドを担持すべきである。これは、サンプル中に存在するか、しないかを確認されるべき特定のアナライトに対する親和性に基づいて選択される性質の実体である。それゆえ親和性リガンドとして、特定アナライトを特異的に認識することができる磁性プローブに結合させることができる分子を含んでもよい。したがって親和性リガンドには、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント、核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質、オリゴペプチド、多糖糖、糖類、ペプチド、ペプチドをコードする核酸分子、抗原、薬剤および他のリガンドなどが挙げられる。 最も一般的な親和性リガンドは、サンプル中にある抗原と結合
する抗体である。
【0053】
適当な親和性リガンドの例は、刊行された文献類に入手できるし、またよく知られている。さらなる結合パートナー、二次的な親和性リガンドおよび結合性基の使用は、当業界では日常的なことがらであり、そうした種類の結合を本発明の粒子に使用することは、所望すれば可能であることが認識されよう。
【0054】
さらに具体的に言えば核酸の検出では、標的の核酸を含むと想定されるサンプルを、一般には核酸プローブを用いて探索することが含まれる。その核酸プローブは、標的核酸の配列を特異的に認識する、例えばそれとハイブリダイズする核酸配列を含む。その結果、核酸親和性リガンドおよび標的核酸は一緒にハイブリダイゼーションの層を形成する。これに対応して免疫学的測定タイプのホルモン、抗体、サイトカインなどの検出は、通常、ビーズへの抗体または抗原の結合を含むものである。
【0055】
目的とする標的に導入されてきた「タグ」に対して特異的な親和性を有するリガンドを結合させることは興味深いかも知れない。そのようなリガンドとしては、金属キレート、有機低分子、核酸誘導体またはタンパク質であり得る。細胞生物学および微生物学における応用では、特定タイプの細胞、細菌またはウィルスに対する親和力で抗体に結合させることが関心となる。
【0056】
標的物質は、生体分子または合成起源の分子であってもよく、または両タイプの複合体でもよい。それは、具体的には分子または分子群でもよく、細胞または単細胞生物、またはウィルスであるかも知れない;例えば抗体、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、酵素、酵素基質、ホルモン、リンホカイン、代謝物質、抗原、ハプテン、サイトカイン、レクチン、アビジン、ストレプトアビジン、トキシン類、毒素、環境汚染物質、炭水化物、オリゴサッカライド、多糖類、糖タンパク質、糖脂質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸および誘導体化された核酸、DNA、RNA、天然の薬物または合成薬剤、レセプター、ウィルス粒子、細菌性粒子、ウィルス構成成分、細胞、細胞構成成分、天然または合成の脂質小胞、ポリマー膜、ポリマーサービス(services)および粒子およびガラスおよびプラスチック表面。
【0057】
標的-結合リガンドに結合するばかりでなく、本発明に基づいて製造された粒子は、ま
たレポーター部分、例えばビオチン、発色物質、フルオロフォア、ラジオアイソトープまたは酵素で標識されていてもよい。
【0058】
とりわけ興味がさらに向けられるのは、上記のカラーコード化された粒子に特別に連結させたレポーター部分として、フルオロフォアを含む可能性である。フルオロフォアをレポーター分子に取り込むことは、当業界で知られている。
【0059】
例えば核酸の検出において、標的に相補的である1個または数個のフルオロフォアで標
識したオリゴヌクレオチドプローブが用い得る。標識は、プローブ合成の間に、修飾されたホスホラミダイト(phosphoramidite)を用いて実施することができる。
【0060】
代替として、標識されたヌクレオチドまたはプローブの酵素的取り込みが、標的が存在するときには用いることができる。
タンパク質/免疫アッセイ用に、抗体または抗原は、標準的な架橋結合試薬を用いて標
識することができる。例えばタンパク質または抗原上のアミノ基と結合するN-ヒドロキシサクシンイミド活性化−フルオロフォアである。
【0061】
そうしたレポーターが本発明に係る低い自己蛍光の粒子(既に「カラーコード化」フルオロフォアに結合している)と結合すると、2つの励起し得るフルオロフォアの存在があることになる。
【0062】
これは後でもっと詳細に記載するように、様々なアッセイでビーズを使用することを許容し、多重化も可能となる。
利用されるフルオロフォアは、それらの励起と発光の信号が干渉しないように選択されるべきである。当業者は使用する1以上のフルオロフォアを、重複が最小限となるように適合させることができるけれども、多くのフルオロフォアが吸収極大よりも短波長で「裾(tail)」を示すような吸収スペクトルを有しているがために、ならびにレポーター用に意図された励起光でもって該コードの励起を避けるためにも、好ましくは該コード(すな
わち粒子のフルオロフォア)は、レポーターよりも短波長にセットすべきである。さらに
短波長の領域 (青および緑の発光)は、また固有の自己蛍光が最も著しいスペクトル領域
でもある。
【0063】
本発明の特に好ましい態様においては、粒子に結合したフルオロフォアは、スペクトルの青領域(すなわちレポーターより短い波長側)で発光するだろう。これに対し、レポーター部分に結合したフルオロフォアは、スペクトルの赤い領域(すなわち粒子フルオロフォアのよりも長波長側))で発光するであろう。
【0064】
別の観点から、粒子に結合する色・フルオロフォア(コード)は、レポーターより短い波長で発光するであろう。これに対し、レポーター部分に結合したフルオロフォアは、該コードよりも長い波長側で発光する。
【0065】
使用に適切なフルオロフォアを下記に挙げる: 7-Hydroxy-4-methylcoumarin (AMCA/AMCA-X)、 Alexa fluor 350、 Alexa fluor 405、 Alexa Fluor 430、 Alexa Fluor 488、 Alexa Fluor 532、 Alexa Fluor 546、 Alexa Fluor 568、 Alexa Fluor 594、 Alexa Fluor 633、 Alexa Fluor 647、 BODIPY 493/503、 BODIPY 530/550、 BODIPY 558/568、 BODIPY 564/570、 BODIPY 576/589、 BODIPY 581/591、 BODIPY 630/650-X、 BODIPY 650/665-X、 BODIPY FL、 BODIPY TMR、 BODIPY TR、 Cascade Blue、 Cy2、 Cy3、 Cy3.5、 Cy5、 Cy5.5、 Cy7、 DY-505、 DY-555、 DY-647、オレゴングリーン(Oregon Green) 488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、ピレン、テトラメチルローダミン、フルオレセイン、これらは適当な機能性基を有してもよく有しなくて
もよいし、ならびにフルオロフォアと機能性基との間のリンカーを有してもよく有しなくてもよい。該フルオロフォアは適当な機能性基を持っていてもよい。すなわちアミノ、スクシンイミジルエステル、イソチオシアネート、マレイミド、塩化スルホニル、カルボン酸などが例示される。
【0066】
そのような蛍光で標識された粒子は、さまざまなアッセイ、例えば多重免疫アッセイ(multiplexed immunoassay)において使用することができる。例えば、異なる色(カラー
)でコード化され、対応する親和性リガンドを有する粒子の混合物を分析するサンプルに加えてもよい。対象のアナライトは、親和力によりその対応する色を付した磁性粒子上のリガンドに結合するであろう。
【0067】
サンドイッチタイプの免疫的測定において、アナライトに特異的な第二抗体(親和性リ
ガンド)に結合した標識(例えばフルオロフォア)は、後に捕獲されたアナライトに結合す
る。その標識は、放射免疫アッセイ(radioimmunoassay)、蛍光または化学発光免疫学的測定、または免疫PCR技術において周知の標識グループから選択してもよい。知られてい
る免疫的測定技術についてのさらなる議論はここでは必要としない。これらのことは当業者には知られていることであるからである(Jackowski Georgeら;米国特許出願20020160425号、10月31日、2002年)。
【0068】
粒子の磁気的性質は、結合しなかったが検出段階の間に干渉するような標識および他の試薬をすべて除去するために、結合複合体の単純な(自動化された)洗浄を促進する。洗浄工程が存在しない場合のその干渉の度合いは、使用するシステムの性格に依存するが、ほとんどの場合、結合しない標識を除去することは必須である。すべての場合、洗浄結果はバックグラウンドを低下させ、洗浄しない分析に比べてシグナル・ノイズ比を上昇させる。
【0069】
粒子-アナライト-標識複合体は、1または2の検出システムにおける分析を受けることになる:この場合、
a) ビーズの色が検出される。および
b) 結合した標識が検出される。
【0070】
このことは、2つの並列する検出器において、同じ検出器で同時に実施され得る。あるいは同一検出器を連続的に2回使用して、またはビーズ複合体を1つの検出系から次の検出系へ移動させることにより実施される。後者の場合、粒子を追跡することが可能でなくてはならず、その結果、粒子の色と標識検出との間には直接の関係が存在する。
【0071】
多重化は、粒子のカラーコード化によって達成される。粒子のいずれのタイプが結合した標識からのシグナルを有するかを確定することにより、アナライトが同定できる。2個またはそれ以上の個数の標識をアナライト検出のために使用することで、多重化のレベルを上げることができる。
【0072】
検出系は、単一の粒子を分析することができなければならない。このことは、フローベースの系、例えばマイクロ流体フローサイトメーター(microfluidic flow cytometer)
または固定化ビーズ・アレイ方式で可能となる。後者の場合、該ビーズは、顕微鏡スライド、マイクロタイター・ウェルの底またはマイクロ流体システムの構造体といった固体表面に、親和力または磁気的力により、受動的にもしくは活発に沈降する。
【0073】
ビーズのカラーコード化は、高分解能スキャナーを用いて読み取ることができ、ビーズ表面の標識の検出は、顕微鏡をベースとしたイメージ分析システムといった、より精巧な機器が必要とされる。システムの検出限界は、ビーズ表面の標識を同定する検出器の能力
により規定される。したがってアナライト当りに導入される標識が多いか、あるいは導入された標識が極めて大きいと(検出が容易であるという意味)、感度を上昇させることができる。
【0074】
競合アッセイでは、対象であるアナライトと競合し、標識を付された(例えばフルオロ
フォアで)アナライトを添加して用いる。本来のアナライトおよびその標識化アナライト
に対して等価の親和性を有する親和性リガンド(抗体)が色でコード化されたビーズ上に固定化され、これにより色でコード化されたビーズの各セットは、アナライトの一揃いに対して特異的な親和性を有することになる。
【0075】
想定されるアッセイにおいて、ビーズ・アレイ技術を利用することができる。ビーズ・アレイ方式では、磁気を利用し表面の限定された領域に、粒子が(受動的に)スポットされるか、置かれる。ビーズが配列した結果が2段階方式で読み取られ、ビーズは解読される。各ビーズの位置およびそのカラーコードが適当なソフトウェアにより記録され、陽性のビーズからのシグナルが記録され、そのコードの特質と関係付けられる。
【0076】
あるいは標識化されたレポーターは使用されなくともよく、代わりにビーズ/アナライ
ト複合体に結合したビオチンまたはビオチン化分子がアナライトに結合するような様式で、アナライトがさらに反応してもよい。このものは、ストレプトアビジンでコーティングされたスライドに結合させられ、顕微鏡もしくはレーザースキャニングで分析される。
【0077】
マイクロ流体上の競合的多重化免疫的測定において、ビーズは、レポーターおよび標識として機能する。ビーズは、標的の抗原に対する抗体でコーティングされてもよい。多重化は、対象となる抗体-抗原のペア各々について1つのカラーコードを用いて実現される
。標準的な競争アッセイは、ビオチン化抗原の存在で実施される。これは適当な容器内であればいずれで行ってもよく、試験管、ウェルまたはマイクロ流体デバイスが例示される。
【0078】
インキュベーションの後、ビーズ-抗原複合体を洗浄して、取り込まれなかった抗原が
存在しないようにするために磁気分離が利用される。次いでサンプルをストレプトアビジンでコーティングした表面を通す。最適化されたフローまたは洗浄の条件を用いると、拮抗するビオチン化された抗原を有するビーズ複合体だけが結合される。したがって高濃度の標的抗原を含むサンプルは、対応する色のコードを持つ結合ビーズは少数であるか存在しないが、他方、低濃度の標的に対応するカラーコードを付された結合ビーズの数は高くなるであろう。
【0079】
マイクロ流体デバイスは、顕微鏡スライド上に定義された領域のような単体であり得るが、ストレプトアビジンのマイクロアレイ・スポッティングにより作成される。あるいはマイクロ流体デバイスにおいて、混合、磁気分離および検出を取り込んで、より複雑な解決もなされ得る。
【0080】
よって本発明の別の面から、アッセイにおける本発明の粒子の使用を与え、該アッセイは次の工程を含む:
i)第一のフルオロフォアおよび親和性リガンドを含む被覆磁性粒子を標的アナライトが存在するかも知れないサンプルに添加すること;
ii)上記親和性リガンドを、該アナライト(存在するなら)に結合させ、複合体を形成さ
せること;
iii)前記複合体をレポーターと接触させ、レポーターを該アナライトに結合させること。この場合、前記レポーターは第二のフルオロフォアを担持していてもよい;
iv)前記粒子を該サンプルから磁気的に分離すること; および
v)第一のフルオロフォアを検出し、また第二のフルオロフォアも存在するならそれも検出すること。
【0081】
あるいは、該アッセイはつぎの工程を含む:
i)第一のフルオロフォアおよび親和性リガンドを含む被覆磁性粒子と、標的アナライトが存在するかも知れないサンプルと接触させる。この場合、親和性リガンドを巡って該標的アナライトと競合することができるレポーターを担持するアナライトが存在する;
ii)前記親和性リガンドを、該アナライトに結合させ、あるいは存在するのであればレポ
ーターを担持するアナライトに結合させること;
iii)前記粒子をサンプルから磁気的に分離すること; および
iv)第一のフルオロフォアを検出すること。
【0082】
本明細書には、アッセイがフルオロフォアに関して記載されているが、当然、フルオロフォアと結合している他の標識もまた使用することができる。例えばサイズの異なるビーズ、または放射性標識で標識されたビーズも用いることができる。
【0083】
本発明を、次の実施例を参照してさらに説明する。これらの実施例は、本発明を限定する趣旨ではなく、単に説明する意図からである。実施例において、特に断らない限り、パーセンテージは、重量%である。
【実施例1】
【0084】
シード・ラテックス
エマルション重合反応により作製され、0.5μmに単一サイズ化されたポリスチレン・
ラテックス粒子18.Ogを、0.6%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液108.6gにあるジオクタノイルペルオキシド10.8gおよびアセトン10.8gのエマルションと一緒に室温で撹拌混合した。20時間してから、反応混合物を0.25% SDS溶液859.1gにあるメチルメタクリレート93.3gおよびスチレン93.3gのエマルションに添加した。25Wで2時間撹拌した後に、0.05% KI水溶液803.4gを反応器内に充填し、温度を700℃に上げて10時間維持した。重合化させた
後、8.6%の乾燥物質を含有し、1.9μmに単一サイズ化された粒子のシード・ラテックス
を得た。
【実施例2】
【0085】
多孔性エポキシ粒子
実施例1の粒子34.5gを、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液59.1gにあるジオクタノイルペルオキシド5.9gおよびアセトン5.9gのエマルションと混合した。室温で24時間撹拌した後に、反応混合物を0.1% ヒロドキシプロピルメチルセルロース水溶液、1013gにある
グリシジルメタクリレート51.8g、エチレングリコールジメタクリレート51.8gおよび酢酸ブチル103.6gのエマルションに添加した。懸濁液を室温で2時間撹拌してから、0.44%ヒロドキシプロピルメチルセルロース水溶液474.5gを加えた。温度を徐々に70℃に上げて、粒子を5時間、重合させた。メタノールで精製した後に、直径7.5μmを有する単一サイズ化
粒子が得られた。窒素吸着により比表面積(specific surface area)が19.2m2/g乾燥物質であると決定された。これらの粒子の自己蛍光は、蛍光顕微鏡またはフローサイトメトリーでは認められなかった。
【実施例3】
【0086】
エポキシ粒子からの超常磁性粒子
3.3gのFeCl2×4H20および7.9gのFeCl3×6H2Oを53gの水に溶解し、これを実施例2の多
孔性エポキシ粒子、5g(乾燥物質)を61gの水に分散させた液に添加した。懸濁液を50℃
に冷却し、数分間撹拌してから、62mlの25% NH3水を加えた。
【0087】
温度を80℃に上げて2時間保った。懸濁液を冷却し、粒子を数回の遠心分離により、水
で精製した。精製後、粒子をメタノールに移して蛍光顕微鏡により分析した。自己蛍光は、従来の磁性ポリマー粒子であれば、かなりの自己蛍光が見られるような同一条件下でも観察されなかった。鉄含量が定量され、67 mg鉄/g乾燥物質(DS)であった。粒子は超常磁
性的な振る舞いを見せ、磁石のほうに引きつけられた。
【実施例4】
【0088】
超常磁性粒子のコーティング
実施例3の磁性粒子、3g(乾燥物質)を遠心分離により15gのジグリムに移し、再懸濁
した。懸濁液を撹拌し、さらに10gブタンジオールジグリシジルエーテルおよび5gのグリ
シドール(glycidol)を加えた。温度を90℃まで上げて20時間維持した。粒子はメタノールを用いて精製した。1080 cm-1でのFT-IR吸収から、エポキシドからエーテルコーティングの出現を確認した。粒子は蛍光顕微鏡にて分析された。緑または赤の自己蛍光は観察されなかった。
【0089】
実施例6、8および11の粒子も同様にしてコーティングした。
【実施例5】
【0090】
スルホン基を有する多孔性粒子
実施例2の多孔性エポキシ粒子、10g(乾燥物質)を、100mlの水に懸濁し、亜硫酸ナト
リウム12.6gおよびナトリウムテトラブチルアンモニウム水素サルフェート13.55gと混合
した。混合物を80℃で20時間撹拌した。水で精製してから、1035 cm-1のFT-IR吸収から、スルホン基の導入を確認した。
【実施例6】
【0091】
スルホン基を有する粒子からの超常磁性粒子
3.3gのFeCl2×4H20および7.9gのFeCl3×6H2Oを53gの水に溶解し、これを実施例5の粒
子、5g(乾燥物質)を96gの水に分散させた液に添加した。懸濁液を5℃に冷却し、数分間撹拌してから、62mlの25% NH3水を加えた。温度を80℃に上げて2時間保った。懸濁液を冷却し、粒子を数回の遠心分離により、水で精製した。精製後、粒子をメタノールに移して蛍光顕微鏡により分析した。自己蛍光は、従来の磁性ポリマー粒子であれば、かなりの自己蛍光が見られるような同一条件下でも観察されなかった。ビーズは超常磁性的な振る舞いを見せ、磁石のほうに引きつけられた。鉄含量が定量され、75.5 mg鉄/g DSであり、イオウの含量は、0.28 mmol/g DSと定量された。
【実施例7】
【0092】
カルボキシル基を有する多孔性粒子
実施例1のシード・ラテックス28.8gを、0.5% SDS水溶液106.5gにあるジオクタノイル
ペルオキシド6.4gおよびアセトン10.6gのエマルションと混合した。室温で24時間混合した後に、反応混合物をメタクリル酸20.7g、エチレングリコールジメタクリレート83.0g、酢酸ブチル103.7g、SDS 0.23g および0.8% ポリビニルピロリドン水溶液975gで形成され
たエマルションに添加した。懸濁液を室温で2時間撹拌してから、470gの水を加えた。温
度を徐々に70℃に上げて、粒子を5時間、重合させた。メタノールで精製した後に、直径8.3μmを有する単一サイズ化粒子が得られた。窒素吸着により比表面積が210m2/g DSであ
ると決定された。
【実施例8】
【0093】
カルボキシル粒子からの超常磁性粒子
2.2gのFeCl2×4H20および3.0gのFeCl3×6H2Oを106gの水に溶解し、これを実施例7の粒子、5g(乾燥物質)を44gの水に分散させた液に添加した。懸濁液を数分間撹拌してから
、51mlの25% NH3水を加えた。温度を80℃に上げて1時間保った。懸濁液を冷却し、粒子を数回の遠心分離により、水で精製した。精製後、粒子をメタノールに移して蛍光顕微鏡により分析した。自己蛍光は、従来の磁性ポリマー粒子であれば、かなりの自己蛍光が見られるような同一条件下でも観察されなかった。粒子は磁石のほうに引きつけられた。鉄含量は、42mg鉄/g DSと定量された。
【実施例9】
【0094】
多孔性エポキシ粒子
実施例1の粒子32.0gを、0.5% SDS水溶液114.1gにあるジオクタノイルペルオキシド6.8gおよびアセトン11.3gのエマルションと混合した。室温で24時間混合した後に、反応混合物を、グリシジルメタクリレート57.6g、トリメチロールプロパントリメタクリレート57.6g、酢酸ブチル115.2g、SDS 0.26gおよび1.1% ポリビニルピロリドン水溶液1085gで形成
されたエマルションに添加した。懸濁液を室温で2時間撹拌してから、521gの水を加えた
。温度を徐々に70℃に上げて、粒子を5時間、重合させた。メタノールで精製した後に、
直径7.5μmを有する単一サイズ化粒子が得られた。窒素吸着により比表面積が64m2/g DS
であると決定された。これらの粒子の自己蛍光は、蛍光顕微鏡によっては認められなかった。
【実施例10】
【0095】
多孔性アミノ粒子
実施例9の粒子、78g(乾燥物質)をメタノールに移し、1550mlの25% NH3水と混合した。懸濁液を夜通し60 ℃で撹拌し、粒子を、その後水を用いて精製した。第一級アミノ基
の含量は、ニンヒドリン反応の方法により0.8 mmol/g DSと定量された。
【実施例11】
【0096】
アミノ粒子からの超常磁性粒子
3.9 gのFeCl2×4H20および7.9gのFeCl3×6H2Oを100gの水に溶解し、これを実施例10の
粒子、10g(乾燥物質)を60gの水に分散させた液に添加した。懸濁液を数分間撹拌してから、81mlの25% NH3水を加えた。温度を80℃に上げて2時間保った。懸濁液を冷却し、粒子を数回の遠心分離により、水で精製した。精製後、粒子をメタノールに移して蛍光顕微鏡により分析した。自己蛍光は、従来の磁性ポリマー粒子であれば、かなりの自己蛍光が見られるような同一条件下でも観察されなかった。ビーズは超常磁性的な振る舞いを見せ、磁石のほうに引きつけられた。その鉄含量が、73 mg鉄/g DSと定量された。
【実施例12】
【0097】
蛍光顕微鏡による自己蛍光の測定
・機器設定およびソフトウェア
超常磁性粒子の自己蛍光を、オリンパス社のBX-61 蛍光顕微鏡を用いて測定した。その顕微鏡は、100 W水銀ランプおよびChroma Technology社のフィルターキューブ(filter cubes)を装備していた。自己蛍光は、450 nm+/-25 nmでの励起band pass-filter、480 nmでのビームスプリッタおよび520 nmでの発光band pass filterを有するfilter cubeを通
して測定した。使用した対物レンズはUplan-Apo 40 xであった。シグナルは、F-View デ
ジタルモノクロームCCDカメラ(4096 グレイレベル)で検出した。露出時間はすべての分析において600 msであった。
【0098】
イメージング解析は、Soft Imaging Systems社からのソフトウェア・パッケージ「analySIS」(R)を用いて行った。粒子集団の平均グレイ値(MGV)は、各粒子の平均強度の平均として計算し、結局、強度の値となり、これは粒子面積の違いを調整する。その結果として、粒子の平均グレイ値として与えられる。異なるタイプの粒子の自己蛍光について対比できる値を得るためには、バックグラウンドの“greyness”値を差し引かねばならない。し
たがって粒子の自己蛍光値は、粒子とバックグラウンドとの間の平均グレイ値の差として算出される。
・サンプル調製
粒子サンプルは、1.5 g/L SDS水溶液とグリセリンとの体積比1: 1の混液で希釈した。
【0099】
両面テープ(3M Scotch 136 D)の2細片(ストリップ)を、顕微鏡スライドグラスに
貼り付けた。両ストリップ間の距離は、およそ3 mmとした。そのストリップの上面に顕微鏡カバーグラスを貼って、スライドグラスおよびカバーグラス間に毛細管チャネルを形成させた。希釈した粒子サンプルを毛細管力により上記チャネルに搭載した。それらの粒子は、測定を行う前に落ち着かせた。
・結果
スチレン/ジビニルベンゼン基材ポリマーを持つ、異なる2種の被覆されていない磁性
ポリマー粒子および実施例3、6、 8 および11の非被覆粒子が調べられた。その結果を表1に示す。
【0100】
表2の結果は、被覆磁性ポリマー粒子について与えられている。スチレン/ジビニルベ
ンゼン基材ポリマーを持つ、異なる3種の被覆磁性ポリマー粒子および実施例4の被覆粒
子が調べられた。粒子の自己蛍光は、粒子の平均グレイ値およびバックグラウンドの平均グレイ値間の差、ΔMGVとして与えられる。
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【実施例13】
【0103】
超常磁性粒子のコーティング
実施例11に記載した方法により得られた、直径5.1μmの粒子0.5gを、9.5 gのジグリム
に移し、4.6gのグリシドール(glycidol)を加えた。懸濁液を75℃で20時間、振盪した。粒子はジグリムおよびメタノールを用いて精製した。 1080 cm-1でのFT-IR吸収により、
エポキシドからエーテルコーティングの出現を確認した。粒子は蛍光顕微鏡にて分析された。
【実施例14】
【0104】
超常磁性粒子のコーティング
実施例11に記載した方法により得られた直径5.1μmの粒子0.5gを、9.5 gのトルエンに
移し、3.6gのブタンジオールジグリジルエーテルおよび8.3gのエチルヘキシルグリシジルエーテルを加えた。懸濁液を75℃で20時間、振盪した。粒子はトルエンおよびメタノールを用いて精製した。1080 cm-1でのFT-IR吸収によりエポキシドからエーテルコーティングの出現を確認した。粒子は蛍光顕微鏡にて分析された。
【実施例15】
【0105】
超常磁性粒子のコーティング
実施例11に記載した方法により得られた、直径5.1μmの粒子0.5gを、9.5 gのジグリム
に移し、2.3gのブチルグリシジルエーテルおよび3.3gのグリシドールを加えた。懸濁液を75℃で20時間、振盪した。粒子はジグリムおよびメタノールを用いて精製した。1080 cm-1でのFT-IR吸収により、エポキシドからエーテルコーティングの出現を確認した。粒子は蛍光顕微鏡にて分析された。
【実施例16】
【0106】
超常磁性粒子のコーティング
実施例11に記載した方法により得られた、直径5.1μmの粒子0.5gを、9.5 gのトルエン
に移し、3.3gのグリシドールおよび3.6gのブタンジオールジグリジルエーテルを加えた。懸濁液を75℃で20時間、振盪した。粒子はトルエンおよびメタノールを用いて精製した。1080 cm-1でのFT-IR吸収により、エポキシドからエーテルコーティングの出現を確認した。粒子は蛍光顕微鏡にて分析された。
【実施例17】
【0107】
アミノ粒子
実施例16に記載した方法により得られた粒子15gを、135gのジグリムおよび135gのエチ
レンジオキシジエチルアミンの混合物に添加した。懸濁液を60℃に加熱した。4時間して
から、粒子をメタノールおよび無水ジメチルホルムアミドを用いて精製した。粒子中の第一級アミノ基は、ニンヒドリン反応の方法により確認した。粒子は、蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリーにて分析した。
【実施例18】
【0108】
蛍光顕微鏡による自己蛍光測定
・機器設定およびソフトウェア
実施例13〜17からの超常磁性粒子の自己蛍光を、オリンパス社のBX-61 蛍光顕微鏡を用いて測定した。その顕微鏡は、75 WキセノンランプおよびChroma Technology社のフィル
ターキューブ(filter cubes)を装備していた。自己蛍光は、表3に示される露光時間を使用し、3種の異なるfilter cubeにより測定した。使用した対物レンズはUplan-Apo 20 xであった。シグナルは、F-View デジタルモノクローム CCDカメラ (4096 グレイレベル)で検出した。イメージング解析は、Soft Imaging Systems社からのソフトウェア・パッケージ「analySIS」(R)を用いて行った。
【0109】
粒子集団の平均グレイ値(MGV)は、各粒子の平均強度の平均として計算し、これは結局
、強度の値となり、これにより粒子面積の違いを調整する。その結果は、粒子の平均グレイ値として与えられる。異なるタイプの粒子の自己蛍光について対比できる値を得るためには、バックグラウンドのgreyness値を差し引かねばならない。したがって粒子の自己蛍光値は、粒子とバックグラウンドとの間の平均グレイ値の差として算出される。
【0110】
【表3】

【0111】
・サンプル調製
すべての粒子は、リン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)で希釈してから、実施例12に記載
したような顕微鏡スライドグラスの毛細管チャネルに移した。
・結果
スチレン/ジビニルベンゼン基材ポリマーを持つ、異なる2種の被覆磁性ポリマー粒子
および実施例13、14、15、16および17の被覆粒子について調べられた。その結果を表4に示すが、併せて市販の較正粒子および認証ブランク(certified blank)と比較した。
【0112】
【表4】

【0113】
認証ブランク粒子は、Bangs Laboratories, Inc. から得られるMESF較正セットに含め
られる。それらの粒子は、7.4 μmでコンパクトな非磁性ポリマー粒子であり、Schwartz
の米国特許 5,089,416号に記載されたように、フローサイトメトリー適用には、非蛍光性のレファレンスとして使用してもよい。
【実施例19】
【0114】
フローサイトメトリーによる自己蛍光測定
フローサイトメトリーの機器設定およびソフトウェア
実施例17からの超常磁性粒子の自己蛍光を、BD biosciences社のBD LSR II フローサイトメーターを用いて測定した。励起光源は、488 nm 固体レーザーおよび633 nmヘリウム
・ネオンレーザーであった。表5には、異なる蛍光検出器の励起およびフィルターの特性仕様をまとめた。PMT検出器の電圧はすべて600 Vにセットした。
【0115】
集計は、側方散乱(SSC)に対する前方散乱(FSC)のプロットにおいて、ゲートを設定することにより実施した。これにより単一粒子のみが含められる。フローサイトメーターは、各サンプルについて、毎秒100 イベント(event)の近似的な割合で10 000粒子をカウン
トするように設定した。サンプル各々について「エリア−平均(area-mean)」が決定さ
れた。
【0116】
エリアの検出について、シグナルは、同一種類の粒子のサイズ減少とともに減少するであろう(フロー測定からの強度が、粒子が的(objective)を通過する際に発生した、強度の検出プロファイルの積分であるためである)。
【0117】
BD LSR IIフローサイトメーターのフィルター設定
【0118】
【表5】

【0119】
・サンプル調製
すべてのサンプルを、分析の前にリン酸緩衝化生理食塩水(PBS pH7.4)で希釈した。粒
子濃度は、フローサイトメーターで、毎秒100 イベントの近似カウントを与えるように調整した。
・結果
スチレン/ジビニルベンゼンを持つ、異なる2種の被覆磁性ポリマー粒子および実施例17の被覆粒子が調べられた。その結果を表6に示すが、併せて市販の較正粒子および認証
ブランクと比較した。
【0120】
認証ブランク粒子は、Bangs Laboratories, Inc.から得られるMESF較正セットに含められている。それらの粒子は、7.4 μmのコンパクトな非磁性ポリマー粒子であり、Schwartzの米国特許 5,089,416号に記載されたように、フローサイトメトリー適用には、非蛍光
性のレファレンスとして使用してもよい。
【0121】
強度:シングレット(singlets)の平均チャネル数
【0122】
【表6】

【0123】
フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリスリン(PE)およびPE-Cy5(Bangs Laboratories Inc. 社)についてのMESF較正キットの使用により、測定された自己蛍光は、MESF(Molecules of Equivalent Soluble Fluorophore;可溶性蛍光色素分子等量)値
に特定され得る。 MESFの定義は、次のサイトで見つかるかも知れない。
【0124】
表7には、それぞれの較正曲線に対して自己蛍光を比較する際の推定MESF値が与えられている。
【0125】
【表7】

【実施例20】
【0126】
3つの蛍光強度レベルを持つ超常磁性粒子を与える、Bodipy630/650の取り込み
実施例17に記載した方法により得られた8μm粒子をジメチルホルムアミド中に10 %(w/w)に分散させたものを、3個のバイアル、A、BおよびCに移した。5.6mgのBodipy 630/650
スクシンイミジル(succinimidyl)エステル(Molecular Probes Inc. 社)を、11.9 mL ジメチルホルムアミドと混合し、バイアル中の粒子分散物に添加した。バイアルAでは、50 g粒子分散物を10.6 mL 「色(colour)」溶液と、バイアルBでは、 30 g粒子分散物を0.6
mL 「色」溶液と、ならびにバイアルCでは、30 g粒子分散物を0.06 mL「色」溶液と混合した。これらの混合物は、24時間、周囲温度で振盪し、磁石の上においた。該粒子はメタノール、5% トリエチルアミン・メタノール溶液および水で精製し、リン酸緩衝化生理食
塩水(PBS、pH 7.4)で希釈した。粒子を蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリーで分析し
た。
・蛍光顕微鏡による測定
顕微鏡による測定は、オリンパス社のBX-61 蛍光顕微鏡を用いて測定した。その顕微鏡は、75 WキセノンランプおよびChroma Technology社のフィルターキューブ(filter cubes)を装備していた。蛍光は、630(30)nmでの励起band pass filter、 650 nmでのビー
ムスプリッタおよび665 nmでの発光long pass filterを有するフィルターキューブを通して測定した。使用した対物レンズはUplan-Apo 40 xであった。カメラ露光時間の設定は、粒子に結合した色素の対応量に合せた。
【0127】
すべての粒子は、リン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)で希釈してから、実施例12に記載
したような顕微鏡スライドグラスの毛細管チャネルに移した。
ΔMGVとして与えられる蛍光強度は、結果的には実施例12の場合のように計算した。変
動係数(% CV)は、粒子の平均グレイ値(MGV)の標準偏差を粒子の平均グレイ値(MGV)で割り、因子100を乗じたものとして定義される。着色粒子は、色素の取り込みがない類似粒子(ブランク・レファレンス)と比較した。
【0128】
【表8】

【0129】
・フローサイトメトリーによる測定
フローサイトメトリーによる測定は、Becton-Dickinson社のBD LSR II フローサイトメーターを用いて行った。その測定器は、励起光源として633 nmレーザーを備えていた。BD
LSR II フローサイトメーター用のAPC (アロフィコエリスリン) フィルター一式に対応
し、660(20)nm仕様を有する発光バンドパスフィルター(emission bandpass filter)を
検出のために使用した。PMT検出器の電圧はすべて250 Vにセットした。集計は、側方散乱(SSC)に対する前方散乱(FSC)のプロットにおいて、ゲートを設定することにより実施した。これにより、単一粒子のみが含められる。フローサイトメーターは、各サンプルについて、毎秒100 イベントの近似的な割合で10 000粒子をカウントするように設定した。単一粒子の集団は、典型的には該イベント総数の90%を含んでいた。サンプル各々について「エリア-平均(area-mean)」および変動係数が決定された。その変動係数(% CV)は、シングレットの標準偏差を、特定電圧でのシングレットの平均強度で割り、因子100を乗じた
ものとして定義される。
【0130】
着色粒子は、色素の取り込みがない類似粒子(ブランク・レファレンス)と比較した。すべてのサンプルを、分析の前にリン酸緩衝化生理食塩水(PBS pH7.4)で希釈した。粒子濃
度は、フローサイトメーターで、毎秒100 イベントの近似カウントを与えるように調整した。その結果は、表9に与えられる。
【0131】
【表9】

【実施例21】
【0132】
3つの蛍光強度レベルを持つ超常磁性粒子を与える、Bodipy650/665の取り込み
実施例17に記載した方法により得られた5μm粒子を、ジメチルホルムアミド中に移して、10 %(w/w)分散液とした。1.5 mLの分散液を3個のバイアル、A、BおよびCに移した。1.1mg Bodipy 650/665 スクシンイミジルエステル(Molecular Probes Inc. 社)を、1.25 mL ジメチルホルムアミドと混合した。このBodipy溶液をバイアル中の粒子分散液と混合し、粒子の乾燥物質(DS)mg当りの色素量が以下のようになるようにした;バイアルAでは、1.0 mg/g DS、バイアルBでは、0.1 mg/g DS およびバイアルCでは、0.01mg/g DSである。
【0133】
これらの分散液は、周囲温度で夜通し振盪した。該粒子は5% トリエチルアミン・メタ
ノール溶液およびリン酸緩衝化生理食塩水(PBS、pH 7.4)で精製した。
粒子を実施例20で記載したように蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリーで分析した。結果が表10および表11に表され、粒子集団は、このタイプの色素についても、強度に大きい差があるように着色できることを示している。
【0134】
【表10】

【0135】
【表11】

【実施例22】
【0136】
3つの蛍光強度レベルを持つ超常磁性粒子を与える、DY-647の取り込み
実施例17に記載した方法により得られた5μm粒子を、ジメチルホルムアミド中に移して、10 %(w/w)分散液とした。1.5 mLの分散液を3個のバイアル、A、BおよびCに移した。1.1mgの DY-647 スクシンイミジルエステル(Dyomics GmbH社)を、1.25 mL ジメチルホルムアミドと混合した。この色素溶液を、バイアル中の粒子分散物と混合し、粒子の乾燥物質(DS)mg当りの色素量が、以下のようになるようにした;バイアルAでは、1.0 mg/g DS、バイアルBでは、0.1 mg/g DS およびバイアルCでは、0.01mg/g DSである。
【0137】
これらの分散液は、周囲温度で夜通し振盪した。該粒子は5% トリエチルアミン・メタ
ノール溶液および水で精製し、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS、pH 7.4)に希釈した。
粒子を実施例20で記載したように蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリーで分析した。結果が表12および表13に表され、粒子集団は、このタイプの色素(DY-647)についても、強度に大きい差があるように着色できることを示している。
【0138】
【表12】

【0139】
【表13】

【実施例23】
【0140】
狭い強度分布を有する蛍光粒子
実施例17に記載した方法により得られた5μm粒子を、ジメチルホルムアミド中に移した。15gの10 %(w/w)粒子分散液を、2 mLのジメチルホルムアミドに溶解した1.2mgの DY-647スクシンイミジルエステルと混合した。2時間後、着色した粒子の少量サンプルをメタノ
ールおよびリン酸緩衝化生理食塩水(PBS、pH 7.4)で精製した。
【0141】
サンプルを実施例20、21および22で記載したようにフローサイトメトリーで分析した。ただし1つの例外として、よりゆっくりしたシース流体フローを使用した(ロー・セッテ
ィング)。
【0142】
結果が表14に表され、超常磁性ビーズが、極めて狭い強度分布を有する粒子集団を与えるように着色できることを示している。
【0143】
【表14】

【実施例24】
【0144】
コーティングに先行する着色
・着色手順
実施例11に記載された方法によって得られた粒子を無水ジメチルホルムアミドに移した。4個の異なる瓶において、5 %の粒子分散物38gを2 mgの色素を含有するジメチルホルムアミド、4 mLと混合した。使用された4種の蛍光色素、AMCA-X、 Bodipy TMR、Bodipy FL
(Molecular Probes Inc社)およびDY-555 (Dyomics GmbH社)は、スクシンイミジルエステ
ル機能性基を有していた。20時間、周囲温度で撹拌した後、該粒子は数回5% トリエチル
アミン・メタノール溶液および最後はメタノールで精製した。顕微鏡分析に先立ち、粒子の少量サンプルは、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS、pH 7.4)で希釈した。
【0145】
表15は、色素がついた粒子の蛍光強度を、粒子に結合した特異的フルオロフォアに対する適切なフィルターで分析し、DMGV値として示す。
・コーティング手順
上記の着色粒子0.3gを、ジエチレングリコールジメチルエーテルに移した。分散液中の粒子含量は、10% 乾燥物質(DS)に揃えた。2.1 gの1,4-ブタンジオールジグリシジルエー
テルおよび2.2 gのグリシドールをその粒子懸濁剤に添加した。混合物を、ボルテックス
で振盪し、シェーカー(LabMate)において、75℃で20 時間振盪した。粒子をメタノールおよびリン酸緩衝化生理食塩水(PBS、pH 7.4)で2度精製した。顕微鏡による分析に先行し
て、粒子の少量サンプルをリン酸緩衝化生理食塩水(PBS、pH 7.4)で希釈した。
【0146】
表15は、色素が付され被覆された粒子の蛍光強度を、粒子に結合した特異的フルオロフォアに対する適切なフィルターで分析し、DMGV値として示す。その結果は、coumarin-色
素、AMCA-X (Molecular Probes Inc社)が、粒子の着色後にコーティングを更に行う場合
には、他の一連の色素よりも良好な代替物であることを示す。
【0147】
【表15】

【0148】
顕微鏡により異なるフィルターを通して検出されたのであるが、AMCA-Xで着色されさらにコーティングされた粒子は、色素が付されていない等価粒子(ブランク・レファレンス)に匹敵していた。表16からわかるように、AMCA-色素は、レポーターのシグナルに適切
であるフィルターにおける検出を妨げない。
【0149】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性であってもよい基材ポリマーの磁性ポリマー粒子であり、該ポリマー粒子が、表面および/またはその孔内に超常磁性結晶を有しており、該粒子は、コーティングポリマ
ーで形成された被覆を有しており、該磁性粒子が実質的に自己蛍光を持たないことを特徴とする被覆磁性粒子。
【請求項2】
600未満の、500 msまたは600 msの露光時間で励起波長450±25 nmでの平均グレイ値の
差(ΔMGV)に対応した、自己蛍光レベルを有することを特徴とする請求項1に記載の被覆磁性粒子。
【請求項3】
300未満の、500 msまたは600 msの露光時間で励起波長450±25 nmでの平均グレイ値の
差(ΔMGV)に対応した、自己蛍光レベルを有することを特徴とする請求項2に記載の被覆
磁性粒子。
【請求項4】
実質的に非局在化した電子の共役系(ベンゼン環内のものを除外する)を含まないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項5】
前記コーティングポリマーが少なくとも一のエポキシドからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項6】
磁性粒子該コーティングポリマーが少なくとも二のエポキシドからなることを特徴とする、請求項5に記載の被覆磁性粒子。
【請求項7】
前記エポキシドが、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオ
ールジグリシジルエーテル、(1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ブタン、エチルヘキシルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリシドール、およびグリシジルメタクリレートから選択されることを特徴とする請求項6に記載の記載の被覆磁性粒子。
【請求項8】
前記ポリマー粒子が多孔性であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項9】
前記ポリマー粒子が直径0.8〜10μmの範囲にあることを特徴とする、請求項1〜8のい
ずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項10】
前記ポリマー粒子が直径2〜10μmの範囲にあることを特徴とする、請求項9に記載の
被覆磁性粒子。
【請求項11】
前記基材ポリマーが、スチレン系ポリマー、スチレン/アクリル系ポリマーおよびアク
リル系ポリマーの組み合わせであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項12】
前記粒子の表面に遊離アミノ基を担持することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項13】
さらに、一のフルオロフォアまたは異なるフルオロフォア混合物を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項14】
前記フルオロフォアがアミノ結合を介して外部コーティングポリマーに結合しているか、あるいはコーティングポリマーに膨潤中に取り込まれていることを特徴とする、請求項13に記載の被覆磁性粒子。
【請求項15】
前記フルオロフォアが、Bodipy 630/650、Bodipy 650/655、DY-647またはAMCA-Xであることを特徴とする、請求項13または14に記載の被覆磁性粒子。
【請求項16】
前記フルオロフォアが、電磁スペクトルの青/緑領域で発光することを特徴とする、請
求項13〜15のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項17】
さらに親和性リガンドを含有することを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の
被覆磁性粒子。
【請求項18】
前記ポリマー粒子の直径のCVが8%未満であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれ
かに記載の被覆磁性粒子混合物。
【請求項19】
少なくとも第一フルオロフォアを担持する被覆磁気粒子の第一のセットならびに第二フルオロフォアを担持する被覆磁気粒子の第二のセットを含み、その第一および第二のセットの粒子が異なる直径を持つことを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の被覆磁
性粒子混合物。
【請求項20】
表面にニトロ基を実質的に持たないが、表面および/またはその孔内に超常磁性結晶を
有する多孔性磁性ポリマー粒子を、エポキシド類から選択されたポリマー形成性モノマーと反応させることを含む、請求項1〜19のいずれかに記載された、非局在化電子共役系が
存在しない被覆磁性粒子の作製方法。
【請求項21】
アッセイにおいて、請求項1〜19のいずれかに記載の被覆磁性粒子または粒子の使用。
【請求項22】
前記アッセイが、以下の工程:
i)第一のフルオロフォアおよび親和性リガンドを含む被覆磁性粒子を標的アナライトが存在するかも知れないサンプルに添加すること;
ii)上記親和性リガンドを、該アナライト(存在するなら)に結合させ、複合体を形成さ
せること;
iii)前記複合体をレポーターと接触させ、レポーターを該アナライトに結合させること。前記レポーターは第二のフルオロフォアを担持していてもよい;
iv)前記粒子を該サンプルから磁気的に分離すること; および
v)第一のフルオロフォアを検出し、第二のフルオロフォアも存在するならそれも検出すること
を含むことを特徴とする請求項20に記載の使用。
【請求項23】
検出が、フローサイトメーターまたは顕微鏡を用いて行われることを特徴とする請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記粒子がビーズ・アレイ部分を形成し、これはビーズの各種類の位置および第二フルオロフォアの存在を検出するように分析されることを特徴とする、請求項22または23に記載の使用。
【請求項25】
前記レポーターは、ビオチンであるか、または前記の第一フルオロフォアとは異なる第二フルオロフォアであることを特徴とする請求項22〜24のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
工程i)が、さらに次の工程:
少なくとも、もう一つの親和性リガンド(サンプル中に存在するかも知れない他のアナライトに特異的である)およびもう一つのフルオロフォアを担持する第二被覆磁性粒子をサンプルに添加し、第一および第二の親和性リガンドならびに第一および第二のフルオロフォアが相違している、
を含むことを特徴とする、請求項21〜24のいずれかに記載の使用。
【請求項27】
第二の被覆磁性粒子が、前記の第一被覆磁性粒子と直径が異なることを特徴とする、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記レポーターがビオチンであり、前記複合体がフルオロフォアの検出に先立ってストレプトアビジンでコーティングした表面と接触させることを特徴とする請求項22〜27のいずれかに記載の使用。
【請求項29】
前記アッセイが、以下の工程:
i)第一のフルオロフォアおよび親和性リガンドを含む被覆磁性粒子と、標的アナライトが存在するかも知れないサンプルと接触させる。この場合、親和性リガンドを巡って該標的アナライトと競合することができるレポーターを担持するアナライトが存在する;
ii)前記親和性リガンドを、該アナライトに結合させ、あるいは存在するのであればレポ
ーターを担持するアナライトに結合させること;
iii)前記粒子をサンプルから磁気的に分離すること;および
iv)第一のフルオロフォアを検出すること;
を含むことを特徴とする請求項21に記載の使用。
【請求項30】
前記レポーターがビオチンであり、前記複合体が、フルオロフォアの検出に先立ってストレプトアビジンでコーティングした表面と接触させることを特徴とする請求項29に記載の使用。
【請求項31】
多孔性でもよい磁性ポリマー粒子が基材ポリマーを含み、その表面上および/またはそ
の孔内には超常磁性結晶が配置されており、該基材ポリマーは、非局在電子共役系を実質的に含まないとともに、スルホン酸基、カルボン酸基、アミン基およびエポキシ基から選択される基でもって表面機能化がなされていてもよく、その粒子は実質的に自己蛍光を持たない磁性ポリマー粒子。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性であってもよい基材ポリマーの磁性ポリマー粒子であり、該ポリマー粒子が、表面および/またはその孔内に超常磁性結晶を有しており、該粒子は、10%未満の変動係数
(CV)を示し、またコーティングポリマーで形成された被覆を有しており、該磁性粒子が実質的に自己蛍光を持たないことを特徴とする被覆磁性粒子。
【請求項2】
600未満の、500 msまたは600 msの露光時間で励起波長450±25 nmでの平均グレイ値の
差(ΔMGV)に対応した、自己蛍光レベルを有することを特徴とする請求項1に記載の被覆磁性粒子。
【請求項3】
300未満の、500 msまたは600 msの露光時間で励起波長450±25 nmでの平均グレイ値の
差(ΔMGV)に対応した、自己蛍光レベルを有することを特徴とする請求項2に記載の被覆
磁性粒子。
【請求項4】
実質的に非局在化した電子の共役系(ベンゼン環内のものを除外する)を含まないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項5】
前記コーティングポリマーが少なくとも一のエポキシドからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項6】
磁性粒子該コーティングポリマーが少なくとも二のエポキシドからなることを特徴とする、請求項5に記載の被覆磁性粒子。
【請求項7】
前記エポキシドが、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオ
ールジグリシジルエーテル、(1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ブタン、エチルヘキシルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリシドール、およびグリシジルメタクリレートから選択されることを特徴とする請求項6に記載の記載の被覆磁性粒子。
【請求項8】
前記ポリマー粒子が多孔性であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項9】
前記ポリマー粒子が直径0.8〜10μmの範囲にあることを特徴とする、請求項1〜8のい
ずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項10】
前記ポリマー粒子が直径2〜10μmの範囲にあることを特徴とする、請求項9に記載の
被覆磁性粒子。
【請求項11】
前記基材ポリマーが、スチレン系ポリマー、スチレン/アクリル系ポリマーおよびアク
リル系ポリマーの組み合わせであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項12】
前記粒子の表面に遊離アミノ基を担持することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項13】
さらに、一のフルオロフォアまたは異なるフルオロフォア混合物を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項14】
前記フルオロフォアがアミノ結合を介して外部コーティングポリマーに結合しているか、あるいはコーティングポリマーに膨潤中に取り込まれていることを特徴とする、請求項13に記載の被覆磁性粒子。
【請求項15】
前記フルオロフォアが、Bodipy 630/650、Bodipy 650/655、DY-647またはAMCA-Xであることを特徴とする、請求項13または14に記載の被覆磁性粒子。
【請求項16】
前記フルオロフォアが、電磁スペクトルの青/緑領域で発光することを特徴とする、請
求項13〜15のいずれかに記載の被覆磁性粒子。
【請求項17】
さらに親和性リガンドを含有することを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の
被覆磁性粒子。
【請求項18】
前記ポリマー粒子の直径のCVが8%未満であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれ
かに記載の被覆磁性粒子混合物。
【請求項19】
少なくとも第一フルオロフォアを担持する被覆磁気粒子の第一のセットならびに第二フルオロフォアを担持する被覆磁気粒子の第二のセットを含み、その第一および第二のセットの粒子が異なる直径を持つことを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の被覆磁
性粒子混合物。
【請求項20】
表面にニトロ基を実質的に持たないが、表面および/またはその孔内に超常磁性結晶を
有する多孔性磁性ポリマー粒子を、エポキシド類から選択されたポリマー形成性モノマーと反応させることを含む、請求項1〜19のいずれかに記載された、非局在化電子共役系が
存在しない被覆磁性粒子の作製方法。
【請求項21】
アッセイにおいて、請求項1〜19のいずれかに記載の被覆磁性粒子または粒子の使用。
【請求項22】
前記アッセイが、以下の工程:
i)第一のフルオロフォアおよび親和性リガンドを含む被覆磁性粒子を標的アナライトが存
在するかも知れないサンプルに添加すること;
ii)上記親和性リガンドを、該アナライト(存在するなら)に結合させ、複合体を形成さ
せること;
iii)前記複合体をレポーターと接触させ、レポーターを該アナライトに結合させること。前記レポーターは第二のフルオロフォアを担持していてもよい;
iv)前記粒子を該サンプルから磁気的に分離すること; および
v)第一のフルオロフォアを検出し、第二のフルオロフォアも存在するならそれも検出すること
を含むことを特徴とする請求項20に記載の使用。
【請求項23】
検出が、フローサイトメーターまたは顕微鏡を用いて行われることを特徴とする請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記粒子がビーズ・アレイ部分を形成し、これはビーズの各種類の位置および第二フルオロフォアの存在を検出するように分析されることを特徴とする、請求項22または23に記載の使用。
【請求項25】
前記レポーターは、ビオチンであるか、または前記の第一フルオロフォアとは異なる第二フルオロフォアであることを特徴とする請求項22〜24のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
工程i)が、さらに次の工程:
少なくとも、もう一つの親和性リガンド(サンプル中に存在するかも知れない他のアナライトに特異的である)およびもう一つのフルオロフォアを担持する第二被覆磁性粒子をサンプルに添加し、第一および第二の親和性リガンドならびに第一および第二のフルオロフォアが相違している、
を含むことを特徴とする、請求項21〜24のいずれかに記載の使用。
【請求項27】
第二の被覆磁性粒子が、前記の第一被覆磁性粒子と直径が異なることを特徴とする、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記レポーターがビオチンであり、前記複合体がフルオロフォアの検出に先立ってストレプトアビジンでコーティングした表面と接触させることを特徴とする請求項22〜27のいずれかに記載の使用。
【請求項29】
前記アッセイが、以下の工程:
i)第一のフルオロフォアおよび親和性リガンドを含む被覆磁性粒子と、標的アナライトが存在するかも知れないサンプルと接触させる。この場合、親和性リガンドを巡って該標的アナライトと競合することができるレポーターを担持するアナライトが存在する;
ii)前記親和性リガンドを、該アナライトに結合させ、あるいは存在するのであればレポ
ーターを担持するアナライトに結合させること;
iii)前記粒子をサンプルから磁気的に分離すること;および
iv)第一のフルオロフォアを検出すること;
を含むことを特徴とする請求項21に記載の使用。
【請求項30】
前記レポーターがビオチンであり、前記複合体が、フルオロフォアの検出に先立ってストレプトアビジンでコーティングした表面と接触させることを特徴とする請求項29に記載の使用。
【請求項31】
多孔性でもよい磁性ポリマー粒子が基材ポリマーを含み、その表面上および/またはそ
の孔内には超常磁性結晶が配置されており、該基材ポリマーは、非局在電子共役系を実質
的に含まないとともに、スルホン酸基、カルボン酸基、アミン基およびエポキシ基から選択される基でもって表面機能化がなされていてもよく、その粒子は実質的に自己蛍光を持たない磁性ポリマー粒子。

【公表番号】特表2006−511935(P2006−511935A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558832(P2004−558832)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/GB2003/005390
【国際公開番号】WO2004/053490
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(501420675)ダイナル バイオテック エイエスエイ (1)
【Fターム(参考)】