説明

粒状体の処理方法

【課題】粒状体の粒子の表面から不純物を剥離除去するのに好適な方法はまだ存在しない。
【解決手段】水平面内で回転可能に配設され環状で上広がり状を成しかつ先端に堰を形成した側壁を有する回転槽と、この回転槽の側壁上を相対的に転動可能に配設されかつ加圧手段によって回転槽の側壁方向へ加圧されたロールとを用いて、回転槽の回転によりこれに収納された粒状体に遠心力を付与して粒状体を回転槽内の周縁方向へ向けたのち側壁上を上方へ移動させ、当該粒状体を側壁とロールとによって圧縮して、粒状体の粒子同士を相互に擦る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状体の処理方法に係り、より詳しくは、水平面内で回転可能に配設され環状で上広がり状を成しかつ先端に堰を形成した側壁を有する回転槽と、この回転槽の側壁上を相対的に転動可能に配設されかつ加圧手段によって前記回転槽の側壁方向へ加圧されたロールとによって粒状体を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、高品質耐火物としての電融マグネシアや、金属溶解時に不純物として発生するスラグは、粉砕処理して粒状体化したのち、粒状体の粒子の表面から不純物を剥離除去して他の材料の原料として再利用することが一般に行われている。
しかし、これら粒状体の粒子の表面から不純物を剥離除去するのに好適な方法はまだ存在せず、粒状体の粒子の表面から不純物を剥離除去するのに好適な方法が関連業界から要請されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】

解決しようとする問題点は、粒状体の粒子の表面から不純物を剥離除去するのに好適な方法はまだ存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】

上記の課題を解消するために本発明における粒状体の処理方法は、水平面内で回転可能に配設され環状で上広がり状を成しかつ先端に堰を形成した側壁を有する回転槽と、この回転槽の側壁上を相対的に転動可能に配設されかつ加圧手段によって前記回転槽の側壁方向へ加圧されたロールとによって粒状体を処理する方法であって、前記回転槽の回転によりこれに収納された前記粒状体に遠心力を付与して粒状体を前記回転槽内の周縁方向へ向けたのち前記側壁上を上方へ移動させ、当該粒状体を側壁と前記ロールとによって圧縮して、粒状体の粒子同士を相互に擦ることを特徴とする。
【0005】
なお、本発明においては粒状体として電融マグネシアやスラグに適用すると有効である。
【発明の効果】
【0006】


上記の説明から明らかなように本発明は、水平面内で回転可能に配設され環状で上広がり状を成しかつ先端に堰を形成した側壁を有する回転槽と、この回転槽の側壁上を相対的に転動可能に配設されかつ加圧手段によって前記回転槽の側壁方向へ加圧されたロールによって粒状体を処理する方法であって、前記回転槽の回転によりこれに収納された前記粒状体に遠心力を付与して粒状体を前記回転槽内の周縁方向へ向けたのち前記側壁上を上方へ移動させ、当該粒状体を側壁と前記ロールとによって圧縮して、粒状体の粒子同士を相互に擦るから、粒状体の粒子の表面から不純物を適確にして容易に剥離して除去することができるなどの優れた実用的効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】

本発明を適用した粒状体の処理方法の最良の形態について説明する。本発明の実施に使用する粒状体の処理装置においては、図1に示すように、上下方向へ指向する円筒状の上部と漏斗状の下部とで成るカバー1における上端部には、漏斗状の原料投入部材2が装着してあり、前記カバー1の内部の中央付近には、環状で上広がり状を成しかつ先端に堰を形成した側壁を有する回転槽3が、回転駆動機構4を介して水平面内で回転可能に配設してある。さらに、前記カバー1の内部の中段付近には2個のロール5・5が回転軸6・6を介して前記回転槽3の側壁上を転動可能にして配設してあり、これら回転軸6・6は支持部材7・7の先端に装着してある。これら2個の支持部材7・7は前記カバー1に軸支された回転軸8・8の一端に装着してあり、これら回転軸8・8の他端にはアーム9・9の上端が固着してある。これら2個のアーム9・9の下端間には加圧手段としてのシリンダ10がピン支持して装架してあり、シリンダ10には圧力比例弁11を介して圧縮空気源12が接続してあって、シリンダ10は、圧縮空気源12からの圧縮空気が圧力比例弁11によってその圧力を制御されて供給されることにより、前記2個のロール5・5が前記回転槽3の側壁の内面に対して押圧する力を変更できるようになっている。
【0008】
次に,このように構成した粒状体の処理装置を用いて粒状体を処理する手順について述べると、回転駆動機構4の駆動により回転槽3を所要の回転数で回転させた状態にして、処理すべき粒状体を原料投入部材2から投入すると、投入された粒状体は、回転槽3の回転により遠心力を付与されて回転槽3内の周縁方向へ向け移動したのち側壁上を上昇し、その後、回転槽3の側壁とロール4・4とによって圧縮されて、粒子同士を相互に擦られる。そして、ロール4・4による押圧力を色々変えることにより、粒状体の粒子は、球状化にされたり、表面の不純物を剥離されたりする。
【実験例1】
【0009】
上述の粒状体の処理装置のロールにより加圧0.30〜0.45MPa で押圧しながら、比表面積が約112cm2/gの電融マグネシアを処理したところ、電融マグネシアは比表面積が約99cm2/gとなり球状に近づいた。この結果、これを原料として用いた材料の充填性が向上した。
ここで、比表面積とは粒状体の粒子の表面積と重量の比である。
【実験例2】
【0010】
同様にして、上述の粒状体の処理装置のロールにより加圧0.40〜0.50MPa で押圧しながら、比表面積が約200cm2/gのスラグを処理したところ、スラグは比表面積が約100cm2/gとなり球状に近づいた。この結果、これを鋳物砂骨材の原料として用いることができた。
【図面の簡単な説明】
【0011】

【図1】本発明を実施するための粒状体の処理装置の模式図である。
【符号の説明】
【0012】
3 回転槽
5 ロール
10 シリンダ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面内で回転可能に配設され環状で上広がり状を成しかつ先端に堰を形成した側壁を有する回転槽と、この回転槽の側壁上を相対的に転動可能に配設されかつ加圧手段によって前記回転槽の側壁方向へ加圧されたロールとによって粒状体を処理する方法であって、
前記回転槽の回転によりこれに収納された前記粒状体に遠心力を付与して粒状体を前記回転槽内の周縁方向へ向けたのち前記側壁上を上方へ移動させ、当該粒状体を側壁と前記ロールとによって圧縮して、粒状体の粒子同士を相互に擦ることを特徴とする粒状体の処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の粒状体の処理方法において、
前記粒状体は比表面積が約40〜150cm2/gの電融マグネシアであり、前記ロールの加圧力が0.30〜0.45MPaであることを特徴とする粒状体の処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の粒状体の処理方法において、
前記粒状体は比表面積が約60〜300cm2/gのスラグであり、前記ロールの加圧力が0.40〜0.50MPaであることを特徴とする粒状体の処理方法。

【図1】
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