説明

粒状製品用の包装

【課題】粒状製品用の真空包装で、穴が開く欠点を解消する包装を提供する。
【解決手段】粒状製品用の包装10は、互いに接合される少なくとも2つの材料層からなる、積層構造の多層膜(PM)を含む。当該包装10は、利用位置において、底壁11と、上壁12と、表壁13と、裏壁14と、2つの側壁15、16とを有する平行六面体の入れ物からなる。積層構造の多層膜(PM)からなる上記少なくとも2つの層は、上記表壁13、裏壁14及び側壁15、16において、全体的には接合しない領域を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状製品用の包装に関する。本発明は特に、例えば米及び穀物全般の粒状食品に用いる真空包装に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の特に関連するところの粒状食品は、積層材料の膜、すなわち多層膜からなる入れ物に真空包装され、当該入れ物は一般的に、その表面全体に、接着剤などを用いて永続的に接合された、またはつなげられた、適切な材料からなる2以上の層を含んでいることが知られている。
【0003】
通常、上記膜は、ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)及びポリプロピレンなどからなるシール性すなわち密閉性の内層を含んでおり、当該内層には、二軸配向の、またはそうでないナイロンなどからなる外層が接合されている。上記膜における上記内層は、使用に際して、包装対象である上記粒状製品と接触するようになっている。
【0004】
欧州特許公開公報EP0278130A1には、特に粒状製品用の、二重の皮壁[r7]が設けられている入れ物について記載されている。当該二重の皮壁は、具体的には、上記製品と接触する内壁と、当該内壁に対して接着領域によって固定されている外壁とである。これにより、上記2つの皮壁の間の空間に外気を入れるための通路が形成される。この方法によると、上記入れ物の中が真空状態になるとき、上記内壁は上記粒状製品の凹凸に沿って付着する一方、上記外壁は、上述した空間に空気が入ることによって、平坦なままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許公開0278130号公報(1988年8月17日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
出願人は、上述の、従来技術に係る粒状製品用の真空包装には、穴が開いてしまう可能性があるという欠点に着目した。上述したように、上記包装の中は真空状態となり、その結果、上記粒状製品は、上記包装の皮壁、具体的には表壁、裏壁及び側壁に密着する。例えば米粒の場合のように、凹凸または尖った領域を有する粒状製品の場合、当該領域によって、上記包装に穴開きが生じることもあり、これにより真空状態ではなくなり、上記製品がこぼれ出る、及び/または、その品質が劣化する可能性がある。
【0007】
そこで出願人は、上述した欠点を解消できる、粒状製品用の包装を提供するという課題に取り組んだ。
【0008】
特に出願人は、包装している粒状製品による穴開きに対する耐性が非常に高い、粒状製品用の包装を提供するという課題に取り組んだ。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、添付の独立請求項1の特徴を備える、本発明の包装によって達成される。
【0010】
本発明の効果的な実施形態は、各従属請求項に記載されている。
【0011】
基本的に、本発明に係る上記包装は多層膜からなり、当該多層膜は、ポリエチレンなどの、一定の軟性を有する材料からなる密閉性の内層と、ナイロンなどの硬性のより高い材料からなる外層と、を少なくとも含んでいる。上記包装は、当該包装における上記表壁、上記裏壁及び上記側壁に配置されることになる領域においては、上記各層が互いに全面的には接合されておらず、かつ、いかなる場合においても上記各層は、周縁においては、互いの間に空気が入ることを防ぐように互いに接合されていることを特徴とする。この方法によると、機械加工性を確保するための上記積層部材の硬性と、穴開きに対する上記積層部材の耐性を向上させるための軟性と、の2つの重要な特徴を同時に実現できる。
【0012】
上記包装における上記表壁、上記裏壁及び上記側壁に配置されることになる領域においては、上記各層は接合しないこと、あるいは、点状の接合をすることが有利である。上記包装では、当該包装の垂直方向における少なくとも一対の角において線状に、上記各層を完全に接合させてもよい。
【発明の効果】
【0013】
このように、上記2つの層の間の接合が、上述した領域において完全でないことによって、上記内層を柔軟に変形させることができ、上記包装が真空状態になるとき、上記粒状製品の有するいかなる尖った部分にも適応できる一方、上記外層によって上記包装に硬性が付与される。この方法によると、全面に渡って接合された多層材料からなる、従来技術に係る上記包装のように、穴開きが生じて、その結果真空状態がなくなってしまう、という可能性を排除できる。
【0014】
本発明は、以下の詳細な説明によって明らかになるであろう。当該詳細な説明における各実施形態は、単に本発明の例示をするものであって、本発明を限定するものではない。上記各実施形態には、以下の添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】利用位置にある、本発明の第1の実施形態に係る粒状製品用の包装を示す不等角投影図である。
【図2】図1に示す上記包装の展開図である。
【図3】図2のIII−III線における、厚さを大幅に拡大した断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る粒状製品用の包装を示す不等角投影図である。
【図5】図4に示す上記包装の平面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る粒状製品用の包装を示す不等角投影図である。
【図7】図6に示す上記包装の展開図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る粒状製品用の包装を示す不等角投影図である。
【図9】図8に示す上記包装の展開図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る粒状製品用の包装を示す不等角投影図である。
【図11】図10に示す上記包装の展開図である。
【図12】本発明の第6の実施形態に係る粒状製品用の包装を示す不等角投影図である。
【図13】図12に示す上記包装の展開図である。
【図14】本発明に係る粒状製品用の包装を形成する一連の段階を示す図である。
【図15】本発明に係る粒状製品用の包装を形成する一連の段階を示す図である。
【図16】本発明に係る粒状製品用の包装を形成する一連の段階を示す図である。
【図17】本発明に係る粒状製品用の包装を形成する一連の段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
初めに、図14ないし図17を参照すると、本発明に係る種類の包装を製造するための方法が簡潔に示されている。当該方法自体は、公知であると考えられる。本包装は、全体として、図17において参照番号10で表されており、その形状はほぼ平行六面体であり、底壁(底面)11と、上壁12と、表壁13と、裏壁14と、2つの側壁15及び16とを備えている。
【0017】
本包装は、帯状の、多層構造を持つシート材料から作られる。上記包装の内側にはヒートシール性すなわち熱による密閉性があり、通常垂直に配置されるマンドレルに沿って送られる。上記包装は、当該マンドレルの周りで長手封Sによって閉じられ、管を形成する。当該管は、図14において、上記包装10を形成すべく、すでに適当な長さに切断された状態で図示されている。
【0018】
次に、上記管の底部を閉じる底部の横手封ST1(図15)が形成され、続いて空気溜めF1(図16)が形成される。図16に示されるように、袋状に底部が閉じられた上記管は、所定量の粒状製品で満たされ、上部を別の横手封ST2によって閉じられる。さらに、別の空気溜めF2(図17)が形成され、上記包装が閉じられる。上記包装が閉じられる前に、上記袋の中が真空状態にされる。これにより、粒状製品を真空包装したものが得られる。
【0019】
ここで、図1ないし図13を参照して、様々な実施形態を用いて本発明の特徴を説明する。便宜上、図14ないし図17を参照して既に示した参照番号を用いる。初めに、図1ないし図3に示される実施形態を参照する。ここで、図2及び図3はそれぞれ、図1に示される上記包装10を作るために用いた多層膜PMの展開図及び断面図である。
【0020】
上記多層膜PMは、互いに接合されている複数の材料層を含んでいてもよい。図3は、外層17及び内層18の2つのみの材料層から形成される膜を示している。ここで内層とは、使用に際して、包装される上記粒状製品と接触するのに適した、多層膜PMにおける材料層である。
【0021】
上記外層17は、例えば二軸配向の、またはそうでないナイロンなどの、非常に剛性の高い高分子材料からなっていることが好ましい一方、上記内層18は、例えば線状ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及び注型ポリプロピレンなどの、密閉性を有する、非常に軟性の高い高分子材料からなる。
【0022】
上記多層膜PMにおける2つの材料層17及び18は、ポリウレタンを含む接着剤、ポリエステルを含む接着剤及び、いわゆる無溶剤接着剤などの、適切な接着剤を用いて互いに接合されて、またはつながっている。
【0023】
本発明によると、材料層17及び18の間の接合は、表面全体を接合する全体的なものではなく、接合されていない領域を残すものである。これについては、以下に詳述する。
【0024】
特に、全ての添付の図面において、斜線で表す領域及び点で表す領域は、上記各材料層同士が接合する領域を示し、白色の領域は、上記各材料層同士が接合しない領域を表す。
【0025】
具体的には、図2を参照すると、上記多層膜PMは、接合しない中心領域PM1と、接合する端部領域PM2とを有する。上記中心領域PM1は、上記表壁13、上記裏壁14並びに上記側壁15及び16を形成するようになっており、すなわち、上記包装10における側面のほぼ全体を形成する。これには、上記長手封Sに影響される領域と、上記包装の底面及び上面における水平方向の中心に当たる限られた領域と、は含まれない。一方、上記端部領域PM2は、上記包装における上記底壁11及び上記上壁12を形成するようになっており、上述した長手封Sに加えて、相対折畳突出端部111及び121を形成する。
【0026】
図2の展開図において、垂直方向の実線P1ないしP4並びに水平方向の実線P5及びP6は、上記包装10において、それぞれ垂直方向の角と、水平方向の角と、を形成することになる折り畳み線を示す。
【0027】
このように、上記多層膜PMの上記中心領域PM1において、上記外層17と上記内層18とが接合していない、またはつながっていないことで、表壁13、裏壁14並びに側壁15及び16の全てが、上記ナイロンまたは同様の材料の効果により、外側が硬く、従って頑丈であり、上記ポリエチレンなどの効果により、内側の軟性が非常に高く変形しやすい包装10が得られるという効果を奏する。
【0028】
実際の使用においては、上記内層18は、上記ナイロン層から分離するので、柔軟に変形させることができ、上記真空包装内を満たす上記粒状製品の有するいかなる尖った部分にも適応するという効果を奏する。これにより、上記真空包装に穴開きが生じず、上記粒状製品がこぼれ出たり、その品質が劣化したりすることがない。
【0029】
さらに、接合のための上記端部領域PM2を設けることで、底壁11及び上壁12の硬い包装10が得られる。これにより、使用位置における上記包装の安定性及び当該包装の強度の点で、有利な効果を奏することは明らかである。
【0030】
図4及び図5に、本発明に係る粒状製品用の包装の、第2の実施形態を示す。当該包装は、再び参照番号10で表す。
【0031】
第2の実施形態の上記包装は、図1及び図2に示す上記包装とは以下の点で異なる。すなわち、本実施形態の上記包装には、上記多層膜PMにおける上述した垂直の折り畳み線P1及びP2に沿って、それぞれ接合のための一対の領域17a及び17bが形成されている。当該一対の領域17a及び17bは、上記包装における上記側壁15及び16と、上記裏壁14との間で、上記包装において上記垂直方向の角を形成するようになっている。このような構造により、図1に示す上記包装を参照して述べた上記効果に加えて、粒状製品用の上記包装をさらに頑丈にすることができる。
【0032】
図6及び図7に、本発明に係る粒状製品用の包装の、第3の実施形態を示す。第3の実施形態の上記包装は、図4及び図5に示す上記包装とは以下の点で異なる。すなわち、本実施形態の上記包装には、上記折り畳み線P1及びP2に沿って形成された、接合のための一対の上記領域17a及び17bに加えて、上記多層膜PMにおける垂直の上記折り畳み線P3及びP4に沿って形成された、接合のための別の一対の領域18a及び18bが形成されている。当該一対の領域18a及び18bは、上記包装における上記側壁15及び16と上記表壁13との間で、上記垂直方向の角を形成するようになっている。
【0033】
このような構造により、第1及び第2の実施形態に係る上記包装を参照して述べた上記効果に加えて、粒状製品用の上記包装をさらに頑丈にすることができる。
【0034】
図8及び図9、図10及び図11並びに図12及び図13はそれぞれ、本発明に係る第4、第5及び第6の実施形態を示す。当該各実施形態はそれぞれ、図1ないし図3、図4及び図5並びに図6及び図7を参照して記載した第1、第2及び第3の実施形態に対応する。
【0035】
これらのさらなる実施形態に係る包装は、上述したそれぞれの対応する実施形態に係る上記包装とは、以下の点で異なる。すなわち、上記多層膜PMにおける上記中心領域PM1が、上記外層17と上記内層18とが接合しない領域ではなく、点状接合の領域である。つまり、上記中心領域PM1は、上記層17及び18が互いに点で接合されている領域である。このような構造により、上記層17及び18を互いにより効果的に接合させることができる。さらに、上記内層18を柔軟に変形させることができ、上記真空包装内を満たす上記粒状製品の有するいかなる尖った部分にも適応するという効果を奏する。これにより、上記真空包装に穴開きが生じず、上記粒状製品がこぼれ出たり、その品質が劣化したりすることがない。
【0036】
本発明は、上述し、添付の図面に示した具体的な各実施形態には限定されないことは明らかである。当該各実施形態は、添付の請求項に記載する発明の範囲から逸脱することなく、当業者の知識の範囲において、その細部を様々に変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、粒状製品用の包装に利用することができる。本発明は特に、例えば米及び穀物全般の粒状食品に用いる真空包装に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 包装
11 底壁
12 上壁
13 表壁
14 裏壁
15,16 側壁
17 外層
17a,17b,18a,18b 領域
18 内層
111,121 相対折畳突出端部
F1,F2 空気溜め
P1,P2,P4,P4,P5,P6 折り畳み線
PM 多層膜
PM1 中心領域
PM2 端部領域
S 長手封
ST1,ST2 横手封

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合される少なくとも1つの外層(17)と、内層(18)と、からなる材料層(17、18)を有する多層膜(PM)からなる、粒状製品用の包装(10)であって、
上記包装(10)は、使用位置において、底壁(11)と、上壁(12)と、表壁(13)と、裏壁(14)と、2つの側壁(15、16)とを有する平行六面体の入れ物からなっており、
上記各材料層(17、18)において、非全面接合の領域が、上記表壁(13)と、上記裏壁(14)と、上記側壁(15、16)とに設けられており、上記各材料層(17、18)は、互いの間に空気が入ることを防ぐように、周縁において互いに接合されていることを特徴とする包装。
【請求項2】
請求項1に記載の包装であって、上記表壁(13)と、上記裏壁(14)と、上記側壁(15、16)との、表面のほぼ全面において、上記各材料層(17、18)が互いに接合されていないことを特徴とする包装。
【請求項3】
請求項1に記載の包装であって、上記表壁(13)と、上記裏壁(14)と、上記側壁(15、16)とにおいて、上記各材料層(17、18)が互いに点状に接合されていることを特徴とする包装。
【請求項4】
請求項2または3に記載の包装であって、上記表壁(13)と、上記裏壁(14)と、上記側壁(15、16)との、上記包装における水平方向の上方及び下方の角において、上記各材料層(17、18)が互いに完全に接合されていることを特徴とする包装。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか1項に記載の包装であって、上記各材料層(17、18)において、完全に接合する一対の領域(17a、17b)が設けられており、完全に接合する当該領域(17a、17b)は、上記側壁(15、16)と、上記裏壁(14)との間における垂直方向の角に位置することを特徴とする包装。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれか1項に記載の包装であって、上記各材料層(17、18)において、完全に接合する一対の領域(18a、18b)が設けられており、完全に接合する当該領域(18a、18b)は、上記側壁(15、16)と、上記表壁(13)との間における垂直方向の角に位置することを特徴とする包装。
【請求項7】
上記多層膜(PM)における上記外層(17)は、硬質の高分子材料からなることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の包装。
【請求項8】
上記硬質の高分子材料はナイロンであることを特徴とする、請求項7に記載の包装。
【請求項9】
上記多層膜(PM)における上記内層(18)は、軟質の高分子材料からなることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の包装。
【請求項10】
上記軟質の高分子材料はポリエチレン及びポリプロピレンン等であることを特徴とする、請求項9に記載の包装。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−179965(P2010−179965A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26100(P2010−26100)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(508218822)ゴグリオ ソシエタ ペル アチオニ (7)
【氏名又は名称原語表記】GOGLIO S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Andrea Solari,10,20144 Milano,ITALY
【Fターム(参考)】