粘性せん断作用による運動減衰ストラット組み立て体
粘性せん断作用を利用して事実上線形の運動を緩やかにする減衰装置である。該減衰装置は、粘性流体、例えばシリコーンを内包する1つ以上のリザーバを有するハウジングと、ハウジングから伸張できる1個以上の収縮可能なストラットとを有している。該ストラットは、ラックとして構成された部分と、ストラットのラックと関連する部分にピニオンを有する関連軸とを有している。ストラットの線形運動を減衰させるために、リザーバ内には軸上に1個の、好ましくは複数のディスクが間隔をおいて配置されている。相対固定され間隔をおいて配置されたプレートが、軸上のディスクに隣接又は相互に間挿されることでストラットの線形運動が減衰される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性せん断作用による運動減衰ストラット組み立て体、特に、粘性せん断作用を得るための複数の相互作用ディスクを有し、主として線形方向でのストラット組み立て体の運動を減衰する減衰装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この減衰装置は、航空機システムと共に使用できるが、この使用分野に限定されない。一定の航空機システムは、航空機用ジェット・エンジンと共に使用されるが、ジェット・エンジンは、ナセル、すなわち大型の円筒形構造物で取り囲まれていることが多く、この構造物は、通常、1個又は対の旋回式カウリングを含んでいる。航空機のエンジン・カウリングは、エンジンの支持構造物にヒンジを介して取り付けられることが多い。一方の機体構造物、例えば航空機のエンジン・パネル又はカウリングを、他方の機体構造物に取り外し可能に固定するには、ラッチ機構が使用されてきた。
【0003】
航空機システムは、苛酷な環境に耐える必要がある。航空機システムは、また高い振動範囲、極端な温度範囲および圧力範囲に耐えられねばならない。例えば高圧シールは、そのような過酷な環境内では破断することがある。シールの破損は、往々にして流体漏れを生じさせる。
【0004】
航空機には、また別の考慮すべき特殊な問題がある。航空機内部の空間は限られているので、構成部品は、出来るだけ小型でコンパクトに作るのが好ましい。また、重量が航空機の設計や性能に影響することがあるので、その場合には、他の目標パラメータを満足させる比較的軽量の構成部品が好ましい。耐久性を基本にして、構成部品は利用可能な種々の材料で構成できる。
【0005】
高粘性の流体(例えばシリコーン)内の複数ディスクとプレート間の粘性せん断作用は、線形運動を減衰させることができる。回転する複数ディスクと、相対的に固定された(固定されるか又は逆回転する)複数プレートとの間の回転運動により、それらの間隙内の流体が減速せん断力を発生させる。粘性流体と複数表面の内部摩擦で運動が減衰される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その点で、望ましいのは、粘性せん断作用の原理を利用してストラットの線形運動を減衰する装置を得ることである。この装置は、パネルの開閉運動を減速かつ円滑化するのに利用できる。本発明の付加的特徴は、開示された減衰ストラット組み立て体の実施例についての以下の説明によって明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、粘性せん断作用を利用した減衰装置が得られる。この装置は、粘性流体を内包する関連リザーバを備えたハウジングと、ハウジングから伸張し、ハウジング内へ収縮する1個以上の可動ストラットとを有している。一実施例では、ストラットが、ラックとして構成された部分を有し、関連する軸が、ストラットのラックと連携する部分にピニオンを有しており、ラックの歯がピニオンの歯と噛み合わされる。リザーバ内部の軸には、単一のディスク又は間隔をおいた1組のディスクが取り付けられ、軸上のディスクに隣接する静止(すなわち固定)プレートによるせん断作用によって、ストラットの線形運動を減衰させることができる。間隔をおいた複数の静止プレートは、歯車軸上の回転ディスクに隣接するか又は相互に間挿されることで、ストラットの線形運動を減衰する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下で、添付図面を参照して本発明を説明するが、図示の実施例は単なる例であって、本発明を制限するものではない。
【0009】
【図1】1対の航空機のカウリングを開いた状態でジェット・エンジンを示す斜視図。カウリングは、対応する開位置保持ロッドによって開位置に保持されている。
【図2】収縮状態での開位置保持ロッドの一部を除去して示す図。
【図3】伸張状態での開位置保持ロッドの側面図。
【図4】収縮状態での別の開位置保持ロッドの一部を除去して示す図。
【図5】伸張状態での開位置保持ロッドの一部を除去して示す側面図。
【図6】テレスコープ式油圧減衰装置の一部を除去して示す図。
【図7】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の斜視図。シリコーン等の高粘性流体を収容できる。
【図8】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の平面図で、ハウジングとストラット・ロッドとの関係を示す図。
【図9】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の側面図で、ハウジングのキャビティ又はチャンバとストラット・ロッドとの関係を示す図。
【図10】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の端面図。
【図11】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の一部を除去して、キャビティ、ピニオン、ディスク、ストラット等の内部構造を示す斜視図。前部ディスクは示されていない。
【図12】例えばシリコーン等の高粘性流体を収容できる粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の斜視図。
【図13】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の分解図。
【図14】ディスク及びプレートを有するカップ状囲いの分解図。
【図15】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体を伸張状態で示す側面図。
【図16】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体を伸張状態で示す平面図。
【図17】伸張状態での、粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体を、図16の17−17線に沿って切断した側断面図。
【図18】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体を収縮状態で示す側面図。
【図19】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体を収縮状態で示す平面図。
【図20】伸張状態での、粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体を、図19の19−19線に沿って切断した側断面図。
【図21】粘性せん断作用による減衰ストラットの端面図。
【0010】
ここに例示した構成は本発明の具体例を示すものだが、これらの具体例は、何らかの点で本発明の範囲を制限するものと解釈してはならない。当業者には、本発明の付加的特徴は、本発明を実施する上で現在考えられる最良の形態を示す図示の具体例を以下で詳細に説明することで明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、種々の異なる形式の実施例が可能だが、ここで詳細に説明される図示の実施例は、本発明の例証と理解されるもので、以下で説明又は図示される構成部品の構成の細部まで余すところなく明らかにしたり、又はその構成に本発明を限定したりする意図のものではない。
【0012】
図1に示すように、航空機のジェット・エンジン12は、通常、大きな円筒形構造物14に取り囲まれており、該構造物は、通常、1個又は1対のエンジン・パネル又はカウリング16,18を含んでいる。航空機のエンジン・カウリング16,18は、ヒンジ20によってエンジン支持構造物22に取り付けられることが多い。例えば、その場合、エンジンは、エンジン・パイロンを介して機体に取り付けることができる。カウリング16,18には、ヒンジが取り付けられているので、補修や修理のさいには、カウリングを旋回させてエンジン12に接近できる。航空機の作動中は、カウリング16,18は閉位置に旋回させ、通常はラッチをかけねばならない。カウリング16,18を留めるラッチはハートウェル社製の、例えば米国特許第6,629,712号及び第6,189,832号に開示されているものが知られており、それらは、ここに引用することで本開示に取り入れられる。
【0013】
開位置保持ロッド組み立て体(前部26、後部28)は、航空機のエンジン・ナセルに使用できる。例えばハートウェル社製H3383−1/−5及び−3は、ボーイングC17のエンジン・ナセルに使用されている。内管30は、捩じり兼引張機構32により解除して伸張させることができる。図2は、開位置保持ロッド組み立て体26の一実施例を収縮位置で示し、図3は伸張位置で示したものである。迅速解除ピン34は、収縮位置では手動ロックとして使用でき、伸張位置ではバックアップとして収納又は使用できる。ロッド26の一端、例えばロック端部は、迅速取り外しフック36を有し、他端はロッド端部38を有している。図4は、開位置保持ロッド28の別の実施例を収縮状態で示し、図5は、この実施例を伸張状態で示している。任意の選択肢として、両遠位端はロッド端部38を有している。
【0014】
減衰装置40は、航空機のエンジン・パネル16,18が円滑かつ制御されて開口するように構成できる。減衰装置40は、旋回可能に取り付けられたエンジン・パネル16,18と関連して使用される場合、事実上線形方向でのストラット42の運動を減衰し、エンジン・パネルの開口を制御する。減衰装置40は、減衰装置40と連携している部材、例えばエンジン・パネル16,18の運動速度を制御する。
【0015】
ストラット組み立て体42は、他の構成部品の運動を制御するのに必要な減衰荷重を負荷する減衰装置40の一部である。減衰装置40は1個のストラットを有することができるが、実施例は、図示のように、2つの端部を有している。図6〜図10に示すように、ストラット42は、両端にマウント44,46、例えば球形支承部又はロッド端部を有することで、固定構造部22と、可動部材16,18、例えば旋回するカウリング又はパネルとに取り付けることができる。
【0016】
第1減衰装置140は、図6に伸張位置で示した4段階テレスコープ式減衰ユニット148を含む減衰ストラット組み立て体を基本にすることができる。この減衰装置140は異なる速度で双方向の減衰を行うことができる。リザーバ150は、液圧流体を保留することができる。テレスコープ式ストラット148の各段の一端には、ブリード弁152及びシール156を配置できる。シール156後方にキャビテーションが発生するのを防止するため、バネ154が配置されている。減衰装置140は、逆止め弁158又は他の種類の流量調整器を含むのが好ましい。
【0017】
図7〜図21に示された別の形式の減衰装置40は、1個以上の開位置保持ロッド26,28と連結される航空機エンジン・パネル16,18を含む種々の部材と共に使用できる。減衰装置40は、円滑に、安定的に、制御されて連続的に動作するように構成されている。減衰装置40は、流体62を内包する関連リザーバ50を備えたハウジング60を有し、ハウジング60からは収縮可能なストラット42が伸張できる。ストラット42と軸64とは、ラックとピニオンの原理で操作される。1個のディスク又は好ましくは2個以上の、間隔をおいたディスク66が、ハウジング60のリザーバ50内に位置する軸64(内側駆動部65を含む)の一部に取り付けられている。リザーバ50は静止プレート68を有し、該静止プレートは、広くは壁部、ディスク、シム、皿状体を含むが、これらに限定はされない。静止プレート68は、軸64上に間隔をおいて配置されたディスク1個以上に隣接し、ストラット42の線形運動を減衰する。好ましくは航空機用の図示の実施例では、2個のストラット42,142が、減衰部材の部材として使用される。
【0018】
減衰装置40はハウジング60を含み、このハウジングから1個以上のストラット42及び/又はストラット142が伸張できる。ハウジング60は、好ましくは1対の往復動ストラット42,142を受容しており、該ストラットは、各々反対側からハウジングに進入し、垂直方向に間隔をおいて配置されている。ストラット42,142は、ラックとピニオンの原理を利用してハウジングからの伸張及びハウジング内への収縮が可能である。ストラット42,142は、各々、ラック70として形成された部分を有している。ストラット42,142は、ストラット42に隣接する部分にピニオン74を有する軸64(好ましくは2個)と協働する事実上一つの平面内に歯を有している。ラック70の歯72は、ピニオン74の歯76と噛み合わされる。ラック70がピニオン74と噛み合わされることで、ラック70は直線的に移動する。ラックとピニオンの原理によって、回転するディスク66の減衰力が伝えられて、ストラット42の線形運動が抑えられる。
【0019】
ハウジング60はキャビティ78を有し、これらのキャビティが、側部の囲い80により覆われ、リザーバ50を形成している。ハウジング60は、図7及び図11に示すように、リザーバの大部分を形成できる。リザーバは、側部の囲いであるパネルにより覆われるか、又は図130図14に示すように、側部の囲い80は、カップ状部材として、比較的平らなハウジング60に取り付けることができる。図示のように、4つのキャビティが設けられている。ピニオン74は延在する軸64の一部であり、好ましくは、これらの軸に、間隔をおいた1組のディスク66が取り付けられる。これらのディスクは、ハウジング60の側部の、流体を充填されたリザーバ50内に配置されている。
【0020】
軸64は、リザーバ50内へ延びている。リザーバ50は、軸上のディスク66と相互に間挿される間隔をおいた複数静止プレート68を有しているのが好ましい。軸64は、シールされたリザーバ50内で、静止又は固定のプレート68に隣接する1つ置きのディスク66を駆動するのが好ましい。したがって、駆動されるディスク66に隣接する多数の静止プレート68は、減衰用の大きな流体せん断区域を発生させる。静止プレート68は平らな側部(図示せず)を有しており、この平らな側部が、見やすくするために図11にディスクを除去して示したように、リザーバ50の一部を形成するハウジング60の平らな面82と連携使用される場合、プレートの回転を妨げる。軸64は、リザーバ50(粘性流体が密封されている)内に突入しているが、リザーバの内圧は、シールを容易にするために、最小にされている。
【0021】
図11に示すように、ハウジング60と側部の囲い80の各々との間には、静止シール84を使用できる。軸64とハウジング60との間には、回転シール86を使用できる。図14に示すように、回転Oリング92と一緒に、静止Oリング90を使用できる。好適なシリコーン流体により、減衰装置40は、現代の航空機のジェット・エンジンが作動するさいの苛酷な環境では比較的急速に破断するか機能不全となる高圧シール及び滑り「軸方向」シールの使用を回避できる。リザーバ50は、広い温度範囲にわたり安定的な耐摩耗性不揮発流体62、例えば不活性純シリコーン流体を内包するのが好ましい。リザーバ50は、ディスク66とプレート68間でせん断作用を実現するのに望ましい粘性の流体62を内包することで、運動減衰が可能になる。減衰力には、流体62の粘性により影響を与えることができる。高粘性のシリコーン流体62は漏れを生じにくい。
【0022】
軸64により駆動されるディスク66に隣接する静止プレート68は、リザーバ50に高粘性流体62が充填されている場合、減衰のための大きい流体せん断面積を造出する。減衰ユニットとして、減衰装置40は、線形ストラット組み立て体42用の粘性流体64内でのディスク66とプレート68間の粘性せん断作用の原理を利用する。この粘性流体は、シリコーンを含むが、シリコーンに限定されない。
【0023】
図14は、軸64により駆動されるディスク66と、駆動されるディスク66に対し静止している隣接プレート68とを取り囲むキャビティ78の部分を形成するカップ状の囲い80との分解図である。静止Oリング90は、軸64が貫通するキャップ94に隣接する回転Oリング92と一緒に使用できる。内側駆動部65は、軸64の一部でよいが、別個の部材として軸64に相補的に取り付けてもよい。
【0024】
減衰装置40は、双方向に減衰可能であるのが好ましいが、その場合、ストラット42は異なる速度で伸張し収縮する。ストラット42の収縮時には自由回転し、伸張時には係止されるローラ・クラッチ軸受により、減衰装置40は異なる速度で収縮かつ伸張することができる。
【0025】
任意だが、減衰装置40は、ロック/開放を一体化した特徴を含むことができる。通常、ロッド端部38はストラット42の各端部に構成されるが、減衰装置と一緒に用いられる部材16,18,22の構成、留め具、コネクタに基づいて、種々の取り付け手段を使用できる。
【0026】
減衰装置40は、航空機のエンジン・パネル又はカウリング16,18を開くさいに、円滑で連続的な、制御された操作を可能にするために使用され、通常、航空機エンジン12のカウリング遠位端のところで、1個又は2個以上の開位置保持ロッド26又は28と連結して使用される。減衰装置40は、偶然にリザーバ50内の小さなエアポケットに影響されるようなことがない。減衰方法により、円滑かつ連続的な減衰荷重が負荷される。
【0027】
少なくとも1個のストラット42の減衰運動には、エンジン・パネル16,18を移動させる段階が含まれ、パネルのこの運動が、流体を充填され静止プレート68を有するリザーバ50を備えたハウジング60に対するストラット42の運動を生じさせる。ストラット42の運動は、ストラット42の少なくとも一部に設けられたラック70の運動を含み、このラックの運動が、軸64上のピニオン74を回転させる。該ピニオンは、ストラット42のラック70と噛み合い、協働可能に配置されている。軸64上に間隔をおいて配置されたディスク66は、相対的に静止したプレート68に隣接してリザーバ50内で回転することで、粘性せん断作用によりストラットの運動を減衰させる。
【0028】
以上、本開示を代表的な実施例により説明したが、本出願は、その一般原理を利用した何らかの変化形、使用、改作を含むものである。当業者は、種々の変更態様及び等価物を特許請求の範囲に記載の開示及び精神の枠を逸脱することなしに構成できると考えられる。更に、本出願は、本開示から出発する新たな試みを、関連技術内部の周知の試み又は慣行に含めるものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性せん断作用による運動減衰ストラット組み立て体、特に、粘性せん断作用を得るための複数の相互作用ディスクを有し、主として線形方向でのストラット組み立て体の運動を減衰する減衰装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この減衰装置は、航空機システムと共に使用できるが、この使用分野に限定されない。一定の航空機システムは、航空機用ジェット・エンジンと共に使用されるが、ジェット・エンジンは、ナセル、すなわち大型の円筒形構造物で取り囲まれていることが多く、この構造物は、通常、1個又は対の旋回式カウリングを含んでいる。航空機のエンジン・カウリングは、エンジンの支持構造物にヒンジを介して取り付けられることが多い。一方の機体構造物、例えば航空機のエンジン・パネル又はカウリングを、他方の機体構造物に取り外し可能に固定するには、ラッチ機構が使用されてきた。
【0003】
航空機システムは、苛酷な環境に耐える必要がある。航空機システムは、また高い振動範囲、極端な温度範囲および圧力範囲に耐えられねばならない。例えば高圧シールは、そのような過酷な環境内では破断することがある。シールの破損は、往々にして流体漏れを生じさせる。
【0004】
航空機には、また別の考慮すべき特殊な問題がある。航空機内部の空間は限られているので、構成部品は、出来るだけ小型でコンパクトに作るのが好ましい。また、重量が航空機の設計や性能に影響することがあるので、その場合には、他の目標パラメータを満足させる比較的軽量の構成部品が好ましい。耐久性を基本にして、構成部品は利用可能な種々の材料で構成できる。
【0005】
高粘性の流体(例えばシリコーン)内の複数ディスクとプレート間の粘性せん断作用は、線形運動を減衰させることができる。回転する複数ディスクと、相対的に固定された(固定されるか又は逆回転する)複数プレートとの間の回転運動により、それらの間隙内の流体が減速せん断力を発生させる。粘性流体と複数表面の内部摩擦で運動が減衰される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その点で、望ましいのは、粘性せん断作用の原理を利用してストラットの線形運動を減衰する装置を得ることである。この装置は、パネルの開閉運動を減速かつ円滑化するのに利用できる。本発明の付加的特徴は、開示された減衰ストラット組み立て体の実施例についての以下の説明によって明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、粘性せん断作用を利用した減衰装置が得られる。この装置は、粘性流体を内包する関連リザーバを備えたハウジングと、ハウジングから伸張し、ハウジング内へ収縮する1個以上の可動ストラットとを有している。一実施例では、ストラットが、ラックとして構成された部分を有し、関連する軸が、ストラットのラックと連携する部分にピニオンを有しており、ラックの歯がピニオンの歯と噛み合わされる。リザーバ内部の軸には、単一のディスク又は間隔をおいた1組のディスクが取り付けられ、軸上のディスクに隣接する静止(すなわち固定)プレートによるせん断作用によって、ストラットの線形運動を減衰させることができる。間隔をおいた複数の静止プレートは、歯車軸上の回転ディスクに隣接するか又は相互に間挿されることで、ストラットの線形運動を減衰する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下で、添付図面を参照して本発明を説明するが、図示の実施例は単なる例であって、本発明を制限するものではない。
【0009】
【図1】1対の航空機のカウリングを開いた状態でジェット・エンジンを示す斜視図。カウリングは、対応する開位置保持ロッドによって開位置に保持されている。
【図2】収縮状態での開位置保持ロッドの一部を除去して示す図。
【図3】伸張状態での開位置保持ロッドの側面図。
【図4】収縮状態での別の開位置保持ロッドの一部を除去して示す図。
【図5】伸張状態での開位置保持ロッドの一部を除去して示す側面図。
【図6】テレスコープ式油圧減衰装置の一部を除去して示す図。
【図7】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の斜視図。シリコーン等の高粘性流体を収容できる。
【図8】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の平面図で、ハウジングとストラット・ロッドとの関係を示す図。
【図9】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の側面図で、ハウジングのキャビティ又はチャンバとストラット・ロッドとの関係を示す図。
【図10】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の端面図。
【図11】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の一部を除去して、キャビティ、ピニオン、ディスク、ストラット等の内部構造を示す斜視図。前部ディスクは示されていない。
【図12】例えばシリコーン等の高粘性流体を収容できる粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の斜視図。
【図13】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体の分解図。
【図14】ディスク及びプレートを有するカップ状囲いの分解図。
【図15】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体を伸張状態で示す側面図。
【図16】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体を伸張状態で示す平面図。
【図17】伸張状態での、粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体を、図16の17−17線に沿って切断した側断面図。
【図18】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体を収縮状態で示す側面図。
【図19】粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体を収縮状態で示す平面図。
【図20】伸張状態での、粘性せん断作用による減衰ストラット組み立て体を、図19の19−19線に沿って切断した側断面図。
【図21】粘性せん断作用による減衰ストラットの端面図。
【0010】
ここに例示した構成は本発明の具体例を示すものだが、これらの具体例は、何らかの点で本発明の範囲を制限するものと解釈してはならない。当業者には、本発明の付加的特徴は、本発明を実施する上で現在考えられる最良の形態を示す図示の具体例を以下で詳細に説明することで明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、種々の異なる形式の実施例が可能だが、ここで詳細に説明される図示の実施例は、本発明の例証と理解されるもので、以下で説明又は図示される構成部品の構成の細部まで余すところなく明らかにしたり、又はその構成に本発明を限定したりする意図のものではない。
【0012】
図1に示すように、航空機のジェット・エンジン12は、通常、大きな円筒形構造物14に取り囲まれており、該構造物は、通常、1個又は1対のエンジン・パネル又はカウリング16,18を含んでいる。航空機のエンジン・カウリング16,18は、ヒンジ20によってエンジン支持構造物22に取り付けられることが多い。例えば、その場合、エンジンは、エンジン・パイロンを介して機体に取り付けることができる。カウリング16,18には、ヒンジが取り付けられているので、補修や修理のさいには、カウリングを旋回させてエンジン12に接近できる。航空機の作動中は、カウリング16,18は閉位置に旋回させ、通常はラッチをかけねばならない。カウリング16,18を留めるラッチはハートウェル社製の、例えば米国特許第6,629,712号及び第6,189,832号に開示されているものが知られており、それらは、ここに引用することで本開示に取り入れられる。
【0013】
開位置保持ロッド組み立て体(前部26、後部28)は、航空機のエンジン・ナセルに使用できる。例えばハートウェル社製H3383−1/−5及び−3は、ボーイングC17のエンジン・ナセルに使用されている。内管30は、捩じり兼引張機構32により解除して伸張させることができる。図2は、開位置保持ロッド組み立て体26の一実施例を収縮位置で示し、図3は伸張位置で示したものである。迅速解除ピン34は、収縮位置では手動ロックとして使用でき、伸張位置ではバックアップとして収納又は使用できる。ロッド26の一端、例えばロック端部は、迅速取り外しフック36を有し、他端はロッド端部38を有している。図4は、開位置保持ロッド28の別の実施例を収縮状態で示し、図5は、この実施例を伸張状態で示している。任意の選択肢として、両遠位端はロッド端部38を有している。
【0014】
減衰装置40は、航空機のエンジン・パネル16,18が円滑かつ制御されて開口するように構成できる。減衰装置40は、旋回可能に取り付けられたエンジン・パネル16,18と関連して使用される場合、事実上線形方向でのストラット42の運動を減衰し、エンジン・パネルの開口を制御する。減衰装置40は、減衰装置40と連携している部材、例えばエンジン・パネル16,18の運動速度を制御する。
【0015】
ストラット組み立て体42は、他の構成部品の運動を制御するのに必要な減衰荷重を負荷する減衰装置40の一部である。減衰装置40は1個のストラットを有することができるが、実施例は、図示のように、2つの端部を有している。図6〜図10に示すように、ストラット42は、両端にマウント44,46、例えば球形支承部又はロッド端部を有することで、固定構造部22と、可動部材16,18、例えば旋回するカウリング又はパネルとに取り付けることができる。
【0016】
第1減衰装置140は、図6に伸張位置で示した4段階テレスコープ式減衰ユニット148を含む減衰ストラット組み立て体を基本にすることができる。この減衰装置140は異なる速度で双方向の減衰を行うことができる。リザーバ150は、液圧流体を保留することができる。テレスコープ式ストラット148の各段の一端には、ブリード弁152及びシール156を配置できる。シール156後方にキャビテーションが発生するのを防止するため、バネ154が配置されている。減衰装置140は、逆止め弁158又は他の種類の流量調整器を含むのが好ましい。
【0017】
図7〜図21に示された別の形式の減衰装置40は、1個以上の開位置保持ロッド26,28と連結される航空機エンジン・パネル16,18を含む種々の部材と共に使用できる。減衰装置40は、円滑に、安定的に、制御されて連続的に動作するように構成されている。減衰装置40は、流体62を内包する関連リザーバ50を備えたハウジング60を有し、ハウジング60からは収縮可能なストラット42が伸張できる。ストラット42と軸64とは、ラックとピニオンの原理で操作される。1個のディスク又は好ましくは2個以上の、間隔をおいたディスク66が、ハウジング60のリザーバ50内に位置する軸64(内側駆動部65を含む)の一部に取り付けられている。リザーバ50は静止プレート68を有し、該静止プレートは、広くは壁部、ディスク、シム、皿状体を含むが、これらに限定はされない。静止プレート68は、軸64上に間隔をおいて配置されたディスク1個以上に隣接し、ストラット42の線形運動を減衰する。好ましくは航空機用の図示の実施例では、2個のストラット42,142が、減衰部材の部材として使用される。
【0018】
減衰装置40はハウジング60を含み、このハウジングから1個以上のストラット42及び/又はストラット142が伸張できる。ハウジング60は、好ましくは1対の往復動ストラット42,142を受容しており、該ストラットは、各々反対側からハウジングに進入し、垂直方向に間隔をおいて配置されている。ストラット42,142は、ラックとピニオンの原理を利用してハウジングからの伸張及びハウジング内への収縮が可能である。ストラット42,142は、各々、ラック70として形成された部分を有している。ストラット42,142は、ストラット42に隣接する部分にピニオン74を有する軸64(好ましくは2個)と協働する事実上一つの平面内に歯を有している。ラック70の歯72は、ピニオン74の歯76と噛み合わされる。ラック70がピニオン74と噛み合わされることで、ラック70は直線的に移動する。ラックとピニオンの原理によって、回転するディスク66の減衰力が伝えられて、ストラット42の線形運動が抑えられる。
【0019】
ハウジング60はキャビティ78を有し、これらのキャビティが、側部の囲い80により覆われ、リザーバ50を形成している。ハウジング60は、図7及び図11に示すように、リザーバの大部分を形成できる。リザーバは、側部の囲いであるパネルにより覆われるか、又は図130図14に示すように、側部の囲い80は、カップ状部材として、比較的平らなハウジング60に取り付けることができる。図示のように、4つのキャビティが設けられている。ピニオン74は延在する軸64の一部であり、好ましくは、これらの軸に、間隔をおいた1組のディスク66が取り付けられる。これらのディスクは、ハウジング60の側部の、流体を充填されたリザーバ50内に配置されている。
【0020】
軸64は、リザーバ50内へ延びている。リザーバ50は、軸上のディスク66と相互に間挿される間隔をおいた複数静止プレート68を有しているのが好ましい。軸64は、シールされたリザーバ50内で、静止又は固定のプレート68に隣接する1つ置きのディスク66を駆動するのが好ましい。したがって、駆動されるディスク66に隣接する多数の静止プレート68は、減衰用の大きな流体せん断区域を発生させる。静止プレート68は平らな側部(図示せず)を有しており、この平らな側部が、見やすくするために図11にディスクを除去して示したように、リザーバ50の一部を形成するハウジング60の平らな面82と連携使用される場合、プレートの回転を妨げる。軸64は、リザーバ50(粘性流体が密封されている)内に突入しているが、リザーバの内圧は、シールを容易にするために、最小にされている。
【0021】
図11に示すように、ハウジング60と側部の囲い80の各々との間には、静止シール84を使用できる。軸64とハウジング60との間には、回転シール86を使用できる。図14に示すように、回転Oリング92と一緒に、静止Oリング90を使用できる。好適なシリコーン流体により、減衰装置40は、現代の航空機のジェット・エンジンが作動するさいの苛酷な環境では比較的急速に破断するか機能不全となる高圧シール及び滑り「軸方向」シールの使用を回避できる。リザーバ50は、広い温度範囲にわたり安定的な耐摩耗性不揮発流体62、例えば不活性純シリコーン流体を内包するのが好ましい。リザーバ50は、ディスク66とプレート68間でせん断作用を実現するのに望ましい粘性の流体62を内包することで、運動減衰が可能になる。減衰力には、流体62の粘性により影響を与えることができる。高粘性のシリコーン流体62は漏れを生じにくい。
【0022】
軸64により駆動されるディスク66に隣接する静止プレート68は、リザーバ50に高粘性流体62が充填されている場合、減衰のための大きい流体せん断面積を造出する。減衰ユニットとして、減衰装置40は、線形ストラット組み立て体42用の粘性流体64内でのディスク66とプレート68間の粘性せん断作用の原理を利用する。この粘性流体は、シリコーンを含むが、シリコーンに限定されない。
【0023】
図14は、軸64により駆動されるディスク66と、駆動されるディスク66に対し静止している隣接プレート68とを取り囲むキャビティ78の部分を形成するカップ状の囲い80との分解図である。静止Oリング90は、軸64が貫通するキャップ94に隣接する回転Oリング92と一緒に使用できる。内側駆動部65は、軸64の一部でよいが、別個の部材として軸64に相補的に取り付けてもよい。
【0024】
減衰装置40は、双方向に減衰可能であるのが好ましいが、その場合、ストラット42は異なる速度で伸張し収縮する。ストラット42の収縮時には自由回転し、伸張時には係止されるローラ・クラッチ軸受により、減衰装置40は異なる速度で収縮かつ伸張することができる。
【0025】
任意だが、減衰装置40は、ロック/開放を一体化した特徴を含むことができる。通常、ロッド端部38はストラット42の各端部に構成されるが、減衰装置と一緒に用いられる部材16,18,22の構成、留め具、コネクタに基づいて、種々の取り付け手段を使用できる。
【0026】
減衰装置40は、航空機のエンジン・パネル又はカウリング16,18を開くさいに、円滑で連続的な、制御された操作を可能にするために使用され、通常、航空機エンジン12のカウリング遠位端のところで、1個又は2個以上の開位置保持ロッド26又は28と連結して使用される。減衰装置40は、偶然にリザーバ50内の小さなエアポケットに影響されるようなことがない。減衰方法により、円滑かつ連続的な減衰荷重が負荷される。
【0027】
少なくとも1個のストラット42の減衰運動には、エンジン・パネル16,18を移動させる段階が含まれ、パネルのこの運動が、流体を充填され静止プレート68を有するリザーバ50を備えたハウジング60に対するストラット42の運動を生じさせる。ストラット42の運動は、ストラット42の少なくとも一部に設けられたラック70の運動を含み、このラックの運動が、軸64上のピニオン74を回転させる。該ピニオンは、ストラット42のラック70と噛み合い、協働可能に配置されている。軸64上に間隔をおいて配置されたディスク66は、相対的に静止したプレート68に隣接してリザーバ50内で回転することで、粘性せん断作用によりストラットの運動を減衰させる。
【0028】
以上、本開示を代表的な実施例により説明したが、本出願は、その一般原理を利用した何らかの変化形、使用、改作を含むものである。当業者は、種々の変更態様及び等価物を特許請求の範囲に記載の開示及び精神の枠を逸脱することなしに構成できると考えられる。更に、本出願は、本開示から出発する新たな試みを、関連技術内部の周知の試み又は慣行に含めるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストラットの運動を減衰させる装置において、該減衰装置には、
関連リザーバを有するハウジングと、
ハウジングに対し伸張かつ収縮の可能な可動ストラットと、
ストラットの少なくとも一部に設けられたラックと、
ストラットのラックと係合し協働するように軸上に設けられたピニオンとが含まれ、その場合、ラックの歯がピニオンの歯と噛み合わされ、更に、
ハウジングのリザーバ内で軸上に間隔をおいて配置された複数ディスクと、
リザーバに内包された粘性流体とが含まれ、該リザーバが、ストラットの運動を減衰させるために、軸上に間隔をおいて配置された複数ディスクに隣接して、間隔をおいて配置された複数静止プレートを有している、ストラットの運動を減衰させる装置。
【請求項2】
2つのストラットと、2つの軸と、少なくとも2つのリザーバとが含まれ、しかも、各軸が、別個の密封リザーバの内部に間隔をおいて配置された1組のディスクを駆動し、各リザーバが、軸上に間隔をおいて配置された前記ディスクと相互に間挿された間隔をおいて配置された静止プレートを有する、請求項1記載の減衰装置。
【請求項3】
前記ハウジングが、リザーバの一部として平らな面を形成する平らな部分を有しており、しかも、前記静止プレートは、リザーバに固定されていないが、平らな側部を有し、この側部が、リザーバの平らな面と連携して使用される場合、静止プレートの回転が阻止される、請求項1記載の減衰装置。
【請求項4】
前記粘性流体がシリコーンである、請求項1記載の減衰装置。
【請求項5】
更に、ローラ・クラッチ軸受が含まれ、該軸受が、ストラットの収縮時には自由回転し、ストラットの伸張時には係止され、しかも、前記軸が、ローラ・クラッチ軸受と共に作業することで双方向の減衰が可能になり、その場合、ストラットは異なる速度で伸張及び収縮することが可能である、請求項1記載の減衰装置。
【請求項6】
間隔をおいて配置された前記静止プレートが、軸上に間隔をおいて配置された前記ディスクと相互に間挿されている、請求項1記載の減衰装置。
【請求項7】
前記ハウジングがキャビティを形成し、該キャビティが側部の囲いによって覆われることによりリザーバが形成される、請求項1記載の減衰装置。
【請求項8】
更に、前記ハウジングと前記側部の囲いとの間に静止シールを含む、請求項7記載の減衰装置。
【請求項9】
前記軸と前記ハウジングとの間に回転シールを含む、請求項1記載の減衰装置。
【請求項10】
エンジン・パネルが旋回可能に取り付けられた機体構造物を有する航空機エンジン・ナセルの場合に、エンジン・パネルを円滑に連続的かつ制御しつつ開くシステムにおいて、該システムが、
機体構造物とエンジン・パネル遠位端とに取り付けられた開位置保持ロッドと、
エンジン・パネルを固定するためのラッチと、
粘性せん断作用を利用する減衰装置とを含み、該減衰装置が、
関連リザーバを備えたハウジングと、
前記ハウジングに対し伸張及び収縮の可能な可動ストラットと、
前記ストラットの少なくとも一部に設けられたラックと、
ストラットの前記ラックと噛み合い協働するように軸上に設けられたピニオンと、
前記リザーバ内の前記軸に取り付けられたディスクと、
前記リザーバ内に密封された粘性流体とを含み、該リザーバが、ストラットの運動減衰のために、軸上の前記ディスクに隣接する静止プレートを有している、エンジン・パネルを開くシステム。
【請求項11】
更に、ストラットの収縮時には自由回転し、ストラットの伸張時には係止されるローラ・クラッチ軸受を含み、しかも、前記軸がローラ・クラッチ軸受と協働することによって双方向減衰が可能になり、その場合、ストラットが異なる速度で伸張および収縮可能である、請求項10記載の減衰装置。
【請求項12】
前記ハウジングがキャビティを形成し、該キャビティが、側部の囲いによって覆われることでリザーバを形成する、請求項10記載の減衰装置。
【請求項13】
更に、前記ハウジングと前記側部の囲いとの間に静止シールを含む、請求項12記載の減衰装置。
【請求項14】
更に、前記軸と前記ハウジングとの間に回転シールを含む、請求項10記載の減衰装置。
【請求項15】
エンジン・パネルが旋回可能に取り付けられた機体構造物を有する航空機エンジン・ナセルの場合に、エンジン・パネルを円滑に連続的かつ制御しつつ開くシステムにおいて、該システムには、
機体構造物とエンジン・パネル遠位端とに取り付けられた開位置保持ロッド組み立て体と、
前記エンジン・パネルを固定するためのラッチと、
粘性せん断作用を利用する減衰装置とが含まれ、該減衰装置には、
関連リザーバを備えたハウジングと、
前記ハウジングに対して伸張および収縮可能な複数の可動ストラットとが含まれ、各ストラットが、ラックとして形成された部分を有しており、また、
前記ストラットの各ラックと関連する部分に各々ピニオンを有する複数の軸が含まれ、しかも、前記ラックの歯がピニオンの歯と噛み合い、各軸が、別個の密封リザーバ内で、間隔をおいて配置された1組のディスクを駆動し、更に、
各リザーバに内包された粘性流体が含まれ、該リザーバが、ストラットの線形運動を減衰するために、軸上に間隔をおいて配置されたディスクと相互に間挿されたプレートを有している、エンジン・パネルを開くシステム。
【請求項16】
更に、各ストラットの収縮時には自由回転し、伸張時には係止されるローラ・クラッチ軸受が含まれ、しかも、各ローラ・クラッチ軸受と協働する前記軸により双方向の減衰が可能であり、その場合、各ストラットが異なる速度で伸張及び収縮する、請求項15記載の減衰装置。
【請求項17】
前記ハウジングがキャビティを形成し、該キャビティが側部の囲いによって覆われることでリザーバを形成する、請求項15記載の減衰装置。
【請求項18】
更に、前記ハウジングと前記側部の囲いとの間に静止シールを含む、請求項17記載の減衰装置。
【請求項19】
更に、前記軸と前記ハウジングとの間に回転シールを含む、請求項15記載の減衰装置。
【請求項20】
航空機のエンジン・パネルが旋回可能に取り付けられた機体構造物内で少なくとも1個のストラットの運動を減衰させる方法において、該方法には、
静止プレートを備え粘性流体を内包するリザーバを有するハウジングに対してストラットを運動させて航空機のエンジン・パネルを移動させる段階と、
ストラットの少なくとも一部に形成されたラックを運動させる段階と、
ストラットのラックと係合し協働するように軸上に設けられたピニオンを回転させる段階とが含まれ、その場合、ラックの歯とピニオンの歯とが噛み合わされ、更に、
粘性せん断作用を生じさせることでストラットの運動を減衰させるために、リザーバ内で、静止プレートに隣接し軸上に間隔をおいて配置された複数ディスクを回転させる段階が含まれている、ストラットの運動を減衰させる方法。
【請求項1】
ストラットの運動を減衰させる装置において、該減衰装置には、
関連リザーバを有するハウジングと、
ハウジングに対し伸張かつ収縮の可能な可動ストラットと、
ストラットの少なくとも一部に設けられたラックと、
ストラットのラックと係合し協働するように軸上に設けられたピニオンとが含まれ、その場合、ラックの歯がピニオンの歯と噛み合わされ、更に、
ハウジングのリザーバ内で軸上に間隔をおいて配置された複数ディスクと、
リザーバに内包された粘性流体とが含まれ、該リザーバが、ストラットの運動を減衰させるために、軸上に間隔をおいて配置された複数ディスクに隣接して、間隔をおいて配置された複数静止プレートを有している、ストラットの運動を減衰させる装置。
【請求項2】
2つのストラットと、2つの軸と、少なくとも2つのリザーバとが含まれ、しかも、各軸が、別個の密封リザーバの内部に間隔をおいて配置された1組のディスクを駆動し、各リザーバが、軸上に間隔をおいて配置された前記ディスクと相互に間挿された間隔をおいて配置された静止プレートを有する、請求項1記載の減衰装置。
【請求項3】
前記ハウジングが、リザーバの一部として平らな面を形成する平らな部分を有しており、しかも、前記静止プレートは、リザーバに固定されていないが、平らな側部を有し、この側部が、リザーバの平らな面と連携して使用される場合、静止プレートの回転が阻止される、請求項1記載の減衰装置。
【請求項4】
前記粘性流体がシリコーンである、請求項1記載の減衰装置。
【請求項5】
更に、ローラ・クラッチ軸受が含まれ、該軸受が、ストラットの収縮時には自由回転し、ストラットの伸張時には係止され、しかも、前記軸が、ローラ・クラッチ軸受と共に作業することで双方向の減衰が可能になり、その場合、ストラットは異なる速度で伸張及び収縮することが可能である、請求項1記載の減衰装置。
【請求項6】
間隔をおいて配置された前記静止プレートが、軸上に間隔をおいて配置された前記ディスクと相互に間挿されている、請求項1記載の減衰装置。
【請求項7】
前記ハウジングがキャビティを形成し、該キャビティが側部の囲いによって覆われることによりリザーバが形成される、請求項1記載の減衰装置。
【請求項8】
更に、前記ハウジングと前記側部の囲いとの間に静止シールを含む、請求項7記載の減衰装置。
【請求項9】
前記軸と前記ハウジングとの間に回転シールを含む、請求項1記載の減衰装置。
【請求項10】
エンジン・パネルが旋回可能に取り付けられた機体構造物を有する航空機エンジン・ナセルの場合に、エンジン・パネルを円滑に連続的かつ制御しつつ開くシステムにおいて、該システムが、
機体構造物とエンジン・パネル遠位端とに取り付けられた開位置保持ロッドと、
エンジン・パネルを固定するためのラッチと、
粘性せん断作用を利用する減衰装置とを含み、該減衰装置が、
関連リザーバを備えたハウジングと、
前記ハウジングに対し伸張及び収縮の可能な可動ストラットと、
前記ストラットの少なくとも一部に設けられたラックと、
ストラットの前記ラックと噛み合い協働するように軸上に設けられたピニオンと、
前記リザーバ内の前記軸に取り付けられたディスクと、
前記リザーバ内に密封された粘性流体とを含み、該リザーバが、ストラットの運動減衰のために、軸上の前記ディスクに隣接する静止プレートを有している、エンジン・パネルを開くシステム。
【請求項11】
更に、ストラットの収縮時には自由回転し、ストラットの伸張時には係止されるローラ・クラッチ軸受を含み、しかも、前記軸がローラ・クラッチ軸受と協働することによって双方向減衰が可能になり、その場合、ストラットが異なる速度で伸張および収縮可能である、請求項10記載の減衰装置。
【請求項12】
前記ハウジングがキャビティを形成し、該キャビティが、側部の囲いによって覆われることでリザーバを形成する、請求項10記載の減衰装置。
【請求項13】
更に、前記ハウジングと前記側部の囲いとの間に静止シールを含む、請求項12記載の減衰装置。
【請求項14】
更に、前記軸と前記ハウジングとの間に回転シールを含む、請求項10記載の減衰装置。
【請求項15】
エンジン・パネルが旋回可能に取り付けられた機体構造物を有する航空機エンジン・ナセルの場合に、エンジン・パネルを円滑に連続的かつ制御しつつ開くシステムにおいて、該システムには、
機体構造物とエンジン・パネル遠位端とに取り付けられた開位置保持ロッド組み立て体と、
前記エンジン・パネルを固定するためのラッチと、
粘性せん断作用を利用する減衰装置とが含まれ、該減衰装置には、
関連リザーバを備えたハウジングと、
前記ハウジングに対して伸張および収縮可能な複数の可動ストラットとが含まれ、各ストラットが、ラックとして形成された部分を有しており、また、
前記ストラットの各ラックと関連する部分に各々ピニオンを有する複数の軸が含まれ、しかも、前記ラックの歯がピニオンの歯と噛み合い、各軸が、別個の密封リザーバ内で、間隔をおいて配置された1組のディスクを駆動し、更に、
各リザーバに内包された粘性流体が含まれ、該リザーバが、ストラットの線形運動を減衰するために、軸上に間隔をおいて配置されたディスクと相互に間挿されたプレートを有している、エンジン・パネルを開くシステム。
【請求項16】
更に、各ストラットの収縮時には自由回転し、伸張時には係止されるローラ・クラッチ軸受が含まれ、しかも、各ローラ・クラッチ軸受と協働する前記軸により双方向の減衰が可能であり、その場合、各ストラットが異なる速度で伸張及び収縮する、請求項15記載の減衰装置。
【請求項17】
前記ハウジングがキャビティを形成し、該キャビティが側部の囲いによって覆われることでリザーバを形成する、請求項15記載の減衰装置。
【請求項18】
更に、前記ハウジングと前記側部の囲いとの間に静止シールを含む、請求項17記載の減衰装置。
【請求項19】
更に、前記軸と前記ハウジングとの間に回転シールを含む、請求項15記載の減衰装置。
【請求項20】
航空機のエンジン・パネルが旋回可能に取り付けられた機体構造物内で少なくとも1個のストラットの運動を減衰させる方法において、該方法には、
静止プレートを備え粘性流体を内包するリザーバを有するハウジングに対してストラットを運動させて航空機のエンジン・パネルを移動させる段階と、
ストラットの少なくとも一部に形成されたラックを運動させる段階と、
ストラットのラックと係合し協働するように軸上に設けられたピニオンを回転させる段階とが含まれ、その場合、ラックの歯とピニオンの歯とが噛み合わされ、更に、
粘性せん断作用を生じさせることでストラットの運動を減衰させるために、リザーバ内で、静止プレートに隣接し軸上に間隔をおいて配置された複数ディスクを回転させる段階が含まれている、ストラットの運動を減衰させる方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2010−530048(P2010−530048A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512268(P2010−512268)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/065606
【国際公開番号】WO2009/025916
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(500458402)ハートウエル コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/065606
【国際公開番号】WO2009/025916
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(500458402)ハートウエル コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】
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