説明

粘着テープ又はシート

【課題】 リワーク性や貼付位置修正作業性が優れている粘着テープ又はシートを提供する。
【解決手段】 粘着テープ又はシートは、支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層が形成されている粘着テープ又はシートであって、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部を有していることを特徴とする。繊維凸状構造部は、繊維が粘着剤層の表面から起立している構造の繊維起毛部が好適である。繊維凸状構造部が形成されている端部側の部位としては、粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部から、粘着テープ又はシートにおける幅方向の全長に対して5〜50%の長さに相当する位置までの部位であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ又はシートに関し、さらに詳細には、粘着テープ又はシートを用いて被着体を接着させる際のリワーク性や貼付位置修正作業性が優れている粘着テープ又はシートに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープ又はシートを、各種被着体に接着させる際には、被着体の所定の位置に容易に且つ強固に接着させることが求められており、そのため、粘着テープ又はシートには、仮止め及び貼り直しが可能な特性(いわゆる「リワーク性」)や、貼り付け位置の修正が可能な特性(貼付位置修正作業性)を有していることが求められている。例えば、所定の位置に接着させる作業としては、フローリング材を床に貼り合わせる作業などが挙げられる。該フローリング材の床への貼り合わせ作業では、フローリング材の差し込みを行わなければならず、そのためには、フローリング材の差し込み後に、フローリング材を床に沿って、かなりの距離を移動させなければならない。このような作業において、通常の粘着剤による粘着剤層を有する粘着テープ又はシートを用いた場合、粘着剤のタックと初期接着性のために、フローリング材の差し込み後に、フローリング材を床に沿って移動させることが不可能である。そのため、水や有機溶剤を用いて粘着力を一時的に低下させた粘着テープ又はシートを用いる方法、粘着剤層の表面と、被着体との界面に吸水性ポリマーの水膨潤粒状物を介在させる方法(特許文献1参照)、粘着剤層の表面に凹凸構造を設けた粘着テープ又はシートを用いて、初期の接着面積を低下させる方法(特許文献2参照)、粘着剤層の表面に固形状の非粘着性物質を凸部状に形成させた粘着テープ又はシートを用いて、初期の接着力をコントロールする方法(特許文献3参照)などが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3296769号公報
【特許文献2】特開2002−121503号公報
【特許文献3】特開平7−310057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、特許第3296769号公報に記載されているように、粘着剤層の表面と、被着体との界面に吸水性ポリマーの水膨潤粒状物を介在させる方法では、水が用いられており、水は本質的には接着を阻害するものであり、接着の信頼性からは用いることが望ましいものではない。
【0005】
また、特開2002−121503号公報に記載されているように、粘着剤層の表面に凹凸構造を設けた粘着テープ又はシートを用いて、初期の接着面積を低下させる方法では、粘着テープ又はシートの表面には、粘着剤層が存在するために、仮置きした位置より修正できる位置の幅が限られており、貼付位置修正作業性が十分であるとはいえない。
【0006】
さらにまた、特開平7−310057号公報に記載されているように、粘着剤層の表面に固形状の非粘着性物質を凸部状に形成させた粘着テープ又はシートを用いて、初期の接着力をコントロールする方法では、非粘着性物質は粘着剤層表面に貼り合わされているに過ぎず、非粘着性物質の構造は制御されていないので、貼付位置修正作業性の機能を十分にするためには、必然的に非粘着性物質の使用量が多くなり、粘着特性上、望ましいとは言えない。
【0007】
従って、本発明の目的は、リワーク性や貼付位置修正作業性が優れている粘着テープ又はシートを提供することにある。
本発明の他の目的は、フローリング材貼付用粘着テープ又はシートとして有用な粘着テープ又はシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、粘着テープ又はシートの粘着剤層表面における幅方向の端部側の部位にのみ、繊維による特定の構造部を設けると、粘着テープ又はシートを被着体の所定の位置に接着させる際には、仮止め及び貼り直しを容易に行うことができ、また、貼り付け位置の修正も容易に行うことができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層が形成されている粘着テープ又はシートであって、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部を有していることを特徴とする粘着テープ又はシートである。
【0010】
前記粘着テープ又はシートでは、繊維凸状構造部としては、繊維が粘着剤層の表面から起立している構造の繊維起毛部であることが好ましい。
【0011】
また、繊維凸状構造部が形成されている端部側の部位としては、粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部から、粘着テープ又はシートにおける幅方向の全長に対して5〜50%の長さに相当する位置までの部位であってもよい。繊維凸状構造部が形成されている端部側の部位としては、粘着テープ又はシートにおける幅方向の両端部のうちの何れか一方の端部から、幅方向の全長に対して5〜30%の長さの部位であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粘着テープ又はシートは、リワーク性や貼付位置修正作業性が優れている。そのため、本発明の粘着テープ又はシートは、フローリング材貼付用粘着テープ又はシートとして有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の粘着テープ又はシートでは、図1で示されるように、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部が形成されている。
【0014】
図1は本発明の粘着テープ又はシートの一例を部分的に示す概略図であり、(a)は粘着テープ又はシートの上面から見た概略平面図、(b)は(a)におけるX−Y線の概略断面図である。図1において、1は粘着テープ又はシート、2は粘着テープ又はシート用粘着剤層(単に「粘着剤層」と称する場合がある)、2aは粘着剤層2の表面、2a1は粘着剤層2の表面2aの一方の端部、2a2は粘着剤層2の表面2aの他方の端部、3は粘着テープ又はシート用基材(単に「基材」と称する場合がある)、4aは穿孔部を有する粘着テープ又はシート用剥離ライナー(「穿孔部含有剥離ライナー」と称する場合がある)、4a1は穿孔部含有剥離ライナー4aの穿孔部、4bは粘着テープ又はシート用剥離ライナー(「穿孔部非含有剥離ライナー」と称する場合がある)、5は繊維起毛部である。粘着テープ又はシート1は、支持体としての基材3の片面に粘着剤層2が形成され且つ粘着剤層2は、一方の端部2a1側の部位が穿孔部含有剥離ライナー4aにより保護され、他方の端部2a2側の部位が穿孔部非含有剥離ライナー4bにより保護されている構成を有しており、前記粘着剤層2の表面2aには、剥離ライナー4aの穿孔部4a1に対応する部位に、繊維凸状構造部として繊維起毛部5が設けられている。なお、図1では、前記繊維起毛部5は、全体として、複数のラインを形成するような形状で設けられており、各ラインの間隔(各ラインの中心部の間隔)は5mmとなっており、1つのライン内に含まれる各繊維起毛部間の間隔(各繊維起毛部の中心部の間隔)は5mmとなっている。また、1つの繊維起毛部の粘着剤層表面における形状は、半径が約0.4mmの略円形状(面積は約0.5mm2)となっている。さらにまた、隣り合ったラインでは、一方のラインにおける各繊維起毛部間の中央部に位置する部位に、他方のラインにおける各繊維起毛部が形成された構成となっている。
【0015】
このような繊維起毛部5は、粘着剤層2の表面2aにおける幅方向の一方の端部2a1側の部位に、粘着テープ又はシート1の長手方向に延びた形態で、ライン状に形成されており、繊維起毛部5が形成されている端部側の部位の幅は、15mmとなっている。
【0016】
このように、本発明の粘着テープ又はシートでは、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面に、粘着テープ又はシートの幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部が形成されているので、前記繊維凸状構造部が形成されている端部側の部位における粘着剤層の表面を利用して、粘着テープ又はシートを被着体に仮接着させることができ、その後、粘着剤層の全表面を利用して、圧着により、粘着テープ又はシートを被着体に強固に接着させることができる。従って、本発明の粘着テープ又はシートを用いると、優れたリワーク性や貼付位置修正作業性で、粘着テープ又はシートの貼り付け作業を行うことができる。
【0017】
繊維凸状構造部が形成されている端部側の部位(「繊維凸状構造部形成端部側部位」と称する場合がある)としては、粘着テープ又はシートにおける幅方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位、粘着テープ又はシートにおける長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位のいずれであってもよいが、粘着テープ又はシートにおける幅方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位であることが好ましい。
【0018】
また、繊維凸状構造部形成端部側部位としては、粘着テープ又はシートの幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位であれば、その幅などは特に制限されない。繊維凸状構造部形成端部側部位の幅は、粘着テープ又はシートにおける幅方向の全長に対して5〜50%(好ましくは5〜40%、さらに好ましくは5〜30%)の長さに相当する幅となっていることが好適である。すなわち、繊維凸状構造部形成端部側部位としては、幅方向、長手方向の両端部のうちの何れの端部側の部位であっても、端部(幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部)から、粘着テープ又はシートにおける幅方向の全長に対して5〜50%(好ましくは5〜40%、さらに好ましくは5〜30%)の長さに相当する位置までの部位であることが好適である。
【0019】
従って、本発明では、繊維凸状構造部形成端部側部位としては、粘着テープ又はシートにおける幅方向の両端部のうちの何れか一方の端部から、幅方向の全長に対して5〜30%の長さの部位であることが好ましい。
【0020】
なお、繊維凸状構造部形成端部側部位の幅としては、その作用又は効果を有効に発揮するためには、5mm以上(好ましくは8mm以上、さらに好ましくは10mm以上)であることが望ましい。
【0021】
本発明において、繊維凸状構造部形成端部側部位とは、通常は(特に、繊維凸状構造部が形成されている粘着剤層表面が、繊維凸状構造部に対応する位置に空洞部を有する剥離ライナーにより保護されていない場合)、繊維凸状構造部が形成されている側の端部から、他方の端部側にもっとも位置している繊維凸状構造部までの間の部位とする。なお、繊維凸状構造部が形成されている粘着剤層表面が、繊維凸状構造部に対応する位置に空洞部を有する剥離ライナーと、空洞部を有していない剥離ライナーとにより保護されている場合は、繊維凸状構造部が形成されている側の端部から、空洞部を有する剥離ライナーと空洞部を有していない剥離ライナーとの境界部に相当する位置までの間の部位とすることができる。前記空洞部を有する剥離ライナーとしては、下記に示されるような空洞部を有する剥離基材や、繊維凸状構造転写形成用シートなどが挙げられる。従って、本発明では、繊維凸状構造部形成端部側部位は、空洞部を有する剥離ライナーの有無により、その幅が若干異なるようになる場合があるが、その場合、繊維凸状構造部が形成されている側の端部から、他方の端部側にもっとも位置している繊維凸状構造部までの間の部位と好適にすることができる。
【0022】
(繊維凸状構造部)
本発明の粘着テープ又はシートでは、図1で示されているように、支持体の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層の表面に、幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部が形成されている。前記繊維凸状構造部としては、該繊維凸状構造部が形成されている端部側の部位における粘着剤層の表面を、被着体に仮接着させることができ、その後、圧着により、被着体に強固に接着させることができるような構成を有していることが重要である。繊維凸状構造部としては、繊維によって凸状に形成されている構造部であれば特に制限されないが、例えば、繊維が粘着剤層の表面から起立している構造を有している繊維起毛部、繊維の固まりが粘着剤層表面に設けられたような構造の繊維凸状構造部などが挙げられる。繊維凸状構造部は、単一の構造よりなるものであってもよく、複数の構造が組み合わされた構造よりなるものであってもよい。
【0023】
なお、1つの繊維凸状構造部は、通常、複数の繊維により構成されている。1つの繊維凸状構造部を構成する繊維の数や密度は、特に制限されず、目的とするリワーク性や貼付位置修正作業性、被着体の種類などに応じて適宜選択することができる。
【0024】
繊維凸状構造部としては、繊維が粘着剤層の表面から起立している構造を有している繊維起毛部が好ましい。
【0025】
このような繊維起毛部の構造としては、例えば、(1)1本の繊維の一方の端部が粘着剤層表面に接着されて固定され、他方の端部が固定されていない(自由となっている)状態で、粘着剤層表面から繊維が略I字型に起立している構造(図1で示されている構造)、(2)1本の繊維の中央部が粘着剤層表面に接着され、繊維の両端部が固定されていない(自由となっている)状態で、粘着剤層表面から繊維が略V字型に起立している構造、(3)1本の繊維の両端部が粘着剤層表面に接着されて固定され、繊維の中央部が固定されていない(自由となっている)状態で、粘着剤層表面から繊維が逆略U字型に起立している構造の他、粘着剤層表面から繊維が略W字型、略M字型、略N字型、略O字型などの形状で起立している構造、さらには、これらの構造が組み合わされた構造などが挙げられる。繊維起毛部の構造としては、前記(1)の構造(粘着剤層表面から繊維が略I字型に起立している構造)が好適である。もちろん、繊維起毛部は、粘着テープ又はシート用粘着剤層表面から繊維が、I字型などのように直線状に起立した状態であってもよく、ギザギザ状、波線状、ループ状などの形態を有する状態で、全体的に起立した状態であってもよい。
【0026】
繊維凸状構造部は、粘着剤層の表面に、粘着テープ又はシートの幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に設けられている。このように、粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に設けられている繊維凸状構造部において、その全体としての形状としては、特に制限されず、目的とするリワーク性や貼付位置修正作業性、被着体の種類などに応じて適宜選択することができ、所定のパターン形状を有していてもよい。
【0027】
繊維凸状構造部としては、粘着剤層表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に形成されていれば、どのような形態で形成されていてもよく、例えば、全体として、パターン形状となるような形態で形成されていてもよい。本発明では、繊維凸状構造部としては、複数の繊維凸状構造部が、全体として複数のラインを形成するように、所定の間隔をあけて配置された形態で形成されていることが好ましい。この場合、一本のラインは、1本のライン状に形成された繊維凸状構造部(「ライン状繊維凸状構造部」と称する場合がある)により形成されていてもよく、複数の繊維凸状構造部が、所定の間隔をあけてライン状となるように配置されることにより形成されていてもよい。すなわち、1本のライン(複数のラインにおける各ライン)は、単数(又は1つ)の繊維凸状構造部により構成されていてもよく、複数(又は2つ以上)の繊維凸状構造部により構成されていてもよい。
【0028】
なお、繊維凸状構造部が全体として複数のラインを形成するような形態で形成されている場合、各ラインの方向(ライン方向)としては、特に制限されず、例えば、粘着テープ又はシートの長手方向、幅方向、その他の方向(斜め方向など)のいずれであってもよいが、粘着テープ又はシートの長手方向や幅方向が好ましい。なお、繊維凸状構造部が粘着剤層表面における幅方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に形成されている場合は、粘着テープ又はシートの長手方向が好ましく、一方、繊維凸状構造部が粘着剤層表面における長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に形成されている場合は、粘着テープ又はシートの幅方向が好ましい。
【0029】
また、繊維凸状構造部により形成された複数のラインとしては、すべてが互いに非平行、又は一部が互いに非平行(すなわち、一部が平行)となっていてもよいが、すべてが互いに平行となっていることが好ましい。すなわち、繊維凸状構造部による形成された複数のラインは、ライン方向が一方向のみとなっていることが好ましい。このように、繊維凸状構造部により形成された複数のラインは、全体的に互いに平行な位置関係で形成されていることが好ましい。なお、繊維凸状構造部により形成された複数のラインが、全体的に又は部分的に互いに非平行な位置関係で形成されている場合、ライン同士は、交差していてもよい。
【0030】
さらに、繊維凸状構造部により形成された複数のラインが互いに平行な位置関係で形成されている場合、隣接したラインの間隔としては、一定となっていなくてもよいが(すべて又は一部で異なった形態で、形成されていてもよいが)、一定となっていることが好ましい。すなわち、繊維凸状構造部により形成された複数のラインとしては、互いに平行に、且つ隣接したラインの間隔が、すべて同一となった形態で形成されていることが好ましい。なお、隣接したラインの間隔(すなわち、露出する粘着剤層表面の幅)としては、特に制限されず、粘着テープ又はシートの幅、繊維凸状構造部形成端部側部位の幅、繊維凸状構造部により形成された複数のラインの数又は密度、各ラインの幅、粘着テープ又はシートの被着体への粘着力、目的とするリワーク性や貼付位置修正作業性、被着体の種類などに応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、繊維凸状構造部により形成された複数のラインが互いに平行な位置関係で一定の間隔で形成されている場合、隣接したラインの間隔としては、例えば、1〜100mm(好ましくは2〜30mm、さらに好ましくは3〜10mm)の範囲から選択することができる。
【0031】
なお、繊維凸状構造部により形成された複数のラインが、粘着テープ又はシートの幅方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に形成され、且つ粘着テープ又はシートの長手方向をライン方向として(長手方向に直線状の形態で)、互いに平行な位置関係で形成されている場合、端部側に形成されたラインと、粘着剤層表面の端部との間の距離は、特に制限されず、粘着テープ又はシートの幅、繊維凸状構造部形成端部側部位の幅、繊維凸状構造部により形成された複数のラインの数又は密度、各ラインの幅、粘着テープ又はシートの被着体への粘着力、目的とするリワーク性や貼付位置修正作業性、被着体の種類などに応じて適宜選択することができる。具体的には、端部側に形成されたラインと、粘着剤層表面の端部との間の距離としては、例えば、0〜100mm(好ましくは0〜30mm、さらに好ましくは0〜10mm)の範囲から選択することができる。なお、端部側に形成されたラインと、粘着剤層表面の端部との間の距離が0mである場合、端部側に形成されたラインが粘着剤層表面の端部に形成されていることを意味している。
【0032】
さらにまた、繊維凸状構造部により形成された複数のラインにおいて、各ラインの幅としては、一定となっていなくてもよいが(すべて又は一部で異なった幅となってもよいが)、一定となっていることが好ましい。すなわち、各ラインとしては、すべて同一の幅となっていることが好ましい。なお、各ラインの幅としては、特に制限されず、粘着テープ又はシートの幅、繊維凸状構造部形成端部側部位の幅、繊維凸状構造部により形成された複数のラインの数又は密度、隣接したラインの間隔、粘着テープ又はシートの被着体への粘着力、目的とするリワーク性や貼付位置修正作業性、被着体の種類などに応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、繊維凸状構造部により形成された複数のラインが一定の幅で形成されている場合、各ラインの幅としては、例えば、10μm〜10mm(好ましくは30μm〜5mm、さらに好ましくは50μm〜3mm)の範囲から選択することができる。
【0033】
従って、本発明では、繊維凸状構造部により形成された複数のラインとしては、粘着テープ又はシートの幅方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、一定の幅(同じ幅)のラインが、粘着テープ又はシートの長手方向をライン方向として(長手方向に直線状の形態で)、平行に且つ一定の間隔(同じ間隔)で、複数形成されていることが好ましい。
【0034】
なお、繊維凸状構造部により形成された複数のラインにおいて、各ラインのライン方向(ラインの長手方向)の長さとしては、特に制限されず、ライン方向などに応じて適宜選択することができる。例えば、ラインが、粘着テープ又はシートの幅方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、粘着テープ又はシートの長手方向をライン方向として形成されている場合、ラインのライン方向の長さとしては、最大、粘着テープ又はシートの長手方向の長さとすることができる。
【0035】
また、繊維凸状構造部により形成された複数のラインにおいて、ラインの数又は密度としては、特に制限されず、粘着テープ又はシートの幅、繊維凸状構造部形成端部側部位の幅、粘着テープ又はシートの被着体への粘着力、目的とするリワーク性や貼付位置修正作業性、被着体の種類などに応じて適宜選択することができる。
【0036】
なお、繊維凸状構造部により形成された複数のラインにおける各ラインが、複数の繊維凸状構造部が所定の間隔をあけて配置されて形成されている場合、各ライン(1本のライン)内に含まれる各繊維凸状構造部間の間隔は、例えば、1〜100mm(好ましくは2〜30mm、さらに好ましくは3〜10mm)程度の範囲から選択することができる。さらにまた、隣り合ったラインにおける各繊維凸状構造部の位置関係は、特に制限されず、全体として格子状となる位置関係であってもよく、全体として不定形状となる位置関係であってもよい。
【0037】
また、繊維凸状構造部により形成された複数のラインにおける各ラインが、複数の繊維凸状構造部が所定の間隔をあけて配置されて形成されている場合、1つの繊維凸状構造部について、粘着剤層表面における形状としては、特に制限されず、例えば、略円形状や略多角形状であってもよく、不定形状であってもよい。また、粘着剤層の表面に形成されている繊維凸状構造部の数は、特に制限されない。各繊維凸状構造部の面積としては、特に制限されず、例えば、0.1〜10mm2(好ましくは0.2〜5mm2、さらに好ましくは0.3〜3mm2)程度の範囲から選択することが好ましいが、0.1mm2未満であってもよく、10mm2を越えていてもよい。
【0038】
さらにまた、繊維凸状構造部により形成された複数のラインにおける各ラインが、複数の繊維凸状構造部が所定の間隔をあけて配置されて形成されているとともに、各繊維凸状構造部の面積が0.1〜10mm2であるように設けられている場合、各繊維凸状構造部間の最短の間隔としては、例えば、1〜100mm(好ましくは2〜30mm、さらに好ましくは3〜10mm)程度であってもよい。
【0039】
なお、粘着剤層表面において、繊維凸状構造部が設けられている部位の全面積(全繊維凸状構造部の面積)としては、特に制限されず、例えば、繊維凸状構造部形成端部側部位の全表面積に対して0.001〜20%(好ましくは0.005〜15%、さらに好ましくは0.01〜10%)の割合となる面積であることが望ましい。全繊維凸状構造部の粘着剤層表面における面積が、繊維凸状構造部形成端部側部位の全表面積に対して0.001%未満であると、初期接着力の低減効果が低下し、リワーク性や貼付位置修正作業性が低下する。一方、全繊維凸状構造部の粘着剤層表面における面積が、繊維凸状構造部形成端部側部位の全表面積に対して20%を越えると、リワーク性や貼付位置修正作業性は向上するが、繊維凸状構造部形成端部側部位における粘着テープ又はシートの被着体への接着力が低下する。
【0040】
このような繊維凸状構造部を構成する繊維としては、特に制限されず、天然繊維、半合成繊維、合成繊維のいずれであってもよい。より具体的には、繊維としては、例えば、綿繊維、レーヨン繊維、ポリアミド系繊維[脂肪族ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維(いわゆるアラミド繊維)など]、ポリエステル系繊維(商品名「テトロン」など)、ポリアクリロニトリル系繊維、炭素繊維(炭素系繊維)、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール繊維(いわゆるビニロン繊維)、ポリエチレン系繊維、ポリイミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、シリコーン系繊維、フッ素系繊維(フッ素系樹脂繊維)などが挙げられる。繊維としては、綿繊維、レーヨン繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維が好適である。
【0041】
繊維は、1種のみが用いられていてもよく、2種以上が組み合わせられて用いられていてもよい。
【0042】
このような繊維としては、短繊維を好適に用いることができる。繊維の長さが長くなると、繊維凸状構造部形成端部側部位における粘着テープ又はシートの被着体への接着力が低下するため好ましくない。繊維としては、その長さが0.1〜5mm(好ましくは0.3〜5mm、さらに好ましくは0.3〜2mm)程度であることが望ましい。なお、繊維の長さが短すぎると、繊維凸状構造部形成端部側部位における粘着剤層を被着体に接着させる際にかける圧力が低くてもよくなるので、これによりリワーク性や貼付位置修正作業性が低下するため好ましくない。また、繊維の長さが短すぎると、製造が難しく、高価になるため、コスト的な観点からも好ましくない。
【0043】
また、繊維の太さとしては、特に制限されないが、例えば、0.1〜20デニール(好ましくは0.5〜15デニール、さらに好ましくは1〜6デニール)程度の範囲から選択することができる。繊維の太さが太すぎると、柔軟性の低下により、繊維凸状構造部形成端部側部位における粘着剤層を被着体に接着させる際にかける圧力が高くなるので好ましくない。一方、繊維の太さが細すぎると、初期接着力の低減効果が低下し、リワーク性や貼付位置修正作業性が低下する。
【0044】
繊維凸状構造部(特に、繊維起毛部)を粘着剤層の表面の所定の部位に形成する方法としては、特に制限されないが、下記に示されるように、植毛加工方法(特に、静電植毛加工方法)を好適に利用することができる。前記静電植毛加工方法としては、アップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。なお、植毛加工方法は、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層表面の所定の部位や、粘着剤層の表面に、繊維凸状構造部を転写形成させることが可能な繊維凸状構造転写形成用シートにおける所定の面の所定の部位に対して適用することができる。このように、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層の表面の所定の部位や、繊維凸状構造転写形成用シートにおける所定の面の所定の部位に植毛加工方法を適用する際には、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層の表面や、繊維凸状構造転写形成用シートにおける所定の面において、繊維凸状構造部を形成する所定の部位に対応した位置に空洞部を有している剥離基材(特に剥離フィルム)や、繊維凸状構造部を形成しない部位に対応した形状の複数の剥離基材(特に剥離フィルム)を用いることが好ましい。
【0045】
(粘着テープ又はシート用粘着剤層)
粘着テープ又はシートにおいて、粘着剤層(粘着テープ又はシート用粘着剤層)を構成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤を用いることができる。また、粘着剤は、ホットメルト型粘着剤であってもよい。粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。
【0046】
なお、粘着剤は、粘着性成分(ベースポリマー)等のポリマー成分の他に、粘着剤の種類等に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン化合物系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。粘着剤層を形成する際に粘着剤を架橋する場合は、加熱による加熱架橋方法、紫外線照射による紫外線架橋方法(UV架橋方法)、電子線照射による電子線架橋方法(EB架橋方法)、室温等で自然に硬化させる自然硬化方法のいずれであってもよい。
【0047】
粘着剤としては、天然ゴムや各種の合成ゴム(例えば、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンなど)をベースポリマーとしたゴム系粘着剤;(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体(単独重合体又は共重合体)をベースポリマーとするアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。
【0048】
なお、前記アクリル系粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C4-18アルキル(直鎖状又は分岐鎖状のアルキル)エステル]などが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、目的とする粘着性などに応じて適宜選択することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0049】
また、前記アクリル系粘着剤において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、必要に応じて前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のモノマー(共重合性モノマー)が併用されていてもよい。このような共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。また、共重合性単量体としては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性の共重合性単量体(多官能モノマー)などが挙げられる。共重合性モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0050】
粘着剤層の形成方法としては、公知乃至慣用の形成方法を採用することができ、例えば、粘着テープ又はシート用基材を有している基材付き粘着テープ又はシートの場合、支持体としての基材(粘着テープ又はシート用基材)上に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)、剥離ライナーなどの剥離フィルム上に、粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を基材上に転写する方法(転写方法)などが挙げられる。また、粘着テープ又はシート用基材を有していない基材レス粘着テープ又はシートの場合、粘着剤層の形成方法としては、支持体としての剥離ライナーの剥離面上に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)などが挙げられる。
【0051】
粘着剤層の厚さとしては、特に制限されず、例えば、1〜1000μm(好ましくは10〜500μm)程度の範囲から選択することができる。
【0052】
(支持体)
粘着剤層を支持する支持体としては、粘着テープ又はシートが、基材付きタイプの片面又は両面が粘着剤層となっている粘着テープ又はシートの場合、基材(粘着テープ又はシート用基材)を用いることができ、一方、基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートの場合、剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナー;セパレータ)を用いることができる。なお、粘着テープ又はシートが、基材付きタイプの片面又は両面が粘着剤層となっている粘着テープ又はシートの場合、支持体としての基材の片面又は両面に粘着剤層が形成されているとともに、基材の片面又は両面に形成された粘着剤層の表面に、幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部が形成されており、粘着剤層の表面は、基材の背面側の剥離面や、剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナー)により保護されていてもよい。一方、粘着テープ又はシートが、基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートの場合、剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナー)が粘着剤層の支持体となっているとともに、粘着剤層の片方又は両方の表面に、幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部が形成されている。なお、支持体としての剥離ライナーは、粘着テープ又はシートを使用するまでの間、粘着剤層を支持しているとともに、粘着剤層の表面を保護している。
【0053】
(粘着テープ又はシート用基材)
前記基材(粘着テープ又はシート用基材)としては、例えば、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;紙(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙等)などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体等の適宜な薄葉体を用いることができる。基材は、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。例えば、基材としては、ラミネートや共押し出しなどにより、プラスチック系基材と他の基材(紙系基材など)とを複層化したもの(2〜3層の複合体)などであってもよい。
【0054】
基材としては、プラスチックのフィルムやシートが好ましい。このようなプラスチックのフィルムやシートの素材(プラスチック材)としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;レーヨンなどが挙げられる。プラスチック材は単独で用いられていてもよく、2種以上組み合わせられた混合状態で用いられていてもよい。なお、プラスチックのフィルムやシートは、無延伸タイプであってもよく、1軸または2軸の延伸処理が施された延伸タイプであってもよい。
【0055】
なお、基材には、必要に応じて、無機質充填剤(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛など)、老化防止剤(例えば、アミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ヒドロキノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、リン系老化防止剤、亜リン酸エステル系老化防止剤など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤など)、滑剤、可塑剤、着色剤(例えば、顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0056】
基材の片面または両面には、粘着剤層との密着力の向上等を目的に、コロナ処理やプラズマ処理等の物理的処理、下塗り剤等の化学的処理などの適宜な表面処理が施されていてもよい。
【0057】
基材の厚さとしては、例えば、10〜300μm、好ましくは30〜200μm程度の範囲から選択することができる。
【0058】
(粘着テープ又はシート用剥離ライナー)
前記剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナー)としては、例えば、剥離処理剤による剥離処理層を少なくとも一方の表面に有する基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などを用いることができる。
【0059】
剥離ライナーとしては、例えば、剥離ライナー用基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されている剥離ライナーを好適に用いることができる。このような剥離ライナー用基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、フッ素系フィルム(ポリテトラフルオロエチレンフィルムなど)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)などが挙げられる。
【0060】
一方、剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0061】
剥離処理剤としては、剥離性やコストなどの観点より、シリコーン系剥離処理剤が好適である。シリコーン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマーを主成分とする公知のポリシロキサン系剥離処理剤(シリコーン系剥離処理剤)から適宜選択して用いることができる。シリコーン系剥離処理剤としては、なかでも、付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤を好適に用いることができる。付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、付加反応型の架橋(硬化反応)により硬化して剥離性被膜を形成し、有用な剥離特性を発現することができる。
【0062】
付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、分子中に、Si−H結合を有する基に対して反応性を有する基(具体的には、ビニル基やヘキセニル基等のアルケニル基が含まれる。;以下、「Si−H結合を有する基に対して反応性を有する基」のことを、単に「アルケニル基」と称する場合がある)を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーと、分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(特に、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー)とを含有するポリシロキサン系剥離処理剤組成物を用いることができる。なお、「Si−H結合」とは、「ケイ素原子(Si)と水素原子(H)との結合」を意味している。
【0063】
また、アルケニル基を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーにおいて、主鎖又は骨格を形成しているポリシロキサン系ポリマーとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン系ポリマー、ポリジエチルシロキサン系ポリマー、ポリメチルエチルシロキサン系ポリマー等のポリアルキルアルキルシロキサン系ポリマーや、ポリアルキルアリールシロキサン系ポリマーの他、ケイ素原子含有モノマー成分が複数種用いられている共重合体[例えば、ポリ(ジメチルシロキサン−ジエチルシロキサン)など]などが挙げられ、ポリジメチルシロキサン系ポリマーが好適である。
【0064】
一方、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーにおいて、Si−H結合を有するケイ素原子としては、主鎖中のケイ素原子、側鎖中のケイ素原子のいずれであってもよく、すなわち、主鎖の構成単位として含まれていてもよく、あるいは、側鎖の構成単位として含まれていてもよい。なお、Si−H結合のケイ素原子(水素原子が結合しているケイ素原子)の数は、2個以上であれば特に制限されない。
【0065】
分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーとしては、分子中にモノマー単位として「−Si(R)(H)O−」(Rは炭化水素基)を少なくとも2個有しているポリシロキサン系ポリマーが好ましく、なかでも、ポリジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマー[例えば、ポリ(ジメチルシロキサン−メチルシロキサン)等]が好適である。
【0066】
なお、ポリシロキサン系剥離処理剤において、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーは、架橋剤としての機能を有している。
【0067】
分子中にSi−H結合のケイ素原子を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーの使用量としては、特に制限されないが、例えば、分子中にSi−H結合のケイ素原子を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーにおけるSi−H結合のケイ素原子のモル数(「モル数(X)」と称する場合がある)と、アルケニル基を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーにおけるアルケニル基のモル数(「モル数(Y)」と称する場合がある)とが、モル数(X)>モル数(Y)となる割合が好ましいが、モル数(X)/モル数(Y)が0.8〜3.0(好ましくは1.1〜1.8)程度となる割合の範囲から選択してもよい。
【0068】
分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーを、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(架橋剤)により硬化させる際には、触媒を用いることができ、該触媒としては、白金系触媒(例えば、白金微粒子、塩化白金酸又はその誘導体等の白金系化合物など)を好適に用いることができる。触媒の使用量としては、特に制限されないが、例えば、分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーに対して0.1〜1000ppm(好ましくは1〜100ppm)の範囲から選択することができる。
【0069】
本発明では、ポリシロキサン系剥離処理剤としては、分子中にアルケニル基としてビニル基を2個以上有しているポリジメチルシロキサン系ポリマーと、分子中にモノマー単位として「−Si(R)(H)O−」(Rは炭化水素基)を2個以上有しているポリジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマーとによるポリジメチルシロキサン系剥離剤を好適に用いることができる。
【0070】
ポリシロキサン系剥離処理剤は、前記構成成分(例えば、分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリジメチルシロキサン系ポリマー、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー、必要に応じて触媒や各種添加剤など)を、必要に応じて有機溶剤を用いて混合することにより調製することができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマー等のポリマー成分が有機溶剤に溶解された状態で用いることができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤には、公知乃至慣用の添加剤(例えば、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤(染料や顔料等)など)が配合されていてもよい。
【0071】
このようなポリシロキサン系剥離処理剤としては、例えば、商品名「TPR6600」(GE東芝シリコーン社製)、商品名「KS−778」(信越化学社製)、商品名「KS−837」(信越化学社製)などが市販されている。
【0072】
剥離処理層は、剥離処理剤を剥離ライナー用基材の所定の面(少なくとも一方の面)に塗布した後、乾燥や硬化反応等のための加熱工程を経て形成することができる。なお、乾燥や硬化反応等のための加熱工程では、公知乃至慣用の加熱方法(例えば、熱風式乾燥機を用いる方法など)を利用することができる。なお、付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、剥離ライナー用基材の所定の面に塗布した後、乾燥工程又は硬化反応工程などで、付加反応型の硬化反応を行って剥離性皮膜を形成させることにより、優れた剥離特性を発揮させることができる。
【0073】
また、剥離処理剤は、適正な塗布量で塗布することが重要である。剥離処理剤の塗布量が、少なすぎると、剥離力(剥離に要する力)が大きくなって実用上問題が生じ、一方、多すぎると、コストが高くなって経済的に不利になる。剥離処理剤の適正な塗布量(固形分)としては、用いる粘着剤の種類などに応じて適宜選択することができるが、例えば、0.01〜5g/m2(好ましくは0.05〜3g/m2、さらに好ましくは0.2〜1g/m2)程度である。
【0074】
なお、剥離ライナーの厚み、剥離ライナー用基材の厚みや、剥離処理層の厚みなどは特に制限されず、繊維凸状構造部の形状などに応じて適宜選択することができる。
【0075】
特に、剥離ライナーが、粘着剤層の繊維凸状構造部を有する表面を保護するために用いられ、この際、繊維凸状構造部がライン状繊維凸状構造部でない場合、剥離ライナーとしては、粘着剤層の表面には繊維凸状構造部が形成されているので、粘着剤層の表面の繊維凸状構造部に対応する部位に凹部(孔部や陥没部など)を有している剥離ライナーを好適に用いることができ、なかでも、図1で示されるような、粘着剤層の表面の繊維凸状構造部に対応する部位に孔部(特に、穿孔部)を有している剥離ライナーが好適である。このような孔部を有する剥離ライナーとしては、繊維凸状構造部の繊維が倒れないように保護するため、少なくとも孔部(特に、穿孔部)の外周領域部の厚みが繊維凸状構造部の高さと同程度またはそれ以上となっていることが好ましい。
【0076】
また、剥離ライナーが、粘着剤層の繊維凸状構造部を有する表面を保護するために用いられ、この際、繊維凸状構造部がライン状繊維凸状構造部である場合、剥離ライナーとしては、粘着剤層の表面にはライン状繊維凸状構造部が形成されているので、繊維凸状構造部が形成されていない表面のみを保護することができるような形状を有していることが好ましく、例えば、ライン状繊維凸状構造部が形成されていない粘着剤層表面の形状に対応した形状を有している複数の剥離ライナーや、粘着剤層の表面のライン状の繊維凸状構造部に対応する部位にライン状の凹部(空洞部や陥没部など)を有している剥離ライナーを好適に用いることができる。
【0077】
なお、剥離ライナーの凹部(特に、孔部や空洞部)を形成する方法としては、例えば、公知乃至慣用の凹部形成機[なかでも、各種形状の凸部構造(突起状構造)と、該凸部構造に相対する凹部構造とを有する穿孔形成機]を用いる方法、熱や光線による方法(例えば、サーマルヘッド、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線などにより穿孔する方法)、金型(特に、凸部を有する金型)を用いた成型加工による方法などが挙げられる。
【0078】
(粘着テープ又はシート)
粘着テープ又はシートとしては、(1)粘着剤層が、支持体としての基材の両面に形成されており、前記基材の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部を有している基材付きタイプの両面粘着テープ又はシート、(2)粘着剤層が、支持体としての基材の片面に形成されており、前記粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部を有している基材付きタイプの粘着テープ又はシート(片面粘着テープ又はシート)、(3)粘着剤層が、少なくとも一方の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部を有しており、且つ粘着剤層の両面が1つ又は2つの剥離ライナーで保護されている基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートなどを例示できる。
【0079】
このように、粘着テープ又はシートは、片面のみが粘着面となっている粘着テープ又はシートの形態を有していてもよく、両面が粘着面となっている粘着テープ又はシートの形態を有していてもよい。また、両面粘着テープ又はシートの場合、片面の粘着面のみの所定の部位に、繊維凸状構造部が形成されていてもよく、両面の粘着面の所定の部位に繊維凸状構造部が形成されていてもよい。
【0080】
さらにまた、粘着テープ又はシートは、図2に示されるように、ロール状に巻回した形態の粘着テープ(巻回体または巻重体)であってもよく、単層又はシートを積層した形態の粘着シートであってもよい。図2は一方の粘着剤層の表面における幅方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有し且つロール状の巻回された形態の粘着テープ(巻回体)を示す概略図である。図2において、1aはロール状に巻回された形態の粘着テープであり、2、3、4a、4b、5は前記に同じである。なお、図2において、点線の円の中の図は、粘着テープ1aについての要部拡大概略断面図である。
【0081】
このように、粘着テープ又はシートは、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面に、粘着テープ又はシートの幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部を有しているので、表面に繊維凸状構造部を有する粘着剤層側の面のうち、繊維凸状構造部形成端部側部位(繊維凸状構造部が形成されている端部側の部位)における粘着剤層の表面を、被着体に、小さな荷重をかけて貼り合わせた際には、仮接着をすることができ、貼り直しや貼付位置を修正した後、大きな荷重をかけることにより、強固に接着させることができる。この際、繊維凸状構造部が形成されていない端部側の部位(「繊維凸状構造部非形成端部側部位」と称する場合がある)における粘着剤層の表面は、繊維凸状構造部形成端部側部位における粘着剤層の表面を被着体に仮着させる際には、剥離ライナーにより保護した状態とし、繊維凸状構造部形成端部側部位における粘着剤層の表面を被着体に強固に接着させる際には、繊維凸状構造部非形成端部側部位における粘着剤層の表面を露出させて、繊維凸状構造部形成端部側部位における粘着剤層の表面とともに、被着体に接着させることが好ましい。もちろん、繊維凸状構造部形成端部側部位における粘着剤層の表面を被着体に接着させた後、繊維凸状構造部非形成端部側部位における粘着剤層の表面を露出させて、被着体に接着させてもよい。なお、仮接着の際にかける荷重の大きさとしては、特に制限されず、繊維凸状構造部の高さ、繊維凸状構造部の繊維の太さや素材の種類などによりコントロールすることができる。すなわち、繊維凸状構造部により、粘着テープ又はシートの貼り付け直後の接着力を所望の大きさにコントロールすることができる。
【0082】
(粘着テープ又はシートの製造方法)
本発明の粘着テープ又はシートは、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層における表面の所定の部位に繊維凸状構造部を形成することにより製造することができる。例えば、植毛加工方法を利用して、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面に植毛加工を施して、粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部を形成させる方法や、繊維凸状構造部を粘着剤層の表面に転写形成させることが可能な繊維凸状構造転写形成用シートを、粘着剤層の表面に重ね合わせて、粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部を転写させる方法などにより、粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部を有する粘着テープ又はシートを製造することができる。
【0083】
より具体的には、本発明の粘着テープ又はシートの製造方法としては、下記の(A)又は(B)の何れかの方法により繊維凸状構造部を形成することにより、粘着テープ又はシートを製造する方法などが挙げられる。
(A)少なくとも一方の面が剥離面であり且つ空洞部(孔部やライン状の空洞部など)を有する剥離基材(「空洞部含有剥離基材」と称する場合がある)を、粘着剤層の表面の所定の部位に、重ね合わせた状態で、空洞部含有剥離基材の空洞部で露出している粘着剤層の表面に植毛加工(特に、静電植毛加工)を施すことにより、空洞部含有剥離基材の空洞部に対応した粘着剤層の表面の部位に、繊維凸状構造部を形成する
(B)繊維凸状構造部を粘着剤層の表面に転写形成させることが可能な繊維凸状構造転写形成用シートを、粘着剤層の表面の所定の部位に重ね合わせて、粘着剤層の表面の所定の部位に部分的に繊維凸状構造部を転写させることにより、繊維凸状構造部を形成する
【0084】
なお、粘着テープ又はシートとして、ライン状繊維凸状構造部を有する粘着テープ又はシートを製造する際には、下記の(C)の方法によりライン状繊維凸状構造部を形成することにより、粘着テープ又はシートを製造する方法を採用することもできる。
(C)剥離基材を複数、ライン状の間隔をあけて、粘着剤層の表面の所定の部位に重ね合わせた状態で、隣接した剥離基材間、または隣接した剥離基材間および剥離基材と粘着剤層表面の端部との間でライン状に露出している粘着剤層の表面に植毛加工を施すことにより、ライン状繊維凸状構造部を形成する
【0085】
前記製造方法(B)において用いられる繊維凸状構造転写形成用シート(すなわち、粘着剤層の表面に、繊維凸状構造部を転写形成させることが可能な繊維凸状構造転写形成用シート)としては、少なくとも一方の面が、繊維凸状構造部が転写形成される粘着剤層に対する剥離面としての機能を有しており、該剥離面側に、粘着剤層表面に繊維凸状構造部を転写形成させるための転写形成用繊維凸状構造部(「転写形成用繊維凸状構造部」と称する場合がある)を有している繊維凸状構造転写形成用シートなどが挙げられる。
【0086】
前記製造方法(A)や(C)では、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層の所定の部位に、直接的に植毛加工を施して、繊維凸状構造部を形成しており、一方、前記製造方法(B)では、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層に、直接的に植毛加工を施しているのではなく、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層表面に繊維凸状構造部を転写形成させるための転写形成用繊維凸状構造部が形成された繊維凸状構造転写形成用シートを用いて、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層に、繊維凸状構造部を形成している。
【0087】
なお、前記製造方法(B)において用いられる繊維凸状構造転写形成用シートとしては、所定の面に植毛加工を施して、粘着剤層の表面の所定の部位に繊維凸状構造部を転写形成させることが可能な転写形成用繊維凸状構造部を形成することにより、作製することができる。
【0088】
前記製造方法(A)や(C)において、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層に植毛加工を施す際の植毛加工方法や、前記製造方法(B)において用いられる繊維凸状構造転写形成用シートを作製する時に植毛加工を施す際の植毛加工方法などの植毛加工方法としては、特に静電植毛加工方法が好適である。なお、静電植毛加工方法としては、例えば、1つの電極に対し、粘着剤層を有する被植毛物を対電極となるようにセットして、これに直流高電圧を印加し、この電極間にフロック(繊維)を供給して、クーロン力によって、フロックを電気力線に沿って飛翔させて、被植毛物の表面(粘着剤層の表面など)に突きさせることにより、植毛を行う加工方法などが挙げられる。このような静電植毛加工方法としては、公知の静電植毛方法であれば特に制限されず、例えば、「繊維」第34巻 第6号(1982−6)において「静電植毛の原理と実際」などで記載されているようなアップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。
【0089】
このような粘着テープ又はシートの製造方法(A)〜(C)では、繊維凸状構造部を形成しようとする粘着剤層表面の端部側の部位にのみ、繊維凸状構造部が形成されるように、空洞部含有剥離基材などの剥離基材や、繊維凸状構造転写形成用シートを用いることが重要である。例えば、前記製造方法(A)では、空洞部含有剥離基材は、粘着テープ又はシートと同様の幅を有し且つ繊維凸状構造部を形成しようとする粘着剤層表面の端部側の部位における所定の箇所に空洞部を有している空洞部含有剥離基材や、繊維凸状構造部を形成しようとする粘着剤層表面の端部側の部位と同様の幅を有し且つ所定の箇所に空洞部を有している空洞部含有剥離基材などを用いることができる。なお、空洞部含有剥離基材として、繊維凸状構造部を形成しようとする粘着剤層表面の端部側の部位と同様の幅を有している空洞部含有剥離基材を用いる場合、図1で示されるように、繊維凸状構造部を形成しない粘着剤層表面の端部側の部位は、空洞部を有していない剥離基材を用いて保護することができる。
【0090】
このように、空洞部含有剥離基材を用いると、空洞部含有剥離基材に形成された空洞部(孔部やライン状の空洞部など)に対応した部位に、繊維凸状構造部を形成することができる。具体的には、所定の幅を有する空洞部含有剥離基材の剥離面を、粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面の所定の部位に重ね合わせた状態で、空洞部含有剥離基材の空洞部(孔部やライン状の空洞部など)で露出している粘着剤層の表面の部位に、植毛加工(特に、静電植毛加工)を施すことにより、繊維凸状構造部を形成することができる。従って、前記空洞部含有剥離基材としては、粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面における繊維凸状構造部を形成する部位に対応した位置に空洞部を有している剥離基材を用いることが重要である。
【0091】
また、前記製造方法(C)では、粘着剤層の表面に、ライン状の間隔をあけて重ね合わせることができる剥離基材が複数用いられている。該剥離基材としては、例えば、少なくとも一方の面が剥離面であり且つ所定の形状を有する複数の剥離基材(「空間部形成用剥離基材」と称する場合がある)を用いることができる。空間部形成用剥離基材としては、繊維凸状構造部を形成しようとする粘着剤層表面の端部側の部位において、繊維凸状構造部を形成しない箇所と同様の形状を有している剥離基材を用いることができる。なお、この際、繊維凸状構造部を形成しない粘着剤層表面の端部側の部位は、該部位と同様の形状を有している剥離基材を用いて保護することができる。
【0092】
このように、空間部形成用剥離基材を複数用いると、複数の空間部形成用剥離基材のうちの隣接した空間部形成用剥離基材間や、剥離基材と粘着剤層表面の端部との間のライン状の空間部に、ライン状繊維凸状構造部を形成することができる。具体的には、空間部形成用剥離基材を複数、ライン状の所定の間隔をあけて、粘着テープ又はシートにおける粘着剤層の表面に重ね合わせた状態で、隣接した空間部形成用剥離基材間や、空間部形成用剥離基材と粘着剤層表面の端部との間でライン状に露出している粘着剤層の表面の部位に、植毛加工(特に、静電植毛加工)を施すことにより、ライン状繊維凸状構造部を形成することができる。従って、空間部形成用剥離基材としては、粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面におけるライン状繊維凸状構造部を形成しない部位に対応した形状の剥離基材を複数用いることが重要である。
【0093】
(剥離基材)
このように、前記製造方法(A)や(C)において、粘着剤層表面に直接的に植毛加工を施す際に用いられる剥離基材(空洞部含有剥離基材や、空間部形成用剥離基材など)としては、少なくとも一方の面(片面又は両面)が、粘着面に対する剥離面となっていることが重要である。なお、前記剥離基材において、空洞部含有剥離基材の場合は、さらに、空洞部(孔部やライン状の空洞部など)を有していることが重要である。一方、空間部形成用剥離基材の場合は、さらに、ライン状の間隔をあけて、粘着剤層の表面に重ね合わせることが可能な形状を有していることが重要である。なお、剥離基材としては、剥離面が植毛加工する粘着剤層と接触するように用いることが重要である。従って、剥離基材としては、粘着剤層と接触しない側の面は、剥離面、非剥離面のいずれであってもよい。
【0094】
このような剥離基材としては、例えば、剥離処理剤による剥離処理層を少なくとも一方の表面に有する基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材により構成することができる。
【0095】
剥離基材としては、例えば、基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されている剥離基材により構成されていることが好ましい。このような基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、フッ素系フィルム(ポリテトラフルオロエチレンフィルムなど)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材(合成樹脂基材)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)などが挙げられる。
【0096】
一方、剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0097】
剥離処理剤としては、剥離性やコストなどの観点より、シリコーン系剥離処理剤が好適である。シリコーン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマーを主成分とする公知のポリシロキサン系剥離処理剤(シリコーン系剥離処理剤)から適宜選択して用いることができる。シリコーン系剥離処理剤としては、なかでも、付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤を好適に用いることができる。付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、付加反応型の架橋(硬化反応)により硬化して剥離性被膜を形成し、有用な剥離特性を発現することができる。付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーにおいて、シリコーン系剥離処理剤として例示の付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤[すなわち、分子中に、アルケニル基(Si−H結合を有する基に対して反応性を有する基)を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーと、分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(特に、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー)とを含有するポリシロキサン系剥離処理剤組成物]と同様のものなどが挙げられる。
【0098】
分子中にSi−H結合のケイ素原子を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーの使用量としては、特に制限されないが、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様の範囲から選択してもよい。また、分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーを、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(架橋剤)により硬化させる際には、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様に、触媒を用いることができ、その使用量としては、特に制限されず、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様の使用量の範囲から選択することができる。
【0099】
また、ポリシロキサン系剥離処理剤としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様に、分子中にアルケニル基としてビニル基を2個以上有しているポリジメチルシロキサン系ポリマーと、分子中にモノマー単位として「−Si(R)(H)O−」(Rは炭化水素基)を2個以上有しているポリジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマーとによるポリジメチルシロキサン系剥離剤を好適に用いることができる。
【0100】
ポリシロキサン系剥離処理剤は、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様にして調製することができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマー等のポリマー成分が有機溶剤に溶解された状態で用いることができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤には、公知乃至慣用の添加剤(例えば、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤(染料や顔料等)など)が配合されていてもよい。
【0101】
このようなポリシロキサン系剥離処理剤としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様の市販品を用いることができる。
【0102】
剥離基材(空洞部含有剥離基材や、空間部形成用剥離基材など)における剥離処理層は、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様にして形成することができ、この際、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様に公知乃至慣用の加熱方法(例えば、熱風式乾燥機を用いる方法など)を利用することができる。また、剥離処理剤は、適正な塗布量で塗布することが重要であり、その塗布量も前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様である。剥離処理剤の塗布量が、少なすぎると、剥離力(剥離に要する力)が大きくなって実用上問題が生じ、一方、多すぎると、コストが高くなって経済的に不利になる。
【0103】
なお、剥離基材の厚み、基材の厚みや、剥離処理層の厚みなどは特に制限されず、繊維凸状構造部の形状などに応じて適宜選択することができる。
【0104】
前記剥離基材のうち、空洞部含有剥離基材は、孔部やライン状の空洞部などの空洞部を有している。このような空洞部は、粘着剤層の表面に部分的に繊維凸状構造部を形成する際に利用されるので、粘着剤層の表面に形成する繊維凸状構造部に対応する部位に設けられていることが重要である。従って、空洞部含有剥離基材の空洞部を形成する位置や、空洞部の大きさ及び数によって、粘着剤層表面における繊維凸状構造部を形成する位置や、繊維凸状構造部の大きさや数をコントロールすることができる。
【0105】
空洞部含有剥離基材の空洞部を形成する方法としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーにおける凹部の場合と同様の形成方法、例えば、公知乃至慣用の孔部形成機[なかでも、各種形状の凸部構造(突起状構造)と、該凸部構造に相対する凹部構造とを有する穿孔形成機]を用いた穿孔加工方法、熱や光線による穿孔加工方法(例えば、サーマルヘッド、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線などにより穿孔する方法)、金型(例えば、凸部を有する金型など)を用いた成型加工方法などが挙げられる。なお、穿孔加工方法(孔部形成機を用いた穿孔加工方法、熱や光線による穿孔加工方法など)では、空洞部を有していない剥離基材に対して、穿孔加工を行うことにより、空洞部含有剥離基材を作製しており、空洞部を有していない剥離基材としては、前記に示されるような公知の剥離ライナー等の剥離基材を用いることができる。
【0106】
一方、前記剥離基材のうち、空間部形成用剥離基材は、ライン状の間隔をあけて用いられている。このような隣接した空間部形成用剥離基材間や、剥離基材と粘着剤層表面の端部との間のライン状の空間部は、粘着剤層の表面にライン状繊維凸状構造部を形成する際に利用されるので、粘着剤層の表面に形成するライン状繊維凸状構造部に対応する部位が、空間部となるように、空間部形成用剥離基材を複数用いることが重要である。従って、粘着剤層表面における隣接した空間部形成用剥離基材間や、剥離基材と粘着剤層表面の端部との間のライン状の空間部の位置や、ライン状の空間部の大きさ及び数によって、粘着剤層表面におけるライン状繊維凸状構造部を形成する位置や、ライン状繊維凸状構造部の大きさや数をコントロールすることができる。
【0107】
このような剥離基材(空洞部含有剥離基材や、空間部形成用剥離基材など)は、繊維凸状構造部を形成した後は、剥離させてもよいが、そのまま、剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナー)として用いることが好ましい。従って、剥離基材としては、剥離ライナー、特に、剥離ライナー用基材がプラスチック系基材である剥離ライナー(剥離フィルム)が好適である。
【0108】
さらにまた、前記製造方法(B)では、繊維凸状構造転写形成用シートが用いられている。繊維凸状構造転写形成用シートは、粘着テープ又はシートと同様の幅を有し、且つ粘着剤層表面のいずれかの端部側の部位(粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位)における繊維凸状構造部を形成しようとする所定の箇所に繊維凸状構造部を形成することができるように、転写形成用繊維凸状構造部を有している繊維凸状構造転写形成用シートや、繊維凸状構造部を形成しようとする粘着剤層表面の端部側の部位と同様の幅を有し、且つ繊維凸状構造部を形成しようとする所定の箇所に繊維凸状構造部を形成することができるように、転写形成用繊維凸状構造部を有している繊維凸状構造転写形成用シートなどを用いることができる。なお、繊維凸状構造転写形成用シートとして、繊維凸状構造部を形成しようとする粘着剤層表面の端部側の部位と同様の幅を有している繊維凸状構造転写形成用シートを用いる場合、繊維凸状構造部を形成しない粘着剤層表面の端部側の部位は、該部位と同様の形状を有している剥離基材を用いて保護することができる。
【0109】
このような繊維凸状構造転写形成用シートとしては、粘着剤層の表面に貼り合わせることにより、繊維凸状構造部が転写される構成を有していれば特に制限されず、例えば、少なくとも一方の面が、繊維凸状構造部が転写形成される粘着剤層に対する剥離面としての機能を有しており、該剥離面側に、粘着剤層表面に繊維凸状構造部を転写形成させるための転写形成用繊維凸状構造部を有している構成を有する繊維凸状構造転写形成用シートを用いることができる。このように、繊維凸状構造転写形成用シートを用いると、繊維凸状構造転写形成用シートに形成された転写形成用繊維凸状構造部に対応した部位に繊維凸状構造部を形成することができる。具体的には、図3で示されるように、繊維凸状構造転写形成用シートの剥離面を、粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面に重ね合わせて、圧着等によって転写形成用繊維凸状構造部を転写させることにより、繊維凸状構造部を形成することができる。従って、前記繊維凸状構造転写形成用シートとしては、粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面における繊維凸状構造部を形成する部位に対応した位置に転写形成用繊維凸状構造部を有している繊維凸状構造転写形成用シートを用いることが重要である。
【0110】
なお、図3は、本発明における繊維凸状構造転写形成用シートを粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面に貼り合わせて、繊維凸状構造部を転写形成する状態の一例を部分的に示す概略断面図であり、図3(a)は繊維凸状構造転写形成用シートを粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面に貼り合わせた状態を示し、図3(b)は、繊維凸状構造転写形成用シートを貼り合わせ後に剥がして、繊維凸状構造部を粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面に転写形成させている状態を示している。図3において、6は繊維凸状構造転写形成用シート、6aは繊維凸状構造転写形成用シート6における剥離ライナー(繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー)、6a1は繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー6aにおける孔部、6bは繊維凸状構造転写形成用シート6における粘着層(転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層)、6cは繊維凸状構造転写形成用シート6における基材(繊維凸状構造転写形成用シート用基材)、7は剥離ライナー、8は粘着テープ又はシート用粘着剤層に転写形成させるための繊維起毛部、9は粘着テープ又はシート、9aは粘着テープ又はシート9における粘着剤層(粘着テープ又はシート用粘着剤層)、9a1は粘着テープ又はシート用粘着剤層9aの表面、9bは粘着テープ又はシート9における基材(粘着テープ又はシート用基材;単に「基材」と称する場合がある)である。
【0111】
繊維凸状構造転写形成用シート6は、繊維凸状構造転写形成用シート用基材6cの片面に転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層6bが形成され、該転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層6b上に、孔部6a1を有する繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー6aが積層されており、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー6aにおける孔部6a1内の転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層6bの表面に、粘着テープ又はシート用粘着剤層9aに転写形成するための繊維起毛部8が形成されている。一方、粘着テープ又はシート9は、支持体としての粘着テープ又はシート用基材9bの片面に粘着テープ又はシート用粘着剤層9aが形成されている。そして、図3(a)で示されるように、繊維凸状構造転写形成用シート6を、粘着テープ又はシート9における繊維凸状構造部を形成しようとする粘着剤層表面の端部側の部位に貼り合わせることにより(特に、貼り合わせ後に、圧着させることにより)、繊維起毛部8を粘着テープ又はシート用粘着剤層9aの表面のいずれかの端部側の部位の表面9a1に転写させることができる。
【0112】
(繊維凸状構造転写形成用シート)
このように、前記製造方法(B)において、繊維凸状構造部を転写させる際に用いられる繊維凸状構造転写形成用シートとしては、少なくとも一方の面が、粘着面に対する剥離面となっており、さらに、該剥離面側に、粘着剤層表面に繊維凸状構造部を転写形成させるための転写形成用繊維凸状構造部を有していることが重要である。前記転写形成用繊維凸状構造部は、前記繊維凸状構造部に対応した構造を有している。もちろん、転写形成用繊維凸状構造部における繊維の種類、長さ、太さなどは、繊維凸状構造部と同じである。なお、繊維凸状構造転写形成用シートに、転写形成用繊維凸状構造部を(特に、転写形成用繊維起毛部)を形成する方法としては、特に制限されないが、前述のように、植毛加工方法(特に、静電植毛加工方法)を好適に利用することができる。前記静電植毛加工方法としては、アップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。
【0113】
前記繊維凸状構造転写形成用シートとしては、一方の面側に転写形成用繊維凸状構造部を有している構成の繊維凸状構造転写形成用シートなどが挙げられる。該繊維凸状構造転写形成用シートとしては、(1)支持体としての基材の両面が剥離面となっており、少なくとも一方の剥離面側に転写形成用繊維凸状構造部を有している構成の繊維凸状構造転写形成用シート、(2)支持体としての基材の片面が剥離面となっており、該剥離面側に転写形成用繊維凸状構造部を有している構成の繊維凸状構造転写形成用シートなどを例示できる。なお、繊維凸状構造転写形成用シートが、このような構成を有している場合、前記(1)の構成の繊維凸状構造転写形成用シートは、両面又は片面に転写形成用繊維凸状構造部を有することができ、転写形成用繊維凸状構造部が形成されている面は、部分的に剥離面が露出しており、転写形成用繊維凸状構造部が形成されていない面は、全面的に剥離面となっている。また、前記(2)の構成の繊維凸状構造転写形成用シートは、片面にのみ転写形成用繊維凸状構造部を有しており、他方の面は基材表面又は他の層(粘着剤層等)とすることができる。これらの(1)や(2)の構成の繊維凸状構造転写形成用シートは、粘着テープ又はシートと同様の幅を有している場合、粘着剤層表面のいずれかの端部側の部位における繊維凸状構造部を形成しようとする所定の箇所に繊維凸状構造部を形成することができるように、転写形成用繊維凸状構造部を有しており、一方、繊維凸状構造部を形成しようとする粘着剤層表面の端部側の部位と同様の幅を有している場合、繊維凸状構造部を形成しようとする所定の箇所に繊維凸状構造部を形成することができるように、転写形成用繊維凸状構造部を有している。本発明では、繊維凸状構造転写形成用シートとしては、繊維凸状構造部を形成しようとする粘着剤層表面の端部側の部位と同様の幅を有している繊維凸状構造転写形成用シートが好適に用いられる。なお、前述のような(1)や(2)の構成の繊維凸状構造転写形成用シートは、粘着テープ又はシートと同様の幅や、繊維凸状構造部を形成しようとする粘着剤層表面の端部側の部位と同様の幅よりも広い幅を有する繊維凸状構造転写形成用シートを、所定の幅となるように切断して、粘着テープ又はシートと同様の幅や、繊維凸状構造部を形成しようとする粘着剤層表面の端部側の部位と同様の幅となるように、幅が調整された繊維凸状構造転写形成用シートであってもよい。
【0114】
このような繊維凸状構造転写形成用シートとしては、特に、前記剥離面側に凹部が形成されており、該凹部内に、転写形成用繊維凸状構造部を有している構成の繊維凸状構造転写形成用シートが好適であり、なかでも、前記剥離面側の凹部の底部に、繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層よりも粘着性が低く且つ転写形成用繊維凸状構造部を保持する転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層を有している構成の繊維凸状構造転写形成用シートを好適に用いることができる。このように、転写形成用繊維凸状構造部を保持するための粘着層として、繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層よりも粘着性が低い粘着層を用いることにより、転写形成用繊維凸状構造部を、各種粘着剤層に容易に転写形成させることができる。なお、前記剥離面側の凹部の底部には、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層が形成されておらず、剥離処理層が形成されていてもよい。
【0115】
具体的には、繊維凸状構造転写形成用シートとしては、(a)図4で示されているように、基材と、前記基材上に設けられた転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層と、前記転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層上に設けられた空洞部を有する剥離基材とにより形成されているとともに、転写形成用繊維凸状構造部が、剥離基材の空洞部(凹部)内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されている構成の繊維凸状構造転写形成用シート(「繊維凸状構造転写形成用シート(a)」と称する場合がある)、(b)図5で示されているように、凹凸構造を有する基材と、該基材の凸部に形成された剥離処理層と、基材の凹部の底面に形成された転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層とにより形成されているとともに、転写形成用繊維凸状構造部が、基材の凹部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されている構成の繊維凸状構造転写形成用シート(「繊維凸状構造転写形成用シート(b)」と称する場合がある)などが挙げられる。
【0116】
なお、繊維凸状構造転写形成用シートとしては、粘着テープ又はシートの粘着剤層にライン状繊維凸状構造部を転写させる場合には、(c)図6で示されているように、基材と、前記基材上に設けられた転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層と、前記転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層上に、ライン状の間隔をあけて設けられた複数の剥離基材とにより形成されているとともに、ライン状転写形成用繊維凸状構造部が、隣接した剥離基材間のライン状の空間部(凹部)内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されている構成の繊維凸状構造転写形成用シート(「繊維凸状構造転写形成用シート(c)」と称する場合がある)を用いることもできる。
【0117】
図4は本発明における繊維凸状構造転写形成用シートの例を部分的に示す概略図であり、図4(a)は繊維凸状構造転写形成用シートの上面から見た概略平面図、図4(b)は図4(a)におけるX−Y線の概略断面図である。図4において、10は繊維凸状構造転写形成用シート[繊維凸状構造転写形成用シート(a)]、10aは繊維凸状構造転写形成用シート10における剥離ライナー(繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー)、10bは繊維凸状構造転写形成用シート10における粘着層(転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層)、10cは繊維凸状構造転写形成用シート10における基材(繊維凸状構造転写形成用シート用基材)、10dは繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー10aにおける空洞部、11は粘着剤層に転写形成させるための繊維起毛部である。繊維凸状構造転写形成用シート10は、繊維凸状構造転写形成用シート用基材10c上に、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層10bが形成されているとともに、該転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層10b上に、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー10aが貼り合わされており、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー10aにおける空洞部10d内の転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層10bの表面に、粘着剤層に転写形成するための繊維起毛部11が形成されている。
【0118】
また、図5は本発明における繊維凸状構造転写形成用シートの例を部分的に示す概略図であり、図5(a)は繊維凸状構造転写形成用シートの上面から見た概略平面図、図5(b)は図5(a)におけるX−Y線の概略断面図である。図5において、12は繊維凸状構造転写形成用シート[繊維凸状構造転写形成用シート(b)]、12aは凹凸構造を有する基材(凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材)、12a1は凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材12aの凸部、12a2は凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材12aの凹部、12bは凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材12aの凸部12a1に形成された剥離処理層、12cは凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材12aの凹部12a2の底面に形成された転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層、13は粘着剤層に転写形成させるための繊維起毛部である。繊維凸状構造転写形成用シート12は、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材12aにおける凸部12a1に剥離処理層12bが形成されているとともに、凹部12a2の底面に転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層12cが形成されており、凹部12a2内の転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層12cの表面に、粘着剤層に転写形成するための繊維起毛部13が形成されている。
【0119】
図6は本発明における繊維凸状構造転写形成用シートの例を部分的に示す概略図であり、図6(a)は繊維凸状構造転写形成用シートの上面から見た概略平面図、図6(b)は図6(a)におけるX−Y線の概略断面図である。図6において、14は繊維凸状構造転写形成用シート[繊維凸状構造転写形成用シート(c)]、14aは繊維凸状構造転写形成用シート14における剥離ライナー(繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー)、14bは繊維凸状構造転写形成用シート14における粘着層(転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層)、14cは繊維凸状構造転写形成用シート14における基材(繊維凸状構造転写形成用シート用基材)、14dは隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー14a間のライン状の空間部、15は粘着剤層に転写形成させるためのライン状繊維起毛部である。繊維凸状構造転写形成用シート14は、繊維凸状構造転写形成用シート用基材14c上に、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層14bが形成されているとともに、該転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層14b上に、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー14aが、ライン状の間隔をあけて複数貼り合わされており、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー14a間のライン状の空間部14d内の転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層14bの表面に、粘着剤層に転写形成するためのライン状繊維起毛部15が形成されている。
【0120】
具体的には、前記構成(a)の繊維凸状構造転写形成用シート(a)や、前記構成(c)の繊維凸状構造転写形成用シート(c)は、図4や図6で示されているように、基材(繊維凸状構造転写形成用シート用基材)と、前記基材上に設けられた転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層と、前記転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層上に設けられた剥離ライナー(繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー)と、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおける空洞部による凹部内や、隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー間のライン状の空間部による凹部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成された転写形成用繊維凸状構造部とを有している。このような繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(c)において、繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;紙(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙等)などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体等の適宜な薄葉体を用いることができる。繊維凸状構造転写形成用シート用基材は、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。例えば、繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、ラミネートや共押し出しなどにより、プラスチック系基材と他の基材(紙系基材など)とを複層化したもの(2〜3層の複合体)などであってもよい。
【0121】
繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、プラスチックのフィルムやシートが好ましい。このようなプラスチックのフィルムやシートの素材(プラスチック材)としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;レーヨンなどが挙げられる。プラスチック材は単独で用いられていてもよく、2種以上組み合わせられた混合状態で用いられていてもよい。なお、プラスチックのフィルムやシートは、無延伸タイプであってもよく、1軸または2軸の延伸処理が施された延伸タイプであってもよい。
【0122】
なお、繊維凸状構造転写形成用シート用基材には、必要に応じて、無機質充填剤(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛など)、老化防止剤(例えば、アミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ヒドロキノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、リン系老化防止剤、亜リン酸エステル系老化防止剤など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤など)、滑剤、可塑剤、着色剤(例えば、顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0123】
繊維凸状構造転写形成用シート用基材の片面または両面には、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層との密着力の向上等を目的に、コロナ処理やプラズマ処理等の物理的処理、下塗り剤等の化学的処理などの適宜な表面処理が施されていてもよい。
【0124】
繊維凸状構造転写形成用シート用基材の厚さとしては、例えば、10〜300μm、好ましくは30〜200μm程度の範囲から選択することができる。
【0125】
また、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)において、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層としては、繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層(粘着テープ又はシート用粘着剤層など)よりも粘着性(粘着力)が低いことが重要である。ここで、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層が、繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層よりも粘着性が低いとは、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の粘着力が、粘着剤層の粘着力よりも小さいことを意味している。より具体的には、各々の粘着剤層を有する粘着テープ又はシートを、ステンレス板に23℃の雰囲気下、2kgのローラーで1往復させて粘着し、23℃で30分間放置した後、23℃×65%RHの雰囲気下、180°剥離、引張速度300mm/分の条件で、粘着テープ又はシートをステンレス板から剥離させた時の粘着力を測定することで比較することができる。本発明において、前述の条件で測定される、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の粘着力が、繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層の粘着力よりも小さければよいが、繊維凸状構造部の転写性の点からは、両者の粘着力の差が、0.1N/20mm以上(好ましくは0.5N/20mm以上)であることが望ましい。このような転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層としては、繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層よりも低い粘着性を発揮することができれば特に制限されず、公知の粘着剤の中から適宜選択することができ、例えば、前記繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層を構成する粘着剤と同様の粘着剤により構成されていてもよい。従って、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層を構成する粘着剤としては、粘着テープ又はシート用粘着剤層などの粘着剤層を構成する粘着剤の種類に応じて適宜選択することができる。
【0126】
具体的には、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層を構成する粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤の他、ホットメルト型粘着剤などが挙げられる。粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用されていてもよい。また、粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。なお、粘着剤には、粘着性成分(ベースポリマー)等のポリマー成分の他に、粘着剤の種類等に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン化合物系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤が含まれていてもよい。
【0127】
なお、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層としては、また、転写形成用繊維凸状構造部を保持することが可能な粘着層であることも重要である。
【0128】
転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の形成方法としては、公知乃至慣用の粘着剤層の形成方法を採用することができ、例えば、繊維凸状構造転写形成用シート用基材上に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)、剥離ライナーなどの剥離フィルム上に、粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を繊維凸状構造転写形成用シート用基材上に転写する方法(転写方法)などが挙げられる。
【0129】
転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の厚さとしては、特に制限されず、例えば、1〜100μm(好ましくは10〜50μm)程度の範囲から選択することができる。
【0130】
さらにまた、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)において、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとしては、少なくとも一方の面が剥離面となっている剥離基材を用いることができる。このように、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーは、粘着剤層と貼り合わせる側の面が、少なくとも剥離面となっていることが重要である。従って、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとしては、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層側の面は、剥離面となっていなくてもよい。なお、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおいて、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層側の面が剥離面となっていない場合、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(c)自体を、剥離ライナーとして用いることができる。
【0131】
より具体的には、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとしては、例えば、剥離処理剤による剥離処理層を少なくとも一方の表面に有する基材(転写形成用シート用剥離ライナー基材)の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などを用いることができる。
【0132】
繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとしては、例えば、転写形成用シート用剥離ライナー基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されている剥離ライナーを好適に用いることができる。このような転写形成用シート用剥離ライナー基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、フッ素系フィルム(ポリテトラフルオロエチレンフィルムなど)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)などが挙げられる。
【0133】
一方、剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0134】
剥離処理剤としては、剥離性やコストなどの観点より、シリコーン系剥離処理剤が好適である。シリコーン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマーを主成分とする公知のポリシロキサン系剥離処理剤(シリコーン系剥離処理剤)から適宜選択して用いることができる。シリコーン系剥離処理剤としては、なかでも、付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤を好適に用いることができる。付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、付加反応型の架橋(硬化反応)により硬化して剥離性被膜を形成し、有用な剥離特性を発現することができる。
【0135】
付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナー(粘着テープ又はシートにおける粘着剤層に貼り合わせる剥離ライナー)において、シリコーン系剥離処理剤として例示の付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤[すなわち、分子中に、アルケニル基(Si−H結合を有する基に対して反応性を有する基)を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーと、分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(特に、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー)とを含有するポリシロキサン系剥離処理剤組成物]と同様のものなどが挙げられる。
【0136】
分子中にSi−H結合のケイ素原子を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーの使用量としては、特に制限されないが、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様の範囲から選択してもよい。また、分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーを、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(架橋剤)により硬化させる際には、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様に、触媒を用いることができ、その使用量としては、特に制限されず、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様の使用量の範囲から選択することができる。
【0137】
また、ポリシロキサン系剥離処理剤としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様に、分子中にアルケニル基としてビニル基を2個以上有しているポリジメチルシロキサン系ポリマーと、分子中にモノマー単位として「−Si(R)(H)O−」(Rは炭化水素基)を2個以上有しているポリジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマーとによるポリジメチルシロキサン系剥離剤を好適に用いることができる。
【0138】
ポリシロキサン系剥離処理剤は、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様にして調製することができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマー等のポリマー成分が有機溶剤に溶解された状態で用いることができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤には、公知乃至慣用の添加剤(例えば、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤(染料や顔料等)など)が配合されていてもよい。
【0139】
このようなポリシロキサン系剥離処理剤としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様の市販品を用いることができる。
【0140】
繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおける剥離処理層は、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様にして形成することができ、この際、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様に公知乃至慣用の加熱方法(例えば、熱風式乾燥機を用いる方法など)を利用することができる。また、剥離処理剤は、適正な塗布量で塗布することが重要であり、その塗布量も前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーの場合と同様である。剥離処理剤の塗布量が、少なすぎると、剥離力(剥離に要する力)が大きくなって実用上問題が生じ、一方、多すぎると、コストが高くなって経済的に不利になる。
【0141】
なお、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーの厚み、転写形成用シート用剥離ライナー基材の厚みや、剥離処理層の厚みなどは特に制限されず、転写形成用繊維凸状構造部の形状などに応じて適宜選択することができる。
【0142】
特に、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)において、転写形成用繊維凸状構造部は、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーの空洞部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されている。従って、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとしては、転写形成用繊維凸状構造部の転写性の点からは、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーに形成された空洞部の外周領域部の厚みが、転写形成用繊維凸状構造部の高さと同程度またはそれ以上となっていることが好ましい。
【0143】
なお、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)において、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーの空洞部を形成する方法としては、前記粘着テープ又はシート用剥離ライナーにおける凹部の場合や、前記空洞部含有剥離基材における空洞部の場合と同様の形成方法、例えば、公知乃至慣用の孔部形成機[なかでも、各種形状の凸部構造(突起状構造)と、該凸部構造に相対する凹部構造とを有する穿孔形成機]を用いた穿孔加工方法、熱や光線による穿孔加工方法(例えば、サーマルヘッド、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線などにより穿孔する方法)、金型(例えば、凸部を有する金型など)を用いた成型加工方法などが挙げられる。なお、穿孔加工方法(孔部形成機を用いた穿孔加工方法、熱や光線による穿孔加工方法など)では、空洞部を有していない剥離ライナーに対して穿孔加工を行うことにより、空洞部を有する繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーを作製しており、空洞部を有していない剥離ライナーとしては、前記に示されるような公知の剥離ライナー等の剥離基材を用いることができる。
【0144】
なお、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおいて、空洞部を形成する部位としては、粘着剤層表面に部分的に転写形成させる繊維凸状構造部に対応する部位であることが重要である。
【0145】
前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)には、前述のように、転写形成用繊維凸状構造部が、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおける空洞部、又は隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー間のライン状の空間部による凹部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されている。該転写形成用繊維凸状構造部は、前述のように、繊維凸状構造部に対応した構造を有しており、また、その組成(繊維の種類、長さ、太さなど)は、繊維凸状構造部と同じである。
【0146】
前記転写形成用繊維凸状構造部は、前述のように、植毛加工方法を利用して、前記凹部(繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおける空洞部による凹部、または隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー間のライン状の空間部によるライン状の凹部)内の転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に植毛加工を施すことにより、形成することができる。このような植毛加工方法としては、特に静電植毛加工方法が好適である。
【0147】
なお、静電植毛加工方法としては、前述のように、例えば、1つの電極に対し、粘着剤層を有する被植毛物を対電極となるようにセットして、これに直流高電圧を印加し、この電極間にフロック(繊維)を供給して、クーロン力によって、フロックを電気力線に沿って飛翔させて、被植毛物の表面(粘着剤層の表面)に突きさせることにより、植毛を行う加工方法などが挙げられる。このような静電植毛加工方法としては、公知の静電植毛方法であれば特に制限されず、例えば、「繊維」第34巻 第6号(1982−6)において「静電植毛の原理と実際」などで記載されているようなアップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。
【0148】
具体的には、繊維凸状構造転写形成用シート用基材と、前記繊維凸状構造転写形成用シート用基材上に設けられた転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層と、前記転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層上に設けられた繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとが、この順で積層された積層体に、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおける空洞部、または隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー間のライン状の空間部による凹部で露出している転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面に、植毛加工(特に、静電植毛加工)を施すことにより、前記凹部に対応した転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面の部位に、転写形成用繊維凸状構造部を形成することができる。
【0149】
なお、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーとしては、粘着剤層表面に転写形成させる繊維凸状構造部に対応する部位が、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーにおける空洞部、又は隣接した繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー間のライン状の空間部等の凹部となるように、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーを、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層に貼り合わせて、用いることが重要である。
【0150】
このように、繊維凸状構造転写形成用シートとして、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)を用いる場合、繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーに関する凹部を形成する位置や、前記凹部の大きさ及び数によって、粘着剤層表面における繊維凸状構造部を形成する位置や、繊維凸状構造部の大きさや数をコントロールすることができる。
【0151】
一方、前記構成(b)の繊維凸状構造転写形成用シート(b)は、図5で示されているように、凹凸構造を有する基材(凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材)と、該凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材の凸部に形成された剥離処理層と、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材の凹部の底面に形成された転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層と、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材の凹部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成された転写形成用繊維凸状構造部とを有している。
【0152】
このような繊維凸状構造転写形成用シート(b)において、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、凹凸構造(凹凸部)を有する基材であれば特に制限されない。前記凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)における繊維凸状構造転写形成用シート用基材と同様の薄葉体(プラスチック系基材、金属系基材、紙系基材、繊維系基材、ゴム系基材、発泡体等の適宜な薄葉体)により構成することができる。凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材は、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。例えば、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、ラミネートや共押し出しなどにより、プラスチック系基材と他の基材(紙系基材など)とを複層化したもの(2〜3層の複合体)などであってもよい。
【0153】
凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材を構成する基材としては、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)における繊維凸状構造転写形成用シート用基材と同様に、プラスチックのフィルムやシートが好ましく、プラスチックのフィルムやシートの素材(プラスチック材)としても同様のものを好適に用いることができる。
【0154】
なお、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材には、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(c)における繊維凸状構造転写形成用シート用基材と同様に、必要に応じて、無機質充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0155】
なお、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材には、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(c)における繊維凸状構造転写形成用シート用基材と同様に、その表面には、コロナ処理やプラズマ処理等の物理的処理、下塗り剤等の化学的処理などの適宜な表面処理が施されていてもよい。
【0156】
凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材において、凸部における厚さとしては、例えば、10〜1000μm、好ましくは30〜500μm程度の範囲から選択することができる。
【0157】
また、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材において、凹部の深さとしては、特に制限されず、転写形成用繊維凸状構造部の形状などに応じて適宜選択することができる。転写形成用繊維凸状構造部の転写性の点からは、凹部の深さとしては、転写形成用繊維凸状構造部の高さと同程度またはそれ以下となっていることが好ましい。
【0158】
凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材の凹凸部を形成する方法としては、特に制限されない。なお、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材としては、凹凸部を有していない平滑な面を有する基材に、凹部を形成させることにより、凹凸部を有している基材を用いることができる。従って、例えば、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)における繊維凸状構造転写形成用シート用基材と同様の基材に、公知乃至慣用の凹部形成機を用いて凹部を形成する方法、熱や光線により凹部を形成する方法(例えば、サーマルヘッド、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線などにより凹部を形成する方法)、金型(例えば、凸部を有する金型など)を用いた成型加工による方法などにより、表面の所定の部位に凹部を形成することにより、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材を作製することができる。
【0159】
なお、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材において、凹部を形成する部位としては、粘着剤層表面に転写形成させる繊維凸状構造部に対応する部位であることが重要である。
【0160】
また、前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)において、剥離処理層としては、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)における繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナーの剥離処理層を構成する剥離処理剤として例示の剥離処理剤(例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤など)を用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。剥離処理剤としては、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(c)の場合と同様に、剥離性やコストなどの観点より、シリコーン系剥離処理剤が好適であり、なかでも、前記例示の付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤を好適に用いることができる。
【0161】
なお、剥離処理層の形成方法や剥離処理剤の塗布量などは、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(c)の場合と同様である。例えば、剥離処理層は、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材の凸部に、剥離処理剤を塗布する方法により形成することができる。
【0162】
なお、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材自体に、剥離処理機能を有する材料(例えば、低密度ポリエチレン等の低接着性基材の材料など)が使用されている場合には、剥離処理層を形成しなくてもよい場合がある。
【0163】
さらにまた、前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)において、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層としては、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)や前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)における転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層と同様に、繊維凸状構造部を転写形成させる粘着剤層(粘着テープ又はシート用粘着剤層など)よりも粘着性が低いことが重要である。このような繊維凸状構造転写形成用シート(b)における転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層としては、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(c)における転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層を構成する粘着剤と同様の粘着剤(例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤の他、ホットメルト型粘着剤など)により構成することができる。
【0164】
なお、繊維凸状構造転写形成用シート(b)における転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層としては、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(c)の場合と同様に、転写形成用繊維凸状構造部を保持することが可能な粘着層であることも重要である。
【0165】
繊維凸状構造転写形成用シート(b)における転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の形成方法や厚さなどは、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(c)の場合と同様である。例えば、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層は、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材の凹部に、粘着剤を塗布する方法により形成することができる。
【0166】
前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)には、前述のように、転写形成用繊維凸状構造部が、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材の凹部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層表面に形成されている。該転写形成用繊維凸状構造部は、繊維凸状構造転写形成用シート(a)や繊維凸状構造転写形成用シート(c)における転写形成用繊維凸状構造部と同様に、例えば、植毛加工方法(特に静電植毛加工方法)を利用して形成することができる。
【0167】
具体的には、凹凸部を有しているとともに、凸部に剥離処理層が形成され且つ凹部の底面に転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層が形成されている凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材に、転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面に植毛加工(特に、静電植毛加工)を施すことにより、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材の凹部内で且つ転写形成用繊維凸状構造部保持粘着層の表面の部位に、転写形成用繊維凸状構造部を形成することができる。
【0168】
このように、繊維凸状構造転写形成用シートとして、前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)を用いる場合、凹凸部含有繊維凸状構造転写形成用シート用基材の凹部を形成する位置や、凹部の大きさ及び数によって、粘着剤層表面における繊維凸状構造部を形成する位置や、繊維凸状構造部の大きさや数をコントロールすることができる。
【0169】
本発明では、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)、前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)や、前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)を用いて、粘着剤層表面に繊維凸状構造部を形成した後は、繊維凸状構造転写形成用シート(a)、繊維凸状構造転写形成用シート(b)や繊維凸状構造転写形成用シート(c)は剥離させてもよいが、そのまま、剥離ライナーとして用いることもできる。
【0170】
なお、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)、前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)や、前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)では、凹部内で繊維凸状構造部を形成しているため、繊維凸状構造部として、繊維が起毛した状態となっている繊維起毛部を容易に形成することができる。従って、繊維凸状構造部転写形成用シートとして、前記繊維凸状構造転写形成用シート(a)、前記繊維凸状構造転写形成用シート(b)や、前記繊維凸状構造転写形成用シート(c)を用いると、容易に、繊維を起毛した状態で粘着剤層表面に転写することができる。そのため、粘着剤層表面に、起毛した状態の繊維を効果的に転写形成することができ、より少ない繊維の量で、粘着剤層の接着力をコントロールすることが可能である。
【0171】
本発明の粘着テープ又はシートは、粘着剤層の表面に、粘着テープ又はシートの幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部が形成されているので、前述のように、記繊維凸状構造部が形成されている端部側の部位における粘着剤層の表面を利用して、粘着テープ又はシートを被着体に重ね合わせた後、小さな荷重をかけることにより、仮接着を行うことができ、しかも、仮接着後に、貼り直しや、貼り付け位置の修正を十分に且つ容易に行うことができる。すなわち、本発明の粘着テープ又はシートは、被着体を接着させる際のリワーク性や貼付位置修正作業性が優れている。
【0172】
従って、本発明の粘着テープ又はシートは、仮接着後に、貼り直しや、貼り付け位置の修正を行うことが求められる用途の粘着テープ又はシートとして好適に用いることができる。
【実施例】
【0173】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下の実施例や比較例では、繊維を正の電荷に帯電させた状態で噴霧することができ、且つ一方の側から他方の側に長尺帯状のシートを負の電荷に帯電させた状態で流すことができるラインが設けられたボックス(サイズ:ラインの流れ方向の長さ:2.5m×幅:1.3m×高さ:1.4m)を用いて、静電植毛加工を施した。具体的には、繊維を前記ボックス内の上部(1カ所)より噴霧し、印加電圧:30kVで噴霧した状態で、該ボックス内に、長尺帯状のシートを、植毛する面が上面となる形態で、ライン速度:5m/分で導入してライン上を移動させることにより、静電植毛加工を施した。
【0174】
(実施例1)
ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の片面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーA」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーAにおいて、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
【0175】
前記剥離ライナーAに、1個の穿孔部の面積が約0.5mm2であり、且つ5mm間隔で穿孔を行うことができるように設計された凸部構造および凹部構造を有する穿孔形成機(商品名「HEM1」由利ロール社製;300Wテストエンボス機)を用いて、穿孔加工を行い、所定のパターン形状の穿孔部を有する剥離ライナーA(「穿孔部を有する剥離ライナーA」と称する場合がある)を作製した。なお、この穿孔部を有する剥離ライナーAにおいて、各穿孔部の平均穿孔面積は約0.5mm2であり、穿孔部の総穿孔面積は剥離ライナーの全表面積に対して約2%であった。
【0176】
また、粘着テープとして、基材としての厚さ100μmのポリオレフィン系基材の一方の面に、粘着剤層として、厚さ60μmの天然ゴム系粘着剤層(天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムとが、天然ゴム/スチレン−ブタジエンゴム=50/50(重量比)の割合で配合されているゴム系粘着剤による粘着剤層)が形成され、幅70mmで且つ長さ10mの粘着テープ(「粘着テープA」と称する場合がある)を用い、該粘着テープAにおける粘着面に、幅55mmで且つ長さ10mの剥離ライナーAを、幅方向の両端部のうちの一方の端部側の部位に貼り合わせた後、幅15mmで且つ長さ10mの穿孔部を有する剥離ライナーAを、幅方向の両端部のうちの他方の端部側の部位に、前記剥離ライナーAとの間に隙間が生じないようにして貼り合わせ、次いで、ポリアミド系繊維(繊維太さ1.5デニール、繊維長さ0.8mm)を用いて、穿孔部を有する剥離ライナーA側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層における穿孔部を有する剥離ライナーAの穿孔部に位置している表面に前記ポリアミド系繊維を植毛させることにより、図7(a)、(b)に示されるような、一方の粘着剤層の表面に、幅方向の両端部のうちの何れかの端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有する粘着テープ(「繊維起毛部形成粘着テープA」と称する場合がある)を作製した。なお、植毛加工後、剥離ライナーAや穿孔部を有する剥離ライナーAの面に付着した余分の繊維を刷毛で除去した。
【0177】
なお、前記繊維起毛部形成粘着テープAにおいて、穿孔部を有する剥離ライナーAや剥離ライナーAは、剥離ライナーとして用いられている。
【0178】
図7は実施例1に係る繊維起毛部形成粘着テープAを示す概略図であり、(a)は上面図、(b)は斜視図である。図7において、16aは剥離ライナーA、16bは穿孔部を有する剥離ライナーA、16b1は穿孔部を有する剥離ライナーA(16b)における穿孔部、17は繊維起毛部形成粘着テープA、17aは繊維起毛部形成粘着テープA(17)における基材、17bは繊維起毛部形成粘着テープA(17)における粘着剤層、18は繊維起毛部である。
【0179】
(実施例2)
粘着テープとして、粘着テープAに代えて、基材としての厚さ100μmのポリオレフィン系基材の一方の面に、粘着剤層として、厚さ60μmのアクリル系粘着剤層(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤による粘着剤層)が形成され、幅70mmで且つ長さ10mの粘着テープを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、一方の粘着剤層の表面に、幅方向の両端部のうちの何れかの端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有する粘着テープ(「繊維起毛部形成粘着テープB」と称する場合がある)を作製した。
【0180】
(実施例3)
粘着テープとして、粘着テープAに代えて、基材としての厚さ100μmのポリオレフィン系基材の一方の面に、粘着剤層として、厚さ60μmのブチル系粘着剤層(ブチル系粘着剤による粘着剤層)が形成され、幅70mmで且つ長さ10mの粘着テープを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、一方の粘着剤層の表面に、幅方向の両端部のうちの何れかの端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有する粘着テープ(「繊維起毛部形成粘着テープC」と称する場合がある)を作製した。
【0181】
(実施例4)
粘着テープとして、粘着テープAに代えて、基材としての厚さ100μmのポリオレフィン系基材の一方の面に、粘着剤層として、厚さ60μmのブチル系粘着剤層(ブチル系粘着剤による粘着剤層)が形成され、幅800mmで且つ長さ2mの粘着テープを用い、該粘着テープにおける粘着面に、幅750mmで且つ長さ2mの剥離ライナーAを、幅方向の両端部のうちの一方の端部側の部位に貼り合わせた後、幅50mmで且つ長さ2mの穿孔部を有する剥離ライナーAを、幅方向の両端部のうちの他方の端部側の部位に、前記剥離ライナーAとの間に隙間が生じないようにして貼り合わせたこと以外は、実施例1と同様にして、一方の粘着剤層の表面に、幅方向の両端部のうちの何れかの端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有する粘着テープ(「繊維起毛部形成粘着テープD」と称する場合がある)を作製した。
【0182】
(実施例5)
ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の片面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーB」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーBにおいて、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
【0183】
前記剥離ライナーBに、1個の穿孔部の面積が約0.8mm2であり、且つ5mm間隔で穿孔を行うことができるように設計された、実施例1と同様の凸部構造および凹部構造を有する穿孔形成機を用いて、穿孔加工を行い、実施例1と同様のパターン形状の穿孔部を有する剥離ライナーB(「穿孔部を有する剥離ライナーB」と称する場合がある)を作製した。なお、この穿孔部を有する剥離ライナーBにおいて、各穿孔部の平均穿孔面積は約0.8mm2であり、穿孔部の総穿孔面積は剥離ライナーの全表面積に対して約3.2%であった。
【0184】
剥離ライナーA(幅:55mm、長さ:10m)および穿孔部を有する剥離ライナーA(幅:15mm、長さ:10m)に代えて、幅55mmで且つ長さ10mの剥離ライナーB、および幅15mmで且つ長さ10mの穿孔部を有する剥離ライナーBを用いるとともに、ポリアミド系繊維(繊維太さ1.5デニール、繊維長さ0.8mm)に代えて、繊維太さ3.0デニール、繊維長さ1.0mmのポリアミド系繊維を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、一方の粘着剤層の表面に、幅方向の両端部のうちの何れかの端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有する粘着テープ(「繊維起毛部形成粘着テープE」と称する場合がある)を作製した。
【0185】
(実施例6)
実施例5と同様にして、剥離ライナーBおよび穿孔部を有する剥離ライナーBを作製した。
剥離ライナーA(幅:750mm、長さ:2m)および穿孔部を有する剥離ライナーA(幅:50mm、長さ:2m)に代えて、幅750mmで且つ長さ2mの剥離ライナーB、および幅50mmで且つ長さ2mの穿孔部を有する剥離ライナーBを用いるとともに、ポリアミド系繊維(繊維太さ1.5デニール、繊維長さ0.8mm)に代えて、繊維太さ3.0デニール、繊維長さ1.0mmのポリアミド系繊維を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、一方の粘着剤層の表面に、幅方向の両端部のうちの何れかの端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有する粘着テープ(「繊維起毛部形成粘着テープF」と称する場合がある)を作製した。
【0186】
(比較例1)
剥離ライナーへの穿孔と、粘着剤層への植毛加工を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープ(「粘着テープG」と称する場合がある)を作製した。
【0187】
(比較例2)
剥離ライナーへの穿孔と、粘着剤層への植毛加工を行わなかったこと以外は実施例2と同様にして、粘着テープ(「粘着テープH」と称する場合がある)を作製した。
【0188】
(比較例3)
剥離ライナーへの穿孔と、粘着剤層への植毛加工を行わなかったこと以外は実施例3と同様にして、粘着テープ(「粘着テープI」と称する場合がある)を作製した。
【0189】
(比較例4)
剥離ライナーへの穿孔と、粘着剤層への植毛加工を行わなかったこと以外は実施例4と同様にして、粘着テープ(「粘着テープJ」と称する場合がある)を作製した。
【0190】
(比較例5)
剥離ライナーへの穿孔と、粘着剤層への植毛加工を行わなかったこと以外は実施例5と同様にして、粘着テープ(「粘着テープK」と称する場合がある)を作製した。
【0191】
(比較例6)
剥離ライナーへの穿孔と、粘着剤層への植毛加工を行わなかったこと以外は実施例6と同様にして、粘着テープ(「粘着テープL」と称する場合がある)を作製した。
【0192】
(評価)
実施例1〜6により得られた繊維起毛部形成粘着テープ(繊維起毛部形成粘着テープA〜F)、比較例1〜6により得られた粘着テープ(粘着テープG〜L)について、繊維起毛部形成粘着テープA〜Fについては、植毛加工が施された端部側の部位、粘着テープG〜Lについては、任意の部位を、100mm(粘着テープの長手方向と平行な方向)×10mm(粘着テープの幅方向と平行な方向)の大きさの部分を切り取った。その後、繊維起毛部形成粘着テープA〜Fについては、穿孔部を有する剥離ライナーを剥がし、粘着テープG〜Lについては、剥離ライナーを剥がして、アクリル板に、背面側(基材側)から25g/22.5cm2の荷重をかけて仮接着させた後、粘着テープ(繊維起毛部形成粘着テープA〜F、粘着テープG〜L)を貼り付けた位置より10mm移動させてから、強く圧着させ、この時の移動が容易であるかどうかによって、貼付位置修正作業性を評価した。
【0193】
また、貼り付けた後、24時間、室温(23℃)で放置した後、テンシロン引張試験機を用いて、アクリル板に対する接着力を測定し、繊維起毛部形成粘着テープA〜Fについては、それぞれ、粘着テープG〜Lの接着力に対する割合により、表面に繊維起毛部を有する粘着剤層による接着力を評価した。なお、粘着テープG〜Lについては、それぞれ、粘着テープG〜Lの接着力に対する割合により評価したため、すべて、100となっている。
【0194】
さらに、実施例1〜6により得られた繊維起毛部形成粘着テープ(繊維起毛部形成粘着テープA〜F)、比較例1〜6により得られた粘着テープ(粘着テープG〜L)について、各100mmの長さをサンプリングし、これらを、木製の床に所定の位置に直線状に貼り合わせられるように貼り合わせ、その際の位置修正のし易さや、直線状にきれいに貼り合わせることができたかについて、貼り合わせ作業性を評価した。
【0195】
具体的には、サンプリングした繊維起毛部形成粘着テープA〜Fについては、まず、穿孔部を有する剥離ライナーを剥がして、繊維凸状構造部が形成されている端部側の部位における粘着剤層表面を木製の床に、所定の位置に、位置修正をしながら、貼り合わせた後、もう一方の剥離ライナー(穿孔部を有していない剥離ライナー)を剥がしながら、粘着テープの長手方向の端部から順に貼り合わせることにより、サンプリングした繊維起毛部形成粘着テープA〜Fを、木製の床に所定の位置に且つ直線状に貼り合わせられるように貼り合わせ、その際の位置修正のし易さや、直線状にきれいに貼り合わせることができたかについて、貼り合わせ作業性を評価した。
【0196】
一方、サンプリングした粘着テープG〜Lについては、まず、幅が狭い方の剥離ライナーを剥がして、露出した粘着剤層表面を木製の床に、所定の位置に、可能であれば位置修正をしながら、貼り合わせた後、もう一方の剥離ライナー(幅が広い方の剥離ライナー)を剥がしながら、粘着テープの長手方向の端部から順に貼り合わせることにより、サンプリングした粘着テープG〜Lを、木製の床に所定の位置に且つ直線状に貼り合わせられるように貼り合わせ、その際の位置修正のし易さや、直線状にきれいに貼り合わせることができたかについて、貼り合わせ作業性を評価した。
【0197】
これらの評価結果は、それぞれ、表1の「貼付位置修正作業性」、「接着力回復率(%)」、「貼り合わせ作業性」の欄に示した。
【0198】
【表1】

【0199】
(実施例7)
ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の片面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、図8(a)に示されるような剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーM」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーMにおいて、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
【0200】
前記剥離ライナーMに、1個の穿孔部の面積が約0.5mm2であり、且つ5mm間隔で穿孔を行うことができるように設計された凸部構造および凹部構造を有する穿孔形成機(商品名「HEM1」由利ロール社製;300Wテストエンボス機)を用いて、穿孔加工を行い、図8(b)に示されるような穿孔部のパターン形状を有する剥離ライナーM(「穿孔部を有する剥離ライナーM」と称する場合がある)を作製した。なお、この穿孔部を有する剥離ライナーMにおいて、各穿孔部の平均穿孔面積は約0.5mm2であり、穿孔部の総穿孔面積は剥離ライナーの全表面積に対して約2%であった。
【0201】
次に、ポリエチレンフィルム(商品名「SHO」大倉工業社製;厚み50μm;「基材M」と称する場合がある)の片面に、アクリル系粘着剤(商品名「レオコート1020」東レコーテックス社製)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層M」と称する場合がある)を形成して、片面のみに粘着剤層を有する粘着シート(「植毛用粘着シートM」と称する場合がある)を作製し、該植毛用粘着シートMの粘着剤層Mの表面に、穿孔部を有する剥離ライナーMを、植毛用粘着シートMの粘着剤層Mと穿孔部を有する剥離ライナーMの剥離処理層が形成されていない側の面(剥離処理層非形成面)とが接触するように、貼り合わせて、図8(c)に示されるような、穿孔部を有する剥離ライナーMが貼り合わせられた植毛用粘着シートM(「穿孔部含有剥離ライナー貼付粘着シートM」と称する場合がある)を作製した。
【0202】
次いで、穿孔部含有剥離ライナー貼付粘着シートMに、ポリアミド系繊維(繊維太さ1.5デニール、繊維長さ0.8mm)を用いて、穿孔部を有する剥離ライナーMを貼り合わせた粘着剤層M側の面より静電植毛加工を施し、穿孔部を有する剥離ライナーMにおける穿孔部で露出している粘着剤層Mの表面に、前記ポリアミド系繊維を植毛させることにより、図8(d)に示されるような、粘着剤層の表面に繊維起毛部を有する粘着シート(「繊維起毛部転写形成用シートM」と称する場合がある)を作製した。なお、植毛加工後、繊維起毛部転写形成用シートMの穿孔部を有する剥離ライナーM側の表面に付着した余分の繊維を刷毛で除去した。
【0203】
図8は実施例7に係る繊維起毛部形成粘着テープMを製造する際に作製される各種部材を示す概略断面図であり、図8において、(a)は剥離ライナーMを示し、(b)は穿孔部を有する剥離ライナーMを示し、(c)は穿孔部含有剥離ライナー貼付粘着シートMを示し、(d)は繊維起毛部転写形成用シートMを示している。図8において、19は剥離ライナーM、19aは剥離ライナーM(19)における基材、19bは剥離ライナーM(19)における剥離処理剤層、20は穿孔部を有する剥離ライナーM、20aは穿孔部を有する剥離ライナーM(20)における穿孔部、21は穿孔部含有剥離ライナー貼付粘着シートM、21aは植毛用粘着シートM、21a1は植毛用粘着シートM(21a)における基材M、21a2は植毛用粘着シートM(21a)における粘着剤層M、22は繊維起毛部転写形成用シートM、22aは繊維起毛部転写形成用シートM(22)における繊維起毛部である。
【0204】
また、粘着テープとして、基材としての厚さ100μmのポリオレフィン系基材の一方の面に、粘着剤層として、厚さ60μmの天然ゴム系粘着剤層(天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムとが、天然ゴム/スチレン−ブタジエンゴム=50/50(重量比)の割合で配合されているゴム系粘着剤による粘着剤層)が形成され、幅70mmで且つ長さ10mの粘着テープ(「粘着テープM」と称する場合がある)を用い、該粘着テープMにおける粘着面に、幅55mmで且つ長さ10mの剥離ライナーMを、幅方向の両端部のうちの一方の端部側の部位に貼り合わせた後、幅15mmで且つ長さ10mの繊維起毛部転写形成用シートMを、幅方向の両端部のうちの他方の端部側の部位に、粘着テープMの粘着面と、繊維起毛部転写形成用シートMにおける静電植毛加工を施した側の面(繊維起毛部が形成された側の面)とが接触するように、且つ、前記剥離ライナーMとの間に隙間が生じないようにして貼り合わせて、圧着して、図9(a)および(b)に示されるような、一方の粘着剤層の表面に、幅方向の両端部のうちの何れかの端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有する粘着テープ(「繊維起毛部形成粘着テープM」と称する場合がある)を作製した。
【0205】
図9は実施例7に係る繊維起毛部形成粘着テープMを示す概略図であり、図9において、(a)は上面図であり、(b)は斜視図である。図9において、23は繊維起毛部形成粘着テープM、23aは粘着テープM、23a1は粘着テープM(23a)における基材、23a2は粘着テープM(23a)における粘着剤層である。また、19、19a、19b、20、20a、21、21a、21a1、21a2、22、22aは前記に同じである。
【0206】
なお、粘着テープMにおける粘着剤層の粘着力は、繊維起毛部転写形成用シートMにおける粘着剤層Mよりも大きい。
【0207】
なお、前記繊維起毛部形成粘着テープMにおいて、穿孔部含有剥離ライナー貼付粘着シートMおよび剥離ライナーMは剥離ライナーとして用いられ、この穿孔部含有剥離ライナー貼付粘着シートMおよび剥離ライナーMを剥離させると、図10に示されるような繊維起毛部形成粘着テープMが得られる。このような穿孔部含有剥離ライナー貼付粘着シートMは、繊維起毛部転写形成用シートMから転写により繊維起毛部が取り除かれた形態の剥離ライナーに相当している。
【0208】
図10は実施例7に係る繊維起毛部形成粘着テープMを示す概略断面図である。図10において、各符号は、前記に同じである。
【0209】
(実施例8)
粘着テープとして、粘着テープMに代えて、基材としての厚さ100μmのポリオレフィン系基材の一方の面に、粘着剤層として、厚さ60μmのアクリル系粘着剤層(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤による粘着剤層)が形成され、幅70mmで且つ長さ10mの粘着テープを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、一方の粘着剤層の表面に、幅方向の両端部のうちの何れかの端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有する粘着テープ(「繊維起毛部形成粘着テープN」と称する場合がある)を作製した。
【0210】
(実施例9)
粘着テープとして、粘着テープMに代えて、基材としての厚さ100μmのポリオレフィン系基材の一方の面に、粘着剤層として、厚さ60μmのブチル系粘着剤層(ブチル系粘着剤による粘着剤層)が形成され、幅70mmで且つ長さ10mの粘着テープを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、一方の粘着剤層の表面に、幅方向の両端部のうちの何れかの端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有する粘着テープ(「繊維起毛部形成粘着テープO」と称する場合がある)を作製した。
【0211】
(実施例10)
粘着テープとして、粘着テープMに代えて、基材としての厚さ100μmのポリオレフィン系基材の一方の面に、粘着剤層として、厚さ60μmのブチル系粘着剤層(ブチル系粘着剤による粘着剤層)が形成され、幅800mmで且つ長さ2mの粘着テープ(「粘着テープP」と称する場合がある)を用い、該粘着テープPにおける粘着面に、幅750mmで且つ長さ2mの剥離ライナーMを、幅方向の両端部のうちの一方の端部側の部位に貼り合わせた後、幅50mmで且つ長さ2mの繊維起毛部転写形成用シートMを、幅方向の両端部のうちの他方の端部側の部位に、粘着テープPの粘着面と、繊維起毛部転写形成用シートMにおける静電植毛加工を施した側の面(繊維起毛部が形成された側の面)とが接触するように、且つ、前記剥離ライナーMとの間に隙間が生じないようにして貼り合わせて、圧着して、一方の粘着剤層の表面に、幅方向の両端部のうちの何れかの端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有する粘着テープ(「繊維起毛部形成粘着テープP」と称する場合がある)を作製した。
【0212】
(実施例11)
ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の片面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーN」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーNにおいて、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
【0213】
前記剥離ライナーNに、1個の穿孔部の面積が約0.8mm2であり、且つ5mm間隔で穿孔を行うことができるように設計された、実施例7と同様の凸部構造および凹部構造を有する穿孔形成機を用いて、穿孔加工を行い、実施例7と同様のパターン形状の穿孔部を有する剥離ライナーN(「穿孔部を有する剥離ライナーN」と称する場合がある)を作製した。なお、この穿孔部を有する剥離ライナーNにおいて、各穿孔部の平均穿孔面積は約0.8mm2であり、穿孔部の総穿孔面積は剥離ライナーの全表面積に対して約3.2%であった。
【0214】
剥離ライナーM(幅:55mm、長さ:10m)および穿孔部を有する剥離ライナーM(幅:15mm、長さ:10m)に代えて、幅55mmで且つ長さ10mの剥離ライナーN、および幅15mmで且つ長さ10mの穿孔部を有する剥離ライナーNを用いるとともに、ポリアミド系繊維(繊維太さ1.5デニール、繊維長さ0.8mm)に代えて、繊維太さ3.0デニール、繊維長さ1.0mmのポリアミド系繊維を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、一方の粘着剤層の表面に、幅方向の両端部のうちの何れかの端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有する粘着テープ(「繊維起毛部形成粘着テープQ」と称する場合がある)を作製した。
【0215】
(実施例12)
実施例11と同様にして、剥離ライナーNおよび穿孔部を有する剥離ライナーNを作製した。
剥離ライナーM(幅:750mm、長さ:2m)および穿孔部を有する剥離ライナーM(幅:50mm、長さ:2m)に代えて、幅750mmで且つ長さ2mの剥離ライナーN、および幅50mmで且つ長さ2mの穿孔部を有する剥離ライナーNを用いるとともに、ポリアミド系繊維(繊維太さ1.5デニール、繊維長さ0.8mm)に代えて、繊維太さ3.0デニール、繊維長さ1.0mmのポリアミド系繊維を用いたこと以外は、実施例10と同様にして、一方の粘着剤層の表面に、幅方向の両端部のうちの何れかの端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有する粘着テープ(「繊維起毛部形成粘着テープR」と称する場合がある)を作製した。
【0216】
なお、実施例8〜12において、繊維起毛部形成粘着テープ(繊維起毛部形成粘着テープN〜R)における粘着剤層の粘着力は、それぞれ、繊維起毛部転写形成用シートにおける粘着剤層よりも大きい。
【0217】
(比較例7)
剥離ライナーへの穿孔と、粘着剤層への植毛加工を行わなかったこと以外は実施例7と同様にして、粘着テープ(「粘着テープS」と称する場合がある)を作製した。
【0218】
(比較例8)
剥離ライナーへの穿孔と、粘着剤層への植毛加工を行わなかったこと以外は実施例8と同様にして、粘着テープ(「粘着テープT」と称する場合がある)を作製した。
【0219】
(比較例9)
剥離ライナーへの穿孔と、粘着剤層への植毛加工を行わなかったこと以外は実施例9と同様にして、粘着テープ(「粘着テープU」と称する場合がある)を作製した。
【0220】
(比較例10)
剥離ライナーへの穿孔と、粘着剤層への植毛加工を行わなかったこと以外は実施例10と同様にして、粘着テープ(「粘着テープV」と称する場合がある)を作製した。
【0221】
(比較例11)
剥離ライナーへの穿孔と、粘着剤層への植毛加工を行わなかったこと以外は実施例11と同様にして、粘着テープ(「粘着テープW」と称する場合がある)を作製した。
【0222】
(比較例12)
剥離ライナーへの穿孔と、粘着剤層への植毛加工を行わなかったこと以外は実施例12と同様にして、粘着テープ(「粘着テープX」と称する場合がある)を作製した。
【0223】
(評価)
実施例7〜12により得られた繊維起毛部形成粘着テープ(繊維起毛部形成粘着テープM〜R)、比較例7〜12により得られた粘着テープ(粘着テープS〜X)について、繊維起毛部形成粘着テープM〜Rについては、植毛加工が施された端部側の部位、粘着テープS〜Xについては、任意の部位を、100mm(粘着テープの長手方向と平行な方向)×10mm(粘着テープの幅方向と平行な方向)の大きさの部分を切り取った。その後、繊維起毛部形成粘着テープM〜Rについては、穿孔部を有する剥離ライナーを剥がし、粘着テープS〜Xについては、剥離ライナーを剥がして、アクリル板に、背面側(基材側)から25g/22.5cm2の荷重をかけて仮接着させた後、粘着テープ(繊維起毛部形成粘着テープM〜R、粘着テープS〜X)を貼り付けた位置より10mm移動させてから、強く圧着させ、この時の移動が容易であるかどうかによって、貼付位置修正作業性を評価した。
【0224】
また、貼り付けた後、24時間、室温(23℃)で放置した後、テンシロン引張試験機を用いて、アクリル板に対する接着力を測定し、繊維起毛部形成粘着テープM〜Rについては、それぞれ、粘着テープS〜Xの接着力に対する割合により、表面に繊維起毛部を有する粘着剤層による接着力を評価した。なお、粘着テープS〜Xについては、それぞれ、粘着テープS〜Xの接着力に対する割合により評価したため、すべて、100となっている。
【0225】
さらに、実施例7〜12により得られた繊維起毛部形成粘着テープ(繊維起毛部形成粘着テープM〜R)、比較例7〜12により得られた粘着テープ(粘着テープS〜X)について、各100mmの長さをサンプリングし、これらを、木製の床に所定の位置に直線状に貼り合わせられるように貼り合わせ、その際の位置修正のし易さや、直線状にきれいに貼り合わせることができたかについて、貼り合わせ作業性を評価した。
【0226】
具体的には、サンプリングした繊維起毛部形成粘着テープM〜Rについては、まず、穿孔部を有する剥離ライナーを剥がして、繊維凸状構造部が形成されている端部側の部位における粘着剤層表面を木製の床に、所定の位置に、位置修正をしながら、貼り合わせた後、もう一方の剥離ライナー(穿孔部を有していない剥離ライナー)を剥がしながら、粘着テープの長手方向の端部から順に貼り合わせることにより、サンプリングした繊維起毛部形成粘着テープM〜Rを、木製の床に所定の位置に且つ直線状に貼り合わせられるように貼り合わせ、その際の位置修正のし易さや、直線状にきれいに貼り合わせることができたかについて、貼り合わせ作業性を評価した。
【0227】
一方、サンプリングした粘着テープS〜Xについては、まず、幅が狭い方の剥離ライナーを剥がして、露出した粘着剤層表面を木製の床に、所定の位置に、可能であれば位置修正をしながら、貼り合わせた後、もう一方の剥離ライナー(幅が広い方の剥離ライナー)を剥がしながら、粘着テープの長手方向の端部から順に貼り合わせることにより、サンプリングした粘着テープS〜Xを、木製の床に所定の位置に且つ直線状に貼り合わせられるように貼り合わせ、その際の位置修正のし易さや、直線状にきれいに貼り合わせることができたかについて、貼り合わせ作業性を評価した。
【0228】
これらの評価結果は、それぞれ、表2の「貼付位置修正作業性」、「接着力回復率(%)」、「貼り合わせ作業性」の欄に示した。
【0229】
【表2】

【0230】
表1〜2より明らかなように、実施例に係る粘着シート(粘着剤層の表面に、幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れかの端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有する粘着シート)は、初期貼り付け後の位置修正が容易であり、強く貼り付けた後の接着力は良好であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0231】
【図1】本発明の粘着テープ又はシートの一例を部分的に示す概略図であり、(a)は粘着テープ又はシートの上面から見た概略平面図、(b)は(a)におけるX−Y線の概略断面図である。
【図2】一方の粘着剤層の表面における幅方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維起毛部を有し且つロール状の巻回された形態の粘着テープ(巻回体)を示す概略図である。
【図3】本発明における繊維凸状構造転写形成用シートを粘着テープ又はシートの粘着剤層の表面に貼り合わせて、繊維凸状構造部を転写形成する状態の一例を部分的に示す概略断面図である。
【図4】本発明における繊維凸状構造転写形成用シートの例を部分的に示す概略図であり、図4(a)は繊維凸状構造転写形成用シートの上面から見た概略平面図、図4(b)は図4(a)におけるX−Y線の概略断面図である。
【図5】本発明における繊維凸状構造転写形成用シートの例を部分的に示す概略図であり、図5(a)は繊維凸状構造転写形成用シートの上面から見た概略平面図、図5(b)は図5(a)におけるX−Y線の概略断面図である。
【図6】本発明における繊維凸状構造転写形成用シートの例を部分的に示す概略図であり、図6(a)は繊維凸状構造転写形成用シートの上面から見た概略平面図、図6(b)は図6(a)におけるX−Y線の概略断面図である。
【図7】実施例1に係る繊維起毛部形成粘着テープAを示す概略図であり、(a)は上面図、(b)は斜視図である。
【図8】実施例7に係る繊維起毛部形成粘着テープMを製造する際に作製される各種部材を示す概略断面図である。
【図9】実施例7に係る繊維起毛部形成粘着テープMを示す概略図であり、図9において、(a)は上面図であり、(b)は斜視図である。
【図10】実施例7に係る繊維起毛部形成粘着テープMを示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0232】
1 粘着テープ又はシート
1a ロール状に巻回された形態の粘着テープ
2 粘着テープ又はシート用粘着剤層
2a 粘着剤層2の表面
2a1 粘着剤層2の表面2aの一方の端部
2a2 粘着剤層2の表面2aの他方の端部
3 粘着テープ又はシート用基材
4a 穿孔部を有する粘着テープ又はシート用剥離ライナー
4a1 穿孔部含有剥離ライナー4aの穿孔部
4b 粘着テープ又はシート用剥離ライナー
5 繊維起毛部
6 繊維凸状構造転写形成用シート
6a 繊維凸状構造転写形成用シート6における剥離ライナー
6a1 繊維凸状構造転写形成用シート用剥離ライナー6aにおける孔部
6b 繊維凸状構造転写形成用シート6における粘着層
6c 繊維凸状構造転写形成用シート6における基材
7 剥離ライナー
8 粘着テープ又はシート用粘着剤層に転写形成させるための繊維起毛部
9 粘着テープ又はシート
9a 粘着テープ又はシート9における粘着剤層
9a1 粘着テープ又はシート用粘着剤層9aの表面
9b 粘着テープ又はシート9における基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層が形成されている粘着テープ又はシートであって、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部側の部位に、部分的に繊維凸状構造部を有していることを特徴とする粘着テープ又はシート。
【請求項2】
繊維凸状構造部が、繊維が粘着剤層の表面から起立している構造の繊維起毛部である請求項1記載の粘着テープ又はシート。
【請求項3】
繊維凸状構造部が形成されている端部側の部位が、粘着剤層の表面における幅方向又は長手方向の両端部のうちの何れか一方の端部から、粘着テープ又はシートにおける幅方向の全長に対して5〜50%の長さに相当する位置までの部位である請求項1又は2記載の粘着テープ又はシート。
【請求項4】
繊維凸状構造部が形成されている端部側の部位が、粘着テープ又はシートにおける幅方向の両端部のうちの何れか一方の端部から、幅方向の全長に対して5〜30%の長さの部位である請求項1〜3の何れかの項に記載の粘着テープ又はシート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−22181(P2006−22181A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200477(P2004−200477)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】